(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096639
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】遠位端寸法の正確な測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20220622BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20220622BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B5/287 200
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204036
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】17/125,879
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C127LL08
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK17
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療システムを提供すること。
【解決手段】一実施形態では、システムは、それぞれの磁場を生成するための発生器コイルと、それぞれの磁場の検出に基づいて、電気信号を出力するための磁気コイルセンサを含む、遠位端を含むカテーテルと、磁気コイルセンサから電気信号を受信し、受信された電気信号のうちの少なくとも1つの関数として磁場勾配を有する磁場のうちの少なくとも1つを選択し、電気信号の関数として第1の磁気コイルセンサ並びに第2の磁気コイルセンサによって検出された少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算し、及び少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度と、少なくとも1つの選択された磁場の磁場勾配との間の差に基づいて、遠位端の寸法を計算するための処理回路と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
生体被験者の身体部分の領域において、それぞれの異なる周波数を有するそれぞれの磁場を生成するように構成された発生器コイルと、
前記生体被験者の前記身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記それぞれの磁場に応答して電気信号を出力するように構成された磁気コイルセンサを含む、遠位端を備え、第1の軸を有する第1の磁気コイルセンサ、及び第2の軸を有する第2の磁気コイルセンサを含み、前記磁気コイルセンサが、前記第1の軸が前記第2の軸と実質的に平行な状態で前記遠位端上に配設されている、カテーテルと、
処理回路であって、
前記磁気コイルセンサから前記電気信号を受信することと、
前記受信された電気信号のうちの少なくとも1つによって定義された、磁場勾配を有する前記磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記受信された電気信号に基づいて、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサによって検出された前記少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算することと、
前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配とに基づいて、前記磁気コイルセンサ間の距離の関数である、前記遠位端の寸法を計算することと、を行うように構成された、処理回路と、を備える、医療システム。
【請求項2】
前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計算された寸法が、前記カテーテルの前記遠位端の形状の寸法である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路が、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配によって割られた、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差の関数として、前記遠位端の前記寸法を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの選択された磁場が、前記磁場の最高磁場勾配を有する前記磁場のうちの1つを含み、
前記処理回路が、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記最高磁場勾配との関数として、前記遠位端の前記寸法を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カテーテルが、長手方向軸を有し、
前記カテーテルの前記遠位端が、拡張可能な遠位端アセンブリを含み、
前記磁場センサが、前記拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、前記カテーテルの前記長手方向軸に沿って互いに対して移動するように構成されており、
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、畳み込まれるとき、前記磁気コイルセンサ間の前記距離が、増加し、
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、展開されるとき、前記磁気コイルセンサ間の前記距離が、減少する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の軸、第2の軸、及び前記長手方向軸が、実質的に同軸である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、複数の可撓性ストリップ、及び前記可撓性ストリップ上に配設された電極を備える、バスケット遠位端アセンブリである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
ディスプレイを更に含み、前記処理回路が、
少なくとも前記計算された寸法に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を見出すことと、
前記遠位端アセンブリの前記見出された形状に基づいて、前記遠位端アセンブリの表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理回路が、
前記第1の磁気コイルセンサの前記第1の軸と前記第2の磁気コイルセンサの前記第2の軸との間の相対的な配向を計算することと、
前記計算された相対的な配向に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を推定することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
医療方法であって、
生体被験者の身体部分の領域において、それぞれの異なる周波数を有する磁場を生成することと、
前記生体被験者の前記身体部分にカテーテルを挿入することと、
それぞれの磁場の関数として電気信号を出力する、前記カテーテルの遠位端上に配設された実質的に平行な軸を有する磁気コイルセンサで前記磁場のそれぞれの1つを検出することと、
前記磁気コイルセンサからそれぞれの電気信号を受信することと、
前記受信された電気信号のうちの少なくとも1つの関数として、磁場勾配を有する前記磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記受信された電気信号の関数として、前記磁気コイルセンサのうちの第1の磁気コイルセンサ及び前記磁気コイルセンサのうちの第2の磁気コイルセンサによって検出された、前記少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算することと、
前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配とに基づいて、前記磁気コイルセンサ間の距離の関数である、前記遠位端の寸法を計算することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記計算された寸法が、前記カテーテルの前記遠位端の形状の寸法である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記寸法を前記計算することが、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配によって割られた、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差に基づいて、前記遠位端の前記寸法を計算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの選択された磁場が、前記磁場の最高磁場勾配を有する前記磁場のうちの1つを含み、
前記寸法を前記計算することが、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記最高磁場勾配とに基づいて、前記遠位端の前記寸法を計算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、前記カテーテルの長手方向軸に沿って互いに対して前記磁場センサを移動させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の軸、第2の軸、及び前記長手方向軸が、実質的に同軸である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも前記計算された寸法に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を見出すことと、
前記遠位端アセンブリの前記見出された形状に基づいて、前記遠位端アセンブリの表現をディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の磁気コイルセンサの前記第1の軸と前記第2の磁気コイルセンサの前記第2の軸との間の相対的な配向を計算することと、
前記計算された相対的な配向に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を推定することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療システムに関し、具体的には、排他的にではないが、カテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置は、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置感知システムが開発されてきた。磁気的位置感知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的位置感知において、磁界発生器は通常、患者の外部の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサは、これらの磁界に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号、及び同第2004/0068178号に説明されている。位置はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として持続している。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心組織、特に心内膜及び心容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作成するためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、通常、1つ又は2つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の内部に前進させ、複数のポイントでデータを得ることによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈に挿入された後、関心の心臓の心腔内へとガイドされる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(radio frequency、高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極と参照電極との間に印加し、電極間、つまり血液と組織0との間の媒体を通って電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触する電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、生体被験者の身体部分の領域内にそれぞれの異なる周波数を有する、それぞれの磁場を生成するように構成された発生器コイルと、生体被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、それぞれの磁場を検出する関数として電気信号を出力するように構成された磁気コイルセンサを含む、遠位端を含み、第1の軸を有する第1の磁気コイルセンサ、及び第2の軸を有する第2の磁気コイルセンサを含み、磁気コイルセンサが、第1の軸が第2の軸と実質的に平行な状態で遠位端上に配設されている、カテーテルと、処理回路であって、磁気コイルセンサから電気信号を受信することと、受信された電気信号のうちの少なくとも1つの関数として磁場勾配を有する磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、受信された電気信号に基づいて、第1の磁気コイルセンサ及び第2の磁気コイルセンサによって検出された、少なくとも1つの選択された磁場の、磁場強度の間の差を計算することと、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差と少なくとも1つの選択された磁場の磁場勾配とに基づいて、磁気コイルセンサ間の距離の関数である、遠位端の寸法を計算することと、を行うように構成された、処理回路と、を含む、医療システムが提供される。
【0007】
更に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、磁気コイルセンサ間の距離である。
【0008】
また更に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、カテーテルの遠位端の形状の寸法である。
【0009】
追加的に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、少なくとも1つの選択された磁場の磁場勾配によって割られた、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差に基づいて、遠位端の寸法を計算するように構成される。
【0010】
更に、本開示の一実施形態によれば、少なくとも1つの選択された磁場は、磁場の最高磁場勾配を有する磁場のうちの1つを含み、処理回路は、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差と最高磁場勾配とに基づいて、遠位端の寸法を計算するように構成される。
【0011】
更に、本開示の一実施形態によれば、カテーテルは、長手方向軸を有し、カテーテルの遠位端は、拡張可能な遠位端アセンブリを含み、磁場センサは、拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、カテーテルの長手方向軸に沿って互いに対して移動するように構成されており、拡張可能な遠位端アセンブリが畳み込まれるとき、磁気コイルセンサ間の距離は増加し、拡張可能な遠位端アセンブリが展開されるとき、磁気コイルセンサ間の距離は、減少する。
【0012】
また更に、本開示の一実施形態によれば、第1の軸、第2の軸、及び長手方向軸は、実質的に同軸である。
【0013】
追加的に、本開示の一実施形態によれば、拡張可能な遠位端アセンブリは、複数の可撓性ストリップ、及び可撓性ストリップ上に配設された電極を含む、バスケット遠位端アセンブリである。
【0014】
更に、本開示の一実施形態によれば、システムは、ディスプレイを含み、処理回路は、少なくとも計算された寸法に基づいて遠位端アセンブリの形状を見出し、かつ遠位端アセンブリの見出された形状に基づいて、遠位端アセンブリの表現をディスプレイにレンダリングするように構成される。
【0015】
更に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、磁気コイルセンサ間の距離である。
【0016】
また更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、第1の磁気コイルセンサの第1の軸と第2の磁気コイルセンサの第2の軸との間の相対的な配向を計算し、かつ計算された相対的な配向に基づいて、遠位端アセンブリの形状を推定するように構成される。
【0017】
本開示の別の実施形態によれば、生体被験者の身体部分の領域内にそれぞれの異なる周波数を有する磁場を生成することと、生体被験者の身体部分にカテーテルを挿入することと、磁気コイルセンサが、磁場のうちのそれぞれの1つを検出する関数として、電気信号を出力するカテーテルの遠位端上に配設された実質的に平行な軸を伴い、磁気コイルセンサからの電気信号を受信することと、受信された電気信号のうちの少なくとも1つに基づいて、磁場勾配を有する磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、受信された電気信号に基づいて、磁気コイルセンサのうちの第1の磁気コイルセンサ及び磁気コイルセンサの内の第2の磁気コイルセンサによって検出された少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算することと、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差と少なくとも1つの選択された磁場の磁場勾配とに基づいて、磁気コイルセンサ間の距離の関数である、遠位端の寸法を計算することと、を含む、医療方法がまた提供される。
【0018】
追加的に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、磁気コイルセンサ間の距離である。
【0019】
更に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、カテーテルの遠位端の形状の寸法である。
【0020】
更に、本開示の一実施形態によれば、寸法を計算することは、少なくとも1つの選択された磁場の磁場勾配によって割られた、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差に基づいて、遠位端の寸法を計算することを含む。
【0021】
また更に、本開示の一実施形態によれば、少なくとも1つの選択された磁場は、磁場の最高磁場勾配を有する磁場のうちの1つを含み、寸法を計算することは、少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の計算された差と最高磁場勾配とに基づいて、遠位端の寸法を計算することを含む。
【0022】
追加的に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、カテーテルの長手方向軸に沿って、磁場センサを互いに対して移動させることを含む。
【0023】
更に、本開示の一実施形態によれば、第1の軸、第2の軸、及び長手方向軸は、実質的に同軸である。
【0024】
更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、少なくとも計算された寸法に基づいて、遠位端アセンブリの形状を見出すことと、遠位端アセンブリの見出された形状に基づいて、遠位端アセンブリの表現をディスプレイにレンダリングすることと、を含む。
【0025】
また更に、本開示の一実施形態によれば、計算された寸法は、磁気コイルセンサ間の距離である。
【0026】
追加的に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、第1の磁気コイルセンサの第1の軸と第2の磁気コイルセンサの第2の軸との間の相対的な配向を計算することと、計算された相対的な配向に基づいて、遠位端アセンブリの形状を推定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の一実施形態による、カテーテルを含む電気解剖学的マッピング用システムの概略絵画図である。
【
図2A】畳み込まれた形成におけるバスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図2B】展開された構成における
図2Aのバスケットカテーテルの遠位端の概略図である。
【
図3】
図1のシステムの操作方法における工程を含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
概論
Carto(商標)3システム(米国カリフォルニア州アーバインのBiosense Webster製)は、先進カテーテル位置(Advanced Catheter Location:ACL)ハイブリッド位置追跡技術を適用する。ACL技術において、カテーテル上のプローブ電極に関連して測定された電流の分布は、電流-位置行列(CPM)と相関され、CPMは、電流分布と、磁気位置較正位置信号から以前に取得されたカテーテルの位置とをマッピングするものである。ACL技術は、磁気コイルセンサを有するカテーテルを使用して、CPMが計算された体積(複数可)においてだけでなく、カテーテル(磁場センサを有さないカテーテルであっても)の位置特定及び可視化を可能にする。CPMを構築するための前提条件は、身体の体積に関するCPMを計算するために、磁場センサを備えたカテーテルを身体内に挿入し、その体積内でカテーテルを移動させることである。
【0029】
追加的に、ACL技術を使用して、バスケットに電極を有するバスケットカテーテルを追跡することができる。しかしながら、電流又はインピーダンスを測定するACL技術は、状況によっては十分に高い精度を提供しない場合がある。
【0030】
1つの解決策は、磁気センサ間の距離に基づいて、拡張可能な遠位端アセンブリ(バスケット遠位端アセンブリ又はバルーン遠位端アセンブリなど)の伸長を計算するために、カテーテル上に配設された磁気センサからの信号を使用することである。磁気センサは、センサ間の距離が、遠位端アセンブリの伸長、したがって形状の指標を提供する方式で、カテーテル上に配置することができる。磁気センサは、概して、ACLを使用するよりも、より正確な位置を提供する。それにもかかわらず、磁気センサによって測定された箇所は、ミリメートルのオーダー(例えば、2又は3mm)の誤差となり、いくつかの用途では、これらの誤差は、大きすぎる場合がある。例えば、小さいバスケットカテーテルの場合、磁気センサ間の距離は、畳み込まれているバスケットと展開されているバスケットとの間の約10又は15ミリメートルだけ変化し得る。したがって、3mmの誤差は、大きい誤差と見なされる場合がある。誤差は、概してより正確な位置測定値を提供する、二重軸センサ(Dual-Axis Sensor、DAS)又は三重軸センサ(Triple-Axis Sensor、TAS)を使用することによって低減され得る。しかしながら、多くの用途では、カテーテルは、2つのDAS若しくはTAS、又は更に1つのDAS若しくはTASに対応することができない場合がある。磁気箇所感知の詳細は、同一所有者の米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,690963号、同第6,788,967号、及び同第6,892,091号で提供され、付属書内に提供された複写の参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明の実施形態は、センサによる検出のために(異なる周波数の)それぞれの交番磁場を生成する2つの磁気コイルセンサ及び磁場発生器に基づく、磁気ベースの追跡技術を使用して、カテーテルの遠位端(例えば、バスケット又はバルーン遠位端アセンブリなどの拡張可能な遠位端アセンブリ)の寸法を正確に計算するシステム及び方法を提供する。センサによって検出された磁場は、所与の座標空間内のセンサの位置の指標である。
【0032】
計算の精度は、2つの磁気コイルセンサの位置決め及び正確な誤差キャンセル計算方法を含む、2つの要因に基づく。
【0033】
磁気コイルセンサは、2つのセンサの軸が実質的に平行であるように、カテーテルの遠位端の長手方向軸に沿って配置され、いくつかの実施形態では、2つのセンサは、長手方向軸と実質的に同軸になるように配置される。このようにして、両方のセンサは、同様の方法で(例えば、磁場勾配に関して)異なる交番磁場を感知し、その結果、以下でより詳細に記載される計算において、交番磁場のうちの1つが、両方のセンサに関して使用され、2つのセンサ間の誤差キャンセルが、有効となり得る。本明細書及び特許請求の範囲において使用される「実質的に平行」という用語は、10度の許容範囲内で平行として定義される。しかしながら、2つのセンサの軸が正確に平行であることに近づくほど、センサの出力に基づいて実行される計算は、より正確となる。本明細書及び特許請求の範囲内で使用される際、「実質的に同軸」という用語は、センサの軸が長手方向軸の10度以内であり、長手方向軸と交差するセンサの巻線間の領域として定義される。
【0034】
誤差キャンセル計算方法は、(例えば、センサのうちの1つ又は2つ以上で)遠位端で検出される、(センサの軸に平行な方向における)それぞれの磁場のそれぞれの磁場勾配を計算することを含む。本明細書及び特許請求の範囲において使用される際、「磁場勾配」という用語は、特定の方向における距離にわたる磁場の変化として定義される。いくつかの実施形態では、磁場センサのうちの1つ又は2つ以上の近似位置は、任意の好適な方法を使用して計算され、次いで三次元(3D)空間上の異なる磁場の既知の関数に基づいて、(センサの軸に平行な方向における)遠位端での磁場勾配が、磁場の各々に対して見出され得る。
【0035】
磁場のうちの1つが、選択される(例えば、最高磁場勾配を有する磁場)。いくつかの実施形態では、磁場のサブセットが選択され(例えば、最高磁場勾配を有する)、選択された磁場の平均磁場勾配が計算される。
【0036】
センサによって検出された、選択された磁場の磁場強度の間の差が、計算される。磁場のサブセットが選択されるとき、センサによって検出された、選択された磁場の磁場強度の間の平均差が、計算される。
【0037】
次いで、センサ間の距離は、選択された磁場(複数可)の(平均)磁場勾配及び選択された磁場(複数可)の磁場強度の間の(平均)差に基づいて、計算され得る。いくつかの実施形態では、距離は、選択された磁場(複数可)の磁場強度を選択された磁場(複数可)の(平均)磁場勾配による除算に基づいて、計算され得る。遠位端アセンブリの別の寸法は、センサ間の計算された距離から計算され得る。次いで、距離及び/又は寸法は、遠位端アセンブリの形状を見出すために使用され得、その結果、遠位端アセンブリの表現がディスプレイにレンダリングされ得る。
【0038】
システムの説明
ここで、本発明の一実施形態によるカテーテル追跡システム20の概略絵画図である
図1を参照する。システム20は、生体被験者(例えば、患者28)の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテル40を含む。医師30は、挿入
図45に詳細が示されているカテーテル40(例えば、Biosense Webster,Inc.(Irvine,CA,USA)により製造されたバスケットカテーテル)を、挿入管22の近位端29付近のマニピュレータ32及び/又はシース23からの偏向を使用して、カテーテル40の挿入管22の偏向可能なセグメントを操作することによって、患者28の心臓26の標的箇所に誘導する。図に見られる実施形態では、医師30が、カテーテル40を使用して、心臓腔の電気解剖学的マッピングを実行する。
【0039】
カテーテル40は、遠位端33を含む。カテーテル40の遠位端33は、複数の電極48(簡略化のために一部のみラベル付け)が、配設される、アセンブリ35(例えば、
図1に示されるようなバスケットアセンブリ又はバルーンアセンブリ)を含む。アセンブリ35は、挿入管22の遠位に配設され、遠位端33で挿入管22の結合部材を介して挿入管22に接続されてもよい。挿入管22の連結部材は、挿入管22の残りの部分の一体部分として、又は挿入管22の残りの部分と接続する別個の要素として形成されてもよい。
【0040】
アセンブリ35は、複数の可撓性ストリップ55(簡略化のために2つのみがラベル付けされた)を更に備え、その各々に電極48が連結される。アセンブリ35は、任意の好適な数の電極48を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アセンブリ35は、10個の可撓性ストリップ55及び120個の電極を含み得、12個の電極が各可撓性ストリップ55上に配設される。
【0041】
カテーテル40は、プッシャ37を含む。プッシャ37は、典型的には、挿入管22の内腔内に配設され、挿入管22の近位端29から遠位端33まで広がる管である。プッシャ37の遠位端は、典型的にはプッシャ37の連結部材を介して可撓性ストリップ55の第1の端部に接続される。プッシャ37の連結部材は、プッシャ37の残りの部分の一体部分として、又はプッシャ37の残りの部分と接続する別個の要素として形成されてもよい。挿入管22の遠位端は、典型的には遠位端33の連結部材を介して可撓性ストリップ55の第2の端部に接続される。プッシャ37は、一般に、マニピュレータ32を介して制御されて、アセンブリ35を展開し、挿入管22に対するプッシャ37の長手方向の変位に従ってアセンブリ35の楕円率を変更する。
【0042】
実際のバスケットアセンブリ35の構造は、異なっていてもよい。例えば、可撓性ストリップ55は、プリント回路基板(PCB)、又は形状記憶合金で作製されてもよい。
【0043】
本明細書に記載された実施形態は、単に例として、主にバスケット遠位端アセンブリ35を指す。代替の実施形態では、開示される技術は、バルーンベースの遠位端アセンブリ又は任意の他の好適なタイプの遠位端アセンブリを有するカテーテルと共に使用することができる。
【0044】
カテーテル40は、折り畳まれた構成でシース23を通って挿入され、カテーテル40がシース23を出た後にのみ、カテーテル40はプッシャ37を後退させることによって形状を変更することができる。カテーテル40を折り畳まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置へ向かう途中での血管外傷を最小限に抑える働きをする。
【0045】
カテーテル40の遠位端33は、磁気コイルセンサ50A及び50Bを備える。磁気コイルセンサ50Aは、挿入管22の遠位端(すなわち、バスケットアセンブリ35の近位端)において、挿入
図45で示される。センサ50Aは、単軸センサ(Single-Axis Sensor、SAS)、DAS、又はTASであり得る。同様に、センサ50Bは、SAS、DAS、又はTASであってもよい。磁気コイルセンサ50A及び50B、並びに電極48は、挿入管22内を通るワイヤによって、コンソール24内の様々な駆動回路に接続される。
【0046】
いくつかの実施形態では、システム20は、
図2B及び
図3を参照してより詳細に説明されるように、センサ50Aと50Bとの間の距離からバスケットアセンブリ35の伸長を推定することによって、心臓26の心臓腔内において、カテーテル40のバスケットアセンブリ35の楕円率、並びにその伸長/後退状態を推定するための磁気感知サブシステムを備える。患者28は、ユニット43によって駆動される複数の磁場発生器コイル42を含むパッドによって生成された磁場内に配置される。磁場発生器コイル42は、生体被験者(例えば、患者28)の身体部分(例えば、心臓26)が位置する領域に、それぞれの異なる周波数を有するそれぞれの交番磁場を生成するように構成される。磁気コイルセンサ50A及び50Bは、それぞれの磁場を検出する関数として電気信号を出力するように構成される。例えば、9つのそれぞれの異なる周波数を有する9つのそれぞれの異なる交番磁場を生成する、9つの磁場発生器コイル42が存在する場合、磁気コイルセンサ50によって出力される電気信号は、9つの異なる周波数交番磁場の構成要素を含む。磁場の各々の強度は、それぞれの磁場発生器コイル42からの距離と共に変化し、その結果、磁気コイルセンサ50の箇所が磁気コイルセンサ50によって感知された磁場から判定され得る。したがって、送信された交番磁場は、センサ50A及び50B内で電気信号を生成し、その結果、電気信号が、磁気コイルセンサ50の位置及び配向を示す。磁気コイルセンサ50A及び50Bは、
図2Bを参照してより詳細に説明される。
【0047】
生成された信号は、コンソール24に送信され、処理回路41への対応する電気的入力となる。処理回路41は、信号を使用して、
図2B及び
図3を参照して以下でより詳細に説明される、センサ50Aと50Bとの間の計算された距離からバスケット楕円率及び伸長/後退状態を推定するために、バスケットアセンブリ35の伸長を計算し、かつ以下でより詳細に説明されるように、相対的な配向に基づいて、拡張可能な遠位端アセンブリ35(例えば、バスケット形状)の形状を推定するために、センサ50A及び50Bの軸間の相対的な配向を計算し得る。
【0048】
カテーテル44上の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び/又は可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ50A、50B間の様々な距離、及び磁気センサ50A、50B間の様々な相対配向角度について測定されてもよい。例えば、カテーテル40上の固定点に対する電極48の位置は、挿入管22に対するプッシャ37の0.2mmの移動毎に、及び磁気センサ50A、50B間の1度毎の相対的な配向について(アセンブリ35の最大の横方向移動まで)測定されてもよい。各々の異なる距離/相対配向の組み合わせで、磁気センサ50A、50B間の計算された距離及び計算された相対配向角度は、電極48の位置データと共に記録される。次いで、このデータを使用して、磁気センサ50A、50B間の計算された距離及び相対配向角度に基づいて、カテーテル40上の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び/又は可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置を推定し得る。
【0049】
追加的に、又は代替的に、可撓性ストリップ55の湾曲は、以下の仮定に基づいて推定されてもよい:(a)可撓性ストリップ55の各々は、固定の既知の長さであり、(b)可撓性ストリップ55の各々は、可撓性ストリップ55の遠位端が、実質的に長手方向軸58に対して(プラス又はマイナス10度以内の誤差で)垂直である状態で、連結部材を介してプッシャ37に接続され、(c)可撓性ストリップ55の各々は、可撓性ストリップ55の近位端を、挿入管22の長手方向軸58に対して(プラス又はマイナス10度以内の誤差で)実質的に平行に挿入管22に連結する、連結部材を介して挿入管22に接続される。上記の仮定(a)~(c)に基づいて、及び磁気センサ50A、50Bの計算された位置に基づく結合部材の計算された位置に基づいて、可撓性ストリップ55の各々の湾曲は、三次多項式を使用して計算されてもよい。いくつかの実施形態では、可撓性ストリップ55の湾曲及び/又はカテーテル40上の固定点(挿入管22の遠位先端など)に対する可撓性ストリップ55上の電極48(又は他の特徴部)の位置は、磁気センサ50A、50Bとカテーテル40のモデルとの間の計算された距離及び配向に基づいて、計算されてもよく、これは可撓性ストリップ55の機械的特性及び寸法に基づいて計算された距離に対する可撓性ストリップ55の湾曲及び/又は電極48の位置を提供する。
【0050】
外部磁場、及びセンサ50A並びに50Bなどの磁気コイルセンサを使用する、位置及び/又は方向を感知する方法は、様々な医療用途、例えば、Biosense-Webster製のCARTO(登録商標)システムにおいて実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び、同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されている。
【0051】
典型的には汎用コンピュータの一部である処理回路41は、好適なフロントエンド及びインターフェース回路44を介して更に接続されて、身体表面電極49から信号を受信する。処理回路41は、ケーブル39を通って患者28の胸部まで延びる電線によって表面電極49に接続される。カテーテル40は、処理回路41に連結するために挿入管22の近位端29に配設されたコネクタ47を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、
図3を参照してより詳細に説明される、挿入管22及び可撓性ストリップ55の計算された位置座標に基づいて、(例えば、マッピングプロセスから、又はシステム20で以前に登録された身体部分のスキャン(例えば、CT又はMRI)から)、カテーテル40及び身体部分の少なくとも一部の表現31をディスプレイ27にレンダリングする。
【0053】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0054】
図1に示される実施例の例解は、単に概念を分かりやすくする目的で選択されている。
図1は、簡略化及び明確にするため、開示技法に関する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。システム20の要素、及び本明細書に記載の方法は、例えば、心臓26の組織のアブレーションを制御するために、更に適用されてもよい。
【0055】
ここで、
図2A及び
図2Bを参照する。
図2Aは、畳み込まれた構成におけるバスケットカテーテル40の遠位端33の概略図である。
図2Bは、展開された構成における
図2Aのバスケットカテーテル40の遠位端33の概略図である。
【0056】
アセンブリ35は、典型的には、プッシャ37の遠位部分52の周囲に周方向に配設された可撓性ストリップ55(簡略化のために一部にだけラベル付け)を備える拡張可能な遠位端アセンブリ(例えば、バスケット遠位端アセンブリ)であり、ストリップ55の第1の端部は挿入管22の遠位端33(例えば、遠位端33の連結部材)に接続され、ストリップ55の第2の端部はプッシャ37の遠位部分52(例えば、遠位部分52の連結部材)に接続される。可撓性ストリップ55は、プッシャ37が後退したときに径方向外側に弓形に曲がるように構成される。複数の電極48(簡略化のために一部にだけラベル付け)が、可撓性ストリップ55のそれぞれの上に配設される。
【0057】
磁気コイルセンサ50Aは、挿入管22の遠位端33に、例えば、遠位端33の連結部材内に配設されたコイルベースの位置センサである。磁気コイルセンサ50Aは、軸56Aを有するコイル54Aを含む。磁気コイルセンサ50Bは、例えば、可撓性ストリップ55の遠位端をプッシャ37に連結する遠位部分52の連結部材内に、プッシャ37の遠位部分52上に配設されたコイルベースの位置センサである。磁気コイルセンサ50Bは、軸56Bを有するコイル54Bを含む。カテーテル40の遠位端33は、長手方向軸58を有する。磁気コイルセンサ50A、50Bは、軸56Aが軸56Bと実質的に平行である状態で、遠位端33上に配設される。いくつかの実施形態では、軸56A、軸56B、及び長手方向軸58は、実質的に同軸である。
【0058】
プッシャ37は、挿入管22を通って前進及び後退するように構成される。磁場センサ50A、50Bは、拡張可能な遠位端アセンブリ35が拡張及び畳み込まれる際、カテーテル40の長手方向軸58に沿って互いに対して移動するように構成される。拡張可能な遠位端アセンブリ35が畳み込まれるとき、磁気コイルセンサ50A、50Bの間の距離dは増加し、拡張可能な遠位端アセンブリ35が展開されるとき(すなわち拡張されるとき)、磁気コイルセンサ50A、50Bの間の距離dは減少する。
【0059】
各センサ50A、50Bは、SAS、DAS、又はTASであってもよい。センサ50A、50Bは、同じタイプのセンサ、又は異なるタイプのセンサであってもよい。センサ50A、50Bの両方が単軸センサである場合、カテーテル40は一般に、アセンブリ35のロールを追跡するための別の位置センサを含む。
【0060】
ここで
図3を参照すると、これは、
図1のシステム20の操作方法における工程を含むフローチャート100である。
図2Bもまた参照されたい。
【0061】
前述のように、磁気コイルセンサ50A及び50Bは、それぞれの磁場に応答する各コイルの誘導効果に起因して、電気信号を出力するように構成される。例えば、9つの磁場発生器コイル42が9つのそれぞれの異なる周波数を有する9つのそれぞれの異なる交番磁場を生成する場合、磁気コイルセンサ50によって出力される電気信号は、9つのそれぞれの異なる周波数交番磁場の構成要素を含む。磁場の各々の強度は、それぞれの磁場発生器コイル42からの距離と共に変化し、その結果、磁気コイルセンサ50の箇所が磁気コイルセンサ50によって感知された磁場から判定され得る。したがって、送信された交番磁場は、センサ50A及び50B内で電気信号を生成し、その結果、電気信号が磁気コイルセンサ50の位置及び配向を示す。処理回路41は、磁気コイルセンサ50A、50Bから電気信号を受信する(ブロック102)ように構成される。
【0062】
処理回路41は、磁気コイルセンサ50A及び磁気コイルセンサ50Bによって検出された磁場、並びに遠位端33で検出された磁場のそれぞれの磁場のそれぞれの磁場勾配(例えば、コイル54A、54Bの軸56A、56Bの方向に対して平行)を計算する(ブロック104)ように構成される。すなわち、処理回路41は、磁気コイルセンサ54A及び54Bのうちの1つ又は2つ以上から回路41によって受信された電気信号のうちの少なくとも1つからの磁場及び関連付けられた磁場勾配を計算する。いくつかの実施形態では、磁場センサ50A、50Bのうちの1つ又は2つ以上の近似位置(箇所及び配向)は、任意の好適な方法を使用して計算され得、次いで三次元(3D)空間上の異なる磁場の既知の関数に基づいて、(例えば、コイル54A、54Bの軸56A、56Bの方向に平行な)遠位端33の磁場勾配が、磁場の各々に対して見出され得る。遠位端33の位置は、磁気コイルセンサ50A、50Bの平均位置に基づいて、又は磁気コイルセンサ50A、50Bの最も正確なセンサに基づいて、計算され得る。例えば、センサ50BがDAS又はTASである場合、次いでセンサ50Bの箇所及び配向は、そのセンサの感知コイルのすべて又は一部に基づいて、計算され得る。
【0063】
処理回路41は、計算された磁場勾配のうちのそれぞれの1つを有する磁場のうちの1つを選択する(ブロック106)ように構成される。いくつかの実施形態では、選択された磁場は、計算された磁場勾配のうちの最高の計算された磁場勾配を有する(すなわち、最高勾配を有する磁場が選択される)。最高磁場勾配は、概して、選択された磁場が、磁気コイルセンサ50A、50Bのコイル54A、54Bの軸56A、56Bに対して平行な方向に最高の感度を提供し、したがって、センサ50A、50Bの間の距離dを計算する際に最高の精度を提供することを示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、(例えば、磁場間の最高磁場勾配を有する)磁場のサブセットを選択し、選択された磁場の平均磁場勾配を計算するように構成される。したがって、処理回路41は、(磁場及びそれぞれの磁場の磁場勾配を計算するために使用される)コイルから回路41によって受信された電気信号のうちの少なくとも1つの関数として、磁場勾配(例えば、平均の計算された磁場勾配)を有する磁場のうちの少なくとも1つを選択するように構成される。処理回路41は、磁気コイルセンサ50A及び磁気コイルセンサ50Bによって検出された選択された磁場(例えば、最高の勾配を有する磁場)の磁場強度の間の差を計算する(ブロック108)ように構成される。例えば、磁気コイルセンサ50Aによって検出された選択された磁場の磁場強度がB1に等しく、かつ磁気コイルセンサ50Bによって検出された選択された磁場の磁場強度がB2に等しい場合、磁気コイルセンサ50A及び磁気コイルセンサ50Bによって検出された選択された磁場(例えば、最高勾配を有する磁場)の磁場強度の差は、B2マイナスB1に等しい。
【0065】
いくつかの実施形態では、磁場のサブセットが選択されるとき、処理回路41は、磁気コイルセンサ50A及び磁気コイルセンサ50Bによって検出された、選択された磁場(例えば、最高勾配を有する磁場)の磁場強度の間の差(平均差である)を計算するように構成される。例えば、磁気コイルセンサ50Aによって検出された選択された磁場の平均の磁場強度がB3に等しく、かつ磁気コイルセンサ50Bによって検出された選択された磁場の平均の磁場強度がB4に等しい場合、磁気コイルセンサ50A及び磁気コイルセンサ50Bによって検出された選択された磁場(例えば、最高勾配を有する磁場)の磁場強度の平均差は、B4マイナスB3に等しい。
【0066】
処理回路41は、選択された磁場(複数可)の磁場強度の間の計算された差(例えば、平均差)(例えば、B2マイナスB1又はB4マイナスB3)、及び選択された磁場(複数可)のそれぞれの計算された磁場(平均)勾配(例えば、最高の計算された磁場勾配(複数可))の関数として、磁場コイルセンサ50Aと50Bとの間の距離dの関数である、遠位端33の寸法を計算する(ブロック110)ように構成される。いくつかの実施形態では、処理回路41は、選択された磁場(複数可)のそれぞれの計算された(平均)磁場勾配(例えば、最高の計算された磁場勾配(複数可))によって割られた、選択された磁場(複数可)の磁場強度の間の計算された(平均)差(例えば、B2マイナスB1又はB4マイナスB3)に基づいて、遠位端33の寸法を計算するように構成される。計算された寸法は、磁気コイルセンサ50A、50Bの間の距離であり得る。いくつかの実施形態では、計算された寸法は、カテーテルの遠位端33の形状、例えば、遠位端アセンブリ35の近位点と遠位点との間の距離、又はアセンブリ35の赤道の周囲の寸法である。処理回路41は、(例えば、計算によって、又はルックアップテーブルから)、計算された寸法からの導出としての遠位端アセンブリ35の形状を見出す(ブロック112)ように構成される。処理回路41は、任意選択的に、相対的な配向に基づいて、拡張可能な遠位端アセンブリ35の形状(例えば、バスケット形状)を推定又は導出するために、センサ50A及び50Bの軸の間の相対的な配向を計算するように構成される。処理回路41は、遠位端アセンブリ35の見出された形状の導出として遠位端アセンブリ35の表現31(
図1)をディスプレイ27にレンダリング(ブロック114)するように構成される。磁気箇所センサの間の距離に基づいて、拡張可能な遠位端アセンブリ35の形状を導出するための1つの技術は、付属書に添付された複写の参照により組み込まれる、2020年4月21日に出願された、米国特許出願第16/854538号(代理人整理番号BIO6130USNP)において見出すことができる。
【0067】
本明細書で使用するとき、任意の数値又は数値の範囲について「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0068】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらも単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0069】
上述の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものに限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0070】
〔実施の態様〕
(1) 医療システムであって、
生体被験者の身体部分の領域において、それぞれの異なる周波数を有するそれぞれの磁場を生成するように構成された発生器コイルと、
前記生体被験者の前記身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記それぞれの磁場に応答して電気信号を出力するように構成された磁気コイルセンサを含む、遠位端を備え、第1の軸を有する第1の磁気コイルセンサ、及び第2の軸を有する第2の磁気コイルセンサを含み、前記磁気コイルセンサが、前記第1の軸が前記第2の軸と実質的に平行な状態で前記遠位端上に配設されている、カテーテルと、
処理回路であって、
前記磁気コイルセンサから前記電気信号を受信することと、
前記受信された電気信号のうちの少なくとも1つによって定義された、磁場勾配を有する前記磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記受信された電気信号に基づいて、前記第1の磁気コイルセンサ及び前記第2の磁気コイルセンサによって検出された前記少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算することと、
前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配とに基づいて、前記磁気コイルセンサ間の距離の関数である、前記遠位端の寸法を計算することと、を行うように構成された、処理回路と、を備える、医療システム。
(2) 前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記計算された寸法が、前記カテーテルの前記遠位端の形状の寸法である、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記処理回路が、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配によって割られた、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差の関数として、前記遠位端の前記寸法を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記少なくとも1つの選択された磁場が、前記磁場の最高磁場勾配を有する前記磁場のうちの1つを含み、
前記処理回路が、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記最高磁場勾配との関数として、前記遠位端の前記寸法を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0071】
(6) 前記カテーテルが、長手方向軸を有し、
前記カテーテルの前記遠位端が、拡張可能な遠位端アセンブリを含み、
前記磁場センサが、前記拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、前記カテーテルの前記長手方向軸に沿って互いに対して移動するように構成されており、
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、畳み込まれるとき、前記磁気コイルセンサ間の前記距離が、増加し、
前記拡張可能な遠位端アセンブリが、展開されるとき、前記磁気コイルセンサ間の前記距離が、減少する、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記第1の軸、第2の軸、及び前記長手方向軸が、実質的に同軸である、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記拡張可能な遠位端アセンブリが、複数の可撓性ストリップ、及び前記可撓性ストリップ上に配設された電極を備える、バスケット遠位端アセンブリである、実施態様6に記載のシステム。
(9) ディスプレイを更に含み、前記処理回路が、
少なくとも前記計算された寸法に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を見出すことと、
前記遠位端アセンブリの前記見出された形状に基づいて、前記遠位端アセンブリの表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、実施態様9に記載のシステム。
【0072】
(11) 前記処理回路が、
前記第1の磁気コイルセンサの前記第1の軸と前記第2の磁気コイルセンサの前記第2の軸との間の相対的な配向を計算することと、
前記計算された相対的な配向に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を推定することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 医療方法であって、
生体被験者の身体部分の領域において、それぞれの異なる周波数を有する磁場を生成することと、
前記生体被験者の前記身体部分にカテーテルを挿入することと、
それぞれの磁場の関数として電気信号を出力する、前記カテーテルの遠位端上に配設された実質的に平行な軸を有する磁気コイルセンサで前記磁場のそれぞれの1つを検出することと、
前記磁気コイルセンサからそれぞれの電気信号を受信することと、
前記受信された電気信号のうちの少なくとも1つの関数として、磁場勾配を有する前記磁場のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記受信された電気信号の関数として、前記磁気コイルセンサのうちの第1の磁気コイルセンサ及び前記磁気コイルセンサのうちの第2の磁気コイルセンサによって検出された、前記少なくとも1つの選択された磁場の磁場強度の間の差を計算することと、
前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配とに基づいて、前記磁気コイルセンサ間の距離の関数である、前記遠位端の寸法を計算することと、を含む、方法。
(13) 前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記計算された寸法が、前記カテーテルの前記遠位端の形状の寸法である、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記寸法を前記計算することが、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場勾配によって割られた、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差に基づいて、前記遠位端の前記寸法を計算することを含む、実施態様12に記載の方法。
【0073】
(16) 前記少なくとも1つの選択された磁場が、前記磁場の最高磁場勾配を有する前記磁場のうちの1つを含み、
前記寸法を前記計算することが、前記少なくとも1つの選択された磁場の前記磁場強度の間の前記計算された差と前記最高磁場勾配とに基づいて、前記遠位端の前記寸法を計算することを含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記カテーテルの拡張可能な遠位端アセンブリが拡張及び畳み込まれる際、前記カテーテルの長手方向軸に沿って互いに対して前記磁場センサを移動させることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記第1の軸、第2の軸、及び前記長手方向軸が、実質的に同軸である、実施態様17に記載の方法。
(19) 少なくとも前記計算された寸法に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を見出すことと、
前記遠位端アセンブリの前記見出された形状に基づいて、前記遠位端アセンブリの表現をディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記計算された寸法が、前記磁気コイルセンサ間の前記距離である、実施態様19に記載の方法。
【0074】
(21) 前記第1の磁気コイルセンサの前記第1の軸と前記第2の磁気コイルセンサの前記第2の軸との間の相対的な配向を計算することと、
前記計算された相対的な配向に基づいて、前記遠位端アセンブリの形状を推定することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
【外国語明細書】