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特開2022-96660可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096660
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20220622BHJP
   C07K 14/71 20060101ALI20220622BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220622BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220622BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220622BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220622BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220622BHJP
   A61K 35/54 20150101ALI20220622BHJP
   A61K 35/22 20150101ALI20220622BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K14/71 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12N5/10
A61P19/08
A61P11/00
A61K38/17
A61K48/00
A61K35/12
A61K35/54
A61K35/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022046573
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2019500261の分割
【原出願日】2017-07-07
(31)【優先権主張番号】62/359,607
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/467,478
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(71)【出願人】
【識別番号】591049848
【氏名又は名称】アンセルム
【氏名又は名称原語表記】INSERM
(71)【出願人】
【識別番号】520100435
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・コート・ダジュール
【氏名又は名称原語表記】Universite Cote d’Azur
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィール・グーズ
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・ガルシア
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE06
4B064CE10
4B064CE11
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD14
4B065BD18
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA06
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA18
4C084CA53
4C084CA56
4C084DB63
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA961
4C084ZA962
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB41
4C087BB57
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZA96
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA10
4H045GA21
4H045GA23
(57)【要約】
【課題】
骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を治療する方法を提供すること。
【解決手段】
患者(例えば、ヒト、特に、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症の治療のための、可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびその使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド配列を含む可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドであって、FGFR3のシグナルペプチドおよび膜貫通ドメインを欠き、(i)500アミノ酸長未満であるか;(ii)200以下の連続アミノ酸のFGFR3の細胞内ドメインを含むか;または(iii)FGFR3のチロシンキナーゼドメインを欠く、ポリペプチド。
【請求項2】
475、450、425、400、375、または350アミノ酸長未満である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
175、150、125、100、75、50、40、30、20、15以下の連続アミノ酸のFGFR3の細胞内ドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号32のアミノ酸残基423~435と少なくとも90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号32のアミノ酸残基423~435をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
配列番号33と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号33を含む、またはそれからなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドであって、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換をさらに含む、ポリペプチド。
【請求項10】
前記253位におけるシステイン残基が、セリン残基により置換されている、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも87%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9または10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号2のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、請求項9から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
単離sFGFR3ポリペプチドである、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合する、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記結合が、約0.2nM~約20nMの平衡解離定数(K)により特徴付けられる、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記結合が、約1nM~約10nMのKにより特徴付けられ、場合により、前記Kが、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、または約10nmである、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
配列番号20、21、36または37の核酸配列と少なくとも85%、87%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有する核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号20、21、36または37の核酸配列を含む、またはそれからなる、請求項17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記ポリヌクレオチドが単離ポリヌクレオチドである、請求項17または18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項21】
プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、およびファージベクターからなる群より選択される、請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
単離ポリヌクレオチドである、請求項21に記載のベクター。
【請求項23】
請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項20から22のいずれか一項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項24】
単離宿主細胞である、請求項23に記載の宿主細胞。
【請求項25】
HEK293細胞またはCHO細胞である、請求項23または24に記載の宿主細胞。
【請求項26】
請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項20から22のいずれか一項に記載のベクター、または請求項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む、組成物。
【請求項27】
薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量における投与のために配合される、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量における投与のために配合される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
1日1回、週1回、または月1回の投与のために配合される、請求項26から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回の投与のために配合される、請求項26から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量における週1回または週2回の投与のために配合される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
非経口投与、腸内投与または局所投与のために配合される、請求項26から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与または腹腔内投与のために配合される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
皮下投与のために配合される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
請求項26から35のいずれか一項に記載の組成物を含む、医薬品。
【請求項37】
患者における骨格成長遅滞障害を治療する方法であって、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項20から22のいずれか一項に記載のベクター、請求項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項26から35のいずれか一項に記載の組成物、または請求項36に記載の医薬品を投与することを含む、方法。
【請求項38】
骨格成長遅滞障害を有する患者において組織にポリペプチドを送達する方法であって、該患者に有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項20から22のいずれか一項に記載のベクター、請求項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項26から35のいずれか一項に記載の組成物、または請求項36に記載の医薬品を投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記組織が骨格組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記骨格成長遅滞障害が、FGFR3関連骨格疾患である、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群、ならびに屈指・高身長・難聴症候群(CATSHL)からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記骨格成長遅滞障害が、軟骨無形成症である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記頭蓋骨縫合早期癒合症候群が、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記FGFR3関連骨格疾患が、前記患者における構成的に活性なFGFR3の発現により引き起こされる、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記構成的に活性なFGFR3が、配列番号5の380位のアミノ酸におけるアルギニン残基によるグリシン残基の置換を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記患者が、骨格成長遅滞障害と診断されている、請求項37から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記患者が、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状を呈する、請求項37から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記患者が、前記ポリペプチドの投与後に前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記患者が、ポリペプチドを予め投与されていない、請求項37から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記患者が、幼児、小児、若年者および成人からなる群より選択される、請求項37から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記患者がヒトである、請求項37から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリペプチドを、患者に約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量で投与する、請求項37から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリペプチドを、患者に約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリペプチドを、患者に1日1回以上、週1回以上、月1回以上、または年1回以上投与する、請求項37から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリペプチドを、患者に週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回投与する、請求項37から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリペプチドを、患者に約0.25mg/kg~約20mg/kgの用量で、少なくとも約週1回または2回以上投与する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリペプチドを、患者に約2.5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で、週1回または2回投与する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリペプチドを、患者に薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤を含む組成物中で投与する、請求項37から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物を、患者に皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内または腹腔内投与する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物を、患者に皮下注射により投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ポリペプチドが、約2時間~約25時間のインビボ半減期を有する、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリペプチドの投与が、患者の生存率を増加させる、請求項37から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリペプチドの投与が、患者のロコモーションを改善する、請求項37から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記ポリペプチドの投与が、患者における腹式呼吸を改善する、請求項37から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記ポリペプチドの投与が、患者の体長および/または骨長を増加させる、請求項37から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記ポリペプチドの投与が、患者における頭蓋比を改善し、および/または大後頭孔形状を回復させる、請求項37から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリペプチドの発現を生じさせるために好適な条件下で培養培地中で請求項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、前記培養培地から前記ポリペプチドを回収することを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチドの産生方法。
【請求項68】
前記回収がクロマトグラフィーを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記クロマトグラフィーが、親和性クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記親和性クロマトグラフィーが、イオン交換クロマトグラフィーまたは抗FLAGクロマトグラフィーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記抗FLAGクロマトグラフィーが、免疫沈降を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
患者における骨格成長遅滞障害を治療するための、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項73】
前記骨格成長遅滞障害が、FGFR3関連骨格疾患である、請求項72に記載のポリペプチド。
【請求項74】
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症、TDI、TDII、SADDAN、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群およびCATSHLからなる群より選択される、請求項73に記載のポリペプチド。
【請求項75】
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症である、請求項74に記載のポリペプチド。
【請求項76】
前記頭蓋骨縫合早期癒合症候群が、Muenke症候群、クルーゾン症候群およびクルーゾン皮膚骨格症候群からなる群より選択される、請求項75に記載のポリペプチド。
【請求項77】
前記FGFR3関連骨格疾患が、構成的に活性なFGFR3の前記患者における発現により引き起こされる、請求項73~76のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項78】
前記構成的に活性なFGFR3が、配列番号5の380位のアミノ酸におけるアルギニン残基によるグリシン残基の置換を含む、請求項77に記載のポリペプチド。
【請求項79】
前記患者が、前記骨格成長遅滞障害と診断されている、請求項72から78のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項80】
前記患者が、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状を呈する、請求項72から79のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項81】
前記患者が、前記sFGFR3ポリペプチドの投与後に前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈する、請求項80に記載のポリペプチド。
【請求項82】
前記患者が、前記ポリペプチドを予め投与されていない、請求項72から81のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項83】
前記患者が、幼児、小児、若年者および成人からなる群より選択される、請求項72から82のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項84】
前記患者がヒトである、請求項72から83のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項85】
前記患者に約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量で投与される、請求項72から84のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項86】
前記患者に約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される、請求項85に記載のポリペプチド。
【請求項87】
前記患者に1日1回以上、週1回以上、月1回以上、または年1回以上投与される、請求項72から86のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項88】
前記患者に週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回投与される、請求項72から87のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項89】
前記患者に約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で、週2回投与される、請求項88に記載のポリペプチド。
【請求項90】
前記患者に、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物中で投与される、請求項72から89のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項91】
前記組成物が、前記患者に非経口、腸内、または局所投与される、請求項90に記載のポリペプチド。
【請求項92】
前記組成物が、前記患者に皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、または腹腔内投与される、請求項91に記載のポリペプチド。
【請求項93】
前記組成物が、前記患者に皮下注射により投与される、請求項92に記載のポリペプチド。
【請求項94】
線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合する、請求項72から93のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項95】
FGFR3ポリペプチドからシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインの一部を欠失させることを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
【請求項96】
前記細胞内ドメインの前記一部が、配列番号32のアミノ酸残基436~806からなる、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換を導入することを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
【請求項98】
請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項20から22のいずれか一項に記載のベクター、または請求項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を含むキットであって、場合により、前記キットの使用説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびその組成物を特徴とする。本発明はまた、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を治療する方法を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)は、ファミリーメンバー間に高いアミノ酸配列保存が存在する線維芽細胞成長因子(FGFR)ファミリーのメンバーである。FGFRファミリーのメンバーは、リガンド結合親和性および組織分布の両方により分化される。全長FGFRポリペプチドは、細胞外ドメイン(ECD)、疎水性膜貫通ドメイン、および細胞質チロシンキナーゼドメインを含有する。FGFRポリペプチドのECDは、線維芽細胞成長因子(FGF)と相互作用して下流シグナリングを媒介し、それが最終的に細胞分化に影響を与える。特に、FGFR3タンパク質の活性化は、成長板における軟骨増殖を阻害し、骨伸長を制限することにより骨の発育における役割を担う。
【0003】
FGFR3における機能獲得点突然変異は、いくつかのタイプのヒト骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、および頭蓋骨縫合早期癒合症候群(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群(Crouzonodermoskeletal syndrome))を引き起こすことが公知である。FGFR3における機能損失点突然変異も、骨格成長遅滞障害、例えば、屈指・高身長・難聴症候群(CATSHL)を引き起こすことが公知である。軟骨無形成症は四肢短縮小人症の最も一般的な形態であり、不均衡な四肢の短さおよび相対的巨頭頭蓋により特徴付けられる。軟骨無形成症の約97%は、FGFR3をコードする遺伝子中の単一点突然変異により引き起こされ、FGFR3アミノ酸配列の380位においてグリシン残基がアルギニン残基により置換されている。リガンド結合時、突然変異は、受容体/リガンド複合体の排除を減少させ、長期の細胞内シグナリングをもたらす。この長期のFGFR3シグナリングは、軟骨成長板の増殖および分化を阻害し、結果的に軟骨内骨成長を損傷する。
【0004】
骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を治療するために機能不全FGFR3を標的化する改善された治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびその使用、例として、患者(例えば、ヒト、特に、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の治療のためのsFGFR3ポリペプチドの使用を特徴とする。特に、本発明のsFGFR3ポリペプチドは、以下のsFGFR3ポリペプチドを提供するために、例えば、野生型FGFR3ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸289~400の欠失を特徴とする(例えば、配列番号5または32のアミノ酸配列を有するポリペプチド):253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換を含むsFGFR3_Del4(sFGFR3_Del4-C253S;配列番号2)および拡張Ig様C2型ドメイン3を含むsFGFR3_Del4(sFGFR3_Del4-D3;配列番号33)ならびにそれらのバリアント、例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有するsFGFR3ポリペプチド。さらに、本発明のsFGFR3ポリペプチドは、シグナルペプチドを含み得、例えば、配列番号18または34のアミノ酸配列を有するsFGFR3ポリペプチドである。
【0006】
本発明の第1の態様は、配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上(例えば、100%)の配列同一性)を有するポリペプチド配列を含む可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドを特徴とする。特に、ポリペプチドは、FGFR3のシグナルペプチド(例えば、配列番号32のアミノ酸1~22)および膜貫通ドメイン(例えば、配列番号32の367~399のアミノ酸)を欠き、(i)500アミノ酸長未満(例えば、475、450、425、400、375、または350アミノ酸長未満)であり;(ii)200個以下の連続アミノ酸(例えば、175、150、125、100、75、50、40、30、20、15個以下の連続アミノ酸)のFGFR3の細胞内ドメインを含み;および/または(iii)FGFR3のチロシンキナーゼドメインを欠く。sFGFR3ポリペプチドは、FGFR3の細胞内ドメイン、例えば、配列番号32のアミノ酸残基423~435または配列番号32のアミノ酸残基423~435と少なくとも90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列も含み得る。特に、ポリペプチドは、配列番号33と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(例えば、ポリペプチドは、配列番号33を含む、またはそれからなる)。sFGFR3ポリペプチドは、シグナルペプチドも含み得る(例えば、シグナルペプチドは、配列番号6もしくは35のアミノ酸配列または配列番号6もしくは35と少なくとも92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る)。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号34と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る(例えば、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号34を含む、またはそれからなる)。sFGFR3ポリペプチドは、異種シグナルペプチドも有し得る(例えば、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチドを含む)。
【0007】
本発明の第2の態様は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むsFGFR3ポリペプチドであって、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換をさらに含むsFGFR3ポリペプチドを特徴とする。例えば、253位におけるシステイン残基は、セリン残基または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換されている。特に、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、単離sFGFR3ポリペプチドであり得る。sFGFR3ポリペプチドは、シグナルペプチドも含み得る(例えば、シグナルペプチドは、配列番号6もしくは35のアミノ酸配列または配列番号6もしくは35と少なくとも92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る)。例えば、sFGFR3は、配列番号18と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る(例えば、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号18を含む、またはそれからなる)。sFGFR3ポリペプチドは、異種シグナルペプチドも有し得る(例えば、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を有する異種シグナルペプチドを含む)。
【0008】
本発明の第3の態様は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むsFGFR3ポリペプチドであって、配列番号3のアミノ酸配列の全てまたは断片(例えば、配列番号3の少なくとも10、20、30、40、45個以上の連続アミノ酸)と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むドメインをさらに含み、ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基288および289間に挿入されているsFGFR3ポリペプチドを特徴とする。例えば、ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る(例えば、ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含み得、またはそれからなる)。場合により、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1の253位および/または配列番号3の28位における、セリン残基または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンによるシステイン残基のアミノ酸置換を含む。特に、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、単離sFGFR3ポリペプチドであり得る。
【0009】
配列番号20、21、36、または37の核酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有する核酸配列を含む本発明の第1、第2、または第3の態様のsFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、単離ポリヌクレオチド)も特徴とされる(例えば、ポリヌクレオチドは、配列番号20、21、36、または37の核酸を含む、またはそれからなる)。本発明はまた、ポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、単離ベクター)、例えば、プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、またはファージベクターを特徴とする。さらに、本発明は、ポリヌクレオチドを含む宿主細胞(例えば、単離宿主細胞)、例えば、HEK293細胞またはCHO細胞を特徴とする。
【0010】
本発明は、本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のsFGFR3ポリペプチドまたは本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のsFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を特徴とする。さらに、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターまたは宿主細胞は、組成物中で配合することができる。組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤をさらに含み得る。sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターを含む組成物は、約0.002mg/kg~約30mg/kg、例えば、約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量における投与のために配合することができる。宿主細胞を含む組成物は、約1×10個の細胞/mL~約1×1012個の細胞/mLの用量における投与のために配合することができる。組成物は、1日1回、週1回、または月1回の投与、例えば、週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回の投与のために配合することができる。例えば、sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターを含む組成物は、約0.25mg/kg~約10mg/kgの用量における週1回または2回の投与のために配合される。組成物は、非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与、または腹腔内投与)、腸内投与、または局所投与のために配合することができる。好ましくは、組成物は、皮下投与のために配合される。本発明はまた、上記組成物の1つ以上を含む医薬品を特徴とする。
【0011】
本発明はまた、患者に有効量の本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のsFGFR3ポリペプチド、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物を投与することを含む、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)における組織(例えば、骨格組織)にsFGFR3ポリペプチドを送達する方法を特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様は、本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のポリペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物を投与することを含む、患者(例えば、ヒト)における骨格成長遅滞障害(例えば、FGFR3関連骨格疾患)を治療する方法を特徴とする。FGFR3関連骨格疾患は、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群)、および屈指・高身長・難聴症候群(CATSHL)からなる群より選択される。特に、骨格成長遅滞障害は、軟骨無形成症である。
【0013】
FGFR3関連骨格疾患は、構成的に活性なFGFR3の患者における発現、例えば、配列番号5または32の380位におけるアルギニン残基によるグリシン残基のアミノ酸置換により引き起こされ得る。特に、患者は、骨格成長遅滞障害と診断されていてよい(例えば、治療前)。例えば、患者は、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状を呈し、その結果、患者は、sFGFR3ポリペプチド(またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物)の投与後に骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈する。さらに、患者は、sFGFR3ポリペプチドを予め投与されていなくてよい。例えば、患者は、幼児、小児、若年者、成人であり得る。
【0014】
例えば、ポリペプチドは、患者に約0.002mg/kg~約30mg/kg(例えば、約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量)の用量において投与される。ポリペプチドは、患者に1日1回以上、週1回以上(例えば、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、または週7回)、2週間に1回以上、月1回以上、または年1回以上投与することができる。例えば、ポリペプチドは、患者に約0.25mg/kg~約30mg/kgの用量において少なくとも約週1回または2回以上投与される(例えば、ポリペプチドは、患者に約2.5mg/kgまたは約10mg/kgの用量において週1回または2回投与される)。ポリペプチドは、患者に薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物中で投与することができる。ポリペプチドは、患者に非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、または腹腔内)、腸内、または局所投与することができる。好ましくは、組成物は、患者に皮下注射により投与される。さらに、ポリペプチドは、線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合し得る。特に、結合は、約0.2nM~約20nMの平衡解離定数(K)により特徴付けることができ、例えば、結合は、約1nM~約10nM(例えば、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、または約10nm)のKにより特徴付けられる。ポリペプチドは、FGF19およびFGF21に対するポリペプチドの結合親和性に対してFGF1、FGF2、FGF9、およびFGF18に対する大きな結合親和性を示し得る。
【0015】
ポリペプチドは、約2時間~約25時間(例えば、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、または25時間)のインビボ半減期を有し得る。好ましくは、ポリペプチドの投与は、以下の1つ以上、または全て:患者の生存率の増加、患者のロコモーションの改善、患者における腹部呼吸の改善、患者の体長および/もしくは骨長の増加、患者の頭蓋比の改善、ならびに/または例えば、非治療患者(例えば、非治療軟骨無形成症患者)に対する患者における大後頭孔形状の回復を提供する。
【0016】
本発明はまた、sFGFR3ポリペプチドの発現を生じさせるために好適な条件下で培養培地中で上記宿主細胞(例えば、CHO細胞またはHEK293細胞)を培養し、培養培地からsFGFR3ポリペプチドを回収することを含む、本発明の第1、第2、または第3の態様のsFGFR3ポリペプチドを産生する方法を特徴とする。特に、回収は、クロマトグラフィー、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたは抗FLAGクロマトグラフィー、例えば、免疫沈降)またはサイズ排除クロマトグラフィーを含む。
【0017】
本発明の第5の態様は、患者における骨格成長遅滞障害を治療するための本発明の第1、第2、または第3の態様のポリペプチド(またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物)を特徴とする。特に、sFGFR3ポリペプチドは、線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合し得る。
【0018】
本発明の第6の態様は、患者(例えば、ヒト)における骨格成長遅滞障害を治療するための、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むsFGFR3ポリペプチド(またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物)であって、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換をさらに含むsFGFR3ポリペプチドを特徴とする。例えば、253位におけるシステイン残基は、セリン残基、または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換されている。特に、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、単離sFGFR3ポリペプチドであり得る。さらに、sFGFR3ポリペプチドは、線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合し得る。
【0019】
本発明の第7の態様は、患者(例えば、ヒト)における骨格成長遅滞障害を治療するための、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むsFGFR3ポリペプチド(またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物)であって、配列番号3のアミノ酸配列の全てまたは断片(例えば、配列番号3の少なくとも10、20、30、40、45個以上の連続アミノ酸)と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むドメインをさらに含み、ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基288および289間に挿入されているsFGFR3ポリペプチドを特徴とする。例えば、ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る(例えば、ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含み得、またはそれからなる)。場合により、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1の253位および/または配列番号3の28位におけるセリン残基または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンによるシステイン残基のアミノ酸置換を含む。特に、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、単離sFGFR3ポリペプチドであり得る。さらに、sFGFR3ポリペプチドは、線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合し得る。
【0020】
第5、第6、または第7の態様の使用はまた、本発明の第1、第2、または第3の態様のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物の投与を特徴とする。本発明の第6の態様のsFGFR3ポリペプチドは、配列番号20または36の核酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有する核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされ得る(例えば、ポリヌクレオチドは、配列番号20または36の核酸を含む、またはそれからなる)。本発明の第5または第7の態様のsFGFR3ポリペプチドは、配列番号21または37の核酸配列と少なくとも85%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有する核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされ得る(例えば、ポリヌクレオチドは、配列番号21または37の核酸を含む、またはそれからなる)。
【0021】
本発明の第5、第6、または第7の態様の骨格成長遅滞障害は、任意のFGFR3関連骨格疾患、例えば、軟骨無形成症、TDI、TDII、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群)、またはCATSHLであり得る。特に、骨格成長遅滞障害は、軟骨無形成症である。FGFR3関連骨格疾患は、構成的に活性なFGFR3の患者における発現により引き起こされ得、例えば、構成的に活性なFGFR3は、配列番号5の380位におけるアルギニン残基によるグリシン残基のアミノ酸置換を含む。
【0022】
本発明の第5、第6、または第7の態様の患者(例えば、ヒト)は、骨格成長遅滞障害と診断されている者(例えば、治療前)であり得る。患者は、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の1つ以上の症状を呈し得る。本方法の結果として、患者は、sFGFR3ポリペプチドの投与後に骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈し得る。さらに、sFGFR3ポリペプチドの投与は、患者の生存率を増加させ、および/または患者の大後頭孔の形状を回復させ得る。患者は、幼児、小児、若年者、または成人であり得る。さらに、患者は、sFGFR3ポリペプチド(またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ポリヌクレオチドもしくはベクターを含有する宿主細胞、またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、もしくは宿主細胞を含有する組成物)を予め投与されていない者であり得る。
【0023】
本発明の第5、第6、または第7の態様のsFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターは、患者(例えば、ヒト)に約0.002mg/kg~約30mg/kg、例えば、約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量において投与することができる。本発明の第4または第5の態様の宿主細胞を含む組成物は、患者(例えば、ヒト)に約1×10個の細胞/mL~約1×1012個の細胞/mLの用量において投与することができる。例えば、sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞は、患者に1日1回以上、週1回以上、月1回以上、または年1回以上投与される(例えば、sFGFR3ポリペプチドは、患者に週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、2週間に1回、または月1回投与される)。特に、sFGFR3ポリペプチドは、患者に約0.25mg/kg~約10mg/kgの用量において週1回または2回投与される。sFGFR3ポリペプチドは、患者に薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物中で投与することができる。例えば、組成物は、患者に非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、または腹腔内)、腸内、または局所投与される。特に、組成物は、患者に皮下注射により投与される。
【0024】
本発明は、(例えば、配列番号33のアミノ酸配列を有するポリペプチドを製造するため)FGFR3ポリペプチドからシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインの一部を欠失させることにより、本発明の第1の態様のsFGFR3ポリペプチドを製造する方法を特徴とする。特に、細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸残基436~806からなる。本発明はまた、(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを製造するため)配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換を導入することにより、本発明の第2の態様のsFGFR3ポリペプチドを製造する方法を特徴とする。例えば、253位におけるシステイン残基は、セリン残基または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換される。
【0025】
本発明はまた、本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のsFGFR3ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、または33のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のポリヌクレオチド(例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチド)、本発明の第1、第2、もしくは第3の態様のベクター(例えば、プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、またはファージベクター)、または本発明の第1、第2、もしくは第3の態様の宿主細胞(例えば、HEK293細胞またはCHO細胞)を含むキットであって、場合により、キットの使用説明書を含むキットを特徴とする。
【0026】
定義
本明細書において使用される「a」および「an」は、特に示されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。さらに、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に文脈が明確に示さない限り、複数の参照対象を含む。
【0027】
本明細書において使用される「約」は、引用値の±10%である量を指し、好ましくは、引用値の±5%、より好ましくは、引用値の±2%である。例えば、用語「約」は、本明細書に引用される全ての投与量または範囲を、引用値または範囲終点の±10%だけ改変するために使用することができる。
【0028】
用語「ドメイン」は、ポリペプチド内の同定可能な構造および/または機能を有するポリペプチド(例えば、FGFR3ポリペプチド)のアミノ酸配列の保存領域を指す。ドメインは、例えば、約20個のアミノ酸~約600個のアミノ酸で長さが変動し得る。例示的なドメインとしては、FGFR3の免疫グロブリンドメイン(例えば、Ig様C2型ドメイン1、Ig様C2型ドメイン2、およびIg様C2型ドメイン3)が挙げられる。
【0029】
用語「投与量」は、活性剤が患者(例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する患者)に投与された場合に所望の治療効果(例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症の治療)をもたらすために計算される活性剤(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、または33のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の所定量を指す。投与量は、活性剤の規定量または特定の投与頻度と結び付く規定量に関して定義することができる。剤形は、sFGFR3ポリペプチドまたはその断片を任意の好適な医薬賦形剤、担体、または希釈剤との会合で含む。
【0030】
用語「有効量」、「に有効な量」および「治療有効量」は、所望の結果、例えば、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の治療をもたらすために十分なsFGFR3ポリペプチド、sFGR3をコードするベクター、および/またはsFGFR3組成物の量を指す。
【0031】
用語「細胞外ドメイン」および「ECD」は、膜貫通ドメインを越えて細胞外空間中に伸びるFGFR3ポリペプチドの一部を指す。ECDは、1つ以上の線維芽細胞成長因子(FGF)へのFGFR3の結合を媒介する。例えば、ECDは、FGFR3ポリペプチドのIg様C2型ドメイン1~3を含む。特に、ECDは、野生型(wt)FGFR3ポリペプチドのIg様C2型ドメイン1(例えば、配列番号5(シグナル配列を有さない成熟FGFR3タンパク質)のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸36~88または配列番号32(シグナル配列を有する前駆体FGFR3タンパク質)のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸57~110)、野生型(wt)FGFR3ポリペプチドのIg様C2型ドメイン2(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸139~234または配列番号32のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸161~245)、およびwtFGFR3ポリペプチドのIg様C2型ドメイン3(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸247~335または配列番号32のアミノ酸配列を有するwtFGFR3ポリペプチドのアミノ酸268~310)を含む。FGFR3のECDは、野生型FGFR3Ig様C2型ドメイン3の断片、例えば、配列番号1のaa247~288も含み得、それは例えば、配列番号の253位におけるセリン残基または別の保存的アミノ酸置換(例えば、アラニン、グリシン、プロリン、またはトレオニン)によるシステイン残基のアミノ酸置換をさらに含み得る(例えば、配列番号2のaa247~288)。さらに、ECDは、例えば、配列番号4のaa247~335のIg様C2型ドメイン3を含み得る。したがって、FGFR3ポリペプチドの例示的なECDとしては、例えば、配列番号1および2のaa1~288または配列番号4および33のaa1~335のアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。特に、FGFR3ポリペプチドのECDは、配列番号33のaa1~335を含む。
【0032】
本明細書において使用される用語「FGFR3関連骨格疾患」は、例えば、FGFR3の機能獲得突然変異体の発現によるFGFR3の活性化の異常増加により引き起こされる骨格疾患を指す。語句「FGFR3の機能獲得突然変異体」は、FGFリガンドの存在下で例えば、対応する野生型FGFR3(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の生物学的活性よりも高い、下流シグナリングをトリガーする生物学的活性を示すFGFR3の突然変異体を指す。FGFR3関連骨格疾患としては、遺伝性または散発性疾患を挙げることができる。例示的なFGFR3関連骨格疾患としては、限定されるものではないが、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、および頭蓋骨縫合早期癒合症候群(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群)、ならびに屈指・高身長・難聴症候群(CATSHL)が挙げられる。
【0033】
用語「線維芽細胞成長因子」および「FGF」は、種々の代謝プロセス、例として、内分泌シグナリング経路、発育、創傷治癒、および血管新生に関与する構造的に関連するシグナリング分子が挙げられるFGFファミリーのメンバーを指す。FGFは、広範な細胞および組織タイプの増殖および分化における重要な役割を担う。この用語は、好ましくは、FGFR3に結合することが示されているFGF1、FGF2、FGF9、FGF18、FGF19、およびFGF21を指す。例えば、FGFとしては、ヒトFGF1(例えば、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、ヒトFGF2(例えば、配列番号14のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、ヒトFGF9(例えば、配列番号15のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、ヒトFGF18(例えば、配列番号16のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、ヒトFGF19(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、およびヒトFGF21(例えば、配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を挙げることができる。
【0034】
本明細書において使用される用語「線維芽細胞成長因子受容体3」、「FGFR3」または「FGFR3受容体」は、1つ以上のFGF(例えば、FGF1、FGF2、FGF9、FGF18、FGF19、および/またはFGF21)に特異的に結合するポリペプチドを指す。ヒトFGFR3遺伝子は、第4染色体の遠位短腕上に局在し、19個のエキソンを含有し、シグナルペプチドを含む806アミノ酸タンパク質前駆体(線維芽細胞成長因子受容体3アイソフォーム1前駆体)(例えば、配列番号6または35のアミノ酸配列を有するポリペプチド)をコードする。骨格成長障害(例えば、軟骨無形成症)をもたらすFGFR3アミノ酸配列中の突然変異としては、例えば、アルギニン残基による380位におけるグリシン残基の置換(すなわち、G380R)が挙げられる。天然発生ヒトFGFR3遺伝子はGenbankアクセッション番号NM_000142.4に示されるヌクレオチド配列を有し、天然発生ヒトFGFR3タンパク質はGenbankアクセッション番号NP_000133に示されるアミノ酸配列を有し、本明細書において配列番号5により表される。野生型FGFR3(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド)は、Ig様C2型ドメイン1~3を含む細胞外免疫グロブリン様膜ドメイン(アミノ酸残基1~335)、膜貫通ドメイン(アミノ酸残基345~377)、および細胞内ドメイン(アミノ酸残基378~784)からなる。FGFR3としては、全長野生型FGFR3(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の断片および/またはバリアント(例えば、スプライスバリアント、例えば、エキソン9ではなく代替エキソン8を利用するスプライスバリアント)を挙げることができる。
【0035】
用語「断片」および「一部」は、全体の一部分、例えば、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上を含有するポリペプチドまたは核酸分子を指す。断片または一部は、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、500、600、700個以上のアミノ酸残基、最大で参照ポリペプチド(例えば、配列番号5または32のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の全長を含有し得る。例えば、FGFR3断片は、配列番号1または2の少なくとも200、205、210、215、220、225、235、230、240、245、250、255、260、265、275、280、285、290、または300個の連続アミノ酸を有する任意のポリペプチドを含み得る。さらに、FGFR3断片は、配列番号4または33の少なくとも200、205、210、215、220、225、235、230、240、245、250、255、260、265、275、280、285、290、300、305、310、315、320、325、330、335、345、または345個の連続アミノ酸を有する任意のポリペプチドを含み得る。
【0036】
本明細書において使用される用語「宿主細胞」は、対応するポリヌクレオチドからsFGFR3ポリペプチドを発現させるために必要とされる必須細胞構成成分、例えば、細胞小器官を含む輸送体を指す。ポリヌクレオチドの核酸配列は、典型的には、当分野における公知の慣用技術(例えば、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、および直接マイクロインジェクション)により宿主細胞中に導入することができる核酸ベクター(例えば、プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、またはファージベクター)中に含まれる。宿主細胞は、原核細胞、例えば、細菌もしくは古細菌細胞、または真核細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒト胚性腎293(HEK293))であり得る。好ましくは、宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞である。
【0037】
「単離」は、その天然環境から分離され、回収され、または精製されたものを意味する。例えば、単離sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2または4のアミノ酸配列を有するポリペプチド)は、例えば、細胞培養培地からsFGFR3ポリペプチドを単離した後のある程度の純度により特徴付けることができる。単離sFGFR3ポリペプチドは、sFGFR3ポリペプチドが調製物中に存在する総材料(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、細胞残屑、および環境汚染物)の少なくとも75重量%(例えば、調製物中に存在する総材料の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%または少なくとも99.5重量%)を構成するように少なくとも75%純粋であり得る。同様に、sFGFR3ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド(例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチド)、または単離宿主細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞、L細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、またはCOS-7細胞)は、ポリヌクレオチドまたは宿主細胞が調製物中に存在する総材料(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、細胞残屑、および環境汚染物)の少なくとも75重量%(例えば、調製物中に存在する総材料の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%または少なくとも99.5重量%)を構成するように少なくとも75%純粋であり得る。
【0038】
「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、それとしてはDNAおよびRNAが挙げられる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に取り込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の改変は、ポリマーの集合前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分により中断されていてよい。ポリヌクレオチドは、例えば、標識とのコンジュゲーションにより合成後にさらに改変することができる。
【0039】
用語「患者」および「対象」は、哺乳動物、例として、限定されるものではないが、ヒト(例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有するヒト)または非ヒト哺乳動物(例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する非ヒト哺乳動物)、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、またはネコを指す。好ましくは、患者は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有するヒト、特に、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する幼児、小児、または若年者である。
【0040】
本明細書において使用される用語「非経口投与」、「非経口投与する」および他の文法的に同等の語句は、通常、注射による腸内および局所投与以外の、sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を含む組成物の投与方式を指し、それとしては、限定されるものではないが、皮下、皮内、静脈内、鼻腔内、眼内、経肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、および胸骨内注射および注入が挙げられる。
【0041】
「薬学的に許容可能な賦形剤、担体、またはアジュバント」は、それぞれ、対象(例えば、ヒト)に対して生理学的に許容可能である一方、それとともに投与される医薬組成物(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)の治療特性を保持する希釈剤、賦形剤、担体、またはアジュバントを意味する。1つの例示的な薬学的に許容可能な担体は、生理食塩水である。他の生理学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、担体、またはアジュバントおよびそれらの配合物は、当業者に公知である。
【0042】
「医薬組成物」は、活性剤、例えば、sFGFR3(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤との配合で含有する組成物を意味する。医薬組成物は、患者(例えば、骨格成長遅滞障害を有する患者、例えば、軟骨無形成症を有する患者)における疾患またはイベント(例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症)の治療のための治療レジメンの一部として政府規制機関の承認を受けて製造し、または販売することができる。医薬組成物は、例えば、非経口投与のために、例えば、皮下投与(例えば、皮下注射による)もしくは静脈内投与(例えば、粒子状塞栓物質を有さない、静脈内使用に好適な溶媒系中の無菌液剤として)のために、または経口投与(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、ゲルキャップ剤、またはシロップ剤として)のために配合することができる。
【0043】
本明細書において使用される用語「配列同一性」は、配列をアラインし、必要によりギャップを導入して最大同一性パーセントを達成した後の、参照配列、例えば、野生型sFGFR3ポリペプチド(例えば、配列番号5または32のアミノ酸配列を有するポリペプチド)またはsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸(または核酸)残基と同一である候補配列、例えば、FGFR3ポリペプチドのアミノ酸(または核酸)残基の割合を指す(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために候補および参照配列の一方または両方に導入することができ、非相同配列は、比較目的のために無視することができる)。同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技能の範囲内の種々の手法で、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTAL、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、アラインメントの計測に適切なパラメータ、例として、比較される配列の全長にわたり最大アラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを決定することができる。例えば、所与の参照配列との、それについての、またはそれに対する所与の候補配列のアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセント(所与の参照配列との、それについての、またはそれに対するあるアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセントを有し、または含む所与の候補配列と代替的に表現することができる)は、以下のとおり計算される:
100×(A/Bの率)
(式中、Aは、候補配列および参照配列のアラインメントにおいて同一とスコアリングされるアミノ酸(または核酸)残基の数であり、Bは、参照配列中のアミノ酸(または核酸)残基の総数である)。特に、候補配列との比較のためにアラインされる参照配列は、候補配列が例えば、候補配列の全長または候補配列の連続アミノ酸(または核酸)残基の選択部分にわたり50%~100%の同一性を示すことを示し得る。比較目的のためにアラインされる候補配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または100%である。候補配列中の位置が、参照配列中の対応位置と同一のアミノ酸(または核酸)残基により占有される場合、その分子はその位置において同一である。
【0044】
「シグナルペプチド」は、ポリペプチドを分泌経路(例えば、細胞外空間)に指向するポリペプチドのN末端における短鎖ペプチド(例えば、5~30アミノ酸長、例えば、22アミノ酸長)を意味する。シグナルペプチドは、典型的には、ポリペプチドの分泌の間に開裂される。シグナル配列は、ポリペプチドを細胞内コンパートメントまたは細胞小器官、例えば、ゴルジ装置に指向し得る。シグナル配列は、ポリペプチドを細胞の特定の領域に標的化する公知の機能を有するペプチドとの相同性、または生物学的活性により同定することができる。当業者は、容易に利用可能なソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705、BLAST、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用することによりシグナルペプチドを同定することができる。シグナルペプチドは、例えば、配列番号6または35のアミノ酸配列と実質的に同一のものであり得る。
【0045】
本明細書において使用される用語「骨格成長遅滞障害」は、骨の変形および/または異形により特徴付けられる骨格疾患を指す。これらの障害としては、限定されるものではないが、成長板(骨端軟骨)骨折により引き起こされる骨格成長遅滞障害、特発性骨格成長遅滞障害、またはFGFR3関連骨格疾患が挙げられる。特に、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者は、健常患者の骨よりも短い骨を有し得る。例えば、骨格成長遅滞障害としては、骨異形成症、例えば、軟骨無形成症、ホモ接合性軟骨無形成症、ヘテロ接合性軟骨無形成症、軟骨無発生症、先端骨形成不全症、遠位中間肢異形成症、骨発生不全症、屈曲肢異形成症、点状軟骨異形成症、肢根型点状軟骨異形成症、鎖骨頭蓋骨異形成症、先天性大腿骨短縮症、頭蓋骨縫合早期癒合症(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、アペール症候群、Jackson-Weiss症候群、ファイファー症候群、またはクルーゾン皮膚骨格症候群)、指奇形(dactyly)、短指症、屈指症、多指症、合指症、捻曲性骨異形成症、小人症、分節異常骨異形成症、内軟骨腫症、線維性軟骨発生症、線維性骨異形成症、遺伝性多発性外骨腫症、軟骨低形成症、低ホスファターゼ症、低リン血症性くる病、Jaffe-Lichtenstein症候群、クニースト骨異形成症、クニースト症候群、ランガー型中間肢異形成症、マルファン症候群、マッキューン・オルブライト症候群、小肢症、骨幹端異形成症、Jansen型骨幹端異形成症、変容性異形成症、モルキオ症候群、ニーベルゲルト型中間肢異形成症、神経線維腫症、変形性関節症、骨軟骨異形成症、骨形成不全症、骨形成不全症周産期致死型、大理石骨病、骨斑紋症、末梢骨形成不全症、Reinhardt症候群、Roberts症候群、ロビノウ症候群、短肋骨多指症候群、低身長、先天性脊椎・骨端骨異形成症、および脊椎・骨端・骨幹端異形成症を挙げることができる。
【0046】
用語「可溶性線維芽細胞成長因子受容体3」、「可溶性FGFR3」、および「sFGFR3」は、膜貫通ドメインおよびFGFR3ポリペプチドを細胞膜に固定する任意のポリペプチド部分(例えば、チロシンキナーゼドメイン)の全てまたは要部の不存在または機能破壊により特徴付けられるFGFR3を指す。sFGFR3ポリペプチドは、FGFR3ポリペプチドの非膜結合形態である。特に、FGFR3の膜貫通ドメインは、野生型FGFR3配列(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸残基345から377またはシグナルペプチドを含む野生型FGFR3配列(例えば、配列番号32のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸残基367から399に伸びる。したがって、sFGFR3ポリペプチドは、野生型FGFR3ポリペプチド配列(例えば、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸残基345~377またはシグナルペプチドを含む野生型FGFR3配列(例えば、配列番号32のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸残基367~399の一部または全てを欠失し得る。sFGFR3ポリペプチドは、野生型FGFR3ポリペプチド配列の細胞質ドメイン(配列番号5のアミノ酸残基378~784)またはシグナルペプチド配列を含む野生型FGFR3ポリペプチド配列の細胞質ドメイン(配列番号32のアミノ酸残基378~806)をさらに欠失し得る。
【0047】
例示的なsFGFR3ポリペプチドは、限定されるものではないが、配列番号1または2の少なくともアミノ酸1~100、1~125、1~150、1~175、1~200、1~205、1~210、1~215、1~220、1~225、1~230、1~235、1~240、1~245、1~250、1~252、1~255、1~260、1~265、1~270、1~275、1~280、1~285、1~290、1~295、または1~300、または1~301を含み得る。sFGFR3ポリペプチドとしては、配列番号1または2のそれらのsFGFR3ポリペプチドのいずれかと少なくとも50%(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列同一性を有する任意のポリペプチドを挙げることができる。さらに、例示的なsFGFR3ポリペプチドは、限定されるものではないが、配列番号4または33の少なくともアミノ酸1~100、1~125、1~150、1~175、1~200、1~205、1~210、1~215、1~220、1~225、1~230、1~235、1~240、1~245、1~250、1~255、1~260、1~265、1~270、1~275、1~280、1~285、1~290、1~295、1~300、1~305、1~310、1~315、1~320、1~325、1~330、1~335、1~340、1~345、または1~348を含み得る。sFGFR3ポリペプチドとしては、配列番号4または33のアミノ酸配列を有するそれらのsFGFR3ポリペプチドのいずれかと少なくとも50%(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列同一性を有する任意のポリペプチドを挙げることができる。上記sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアントのいずれも、場合により、N末端位置におけるシグナルペプチド、例えば、配列番号6のアミノ酸1~22(MGAPACALALCVAVAIVAGASS)または配列番号35のアミノ酸1~19(例えば、MMSFVSLLLVGILFHATQA)を含み得る。
【0048】
「治療すること」および「治療」は、患者(例えば、ヒト、例えば、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の進行もしくは重症度の、または骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の1つ以上の症状の進行、重症度、もしくは頻度の低減(例えば、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはさらには100%だけ)を意味する。治療は、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する患者(例えば、ヒト、例えば、幼児、小児、または若年者)を治療するためにsFGFR3ポリペプチドが一定期間(例えば、数日間、数ヵ月間、数年間以上)投与される治療期間生じ得る。sFGFR3(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)により治療することができる軟骨無形成症の例示的な症状としては、限定されるものではないが、低身長、長い胴体、短縮四肢、約42~約56インチの成人身長、相対的に大きな頭部、隆起した額、未発育の顔面部分、X脚(例えば、「外反膝」)、動揺性歩行、短く太い指、短く太い足指、肘における腕部を伸ばす能力の制限、腰部の過剰な屈曲、歯科疾病(例えば、歯の密集からのもの)、肥満疾病、神経疾病、呼吸器疾病、ならびに/または腰部および/もしくは脊椎における疼痛および無感覚が挙げられる。
【0049】
ポリペプチドに関する用語「バリアント」は、バリアントが由来するポリペプチド(例えば、親ポリペプチド、例えば、配列番号1または7のアミノ酸配列を有するポリペプチド)とアミノ酸配列中の1つ以上の変化だけ異なるポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を指す。ポリヌクレオチドに関する用語「バリアント」は、バリアントが由来するポリヌクレオチド(例えば、親ポリヌクレオチド)と核酸配列中の1つ以上の変化だけ異なるポリヌクレオチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチド)を指す。バリアントのアミノ酸または核酸配列中の変化は、例えば、アミノ酸または核酸置換、挿入、欠失、N末端トランケーション、もしくはC末端トランケーション、またはそれらの任意の組合せであり得る。特に、アミノ酸置換は、保存的および/または非保存的置換であり得る。バリアントは、それぞれ親ポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)または親ポリヌクレオチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチド)とのアミノ酸配列同一性または核酸配列同一性により特徴付けることができる。例えば、バリアントとしては、配列番号1、2、4、または33のアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも50%(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列同一性を有する任意のポリペプチドを挙げることができる。バリアントとしては、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチドと少なくとも50%(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列同一性を有する任意のポリヌクレオチドを挙げることもできる。
【0050】
「ベクター」は、sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3ポリペプチドまたはそのバリアント、例えば、配列番号2、4、もしくは33のアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド、例えば、配列番号18もしくは34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、またはその断片を含むDNA構築物を意味する。ベクターは、sFGFR3ポリペプチドへのベクターのポリヌクレオチドの翻訳をもたらす細胞(例えば、宿主細胞またはヒト骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する患者の細胞)に感染させるために使用することができる。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、それは、追加のDNAセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを指す。あるベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自己複製し得る(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入時に宿主細胞のゲノム中に組み込むことができ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、あるベクターは、それらが作動可能に結合している遺伝子の発現を指向し得る。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。
【0051】
用語「単位剤形」は、それぞれの単位が所望の治療効果をもたらすために計算された所定量の活性材料を、任意の好適な医薬賦形剤、担体、または希釈剤との会合で含有するヒト対象および他の哺乳動物についての単位投与量として好適な物理的に区別される単位を指す。
【0052】
終点による数値範囲の本明細書における引用は、その範囲内に含まれる全ての数字を含むものとする(例えば、1~5の引用は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0053】
本発明の他の特徴部および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1A-D】sFGFR3ポリペプチドのセンサーグラムを示すグラフである。センサーグラムを、sFGFR3_Del1(配列番号7)、sFGFR3_Del4(配列番号1)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10;図1A);sFGFR3_Del1(配列番号7)およびsFGFR3_Del1-D3(配列番号9;図1B);sFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10)、sFGFR3_Del4-LK1-LK2-C253S(配列番号11)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2-D3(配列番号12;図1C);ならびにsFGFR3_Del4(配列番号1)、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33;図1D)について示す。
図2A-C】sFGFR3ポリペプチドのウエスタンブロットの画像である。還元(R)および非還元(NR)条件下のウエスタンブロットを、sFGFR3_Del1、sFGFR3_Del1-C253S(配列番号8)、およびsFGFR3_Del1-D3(図2A);sFGFR3_Del4-LK1-LK2、sFGFR3_Del4-LK1-LK2-C253S、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2-D3(図2B);ならびにsFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3(図2C)について示す。
図3A-B】FGF2の存在下でFgfr3ach/+軟骨細胞を使用したsFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3のセンサーグラム(図3A)および増殖アッセイ(図3B)を示すグラフである。
図4】1ng/mLのhFGF2を用いてまたは用いずに0nM、70nM、および280nMにおけるsFGFR3_Del4-D3とインキュベートしたFGFR3G380Rを発現する血清応答エレメント-ルシフェラーゼ(SRE-Luc)HEK細胞におけるルシフェラーゼシグナリングを示すグラフである(は、0nMにおけるsFGFR3_Del4-D3と比較したp値<0.05を示し;***は、p値<0.001を示す)。
図5】日齢(日数)に対する低用量(0.25mg/kg)のsFGFR3_Del4-D3による処理3日後の生存動物(野生型(wt)およびFgfr3ach/+マウス)の割合を示すグラフである。ビヒクル(PBS)を受容した生存wtマウスの割合も示す。
図6】野生型FGFR3ポリペプチド(配列番号5または32)、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)のバリアントのIg様C2型ドメイン1(IgI)、2(IgII)、および3(IgIII)に対応するアミノ酸残基を示す画像である。sFGFR3_Del4-C253Sは、配列番号1の253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換を含む。
図7A-B】sFGFR3ポリペプチドのウエスタンブロットの画像である。還元(R)および非還元(NR)条件下のウエスタンブロットを、2.3mg/mlおよび23mg/mlのsFGFR3_Del1-D3(図7A)ならびに1.5mg/mlおよび15mg/mlのsFGFR3_Del1-C253S(図7B)について示す。
図8A-B】20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液および40mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-C253Sの融解温度(T)(図8A)ならびに20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液および20mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-D3のT図8B)を示すグラフである。
図9A-C】sFGFR3_Del4-D3の高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)溶出プロファイルを示すグラフである。FPLC溶出プロファイルを、図9A:0分、2時間、および24時間におけるsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画(図9A);図9B:1分、15分、30分、2時間、および24時間における静脈内ボーラスにより投与されたsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画および最大ピークに正規化したもの(図9B(続き)に示す);図9C:30分、2時間、4時間、および24時間における皮下注射により投与されたsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画および最大ピークに正規化したもの(図9C(続き)に示す)について示す。
図10A-B】sFGFR3ポリペプチドの存在下でのFgfr3ach/+の軟骨細胞の増殖の割合(%)を示すグラフである。Fgfr3ach/+軟骨細胞増殖を、1ug/ml、10ug/ml、および50ug/mlのsFGFR3_Del4-D3(図10A)ならびに1ug/ml、10ug/ml、および50ug/mlのsFGFR3_Del4-C253S(図10B)について示す。
図11】皮下投与された2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3および静脈内投与された2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3のPKプロファイルを示すグラフである。
図12】静脈内投与の30分、120分、および1440分後における腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度を示すグラフである。濃度を1グラム当たりの注射用量のパーセント(%ID/g)として表現する。
図13】皮下投与の30分、120分、240分、480分、および1440分後における腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度を示すグラフである。濃度を%ID/gとして表現する。
図14A-B】脳組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度(c)および分布容量(V)を示すグラフである。静脈内ボーラスの30分、2時間、および24時間後における血管含有率および分解についての補正前後の125I-sFGFR3_Del4-D3のc(図14A)ならびに静脈内ボーラスの30分、2時間、および24時間後における125I-sFGFR3_Del4-D3およびRSAのV図14B)を示す。
図15】sFGFR3_Del4-D3を投与された生存Fgfr3ach/+マウスの割合を示すグラフである。22日間にわたり、ビヒクルとしてのPBSを投与された生存野生型マウス、生存Fgfr3ach/+マウス、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回投与された生存Fgfr3ach/+マウス、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された生存Fgfr3ach/+マウス、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された生存Fgfr3ach/+マウスを示す。
図16】ビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスにおけるロコモーターおよび腹式呼吸合併症の割合(%)を示すグラフである。
図17A-D】sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの体長を示すグラフおよびx線写真である。ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウス、ならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの軸長(図17A)、尾長(図17B)、および脛骨長(図17C)を示す。ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウスならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスのx線写真(図17D)も示す。全ての計測値はミリメートル(mm)におけるものである。
図18A-B】それぞれ、sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋比を示すグラフおよび頭蓋を示すx線写真である。グラフ(図18A)において、ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウスならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋比(L/W)を示す。x線写真(図18B)において、ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウス、ビヒクルとしてのPBSを投与されたFgfr3ach/+マウス、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された野生型マウス、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋を示す。
図19A-E】固定化SFGFR3_DEL4-D3への異なる濃度のhFGF1、FGF2、hFGF9、hFGF18、hFGF19、およびhFGF21の結合についてのリアルタイムでのカイネティックプロファイルを示すグラフである。固定化SFGFR3_DEL4-D3への0.5nM~12nMの濃度におけるhFGF1(図19A);固定化SFGFR3_DEL4-D3への2nM~10nMの濃度におけるhFGF2(図19B);固定化SFGFR3_DEL4-D3への1nM~5nMの濃度におけるhFGF9(図19C);固定化SFGFR3_DEL4-D3への1nM~10nMの濃度におけるhFGF18(図19D);固定化SFGFR3_DEL4-D3への2nM~20nMの濃度におけるhFGF19(図19E);および固定化SFGFR3_DEL4-D3への100nM~10000nMの濃度におけるhFGF21(図19F)の結合についてのカイネティックプロファイルを示す。暗色重複線は、K値を生成するために使用された2:1結合モデルを表す。
図20】非誘導野生型ATDC5およびFGFR3G380Rを発現するレトロウイルス感染ATDC5細胞のウエスタンブロットの画像である。
図21】3回の実験についてのSFGFR3_DEL4-D3の存在下でのATDC5 FGFR3G380R細胞の増殖の誘導を示すグラフである。非処理ATDC5 FGFR3G380R細胞を対照として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明者らは、可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドおよびそのバリアントを使用して患者(例えば、ヒト、特に、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を治療することができることを発見した。特に、本発明のsFGFR3ポリペプチドは、以下の例示的なsFGFR3ポリペプチド:253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換を含むsFGFR3_Del4(sFGFR3_Del4-C253S;配列番号2)および拡張Ig様C2型ドメイン3を含むsFGFR3_Del4(sFGFR3_Del4-D3;配列番号33)ならびにそれらのバリアント、例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有するsFGFR3ポリペプチドを提供するため、例えば、配列番号5のアミノ酸289~400または配列番号32のアミノ酸311~422の欠失を特徴とする。さらに、sFGFR3ポリペプチドはシグナルペプチドを含み得、例えば、配列番号18または34のアミノ酸配列を有するsFGFR3ポリペプチドである。sFGFR3_Del4(配列番号1)の説明については、米国仮特許出願第62/276,222号明細書および国際特許出願第PCT/US16/12553号明細書(それらのそれぞれは参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0056】
例えば、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するsFGFR3ポリペプチドおよびそのバリアントは、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換を含み得る(例えば、sFGFR3_Del4-C253S;配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド)。特に、本発明のsFGFR3ポリペプチドは、例えば、セリン残基による配列番号1の253位におけるシステイン残基の置換を含み得る。例えば、253位におけるシステイン残基は、セリン残基または例えば、別の保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換されている。
【0057】
sFGFR3ポリペプチドは、配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド配列も含み得、ポリペプチドは、FGFR3のシグナルペプチドおよび膜貫通ドメインを欠き、(i)500アミノ酸長未満であり;(ii)200個以下の連続アミノ酸のFGFR3の細胞内ドメインを含み;および/または(iii)FGFR3のチロシンキナーゼドメインを欠く(例えば、sFGFR3_Del4-D3;配列番号33のアミノ酸配列を有するポリペプチド)。本発明のsFGFR3ポリペプチドを投与して患者(例えば、ヒト、特に、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を治療する方法も記載される。
【0058】
本発明のsFGFR3ポリペプチド、産生方法、治療方法、組成物、およびキットが本明細書に記載される。
【0059】
可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチド
本発明は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の治療のために配合されるsFGFR3ポリペプチドおよびそのバリアントを特徴とする。特に、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有し得、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換を含む(例えば、sFGFR3_Del4-C253S;配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド)。例えば、配列番号1の253位におけるシステイン残基は、セリン残基または保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換されている。
【0060】
sFGFR3ポリペプチドおよびそのバリアントとしては、配列番号2と少なくとも50%の配列同一性(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%上の配列同一性)を有する配列番号2のアミノ酸配列の断片(例えば、配列番号2の少なくともアミノ酸1~200、1~205、1~210、1~215、1~220、1~225、1~235、1~230、1~240、1~245、1~250、1~253、1~255、1~260、1~265、1~275、1~280、1~285、1~290、または1~300)を含み得る。さらに、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1~301を含み得、sFGFR3ポリペプチドは、配列番号1の253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換を含む(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド)。
【0061】
sFGFR3ポリペプチドおよびそのバリアントは、配列番号33と少なくとも50%の配列同一性(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有する配列番号33のアミノ酸配列の断片(例えば、配列番号33の少なくともアミノ酸1~200、1~210、1~220、1~230、1~240、1~250、1~260、1~270、1~280、1~290、1~300、1~310、1~320、1~330、1~340、1~340、または1~345)も含み得る。さらに、配列番号4もしくは33の253位および/または配列番号4の316位におけるシステイン残基は、存在する場合、セリン残基または保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンにより置換されていてよい。
【0062】
本明細書に記載の結果を考慮すると、本発明は、特定のsFGFR3ポリペプチドにもそのバリアントにも限定されない。上記で考察される例示的なsFGFR3ポリペプチドおよびそのバリアントに加え、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))と類似の結合親和性を有する1つ以上のFGF(例えば、FGF1(例えば、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、FGF2(例えば、配列番号14のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、FGF9(例えば、配列番号15のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、FGF18(例えば、配列番号16のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、FGF19(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を有するポリペプチド)、および/またはFGF21(例えば、配列番号39のアミノ酸配列を有するポリペプチド))に結合する任意のポリペプチドを、例えば、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を治療する方法において使用することができる。sFGFR3ポリペプチドは、例えば、Ig様C2型ドメイン3のC末端半分をコードするエキソン8および9ならびに膜貫通ドメインを含むエキソン10を欠くFGFR3アイソフォーム2の断片(例えば、配列番号5または32のアミノ酸配列の断片)であり得、それはFGFR3転写物バリアント2(アクセッション番号NM_022965)の断片に対応する。
【0063】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4))は、N末端位置におけるシグナルペプチドを含み得る。例示的なシグナルペプチドとしては、限定されるものではないが、配列番号6のアミノ酸1~22(例えば、MGAPACALALCVAVAIVAGASS)または配列番号35のアミノ酸1~19(例えば、MMSFVSLLLVGILFHATQA)を挙げることができる。したがって、sFGFR3ポリペプチドとしては、N末端シグナルペプチドを欠く分泌形態、およびN末端シグナルペプチドを含む非分泌形態の両方が挙げられる。例えば、分泌sFGFR3ポリペプチドは、配列番号2、4、または33のアミノ酸配列を含み得る。あるいは、sFGFR3ポリペプチドはシグナルペプチドを含み、例えば、配列番号18、19、または34のアミノ酸配列である。当業者は、N末端シグナルペプチドの位置が異なるsFGFR3ポリペプチドにおいて変動し、例えば、ポリペプチドのN末端上の最初の5、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、27、30個以上のアミノ酸残基を含み得ることを認識する。当業者は、例えば、適切なコンピュータアルゴリズム、例えば、Bendtsen et al.(J.Mol.Biol.340(4)783-795,2004)に記載のものおよびcbs.dtu.dk/services/SignalP/においてウェブ上で利用可能なものによりシグナル配列開裂部位の位置を予測することができる。
【0064】
さらに、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、グリコシル化することができる。特に、sFGFR3ポリペプチドは、sFGFR3ポリペプチドがグリコシル化される程度を増加させ、または減少させるように変更することができる。sFGFR3ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作出され、または除去されるようにアミノ酸配列を変更することにより達成することができる。例えば、オリゴ糖がアスパラギン残基のアミド窒素に付着されるN-結合グリコシル化は、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号4または33)、およびそれらのバリアントのアミノ酸配列のAsn76、Asn148、Asn169、Asn203、Asn240、Asn272、および/またはAsn294の位置において生じ得る。これらのAsn残基の1つ以上は、グリコシル化部位を除去するように置換することもできる。例えば、オリゴ糖がアミノ酸残基の酸素原子に付着されるO-結合グリコシル化は、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、それらのバリアント(配列番号4)、およびシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34)のアミノ酸配列のSer109、Thr126、Ser199、Ser274、Thr281、Ser298、Ser299、および/またはThr301の位置において生じ得る。さらに、O-結合グリコシル化は、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)およびそれらのバリアント(配列番号4)のSer310および/またはSer321の位置において生じ得る。これらのSerまたはThr残基の1つ以上は、グリコシル化部位を除去するように置換することもできる。
【0065】
sFGFR3融合ポリペプチド
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、異種ポリペプチドからの機能ドメイン(例えば、免疫グロブリンの断片結晶化可能領域(Fc領域;例えば、配列番号25および26のアミノ酸配列を有するポリペプチド)またはヒト血清アルブミン(HSA;例えば、配列番号27のアミノ酸配列を有するポリペプチド))に融合させてsFGFR3融合ポリペプチドを提供することができる。場合により、フレキシブルリンカー、例えば、セリンまたはグリシンリッチ配列(例えば、ポリ-グリシンまたはポリ-グリシン/セリンリンカー、例えば、配列番号28および29)を、sFGFR3ポリペプチドおよび異種ポリペプチド(例えば、Fc領域またはHSA)間に含めることができる。
【0066】
例えば、sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、例えば、N末端またはC末端ドメインにおける免疫グロブリンのFc領域を含む融合ポリペプチドであり得る。特に、有用なFc領域としては、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)からの任意の免疫グロブリン分子、例として、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEおよびそれらの種々のサブクラス(例えば、IgG-1、IgG-2、IgG-3、IgG-4、IgA-1、IgA-2)のFc断片を挙げることができる。例えば、Fc断片ヒトIgG-1(配列番号25)またはヒトIgG-1のバリアント、例えば、アラニンによる配列番号25の297位におけるアスパラギンの置換を含むバリアント(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を有するポリペプチド)である。本発明のFc断片は、例えば、重鎖のCH2およびCH3ドメインならびにヒンジ領域の任意の部分を含み得る。本発明のsFGFR3融合ポリペプチドは、例えば、単量体Fc、例えば、CH2またはCH3ドメインも含み得る。Fc領域は、場合により、当業者に公知の任意の適切な1つ以上のアミノ酸残基においてグリコシル化することができる。本明細書に記載のFc断片は、本明細書に記載のFc断片のいずれかに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50個以上の付加、欠失、または置換を有し得る。
【0067】
さらに、sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、水溶液中のタンパク質の溶解度および安定性を改善する目的のためにN末端またはC末端ドメインにおいて他の分子にコンジュゲートすることができる。このような分子の例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、PEG、PSA、およびウシ血清アルブミン(BSA)が挙げられる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、ヒトHSA(例えば、配列番号27のアミノ酸配列を有するポリペプチド)またはその断片にコンジュゲートすることができる。
【0068】
sFGFR3融合ポリペプチドは、sFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))と、異種ポリペプチド(例えば、Fc領域またはHSA)との間のペプチドリンカー領域を含み得る。リンカー領域は、sFGFR3が生物学的に活性のままであること、例えば、立体障害を受けないことを可能とする任意の配列および長さのものであり得る。例示的なリンカーの長さは、1~200アミノ酸残基、例えば、1~5、6~10、11~15、16~20、21~25、26~30、31~35、36~40、41~45、46~50、51~55、56~60、61~65、66~70、71~75、76~80、81~85、86~90、91~95、96~100、101~110、111~120、121~130、131~140、141~150、151~160、161~170、171~180、181~190、または191~200アミノ酸残基である。例えば、リンカーは、フレキシブル部分、例えば、顕著な固定二次構造も三次構造も有さない領域を含む、またはそれからなる。好ましい範囲は、5~25および10~20アミノ酸長である。このようなフレキシビリティは、アミノ酸が小さく、アミノ酸鎖の回転または屈曲を妨害するかさ高い側鎖を有さない場合に一般に増加する。したがって、好ましくは、本発明のペプチドリンカーは、小型アミノ酸、特に、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、ロイシンおよびイソロイシンの増加した含有率を有する。
【0069】
例示的なフレキシブルリンカーは、例えば、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはさらには100%のグリシン残基を含有するグリシンリッチリンカーである。リンカーは、例えば、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはさらには100%のセリン残基を含有するセリンリッチリンカーなども含有し得る。一部の場合、リンカーのアミノ酸配列は、グリシンおよびセリン残基のみからなる。例えば、リンカーは、GGGGAGGGG(配列番号28)またはGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号29)のアミノ酸配列であり得る。リンカーは、場合により、任意の適切な1つ以上のアミノ酸残基においてグリコシル化することができる。リンカーは不存在であってもよく、その場合、FGFR3ポリペプチドおよび異種ポリペプチド(例えば、Fc領域またはHSA)は介在残基を有さずに一緒に直接融合している。
【0070】
sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
本発明はさらに、患者(例えば、ヒト、例えば、幼児、小児、または若年者)における骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を治療するために使用することができるsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号20、21、36、または37を含む。例えば、ポリヌクレオチドは、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)をコードする配列番号20もしくは36の核酸配列、または配列番号20もしくは36の核酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するバリアントであり得る。さらに、ポリヌクレオチドは、配列番号21または37の核酸配列と少なくとも85%の配列同一性(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性)を有するsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)をコードする配列番号21または37の核酸配列であり得る。本発明はまた、sFGFR3融合ポリペプチド(例えば、異種ポリペプチド、例えば、Fc領域またはHSAに融合しているsFGFR3ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドおよびシグナルペプチドを有さないsFGFR3ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、および33のアミノ酸配列を有するポリペプチド)またはシグナルペプチドを有するsFGFR3ポリペプチド(例えば、配列番号18、19、および34のアミノ酸配列を有するポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含む。さらに、本発明は、本明細書に記載のグリコシル化部位のいずれかを変更するための1つ以上の突然変異を含むポリヌクレオチドを含む。
【0071】
場合により、本発明のsFGFR3ポリヌクレオチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、ポリヌクレオチドの核酸配列によりコードされるsFGFR3ポリペプチドを変更せずに核酸中のコドンを変更するように、特に、宿主生物(例えば、ヒト)の典型的なコドン使用頻度を反映するようにコドン最適化することができる。コドン最適化ポリヌクレオチド(例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチド)は、例えば、GC含量を減少させることにより、および/または宿主細胞(例えば、HEK293細胞またはCHO細胞)中での発現のために遺伝子操作を容易にし得る。コドン最適化は、当業者により、例えば、オンラインツール、例えば、JAVA Codon Adaption Tool(www.jcat.de)またはIntegrated DNA Technologies Tool(www.eu.idtdna.com/CodonOpt)を使用することにより、ポリヌクレオチドの核酸配列およびコドンを最適化すべき宿主生物を簡易に入力することにより実施することができる。様々な生物のコドン使用頻度が、オンラインデータベース、例えば、www.kazusa.or.jp/codonにおいて利用可能である。
【0072】
sFGFR3ポリペプチドの発現のための宿主細胞
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))の発現のための宿主細胞として哺乳動物細胞を使用することができる。本方法において有用な例示的な哺乳動物細胞タイプとしては、限定されるものではないが、ヒト胚性腎(HEK;例えば、HEK293)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、L細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、COS-7細胞、HeLa細胞、PC3細胞、ベロ細胞、MC3T3細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、VERY細胞、BHK、MDCK細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT20細胞、T47D細胞、NS0細胞、CRL7O3O細胞、およびHsS78Bst細胞、または当分野における公知の任意の他の好適な哺乳動物宿主細胞が挙げられる。あるいは、sFGFR3ポリペプチドの発現のための宿主細胞として大腸菌(E.coli)細胞を使用することができる。大腸菌(E.coli)株の例としては、限定されるものではないが、大腸菌(E.coli)294(ATCC(登録商標)31,446)、大腸菌(E.coli)λ1776(ATCC(登録商標)31,537、大腸菌(E.coli)BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)、大腸菌(E.coli)RV308(ATCC(登録商標)31,608)、または当分野における公知の任意の他の好適な大腸菌(E.coli)株が挙げられる。
【0073】
sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター
本発明はまた、上記ポリヌクレオチドのいずれか1つ以上を含む組換えベクターを特徴とする。本発明のベクターを使用して本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチドを送達することができ、それとしては、哺乳動物、ウイルス、および細菌発現ベクターを挙げることができる。例えば、ベクターは、プラスミド、人工染色体(例えば、BAG、PAC、およびYAC)、およびウイルスまたはファージベクターであり得、場合により、プロモーター、エンハンサー、またはポリヌクレオチドの発現のための調節因子を含み得る。ベクターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合のアンピシリン、ネオマイシン、および/もしくはカナマイシン耐性遺伝子、または真菌ベクターについての耐性遺伝子も含有し得る。ベクターは、DNAもしくはRNAの産生のためにインビトロで使用することができ、またはそれを使用してベクターによりコードされるsFGFR3ポリペプチドの産生のための宿主細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞を形質移入もしくは形質転換することができる。ベクターは、遺伝子療法の方法においてインビボで使用するために適合させることもできる。
【0074】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチドを送達するために使用することができる例示的なウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス(例えば、Ad2、Ad5、Ad11、Ad12、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad40、Ad48、Ad49、Ad50、およびPan9(AdC68としても公知))、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えば、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病および水疱性口炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹およびセンダイ)、プラス鎖RNAウイルス、例えば、ピコルナウイルスおよびアルファウイルス、および二本鎖DNAウイルス、例として、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1および2型、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス)、およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、鶏痘およびカナリア痘)が挙げられる。sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを送達するために有用な他のウイルスとしては、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLVグループ、レンチウイルス、およびスプマウイルスが挙げられる(Coffin,J.M.,Retroviridae:The viruses and their replication,In Fundamental Virology,Third Edition,B.N.Fields,et al.,Eds.,Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,1996)。
【0075】
産生方法
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチドは、当分野における公知の任意の方法により産生することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、分子クローニング法を使用して生成され、ベクター、例えば、プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、またはファージベクター内に配置される。ベクターは、sFGFR3ポリペプチドの発現に適切な宿主細胞中にポリヌクレオチドを形質転換するために使用される。
【0076】
核酸ベクター構築および宿主細胞
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、宿主細胞から産生することができる。sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号20、21、36、または37の核酸配列を有するポリヌクレオチドまたはそれらのバリアント)は、当分野における公知の慣用の技術(例えば、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、または感染)により宿主細胞中に導入することができるベクター中に含めることができる。ベクターの選択は、部分的には、使用すべき宿主細胞に依存する。一般に、宿主細胞は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物(例えば、哺乳動物)のいずれかの起源のものであり得る。
【0077】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチドは、当分野における公知の種々の方法により調製することができる。これらの方法としては、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド媒介(または部位特異的)突然変異誘発およびPCR突然変異誘発が挙げられる。sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、標準的な技術、例えば、遺伝子合成を使用して得ることができる。あるいは、野生型sFGFR3ポリペプチド(例えば、配列番号5または32のアミノ酸配列を有するポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、当分野における標準的技術、例えば、QuikChange(商標)突然変異誘発を使用して規定のアミノ酸置換(例えば、配列番号33の253位および/または配列番号4の316位におけるセリン残基または保存的アミノ酸置換、例えば、アラニン、グリシン、プロリン、もしくはトレオニンによるシステイン残基のアミノ酸置換)を含有するように突然変異させることができる。sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えば、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を使用して合成することができる。
【0078】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))をコードするポリヌクレオチドは、原核または真核宿主細胞中で複製し、ポリヌクレオチドを発現し得るベクター中に挿入することができる。本方法において有用な例示的なベクターとしては、限定されるものではないが、プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、およびファージベクターを挙げることができる。例えば、ウイルスベクターとしては、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの核酸配列を含有する上記ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクター))を挙げることができる。それぞれのベクターは、特定の宿主細胞との適合性のために調整し、最適化することができる種々の構成成分を含有し得る。例えば、ベクター構成成分としては、限定されるものではないが、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの核酸配列、および/または転写終結配列を挙げることができる。
【0079】
上記ベクターは、当分野における慣用の技術、例えば、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、および直接マイクロインジェクションを使用して適切な宿主細胞(例えば、HEK293細胞またはCHO細胞)中に導入することができる。本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))の産生のための宿主細胞中にベクターが導入されたら、宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、またはsFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号20および21ならびにそれらのバリアント)の増幅のために適宜改変された慣用の栄養培地中で培養される。治療タンパク質、例えば、sFGFR3ポリペプチドの発現方法は、当分野において公知であり、例えば、Paulina Balbas,Argelia Lorence(eds.)Recombinant Gene Expression:Reviews and Protocols(Methods in Molecular Biology),Humana Press;2nd ed.2004(July 20,2004)およびVladimir Voynov and Justin A.Caravella(eds.)Therapeutic Proteins:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)Humana Pres;2nd ed.2012(June 28,2012)(それらのそれぞれは参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0080】
sFGFR3ポリペプチド産生、回収、および精製
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を産生するために使用される宿主細胞(例えば、HEK293細胞またはCHO細胞)は、当分野において公知であり、選択宿主細胞の培養に好適な培地中で成長させることができる。哺乳動物宿主細胞に好適な培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎仔血清(FBS)が補給されたDMEM、およびRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞に好適な培地の例としては、ルリアブロス(LB)と必須サプリメント、例えば、選択薬剤、例えば、アンピシリンが挙げられる。宿主細胞は、好適な温度、例えば、約20℃~約39℃、例えば、約25℃~約37℃、好ましくは、37℃、およびCOレベル、例えば、5~10%(好ましくは、8%)において培養される。培地のpHは、一般に、主に宿主生物に応じて約6.8~7.4、例えば、7.0である。誘導性プロモーターが発現ベクター中で使用される場合、sFGFR3ポリペプチド発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。
【0081】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、宿主細胞の上清から回収することができる。あるいは、sFGFR3ポリペプチドは、宿主細胞を破壊し(例えば、浸透圧ショック、超音波処理、または溶解を使用)、次いで遠心分離し、または濾過してsFGFR3ポリペプチドを取り出すことにより回収することができる。sFGFR3ポリペプチドの回収時、sFGFR3ポリペプチドをさらに精製することができる。sFGFR3ポリペプチドは、タンパク質精製分野における公知の任意の方法、例えば、プロテインA親和性、他のクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異により、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的技術(Process Scale Purification of Antibodies,Uwe Gottschalk(ed.)John Wiley & Sons,Inc.,2009(参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい)により精製することができる。
【0082】
場合により、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、精製のための検出可能標識にコンジュゲートすることができる。sFGFR3ポリペプチドの精製において使用される好適な標識の例としては、限定されるものではないが、タンパク質タグ、フルオロフォア、発色団、放射標識、金属コロイド、酵素、または化学発光、もしくは生物発光分子が挙げられる。特に、sFGFR3ポリペプチドの精製に有用なタンパク質タグとしては、限定されるものではないが、クロマトグラフィータグ(例えば、ポリアニオン性アミノ酸からなるペプチドタグ、例えば、FLAG-タグ、またはヘマグルチニン「HA」タグ)、親和性タグ(例えば、ポリ(His)タグ、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST))、可溶化タグ(例えば、チオレドキシン(TRX)およびポリ(NANP))、エピトープタグ(例えば、V5-タグ、Myc-タグ、およびHA-タグ)、または蛍光タグ(例えば、GFP、GFPバリアント、RFP、およびRFPバリアント)を挙げることができる。
【0083】
治療方法
本明細書において、患者、例えば、軟骨無形成症を有する患者(例えば、軟骨無形成症を有するヒト)における骨格成長遅滞障害を治療する方法が提供される。特に、患者は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の1つ以上の症状を呈し、または発症する可能性が高い者である。本方法は、骨格成長遅滞障害を有する患者、例えば、軟骨無形成症を有する患者(例えば、軟骨無形成症を有するヒト)に本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を投与することを含む。特に、本方法は、骨格成長遅滞障害を有する患者、例えば、軟骨無形成症を有する患者(例えば、軟骨無形成症を有するヒト)にsFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)またはsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)を投与することを含む。例えば、患者は、骨格成長遅滞障害を有する幼児または小児、例えば、軟骨無形成症を有する幼児、小児、または若年者(例えば、軟骨無形成症を有するヒト)である。
【0084】
患者(例えば、ヒト)は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の症状が出現する前または骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)の症状が発症した後に治療することができる。特に、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))により治療することができる患者は、症状、例として、限定されるものではないが、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および/または胸部奇形を呈する者である。さらに、sFGFR3ポリペプチドによる治療は、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症の上記症状の1つ以上の改善を(例えば、非治療患者に対して)もたらし得る。
【0085】
患者(例えば、ヒト)は、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))の投与前に骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症と診断されていてよい。さらに、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する患者は、sFGFR3ポリペプチドにより予め治療されなかった者であり得る。
【0086】
骨格成長遅滞障害
骨格成長遅滞障害は、骨格成長遅滞障害の治療が必要とされる患者(例えば、ヒト)に本明細書に記載のsFGFR3ポリペプチドを投与することにより治療することができる。本方法は、骨格成長遅滞障害を有する患者(例えば、ヒト)に本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を投与することを含む。sFGFR3ポリペプチドにより治療することができる骨格成長遅滞障害は、骨の変形および/または奇形により特徴付けられ、それとしては、限定されるものではないが、FGFR3関連骨格疾患を挙げることができる。特に、患者は、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)またはsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)により治療される。
【0087】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))の投与は、骨格成長遅滞障害、例として、限定されるものではないが、軟骨無形成症、軟骨無発生症、先端骨形成不全症、遠位中間肢異形成症、骨発生不全症、屈曲肢異形成症、点状軟骨異形成症、肢根型点状軟骨異形成症、鎖骨頭蓋骨異形成症、先天性大腿骨短縮症、クルーゾン症候群、アペール症候群、Jackson-Weiss症候群、ファイファー症候群、クルーゾン皮膚骨格症候群、指奇形、短指症、屈指症、多指症、合指症、捻曲性骨異形成症、小人症、分節異常骨異形成症、内軟骨腫症、線維性軟骨発生症、線維性骨異形成症、遺伝性多発性外骨腫症、低ホスファターゼ症、低リン血症性くる病、Jaffe-Lichtenstein症候群、クニースト骨異形成症、クニースト症候群、ランガー型中間肢異形成症、マルファン症候群、マッキューン・オルブライト症候群、小肢症、骨幹端異形成症、Jansen型骨幹端異形成症、変容性異形成症、モルキオ症候群、ニーベルゲルト型中間肢異形成症、神経線維腫症(例えば、1型(例えば、骨所見を伴うもの、または骨所見を伴わないもの)、2型、またはシュワノマトーシス)、変形性関節症、骨軟骨異形成症、骨形成不全症、骨形成不全症周産期致死型、大理石骨病、骨斑紋症、末梢骨形成不全症、Reinhardt症候群、Roberts症候群、ロビノウ症候群、短肋骨多指症候群、低身長、先天性脊椎・骨端骨異形成症、および脊椎・骨端・骨幹端異形成症を治療し得る。
【0088】
例えば、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を使用して骨格成長遅滞障害、例として、上記障害、例えば、軟骨無形成症に伴う症状を治療することができる。sFGFR3ポリペプチドにより治療することができる骨格成長遅滞障害の症状の非限定的な例としては、四肢短縮および短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形(例えば、大きな頭部)、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症(例えば、頭蓋内の骨の早期癒合)、ウォルム骨(例えば、頭蓋内の骨間の異常な糸状連結)、手足の奇形(例えば、多指症または余剰の指)、「ヒッチハイカー」の親指および異常な指の爪および足指の爪、ならびに胸部奇形(例えば、ナシ形状胸部または狭い胸郭)が挙げられる。sFGFR3ポリペプチドを投与することにより治療することができる追加の症状としては、骨格成長遅滞障害を有する患者における非骨格異常、例えば、眼、口、および耳の奇形、例えば、先天性白内障、近視、口蓋裂、または難聴;脳異形、例えば、水頭症、孔脳症、水無脳症、または脳梁欠損症;心臓欠陥、例えば、心房中隔欠損症、動脈管開存症、または大血管の転位;発育遅延;または精神障害を挙げることもできる。
【0089】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))による治療は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)の生存率も増加させ得る。例えば、sFGFR3ポリペプチドによる治療される患者の生存率は、例えば、数日間、数ヵ月間、数年間以上の治療期間にわたり、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する非治療患者に対して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上だけ増加し得る。特に、sFGFR3_Del4-D3の投与は、骨格成長遅滞障害、例えば、軟骨無形成症を有する患者(例えば、ヒト)の生存率を(例えば、非治療患者に対して)増加させ得る。
【0090】
患者(例えば、ヒト)に本発明のsFGFR3ポリペプチド((例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を投与することにより、FGFR3関連骨格疾患(例えば、機能獲得FGFR3突然変異の結果としてのFGFR3の過剰活性化により引き起こされ、またはそれに伴う)である任意の骨格成長遅滞障害を治療することができる。例えば、FGFR3関連骨格疾患としては、限定されるものではないが、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、および頭蓋骨縫合早期癒合症(例えば、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群)を挙げることができる。
【0091】
様々なFGFR3関連骨格障害、例えば、軟骨無形成症、軟骨低形成症、SADDAN、TDI、およびTDIIに関連するFGFR3遺伝子中の突然変異を有する患者(例えば、ヒト)は、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))により治療することができる。例えば、sFGFR3ポリペプチドを投与してFGFR3遺伝子のG380R、G375C、G346EまたはS279C突然変異から生じる軟骨無形成症を治療することができる。sFGFR3ポリペプチドの投与を使用して以下の例示的なFGFR3関連骨格障害:FGFR3遺伝子のG375C、G346EまたはS279C突然変異から生じる軟骨低形成症;FGFR3遺伝子のR248C、S248C、G370C、S371C、Y373C、X807R、X807C、X807G、X807S、X807WおよびK650M突然変異から生じるTDI;FGFR3遺伝子のK650E突然変異から生じるTDII;ならびにFGFR3遺伝子のK650M突然変異から生じるSADDANを治療することができる。
【0092】
FGFR3遺伝子中の上記突然変異(例えば、FGFR3遺伝子のG380R突然変異)のいずれも、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、またはそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))による治療前または後に患者(例えば、軟骨無形成症、軟骨低形成症、SADDAN、TDI、およびTDIIを有するヒト)からの試料中で検出することができる。さらに、患者の親および/または胎児試料(例えば、母体血液、胎盤、または胎児試料から得られる胎児核酸)を、FGFR3遺伝子中の突然変異についての当分野における公知の方法により試験してそれらの治療必要性を決定することができる。
【0093】
軟骨無形成症
軟骨無形成症は、ヒトにおける小人症の最も一般的な原因であり、本明細書に記載のsFGFR3ポリペプチドを投与することにより治療することができる。特に、軟骨無形成症は、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を投与することにより治療することができる。したがって、sFGFR3ポリペプチドの投与は、症状、例として、限定されるものではないが、成長遅滞、頭蓋変形、歯列矯正欠陥、頸髄圧迫(例えば、中枢性無呼吸または発作からの死亡リスクを伴うもの)、脊髄の狭窄(例えば、脚部および腰部の疼痛)、水頭症(例えば、脳シャント手術を要求するもの)、慢性耳炎に起因する難聴、心血管疾患、神経疾患、呼吸疾病、疲労、疼痛、腰部および/もしくは脊柱における無感覚、ならびに/または肥満症の改善をもたらし得る。
【0094】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))を使用して治療される患者としては、軟骨無形成症を有する幼児、小児、および成人を挙げることができる。特に、幼児は、出生時に軟骨無形成症と診断されることが多く、したがって、sFGFR3ポリペプチドによる治療は、患者の生涯において可能な限り早期に、例えば、出生直後、または出生前(子宮内)に開始することができる。
【0095】
患者(例えば、ヒト)における軟骨無形成症の症状は、患者を本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))により治療する前または後にモニタリングすることもできる。例えば、軟骨無形成症の症状は、治療前にモニタリングして本方法の実施前に患者の軟骨無形成症の重症度および状態を評価することができる。
【0096】
本方法は、患者における軟骨無形成症の診断ならびに軟骨無形成症の症状の変化、例えば、患者の体重および頭蓋サイズ(例えば、頭蓋長および/または頭蓋幅)の変化についての患者のモニタリングを含み得る。体重および頭蓋サイズの変化は、一定期間にわたり、例えば、1ヵ月もしくは1年当たり1、2、3、4回以上、または本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))による治療過程にわたり約1、2、3、4、5、6、7、8、12または16週間ごとにモニタリングすることができる。軟骨無形成症を有する患者の体重および/または頭蓋サイズは、治療の規定イベントにおいて、例えば、sFGFR3ポリペプチドの投与前および/または後に測定することもできる。
【0097】
例えば、体重および/または頭蓋サイズは、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))の投与に応答して計測することができる。体重は、軟骨無形成症を有する患者をスケール上で、好ましくは、標準化様式で、例えば、同一の衣類でもしくは衣類なしで、または1日のある時間において、好ましくは、絶食状態(例えば、朝食前の朝または絶食の少なくとも1、2、3、4、5時間以上後で)で秤量することにより計測することができる。頭蓋サイズは、頭蓋の長さ、高さ、幅、および/また外周により表すことができる。計測は、任意の公知のまたは自己考案標準化方法を使用して実施することができる。ヒト対象について、頭蓋外周の計測が好ましく、それは、フレキシブルな非伸縮性材料、例えば、巻き尺を使用して、頭部の考えられる最大外周(例えば、額の最も突出した部分から、後頭部の最大幅の部分まで)を巻き付けて計測することができる。対象(例えば、ヒト)の頭蓋の高さは、顎の底部から頭部の最上部まで測定することもできる。好ましくは、任意の計測は、2回以上、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上実施される。
【0098】
sFGFR3ポリペプチドの投与
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、当分野における公知の任意の経路により、例えば、非経口投与、腸内投与、または局所投与により投与することができる。特に、sFGFR3ポリペプチドは、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者に皮下(例えば、皮下注射による)、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内または腹腔内投与することができる。
【0099】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、患者(例えば、ヒト)に所定投与量において、例えば、重大な毒性を誘導せずに骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を治療するための有効量で投与することができる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者に、約0.002mg/kg~約50mg/kg(例えば、2.5mg/kg~30mg/kg、0.002mg/kg~20mg/kg、0.01mg/kg~2mg/kg、0.2mg/kg~20mg/kg、0.01mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.5mg/kg~20mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.5mg/kg~5mg/kg、または0.2mg/kg~3mg/kg)の範囲の個々の用量で投与することができる。特に、sFGFR3ポリペプチドは、例えば、0.001mg/kg~50mg/kg、例えば、2.5mg/kg~約10mg/kgの個々の用量で投与することができる。
【0100】
骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)への投与のための本発明のsFGFR3ポリペプチドの例示的な用量(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))としては、例えば、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、または50mg/kgが挙げられる。これらの用量は、1日、1週間、1ヵ月、または1年当たり1回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回以上)投与することができる。例えば、sFGFR3ポリペプチドは、患者に例えば、約0.0014mg/kg/週~約140mg/kg/週、例えば、約0.14mg/kg/週~約105mg/kg/週、または例えば、約1.4mg/kg/週~約70mg/kg/週(例えば、2.5mg/kg/週、5mg/kg/週、10mg/kg/週、20mg/kg/週、30mg/kg/週、40mg/kg/週、または50mg/kg/週)の範囲の1週間の投与量で投与することができる。
【0101】
遺伝子療法
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを目的の組織に送達し、インビボで発現させる遺伝子療法を介して送達することもできる。遺伝子療法の方法は、例えば、Verme et al.(Nature 389:239-242,1997)、Yamamoto et al.(Molecular Therapy 17:S67-S68,2009)、およびYamamoto et al.,(J.Bone Miner.Res.26:135-142,2011)(それらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)に考察されている。
【0102】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)の細胞により、sFGFR3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの核酸配列を含有するベクター(例えば、プラスミド、人工染色体(例えば、BAG、PAC、およびYAC)、またはウイルスベクター)を投与することにより産生することができる。例えば、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、改変ワクシニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、またはアルファウイルスベクターであり得る。ベクターは、例えば、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、または直接マイクロインジェクションにより、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)の細胞内側に存在させたら、sFGFR3ポリペプチドの発現を促進し、次いでそれが細胞から分泌される。本発明はさらに、患者(例えば、ヒト)にsFGFR3ポリペプチドを発現する細胞を投与する細胞ベース療法を含む。
【0103】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含み得る。sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む組成物は、投与量の範囲において、種々の配合物中で、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤との組合せで配合することができる。
【0104】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む医薬組成物は、規定の投与量、例えば、重大な毒性を誘導せずに患者(例えば、ヒト)の骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を治療するために有効な投与量において配合することができる。例えば、組成物は、約1mg/mL~約500mg/mLのsFGFR3ポリペプチド(例えば、10mg/mL~300mg/mL、20mg/mL~120mg/mL、40mg/mL~200mg/mL、30mg/mL~150mg/mL、40mg/mL~100mg/mL、50mg/mL~80mg/mL、または60mg/mL~70mg/mLのsFGFR3ポリペプチド)を含むように配合することができる。
【0105】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む医薬組成物は、種々の形態で、例えば、液体液剤、分散剤もしくは懸濁液剤、散剤、または安定的な貯蔵に好適な他の秩序構造で調製することができる。例えば、全身または局所送達が意図されるsFGFR3ポリペプチドを含む組成物は、例えば、非経口投与(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、または腹腔内投与)のための注射または注入液剤の形態であり得る。注射(例えば、皮下または静脈内注射)用sFGFR3組成物は、ビヒクルとしての無菌溶液または任意の薬学的に許容可能な液体を使用して配合することができる。薬学的に許容可能なビヒクルとしては、限定されるものではないが、滅菌水、生理食塩水、および細胞培養培地(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、α-改変イーグル培地(α-MEM)、F-12培地)が挙げられる。配合方法は当分野において公知であり、例えば、Banga(ed.)Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing and Delivery Systems(2nd ed.)Taylor & Francis Group,CRC Press(2006)(参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0106】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む組成物は、骨格成長遅滞障害(例えば、軟骨無形成症)を有する患者(例えば、ヒト)に薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤との組合せで提供することができる。許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤としては、緩衝剤、酸化防止剤、保存剤、ポリマー、アミノ酸、および炭水化物を挙げることができる。水性賦形剤、担体、または希釈剤としては、水、水-アルコール溶液、生理食塩水を含むエマルションまたは懸濁液、緩衝医薬非経口ビヒクル、例として、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース溶液、デキストロースと塩化ナトリウムの溶液、ラクトースを含有するリンガー溶液、および固定油を挙げることができる。非水性賦形剤、担体、または希釈剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、および注射用有機エステルである。
【0107】
薬学的に許容可能な塩も、本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む組成物中に含めることができる。例示的な薬学的に許容可能な塩としては、鉱酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、および硫酸塩)および有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、および安息香酸塩)を挙げることができる。さらに、補助物質、例えば、湿潤または乳化剤およびpH緩衝物質が存在し得る。薬学的に許容可能な賦形剤、担体、および希釈剤の詳細な考察は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22ndEd.,Allen (2012)(参照により全体として本明細書に組み込まれる)において利用可能である。
【0108】
本発明のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または宿主細胞を含む医薬組成物は、急速放出からsFGFR3ポリペプチドを保護する担体と配合することもでき、例えば、制御放出配合物、例として、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系である。例えば、sFGFR3組成物は、コアセルベーション技術により、または界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、またはポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル;コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、またはナノカプセル);またはマクロエマルション中で捕捉することができる。さらに、sFGFR3組成物は、徐放組成物として配合することができる。例えば、徐放組成物は、本発明のsFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み得、マトリックスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0109】
キット
本発明のキットは、本明細書に記載の本発明の1つ以上のsFGFR3ポリペプチド(例えば、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)、およびそれらのバリアント(配列番号4)またはシグナルペプチドを含むsFGFR3ポリペプチド(配列番号18または34))、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞を含み得る。例えば、sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞は、容器(例えば、ガラスバイアル)中で液体形態(例えば、水または緩衝塩溶液、例えば、2mM~20mMのリン酸ナトリウム、pH6.5または7.0、および25mM~250mMの塩化ナトリウム中)で存在し得る。あるいは、sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/またはベクターは、容器(例えば、ガラスバイアル)中で、場合により、投与前の液体形態への凍結乾燥sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞の再構成のための希釈剤(例えば、水または緩衝塩溶液)を含み得る凍結乾燥形態で存在する。sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞は、キット中で本明細書に記載の別の配合物中でも存在し得る。キット構成成分は、投与を容易にするための剤形で提供することができ、場合により、投与に要求される材料および/または本方法に従う患者治療についての説明書を含み得る。例えば、キットは、sFGFR3ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞の投与に関して使用者(例えば、医師)にガイドする使用説明書を含み得る。
【実施例0110】
以下の実施例は本開示を説明するためのものであり、限定するものではない。これらの試験は、軟骨無形成症およびそれに伴う症状を治療するための軟骨無形成症を有する患者(例えば、ヒト)へのsFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)のsFGFR3ポリペプチドの投与を特徴とする。
【0111】
実施例1:sFGFR3ポリペプチドの産生
3つの異なる懸濁細胞タイプ:HEK293 freestyle、CHO-S freestyle細胞およびExpi CHO-S細胞中の一過的形質移入により、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)を産生した。HEK293 freestyleおよびCHO-S freestyle細胞中での産生のため、ポリエチレンイミン(PEIpro(登録商標)-Polyplus-transfection)を製造業者の指示書に従って使用して形質移入を実施した。3日後にタンパク質を回収した。Expi CHO-S細胞中でのsFGFR3ポリペプチド産生のため、Expifectamineを製造業者による記載のとおりに使用して、High Titer産生プロトコルを使用して形質移入を実施した。タイムコースを実施し、12日後にsFGFR3ポリペプチドを最適に回収した。次いで、50ngのsFGFR3ポリペプチドを使用してウエスタンブロットを実施した。ブロッキング緩衝液中で1:2000希釈された一次抗体としてのB9(抗FGFR3、sc-13121、Santa Cruz)およびブロッキング緩衝液中で1:5000希釈された抗マウスIgG二次抗体(抗マウスIgG、#7076、Cell signaling)を用いて古典的ウエスタンブロットプロトコルを使用した。
【0112】
実施例2:sFGFR3ポリペプチドの精製
イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーを含む2ステップ精製プロセスを使用してsFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3をそれぞれ精製した。
【0113】
イオン交換クロマトグラフィーのため、5μmおよび0.2μmのカプセル(それぞれKGF-A0504TTおよびKMP-HEC9204TT、GE Healthcare)を使用するクロスフロー濾過(AKTA(商標)flux、GE Healthcare)により300mLの培養上清を精製した。次いで、14mS/cmへの試料の伝導度の調整後に平衡化カラム上で20mL/分においてsFGFR3_Del4-C253SまたはsFGFR3_Del4-D3を含む精製試料をロードした(AKTA(商標)pure25(GE Healthcare))。使用カラムは、53mLのベッドボリュームを有するHiPrep Q FF26/10(GE Healthcare)であった。結合緩衝液は1×PBSであり、溶出緩衝液はPBS 1×+1MのNaClであった。カラムを4カラム容量の1×PBSにより洗浄した。sFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3の溶出を、それぞれの4カラム容量を使用する5%のNaClおよび10%のNaClの2ステップにより実施した。5%のNaClおよび10%のNaClの両方をプールし、クロスフロー濾過(AKTA(商標)flux、GE Healthcare)により濃縮した。次いで、残留容量を、4℃、3,900gにおける10分間の遠心分離(MILLLIPORE(登録商標)UFC903024AMICON(登録商標)Ultra-15Centrifugal Filter Concentrator)により30kDaフィルター上で濃縮した。サイズ排除クロマトグラフィーのため、320mLのベッドボリュームを有するHiLoad26/600SUPERDEX(商標)200prep grade(28-9893-36、GE Healthcare)上で残留容量をロードした。負荷容量は、12.8mLを超過しなかった。溶出を1×PBS中で実施した。
【0114】
実施例3:sFGFR3ポリペプチドのカイネティックアッセイおよび解離定数(K)計測
Sensor Chip CM5(GE Healthcare)を用いてsFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3のキャリブレーションフリー濃度分析およびカイネティックアッセイを実施した。ヒトFGF2(hFGF2)を、Sensor Chip CM5に約5000RUのレベルにおいてアミンカップリングにより共有結合により固定化した。5000RUを達成するため、hFGF2を流速10μl/分および濃度25μg/mlにおいて420秒間固定化した。ランニング緩衝液は、HBS-EP+緩衝液(GE Healthcare)であった。再生緩衝液は、2Mの塩化ナトリウムを有する100mMの酢酸ナトリウム、pH4.5であった。BIACORE(商標)T200(GE Healthcare)を使用する表面プラズモン共鳴によりFGF結合、解離定数(K)計測、およびカイネティックパラメータを測定した。カイネティックアッセイおよびK測定に使用されたモデルは、1:1結合アルゴリズムであった。
【0115】
実施例4:sFGFR3ポリペプチドの増殖アッセイ
ATDC5およびATDC5 FGFR3G380R細胞系の両方を、NUNC(商標)MICROWELL(商標)96-Well Optical-Bottom Plates with Polymer Base(ThermoFisher Scientific、カタログ番号165305)中で25,000個の細胞/cmの密度において播種した。24時間のインキュベーション期間後、細胞を0.5%のBSA中で48時間枯渇させ、次いでsFGFR3_Del4-C253SまたはsFGFR3_Del4-D3によりhFGF2(Peprotech)を用いてまたは用いずに72時間刺激した。次いで、CyQUANT(登録商標)Direct Cell Proliferation Assay(Molecular Probes、カタログ番号C35012)を使用して細胞増殖を計測した。刺激後、1ウェル当たり10μLのCyQUANT(登録商標)Direct Cell Proliferation(Invitrogen;1mlの1×PBS、250μLのバックグラウンド抑制剤、および50μLの核染色)を添加した。次いで、ATDC5およびATDC5 FGFR3G380R細胞を、暗所で室温において2時間インキュベートした。VARIOSKAN(商標)LUXマルチモードマイクロプレートリーダー(ThermoFisher Scientific)を使用して蛍光を読み取った。
【0116】
実施例5:sFGFR3ポリペプチドのルシフェラーゼアッセイ
FGFR3G380Rを発現する血清応答エレメント-ルシフェラーゼ(SRE-Luc)HEK細胞を、標準培養96ウェルプレート中で100,000個の細胞/cmの密度において播種した。次いで、細胞を0.5%の熱不活化ウシ胎仔血清(hiFBS)により24時間枯渇させてから、0nm、70nm、および280nmの濃度におけるsFGFR3_Del4-D3により1ng/mlのhFGF2を用いてまたは用いずに24時間処理した。培養プレートを室温に15分間平衡化してから1ウェル当たり100μLのFirefly Luc One-Step Glow Assay Working Solution(ThermoFisher Scientific、カタログ番号16197)を添加し、次いで600rpmにおいて3分間振盪させた。プレートを室温において10分間インキュベートし、それぞれの細胞溶解物を白色不透明96ウェルプレートに移して発光シグナルを増加させ、交差汚染を減少させた。VARIOSKAN(商標)LUXマルチモードマイクロプレートリーダー(ThermoFisher Scientific)を使用して発光シグナルを読み取った。
【0117】
実施例6:sFGFR3ポリペプチドのインビボ効力試験
突然変異FGFR3の発現がCol2a1プロモーター/エンハンサーによりドライブされるトランスジェニックFgfr3ach/+動物に対して実験を実施した。マウスを12時間の明/暗サイクルに曝露し、標準的な実験室飼料および水に自由にアクセスさせた。FGFR3導入遺伝子の360bpを増幅させるプライマー5’-AGGTGGCCTTTGACACCTACCAGG-3’(配列番号30)および5’-TCTGTTGTGTTTCCTCCCTGTTGG-3’(配列番号31)を使用するゲノムDNAのPCRによりゲノタイプを確認した。
【0118】
CHO細胞を使用して産生されたsFGFR3_Del4-D3を、0.25mg/kgの週2回の皮下用量において評価した。3日目、単一リッターからの全ての新生マウスは同一用量を受容した。対照リッターは、10μlのPBS(ビヒクル)を受容した。その後、sFGFR3_Del4-D3(0.25mg/kg)の皮下注射を、背中の左側および右側上に交互に3週間にわたり週2回投与した。マウスをロコモーションおよび排尿の変更に特に留意して毎日観察した。繁殖を実施して半数の野生型および半数のヘテロ接合性Fgfr3ach/+マウスを有するリッターを生成した。表現型浸透度変動に起因するバイアスを回避するため、同一のブリーダーからの少なくとも2匹のリッター(処理1匹、対照1匹)に対して実験を実施した。事前のデータは、雄および雌間で統計的差異が存在しないことを示し、したがって、雄および雌を全ての分析について1つの群とみなした。
【0119】
22日目、ペントバルビタールの致死注射により全ての動物を屠殺し、性別を判定した。全ての後続の計測および分析をマウスのゲノタイプの知識なしで実施して調査者のバイアスを回避した。試験の終了時にゲノタイピングを実施してデータと規定のゲノタイプとの対応を明らかにした。軟骨無形成症は表現型変異を有する疾患であるため、全ての動物を試験に含めた。22日目前に死亡した動物を使用して早期死亡に対する処理の影響を調査した。22日目における生存動物を全ての分析に使用した。全ての実験およびデータ計測を全ての時点において盲検化実験者により実施した。
【0120】
22日目における屠殺後、体重を計測した。死体の皮を慎重に剥ぎ、内臓摘出し、骨格計測をX線に基づき実施した。標準的なパラフィン包埋技術を使用するさらなる組織学的分析のために臓器を回収し、秤量し、10%のホルマリン中で貯蔵した。次いで、臓器を肉眼異常、例えば、色または質感の改変および結節の存在について観察した。全ての動物実験の間、The Principles of Laboratory Animal Care(NIH publication no.85-23,revised 1985;http://grants1.nih.gov/grants/olaw/references/phspol.htm)およびEuropean commission guidelines for the protection of animals used for scientific purposes(http://ec.europa.eu/environment/chemicals/lab_animals/legislation_en.htm)に従った。全ての手順は、Institutional Ethic Committee for the use of Laboratory Animals(CIEPAL Azur)により承認された(承認番号NCE-2012-52)。
【0121】
実施例7:sFGFR3ポリペプチドを産生するために使用された細胞系は、活性に影響を与えなかった
懸濁HEK293細胞またはCHO細胞中で産生されたsFGFR3_Del1(配列番号7)、sFGFR3_Del4(配列番号1)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10)のFGF2結合活性、Kd、および細胞シグナリングに対する効果を比較した。HEK293細胞またはCHO細胞は、タンパク質の翻訳後修飾が異なる。異なる細胞系中でのsFGFR3ポリペプチドの発現は、sFGFR3ポリペプチドのKdにも、結合活性にも、細胞内シグナリング阻害に対する効果にも影響を与えなかった(図1A~1D)。
【0122】
実施例8:sFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3の産生の改善
sFGFR3_Del1(配列番号7)、sFGFR3_Del4(配列番号1)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10)のsFGFR3ポリペプチドを、253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換または拡張Ig様C2型ドメイン3(配列番号33)のいずれかを含むようにそれぞれ改変した。sFGFR3_Del1およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2のこれらの改変は、凝集が依然として可視的であったため、sFGFR3ポリペプチドの産生に対する効果を有さず、または最小の効果を有した(それぞれ、図2Aおよび2B)。驚くべきことに、253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換(sFGFR3_Del4-C253S)または拡張Ig様C2型ドメイン3(配列番号33))のいずれかを含めるためのsFGFR3_Del4の改変は、sFGFR3ポリペプチドの産生を改善した。特に、還元および非還元の両方の条件下でsFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3の最小の凝集が存在した(図2C)。C253SまたはD3の包含は、sFGFR3_Del4と比較して産生の相対的増加ももたらし、sFGFR3_Del4-C253S産生においては2倍の増加およびsFGFR3_Del4-D3産生においては3倍の増加をもたらした。
【0123】
さらに、sFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3は類似のKdを示し、翻訳後修飾の細胞タイプ特異的変化により影響を受けなかった。Expi CHO細胞において、sFGFR3_Del4のKdは0.8nMであり、sFGFR3_Del4-C253SのKdは0.6nMであり、sFGFR3_Del4-D3のKdは0.7nMであった(図3Aおよび表1)。
【0124】
【表1】
【0125】
実施例9:sFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3は、インビトロで同等に活性である
sFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3は、FGFR3ach突然変異を過剰発現するように遺伝子改変させたATDC5細胞(ATDC5 FGFR3G380R細胞系)の増殖を回復させた。36nMの用量において、HEK293細胞を使用して産生されたsFGFR3_Del4は増殖を115.5%に増加させ、CHO-S細胞を使用して産生されたsFGFR3_Del4は増殖を116%に増加させ、CHO-S細胞を使用して産生されたsFGFR3_Del4-C253Sは増殖を114.4%に増加させ、CHO-S細胞を使用して産生されたsFGFR3_Del4-D3は増殖を120.1%に増加させた(図3B)。
【0126】
sFGFR3_Del4-D3を、FGFR3G380R発現SRE(-Luc)HEK細胞系においても、0nM、70nM、および280nMの用量において、1ng/mlのhFGF2を用いてまたは用いずに試験した(図4;n=8)。図4に示されるデータは、平均値+/-平均値の標準誤差(SEM)である。これらのデータは正規分布に従い、ダゴスティーノ・ピアソンオムニバス正規性検定に基づく等分散を有する。スチューデントのt検定を使用してsFGFR3_Del4-D3を用いるまたは用いない統計的比較を実施した。図4に示されるとおり、sFGFR3_Del4-D3は、SRE細胞系中でルシフェラーゼシグナリングを減少させる。
【0127】
実施例10:sFGFR3_Del4-D3は、軟骨無形成症を有するマウスの骨成長を回復させ、死亡を予防し、大後頭孔形状を回復させる
低用量(0.25mg/kg)のsFGFR3_Del4-D3を使用してインビボ効力試験を実施例6のとおり実施した。合計60匹のマウスをビヒクル群に含め、32匹の野生型(wt)マウスおよび28匹のFgfr3ach/+マウスであった。処理群は40匹のマウスを含み、19匹のwtマウスおよび21匹のFgfr3ach/+マウスであった。驚くべきことに、低用量のsFGFR3_Del4-D3は、軟骨無形成症を有するマウスの早期死亡をほぼ完全に予防した(図5)。対照群において、Fgfr3ach/+マウスの53.6%が離乳前に死亡した一方、処理群のマウスの4.8%のみが22日目前に死亡し、0.25mg/kgにおけるsFGFR3_Del1による処理後にマウスの20%が死亡した(表2;Garcia et al.Sci.Transl.Med.5:203ra124,2013(参照により全体として本明細書に組み込まれる)も参照されたい)。
【0128】
sFGFR3_Del4-D3は、軸および付属肢骨格に関するwtおよびFgfr3ach/+マウス間の初期相違を矯正して骨成長も部分的に回復させた(表2)。低用量のsFGFR3_Del1による処理の事前の結果とは対照的に、低用量のsFGFR3_Del4-D3は正常な大後頭孔形状を回復させた。
【0129】
【表2】
【0130】
実施例11:sFGFR3_Del4-C253Sの投与による軟骨無形成症の治療
軟骨無形成症を罹患するヒト患者(例えば、幼児、小児、若年者、または成人)は、特定の投与量(例えば、0.0002mg/kg/日~約20mg/kg/日、例えば、0.001mg/kg/日~7mg/kg/日)において適切な経路(例えば、皮下注射による)によりsFGFR3_Del4-C253S(図6;配列番号2)を数日間、数週間、数ヵ月間、または数年間の過程にわたり投与することにより治療することができる。sFGFR3_Del4-C253Sにより治療される軟骨無形成症の進行は、いくつかの確立された方法の1つ以上によりモニタリングすることができる。医師は、患者を直接的な観察によりモニタリングして患者により呈される軟骨無形成症の症状が治療に応答していかに変化したかを評価することができる。例えば、医師は、患者の体重、頭蓋長および/または頭蓋幅の変化を一定期間にわたり、例えば、sFGFR3_Del4-C253Sによる治療過程にわたり1ヵ月当たりもしくは1年当たり1、2、3、4回以上または約1、2、3、4、5、6、7、8、12、もしくは16週間ごとにモニタリングすることができる。患者の体重および/もしくは頭蓋サイズまたはそれらの変化は、治療の規定イベントにおいて、例えば、sFGFR3_Del4-C253Sの投与前および/または後に測定することもできる。例えば、体重および/または頭蓋サイズは、sFGFR3_Del4-C253Sの投与に応答して計測する。
【0131】
実施例12:sFGFR3_Del4-D3の投与による軟骨無形成症の治療
さらに、軟骨無形成症を罹患するヒト患者(例えば、幼児、小児、若年者、または成人)は、特定の投与量(例えば、0.0002mg/kg/日~約20mg/kg/日、例えば、0.001mg/kg/日~7mg/kg/日)において適切な経路により(例えば、皮下注射による)sFGFR3_Del4-D3(配列番号33)のsFGFR3ポリペプチドを数日間、数週間、数ヵ月間、または数年間の過程にわたり投与することにより治療することができる。sFGFR3_Del4-D3により治療される軟骨無形成症の進行は、いくつかの確立された方法の1つ以上によりモニタリングすることができる。医師は、患者を直接的な観察によりモニタリングして患者により呈される軟骨無形成症の症状が治療に応答していかに変化したかを評価することができる。例えば、医師は、患者の体重、頭蓋長および/または頭蓋幅の変化を一定期間にわたり、例えば、sFGFR3_Del4-D3による治療過程にわたり1ヵ月当たりもしくは1年当たり1、2、3、4回以上または約1、2、3、4、5、6、7、8、12、もしくは16週間ごとにモニタリングすることができる。患者の体重および/もしくは頭蓋サイズまたはそれらの変化は、治療の規定イベントにおいて、例えば、sFGFR3_Del4-D3の投与前および/または後に測定することもできる。例えば、体重および/または頭蓋サイズは、sFGFR3_Del4-D3の投与に応答して計測する。
【0132】
実施例13:sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの産生
sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sポリペプチドを実施例2に記載のとおり精製した。拡張Ig様C2型ドメイン3(FGFR3_Del4-D3)または253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換(sFGFR3_Del4-C253S)のいずれかを含めるためのsFGFR3_Del4の改変は、sFGFR3ポリペプチドの産生を改善した。特に、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用する還元および非還元の両方の条件(SDS-PAGE;それぞれ図7Aおよび7B)下でsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの約2%未満の凝集が存在した(FGFR3_Del4-D3について2.3mg/mlまたは23mg/mlおよびsFGFR3_Del4-C253Sについて1.5mg/mlおよび15mg/mlの濃度を使用するロード時に観察)。流加培養におけるsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの産生後、キャピラリー電気泳動を使用して上位5つのクローンを分離して0.93~1.0g/Lおよび0.98~1.1g/LのsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sをそれぞれ得た。イオン交換クロマトグラフィーを使用するウイルス濾過は、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの両方について60%超の収率をもたらした。
【0133】
実施例14:インビボでのsFGFR3_Del4-D3の薬物動態および組織分布
インビボ試験を実施してsFGFR3_Del4-D3の薬物動態パラメータ、血液脳関門を越えるsFGFR3_Del4-D3の取り込み、ならびに腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓中のsFGFR3_Del4-D3の組織分布を調査した。本明細書に記載の試験は4つの処理群を含み、1処理群当たり5つの群のC57BL/6Jマウスおよび1群当たり合計4匹のマウス(n=4)を有した(表3)。マウスは雄であり、25~30グラムの体重であった。
【0134】
【表3】
【0135】
第1群を1分、15分、および30分において試料採取し;第2群を4時間において試料採取し;第3群を24時間において試料採取し;第4群を36時間において試料採取し;第5群を48時間において試料採取した。第1群については、留置動脈内カテーテル(PE-10)をイソフルラン麻酔下で1本の総頸動脈中に挿入し、30分の最終試料採取時点における反復採血に使用した。静脈内注射のため、125I-sFGFR3_Del4-D3を、イソフルラン麻酔下で皮膚切開により曝露させた頸静脈中に静脈内注射した。第1群マウスは、実験全体にわたり麻酔したままであった。反復血液試料(2×約50μL)を動脈カテーテルから静脈内注射の1分および15分後に抜き取った。第2~5群については、125I-sFGFR3_Del4-D3の注射後、皮膚を外科用クリップにより閉じ、マウスを起床させ、ケージに戻した。第3群についての終了時間5分前、マウスを再麻酔化し、マウスは頸静脈中へのH-アルブミンの静脈内ボーラスを受容した。Hトレーサー用量は、後の試料採取時間におけるより低用量による二重同位体標識に好適な血中の125IとHとの比を得るように標的化した。最終試料採取時間(2時間、3時間、24時間、36時間、および48時間)において、血液試料を回収し、動物を安楽死させた。ホモジナイゼーションおよびトレーサーの組織濃度の測定のために脳を試料採取した。試験の終点は、sFGFR3_Del4-D3についての薬物動態パラメータ(終末相半減期)、血液脳関門を越えるsFGFR3_Del4-D3の取り込み、ならびに腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓中のsFGFR3_Del4-D3の組織分布を含んだ。
【0136】
実施例15:sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの熱および血漿安定性
示差走査熱量測定を使用してマウス血漿中のsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの熱安定性を調査した。sFGFR3_Del4-D3については、2つの緩衝液(20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5、および20mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5)をポリペプチド試料に添加した。sFGFR3_Del4-C253Sについては、2つの緩衝液(20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5、および40mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5)をポリペプチド試料に添加した。20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-C253Sについての融解温度(T)は52℃および56℃であり、40mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-C253SについてのTは55℃および60℃であった(図8A)。sFGFR3_Del4-D3については、2つの緩衝液(20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5、および20mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5)をポリペプチド試料に添加した。20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-D3についてのTは50℃および54℃であり、20mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-D3についてのTは53℃および58℃であった(図8B)。これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの両方がポリペプチド安定性およびアンフォールディングの2つのドメインを示すことを示す。
【0137】
ヒスチジンタグを有するsFGFR3_Del4-D3のエクスビボ血漿安定性は、ボルトン・ハンター法を使用して125I-トレーサーにより精製sFGFR3_Del4-D3を標識し、次いでPD-10(Sephadex(登録商標)G-25)カラム上で精製することにより測定した。ピーク分画のトリクロロ酢酸(TCA)沈殿性も測定して125I-トレーサーの安定性を確認した。37℃に予備加温したマウス血漿(n=4)に125I-sFGFR3_Del4-D3を-10cpm/mLの濃度までスパイクし、次いでボルテックスに供した。血漿試料をEppendorf ThermoMixer(登録商標)中で穏やかな回転(300rpm)下で125I-sFGFR3_Del4-D3とインキュベートした。次いで、TCA沈殿(10μlの試料および100μlの2%のBSA)のため、および高速液体クロマトグラフィー(FPLC)カラム上へのインジェクション(20μlの試料および150μlの10mMのPBS、pH7.4)のために、0、30、60、120、180、および360分の間隔においてアリコートを回収した。TCA沈殿またはFPLCインジェクションを実施するまでアリコートを氷上で貯蔵した。
【0138】
TCA沈殿のため、1mLの氷冷10%TCAを血漿試料に添加し、氷上で10分間インキュベートし、4,000gにおいて5分間遠心分離し、次いで上清およびペレットを分離し、両方をガンマカウンターで計数した。エクスビボ血漿安定性の評価のため、100μlの試料をFPLCカラム(Superdex(登録商標)200 10/300GL)上でインジェクトし、1.5カラム容量について0.75ml/分の速度において溶出させた。カラムから1mlの分画を回収し、次いでガンマカウンターで計測した。37℃におけるsFGFR3_Del4-D3の血漿安定性は、0分において95%、2時間において95%、および24時間において約92%と測定され、わずかな凝集を伴うにすぎなかった(図9A)。
【0139】
静脈内および皮下注射による投与後の血漿中のsFGFR3_Del4-D3のインビボ安定性も測定した。ボルトン・ハンター法を使用して125I-トレーサーによりsFGFR3_Del4-D3を標識し、次いでPD-10(Sephadex(登録商標)G-25)カラム上で精製した。125I-標識sFGFR3_Del4-D3(約50μLのPBS中10μCi)を、静脈内または皮下注射により麻酔C57Bl/6マウス中に投与した。125I-トレーサータンパク質用量(約0.1mg/kg)に非標識タンパク質を2.5mg/kgの総用量まで補った。血管マーカーとして使用されるラット血清アルブミンを[H]-NSP(N-スクシンイニジル(N-succininidyl)[2,3-H]プロピオネート;Perkin Elmer)により標識し、PD-10(Sephadex(登録商標)G25)カラム上で精製した。
【0140】
静脈内ボーラス注射後の血漿中のsFGFR3_Del4-D3の安定性について、FPLC溶出プロファイルは、15分まで血漿中で分解産物を示さなかった(図9B)。sFGFR3_Del4-D3の投与30分後において、少量の低分子量の分解産物が出現し、それは2時間までに増加したが、24時間までに大部分が消失した。皮下注射後の血漿中のsFGFR3_Del4-D3の安定性について、FPLC溶出プロファイルは、30分において血漿中でいくらかの分解産物を示し、2時間および4時間までに分解が増加した(図9C)。24時間後に血漿中に残る少量のトレーサーは、大部分が、インタクトsFGFR3_Del4-D3ポリペプチドとして出現する。図9Bおよび9Cについての下段パネルのクロマトグラムを、溶出パターンのより容易な比較のためにそれぞれの個々のランにおける最大ピークに正規化したものとして提示する。
【0141】
実施例16:sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sのリガンド結合活性
ヒトFGF2についてのsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの結合親和性を特徴付けるための実験を実施した。FGF2についてのsFGFR3_Del4-D3の解離定数(Kd)およびsFGFR3_Del4-C253SのKdを実施例3に記載のとおり測定し、20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5の再生緩衝液を用いた。13nM、6.5nM、3.25nM、および1.75nMの濃度を、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの両方について試験した。sFGFR3_Del4-D3のKdは約3.6nmであることが測定され、sFGFR3_Del4-C253SのKdは約6.9nmであることが測定された。これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sが低いnM範囲でFGF2についての結合活性を有することを示す。
【0142】
実施例17:sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sは、インビトロで機能的活性を示す
増殖アッセイを使用してsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの機能的活性を試験した。FGFR3ach突然変異を過剰発現するように遺伝子改変されたATDC5細胞(ATDC5 FGFR3G380R細胞系)を使用する増殖アッセイを実施例4に記載のとおり実施し、濃度はsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sについて1ug/ml、10ug/ml、および50ug/mlであった。これらの濃度のそれぞれにおいて、sFGFR3_Del4-C253SおよびsFGFR3_Del4-D3は、FGFR3G380R細胞の増殖を回復させた(図10Aおよび10B)。EC50は、1ug/mlの濃度に基づきsFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの両方について約10nMであることが測定された。これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sが低いnM範囲で生物学的に活性であることを示す。
【0143】
実施例18:sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの薬物動態プロファイル
2.5mg/kgの用量において皮下または静脈内投与されるsFGFR3_Del4-D3の薬物動態(PK)プロファイルを使用してsFGFR3_Del4-D3の終末期消失半減期を測定した(図11)。sFGFR3_Del4-D3を皮下投与されたマウスについて30分、2時間、4時間、8時間、24時間、36時間および48時間において試料を回収した。sFGFR3_Del4-D3を静脈内投与されたマウスについて1分、15分、30分、2時間、24時間、および36時間において試料を回収した。2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の皮下終末期消失半減期は約20時間であった一方、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の静脈内終末期消失半減期は約7時間であった。PKプロファイルから、皮下投与された2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3についてTmaxは約8時間であり、Cmaxは約4.5nMであり、推定バイオアベイラビリティは約30%であった。α相の間の静脈内投与されたsFGFR3_Del4-D3の急速なクリアランスとそれに続くより緩慢なβ相クリアランスが存在し、sFGFR3_Del4-C253Sについて類似の静脈内PKプロファイルであった。
【0144】
実施例19:腎臓および肝臓は、sFGFR3_Del4-D3の主なクリアランス経路である
sFGFR3_Del4-D3のクリアランスを腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓組織において2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の静脈内投与の30分、120分、および1440分後、ならびに2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の皮下投与の30分、120分、240分、480分、および1440分後に評価した。肝臓および腎臓は、静脈内投与についてのsFGFR3_Del4-D3クリアランスの主要な経路であった(図12)。腎臓は、皮下投与についてのsFGFR3_Del4-D3クリアランスの主要な経路であった(図13)。
【0145】
実施例20:sFGFR3_Del4-D3は血液脳関門を越えない
野生型マウスにおける血液脳関門を越えるsFGFR3_Del4-D3の取り込みを測定するための薬物動態試験も実施した。静脈内ボーラス注射後、sFGFR3_Del4-D3の脳組織の取り込みを3つの時点(30分、2時間、および24時間)において計測した。sFGFR3_Del4-D3を放射性標識トレーサー(125I-sFGFR3_Del4-D3)として、2.5mg/kgの非標識sFGFR3_Del4-D3と注射した。125I-sFGFR3_Del4-D3の注射用量は1動物当たり約10μCiであり、それは0.1mg/kg未満に対応する。マウスを30分、2時間、および24時間において安楽死させた後、臓器および血漿中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度を液体シンチレーション計数により計測した。
【0146】
トリクロロ酢酸(TCA)沈殿性材料(例えば、インタクトトレーサー)の分画を計測することにより血漿中および脳試料中での代謝について125I-sFGFR3_Del4-D3濃度を補正した。TCA補正の妥当性は、試料をサイズ排除高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)カラム上にインジェクトすることによっても確認した。動物の屠殺直前に放射性標識アルブミン(H-RSA)を注射することにより血管内含有量(V)について125I-sFGFR3_Del4-D3の臓器濃度を補正した。RSAの見かけの臓器の分布容量は、Vを表す。アルブミンの用量は無視可能であった(生理学的濃度の1%のオーダー)。脳以外の全ての臓器について、血管含有量を減算し、血漿中のTCA沈殿性分画を考慮することにより濃度を計算した。しかしながら、脳以外のそれらの臓器中への分解材料の取り込みについては、TCA沈殿を実施しなかったため補正を行わなかった。
【0147】
脳濃度は、以下の式:Cbrain(corr.)=[V(sFGFR3_Del4-D3)-V]×Cplasma(terminal)(式中、V(sFGFR3_Del4-D3)は、脳内のsFGFR3_Del4-D3の分布容量(Cbrain/Cplasmaとして計算)であり、Vは、脳内で分布するアルブミンの容量であり、Cplasma(terminal)は、最終試料採取の時間におけるsFGFR3_Del4-D3の血漿濃度である)により計算した。全ての濃度を1グラムまたは1ml当たりの注射用量のパーセント(%ID/gまたは%ID/mL)としてそれぞれ表現し、静脈内ボーラス注射の用量は100%に等しい。これらの値は、注射用量:(体重、g/1000g)×2.5mgにより乗算することにより[mg/g]または[mg/mL]に変換することができる。全ての体重は25g~30gの範囲であった。
【0148】
補正脳濃度(血管含有量および分解(TCA沈殿性)について補正後)により示されるとおり、計測時点のいずれにおいても125I-sFGFR3_Del4-D3の検出可能な脳の取り込みは存在しなかった(図14A)。さらに、RSAのV(=V)および125I-sFGFR3_Del4-D3は、対応のあるt検定により決定されたとおり、計測時点(30分、2時間、および24時間)のいずれにおいても有意に異なることはなかった(図14B)。まとめると、静脈内ボーラスとして注射された2.5mg/kgの用量における30分、2時間、および24時間におけるマウスの脳組織中へのsFGFR3_Del4-D3の計測可能な取り込みは存在しなかった。
【0149】
実施例21:軟骨無形成症の治療についてのsFGFR3_Del4-D3のインビボ効力
sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sを、2.5mg/kgの週1回もしくは2回または10mg/kgの週2回の皮下用量においてそれぞれ評価した。繁殖を実施して半数の野生型および半数のヘテロ接合性Fgfr3ach/+マウスを有する30匹のリッターを生成した(表4)。
【0150】
【表4】
【0151】
3日目、単一リッターからの全ての新生マウスは同一用量を受容した。対照リッターは、10μlのPBS(ビヒクル)を受容した。その後、sFGFR3_Del4-D3およびsFGFR3_Del4-C253Sの皮下注射を、2.5mg/kgの週1回もしくは2回または10mg/kgの週2回の用量において背中の左側または右側上に交互に3週間投与した。マウスを特にロコモーションおよび排尿の変更に留意して毎日観察し、注射日に秤量した。合併症を有するマウスを監視のために1日2回観察した。事前のデータは、雌および雄間に統計的差異が存在しないことを示し、したがって、雌および雄を全ての分析について1つの群とみなした。
【0152】
22日目、全ての動物をペントバルビタールの致死注射により屠殺し、性別を判定した。全ての後続の計測および分析は、マウスゲノタイプの知識なしで実施して調査者のバイアスを回避した。試験の終了時にゲノタイピングを実施してデータと規定のゲノタイプとの対応を明らかにした。軟骨無形成症は表現型変異を有する疾患であるため、全ての動物を試験に含めた。22日目前に死亡した動物を使用して早期死亡に関する治療の影響を調査した。22日目における生存動物を全ての分析に使用した。全ての実験およびデータ計測を全ての時点において盲検化実験者により実施した。
【0153】
2.5mg/kgの週1回もしくは2回または10mg/kgの週2回におけるsFGFR3_Del4-D3の皮下投与は、PBSを受容したFgfr3ach/+マウスに対してFgfr3ach/+マウスの生存率を増加させた(図15および表4)。特に、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週2回の投与はFgfr3ach/+マウスの93%の生存率をもたらし、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週1回の投与はFgfr3ach/+マウスの84%の生存率をもたらし、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週2回の投与はFgfr3ach/+マウスの72%の生存率をもたらした一方、PBSを受容したFgfr3ach/+マウスの生存率は62.8%であった。10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの死亡率は6.7%であり、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回投与されたマウスの死亡率は15.4%であり、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの死亡率は28.0%であり、PBSを投与されたFgfr3ach/+マウスの死亡率は37.2%であった。sFGFR3_Del4-D3による処理後のFgfr3ach/+マウス生存率の統計的分析は、アゴスティーノ(Agostino)・ピアソンオムニバス正規性検定とそれに続くt検定を使用して実施した。全ての調査群は、正規性検定をパスした。これらの分析からのP値を以下に示し、は<0.05のP値を表し、***は<0.001のP値を表す(表5)。
【0154】
【表5】
【0155】
sFGFR3_Del4-D3の2.5mg/kgにおける週1回もしくは2回または10mg/kgの週2回の皮下投与も、PBSを受容したFgfr3ach/+マウスに対してFgfr3ach/マウスにおけるロコモーター疾病および腹式呼吸における合併症の重症度および頻度を減少させた(図16)。特に、ロコモーター疾病は、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回皮下投与されたFgfr3ach/+マウスで最も大きく減少し、それに続きsFGFR3_Del4-D3 2.5mg/kgを週2回投与されたマウスおよびsFGFR3_Del4-D3 2.5mg/kgを週1回投与されたマウスで減少した。腹式呼吸における合併症は、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回皮下投与されたFgfr3ach/+マウスで最も大きく減少し、それに続きsFGFR3_Del4-D3 2.5mg/kgを週1回投与されたマウス、次いでsFGFR3_Del4-D3 2.5mg/kgを週2回投与されたマウスで減少した。これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3がFgfr3ach/+マウスにおける軟骨無形成症の症状を低減させることを示す。
【0156】
sFGFR3_Del4-D3の皮下投与は、PBSを受容体したFgfr3ach/+マウスに対して2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回もしくは2回または10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回受容したFgfr3ach/+マウスにおいて軸長および尾長、ならびに長骨を含めた総体長も有意に増加させた(p=0.07)(図17A~17C)。尾長および体長(軸長)は、全骨格上で同一のデジタルキャリパーを使用して計測した。脛骨長は、デジタルX線上で計測した。10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週2回の投与は、Fgfr3ach/+マウスの51%の軸矯正率(体長および尾長)をもたらし、それに続き2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回受容したFgfr3ach/マウスの43%の軸矯正率、および2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回受容したFgfr3ach/+マウスの39%の軸矯正率をもたらした。骨長および体長の増加は、PBSを受容体したFgfr3ach/+マウスに対して2.5mg/kgまたは10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスのx線写真からも明らかであった(図17D)。10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週2回の投与は、Fgfr3ach/+マウスの86%の付属肢矯正率(脛骨および大腿骨長)をもたらし、それに続き2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回受容したFgfr3ach/+マウスの68%の付属肢矯正率および2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回受容したFgfr3ach/+マウスの54%の付属肢矯正率をもたらした。
【0157】
sFGFR3_Del4-D3の皮下投与は、PBSを受容体したFgfr3ach/+マウスに対してFgfr3ach/+マウスの頭蓋比(長さ/幅(L/W))の用量依存的な改善ももたらした(図18A)。10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回皮下投与されたFgfr3ach/+マウスが頭蓋比(L/W)の最大改善を呈し、それに続き2mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスおよび2mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回投与されたFgfr3ach/+マウスが改善を呈した。特に、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3の週2回の投与はFgfr3ach/+マウスの37%の頭蓋形状矯正率(L/W比)をもたらし、それに続き2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回受容したFgfr3ach/+の29%の頭蓋形状矯正率および2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回受容したFgfr3ach/+マウスの19%の頭蓋形状矯正率をもたらした。頭蓋比の改善は、PBSを受容したFgfr3ach/+マウスに対して10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスのx線写真からも明らかであった(図18B)。体長、尾、大腿骨、脛骨、および頭蓋比についての骨計測値(mmおよび平均±SEMで提示)を以下に示す(表6)。これらの結果は、Fgfr3ach/+マウスの生存率の増加、合併症の数の低減、骨成長の増加、および骨格比率の改善により実証されるとおり、sFGFR3_Del4-D3の用量依存的インビボ効力を示す。
【0158】
【表6】
【0159】
さらに、2.5mg/kgの週2回の投与量においてsFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての骨計測値の比較は、2.5mg/kgの週2回の投与量におけるsFGFR3_Del4-D3の投与が、Fgfr3ach/+マウスの骨、尾、大腿骨、および脛骨長の増加ならびに頭蓋比の改善において同等またはそれよりも有効であったことを示す(表7)。特に、sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの体長は、sFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての134.4±1.17mmに対して135.5±1.75mmに改善し;sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの尾長は、sFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての71.58±0.86mmに対して73.69±1.5mmに改善し;sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの大腿骨長は、sFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての10.01±0.06mmに対して10.58±0.09mmに改善し;sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの脛骨長は、sFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての13.27±0.31mmに対して14.09±0.12mmに改善し;sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋比は、sFGFR3_Del1を投与されたFgfr3ach/+マウスについての1.81±0.02mmに対して1.85±0.01mmに改善した。
【0160】
【表7】
【0161】
実施例22:sFGFR3_Del4-D3の投与に伴う臓器毒性は存在しない
sFGFR3_Del4-D3投与に伴う臓器毒性を特徴付けるための病理組織学的試験を実施した。野生型マウス(1用量当たり6匹の雄および6匹の雌)にPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、または10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与した。調査臓器は、腎臓、皮膚、唾液腺、下顎リンパ節、胆嚢、脾臓、膵臓、肺、心臓、大動脈、空腸、結腸、および肝臓を含んだ。sFGFR3_Del4-D3の用量のいずれかを投与された野生型マウス中の臓器毒性を示す病理組織学的結果は存在しなかった。これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3の10mg/kgまでの週2回の投与に伴う毒性が存在しないことを示す。
【0162】
実施例23:線維芽細胞成長因子に対するsFGFR3_Del4-D3の結合親和性の測定
本発明者らは、sFGFR3_Del4-D3が線維芽細胞成長因子(FGF)リガンドに結合し、膜結合FGFR3へのFGFの結合を妨害するためのデコイとして作用することを決定した。BIACORE(商標)T200(GE Healthcare)を使用して表面プラズモン共鳴を実施して固定化sFGFR3_Del4-D3への異なるヒトFGF(hFGF)結合についてのK値を測定した。特に、hFGF1(図19A)、hFGF2(図19B)、hFGF9(図19C)、およびhFGF18(図19D)の傍分泌hFGFならびにhFGF19(図19E)およびhFGF21(図19F)の内分泌hFGFについてのK値を測定した。4つ全ての傍分泌FGFリガンドは、ナノモル濃度(nM)の親和性でsFGFR3_Del4-D3に結合した(表8)。
【0163】
【表8】
【0164】
FGF2およびFGF18について、結合親和性の最も直接的なモデルである1:1結合モデルで良好なフィットが達成された。このモデルは、単一のオンおよびオフ速度で異なるFGFに結合する固定化SFGFR3_DEL4-D3を有するチップの表面における1:1結合相互作用:A+B=ABを説明する。2:1モデルも、SFGFR3_DEL4-D3へのFGF結合の1:1相互作用を説明するが、複合体を安定化させる立体構造変化:A+B=AB=ABも想定し、2つのオンおよびオフ速度を表す。このモデルは、立体構造的に変化した複合体(FGFに結合したSFGFR3_DEL4-D3)が、立体構造変化を逆転させることによってのみ解離し得ることを想定する。2:1モデルを極めて十分にフィットさせるようにhFGF1、hFGF9、hFGF19、およびhFGF21についての実験データを測定し、したがって、hFGF1、hFGF9、hFGF19、およびhFGF21についてのKをその2:1モデルから導いた。
【0165】
hFGF1、hFGF9、hFGF19、およびhFGF21が全て低いnM範囲のKを有するにもかかわらず、それらのhFGFのカイネティックプロファイルは有意に異なった。例えば、FGF1は、極めて速いオン速度およびオフ速度でsFGFR3_Del4-D3に結合する一方、FGF2は、FGF1と同一の速さのオン速度またはオフ速度でsFGFR3_Del4-D3に結合せず、FGF1と比較してFGF2についての全体的に小さいKをもたらす(表8)。有意に低い親和性が、傍分泌hFGFに対してsFGFR3_Del4-D3と、内分泌FGF15/FGF19サブファミリーのメンバーであるhFGF19またはhFGF21との間で計測された(表8ならびに図19Dおよび19E)。FGF15/FGF19サブファミリーは、補因子としてプロテオグリカンに代えてKlothoを使用し、代謝パラメータ、例えば、リン酸塩、胆汁酸、炭水化物、および脂質代謝の全身調節に重要な内分泌作用成長因子に進化した。
【0166】
これらの結果は、sFGFR3_Del4-D3と、hFGF1、hFGF2、hFGF9、およびhFGF18との間の高い親和性相互作用が存在した一方、sFGFR3_Del4-D3と、FGF19およびFGF21との間の低い親和性相互作用が存在したことを実証する。FGF19およびFGF21についてのsFGFR3_Del4-D3の低い親和性は、有利である。それというのも、sFGFR3_Del4-D3は、インビボでそれらのFGFの機能を干渉する低い確率を有するためである。
【0167】
実施例24:sFGFR3_Del4-D3のインビトロ増殖アッセイ
FGFの結合後、FGFR3は二量体化してシグナリングカスケードを開始する。いくつかの下流シグナリング経路がFGFシグナリングに関連する。軟骨細胞において、二量体化FGFR3は、軟骨細胞への抗増殖シグナル/早期分化シグナルをもたらし、それが最終的に骨成長の阻害をもたらす。例えば、RAS/MAPK経路は、増殖、最終分化、および有糸分裂後マトリックス合成に負の影響を与えるためのシグナルを伝播し、STAT1経路は、細胞周期調節因子p107および130ならびに細胞周期阻害因子p21Waf/Cip1と協調して軟骨細胞増殖の阻害を媒介する。遺伝子発現試験は、多数の他の経路も成長促進分子の下方調節または抗増殖機能の誘導に関与することを示唆する。
【0168】
軟骨細胞モデルにおけるFGFR3G380RのFGFR3デコイ誘導阻害を試験するため、FGFR3ach突然変異を過剰発現するように遺伝子改変されたATDC5細胞(ATDC5 FGFR3G380R細胞)の増殖に対するsFGFR3_Del4-D3の効果を測定するための試験を実施した。軟骨細胞系ATDC5細胞は、最初に分化奇形癌幹細胞系AT805から単離され、一般に、インビトロ軟骨細胞研究用モデルとして使用される。ATDC5細胞は、最初にレトロウイルス発現ベクターにより感染され、FGFR3G380Rを発現する安定細胞系が生成された。ATDC5細胞系中でのFGFR3G380Rの発現をウエスタンブロットを介して測定した(図20)。耐性細胞選択後の第1継代(G380R#1)および第2継代(G380R#2)におけるFGFR3G380Rを発現するATDC5細胞の抽出物ならびに対照ATDC5細胞の抽出物をブロットし、FGFR3の総リン酸化(pFGFR3)、FGFR3中の規定のホスホチロシン724(pFGFR3 Y724)、および総FGFR3発現(FGFR3)について抗体により検出した。総細胞外シグナル関連キナーゼ発現をローディング対照(ERK)として使用した。ATDC5 FGFR3G380R細胞へのSFGFR3_DEL4-D3の添加は、ATDC5 FGFR3G380R細胞の増殖指数を2倍だけ用量依存的に増加させ、EC50は1.25+/-0.27nMであった(図21)。これらの結果は、ATDC5 FGFR3G380R細胞へのSFGFR3_DEL4-D3の添加が軟骨無形成症の細胞モデルにおいてFGFR3G380Rにより媒介される負の成長シグナルを克服し、軟骨細胞中でFGFR3により媒介される抗増殖シグナルと一致し、それは、軟骨細胞がG380R突然変異を含むFGFR3を発現する場合により傑出していることを実証する。
【0169】
他の実施形態
上記明細書に挙げられる全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照により全体として組み込まれることが具体的および個別的に示されるのと同一の程度に参照して本明細書に組み込まれる。本発明の記載の方法、医薬組成物、およびキットの種々の改変および変形は、本発明の範囲および主旨から逸脱せずに当業者に明らかである。本発明を具体的な実施形態と関連付けて記載してきたが、それがさらに改変され得ることおよび特許請求される本発明がそのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解される。実際、当業者に明らかな記載の本発明の実施方式の種々の改変は、本発明の範囲であるものとする。本出願は、一般に、本発明の原理に従って本発明の任意の変形、使用、または適合を包含し、本開示からのそのような逸脱は、本発明が属する分野内の公知の慣習的な実務の範囲内に収まるものとし、本明細書に上記の必須の特徴部に適用することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B-1】
図9B-2】
図9C-1】
図9C-2】
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図20
図21
【配列表】
2022096660000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書および図面に記載した発明
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0169】
本発明の実施形態を、以下、さらに記載する:
[項1]
配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド配列を含む可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドであって、FGFR3のシグナルペプチドおよび膜貫通ドメインを欠き、(i)500アミノ酸長未満であるか;(ii)200以下の連続アミノ酸のFGFR3の細胞内ドメインを含むか;または(iii)FGFR3のチロシンキナーゼドメインを欠く、ポリペプチド。
[項2]
475、450、425、400、375、または350アミノ酸長未満である、上記項1に記載のポリペプチド。
[項3]
175、150、125、100、75、50、40、30、20、15以下の連続アミノ酸のFGFR3の細胞内ドメインを含む、上記項1に記載のポリペプチド。
[項4]
配列番号32のアミノ酸残基423~435と少なくとも90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項5]
配列番号32のアミノ酸残基423~435をさらに含む、上記項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項6]
配列番号32のアミノ酸残基23~357と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項7]
配列番号33と少なくとも92%、95%、97%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項8]
配列番号33を含む、またはそれからなる、上記項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項9]
配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可溶性線維芽細胞成長因子受容体3(sFGFR3)ポリペプチドであって、配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換をさらに含む、ポリペプチド。
[項10]
前記253位におけるシステイン残基が、セリン残基により置換されている、上記項9に記載のポリペプチド。
[項11]
アミノ酸配列と少なくとも87%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記項9または10に記載のポリペプチド。
[項12]
配列番号2のアミノ酸配列を含む、またはそれからなる、上記項9から11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項13]
単離sFGFR3ポリペプチドである、上記項1から12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項14]
線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合する、上記項1から13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項15]
前記結合が、約0.2nM~約20nMの平衡解離定数(K )により特徴付けられる、上記項14に記載のポリペプチド。
[項16]
前記結合が、約1nM~約10nMのK により特徴付けられ、場合により、前記K が、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、または約10nmである、上記項15に記載のポリペプチド。
[項17]
配列番号20、21、36または37の核酸配列と少なくとも85%、87%、90%、92%、95%、97%または99%の配列同一性を有する核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる、上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項18]
前記ポリヌクレオチドが、配列番号20、21、36または37の核酸配列を含む、またはそれからなる、上記項17に記載のポリペプチド。
[項19]
前記ポリヌクレオチドが単離ポリヌクレオチドである、上記項17または18に記載のポリペプチド。
[項20]
上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[項21]
プラスミド、人工染色体、ウイルスベクター、およびファージベクターからなる群より選択される、上記項20に記載のベクター。
[項22]
単離ポリヌクレオチドである、上記項21に記載のベクター。
[項23]
上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは上記項20から22のいずれか一項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[項24]
単離宿主細胞である、上記項23に記載の宿主細胞。
[項25]
HEK293細胞またはCHO細胞である、上記項23または24に記載の宿主細胞。
[項26]
上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、上記項20から22のいずれか一項に記載のベクター、または上記項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む、組成物。
[項27]
薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、上記項26に記載の組成物。
[項28]
約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量における投与のために配合される、上記項26または27に記載の組成物。
[項29]
約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量における投与のために配合される、上記項28に記載の組成物。
[項30]
1日1回、週1回、または月1回の投与のために配合される、上記項26から29のいずれか一項に記載の組成物。
[項31]
週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回の投与のために配合される、上記項26から30のいずれか一項に記載の組成物。
[項32]
約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量における週1回または週2回の投与のために配合される、上記項31に記載の組成物。
[項33]
非経口投与、腸内投与または局所投与のために配合される、上記項26から32のいずれか一項に記載の組成物。
[項34]
皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与または腹腔内投与のために配合される、上記項33に記載の組成物。
[項35]
皮下投与のために配合される、上記項34に記載の組成物。
[項36]
上記項26から35のいずれか一項に記載の組成物を含む、医薬品。
[項37]
患者における骨格成長遅滞障害を治療する方法であって、上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、上記項20から22のいずれか一項に記載のベクター、上記項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞、上記項26から35のいずれか一項に記載の組成物、または上記項36に記載の医薬品を投与することを含む、方法。
[項38]
骨格成長遅滞障害を有する患者において組織にポリペプチドを送達する方法であって、該患者に有効量の上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、上記項20から22のいずれか一項に記載のベクター、上記項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞、上記項26から35のいずれか一項に記載の組成物、または上記項36に記載の医薬品を投与することを含む、方法。
[項39]
前記組織が骨格組織である、上記項38に記載の方法。
[項40]
前記骨格成長遅滞障害が、FGFR3関連骨格疾患である、上記項37から39のいずれか一項に記載の方法。
[項41]
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症、タナトフォリック骨異形成症I型(TDI)、タナトフォリック骨異形成症II型(TDII)、発育遅延および黒色表皮症を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群、ならびに屈指・高身長・難聴症候群(CATSHL)からなる群より選択される、上記項40に記載の方法。
[項42]
前記骨格成長遅滞障害が、軟骨無形成症である、上記項41に記載の方法。
[項43]
前記頭蓋骨縫合早期癒合症候群が、Muenke症候群、クルーゾン症候群、およびクルーゾン皮膚骨格症候群からなる群より選択される、上記項41に記載の方法。
[項44]
前記FGFR3関連骨格疾患が、前記患者における構成的に活性なFGFR3の発現により引き起こされる、上記項40から43のいずれか一項に記載の方法。
[項45]
前記構成的に活性なFGFR3が、配列番号5の380位のアミノ酸におけるアルギニン残基によるグリシン残基の置換を含む、上記項44に記載の方法。
[項46]
前記患者が、骨格成長遅滞障害と診断されている、上記項37から45のいずれか一項に記載の方法。
[項47]
前記患者が、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状を呈する、上記項37から46のいずれか一項に記載の方法。
[項48]
前記患者が、前記ポリペプチドの投与後に前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈する、上記項47に記載の方法。
[項49]
前記患者が、ポリペプチドを予め投与されていない、上記項37から48のいずれか一項に記載の方法。
[項50]
前記患者が、幼児、小児、若年者および成人からなる群より選択される、上記項37から49のいずれか一項に記載の方法。
[項51]
前記患者がヒトである、上記項37から50のいずれか一項に記載の方法。
[項52]
前記ポリペプチドを、患者に約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量で投与する、上記項37から51のいずれか一項に記載の方法。
[項53]
前記ポリペプチドを、患者に約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する、上記項52に記載の方法。
[項54]
前記ポリペプチドを、患者に1日1回以上、週1回以上、月1回以上、または年1回以上投与する、上記項37から53のいずれか一項に記載の方法。
[項55]
前記ポリペプチドを、患者に週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回投与する、上記項37から54のいずれか一項に記載の方法。
[項56]
前記ポリペプチドを、患者に約0.25mg/kg~約20mg/kgの用量で、少なくとも約週1回または2回以上投与する、上記項55に記載の方法。
[項57]
前記ポリペプチドを、患者に約2.5mg/kgまたは約10mg/kgの用量で、週1回または2回投与する、上記項56に記載の方法。
[項58]
前記ポリペプチドを、患者に薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤を含む組成物中で投与する、上記項37から57のいずれか一項に記載の方法。
[項59]
前記組成物を、患者に皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内または腹腔内投与する、上記項58に記載の方法。
[項60]
前記組成物を、患者に皮下注射により投与する、上記項59に記載の方法。
[項61]
前記ポリペプチドが、約2時間~約25時間のインビボ半減期を有する、上記項59または60に記載の方法。
[項62]
前記ポリペプチドの投与が、患者の生存率を増加させる、上記項37から61のいずれか一項に記載の方法。
[項63]
前記ポリペプチドの投与が、患者のロコモーションを改善する、上記項37から62のいずれか一項に記載の方法。
[項64]
前記ポリペプチドの投与が、患者における腹式呼吸を改善する、上記項37から63のいずれか一項に記載の方法。
[項65]
前記ポリペプチドの投与が、患者の体長および/または骨長を増加させる、上記項37から64のいずれか一項に記載の方法。
[項66]
前記ポリペプチドの投与が、患者における頭蓋比を改善し、および/または大後頭孔形状を回復させる、上記項37から65のいずれか一項に記載の方法。
[項67]
前記ポリペプチドの発現を生じさせるために好適な条件下で培養培地中で上記項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、前記培養培地から前記ポリペプチドを回収することを含む、上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチドの産生方法。
[項68]
前記回収がクロマトグラフィーを含む、上記項67に記載の方法。
[項69]
前記クロマトグラフィーが、親和性クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーを含む、上記項68に記載の方法。
[項70]
前記親和性クロマトグラフィーが、イオン交換クロマトグラフィーまたは抗FLAGクロマトグラフィーを含む、上記項69に記載の方法。
[項71]
前記抗FLAGクロマトグラフィーが、免疫沈降を含む、上記項70に記載の方法。
[項72]
患者における骨格成長遅滞障害を治療するための、上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項73]
前記骨格成長遅滞障害が、FGFR3関連骨格疾患である、上記項72に記載のポリペプチド。
[項74]
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症、TDI、TDII、SADDAN、軟骨低形成症、頭蓋骨縫合早期癒合症候群およびCATSHLからなる群より選択される、上記項73に記載のポリペプチド。
[項75]
前記FGFR3関連骨格疾患が、軟骨無形成症である、上記項74に記載のポリペプチド。
[項76]
前記頭蓋骨縫合早期癒合症候群が、Muenke症候群、クルーゾン症候群およびクルーゾン皮膚骨格症候群からなる群より選択される、上記項75に記載のポリペプチド。
[項77]
前記FGFR3関連骨格疾患が、構成的に活性なFGFR3の前記患者における発現により引き起こされる、上記項73~76のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項78]
前記構成的に活性なFGFR3が、配列番号5の380位のアミノ酸におけるアルギニン残基によるグリシン残基の置換を含む、上記項77に記載のポリペプチド。
[項79]
前記患者が、前記骨格成長遅滞障害と診断されている、上記項72から78のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項80]
前記患者が、四肢短縮、短い胴体、O脚、動揺性歩行、頭蓋異形、クローバー葉頭蓋、頭蓋骨縫合早期癒合症、ウォルム骨、手の奇形、足の奇形、ヒッチハイカーの親指、および胸部奇形からなる群より選択される前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状を呈する、上記項72から79のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項81]
前記患者が、前記sFGFR3ポリペプチドの投与後に前記骨格成長遅滞障害の1つ以上の症状の改善を呈する、上記項80に記載のポリペプチド。
[項82]
前記患者が、前記ポリペプチドを予め投与されていない、上記項72から81のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項83]
前記患者が、幼児、小児、若年者および成人からなる群より選択される、上記項72から82のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項84]
前記患者がヒトである、上記項72から83のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項85]
前記患者に約0.002mg/kg~約30mg/kgの用量で投与される、上記項72から84のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項86]
前記患者に約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される、上記項85に記載のポリペプチド。
[項87]
前記患者に1日1回以上、週1回以上、月1回以上、または年1回以上投与される、上記項72から86のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項88]
前記患者に週7回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間に1回、または月1回投与される、上記項72から87のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項89]
前記患者に約2.5mg/kg~約10mg/kgの用量で、週2回投与される、上記項88に記載のポリペプチド。
[項90]
前記患者に、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物中で投与される、上記項72から89のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項91]
前記組成物が、前記患者に非経口、腸内、または局所投与される、上記項90に記載のポリペプチド。
[項92]
前記組成物が、前記患者に皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、または腹腔内投与される、上記項91に記載のポリペプチド。
[項93]
前記組成物が、前記患者に皮下注射により投与される、上記項92に記載のポリペプチド。
[項94]
線維芽細胞成長因子1(FGF1)、線維芽細胞成長因子2(FGF2)、線維芽細胞成長因子9(FGF9)、線維芽細胞成長因子18(FGF18)、線維芽細胞成長因子19(FGF19)、または線維芽細胞成長因子21(FGF21)に結合する、上記項72から93のいずれか一項に記載のポリペプチド。
[項95]
FGFR3ポリペプチドからシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインの一部を欠失させることを含む、上記項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
[項96]
前記細胞内ドメインの前記一部が、配列番号32のアミノ酸残基436~806からなる、上記項95に記載の方法。
[項97]
配列番号1の253位におけるシステイン残基を除去するアミノ酸置換を導入することを含む、上記項9から12のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
[項98]
上記項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド、上記項17から19のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、上記項20から22のいずれか一項に記載のベクター、または上記項23から25のいずれか一項に記載の宿主細胞を含むキットであって、場合により、前記キットの使用説明書を含む、キット。
上記明細書に挙げられる全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照により全体として組み込まれることが具体的および個別的に示されるのと同一の程度に参照して本明細書に組み込まれる。本発明の記載の方法、医薬組成物、およびキットの種々の改変および変形は、本発明の範囲および主旨から逸脱せずに当業者に明らかである。本発明を具体的な実施形態と関連付けて記載してきたが、それがさらに改変され得ることおよび特許請求される本発明がそのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解される。実際、当業者に明らかな記載の本発明の実施方式の種々の改変は、本発明の範囲であるものとする。本出願は、一般に、本発明の原理に従って本発明の任意の変形、使用、または適合を包含し、本開示からのそのような逸脱は、本発明が属する分野内の公知の慣習的な実務の範囲内に収まるものとし、本明細書に上記の必須の特徴部に適用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
図1A-D】sFGFR3ポリペプチドのセンサーグラムを示すグラフである。センサーグラムを、sFGFR3_Del1(配列番号7)、sFGFR3_Del4(配列番号1)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10;図1A);sFGFR3_Del1(配列番号7)およびsFGFR3_Del1-D3(配列番号9;図1B);sFGFR3_Del4-LK1-LK2(配列番号10)、sFGFR3_Del4-LK1-LK2-C253S(配列番号11)、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2-D3(配列番号12;図1C);ならびにsFGFR3_Del4(配列番号1)、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33;図1D)について示す。
図2A-C】sFGFR3ポリペプチドのウエスタンブロットの画像である。還元(R)および非還元(NR)条件下のウエスタンブロットを、sFGFR3_Del1、sFGFR3_Del1-C253S(配列番号8)、およびsFGFR3_Del1-D3(図2A);sFGFR3_Del4-LK1-LK2、sFGFR3_Del4-LK1-LK2-C253S、およびsFGFR3_Del4-LK1-LK2-D3(図2B);ならびにsFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3(図2C)について示す。
図3A-B】FGF2の存在下でFgfr3ach/+軟骨細胞を使用したsFGFR3_Del4、sFGFR3_Del4-C253S、およびsFGFR3_Del4-D3のセンサーグラム(図3A)および増殖アッセイ(図3B)を示すグラフである。
図4】1ng/mLのhFGF2を用いてまたは用いずに0nM、70nM、および280nMにおけるsFGFR3_Del4-D3とインキュベートしたFGFR3G380Rを発現する血清応答エレメント-ルシフェラーゼ(SRE-Luc)HEK細胞におけるルシフェラーゼシグナリングを示すグラフである(は、0nMにおけるsFGFR3_Del4-D3と比較したp値<0.05を示し;***は、p値<0.001を示す)。
図5】日齢(日数)に対する低用量(0.25mg/kg)のsFGFR3_Del4-D3による処理3日後の生存動物(野生型(wt)およびFgfr3ach/+マウス)の割合を示すグラフである。ビヒクル(PBS)を受容した生存wtマウスの割合も示す。
図6】野生型FGFR3ポリペプチド(配列番号5または32)、sFGFR3_Del4-C253S(配列番号2)、およびsFGFR3_Del4-D3(配列番号33)のバリアントのIg様C2型ドメイン1(IgI)、2(IgII)、および3(IgIII)に対応するアミノ酸残基を示す画像である。sFGFR3_Del4-C253Sは、配列番号1の253位におけるセリン残基によるシステイン残基のアミノ酸置換を含む。
図7A-B】sFGFR3ポリペプチドのウエスタンブロットの画像である。還元(R)および非還元(NR)条件下のウエスタンブロットを、2.3mg/mlおよび23mg/mlのsFGFR3_Del1-D3(図7A)ならびに1.5mg/mlおよび15mg/mlのsFGFR3_Del1-C253S(図7B)について示す。
図8A-B】20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液および40mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-C253Sの融解温度(T)(図8A)ならびに20mMのリン酸塩、40mMのNaCl、pH7.5緩衝液および20mMのクエン酸塩、40mMのNaCl、pH6.5緩衝液中のsFGFR3_Del4-D3のT図8B)を示すグラフである。
図9A-C】sFGFR3_Del4-D3の高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)溶出プロファイルを示すグラフである。FPLC溶出プロファイルを、図9A:0分、2時間、および24時間におけるsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画(図9A);図9B:1分、15分、30分、2時間、および24時間における静脈内ボーラスにより投与されたsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画および最大ピークに正規化したもの(図9B(続き)に示す);図9C:30分、2時間、4時間、および24時間における皮下注射により投与されたsFGFR3_Del4-D3、cpm/分画および最大ピークに正規化したもの(図9C(続き)に示す)について示す。
図10A-B】sFGFR3ポリペプチドの存在下でのFgfr3ach/+の軟骨細胞の増殖の割合(%)を示すグラフである。Fgfr3ach/+軟骨細胞増殖を、1ug/ml、10ug/ml、および50ug/mlのsFGFR3_Del4-D3(図10A)ならびに1ug/ml、10ug/ml、および50ug/mlのsFGFR3_Del4-C253S(図10B)について示す。
図11】皮下投与された2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3および静脈内投与された2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3のPKプロファイルを示すグラフである。
図12】静脈内投与の30分、120分、および1440分後における腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度を示すグラフである。濃度を1グラム当たりの注射用量のパーセント(%ID/g)として表現する。
図13】皮下投与の30分、120分、240分、480分、および1440分後における腎臓、肝臓、脾臓、肺、および心臓組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度を示すグラフである。濃度を%ID/gとして表現する。
図14A-B】脳組織中の125I-sFGFR3_Del4-D3の濃度(c)および分布容量(V)を示すグラフである。静脈内ボーラスの30分、2時間、および24時間後における血管含有率および分解についての補正前後の125I-sFGFR3_Del4-D3のc(図14A)ならびに静脈内ボーラスの30分、2時間、および24時間後における125I-sFGFR3_Del4-D3およびRSAのV図14B)を示す。
図15】sFGFR3_Del4-D3を投与された生存Fgfr3ach/+マウスの割合を示すグラフである。22日間にわたり、ビヒクルとしてのPBSを投与された生存野生型マウス、生存Fgfr3ach/+マウス、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回投与された生存Fgfr3ach/+マウス、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された生存Fgfr3ach/+マウス、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された生存Fgfr3ach/+マウスを示す。
図16】ビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスにおけるロコモーターおよび腹式呼吸合併症の割合(%)を示すグラフである。
図17A-D】sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの体長を示すグラフおよびx線写真である。ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウス、ならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの軸長(図17A)、尾長(図17B)、および脛骨長(図17C)を示す。ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウスならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスのx線写真(図17D)も示す。全ての計測値はミリメートル(mm)におけるものである。
図18A-B】それぞれ、sFGFR3_Del4-D3を投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋比を示すグラフおよび頭蓋を示すx線写真である。グラフ(図18A)において、ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウスならびにビヒクルとしてのPBS、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週1回、2.5mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋比(L/W)を示す。x線写真(図18B)において、ビヒクルとしてのPBSを投与された野生型マウス、ビヒクルとしてのPBSを投与されたFgfr3ach/+マウス、10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与された野生型マウス、および10mg/kgのsFGFR3_Del4-D3を週2回投与されたFgfr3ach/+マウスの頭蓋を示す。
図19A-F】固定化SFGFR3_DEL4-D3への異なる濃度のhFGF1、FGF2、hFGF9、hFGF18、hFGF19、およびhFGF21の結合についてのリアルタイムでのカイネティックプロファイルを示すグラフである。固定化SFGFR3_DEL4-D3への0.5nM~12nMの濃度におけるhFGF1(図19A);固定化SFGFR3_DEL4-D3への2nM~10nMの濃度におけるhFGF2(図19B);固定化SFGFR3_DEL4-D3への1nM~5nMの濃度におけるhFGF9(図19C);固定化SFGFR3_DEL4-D3への1nM~10nMの濃度におけるhFGF18(図19D);固定化SFGFR3_DEL4-D3への2nM~20nMの濃度におけるhFGF19(図19E);および固定化SFGFR3_DEL4-D3への100nM~10000nMの濃度におけるhFGF21(図19F)の結合についてのカイネティックプロファイルを示す。暗色重複線は、K値を生成するために使用された2:1結合モデルを表す。
図20】非誘導野生型ATDC5およびFGFR3G380Rを発現するレトロウイルス感染ATDC5細胞のウエスタンブロットの画像である。
図21】3回の実験についてのSFGFR3_DEL4-D3の存在下でのATDC5 FGFR3G380R細胞の増殖の誘導を示すグラフである。非処理ATDC5 FGFR3G380R細胞を対照として使用した。
【外国語明細書】