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  • 特開-細菌叢移植用組成物の移植方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009670
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】細菌叢移植用組成物の移植方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/741 20150101AFI20220106BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61K35/741
A61P1/00 171
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176517
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2020540827の分割
【原出願日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2019061540
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519108235
【氏名又は名称】株式会社晩聲社
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】成 永順
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087BC32
4C087CA09
4C087MA56
4C087NA14
4C087ZA73
4C087ZC61
(57)【要約】
【課題】特定の病状に特化した適切な細菌叢のみを抽出するとともに、ペットの体質に適した細菌叢移植用組成物の移植方法を提供する。
【解決手段】本発明の細菌叢移植用組成物の移植方法は、動物から採取された糞便を濾過する濾過工程と、濾過工程で濾過されて得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢移植用組成物を抽出する抽出工程と、抽出工程で抽出された細菌叢移植用組成物を分析する分析工程と、分析工程の結果から投与対象に応じて適切な細菌叢移植用組成物を選択する工程と、選択する工程で選択された細菌叢移植用組成物を投与対象に投与する投与工程とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物から採取された糞便を濾過する濾過工程と、
前記濾過工程で濾過されて得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢移植用組成物を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出された細菌叢移植用組成物を分析する分析工程と、
前記分析工程の結果から投与対象に応じて適切な細菌叢移植用組成物を選択する工程と、
前記選択する工程で選択された細菌叢移植用組成物を投与対象に投与する投与工程と、
を含むことを特徴とする細菌叢移植組成物の移植方法。
【請求項2】
前記選択する工程において、同種の動物同士の細菌叢移植用組成物、同じ疾患を有する他の動物の細菌叢移植用組成物、または、ペットのオーナーなどの生活環境が近似する者の細菌叢移植用組成物のいずれかを選択する、
請求項1に記載の細菌叢移植組成物の移植方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット等の動物に対する細菌叢移植用組成物の移植方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イヌや猫等のペットの食生活についても、人間と同様に腸内フローラの存在が注目されており、ペットについても腸内フローラを整えることで健康につなげることが研究され始めている。腸内には多種多様な細菌が群生しており、その群生は腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれ、悪質な菌の侵入や増殖を防いだり腸の運動を促す有益な菌や、腸内で食物の腐敗を進め、有毒物質をつくるなど、体に悪い働きをする菌、ペットの体調が崩れた時に有害な働きをする菌などが含まれている。この腸内フローラは動物の個体ごとに異なり、さらにはそのときどきの食事内容、生活習慣や年齢、ストレス、運動不足などによっても変化する。
【0003】
健康なペットの腸内では、有益な菌が有害な菌を抑える形で腸内フローラが一定のバランスで維持されているが、食生活やストレスなどの原因で有害な菌が優勢になると腸内腐敗が進み健康に有害な物質が増加する。これらの有害物質が下痢や便秘等の原因になったり、アレルギー、皮膚疾患や肥満の原因になるとも言われている。こうしたことから、人間だけでなくイヌや猫等のペットでも健康維持のために、腸内フローラを整えることに注目が集まっている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
人間に対する研究では、腸内細菌やこれらの代謝物が、腸管の炎症抑制や免疫調整に重要な役割を果たしていることは広く知られているところであるが、近年、便微生物叢移植法(fecal microbiota transplantation:FMT)の可能性が示唆されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Masuoka H, Shimada K, Kiyosue-Yasuda T,Kiyosue M, Oishi Y, Kimura S, et al.,“Transition of the intestinal microbiota of cats with age”, August 16, 2017, PLoS ONE 12(8) e0181739. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0181739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した論文(非特許文献1)によれば、動物種によってその年齢や食生活に応じて腸内フローラの種類や状態に特徴や傾向があることが分かってきており、人間に関する便微生物叢移植法の研究成果やノウハウがそのまま適用できないとしている。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、ペット等の動物に適した細菌叢移植用組成物の移植方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、動物から採取された糞便を濾過する濾過工程と、濾過工程で濾過されて得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢移植用組成物を抽出する抽出工程と、抽出工程で抽出された細菌叢移植用組成物を分析する分析工程と、分析工程の結果から投与対象に応じて適切な細菌叢移植用組成物を選択する工程と、選択する工程で選択された細菌叢移植用組成物を投与対象に投与する投与工程と、を含む。
【0009】
また、本発明は、選択する工程において、同種の動物同士の細菌叢移植用組成物、同じ疾患を有する他の動物の細菌叢移植用組成物、または、ペットのオーナーなどの生活環境が近似する者の細菌叢移植用組成物のいずれかを選択する。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明によれば、動物から採取された糞便を濾過して得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢移植用組成物を抽出し、抽出された細菌叢移植用組成物を分析した結果から投与対象に応じた適切な細菌叢移植用組成物を選択するため、特定の病状に特化した適切な細菌叢のみを抽出するとともに、ペットの体質に適した細菌叢移植用組成物の移植方法を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る腸内フローラの概要を示す概念図である。
図2】第1実施形態に係る細菌叢移植用器具を示す上面図である。
図3】第2実施形態に係る腸内フローラの概要を示す概念図である。
図4】第2実施形態に係る細菌叢移植用器具を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
(腸内フローラ移植方法の概要)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る腸内フローラ移植方法の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る腸内フローラ移植方法の概要を示す概念図である。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0013】
同図に示すように、先ずドナーとなる動物A1から採取された糞便を濾過する濾過工程S01を行う。濾過工程S01では、ドナーである動物A1から提供された100グラムの糞便を溶液に混濁させ、この混濁液2を漏斗21に設置した滅菌ガーゼ20を通じて5回の濾過を行う。この溶液は200グラムの生理食塩水に100グラムのナノバブル水素水を混ぜて生成されている。このナノバブル水素水は交流電気分解によってつくられた溶液であり、100万分の1mmサイズの気泡を含んでいる。このようにナノバブル水素水を使うことによって、活性酸素の一種であるヒドロキシラジカルを腸内フローラ内で抑制し、製作してから3日程度以内であれば効用を維持して腸内移植が可能となる。
【0014】
次いで、濾過工程S01で濾過されて得られた糞便細菌叢材料3から、遠心分離により細菌叢42を抽出する抽出工程S02を行う。この遠心分離は、糞便細菌叢材料3を入れた試験管を遠心分離機4の回転体40内に設置して回転させることにより、沈澱物42bと上澄み液42aとに分離させ、不要なものを除去する。この遠心分離では、遠心分離機1500/秒の回転速度を5分間継続させ、さらに細かいものを除去する。
【0015】
そして、このように不要物が除去することにより抽出された細菌叢42cに色素材料6を配合する着色工程S03を行う。ここでは、例えば、色素材料6として、食用黄4号8.4%及び食用青色1号3.6%を配合し緑色に着色する。なお、この着色工程S03において細菌叢に配合される色素材料としては、例えば、クチナシの果実から抽出した材料を用いることができる。アカネ科クチナシ属の果実は、古来から生薬や漢方薬の原料として用いられ、腸の中に入っても害はなく、果実に含まれるカロチノイドの一種であるクロシンは黄色の着色料にもなる。また、クチナシの果実の抽出物中に含まれるゲニピンと、米糠に含まれるアミノ酸とを発酵させて青色の着色料を生成し、上記黄色色素75%と、青色色素20%とを混ぜて緑に着色し、デキストリンを5%まぜて粉末にする。この粉末を水に溶かし、この粉末の溶液を用いて、細菌叢を濾過する最後の回に使用するようにしてもよい。
【0016】
次いで、着色工程S03で配合された細菌叢移植用組成物5を、移植用器具7の収容部7aに収容する収容工程S04を行う。この収容工程S04で用いられる移植用器具7は、上記細菌叢移植用組成物5を移植するために用いられる器具であって、細菌叢移植用組成物5を収容し圧縮可能な形状を有する収容部7aと、収容部7aに連結されてその内部が連通された管状の注入部7bとを備えている。この移植用器具7は、注入方向における注入部7bの、移植対象である動物A2の体内に挿入される長さが、同方向における収容部7aの長さよりも長く形成されている。
【0017】
本実施形態において、移植用器具7の少なくとも収容部7aは透明の素材で形成されて中身がよく見えるようになっている。また、本実施形態に係る移植用器具7は、収容部7aの長さが5センチとなっているとともに、管状の注入部7bの長さが10センチ程度に形成されている。そして、図2に拡大して示すように、動物A2の種類によって注入部7bの長さが調節できるように1センチ単位でメモリ7dが付されているとともに、注入部7bの長手方向に沿って移動可能なストッパー7cが取付けられており、注入部7bの、動物A2の体内に挿入される実質的な長さを変えられるようになっている。最後に、移植対象である動物A2に細菌叢移植用組成物5を投与する投与工程S05を実行する。ここでは、注入部7bを動物A2の肛門に挿入し、収容部7aを圧縮することにより注入部7bを通じて収容部7a内の細菌叢移植用組成物5を投与する。
【0018】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態にかかる 腸内フローラ移植方法によれば、動物から採取された糞便を濾過して得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢を抽出し抽出された細菌叢に色素材料を配合するため、適切な細菌叢のみを抽出するとともに、色素によって着色することによって糞便を取り扱う心理的な抵抗感を低減しつつ、ペットの体質に適した腸内フローラ移植方法を実施できる。
【0019】
[第2実施形態]
続いて本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上述した第1実施形態で説明した工程に、材料を凍結して保管し、解凍する冷凍保存工程をさらに設けたことを要旨とする。図3は、本実施形態に係る腸内フローラ移植方法の概要を示す概念図である。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
(腸内フローラ移植方法の概要)
図3に示すように、本実施形態においても上述した第1実施形態と同様に、先ずドナーとなる動物A1から採取された糞便を濾過する濾過工程S01を行う。濾過工程S01では、ドナーである動物A1から提供された100グラムの糞便を溶液に混濁させ、この混濁液2を漏斗21に設置した滅菌ガーゼ20を通じて5回の濾過を行う。この溶液は200グラムの生理食塩水に100グラムのナノバブル水素水を混ぜて生成されている。このナノバブル水素水は交流電気分解によってつくられた溶液であり、100万分の1mmサイズの気泡を含んでいる。このようにナノバブル水素水を使うことによって、活性酸素の一種であるヒドロキシラジカルを腸内フローラ内で抑制し、製作してから3日程度以内であれば効用を維持して腸内移植が可能となる。
【0021】
次いで、濾過工程S01で濾過されて得られた糞便細菌叢材料3から、遠心分離により細菌叢42を抽出する抽出工程S02を行う。この遠心分離は、糞便細菌叢材料3を入れた試験管を遠心分離機4の回転体40内に設置して回転させることにより、沈澱物42bと上澄み液42aとに分離させ、不要なものを除去する。この遠心分離では、遠心分離機1500/秒の回転速度を5分間継続させ、さらに細かいものを除去する。
【0022】
そして、このように不要物が除去することにより抽出された細菌叢42cに色素材料6を配合する着色工程S03を行う。ここでは、例えば、色素材料6として、食用黄4号8.4%及び食用青色1号3.6%を配合し緑色に着色する。なお、この着色工程S03において細菌叢に配合される色素材料としては、例えば、クチナシの果実から抽出した材料を用いることができる。アカネ科クチナシ属の果実は、古来から生薬や漢方薬の原料として用いられ、腸の中に入っても害はなく、果実に含まれるカロチノイドの一種であるクロシンは黄色の着色料にもなる。また、クチナシの果実の抽出物の中に含まれるゲニピンと、米糠に含まれるアミノ酸とを発酵させて青色の着色料を生成し、上記黄色色素75%と、青色色素20%とを混ぜて緑に着色し、デキストリンを5%まぜて粉末にする。この粉末を水に溶かし、この粉末の溶液を用いて、細菌叢を濾過する最後の回に使用するようにしてもよい。
【0023】
ここで、本実施形態では、投与工程S05に先行させて、着色工程S03で生成された細菌叢移植用組成物を凍結させて保管する冷凍保存工程S61を行う。この冷凍保存工程S61では、収容工程S04で用いられる収容容器8の収容部8aに細菌叢移植用組成物に収容した状態で凍結及び保管を行う。
【0024】
この冷凍保存工程S61における凍結はフリーズドライ方式を用いる。具体的には、細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)100ccを8時間で30%減量されるように、すなわち70ccとなるようにフリーズドライ処理を行う。そして、この凍結された細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)については、収集して分析する工程S62を行う。この収集及び分析の結果、投与対象の動物A2の種類や症状に応じて適切な細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)を選択できるようになる。なお、ここで収集される細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)としては、同種の動物同士のものに限らず、例えば病気や疾患を有する他の小動物の細菌叢移植用組成物、ペットのオーナーなどの生活環境が近似する者の腸内フローラも含めることができ、特定の病状に特化した細菌叢が多く含まれるフローラを選択して治療に用いるようにしてもよい。
【0025】
また、冷凍保存工程S61においては、液体窒素を用いて細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)を凍結して、長期間保存するようにしてもよい。この場合には、投与対象の動物A2が若いときや健康状態にあるときの腸内フローラをフリーズドライ或いは液体窒素により凍結させて保管し、老齢化したり病気になったときに、凍結させておいた腸内フローラを解凍して、投与するようにしてもよい。
【0026】
特に、本実施形態では、着色工程S03で配合された細菌叢移植用組成物5を、移植用器具8の収容部8aに収容して、冷凍保存S61を行う。この移植用器具8は、上記細菌叢移植用組成物5を移植するために用いられる器具であって、細菌叢移植用組成物5を収容し圧縮可能な形状を有する収容部8aと、収容部8aに連結されてその内部が連通された管状の注入部8bとを備えている。この移植用器具8は、注入方向における注入部8bの、移植対象である動物A2の体内に挿入される長さが、同方向における収容部8aの長さよりも長く形成されている。
【0027】
本実施形態において、移植用器具8の少なくとも収容部8aは透明の素材で形成されて中身がよく見えるようになっているとともに、蛇腹状をなして軸方向に伸縮可能に形成されている。また、本実施形態に係る移植用器具8は、収容部8aの長さが5センチとなっているとともに、管状の注入部8bの長さが10センチ程度に形成されている。そして、図4に拡大して示すように、動物A2の種類によって注入部8bの長さが調節できるように1センチ単位で目盛8dが付されているとともに、注入部8bの長手方向に沿って移動可能なストッパー8cが取付けられており、注入部8bの、動物A2の体内に挿入される実質的な長さを変えられるようになっている。
【0028】
さらに、注入部8bの後端部にはキャップ83が連通されており、収容部8aに螺合されて連結できるようになっている。また、この収容部8aは別途、閉止用のキャップ8cも螺合可能となっており、この閉止用のキャップ8cを使うことによって冷凍保存する際には注入部8bを取り外して冷凍保存に適した形とすることができる。
【0029】
このように収集され保管された細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)の中から適切なものを選択肢、解凍工程S63を行う。この解凍工程S63では、例えば人肌温度(36℃前後)や室温等で緩やかに解凍することが好ましい。また、凍結された材料に水素水を接触させることによって解凍を行うようにしてもよい。最後に、移植対象である動物A2に細菌叢移植用組成物5を投与する投与工程S05を実行する。ここでは、注入部8bを動物A2の肛門に挿入し、収容部8aを圧縮することにより注入部8bを通じて収容部8a内の細菌叢移植用組成物5を投与する。
【0030】
(変更例)
なお、以上説明した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、着色工程S03で生成された細菌叢移植用組成物(腸内フローラ液)を冷凍保存するようにしたが、濾過工程S01で得られた糞便細菌叢材料3を凍結させて保管しておき、抽出工程S02では、その凍結された糞便細菌叢材料を解凍し、解凍された糞便細菌叢材料から細菌叢を抽出するようにしてもよい。或いは、抽出工程S02で抽出された細菌叢を凍結させて保管しておき、着色工程S03では、その凍結された細菌叢を解凍し、解凍された細菌叢から細菌叢移植用組成物を生成するようにしてもよい。
【0032】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態にかかる 腸内フローラ移植方法によれば、動物から採取された糞便を濾過して得られた糞便細菌叢材料から、遠心分離により細菌叢を抽出し抽出された細菌叢に色素材料を配合するため、適切な細菌叢のみを抽出するとともに、色素によって着色することによって糞便を取り扱う心理的な抵抗感を低減しつつ、ペットの体質に適した腸内フローラ移植方法を実施できる。
【0033】
特に、本実施形態では、腸内フローラを冷凍保存して収集・分析することによって、特定の病気や疾患に特化した腸内フローラを適宜選別して提供できるドナーバンク的なサービスを提供することができる。例えば、移植する腸内フローラのドナーについて、収集した腸内フローラの一部を最初に冷凍保存しておき、2ケ月の間隔で生体試料分析を専門機関において実施することができ、生体試料分析で安全が確認されてから最初に収集し冷凍保存しておいたフローラを解凍して使用することにより、安全性を向上させることができる。
【0034】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0035】
A1、A2 動物
2 混濁液
3 糞便細菌叢材料
4 遠心分離機
5 細菌叢移植用組成物
6 色素材料
7、8 移植用器具
7a、8a 収容部
7b、8b 注入部
20 滅菌ガーゼ
21 漏斗
40 回転体
42 細菌叢
42a 上澄み液
42b 沈澱物
42c 細菌叢

図1
図2
図3
図4