(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096703
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】衛生マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A41D13/11 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209811
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】520500831
【氏名又は名称】田中 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 知子
(57)【要約】
【課題】運動した際にも口に張り付くことなく快適に着用することを可能とする衛生マスクを提供することである。
【解決手段】衛生マスク10は、第1布部材と、該第1布部材に積層される第2布部材と、前記第1布部材と前記第2布部材との間に挿入される中間布部材とを備えるマスク本体部と、前記マスク本体部の両端部に設けられ、耳に掛けるための耳掛け紐部と、を備え、 前記第1布部材は、着用者の顔に装着されたときに口と鼻を覆う内側面を有し、前記第2布部材は、前記着用者の顔に装着されたときに外側に向けられる外側面を有し、前記中間布部材は、前記第1布部材及び前記第2布部材よりも硬度が高いチュール生地を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1布部材と、該第1布部材に積層される第2布部材と、前記第1布部材と前記第2布部材との間に挿入される中間布部材とを備えるマスク本体部と、
前記マスク本体部の両端部に設けられ、耳に掛けるための耳掛け紐部と、
を備え、
前記第1布部材は、着用者の顔に装着されたときに口と鼻を覆う内側面を有し、
前記第2布部材は、前記着用者の顔に装着されたときに外側に向けられる外側面を有し、
前記中間布部材は、前記第1布部材及び前記第2布部材よりも硬度が高いチュール生地を有することを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の衛生マスクにおいて、
前記チュール生地は、六角形の網目で構成される亀甲目を有することを特徴とする衛生マスク。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の衛生マスクにおいて、
前記チュール生地は、ナイロンで構成されることを特徴とする衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルス感染症の流行により、普段の生活においてもマスクを装着することが日常になっている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、耳かけひもとノーズワイヤーを備えたマスクにおいて、外側から、外側ガーゼまたは不織布層、アルミ遮熱シート層、内側ガーゼまたは不織布ポケット層の3層で形成されるのであるが、アルミ遮熱シートは、片面がアルミ材のような熱反射効率の良い素材で形成され、これをアルミ遮熱シート表面と称し、その反対面がポリエチレンまたはポリエステル材のような断熱効果の高い柔軟性を有する素材で形成され、これをアルミ遮熱シート裏面と称し、内側ガーゼまたは不織布ポケット層は外側ガーゼまたは不織布層の縦幅9割程度の大きさで、ノーズワイヤーよりやや下から下方全域に備えられ、ノーズワイヤー下の開口部は、本体横幅の8割程度まで広がり、残りの2割程度が両サイド端域で内側ポケット閉口部として本体に縫着され、アルミ遮熱シートは、内側ガーゼまたは不織布ポケット層の9割程度の大きさで、寒暖に応じ自在に表裏をひっくり返して開口部に挿入して使用されることを特徴とするアルミ遮熱シート入り寒暖調節マスクが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、繊度が1~6dtexの範囲の吸湿発熱性繊維30~70質量%と、繊度が1~6dtexの範囲の熱融着繊維70~30質量%との混合綿からなる目付質量が20~60g/m2、厚みが0.1~0.6mmである吸湿発熱性のサーマルボンド不織布を口元側に配置し、且つ、繊度が1~9dtexの熱融着繊維、又はこれに捲縮繊維を混合してなる目付質量が20~60g/m2、厚みが0.5~1.5mm、空隙率が90%以上である保温性のサーマルボンド不織布を隣接して配置したことを特徴とするプリーツ型衛生マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-115284号公報
【特許文献2】特開2017-125281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衛生マスクは、装着する顔の形状にフィットしやすいように柔軟性を有する材質で構成されている。このため、例えば、衛生マスクを装着したままバレエなどの運動をすると、呼吸をした際に衛生マスクが口に張り付いてしまい、場合によっては運動の継続がしづらい状況に陥ることがある。
【0007】
本発明の目的は、運動した際にも口に張り付くことなく快適に着用することを可能とする衛生マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る衛生マスクは、第1布部材と、該第1布部材に積層される第2布部材と、前記第1布部材と前記第2布部材との間に挿入される中間布部材とを備えるマスク本体部と、
前記マスク本体部の両端部に設けられ、耳に掛けるための耳掛け紐部と、を備え、前記第1布部材は、着用者の顔に装着されたときに口と鼻を覆う内側面を有し、前記第2布部材は、前記着用者の顔に装着されたときに外側に向けられる外側面を有し、前記中間布部材は、前記第1布部材及び前記第2布部材よりも硬度が高いチュール生地を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る衛生マスクにおいて、前記チュール生地は、六角形の網目で構成される亀甲目を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る衛生マスクにおいて、前記チュール生地は、ナイロンで構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運動した際にも口に張り付くことなく快適に着用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の衛生マスクを示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の衛生マスクの試作品を示す図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の衛生マスクの別の試作品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の衛生マスク10を示す図である。
図1(a)は、衛生マスク10を正面側から見た様子を示す図であり、
図1(b)は、積層される第1布部材12aと第2布部材12cの間に挿入され第1布部材12aと第2布部材12cに挟持される中間布部材12bを示す図であり、
図1(c)は、第1布部材12a、中間布部材12b、第2布部材12cを分離した様子を示す図である。
【0015】
図2は、本発明に係る実施形態の衛生マスク10の試作品を示す図であり、マスク本体部12と、第1布部材12a、中間布部材12b及び第2布部材12cが分離された状態を示す図である。
【0016】
図3は、本発明に係る実施形態の衛生マスク10の別の試作品を示す図であり、マスク本体部12と、第1布部材12a、中間布部材12b及び第2布部材12cが分離された状態を示す図である。
【0017】
衛生マスク10は、バレエをする際に装着するためのマスクである。衛生マスク10は、マスク本体部12と、耳掛け紐部14とを備えている。
【0018】
衛生マスク10は、ここでは、塵・花粉・ウィルス等が鼻や口から体内に侵入することを防ぐ立体型のマスクであるものとして説明するが、もちろん、その他のタイプのマスクでもよい。
【0019】
ここでは、衛生マスク10は、着用者の顔に装着した際に耳掛け紐部14から中央に向けて顔との距離が離れるように突出した中央部が形成される立体型のマスクでるあるものとして説明する。
【0020】
マスク本体部12は、第1布部材12aと、中間布部材12bと、第2布部材12cとが積層された3層の布部材である。一枚の矩形の布部材の大きさは、着用者の顔の大きさを考慮して設定され、例えば、横方向を160~220mm程度、縦方向を60~150mm程度の範囲で設定することが好ましい。
【0021】
第1布部材12aは、着用者の顔に装着されたときに口と鼻を覆う内側面を有する。第1布部材12aは、通気性を有するシート部材で構成される。第1布部材12aは、着用者の顔に触れる内側面を有するため、肌触りの良い素材で構成することが好ましい。
【0022】
例えば、ポリエステル、ポリウレタンを組み合わせた生地で構成することが好ましいが、もちろん、その他の原料で構成することができる。例えば、ポリウレタン100%、ポリエステル100%で構成してもよく、綿、ガーゼなどを組み合わせて構成してもよい。
【0023】
第2布部材12cは、着用者の顔に装着されたときに外側に向けられる外側面を有する。第2布部材12cは、着用者の顔に直接触れる面ではなく、また、着用者以外の者から視認可能な面であるため、美的外観に優れたデザインなどが施されていることが好ましい。例えば、バレエのドレスなどに合わせたレース生地などで構成することが好適である。
【0024】
中間布部材12bは、第1布部材12a及び第2布部材12bよりも硬度が高いチュール生地を有する。チュール生地は、ウェディングのベールやドレスなどに使われる「亀甲目(きっこうめ)」と言われる六角形の網目で構成される。
【0025】
チュール生地は、薄手のやわらかい「ソフトチュール」と、厚手で硬くハリの「ハードチュール」があるが、ここでは、硬度が高いハードチュールを用いるものとして説明する。
【0026】
チュール生地は、綿、アセテート、ナイロンやポリエステルなどで構成することが出来るが、ここでは、ナイロンで構成されるものとして説明する。
【0027】
チュール生地の硬度は、デニールで表現することができる。デニールは、化学繊維などのフィラメント糸に用いられる糸の太さを表す単位ある。「恒長式」という「一定の長さに対する重さ」を基準にした太さの測定値が使用される。数字が大きくなるほどに糸が太くなり、1デニールは長さが9000mで重さ1gの糸の太さである。
【0028】
ここでは、チュール生地は、40デニール以上の物を用いることが好ましいが、もちろん、適宜変更可能である。
【0029】
耳掛け紐部14は、マスク本体部12の横方向両端部にそれぞれ設けられる。耳掛け紐部14は、伸縮性を有する紐状部材であり、例えば、スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)により構成される。
【0030】
耳掛け紐部14は、ここでは断面形状が丸状のものであるものとするが、例えば、これを平板形状として着用者の肌との接触面積を増大させて着用時に耳や頬に作用する圧力を低減して、着用感を高めることもできる。
【0031】
次に、衛生マスク10の製造方法について説明する。最初に、第1布部材12a、第2布部材12c及び中間布部材12bと、2つの耳掛け紐部14とを準備する。
【0032】
中間布部材12bは、第1布部材12a、第2布部材12cに比べて硬度が高いが、大きさは、第1布部材12a、第2布部材12cに比べて少し小さく設定されている。
【0033】
第1布部材12aと第2布部材12cとの間に中間布部材12bを挟持させて、第1布部材12aと第2布部材12cとを縫い付けてマスク本体部12を作る。
【0034】
マスク本体部12の両端部に2つの耳掛け紐部14を夫々縫い付ける。これにより、衛生マスク10が完成する。
【0035】
続いて、上記構成の衛生マスク10の作用について説明する。近年の新型コロナウイルス感染症の影響により、生活様式が大きく変化をしている。
【0036】
ソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)の確保や衛生マスクを装着することが常識となりつつある。衛生マスクを装着したまま運動する場合、呼吸した際に、マスク本体部が口に吸着して息がしづらくなり、違和感を覚えてしまうことがある。このような課題に対して、本発明の実施形態の衛生マスク10は顕著な効果を発揮する。
【0037】
衛生マスク10によれば、第1布部材12aと第2布部材12cとの間において、第1布部材12aと第2布部材12cよりも硬度が高い中間布部材12bが挿入されているため、マスク本体部12の形状を保持することができる。これにより、衛生マスク10を装着したままバレエをした場合であっても口に張り付かず快適に過ごすことができるという顕著な効果を奏する。
【0038】
なお、ここでは、衛生マスク10は、バレエをする際に顕著な効果を発揮するものとして説明したが、もちろん、その他の場面でも適用することができるが、スポーツなどの運動をする場合に効果を発揮することが出来る。
【0039】
図2は、衛生マスク10の試作品を写真撮影したデータから生成した図面であり、
図3は、衛生マスク10の別の試作品を写真撮影したデータから生成した図面である。
図2,3に開示されたように、マスク本体部12は、第1布部材12aと第2布部材12cと、これらの間に挟持された中間布部材12bによって構成されている。
【符号の説明】
【0040】
10 衛生マスク、12 マスク本体部、12a 第1布部材、12b 中間布部材、12c 第2布部材、14 耳掛け紐部。