(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096715
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】床面情報表示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220623BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209830
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】小森 瑞巴
(72)【発明者】
【氏名】富岡 あさひ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】滞在者にとって居心地の良いスペースを構築することを可能にした床面情報表示システムを提供する。
【解決手段】床面情報表示システム1は、情報管理サーバ3及び車両6で構成される。情報管理サーバ3は、サーバ制御部11と、車両管理情報DB12と、滞在者情報DB13と、プロファイル用DB14と、地図情報DB15と、サーバ側通信装置16と、を備える。情報管理サーバ3は、車両6の乗客である複数の滞在者が滞在するスペースにおける各滞在者の現在位置を取得し、スペースの床面の内、複数の滞在者の現在位置の床面に滞在者に対応した図形を表示する。情報管理サーバ3は、重複したと判定された複数の図形から、滞在者情報を取得し、滞在者の心理状態を示唆する表示態様で滞在者に対応する図形を表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滞在者が滞在するスペースにおける滞在者の現在位置を取得する位置取得手段と、
前記スペースの床面の内、滞在者の現在位置に対応する地点に対して、該地点に位置する滞在者に対応した図形を表示する図形表示手段と、
前記滞在者について前記スペース内での他人との関わりに対する心理状態を取得する滞在者心理取得手段と、を有し、
前記図形表示手段は、前記滞在者の心理状態を示唆する表示態様で該滞在者に対応する図形を表示する床面情報表示システム。
【請求項2】
前記滞在者のスペースでの滞在状況を取得する状況取得手段を有し、
前記滞在者心理取得手段は、前記滞在者のスペースでの滞在状況に基づいて前記スペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、前記心理状態として取得する請求項1に記載の床面情報表示システム。
【請求項3】
前記スペースは滞在者が移動に用いる移動手段内のスペースであって、
前記滞在者の移動目的を取得する移動目的取得手段を有し、
前記滞在者心理取得手段は、前記滞在者の移動目的に基づいて前記スペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、前記心理状態として取得する請求項1に記載の床面情報表示システム。
【請求項4】
過去の前記滞在者の行動履歴に基づいて、前記滞在者の他人との関わりに対する性格を特定する性格特定手段を有し、
前記滞在者心理取得手段は、前記滞在者の性格に基づいて前記スペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、前記心理状態として取得する請求項1に記載の床面情報表示システム。
【請求項5】
前記滞在者の心理状態は、前記滞在者がスペースに滞在する間において変化する要素に基づいて特定される第1の心理状態と、前記滞在者がスペースに滞在する間において不変の要素に基づいて特定される第2の心理状態と、を含み、
前記図形表示手段は、前記第1の心理状態と前記第2の心理状態を夫々示唆する表示態様で該滞在者に対応する図形を表示する請求項1に記載の床面情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞在者が滞在するスペースの床面に図形等の情報を表示する床面情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新たなモビリティサービスの一つとして、バスや電車等の公共交通機関に比べてより少人数の利用者を対象として、面識のない複数のユーザが同じ車両に乗り合わせて移動するサービスについて提案されている。このようなサービスでは、バスや電車等の公共交通機関に比べると経路の設定などの自由度が高くユーザの利便性は高いが、限られた狭いスペース(車内空間)内に面識がない複数のユーザが一定時間滞在する為、会話のきっかけもなく互いに沈黙した状態が続き、居心地がよくないという問題があった。また、上記モビリティサービス以外にも例えば仕事関係で開催される会合やパーティー等の面識のない複数のユーザが限られたスペース内に一定時間以上滞在する状況では同様の問題が生じていた。
【0003】
そこで、そのような限られたスペース内に滞在する複数のユーザ(以下、滞在者という)の間の会話の契機を設ける手段として、例えば特開2017-174341号公報には共有のワークスペースに滞在する複数の滞在者について展示中のコンテンツに対する関心度を取得し、複数の滞在者が夫々所持するセルフボールをテーブル上に置いた際に、同じコンテンツに関心度の高い滞在者同士のセルフボールを近づけることによって会話の契機を設ける技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-174341号公報(第5-6頁、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、スペース内に滞在する滞在者の中には、他の滞在者と関わることを積極的に希望する性格の者もいれば、他の滞在者と関わることを希望しない性格の者も当然に存在する。また、その時の状況によって通勤中、気分が落ち込んでいる、眠い等の理由により他の滞在者との関わりを避けたい状況の滞在者も存在する。しかしながら上記特許文献1の技術は、そのような滞在者の心理状態に関係なくセルフボールが移動する問題があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、滞在者の心理状態を示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示することによって、滞在者が会話の相手とするのに適切な他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な他の滞在者を容易に把握可能であり、他の滞在者と関わることを積極的に希望する滞在者や他の滞在者と関わることを希望しない滞在者を含めた様々な種類の滞在者にとって居心地の良いスペースを構築することを可能にした床面情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る床面情報表示システムは、滞在者が滞在するスペースにおける滞在者の現在位置を取得する位置取得手段と、前記スペースの床面の内、滞在者の現在位置に対応する地点に対して、該地点に位置する滞在者に対応した図形を表示する図形表示手段と、前記滞在者について前記スペース内での他人との関わりに対する心理状態を取得する滞在者心理取得手段と、を有し、前記図形表示手段は、前記滞在者の心理状態を示唆する表示態様で該滞在者に対応する図形を表示する。
尚、「スペース内での他人との関わりに対する心理状態」とは、例えばスペース内の他人と関わりたいか否か、どの程度の深さ或いは頻度で関わりたいか、どのような形で関わりたいか、等のユーザの意思が該当する。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る床面情報表示システムによれば、滞在者の心理状態を示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示することによって、滞在者が会話の相手とするのに適切な他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な他の滞在者を容易に把握可能となる。その結果、他の滞在者と関わることを積極的に希望する滞在者や他の滞在者と関わることを希望しない滞在者を含めた様々な種類の滞在者にとって居心地の良いスペースを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る床面情報表示システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報管理サーバ及び車両の構成を示したブロック図である。
【
図3】車両管理情報DBに記憶される車両管理情報の一例を示した図である。
【
図4】滞在者情報DBに記憶される滞在者情報の一例を示した図である。
【
図5】車両のスペースの床面に対して表示される図形の一例を示した図である。
【
図6】本実施形態に係る表示制御処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】滞在者の移動に伴って図形が重複する場合について説明した図である。
【
図8】重複した図形のその後の結合態様を示した図である。
【
図9】移動目的と移動方向(往路か復路か)の組み合わせに対して出力される対象となる情報の一例を示した図である。
【
図10】滞在者間の会話の契機となる情報の出力態様を示した図である。
【
図11】図形表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図12】床面ディスプレイに対して表示される図形の形状(デザイン)を示した図である。
【
図13】床面ディスプレイに対して表示される図形のサイズを示した図である。
【
図14】床面ディスプレイに対して表示される図形のサイズと表示色の組み合わせを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る床面情報表示システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る床面情報表示システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る床面情報表示システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る床面情報表示システム1は、情報管理センタ2が有する情報管理サーバ3と、情報管理センタ2によって管理されるとともに複数(例えば20名前後)の滞在者4が滞在可能なスペース5を内部に備えた車両6と、を基本的に有する。また、情報管理サーバ3と車両6とは通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、情報管理センタ2によって管理の対象となる車両6は複数台あっても良い。
【0012】
ここで、情報管理サーバ3は、床面情報表示システム1において車両6と車両6の乗客である滞在者4とを管理するサーバ装置である。例えば情報管理サーバ3は車両6の走行経路や現在位置を適宜取得することによって車両6の管理を行う。一方で、車両6に乗車中の乗客である滞在者4の情報についても取得して管理する。具体的には、スペース5に滞在する各滞在者4が所持する通信端末8との間で通信を行うことによって、滞在者4が目的地への移動を希望する場合に、滞在者4が移動することを希望する目的地や目的地への移動目的等の滞在者情報を取得する。また、滞在者4の過去の行動履歴(現実世界での行動履歴に加えて、SNS等のネットワーク上での行動履歴も含む)に基づいて滞在者4の性格のプロファイリングについても行う。尚、滞在者情報を取得するタイミングは滞在者4が車両6に乗車する前であっても乗車した後であっても良い。また、滞在者情報を取得する手段としては通信端末8を介さない手段でもよく、例えば滞在者4が車両6に乗車した後に車両内に備える入力装置に目的地等を自ら入力させるようにしても良い。
【0013】
そして、情報管理サーバ3は、取得した滞在者情報(プロファイリングされた性格を含む)を該当する滞在者4が乗車する車両6に対して配信する。その後、車両6では後述のようにスペース5の床面に配置された床面ディスプレイ9を用い、滞在者4の現在位置に対応する地点の床面に対してその滞在者4の滞在者情報に応じた図形を表示する。
【0014】
また、車両6は、複数(例えば20名前後)の滞在者4が滞在可能なスペース5を内部に備えた車両である。また、車両6は例えば車両6に乗車するオペレーターの操作や情報管理サーバ3からの指示によって設定された経路に従って自動運転による走行が可能な車両とする。そして、同じく車両6に乗車するオペレーターの操作や情報管理サーバ3からの指示によって設定された地点において停車し、ドアを開閉することによって滞在者4の乗り降りを行わせる。但し、車両6は自動運転に対応しない車両、即ち運転者の操作に基づいて走行やドアの開閉を行う車両(例えば一般的な公共交通機関のバス)であっても良い。
【0015】
また、車両6のスペース5には、椅子等の通常の車内設備に加えて床面に対して床面ディスプレイ9が設置されている。床面ディスプレイ9はスペース5の床面全体にわたって設置されており、例えば表示面を上向きに設置された1又は複数のLEDパネルからなる。また、床面ディスプレイ9の表面にはタッチセンサが設けられており、滞在者4の現在位置も取得できる。そして、滞在者4の現在位置に対応する地点の床面に対してその滞在者4の滞在者情報に応じた図形を表示する。また、図形以外にも様々な情報が表示することが可能であり、例えば経路情報、時刻表、周辺の施設情報、地図画像、ニュース、テレビ画面等を表示することが可能である。本実施形態では、特に後述のように条件を満たした場合に滞在者間の会話の契機となる情報についても表示する。
【0016】
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は車両6が備える通信装置との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある車両6の通信を情報管理サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0017】
続いて、床面情報表示システム1における情報管理サーバ3及び車両6の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。
【0018】
先ず、情報管理サーバ3について説明すると、情報管理サーバ3は
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての車両管理情報DB12と、滞在者情報DB13と、プロファイル用DB14と、地図情報DB15と、サーバ側通信装置16とを備える。
【0019】
サーバ制御部11は、情報管理サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)である。
【0020】
また、車両管理情報DB12は、車両6を管理する為の車両管理情報を記憶する記憶手段である。例えば車両6において現在設定されている走行経路、走行経路中で車両6が滞在者4の乗降を行う為に停車する停車地点(停留所)、車両6の現在位置について記憶されている。車両6が複数ある場合には車両毎に上記車両管理情報が格納されている。例えば
図3は車両管理情報DB12に記憶される車両管理情報の一例を示した図である。
【0021】
図3に示す例では例えば『ID:0001』の車両6は、リンクAから順にリンクB、リンクCの順に移動する経路が設定されており、車両6が滞在者4の乗降を行う為に停車する停車地点として地点a、地点b、地点cが夫々設定されている。また現在位置の座標は(x1,y1)であることを示している。尚、車両6の現在位置は定期的に車両6から送信され、送信された情報に基づいて車両管理情報DB12を更新する。また、車両6の移動経路や停車地点については車両6側の操作で変更することも可能であるし、情報管理サーバ3側の操作で変更することも可能である。同様にして他の車両6の車両管理情報についても格納されている。
【0022】
一方、滞在者情報DB13は、車両6のスペースに滞在する各滞在者4に関する情報を記憶する記憶手段である。具体的には、滞在者4が乗車する車両6の識別情報、その車両6に乗車した地点、車両6から降車する予定の地点、移動する目的地、目的地へ移動する移動目的、現在の移動が目的地への移動における往路と復路のどちらに該当するか、滞在者4の性格に関する情報が記憶される。但し、『目的地』は滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず往路の目的地とし、『移動目的』についても往路の移動目的とする。例えば自宅から○○ビルへと通勤の為に移動し、その後に○○ビルから自宅へと帰宅する移動を例に挙げると、滞在者4が自宅から○○ビルへの移動の為に車両6に乗車している場合には、目的地は“○○ビル”であり、移動目的は“通勤”になる。一方で、○○ビルから自宅への移動の為に車両6に乗車している場合には、目的地は自宅ではなく“○○ビル”となり、移動目的は帰宅ではなく“通勤”となる。
【0023】
また、滞在者情報DB13に格納される滞在者4の性格は、特に他人との関わりに対する性格であり、滞在者4の過去の行動履歴に基づいてプロファイリングを行い、以下の(1)~(3)のいずれかに特定される。但し、材料が乏しく性格がいずれに該当するか特定できない場合については『不明』と判定される。
(1)自分から積極的に他人に関わる。
(2)自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する(即ち、他人から歩み寄られる関わりについは拒否しない)。
(3)自分からは積極的に他人に関わらないし、他人からの関わりに対しても反応しない(即ち、他人から歩み寄られる関わりについても拒否する)。
尚、滞在者4の性格のプロファイリングに用いる情報については後述のプロファイル用DB14に格納される。
【0024】
例えば
図4は滞在者情報DB13に記憶される滞在者情報の一例を示した図である。
図4に示す例では例えば『ID:10001』の滞在者4は、『ID:0001』の車両6に乗車しており、『○○ビル』へ通勤を目的とした往路の移動中でおり、地点aから乗車して地点gで降車する予定であることを示している。更に、滞在者4の性格は上記(3)に該当することを示している。また、『ID:10022』の滞在者4は、『ID:0001』の車両6に乗車しており、『××レストラン』へ食事を目的とした往路の移動中でおり、地点aから乗車して地点hで降車する予定であることを示している。更に、滞在者4の性格は上記(1)に該当することを示している。また、『ID:10403』の滞在者4は、『ID:0001』の車両6に乗車しており、『〇×モール』へ買い物を目的とした復路の移動中でおり、地点bから乗車して地点kで降車する予定であることを示している。更に、滞在者4の性格は上記(2)に該当することを示している。
【0025】
尚、上記滞在者情報は、プロファイリングにより特定される性格を除いて、基本的に滞在者4が所持する通信端末8から取得する。例えば滞在者4が車両6への乗車前又は乗車後に入力した情報に基づいて取得することも可能であるし、通信端末8において登録されている滞在者4のスケジュールや目的地までの経路探索結果に基づいて取得することも可能である。また、降車予定地点、移動目的、往路復路については滞在者4が入力しない場合であっても情報管理サーバ3が他の滞在者情報を使って推定することも可能である。例えば滞在者4の目的地が『〇×モール』であることが特定できれば、移動目的は“買い物”と推定でき、滞在者が現在乗車する車両6の経路と地図情報を使えば現在の移動が目的地への移動における往路と復路のどちらに該当するか推定できる。更に、往路であれば滞在者が現在乗車する車両の停車地点の内で『〇×モール』に最も近い地点を降車予定地点と推定でき、復路であれば滞在者が現在乗車する車両の停車地点の内で滞在者の自宅(通信端末8から別途取得)に最も近い地点を降車予定地点と推定できる。
【0026】
但し、上記滞在者情報については通信端末8から取得せずに、滞在者4が車両6に乗車した後に車両内に備える入力装置に自ら入力させることによって取得するようにしても良い。また、現時点では車両6に乗車していないが、乗車する予定の滞在者4に関する情報についても滞在者情報DB13に格納しても良い。
【0027】
そして、滞在者情報DB13に記憶された滞在者情報は滞在者が乗車する車両6に対して適宜送信され、後述のように車両6では滞在者情報に基づく床面ディスプレイ9の表示が行われる。
【0028】
また、プロファイル用DB14は、前述した滞在者4の性格のプロファイリングに用いる情報を記憶する記憶手段である。ここで、本実施形態では滞在者4の性格のプロファイリングに用いる情報として、特に滞在者4の過去の行動履歴を用いる。更に行動履歴には、現実世界での行動履歴に加えて、SNS等のネットワーク上での行動履歴を含む。プロファイル用DB14に格納される滞在者4の過去の行動履歴としては例えば以下の情報がある。
(a)SNSにおいて他人に対して情報を発信した履歴。
(b)SNSにおいて他人から発信された情報に対して何らかのリアクションを取った履歴。
(c)過去に車両6に乗車した際に他の滞在者4との間で行われた行動履歴(例えば後述する図形の重複が行われたか否か、行われた場合には自分から重複をさせにいったか、他人から行われたか)。
【0029】
そして、サーバ制御部11はプロファイル用DB14に格納された情報に基づいて滞在者4の性格のプロファイリングを行う。尚、ネットワーク上での行動履歴としてはSNS以外のサービスを対象としても良く、例えば掲示板での発言やオンラインゲームでの行動を対象としても良い。詳細については後述する。
【0030】
また、地図情報DB15は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0031】
一方、サーバ側通信装置16は情報の送受信対象となる車両6や通信端末8と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、車両6や通信端末8以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0032】
次に、車両6について説明すると、車両6は
図2に示すように車両表示制御部17と、車内カメラ18と、GPS19と、地図情報DB20と、床面ディスプレイ9と、床面ディスプレイ9上に設けられたタッチセンサ21と、車両側通信装置22とを備える。また、説明は省略するが車両6の走行に必要な制御装置や駆動機構(例えばモータやエンジンなど)についても別途備えている。
【0033】
車両表示制御部17は、車両6の特に床面ディスプレイ9の表示に関する制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述の表示制御処理プログラム(
図6)等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。尚、車両表示制御部17は、情報管理サーバ3の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、位置取得手段は、滞在者4が滞在するスペース5における滞在者4の現在位置を取得する。図形表示手段は、スペース5の床面の内、滞在者4の現在位置に対応する地点に対して、該地点に位置する滞在者4に対応した図形を表示する。滞在者心理取得手段は、滞在者4についてスペース5内での他人との関わりに対する心理状態を取得する。
【0034】
また、車内カメラ18は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、車両6のスペース5内に設置されてスペース5内を撮像可能となっている。そして、車内カメラ18はスペース5内に滞在する滞在者4を撮像し、後述のタッチセンサ21とともに滞在者4の現在位置や移動を検出するのに用いられる。更に、顔認識処理を行うことによって滞在者4の識別や滞在者4の現在の状況(例えば寝ている、スマートフォンを操作している、落ち込んでいる等)の特定についても行うことが可能である。
【0035】
また、GPS19は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、車両6の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS19以外にも例えばジャイロセンサ、車速センサ、地磁気センサ、加速度センサ等の各種センサを備えても良い。それらのセンサを組み合わせることによってより正確に車両6の現在位置を特定することが可能である。
【0036】
また、地図情報DB20は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0037】
一方で、床面ディスプレイ9は、前述したように車両6のスペース5の床面に対して設置された画像の表示装置である。具体的には
図5に示すように車両6のスペース5の床面全体にわたって設置されており、例えば表示面を上向きに設置された1又は複数のLEDパネルからなる。そして、車両表示制御部17は、床面ディスプレイ9を制御し、滞在者4の現在位置に対応する地点の床面、即ち滞在者4の足元に対してその滞在者4の滞在者情報に応じた図形35を表示する。スペース5内に複数の滞在者4がいれば複数の滞在者毎に図形35を表示する。滞在者4がスペース内を移動すれば、その移動に伴って図形35の表示位置も移動することになる。また、図形35はスペース5内に滞在者4が進入(即ち車両6に乗車)した時点から退出(即ち車両6を降車)する時点まで滞在者4の足元に基本的に継続して表示される。
【0038】
また、図形35の形状としては、例えば円形、四角形、六角形、星形等の様々な形状がある。表示される図形35の形状(デザイン)は後述のように対応する滞在者4の移動目的によって設定される。また、図形35の大きさについては後述のように対応する滞在者4のスペース5内での他人との関わりに対する心理状態に基づいて設定される。即ち、スペース5内で他人との関わりを希望する滞在者4に対応する図形35についてはより大きくし、スペース5内で他人との関わりを希望しない滞在者4に対応する図形35についてはより小さくする。また、床面ディスプレイ9には上記図形35以外にも様々な情報が表示することが可能であり、例えば経路情報、時刻表、周辺の施設情報、地図画像、ニュース、テレビ画面等を表示することが可能である。本実施形態では、特に条件を満たした場合に滞在者間の会話の契機となる情報についても表示する。
【0039】
また、タッチセンサ21は、上記床面ディスプレイ9の表面に設置され、車内カメラ18とともに滞在者4の現在位置や移動を検出するのに用いられる。そして、車両表示制御部17は、検出した滞在者4の現在位置に応じて床面ディスプレイ9に図形35を表示する。
【0040】
一方、車両側通信装置22は情報の送受信対象となる情報管理サーバ3と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、情報管理サーバ3以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0041】
続いて、前記構成を有する床面情報表示システム1において、車両6の車両表示制御部17が実行する表示制御処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る表示制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、表示制御処理プログラムは、車両6のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、スペース内に滞在する滞在者4に対応させて床面ディスプレイ9に各種情報を表示するプログラムである。尚、以下の
図6及び
図11にフローチャートで示されるプログラムは、車両表示制御部17が備えているRAM32やROM33に記憶されており、CPU31により実行される。
【0042】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、車両6のスペース5内に現時点で滞在する滞在者4の滞在者情報を情報管理サーバ3から取得する。複数の滞在者4が滞在する場合には、該当する全ての滞在者4の滞在者情報を取得する。尚、滞在者情報としては、車両6に乗車した地点、車両6から降車する予定の地点、移動する目的地、目的地へ移動する移動目的、現在の移動が目的地への移動における往路と復路のどちらに該当するか、滞在者4の性格に関する情報が含まれる。但し、『目的地』は滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず往路の目的地が取得され、『移動目的』についても往路の移動目的が取得される。尚、滞在者情報については滞在者毎に乗車する車両6に紐づけられて情報管理サーバ3の滞在者情報DB13(
図4)に管理されている。
【0043】
また、滞在者情報は前述したように滞在者が所持する通信端末8から取得しても良いし、滞在者4が車両6に乗車した後に車両内に備える入力装置に自ら入力させることによって取得するようにしても良い。また、上記全ての情報が滞在者によって入力されていない場合でも情報管理サーバ3が入力された情報から残りの情報を予測することも可能である。
【0044】
一方で、滞在者情報の内、特に滞在者4の性格についてはプロファイル用DB14に格納された滞在者4の過去の行動履歴に基づいて情報管理サーバ3が滞在者4の性格のプロファイリングを行い、以下の(1)~(3)のいずれかに特定される。但し、材料が乏しく性格がいずれに該当するか特定できない場合については『不明』と判定される。
(1)自分から積極的に他人に関わる。
(2)自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する(即ち、他人から歩み寄られる関わりについは拒否しない)。
(3)自分からは積極的に他人に関わらないし、他人からの関わりに対しても反応しない(即ち、他人から歩み寄られる関わりについても拒否する)。
【0045】
また、プロファイル用DB14に格納される滞在者4の過去の行動履歴としては例えば以下の情報がある。
(a)SNSにおいて他人に対して情報を発信した履歴。
(b)SNSにおいて他人から発信された情報に対して何らかのリアクションを取った履歴。
(c)過去に車両6に乗車した際に他の滞在者4との間で行われた行動履歴(例えば後述する図形の重複が行われたか否か、行われた場合には自分から重複をさせにいったか、他人から行われたか)。
【0046】
そして、情報管理サーバ3は、例えばSNSにおいて他人に対して情報を発信する頻度が閾値以上の滞在者4、或いは過去に車両6に乗車した際に他の滞在者4(面識がある者は除く)に対して、後述のS3以降の図形35の重複を自分から移動して行ったことがある滞在者4については、『自分から積極的に他人に関わる』性格であると特定する。
また、情報管理サーバ3は、例えばSNSにおいて他人に対して情報を発信する頻度が閾値未満であるが、他人から発信された情報に対して何らかのリアクションを取った頻度が閾値以上の滞在者4、或いは過去に車両6に乗車した際に他の滞在者4(面識がある者は除く)に対して、後述のS3以降の図形35の重複を自分からではないが行ったことがある滞在者4については、『自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する』性格であると特定する。
また、情報管理サーバ3は、例えばSNSにおいて他人に対して情報を発信する頻度が閾値未満であって、且つ他人から発信された情報に対して何らかのリアクションを取った頻度も閾値未満の滞在者4、或いは過去に車両6に乗車した際に他の滞在者4(面識がある者は除く)に対して、後述のS3以降の図形35の重複を行ったことがない滞在者4については、『自分からは積極的に他人に関わらないし、他人からの関わりに対しても反応しない』性格であると特定する。
【0047】
尚、基本的に前記S1はスペース5内に新たに進入(即ち新たに車両に乗車)した滞在者4を対象として、スペース5への進入時に実行される。但し、現時点で車両に乗車していないが乗車することが予測される滞在者が有って、その滞在者の滞在者情報が取得できる場合にはスペース5への進入前に取得しても良い。或いは、車両への乗車後に滞在者4が目的地や移動目的を入力した場合などについては、スペース5への進入後に取得しても良い。また、滞在者4の性格のプロファイリングについては情報管理サーバ3ではなく車両表示制御部17が行っても良い。
【0048】
次に、S2においてCPU31は、前記S1で取得した滞在者情報に基づいて後述の図形表示処理(
図11)を実行する。ここで、図形表示処理は、車両のスペースの床面ディスプレイ9を用い、滞在者4の現在位置に対応する地点の床面に対してその滞在者4の滞在者情報に応じた図形35を表示する処理である。スペース内に複数の滞在者4が滞在する場合には滞在者毎に図形35が表示される。
【0049】
続いて、S3においてCPU31は、床面ディスプレイ9の表示内容を参照し、前記S2で床面ディスプレイ9に表示された複数の図形35間で少なくとも一部に重複が生じたか否かを判定する。上述したようにスペース内に複数の滞在者4が滞在する場合には滞在者毎に図形35が表示される。また、図形35は滞在者4の現在位置に対応した地点の床面に表示されるので、滞在者4がスペース内で移動すれば図形35もそれに伴って表示位置が変更される。従って、
図7に示すように複数の滞在者4が所定距離以内まで近づけば、各滞在者4に対応する複数の図形35が重複することとなる。尚、
図7に示す例では2人の滞在者4であるが、3人以上の滞在者4に対応する図形35が重複する場合もある。
【0050】
そして、前記S2で表示された複数の図形35間で少なくとも一部に重複が生じたと判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、前記S2で表示された複数の図形35間に重複が生じていないと判定された場合(S3:NO)にはS1へと戻り、継続して図形35の表示を行う。
【0051】
S4においてCPU31は、床面ディスプレイ9を制御し、重複した複数の図形35を対象として図形の結合を行う。ここで
図8は、重複した複数の図形35の結合態様を説明した図である。
図8に示す例では2つの円形の図形35が重複した場合について説明する。
【0052】
図8に示すように2つの円形の図形35が重複した場合には、重複した2つの図形35を結合して、一つの大きな円形の図形(以下、結合図形40という)を表示する。尚、図形35を結合する際には、結合する前の図形35の形状と結合後の結合図形40の形状とを類似する形状とするのが望ましい。後述のように図形35の形状は滞在者の移動目的を示しており(
図12参照)、結合した結合図形40も結合前の図形35と類似する形状とすることによって引き続き滞在者の移動目的を示すことが可能となる。
【0053】
尚、
図8に示す例では同じ円形の図形35同士が重複した例を示しているが、形状が異なる図形35(例えば円形と四角形)同士が重複した場合については、結合図形40はいずれか一方の図形35の形状と類似する形状としても良いし、両者の中間の形状としても良い。
【0054】
また、図形35は滞在者4の現在位置に近い中心に位置する内側エリア41と、その外側を囲む外側エリア42の2つのエリアを有するが、重複するのは外側エリア42のみであり、結合するのも外側エリア42のみとなる。仮に、滞在者4同士がさらに接近したとしても、互いの図形35に含まれる内側エリア41の間は一定の距離間隔を保ち、重複や結合はしない。
【0055】
続いて、S5においてCPU31は、前記S3において重複したと判定された複数の図形35について、同じ複数の図形35間(即ち同じ滞在者4間)において過去に重複が生じている場合には、その過去の重複回数を取得する。前記S5の重複回数は同じ複数の滞在者間が過去に接近した回数にも相当する。尚、過去の図形35の重複履歴については滞在者4に紐づけて情報管理サーバ3のDB等に格納される。
【0056】
また、前記S5で取得される重複回数は、基本的に過去の車両6の乗車中(例えば1年以内)を含めた重複回数とするが、今回の車両6の乗車中(乗車してから降車するまで)における重複回数のみを対象としても良い。
【0057】
次に、S6においてCPU31は、前記S3において重複したと判定された複数の図形35に対応する滞在者4の滞在者情報を情報管理サーバ3から取得する。滞在者情報としては、車両6に乗車した地点、車両6から降車する予定の地点、移動する目的地、目的地へ移動する移動目的、現在の移動が目的地への移動における往路と復路のどちらに該当するかに関する情報が含まれる。尚、床面ディスプレイ9に表示する図形35とその図形35に対応する滞在者4の滞在者情報を予め紐づけておくことによって、重複したと判定された複数の図形35に対応する滞在者4の滞在者情報を容易に取得することが可能となる。
【0058】
その後、S7においてCPU31は、床面ディスプレイ9を制御し、前記S3において重複したと判定された複数の図形35に対応する滞在者4間の会話の契機となる情報をスペース5の床面に対して表示する。ここで、前記S7において表示される情報の内容は、前記S6で取得した滞在者情報に基づいて決定される。より具体的には、重複した複数の図形35に対応する複数の滞在者4の移動目的と移動方向(往路か復路か)の組み合わせに応じて決定される。
【0059】
ここで、
図9は移動目的と移動方向(往路か復路か)の組み合わせに対して出力される対象となる情報の一例を示した図である。
図9に示すように例えば通勤の為に往路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、『今日も頑張りましょう』等のお互いを励ましあう内容の文章が床面ディスプレイ9に対して表示される。一方で、通勤の為に復路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、『今日もお疲れさまでした』等のお互いの疲労を労わる内容の文章が床面ディスプレイ9に対して表示される。また、買い物をする為に往路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、これから滞在者が向かうお店の情報(お店の紹介や扱う商品の広告等)が床面ディスプレイ9に対して表示される。一方で、買い物後に復路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、滞在者が行ったお店や滞在者が購入した商品(通信端末8等から取得)の情報が床面ディスプレイ9に対して表示される。また、食事をする為に往路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、これから滞在者が向かう食事のお店の情報(お店の紹介や提供メニューの広告等)が床面ディスプレイ9に対して表示される。一方で、食事後に復路を移動する滞在者4同士の図形35が重複した場合には、滞在者が行った食事のお店や食べた食事(通信端末8等から取得)の情報が床面ディスプレイ9に対して表示される。また、移動目的が異なる滞在者4同士の図形35が重複した場合には、『こんにちは』等の一般的な挨拶の文章が床面ディスプレイ9に対して表示される。
【0060】
尚、
図9は一例であり出力される情報の内容は適宜変更可能である。例えば、食事後に復路を移動する滞在者4の図形35が他の図形35と重複した場合であって、滞在者4が食べたメニューの写真や動画を通信端末8で撮影している場合には、それらの写真や動画を通信端末8や外部のサーバから取得して床面ディスプレイ9に表示しても良い。また、移動目的や移動方向が異なる滞在者4同士の図形35が重複した場合には何も情報を出力しないようにすることも可能である。
【0061】
更に、前記S5で取得した過去の重複回数によっても出力される情報の内容は変更される。例えば、移動目的が異なる滞在者4同士の図形35が重複した場合において、過去に一度も重複していない場合は滞在者4間は初対面であると予想され、軽い挨拶のみを床面ディスプレイ9に表示する。一方で、重複回数が多くなるに従って滞在者4間はより親密になっていると予想されるので、挨拶の内容も変化させる。例えば
図10に示すように図形35が重複した1回目では「こんにちは」のみ表示し、2回目では「こんにちは、ご機嫌如何ですか?」と表示し、3回目では「こんにちは、どちらに行かれるのですか?」と表示する。また、重複回数が多くなった場合にはよりプライベートな内容の情報を表示しても良い。例えば、図形35が重なったどちらの滞在者4もペットを飼っていることが特定できる場合には、飼っているペットに関する情報を表示しても良い。また、滞在者4が良く行くお店の情報等を表示しても良い。
【0062】
前記S7において情報を表示する際には、
図10に示すように結合図形40の周辺で該当する複数の滞在者4から視認できる位置に表示する。それによって、滞在者4は表示された情報を契機として互いに会話を行うことが可能となる。但し、情報は床面ディスプレイ9に表示するのではなく、車両内に設置されたスピーカから音声により出力するようにしても良い。
【0063】
その後、S8においてCPU31は、前記S3において重複したと判定された複数の図形35に対応する各滞在者4の現在位置を車内カメラ18やタッチセンサ21を用いて検出し、滞在者4間の距離が所定距離以上(例えば1m以上)離れたか否かを判定する。尚所定距離は適宜設定可能であるが、後述のS9で結合を解除した際に各滞在者4の現在位置に対応して表示される図形35が互いに重複することのない距離とする。
【0064】
そして、滞在者4間の距離が所定距離以上離れたと判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、滞在者4間の距離が所定距離未満であると判定された場合(S8:NO)にはS7へと戻り、継続して滞在者4間の会話の契機となる情報をスペース5の床面に対して表示する。
【0065】
S9においてCPU31は、床面ディスプレイ9を制御し、前記S4で結合した結合図形40の結合を解除し、結合前の複数の図形35の状態へと戻す。その結果、再び滞在者4毎に現在位置に対応した地点の床面に図形35が表示されることとなる。尚、滞在者4間の距離が所定距離以上離れていない場合であっても、結合してから所定時間以上経過した段階で結合を解除するようにしても良い。
【0066】
次に、S10においてCPU31は、車両6が走行を終了したか否かを判定する。例えば車両6が設定された経路の終点に到着した場合、或いはACC電源(accessory power supply)がOFFされた場合に車両6の走行が終了したと判定する。
【0067】
そして、車両6が走行を終了したと判定された場合(S10:YES)には、当該表示制御処理プログラムを終了する。それに対して、車両6が走行を終了していないと判定された場合(S10:NO)にはS1へと戻り、継続して図形35の表示を行う。
【0068】
次に、前記S2において実行される図形表示処理のサブ処理について
図11に基づき説明する。尚、
図11は図形表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0069】
尚、以下のS11以降の処理については、車両6のスペース5内に現時点で滞在する滞在者4単位でループして実行し、全ての滞在者4に対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0070】
先ずS11においてCPU31は、前記S1で取得した滞在者情報の内、処理対象の滞在者4の移動目的を抽出して取得する。尚、移動目的としては例えば『通勤』、『買い物』、『食事』などがある。また、前述したように滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず基本的に往路の移動目的が取得される。
【0071】
次にS12においてCPU31は、前記S11で取得した処理対象の滞在者4の移動目的に基づいて、処理対象の滞在者4に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35の形状(デザイン)を設定する。例えば
図12に示すように処理対象の滞在者の移動目的が『通勤』であれば円形とし、処理対象の滞在者の移動目的が『買い物』であれば四角形とし、処理対象の滞在者の移動目的が『食事』であれば六角形とする。それによって、表示された図形35によって処理対象の滞在者4の移動目的を他の滞在者に示唆することが可能となる。また、図形35は滞在者4の現在位置に近い中心に位置する内側エリア41と、その外側を囲む外側エリア42の2つのエリアを有する。
図12に示す例では移動目的によって形状が変化するのは外側エリア42のみであり、内側エリア41は移動目的にかかわらず同一の円形の形状としているが、内側エリア41も外側エリア42と同様に移動目的によって形状を変化させても良い。
【0072】
また、移動目的と図形35の形状(デザイン)の対応関係については適宜設定することが可能であるが、例えばスペース内で他の滞在者との関わりを希望しない可能性が高いと推測される移動目的(例えば通勤)に対しては、他の図形35と重複し難い図形(例えば円形)とするのが望ましい。一方で、スペース内で他の滞在者との関わりを希望する可能性があると推測される移動目的(例えば買い物や食事)に対しては、他の図形35と重複がし易い図形(例えば角のある多角形や星形)とするのが望ましい。その結果、他の滞在者との関わりを希望する滞在者4については、他の滞在者に対応する図形35と重複させることによって会話の契機を作り易くなる(S4~S7、
図10)。
【0073】
続いてS13においてCPU31は、処理対象の滞在者について現在の滞在状況を取得する。具体的には、車内カメラ18でスペース内を撮像した画像に対して顔認識処理を行うことによって処理対象の滞在者4を識別し、更に撮像した画像に基づいて処理対象の滞在者4の現在の滞在状況を特定する。尚、滞在状況としては、例えば寝ている、本を読んでいる、スマートフォンを操作している、何もせずに座っている(或いは立っている)等がある。
【0074】
更に、S14においてCPU31は、前記S1で取得した滞在者情報の内、処理対象の滞在者4の性格について抽出して取得する。尚、滞在者4の性格については前述したように滞在者4の過去の行動履歴に基づいて情報管理サーバ3により以下の(1)~(3)のいずれか或いは不明に特定されている。
(1)自分から積極的に他人に関わる。
(2)自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する(即ち、他人から歩み寄られる関わりについは拒否しない)。
(3)自分からは積極的に他人に関わらないし、他人からの関わりに対しても反応しない(即ち、他人から歩み寄られる関わりについても拒否する)。
【0075】
その後、S15においてCPU31は、前記S13で取得した処理対象の滞在者4の現在の滞在状況について、寝ている或いは何らかの作業中(例えば本を読んでいる、スマートフォンの操作中)であるか否か判定する。
【0076】
そして、処理対象の滞在者4の現在の滞在状況について、寝ている或いは何らかの作業中であると判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、起きていて何らかの作業中でもないと判定された場合(S15:NO)には、S17へと移行する。
【0077】
S16においてCPU31は、処理対象の滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態として、他人との関わりに対する希望の度合いが低い、即ち他人と関わりたくないと考えていると推定する。そして、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『小(例えば半径30cm)』に設定する。それによって、表示された図形35によって処理対象の滞在者4が他人と関わりたくないと考えていることを他の滞在者に示唆することが可能となる。尚、サイズについては
図13に示すように外側エリア42のみを変化させ、内側エリア41は固定のサイズで表示しても良いし、内側エリア41も外側エリア42と同様にサイズを変えても良い。
【0078】
一方、S17においてCPU31は、前記S11で取得した処理対象の滞在者4の移動目的について、『通勤』であるか否か判定する。尚、前述したように本実施形態では滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず基本的に往路の移動目的が取得される(即ち勤務先から自宅への帰宅中であっても移動目的は通勤になる)が、前記S17では往路の移動中であること、即ち勤務先に向かう移動中であることを条件に追加しても良い。
【0079】
そして、処理対象の滞在者4の移動目的について、『通勤』であると判定された場合(S17:YES)には、S16へと移行する。S16では前述したように処理対象の滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態として、他人との関わりに対する希望の度合いが低い、即ち他人と関わりたくないと考えていると推定する。そして、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『小(例えば半径30cm)』に設定する。
【0080】
一方で、処理対象の滞在者4の移動目的について、『通勤』以外であると判定された場合(S17:NO)には、S18へと移行する。
【0081】
S18においてCPU31は、前記S14で取得した処理対象の滞在者4の性格について、『自分から積極的に他人に関わる』であるか否か判定する。
【0082】
そして、処理対象の滞在者4の性格について、『自分から積極的に他人に関わる』であると判定された場合(S18:YES)には、S19へと移行する。それに対して、処理対象の滞在者4の性格について、『自分から積極的に他人に関わる』でないと判定された場合(S18:NO)には、S20へと移行する。
【0083】
S19においてCPU31は、処理対象の滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態として、他人との関わりに対する希望の度合いが高い、即ち他人と積極的に関わりたいと考えていると推定する。そして、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『大(例えば半径50cm)』に設定する。それによって、表示された図形35によって処理対象の滞在者4が他人と積極的に関わりたいと考えていることを他の滞在者に示唆することが可能となる。尚、サイズについては
図13に示すように外側エリア42のみを変化させ、内側エリア41は固定のサイズで表示しても良いし、内側エリア41も外側エリア42と同様にサイズを変えても良い。
【0084】
一方、S20においてCPU31は、前記S14で取得した処理対象の滞在者4の性格について、『自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する』であるか否か判定する。
【0085】
そして、処理対象の滞在者4の性格について、『自分からは積極的に他人に関わらないが、他人からの関わりに対しては反応する』であると判定された場合(S20:YES)には、S21へと移行する。それに対して、処理対象の滞在者4の性格について、『自分からは積極的に他人に関わらないし、他人からの関わりに対しても反応しない』又は不明と判定された場合(S20:NO)には、S16と移行する。S16では前述したように処理対象の滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態として、他人との関わりに対する希望の度合いが低い、即ち他人と関わりたくないと考えていると推定する。そして、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『小(例えば半径30cm)』に設定する。
【0086】
一方でS21においてCPU31は、処理対象の滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態として、他人との関わりに対する希望の度合いが中程度、即ち他人と機会があれば関わりたいと考えていると推定する。そして、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『中(例えば半径40cm)』に設定する。それによって、表示された図形35によって処理対象の滞在者4が他人と機会があれば関わりたいと考えていることを他の滞在者に示唆することが可能となる。尚、サイズについては
図13に示すように外側エリア42のみを変化させ、内側エリア41は固定のサイズで表示しても良いし、内側エリア41も外側エリア42と同様にサイズを変えても良い。
【0087】
その後、S22においてCPU31は、処理対象の滞在者の現在位置を検出する。尚、滞在者の現在位置の検出手段としては例えば車内カメラ18やタッチセンサ21を用いる。車内カメラ18については顔認識処理を行うことによって滞在者4の識別についても行うことが可能である。
【0088】
更にS23においてCPU31は、前記S22で検出した処理対象の滞在者の現在位置に基づいて、処理対象の滞在者に対応して床面ディスプレイ9に表示する図形35の表示位置を設定する。具体的には、少なくとも滞在者4の現在位置(より具体的には滞在者4の足が床と接触する地点)が図形35の内側エリア41に含まれるように表示位置を設定する。尚、できる限り滞在者4の現在位置が図形35の中心となるのが望ましい。その結果、滞在者4の足元に図形35が表示されることとなる。
【0089】
その後、S24においてCPU31は、床面ディスプレイ9を制御し、滞在者4の現在位置に対応する地点の床面、即ち滞在者4の足元に対してその滞在者4の滞在者情報に応じた図形35を表示する。具体的には、前記S23で設定された表示位置に、前記S12で設定された形状(デザイン)且つ前記S16、S19、S21で設定されたサイズで図形35を表示する。その結果、スペース内に滞在する滞在者4の足元に対してその滞在者4の移動目的とスペース内での他人との関わりに対する心理状態を示唆する図形35が表示されることとなる(
図5)。尚、図形35はスペース5内に滞在者4が進入(即ち車両6に乗車)した時点から退出(即ち車両6を降車)する時点まで基本的に継続して表示される。
【0090】
また、S11以降の処理は所定時間間隔で繰り返し実行されるので、滞在者4がスペース内で移動すれば図形35もそれに伴って表示位置が変更される。また、滞在者4のスペース内での他人との関わりに対する心理状態については、滞在中において常に固定されるとは限らず、途中で変化する場合もある。例えば、スペースでの滞在中に滞在者4が起きている状態から寝ている状態へと滞在状況が変化する(S15:NOからYESへ)場合があり、そのような場合については図形35のサイズが途中で変化することとなる。
【0091】
一方で図形35の形状(デザイン)については基本的に固定であるが、前述したように他の滞在者4の図形35と重複すると、重複した図形35と結合することによって形状が変化する場合がある(S4、
図8)。
【0092】
そして、上記S11~S24の処理はスペース内に滞在する全ての滞在者4を対象として実行される。その結果、スペース内に複数の滞在者4が滞在する場合には滞在者毎にその滞在者の足元に移動目的とスペース内での他人との関わりに対する心理状態を示唆する図形35が表示される。そして、滞在者4はスペースの床面に表示された図形35を確認することにより、自分と同じ或いは自分が興味のある移動目的で移動する他の滞在者4、即ち共通の話題がある相手を容易に把握することが可能となる。更に、他人と関わりたいと考えている他の滞在者4、或いは他人との関わりを避けたいと考えている他の滞在者4について識別可能となる。
【0093】
その後に自分の図形35を共通の話題がある相手の図形35に重複させれば、会話の契機となる情報が出力される(S7)ので会話の開始も容易となる。更に、他人と関わりたいと考えている滞在者4については図形35が大きく表示されるので、重複させることも容易となる。
【0094】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る床面情報表示システム1、車両6及び車両6で実行されるコンピュータプログラムでは、車両6の乗客である複数の滞在者4が滞在するスペース5における各滞在者4の現在位置を取得し(S22)、スペース5の床面の内、複数の滞在者4の現在位置に対応する各地点に対して、該地点に位置する滞在者4に対応した図形35を表示する(S24)。また、滞在者4についてスペース内での他人との関わりに対する心理状態を取得し(S11、S13、S14)、滞在者4の心理状態を示唆する表示態様で滞在者4に対応する図形35を表示する(S15~S21)ので、滞在者の心理状態を示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示することによって、滞在者が会話の相手とするのに適切な他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な他の滞在者を容易に把握可能となる。その結果、他の滞在者と関わることを積極的に希望する滞在者や他の滞在者と関わることを希望しない滞在者を含めた様々な種類の滞在者にとって居心地の良いスペースを構築することが可能となる。
また、滞在者4のスペースでの滞在状況を取得し(S13)、滞在者4のスペースでの滞在状況に基づいてスペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、希望の度合いを示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示する(S24)ので、特に滞在者が会話の相手とするのに適切な状況にある他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な状況にある他の滞在者を容易に把握可能となる。
また、スペース5は滞在者4が移動に用いる移動手段内のスペースであって、滞在者4の移動目的を取得し(S11)、滞在者4の移動目的に基づいてスペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、希望の度合いを示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示する(S24)ので、特に滞在者が会話の相手とするのに適切な移動目的にある他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な移動目的にある他の滞在者を容易に把握可能となる。
また、過去の滞在者4の行動履歴に基づいて滞在者4の他人との関わりに対する性格を特定し、特定された滞在者の性格に基づいて前記スペース内での他人との関わりに対する希望の度合いを推定し、希望の度合いを示唆する図形を滞在者の滞在するスペースの床面に表示する(S24)ので、特に滞在者が会話の相手とするのに適切な性格の他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な性格の他の滞在者を容易に把握可能となる。
【0095】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態では滞在者4が滞在するスペース5を備えた移動手段として、自動運転による走行が可能な車両6を例に挙げて説明しているが、車両6は自動運転に対応しない車両、即ち運転者の操作に基づいて走行やドアの開閉を行う車両(例えば一般的な公共交通機関のバス)であっても良い。また、滞在者4が滞在するスペース5を備えていれば車両以外の移動手段であっても良い。例えば電車、船舶、飛行機であっても良い。
【0096】
更に、滞在者4が滞在するスペース5としては移動手段が備えるスペース5である必要もなく、例えば建物内の部屋であっても良い。部屋の床に対して床面ディスプレイ9を配置することが可能である。仕事関係で開催される会合やパーティー等の面識のない複数の参加者が限られた部屋内に一定時間以上滞在する状況において本発明を適用すれば、それらの複数の参加者の間で会話の相手とするのに適切な他の滞在者や会話の相手とするのに不適切な他の滞在者を容易に把握可能となる。また、その場合には図形表示処理プログラム(
図11)において“移動目的”に代えて“参加目的”を用い、図形35の形状を設定することも可能である。
【0097】
また、本実施形態ではスペース内での他人との関わりに対する心理状態を図形35の大きさで示唆しているが、図形35の大きさ以外に図形35の形状(デザイン)や表示色で心理状態を示唆するようにしても良い。
【0098】
また、滞在者4の心理状態には、細分化すると滞在者4がスペースに滞在する間において変化する要素に基づいて特定される第1の心理状態と、滞在者4がスペースに滞在する間において不変の要素に基づいて特定される第2の心理状態が存在する。例えば、前記S15のように現在の滞在者の状態(寝ている、本を読んでいる、スマートフォンを操作している、何もせずに座っている(或いは立っている)等)に基づいて特定されるのは第1の心理状態であり、前記S17、S18、S20のように滞在者の移動目的や性格に基づいて特定されるのは第2の心理状態である。そして、第1の心理状態と第2の心理状態を夫々示唆する表示態様で図形35を表示しても良い。例えば
図14に示すように第1の心理状態については図形35の表示色で示唆し、他人との関わりに対する希望の度合いが高いと推定される場合については床面ディスプレイ9に表示する図形35の表示色を『青色』に設定する。また、他人との関わりに対する希望の度合いが中程度と推定される場合については床面ディスプレイ9に表示する図形35の表示色を『黄色』に設定する。また、他人との関わりに対する希望の度合いが低いと推定される場合については床面ディスプレイ9に表示する図形35の表示色を『赤色』に設定する。尚、表示色については基本的に外側エリア42のみを設定の対象とし、内側エリア41の表示色については固定の表示色(例えば白色)とするが、内側エリア41の表示色についても外側エリア42と同様に変更しても良い。一方で第2の心理状態については前述した図形表示処理(
図11)と同様に図形35のサイズで示唆するようにする。その結果、床面ディスプレイ9に表示された図形35の形状と表示色によって、滞在者の心理状態をより詳細に示唆することが可能となる。例えば滞在者4の性格が『自分から積極的に他人に関わる』且つ移動目的が通勤以外であるが、現時点で寝ている場合には、第1の心理状態では他人との関わりに対する希望の度合いが低いと推定され、第2の心理状態では他人との関わりに対する希望の度合いが高いと推定される。従って、床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズが『大』で表示色を『赤色』に設定する。尚、滞在者4がスペース内に滞在する間において、滞在者毎に図形35のサイズは固定となるが表示色については適宜変化することとなる。
【0099】
また、本実施形態では滞在者4の心理状態を特定する要素としては、スペースにおける滞在者4の滞在状況、移動目的、性格を挙げているが、他の要素を用いても良い。例えば、車内カメラ18を用いて滞在者の現時点の表情(喜怒哀楽)を認識し、その表情に基づいて滞在者4の心理状態を特定しても良い。具体的には、滞在者の表情が怒っていたり悲しんでいる場合には他人との関わりに対する希望の度合いが低いと推定し、床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『小』に設定する。一方で、滞在者の表情が喜んでいたり楽しそうにしている場合には他人との関わりに対する希望の度合いが高いと推定し、床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『大』に設定する。
【0100】
更に、現在の滞在者の移動が目的地への移動における往路と復路のどちらに該当するかを特定し、往路と復路のいずれに該当するかによって滞在者4の心理状態を特定しても良い。具体的には、滞在者が往路の移動中である場合にはまだやるべきことがあるので他人との関わりに対する希望の度合いが低いと推定し、床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『小』に設定する。一方で、滞在者が復路の移動中である場合にはやるべきことが終わっているので他人との関わりに対する希望の度合いが高いと推定し、床面ディスプレイ9に表示する図形35のサイズを『大』に設定する。
【0101】
また、本実施形態では滞在者4の心理状態として、スペース内で他人と関わりを希望する度合い、即ち他人と関わりたいか否かを特定しているが、それ以外にどの程度の深さ或いは頻度で関わりたいか、どのような形で関わりたいか等について特定するようにしても良い。そして、それらの心理状態を図形35の形状や表示色を用いて示唆するようにしても良い。
【0102】
また、本実施形態では滞在者4の移動目的を取得する場合に、滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず基本的に往路の移動目的を取得するが、滞在者4の移動が復路である場合には復路の移動目的(例えば帰宅)を取得しても良い。同様に本実施形態では滞在者4の目的地を取得する場合に、滞在者4の移動が往路か復路であるかに関わらず基本的に往路の目的地を取得するが、滞在者4の移動が復路である場合には復路の目的地(例えば自宅)を取得しても良い。
【0103】
また、本実施形態では滞在者4間の会話の契機となる情報を出力する際に、過去の同じ滞在者間における図形35の重複回数に応じた内容の情報を出力しているが、図形35の重複回数ではなく重複時間としても良い。
【0104】
また、本実施形態では滞在者4間の会話の契機となる情報を出力する際に、対象となる複数の滞在者4の移動目的と移動方向(往路か復路か)の2つの要素の組み合わせに基づいて出力する情報の内容を決定している(
図9)が、複数の滞在者4の移動目的の組み合わせのみによって出力する情報の内容を決定しても良い。或いは複数の滞在者4の移動方向の組み合わせのみによって出力する情報の内容を決定しても良い。
【0105】
また、本実施形態では、表示制御処理プログラム(
図6)の処理を車両側の制御装置で行っているが、一部又は全部を情報管理サーバ3側の制御装置で行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0106】
1…床面情報表示システム、3…情報管理サーバ、4…滞在者、5…スペース、6…車両、7…通信ネットワーク網、8…通信端末、9…床面ディスプレイ、17…車両表示制御部、31…CPU、32…RAM、33…ROM、34…フラッシュメモリ、35…図形、40…結合図形