(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096729
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】電池ユニット、及び、当該電池ユニットを含む蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220623BHJP
【FI】
H01M2/10 F
H01M2/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209854
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】湯本 満
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AT01
5H040AY08
5H040CC20
5H040CC33
5H040CC38
5H040DD08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】筐体に対する電池パックの取付作業の効率化を実現する電池ユニット、及び当該電池ユニットを含む蓄電システムを提供する。
【解決手段】本発明の電池ユニット(10)は、筐体(20)と、筐体の内部に取付けられ、筐体の内部を上部空間(S1)及び下部空間(S2)に分離する内部プレート(30)と、内部プレートの下面(31)に取付けられ、下部空間に配設される電池パック(40)と、電池パックを内部プレートの下面に固定する固定手段(60)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
該筐体の内部に取付けられ、前記筐体の内部を上部空間及び下部空間に分離する内部プレートと、
前記内部プレートの下面に取付けられ、前記下部空間に配設される電池パックと、
該電池パックを前記内部プレートの前記下面に固定する固定手段と、を備えることを特徴とする電池ユニット。
【請求項2】
前記内部プレートは、該内部プレートの少なくとも一部に、前記内部プレートを補強する補強部を含む、請求項1記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記補強部は、前記内部プレートの周縁の少なくとも一部が上方へ折り曲げられて形成された第1補強部を含む、請求項2記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記補強部は、前記内部プレートの上面の少なくとも一部が上方へ切り起こされて形成された第2補強部を含む、請求項2又は3記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記固定手段はねじである、請求項1から4までのいずれか1項記載の電池ユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の電池ユニットと、
前記電池パックの動作を制御する制御回路装置であって、前記内部プレートの上面に固定されて前記上部空間に配設される制御回路装置と、を備えることを特徴する蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池ユニット、及び、当該電池ユニットを含む蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
中型または大型の電気装置において十分な出力及び容量を提供するため、複数の電池セルを直列または並列に連結して構成されるバッテリーパックが知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池セルと、内部に複数の電池セルを収納するケースと、絶縁材質から形成された板形態を成す第1絶縁構造物及び第2絶縁構造物を具備するバッテリーパックが記載されている。第1絶縁構造物はバッテリーパックの上面側を絶縁しており、第2絶縁構造物はバッテリーパックの下面側を絶縁している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されるようなバッテリーパックは、例えば雨風等の外部環境から保護するために筐体内に配置されて使用されることがある。この場合、当該バッテリーパックは、筐体の底壁部に両面テープを用いて固定されるとともに、所定のブラケットを用いて両側から一括して挟持されて筐体に取り付けられていた。しかしながら、両面テープを用いてバッテリーパックを筐体の底壁部に固定する際に、バッテリーパックが所定位置からズレて位置付けられることがあった。この場合、筐体の寸法が予め決められていることから、ブラケットを筐体内に配設することが困難になることがあった。このような場合、筐体に対するバッテリーパックの再取付けが必要となり、バッテリーパックの筐体への取付作業が非効率なるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筐体に対する電池パックの取付作業の効率化を実現する電池ユニット、及び当該電池ユニットを含む蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電池ユニットは、筐体と、該筐体の内部に取付けられ、前記筐体の内部を上部空間及び下部空間に分離する内部プレートと、前記内部プレートの下面に取付けられ、前記下部空間に配設される電池パックと、該電池パックを前記内部プレートの前記下面に固定する固定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る電池ユニットにおいて、前記内部プレートは、該内部プレートの少なくとも一部に、前記内部プレートを補強する補強部を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る電池ユニットにおいて、前記補強部は、前記内部プレートの周縁の少なくとも一部が上方へ折り曲げられて形成された第1補強部を含む。
【0009】
本発明の一態様に係る電池ユニットにおいて、前記補強部は、前記内部プレートの上面の少なくとも一部が切り起こされて形成された第2補強部を含む。
【0010】
本発明の一態様に係る電池ユニットにおいて、前記固定手段はねじである。
【0011】
本発明に係る蓄電システムは、上記電池ユニットと、前記電池パックの動作を制御する制御回路装置であって、前記内部プレートの上面に固定されて前記上部空間に配設される制御回路装置と、を備えることを特徴する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電池ユニットによれば、電池パックは、筐体の内部を上部空間及び下部空間に分離する内部プレートの下面に固定手段を用いて固定され、下部空間に配設されている。このように、本発明に係る電池ユニットによれば、内部プレートの下面に電池パックを固定することによって、筐体に対する電池パックの取付けが完了する。このため、電池パックを固定する際に従来必要とされていた別部材のブラケットを必要とせず、内部プレートに対する電池パックの取付けが容易になる。よって、筐体に対する電池パックの取付作業の効率化を実現する電池ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電池ユニットを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【
図2】
図2は、
図1の電池ユニットを分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の電池ユニットにおける電池パックを示す下方斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の電池ユニットにおける電池パックと内部プレートとの結合状態を示す下方斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の電池ユニットを含む蓄電システムを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る電池ユニットを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【
図8】
図8は、
図7の電池ユニットを分解して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7の電池ユニットを含む蓄電システムを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電池ユニット10を示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
図2は、
図1の電池ユニット10を分解して示す斜視図である。
図3は、
図1の電池ユニット10における電池パック40を示す下方斜視図である。
図4は、
図3の電池パック40を示す上方斜視図である。
図5は、
図1の電池ユニット10における電池パック40と内部プレート30との結合状態を示す下方斜視図である。
図6は、
図1の電池ユニット10を含む蓄電システム70を示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【0016】
説明の便宜上、
図1に示すように、電池ユニット10において、電池パック40が配置されている側を「下」、その反対側を「上」と定義する。また、
図1に示すように、電池ユニット10を正面から見て、「左」、「右」を定義する。更に、上述した上下方向及び左右方向に垂直な方向を「前」、「後」と定義する。以下、各図に示される「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、全て上記定義に基づくものである。
【0017】
<電池ユニット10>
図1から
図5に示すように、電池ユニット10は、筐体20と、内部プレート30と、電池パック40と、固定手段としてのねじ60と、を備えている。電池ユニット10は、広くバックアップ電源として利用されるものであり、例えば踏切信号用、鉄道用等、種々様々な用途に使用される。
【0018】
<筐体20>
図1及び
図2に示すように、筐体20は、全体として略直方体形状の箱体を成し、例えば鉄(SS400)などの金属材料によって形成されている。筐体20の内部は、内部プレート30、電池パック40、及び後述する制御回路装置としての制御用基板80(
図6)等が収容される収容空間Sとなっている。筐体20は、矩形の平板状部材である底壁部21と、底壁部21の4辺の夫々から上方向に延びる矩形の平板状部材である側壁部(右側壁部22、左側壁部23、後側壁部24、前側壁部(図示せず))と、底壁部21に対向し収容空間Sを上側から塞ぐ矩形の平板状部材である天井壁部(図示せず)とを有している。底壁部21、側壁部(右側壁部22、左側壁部23、後側壁部24、前側壁部(図示せず))、及び天井壁部(図示せず)夫々の縁部は、互いにリベット留めや溶接等により固定されている。これにより、筐体20は閉ざされた収容空間Sを形成する。筐体20において、底壁部21、側壁部(右側壁部22、左側壁部23、後側壁部24、前側壁部(図示せず))、及び天井壁部(図示せず)は、同じ厚さであってもよいし異なる厚さであってもよい。
【0019】
図2に示すように、右側壁部22及び左側壁部23にはそれぞれ、右側取付部25及び左側取付部26が固定されている。なお、右側取付部25及び左側取付部26は前面から見て互いに対称に形成されているため、本実施形態では左側取付部26の説明をし、右側取付部25の説明を省略する。
【0020】
左側取付部26は、前後方向に延在する平板状部分である左側垂直部26bと、左側垂直部26bの上側端縁から右方向に延在する平板状部分である左側水平部26cとを含み、例えば鉄(SS400)によって形成されている。左側取付部26は、左側垂直部26bにおいて、左側壁部23の上下方向中央又は略中央に例えば溶接等によって固定されている。左側取付部26は、左側水平部26cにおいて、前後方向に離間して配設された2つの左側スペーサ26aを含んで構成されている、左側スペーサ26aはそれぞれ、溶接等によって左側水平部26cに固定されている。左側スペーサ26aは、上側に開口する中空円盤状の部材であり、左側水平部26cから上方に突出して形成されている。左側スペーサ26aの内面には雌ねじ部(図示せず)が形成されている。本実施形態では、左側スペーサ26aが2個の場合を説明するが、当該左側スペーサ26aの数はこれに限られるものではない。
【0021】
<内部プレート30>
図1に示すように、内部プレート30は、筐体20の内部に取付けられ、筐体20の内部を上部空間S1及び下部空間S2に分離する。
図1及び
図2に示すように、内部プレート30は、全体として矩形を成し、例えば鉄(SS400)などの金属材料によって板状に形成されている。内部プレート30は、下側を向く面である下面31(
図5)と上側を向く面である上面32とを含む。内部プレート30が筐体20の内部に取付けられた状態で、内部プレート30の下面31は筐体20の下部空間S2の一部を画成しており、内部プレート30の上面32は筐体20の上部空間S1の一部を画成している。
【0022】
図2に示すように、内部プレート30は、左側縁部において、前後方向に離間した2つの内部プレート第1貫通孔37を含む。内部プレート第1貫通孔37は、内部プレート30を上下方向に貫通する孔であり、左側取付部26の左側スペーサ26aに対応して形成されている。また、内部プレート30は、右側縁部において、前後方向に離間した2つの内部プレート第2貫通孔38を含む。内部プレート第2貫通孔38は、内部プレート30を上下方向に貫通する孔であり、右側取付部25の右側スペーサ(図示せず)に対応して形成されている。
【0023】
図1及び
図2に示すように、内部プレート30は、当該内部プレート30の前側縁部において、左右方向に並んだ複数の前側ナット33を有する。前側ナット33は、下側に開口する中空円盤状の部材であり、内部プレートから上方に突出して配設されている。前側ナット33の内面には雌ねじ部(図示せず)が形成されている。前側ナット33は、内部プレート30を上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)と連通するように、内部プレート30の前側縁部に溶接等により固定されている。
【0024】
また、内部プレート30は、当該内部プレート30の後側縁部に左右方向に並んだ複数の後側ナット34を有する。後側ナット34は、下側に開口する中空円盤状の部材であり、内部プレートから上方に突出して配設されている。後側ナット34の内面には雌ねじ部(図示せず)が形成されている。後側ナット34は、内部プレート30を上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)と連通するように、内部プレート30の後側縁部に溶接等により固定されている。本実施形態では、前側ナット33及び後側ナット34が14個の場合を説明するが、当該前側ナット33及び後側ナット34の数はこれに限られるものではない。
【0025】
更に、内部プレート30の上面32には、上側に開口する中空円盤状の部材である上側スペーサ36が溶接等によって固定されている。当該上側スペーサ36の内面には、雌ねじ部(図示せず)が形成されている。本実施形態では、上側スペーサ36が10個の場合を説明するが、当該上側スペーサ36の数はこれに限られるものではない。
【0026】
<電池パック40>
図3及び
図4に示すように、電池パック40は、例えば一列に配設された20本の電池セル46を2列に整列させ、所定の端子板にて各電池セル46を抵抗溶接することで構成されている。具体的には、電池パック40は、各電池セル46の電極が位置する上側及び下側に両面テープを用いて固定された絶縁シート41と、上側の絶縁シート41に両面テープを用いて固定された金属製の固定板42とを含んで構成されている。固定板42は、電池パック40の電池セル46を前後方向に越えて延びており、当該固定板42の前側縁部及び後側縁部には、当該固定板42を上下方向に貫通する固定用貫通孔42aが形成されている。固定板42は、例えばステンレスやアルミ製である。また、電池パック40は、当該電池パック40と外部の電気機器とを接続する電源ケーブル43を含んで構成されている。当該電源ケーブル43は、例えば固定テープ44を用いて電池パック40に固定されている。なお、電源ケーブル43は、
図3及び
図4においてのみ示されており、図面の見易さを考慮して、
図1、
図2等の他の図面では省略されている。なお、複数の電池セルを1つに束ねて構成される電池パックの構成及び機能は公知であるため、電池パック40の詳細な説明を省略する。
【0027】
電池パック40は、
図1及び
図5に示すように、内部プレート30の下面31に取付けられ、下部空間S2に配設される。具体的には、
図5に示すように、電池パック40は、ねじ60によって内部プレート30の下面31に固定されている。内部プレート30が筐体20に取付けられた状態で、電池パック40は、内部プレート30の下面31に対向する筐体20の底壁部21の手前で終端するように配設されてもよいし、筐体20の底壁部21に接触して配設されてもよい。
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、7体の電池パック40によって1つの電池モジュール50が構成されている。なお、電池モジュール50を構成する電池パック40の数は、これに限定されるものではなく、使用態様に応じて適宜変更され得る。
【0028】
電池パック40を構成する各電池セル46は、例えば円筒形状を成す中空のケースと、当該ケース内に収容された電極組立体とを含んで構成されている。電極組立体は、それぞれ帯状の正極板、負極板及びセパレータが互いに重ね合わされて形成されている。電極組立体において、正極板と負極板との間にセパレータが挟み込まれている。金属製のケース内には、所定量のアルカリ電解液(図示せず)が注入されている。このアルカリ電解液は、電極組立体に含浸され、正極板と負極板との間での充放電の際の電気化学反応(充放電反応)を進行させる。このアルカリ電解液としては、KOH、NaOH及びLiOHのうちの少なくとも一種を溶質として含む水溶液を用いることが好ましい。なお、電池セルの構成自体は公知であるため、電池セル46の詳細な説明を省略する。
【0029】
<蓄電システム70>
図6に示すように、蓄電システム70は、上述した電池ユニット10と、制御用基板80とを含んで構成されている。制御用基板80は、電池パック40の動作を制御するように構成されており、内部プレート30の上面32に固定されて上部空間S1に配設されている。制御用基板80には、当該制御用基板80を上下方向に貫通する基板用貫通孔81が形成されている。基板用貫通孔81は、内部プレート30に設けられた上側スペーサ36に対応して形成されている。制御用基板80は、電池パック40と電気的に接続され、各電池セル46の充放電を制御するように構成されている。
【0030】
第1実施形態に係る電池ユニット10及び蓄電システム70の組立方法について説明する。まず、
図5に示すように、内部プレート30に電池パック40を固定する。具体的には、各電池パック40の固定用貫通孔42aにねじ60を挿通し、内部プレート30に設けられた前側ナット33及び後側ナット34にねじ60を螺合し、これにより、各電池パック40が内部プレート30の下面31に固定される。
【0031】
次いで、内部プレート30を筐体20に取付ける。具体的には、内部プレート30に形成された内部プレート第1貫通孔37及び内部プレート第2貫通孔38にねじ(図示せず)を挿通し、左側取付部26の左側スペーサ26a及び右側取付部25の右側スペーサ(図示せず)に当該ねじを螺合し、これにより、内部プレート30が筐体20に固定される。例えば筐体20は、内部プレート30が取付けられる前に、前側壁部及び天井壁部を除いて組み立てられてよく、内部プレート30が取付けられた後に、前側壁部及び天井壁部を取り付けて形成されてよい。このようにして、電池パック40は、内部プレート30の下面31に固定された状態で、筐体20の下部空間S2に配設される。以上のようにして、電池ユニット10の組立が完成する。
【0032】
第1実施形態に係る蓄電システム70を組み立てる場合、少なくとも天井壁部を除いて電池ユニット10を組み立てた状態で、内部プレート30に制御用基板80を取り付ける。具体的には、制御用基板80の基板用貫通孔81にねじ(図示せず)を挿通し、内部プレート30に設けられた上側スペーサ36に当該ねじを螺合し、これにより制御用基板80が内部プレート30の上面32に固定される。その後、天井壁部を取り付けることで、蓄電システム70の組立が完成する。
【0033】
次いで、第1実施形態に係る電池ユニット10及び蓄電システム70の作用、効果について説明する。本実施形態に係る電池パック40は、筐体20の内部を上部空間S1及び下部空間S2に分離する内部プレート30の下面31にねじ60を用いて固定され、下部空間S2に配設されている。このように、当該電池ユニット10及び蓄電システム70は、ねじ60によって内部プレート30の下面31に電池パック40を固定することによって当該電池パック40の取付けが完了する。このため、電池パック40を固定する際に従来必要とされていた別部材のブラケットを必要とせず、内部プレート30に対する電池パック40の固定が容易になる。よって、筐体20に対する電池パック40の取付作業の効率化を実現する電池ユニット10及び蓄電システム70を提供することができる。また、電池ユニット10及び蓄電システム70における部品点数を削減することができる。更に、電池パック40は内部プレート30の下面31にねじ60によって固定されることから、内部プレート30に電池パック40を安定して固定することができる。また、ねじ60を取り外すことで、内部プレート30に対する電池パック40の取り外しが行えることから、電池ユニット10及び蓄電システム70の保守点検を容易に実施することができる。
【0034】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態に係る電池ユニット10a及び蓄電システム70aについて
図7から
図9を用いて説明する。
図7は、第2実施形態に係る電池ユニット10aを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
図8は、
図7の電池ユニット10aを分解して示す斜視図である。
図9は、
図7の電池ユニット10aを含む蓄電システム70aを示す斜視図であり、前側壁部及び天井壁部を省略して示すものである。
【0035】
第2実施形態に係る電池ユニット10a及び蓄電システム70aは、第1実施形態に係る電池ユニット10及び蓄電システム70に対して、後述する内部プレート30aの構成が異なる。以下、第1実施形態に係る電池ユニット10と同じ又は類似する機能を有する構成については、電池ユニット10と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0036】
<内部プレート30a>
図7及び
図8に示すように、内部プレート30aは、当該内部プレート30aの少なくとも一部に、内部プレート30aを補強する補強部35を含む。具体的には、補強部35は、内部プレート30aの周縁の少なくとも一部が上方へ折り曲げられて形成された折り曲げ部35a(第1補強部)を含む。折り曲げ部35aは、当該内部プレート30aの4辺全てに形成されており、内部プレート30aの上面32から上方へ延在している。
図7及び
図8に示すように、当該折り曲げ部35aはそれぞれ、互いに所定の隙間を有して形成されている。なお、折り曲げ部35aの数は4個に限定されるものではなく、使用態様に応じて適宜変更され得る。
【0037】
図7及び
図8に示すように、補強部35は、内部プレート30aの上面32の少なくとも一部が切り起こされて形成された切り起こし部35b(第2補強部)を含む。切り起こし部35bは、内部プレート30を部分的に切り抜いて矩形又は略矩形に形成されており、内部プレート30aの上面32から上方へ延在している。切り起こし部35bは、前後方向において当該内部プレート30aの中央又は略中央に、左右方向に延在して1つ設けられている。なお、切り起こし部35bの数及び位置はこれに限定されるものではなく、使用態様に応じて適宜変更され得る。本実施形態では、内部プレート30aが折り曲げ部35a及び切り起こし部35bの両方を含む態様について説明したが、内部プレート30aは、折り曲げ部35a及び切り起こし部35bのいずれか一方を含んで構成されてもよい。
【0038】
図9に示すように、第2実施形態に係る蓄電システム70aは、上述した電池ユニット10aと、制御用基板80とを含んで構成されている。制御用基板80は、電池パック40の動作を制御するように構成されており、内部プレート30の上面32に固定されて上部空間S1に配設されている。
【0039】
次いで、第2実施形態に係る電池ユニット10a及び蓄電システム70aの作用、効果について説明する。第2実施形態に係る電池ユニット10a及び蓄電システム70aによれば、内部プレート30aは、当該内部プレート30aの少なくとも一部に、内部プレート30aを補強する補強部35を含む。このため、内部プレート30aを筐体20の内部に取付けた状態であっても、電池パック40の重量による内部プレート30aの下方への撓みを抑制することができる。
【0040】
また、第2実施形態に係る電池ユニット10a及び蓄電システム70aによれば、補強部35は、内部プレート30aの周縁の少なくとも一部が上方へ折り曲げられて形成された折り曲げ部35aを含む。このようにして、内部プレート30aの周縁近傍を補強することができ、内部プレート30aを筐体20の内部に取付けた状態であっても、電池パック40の重量による内部プレート30aの下方への撓みを抑制することができる。
【0041】
また、第2実施形態に係る電池ユニット10aによれば、補強部35は、内部プレート30aの上面32の少なくとも一部が切り起こされて形成された切り起こし部35bを含む。このようにして、内部プレート30aの中央付近を補強することができ、内部プレート30aを筐体20の内部に取付けた状態であっても、電池パック40の重量による内部プレート30aの中央付近における下方への撓みを抑制することができる。
【0042】
<変形例1>
次いで、第1実施形態に係る電池パック40の変形例について
図10及び
図11を用いて説明する。
図10は、
図3の電池パック40の変形例を示す下方斜視図である。
図11は、
図10の電池パック40を示す上方斜視図である。変形例1に係る電池パック40aは、第1実施形態に係る電池パック40に対して、後述する絶縁シート41aの構成が異なる。以下、第1実施形態に係る電池パック40と同じ又は類似する機能を有する構成については、電池パック40と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0043】
図10及び
図11に示すように、電池パック40aは、各電池セル46の電極が位置する上側及び下側に両面テープを用いて固定された絶縁シート41aを含んで構成されている。絶縁シート41aは、電池パック40の電池セル46を前後方向に越えて延びており、当該絶縁シート41aの前側縁部及び後側縁部には、当該絶縁シート41aを上下方向に貫通する固定用貫通孔42bが形成されている。そして、各電池パック40aは、絶縁シート41aを介して、内部プレート30に直接固定される。具体的には、絶縁シート41aの固定用貫通孔42bにねじ60を挿通し、内部プレート30に設けられた前側ナット33及び後側ナット34にねじ60を螺合し、これにより、各電池パック40aは内部プレート30の下面31に固定される。
【0044】
<変形例2>
次いで、第1実施形態に係る電池パック40の別の変形例について
図12を用いて説明する。
図12は、
図3の電池パック40の別の変形例を示す上方斜視図である。変形例2に係る電池パック40bは、第1実施形態に係る電池パック40に対して、後述する両面テープ45が設けられている点で異なる。以下、第1実施形態に係る電池パック40と同じ又は類似する機能を有する構成については、電池パック40と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0045】
図12に示すように、電池パック40bは、各電池セル46の電極が位置する上側及び下側に両面テープを用いて固定された絶縁シート41と、上側の絶縁シート41に両面テープを用いて固定された金属製の固定板42cと、固定板42cに貼付される両面テープ45とを含んで構成されている。そして、各電池パック40bは、両面テープ45を内部プレート30の下面31に貼り付けることによって、内部プレート30に固定される。
【0046】
<変形例3>
次いで、変形例1に係る電池パック40aの更なる変形例について
図13を用いて説明する。
図13は、
図10の電池パック40aの変形例を示す上方斜視図である。変形例3に係る電池パック40cは、変形例1に係る電池パック40aに対して、後述する両面テープ45が設けられている点で異なる。以下、変形例1に係る電池パック40aと同じ又は類似する機能を有する構成については、電池パック40aと同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0047】
図13に示すように、電池パック40cは、各電池セル46の電極が位置する上側及び下側に両面テープを用いて固定された絶縁シート41bと、絶縁シート41bに貼付される両面テープ45とを含んで構成されている。絶縁シート41bは、電池パック40cの電池セル46を前後方向に越えないように配設されており、当該絶縁シート41bの前側縁部及び後側縁部には、当該絶縁シート41bを上下方向に貫通する固定用貫通孔が形成されていない。そして、各電池パック40cは、両面テープ45を内部プレート30の下面31に貼り付けることによって、内部プレート30に固定される。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る電池ユニット10、10aに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題又は効果を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0049】
10,10a 電池ユニット
20 筐体
30,30a 内部プレート
31 下面
32 上面
35 補強部
35a 折り曲げ部(第1補強部)
35b 切起こし部(第2補強部)
40,40a,40b,40c 電池パック
45 両面テープ(固定手段)
60 ねじ(固定手段)
70,70a 蓄電システム
80 制御用基板(制御回路装置)
S1 上部空間
S2 下部空間