(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096800
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】制汗剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/362 20060101AFI20220623BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20220623BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A61K8/362
A61Q15/00
A61K8/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209988
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智生
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB221
4C083AB222
4C083AC102
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC472
4C083AC552
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD532
4C083BB51
4C083CC17
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好である制汗剤組成物の提供。
【解決手段】(A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分と、(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、フタル酸、又はこれらの塩から選択される少なくとも1種と、を含有し、前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の含有量との質量比[(A)/(B)]が5~20である制汗剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分と、
(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩と、
を含有し、
前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の含有量との質量比[(A)/(B)]が5~20であることを特徴とする制汗剤組成物。
【請求項2】
(C)マレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩と、
(D)エタノールと、
を更に含有する請求項1に記載の制汗剤組成物。
【請求項3】
(C)成分が、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー又はその塩、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー又はその塩、及び(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー又はその塩から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の制汗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制汗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
制汗剤組成物は、制汗効果及び制汗効果の持続性に優れるだけでなく、刺激性や肌のつっぱり感がなく、速乾性に優れるなどの使用感や使用性も備えることが望まれている。
【0003】
制汗効果を有することが知られているクロルヒドロキシアルミニウムと共に、特定のアニオン性ポリマーを配合することで、発汗量が増加した場合でも制汗効果の持続性に優れる制汗剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この提案の制汗剤組成物は、長時間に及ぶ発汗により、クロルヒドロキシアルミニウムが汗によって希釈され、汗腺の閉塞作用が低下し、制汗効果が低下するという課題があった。また、この提案の制汗剤組成物は、刺激性及び速乾性について十分な検討がされていない。
【0004】
また、クロルヒドロキシアルミニウムと、特定量のカルボン酸又はその塩を含有し、べたつきや冷涼感等の使用感に優れる化粧料も提供されている(特許文献2参照)。しかしながら、この提案の化粧料は、制汗効果及び制汗効果の持続性が不十分であり、更に速乾性も劣るという課題があった(特許文献2参照)。
【0005】
したがって、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好である制汗剤組成物は、未だ提供されておらず、その速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/081055号
【特許文献2】特開2018-65799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好である制汗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、制汗剤組成物において、(A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分と、(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩と、を含有し、前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の含有量との質量比[(A)/(B)]を5~20とすることにより、長時間に及ぶ発汗により、クロルヒドロキシアルミニウムが汗によって希釈されても、汗腺の閉塞作用を有するゲルが素早く形成され、制汗効果及び制汗効果の持続性が飛躍的に向上し、更に刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性にも優れ、かつ剤の外観が良好であることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分と、
(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩と、
を含有し、
前記(A)成分の含有量と前記(B)成分の含有量との質量比[(A)/(B)]が5~20であることを特徴とする制汗剤組成物である。
<2> (C)マレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩と、
(D)エタノールと、
を更に含有する前記<1>に記載の制汗剤組成物である。
<3> (C)成分が、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー又はその塩、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー又はその塩、及び(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー又はその塩から選択される少なくとも1種である前記<2>に記載の制汗剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好である制汗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(制汗剤組成物)
本発明の制汗剤組成物は、(A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分と、(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩と、を少なくとも含有し、更に(C)マレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩と、(D)エタノールとを含有することが好ましく、必要に応じて更にその他の成分を含有する。
【0012】
<(A)ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分>
前記(A)成分のハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分は、主に、制汗効果を付与するために含有される。
【0013】
前記(A)成分としては、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム水和物、及びハロゲン化アルミニウム水和物の錯体から選択される少なくとも1種の制汗成分である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0014】
前記ハロゲン化アルミニウムとしては、例えば、塩化アルミニウムなどが挙げられる。
前記ハロゲン化アルミニウム水和物としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、ブロモヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレートなどが挙げられる。
前記ハロゲン化アルミニウム水和物の錯体としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム/プロピレングリコール錯体、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、制汗効果及び肌のつっぱり感のなさに優れる点で、クロルヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム/プロピレングリコール錯体、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体が好ましい。
【0015】
前記(A)成分は、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(A)成分の市販品としては、例えば、商品名で、Aluminum(III)Chloride(東京化成工業株式会社製、塩化アルミニウム)、クロルヒドロキシアルミニウム50%水溶液(多木化学株式会社製、クロルヒドロキシアルミニウム)、REHYDROL II(ELEMENTIS社製、クロルヒドロキシアルミニウム/プロピレングリコール錯体)、Reach AZO-956G(ELEMENTIS社製、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム・グリシン錯体)などが挙げられる。
【0016】
前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果及び肌のつっぱり感のなさの点から、前記制汗剤組成物全量に対して、6質量%~15質量%が好ましく、10質量%~15質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、6質量%以上であると制汗効果が良好であり、15質量%以下であると肌のつっぱり感のなさが良好である。
【0017】
<(B)アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩>
前記(B)成分のアジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩は、主に、制汗効果及び制汗効果の持続性を付与するために含有される。
【0018】
前記(B)成分としては、アジピン酸、アゼライン酸、イタコン酸、及びフタル酸から選択される少なくとも1種の有機酸又はその塩である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、及び速乾性の点で、フタル酸又はその塩が好ましい。
【0019】
前記(B)成分の塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸二ナトリウム、イタコン酸二ナトリウム、アゼライン酸二ナトリウム、フタル酸二ナトリウム、フタル酸水素カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、フタル酸二ナトリウムが好ましい。
【0020】
前記(B)成分のpKa2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、6.0以下であることが好ましい。
【0021】
前記(B)成分は、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の市販品としては、例えば、商品名で、アジピン酸(鹿特級)(関東化学株式会社、pKa2:5.6)、アゼライン酸(東京化成工業株式会社、pKa2:5.3)、イタコン酸無水物(東京化成工業株式会社、pKa2:5.5)、フタル酸(鹿特級)(関東化学株式会社、pKa2:5.4)、アジピン酸二ナトリウム(東京化成工業株式会社)、フタル酸二ナトリウム(東京化成工業株式会社)、フタル酸水素カリウム(東京化成工業株式会社)などが挙げられる。
【0022】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、及び速乾性の点から、前記制汗剤組成物全量に対して、0.3質量%~2.5質量%が好ましく、0.5質量%~2.0質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.3質量%以上であると制汗効果、制汗効果の持続性、及び速乾性が良好であり、2.5質量%以下であると刺激性のなさが良好である。
【0023】
<質量比[(A)/(B)]>
前記(A)成分の含有量(質量%)と前記(B)成分の含有量(質量%)との質量比[(A)/(B)]は、5~20であるが、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、及び速乾性の点から、5~10が好ましい。前記質量比[(A)/(B)]が、5未満であると、刺激が生じ、20を超えると、制汗効果、制汗効果の持続性、及び速乾性が不十分となる。
【0024】
<(C)マレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩>
前記制汗剤組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分に加えて、(C)成分としてマレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩を更に含むことが、更に優れた制汗効果を付与することができる点で好ましい。なお、本明細書において、前記「C」は、アルキル基の炭素数を表す。
【0025】
前記(C)成分としては、マレイン酸モノアルキル(C1-4)、アルキル(C1-8)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、及びメタクリル酸エチルベタインから選択される少なくとも1種のモノマーと、ビニルメチルエーテル、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(C1-18)、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマーと、を含む共重合体又はその塩である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果、制汗効果の持続性、及び肌のつっぱり感のなさの点で、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)コポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、又はこれらの塩が好ましく、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、又はこれらの塩がより好ましい。
【0026】
前記(C)成分は、共重合体(未中和品)又はその塩(中和品)をそのまま用いてもよいが、前記共重合体(未中和品)を任意のアルカリ剤を用いて塩としたものを用いてもよく、前記共重合体の塩(中和品)を任意の酸を用いて脱塩したものを用いてもよい。
【0027】
前記アルカリ剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アンモニウム、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(以下、「AMP」と称することがある)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、「AMPD」と称することがある)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、AMPが好ましい。
【0028】
前記酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、硫酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記脱塩の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。前記脱塩の方法の具体例としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP 1gを95質量%エタノール4gに溶解し、これに塩酸65μLを添加して脱塩し、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーを得る方法などが挙げられる。
【0030】
前記(C)成分は、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(C)成分の市販品としては、例えば、商品名で、ガントレッツES-225(アシュランド・ジャパン株式会社製、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー)、ガントレッツSP-215(アシュランド・ジャパン株式会社製、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー)、ガントレッツES-425(アシュランド・ジャパン株式会社製、(ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル)コポリマー)、プラスサイズ L-9909B(互応化学工業株式会社製、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー)、プラスサイズ L-9900(互応化学工業株式会社製、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー)、プラスサイズ L-6740B(互応化学工業株式会社製、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマー)、プラスサイズ L-6330(互応化学工業株式会社製、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP)、PVP/VA S-630(アシュランド・ジャパン株式会社製、(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)コポリマー)、ユカフォーマーR205S(三菱ケミカル株式会社製、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー)などが挙げられる。
【0031】
前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果、制汗効果の持続性、及び肌のつっぱり感のなさの点から、前記制汗剤組成物全量に対して、0.25質量%~1.5質量%が好ましく、0.5質量%~1.0質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.25質量%以上であると制汗効果、制汗効果の持続性、及び肌のつっぱり感のなさが良好であり、1.5質量%以下であると剤の外観が良好である。
【0032】
<(D)エタノール>
前記制汗剤組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分に加えて、(D)成分としてエタノールを含むことが、優れた高温保温安定性を付与することができる点で好ましい。
前記(D)成分は、無水エタノールであってもよく、含水エタノールであってもよい。前記含水エタノールとしては、例えば、95体積%エタノール(規格値95体積%~95.5体積%)などを使用することができる。
【0033】
前記(D)成分のエタノールは、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(D)成分のエタノールの市販品としては、例えば、商品名で、合成アルコール95度(日本アルコール販売株式会社)、95度合成特定アルコール(信和アルコール産業株式会社製)などが挙げられる。
【0034】
前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高温保存安定性の点から、前記制汗剤組成物全量に対して、20質量%~50質量%が好ましく、25質量%~50質量%がより好ましい。前記エタノールの含有量が、20質量%以上又は50質量%以下であると、高温保存安定性が良好である。なお、本明細書において、前記エタノールの含有量は、無水エタノールに換算した含有量である。
【0035】
<その他の成分>
前記制汗剤組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、及び前記(D)成分の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、殺菌成分、消臭成分、液状油、固形油、多価アルコール、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、前記(B)成分以外のpH調整剤、植物エキス、清涼化剤、色素、香料などが挙げられる。
【0036】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製水、イオン交換水、純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
前記殺菌成分は、主に、デオドラント効果及び防腐性を付与するために含有されることが好ましい。
前記殺菌成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、サリチル酸、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記殺菌成分は、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウムが好ましい。
前記殺菌成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0038】
前記消臭成分は、主に、デオドラント効果を付与するために含有されることが好ましい。
前記消臭成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化亜鉛、緑茶乾溜エキス、ミョウバン、シクロデキストリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記消臭成分は、酸化亜鉛が好ましい。
前記消臭成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~5.0質量%が好ましく、0.1質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0039】
前記液状油は、主に、基剤として、また感触(つるつる感及びしっとり感)を付与するために含有されることが好ましい。
前記液状油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル油、エーテル油、シリコーン油、鉱油、植物油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記液状油は、エステル油、エーテル油、シリコーン油が好ましい。
前記液状油の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.1質量%~10.0質量%が好ましく、0.5質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0040】
前記固形油は、主に、基剤として、また感触(しっとり感)を付与するために含有されることが好ましい。
前記固形油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キャンデリラ蝋、カルナウバ蝋、ビーズワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ヒマ硬などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記固形油は、ヒマ硬、パラフィンが好ましい。
前記固形油の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.1質量%~10.0質量%が好ましく、0.5質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0041】
前記多価アルコールは、主に、感触(つるつる感及びしっとり感)を付与するために含有されることが好ましい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記多価アルコールは、グリセリン、ポリエチレングリコールが好ましい。
前記多価アルコールの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~5.0質量%が好ましく、0.1質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0042】
前記界面活性剤は、主に、難溶性成分を可溶化させるため、また安定性を向上させるために含有されることが好ましい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~5.0質量%が好ましく、0.1質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0043】
前記キレート剤は、主に、着色を防止し、安定性を向上させるために含有されることが好ましい。
前記キレート剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、フェナントロリン、ビピリジン、クラウンエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。
前記キレート剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~3.0質量%が好ましく、0.05質量%~2.0質量%がより好ましい。
【0044】
前記酸化防止剤は、主に、安定性を向上させるために含有されることが好ましい。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
前記酸化防止剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~3.0質量%が好ましく、0.05質量%~2.0質量%がより好ましい。
【0045】
前記pH調整剤は、主に、安定性を向上させるために含有されることが好ましい。
前記pH調整剤としては、前記(B)成分以外の成分であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、リン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記pH調整剤は、クエン酸、クエン酸三ナトリウムが好ましい。
前記pH調整剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~5.0質量%が好ましく、0.1質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0046】
前記植物エキスは、主に、デオドラント効果及び保湿効果を付与し、使用感及び安定性を向上させるために含有されることが好ましい。
前記植物エキスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローズマリーエキス、ユーカリエキス、クララエキス、クワエキス、オトギリソウエキス、キョウニンエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、柿渋エキス、ハッカ油、ペパーミント油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記植物エキスは、ローズマリーエキス、ユーカリエキスが好ましい。
前記植物エキスの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましい。
【0047】
前記清涼化剤は、主に、使用感を向上させるために含有されることが好ましい。
前記清涼化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メントール、乳酸メンチル、サリチル酸メチル、カンファー、チモールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記清涼化剤は、メントール、乳酸メンチルが好ましい。
前記清涼化剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.01質量%~3.0質量%が好ましく、0.05質量%~2.0質量%がより好ましい。
【0048】
前記色素としては、特に制限はなく、公知の色素の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記色素の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.001質量%~1.0質量%が好ましく、0.005質量%~0.5質量%がより好ましい。
【0049】
前記香料としては、特に制限はなく、公知の香料の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記香料の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗剤組成物全量に対して、0.001質量%~1.0質量%が好ましく、0.005質量%~0.5質量%がより好ましい。
【0050】
-pH-
前記制汗剤組成物の25℃におけるpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制汗効果及び剤の外観の点から、3.0~5.5が好ましい。
【0051】
-粘度-
前記制汗剤組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液状の場合、制汗効果の点から、25℃において、1.0mPa・s~2,000mPa・sが好ましい。
【0052】
前記粘度は、前記制汗剤組成物を25℃に調温し、例えば、BM型粘度計(No.1ローター又はNo.2ローターを使用)にセットし、ローターを回転数60rpmで回転させ、ローターの回転開始から1分間後に測定することができる。
【0053】
-剤型-
前記制汗剤組成物の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液状タイプ、固形状タイプ、半固形状タイプ、ジェル状タイプなどが挙げられる。これらの中でも、水分に溶解した状態で肌に塗布されることが効果発現に有効であり、また高密着に塗布でき、高い効果が発現できる点から、液状タイプ、ジェル状タイプが好ましく、液状タイプがより好ましい。
【0054】
前記液状タイプとしては、例えば、ロールオンタイプ、ミストスプレータイプ、ローションタイプなどが挙げられる。
前記固形状タイプとしては、例えば、スティックタイプ、シートタイプなどが挙げられる。
前記半固形状タイプとしては、例えば、クリームタイプなどが挙げられる。
前記ジェル状タイプとしては、例えば、ジェルタイプなどが挙げられる。
これらの中でも、制汗効果の点から、ロールオンタイプが好ましい。
【0055】
前記制汗剤組成物をロールオンタイプとする場合は、前記制汗剤組成物と、該制汗剤組成物を充填した塗布ボールを有するロールオン容器とからなる制汗剤製品とすることが好ましい。前記ロールオンタイプの製剤は、前記制汗剤組成物が公知のロールオン容器に収容され、前記ロールオン容器にその一部が露出した状態、かつ、回転可能にホルダーで保持された状態のボールに前記制汗剤組成物を付着させ、使用時に前記ボールを肌に付着させることにより、前記制汗剤組成物を肌に塗布することができる。
また、前記制汗剤組成物は、該制汗剤組成物をボトル容器に充填し、容器を用いてそのまま塗布するジェル製剤、指先や手を使用して塗布するジェル製剤、ローション製剤にも好適に用いることができる。
【0056】
-容器-
前記各タイプに用いることができる容器としては、例えば、ロールオン容器、ジェル用ボトル容器、ローション用ボトル容器、ミスト用トリガー型スプレー容器などが挙げられる。これらの中でも、肌への塗りやすさの点から、ロールオン容器が好ましい。前記ロールオン容器は、前記制汗剤組成物を肌に高密着に塗布でき、制汗効果を発現できる点で好適に使用できる。
【0057】
前記ロールオン容器としては、前記制汗剤組成物を充填できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005-186997号公報に記載された容器;ボトル(材質:HDPEナチュラル、満注内容量:約56mL、胴径:直径約33mm、高さ:約87mm、株式会社吉野工業所製)、リング(材質:LLDPEナチュラル、外径:約26mm、高さ:約18mm、株式会社吉野工業所製)、ボール(材質:PPホワイト、直径:約20mm、株式会社吉野工業所製)からなる容器などが挙げられる。
【0058】
前記ジェル用ボトル容器としては、前記制汗剤組成物を充填できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル(商品名:TOMII、材質:HDPEナチュラル、満注内容量:約34mL、胴径:直径約39mm×24mm(オーバル)、高さ:約76mm、竹本容器株式会社製)、中栓(商品名:TOキャップ用ノズルB、材質:PEナチュラル、外径:約12mm、高さ:約13mm、竹本容器株式会社製)、キャップ(商品名:TOキャップ、材質:AS/PPホワイト、外径:直径約37mm×23mm(オーバル)、高さ:約22mm、竹本容器株式会社製)からなる容器などが挙げられる。
【0059】
前記ローション用ボトル容器としては、前記制汗剤組成物を充填できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル(商品名:TOMIII-50、材質:HDPEナチュラル、満注内容量:約34mL、胴径:直径約42mm×29mm(オーバル)、高さ:約88mm、竹本容器株式会社製)、中栓(商品名:TOキャップ用ノズルA、材質:PEナチュラル、外径:約12mm、高さ:約13mm、竹本容器株式会社製)、キャップ(商品名:TOMIIIキャップ、材質:PPホワイト、外径:直径約37mm×25mm(オーバル)、高さ:約24mm、竹本容器株式会社製)からなる容器などが挙げられる。
【0060】
前記ミスト用トリガー容器としては、前記制汗剤組成物を充填できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル(商品名:PH-100、材質:PEナチュラル、満注内容量:約100mL、胴径:直径約40mm、高さ:約120mm、かみむら化学株式会社製)、トリガー(商品名:Z-305、スプレー孔部の平均径:0.45mm、株式会社三谷バルブ製)からなる容器などが挙げられる。
【0061】
-製造方法-
前記制汗剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、好ましくは、前記(C)成分、及び前記(D)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分、及び水(制汗剤組成物の全体が100質量%となるように残量配合)を混合して製造することができる。前記制汗剤組成物を製造するにあたり、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、及び前記その他の成分は、それぞれ単独で調製に用いられてもよく、2種以上の成分を含む混合物の状態で調製に用いられてもよい。
【0062】
前記制汗剤組成物の製造方法の具体例としては、水に前記(A)成分及び前記(B)成分を投入して均一に溶解する。その後、前記(C)成分を均一に溶解させた前記(D)成分を投入して混合及び均一に溶解して制汗剤組成物を得る方法が挙げられる。
【0063】
前記制汗剤組成物を調製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断と全体混合できる複数の撹拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた撹拌装置などが挙げられる。
【0064】
-用途-
本発明の制汗剤組成物は、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好であるため、化粧料、医薬品、医薬部外品等に幅広く用いることができ、制汗剤、防臭剤、制汗防臭剤、デオドラント剤などにより好適に用いることができる。
【実施例0065】
以下に実施例、比較例、及び処方例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び処方例に何ら限定されるものではない。
【0066】
実施例、比較例、及び処方例に記載の各成分の含有量は質量%で示し、全て純分換算した値である。また、(A)成分の含有量(質量%)と前記(B)成分の含有量(質量%)との質量比[(A)/(B)]は、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位まで求め、記載した。また、(D)成分のエタノールは、合成アルコール95度(日本アルコール販売株式会社製)を使用し、無水エタノール換算値(無水エタノールに換算した含有量(質量%))を記載した。
【0067】
(実施例1~12及び比較例1~6)
下記表1、表2、及び表4に示す組成及び含有量の制汗剤組成物を常法により調製した。
具体的には、水に(A)成分又は(A)成分の比較成分及び(B)成分又は(B)成分の比較成分を投入して均一溶解させた後、共通成分としての香料を投入し、均一に溶解して実施例1~12及び比較例1~6の制汗剤組成物を得た。
【0068】
(実施例13~18)
下記表3に示す組成及び含有量の制汗剤組成物を常法により調製した。
具体的には、水に(A)成分及び(B)成分を投入して均一に溶解した。その後、(C)成分を均一に溶解させた(D)成分、及び共通成分としての香料を投入して混合及び均一に溶解して実施例13~18の制汗剤組成物を得た。
【0069】
調製した実施例1~18及び比較例1~6の制汗剤組成物について、以下に記載の評価方法で、「制汗効果」、「制汗効果の持続性」、「刺激性のなさ」、「速乾性」、「肌のつっぱり感のなさ」、及び「剤の外観」を評価した。結果を下記表1~表4に示した。また、調製した実施例13~18の制汗剤組成物については、以下に記載の評価方法で、更に「高温保存安定性」を評価した。結果を下記表3に示した。
【0070】
<制汗効果>
専門パネラー6名の一方の腋窩に、実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物0.40gを塗布し、乾燥させた。他方の腋窩は、コントロール(制汗剤組成物未塗布)とした。その後、汗取りパッドを両脇に装着し、高温条件下(38℃、40%RH環境下)でフィットネスバイクによる運動を20分間実施した。制汗剤組成物塗布部及び制汗剤組成物未塗布部の発汗量を、それぞれ汗取りパッドの重量変化から測定した。下記式(1)に基づき制汗率を求め、専門パネラー6名の制汗率の平均値を算出した。制汗率の平均値から、下記評価基準に基づいて、「制汗効果」を評価した。
制汗率(%)=100-制汗剤組成物塗布部の発汗量/制汗剤組成物未塗布部の発汗量×100 ・・・ 式(1)
-「制汗効果」の評価基準-
◎◎ : 制汗率の平均値が65%以上100%以下
◎ : 制汗率の平均値が55%以上65%未満
○ : 制汗率の平均値が45%以上55%未満
△ : 制汗率の平均値が10%以上45%未満
× : 制汗率の平均値が0%以上10%未満
【0071】
<制汗効果の持続性>
専門パネラー20名の腋窩に、実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物を0.40g塗布し、乾燥させた。その後、高温条件下(38℃、40%RH環境下)でフィットネスバイクによる運動を30分間実施した。その後、3時間経った後に再び同温湿度環境下に入り、フィットネスバイクによる運動を30分間実施した後、制汗効果があったか回答し、下記評価基準に基づいて、「制汗効果の持続性」を評価した。
-「制汗効果の持続性」の評価基準-
◎ : 制汗効果の持続性効果が高い(「制汗効果の持続性が良い」と回答した人が、17名~20名)
○ : 制汗効果の持続性効果がやや高い(「制汗効果の持続性が良い」と回答した人が、11名~16名)
△ : 制汗効果の持続性効果がやや低い(「制汗効果の持続性が良い」と回答した人が、6名~10名)
× : 制汗効果の持続性効果が低い(「制汗効果の持続性が良い」と回答した人が、5名以下)
【0072】
<刺激性のなさ>
専門パネラー20名の腋窩に、実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物を0.40g塗布し、乾燥させた後、下記評価基準に基づいて、「刺激性のなさ」を評価した。
-「刺激性のなさ」の評価基準-
◎ : 専門パネラー20名中16名以上20名以下が、刺激性がないと回答
○ : 専門パネラー20名中11名以上15名以下が、刺激性がないと回答
△ : 専門パネラー20名中6名以上10名以下が、刺激性がないと回答
× : 専門パネラー20名中5名以下が、刺激性がないと回答
【0073】
<速乾性>
専門パネラー20名の腋窩に、実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物を0.40g塗布し、乾燥させた後、下記評価基準に基づいて、「速乾性」を評価した。
-「速乾性」の評価基準-
◎ : 専門パネラー20名中16名以上20名以下が、速乾性があると回答
○ : 専門パネラー20名中11名以上15名以下が、速乾性があると回答
△ : 専門パネラー20名中6名以上10名以下が、速乾性があると回答
× : 専門パネラー20名中5名以下が、速乾性があると回答
【0074】
<肌のつっぱり感のなさ>
専門パネラー20名の腋窩に、実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物を0.40g塗布し、乾燥させた後、下記評価基準に基づいて、「肌のつっぱり感のなさ」を評価した。
-「肌のつっぱり感のなさ」の評価基準-
◎◎ : 専門パネラー20名中18名以上20名以下が肌のつっぱり感がないと回答
◎ : 専門パネラー20名中16名以上17名以下が、肌のつっぱり感がないと回答
○ : 専門パネラー20名中11名以上15名以下が、肌のつっぱり感がないと回答
△ : 専門パネラー20名中6名以上10名以下が、肌のつっぱり感がないと回答
× : 専門パネラー20名中5名以下が、肌のつっぱり感がないと回答
【0075】
<剤の外観>
実施例1~18及び比較例1~6の各制汗剤組成物50gをガラスバイアル瓶に入れ、室温(25℃)下で外観を観察し、下記評価基準に基づいて、「剤の外観」を評価した。
-「剤の外観」の評価基準-
◎◎ : 剤の外観が非常に良い(透明の液状である)
◎ : 剤の外観が良い(やや半透明の液状である)
○ : 剤の外観がやや良い(半透明の液状である)
△ : 剤の外観がやや悪い(白濁した液状である)
× : 剤の外観が悪い(析出物が沈殿した液状である)
【0076】
<高温保存安定性>
実施例13~18の各制汗剤組成物50gをガラスバイアル瓶に入れ、60℃下で1週間静置した後、外観を観察し、下記評価基準に基づいて、「高温保存安定性」を評価した。
-「高温保存安定性」の評価基準-
◎ : 高温保存安定性が良い(透明の液状である)
○ : 高温保存安定性がやや良い(半透明の液状である)
△ : 高温保存安定性がやや悪い(白濁した液状である)
× : 高温保存安定性が悪い(析出物が沈殿した液状である)
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
(処方例1~5)
下記表5に示す組成及び含有量の制汗剤組成物を常法により調製した。
具体的には、水に(A)成分及び(B)成分を投入して均一に溶解した。その後、(C)成分を均一に溶解させた(D)成分及び共通成分を投入して混合及び均一に溶解して処方例1~5の制汗剤組成物を得た。
【0082】
【0083】
前記実施例、比較例、及び処方例で使用した各成分の詳細について、下記表6に示す。
【0084】
本発明の制汗剤組成物は、制汗効果、制汗効果の持続性、刺激性のなさ、肌のつっぱり感のなさ、及び速乾性に優れ、更に剤の外観が良好であるため、化粧料、医薬品、医薬部外品等に幅広く用いることができ、制汗剤、防臭剤、制汗防臭剤、デオドラント剤などにより好適に用いることができる。