(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096815
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】抗原ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/195 20060101AFI20220623BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220623BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20220623BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20220623BHJP
【FI】
C07K14/195 ZNA
G01N33/53 N
G01N33/569 F
C12N15/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210013
(22)【出願日】2020-12-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 多賀子
(72)【発明者】
【氏名】浦川 李花
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045BA10
4H045CA11
4H045DA86
4H045EA50
4H045FA33
4H045FA74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】歯周病原菌に対する抗体との反応性の高い歯周病原菌抗原ポリペプチドの提供。
【解決手段】下記の(A)又は(B)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。(A)特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド、(B)(A)のアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)又は(B)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(A)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項2】
下記の(C)又は(D)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(C)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(D)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項3】
下記の(E)又は(F)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(E)配列番号3に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(F)配列番号3に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項4】
下記の(G)又は(H)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(G)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(H)配列番号4に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項5】
下記の(I)又は(J)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(I)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(J)配列番号5に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項6】
下記の(K)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(K)配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位のアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項7】
下記の(L)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(L)配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位のアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のポリペプチドを含む歯周病原菌抗体価測定用試薬。
【請求項9】
請求項8に記載の歯周病原菌抗体価測定用試薬を含む歯周病原菌抗体価測定用キット。
【請求項10】
生体試料を請求項1~7のいずれかに記載のポリペプチドと接触させることを含む、
該生体試料中の歯周病原菌に対する抗体価を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗原ポリペプチド及びその応用技術等に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病は、歯周病原菌が歯周組織に感染することによって発症する炎症性疾患である。一般に、歯周病の診断は、歯周ポケット検査、触診・出血検査、動揺度検査、X線写真検査等の結果を総合して行われているが、これらの検査手法は歯科医師等の経験・技能等に基づいて行われるため、検査結果及び診断結果に差異が生じる可能性があり、客観性に欠くという問題がある。そのため、客観的に歯周病の診断を行う手法の開発が望まれている。
【0003】
客観的に歯周病の診断を行う手法としては、例えば、歯周病原菌に対する血清中のIgG抗体価を歯周病の感染度又は重篤度の指標とする方法が報告されており、本発明者らが開発した手法では、歯周病原菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)から単離された特定の1次構造を有するポリペプチド又はその改変ポリペプチド(歯周病原菌抗原ポリペプチド)を用いることにより、多様な免疫型を有する広範囲の患者の歯周病を高い精度で検査することができ、かつ自動化された機器等により高速処理を行うことが可能となる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、歯周病原菌に対する抗体との反応性の高い歯周病原菌抗原ポリペプチドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、歯周病原菌抗原ポリペプチドのN末端にタグを付加することによって歯周病原菌に対する抗体との反応性が向上することを見出し、さらに改良を重ねた。
【0007】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
下記の(A)又は(B)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(A)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項2.
下記の(C)又は(D)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(C)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(D)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項3.
下記の(E)又は(F)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(E)配列番号3に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(F)配列番号3に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項4.
下記の(G)又は(H)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(G)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(H)配列番号4に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項5.
下記の(I)又は(J)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(I)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド
(J)配列番号5に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項6.
下記の(K)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(K)配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位のアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項7.
下記の(L)のポリペプチドの、N末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチド。
(L)配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位のアミノ酸配列を有し、かつ抗原性を有するポリペプチド
項8.
項1~7のいずれかに記載のポリペプチドを含む歯周病原菌抗体価測定用試薬。
項9.
項8に記載の歯周病原菌抗体価測定用試薬を含む歯周病原菌抗体価測定用キット。
項10.
生体試料を項1~7のいずれかに記載のポリペプチドと接触させることを含む、
生体試料中の歯周病原菌に対する抗体価を測定する方法。
【発明の効果】
【0008】
歯周病原菌に対する抗体との反応性の高い歯周病原菌抗原ポリペプチドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】陽性血清又は陰性血清を用いた際のドットブロットの結果を示す。
【
図4】陽性血清又は陰性血清を用いた際のELISAの測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0011】
本開示は、(A)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドを包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(A)のポリペプチド」と表記することがある。
【0012】
また、本開示は、(B)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(B)のポリペプチド」と表記することがある。
【0013】
また、本開示は、(C)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(C)のポリペプチド」と表記することがある。
配列番号2に示すアミノ酸配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列の227~860番目のアミノ酸配列に相当する。
【0014】
また、本開示は、(D)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(D)のポリペプチド」と表記することがある。
【0015】
また、本開示は、(E)配列番号3に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(E)のポリペプチド」と表記することがある。
配列番号3に示すアミノ酸配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列の580~860番目のアミノ酸配列に相当する。
【0016】
また、本開示は、(F)配列番号3に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(F)のポリペプチド」と表記することがある。
【0017】
また、本開示は、(G)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(G)のポリペプチド」と表記することがある。
配列番号4に示すアミノ酸配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列の404~860番目のアミノ酸配列に相当する。
【0018】
また、本開示は、(H)配列番号4に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(H)のポリペプチド」と表記することがある。
【0019】
また、本開示は、(I)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(I)のポリペプチド」と表記することがある。
配列番号5に示すアミノ酸配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列の24~860番目のアミノ酸配列に相当する。
【0020】
また、本開示は、(J)配列番号5に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(J)のポリペプチド」と表記することがある。
【0021】
また、本開示は、(K)配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位のアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(K)のポリペプチド」と表記することがある。
【0022】
また、本開示は、(L)配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位のアミノ酸配列を有するポリペプチドをも包含する。本明細書において、当該ポリペプチドを、「(L)のポリペプチド」と表記することがある。
【0023】
(B)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。配列番号1に示すアミノ酸配列において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0024】
アミノ酸の欠失、置換、又は付加などの変異を特定のアミノ酸配列に加える技術は当該技術分野において公知であり、任意の手法を用いて行うことができる。例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法、ランダム突然変異導入法等を利用して行うことができる。
【0025】
(B)のポリペプチドは、例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列と85%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。同一性は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
【0026】
アミノ酸配列の同一性は、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルトのパラメータを用いることにより、算出することができる。
【0027】
(D)のポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。配列番号2に示すアミノ酸配列において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0028】
(D)のポリペプチドは、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列と85%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。同一性は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
【0029】
また、(D)のポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列のN末端側に226個以上のアミノ酸の付加を有しないポリペプチドであってもよい。換言すれば、(D)のポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列のN末端側にアミノ酸の付加を有する場合、当該付加されたアミノ酸の個数が1~225個のポリペプチドであってもよい。当該アミノ酸の個数の上限又は下限は、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、又は220個であってもよい。より具体的には、例えば、2~220個であってもよい。
【0030】
(F)のポリペプチドは、配列番号3に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。配列番号3に示すアミノ酸配列において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0031】
(F)のポリペプチドは、例えば、配列番号3に示すアミノ酸配列と85%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。同一性は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
【0032】
(H)のポリペプチドは、配列番号4に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。配列番号4に示すアミノ酸配列において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0033】
(H)のポリペプチドは、例えば、配列番号4に示すアミノ酸配列と85%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。同一性は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
【0034】
(J)のポリペプチドは、配列番号5に示すアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。配列番号5に示すアミノ酸配列において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0035】
(J)のポリペプチドは、例えば、配列番号5に示すアミノ酸配列と85%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。同一性は、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
【0036】
また、(J)のポリペプチドは、配列番号5に示すアミノ酸配列のN末端側に23個以上のアミノ酸の付加を有しないポリペプチドであってもよい。換言すれば、(J)のポリペプチドは、配列番号5に示すアミノ酸配列のN末端側にアミノ酸の付加を有する場合、当該付加されたアミノ酸の個数が1~22個のポリペプチドであってもよい。当該アミノ酸の個数の上限又は下限は、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又は21個であってもよい。より具体的には、例えば、2~21個であってもよい。
【0037】
(K)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。(K)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位のアミノ酸配列のN末端側、又はC末端側に1個若しくは2個以上のアミノ酸が付加されていてもよい。付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、600個、550個、500個、450個、400個、350個、300個、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0038】
(L)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。(L)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位のアミノ酸配列のN末端側、又はC末端側に1個若しくは2個以上のアミノ酸が付加されていてもよい。付加されたアミノ酸の個数の上限は、例えば、700個、650個、600個、550個、500個、450個、400個、350個、300個、250個、200個、150個、100個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個であってもよい。
【0039】
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、及び(J)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位に相当するアミノ酸配列における、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数が、0~50個のポリペプチドであることが好ましい。当該範囲の上限又は下限は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、又は49個であってもよい。より具体的には、例えば、1~49個であってもよい。また、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、及び(J)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第580位~第860位に相当するアミノ酸配列が保存されていてもよい。
【0040】
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、及び(J)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位に相当するアミノ酸配列における、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数が、0~9個のポリペプチドであることが好ましい。当該範囲の上限又は下限は、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、又は8個であってもよい。より具体的には、例えば、1~8個であってもよい。また、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、及び(J)のポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列の第698位~第718位に相当するアミノ酸配列が保存されていてもよい。
【0041】
本開示のポリペプチドは、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)及び(L)のポリペプチドのN末端側にGSTタグが付加されておりかつC末端側にはタグが付加されていない構造を有するポリペプチドである。本明細書において、これらのポリペプチドを総称して、「本開示のポリペプチド」と表記することがある。
【0042】
タグを付加する方法としては、特に限定されず、慣用の方法および反応条件を採用することができる。
【0043】
(B)のポリペプチド、(D)のポリペプチド、(F)のポリペプチド、(H)のポリペプチド、(J)のポリペプチド、(K)及び(L)のポリペプチドは、抗原性を有することが好ましい。
【0044】
本明細書において、「抗原性を有する」とは、歯周病原菌に対する抗体と、抗原抗体反応することを意味する。抗体としては、例えば、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体等のイムノグロブリン抗体が挙げられ、イムノグロブリン抗体のいずれかと抗原抗体反応すればよい。中でもIgG抗体が好ましい。
【0045】
抗原性は、ELISA法により評価することができる。より具体的には、後述する実施例に示すように、抗原性を評価するポリペプチドを抗原、歯周病原菌に対する抗体を含む歯周病患者の陽性血清を1次抗体として、これらの抗原抗体反応がELISA法により検出された場合には、当該ポリペプチドは抗原性を有すると判断される。
【0046】
本開示のポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、又は5に示すアミノ酸配列の情報に基づいて、一般的なタンパク質の化学合成法(例えば、液相法及び固相法)を用いて製造することができる。また、上述したポリペプチドは、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用して、遺伝子工学的な手法で製造することができる。
【0047】
本開示のポリペプチドは、さらに、標識物質を有していてもよい。標識物質としては、例えば、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、β-D-ガラクトシダーゼ、ビオチン、金コロイド、ラテックスビーズなどが挙げられる。
【0048】
本開示は、本開示のポリペプチドを含む歯周病原菌抗体価測定用試薬をも包含する。本明細書において、当該試薬を、「本開示の試薬」と表記することがある。
【0049】
本開示の試薬は、本開示のポリペプチドの他、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、生理食塩水、PBS、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、Good Bufferなどの溶媒;カゼイン、スキムミルク、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、血液タンパク質又は植物タンパク質を有効成分とするもの、マウス、ウサギ、ヤギ、牛胎児等の正常動物血液成分、正常ヒト血清成分などのタンパク成分安定化剤;各種防腐剤;界面活性剤;亜鉛やマグネシウム等の金属の塩などの酵素の活性化剤などが挙げられる。
【0050】
本開示は、本開示のポリペプチドを含む歯周病原菌抗体価測定用試薬を含む歯周病原菌抗体価測定キットをも包含する。本明細書において、当該キットを、「本開示のキット」と表記することがある。
【0051】
当該キットには、本開示の試薬の他、必要に応じてその他の試薬、器具等が含まれていてもよい。例えば、ブロッキング液、洗浄液、標識物質を含む抗体、基質液(発色・蛍光・発光)などが挙げられる。また、当該キットは、本開示の試薬の他、ブロッキング液、洗浄液、標識物質を含む抗体、基質液(発色・蛍光・発光)などを含む部材(メンブレン等)等を含むものであってもよい。
【0052】
本開示は、生体試料を本開示のポリペプチドと接触させることを含む、該生体試料中の歯周病原菌に対する抗体価を測定する方法をも包含する。本明細書において、当該測定方法を、「本開示の測定方法」と表記することがある。
【0053】
生体試料としては、特に限定されず、例えば、歯周病原菌に対する抗体(例えば、IgG抗体、IgA抗体、IgM抗体等)を含み得る試料が挙げられる。採取の容易さ、取扱い易さ等の観点からは、生体試料としては、血液、唾液、歯肉溝滲出液、糞便、涙液、鼻腔ぬぐい液、又は羊水が好ましい。また、歯周病原菌に対する抗体を含み得る試料としては、肝臓などの臓器を用いることもできる。
血液を生体試料として用いる場合には、血漿又は血清がより好ましく、血清がさらにより好ましい。血漿を生体試料として用いる場合には、ろ紙や血漿分離機等により分離された血漿であってもよい。なお、対象から採取した生体試料を保存する方法、条件等については特に制限されず、常法に従って行うことができる。
【0054】
生体試料を採取される対象としては、ヒトのみならず、歯周病原菌の感染が起こり得る生体であれば特に制限されず、非ヒト哺乳動物であってもよい。ヒトとしては特に制限されず、健常者であってもよく、歯周病に罹患したヒト(歯周病患者)であってもよく、歯周病の罹患が疑われるヒトであってもよい。歯周病または歯周病原菌との関連性のある疾患(例えば、関節リウマチ、心疾患、動脈硬化性疾患、糖尿病、認知症、非アルコール性脂肪肝(NASH/NAFLD)、肥満、早産など)を有するヒトやその疑いがあるヒトであってもよい。また、非ヒト哺乳動物としては、ペット、家畜、実験動物等として飼育される哺乳動物が例示される。例えば、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、ラクダ、リャマ等が挙げられる。
【0055】
対象から生体試料を採取する方法としては特に制限されず、常法に従って行えばよい。また、採取した生体試料は、そのまま用いてもよく、凍結乾燥等して保存した後、当該凍結乾燥物を後述する適当な溶媒に溶解して用いてもよく、また、採取した生体試料を、そのまま冷凍保存した後、あるいは後述する適当な溶媒に溶解する等して冷凍保存した後、使用時に解凍して用いてもよい。
【0056】
生体試料を溶解させる溶媒としては、例えば、生理食塩水、PBS、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、Good Bufferなどが挙げられる。これらの溶媒は、カゼイン、スキムミルク、ウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、血液タンパク質又は植物タンパク質を有効成分とするもの、マウス、ウサギ、ヤギ、牛胎児等の正常動物血液成分、正常ヒト血清成分などのタンパク成分安定化剤;各種防腐剤;界面活性剤;亜鉛やマグネシウム等の金属の塩などの酵素の活性化剤などを含むものであってもよい。
【0057】
本開示の測定方法によれば、本開示のポリペプチドと生体試料とを接触させることにより、生体試料中に存在する歯周病原菌に対する抗体(例えば、IgG抗体、IgA抗体、IgM抗体等)を、本開示のポリペプチドとの抗原抗体反応を利用して検出することができる。
【0058】
本開示の測定方法は、さらに、生体試料を本開示のポリペプチドと接触させることにより生じる生体試料中に存在する歯周病原菌に対する抗体と本開示のポリペプチドとの抗原抗体反応物(抗体及び本開示のポリペプチドを含む複合体)を検出する工程を含んでいてもよい。
【0059】
抗原抗体反応物を検出する方法は、特に限定されず、慣用の方法および反応条件を採用することができる。例えば、当該抗原抗体反応物に、標識物質を含む抗イムノグロブリン抗体(例えば、抗IgG抗体等)を接触させ当該標識物質を検出する方法や、本開示のポリペプチドが標識物質を含む場合、当該標識物質を検出する方法などが挙げられる。
【0060】
本開示の測定方法は、必要に応じて、例えば、抗原の固相への固定化工程、洗浄工程、ブロッキング工程、基質反応工程などを含んでいてもよい。これらは、慣用の方法および反応条件を採用することができる。
【0061】
本開示の測定方法は、ELISA法やドットブロット法、イムノクロマト法などの免疫学的手法が好ましく用いられる。
【0062】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
【0063】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0064】
本開示の内容を以下の実験例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「重量%」を意味する。
【0065】
実験例1:SDS-PAGEとウェスタンブロット
N末端側あるいはC末端側にGSTタグが付いた35Nタンパク質(配列番号1)をSDS-PAGEに付した。タグの付加場所が異なる二つのタンパク質を同じ濃度に調整し、熱変性させた後、2枚のポリアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEを行なった。メンブレンに転写し、それぞれ抗GST抗体と陽性血清でウエスタンブロットを行った。転写したメンブレンを5%スキムミルクを含むTBSにてブロッキングした。3%スキムミルクを含むTBS によって2,500-5,000倍に希釈した抗体溶液(抗GSTポリクロ―ナル抗体(Bethyl社)または陽性血清(歯周病患者の血清))を添加し、室温にて2時間反応させた。0.05%(v/v) Tween20を含むTBSにて3回洗浄した後、3%スキムミルクを含むTBS によって5,000倍に希釈したHRP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体反応液(MILLIPORE)またはHRP結合ヤギ抗ヒトIgG抗体反応液を添加し、室温で1時間反応させた。3回洗浄した後、4-Methyl-1 Naphtol 発色溶液を加え、室温で30分間反応させた。ImageQuant LAS4000 mini(GEヘルスケア)を用いてメンブレンの画像をスキャンし、各バンドのシグナル値を求めた。それぞれ、N末端側にGSTタグが付いた35Nタンパク質のバンド強度を100としたときの相対値を
図1に示す。
【0066】
図1に示す通り、抗GST抗体を用いた場合の反応性は同程度であるにもかかわらず、陽性血清(歯周病患者の血清)を用いた場合には、C末端側にGSTタグが付いた35Nタンパク質と比較して、N末端側にGSTタグが付いた35Nタンパク質は反応性が高いことが分かった。
【0067】
実験例2:ドットブロット
N末端にHisタグあるいはGSTタグのついた35Nタンパク質をドットブロットに付した。35N(GSTタグ)のタンパク質の量は50ngとし、35N(Hisタグ)のタンパク質は同等のモル数となるよう調製した。ドットブロットした後、ブロッキング溶液(Takara Western BloT blocking buffer)で振とうした後、Tween20(0.05%(v/v))を含むTBSで振とうした。5,000倍に希釈した陽性血清(歯周病患者の血清)あるいは陰性血清(健常者の血清)を添加し、4℃で一晩振とうした。Tween20(0.05%(v/v))を含むTBSで洗浄した後、80,000倍に希釈した、HRP結合ヤギ抗ヒトIgG抗体反応液(MILLIPORE)を添加し室温で1時間反応させた。Tween20(0.05%(v/v))を含むTBSで洗浄した後、HRP検出試薬のPierce ECL substrate (Thermo Fisher)を添加した。ImageQuant LAS4000 mini(GEヘルスケア)を用いてメンブレンの画像をスキャンし、ドットのシグナル値を求めた。なお、陽性血清及び陰性血清については、由来の異なる2種の血清を用いた。バンド強度を
図2に示す。
【0068】
図2に示す通り、いずれの陽性血清を用いた場合でも、Hisタグを用いた場合と比較して、GSTタグを用いた場合に、反応性が高いことが分かった。
【0069】
実験例3:ELISA
以下の4種の抗原タンパク質をELISAに付した。なお、抗原タンパク質としては、各配列番号に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドについて、N末端側にGSTタグを有し、C末端側にはタグを含まないもの(No.9、11、13、15)及びN末端側にGSTタグを有し、かつC末端側にSBPタグを有するもの(No.10、12、14、16)を使用した。
No. 9、10(配列番号2)(35Nにおける227~860番目のアミノ酸に相当)
No. 11、12(配列番号3)(35Nにおける580~860番目のアミノ酸に相当)
No. 13、14(配列番号4)(35Nにおける404~860番目のアミノ酸に相当)
No. 15、16(配列番号5)(35Nにおける24~860番目のアミノ酸に相当)
【0070】
抗原タンパク質の量は35Nを0.5ng/100μlに調製した場合と同等のモル数となるように調製した。
【0071】
Glutathione を固相した96wellプレートをTween20(0.1%(v/v))を含むPBSにて3回洗浄した後、調製したタンパク溶液100μlを添加し室温で1時間反応させた。Tween20(0.1%)を含むPBSにて3回洗浄した後、620倍に希釈した陽性血清を100μl添加し室温で1時間反応させた。Tween20(0.1%(v/v))を含むPBSにて3回洗浄した後、2000倍に希釈した、西洋ワサビペルオキシダーゼ(以下、HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG抗体反応液(MILLIPORE)を100mμl添加し室温で反応させた。Tween20(0.1%(v/v))を含むPBSにて3回洗浄した後、発色基質のABTS150μlを添加し、室温で反応させた後、プレートリーダーを用いて405nmの吸光度を測定した。結果を
図3に示す。
【0072】
図3に示す通り、いずれの抗原タンパク質を用いた場合でも、N末端側にGSTタグを有し、かつC末端側にSBPタグを有するものと比較して、N末端側にGSTタグを有し、C末端側にはタグを含まないものを用いた場合に、陽性血清との反応性が高いことが分かった。
【0073】
実験例4:ELISA
実験例3と同様の方法により、以下の3種の抗原タンパク質をELISAに付した。なお、いずれの抗原タンパク質もN末端側にGSTタグを有し、C末端側にはタグを含まないものを使用した。
35N(配列番号1)
No. 4(配列番号6)(35Nにおける31~697番目のアミノ酸に相当)
No. 18(配列番号7)(35Nにおける719~860番目のアミノ酸に相当)
また、陽性血清(歯周病患者の血清)に代えて、陰性血清(健常者の血清)を用いて、同様にELISAに供し、吸光度を測定した。結果を
図4に示す。
【0074】
No. 4(配列番号6)のタンパク質は、陽性血清との反応性が低く、No. 18(配列番号7)のタンパク質は、陰性血清とも反応していることが示唆された。以上のことから、No. 7、No. 8のタンパク質に共通する配列(35N(配列番号1)における580~860)の中でも、特に35Nにおける698~718配列にエピトープが含まれることが示唆された。