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  • 特開-蓄電池制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096820
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】蓄電池制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20220623BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220623BHJP
   G05F 1/67 20060101ALI20220623BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J3/38 150
G05F1/67 A
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210021
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】東海林 和
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H030
5H420
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AS01
5H030FF43
5H030FF44
5H420BB04
5H420BB12
5H420BB14
5H420CC03
5H420DD03
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF05
5H420FF22
(57)【要約】
【課題】太陽電池の出力電流を検出することなく最大電力点追従制御を行うことができる蓄電池制御装置を提供する。
【解決手段】太陽光パネルを有した太陽電池30および自立運転を行う太陽光パワーコンディショナー32の共通接続点(DCライン40)と蓄電池20の間に接続されたDC/DCコンバータ52と、DC/DCコンバータ52を制御する直流変換器制御部54とを備え、前記直流変換器制御部54は、直流電圧をΔVだけ変化させ、そのときに蓄電池出力電力Pbatが減少した場合は同符号のΔVで、増加した場合は反転した符号のΔVで直流電圧Vdcを変化させることを繰り返して最大電力点に追従させるMPPT制御(山登り法)を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルを有した太陽電池および自立運転を行う太陽光パワーコンディショナーの共通接続点と蓄電池の間に接続された直流電力変換器と、前記直流電力変換器を制御する制御部とを備えた蓄電池制御装置であって、
前記制御部は、
一制御周期毎に、前回制御周期時に前記直流電力変換器の前記共通接続点側直流電圧VdcをΔV変化させたときの蓄電池電力検出値Pbat_zと、今回制御周期時の蓄電池電力検出値Pbatを比較し、前記PbatがPbat_zよりも小さいときは同一符号のΔVで前記Vdcを変化させ、前記PbatがPbat_z以上のときは反転した符号のΔVで前記Vdcを変化させることによって、最大電力点追従制御を行うことを特徴とする蓄電池制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パワーコンディショナー(以下、太陽光PCSと称することもある)の自立運転時に、最大電力点追従制御(以下、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と称することもある)を補助するために、直流リンクに太陽光パネルを有した太陽電池と並列に接続される蓄電池制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光PCSの直流リンクに接続される蓄電池制御装置は、例えば特許文献1に記載の装置が提案されていた。
【0003】
図3は特許文献1に記載の電力供給システムの構成を示し、電力系統との連系運転中の太陽光PCSのMPPT制御を補助するために、直流リンクに蓄電池制御装置を並列に接続している。
【0004】
太陽光パネルを有した太陽電池30の出力側は、DCライン40を介して太陽光PCS32の直流側に接続されている。太陽光PCS32の交流側は負荷34および電力系統36に接続されている。DCライン40には蓄電池制御装置10を介して蓄電池20が接続されている。
【0005】
蓄電池制御装置10は、DCライン40と蓄電池20の間に接続され、太陽電池30の出力を蓄電池20へ充電させるか、又は蓄電池20の電力をDCライン40へ放電させるDC/DCコンバータ(直流電力変換器)12と、太陽電池30の出力電流を検出する電流センサ41、太陽光PCS32の入力電流を検出する電流センサ42、DC/DCコンバータ12のDCライン40側の電圧を検出する電圧センサ16の各検出信号に基づいて、蓄電池20の充放電電力が所望値となるようにDC/DCコンバータ12を制御する直流変換器制御部14を備えている。
【0006】
図3は、電力系統36との連系運転時に、太陽光PCS32が主としてMPPT制御を行う構成であるが、電力系統36から太陽光PCS32を解列し、自立運転を行う場合は、図4に示す構成が考えられる。
【0007】
図4において図3と同一部分は同一符号をもって示しており、電力系統36は除外している。
【0008】
直流変換器制御部14は、電流センサ41で検出した太陽電池30の出力電流Ipv、図示省略の電圧センサで検出した、DC/DCコンバータ12のDCライン40側の直流電圧Vdc、電流センサ18で検出した蓄電池電流Ibat、図示省略の電圧センサで検出した蓄電池電圧Vbatに基づいてDC/DCコンバータ12を駆動し、DCライン40の直流電圧を制御する。
【0009】
この際、太陽光出力電力Ppv=Ipv*Vdcが最大になるようにMPPT制御を行う。
【0010】
太陽光PCS32は、直流電力を交流電力に変換するDC/ACコンバータ32aと、電流センサ32bで検出した太陽電池30の出力電流Ipv、図示省略の電圧センサで検出したDCライン40の直流電圧Vdcに基づいてDC/ACコンバータ32aを駆動し、交流電圧制御を行う太陽光PCS制御部32cとを備えている。
【0011】
蓄電池制御装置10は、直流電圧をΔVだけ変化させ、そのときに太陽光出力電力Ppvが増加した場合は同符号のΔVで、減少した場合は反転した符号のΔVで直流電圧Vdcを変化させることを繰り返して最大電力点に追従させる一般的なMPPT制御(山登り法)を図5のフローチャートに沿って実行する。
【0012】
図5において、ステップS1~S5の処理を一制御周期として繰り返し制御が実行される。まずステップS1では太陽光出力電力Ppv=Vdc*Ipv(太陽電池30の出力電力)を検出する。
【0013】
次にステップS2において、前回制御周期時の太陽光出力電力Ppv_zと今回検出した太陽光出力電力Ppvを比較する。比較結果がPpv≧Ppv_zの場合はそのままステップS4へ進み、Ppv<Ppv_zの場合はステップS3においてΔVの符号を反転した後ステップS4へ進む。
【0014】
ステップS4では、直流電圧VdcをΔV変化させ(Vdc=Vdc+ΔV)、その後ステップS5において電力値を保存する(Ppv_z=Ppv)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第6531496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図4の蓄電池制御装置10では、太陽光出力電力Ppvを演算するために太陽電池30の出力電流Ipvを検出する必要があり、そのため蓄電池制御装置10の外部に電流センサ(41)が必要であるという問題があった。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、太陽電池の出力電流を検出することなく最大電力点追従制御を行うことができる蓄電池制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための請求項1に記載の蓄電池制御装置は、
太陽光パネルを有した太陽電池および自立運転を行う太陽光パワーコンディショナーの共通接続点と蓄電池の間に接続された直流電力変換器と、前記直流電力変換器を制御する制御部とを備えた蓄電池制御装置であって、
前記制御部は、
一制御周期毎に、前回制御周期時に前記直流電力変換器の前記共通接続点側直流電圧VdcをΔV変化させたときの蓄電池電力検出値Pbat_zと、今回制御周期時の蓄電池電力検出値Pbatを比較し、前記PbatがPbat_zよりも小さいときは同一符号のΔVで前記Vdcを変化させ、前記PbatがPbat_z以上のときは反転した符号のΔVで前記Vdcを変化させることによって、最大電力点追従制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓄電池電力検出値を利用して最大電力点追従制御を行っているので、太陽電池の出力電流を検出する必要がなく、装置外部の電流検出点が削減され、装置構成を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態例による装置の構成図。
図2】本発明の実施形態例によるMPPT制御のフローチャート。
図3】先行文献1に記載の電力供給システムの構成図。
図4図3の電力供給システムで自立運転を行う場合の構成図。
図5】従来のMPPT制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本発明の実施形態では、蓄電池制御装置によるMPPT制御の判定に使用する電力を、太陽光出力電力Ppvから蓄電池出力電力Pbatに変更した。蓄電池制御装置では蓄電池の電圧、電流を制御する必要があるため、装置内部に蓄電池電圧Vbatと蓄電池電流Ibatの検出点が用意されており、外部に検出点を追加する必要はない。
【0022】
図1は実施形態例による装置構成を表し、図4と同一部分は同一符号をもって示している。図1において図4と異なる点は、太陽電池30の出力電流Ipvの検出点を不要とし(電流センサ41を除去し)、太陽光出力電力Ppvに基づいてMPPT制御の判定を行う蓄電池制御装置10に代えて、蓄電池出力電力Pbatに基づいてMPPT制御の判定を行う蓄電池制御装置50を設けた点にある。
【0023】
蓄電池制御装置50は、DCライン40と蓄電池20の間に接続され、太陽電池30の出力を蓄電池20へ充電させるか、又は蓄電池20の電力をDCライン40へ放電させるDC/DCコンバータ52(本発明の直流電力変換器)と、図示省略の電圧センサで検出したDC/DCコンバータ52のDCライン40側の直流電圧Vdc、電流センサ58で検出した蓄電池電流Ibat、図示省略の電圧センサで検出した蓄電池電圧Vbatに基づいてDC/DCコンバータ52を駆動し、DCライン40の直流電圧を制御する直流変換器制御部54(本発明の制御部)を備えている。
【0024】
蓄電池制御装置50は、直流電圧をΔVだけ変化させ、そのときに蓄電池出力電力Pbatが減少した場合は同符号のΔVで、増加した場合は反転した符号のΔVで直流電圧Vdcを変化させることを繰り返して最大電力点に追従させる本発明特有のMPPT制御(山登り法)を図2のフローチャートに沿って実行する。
【0025】
図2において、ステップS11~S15の処理を一制御周期として繰り返し制御が実行される。まずステップS11では蓄電池出力電力Pbat=Vbat*Ibatを検出する。
【0026】
次にステップS12において、前回制御周期時の蓄電池出力電力Pbat_zと今回検出した蓄電池出力電力Pbatを比較する。比較結果がPbat<Pbat_zの場合はそのままステップS14へ進み、Pbat≧Pbat_zの場合はステップS13においてΔVの符号を反転した後ステップS14へ進む。
【0027】
ステップS14では、直流電圧VdcをΔV変化させ(Vdc=Vdc+ΔV)、その後ステップS15において電力値を保存する(Pbat_z=Pbat)。
【0028】
図2の処理を繰り返し実行することで蓄電池出力電力Pbat=Vbat*Ibatが最小になるようなMPPT制御がなされ、その結果最大電力点に追従することができる。
【0029】
自立運転の負荷34、太陽電池30の太陽光パネルへの日射量が安定している場合は、上記MPPT制御によって最大電力点に追従することができる。自立運転の負荷変動あるいは太陽光パネルへの日射変動が発生した場合は、一時的に最大電力点からずれた点に直流電圧が移動するが、継続して上記MPPT制御を行うことによって、上記変動が安定した後に再び最大電力点に追従することができる。
【0030】
以上のように、蓄電池出力電力によってMPPT制御を実施できるため、太陽電池の出力電流検出点を削減でき、装置構成を簡易化できる。
【符号の説明】
【0031】
20…蓄電池
30…太陽電池
32…太陽光パワーコンディショナー
34…負荷
36…電力系統
40…DCライン
50…蓄電池制御装置
52…DC/DCコンバータ
54…直流変換器制御部
58…電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5