(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096843
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】整形枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A47G9/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210064
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】509137021
【氏名又は名称】ツーフィット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100164013
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】緒方 亮一
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA09
3B102AB07
3B102AC02
(57)【要約】
【課題】高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、汎用性を備えた整形枕を提供する。
【解決手段】整形枕100の内部に配置される芯体10は、第1芯縁部31に形成される第1柱状部61と、第2芯縁部32に形成される第2柱状部62とを有し、第1柱状部61の高さは、第2柱状部62の高さよりも高く設定されており、第1柱状部61の第1芯面21側および第2柱状部62の第1芯面21側を一体に形成する第1芯体構成部51の硬さは、第1柱状部61の第2芯面22側および第2柱状部62の第2芯面22側を一体に形成する第2芯体構成部52よりも硬く設定されているとともに、第1芯体構成部51および第2芯体構成部52が接合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側である第2面のいずれの面を上方に向けた状態でも使用可能であり、かつ、対向する第1縁部および第2縁部のいずれの縁部を使用者の頚椎側にした状態でも使用可能である整形枕であって、
内部に配置される芯体を備え、
前記芯体は、
前記整形枕の前記第1面側に向けて配置される面を第1芯面とし、前記整形枕の前記第2面側に向けて配置される面を第2芯面とするとともに、
前記整形枕の前記第1縁部に沿って配置される縁部を第1芯縁部とし、前記整形枕の前記第2縁部に沿って配置される縁部を第2芯縁部として、
前記第1芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第1柱状部と、
前記第2芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第2柱状部と、
前記第1柱状部および前記第2柱状部の間に配置され、前記第1柱状部および前記第2柱状部のいずれの厚みよりも薄い連結部と、
を有し、
前記第1芯面から前記第2芯面に向かう方向における、前記第1柱状部の高さは、前記第2柱状部の高さよりも、高く設定されており、
さらに、
前記芯体は、
前記第1柱状部の前記第1芯面側、および前記第2柱状部の前記第1芯面側を一体に形成する第1芯体構成部と、
前記第1柱状部の前記第2芯面側、および前記第2柱状部の前記第2芯面側を一体に形成する第2芯体構成部と、
を含み、
前記第1芯体構成部の硬さは、前記第2芯体構成部よりも硬く設定されているとともに、前記第1芯体構成部および前記第2芯体構成部が接合されている、
整形枕。
【請求項2】
前記芯体は、
前記第1芯面を上にして、前記第1柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第1沈み込み高さとし、
前記第1芯面を上にして、前記第2柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第2沈み込み高さとし、
前記第2芯面を上にして、前記第1柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第3沈み込み高さとし、
前記第2芯面を上にして、前記第2柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第4沈み込み高さとして、
前記第1芯体構成部の硬さ、および、前記第2芯体構成部の硬さは、
第1沈み込み高さ>第3沈み込み高さ>第2沈み込み高さ>第4沈み込み高さ
となるように設定されている、
請求項1に記載の整形枕。
【請求項3】
前記芯体は、
断面視において、前記第1芯体構成部および前記第2芯体構成部が、前記接合面に対して対称に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の整形枕。
【請求項4】
前記芯体は、
前記第1柱状部から前記第2柱状部に向かう方向における、前記第1柱状部の長さが、前記第2柱状部の長さよりも、長く設定されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の整形枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形枕に関する。より詳細には、枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、汎用性を備えた整形枕に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時の姿勢は、日々の体調や長期的な健康に影響を及ぼすことが知られている。就寝時に使用する枕は、就寝時の姿勢に密接に関係している。就寝時の姿勢を適切なものにするため、枕の高さは、使用者の体格や体形、あるいは体調に合わせて調整できることが望ましい。
【0003】
従来の枕として、袋体に詰め物(例えば、プラスチック、羽毛、綿等)を充填したものが使用されている。このような枕は、詰め物の種類や充填量を調節することによって使用者の体格や体形に対応させることができる。しかしながら、詰め物の種類や充填量を調節して枕の高さを変えることは容易ではない。
【0004】
使用者の体格や体形に対してより適切に対応させるため、使用者の体格や体形に合わせてオーダーメイドされた枕も存在する。しかしながら、オーダーメイドされた枕は、特定の使用者に合わせた高さや硬さに設定されるため、様々な使用者の体格や体形に対応できる汎用性は備えていない。
【0005】
特許文献1には、芯体が長方形の環状に形成され、対向する長辺の一方の高さを他方よりも高くし、かつ硬質に形成された整形枕が開示されている。特許文献1に開示された整形枕によれば、環状に形成された芯体の長辺のうち、いずれか一方を選択的に使用することによって、使用者の体格や体形に合わせて枕の高さを変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された整形枕によれば、枕の高さの高低を選択できるものの、2通りしか選択肢がなく、十分な汎用性があるとまではいえなかった。
【0008】
本発明の目的は、枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、汎用性を備えた整形枕を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の整形枕は、第1面と、前記第1面の反対側である第2面のいずれの面を上方に向けた状態でも使用可能であり、かつ、対向する第1縁部および第2縁部のいずれの縁部を使用者の頚椎側にした状態でも使用可能である整形枕であって、
内部に配置される芯体を備え、
前記芯体は、
前記整形枕の前記第1面側に向けて配置される面を第1芯面とし、前記整形枕の前記第2面側に向けて配置される面を第2芯面とするとともに、
前記整形枕の前記第1縁部に沿って配置される縁部を第1芯縁部とし、前記整形枕の前記第2縁部に沿って配置される縁部を第2芯縁部として、
前記第1芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第1柱状部と、
前記第2芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第2柱状部と、
前記第1柱状部および前記第2柱状部の間に配置され、前記第1柱状部および前記第2柱状部のいずれの厚みよりも薄い連結部と、
を有し、
前記第1芯面から前記第2芯面に向かう方向における、前記第1柱状部の高さは、前記第2柱状部の高さよりも、高く設定されており、
さらに、
前記芯体は、
前記第1柱状部の前記第1芯面側、および前記第2柱状部の前記第1芯面側を一体に形成する第1芯体構成部と、
前記第1柱状部の前記第2芯面側、および前記第2柱状部の前記第2芯面側を一体に形成する第2芯体構成部と、
を含み、
前記第1芯体構成部の硬さは、前記第2芯体構成部よりも硬く設定されているとともに、前記第1芯体構成部および前記第2芯体構成部が接合されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の整形枕によれば、枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、汎用性を備えた整形枕とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る整形枕の平面図である。
【
図3】
図3は、使用者が整形枕の上に頭部を置いた状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、芯体を構成する第1芯体構成部および第2芯体構成部の断面図である。
【
図6】
図6は、芯体の第1芯面を上にした状態で荷重が加わった状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、芯体の第2芯面を上にした状態で荷重が加わった状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる整形枕は、
第1面と、前記第1面の反対側である第2面のいずれの面を上方に向けた状態でも使用可能であり、かつ、対向する第1縁部および第2縁部のいずれの縁部を使用者の頚椎側にした状態でも使用可能である整形枕であって、
内部に配置される芯体を備え、
前記芯体は、
前記整形枕の前記第1面側に向けて配置される面を第1芯面とし、前記整形枕の前記第2面側に向けて配置される面を第2芯面とするとともに、
前記整形枕の前記第1縁部に沿って配置される縁部を第1芯縁部とし、前記整形枕の前記第2縁部に沿って配置される縁部を第2芯縁部として、
前記第1芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第1柱状部と、
前記第2芯縁部において、前記第1芯面側および前記第2芯面側の両方に突出するように形成される第2柱状部と、
前記第1柱状部および前記第2柱状部の間に配置され、前記第1柱状部および前記第2柱状部のいずれの厚みよりも薄い連結部と、
を有し、
前記第1芯面から前記第2芯面に向かう方向における、前記第1柱状部の高さは、前記第2柱状部の高さよりも、高く設定されており、
さらに、
前記芯体は、
前記第1柱状部の前記第1芯面側、および前記第2柱状部の前記第1芯面側を一体に形成する第1芯体構成部と、
前記第1柱状部の前記第2芯面側、および前記第2柱状部の前記第2芯面側を一体に形成する第2芯体構成部と、
を含み、
前記第1芯体構成部の硬さは、前記第2芯体構成部よりも硬く設定されているとともに、前記第1芯体構成部および前記第2芯体構成部が接合されている(第1の構成)。
【0013】
上記構成によれば、整形枕の内部に配置される芯体は、第1芯面側と第2芯面側とで硬さの異なる第1芯体構成部と第2芯体構成部とで構成されており、芯体の両側には、高さの異なる第1柱状部と第2柱状部が設けられている。
これにより、第1柱状部と第2柱状部は、それぞれ整形枕の第1面側と第2面側とで硬さが異なるように形成されている。
このため、整形枕の第1面を上にして使用した状態では、使用者による所定の荷重によって芯体が沈み込んだ状態において、第1柱状部を頚椎の下にして使用する状態の高さ(第1沈み込み高さ)ほうが、第2柱状部を頚椎の下にして使用する状態の高さ(第2沈み込み高さ)よりも高くなる。
また、芯体は整形枕の第1面側よりも第2面側のほうが軟らかく形成されているため、整形枕の第1面を上にして使用した状態と、整形枕の第2面を上にして使用した状態とでは、使用者による所定の荷重によって芯体が沈み込む量は異なっている。
このため、整形枕の第2面を上にして使用した状態では、第1柱状部を頚椎の下にして使用する状態の高さ(第3沈み込み高さ)ほうが、第2柱状部を頚椎の下にして使用する状態の高さ(第4沈み込み高さ)よりも高くなる。
また、第1柱状部の使用状態における高さである第1沈み込み高さと第3沈み込み高さは異なっており、第2柱状部の使用状態における高さである第2沈み込み高さと第4沈み込み高さも異なっている。
このように、整形枕の第1面側と第2面側の使い分け、および整形枕の第1縁部側と第2縁部側の使い分けにより、異なる沈み込み高さで使用することができるため、整形枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、汎用性を備えた整形枕とすることができる。
【0014】
上記第1の構成において、
前記芯体は、
前記第1芯面を上にして、前記第1柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第1沈み込み高さとし、
前記第1芯面を上にして、前記第2柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第2沈み込み高さとし、
前記第2芯面を上にして、前記第1柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第3沈み込み高さとし、
前記第2芯面を上にして、前記第2柱状部に所定の荷重を加えた状態における高さを第4沈み込み高さとして、
前記第1芯体構成部の硬さ、および、前記第2芯体構成部の硬さは、
第1沈み込み高さ>第3沈み込み高さ>第2沈み込み高さ>第4沈み込み高さ
となるように設定されていてもよい(第2の構成)。
【0015】
上記構成によれば、第1芯体構成部の硬さ、および、第2芯体構成部の硬さは、
第1沈み込み高さ>第3沈み込み高さ>第2沈み込み高さ>第4沈み込み高さ
となるように設定されている。
このため、整形枕の第1面側と第2面側の使い分け、および整形枕の第1縁部側と第2縁部側の使い分けによる、沈み込み高さの設定を細かくすることができるため、整形枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させやすくすることができる。
【0016】
前記芯体は、
断面視において、前記第1芯体構成部および前記第2芯体構成部が、前記接合面に対して対称に形成されていてもよい(第3の構成)。
【0017】
上記構成によれば、芯体は、断面視において、第1芯体構成部および第2芯体構成部が、接合面に対して対称に形成されている。
これにより、使用者が整形枕の第1面側と第2面側の使い分け、および整形枕の第1縁部側と第2縁部側の使い分けを行った場合に、沈み込み高さの違いにより整形枕の高さの変化は生じさせるものの、使用感については大きな変化を生じさせないようにすることができる。
このため、使用者は、整形枕の使用感については違和感を感じることなく、整形枕の高さを体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる、
【0018】
前記芯体は、
前記第1柱状部から前記第2柱状部に向かう方向における、前記第1柱状部の長さが、前記第2柱状部の長さよりも、長く設定されていてもよい(第4の構成)。
【0019】
上記構成によれば、第1柱状部から第2柱状部に向かう方向における、第1柱状部の長さが、第2柱状部の長さよりも、長く設定されている。
このため、頚椎に接する部分の高さだけでなく使用者の頚椎をサポートする長さを変えることにより、整形枕の高さを様々な使用者の体格や体形に対応させたり、使用者のその日の体調に対応させることができる。
【0020】
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施例1に係る整形枕100を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化若しくは模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材の寸法比は必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0021】
[全体構成]
図1は、本発明の実施例1に係る整形枕100の平面図である。以下の図では、説明の便宜上、矢印Uは上方向を示し、矢印Dは下方向を示す。矢印Fは前方向を示し、矢印Bは後方向を示す。矢印Lは左方向を示し、矢印Rは右方向を示す。
【0022】
図1に示すように、整形枕100は、平面視で略長方形の形状を有している。整形枕100の内部には、芯体10が配置されている。整形枕100の一方の面を第1面121とし、第1面121の反対側の面を第2面122とすると(
図2参照)、整形枕100は、第1面121および第2面122のいずれの面を上方に向けた状態でも使用可能である。
図3では、使用者PSが第1面121を上方に向けて使用している状態を示している。
【0023】
図1において、整形枕100の対向する長辺のうち、一方を第1縁部131とし、他方を第2縁部132とすると(
図2参照)、整形枕100は、第1縁部131および第2縁部132のいずれの縁部を使用者PSの頚椎CS側にした状態でも使用可能である。
図3では、使用者PSが第2縁部132を頚椎CS側にして使用している状態を示している。言い換えると、
図3では、使用者PSは、第2縁部132が使用者PSの首や肩に近い位置となる状態で使用している。
【0024】
図2は、
図1のA-A線における断面図である。
図2に示すように、整形枕100は、芯体10、枕本体150、およびカバー160を備えている。
【0025】
芯体10は、使用者PSが整形枕100を使用する状態において、使用者PSの頚椎CSを支える部材である。芯体10は、整形枕100の上下方向の中央位置において、前後方向に対して略平行になるように配置されている。芯体10は、第1柱状部61、第2柱状部62、および連結部65を有している。芯体10は、弾力性を有する素材で構成されている。本実施形態では、芯体10はウレタンフォームで構成されている。
【0026】
ここで芯体10の面のうち、整形枕100の第1面121側に向けて配置される面を第1芯面21とし、整形枕100の第2面122側に向けて配置される面を第2芯面22とする。また、芯体10の周囲の縁部のうち、整形枕100の第1縁部131に沿って配置される縁部を第1芯縁部31とし、整形枕100の第2縁部132に沿って配置される縁部を第2芯縁部32とする。芯体10の構成については、後に詳細に説明する。
【0027】
枕本体150は、整形枕100の本体となる部材である。枕本体150は、中心部に芯体10を保持している。枕本体150は、弾力性を有する素材で構成されている。枕本体150の素材は限定されないが、芯体10よりも柔軟性が高い素材、例えば、綿や柔軟度の高いポリフォームによって構成されている。
【0028】
カバー160は、枕本体150の外側を包囲して整形枕100の形状を保持する部材である。カバー160は布帛等の素材で形成されている。
【0029】
図3は、使用者PSが整形枕100の上に頭部PSHを置いた状態を示す断面図である。
図3では、整形枕100は、第1面121が上方に向けられ、第2縁部132が使用者PSの頚椎CS側にされた状態で使用されている。
図3に示すように、使用者PSが第1面121を上方に向けて、頚椎CSを第2縁部132に置くように使用すると、使用者PSによる荷重Fが枕本体150を介して芯体10の第2柱状部62に加わる。第2柱状部62は、荷重Fによって沈み込むように変形しながら、使用者PSの頚椎CSを支える。この芯体10の沈み込み量が整形枕100の高さに直接的に関係している。本実施形態では、芯体10の部位ごとに荷重Fが加わった状態での沈み込み量に差異を設けることにより、一つの整形枕100によって高さを4段階に変えることを特徴としている。
【0030】
図4は、芯体10の断面図である。
図5は、芯体10を構成する第1芯体構成部51および第2芯体構成部52の断面図である。
図4に示すように、芯体10の第1柱状部61は、第1芯縁部31において、第1芯面21側および第2芯面22側の両方に突出するように形成されている部分である。第2柱状部62は、第2芯縁部32において、第1芯面21側および第2芯面22側の両方に突出するように形成されている部分である。連結部65は、第1柱状部61および第2柱状部62の間に配置されている部分である。連結部65の厚さH3は、第1柱状部61の厚み(高さ)H1、および第2柱状部62の厚み(高さ)H2のいずれよりも薄くなるように形成されている。
【0031】
図4および
図5に示すように、芯体10は、第1芯体構成部51および第2芯体構成部52によって構成されている。本実施形態の第1芯体構成部51および第2芯体構成部52は、互いに断面形状が上下線対称となるように形成されているが、素材として用いられるウレタンフォームの硬さ(N)がそれぞれ異なっている。第1芯体構成部51の素材として用いられるウレタンフォームの硬さ(N)は、第2芯体構成部52の素材として用いられるウレタンフォームの硬さ(N)よりも硬く設定されている。
【0032】
第1芯体構成部51は、第1柱状部61の第1芯面21側、および第2柱状部62の第1芯面21側を一体に形成している。第2芯体構成部52は、第1柱状部61の第2芯面22側、および第2柱状部62の第2芯面22側を一体に形成している。第1芯体構成部51および第2芯体構成部52は、接合面67に対して線対称となるように配置されて接合されることにより、芯体10の第1柱状部61、第2柱状部62、および連結部65を構成している。第1芯体構成部51および第2芯体構成部52の接合は、融着や接着剤によって行うことができる。
【0033】
図4に示すように、第1柱状部61を構成する第1芯体構成部51の高さ(厚み)はH11であり、第1柱状部61を構成する第2芯体構成部52の高さ(厚み)はH12であり、H11とH12は等しくなるように設定されている。また、第2柱状部62を構成する第1芯体構成部51の高さ(厚み)はH21であり、第2柱状部62を構成する第2芯体構成部52の高さ(厚み)はH22であり、H21とH22は等しくなるように設定されている。
【0034】
そして、第1芯体構成部51および第2芯体構成部52を接合することによって構成される第1柱状部61および第2柱状部62は、第1柱状部61の高さ(厚み)H1が、第2柱状部62の高さ(厚み)H2よりも高くなるように設定されている。また、
図4の前後方向において、第1柱状部61の長さL1は、第2柱状部62の長さよりも、長く設定されている。
【0035】
図6は、芯体10の第1芯面21を上にした状態で荷重が加わった状態を示す断面図である。
図7は、芯体10の第2芯面22を上にした状態で荷重が加わった状態を示す断面図である。
図6および
図7では、使用者PSの荷重Fによって芯体10の第1柱状部61および第2柱状部62が沈み込んだ状態における高さを説明するために、便宜上、第1柱状部61および第2柱状部62に同時に荷重Fを加えた状態を示している。
【0036】
図6および
図7に示すように、芯体10の第1芯面21を上にして第1柱状部61および第2柱状部62に荷重Fを加えた状態と、芯体10の第2芯面22を上にして第1柱状部61および第2柱状部62に荷重Fを加えた状態とでは、それぞれ沈み込んだ状態における高さが異なっている。これは、荷重Fが加わっていない状態における第1柱状部61の高さH1、および第2柱状部62の高さH2がそれぞれ異なっていることと、第1柱状部61の第1芯面21側および第2柱状部62の第1芯面21側を構成している第1芯体構成部51と、第1柱状部61の第2芯面22側および第2柱状部62の第2芯面22側を構成している第2芯体構成部52の硬さ(N)が異なっていることによるものである。
【0037】
図6に示すように、
芯体10の第1芯面21を上にして、第1柱状部61に荷重Fを加えた状態における高さを第1沈み込み高さHP1とし、
第1芯面21を上にして、第2柱状部62に荷重Fを加えた状態における高さを第2沈み込み高さHP2とし、
図7に示すように、
第2芯面22を上にして、第1柱状部61に荷重Fを加えた状態における高さを第3沈み込み高さHP3とし、
第2芯面22を上にして、第2柱状部62に荷重Fを加えた状態における高さを第4沈み込み高さHP4とする。
【0038】
図4に示すように、本実施形態では、荷重Fが加わっていない状態における第1柱状部61の高さH1、および第2柱状部62の高さH2がそれぞれ異なっている。このため、
図6に示すように、芯体10の第1芯面21を上にした状態において、第1柱状部61に荷重Fを加えた状態における第1沈み込み高さHP1と、第2柱状部62に荷重Fを加えた状態における第2沈み込み高さHP2は異なっている。具体的には、
第1沈み込み高さHP1>第2沈み込み高さHP2
の関係になっている。
【0039】
同様に、
図7に示すように、芯体10の第2芯面22を上にした状態において、第1柱状部61に荷重Fを加えた状態における第3沈み込み高さHP3と、第2柱状部62に荷重Fを加えた状態における第4沈み込み高さHP4も異なっている。具体的には、
第3沈み込み高さHP3>第4沈み込み高さHP4
の関係になっている。
【0040】
また、本実施形態では、第1芯体構成部51の硬さ(N)が第2芯体構成部52の硬さ(N)よりも硬く設定されており、同じ第1柱状部61に同じ荷重Fを加えた場合であっても、第1芯面21を上にした状態と第2芯面22を上にした状態とでは、それぞれの沈む込み高さが異なっている。具体的には、
図6および
図7に示すように、
第1沈み込み高さHP1>第3沈み込み高さHP3
の関係になっている。
【0041】
同様に、同じ第2柱状部62に同じ荷重Fを加えた場合であっても、第1芯面21を上にした状態と第2芯面22を上にした状態とでは、それぞれの沈む込み高さが異なっている。具体的には、
図6および
図7に示すように、
第2沈み込み高さHP2>第4沈み込み高さHP4
の関係になっている。
【0042】
さらに本実施形態では、同じ荷重Fを加えた場合の沈み込み高さが、下記の関係になるように、第1芯体構成部51の硬さ(N)と第2芯体構成部52の硬さ(N)、および第1芯体構成部51と第2芯体構成部52の硬さ(N)の差異を設定している。
第1沈み込み高さHP1>第3沈み込み高さHP3>第2沈み込み高さHP2>第4沈み込み高さHP4
つまり、第3沈み込み高さHP3が第1沈み込み高さHP1と第2沈み込み高さHP2の中間となるように、第1芯体構成部51の硬さ(N)と第2芯体構成部52の硬さ(N)、および第1芯体構成部51と第2芯体構成部52の硬さ(N)の差異を設定している。
【0043】
上記のように芯体10に荷重Fが加わった状態における沈み込み高さに差異を設けたことにより、芯体10の第1芯面21側と第2芯面22側の使い分け、つまり、整形枕100の第1面121側と第2面122側を使い分けることと、芯体10の第1柱状部61側と第2柱状部62側の使い分け、つまり、整形枕100の第1縁部131側と第2縁部132側を使い分けることにより、整形枕100を異なる沈み込み高さで使用することができる。このため、整形枕100の高さを様々な使用者PSの体格や体形に対応させたり、使用者PSのその日の体調に対応させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、芯体10は、同じ荷重Fが加わった場合に、
第1沈み込み高さHP1>第3沈み込み高さHP3>第2沈み込み高さHP2>第4沈み込み高さHP4
となるように設定されているため、整形枕100の第1面121側と第2面122側の使い分け、および整形枕100の第1縁部131側と第2縁部132側の使い分けによる、沈み込み高さの設定が細かくなっている。これにより、整形枕100の高さを様々な使用者PSの体格や体形により適切に対応させたり、使用者PSのその日の体調に対応させやすくすることができる。
【0045】
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、芯体10の形状は本実施形態の形状に限定されない。また、本実施形態では、第1芯体構成部51と第2芯体構成部52は、上下に線対称な形状としたが線対称の形状でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、芯体が内部に配置された整形枕に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
100 整形枕
10 芯体
21 第1芯面
22 第2芯面
31 第1芯縁部
32 第2芯縁部
51 第1芯体構成部
52 第2芯体構成部
61 第1柱状部
62 第2柱状部
65 連結部
121 第1面
122 第2面
131 第1縁部
132 第2縁部
PS 使用者
CS 頚椎