(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096865
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】付加画像表示装置及び付加画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220623BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210094
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】持地 麻記子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】 いわゆるXR技術が用いられて表示される画像空間に対し、広告画像等の付加画像を表示する場合に、自動的に適切な表示場所に表示できるようにする。
【解決手段】 候補位置抽出処理部113は、抽出条件ファイル1052に記憶保持されている画像空間に対する所定の絞り込み属性情報に応じた抽出条件に基づいて、当該画像空間において広告画像などの付加画像の表示が可能な1以上の表示場所の候補を抽出する。候補位置抽出処理部113は、抽出した1以上の表示場所の候補の位置を示す地図画像を形成して、これを出力できるようにする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像空間に対する所定の絞り込み属性情報に応じた抽出条件に基づいて、前記画像空間において付加画像の表示が可能な1以上の表示場所の候補を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された1以上の前記表示場所の候補の位置を示す画像を形成する第1の形成手段と
を備えることを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の付加画像表示装置であって、
前記絞り込み属性情報は、前記画像空間にある地物に対する属性情報と、前記地物の地理的位置に応じて決まる属性情報と、変動する可能性のある属性情報との少なくとも1つを含む
ことを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の付加画像表示装置であって、
前記付加画像に関する情報の入力を受け付ける情報受付手段を備え、
前記抽出手段は、前記情報受付手段を通じて受け付けた前記付加画像に関する情報を加味して、前記表示場所を抽出する
ことを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の付加画像表示装置であって、
前記第1の形成手段で形成された前記画像を出力する第1の出力手段と、
前記第1の出力手段を通じて出力された前記画像を通じて、前記付加画像を表示する表示場所の候補の選択入力を受け付ける第1の受付手段と
を備えることを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の付加画像表示装置であって、
前記第1の受付手段を通じて受け付けた前記選択入力に応じた前記表示場所に前記付加画像を表示するようにした確認画像を形成する第2の形成手段と、
前記第2の形成手段で形成された前記確認画像を出力する第2の出力手段と、
前記第2の出力手段を通じて出力された前記確認画像の通りに前記付加画像を表示するか否かの指示入力を受け付ける第2の受付手段と
を備えることを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のいずれかに記載の付加画像表示装置であって、
前記表示画像は、カメラ部を通じて撮像されて表示される拡張現実のための画像である
ことを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3請求項4または請求項5のいずれかに記載の付加画像表示装置であって、
前記付加画像が表示される前記画像空間は、予め用意される画像データと地図データとに基づいて形成される仮想空間の画像である
ことを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項8】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7のいずれかに記載の付加画像表示装置であって
前記付加画像は、広告画像、あるいは、登場キャラクタである
ことを特徴とする付加画像表示装置。
【請求項9】
画像を表示するようにする装置において用いられる付加画像表示方法であって、
画像空間に対する所定の絞り込み属性情報に応じた抽出条件に基づいて、前記画像空間において付加画像の表示が可能な1以上の表示場所の候補を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出した1以上の前記表示場所の候補の位置を示す画像を形成する第1の形成工程と
を有することを特徴とする付加画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、仮想現実(VR(Virtual Reality))空間、拡張現実(AR(Augmented Reality))空間、複合現実(MR(Mixed Reality))空間といった画像空間に設けられる表示場所に付加画像を表示可能にする装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋外広告の貸し側がコンピュータ上のバーチャルな町並みに、屋外広告の複数の媒体を、状況に応じて表示方法を変えて表示し、借り側はこれを見て入札する広告媒体賃貸システムに関する発明が開示されている。すなわち、特許文献1に開示された発明の場合には、屋外広告の借り側は、実際に屋外広告を借りて広告を出す前に、屋外広告の表示態様をバーチャルな町並みにおいて確認し納得した上で、屋外広告の貸し出しを依頼することができる。なお、特許文献1に開示された発明は、屋外広告の貸し出しに関するものであり、コンピュータ上のバーチャルな町並みに表示された広告を見ることができるのは、いうまでもなく屋外広告の利用を検討している借り側の利用者である。
【0003】
また、特許文献2には、ネットワークを介して広告を提供するシステムにおいて、地理的位置や提供時間などに応じて、広告料を決めるようにする発明が開示されている。特許文献2に開示された発明により、利用者の人気や関心の高い、あるいは、広告主からの広告の掲載依頼が多いといった、場所や地域あるいは時間や季節に関しては、広告掲載料を高くするなど、広告効果に応じて適切な広告掲載料を設定することが可能になる。なお、特許文献2に開示された発明の場合には、広告のみが携帯端末の表示画面に表示されるか、広告と広告主の店舗等の所在位置を示す地図とが別々の領域に表示されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-312646号公報
【特許文献2】特開2002-074197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)といったいわゆるXR技術を用いてディスプレイに表示される表示画像の利用が盛んになってきている。VRは、現物・実物ではないが、機能としての本質は同じであるような環境を、ユーザの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術である。近年においては、実世界(現実に存在する世界)に対応したVR空間をコンピュータ上に再現し、このVR空間において自転車のロードレースを開催したり、ハロウィンなどのイベントを開催したりすることが行われている。
【0006】
ARは、人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術である。例えば、携帯端末のカメラ機能を用いて取り込んで表示部に表示したAR空間において、これに含まれる山などの地物の名称を表示するなどのことが行われている。近年においては、携帯端末のカメラ機能を用いて取り込んで表示部に表示した実世界に対応するAR空間に、ゲームの登場キャラクタの画像を表示し、これを捕獲するなどのことができるゲームも提供されている。
【0007】
MRは、AR空間とVR空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間(MR空間)を構築する技術である。例えば、カメラ機能を用いて取り込んで表示部に表示した実世界の表示画像が形成する画像空間に、仮想的な物体を表示させるなどのことができる。MR技術を用いることにより、当該画像空間において、表示された仮想的な物体の周りを近づいたり、離れたりしながら移動するようにして、種々の位置から当該仮想的な物体を観視するなどのことができる。
【0008】
これらのいわゆるXR技術を用いて、実世界に対応したVR空間、AR空間、MR空間をコンピュータ上に再現し、これらの空間においてイベントを開催したり、ゲームを展開したりすることが盛んに行われると予想される。この場合、実世界に対応したVR空間、AR空間、MR空間において、広告画像やゲームの登場キャラクタ画像などの付加画像(コンテンツ)を表示する場合に、表示場所に関して問題が生じる場合があると考えられる。
【0009】
VR空間、AR空間、MR空間は、不特定多数の利用者が見ることができる画像空間であると共に、実世界に即したものである。このため、当該画像空間内において、戸建て住宅やマンションの壁面に例えば広告を表示した場合に、実世界において対応する戸建て住宅やマンションの居住者が不快に感じる可能性がある。また、当該画像空間において、例えば小学校や中学校の校舎の壁面に、例えば酒類の広告を表示した場合には、これを見た利用者が不快に思い、当該広告画像の広告主が批判の対象となりかねない。
【0010】
以上のことに鑑み、この発明は、いわゆるXR技術が用いられて表示される画像空間に対し、例えば、広告画像やゲームの登場キャラクタ画像などの付加画像(コンテンツ)を表示する場合に、自動的に適切な表示場所に表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の付加画像表示装置は、
画像空間に対する所定の絞り込み属性情報に応じた抽出条件に基づいて、前記画像空間において付加画像の表示が可能な1以上の表示場所の候補を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出された1以上の前記表示場所の候補の位置を示す画像を形成する第1の形成手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、いわゆるXR技術が用いられて表示される画像空間に対して種々の付加画像を表示する場合に、手間をかけることなく、種々の付加画像を画像空間の適切な表示場所に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】画像空間形成装置の利用環境の例について説明するための図である。
【
図2】地図情報等提供サーバ装置の建物DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図3】建物分類リストの例を説明するための図である。
【
図4】地図情報等提供サーバ装置の施設DB(Data Base)の登録カテゴリの例を説明するための図である。
【
図5】画像空間形成装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6】画像空間形成装置の主催者ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図7】画像空間形成装置の出稿者ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図8】画像空間形成装置のエリア設定ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図9】付加画像の表示場所を抽出するための抽出条件を設定するために利用可能な属性情報について説明するための図である。
【
図10】画像空間形成装置の抽出条件ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図11】画像空間形成装置の料金設定テーブルの例を説明するための図である。
【
図12】画像空間形成装置の申込情報ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図13】画像空間形成装置の表示設定ファイルの格納データの例を説明するための図である。
【
図14】出稿者端末装置の表示画面に表示される広告表示依頼受付画面の例を説明するために図である。
【
図15】出稿者端末装置の表示画面に表示される広告の表示場所の候補を示す地図画像の例を説明するための図である。
【
図16】出稿者端末装置の表示画面に表示される広告画像の表示態様を示す3次元仮想空間画像の例を説明するための図である。
【
図17】画像空間形成装置で実行される広告画像を表示させるための処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながらこの発明による装置、方法の実施の形態について説明する。この発明による装置は、実世界に対応するVR空間やAR空間やMR空間において、広告画像やゲームの登場キャラクタの画像などの種々の付加画像を、表示場所を定めて表示することができるものである。以下においては説明を簡単にするため、3次元地図データ等に基づいて形成するVR空間(3次元仮想空間)において、付加画像として広告画像を表示する場合を例にして説明する。なお、以下においては、3次元を3Dと記載する。「3D」との記載は、「three dimensions」の略称である。
【0015】
[画像空間形成装置の利用環境の例]
図1は、実施の形態の画像空間形成装置1の利用環境の例について説明するための図である。
図1に示すように、ネットワーク4に対して、画像空間形成装置1と、地図情報等提供サーバ装置2と、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…と、主催者端末装置5と、広告出稿者端末装置6とが接続されて、画像空間形成装置1の利用環境が整えられている。なお、以下においては、広告出稿者端末装置6を、単に出稿者端末装置6と記載する。
【0016】
主催者端末装置5は、ネットワークを介して、コンピュータ上で実施されるバーチャルイベントを主催する主催者が使用するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。出稿者端末装置6は、当該バーチャルイベントに広告の出稿を申し込む者が使用するパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。なお、
図1においては、説明を簡単にするため、主催者端末装置5と出稿者端末装置6とは、それぞれ1台ずつしか示していない。しかし、異なるバーチャルイベントを開催する主催者が複数存在する場合には、複数の主催者端末装置5がネットワーク4に接続されて利用される。また、広告の出稿者が複数存在する場合には、複数の出稿者端末装置6がネットワーク4に接続されて利用される。
【0017】
ネットワーク4は、主にはインターネットであるが、各装置とインターネットまでをつなぐ経路として、無線LAN(Local Area Network)、電話網、携帯電話網などをも含む。従って、図示しないスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの携帯端末が、携帯電話網を通じてインターネットに接続し、画像空間形成装置1にアクセスすることも可能である。従って、携帯端末が、主催者端末装置5や出稿者端末装置6として利用される場合もある。
【0018】
情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…は、例えば、気象情報、プローブ集計情報、イベント情報、サービス利用者属性といった種々の情報を提供するものである。気象情報は、現在や過去の天気、今後の天気予報などが含まれる。プローブ集計情報は、スマートフォンなどの携帯電話端末からの信号に基づいて集約される、混雑している場所、混雑している場所にいる携帯電話端末の使用者の性別構成や年代構成などの情報が含まれる。イベント情報は、現実世界において実際に行われるイベントの開催日時、開催場所、イベント内容、予想集客数などイベントに関する種々の情報が含まれる。サービス利用者属性は、例えば店舗等の施設やウエブサイトといったサービス提供主体の利用者に関する情報であり、例えば、サービスの利用者の性別、年齢、職業、利用時間帯、利用時間、購入実績などといった種々の情報が含まれる。
【0019】
この他にも種々の情報を提供する種々の情報提供サーバ装置3がネットワーク4に接続されている。従って、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…は、様々な企業や団体等が蓄積し管理している情報を、広く一般に対して、あるいは、所定の契約をした会員に対して提供するオープンDMP(Data Management Platform)を構成している。このため、ネットワーク4に接続可能な者は、オープンDMPの情報と自分が保有する顧客情報等のプライベートDMPの情報とを統合して分析し、これを利用して施策を講じるなど、目的に合致したDMPが構成できるようになっている。
【0020】
地図情報等提供サーバ装置2は、
図1に示すように、3D地
図DB201、建物DB202、施設DB203を備える。なお、3D地
図DB201等における「DB」との記載は、「Data Base」の略称である。3D地
図DB201は、3D都市モデルデータや3D地図データなどを記憶保持する。3D都市モデルデータは、詳細地図情報と専用車両で計測したデータにより、現実の街を忠実に3Dモデル化したものである。より具体的には、レーザスキャンした点列データや画像から起こした地図データなどが含まれる。3D地図データは、詳細地図情報と地形データとを組み合わせ、更に建物の形状(家形)と階数情報を基にモデル化したものである。
【0021】
なお、詳細地図情報は、例えば、住宅レイヤ、河川レイヤ、公園緑地レイヤなどのように、複数のレイヤからなる多層構造を備えている。また、3D地
図DB201は、道路ネットワークデータなどのデータも備える。道路ネットワークデータは、交差点などのノードと、ノードとノードを接続する線分であるリンクとによって、道路の接続状態(道路ネットワーク)を示すようにしたものである。
【0022】
建物DB202は、実世界に存在する建物の1件1件についての詳細情報を記憶保持する。
図2は、建物DB202の格納データの例を説明するための図であり、
図3は、建物分類リストの例を説明するための図である。この実施の形態において、建物DB202は、
図2に示すように、建物ごとに多数の項目のデータを記憶保持する。
図2に示した住所コード~建物名までの情報は、各建物のそれぞれを特定可能にする情報であり、この他にも建物代表点座標(経度、緯度)が付加されている場合もある。
【0023】
また、建物のそれぞれは、建物分類(
図2の9番目の情報)により、例えば
図3に示すように、住居系の複数分類、商業施設系の複数分類、事業所系の複数分類に分類されている。なお、建物分類は、固定されたものではなく、追加、変更、削除がされる場合もある可変のものである。これにより、都市の変化などにも柔軟に対応可能になっている。また、建物DB202には、部屋数に関する情報、種々の比率に関する情報、面積に関する情報、業種別件数に関する情報といった種々の情報を備える。さらに、築年月に関する情報、建物構造に関する情報、所有種別に関する情報などを備える場合もある。
【0024】
なお、全ての建物が、建物DB202が保持する多数の項目すべてのデータを保持するものではなく、建物分類に応じて必要な情報が記憶保持される。従って、建物分類が
図3に示した商業複合系建物である場合には、
図2には図示しなかったが、業種別件数に関する情報を備えることにより、入居している店舗の業種別の件数も把握できる。また、建物分類が、マンションである場合には、個人の家屋数や空き部屋数といった情報を備えることにより、マンション全体についての情報も把握できる。
【0025】
施設DB203は、実世界に存在する種々の施設の1件1件についての詳細情報を記憶保持する。
図4は、施設DB203の登録カテゴリの例を説明するための図である。施設DB203には、例えば
図4にその一例を示したような種々のカテゴリの施設について、施設ごとに、電話帳データ(名称、電話番号、住所等)、規模(敷地面積、延べ床面積等)、代表点座標などの種々の情報を記憶保持する。なお、
図4に示した施設DB203の登録カテゴリの例は、あくまでも一例であり、施設DB203には、
図4に示した施設以外の施設についての詳細情報も記憶保持している。例えば、農業施設として、田、畑、果樹園等についての詳細情報や工業施設として、種々の工場についての詳細情報なども記憶保持されている。
【0026】
この他にも、地図情報等提供サーバ装置2は、ライフスタイルクラスタデータ(地理的人工統計データ)などの地図と関連付けられた種々の情報を保持し、これらについても提供することができるものである。なお。ライフスタイルクラスタデータは、地域と関連付けて、人口密度、年齢別人口、世帯、家族構成、住居形態、商業密度、職業、年収、子供の有無、駅までの距離、地価、居住年数などが把握可能なものである。
【0027】
画像空間形成装置1は、主催者端末装置5からの要求に応じて、地図情報等提供サーバ装置2の3D地
図DB201に記憶されている3D都市モデルデータなどの提供を受けて、実世界に対応した3D仮想空間(VR空間)を形成して提供する。この提供される3D仮想空間を用いて、主催者は、バーチャルイベントを開催できる。具体例を挙げれば、地図情報等提供サーバ装置2の3D地
図DB201の目的とする地域のデータの提供を受けて、自転車ロードレース用のコースを設定した3D仮想空間を形成する。この3D仮想空間をネットワーク上に開示して、バーチャルな自転車ロードレースを行うことができる。また、画像空間形成装置1は、例えば、主催者端末装置5からの指示入力に応じて、出稿される広告画像の表示場所を絞り込むための抽出条件を設定し、これを記憶保持することができるようになっている。
【0028】
画像空間形成装置1は、出稿者端末装置6を通じて送信されて来る広告の出稿の申し込みを受け付けて、主催者によって設定された抽出条件に従って、バーチャルイベントを開催する3D仮想空間内の広告画像の表示場所の候補を抽出する。この場合、画像空間形成装置1は、詳しくは後述するが、地図情報等提供サーバ装置2の建物DB202や施設DB203の情報や情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…からの情報を利用して、広告画像の表示場所の候補を抽出する。
【0029】
画像空間形成装置1は、抽出した表示場所の候補中から出稿者端末装置6を通じて選択された表示場所に、出稿された広告画像を表示する処理を行う。従って、画像空間形成装置1は、バーチャルイベントを開催する3D仮想空間を形成する仮想空間形成装置としての機能と、付加画像である広告画像の表示場所の候補を抽出して、選択に応じた表示場所に広告画像を表示する付加画像表示装置としての機能を実現する。
【0030】
このように、ネットワーク4を通じて接続される画像空間形成装置1と、地図情報等提供サーバ装置2と、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…とで、いわゆるクラウドシステムとしての画像空間形成装置を構成している。すなわち、クラウドシステムは、インターネット上に設けられている種々のデータセンターやサーバ装置を利用し、使用者にリアルなサーバ装置を意識させることなく、目的とするサービスを提供することができるものである。
【0031】
なお、クラウドシステムとは逆に、画像空間形成装置1の機能と地図情報等提供サーバ装置2の機能とを併せ持つ画像空間形成装置を構成することもできる。また、画像空間形成装置1の機能と地図情報等提供サーバ装置2の機能と、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…の機能とを併せ持つ画像空間形成装置を構成することもできる。なお、画像空間形成装置1と、地図情報等提供サーバ装置2と、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…とを分散させたクラウドシステムとすることによって、各装置の負荷を分散し、処理の高速化を図るなどのメリットを享受できる。
【0032】
また、ネットワーク4を通じて接続される画像空間形成装置1と、地図情報等提供サーバ装置2と、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…とで構成される部分は、主催者端末装置5や出稿者端末装置6側から見ると、IoTプラットホームとなる。「IoT」は、「Internet Of Things」の略称であり、
図1に示した画像空間形成装置1が、主催者端末装置5や出稿者端末装置6の受付口となっている。
【0033】
[画像空間形成装置1の構成例]
図5は、画像空間形成装置1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子101Tは、ネットワーク4への接続端部を構成する。通信I/F(Inter Face)101は、ネットワーク4を通じた通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどが、バスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、画像空間形成装置1の各部を制御する機能を有する。
【0034】
記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、変更、削除、読み出しなどを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0035】
また、画像空間形成装置1は、利用者ファイル群104、イベント関連ファイル群105、広告関連ファイル群106を備える。利用者ファイル群104は、VR空間について利用者全般の情報が記憶保持される。例えば、バーチャルイベントの主催者、バーチャルイベントに広告を出稿する出稿者、VR空間において広告を表示する場所を提供する管理会社やVR空間において広告を表示する場所の仲介を行う管理会社等の情報を記憶保持する。この実施の形態では、説明を簡単にするため、利用者ファイル群104に設けられる主要なファイルとして、主催者ファイル1041、出稿者ファイル1042があることを示している。
【0036】
イベント関連ファイル群105は、バーチャルイベントの主催者によって決められる開催エリアやバーチャルイベントに出稿される広告画像の表示場所や料金に関する情報を記憶保持する。具体的に、イベント関連ファイル群105には、エリア設定ファイル1051、抽出条件ファイル1052、料金設定テーブル1053がある。広告関連ファイル群106は、広告の出稿に関する情報を記憶保持する。具体的に、広告関連ファイル群106には、申込情報ファイル1061、表示設定ファイル1062がある。
【0037】
利用者ファイル群104、イベント関連ファイル群105、広告関連ファイル群106は、HDDやSSDなどの記憶装置に形成されている。各ファイルやテーブルは、同じ記憶装置に記録領域を異ならせて形成することもできるし、別々の記憶装置に形成することもできる。また、例えば、利用者ファイル群104、イベント関連ファイル群105、広告関連ファイル群106とのそれぞれを異なる記憶装置に形成するというように、いくつかの記憶装置にファイルやテーブルを分散して形成することもできる。以下、各ファイル群のファイルやテーブルの詳細について説明する。
【0038】
図6は、主催者ファイル1041の格納データの例を説明するための図である。バーチャルイベントを開催する主催者(開催者)に関する情報を記憶保持するものである。
図6に示すように、この実施の形態の主催者ファイル1041は、主催者ID、パスワード、氏名(名称)、Eメールアドレス、電話番号、決済方法、口座番号等及びその他の情報といった情報を記憶保持する。
【0039】
バーチャルイベントを開催しようとする主催者は、予め画像空間形成装置1にアクセスし、氏名等の必要情報を通知し、パスワードを設定することにより、主催者IDを取得する。主催者IDを取得し、主催者ファイル1041に情報が記録された主催者は、画像空間形成装置1を利用して、バーチャルイベントを開催するための3D仮想空間を形成したり、広告画像の表示場所を抽出するための抽出条件を設定したりすることが可能になる。
【0040】
図7は、出稿者ファイル1042の格納データの例を説明するための図である。出稿者ファイル1042は、バーチャルイベントが開催される3D仮想空間に広告画像を出稿する出稿者に関する情報を記憶保持する。
図7に示すように、この実施の形態の出稿者ファイル1042は、出稿者ID、パスワード、氏名(名称)、Eメールアドレス、電話番号、決済方法、カードNo.等及びその他の情報を記憶保持する。
【0041】
バーチャルイベントが開催される3D仮想空間に広告画像を表示しようとする広告画像の出稿者は、予め画像空間形成装置1にアクセスし、氏名等の必要情報を通知し、パスワードを設定することにより、出稿者IDを取得する。出稿者IDを取得し、出稿者ファイル1042に情報が記録された出稿者は、バーチャルイベントが開催される3D仮想空間に、広告画像の出稿の申し込み行うことが可能になる。
【0042】
図8は、エリア設定ファイル1051の格納データの例を説明するための図である。エリア設定ファイル1051は、主催者ファイル1041に情報が登録されることにより、画像空間形成装置1の利用が可能になったバーチャルイベントの主催者によって設定されたバーチャルイベントの開催エリア(開催場所)に関する情報を記憶保持する。
図8に示すように、この実施の形態のエリア設定ファイル1051は、主催者ID、氏名(名称)、イベントID、イベント名称、開催日時、開催エリア、開催経路、その他の情報を記憶保持する。バーチャルイベントの主催者は、主催者端末装置5を用いて予め画像空間形成装置1にアクセスし、自分の主催者IDとパスワードを用いて認証を得て、イベントIDの付与を受ける。
【0043】
更に主催者は、イベント名称や開催日時などの必要な情報を入力する。また、主催者は、地図情報等提供サーバ装置2から提供される詳細地図情報により形成される地図上で緯度、経度で特定される対角線上の2点を指定することにより、バーチャルイベントの開催エリアを設定する。ここの実施の形態では、バーチャルイベントとして、自転車ロードレースを開催する場合の例とする。このため主催者は、当該地図上で開催経路(レースに使用するルート)をマウス等のポインティングデバイスを用いて辿ることにより入力できる。
【0044】
また、上述もしたように、地図情報等提供サーバ装置2は、道路ネットワークデータを備えている。このため、主催者が、スタート地点(出発地)、ゴール地点(目的地)、必要があれば1以上の経由地点を指定して、道路ネットワークデータを利用してルート探索を行い、開催経路を設定することもできる。もちろん、スタート地点とゴール地点を同じくする周回ルートの探索も可能であるし、探索されたルートの一部修正を行うことも可能である。なお、ルート探索は、画像空間形成装置1にルート探索部を設けて画像空間形成装置1において行ってもよいし、地図情報等提供サーバ装置2がルート探索機能を備えている場合には、これを利用してもよい。
【0045】
このように、入力した開催経路やルート探索により設定した開催経路は、地図情報等提供サーバ装置2が提供する道路ネットワークデータのノードデータの列(N1、N2、N3、…)により特定可能となる。また、必要に応じて、その他の情報も付加できる。エリア設定ファイル1051の情報により、何処で、いつ、どのようなバーチャルイベントが開催されるかが把握できる。
【0046】
図9は、付加画像である広告画像の表示場所の候補を抽出するための抽出条件として利用可能な属性情報(絞り込み属性情報)について説明するための図である。この実施の形態において、バーチャルイベントが開催される3D仮想空間は、実世界に対応して形成されるものであるため、当該3D仮想空間内に表示する広告画像の表示場所によっては、苦情の原因になったり、不快感を与えてしまったりする可能性がある。そこで、画像空間形成装置1においては、バーチャルイベントの主催者が、苦情の原因になったり、不快感を与えたりすることが無い広告画像の表示場所の候補を自動的に抽出することができるように、表示場所の抽出条件の設定を可能にしている。
【0047】
図9において、建物情報、施設情報、道路分類等から把握される固定的な属性要素として示した各情報は、主には地図情報等提供サーバ装置2の建物DB202や施設DB203に記憶保持されている情報により、地図上の建物や施設ごとに特定可能な情報である。また、地図情報等提供サーバ装置2の3D地
図DB201に含まれる地図データや道路ネットワークデータに存在する情報により、地図上の道路ごとに特定可能な情報なども含まれる。
【0048】
このため、
図9において、固定的な属性情報は、広告画像の表示場所の候補を抽出するに際して、絞り込み属性情報として使用可能なものである。例えば、後述もするが、住居系の建物は広告画像の表示場所から除外したり、10階以上の建物は広告画像を表示場所としたりするなどのことが可能になる。また、道路については、例えば、私道、歩行者道路、横断歩道部分は広告画像の表示場所から除外したり、国道や高速道路は広告画像を表示場所としたりするなどのことが可能になる。
【0049】
なお、
図9において、POI(Point of Interest)は、目標物(ランドマーク)となる施設や店舗等を示す情報を意味する。また、リニューアルは、以前から存在するが、新しくされた施設や店舗等を示す情報を意味する。また、ライフスタイルは、地図情報等提供サーバ装置2が保持するライフスタイルクラスタデータに基づいて特定可能な情報を意味し、例えば、単身世帯が多い地域、子供が多い地域、高所得者が多い地域などを示す情報を意味する。また、道路属性には、
図9に示した情報以外にも、私道、歩行者道路、横断歩道といった道路の種別を示す情報や道路の幅員などの情報も含まれる。
【0050】
また、
図9において、情報提供サーバ装置から入手可能な流動的な属性要素として示した各情報は、情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…から取得可能な情報である。なお、天気に関する情報は、気象情報を提供する情報提供サーバ装置から取得可能であり、バーチャルイベントの開催時の天気、適用する過去の天気、適用する将来の天気予報などである。従って、バーチャルイベントが雨天に開催される場合にのみ広告画像を表示したり、晴天時に開催される場合にのみ広告画像を表示したりすることなどが可能になる。バーチャルイベントの時間帯、カレンダ情報は、情報提供サーバ装置から取得しなくてもよいが、バーチャルイベントの開催時間帯、開催時の季節などに関する情報である。これにより、バーチャルイベントが開催される時間帯や季節などに応じて、表示可能な広告画像を絞り込むといったことが可能になる。
【0051】
人の属性は、例えば、住所と紐付けられた種々の情報に基づいて特定されるものであり、例えば、若い女性が多く働く地域、短期間に引っ越す人が多い地域、サービス業の従事者が多い地域などのように、特徴付けられる地域の特定が可能な情報を意味する。従って、若い女性が多く働く場所に、ファッショ関連の広告画像を表示するといったことが可能になる。
【0052】
また、人の属性には、利用企業軸の属性、すなわち、サービスの利用に紐付けられた種々の情報に基づいて特定されるものもある。例えば、マッサージを利用している人について、A店は女性、B店は30歳から50歳の男性、C店は50歳以上の男性といった情報がある。この情報により、A店が存在する地域においては、女性をターゲットにした広告画像を表示し、B店が存在する地域には、30歳から50歳の男性ビジネスマンをターゲットにした広告画像を表示するといったことが可能になる。もちろんこれは一例であり、種々のサービスに紐付けて、人の属性を把握することができる。
【0053】
プローブは、上述したように、携帯電話端末からの信号に基づいて集約される情報であり、混雑している場所などを示すことができる情報である。検索度は、所定の検索サイトを通じてよく検索されている場所等の集計情報である。これらの情報により、より注目度の高い場所に広告画像を表示するなどのことが可能になる。イベントは、上述したように、イベントの開催日時、開催場所、イベント内容、予想集客数などイベントに関する種々の情報を意味する。従って、実世界で行われるイベントで注目されて場所の近傍に広告画像を表示するなどのことが可能になる。
【0054】
なお、出店EC(electronic commerce)権利は、バーチャルイベントにおいて、例えばバーチャルな店舗を出店し、何等かのものを販売する権利が設定されている場合において、当該バーチャルな店舗の出店場所を示す情報などにより構成される。従って、バーチャルな店舗の出店場所には、広告画像を表示しないようにするなどの対応を取ることが可能になる。また、
図1に示したオープンDMPやプライベートDMPを利用して、目的とする分析結果を得て、抽出条件を設定するために利用可能な属性情報として用いることもできる。すなわち、DMPを利用して得られる情報を、抽出条件を設定するための属性情報として用いるこができる。
【0055】
なお、
図9に示した属性情報は、全てを使用する必要はなく、広告画像の表示場所を絞り込むために必要となる情報を選択して使用すればよい。また、
図9に示した属性情報は一例であり、その他の項目が示すように、
図9には示していない種々の情報を用いることが可能である。例えば、地図情報等提供サーバ装置2や情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…等から取得可能な情報であれば、表示場所の候補を絞り込むための属性情報として使用することが可能である。
【0056】
図10は、画像空間形成装置1の抽出条件ファイル1052の格納データの例を説明するための図である。まず、基本的な例として、広告分類によって特定される広告対象物に応じて、広告画像の表示場所を抽出する場合について説明する。抽出条件ファイル1052は、出稿される広告画像の表示場所の候補を絞り込んで抽出するための抽出条件を記憶保持する。当該抽出条件は、以下に説明するように、広告画像の広告分類と、バーチャルイベントの主催者によって選択された絞り込み属性情報(
図9)とにより構成される。
図10(A)は、ビール、ウィスキー、日本酒、ワイン等の酒類についての広告画像の表示場所を抽出するための抽出条件の例を示している。また、
図10(B)は、チョコレート、ガム、あめ等の菓子についての広告画像の表示場所を抽出するための抽出条件の例を示している。
【0057】
図10に示す例の場合には、
図9に示した絞り込み属性時情報の内、建物分類(建築分類の大分類)と、業種別と、地域属性と、利用年齢と、検索度とが用いられている。建物分類、業種別、地域属性の3つの情報は、建物DB202に建物ごとに記憶保持されている情報である。利用年齢と検索度は、ネットワーク4に接続された情報提供サーバから取得可能な情報である。この内、利用年齢は、地域や建物ごとに集計されて提供される情報である。また、検索度は、上述もしたように、検索サイトを通じてよく検索されている場所等の集計情報である。
【0058】
図10(A)に示すように、広告分類が酒類である商品の広告画像は、商業施設系の建物のうち、飲食、ホテルなどの建物で、商業地域にあり、利用年齢が20代以上で、検索度が中程度以上である建物には表示可能であることが定められている。また、
図10(B)に示すように、広告分類が菓子である商品の広告画像は、商業施設系または住居系の建物で、商業施設系の場合には、飲食、ホテルなどの建物であることが定められている。また、住居地域または商業地域にあり、商業施設系の建物の場合には、利用年齢が20代以下で、検索度が中程度以上である建物には表示可能であることが定めされている。このような抽出条件ファイル1052の抽出条件に基づいて、バーチャルイベントが開催される3D仮想空間において、広告画像ごとにより適切な表示場所の候補を抽出することができる。
【0059】
なお、
図10に示した格納データの例はあくまでも例であり、種々の抽出条件の設定が可能である。また、
図10においては、酒類と菓子の2つの広告分類についての広告画像の抽出条件の例を示したが、実際には、種々の広告分類ごとに、抽出条件が定められている。また、広告画像は、商品についてのものだけでなく、店舗、企業、国、地方公共団体、公益団体等の各種団体等についてのものであってもよい。このため、抽出条件ファイル1052は、店舗、会社、その他の各種団体等事業主体に応じた広告分類ごとにも、抽出条件が定められている。すなわち、抽出条件ファイル1052は、商品についての広告画像の表示場所の抽出条件と、事業主体の広告画像の表示場所の抽出条件とを記憶保持している。
【0060】
また、開催されるバーチャルイベントごとに、広告画像の表示場所の候補の抽出条件を定めることも、もちろん可能である。このため、開催されるバーチャルイベントごとに、抽出条件ファイル1052を設けることができる。また、1つの抽出条件ファイル1052で、複数のバーチャルイベントの抽出条件を管理する場合には、
図10に示した各抽出条件データに、イベントIDを付加する。このようにすれば、1つの抽出条件ファイル1052で、複数のバーチャルイベントごとの抽出条件の管理が可能になる。
【0061】
図11は、画像空間形成装置1の料金設定テーブルの例を説明するための図である。
図11に示した料金設定テーブルの例は、表示される広告画像のサイズ(大、中、小)に応じて料金が決まる簡単な例を示している。
図11に示した例の他にも、例えば、広告画像が表示される地域や時間帯に応じて料金を変えることも可能である。この実施の形態で設定する自転車ロードレース用のバーチャルイベントを開催するための3D仮想空間の場合には、表示場所に応じて、広告画像の表示にかかる料金を高くすることが可能である。例えば、スタートエリアやゴールエリアといった注目度が高い場所や周回コースの目立つ場所については、広告画像の表示にかかる料金を高くすることが可能である。
【0062】
また、形成された3D仮想空間において、実世界の対応するエリアや建物の利用者数や検索度といった注目度を示す情報に応じて、或いは、実世界の対応するエリアの人口密度に応じて、広告画像の表示場所の料金を設定などのことも可能である。また、バーチャルイベントが開催されている時間帯に応じて、広告画像の出稿料金を決めることもできる。また、表示する広告の数に応じて割引率を設定するなどのことも可能である。
【0063】
さらに、いわゆるオークションのようにして出稿料金の入札を求め、最高額を提示した者に広告画像の表示(出稿)を認めるようにすることも可能である。従って、広告画像の出稿料金は、出稿者自身で決めさせることができる。この場合、人気のない表示場所は、安価な出稿料金となり、人気のある表示場所の出稿料金は高価となる。従って、出稿料金は、広告画像の出稿の締め切り時刻までにおいて変化する場合があることになる。なお、出稿料金の最低額を予め設定するようにしてもよい。この場合、一律に最低料金を設定してもよいし、表示場所ごとに設定してもよい。
【0064】
なお、料金設定テーブルについても、イベントIDを付加することにより、複数のバーチャルイベントが開催される場合において、イベントごとに広告画像の表示にかかる料金を管理することができる。
【0065】
図12は、画像空間形成装置1の申込情報ファイル1061の格納データの例を説明するための図である。申込情報ファイル1061は、出稿者ファイル1042に情報が登録されることにより、バーチャルイベントに広告画像の出稿が可能になった出稿者によって設定された出稿する広告画像に関する申込情報を記憶保持する。具体的には、
図12に示すように、申込情報ファイル1061は、受付No.、出稿者ID、氏名(名称)、イベントID、イベント名称、広告分類、広告内容を記憶保持する。広告画像の出稿者は、出稿者端末装置6を用いて予め画像空間形成装置1にアクセスし、自分の出稿者IDとパスワードを用いて認証を得て、受付No.の付与を受ける。
【0066】
更に、広告画像の出稿者は、自分が広告画像を出稿しようとしているイベントIDを入力することにより、イベント名称を、例えば、エリア設定ファイル1051から取得することができる。また、広告画像の出稿者は、自分が出稿しようとしている広告画像の広告分類を選択すると共に、表示する広告画像(広告内容)入力して、これらの情報からなる広告画像の出稿の申込情報を申込情報ファイル1061に形成する。これにより、広告画像の出稿者により、どのような広告画像が、どのバーチャルイベントに出稿されたのかが把握できる。
【0067】
なお、この実施の形態では、バーチャルイベントとして自転車のバーチャルロードレースを行う場合の開催経路沿いに広告画像を出稿する場合を例にして説明しているが、バーチャルイベントと関係なく、広告画像の出稿(表示の申し込み)を行うこともできる。例えば、よくバーチャルイベントが開催されるエリアに広告画像の常設表示場所を予め設けておいたり、広告画像の表示場所として人気のあるランドマークなどに対して、広告画像の表示の申し込みをしたりすることを可能にする。これにより、当該常設表示場所や当該ランドマークのあるエリアが開催場所となる全てのバーチャルイベントに対して、広告画像の出稿が可能になる。この場合、
図12に示した格納データにおいて、イベントIDやイベント名称の代わりに、常設表示場所やランドマークの識別情報やその名称が用いられることになる。
【0068】
図13は、画像空間形成装置1の表示設定ファイル1062の格納データの例を説明するための図である。表示設定ファイル1062は、出稿された広告画像の表示場所を特定する情報を記憶保持する。表示設定ファイル1062は、
図13に示すように、受付No.、出稿者ID、1以上の表示位置(緯度、経度)及ぶ広告サイズを記憶保持する。受付No.は、申込情報ファイル1061の申込情報を特定することができるものであり、これにより、出稿者ID等により出稿者が特定できると共に、出稿者により出稿された広告画像(広告内容)が特定できる。また、表示位置により、広告画像の表示場所が特定でき、広告サイズにより3D仮想空間に表示される広告画像のサイズが特定できる。
【0069】
なお、表示設定ファイル1062の格納データについても、イベントIDを付加することにより、複数のバーチャルイベントが開催される場合において、バーチャルイベントごと、出稿者ごとに、広告画像の表示場所の候補の位置や広告サイズを管理できる。
【0070】
図10~
図13を用いて説明した各ファイルの格納データの例は、広告分類によって特定される広告対象物に応じて、広告画像の表示場所を抽出するためのものである。しかし、バーチャルイベントの利用者ごとに、広告画像の出し分けを行うことも可能である。つまり、バーチャルイベントの利用者は、当該イベント(サービス)の利用に際し、自分の利用する端末を通じて、性別、年齢、職業などの必要情報を入力し、ログイン処理を行ってバーチャルイベントに参加する(サービスを利用する)。このため、バーチャルイベントの主催者側のサーバ装置では、ログインしている利用者ごとに、性別、年齢、職業などの利用者属性を把握できる。そこで、バーチャルイベントの利用者ごとに、広告画像の出し分けを行うことが可能になる。
【0071】
この場合、
図10を用いて説明した抽出条件ファイル1052の格納データは、ヘッダ情報として、広告分類に加えて、例えば、性別と年齢を備えるようにする。これにより、例えば、性別は「男女」、年齢は「20歳以上」、広告分類は、「0001 酒類」とすれば、20歳以上の成人に対して提供する酒類の広告画像であることが特定され、これに対して、建物分類、地域属性等の抽出条件を設定することができる。このようにすれば、性別が「女性」で、年齢が「13歳から18歳(中学、高校性)」で、広告分類が「xxxx ファッション」とすれば、女子中高生に対して提供するファッションについての広告画像の表示場所の候補の抽出条件の設定が可能になる。同様に、男子中高生にはスポーツについての広告画像の表示場所の候補の抽出条件を設定するなど、イベントの利用者に応じた広告画像の表示場所の候補を抽出するための抽出条件の設定が可能になる。
【0072】
また、
図11に示した料金設定テーブル1053は、大きく変わることはないが、例えば、成人に提供する広告の料金を、未成年者に提供する広告の料金よりも高くするなど、サービス利用者(広告のターゲット)の年齢に応じて、広告の料金(出稿料金)を調整することが可能である。また、
図12に示した申し込み情報ファイル1061の格納データについては、
図12に示した情報に加えて、性別、年齢といった情報が追加される。また、
図13に示した表示設定ファイル1062の格納データについては、表示位置ごとに性別や年齢の情報が付加される。
【0073】
従って、同じ表示位置であっても、性別や年齢の異なるデータが形成される場合もある。これにより、広告画像の出稿者が同じであれば、同じ表示位置にバーチャルイベントの利用者の利用者属性に応じて、異なる広告画像の表示が可能になる。なお、広告画像の1つの表示場所が、複数の広告出稿者に対して貸し出される場合はない。バーチャルイベントにおける広告画像を出稿したことに対する効果を適切に担保するためである。
【0074】
しかし、時間帯を異ならせることにより、同じ場所を異なる広告の出稿者に貸し出すことも可能である。例えば、バーチャルイベントが長時間にわたるものである場合、広告画像の表示時間帯を設定し、設定した時間帯ごとに同じ場所を異なる広告の出稿者に貸し出すことができる。例えば、午前9時から午後12時までは場所AをX社に貸し出し、午後12から午後3時までは場所AをY社に貸し出すといったことが可能である。また、広告画像を表示する時間帯に応じて、表示可能な広告画像の広告分類を制限することもできる。つまり、抽出条件に広告分類と時間帯とを用いることにより、例えば、お酒の広告画像は午後9時以降でないと表示不可などというような制限が可能である。
【0075】
次に、画像空間形成装置1が備える各処理部について説明する。エリア等設定処理部111は、主催者ファイル1041に主催者に関する情報が登録された主催者からの主催者端末装置5を通じた要求に応じて、エリア設定ファイル1051、抽出条件ファイル1052、料金設定テーブル1053に必要情報を設定する。上述もしたように、主催者は、主催者端末装置5を通じて、画像空間形成装置1に対して種々の要求を行う。すなわち、エリア等設定処理部111は、登録された主催者からエリア設定要求があった場合には、バーチャルイベントの開催エリアの設定画面を提供する。エリア等設定処理部111は、当該開催エリアの設定画面を通じて必要情報を受け付けて、これをエリア設定ファイル1051に記録する。
【0076】
また、エリア等設定処理部111は、登録された主催者から広告画像の表示場所の候補の抽出条件の設定要求があった場合には、抽出条件の設定画面を提供し、当該設定画面を通じて必要情報を受け付けて、これを抽出条件ファイル1052に記録する。また、エリア等設定処理部111は、登録された主催者から広告画像の表示料金の設定要求があった場合には、広告画像の表示料金の設定画面を提供し、当該設定画面を通じて必要情報を受け付けて、これを料金設定テーブル1053に記録する。
【0077】
申込情報受付処理部112は、出稿者ファイル1042に出稿者に関する情報が登録された出稿者から提供される広告画像の表示の申込情報を受け付けて、これを申込情報ファイル1061に記録する処理を行う。出稿者は出稿者端末装置6を通じて、画像空間形成装置1に対して、事前に付与された出稿者IDとパスワードとを用いて、広告画像の表示(広告画像の出稿)の申込を行うようにする。これに応じて、申込情報受付処理部112は、広告画像の表示の申込画面を、当該出稿者端末装置6に提供する。
【0078】
図14は、出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示される広告画像の表示の申込画面(広告表示依頼受付画面)の例を説明するために図である。
図14に示すように、広告表示依頼受付画面は、受付No.の表示欄、出稿者IDの入力欄、イベントIDの入力欄、広告分類の入力欄、広告内容の入力欄を備える。受付No.の表示欄には、画像空間形成装置1において重複することが無いように管理されている受付No.が付与されて表示される。
【0079】
出稿者IDの表示欄には、認証のために先に入力した出稿者IDと、この出稿者IDに基づいて、出稿者ファイル1042を参照することにより得られた氏名(名称)とが表示される。イベントIDの入力欄には、主催者が例えばWebページやマスメディアなどの種々の媒体を通じて広告画像の募集を行うことにより通知したイベントIDを入力する。入力されたイベントIDにより、エリア設定ファイル1051が参照され、バーチャルイベントが特定されると共に、イベント名称が取得され、イベントIDの後段に表示される。
【0080】
広告分類の入力欄には、広告分類が入力されるが、この広告分類は、上述もしたように、広告対象の商品(客体)や広告主(主体)に応じて決まるものである。広告分類は、広告分類の選択のためのウィンドウ画面を通じて選択可能にされている。広告分類を入力することにより、入力された広告分類に対応する、例えば、酒類、菓子、…といった分類名称が表示される。広告内容の入力欄には、
図14に示すように、キャッチコピー、商品名、広告主体、その他の情報を入力することができる。また、写真やマークなどの画像を含めることも可能である。
【0081】
当該広告表示依頼受付画面の下端右側には、
図14に示した情報に基づく広告画像の出稿をやめるための「やめる」ボタンと、
図14に示した情報に基づく広告画像の出稿を確定させるための「OK」ボタンとが表示されている。「やめる」ボタンが選択された場合には、入力された情報は破棄して、広告表示依頼受付処理は終了する。「OK」ボタンが選択された場合には、入力された情報等に基づいて申込情報が形成され、これが申込情報ファイル1061に記録される。この後、広告画像の表示場所の選択や広告画像の表示場所の確定処理が行われる。
【0082】
候補位置抽出処理部113は、申込情報ファイル1061に記録した申込情報と抽出条件ファイル1052の抽出条件に基づいて、目的とするバーチャルイベントが開催される3D仮想空間内における広告画像の表示場所の候補を抽出する。更に、候補位置抽出処理部113は、広告画像の抽出した表示場所の候補を、当該広告画像の出稿者に提示する処理を行う。具体的に、候補位置抽出処理部113は、申込情報ファイル1061の申込情報の広告分類に基づいて、抽出条件ファイル1052を参照し、用いる抽出条件を特定する。例えば、広告分類が「0001(種類)」である場合には、
図10(A)に示した抽出条件が特定され、広告分類が「0002(菓子)」である場合には、
図10(B)に示した抽出条件が特定されることになる。
【0083】
更に、候補位置抽出処理部113は、申込情報ファイル1061の当該申込情報のイベントIDに基づいて、エリア設定ファイル1051を参照し、当該イベントIDにより特定されるバーチャルイベントの開催エリアを把握する。次に、候補位置抽出処理部113は、通信I/F101及び接続端子101Tを通じてネットワーク4に接続された地図情報等提供サーバ装置2及び必要となる情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…にアクセスする。
【0084】
候補位置抽出処理部113は、目的とするバーチャルイベントの開催エリア内に存在する建物や道路などについての固定的な情報を3D地
図DB201、建物DB202、施設DB203を参照して取得する。また、候補位置抽出処理部113は、流動的な属性情報を情報提供サーバ装置3(1)、3(2)、…等から取得する。候補位置抽出処理部113は、取得した情報と今回の処理対象の広告画像について特定した抽出条件とに基づいて、3D仮想空間における広告画像の表示場所の候補を抽出し、これを示す地図画像を形成して、出稿元の出稿者端末装置6に提供する。
【0085】
図15は、処理対象の広告画像の出稿元の出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示される広告画像の表示場所の候補を示す地図画像の例を説明するための図である。
図15に示した地図画像は、バーチャルイベントが開催される開催エリアの内の一部のエリアの3D地図画像である。
図15において、出稿された広告画像の表示場所の候補として抽出された場所には、マークMK1、MK2、MK3、MK4が示すように、所定のマークが表示される。
【0086】
これにより、広告画像の出稿者は、出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示された3D地図画像を通じて、広告画像の表示場所の候補の位置を視覚により認識できる。また、広告画像の出稿者は、出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示された3D地図画像(
図15)において、広告画像を表示したい表示場所の候補を指示することにより、表示場所の候補を選択して、画像空間形成装置1に通知することができる。候補の指示は、いわゆるマウスなどのポインティングデバイスを通じて行うことができる。また、出稿者端末装置6が、表示画面6Gと、これに貼付されたタッチセンサとからなるタッチパネルを備える場合には、当該タッチパネル上を、出稿者が指などの指示体で指示することにより行うことができる。
【0087】
なお、
図15に示した例は、3D地図画像上に所定のマークを表示することにより、広告画像の表示場所の候補を示すようにしたが、これに限るものではない。3D地図画像、2D地図画像、俯瞰地図画像等の表示画像な種々の地図画像上において、広告画像の表示場所の候補となる場所に色を付して示すようにしてもよい。この場合、広告画像の表示場所の候補を示すだけであれば、例えば赤や緑といった単色の色で示すようにすればよい。また、種々の条件に応じて、広告画像の表示場所の候補ごとに色分けして示すようにすることもできる。例えば、人気度に応じた色分け、広告画像の表示料金のランクに応じた色分け、申し込みの締め切り期限に応じた色分けなど、種々の条件に応じて、各候補の場所を色分けして示すことができる。
【0088】
このように、広告画像の表示場所の候補を色により示すことができ、種々の条件に応じて色分けして示した場合には、候補となる場所と場所ごとの条件とを示すことができる。同様に、種々の条件に応じて、広告画像の表示場所の候補ごとに、形状や大きさの異なるマークを表示することにより、候補となる場所と場所ごとの条件とを示すこともできる。従って、広告画像の表示場所の候補を示す場合には、種々の地図上にマーク、色、候補場所の拡大表示など、当該候補となる場所を示すことが可能な種々の態様を用いることが可能である。もちろん、地図画像自体の拡大、縮小も可能である。
【0089】
表示態様提示部114は、出稿者端末装置6を通じて、
図15に示した3D地図画像上の広告画像を表示しようとする表示場所の候補が選択された場合に、その選択された場所に広告画像を表示した場合の態様を示す3D仮想空間画像を形成して提示する。すなわち、表示態様提示部114は、ネットワーク4上の地図情報等提供サーバ装置2の3D地
図DB201を参照し、選択された表示場所の候補が存在する場所の3D仮想空間に、出稿された広告画像を表示するようにした3D仮想空間画像を形成する。この形成した3D仮想空間画像を、当該広告画像の出稿者の出稿者端末装置6に提供して、その表示画面6Gに表示するようにする。
【0090】
なお、
図15に示した地図画像は、3D地図画像である場合を例にして説明したが、これに限るものではない。処理対象の広告画像の出稿元の出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示される広告画像の表示場所の候補を示す地図画像は、2次元の地図画像であってもよい。
【0091】
図16は、出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示される広告画像の表示態様を示す3D仮想空間画像(確認画像)の例を説明するための図である。
図16に示すように、広告画像の選択された表示場所の候補が、
図16の左端側の建物であったとする。この場合、当該建物の例えば壁面に、
図16に示したように出稿された広告画像を表示した場合の状態を示した3D仮想空間画像が形成されて、出稿者端末装置6の表示画面6Gに表示するようにされる。これにより、当該広告の出稿者は、
図16に示したように、バーチャルイベントにおいて用いられる3D仮想空間内において、どのように広告画像が表示されるのかを確認した上で、その表示場所に広告画像を表示するか否かの判断を行うことができる。
【0092】
この実施の形態においては、
図16に示したように、表示された広告画像の例えば下側には、その表示場所に広告画像を表示した場合の料金と、「OK」ボタンと、「やめる」ボタンとが表示される。「OK」ボタンは、その表示場所に当該広告画像を表示することを決定する場合に選択される。「やめる」ボタンは、その表示場所に当該広告画像の表示をしない場合に選択される。
【0093】
この実施の形態の画像空間形成装置1においては、「OK」ボタンが選択された場合には、表示位置選択設定部115が機能する。表示位置選択設定部115は、選択された表示場所に広告画像を表示することを決定し、
図13に示した設定情報を形成して、表示設定ファイル1062に記録する。なお、「やめる」ボタンが選択された場合には、表示位置選択設定部115は機能せず、表示設定ファイル1062に対して設定情報が形成されて記録されることはない。
【0094】
また、「OK」ボタンと「やめる」ボタンのいずれが選択された場合であっても、
図15に示した表示場所の候補の表示画面に戻る。この場合において、
図15の下端左側に示した「終了」ボタンが選択されるまで、表示場所の候補の選択と広告画像の表示対象の表示及び表示するか否かの選択を行うことができるようにされる。なお、バーチャルイベントが自転車のロードレースの場合には、イベントの開催エリアは比較的に広範囲に設定されと考えられる。このような場合には、イベントの開催エリアを複数のエリアに分割し、その分割したエリアごとに、広告画像の表示場所の候補を抽出して示し、出稿者が選択することができるようにされる。
【0095】
このように、この実施の形態の画像空間形成装置1は、エリア設定ファイル1051のデータに基づいて、地図情報等提供サーバ装置2の3D地
図DB201のデータを利用して、バーチャルイベントの開催エリアの3D仮想空間画像を形成できる。更に、画像空間形成装置1は、バーチャルイベントの開催エリアの3D仮想空間において、広告画像の表示場所の候補として、適切な場所を絞り込んで抽出し、出稿者に提示できる。
【0096】
また、画像空間形成装置1は、抽出された表示場所の候補の中から広告画像の出稿者が、実際に広告画像を表示するための表示場所を選ぶことができる。更に、画像空間形成装置1は、選ばれた表示場所に広告画像を表示した場合の態様を示して出稿者が確認できる。また、表示設定ファイル1062のデータにより、バーチャルイベントの開催エリアの3D仮想空間に、広告画像を表示し、当該バーチャルイベントの参加者に提示できる。すなわち、バーチャルイベントの開催エリアの3D仮想空間に、広告画像を表示し、実世界の屋外看板と同様の態様で、広告宣伝を行うことができる。
【0097】
[画像空間形成装置1の処理のまとめ]
図17は、画像空間形成装置1で実行される広告画像を表示させるための処理について説明するためのフローチャートである。
図17に示す処理は、出稿者ファイル1042に出稿者に関する情報が登録された出稿者から出稿者端末装置6を通じて広告画像の表示の申し込みが行うようにされた場合に、制御部102の制御の下に実行される処理である。
【0098】
まず、制御部102は、申込情報受付処理部112を制御して、広告表示依頼受付処理を実行する(ステップS101)。ステップS101では、広告表示依頼受け付け画面(
図14)を要求元の出稿者端末装置6に提供して表示画面6Gに表示するようにし、必要情報の入力を受け付け、申込情報を形成して申込情報ファイル1061に記録する処理を行う。制御部102は、出稿者端末装置6において、必要情報が全て入力され、「OK」ボタンが操作されることにより、申込情報が形成されて申込情報ファイル1061に記録されたか否かを判別する(ステップS102)。
【0099】
ステップS102の判別処理において、「OK」ボタンは操作されていない(「やめる」ボタンが操作された。)と判別したとする。この場合、制御部102は、広告表示に関する画面を消去して、元の表示画面に戻すなどの所定の終了処理を実行し(ステップS108)、この
図17に示す処理を終了する。また、ステップS102の判別処理において、「OK」ボタンが操作されたと判別したとする。この場合、制御部102は、候補位置抽出処理部113を制御して、ステップS103以降の処理を実行する。
【0100】
まず、候補位置抽出処理部113は、ステップS101で入力されたイベントIDに基づいて、エリア設定ファイル1051を参照し、目的とするバーチャルイベントの開催エリアを広告画像の表示エリアとして特定する(ステップS103)。次に、候補位置抽出処理部113は、ステップS101で入力された広告分類に基づいて、抽出条件ファイル1052を参照し、広告画像の表示場所の候補の抽出条件を特定する(ステップS104)。
【0101】
更に、候補位置抽出処理部113は、特定した抽出条件と、出稿された広告画像の広告分類とに基づいて、広告画像の表示場所の候補として抽出し、これを示す地図画像(
図15)を形成して出稿者端末装置6に提示する(ステップS105)。ステップS105では、まず、ステップS103で特定した広告表示エリア内に、ステップS104で特定した抽出条件と出稿された広告画像の広告分類とに合致した場所を、広告画像の表示場所の候補として抽出する。次に、抽出した表示場所の候補の位置を示す3D地図画像(
図15)を形成し、これを当該広告画像の出稿者の出稿者端末装置6に提供して、表示するようにする。
【0102】
次に、候補位置抽出処理部113は、広告画像の表示場所の候補を示した3D地図画像(
図15)を表示した出稿者端末装置6からの表示場所の候補の選択入力を受け付ける(ステップS106)。制御部102は、出稿者端末装置6から広告画像の表示場所の候補を示す地図画像において、「終了」ボタンが操作されたことを示す情報が到来したか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、「終了」ボタンが操作されたことを示す情報が到来したと判別したとする。この場合、制御部102は、上述もしたように、広告表示に関する画面を消去して、元の表示画面に戻すなどの所定の終了処理を実行し(ステップS108)、この
図17に示す処理を終了する。
【0103】
ステップS107の判別処理において、「終了」ボタンが操作されたことを示す情報は到来しておらず、広告画像の表示場所の候補が選択されたと判別したとする。この場合には、制御部102は、表示態様提示部114を制御して、出稿した広告画像の表示態様を出稿者端末装置6に提供して、出稿者が広告画像の表示態様を確認できるようにする(ステップS109)。具体的に、ステップS109において、表示態様提示部114は、
図16を用いて説明した態様で、選択された表示場所の候補に広告画像を表示した場合の3D仮想空間画像を形成して、出稿者端末装置6を通じて出稿者に提供する(ステップS109)。
【0104】
次に、表示態様提示部114は、出稿者端末装置6を通じて、
図16を用いて説明したように、出稿者端末装置6を通じて、出稿者から当該表示場所に広告画像を表示するか否かの指示入力を受け付ける(ステップS110)。表示態様提示部114は、出稿者端末装置6において、「OK」ボタンが操作されたことを示す情報が到来したか否かを判別する(ステップS111)。ステップS111の判別処理において、「OK」ボタンが操作されたことを示す情報が到来したと判別したときには、
図13を用いて説明した表示設定ファイル1062に当該表示場所の位置及び広告画像の大きさを更新する(ステップS112)。
【0105】
ステップS111の判別処理において、「OK」ボタンが操作されたことを示す情報は到来していない(「OK」ボタンは操作されていない)と判別したときと、ステップS112の処理の後とにおいては、表示消去処理を行う(ステップS113)。ステップS113においては、ステップS109において表示した、選択された表示場所の候補に広告画像を表示した場合の3D仮想空間画像を消去する処理が行われる。ステップS113の処理の後においては、ステップS105からの処理を繰り返し、広告画像の別の表示場所の候補を選択して、広告画像の表示場所として設定する処理を繰り返すことができる。
【0106】
[実施の形態の効果]
実施の形態の画像空間形成装置1は、3D仮想空間において、バーチャルイベントの主催者が、広告画像をどのような場所に、表示したいのか、或いは、表示したくないのかを、絞り込み属性情報を用いた抽出条件によって、予め定めておくことができる。これにより、画像空間形成装置1は、予め設定された抽出条件と広告分類とに基づいて、バーチャルイベントの開催場所である3D仮想空間内において、適切に、付加画像である広告画像の表示場所の候補を抽出して、これを出稿者に提示できる。これにより、不特定多数のものに見られるバーチャルイベントが開催される3D仮想空間内に広告画像を表示する場合に、人手をかけることなく、苦情や不快感を誘う場所に広告画像を表示しないようにできる。
【0107】
また、広告画像の出稿者は、提示された広告画像の表示場所の候補の中ら、広告画像を表示する場所を選択することができる。更に、画像空間形成装置1は、出稿者端末装置6を通じた選択入力を受け付けて、その場所に広告画像を表示した態様の3D仮想空間画像を形成して出稿者に提示できる。これにより、広告画像の出稿者は、適切な表示場所を選択し、その選択した場所に広告画像を表示した場合の態様を確認した上で、その場所に広告画像を表示するようにできる。
【0108】
[変形例等]
なお、上述した実施の形態では、所定の絞り込み属性情報から選択した抽出条件と広告分類とに基づいて、広告画像の表示場所の候補を抽出するようにしたが、これに限るものではない。全ての広告画像について、同じ抽出条件で表示場所の候補を抽出することもできる。
【0109】
また、上述もしたように、性別、年齢や年代、広告分類、抽出条件に基づいて、広告画像の表示場所の候補を抽出することもできる。また、性別、年齢や年代、広告分類に加えて、職種、年収、趣味、出身地、味の好みなど、バーチャルイベントの参加者である利用者に関する種々の属性を考慮して、表示場所の候補を抽出することもできる。この場合、利用者の把握可能な属性の全てを用いる必要はなく、必要となる属性を用いるようにすればよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、建物DB202の情報により建物に関する属性情報を得ることができ、施設DB203の情報により移設に関する属性情報を得ることができるものとして説明した。建物には、橋梁やタワーなどのいわゆる目標物(ランドマーク)などを含んでもよいし、施設には、山、川、道路などを含んでもよい。従って、絞り込み属性情報は、種々の地物に対する種々の属性情報を用いることができる。
【0111】
すなわち、建物属性や施設属性の他、種々の地物に対する種々の属性情報、地域属性情報、地域関連属性情報、道路属性、地図データにおいて特定可能な属性情報、流動性のある属性情報などは、絞り込み属性情報として利用可能である。換言すれば、広告画像の表示場所の候補を抽出するために用いることができる種々の属性情報は、絞り込み属性情報として利用可能である。
【0112】
なお、「地物」は、地上にある、自然・人工のすべての物を意味する。例えば、鉄道・道路・街路樹などのように物理的に存在するもの(目に見えるもの)から、境界線・地名・バスルートなどのように物理的に存在しないもの(目に見えないもの)まで、地図上に現れるものは全て種類ごとに分類することができる。このように分類された1つ1つの「種類」が「地物」に当てはめることができ、このような地物に対する属性情報は、絞り込み属性情報として利用可能である。従って、広告画像の表示場所は、建物に限られず、山、川、道路、種々のランドマークなど、地物として特定可能なものであれば表示場所とすることができる。
【0113】
また、上述した実施の形態では、バーチャルイベントの主催者が、広告画像の表示場所の候補の抽出条件を定めるものとして説明したが、これに限るものではない。広告画像の出稿者のそれぞれが、自分が出稿する広告画像の表示場所の候補の抽出条件を定めるようにすることができる。この場合においても、主催者が抽出条件を定める場合と同様にして、どのような場所に広告画像を、表示したいのか、或いは、表示したくないのかに応じて、利用可能な絞り込み属性情報を用いて、抽出条件を設定すればよい。
【0114】
また、上述した実施の形態では、3D仮想空間(VR空間)に広告画像を表示する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。AR空間内において、広告画像を表示する場合にも、この発明を適用可能である。例えば、カメラ部を通じて撮像して表示画面に表示したAR空間内のビルディングの壁面に広告画像を表示するというように、カメラ部を通じて撮像して表示画面に表示したAR空間内の地物に広告画像を表示する場合にもこの発明を適用できる。また、MR空間内に広告画像を表示する場合も同様にできる。
【0115】
また、上述した実施の形態では、付加画像として広告画像を表示する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、VR空間やAR空間を利用してゲームを提供する場合に、付加画像としての登場キャラクタの画像の表示場所を決める場合においても、この発明を適用することができる。
【0116】
また、広告画像、登場キャラクタの画像の他にも、何等かのお知らせ、警告画像、状態表示画像など、種々の画像を付加画像として表示する場合にも、この発明を適用できる。すなわち、VR空間、AR空間、MR空間といったXR空間に、何等かの目的表示情報を表示する場合に、その目的表示情報を表示する場所を、予め決められた抽出条件に基づいて抽出し、その抽出した場所に当該目的表示情報を表示させることができる。
【0117】
具体的には、宅配業者が使用するカーナビゲーション装置の表示画面に、現実世界に対応した3D地図画像を表示し、ここに配達先住所を抽出条件として抽出した場所に、マークを付したり、色を付したりすることができる。なお、カーナビゲーション装置は、自動車に設置されたものでも、スマートフォンなどの携帯端末を利用したものでもよい。また、宅配業者が装着するAR対応の眼鏡型ディスプレイを通じて見える現実世界の景色対応付けて、配達先住所を抽出条件として抽出した場所に、マークを表示したり、色を付したりすることもできる。
【0118】
なお、付加画像が広告画像の場合、表示場所における広告画像の表示位置は、表示場所にある建物等の地物の壁面や屋上などの建物等の地物上の所定の位置や表示場所にある建物等の地物の近傍の所定の位置とすることができる。また、建物等の地物ごとに、広告画像との付加画像の表示位置を予め決めておき、地図データの一部に含めたり、建物DB202のデータに含めたりして保持しておくようにしてもよい。
【0119】
また、上述した実施の形態では、3D仮想空間(VR空間)に付加画像を表示する場合を説明した。また、AR空間やMR空間に付加画像を表示する場合にも同様に対応可能であることを説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、2次元の地図画像に広告画像などの付加画像を表示する場合にも、この発明を適用できる。
【0120】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の抽出手段、第1の形成手段の機能は、実施の形態の画像空間形成装置1の候補位置抽出処理部113が実現している。また、請求項の情報受付手段の機能は、接続端子101T及び通信I/F101、申込情報受付処理部112が実現している。また、請求項の第1の出力手段の機能は、候補位置抽出処理部113と通信I/F101及び接続端子101Tが実現している。また、請求項の第1の受付手段の機能は、接続端子101T及び通信I/F101、表示態様提示部114が実現している。また、請求項の第2の形成手段の機能は、主に表示態様提示部114が実現している。また、請求項の第2の出力手段の機能は、表示態様提示部114、接続端子101T及び通信I/F101が実現している。
【0121】
また、画像空間形成装置1のエリア等設定処理部111、申込情報受付処理部112、候補位置抽出処理部113、表示態様提示部114、表示位置選択設定部115の機能は、制御部102で実行されるプログラムにより制御部102の機能として実現できる。また、
図17に示したフローチャートの処理を実行するプログラムを形成し、これをネットワーク4に接続されたサーバ装置に搭載することによって、当該サーバ装置において、付加画像表示装置の機能を実現できる。また、
図17に示したフローチャートの処理を行う方法が、付加画像表示方法を実現する一態様である。
【符号の説明】
【0122】
1…画像空間形成装置、101T…接続端子、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…利用者ファイル群、1041…主催者ファイル、1042…出稿者ファイル、105…イベント関連ファイル群、1051…エリア設定ファイル、1052…抽出条件ファイル、1053…料金設定テーブル、106…広告関連ファイル群、1061…申込情報ファイル、1062…表示設定ファイル、111…エリア等設定処理部、112…申込情報受付処理部、113…候補位置抽出処理部、114…表示態様提示部、115…表示位置選択設定部、2…地図情報等提供サーバ装置、201…3D地
図DB、202…建物DB、203…施設DB、3、3(1)、3(2)…情報提供サーバ装置、4…ネットワーク、5…主催者端末装置、6…出稿者端末装置