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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096873
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】抵抗器
(51)【国際特許分類】
   H01C 3/16 20060101AFI20220623BHJP
   H01C 3/00 20060101ALI20220623BHJP
   H01C 3/20 20060101ALI20220623BHJP
   H01C 7/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H01C3/16
H01C3/00 C
H01C3/20
H01C7/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210113
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】304056567
【氏名又は名称】アムトランス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】草薙 正朗
【テーマコード(参考)】
5E033
【Fターム(参考)】
5E033BA03
5E033BB03
5E033BD12
5E033BG05
5E033BH02
(57)【要約】
【課題】 良好な音質を確保しつつ、温度による抵抗値変動を抑制する。
【解決手段】 磁器あるいはガラスなどからなる基体3の上に、抵抗体としての炭素皮膜4と、抵抗体としての金属皮膜5、が形成されている。これらの皮膜には、抵抗値を調整するための螺旋状のスリット6が設けられている。基体の両端には金属製のキャップ2が設けられ、さらにそれぞれのキャップ2から外側に向かってリード線1が伸びている。リード線1を除く抵抗体の表面には外装塗装7が施されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材質からなる第1の抵抗体と、第2の材質からなる第2の抵抗体とが同一の基体の上に形成された抵抗器。
【請求項2】
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体は正負異なる極性の抵抗温度係数を持つ請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記第1の抵抗体は負の抵抗温度係数を持ち、前記第2の抵抗体は正の抵抗温度係数を持つ請求項1または請求項2に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記第1の抵抗体は炭素皮膜である請求項1から請求項3のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第2の抵抗体は金属皮膜または酸化金属皮膜である請求項1から請求項4のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項6】
前記抵抗器の基体は円筒形である請求項1から請求項5のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項7】
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体のどちらか、或いは双方にスリットを持つ請求項1から請求項6のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項8】
前記第1の抵抗体の上に前記第2の抵抗体が形成された請求項1から請求項7のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項9】
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体はお互いにずれた位置にある請求項1から請求項7のいずれかに記載された抵抗器。
【請求項10】
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体との間に絶縁層を持つ請求項1から請求項9のいずれかに記載の抵抗器。
【請求項11】
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体の双方にスリットを持ち、前記第1の抵抗体のスリットと前記第2の抵抗体のスリットとはお互いに逆回りの螺旋状である請求項10に記載の抵抗器。
【請求項12】
前記抵抗器の基体は平板である請求項1から請求項5のいずれかに記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗器の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗器に用いられる抵抗体の材質は主に炭素、金属、酸化金属であり、それぞれの特徴により、用途に応じて使い分けられてきた。
【0003】
オーディオ用途においては、炭素、金属、酸化金属で、抵抗体それぞれの材質が音質に影響を与えることが知られている。金属および金属皮膜抵抗は、音響機器に使用すると芯がしっかりした正確な音を発するが、金属的な冷たい印象を与える。それに対して、炭素皮膜抵抗は、響が豊かで温かみがあり、人に潤いを与える音を発する。
【0004】
このような個性を生かしたオーディオ用抵抗器は、例えば金属皮膜抵抗としては、タクマン電子株式会社製のREYシリーズ、炭素皮膜抵抗としては、リケンデング製造株式会社製のRMGシリーズが知られている。
【0005】
しかし、従来は、金属皮膜、酸化金属皮膜、炭素皮膜のどれかを使った抵抗を選ばなければならず、両者の特長を両立することができなかった。また抵抗体としての炭素は、金属、酸化金属に比較して、温度による抵抗値の変化率が大きい、すなわち抵抗温度係数(1℃の温度変化当たりの抵抗値の変化率)の絶対値が大きいという問題があった。従って、抵抗値の安定性を重視しようとすると、金属皮膜抵抗あるいは酸化金属皮膜抵抗を選ばざるを得ず、炭素皮膜抵抗の持つ音質の魅力を失わざるを得なかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、金属系抵抗と炭素系抵抗の両方の特長を生かし、芯がしっかりとした正確な音でありながら、響が豊かで温かみのある人に心地よい、新しい音を生みだせる。また温度による抵抗値の変動を抑えた抵抗器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達するための発明は、第1の材質からなる第1の抵抗体と、第2の材質からなる第2の抵抗体とが同一の基体の上に形成された抵抗器である。
【0008】
第1の抵抗体と第2の抵抗体は正負異なる極性の抵抗温度係数を持つ抵抗器であってよい。例えば、第1の抵抗体は負の抵抗温度係数を持ち、第2の抵抗体は正の抵抗温度係数を持つ抵抗器である。
【0009】
第1の抵抗体は炭素皮膜である抵抗器であってよい。また、第2の抵抗体は金属皮膜または酸化金属皮膜である抵抗器であってよい。
【0010】
抵抗器の基体は円筒形であってよい。
【0011】
第1の抵抗体と第2の抵抗体のどちらか、或いは双方にスリットを持つ抵抗器であってよい。
【0012】
第1の抵抗体の上に第2の抵抗体が形成された抵抗器であってよい。或いは、第1の抵抗体と第2の抵抗体はお互いにずれた位置にあってもよい。
【0013】
第1の抵抗体と第2の抵抗体との間に絶縁層を持つ抵抗器であってよい。
【0014】
第1の抵抗体と第2の抵抗体の双方にスリットを持ち、第1の抵抗体のスリットと第2の抵抗体のスリットとはお互いに逆回りの螺旋状である抵抗器であってよい。
【0015】
抵抗器の基体は平板である抵抗器であってよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、良好な音質を確保しつつ温度による抵抗値の変動を抑えた抵抗器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1における抵抗器を示す図
図2】実施形態2における抵抗器を示す図
図3】実施形態3における抵抗器を示す図
図4】実施形態4における抵抗器を示す図
図5】実施形態5における抵抗器を示す図
図6】実施形態6における抵抗器を示す図
図7】一定の公称合成抵抗を得るための各抵抗体の抵抗値の組み合わせと、その組み合わせによる合成された抵抗温度係数を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の説明及び図面において、略同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、金属と酸化金属は音質や抵抗温度係数の観点からはほぼ同等であるので、今後、この明細書中では、金属と酸化金属とをまとめて金属と記述する。
【0019】
(実施形態1)
図1は本発明の第1の実施形態を示す図である。
図1において、磁器あるいはガラスなどからなる基体3の上に、抵抗体としての炭素皮膜4と、抵抗体としての金属皮膜5、が形成されている。これらの皮膜には、抵抗値を調整するための螺旋状のスリット6が設けられている。
基体の両端には金属製のキャップ2が設けられ、さらにそれぞれのキャップ2から外側に向かってリード線1が伸びている。
リード線1を除く抵抗体の表面には外装塗装7が施されている。
【0020】
このような構成とすることにより、金属系抵抗と炭素系抵抗の両方の特長を生かし、芯がしっかりとした正確な音でありながら、響が豊かで温かみのある人に心地よい、新しい音を生みだすことができる。
【0021】
ここで、抵抗器全体の抵抗値は、炭素皮膜と金属皮膜との合成抵抗となる。
また、抵抗器全体の抵抗温度係数も炭素皮膜、金属皮膜、それぞれの抵抗温度係数を合成したものになる。
金属皮膜の抵抗温度係数の絶対値は、炭素皮膜抵抗の抵抗温度係数の絶対値より小さいため、この抵抗器全体としての抵抗温度係数の絶対値は炭素皮膜単独の場合より減少する。つまり抵抗としての温度特性は、炭素皮膜単独より改善される。
【0022】
通常、金属皮膜の抵抗温度係数は正、炭素皮膜の温度抵抗係数は負、であるので、両者を合成すると、正負打消す方向になり、温度特性の改善に有効である。
わずかでも炭素皮膜抵抗の要素があれば(抵抗値としては炭素皮膜による抵抗値の割合が高い)、炭素皮膜抵抗の特長が現れるので、炭素皮膜抵抗の持つ音質的魅力を付加することができる。
【0023】
合成された公称抵抗値と抵抗温度係数について次に説明する。
公称抵抗値とは基準温度(例えば25℃)での抵抗値をいう。
合成された公称抵抗値がRpとなるときの、金属皮膜の公称抵抗値をRm、炭素皮膜の公称抵抗値をRc、金属皮膜の抵抗温度係数をα(α≧0)、炭素皮膜の抵抗温度係数を-β(β≧0)、合成された抵抗温度係数をγ、公称抵抗値の比をx
(x=Rc/Rm)とする。
【0024】
複合抵抗としての公称抵抗値、すなわち基準温度の合成抵抗値は
と表される。
【0025】
t℃温度上昇した時の合成抵抗値は、金属皮膜の抵抗温度係数は正、炭素皮膜の抵抗温度係数は負であるから
と表される。
【0026】
t℃の温度上昇範囲での合成抵抗の抵抗温度係数は
と表される。
【0027】
これらの式を用いて、ある一定の公称合成抵抗値を得るための、金属皮膜の公称抵抗値Rmと炭素皮膜の公称抵抗値Rcとの配分の組み合わせにより、合成された抵抗の抵抗温度係数がどのように変化するか考察する。
【0028】
具体的数値として、複合抵抗の公称抵抗値100Ωを実現したい場合、つまりRp=100ΩとしたいときのRcとRpの値の組み合わせ、とその組み合わせによるγの値を上記の式を用いて計算する。例として、金属皮膜の抵抗温度係数α=50ppm、炭素皮膜の抵抗温度係数 -β=-450ppmと仮定する。これらの抵抗温度係数は仮定の数値であるが、実際にこれらの材質の抵抗温度係数として典型的な値である。また温度上昇範囲も通常の電子回路では100℃程度を想定するので、t=100とする。
【0029】
式(1)~(3)にこれらの数値を代入し、炭素皮膜の抵抗値を150Ωから1550Ωまで変化させた様子を図7に示す。
図7曲線101に示すように、炭素皮膜の抵抗値を大きく設定すればその分、金属皮膜の抵抗値を減らさなければならない。このような抵抗値の配分に対する複合抵抗の抵抗温度係数は曲線102で示される。
【0030】
曲線102に注目すると、複合抵抗の抵抗温度係数が-50ppmになるときがあり、その時はRc≒520Ω、Rm≒130Ωであるから、抵抗比はγ≒4であることがわかる。
つまり抵抗比をおよそ4にすれば、複合抵抗の抵抗温度係数は-50ppmとなり、これは金属皮膜の抵抗温度係数+50ppmと絶対値は同じとなる。温度に対する抵抗値の安定性という意味では、増えるか減るかの違いはあるが変化量としては同じであり、金属皮膜単体と同等の温度安定性になったといえる。炭素皮膜の抵抗値の温度安定性が悪いという欠点が解消され、温度安定性が良いとされる金属皮膜と同等となったといえる。
【0031】
以上、具体的数値例として説明したが、このように複合抵抗の抵抗温度係数の絶対値と、金属皮膜の抵抗温度係数の絶対値とが等しくなる条件は、式(1)~(3)に、
を加えた式(1)~(4)を連立方程式として解けばよい。
【0032】
公称抵抗の抵抗比をx=Rc/Rm
とおけば、連立方程式の解は
となる。
【0033】
式(5)の第1項は温度変化範囲に依存するが、通常、温度変化範囲は100℃程度、すなわちt≦100である。
これに対しαは数十ppm、βもせいぜい2000ppm程度であるので
であり、式(5)の第1項はほぼ1となる。その場合は、式(5)を
【0034】
と近似できる。
【0035】
前記の具体的数値例でも、β=450ppm、α=50ppmであったから、これを式(6)に代入すると x=4 が得られ、図7のグラフから読み取った値と一致することがわかる。
【0036】
以上のように、複合抵抗において、炭素皮膜の温度特性の悪さを解消し、金属皮膜と同等の温度特性を得るには、炭素皮膜の抵抗を金属皮膜の抵抗の
にすればよい。
【0037】
また近似的には
にすればよい。
【0038】
次に、複合抵抗の抵抗温度係数が0になる場合について述べる。
図7曲線102において複合抵抗の温度係数が0になるのは、Rcがおよそ1050Ωであり、曲線101より、この場合のRmはおよそ110Ωであるから、抵抗比はおよそ9.5である。
つまり、公称抵抗値(基準温度における抵抗値)の比率をおよそ9.5に設定すれば、複合抵抗の抵抗温度係数がほぼ0になる、つまり複合抵抗の温度による抵抗値変化をほぼなくすことができる。
【0039】
以上、具体的数値例として説明したが、このように複合抵抗の抵抗温度係数が0になる条件は、式(1)~(3)に、
を加えた式(1)~(3)、(9)を連立方程式として解けばよい。
【0040】
公称抵抗の抵抗比を x=Rc/Rm
とおけば、連立方程式の解は
となる。
【0041】
想定する温度変化範囲を100℃として、前節の具体的数値例の場合に当てはめると、β=450ppm、α=50ppm、t=100であるから、これを式(10)に代入すると x≒9.5 が得られ、図7のグラフから読み取った値と一致することがわかる。
【0042】
以上のように、複合抵抗において、抵抗温度係数を0にするためには、公称抵抗値において、抵抗比を
にすればよい。
【0043】
さらに抵抗比を上げれば(炭素皮膜の抵抗値を上げれば)、複合抵抗の抵抗温度係数は正に転じ、限りなく金属皮膜の抵抗温度係数に近づくが、それを超えることはない。つまり、炭素皮膜抵抗の温度特性の悪さが現れなくなり、金属皮膜抵抗並みの温度特性となる。
したがって、抵抗比を式(5)で得られる数値以上に設定すれば、複合抵抗としての抵抗温度係数は絶対値的には金属皮膜抵抗の抵抗温度係数の値以内になり、複合抵抗の抵抗温度係数は大幅に改善される。
【0044】
また炭素皮膜の抵抗比率が高まっても、音質的には炭素皮膜の持つ特長は維持されるので、炭素皮膜と金属皮膜の両方の音質的特長を兼ね備え、かつ温度特性も改善される。
炭素皮膜と金属皮膜とが一つの抵抗器のなかで密接に配置され、熱結合するので、両者は常に同じ温度となる。したがって設定した抵抗比通りの抵抗温度係数を実現する。
【0045】
(実施形態2)
図2は本発明の第2の実施形態を示す図である。
本実施形態では、炭素皮膜4にはスリットがなく、金属皮膜5にのみスリット6が設けられる。金属のみを腐食するエッチング手法、あるいはレーザーによるカッティングを用いると、金属皮膜だけにスリットを設けることができ、精度の良い抵抗調整が可能である。音質や抵抗温度係数についての特長は第1の実施形態と同様である。
【0046】
(実施形態3)
図3は本発明の第3の実施形態を示す図である。
本実施形態では、炭素皮膜4と金属皮膜5とがお互いにずれて配置されているため、放熱性がよい。音質や抵抗温度係数についての特長は第1の実施形態と同様である。
【0047】
(実施形態4)
図4は本発明の第4の実施形態を示す図である。
本実施形態では、炭素皮膜4の層と金属皮膜5の層ではスリットの螺旋巻き方向が互いに逆向きになっている。また、炭素皮膜4の層と金属皮膜5の層との間に絶縁層10を備える。
【0048】
炭素皮膜4の層と金属皮膜5の層では電流の流路の巻き方向が互いに逆であるので、誘導成分を相殺できる効果がある。電流の過渡特性の改善、外来誘導ノイズの抑制などの効果を持つ。音質や温度係数についての特長は第1の実施形態と同様である。
【0049】
(実施形態5)
図5は本発明の第5の実施形態を示す図である。
これまでの実施形態は円筒形の抵抗器について説明してきたが、本実施形態は、板状であり、チップ部品の形状をしている。
基体3はセラミック板であり、その上に炭素皮膜4、金属皮膜5、保護膜9が順次積層されている。また基体3両端には、炭素皮膜4と金属皮膜5に導通する端子電極8を備え、表面実装に対応する。小型で高密度実装が可能、放熱性がよく誘導成分が小さい特徴を持つ。音質や抵抗温度係数についての特長は第1の実施形態と同様である。
【0050】
(実施形態6)
図6は本発明の第6の実施形態を示す図である。
第6の実施形態では、抵抗体4は炭素皮膜であり、抵抗体5は金属線材、例えばニクロム線である。負の温度係数を持つ炭素皮膜と正の温度係数を持つニクロム線との間でお互いの温度係数の絶対値を近づけることにより、温度による抵抗値変動を打ち消すことができる。
【0051】
例えば抵抗温度係数-400ppmの炭素皮膜と抵抗温度係数+400ppmのニクロム線を組み合わせることにより、全体として抵抗温度係数0を実現する。第1の実施形態では、炭素皮膜に金属皮膜を組み合わせた例であったので、両者の抵抗の温度係数の絶対値の違いにより、抵抗比を大きく設定して、複合抵抗としての温度特性を改善したが、本実施形態は、炭素皮膜にニクロム線を組み合わせているので、両者の抵抗温度係数の絶対値がほぼ等しいため、抵抗比1であっても、複合抵抗としての温度特性を改善できる。一体の抵抗器の中に2種類の抵抗体が組み合わされているので、お互いの熱結合が実現されて同一温度になり、抵抗値の変動が完全に打ち消される。音質についての特長は第1の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・リード線、2・・・キャップ、3・・・基体、4・・・第1の抵抗層、5…第2の抵抗層、6・・・スリット、7・・・外装塗料、8・・・端子電極、9・・・保護膜、10・・・絶縁層、101・・・金属皮膜の抵抗値を表す曲線、102・・・複合抵抗の抵抗温度係数を表す曲線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7