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特開2022-96903ロボットシステム用の操作端末及び情報表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096903
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】ロボットシステム用の操作端末及び情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210157
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑞季
(72)【発明者】
【氏名】松堂 杏菜
(72)【発明者】
【氏名】三間 優人
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707HS27
3C707JS03
3C707JU14
3C707KS21
3C707KV01
3C707MS14
3C707MS21
(57)【要約】
【課題】ロボットシステムにおけるユーザの利便性を好適に向上させること。
【解決手段】ロボットシステム10は、ロボット20と、ロボット20を制御するモーションコントローラ30とを備えており、モーションコントローラ30に通信可能に接続されたティーチングペンダント40の操作によって動作シーケンスの設定等が可能となっている。モーションコントローラ30の記憶部35には、予めマニュアルファイルが記憶されており、モーションコントローラ30にティーチングペンダント40が通信可能に接続された場合には記憶部35のマニュアルファイルがコピーされてティーチングペンダント40の記憶部45に記憶される。ロボット20にエラーが発生した場合には、記憶部45に記憶されたマニュアルファイルから今回のエラーに相関のある該当ページが抽出されティーチングペンダント40のディスプレイ49に表示される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットを制御する制御装置に通信可能に接続され、当該制御装置にて実行される動作シーケンスをユーザの操作に基づいて設定可能なロボットシステム用の操作端末であって、
前記制御装置には、ロボットシステムの取扱説明情報が記憶されており、
前記操作端末が前記制御装置に対して通信可能に接続された場合に、前記制御装置に記憶されている前記取扱説明情報をコピーして記憶する端末側記憶部と、
所定の表示条件が成立した場合に、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に相関のある情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部により抽出された情報を表示する表示部と
を備えているロボットシステム用の操作端末。
【請求項2】
前記情報抽出部は、ユーザにより前記取扱説明情報の一部を指定する指定操作が行われた場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から当該指定操作により指定された情報を抽出する手段を有している請求項1に記載のロボットシステム用の操作端末。
【請求項3】
前記操作端末と前記制御装置との接続を監視する接続監視部を備え、
前記情報抽出部は、前記操作端末と前記制御装置との接続が遮断された場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から接続遮断に相関のある情報を抽出する手段を有している請求項1又は請求項2に記載のロボットシステム用の操作端末。
【請求項4】
前記情報抽出部は、前記制御装置からエラー識別情報を取得した場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から当該エラー識別情報に相関のある情報を抽出する手段を有している請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のロボットシステム用の操作端末。
【請求項5】
前記制御装置から前記エラー識別情報を取得した場合に、前記表示部にてエラー発生を示す特別報知が実行され、
前記情報抽出部は、当該特別報知中に当該エラー識別情報に相関のある情報を抽出する構成となっている請求項4に記載のロボットシステム用の操作端末。
【請求項6】
産業用ロボットを制御する制御装置と、当該制御装置に通信可能に接続され当該制御装置にて実行される動作シーケンスをユーザの操作に基づいて設定可能なロボットシステム用の操作端末とに適用され、ロボットシステムの取扱説明情報を表示する情報表示システムであって、
前記制御装置に設けられ、前記取扱説明情報を記憶する制御装置側記憶部と、
前記操作端末に設けられ、前記操作端末が前記制御装置に対して通信可能に接続された場合に、前記制御装置側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報をコピーして記憶する端末側記憶部と、
前記操作端末に設けられ、所定の表示条件が成立した場合に、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に相関のある情報を抽出する情報抽出部と、
前記操作端末に設けられ、前記情報抽出部により抽出された情報を表示する表示部と
を備えている情報表示システム。
【請求項7】
前記操作端末の端末側記憶部に前記取扱説明情報が記憶されている状態で当該操作端末と前記制御装置とが通信可能に接続された場合に、当該端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報の識別情報と、前記制御装置に記憶されている前記取扱説明情報の識別情報とが一致しているかを判定する判定部を備え、
前記判定部により両取扱説明情報の識別情報が一致していないと判定された場合には前記制御装置側記憶部に記憶されている取扱説明情報をコピーして前記端末側記憶部に上書きされ、前記判定部により両取扱説明情報の識別情報が一致していると判定された場合には前記上書きが回避される構成となっている請求項6に記載の情報表示システム。
【請求項8】
前記情報抽出部は、端末側抽出部であり、
前記制御装置側記憶部に記憶されている取扱説明情報は、制御対象となる前記産業用ロボットの種類によって異なる個別情報を含んでおり、
前記制御装置に設けられ、当該制御装置に記憶されている取扱説明情報のうち前記操作端末と前記制御装置とが通信可能に接続された場合に前記個別情報のうち前記コピーの対象となる個別情報を当該制御装置に接続されている前記産業用ロボットの種類に応じて抽出する制御装置側抽出部を備えている請求項6又は請求項7に記載の情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム用の操作端末及び情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットの動作シーケンスを設定する際には、ロボット用の制御装置に接続されたティーチングペンダント等の操作端末を用いてプログラムの作成、修正、登録等の各種作業が行われる場合がある。このように、産業用ロボット及び制御装置からなるロボットシステムに操作端末を適用することはユーザの利便性を向上させる上で好ましい。また、近年では保守用携帯端末とは別に設けられた記憶領域(クラウドサーバ)に機器の取扱説明情報(マニュアル)を記憶し、エラー発生等の抽出条件が成立した場合に当該取扱説明情報の一部を抽出して保守用携帯端末に表示させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6079561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載された取扱説明情報の表示に係る構成を上記産業用ロボット、制御装置、操作端末の組み合わせに適用し、制御装置にて抽出された取扱説明情報の一部(以下、抽出情報ともいう)が操作端末に適宜表示される構成とすれば、ユーザの利便性の更なる向上に寄与できる。しかしながら、制御装置から操作端末に抽出情報が送信される構成においては、情報の表示に際して通信時間が長くなり得る。これは、表示の応答性を向上させる上で妨げになる。また、通信時間が長くなれば操作端末と制御装置との接続状態(通信状態)の影響を受けやすくなるため、抽出情報の表示機能を安定して発揮させる上でも好ましくない。このように、取扱説明情報の表示によってユーザの利便性の更なる向上を図る上でロボットシステムに関連する構成には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ロボットシステムにおけるユーザの利便性を好適に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
第1の手段.産業用ロボット(ロボット20)を制御する制御装置(モーションコントローラ30)に通信可能に接続され、当該制御装置にて実行される動作シーケンスをユーザの操作に基づいて設定可能なロボットシステム用の操作端末(ティーチングペンダント40)であって、
前記制御装置には、ロボットシステムの取扱説明情報(マニュアルファイル50)が記憶されており、
前記操作端末が前記制御装置に対して通信可能に接続された場合に、前記制御装置に記憶されている前記取扱説明情報をコピーして記憶する端末側記憶部(記憶部45)と、
所定の表示条件が成立した場合(例えばエラー発生時やユーザの閲覧要求時)に、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に相関のある情報を抽出する情報抽出部(抽出部44)と、
前記情報抽出部により抽出された情報を表示する表示部(ディスプレイ49)と
を備えている。
【0008】
第1の手段によれば、操作端末と制御装置とを通信可能に接続した際に、制御装置に記憶されている取扱説明情報が端末側記憶部にコピーして記憶される(ダウンロードされる)。このように接続先に応じた取扱説明書を取得することは、操作端末を様々なロボットシステムに流用可能とする上で好ましい。そして、所定の表示条件(情報抽出条件)が成立した場合には、操作端末において端末側記憶部に記憶されている取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に相関のある情報が抽出→表示される。このように、操作端末においてダウンロード済みの取扱説明情報から情報の抽出を行う構成とすることにより、所定の表示条件成立→抽出情報の表示の応答性を向上させることができる。これにより、ユーザの利便性を好適に向上させることができる。
【0009】
なお、本特徴に示す構成を「産業用ロボットを制御する制御装置に通信可能に接続され、当該制御装置にて実行される動作シーケンスをユーザの操作に基づいて設定可能なロボットシステム用の操作端末であって、前記操作端末が前記制御装置に対して通信可能に接続された場合に、ロボットシステムの取扱説明情報を外部からコピーして記憶する端末側記憶部と、所定の表示条件が成立した場合に、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に対応した情報を抽出する情報抽出部と、前記情報抽出部により抽出された情報を表示する表示部とを備えているロボットシステム用の操作端末。」とすることも可能である。
【0010】
第2の手段.前記情報抽出部は、ユーザにより前記取扱説明情報の一部を指定する指定操作が行われた場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から当該指定操作により指定された情報を抽出する手段を有している。
【0011】
ユーザが閲覧したい情報を指定した場合には、操作端末側にて情報の抽出→表示が実行される。このような構成とすれば、例えば操作端末と制御装置との接続が解除されている状況下(オフライン時)においても、取扱説明情報の閲覧が可能となり、ユーザの利便性を飛躍的に向上させることができる。
【0012】
第3の手段.前記操作端末と前記制御装置との接続を監視する接続監視部(断線監視部43)を備え、
前記情報抽出部は、前記操作端末と前記制御装置との接続が遮断された場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から接続遮断に相関のある情報を抽出する手段を有している。
【0013】
第3の手段によれば、断線等によって接続が遮断された場合であっても、取扱説明情報から接続遮断に相関のある情報(例えば、接続確認を促す情報や再接続の手順を示す情報)を表示することができる。つまり、接続遮断時であっても情報表示の機能が担保される。このような構成とすれば、ユーザの利便性を飛躍的に向上させることができる。
【0014】
第4の手段.前記情報抽出部は、前記制御装置からエラー識別情報(エラー識別番号)を取得した場合に前記所定の表示条件が成立したと判定し、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から当該エラー識別情報に相関のある情報を抽出する手段を有している。
【0015】
操作端末においては制御装置からのエラー識別情報に基づいて情報を抽出する。このような構成とすれば、エラー発生時に制御装置から送信される情報の量を少なくすることができる。これは、通信遅延等を抑制し、エラー発生から抽出情報が表示されるまでの時間を短縮する上で好ましい。
【0016】
第5の手段.前記制御装置から前記エラー識別情報を取得した場合に、前記表示部にてエラー発生を示す特別報知が実行され、
前記情報抽出部は、当該特別報知中に当該エラー識別情報に相関のある情報を抽出する構成となっている。
【0017】
エラー識別情報を取得した場合には先ずエラー発生を示す特別報知が実行され、そのバックグラウンドで上記抽出が実行される。このようにして速やかにエラー発生を報知した上で、その詳細や対策等の情報がユーザに提供される構成とすることにより、抽出完了までエラー発生が報知されない構成と比較してロボットシステムに対する信頼性を向上させる上で有利となる。
【0018】
第6の手段.産業用ロボット(ロボット20)を制御する制御装置(モーションコントローラ30)と、当該制御装置に通信可能に接続され当該制御装置にて実行される動作シーケンスをユーザの操作に基づいて設定可能なロボットシステム用の操作端末(ティーチングペンダント40)とに適用され、ロボットシステムの取扱説明情報(マニュアルファイル50)を表示する情報表示システムであって、
前記制御装置に設けられ、前記取扱説明情報を記憶する制御装置側記憶部(記憶部35)と、
前記操作端末に設けられ、前記操作端末が前記制御装置に対して通信可能に接続された場合に、前記制御装置側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報をコピーして記憶する端末側記憶部(記憶部45)と、
前記操作端末に設けられ、所定の表示条件が成立した場合(例えばエラー発生時やユーザの閲覧要求時)に、前記端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報から今回成立した所定の表示条件に相関のある情報を抽出する情報抽出部(抽出部44)と、
前記操作端末に設けられ、前記情報抽出部により抽出された情報を表示する表示部(ディスプレイ49)と
を備えている。
【0019】
第6の手段によれば、操作端末と制御装置とを通信可能に接続した際に、制御装置に記憶されている取扱説明情報が端末側記憶部にコピーして記憶される(ダウンロードされる)。このように接続先に応じた取扱説明書を取得することは、操作端末を様々なロボットシステムに流用可能とする上で好ましい。そして、所定の表示条件(情報抽出条件)が成立した場合には、操作端末において端末側記憶部に記憶されている取扱説明情報から今回成立した所定の情報抽出条件に相関のある情報が抽出→表示される。このように、操作端末においてはダウンロード済みの取扱説明情報から情報の抽出を行う構成とすることにより、所定の抽出条件成立→情報表示の応答性を向上させることができる。これにより、ユーザの利便性を好適に向上させることができる。
【0020】
第7の手段.前記操作端末の端末側記憶部に前記取扱説明情報が記憶されている状態で当該操作端末と前記制御装置とが通信可能に接続された場合に、当該端末側記憶部に記憶されている前記取扱説明情報の識別情報(マニュアル識別情報)と、前記制御装置に記憶されている前記取扱説明情報の識別情報(マニュアル識別情報)とが一致しているかを判定する判定部を備え、
前記判定部により両取扱説明情報の識別情報が一致していないと判定された場合には前記制御装置側記憶部に記憶されている取扱説明情報をコピーして前記端末側記憶部に上書きされ、前記判定部により両取扱説明情報の識別情報が一致していると判定された場合には前記上書きが回避される構成となっている。
【0021】
操作端末と制御装置とを通信可能に接続した際に、取扱説明情報の識別情報の一致/不一致を確認し、不一致である場合に取扱説明情報を上書きする一方、一致している場合には取扱説明情報の上書きが回避される構成とすれば、接続から取扱説明情報の表示が可能となるまでの待ち時間を軽減しつつ、端末側記憶部に記憶されている取扱説明情報を更新することができる。
【0022】
第8の手段.前記情報抽出部は、端末側抽出部であり、
前記制御装置側記憶部に記憶されている取扱説明情報は、制御対象となる前記産業用ロボットの種類によって異なる個別情報を含んでおり、
前記制御装置に設けられ、当該制御装置に記憶されている取扱説明情報のうち前記操作端末と前記制御装置とが通信可能に接続された場合に前記個別情報のうち前記コピーの対象となる個別情報を当該制御装置に接続されている前記産業用ロボットの種類に応じて抽出する制御装置側抽出部を備えている。
【0023】
制御装置に接続されて実際に制御対象となっている産業用ロボットの種類に応じてコピーの対象となる取扱説明情報(詳しくは個別情報)を絞り込む構成とすれば、端末側記憶部に記憶される取扱説明情報の情報量を軽減できる。これは、操作端末にて情報を抽出する際の応答性を向上させる上で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態におけるシステム概要を示す概略図。
図2】(a)マニュアルファイルのダウンロードの流れを示すフローチャート、(b)各記憶部の関係を示す概略図。
図3】(a)マニュアルファイルを示す概略図、(b)対応関係リストを示す概略図。
図4】(a)エラー発生時のマニュアルの表示の流れを示すフローチャート、(b)表示内容を示す概略図。
図5】(a)断線時のマニュアルの表示の流れを示すフローチャート、(b)表示内容を示す概略図。
図6】(a)ページ指定操作時のマニュアルの表示の流れを示すフローチャート、(b)表示内容を示す概略図。
図7】第2の実施形態におけるマニュアルファイルを示す概略図。
図8】マニュアルファイルのダウンロードの流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
以下、機械組立工場などで用いられるロボットシステムに具現化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に示すように、ロボットシステム10は、垂直多関節型の産業用ロボットであるロボット20と、当該ロボット20を制御するモーションコントローラ30(以下、コントローラ30ともいう)とを備え、それらロボット20とコントローラ30とが相互に通信可能となるように接続されてなる。
【0027】
ロボット20は、ロボット本体21と当該ロボット本体21に付属するサーボアンプ22とで構成されている。ロボット本体21は、ベースに取り付けられたアームと、アームの先端に設けられたハンド(ツール)とを有している。アームは複数の可動部が連結されてなり、関節部毎にそれら可動部を駆動させるモータと、各モータの回転角度を検出するエンコーダとが配設されている。サーボアンプ22には、コントローラ30からの駆動指令やエンコーダにより検出された回転角度等に基づいて各関節用のモータを駆動させる駆動回路が設けられている。
【0028】
コントローラ30には、ティーチングペンダント40がケーブルを介して接続されており、相互に通信可能となっている。ティーチングペンダント40は、タッチパネル式のディスプレイ49を有する携帯型の操作端末であり、ティーチングペンダント40の記憶部45には、ロボット20の動作シーケンスを設定するための設定支援プログラムがインストールされている(設定支援プログラム記憶エリア46)。ティーチングペンダント40の制御部41では、ディスプレイ49に動作シーケンス設定用のアプリケーションを表示し、ユーザの操作に基づいて動作シーケンスを設定する(動作シーケンス設定部42)。設定された動作シーケンスはティーチングペンダント40からコントローラ30に送信される。
【0029】
コントローラ30の記憶部35には、ロボット用の各種動作プログラムを記憶しているプログラムバンクとしてプログラム記憶エリア36が設けられている。コントローラ30の制御部31は、ティーチングペンダント40から受信した動作シーケンスに対応する動作プログラムをプログラム記憶エリア36から読み込み且つ読み込んだ動作プログラムに基づいて駆動指令を決定し、決定した駆動指令をサーボアンプ22に送信する(駆動制御部32)。
【0030】
ここで、本実施形態に示すロボットシステム10には、当該ロボットシステム10の取扱説明情報であるマニュアルファイル50の一部を後述する表示条件が成立した場合にティーチングペンダント40のディスプレイ49に表示する情報表示システムが適用されており、この情報表示システムに係る構成が特徴的なものとなっている。以下、情報表示システムに係る構成について説明する。
【0031】
コントローラ30の記憶部35には、マニュアルファイル50を記憶するマニュアルファイル記憶エリア37と、成立した表示条件とマニュアルファイル50において表示対象となる該当ページとの関係が規定された対応関係リスト60を記憶する対応関係リスト記憶エリア38が設けられている。これらマニュアルファイル50及び対応関係リスト60についてはロボットシステム10のアップデートに合わせて最新のバージョンが作成→アップロードされる。コントローラ30の製造時に各記憶エリア37,38に記憶されたマニュアルファイル50及び対応関係リスト60についても、インターネットを通じてクラウドサーバからダウンロード等することにより最新のバージョンに更新可能(上書き可能)となっている。つまり、本実施形態では、マニュアルファイル記憶エリア37に記憶されるマニュアルファイル50の数と、対応関係リスト記憶エリア38に記憶される対応関係リスト60の数とは何れも1つとなっている。
【0032】
なお、マニュアルファイル記憶エリア37に記憶されているマニュアルファイル50及び対応関係リスト記憶エリア38に記憶されている対応関係リスト60の更新方法については任意であり、CD-ROM等のメディア(記憶媒体)を用いて更新する構成としてもよい。
【0033】
ティーチングペンダント40の記憶部45にも、コントローラ30の記憶部35と同様に、マニュアルファイル50を記憶可能なマニュアルファイル記憶エリア47と、対応関係リスト60を記憶可能な対応関係リスト記憶エリア48とが設けられている。マニュアルファイル記憶エリア47については、コントローラ30のマニュアルファイル記憶エリア37に記憶されているマニュアルファイル50がダウンロード(コピー→保存)される構成となっており、対応関係リスト記憶エリア48については、コントローラ30の対応関係リスト記憶エリア38に記憶されている対応関係リスト60がダウンロード(コピー→保存)される構成となっている。より詳しくは、コントローラ30と同様に、マニュアルファイル記憶エリア47に記憶されるマニュアルファイル50の数と、対応関係リスト記憶エリア48に記憶される対応関係リスト60の数とは何れも1つとなっている。なお、マニュアルファイル50が対応関係リスト60に相当する情報を含む構成とすることも可能である。
【0034】
ここで、図2を参照して、マニュアルファイル50及び対応関係リスト60がコントローラ30からティーチングペンダント40にダウンロードされる場合の流れについて説明する。
【0035】
図2(a)に示すように、ティーチングペンダント40をコントローラ30に通信可能に接続したことを契機として、ティーチングペンダント40の制御部41は記憶部45に記憶されているマニュアルファイル50の識別番号(マニュアル識別番号)を特定する(S101→S102)。その後は、接続先のコントローラ30に対して、当該コントローラ30に記憶されているマニュアルファイル50の転送を要求するとともに特定したマニュアル識別番号を送信する(S103)。
【0036】
マニュアルファイルについてはコントローラ30の種類(仕様)に応じて様々となっており、それらマニュアルファイル毎にバージョンの違いが生じる。マニュアル識別番号は、マニュアルの種類及びバージョンを識別するための番号である。なお、ティーチングペンダント40の製造時には、マニュアルファイル記憶エリア47及び対応関係リスト記憶エリア48は何れも空となっている。ティーチングペンダント40の初回接続時には、マニュアル識別番号としてマニュアルファイル50が記憶されていないことを示すダミー識別番号が送信される。
【0037】
ティーチングペンダント40から転送要求を受けたコントローラ30の制御部31は、ティーチングペンダント40側のマニュアル識別番号を取得し(S104)、記憶部45に記憶されているマニュアルファイル50の識別番号(マニュアル識別番号)を特定する(S105)。そして、両マニュアル識別番号を照合する(S106)。
【0038】
両マニュアル識別番号が不一致である場合には、記憶部35に記憶されているマニュアルファイル50及び対応関係リスト60をティーチングペンダント40に転送する(S107)。ティーチングペンダント40は、転送されたマニュアルファイル50及び対応関係リスト60をマニュアルファイル記憶エリア47及び対応関係リスト記憶エリア48に各々保存する(S108)。例えば、図2(b)に示すように、コントローラ30Aにティーチングペンダント40が接続された場合には、当該コントローラ30Aに記憶されているマニュアルファイル50A(バージョン1.01)及び対応関係リスト60A(バージョン1.01)が、ティーチングペンダント40にダウンロードされ、ティーチングペンダント40の記憶部45にマニュアルファイル50A(バージョン1.01)及び対応関係リスト60A(バージョン1.01)が準備された状態となっている。
【0039】
これに対して、両マニュアル識別番号が一致している場合には、マニュアルファイル50及び対応関係リスト60のダウンロードが回避される。ティーチングペンダント40とコントローラ30とを通信可能に接続した際に、マニュアルファイル50の識別番号を照合し、不一致である場合にマニュアルファイル50をダウンロードする一方、一致している場合に当該ダウンロードが回避される構成とすれば、接続からマニュアルファイル50の表示が可能となるまでの待ち時間を好適に軽減できる。
【0040】
図3(a)に示すように、マニュアルファイル50は、目次及びシステムの概要が記載されたページ群(第1セクション)と、機器の接続や初期設定の方法が記載されたページ群(第2セクション)と、各種操作方法が記載されたページ群(第3セクション)と、各種エラーに関する情報(例えば推定される原因や復旧方法)が記載されたページ群(第4セクション)とに大別される。本実施形態においては、成立した表示条件に応じてマニュアルファイル50から当該条件に相関のある情報(該当ページ)が抽出され、当該該当ページがディスプレイ49(「表示部」に相当)に表示される。
【0041】
具体的には、(1)上記エラーが発生した場合、(2)ティーチングペンダント40とコントローラ30との間に断線が発生した場合、(3)ユーザによりマニュアルファイル50の閲覧操作(詳しくはページ指定操作)が行われた場合の3種が上記表示条件として設定されており、それらの条件に相関のある該当ページが表示される構成となっている。これらの条件と該当ページとの対応関係が対応関係リスト60により規定されている。
【0042】
図3(b)には、コントローラ30A用の対応関係リスト60A(バージョン1.01)の一部を例示している。この例では、ロボット20のモータに動作エラーが発生した場合には第4セクションの45ページ目が該当ページとなり、ロボット20とコントローラ30との間で通信エラーが発生した場合には第4セクションの46ページ目が該当ページとなり、ロボット20のセンサーにエラーが発生した場合には第4セクションの48ページ目が該当ページとなるように規定されている。
【0043】
ここで、図1及び図4を参照して、ロボットシステム10にエラーが発生した際のマニュアルファイル50の表示の流れについて説明する。
【0044】
コントローラ30の制御部31には、ロボットシステム10(ロボット20及びコントローラ30)の動作状態を監視する動作監視部33が設けられている(図1参照)。図4(a)に示すように、ロボットシステム10にエラーが発生した場合には、動作監視部33によって当該エラーが検出される(S201→S202)。コントローラ30の制御部31では検出したエラーの識別番号(エラー識別番号)を特定する(S203)。そして、特定したエラー識別番号をティーチングペンダント40に送信する(S204)。
【0045】
エラー識別番号の取得後は、ティーチングペンダント40の制御部41(抽出部44)は、取得したエラー識別番号と対応関係リスト記憶エリア48に記憶されている対応関係リスト60とに基づいてマニュアルファイル記憶エリア47に記憶されているマニュアルファイル50から該当ページを抽出する(S205→S206)。そして、抽出したページをディスプレイ49に表示する。図4(b)には、ロボットシステム10にエラーが発生した場合のディスプレイ49の表示を例示している。この例では、ロボット20とコントローラ30との間で通信エラーが発生しており、ディスプレイ49にはマニュアルファイル50における通信エラーに関するページが抽出→表示されている。このページには、エラー識別番号、エラーの概要、当該エラーからの復帰手順が記載されている。
【0046】
ティーチングペンダント40においてはコントローラ30からのエラー識別番号に基づいて当該ティーチングペンダント40に記憶されているマニュアルファイル50から該当ページを抽出する。このような構成とすれば、エラー発生時にコントローラ30置から送信される情報の量を少なくすることができる。これは、通信遅延等を抑制し、エラー発生から該当ページが表示されるまでの時間を短縮する上で好ましい。
【0047】
携帯型の操作端末であるティーチングペンダント40を用いて動作シーケンスを設定可能とした場合には、ユーザの利便性を向上できるものの、当該ティーチングペンダント40とコントローラ30とを繋ぐケーブルの断線等によって通信が遮断され、突如としてロボット20が停止することでユーザが困惑すると想定される。本実施形態では、このような事象が発生した場合に、マニュアルファイル50において断線等の通信遮断について記載されたページを速やかに表示することにより、ユーザの困惑を抑制している。
【0048】
以下、図1及び図5を参照して、ティーチングペンダント40とコントローラ30との通信が遮断された場合のマニュアルファイル50の表示の流れについて説明する。
【0049】
ティーチングペンダント40の制御部41には、ティーチングペンダント40とコントローラ30との接続を監視する接続監視部(例えば断線を監視する断線監視部)43が設けられている(図1参照)。図5(a)に示すように、断線が発生した場合には、接続監視部43によって接続の遮断が検出される(S301→S302)。
【0050】
ティーチングペンダント40の制御部41は、接続遮断を検出したことに基づいて、特殊識別番号を特定し(S303)、特定した特殊識別番号と対応関係リスト記憶エリア48に記憶されている対応関係リスト60とを参照しマニュアルファイル記憶エリア47に記憶されているマニュアルファイル50から該当ページを抽出する(S304)。そして、抽出したページをディスプレイ49に表示する(S305)。なお、特殊識別番号は、ティーチングペンダント40が自身の判断でマニュアルの表示が必要であると判定した場合に、その契機となった事象を識別するための番号である。
【0051】
図5(b)には、断線によって接続が遮断された場合のディスプレイ49の表示を例示している。この例では、マニュアルファイル50における接続遮断に関するページが抽出→表示されている。このページには、特殊識別番号、発生している事象の概要、当該事象からの復帰手順が記載されている。
【0052】
断線等によって接続が遮断された場合であっても、マニュアルファイル50から接続遮断に相関のあるページ(接続確認を促す情報や再接続の手順を示す情報)を抽出→表示することができる。つまり、接続遮断時であってもマニュアルファイル50の表示の機能が担保される。このような構成とすれば、ユーザの利便性を飛躍的に向上させることができる。
【0053】
本実施形態に示すティーチングペンダント40は、ユーザのページ指定操作に基づいてマニュアルファイル50の該当ページを表示可能となっており、ユーザの利便性の向上が図られている。以下、図6を参照して、ページ指定操作が行われた場合のマニュアルファイル50の表示の流れについて説明する。
【0054】
ティーチングペンダント40のディスプレイ49にはマニュアル表示アイコンが常駐している。ティーチングペンダント40の制御部41は、このマニュアル表示アイコンの操作(マニュアル表示操作)を検出した場合には(S401→S402)、ディスプレイ49にマニュアルファイル50(第1セクション)から抽出した目次ページとテンキーアイコンとを表示する(S403)。ユーザは、参照したいマニュアルファイル50のページをテンキーアイコンを用いて入力可能となっている。
【0055】
制御部41は、テンキーアイコンを用いたページ指定操作を検出した場合(S404→S405)に、指定されたページ(該当ページ)をマニュアルファイル50から抽出する(S406)。そして、抽出したページをディスプレイ49に表示する(S407)。これにより、ユーザはマニュアルファイルにおける所望のページをティーチングペンダント40にて参照可能となる。
【0056】
ユーザが閲覧したいページを指定した場合には、ティーチングペンダント40側にてページの抽出→表示が実行される。このような構成とすれば、例えばティーチングペンダント40とコントローラ30との接続が解除されている状況下(オフライン時)においても、マニュアルファイル50の閲覧が可能となり、ユーザの利便性を飛躍的に向上させることができる。
【0057】
以上詳述した第1の実施形態によれば、ティーチングペンダント40とコントローラ30とを通信可能に接続した際に、コントローラ30に記憶されているマニュアルファイル50及び対応関係リスト60がティーチングペンダント40にコピーして記憶される。このように接続先からマニュアルファイルを取得することは、ティーチングペンダント40を様々なロボットシステムにて流用可能とする上で好ましい。そして、各種表示条件(ページ抽出条件)が成立した場合には、ティーチングペンダント40において当該ティーチングペンダント40の記憶部45に記憶されているマニュアルファイル50から今回成立した表示条件に相関のある情報が抽出→表示される。このように、ティーチングペンダント40においてダウンロード済みのマニュアルファイル50から情報(該当ページ)の抽出を行う構成とすることにより、表示条件成立→該当ページの表示の応答性を向上させることができる。これにより、ユーザの利便性を好適に向上させることができる。
【0058】
<第2の実施形態>
コントローラ30の記憶部35に記憶されているマニュアルファイル50X(図7参照)が当該コントローラ30に接続可能な複数種のロボット(例えばロボット20A,20B,20C)毎の個別情報を含む構成とすることも可能である。例えば、図7に示すマニュアルファイル50Xでは、第1セクション及び第3セクションについては各ロボットで共通となっているものの、第2セクション及び第4セクションについては各ロボット20A,20B,20Cで個別となっている。言い換えれば、マニュアルファイル50Xは、ロボット20A用のマニュアルファイル50A、ロボット20B用のマニュアルファイル50B、ロボット20C用のマニュアルファイル50Cの3つが複合されてなる。そして、マニュアル識別番号についても、マニュアルファイル50A用の識別番号と、マニュアルファイル50B用の識別番号と、マニュアルファイル50C用の識別番号とが区別されている。なお、対応関係リスト60についても、マニュアルファイル50A用の対応関係リスト、マニュアルファイル50B用の対応関係リスト、マニュアルファイル50C用の対応関係リストが各々記憶されている。
【0059】
このように複数のマニュアルファイルが複合されてなるマニュアルファイル50Xについては、当該マニュアルファイル50Xをそのままティーチングペンダント40にダウンロードした場合に、ティーチングペンダント40の記憶容量が圧迫されやすくなる。また、抽出元となるマニュアルファイルのサイズ(データ量)が嵩むことにより、該当ページの抽出に要する時間が長くなると懸念される。抽出所要時間が長くなることは、該当ページの表示の応答性を低下させる要因になるため好ましくない。本実施形態ではこのような事情に配慮した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図7及び図8を参照して、第1の実施形態との相違点を中心に当該工夫について説明する。
【0060】
ティーチングペンダント40をコントローラ30に通信可能に接続した際には、ティーチングペンダント40の制御部41では記憶部45に記憶されているマニュアルファイル50の識別番号(マニュアル識別番号)を特定する(S501→S502)。その後は、コントローラ30に対して、当該コントローラ30に記憶されているマニュアルファイル50の転送を要求するとともに特定したマニュアル識別番号を送信する(S503)。上述したように、本実施形態におけるマニュアル識別番号は、接続対象であるロボット20の種類を識別するための情報を含む。
【0061】
ティーチングペンダント40から転送要求を受けたコントローラ30の制御部31は、ティーチングペンダント40側のマニュアル識別番号を取得し(S504)、コントローラ30に接続中のロボット20の種類を特定する(S505)。その後、記憶部35に記憶されているマニュアルファイルの中から接続中のロボット20に対応するマニュアルファイルの識別番号(マニュアル識別番号)を特定し(S506)、両マニュアル識別番号を照合する(S507)。
【0062】
両マニュアル識別番号が不一致である場合には、記憶部35に記憶されているマニュアルファイル50から該当するページ群を抽出する(S508)。例えば図7を参照して説明すると、コントローラ30側のマニュアル識別番号がロボット20Aに対応している場合には、転送するマニュアルファイルがマニュアルファイル50Aとなる。そこで、マニュアルファイル50Xから第1セクション、第2セクションの該当部分a、第3セクション、第4セクションの該当部分aを抽出する。
【0063】
次に、それら抽出したページ群からなるマニュアルファイル(例えばマニュアルファイル50A,50B,50Cの何れか)とそれに適合する対応関係リストとをティーチングペンダント40に転送する(S509)。ティーチングペンダント40は、転送されたマニュアルファイル50及び対応関係リスト60をマニュアルファイル記憶エリア47及び対応関係リスト記憶エリア48に各々保存する(S510)。
【0064】
コントローラ30に接続されて実際に制御対象となっているロボットの種類に応じてダウンロードの対象となるマニュアルファイルのページ群及び対応関係リストを絞り込むことにより、ティーチングペンダント40の記憶部45に記憶されるマニュアルファイル及び対応関係リストの情報量を軽減できる。これは、ティーチングペンダント40にてページを抽出する際の応答性を向上させる上で好ましい。
【0065】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。
【0066】
・上記各実施形態では、ティーチングペンダント40(「操作端末」に相当)とコントローラ30(「制御装置」に相当)とをケーブルにより接続する構成(有線接続)としたが、ティーチングペンダント40とコントローラ30とを無線接続する構成としてもよい。このような構成では、ユーザの利便性を向上させることができる反面、接続状態等によって通信速度に影響が出やすくなる。例えば、エラー発生時に通信遅延等によって当該表示が遅れることは好ましくない。この点、ティーチングペンダント40を接続した時点でマニュアルファイル50を事前にダウンロードしておくことにより、エラー発生時の通信量を低減できる。これは、上記遅れを抑制する上で有利である。
【0067】
・コントローラ30からエラー識別番号を受信した場合に、先ずティーチングペンダント40のディスプレイ49にてエラー報知(例えば予め記憶されている「エラー発生」等のメッセージの表示)を開始し、そのバックグラウンドで該当するページの抽出等のマニュアル表示用の処理を実行する構成とすることも可能である。このような構成とすれば、実際にエラーが発生してからエラー発生をユーザが把握するまでの時間(タイムラグ)を極力小さくすることができる。
【0068】
・上記各実施形態では、対応関係リスト60を用いて該当ページを抽出する構成としたが、各ページの文章から上記表示条件毎に定められたキーワード等を検索することで該当ページを抽出する構成とすることも可能である。
【0069】
・コントローラ30からティーチングペンダント40に送信されるエラー識別番号とマニュアルファイル50のページとの関係が一義的となる構成においては、対応関係リスト60を省略することも可能である。
【0070】
・上記各実施形態では、マニュアルファイル50において抽出部44により抽出(特定)したページ全体を表示対象としたが、これに限定されるものではない。表示対象を更に絞り込む構成とすることも可能である。例えば、該当するページの一部(例えば文章及び図の一方のみ)を抽出→表示する構成としてもよい。
【0071】
・上記各実施形態では、コントローラ30の記憶部35に記憶されているマニュアルファイルと、ティーチングペンダント40の記憶部45に記憶されるマニュアルファイルとを一致させる構成としたが、コントローラ30の記憶部35に記憶されているマニュアルファイルのバージョンよりもティーチングペンダント40の記憶部45に記憶されているマニュアルファイルのバージョンの方が新しい場合には、記憶部45に記憶されているマニュアルファイルが保持される(上書きが回避される)構成とすることも可能である。
【0072】
・上記各実施形態では、マニュアル識別番号の一致/不一致の判定機能(照合機能)をコントローラ30に付与したが、当該判定機能をティーチングペンダント40に付与してもよい。
【0073】
・上記各実施形態では、コントローラ30の記憶部35に記憶されているマニュアルファイルをティーチングペンダント40にダウンロードする構成としたが、例えばコントローラ30から機種等の識別情報を受信し、その受信した識別情報に対応したマニュアルファイルをインターネット等を通じてクラウドサーバからダウンロードする構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…ロボットシステム、20…ロボット、30…モーションコントローラ、31…制御部、33…動作監視部、35…記憶部、40…ティーチングペンダント、41…制御部、43…接続監視部、44…抽出部、45…記憶部、49…ディスプレイ、50…マニュアルファイル、60…対応関係リスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8