(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096942
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫扉用枠、冷蔵庫用引出扉、および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
F25D23/02 304C
F25D23/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210234
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岩元 浩二
(72)【発明者】
【氏名】坪川 充央
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA10
3L102KD10
3L102KE09
(57)【要約】
【課題】意匠性とユーザの利便性とを両立させた冷蔵庫扉用枠、冷蔵庫用引出扉、および冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫扉用枠は、冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉可能に閉じる扉の外郭を構成し、一対の縦枠、上横枠、および下横枠を有する枠本体と、前記上横枠または前記下横枠に連続して配置されている把手と、前記枠本体に設けられ、前記一対の縦枠、前記上横枠、および前記下横枠で囲まれた開口に架け渡される一以上の補強部と、を持つ。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉可能に閉じる扉の外郭を構成し、一対の縦枠、上横枠、および下横枠を有する枠本体と、
前記上横枠または前記下横枠に連続して配置されている把手と、
前記枠本体に設けられ、前記一対の縦枠、前記上横枠、および前記下横枠で囲まれた開口に架け渡される一以上の補強部と、
を含む冷蔵庫扉用枠。
【請求項2】
前記補強部は、前記上横枠から前記下横枠または前記一対の縦枠まで架設される
請求項1に記載の冷蔵庫扉用枠。
【請求項3】
前記補強部は、前記上横枠から前記開口の下角部まで傾斜して架設される
請求項1に記載の冷蔵庫扉用枠。
【請求項4】
前記補強部は、前記補強部の後面が後方に向かって突出した肉厚部を含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷蔵庫扉用枠。
【請求項5】
前記肉厚部の上端と、前記上横枠とが連続している
請求項4に記載の冷蔵庫扉用枠。
【請求項6】
前記枠本体と、前記把手と、前記補強部とが一体に形成されている
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の冷蔵庫扉用枠。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の冷蔵庫扉用枠と、
前記枠本体の前面に取り付けられる化粧板と、
前記枠本体の後部に取り付けられる後面材と、
を備える冷蔵庫用引出扉。
【請求項8】
複数の貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に取り付けられる複数の冷蔵庫扉と、を備え、
前記複数の冷蔵庫扉の少なくとも一つが請求項7に記載の冷蔵庫用引出扉である冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫扉用枠、冷蔵庫用引出扉、および冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の意匠性およびユーザの利便性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、意匠性とユーザの利便性とを両立させた冷蔵庫扉用枠、冷蔵庫用引出扉、および冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫扉用枠は、冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉可能に閉じる扉の外郭を構成し、一対の縦枠、上横枠、および下横枠を有する枠本体と、前記上横枠または前記下横枠に連続して配置されている把手と、前記枠本体に設けられ、前記一対の縦枠、前記上横枠、および前記下横枠で囲まれた開口に架け渡される一以上の補強部と、を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫扉用枠、冷蔵庫用引出扉、および冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「前後方向」とは、上記定義における幅方向に直交し、前と後ろとをつなぐ方向を意味する。本願でいう「AまたはB」とは、AとBのうちいずれか一方の場合に限定されず、AとBの両方の場合を含む。
【0008】
図1は、実施形態に係る冷蔵庫100を示す正面図である。
図2は、冷蔵庫100の冷蔵庫扉20,30,40を
図1の右側から見た側面図である。
図1に示すように、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体110と、複数の冷蔵庫扉20,30,40と、を含む。冷蔵庫本体110は、筐体105と、図示は省略するが、公知の圧縮機、冷却機構、送風機、温度センサ、制御装置等を備える。
【0009】
筐体105には、複数の貯蔵室101,102,103が設けられている。複数の貯蔵室は、例えば、第一冷蔵室101、第二冷蔵室102、冷凍室103である。実施形態では、最上部に第一冷蔵室101が配置され、第一冷蔵室101の下方に第二冷蔵室102が配置され、第二冷蔵室102の下方に冷凍室103が配置されている。貯蔵室101,102,103の配置は、上記例に限定されず、例えば第二冷蔵室102と冷凍室103との配置が逆でもよい。各貯蔵室には、収納棚や収納容器、製氷用貯水容器等が適宜設けられている。
【0010】
第二冷蔵室102は、野菜室として使用される。第二冷蔵室102は、野菜の貯蔵に適した冷蔵温度帯、例えば、1℃~5℃で保冷されている。第二冷蔵室102は、野菜に適した貯蔵環境の貯蔵室に限らず、第一冷蔵室101と同等の冷蔵温度帯に設定され、冷蔵機能を備える貯蔵室であってもよい。
【0011】
冷凍室103は、冷凍温度帯、例えば、-10℃以下で保冷されている。第二冷蔵室102、冷凍室103は、冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで保冷温度が任意に切り替え可能に構成されている。したがって、第二冷蔵室を冷凍室として使用可能であり、冷凍室103を冷蔵室として使用可能である。
【0012】
筐体105は、例えば、内箱と、外箱と、断熱部とを有する。内箱は、筐体105の内面を形成し、外箱は、筐体105の外面を形成している。内箱と外箱との間には、発泡ウレタン等の発泡断熱材を含む断熱部が設けられている。筐体105は、断熱性能を持つ。筐体105は、各貯蔵室の前面側に、各貯蔵室に対して貯蔵品の出し入れを可能にする開口を有する。
【0013】
冷蔵庫100は、冷蔵庫扉20,30,40が設けられている。冷蔵庫扉は、各貯蔵室101,102,103の開口を開閉可能に塞ぐ部材である。冷蔵庫扉20,30,40は、筐体105の前部に設けられる。冷蔵庫扉は、例えば、回転扉20、引出扉30,40である。
【0014】
第一冷蔵室101に回転扉20が設けられている。回転扉20は、筐体105に回動可能に取り付けられている。
図2に示すように、回転扉20は、枠部材15と、化粧板62と、後面材122とを有する。枠部材15は、回転扉20の外郭を構成する矩形の枠である。枠部材15の前面57に化粧板62が取り付けられている。枠部材15の後部に後面材122が取り付けられている。
【0015】
図1では、片開きの回転扉20を例示しているが、両開きの回転扉であってもよい。両開きの回転扉の場合、左右の回転扉が同じ大きさであってもよく、幅方向Wの寸法が異なる一対の回転扉であってもよい。
【0016】
第二冷蔵室102および冷凍室103には、それぞれ引出し17(
図2参照)が配置されている。引出し17は第二冷蔵室102および冷凍室103内を前後方向Dに移動可能に開閉される引出し式の収納部を構成している。引出し17の前部に引出扉30,40が設けられている。引出扉30,40は冷蔵庫用引出扉の一例である。第二冷蔵室102および冷凍室103の引出扉30,40は同様の構成を有するため、第二冷蔵室102の引出扉30で説明し、共通する部分には同一の符号を付す。
【0017】
図9は引出扉30の幅方向Wの略中央部における縦断面図である。
図10は、引出扉30の水平断面図である。
図11は引出扉40の枠部材5Aの正面図である。
図9および
図10に示すように、引出扉30,40は、枠部材5,5Aと、化粧板63,64と、後面材22とを含む。枠部材5,5Aは、冷蔵庫扉用枠の一例である。枠部材5,5Aの前面57に化粧板63,64が取り付けられている。枠部材5,5Aの後部に後面材22が取り付けられている。枠部材5,5Aと、後面材22と、化粧板62との間の空間に発泡断熱材が充填される。発泡断熱材は、化粧板62の後面にも接触する。発泡断熱材により、化粧板62と枠部材5,5Aとの固定状態が安定的に保持される。発泡断熱材は、例えば、ウレタン等からなる。
【0018】
図4は、枠部材5の正面図である。
図5は枠部材5の斜視図である。枠部材5は、引出扉30の外郭を構成する。
図6は、枠部材5を背面側から見た斜視図である。
図4から
図16に示すように、枠部材5は、正面視矩形を有し、前後方向Dに厚さを有する立体形状の部材である。枠部材5は、一対の縦枠53、上横枠51、および下横枠52を有する。枠部材5は、一対の縦枠53、上横枠51、および下横枠52が一体に形成されている。枠部材5は、例えば、樹脂製や鋼板製の型材である。枠部材5には、一対の縦枠53、上横枠51、および下横枠52で囲まれた開口50が形成されている。開口50は、枠部材5の前後方向Dに貫通している。
【0019】
図10に示すように、縦枠53は、側壁531と、前壁532と、後壁533とを含む。側壁531は、前後方向Dに沿って配置されている。前壁532は、側壁531の前端から幅方向Wに沿って内側に延びる。後壁533は、側壁531の後端から幅方向Wに沿って内側に延びる。言い換えると、前壁532および後壁533の外側端部間が側壁531により接続されている。側壁531は、後端が前端よりも幅方向Wの外側に突出している。前壁532の外側端部は、後壁533の外側端部よりも幅方向Wの内側に位置する。側壁531は、後壁533の端部から前側に延びる平面531aと、前後方向Dの中間部から前壁532の外側端部に向かって内側に傾斜した傾斜面531bとを含む。側壁531の前端部と、前壁532との接続部分には、幅方向Wの内側に向かって窪む凹部4が形成されている。凹部4は、前壁532の後方において、前壁532の外側端部535よりも幅方向Wの内側に窪んでいる。凹部4は、水平断面形状が円弧状に窪んでいる。
【0020】
図5、
図6および
図9に示すように、上枠51には、把手511が形成されている。把手511は、上枠51の前後方向Dの中間部と前端との間に下方に窪む溝形状を有する。
図2および
図3に示すように、把手511は、引出扉30の幅方向Wの全域に形成されており、側壁531に開口している。このため、ユーザが引出扉30を掴む部分へのアクセス性がよい。把手511の両端部が側壁531側に開口していることにより、把手511の内部に入った塵を除去し易く、清掃性に優れる。
【0021】
把手511は、側面視略U字形状を有する。把手511は、底部511aと、底部511aの前後端から上方に延びて互いに対向する一対の縦面511b,511cとが略直交および直角に近似する角度を有する。底部511aと、各縦面511b,511cとの境界部分は小径のR面が形成されている。把手511は直線的な矩形の凹部で構成されている。把手511の側面視形状が略U字形状であることにより、引出扉30の化粧板63が直線的な外観を呈する。
図3に示すように、化粧板63と把手511との一体感が得られる。加えて、把手511が引出扉30の幅方向Wの両端部に開口しているため、ユーザが把手を視認し易い。
【0022】
枠部材5の側壁531に凹部4が形成されているため、外観上、化粧板63が、側壁531から離れているように見える。この結果、化粧板63が枠部材5から浮いているような外観が得られる。したがって、化粧板63を支持する支持体が視認し難く、フレームレスの外観が得られる。引出扉30は、外観上、化粧板63が扉から浮遊しているような視覚効果が得られる。
【0023】
下枠52は、一対の縦枠53の下端の間に連続して設けられている。
【0024】
枠部材5の前面57には化粧板63の接着面95が形成されている。接着面95は、枠部材5の前面57の四周に形成されている。
【0025】
図4から
図6に示すように、枠部材5の開口50には、補強部54が架設されている。補強部54は、幅方向Wに離間して2つ配置されている。補強部54は、上枠51から下枠52まで架設されている。補強部54は、縦方向Vに延びる。補強部54は、化粧板63の接着面95と同一面または接着面95よりも後方に位置する。
図7および
図8に示す例では、補強部54は接着面95より僅かに後方に位置する。補強部54は、上枠51を下方から支持する。
【0026】
図10に示すように、補強部54は、肉厚部541を有する。肉厚部541は、補強部54の後面542が後方に向かって突出している。補強部54に肉厚部541を有することにより、より高い補強効果が得られる。すなわち、補強部54に肉厚部541を有することにより、補強部54の剛性が増す。この結果、補強部54の前後方向Dの撓みが防止される。肉厚部541は、補強部54の後面542から後方に向かって突出しているため、枠部材5に対する化粧板63の取付を妨げない。
【0027】
図6および
図9に示すように、肉厚部541の上端544は、把手511の底部511aの下面511dに連続して設けられている。肉厚部541が把手511の下面511dと連続して設けられていることにより、上枠51の下方への荷重をより安定的に支持できる。
【0028】
肉厚部541の上端544が把手511の下面511dと連続して形成される構成は必須の構成ではない。肉厚部541の上端544と、把手511の下面511dとが離間して形成されていてもよい。肉厚部541の上端544と把手511の下面511dとを離間させると、例えば、枠部材5を樹脂製の一体成型で製造する場合に、把手511の幅方向中央部にひけが発生することを防ぐことができ、製造上の利点がある。
【0029】
補強部54は、枠部材5と一体に形成されている。本実施形態の枠部材5は、枠本体59と、把手511と、補強部54とが一体に形成されている。補強部54が枠部材5と一体に形成される構成は必須の構成ではない。例えば、枠本体59と補強部54とが別部材で構成され、枠本体59に対して補強部54を固定する構成であってもよい。
【0030】
枠部材5の前部にはパネル支持部9が設けられている。パネル支持部9は、枠部材5に一体に形成されている。パネル支持部9は、枠部材5の前端部に形成されている。パネル支持部9は、枠部材5の前壁512,522,532の外縁部に形成されている。
図9に示すように、パネル支持部9は、上枠51の前壁512の上端および、下枠52の前壁522の下端から前方に僅かに突出して形成されている。
図10に示すように、パネル支持部9は、縦枠53の前壁532における幅方向Wの外端から前方に僅かに突出して形成されている。
【0031】
図9に示すように、下枠52のパネル支持部9には、前方に突出する係止爪94が形成されている。係止爪94の前方への突出量は、化粧板63の厚さと略等しい。化粧板62の下部側面633の後端634が係止爪94上に当接している。下部側面633は、係止爪94に覆われている。幅方向Wにおいて、係止爪94は、化粧板63の下部側面633よりも狭い範囲に設けられる。したがって、化粧板63の下端の幅方向Wの前端の角部が露出している。大人のユーザが冷蔵庫100の前方に立った場合に、下部側面633はユーザの目よりも低い。そのため、係止爪94はユーザに視認され難い。この結果、化粧板63の下部側面の全域が露出しているフレームレス構造のように見える。
【0032】
上枠51のパネル支持部9は、把手511の前部に設けられている。
図9に示すように、パネル支持部9の上部には、把手511の前壁512から前方に僅かに突出する係止爪93が形成されている。係止爪93の前方への突出量は、化粧板63の厚さより短い。化粧板63の上部側面632の後端634が係止爪93の下部に当接している。上部側面632の前端635は係止爪93よりも前方に位置する。上部側面632は、後端634が係止爪93に覆われ、その他前側の部分は外部に露出している。上部側面632の露出する部分は、前端635から前後方向Dの中間部よりも後方まで露出している。幅方向Wにおいて、係止爪93は、化粧板63の上部側面632よりも狭い範囲に設けられる。したがって、化粧板63の上端の幅方向Wの前端の角部が露出している。係止爪93は、化粧板63の後部に僅かに露出するのみであるため、化粧板63の上部側面632の全域が露出しているような視覚効果が得られる。
【0033】
引出扉30の化粧板63は、下部側面633が係止爪94により保護され、上部側面632の後端634が係止爪93により保護される。
図10に示すように、化粧板63の幅方向Wの両端の横側面631は露出している。化粧板63の幅方向Wの両端の横側面631は前壁532の外側端部535と同面に配置されている。
【0034】
図10に示すように、縦枠53の内側には、補強部材7が設けられている。補強部材7は、枠部材5の強度を補強する部材である。引出扉は、収納部に冷蔵品が収納された状態で引出し動作される際に荷重が掛かる。したがって、引出扉を軽量化しつつ、枠部材5の強度を補強するために補強部材7が設けられている。補強部材7は、例えば、鋼板等、金属製の長尺な部材である。
【0035】
補強部材7と、縦枠53との間の隙間に断熱材充填部58が形成されている。縦枠53には、断熱材充填孔73が形成されている。断熱材充填孔73は、縦方向Vに間隔を空けて複数形成されている。断熱材充填孔73から、断熱材充填部58内に断熱材が充填される。断熱材は、例えば、ウレタン等からなる発泡断熱材を断熱材充填孔73から断熱材充填部58内に充填し、固化させる。発泡断熱材が断熱材充填部58内に充填されることにより、断熱材が縦枠53および補強部材7に接着して、枠部材5を補強する。補強部材7が鋼板製であっても、断熱材が充填されることにより、引出扉30の断熱性能を高めることができる。
【0036】
図11から
図13に冷凍室103の引出扉40を示す。引出扉40の基本的な構成は第二冷蔵室102の引出扉30と同様である。
図1に示すように、引出扉40は、引出扉30より正面視の面積が大きい。このため、引出扉40の枠部材5Aの大きさは引出扉30の枠部材5より大きい。
図11に示すように、枠部材5Aは、さらに第二横枠56を含む。枠部材5Aは、上枠51と、下枠52と、一対の縦枠53と、補強部54と、第二横枠56とが一体に形成されている。補強部54Aは、上枠51から第二横枠56まで縦方向Vに架設されている。補強部54Aは、引出扉30の補強部54より幅方向Wの寸法が大きい。
図12および
図13に示すように、補強部54Aの後面542は、幅方向Wの両端部よりも中央部が後方に突出した肉厚部541Aが形成されている。第二横枠56は、下横枠の一例である。第二横枠56と一対の縦枠53と、下枠52との間に開口55が形成される。開口55にも補強部を設けてもよい。枠部材5は、一部材で構成する例や、縦枠、横枠、補強部および第二横枠の全部または一部を別部材で形成し、組み立てる構成であってもよい。
【0037】
引出扉30,40は、枠部材5,5Aの後部に引出し用の後面材22が設けられている。後面材22は、枠部材5の後部の略全域に取り付けられる部材である。後面材22は、断熱性を有する樹脂製の立体成型部材である。
図9および
図10に示すように、後面材22は、枠部材5よりも後方に突出している部分を有する。後面材22は第二冷蔵室102の開口に挿入可能である。枠部材5,5Aと後面材22との接続部分であり、引出扉30,40の後面の外縁部には、ガスケット16が取り付けられている。ガスケット16は、引出扉30を閉じた状態において、引出扉30,40と第二冷蔵室102の内壁との隙間を塞ぐように構成されている。
【0038】
パネル支持部9に化粧板63が取り付けられることにより、枠部材5の前面57が覆われている。化粧板63,64は、略平板状の化粧材からなる。化粧板63,64は、例えば、ガラス製、繊維強化樹脂製、セラミック製、人造大理石等の薄板である。化粧板63,64は、冷蔵庫の意匠性を考慮し、色、柄、表面加工が施されている。一例として、ガラス製の化粧板の例を示す。
【0039】
化粧板63,64は、枠部材5の接着面95に接着剤により固定されている。化粧板63,64の後面の外縁部がパネル支持部9に当接している。化粧板63,64の後面と前壁532との間に接着剤が配置されて固定されている。接着剤は、塗布タイプの接着剤、接着テープ等、化粧板63,64を枠部材5の前面57に固定可能な接着材であれば特に限定されない。
【0040】
化粧板63,64の側面は、枠部材5の前端部の外周端と略同面に配置される。
図10に示すように、幅方向Wにおいて、化粧板63の横側面631と、前壁532の外側端部535とが同じ位置に配置されている。枠部材5の側壁531は、化粧板63の幅方向Wの端部よりも外側に突出しない。枠部材5の側壁531は、化粧板63の横側面631と同面または幅方向Wの内側に配置されている。化粧板63の横側面631は、パネル支持部9を構成する前壁532の外側端部535と同面または幅方向Wの外方に配置される。
図9に示すように、化粧板63の上部側面632は、上枠51のパネル支持部9と略等しい高さに配置される。
【0041】
化粧板63の幅方向Wの両側の横側面631、上部側面632、および下部側面633は、少なくとも前端635が露出して枠部材5に支持されている。すなわち、枠部材5は、化粧板62の横側面631および上部側面632と同面または内側に配置され、係止爪94は化粧板63の下部側面633の後端634を覆っている。したがって、冷蔵庫100の前方に立つユーザから枠部材5が見え難く、化粧板63のみが露出したフレームレスの外観が得られる。この結果、引出扉30,40の意匠性が優れる。
【0042】
実施形態では、第一冷蔵室101、第二冷蔵室102、および冷凍室103用の3つの冷蔵庫扉20,30,40を設けた例を示したが、冷蔵庫の態様はこれに限定されない。冷蔵庫の貯蔵室の数や大きさに応じて任意の数の冷蔵庫扉を設ければよい。第一冷蔵室101には、両開きの一対の回転扉を設けてもよい。
【0043】
枠部材5は、一対の縦枠53、上枠51、下枠52、および補強部54を一部材で構成する例に限定されない。枠部材は、縦枠、横枠および補強桟の全部または一部を別部材で形成し、組み立てる構成であってもよい。
【0044】
補強部は、引出扉30,40の補強部54,54Aのように、縦方向Vに沿って配置される例に限定されない。例えば、
図14および
図15に示す変形例のように、縦方向Vに対して傾斜して設けられていてもよい。
図14に示す変形例の枠部材5Bでは、補強部54Bは、上枠51から下方に向かって斜めに配置されている。補強部54Bは、上枠51から、縦枠53の下端と下枠52の幅方向Wとの両端部の接続部である開口55の下角部50Bまで架設されている。
図15に示す変形例の枠部材5Cでは、補強部54Bは、上枠51から下枠52に向かって斜めに架設されている。このように、補強部54B,54Cが上枠51から下方に向かって斜めに架設されていても、上記実施形態と同様に、上枠51を下方から支持できる。
【0045】
補強部54,54Aに設けられる肉厚部の構成例は、上述の例に限定されない。
図16から
図19に肉厚部の変形例の水平断面形状を示す。
【0046】
図16に示すように、補強部54Dの後面542の幅方向Wの両端部は前面543と略平行であり、中央部が後方に突出して肉厚部541Dが形成されていてもよい。肉厚部541Dは、後方に向かって突出する曲面形状を有する。
【0047】
図17に示すように、補強部54Eの後面542の幅方向Wの中央部が前面543と略平行であり、両端部が後方に突出した一対の肉厚部541Eが形成されていてもよい。一対の肉厚部541Eは、後面542に対して略直交する方向に向かって突出する。
【0048】
図18に示すように、補強部54Fの後面542に対して、複数の肉厚部541Fが幅方向Wに離間して設けられていても良い。複数の肉厚部541は、幅方向Wに等間隔に並んで設けられている。複数の肉厚部541Fは、後面542に対して略直交する方向に向かって突出する。
【0049】
図19に示すように、補強部54Gの後面542の幅方向Wの中央部に後方に突出した一つ肉厚部541Fが形成されていてもよい。一つの肉厚部541Fは、後面542に対して略直交する方向に向かって突出する。
【0050】
図示は省略するが、把手511が引出扉の下枠52に設けられる構成であってもよい。把手511が下枠52に設けられる場合、把手511の荷重が下枠52に掛かり、下枠52が下方に撓みやすい。このような場合でも、上述した補強部を開口50に架設することにより、枠部材の撓みや反りを防止できる。
【0051】
枠部材に設けられる補強部の数は1以上であればよい。例えば、
図20に示す枠部材5Fのように、一つの補強部54が、開口50の幅方向Wの略中央部に設けられていてもよい。この他、補強部が、幅方向Wに離間して3以上配置されていてもよい。
【0052】
上記実施形態によれば、引出扉30に補強部材7を備えるため、縦枠53が撓むことを防止できる。引出扉30,40の場合、引出し17内に収納物が収納された状態で前後方向Dに移動する。引出扉30,40の開閉時、引出扉30,40の下部中央に下方への力が掛かる結果、引出扉30,40の枠部材5に荷重が掛かる。これに対し、枠部材5内に上記補強部材7が設けられていることにより、縦枠53が撓み難く、引出扉30,40の形状が安定的に保持される。この結果、引出扉30,40の円滑な開閉動作が可能となる。
【0053】
実施形態によれば、枠部材5は、開口50に架け渡される補強部54を有するため、枠部材5の強度を向上させることができる。すなわち、枠部材5は、一対の縦枠53、上枠51、および下枠52で構成され、正面視の中央部に開口50が形成されている。この結果、枠部材5の軽量化が図られている。枠部材5には上枠51に連続して把手511が設けられており、把手511の部分が、縦枠53、上枠51、下枠52より厚い。そのため、把手部分の荷重により枠部材5が撓みやすい。これに対し、補強部54が開口50に架け渡されていることにより、枠部材5の縦方向Vの耐荷重性が向上する。したがって、枠部材5の反り、撓み、変形等を防ぐことができる。この結果、枠部材5の前面57に設けられる化粧板63,64の反りや歪みを防ぐことができる。つまり、枠部材5を用いた引出扉30,40は、意匠性とユーザの利便性とを両立させることができる。
【0054】
実施形態によれば、枠部材5と、把手511と、補強部54とが一体に形成されているため、製造効率が高い。枠部材5と、把手511と、補強部54とが一体に形成されているため、軽量化を実現できる。補強部54により枠部材5の反り、歪み、変形等を防ぐことができる。把手511は、枠本体59より高い強度が必要となる。このため、把手511は縦枠53、横枠51,52より厚い。把手511と縦枠53および横枠51,52とが樹脂にて一体成型されている場合、製造時、把手511の硬化段階でひけが生じる場合がある。ひけが生じると、把手511が下方に撓みやすい。これに対し、枠部材5は、補強部54が設けられているため、上枠51の反り、撓み、変形等を防ぐことができる。
【0055】
実施形態によれば、補強部54に肉厚部541を含むため、補強部54の反りを防ぎ、上枠51を安定支持できる。この結果、枠部材5の反り、撓み、変形等を防ぐことができる。この結果、枠部材5の前面57に設けられる化粧板63が枠部材5に対してずれることを防止できる。肉厚部541は、補強部54の後面542から後方に向かって突出するため、平板状の化粧板63の枠部材5に対する取付位置に干渉しない。
【0056】
実施形態によれば、補強部の肉厚部の上端が把手の下端に連続して設けられているため、把手が下方から支持される。この結果、枠部材に対して掛かる把手の荷重を補強部で支持し、枠部材の強度を補強できる。
【0057】
実施形態によれば、引出扉は、冷蔵庫用枠を用いているため、引出扉の反り、撓み、変形等を防ぐことができる。この結果、化粧板の枠部材に対するずれや反りを防止できる。したがって、引出扉の外観意匠性が維持される。特に、化粧板の周囲に化粧枠を設けないフレームレス構造の引出扉の場合、化粧板と枠部材とのずれが目立たず、高い意匠性を保つことができる。
【0058】
実施形態によれば、冷蔵庫100は、上述の引出扉を備えるため、外観上、視認されやすい引出扉の反り、撓み、変形が防止され、高い意匠性を保つことができる。冷蔵庫100は、上述の引出扉を備えるため、耐荷重性に優れる。この結果、引出扉の強度が保たれ、円滑な引出操作が保持される。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
5…枠部材(冷蔵庫扉用枠)、22…後面材、30,40…引出扉(冷蔵庫用引出扉)、105…筐体(冷蔵庫本体)、51…上枠(上横枠)、52…下枠(下横枠)、53…縦枠、59…枠本体、63,64…化粧板、511…把手、54…補強部、541…肉厚部、542…後面、100…冷蔵庫