(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096945
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20220623BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220623BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20220623BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220623BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220623BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/37
A61K8/44
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210238
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大矢 真由
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD332
4C083AD352
4C083BB04
4C083CC03
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】
乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れる水中油型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】
成分(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、成分(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、成分(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、成分(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、成分(E)エタノール、を含有する水中油型乳化化粧料が、乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れることを見出し、本願発明を完成させた。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール
(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸
(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤
(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa
(E)エタノール
を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(E)エタノールの含有量が2~8重量%であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤が、ステアリン酸ソルビタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(F)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有することを特徴とする請求項1~3いずれか一項記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れる水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳液やクリームに代表されるような水中油型乳化化粧料は、肌の乾燥を防ぎ、肌の水分・油分を補って保湿するものとしてスキンケア用途によく用いられている。従来、水中油型乳化化粧料には、保湿感を向上させるために多価アルコール類や種々の油剤が含有されるが、これらの含有量が多くなるにつれ、保湿感は向上するものの、塗布時のなじみが遅くなったり、塗布後の肌のべたつきが増したりする、という問題点がある。さらに、乳化化粧料を調製するためには、界面活性剤や高分子乳化剤が必要となるが、これらの成分を含有することも塗布後の肌のべたつきを増す要因となる。
【0003】
乳化安定性や肌の保湿感を維持しながら、塗布時の肌へのなじみや塗布後の肌のべたつきを改善する検討は多く行われており、特許文献1では、グリコシルトレハロースを含む多価アルコールによる塗布時のぬめりやべたつきを改善する乳化化粧料が、特許文献2では、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマーによるべたつきを改善する乳化組成物が開示されている。しかしながら、これらの化粧料は、多価アルコールや水溶性高分子によるべたつきは抑制できるが、油剤による肌のべたつきに対する効果は得られないという課題がある。また、特許文献3では、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、高級アルコール、液状油、非イオン性界面活性剤、水を組み合わせることで保湿感を維持しながらべたつきを抑制する皮膚用クリームが開示されている。しかしながら、この皮膚用クリームの場合、塗布時のなじみや塗布後の肌のべたつきについては改善がみられるが、乳化安定性について満足できるものではない。
【0004】
さらに、スキンケア用途の中でも、身体、特に手指に使用する化粧料は、塗布後に衣服を纏ったり、物に触れたりする機会が多いことから、特に塗布後の肌のべたつきを感じやすい傾向がある。そのため、保湿感を感じながらも、塗布後の肌がべたつかない化粧料が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-203634号公報
【特許文献2】特開2014-31337号公報
【特許文献3】特開2019-172625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れる水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる事情に鑑み、本願発明者は鋭意研究の結果、成分(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、成分(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、成分(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、成分(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、成分(E)エタノール、を含有する水中油型乳化化粧料が、乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れることを見出し、本願発明を完成させた。
【0008】
すなわち本願発明は、次の成分(A)~(E);
(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール
(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸
(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤
(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa
(E)エタノール
を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の水中油型乳化化粧料は、乳化安定性に優れるとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れるものである。以下、各構成成分について詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の成分(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、水添ナタネ油アルコール等がある。これらの成分は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、セチルアルコール NX、ステアリルアルコール NX、ベヘニルアルコール、アルコール No.20-B(高級アルコール工業株式会社製)等を使用することができる。乳化安定性の観点から、ベヘニルアルコール、水添ナタネ油アルコールが好ましく、水添ナタネ油アルコールがより好ましい。
【0011】
本願発明の成分(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコールの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは0.1~0.7重量%であり、より好ましくは0.2~0.5重量%である。0.1重量%未満であると、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下や、乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、0.7重量%を超えると、結晶の析出といった乳化安定性の低下が生じる場合がある。
【0012】
本願発明の成分(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等がある。これらの成分は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、NAA-160、NAA-1865、NAA-222S(日油株式会社製)等を使用することができる。乳化安定性の観点から、ベヘン酸が好ましい。
【0013】
本願発明の成分(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは0.1~0.5重量%であり、より好ましくは0.2~0.4重量%である。0.1重量%未満であると、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下や、乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、0.5重量%を超えると、結晶の析出といった乳化安定性の低下が生じる場合がある。
【0014】
本願発明の成分(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル等がある。これらの成分は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。市販品としては、NIKKOL SS-10V、NIKKOL MGS-AV(日光ケミカルズ株式会社製)等を使用することができる。乳化安定性の観点から、ステアリン酸ソルビタンが好ましい。ここでいうHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン性界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式:HLB=20×Mw/M(Mは非イオン性界面活性剤の分子量、Mwは親水基部分の分子量)により求めることができる。
【0015】
本願発明の成分(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは0.2~0.8重量%であり、より好ましくは0.3~0.5重量%である。0.2重量%未満であると、乳化粒子の粗大化等、乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、0.8重量%を超えると、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下が生じる場合がある。
【0016】
本願発明の成分(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNaは、いずれもアニオン性界面活性剤である。これらの成分は、単独で用いても良いし、2種を組み合わせて用いても良い。市販品としては、ステアロイル乳酸ナトリウム(株式会社武蔵野化学研究所製)、NIKKOL SMT(日光ケミカルズ株式会社製)等を使用することができる。乳化安定性の観点から、ステアロイルラクチレートNaが好ましい。
【0017】
本願発明の成分(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNaの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは0.03~0.5重量%であり、より好ましくは0.05~0.3重量%である。0.03重量%未満であると、乳化粒子の粗大化等、乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、0.5重量%を超えると、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下が生じる場合がある。
【0018】
また、成分(C)及び(D)を除く油相の総量は、2~15重量%であることが好ましく、3~10重量%であることがより好ましい。2重量%未満であると、結晶の析出といった乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、15重量%を超えると、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下が生じる場合がある。ここでいう油相とは、化粧料中の水と水に溶解する成分を除く成分を指す(但し、成分(C)及び(D)は除く)。
【0019】
本願発明の成分(E)エタノールの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは2~8重量%であり、より好ましくは3~6重量%である。2重量%未満であると、塗布時の肌なじみの低下や、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下が生じる場合がある。一方、8重量%を超えると、乳化安定性の低下が生じる場合がある。
【0020】
また、本願発明の水中油型乳化化粧料は、上記成分(A)~(E)を必須成分とするが、さらに成分(F)として、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有することが好ましい。
【0021】
本願発明に用いられる成分(F)アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマーを好適に挙げることができる。市販品としては、ペミュレン TR-1、ペミュレン TR-2(日本ルーブリゾール株式会社製)等を使用することができる。
【0022】
本願発明の成分(F)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料に対して、好ましくは0.05~0.4重量%であり、より好ましくは0.1~0.2重量%である。0.05重量%未満であると、乳化安定性の低下が生じる場合がある。一方、0.4重量%を超えると、塗布時の肌なじみの低下や、塗布後の肌のべたつきの悪化といった使用性の低下が生じる場合がある。
【0023】
本願発明の水中油型乳化化粧料は、本願発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる前記成分(A)~(F)以外の成分を含有しても良い。上記成分(A)~(F)以外の成分としては、特に限定されず、例えば、成分(A)、(B)以外の油剤、成分(C)、(D)以外の界面活性剤、成分(F)以外の水溶性高分子、pH調整剤、キレート剤、保湿剤、水性成分、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、香料、植物抽出物等を各種の効果を付与するために適宜含有することができる。
【0024】
本願発明の水中油型乳化化粧料の形状としては、特に限定されず、乳液状からクリーム状まで、幅広い形状が可能である。中でも、使用性の観点から、乳液状が好ましい。特に、B型粘度計(No.3ロータ、30rpm、30秒)で測定した25℃における粘度が、4,000mPa・s以下であるものが好ましい。
【0025】
さらに、本願発明の水中油型乳化化粧料を使用する部位としては、特に限定されず、顔、身体等に使用することが可能である。中でも、使用性の観点から、好ましくは身体用であり、より好ましくは手指用である。
【実施例0026】
以下に実施例を挙げて、本願発明をさらに詳細に説明する。尚、本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における含有量は、特に断らない限り重量%を示す。
【0027】
実施例に先立ち、本願発明で用いた効果試験方法について述べる。
【0028】
[乳化安定性]
各例の化粧料をガラス容器に充填し、40℃の恒温槽で3カ月間保存した。目視観察による外観評価及び顕微鏡観察による乳化粒子の評価を行い、下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
◎:初期の状態から外観及び乳化粒子に差異が認められない。
○:初期の状態から乳化粒子が大きくなっているが、外観には差異が認められない。
×:初期の状態から乳化粒子が大きくなっており、クリーミングや分離等の外観上の変化が認められる。
【0029】
[使用感]
(1)なじみの速さ
専門パネル20名により、各例の化粧料について、肌に塗付する際のなじみの速さについて使用テストを行い、「速い」「速くない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:20名中、15名以上がなじみが速いと回答した。
○:20名中、10~14名がなじみが速いと回答した。
△:20名中、5~9名がなじみが速いと回答した。
×:20名中、4名以下がなじみが速いと回答した。
【0030】
(2)べたつきのなさ
専門パネル20名により、各例の化粧料について、肌に塗付した後のべたつきのなさについて使用テストを行い、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:20名中、15名以上がべたつきがないと回答した。
○:20名中、10~14名がべたつきがないと回答した。
△:20名中、5~9名がべたつきがないと回答した。
×:20名中、4名以下がべたつきがないと回答した。
【0031】
表1~表3に示す処方の水中油型乳化化粧料を調製し、乳化安定性、使用感の評価を前記の基準に従って行った。
【0032】
表1の処方により得られた水中油型乳化化粧料は、以下に示す製造方法により調製した。
(調製方法)
成分1~13は75~80℃に加温し、均一に溶解した。成分14~20はホモミキサーを用いて均一に分散した。75~80℃に加温した成分1~13へ、80~85℃に加温した成分14~21を添加し、ホモミキサーを運転することで乳化した。その後冷却し、45℃で成分22を徐々に添加した。その後30℃まで冷却し、表1の各例の水中油型乳化化粧料を得た。
【0033】
【0034】
表1に示す結果から、(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、(E)エタノールを含有する化粧料(実施例1~10)は、優れた乳化安定性と使用感を有することが分かる。一方、成分(A)を含有しない化粧料(比較例1)や、成分(A)の代わりに炭素数16未満の直鎖飽和高級アルコールを含有する化粧料(比較例2)、成分(A)の代わりに分岐をもつ高級アルコールを含有する化粧料(比較例3)では、乳化安定性の悪化や使用感の悪化がみられた。
【0035】
表2の処方により得られた水中油型乳化化粧料は、以下に示す製造方法により調製した。
(調製方法)
成分1~12は75~80℃に加温し、均一に溶解した。成分13~20はホモミキサーを用いて均一に分散した。75~80℃に加温した成分1~12へ、80~85℃に加温した成分13~20を添加し、ホモミキサーを運転することで乳化した。その後冷却し、45℃で成分21を徐々に添加した。その後30℃まで冷却し、表2の各例の水中油型乳化化粧料を得た。
【0036】
【0037】
表2に示す結果から、(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、(E)エタノールを含有する化粧料(実施例11~19)は、優れた乳化安定性と使用感を有することが分かる。一方、成分(B)を含有しない化粧料(比較例4)や、成分(B)の代わりに分岐をもつ高級脂肪酸を含有する化粧料(比較例5)では、乳化安定性や使用感の悪化がみられた。また、成分(C)を含有しない化粧料(比較例6)や、成分(C)の代わりにHLBが8より大きい非イオン性界面活性剤を含有する化粧料(比較例7)では、乳化安定性や使用感の悪化がみられた。
【0038】
表3の処方により得られた水中油型乳化化粧料は、以下に示す製造方法により調製した。
(調製方法)
成分1~8は75~80℃に加温し、均一に溶解した。成分9~19はホモミキサーを用いて均一に分散した。75~80℃に加温した成分1~8へ、80~85℃に加温した成分9~19を添加し、ホモミキサーを運転することで乳化した。その後冷却し、45℃で成分20を徐々に添加した。その後30℃まで冷却し、表3の各例の水中油型乳化化粧料を得た。
【0039】
【0040】
表3に示す結果から、(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、(E)エタノールを含有する化粧料(実施例20~27)は、優れた乳化安定性と使用感を有することが分かる。一方、成分(D)を含有しない化粧料(比較例8)や、成分(D)の代わりに親水基がグルタミン酸塩であるアニオン性界面活性剤を含有する化粧料(比較例9)、成分(D)の代わりに疎水基が炭素数12であるアニオン性界面活性剤を含有する化粧料(比較例10)では、乳化安定性の悪化や使用感の悪化がみられた。また、成分(E)を含有しない化粧料(比較例11)では、使用感の悪化がみられた。
【0041】
尚、表1~表3中に示す成分は下記製品を用いた。
※1 ハイノール 14SS (高級アルコール工業株式会社製)
※2 リソノール 18SP (高級アルコール工業株式会社製)
※3 セチルアルコール NX (高級アルコール工業株式会社製)
※4 ステアリルアルコール NX (高級アルコール工業株式会社製)
※5 ベヘニルアルコール (高級アルコール工業株式会社製)
※6 アルコール No.20-B (高級アルコール工業株式会社製)
※7 NAA-222S (日油株式会社製)
※8 NIKKOL SS-10V (日光ケミカルズ株式会社製)
※9 ステアロイル乳酸ナトリウム (株式会社武蔵野化学研究所製)
※10 ペミュレン TR-1 (日本ルーブリゾール株式会社製)
※11 イソステアリン酸 EX (高級アルコール工業株式会社製)
※12 NAA-160 (日油株式会社製)
※13 NAA-1865 (日油株式会社製)
※14 NIKKOL TMGS-15V (日光ケミカルズ株式会社製)
※15 NIKKOL SMT (日光ケミカルズ株式会社製)
※16 アミソフト HS-11P(F) (味の素株式会社製)
※17 NIKKOL LMT (日光ケミカルズ株式会社製)
【0042】
実施例28 ボディミルク
含有成分 含有量(重量%)
(1)スクワラン 4.00
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 0.50
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 1.00
(4)ワセリン 0.50
(5)シア脂 0.10
(6)マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.30
(7)セラミド 0.01
(8)水添ナタネ油アルコール 0.25
(9)ベヘン酸 0.30
(10)ステアリン酸ソルビタン 0.20
(11)ステアロイルラクチレートNa 0.10
(12)精製水 残量
(13)EDTA-2Na 0.05
(14)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマー
0.18
(15)キサンタンガム 0.02
(16)ヒアルロン酸Na 0.01
(17)グリセリン 6.00
(18)ペンチレングリコール 2.00
(19)メチルパラベン 0.20
(20)1,3-ブチレングリコール 4.00
(21)AMPD 0.15
(22)ポリクオタニウム-51 1.00
(23)エタノール 5.00
【0043】
(調製方法)
成分(1)~(11)は75~80℃に加温し、均一に溶解した。成分(12)~(21)はホモミキサーを用いて均一に分散した。75~80℃に加温した成分(1)~(11)へ、80~85℃に加温した成分(12)~(21)を添加し、ホモミキサーを運転することで乳化した。その後冷却し、45℃で成分(22)、(23)を徐々に添加した。その後30℃まで冷却し、実施例28の水中油型乳化化粧料を得た。
【0044】
(A)炭素数16~22の直鎖飽和高級アルコール、(B)炭素数16~22の直鎖飽和高級脂肪酸、(C)HLB8以下の非イオン性界面活性剤、(D)ステアロイルラクチレートNa及び/又はステアロイルメチルタウリンNa、(E)エタノールを含有する実施例28の化粧料は、優れた乳化安定性を有するとともに、塗布時の肌へのなじみが速く、且つ塗布後の肌のべたつきのなさに優れる水中油型乳化化粧料であった。