(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096980
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】計器の較正要否判定方法、および、計器較正方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/26 20060101AFI20220623BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
G01N27/26 381Z
G01N27/416 353Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210298
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000101042
【氏名又は名称】アクアス株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 吉澄
(57)【要約】
【課題】pH計などの較正の必要性の判定を高い信頼度で行い、較正が必要な場合に較正が必要な計器のみの較正を可能とする計器の較正要否判定方法を提供する。
【解決手段】3つ以上の測定対象にそれぞれ対応して測定を行う同種の計器からなる計器群を備えた設備での計器の較正要否判定方法において、3つ以上の測定対象から選ばれた1つの測定対象について一時的に計器群のすべての計器により同時測定を行い、計器群のうちの1つの計器の測定値と、前記計器群の前記1つの計器以外の計器の測定値と、の差があらかじめ定めた基準値を越えたときに、1つの計器の較正が必要であると判定する計器の較正要否判定方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の測定対象にそれぞれ対応して測定を行う同種の計器からなる計器群を備えた設備での計器の較正要否判定方法において、
前記3つ以上の測定対象から選ばれた1つの測定対象について一時的に前記計器群のすべての計器により同時測定を行い、
前記計器群のうちの1つの計器の測定値と、前記計器群の前記1つの計器以外の計器の測定値と、の差があらかじめ定めた基準値を越えたときに、前記1つの計器の較正が必要であると判定することを特徴とする計器の較正要否判定方法。
【請求項2】
前記3つ以上の測定対象がそれぞれ異なる流路を流れる流体であって、かつ、
前記同時測定を、前記計器群の計器のそれぞれの前記流体の流れ方向上流部分の前記流路を切り替えて前記流体のうちの1つの流体を前記計器群のすべての計器に供給して行うことを特徴とする請求項1に記載の計器の較正要否判定方法。
【請求項3】
前記同種の計器が前記測定対象のpHを測定するpH計であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計器の較正要否判定方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の構成要否判断方法により較正が必要と判定された計器を較正することを特徴とする計器較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH計などの計器の較正の要否の判定を高い信頼度で行うことができる計器の較正要否判定方法、および、このような計器の較正要否判定方法により較正が必要とされた計器を較正する計器較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
pHは、ボイラ水、給水、復水、また、各種製品の製造および排水処理などでの原水、中間工程水、処理水などの重要な指標であり、連続的、定期的、あるいは随時測定される。このような測定に用いられるpH計は信頼性確保のために定期的な較正(校正)を必要とするが、その頻度は1日1回の較正が推奨されている(非特許文献1)。
【0003】
pH計の較正は一般に1~3種類の標準液を用いて行う。ここで各種設備や機器(以下、両者を併せて「設備」と云う)にpH計などの計器を取り付け、連続して測定を行う場合には、一旦、設備から計器を取り外して較正を行い、再度取り付ける必要がある。このように設備に設置されたpH計の場合、不正確な測定値により設備の故障や損傷が生じたり、また、製品不良や環境汚染などを引き起こしたりする恐れがある。そして、設備にとってポイントとなる重要な測定では高い精度が必要となるために較正に要する時間が長くなる。さらに設備に複数の計器が設置してある場合には較正作業担当者の負担が大きい。
【0004】
ここで、最近、省力化のためにIoTを取り入れ、計器を設置した設備から離間した監視センタなどで設備の遠隔監視を行うことが多くなってきたが、このような場合であっても計器の較正作業を省くことはできない。
【0005】
しかし、設備の計器設置箇所に定期的に赴いて較正を行えば手間がかかり、IoTによる省力化効果が不十分となる。さらに、たとえば発電ボイラなどの大型の設備で、互いに離れた位置に複数の計器が設置されている場合には較正に要する手間はより大きいものとなる。このため、計器の較正が必要な場合のみ較正することが可能な較正方法が求められている。
【0006】
このような課題に対する改善技術として、第1のpH計と第2のpH計との2つのpH計を用い、同一の二酸化炭素環境下で両者の測定値が異なっていたときに第2のpH計の測定値により第1のpH計を較正する技術が提案されている(特許文献1)。
【0007】
しかし、この技術のように2つのpH計を用いる場合にはどちらのpH計が較正を必要としているかは判断できない。この技術で第1のpH計の測定値が正確であり、かつ、第2のpH計の較正が必要であったときには較正以降は正確な測定値が得られなくなる。このように、特許文献1記載の較正方法は信頼度が低い。このため、計器の較正要否判定を高い信頼度で行うことができ、かつ、較正が必要な場合に較正が必要な計器のみの較正を可能とする計器の較正要否判定方法、および、較正が必要な場合に較正が必要とされた計器のみの較正とすることができる計器較正方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】株式会社堀場製作所ホームページ「LAQUA」内「校正はどれ位の周期で行いますか?」、[令和2年4月16日検索]、インターネット(URL:https://www.horiba.com/jp/application/material-property-characterization/water-analysis/water-quality-electrochemistry-instrumentation/the-story-of-ph-and-water-quality/qa-ph/calibration/1/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記したような、pH計などの計器の較正要否判定を高い信頼度で行うことができ、かつ、較正が必要な場合に較正が必要な計器のみの較正を可能とする計器の較正要否判定方法、および、較正が必要な場合に較正が必要な計器のみの較正を可能とする計器較正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の計器の較正要否判定方法は、上記課題を解決するために、
3つ以上の測定対象にそれぞれ対応して測定を行う同種の計器からなる計器群を備えた設備での計器の較正要否判定方法において、
前記3つ以上の測定対象から選ばれた1つの測定対象について一時的に前記計器群のすべての計器により同時測定を行い、
前記計器群のうちの1つの計器の測定値と、前記計器群の前記1つの計器以外の計器の測定値と、の差があらかじめ定めた基準値を越えたときに、前記1つの計器の較正が必要であると判定することを特徴とする。
【0012】
本発明の計器の較正要否判定方法は、上記構成に加え、
前記3つ以上の測定対象がそれぞれ異なる流路を流れる流体であって、かつ、
前記同時測定を、前記計器群の計器のそれぞれの前記流体の流れ方向上流部分の前記流路を切り替えて前記流体のうちの1つの流体を前記計器群のすべての計器に供給して行う構成とすることができる。
【0013】
本発明の計器の較正要否判定方法は、上記構成のいずれか1つに加え、
前記同種の計器が前記測定対象のpHを測定するpH計である構成とすることができる。
【0014】
本発明の計器較正方法は、上記いずれか1つの構成要否判断方法により較正が必要と判定された計器を較正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の計器の較正要否判定方法は、3つ以上の測定対象にそれぞれ対応して測定を行う同種の計器からなる計器群を備えた設備での計器の較正要否判定方法において、3つ以上の測定対象から選ばれた1つの測定対象について一時的に計器群のすべての計器により同時測定を行い、計器群のうちの1つの計器の測定値と、計器群の前記1つの計器以外の計器の測定値と、の差があらかじめ定めた基準値を越えたときに、1つの計器の較正が必要であると判定する構成により、較正の必要性の判定を高い信頼度で行い、較正が必要な場合に較正が必要な計器のみの較正を可能とする。
【0016】
ここで、すべての計器が同時に較正を必要とするようになる可能性は低く、また、2つ以上の計器が同時に較正を必要とし、かつ、これら2つ以上の計器での測定値が一致する可能性は非常に低いと考えられる。このため本発明の計器較正方法における、計器が較正を必要とするか否かの判定の信頼度は高い。また、この判定に必要な計器の数の増加も引き起こさない。
【0017】
なお、1つの測定対象のみならずそれ以外の測定対象、可能であればすべての測定対象に対して測定を行い、それぞれの測定対象での測定値を比較してその差が基準値を超えるか否かを調べる判定を行い、あらかじめ定めた特定数、たとえばもっとも厳しい条件としては、すべての測定対象での測定値による判定を行い、そのうちの1つの測定対象での測定値による判定で測定値の差が基準値を越えたときに上記較正が必要であると判定することでより高い精度の測定が可能となる。
【0018】
本発明の計器の較正要否判定方法は、上記構成に加え、3つ以上の測定対象がそれぞれ異なる流路を流れる流体であって、かつ、同時測定を、前記計器群の計器のそれぞれの前記流体の流れ方向上流部分の流路を切り替えて流体のうちの1つの流体を計器群のすべての計器に供給して行う構成により、設備または機器から計器を取り外さなくても計器の較正の要否の判定を行うことができる。
【0019】
本発明の計器較正方法は、上記いずれか1つの構成要否判断方法により較正が必要と判定された計器を較正する構成により、計器の較正に必要な手間と時間、延いてはコストを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の計器の較正要否判定方法による計器較正方法を遠隔監視に応用した場合の例を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について説明する。
本発明の計器の較正要否判定方法は3つ以上の測定対象にそれぞれ対応して測定を行う同種の計器からなる計器群を備えた設備で実施する。ここで測定対象ごとにそれぞれ3つ以上の同種の計器を設置すれば較正の必要性の判定の信頼度は本発明と同様に高くなるが、計器の必要数が多くなり、その結果較正の手間と設備コストとが増大する。
【0022】
本発明では「同種」の、すなわち、測定対象の同じ特性を測定する計器を3つ以上用いる。これらは必ずしも「同一」の計器であることは必ずしも必要としないが、これら計器における信頼度向上のため、同一の計器(同じメーカー、同じ型番のもの)を用いることが好ましい。
【0023】
本発明の計器の較正要否判定方法の較正要否判定の対象とする計器は、外部から指示を受けて自動的に較正を行う自動較正機能を有する計器であってもよいが、本発明の効果は、手動で、特に計器設置箇所ないしその付近に較正作業担当者が赴いて手動で較正を実施する必要のある計器において特に大きい。
【0024】
本発明において、計器の利用分野は特に限定されない。すなわち、分光測定分野、液体成分やガス成分などの各種濃度測定分野、粒子径などの大きさや厚さなどの測定分野、温度、湿度、圧力測定分野など、較正を必要とする計器を用いる分野に応用できる。
【0025】
特に本発明の計器較正方法が好適に用いられる分野として、たとえばガスや、ボイラ水などの水や薬剤などの水溶液、食品などの不溶性の成分や酒類などの少量の有機溶媒を含む水性液などの流体の成分濃度測定分野、特に水素イオン濃度測定分野、すなわち、一般に計器設置箇所に赴いて手動での較正を必要とするpH計が利用される分野が挙げられる。
【0026】
なお、本発明の計器較正方法を適用する場合、pH計などの劣化や経年変化が生じる恐れのある計器では、その劣化を検出するために、用いるすべての計器に対する較正も定期的に、あるいは、随時行うことが好ましい。
【0027】
本発明の計器の較正要否判定方法の実施頻度はpH計のような頻繁な較正が求められる計器であっても、たとえば1日に1回としてもよく、この場合、従来の、設備に備えられたすべての計器の較正を行っていたことに比べれば手間や時間が省け、たとえば判定実施対象の計器が3つであるときに比較して各計器に対する較正頻度を1/3以下に低減させることができる。
【0028】
本発明の計器較正方法では必要に応じて、たとえば計器がpH計である場合には±0.1以内など、基準値を設定して、用いるpH計からなる計器群のうちの1つの計器の測定値と、この一つの計器以外の計器での測定値と、の差がこの基準値以上となったときにこの1つの計器の較正を行う。
【0029】
ここで上記の他の計器の測定値すべてが厳密に同一の値である必要はなく、これら他の計器の測定値のばらつきがあらかじめ定めた許容範囲内であれば、それら測定値の平均値や中央値、あるいは、最多の測定値などを基準として本発明の較正方法を適用することができる。しかし、上記他の計器の測定値のばらつきがこの許容範囲を越えていたときには、たとえば上記1つの計器を含むすべての計器の較正を行う。なお、この許容範囲は当然、上記の基準値の範囲より狭く定める。
【0030】
なお、2つ以上の計器の測定値と他の計器(2つ以上)の測定値との差が同時にこの基準値以上となったときにはすべての計器の較正を行うことが好ましい。
【0031】
本発明の計器較正方法では3つ以上の計器を用いる。これらすべての計器が同時に較正を必要とするようになる可能性は低く、また、2つ以上の計器で同時に較正が必要となり、かつ、これら2つ以上の計器での測定値が一致する可能性は非常に低い。このため本発明の計器較正方法における、較正の要否判定の信頼度は高い。
【0032】
本発明では判定時に少なくとも1つ以上の測定対象について同種の計器すべてにより同時に測定を行う。設備の例として発電ボイラを挙げると、発電ボイラでは通常、ボイラ水、給水、および、復水の管理を目的としてpHを連続的に測定する。このため、これら水やこれら水からそれぞれサンプリングされた試料水が流れる配管にそれぞれ計器としてpH計が設置されている。これらpH計がそれぞれ設置された配管を一時的に、pH計の水の流れ方向上流で切り替えて、すべてのpH計でたとえば、測定対象としてボイラ水のpHを測定し、その測定値を比較することで、装置からのpH計の取外しを必要とせずに本発明の計器の較正要否判定方法を実施することができる。さらに、この例において、ボイラ水のみならず、給水および/または復水についても同様に行うことで較正が必要か否かの判定の信頼度をより高めることができる。また、このような判定は設備に設けられて測定を行っている計器で実施することができるので計器の増加を必要としない。
【0033】
なお、本発明における同時測定における同時とは必ずしも厳密な同じ時刻(同一の時分秒、ミリ秒、マイクロ秒など)である必要はなく、たとえばボイラ水系水のpHなどの、測定値の経時変動が緩慢な場合には数分以内に測定するなど、測定対象の性状の経時変動の大きさに応じてその時間範囲を定め、この時間範囲内に計器群のすべての計器により測定を行うようにする。
【0034】
本発明の計器の較正要否判定方法は、計器を設置した設備から離間した場所における遠隔監視や制御に応用できる。すなわち、各計器による測定値をたとえば公衆電話回線網、携帯電話回線網、インターネット回線網、LAN回線、および、専用線のいずれか1つ以上により、たとえば監視センタに設置してあるコンピュータなどの端末へ送信してそこで判定し、設備設置場所にいる較正作業担当者に指示して較正が必要な計器を較正させることができる。
【0035】
ここで遠隔監視の例をモデル的に
図1に示した。この例では異なる流路を流れる給水や復水などの水を試料水としてそのpHをそれぞれpH計により測定している。設備1は、図示しない発電ボイラ設備の一部であり、複数、ここでは3つのpH計からなる計器群の計器によって、同一の試料水のpHの同時測定をpH計の各測定場所の水の流れ方向上流で流路を切り替えて行うものである。
【0036】
図中符号1を付して、計器とその設置箇所周辺の設備の構造例を示した。配管L1、配管L2、および、配管L3には、それぞれ電磁弁V1、電磁弁V2、および電磁弁V3が設置されている。また、それら電磁弁の各試料水流れ方向下流にそれぞれ計器としてpH計P1、pH計P2、および、pH計P3が設けられており、これらpH計は計器群を構成している。
【0037】
また、これら電磁弁とpH計との間には、配管L1と配管L2とを接続する電磁弁V4を備えた分岐配管L4、および、配管L2と配管L3とを接続する電磁弁V5を備えた分岐配管V5がそれぞれ設けられている。
【0038】
これらpH計P1、pH計P2、および、pH計P3の測定値は信号線により接続された制御装置2に送られ、また、電磁弁V1、電磁弁V2、電磁弁V3、電磁弁V4、および、電磁弁V5は同様に信号線により接続された制御装置2からの信号により開閉が制御される。
【0039】
ここで制御装置2は図示しないCPU、タイマ、記憶装置(プログラム(各種スケジュールを含む)および各種データ一時保管用メモリ。フラッシュメモリなどでもよい)、インタフェース等から構成され、pH計による測定値を後述する監視センタ4のデータサーバ4aへ送信可能とする機器(図示しない)に接続されている。
【0040】
通常の測定時には電磁弁V1、電磁弁V2および電磁弁V3は開、電磁弁V4および電磁弁V5は「閉」となるように制御される。pH計P1、pH計P2、および、pH計P3は、それぞれ配管L1、配管L2、および、配管L3に供給される試料水1、試料水2、および、試料水3のpHを測定し、それぞれ、pHの測定値を常時、または、測定タイミングに応じて定期的あるいは不定期的に制御装置2へ送信する。
【0041】
pH計の較正要否判定のために試料水1のpHを3つのpH計で同時に測定するときには電磁弁V2、および、電磁弁V3は「閉」に、電磁弁V1、電磁弁V4、および、電磁弁V5は「開」となるように制御する。pH計P2、および、pH計p3の試料水流れ方向上流部分の流路を切り替えてpH計P1、pH計P2、および、pH計p3の3つのpH計すべてに試料水1が供給される。また、試料水2のpHを3つのpH計で測定するときには電磁弁V1、および、電磁弁V3は「閉」に、電磁弁V2、電磁弁V4、および、電磁弁V5は「開」となるように制御される。さらに、試料水3のpHを測定するときには電磁弁V1、および、電磁弁V2は「閉」に、電磁弁V3、電磁弁V4、および、電磁弁V5は「開」となるように制御される。なお、これら判定要否判定のための電磁弁の切替えから所定の時間経過後、あるいは、後述する較正要否判定終了後などあらかじめ定めた条件が満たされたときに各電磁弁の開閉状態を復帰させて上記の通常の測定を再開する。
【0042】
上記較正要否判定のための、各pH計による測定値は制御装置2から、それぞれのpH計の固有の識別番号、この例ではpH計P1、pH計P2、および、pH計P3にそれぞれ対応する「No.1」、「No.2」、および、「No.3」とともに、上記設備から離間して設けられた監視センタ4内のデータサーバ4aへ、この例では無線電話回線網3により送信される。
【0043】
これら測定値を受信したデータサーバ4aは、この例ではその値を計器の識別番号とともに、たとえば、「No.1; 7.0」、「No.2; 6.8」、および、「No.3; 7.0」をデータサーバ4aに接続するモニタ4bの画面に表示するとともに、必要に応じてその測定値を計器の識別番号とともに制御装置2に接続する図示しないモニタの画面や、設備1付近にいる較正作業担当者などの関係者の図示しない携帯端末の画面などに表示させる。
【0044】
さらに、データサーバ4aは、上記測定値のうち、pH計P2の測定値がpH計P1およびpH計P3の同一の測定値であるpH7.0よりこの例では基準値として定めた±0.1を越えたpH6.8であることからpH計P2の較正が必要であると判定する。そして、モニタ4bの画面にこの判定結果を表示すると同時に、制御装置2に接続する図示しないモニタや同様に図示しない携帯端末の画面(WEB画面を含む)やメール、ショートメッセージなどにより較正作業担当者などの関係者に通知する。
【0045】
pH計P2の較正が必要との通知を受けた較正作業担当者はpH計P2の較正作業を行うとともに、その図示しない携帯端末や制御装置2に付属する図示しない入力装置からpH計P2の較正作業の完了をデータサーバ4aに連絡し、データサーバ4aは較正作業の完了をモニタ4bの画面、および、必要に応じて上記の各画面などに表示させる。
【0046】
なお、上記例ではpH計での測定値が無線電話回線網3を介して制御装置2からデータサーバ4aに送られているので制御装置2とデータサーバ4aとの間に配線工事が不要であり、また、インターネット回線網を用いた場合に生じる、データサーバ4aのハッキング発生の懸念が少ない。
【0047】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の計器の較正要否判定方法、および、計器較正方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0048】
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の計器の較正要否判定方法、および、計器較正方法を適宜改変することができる。このような改変によってもなお、本発明の計器の較正要否判定方法、および、計器較正方法の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 設備
2 制御装置
3 無線電話回線網
4 監視センタ
4a データサーバ
4b モニタ
L1、L2、L3、L4、L5 配管
P1、P2、P3 pH計
V1、V2、V3、V4、V5 電磁弁