(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009700
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】髪処理デバイス
(51)【国際特許分類】
A45D 2/24 20060101AFI20220106BHJP
A45D 2/36 20060101ALI20220106BHJP
A45D 1/02 20060101ALI20220106BHJP
A45D 1/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A45D2/24
A45D2/36 Z
A45D1/02 Z
A45D1/00 502Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177007
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2019543022の分割
【原出願日】2018-02-12
(31)【優先権主張番号】1751169
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン ブイ アイ シー
(72)【発明者】
【氏名】マリス シャーシ
(72)【発明者】
【氏名】ステファニア ナッソ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】髪を永続的に再整形する為の、改善された持続整形性能を得ると同時に、化学製品の使用を最小限に抑え又は更に無くす為の方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一房の髪を処理する為のデバイス20であって、該一房の髪を受容するように意図される受容表面を有する、機械的応力を該髪に施与する為の少なくとも1つのデバイス20と、ここで、該表面は、上記房に垂直な方向の幅Lが大きい;機械的応力適用デバイス20及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたマイクロ波不透過チャンバーと;前記チャンバー内に配置されたマイクロ波放出アンテナ30と、ここで、このアンテナは、少なくともL/2に等しい距離Dにわたって軸方向に延在する、を含む、前記処理デバイス20。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一房の髪を処理する為のデバイスであって、
該少なくとも一房の髪を受容するように意図される受容表面を有する、機械的応力を該髪に施与する為の少なくとも1つのデバイス(20)と、ここで、該表面は、上記房に垂直な方向の幅Lが大きい、
該機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたマイクロ波不透過チャンバー(4)と、
前記機械的応力適用デバイス(20)内に配置された螺旋状のマイクロ波放出アンテナ(30)と、ここで、前記マイクロ波の出力は100~250Wであり、このアンテナは、少なくともL/2に等しい距離Dにわたって軸方向に延在する、
を含む、前記処理デバイス。
【請求項2】
前記アンテナが、上記房に垂直な方向の、該一房の髪を受容するように意図される受容表面の前記幅Lの少なくとも80%に等しい距離Dにわたって軸方向に延在する、請求項1に記載の処理デバイス。
【請求項3】
使用されるマイクロ波周波数が、厳密に2GHz超且つ3GHz未満である、請求項1又は2に記載の処理デバイス。
【請求項4】
前記アンテナが4~5mmの固定された螺旋ピッチを有し、該螺旋の半径が好ましくは一定であり、特には4~10mmである、請求項3に記載の処理デバイス。
【請求項5】
前記アンテナの軸方向の延び(D)が、15~80mm、より良くは65~75mm、である、請求項3又は4に記載の処理デバイス。
【請求項6】
前記チャンバー(4)が、前記機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジング(6)を有し、前記マイクロ波放出アンテナ(30)が前記チャンバー(4)内に配置されており、前記機械的応力適用デバイス(20)を受容する前記ハウジング(6)が、前記機械的拘束適用デバイス(20)の設置及び除去を可能にする開放位置と、前記チャンバーがマイクロ波不透過であり且つ前記アンテナ(30)が前記機械的拘束適用デバイス(20)に近付くところの閉鎖位置との間で、前記アンテナ(30)に相対的に移動可能なドロワー(50)によって少なくとも部分的に画定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項7】
前記アンテナ(30)及び前記機械的拘束適用デバイス(20)が、前記ドロワー(50)の閉鎖位置において、前記アンテナが前記機械的拘束適用デバイス(20)内に係合されるように配置構成されている、請求項6に記載の処理デバイス。
【請求項8】
前記機械的応力適用デバイス(20)がカーラーであり、該デバイスが、前記アンテナ(30)を保持するケーシング(40)を保持し、前記ドロワー(50)が、前記ケーシング(40)の長手方向軸に沿って滑り、前記アンテナ(30)の前記軸が、前記ドロワー(50)の滑り軸に平行であり、前記ケーシング(40)が、前記ドロワー(50)の対応するスライド(51)に係合される、アーク形状のラグ(41)を含み、前記ハウジング(6)の内面が、伝導性コーティング(7)で覆われており、髪用の出口スリット(19)が、前記ケーシング(40)と前記ドロワー(50)との間に形成されており、前記コーティングは、髪が存在しない状態では、静止状態になって前記スリット(19)をふさぐように構成されており、該デバイスは、前記ケーシング(40)の反対側の端部で前記ハウジング(6)を閉鎖する端板(54)を有する、請求項6又は7に記載の処理デバイス。
【請求項9】
前記チャンバーが、前記機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジング(6)を有するケーシング(10)によって、並びに前記ハウジングへのアクセスを与える開放位置と閉鎖位置との間で前記ケーシング(10)に相対的に旋回するカバー(11)によって、少なくとも部分的に画定されており、前記マイクロ波放出アンテナが前記ハウジング内に配置されており、前記ハウジングが、カバーが開けられたときに、前記ケーシングに相対的に軸方向運動によって前記機械的拘束適用デバイス(20)の設置及び除去が可能になるように一端(5)で開放されており、並びに前記機械的拘束適用デバイス及び前記アンテナは、前記機械的拘束適用デバイスが前記ハウジング内の所定位置に置かれたときに前記アンテナが前記機械的拘束適用デバイス内に挿入されるように配置構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項10】
前記チャンバーを出す為の、前記髪の為のスリット(19)を含み、このスリットは、前記チャンバーが閉じられたときに前記マイクロ波不透過性を生成する為に前記髪にフィットする導電性コーティング(7)によって縁取りがされている、請求項1~9のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項11】
前記アンテナ(30)の長さ(D)が、前記機械的応力適用デバイス(20)の長さ(N)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、を表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項12】
髪を処理する為の、特には請求項1~11のいずれか1項に記載の処理デバイスを用いて髪を処理する為の、美容的方法であって、少なくとも下記工程:
・a)少なくとも一房の髪に、該少なくとも一房の髪を受容するように意図される受容表面を有する機械的応力適用デバイス(20)を介して機械的応力を施与すること、ここで、該表面は、上記房に垂直な方向の幅Lが大きい、
・b)機械的応力下でこのように配置された髪を、機械的応力適用デバイス内に配置されたマイクロ波放出アンテナ(30)によってマイクロ波に曝露すること、ここで、このアンテナは、少なくともL/2に等しい距離Dにわたって軸方向に延在し、機械的応力適用デバイス及び処理されるべき該房の少なくとも一部は、マイクロ波不透過チャンバー(4)内で受容される、
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記機械的応力の適用がカーラーで実行され、前記アンテナ(30)が螺旋状であり且つ前記カーラー内に配置される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪処理の方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
髪型を長持ちさせる為の美容的処理は、化学製品を使用して主に行われる。
【0003】
2つの技法、共にケラチン(シスチン)中に存在する-S-S-ジスルフィド結合の切断に基づく技法は、一般に、髪型の永続的な再整形を得る為に使用される。
【0004】
第1の技法は、例えばチオグリコール酸タイプの還元剤を含む組成物を使用してジスルフィド結合を切断することにある、第1の工程を含む。この第1の還元工程は、一般に、8~9のpHで行われる。
【0005】
次いでこの第1の技法では、好ましくは髪を濯いだ後、定着剤として公知の酸化組成物を髪に施与させることによってジスルフィド結合を再構成することにある、第2の工程が行われる。髪は、還元組成物の施与前に、好適なデバイス、例えばカーラーによる応力下に配置されてもよく、又は真っ直ぐに伸ばされうる。酸化工程は、約3のpHで行われ得、新しいジスルフィド橋の形成を容易にして頭髪を所望の形状に保持できうる。
【0006】
第2の技法では、水酸化物の系統に属する塩基を含む組成物を使用して、ランチオナイゼーションの工程が行われる。ランチオナイゼーション工程は、一般に、約13の塩基性pHで行われる。ランチオナイゼーションは、ジスルフィド橋からモノスルフィド橋への変換である。このタイプの処理は、主に、縮れ毛を自然に整形する為に使用される。
【0007】
整形の耐久性の点で満足の行く性能を得る為に、当技術分野で公知の処理に使用される組成物は、比較的高い濃度の化学活性剤(例えば、還元剤又は水酸化物化合物)を含みうる。従って、チオグリコール酸は、ある組成物中で6%~11%の質量濃度で、水酸化ナトリウムは2%で使用されうる。
【0008】
チオグリコール酸を含む生成物は、施与中に存在しうる、及び処理を行った後に髪に残り続ける可能性もある、不快な臭いを有する。
【0009】
更に、上述の処理は、髪繊維の固有の性質の変化によって誘発される、髪の不可逆的な劣化をもたらしうる。
【0010】
これらの処理は、正しく行われない場合、その比較的高い濃度の化学活性剤に起因して、頭皮も刺激しうる。
【0011】
従って、化学試薬との接触時間を短縮する為に、及び/又は化学試薬の濃度を低下させる為に、これらの方法を活性化することが求められている。
【0012】
従って、これらの方法を活性化する為に処理中に熱を供給することは、公知の慣習である。熱を提供する為の公知の技術は、美容的性能品質を改善するのを可能にしうるが、常に高濃度の化学活性剤を用い、従って上述の処理と同じ欠点を有する可能性がある。
【0013】
文献 国際公開第2002/051281号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0042649号明細書、米国特許出願公開第2004/0250830号明細書、国際公開第2002/100210号パンフレット、米国特許出願公開第2000/680432号明細書、米国特許第6079422号明細書、米国特許第5988182号明細書、米国特許第5819763号明細書、米国特許第5773802号明細書、米国特許第5676871号明細書、特許第09075125号明細書、特許第09051813号明細書、豪国特許第9664467号明細書、米国特許第5494598号明細書、欧州特許第197824号明細書、米国特許第4710609号明細書、米国特許第4743726号明細書、米国特許第4952360号明細書、米国特許第5030820号明細書、及び米国特許第5286949号明細書は、物体、例えば家庭用電子レンジで加熱され次いでその乾燥及びヘアセットの為に使用されうるカーラーについて記述する。
【0014】
米国特許第3958340号明細書は、マイクロ波放射線によって加熱された空気を使用して、ウィッグを急速乾燥する為の方法について記述する。
【0015】
スイス特許第541304号明細書は、実質的に電磁気的に閉じられた共鳴器を含み、該共鳴器内に、房支持表面及びカップリング構成要素又はアダプターを封入する、髪処理デバイスについて記述する。共鳴器は、カップリング構成要素に接続された伝送線によって高周波数交流の発生器に接続され、該カップリング構成要素は、共鳴器の特性を発生器及び伝送線の特性に一致させる。
【0016】
仏国特許発明第2118945号明細書は、共鳴器を形成する、実質的に電磁気的に閉じられたエンベロープと、上記共鳴器内で散逸される高周波数エネルギーを生成する為の手段とを含む、髪処理デバイスについて開示する。電磁的に閉じられたエンベロープ内に、生成された高周波数電磁エネルギーを導入する為の電気コイルは、絶縁材料で作製されたコアによって保持され、処理される髪の房がそのコアの周りに巻かれる。共鳴器は、その中心にカップリング要素を含みうる。
【0017】
米国特許出願公開第2007/0056960号明細書は、マイクロ波を使用して、濡れた髪の房をカールし、真っ直ぐに伸ばし、乾燥する為の、整形ツールについて記述する。該ツールは、マグネトロンがその中に配置され且つ髪の房がその周りに巻かれているところのチャンバーを含む。変形例として、該マグネトロンは、該チャンバーの外側に配置され且つそこに、該チャンバー内に延在する導波管によって接続されている。
【0018】
独国特許発明第3148538号明細書は、その周りに髪の房が巻かれている、壁で保護された円筒状ツールについて記述する。房は、円筒と壁との間の空間に拡散されるマイクロ波を使用して、乾燥されセットされる。
【0019】
仏国特許出願公開第2178049号明細書は、様々な材料に電磁エネルギーを放出する為のデバイスを開示する。
【0020】
更に、電磁放射線を使用して髪を加熱し乾燥する為の方法は、仏国特許出願公開第2114540号明細書及び仏国特許出願公開第2118945号明細書から公知である。
【0021】
仏国特許出願公開第2959917号明細書は、マイクロ波で髪を処理する為の方法を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
髪を永続的に再整形する為の、新規な方法及びデバイスが求められている。改善された持続整形性能を得ると同時に、化学製品の使用を最小限に抑え又は更に無くす為の方法を提供することに、特に関心が持たれている。
【0023】
本発明は、この要求を満たすことに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
第1の観点に従うと、本発明は、髪を処理する為の美容的方法であって、少なくとも下記工程:
・a)少なくとも一房の髪を受容するように意図される受容表面を有する機械的応力適用デバイスを介して機械的応力を該髪に施与する工程、ここで、該表面は、上記房に垂直な方向の幅Lが大きい、
・b)機械的応力下でこのように配置された髪を、機械的応力適用デバイス内に配置されたマイクロ波放出アンテナによってマイクロ波に曝露する工程、ここで、このアンテナは、少なくともL/2に等しい距離Dにわたって軸方向に延在し、機械的応力適用デバイス及び処理されるべき該房の少なくとも一部は、マイクロ波不透過チャンバー内で受容される、
にある工程を含む、上記方法に関する。
【0025】
本発明は、公知の処理よりも頭皮及び髪をそれほど痛めない、長期継続髪整形処理を可能にしうる。
【0026】
特に、マイクロ波の存在における髪への機械的応力の適用は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物が実際に存在しない状態で、長期継続し且つ改善された髪型の整形を得ることを可能にする。
【0027】
比較的長いアンテナでのマイクロ波の放出は、波の及び対応する熱のより均一な分布を得ることを容易にする。好ましくは、該アンテナは、Lの少なくとも60%に等しい、より良くは70%、更に良くは80%、の距離Dにわたって軸方向に延在する。該アンテナの軸方向の延びは、好ましくは、その自由端、即ち何物にも接続されていない自由端と、該自由端とは反対外のその接続端との間で測定され、該アンテナの該接続端は、例えば導波管を介してRF発生器に接続されている。
【0028】
表現「髪に適用される機械的応力」は、上記髪の長さの少なくとも一部に加えられた機械的応力を意味すると理解されるべきである。考察中の実施態様とは無関係に、工程a)で処理された髪は、1以上の機械的拘束に供され得る。1以上の機械的拘束は、曲げ、真っ直ぐに伸ばすこと、圧縮、捻り、及び/又は引張り拘束から選択されうる。適用される拘束は、髪をカールすることを意図されてもよく、又は反対に、髪を真っ直ぐに伸ばすことを意図されうる。適用される拘束はまた、髪をその長さの一部分にわたってカールすること、及びその長さの別の部分にわたって真っ直ぐに伸ばすことを意図されうる。
【0029】
マイクロ波
語「マイクロ波」は、500MHz~300GHzの周波数を持つ電磁放射線を意味すると理解されるべきである。
【0030】
工程b)中のマイクロ波周波数は、好ましくは1GHz~10GHzであり、更に良くは2~3GHz及び、特に厳密に2GHz超且つ3GHz未満であり、例えば約2.45GHzである。
【0031】
工程b)中に使用されるマイクロ波の出力は、500Wよりも少なく又は500Wに等しくてもよく、好ましくは30~300Wであり、更に良くは100~250Wであり、更になお良くは100~200W又は100~175Wである。100Wを凌ぐ出力は、限られた期間でより効率的に髪を処理する利点を有する。
【0032】
マイクロ波は、機械的応力適用デバイス若しくはマイクロ波不透過チャンバーの内部で発生され得、又はマイクロ波発生器、例えばソリッドステート発生器、例えばマグネトロン、によって、外側で発生されうる。外部マイクロ波発生器は、特に可撓性導波管を用いた、本発明に従う1以上のデバイスを供給することができる。
【0033】
好ましくは、該発生器はチャンバーの外側にある。
【0034】
この場合、該発生器は、機械的応力適用デバイスにそれぞれが連結されている複数のアンテナに接続されることができる。
【0035】
各アンテナは、該発生器に対応する高周波数段に接続されることができる。
【0036】
変形例において、幾つかのアンテナが、該発生器の同一の高周波数段に接続されることができる。
【0037】
別の変形例において、該発生器は、チャンバー内に、特に機械的応力適用デバイス内に、配置される。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施態様に従うと、マイクロ波放出は、非直線的な、好ましくは螺旋状の、アンテナによって実施される。
【0039】
該アンテナは、ループの任意の保持又はループを支持する為の棒を必要としなくなるように、十分に剛性のワイヤから、例えば直径が1~3mmのワイヤから形成され得る。1つの変形例において、該アンテナは、特に螺旋状である、支持構造上に配置された可撓成ワイヤ又は伝導性部分を含む。この支持構造は、任意の誘電材料で作製され得、好ましくはPTFE若しくはガラスで作製されうる。
【0040】
該アンテナは、螺旋状である場合、好ましくは固定された螺旋ピッチ、例えば4~5mm、を有する。該螺旋の半径は、好ましくは一定であり、例えば4~10mmである。該アンテナの損傷は、例えば8~10mmである。
【0041】
該アンテナの軸方向の延びは、例えば50mm~80mmであり、更に良くは65mm~75mmである。
【0042】
該アンテナは、特に一端が閉鎖されている管内に配置され得る。この管は、PTFEで又は別の誘電材料で作製されうる。
【0043】
アンテナはまた、好ましくは可撓性の誘電材料中に、特にシリコーン中に埋め込まれてもよい。
【0044】
螺旋状アンテナ形状は、生産し易い点が特に有利であり、アンテナを、その機械的応力適用デバイスへの挿入に適した比較的小さい直径で保持することを許し、比較的均一なマイクロ波分布を得ることが可能にする。
【0045】
上記工程a)中に、マイクロ波放射線は、既に存在していてもよく又は存在していなくてもよい。言い換えれば、工程a)及びb)は、同時に又は順次行いうる。
【0046】
機械的応力適用
施与される機械的応力は、他の機械的動作の間での、曲げ、引張り、捻り、及び/又は圧縮でありうる。
【0047】
好ましくは、機械的応力適用デバイスは、カーラーである。語「カーラー」は、定義される直径に従って、デバイスの長手方向軸の周りに髪を巻く為のデバイスを示し、従って、直径に依存する機械的応力を生み出す。機械的応力適用デバイスがカーラーであるとき、アンテナを螺旋状にすることが最も特別に有利である。
【0048】
アンテナの軸方向の寸法は、特にそれがカーラータイプのものである場合、機械的応力適用デバイスの長さNの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、である。
【0049】
処理デバイスは、幾つかの機械的応力適用デバイスを使用するのを可能にするように構成されうる。これらの適用デバイスは、髪をカールするのに、又は逆にそれを真っ直ぐに伸ばすのに、異なる拘束をかけることができる。機械的応力適用デバイスは、使用者によって交換可能にされることができる。
【0050】
機械的応力適用は、マイクロ波に曝露されている間に、処理された髪を平らに配置するよう必要に応じて構成されうる。
【0051】
処理デバイスは、例えば電気接触又は1以上のスイッチを用いて、必要に応じて使用される拘束適用デバイスを、自動的に認識するように配置構成されうる。
【0052】
必要に応じて、機械的応力適用デバイス及びアンテナは、チャンバーに導入されるユニットアセンブリを形成する。特に、アンテナを上記デバイスに関して可能な最良の方法で配置構成する為に、各機械的拘束適用デバイスに特異的なアンテナを有することが可能である。
【0053】
機械的拘束適用デバイスは、カーラーで構成される場合、2つの環状部分を接続する幾つかの可撓性分岐を含むことができる。該分岐は、髪を受容する為の表面を画定する。この表面は、歯の基部が、対応する環状部分に接続される該歯によって、半径方向に範囲を定めることができる。ブロックのセンタリングは、環状部分の上に生成することができる。これらのブロックは、必要に応じて、髪を保持する為に弾性バンドを取着する働きをすることもできる。
【0054】
機械的拘束適用デバイスは、PTFEで又はその他の誘電材料で、特に熱可塑性材で、作製することができる。
【0055】
溶媒
好ましくは、工程b)でのマイクロ波への曝露は、髪に接触させた溶媒の存在下で実施される。
【0056】
該溶媒は好ましくは、処理中に蒸気の形態である。
【0057】
該溶媒は、マイクロ波の放出前に、処理された髪に接触して存在する化合物であることができる。
【0058】
好ましくは、該処理された髪は、マイクロ波の作用全体を通して、決して全体が乾燥しない。言い換えれば、該髪は好ましくは、上記曝露中に溶媒が常に含浸されたままである。
【0059】
該髪への溶媒の含浸を容易にする為に、溶媒は、機械的応力を施与する前に髪に噴霧されることができる。
【0060】
好ましくは、該処理は、マイクロ波への曝露を通じて髪を完全に乾燥することなしに実施される。表現「髪を完全に乾燥することなしに」は、工程b)の後に髪が濡れた感じであることを示す。従って、髪は、該髪に接触した状態で工程b)の前に存在する液体化合物の重量の少なくとも1%、特に少なくとも2%、又は更に5%を保存し得、これらの液体化合物は、処理前に髪の自然な湿度にまで添加される。
【0061】
マイクロ波不透過チャンバー
該チャンバーは、少なくとも工程b)中、処理される髪と、機械的応力を施与する為のデバイスとを備えている。
【0062】
語「髪を含有する」は、髪をその長さ全体で又は部分で且つ所与の幅にわたって含有することを意味すると理解されるべきである。
【0063】
該チャンバーは、例えば5cmよりも長い又は5cmに等しい長さにわたって髪を覆うことができる。従って、髪の少なくとも5cmの長さは、該チャンバー内で処理されることができる。
【0064】
該チャンバーは、マイクロ波の放出中は処理される髪に相対的に不動であってもよく、又は髪に相対的に移動可能であって、より長い髪を処理することが可能でありうる。該チャンバーは、蒸気形態にある上述の溶媒を外部環境に放出しないように又はその少量のみを放出するように、例えば溶媒のリサイクルを用いて構成されてもよく、該リサイクルは、例えば蒸気又は液体形態で、溶媒の凝集後に行われるものである。
【0065】
該チャンバーは、蒸気形態の溶媒を吸収するように構成された材料を含みうる。該チャンバーは、溶媒が表面で凝縮される低温壁、及び/又は蒸気形態の溶媒を吸い上げるループを含みうる。
【0066】
このように、本発明に従う方法は、工程b)の最中及び/又は後に、例えば蒸気及び/又は液体形態にある及び/又は材料に吸収された溶媒を、再収集する工程を含みうる。
【0067】
該チャンバーは、例えば弾性変形可能な少なくとも1つの導電性材料の封止材を含んでいてもよく、髪を該チャンバーから離す間に工程b)中で使用されるマイクロ波を遮断するのを可能にする。封止材は、導電性粒子が充填されたフォーム、導電性の剛毛から形成されたブラシ、又は金属歯を含む櫛を含みうる。
【0068】
拘束適用デバイスを受容するハウジングを、表面を経て髪の出口スリット内に至るように配置される伝導性フォームで、被覆することが可能である。これは、スリットでのフォームの変形可能性により、閉鎖の良好な封止を得ることを可能にする。
【0069】
該チャンバーがフードの形をとる場合、該チャンバーは、処理された髪が内部を通過する電磁遮蔽を含みうる。そのような遮蔽は、放出されるマイクロ波から使用者の頭皮を保護しながら、使用者の髪を処理することを可能にする。
【0070】
電磁遮蔽は、例えば、格子又は金属格子によって形成される。
【0071】
様々な特性
該方法を行う為の処理デバイスは、例えば該チャンバーからのマイクロ波の漏出及び/又は該チャンバー内の過剰な温度を使用者に警告する為に、可聴式及び/又は発光式警告システムを含みうる。
【0072】
処理デバイスは、有利には、該チャンバーが閉鎖されていない間、及び/又は異常動作の事象、例えばマイクロ波漏洩、過剰な温度、及び/又は溶媒の不在の事象において、マイクロ波の放出を防止する為の安全性システムを含む。
【0073】
処理デバイスは、髪に損傷を与えがちな処理の持続時間に達しないように、マイクロ波の放出の持続時間を制御するよう構成されうる。
【0074】
本発明に従う方法は、工程b)の前に、該チャンバーの閉鎖を検出する工程を含みうる。例えば、該チャンバーが閉鎖しているとき、接触器が動作する。
【0075】
マイクロ波の放出は、該チャンバーの閉鎖の検出に合わせて調整されてもよい。マイクロ波が送られた後、マイクロ波放出の継続は、特に該チャンバーの外に配置されたマイクロ波感受性センサーを使用して、マイクロ波漏洩の検出がない状態で調整することができる。
【0076】
本発明に従う方法は、工程b)の前に、処理されることが意図される髪の設置を検出する工程を含みうる。この検出工程は、例えば光学センサー及び/又は機械式フィーラーによって行われてもよい。検出は、必要に応じて、間接的に、機械的応力適用デバイスの設置を検出することによって実施されてもよい。
【0077】
本発明に従う方法は、例えば工程b)中に、処理された髪が供される温度を測定する工程を含みうる。この温度測定工程は、髪に接触していない温度計によって行われてもよい。
【0078】
処理デバイスは、同じ手持ち式部品内に、マイクロ波発生器及び機械的応力適用デバイスを含みうる。語「手持ち式部品」は、髪の処理中に使用者が片手で操作する部品を示す。
【0079】
発生器から該チャンバーにマイクロ波を伝達するのに使用され得る伝達手段として、導波管、例えば長さ10m未満、好ましくは長さ5m未満、外径5cm未満、好ましくは2cm未満、の可撓性同軸ケーブルが挙げられる。
【0080】
溶媒は、例えば、沸点が200℃よりも低い液体である。好ましくは、この溶媒は水を含む。更により優先的には、この溶媒は水である。
【0081】
該溶媒は、蒸気の形である場合、工程b)中に、髪の領域に及び/又は髪に接触して、80~200℃、好ましくは100~150℃、例えば120~150℃、の温度を有しうる。
【0082】
工程b)中に、処理された髪が供される圧力は、105~106Pa(1~10bar)、好ましくは105~5×105Pa(1~5bar)、でありうる。
【0083】
処理デバイスは、髪の特性、例えば色、機械的強度、表面状態又は湿度に感受性のあるセンサーを含んでいてもよく、処理デバイスは、そのように検出された特性の関数として、処理の少なくとも1つのパラメーター、例えばマイクロ波エネルギー、溶媒温度、処理の持続時間、及び/又は発揮される機械的拘束を、制御しうる。
【0084】
1又は複数の髪組成物の施与
本発明に従う方法は、更に、髪に少なくとも1種の髪処理組成物を施与することにある、少なくとも1つの工程c)を含みうる。
【0085】
表現「髪処理組成物」は、髪の化学的性質又はその整形を修正することが可能な組成物を意味することが意図される。
【0086】
問題となっている美容的性質は、もつれを解くこと、軟らかさ、及び艶である。
【0087】
髪の整形は、長期間続く又は一時的な髪の整形とすることができる。
【0088】
表現「一時的な髪整形組成物」は、髪に一旦施与されると、ケラチン中に存在するジスルフィド結合を切断することなく整形することを許す組成物であることが理解されるべきである。
【0089】
一時的な髪整形は、好ましくは、その後、1以上の固定ポリマーを含む組成物の本発明での使用を経て得られ、該ポリマーの性質は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、又は両性でありうるものである。
【0090】
表現「長期継続髪整形組成物」は、髪に一旦施与されると、ケラチン中に存在するジスルフィド結合を切断させる組成物であることが理解されるべきである。
【0091】
本発明の長期継続髪整形組成物は、好ましくは還元剤又は水酸化物化合物から選択されるジスルフィド結合を破壊する為の1以上の薬剤を含む。
【0092】
好ましい還元剤は、チオールである。
【0093】
好ましくは、工程c)の組成物は、長期継続髪整形組成物である。
【0094】
工程c)は、工程a)の前及び/又は工程b)の後に行うことができる。
【0095】
工程a)及びb)は、髪整形組成物の作用を強化することができ、例えば活性剤の含量を低減させ、又は等しい含量で、その有効性を増大させ若しくは上記組成物の放置時間を低減させることを可能にする。
【0096】
本発明に従う方法は、更に、少なくとも1種の固定組成物を髪に施与することにある少なくとも1つの工程d)を、工程c)の後に含みうる。
【0097】
表現「固定組成物」は、髪に一旦施与されると、ケラチン中に存在するジスルフィド結合を再構成するのを可能にし、従って髪型を所望の形状に維持することに関与する、組成物であると理解されるべきである。固定組成物は、髪整形組成物の動作によって得られた形状の永続性を改善することも可能にする。
【0098】
この工程d)は、工程a)の前及び/又は工程b)の後に、一方でそれと同時に工程c)の後でそのまま行うことができる。
【0099】
工程b)の持続時間は、例えば、所望の整形性能品質及び髪の性質に従い様々でありうる。
【0100】
考えられる実現例とは無関係に、工程b)の持続時間は1秒~30分、好ましくは1秒~10分でありうる。
【0101】
考察中の実施態様とは無関係に、工程b)は、例えば0~10回、優先的には0~5回繰り返されてもよい。
【0102】
髪整形又は固定組成物は、髪がチャンバー内に存在している間に、例えば好適な施与システムを用いて施与されてもよい。施与システムは、例えば、チャンバー内又はその外側に、例えば髪がチャンバーから離れ又はチャンバーに進入する経路上に配置構成された、パッド、櫛、1以上の吐出オリフィス又は噴霧ノズルを含む。
【0103】
髪整形組成物及び/又は固定組成物は、必要に応じて、マイクロ波放射線に供されうる。
【0104】
長期継続髪整形組成物
還元組成物
還元剤
髪整形組成物は、1以上の還元剤を含む還元組成物でありうる。
【0105】
還元剤は、例えば:
- 次の式(1)のチオグリコール酸: HS-CH2-COOH (1)、
- 下記の式(2)のチオ乳酸:
【0106】
【0107】
- 次の式(3)の3-メルカプトプロピオン酸: HS-CH2-CH2-COOH (3)、
- 次の式(4)のシステアミン: HS-CH2-CH2-NH2 (4)、
- 次の式(5)のシステイン: HS-CH2-CH(NH2)-CO2H (5)
- 並びに、それらの塩、及びそれらのエステル、
- ホスフィン、スルファイト、ボロヒドライド
から選択されることができる。
【0108】
上記の生成物(1)~(4)の化粧料的に許容される塩の中で、例えば、アンモニア塩、第一級、第二級、又は第三級アミン塩、及びアルカリ土類金属塩が挙げられうる。第一級、第二級、又は第三級アミン塩として、それぞれ、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられうる。
【0109】
上記の化合物(1)~(4)のエステルの中で、モノチオールグリコール酸グリセリル、エチレングリコールモノチオグリコレート、仏国特許出願公開第2679448号明細書に記載されているチオグリコール酸2-ヒドロキシプロピルとチオグリコール酸ヒドロキシ-2-メチル-1-エチルとの共沸混合物、モノチオ乳酸グリセリル、エチレングリコールモノチオラクテート、3-メルカプトプロピオン酸グリセリル、及びエチレングリコール3-メルカプトプロピオネートが挙げられうる。
【0110】
1以上の化学還元剤は、例えば、還元組成物の全重量に対して0.01%~20%、好ましくは0.1%~10%、更により良くは0.3%、及び3重量%、の含量で存在しうる。
【0111】
還元組成物中に存在する添加剤
還元組成物は、1以上の添加剤も含み得る。
【0112】
添加剤は、還元組成物中に、単独で又は混合物として使用されうる。
【0113】
還元組成物は、少なくとも1種の界面活性剤、例えば非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性界面活性剤を含んでいてもよく、とりわけ、硫酸アルキル、硫酸アルキルベンゼン、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチレン化アルキルフェノール、脂肪酸アルカノールアミン、オキシエチレン化脂肪酸エステル、並びにヒドロキシプロピルエーテル及びアルキルポリグリコシド型のその他の非イオン性界面活性剤も挙げてもよい。
【0114】
1以上の界面活性剤は、例えば、生成組成物の全重量に対して30重量%未満、好ましくは0.5%~10重量%の含量で存在しうる。
【0115】
髪の美容的性質を改善する、又はそうでない場合にはその劣化を低減させ及び/又は防止する目的で、還元組成物は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、又は両性の性質を持つ少なくとも1種の処理剤を含みうる。
【0116】
特に好ましい処理剤の中で、仏国特許出願公開第2598613号明細書及び仏国特許出願公開第2470596号明細書に記載されているものが挙げられうる。
【0117】
処理剤として、揮発性又は不揮発性、直鎖状又は環状シリコーン、及びこれらの混合物、ポリジメチルシロキサン、第四級化ポリオルガノシロキサン、例えば仏国特許出願公開第2535730号明細書に記載されているもの、アルコキシカルボニルアルキル基で修飾されたアミノアルキル基を含むポリオルガノシロキサン、例えば米国特許第4749732号明細書に記載されているもの、ポリオルガノシロキサン、例えば、ジメチコンコポリオール型のポリジメチルシロキサン-ポリオキシアルキルコポリマー、ステアロイル末端基を含むポリジメチルシロキサン(ステアロキシジメチコン)、ポリジメチルシロキサン-酢酸ジアルキルアンモニウムコポリマー又はポリジメチルシロキサン-ポリアルキルベタインコポリマーであって、英国特許出願公開第2197352号明細書に記載されているもの、メルカプト又はメルカプトアルキル基によりオルガノ修飾されたポリシロキサン、例えば仏国特許発明第1530369号明細書及び欧州特許出願公開第295780号明細書に記載されているもの、及びシラン、例えばステアロキシトリメチルシランも利用しうる。
【0118】
還元組成物は、その他の処理剤、例えば陽イオン性ポリマー、例えば仏国特許発明第2472382号明細書及び仏国特許発明第2495931号明細書の組成物で使用されるもの、又はそうでない場合には、イオネン型の陽イオン性ポリマー、例えばルクセンブルク特許第83703号の組成物に使用されるものも含みうる。塩基性アミノ酸、例えばリジン若しくはアルギニン、又は酸性アミノ酸、例えばグルタミン酸若しくはアスパラギン酸、これらのペプチド及び誘導体、タンパク質加水分解物、蝋、膨潤及び浸透剤、又は還元剤効率を高めるのを可能にする薬剤、例えばSiO2/PDMS(ポリジメチルシロキサン)混合物、ジメチルイソソルビトール、尿素、及びこれらの誘導体、ピロリドン、N-アルキルピロリドン、溶媒、例えばアルキレングリコールアルキルエーテル若しくはジアルキレングリコールアルキルエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル等、C3~C6アルカンジオール、例えば1,2-プロパンジオール及び1,2-ブタンジオール等、2-イミダゾリジノン、及びその他の化合物、例えば脂肪アルコール、ラノリン誘導体、活性成分、例えばパントテン酸、髪の損失を低減させる薬剤、フケ防止剤、増粘剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、染料、サンスクリーン、並びに香料及び保存剤も含みうる。
【0119】
還元組成物のpHは、好ましくは6~11、更により良くは7~10である。
【0120】
還元組成物は、pHを調節する為に、少なくとも1種の塩基性化剤を含みうる。
【0121】
好ましくは、本発明に従う組成物中に使用される塩基性化剤は、それが存在する1以上の組成物のpHを増大させるのを可能にすることができる薬剤である。
【0122】
塩基性化剤は、ブレンステッド、ローリー、又はルイス塩基でありうる。
【0123】
塩基性化剤は、無機でも有機でもよい。
【0124】
塩基性化剤は、例えば:
a)水性アンモニア、
b)アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、またそれらの誘導体、
c)オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、
d)アルカリ金属シリケート、例えばメタケイ酸ナトリウム、
e)アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジン、
f)特に第一球、第二級、若しくは第三級アミン(アンモニウム)の、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の、(ビ)カーボネート、並びに
g)下記の式(II)の化合物:
【0125】
【0126】
ここで、Wは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意的に置換されていてもよいプロピレン基である。Ra、Rb、Rc、及びRd基は、同一であり又は異なっており、それは水素原子又はC1~C4アルキル又はC1~C4ヒドロキシアルキル基であることができる、
から選択されることができる。
【0127】
好ましい塩基性化剤は、水性アンモニア及びモノエタノールアミンでありうる。
【0128】
1以上の塩基性化剤は、例えば上記で定義された通り、還元組成物の全重量に対して、好ましくは0.001%~10%、例えば0.005%~8重量%、の含量で存在しうる。この濃度は、特に、還元組成物の所望のpHに依存することができる。
【0129】
還元組成物を施与する為の条件
1つの好ましい実現例において、工程a)の前及び/又は工程b)の後に施与される場合、還元組成物は、例えば1~50分、好ましくは1~30分、の期間にわたり作用させたままにしうる。
【0130】
工程a)の前に施与させる場合、温度は、マイクロ波の適用中に上昇することになる。更に還元組成物は好ましくは、濡れて且つきれいな髪繊維に施与される。
【0131】
水酸化物化合物を含む組成物。
長期継続髪整形組成物は、1以上の水酸化物化合物を含みうる。
【0132】
水酸化物化合物
語「水酸化物化合物」は、水酸化物イオンを放出することが可能な化合物と理解されるべきである。ラントナイゼーションプロセスで通常使用される全ての水酸化物化合物は、本発明の文脈において、髪整形組成物中で使用されることができる。
【0133】
少なくとも1種の水酸化物化合物は好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物、ランタニド金属水酸化物、アクチニド金属水酸化物、第III族金属水酸化物、第IV族金属水酸化物、第V族金属水酸化物、第VI族金属水酸化物、有機水酸化物、及び少なくとも1種の部分加水分解性水酸化物構成要素を含む化合物から選択されることができる。
【0134】
本発明の文脈において使用されることができる水酸化物化合物として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化グアニジニウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化銅、水酸化ストロンチウム、水酸化モリブデン、水酸化マンガン、水酸化亜鉛、及び水酸化コバルトが挙げられうる。
【0135】
好ましい水酸化物化合物は、水酸化ナトリウム及び水酸化グアニジニウムである。好ましくは、これらの濃度は、該組成物のpHが12~14であるような濃度である。
【0136】
1以上の水酸化物化合物は、髪整形組成物中に、0.2~1M、好ましくは0.4~0.6M、の濃度で存在しうる。
【0137】
乳化剤
水酸化物化合物を含む髪整形組成物は、少なくとも部分的にエマルジョンの、好ましくは水中油又は油中水エマルジョン、の形態でありうる。
【0138】
後者の場合、少なくとも1種の非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性乳化剤を含みうる。
【0139】
乳化剤は、界面活性剤であり、得られるエマルジョンに従い選択され、例えば油中水(W/O)又は水中油(O/W)エマルジョンである。
【0140】
例えば上述のようなエマルジョンを含む髪整形組成物をうることが求められる場合:
両性乳化剤、例えばN-アシルアミノ酸、例えばN-アルキルアミノアセテート及びココアンホ二酢酸二ナトリウム、及びアミンオキシド、例えばステアラミンオキシド、
陰イオン性乳化剤、例えばアシルグルタメート、例えば「二ナトリウム水素化牛脂グルタメート」(味の素社により販売されるAmisoft HS-21(登録商標);カルボン酸及びその塩、例えばステアリン酸ナトリウム;リン酸エステル及びその塩、例えば「DEAオレス-10ホスフェート」;スルホスクシネート、例えば「二ナトリウムPEG-5シトレートラウリルスルホスクシネート」及び「二ナトリウムリシノールアミドMEAスルホスクシネート」、
陽イオン性乳化剤、例えばアルキルイミダゾリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトスルフェート;アンモニウム塩、例えばN,N,N-トリメチル-1-ドコサナミニウム塩化物(塩化ベヘントリモニウム)、及び
非イオン性乳化剤、例えば糖エステル及びエーテル、例えばステアリン酸スクロース、ヤシ脂肪酸スクロース、並びにステアリン酸ソルビタンとヤシ脂肪酸スクロースとの混合物であって、ICI社によりArlatone 2121(登録商標)という名称で販売されているもの;ポリオールエステル、例えばグリセロール又はソルビトールエステル、例えばステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ソルビタン;グリセロールエーテル;オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル、例えば、25個のオキシエチレン化基及び25個のオキシプロピレン化基を含有するラウリルアルコールのオキシエチレン化、オキシプロピレン化エーテル(CTFA名「PPG-25ラウレス-25」)、及び7個のオキシエチレン化基を含むC12~C15脂肪アルコールの混合物のオキシレチレン化エーテル(CTFA名「C12~C15パレス-7」)、エチレングリコールのポリマー、例えばPEG-100、及びこれらの混合物が利用されうる。
【0141】
これらの乳化剤のうちの1つが使用されうる。
【0142】
油中水(W/O)エマルジョンに関しては、乳化剤の例として、ポリオール脂肪酸、特にグリセロール又はソルビトール脂肪エステル、特にポリオールイソステアリン酸、オレイン酸、及びリシノール酸エステル、例えばワセリン、オレイン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、及びオゾケライトであってProtegin W(登録商標)の名称でGoldschmidt社により販売されているもの、イソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ポリグリセリル-2の混合物;多糖エステル及びエーテル、例えば「メチルグルコースジオレエート」;脂肪エステル、例えばラノリン酸マグネシウム;ジメチコンコポリオール及びアルキルジメチコンコポリオール、例えばDow Corning 5200配合助剤と言う名称でDow Corning社により販売されているラウリルメチコンコポリオール、Abil EM 90(登録商標)という名称でGoldschmidt社により販売されているセチルジメチコンコポリオール、及びジメチコンコポリオール;及びこれらの混合物が挙げられうる。
【0143】
エマルジョンの油は、植物油、鉱油、シリコーン油、液体エステル、又は直鎖状若しくは分岐状のC7~C16炭化水素でありうる。
【0144】
水酸化物化合物を含む組成物を施与させる為の条件
1つの好ましい実現例において、工程a)の前及び/又は工程b)の後に施与させる場合、水酸化物化合物を含む組成物は、例えば5~60分間、好ましくは10~20分間、の期間にわたり、作用させたままである。
【0145】
水酸化物化合物を含む組成物を施与させる工程の後、及び任意選択の放置時間後、髪を、好ましくは水を流して及び浸透圧処理された水で、又は更に、アルカリ性残留物を除去する為に酸組成物で、すすぎうる。
【0146】
酸組成物
語「酸組成物」は、例えば1以上のカルボン酸、スルホン酸、リン酸、又はリン酸官能基を含む酸から選択される1以上の酸を含む組成物と理解される。
【0147】
酸は、その他の化学官能基、特にヒドロキシル又はアミノ官能基、を含みうる。
【0148】
酸は、飽和されていてもよく又は不飽和であってもよい。
【0149】
使用されることができる酸として、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、乳酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、タウリン、及びクエン酸が挙げられうる。
【0150】
1つの好ましい酸は、クエン酸である。
【0151】
該組成物中に存在する1以上の無機酸は、モノ酸又はポリ酸である酸から選択されうる。
【0152】
例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、及びホウ酸が挙げられうる。
【0153】
酸組成物は例えば、2~7、好ましくは3~4、のpHを有しうる。
【0154】
酸化組成物
固定組成物は、酸化組成物である。
【0155】
表現「酸化組成物」は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属、ポリチオネート、及び過酸基塩、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、及び過硫酸塩から選択される、例えば1以上の酸化剤を含む組成物を意味すると理解されるべきである。
【0156】
酸化剤は好ましくは、過酸化水素である。
【0157】
1以上の酸化剤は、酸化組成物の全重量に対して0.1%~10%、好ましくは0.5%~5重量%、の含量で存在しうる。
【0158】
好ましくは、酸化剤が、過酸化水素の水性溶液である場合、本発明に従う方法で使用される酸化組成物は、少なくとも1種の安定化剤の、水性過酸化水素溶液を含有する。
【0159】
例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ピロリン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スズ酸塩、フェナセチン又はオキシキノリン酸塩、例えば硫酸オキシキノリンが挙げられうる。更により有利には、少なくとも1種のスズ酸塩が、少なくとも1種のピロリン酸塩と任意的に組み合わされて利用される。
【0160】
水性過酸化水素の1以上の安定化剤は、酸化組成物の全重量に対して0.0001%~5%、好ましくは0.01%~2重量%、の含量で存在しうる。
【0161】
特に酸化剤が過酸化水素である場合、酸化組成物は例えば、1.5~4.5、好ましくは2~3.5、のpHを有しうる。
【0162】
1つの好ましい実現例において、工程a)の前及び/又は工程b)の後に施与される場合、上記定義された酸化組成物は、約2~30分間、好ましくは2~15分間、より好ましくは2~7分間、作用させたままである。酸化組成物は好ましくは、きれいな濡れた髪に施与される。
【0163】
還元及び酸化組成物の担体は好ましくは、水で構成された水性媒体であり、且つ化粧料的に許容される有機溶媒、より詳細にはアルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール、又はポリオール若しくはポリオールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル若しくはモノブチルエーテル、プロピレングリコール若しくはそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル若しくはモノブチルエーテル、を包含する有機溶媒を有利に含有することができる。次いで、該有機溶媒は、組成物の全重量に対して約0.1%~20%、好ましくは約1%~10重量%、の濃度で存在しうる。
【0164】
本発明に従う方法における酸化組成物のpHは、1以上の塩基性化剤、例えば還元組成物で既に述べたもの、又は酸性化剤、例えば塩酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、クエン酸、及びリン酸等の何れかを添加することによって、従来通り得ること及び/又は調節することができる。
【0165】
本発明に従う方法で使用される組成物の全ては、互いに無関係に、濃厚な又は非濃厚なローション、クリーム、ゲル、又はムースの形をとりうる。
【0166】
処理デバイス
その観点のもう1つに従うと、本発明は、特に上記定義された方法を行う為の髪処理デバイスであって、下記:
処理される髪に対して少なくとも1つの捻れ、引張り、又は圧縮拘束を発揮するように特に構成された、少なくとも一房の髪に機械的応力を施与する為の少なくとも1つのデバイス、
機械的応力適用デバイス及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたマイクロ波不透過チャンバー、
チャンバー内に、好ましくは機械的応力適用デバイス内に、配置されたマイクロ波放出アンテナ
を含む上記デバイスに関する。
【0167】
上記方法に関して記述された特性の全ては、この処理デバイスに当てはまる。
【0168】
すなわち、アンテナは好ましくは、螺旋状である。
【0169】
機械的拘束適用デバイスは、幅Lにわたって拡がる髪を受容する為の表面を有し、該アンテナは、好ましくはL/2よりも大きい又は等しい距離にわたって軸方向に延在する。
【0170】
本発明の対象は、前述の内容と無関係な又は組み合わせた、特に上記定義された方法を行う為の髪処理デバイスであって、下記:
少なくとも一房の髪に機械的応力を施与する為のデバイス、好ましくはカーラー、
機械的応力適用デバイス及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジングを有する、マイクロ波不透過チャンバー、
チャンバー内に配置されたマイクロ波放出アンテナ
を含み、
機械的拘束適用デバイスを受容する為の該ハウジングは、機械的拘束適用デバイスの設置及び除去を可能にする開放位置と、チャンバーがマイクロ波不透過であり且つアンテナが機械的拘束適用デバイスに近付くところの閉鎖位置との間で、アンテナに相対的に移動可能なドロワーによって少なくとも部分的に画定される
上記デバイスでもある。
【0171】
好ましくは、アンテナ及び機械的拘束適用デバイスは、ドロワーの閉鎖位置において、アンテナが機械的拘束適用デバイス内に係合されるように配置構成されている。
【0172】
本発明のこの観点に従うと、マイクロ波放出アンテナは、任意のマイクロ波放出アンテナでありうるが、好ましくは上述の長さ及び形状特性を有する。
【0173】
この観点に従うと、本発明は、機械的拘束適用デバイス、特に一房の髪をそこに巻き付けた機械的拘束適用デバイス、の容易な設置且つ除去を許す利点を有する。
【0174】
更に、ドロワーの位置の検出は、マイクロ波放出を誘発させる前にチャンバーの正確な閉鎖を検証する為の、単純な手段を提供する。
【0175】
ドロワーは、該ドロワーが閉鎖位置にあるときにチャンバーを閉鎖する、アンテナの反対側にある末端壁で生成されることができる。
【0176】
好ましくは、ドロワーは、アンテナを収容するケーシングに相対的に、特にケーシングの縦方向に平行な滑り軸に沿って滑る。好ましくはドロワーは、滑り軸の周りで回転運動することなく、ケーシングに相対的に滑る。
【0177】
好ましくは滑り軸に平行な方向に沿って延在するスリットは、髪を出すことができるように、閉鎖位置でドロワーとこのケーシングとの間に作製される。
【0178】
このスリットは有利には、チャンバーが閉じられたときにマイクロ波不透過性を生成する為に髪にフィットする導電性コーティング、好ましくは可撓性フォーム、によって縁取りがされている。
【0179】
その観点のもう1つに従うと、本発明の対象はまた、本発明に従う方法に関して開示されているものとは無関係に又は組み合わせて、特に上記定義された方法を行う為の髪処理デバイスであって、下記:
少なくとも一房の髪に機械的応力を施与する為のデバイス、好ましくはカーラー、と、
機械的応力適用デバイス及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジングを有するケーシングによって、並びにハウジングへのアクセスを与える開放位置と閉鎖位置との間でケーシングに相対的に旋回するカバーによって、少なくとも部分的に画定されたチャンバーと
を含み、マイクロ波放出アンテナはハウジング内に配置されており、ハウジングは、カバーが開けられたときに、ケーシングに相対的に軸方向運動によって機械的拘束適用デバイスの設置及び除去が可能になるように一端で開放されており、並びに機械的拘束適用デバイス及びアンテナは、機械的拘束適用デバイスがハウジング内の所定位置に置かれたときにアンテナが機械的拘束適用デバイス内に挿入されるように配置構成されている
上記デバイスである。
【0180】
本発明のこの観点に従うと、該マイクロ波放出アンテナは、任意のマイクロ波放出アンテナでありうるが、それは好ましくは上述の長さ及び形状特性を有する。
【0181】
この観点に従うと、本発明は、特に一房の髪をそこに巻き付けた状態で機械的拘束適用デバイスの容易な設置及び除去を可能にする利点を有する。
【0182】
更に、該カバーの位置の検出は、マイクロ波放出の誘発前にチャンバーの正確な閉鎖を検証する為の、単純な手段を提供する。
【0183】
該カバーは、機械的拘束適用デバイスがそれを介して導入され又は引き出されるハウジングの開口を形成するように、カバーの回転軸に対して横に延在する末端壁で作製されることができる。
【0184】
少なくとも1つのカバー及びハウジングには、チャンバーのマイクロ波不透過性を確実にする為に、カバーが閉じたときに髪全体にフィットする導電性コーティングを備えることができる。
【0185】
好ましくは、髪出口スリットは、カバーがそれを介してケーシング上に接合されるヒンジの反対側に作製される。カバーの旋回は、導電性コーティングを髪に押圧する為の追加の引締め効果を提供する。
【0186】
ケーシング及びカバーは、カバーの上昇が容易になるように、この出口スリットに接する補強材で作製されることができる。
【0187】
本発明は、その非限定的な実現例の以下の詳細な記述を読むことから、及び添付図面を参照して、より良く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【
図1】
図1は、本発明に従う処理デバイスの実施例の、部分概略図である。
【
図2】
図2は、開放された手持ち式部品、及び一旦引き出された機械的応力適用デバイスである。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VIIに沿った縦断面図である。
【
図8】
図8は、チャンバーが閉鎖されたときの、
図6に類似した図である。
【
図9】
図9は、手持ち式部品の実施態様の変形例の、
図2に類似した図である。
【
図11】
図11は、拘束適用デバイスが、手持ち式部品の対応するハウジング内で所定位置にある、開放位置にある手持ち式部品の側面図である。
【
図13】
図12のXIII-XIIIに沿った縦断面図である。
【
図14】
図14は、本発明に従う処理デバイスの変形例の、
図1に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0189】
図1は、可撓性導波管2を介してマイクロ波発生器を含むベースステーション1に接続された手持ち式部品3を含む、本発明に従う処理デバイス100を示す。
【0190】
可撓性導波管2は、シールドケーブルによって構成されている。
【0191】
手持ち式部品3は、図示されるように、少なくとも一房の髪Hを処理する目的で人の頭の近傍に配置する為に、使用者によって操作されることが予測される。
【0192】
手持ち式部品3は、様々な方法で生成されることができ、且つマイクロ波不透過処理チャンバー4を画定する。
【0193】
図2~
図8は、手持ち式部品3の第1の実施態様の例を示す。
【0194】
可撓性導波管2は、これらの図上でごく部分的にしか表されていない。
【0195】
手持ち式部品3は、ケーシング10を含み、カバー11が軸12を用いてその上に接合されている。
【0196】
ケーシング10は、問題となっている実施例において、カーラー20により構成された機械的拘束適用デバイスを受容する為のハウジングを画定する。
【0197】
上記カーラーは、カーラー20の長手方向軸Xに沿って測定された幅Lの、髪Hを受容する為の表面を画定する幾つかの分岐21を含む。
【0198】
軸Xは、この実施例において、カバー11の回転軸に平行である。
【0199】
問題となっている実施例において、カーラー20は4つの分岐21を含み、それらは軸Xに向かって僅かに湾曲しており、且つおよそ中間の長さで軸Xまで最短距離を通過する。
【0200】
分岐21は、好ましくは可能な限り均一に全幅Lを占有しつつ、上記房を分岐21上で拡がるように保持するのを支援する為に軸Xに垂直に向けられたリブ23を有することができる。
【0201】
分岐21は、それらの端部を環状部分25に接続する。
【0202】
カーラー20は、分岐21の両端に歯26を有し、これらは髪を受容する為の表面の範囲を横方向で定める。
【0203】
カーラー20は、任意の誘電材料、好ましくはPTFE、で作製されることができる。
【0204】
カーラー20は好ましくは、軸Xに垂直な対称性の正中面に相対的に回転の対称形式を有する。
【0205】
ケーシング10は、図示される実施例においてその形状が螺旋形であるアンテナ30を保持し、その長手方向軸7は、カーラー20が所定位置にある場合に軸Xと一緒になる。
【0206】
アンテナ30は、問題となっている実施例において、誘電材料、例えばシリコーン又はPTFE、の管32内に配置された螺旋金属線で構成されている。
【0207】
この管32の存在は、カーラー20内へのアンテナの挿入を容易にする。
【0208】
ケーシング10は、カーラー20が内部に配置されるハウジング6を画定する。
【0209】
アンテナ30は、半円の外形を有するケーシング10のプレート14によって、ケーシング10の軸端で支持される。
【0210】
カバー11は、反対側に類似のプレート15を有し、ハウジング6の開口5を閉鎖し、それによってカーラー20は手持ち式部品3内に導入される。
【0211】
ハウジング6の内面は、導電性コーティング7によって画定され、それはマイクロ波を反射させることを可能にし、且つチャンバー4をマイクロ波不透過にする。
【0212】
カーラー20は、頭部が拡がったブロック27を含み、該ブロックは、それらの基部で、対応する環状部分25に接続し、それは
図8に示されるように、コーティング7を押圧し、該カーラーをハウジング6の中心に維持する。
【0213】
ブロック27は例えば、図示されるように、歯26の間に配置される。
【0214】
コーティング7は、プレート15用のディスク及びプレート14用のリングの形で、例えばカバー及びケーシング上でカーラーに沿って半円筒の形状である伝導性フォームから形成されることができる。
【0215】
ケーシング10及びカバー11は、ヒンジの軸12の反対側で補強材18の底部に配置された、髪用の出口スリット19を画定する。
【0216】
コーティング7は好ましくは、
図8に見られることができるように、髪用のスリット19内に突出し、髪の通過にも関わらず良好な閉鎖封止をもたらす。
【0217】
従って、コーティングの縁部は、スリット19を閉鎖する為に、
図6に示されるように、17で、カバー本体の縁部及びケーシングの縁部を僅かに超えることができる。
【0218】
手持ち式部品3は、図示されていない閉鎖位置にカバーをロックする為の部材と、開放検出器も含む。
【0219】
スリット19の幅Wは、Lよりも僅かに大きくすることができ、ハウジング6の長さは、カーラー20の長さに実質的に等しく、従って後者は、ハウジング6内の軸方向及び半径方向の両方で、僅かな遊びの量の範囲内で固定化されるようになる。
【0220】
手持ち式部品3を使用する為に、一房の濡れた髪をカーラー20に巻き付け、次いで後者を、開口5により導入しながら、上記ケーシングに相対的に横方向に移動させることによりケーシング10内に配置する。次いでカバー11は再び閉鎖され、髪はスリット19を介して出て行く。マイクロ波への曝露が行われたら、一房の髪は、逆の順序で操作を行うことによって引き出される。
【0221】
次に手持ち式部品3の変形例について、
図9~13を参照しながら記述する。
【0222】
上記手持ち式部品は、ケーシング40と、ケーシングの長手方向軸に沿って滑ることができるドロワー50とを含む。
【0223】
ケーシング14は、
図12に示されるように、ドロワー50の対応するスライド51に係合される、アーク形状のラグ41を特に含むことができる。ラグ41には、端部に肥厚42を設けることができ、これは対応するウェルに保持され、従ってスライド51内にラグ41を保持するようになる。
【0224】
ケーシング40は、アンテナ30を保持する。
【0225】
アンテナ30の軸は、ドロワー50の滑り軸に平行である。
【0226】
カーラーを受容する為のハウジング6の内面は、上述の実施例におけるように、伝導性コーティング7で覆われる。
【0227】
髪用の出口スリット19は、ケーシング40とドロワー50との間に形成され、コーティングは、髪が存在しない状態では、
図12に例示されるように、静止状態になってこのスリットをふさぐようになる。
【0228】
端板54は、ケーシング40の反対側の端部でハウジング6を閉鎖する。
【0229】
手持ち式部品3を使用する為に、房が巻き付けられたカーラーはハウジング6内に導入され、一方、ドロワーは、
図9に示されるように開放位置にある。この位置で、ドロワーは、カーラーの設置を損なわないようにアンテナに向かって十分に前進される。
【0230】
アンテナ30の自由端は、ハウジング6内の所定位置のカーラー20から距離mにあり、例えば2~10mmにある。
【0231】
次いで、ケーシング40は、ハウジング6を閉鎖するように沿って滑る。この時点で、髪はスリット19を介して出て行く。
【0232】
処理された髪を引き出すには、操作が逆の順序で行われる。
【0233】
アンテナ30の外径は、22mmのカーラー本体の内径の場合、例えば9.2mmである。
【0234】
温度検出器は、処理された房の髪の温度を測定する為に、チャンバー4内に、例えばその内面上に、存在し得、制御システム、例えばマイクロプロセッサーシステム、は、予め定義された閾値よりも高い検出温度の事象で、マイクロ波放出を妨げ又は修正するのを可能にしうる。
【0235】
幾つかの手持ち式部品3は、
図14に示されるように、同一の発生器1に接続されうる。
【0236】
比較試験:直線的アンテナを持つカーラー、及び螺旋状アンテナを持つカーラー
ガラスで作製された中空誘電体管から形成された中心ストレート部分を含む真っ直ぐなアンテナを持ち、2つの端部が中心部分のどちらかの側に配置されたPTFEディスクにより形成されたところのカーラーが使用される。
【0237】
螺旋状アンテナを持つカーラーは、その取扱い及びそのカーラー内への挿入を容易にする為に、薄いPTFEグローブフィンガーによって保護された、円筒状PTFE棒に巻き付けられた螺旋形状の金属アンテナを含む。
【0238】
【0239】
真っ直ぐなアンテナを持つカーラー及び螺旋状アンテナを持つカーラーに巻き付けられた髪に関する、経時的な温度の上昇は、それぞれ
図15及び
図16に示されている。
【0240】
上記真っ直ぐなアンテナの場合、等価電気回路は、芯と壁との間に容量Cを有し、且つ容量性結合が存在する。
【0241】
入射場は、任意の点で芯の表面に垂直であり、従ってカーラーの壁にも垂直である。
【0242】
上記螺旋状アンテナの場合、芯と壁との間に付加される結合があり、即ち、アンテナのループ間の結合である。これは、容量性及び誘導性結合を誘発する。
【0243】
場Eは、任意の点でアンテナの表面に垂直であり、それ故に、カーラーの壁に対して全ての点で垂直でない。それ故に、場の最大値と、上記房の全体積にわたってより良好に分布された熱源とが一緒になり、それは温度を均一にするのに寄与する。
【0244】
アンテナの長さの増大は、アンテナの周りの電場の最大値及び最小値の数を増加させ、その結果、上記房の髪における熱源の数を増加させる。
【0245】
更に、上記螺旋状アンテナの場合、下記が観察される:
反射出力(Pr)における減少、
同一のカーラーに関する、上記真っ直ぐなアンテナと上記螺旋状アンテナとの間での、該カーラーに沿った温度の均質性における改善。
【0246】
従って、上記房に沿って多数の熱源を発生させることが可能になる、特に螺旋状の、長さが比較的長いアンテナの利点は、これらの試験からわかる。これらの熱源は、所望の加熱を均一にすることに寄与するように、非常に近くにある。房におけるマイクロ波の伝搬方法は、誘電特性における変化によって影響されない。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一房の髪を処理する為のデバイス(以下、処理デバイスという)であって、
機械的応力を該髪に施与する為の少なくとも1つのデバイス(20)と、
該機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたマイクロ波不透過チャンバー(4)と、
前記機械的応力適用デバイス(20)内に配置された螺旋状のマイクロ波放出アンテナ(30)と
を含み、前記処理デバイスが、前記チャンバー(4)の閉鎖を検出するように構成されている、前記処理デバイス。
【請求項2】
機械的応力を該髪に施与する為の前記デバイス(20)が、前記一房の髪を受容するように意図される受容表面を有し、前記アンテナが、上記房に垂直な方向の、該一房の髪を受容するように意図される受容表面の前記幅Lの少なくとも80%に等しい距離Dにわたって軸方向に延在する、請求項1に記載の処理デバイス。
【請求項3】
使用されるマイクロ波周波数が、厳密に2GHz超且つ3GHz未満である、請求項1又は2に記載の処理デバイス。
【請求項4】
前記アンテナが4~5mmの固定された螺旋ピッチを有する、請求項3に記載の処理デバイス。
【請求項5】
前記アンテナの軸方向の延び(D)が、15~80mmである、請求項3又は4に記載の処理デバイス。
【請求項6】
前記チャンバー(4)が、前記機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジング(6)を有し、前記マイクロ波放出アンテナ(30)が前記チャンバー(4)内に配置されており、前記機械的応力適用デバイス(20)を受容する前記ハウジング(6)が、前記機械的拘束適用デバイス(20)の設置及び除去を可能にする開放位置と、前記チャンバー(4)がマイクロ波不透過であり且つ前記アンテナ(30)が前記機械的拘束適用デバイス(20)に近付くところの閉鎖位置との間で、前記アンテナ(30)に相対的に移動可能なドロワー(50)によって少なくとも部分的に画定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項7】
前記アンテナ(30)及び前記機械的拘束適用デバイス(20)が、前記ドロワー(50)の閉鎖位置において、前記アンテナが前記機械的拘束適用デバイス(20)内に係合されるように配置構成されている、請求項6に記載の処理デバイス。
【請求項8】
前記機械的応力適用デバイス(20)がカーラーであり、該デバイスが、前記アンテナ(30)を保持するケーシング(40)を保持し、前記ドロワー(50)が、前記ケーシング(40)の長手方向軸に沿って滑り、前記アンテナ(30)の前記軸が、前記ドロワー(50)の滑り軸に平行であり、前記ケーシング(40)が、前記ドロワー(50)の対応するスライド(51)に係合される、アーク形状のラグ(41)を含み、前記ハウジング(6)の内面が、伝導性コーティング(7)で覆われており、髪用の出口スリット(19)が、前記ケーシング(40)と前記ドロワー(50)との間に形成されており、前記コーティングは、髪が存在しない状態では、静止状態になって前記スリット(19)をふさぐように構成されており、該デバイスは、前記ケーシング(40)の反対側の端部で前記ハウジング(6)を閉鎖する端板(54)を有する、請求項6又は7に記載の処理デバイス。
【請求項9】
前記チャンバー(4)が、前記機械的応力適用デバイス(20)及び処理されるべき髪の少なくとも一部を受容するように構成されたハウジング(6)を有するケーシング(10)によって、並びに前記ハウジングへのアクセスを与える開放位置と閉鎖位置との間で前記ケーシング(10)に相対的に旋回するカバー(11)によって、少なくとも部分的に画定されており、前記マイクロ波放出アンテナが前記ハウジング内に配置されており、前記ハウジングが、カバーが開けられたときに、前記ケーシングに相対的に軸方向運動によって前記機械的拘束適用デバイス(20)の設置及び除去が可能になるように一端(5)で開放されており、並びに前記機械的拘束適用デバイス及び前記アンテナは、前記機械的拘束適用デバイスが前記ハウジング内の所定位置に置かれたときに前記アンテナが前記機械的拘束適用デバイス内に挿入されるように配置構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項10】
前記チャンバー(4)を出す為の、前記髪の為のスリット(19)を含み、このスリットは、前記チャンバー(4)が閉じられたときに前記マイクロ波不透過性を生成する為に前記髪にフィットする導電性コーティング(7)によって縁取りがされている、請求項1~9のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項11】
前記アンテナ(30)の長さ(D)が、前記機械的応力適用デバイス(20)の長さ(N)の少なくとも50%を表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の処理デバイス。
【請求項12】
髪を処理する為の、特には請求項1~11のいずれか1項に記載の処理デバイスを用いて髪を処理する為の、美容的方法であって、少なくとも下記工程:
・a)少なくとも一房の髪に、該少なくとも一房の髪を受容するように意図される受容表面を有する機械的応力適用デバイス(20)を介して機械的応力を施与すること、ここで、該表面は、上記房に垂直な方向の幅Lが大きい、
・b)機械的応力下でこのように配置された髪を、機械的応力適用デバイス内に配置されたマイクロ波放出アンテナ(30)によってマイクロ波に曝露すること、ここで、このアンテナは、少なくともL/2に等しい距離Dにわたって軸方向に延在し、機械的応力適用デバイス及び処理されるべき該房の少なくとも一部は、マイクロ波不透過チャンバー(4)内で受容される、
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記機械的応力の適用がカーラーで実行され、前記アンテナ(30)が螺旋状であり且つ前記カーラー内に配置される、請求項12に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
少なくとも一房の髪を処理する為のデバイス(本明細書において、処理デバイスともいう)は、例えば電気接触又は1以上のスイッチを用いて、必要に応じて使用される機械的応力適用デバイス(本明細書において、機械的拘束適用デバイスともいう)を、自動的に認識するように配置構成されうる。