(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097007
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20220623BHJP
B65D 43/04 20060101ALI20220623BHJP
B65D 55/02 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B65D77/20 D
B65D43/04 200
B65D55/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210343
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰爾
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB09
3E067AB13
3E067AC01
3E067BA10A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA11
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3E067EA17
3E067EA32
3E067EB02
3E067EB03
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3E067EB17
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3E067EB27
3E067EE02
3E067EE39
3E067EE48
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA06
3E067GD01
3E067GD02
3E084AA06
3E084AA15
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CB01
3E084CB04
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
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3E084DB13
3E084DB20
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FC03
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB17
3E084KA12
(57)【要約】
【課題】開封されたことを認識できるとともに蓋体を再度閉じることができる包装用容器において、蓋体を開けやすく、特に、蓋体を再度閉じた際に開けやすくした包装用容器を提供する。
【解決手段】包装用容器1は、容器本体3に、開口部周縁から容器外側に張り出す本体フランジ部34と、本体フランジ部34に、開放部34bとなる部分を除き、外縁沿いに立ち上がる立壁部34aと、蓋体フランジ部24に、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、開放部34bに位置する部分を、本体フランジ部34よりも容器外側に延長して形成された摘み部4と、蓋体フランジ部23に、切り裂き容易とし、切り裂くことにより摘み部4を蓋体フランジ部23から分離しない切片状にすることができる切り裂き線5と、開放部34b付近に、本体フランジ部33を外側に延長して形成した受片部7と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部周縁に嵌合部を備えた容器本体と、該嵌合部に嵌合する被嵌合部を備えた蓋体とを有する包装用容器であって、
該容器本体に、該開口部周縁から容器外側に張り出す本体フランジ部と、
該本体フランジ部に、開放部となる部分を除き、外縁沿いに立ち上がる立壁部と、
該蓋体に、該被嵌合部付近から外側に張り出し、該蓋体を該容器本体に嵌合した状態で、外縁が該立壁部よりも下方に位置して該本体フランジ部上に載せ置かれる蓋体フランジ部と、
該蓋体フランジ部に、該蓋体を該容器本体に嵌合した状態で、該開放部に位置する部分を、該本体フランジ部よりも容器外側に延長して形成された摘み部と、
該蓋体フランジ部に、切り裂き容易とし、切り裂くことにより該摘み部を該蓋体フランジ部から分離しない切片状にすることができる切り裂き線と、
該開放部付近に、該本体フランジ部を外側に延長して形成した受片部と、を備えた包装用容器。
【請求項2】
前記受片部を、前記開放部の範囲内から前記本体フランジ部を容器外側に延長して形成した請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記受片部を、前記立壁部の範囲内から前記本体フランジ部を容器外側に延長して形成した請求項1に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記受片部を、前記開放部及び前記立壁部の両範囲内から前記本体フランジ部を容器外側に延長して形成した請求項1に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記切り裂き線を直線状に形成し、前記受片部を、前記切り裂き線の終端点を通り前記切り裂き線と直交する仮想線を引いた場合に、前記切り裂き線を形成した側とは反対の該仮想線を越えた側に備えた請求項1~4のいずれか一項に記載の包装用容器。
【請求項6】
前記摘み部の全面が、前記蓋体を前記容器本体に嵌合した状態で、前記受片部面上に重なるようにした請求項1、2、4のいずれか一項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封履歴を認識することができる容器において、開封をしやすくした包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
お弁当、お惣菜、お寿司、カットフルーツなどが薄肉の合成樹脂(プラスチック)シートからなる容器に収容されて販売されていることがよく見かけられる。
この容器は、内部にほこりが侵入することを防止したり、食料品など収容物の水分の蒸発を防止したりするために容器本体に嵌合する蓋体が設けられているものが多い。
このような容器は、容器を持ち上げた際に蓋体が不意に外れてしまい、収容物が散逸したり、ほこりが侵入したりしてしまうことがある。また、中には、悪意により不正に蓋体を開封し、異物を混入させる者も存在する。
【0003】
しかし、蓋体を容器本体に嵌合し直してしまえば元通りに復元できるため、以前に開封されたことがあるのかを認識しづらいことがあった。蓋体が開封されたことがあるものを、商品として販売をし続けるには問題があり、回収しなければならない。特に、悪意により開封された場合は、すぐに回収しなければ、購入者に害悪を及ぼすおそれがある。
【0004】
そこで、例えば、下記特許文献1~3には、開蓋されたことを容易に判別することができる容器が開示されている。
下記特許文献1には、『上面に開口部を設けた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた包装用容器であって、前記容器本体は、底部と、該底部の外周から上向きに周設された本体周壁部と、該本体周壁部の上端縁から外向きに周設された本体外側フランジ部と、該本体外側フランジ部の外周から上向きに周設された立上り部とを一体に成形したものであり、前記本体周壁部には、前記本体外側フランジ部に隣接する内端縁から底部側に拡径するように傾斜した逆テーパ部が形成され、前記立上り部には、少なくとも一箇所に切欠部が形成され、前記蓋体は、天部と、該天部の外周から下向きに周設された蓋周壁部と、該蓋周壁部の下端縁から外向きに周設された蓋内側フランジ部と、該蓋内側フランジ部の外周から上向きに周設されて前記容器本体の逆テーパ部と重なり合う係合部と、該係合部の上端縁から外向きに周設されて前記本体外側フランジ部と重なり合い、かつ、外周縁が前記容器本体の立上り部に接触ないし近接する蓋外側フランジ部とを一体に成形したものであり、前記蓋外側フランジ部には、一辺の角部付近に前記容器本体の立上り部に形成された切欠部から突出する摘み部が形成され、該摘み部から隣り合っている他辺に至らない途中まで引裂き可能とする易開封ラインが形成され、該易開封ラインの引裂きを阻止するため引裂き阻止手段が易開封ラインの端末と前記他辺との間に設けられていることを特徴とする包装用容器』が開示されている。
【0005】
下記特許文献2には、『上面に開口部を設けた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた包装用容器であって、前記容器本体は、底部と、該底部の外周から上向きに周設された本体周壁部と、該本体周壁部の上端縁から外向きに周設された本体外側フランジ部と、該本体外側フランジ部の外周から上向きに周設された立上り部とを一体に成形したものであり、前記本体周壁部には、前記本体外側フランジ部に隣接する内端縁から底部側に拡径するように傾斜した逆テーパ部が形成され、前記立上り部には、少なくとも一箇所に切欠部が形成され、前記蓋体は、天部と、該天部の外周から下向きに周設された蓋周壁部と、該蓋周壁部の下端縁から外向きに周設された蓋内側フランジ部と、該蓋内側フランジ部の外周から上向きに周設されて前記容器本体の逆テーパ部と重なり合う係合部と、該係合部の上端縁から外向きに周設されて前記本体外側フランジ部と重なり合い、かつ、外周縁が前記容器本体の立上り部に接触ないし近接する蓋外側フランジ部とを一体に成形したものであり、前記蓋外側フランジ部には、一辺の角部付近に前記容器本体の立上り部に形成された切欠部から突出する摘み部が形成され、該摘み部から隣り合っている他辺に至らない途中まで引裂き可能とするミシン目が形成され、該ミシン目が摘み部の外縁に切目が切り込まれ、非切目と他辺に向かって次第に短くなる切目とが交互に形成されていることを特徴とする包装用容器』が開示されている。
【0006】
下記特許文献3は、『合成樹脂シートから互いに別体に熱成形された容器本体及び蓋体を備え、蓋体が容器本体に内嵌合されている内嵌合包装用容器であって、容器本体は、内面全周がシール面となる逆テーパ状の本体嵌合壁部と、該本体嵌合壁部の外側に形成された本体フランジ部と、該本体フランジ部の外縁から外側に延設された本体摘み片とを備え、蓋体は、外面全周がシール面となる逆テーパ状の蓋嵌合壁部と、該蓋嵌合壁部の外側に形成された蓋フランジ部と、該蓋フランジ部の外縁から外側に延設された蓋摘み片とを備え、本体フランジ部には、蓋フランジ部の外縁を摘み上げることができないように、蓋フランジ部の外縁を外側からガードすべく上方に立ち上がったガード壁部が通路部を除いて全周に亘って形成され、蓋摘み片は、通路部を通って外側に延設されて本体摘み片の上側に重なり合っており、本体摘み片と蓋摘み片とが再固定不可の固定手段により互いに固定されていることを特徴とする不正改ざん防止構造付きの内嵌合包装用容器』が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-269824号公報
【特許文献2】特開2011-68365号公報
【特許文献3】特開2015-85954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1及び2に開示された容器は、摘み部を摘んで開封した際に蓋体の蓋外側フランジ部に切れ込みが入ることにより開封したことを確認でき、さらには、再度蓋体を用いて容器を密封することができるようにしたものである。
しかし、この容器を再度密封して開封するときには、摘み部は蓋外側フランジ部を切り裂いた片状になっているため、引き上げて蓋体を外そうとしても力が抜けてしまい開封しにくく、また、摘み部が蓋外側フランジ部から千切れてしまうおそれもあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、開封されたことを認識できるとともに蓋体を再度閉じることができる包装用容器において、蓋体を開けやすく、特に、蓋体を再度閉じた際に開けやすくした包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態の包装用容器は、開口部周縁に嵌合部を備えた容器本体と、嵌合部に嵌合する被嵌合部を備えた蓋体とを有する包装用容器であって、容器本体に、開口部周縁から容器外側に張り出す本体フランジ部と、本体フランジ部に、開放部となる部分を除き、外縁沿いに立ち上がる立壁部と、蓋体に、被嵌合部付近から外側に張り出し、蓋体を容器本体に嵌合した状態で、外縁が立壁部よりも下方に位置して本体フランジ部上に載せ置かれる蓋体フランジ部と、蓋体フランジ部に、蓋体を容器本体に嵌合した状態で、開放部に位置する部分を、本体フランジ部よりも容器外側に延長して形成された摘み部と、蓋体フランジ部を切り裂き容易とし、切り裂くことにより摘み部を蓋体フランジ部から分離しない切片状にすることができる切り裂き線と、開放部付近に、本体フランジ部を外側に延長して形成した受片部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記形態の包装用容器は、蓋体フランジ部が立壁部で囲われているため、開放部にある摘み部のみからしか開封することができない。摘み部を摘み、開封すると切り裂き線により蓋体フランジ部が切り裂かれ、摘み部が切片状になって残るため開封したことを認識することができる。
また、受片部を設けてあることにより、蓋体を開ける際に、例えば、左手の親指と人差し指で摘み部を摘み、右手の親指と人差し指で受片部を摘み、相反する方向に力を加えて開けことができるため、開封作業がしやすくなる。
【0012】
上記形態の包装用容器において、受片部を、開放部の範囲内から本体フランジ部を容器外側に延長して形成したり、立壁部の範囲内から本体フランジ部を容器外側に延長して形成したり、開放部及び立壁部の両範囲内から本体フランジ部を容器外側に延長して形成したりすることができる。
このように、受片部を、様々な位置に設けることができ、開放部の範囲内から延長することにより切り裂き線を切り裂きやすくなり、立壁部の範囲内から延長することにより再度蓋体を開封する際に開封しやすくなり、開放部及び立壁部の両範囲内から延長することにより切り裂き線の切り裂きと蓋体の再開封の両方をしやすくなる。
【0013】
上記形態の包装用容器において、切り裂き線を直線状に形成し、受片部を、切り裂き線の終端点を通り切り裂き線と直交する仮想線を引いた場合に、切り裂き線を形成した側とは反対の仮想線を越えた側に備えることが好ましい。
このようにすることにより、蓋体を再度開封する際に、切り裂き線の終端点と受片部が近接した位置になるため、摘み部を引き上げるときに力が入りやすく、再開封がしやすくなる。
【0014】
上記形態の包装用容器において、摘み部の全面が、蓋体を容器本体に嵌合した状態で、受片部面上に重なるようにすることが好ましい。
このようにすることにより、受片部の外縁が摘み部の外縁よりも外側に位置するので、摘み部が捲れ上がれにくくなり、切り裂き線が不用意に切り裂かれることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の包装用容器の第一実施形態を示し、容器本体と蓋体を分離した状態の斜視図である。
【
図2】
図1の包装用容器の蓋体を示した平面図である。
【
図3】
図1の包装用容器の容器本体を示した平面図である。
【
図4】
図1の包装用容器を閉蓋した状態での平面図である。
【
図5】
図4のA-A線で切断した一部を示した部分拡大端面図である。
【
図6】
図4のB-B線で切断した一部を示した部分拡大端面図である。
【
図7】第二実施形態の包装用容器を示し、(A)は容器本体の平面図、(B)は閉蓋した状態での平面図である。
【
図8】第三実施形態の包装用容器を示し、(A)は容器本体の平面図、(B)は蓋体の平面図、(C)は閉蓋した状態での平面図である。
【
図9】第四実施形態の包装用容器を示し、(A)は容器本体の平面図、(B)は閉蓋した状態での平面図である。
【
図10】第五実施形態の包装用容器を示し、(A)は容器本体の平面図、(B)は閉蓋した状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の包装用容器の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の第一実施形態の包装用容器1は、
図1~
図3に示すように、蓋体2と容器本体3とを備えてなる。
蓋体2は、
図1~
図6に示すように、容器本体3の開口部を覆うものであり、扁平正方形体状とし、平面視において、四辺を中間が外方にやや膨らむ湾曲状とした正方形状としてあり、その隅部のうちの一つを面取状に形成し、その箇所に摘み部4を設けてある。なお、
図4において容器本体3は破線で描かれている。
蓋体2の形状は、上記形状に限定されるものではなく、様々な形状をとることができ、例えば、平面視円形乃至長円形状、長方形、六角形や八角形などの平面視多角形状などにしてもよく、また、厚みのない平板状、厚みのある嵩高状やドーム状にしてもよい。
【0018】
蓋体2は、より詳しく説明すると、
図2又は
図5に示すように、平面視正方形状とした天面部21と、天面部21の縁部から下方に向く側面部22と、側面部22の下端から延び容器本体3の嵌合部33に嵌合する被嵌合部23と、被嵌合部23の上端から外方に張り出す蓋体フランジ部24と、蓋体フランジ部24の一部を外方に延長して設けた摘み部4と、を備える。
【0019】
天面部21は、水平面状をなし、蓋体2の外縁よりも一回り小さな外縁形状としてあり、すなわち、四辺を中間が外方にやや膨らむ湾曲状とした正方形状とし、その隅部のうちの一つを面取状に形成してある。
側面部22は、
図5に示すように、天面部21の縁部を湾曲状に曲げ、それに連なる傾斜面乃至垂下面をなす断面放物線状としてあり、
図1又は
図2に示すように、平面視において角部になる箇所には、上下方向に全高に渡り延びる凸条部22aが設けてある。
各凸条部22aは、
図1に示すように、蓋体2の外方に断面半円状に突出させて形成してあり、上端部を先細り状となるようにしてある。蓋体2の各角部には凸条部22aを3本略等間隔で並行状に配列してある。凸条部22aはリブなどの役割をなし、上方からの荷重に対する強度を高めることができる。
【0020】
被嵌合部23は、
図5に示すように、容器本体2の嵌合部33に内側から嵌合、つまり内嵌合し、蓋体2で容器本体3の開口部を覆い、閉蓋することができる。
被嵌合部23は、側面部22の下端部から一段の階段状に下方に折れ曲がり、その下端部から蓋体2の外方に水平状に拡がる周縁底部23aを設け、周縁底部23aの外縁部から蓋体2の外方にやや膨らみながら上方に延びるように形成してあり、上方に延びる部分が容器本体3の嵌合部33に嵌合するようにしてある。
この嵌合する部分は、蓋体2の外方に膨らむ形状とし、より詳しく説明すると、断面くの字状に折れ曲がり、下側を蓋体2の外方に傾斜させ、上側を蓋体2の内方に傾斜させてある。
【0021】
蓋体フランジ部24は、被嵌合部23の上端部から蓋体2の外方に水平状に張り出すように形成し、蓋体2を容器本体3に嵌合させた状態で容器本体3の本体フランジ部34に載るようにしてある。
【0022】
蓋体フランジ部24の一部、本実施形態では面取状にした隅部付近に、
図1又は
図2に示すように、蓋体2を外方に延長して形成した摘み部4を設けてある。
摘み部4は、
図2に示すように、蓋体フランジ部24を蓋体2の外方に平面視台形状に延長して形成してあり、外縁のうちの一つの角部を、摘み上げることにより蓋体2を容器本体3から外して開封できるようにしてある。
摘み部4には、切り裂き線5を設けてあり、摘み部4を引き上げた際に蓋体2の周方向に切り裂かれて摘み部4が切片状になるようにしてある。これにより、容器1が以前に開封されたことがあるかを認識することができる。
【0023】
切り裂き線5は、蓋体フランジ部24の外縁を始端点とし、終端点を蓋体フランジ部24内で留めておき、摘み部4が完全に脱落しないようにして、切片状に蓋体2に連続して残るようにしてある。
切り裂き線5は、他の部位よりも切り裂かれやすく形成してあり、例えば、貫通する孔を断続的に設けたミシン目としたり、レーザなどで他の部位よりも肉薄としたりして形成することができる。
【0024】
摘み部4は、切り裂き線5で切り裂かれて一定幅の直方体状の切片になるようにしてある。本実施形態では、切り裂き線を直線状にしてあるが、種々の形態を採ることができ、波形線状やジグザグ線状にしてもよい。
【0025】
摘み部4の一端部付近には、平面視長円状の凹部4aが並行状に設けてあり、摘み部4付近を補強するとともに指先などで摘まんだ際に滑り止めの役割をなす。また、切り裂き線5の切り裂き方向を認識しやすくするために矢印4bを設けてもよい。矢印4bは、本実施形態では、蓋体フランジ部24を膨らませて形成してあるが印刷などで形成してもよい。
【0026】
容器本体3は、
図1、
図3~
図6に示すように、内部に収容物を収容する浅鉢状に形成してあり、蓋体2の平面形状に合わせて形成し、つまり、平面視において、四辺を中間が外方にやや膨らむ湾曲状とした正方形状とし、その隅部のうちの一つを面取状に形成してある。
容器本体3の形状は、上記形状に限定されるものではなく、様々な形状をとることができ、例えば、平面視円形乃至長円形状、長方形、六角形や八角形などの平面視多角形状などにしてもよく、平面形状を蓋体2の平面形状と合わせるのが好ましいが、相違する平面形状にしてもよい。また、深鉢状やボール状に形成してもよい。
【0027】
容器本体3は、より詳しく説明すると、
図1又は
図3~
図6に示すように、平面視正方形状の底面部31と、底面部31の外縁から立ち上がる周壁面部32と、周壁面部32の上端部付近に設けた嵌合部33と、嵌合部33の上端部から容器本体3の外方に張り出す本体フランジ部34と、本体フランジ部34の一部を外方に延長して設けた摘み受部6と、摘み受部6付近をさらに容器本体2の外方に延長した受片部7と、を備える。
【0028】
底面部31は、水平面状をなし、容器本体3の外縁よりも一回り小さな外縁形状としてあり、すなわち、四辺を中間が外方にやや膨らむ湾曲状とした正方形状とし、その隅部のうちの一つを面取状に形成してある。
底面部31の周囲には、角溝状に下方に凹ませた凹溝部31aが設けてあり、食料品などを収容したときに滲出してきた水分などをためておくことができるとともに棚などに容器本体3を置く際に接面して脚部となる。
【0029】
周壁面部32は、底面部31の周縁から上方に立ち上がり、底面部31とで食料品などを収容する収容部を形成する。
周壁面部32は、断面において上方に向かい漸次拡がる湾曲面状に形成してある。その面上には、容器本体3の内方に凹ませた筋状の筋状溝32aを設けてあり、周壁面部32の周方向の断面がサイクロイド曲線状をなすようにしてある。
【0030】
筋状溝32aは、高さ方向に延び、容器本体2の周方向に略等間隔で配列してある。各隅部(面取り状にした部分は両角部)の筋状溝32aは、他に比較して深めに形成してある。各面には、3本から6本を配列するのが好ましい。各面に配列した筋状溝32aの上端部側は二股に分かれてラッパ状に拡がるように形成してある。
【0031】
嵌合部33は、
図5又は
図6に示すように、周壁面部32の上端部(容器本体2の開口部周縁)に設けてあり、蓋体2の被嵌合部23が嵌り合うようにしてある。
嵌合部33は、周壁面部32の上端部に、容器本体3の外方に拡がる水平面状の段差面部33aを設け、段差面部33aの外縁から上方に立ち上がる面に形成してあり、容器本体3の外方に膨らむ形状として被嵌合部23が嵌るようにしてある。より詳しくは、断面くの字状に折れ曲がり、下側を容器本体3の外方に傾斜させ、上側を容器本体3の内方に傾斜させてある。
段差面部33aの面上には、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、周縁底部23aが載るようにしてある。
【0032】
本体フランジ部34は、
図1、
図5又は
図6に示すように、嵌合部33の上端部から容器本体2の外方に張り出すように形成してあり、その外縁には開放部34bとなる部分を除いて上方に立ち上がる立壁部34aが設けてある。
本体フランジ部34には、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、蓋体フランジ部24が載るようにしてある。
立壁部34aは、断面逆U字状に膨らませ、容器本体3を囲うように形成してある。開放部34bとなる部分は、立壁部34aを設けずに平面状とし、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、開放部34bから摘み部4の一端部がはみ出すようにしてある。
立壁部34aは、
図5又は
図6に示すように、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、立壁部34aにより蓋体フランジ部24が納まるようにしてあり、つまり、蓋体フランジ部24の外縁が立壁部34aよりも下方に位置するようにして、開放部34bからはみ出す摘み部4のみから蓋体2を開封できるようにしてある。蓋体フランジ部24の外縁は、立壁部34aの基端付近に位置させるのが好ましい。
【0033】
摘み受部6は、本体フランジ部34の一部、本実施形態では面取状にした隅部付近を容器本体3の外方に延長した平面状に形成してあり、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で摘み部4が載り、その下側に位置するようにしてある。
摘み受部6は、より詳しく説明すると、
図1又は
図3に示すように、本体フランジ部34を容器本体3の外方に平面視台形状に延長して形成してあり、その外縁のうちの一つの角部付近を、立壁部34aを設けない開放部34bとしてある。また、開放部34b付近には、平面視矩形状に切り欠いた切欠き部6aを設けてある。切欠き部6aを設けることにより、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態でも、摘み部4を上下から摘まみやすいようにしてある。
摘み受部6には、直線状の凹部6bを並行状に設け、摘み受部6付近を変形しにくいように補強してある。
【0034】
受片部7は、本体フランジ部34の一部、本実施形態では開放部34b付近を容器本体3の外方に舌片状に延長して設けてあり、例えば、左手で摘み部4を摘み、右手で受片部7を摘まんで、相反する方向に引くことにより、蓋体2を開封することができるようにしてある。
受片部7は、本実施形態では、
図4に示すように、開放部34bの範囲内から延長するように設けてある。切り裂き線5の始端点付近に設けてあるため、蓋体2を開封する際に、始端点付近に力が入りやすくなり、切り裂き線5が切り裂きやすくなり、開封しやすい容器1となる。
【0035】
受片部7は、開放部34b付近に設けてあればよく、様々な位置に設けることができ、例えば、下記の第二~第五実施形態に示す位置に設けることができる。
【0036】
第二実施形態の受片部7Aは、
図7に示すように、立壁部34aの範囲内から延長し、切り裂き線5の終端点付近に設けてある。なお、
図7(B)において、容器本体3は破線で示してある。
より詳しく説明すると、切り裂き線5を直線状に形成し、受片部7Aを、
図7(B)に示すように、切り裂き線5の終端点を通り、切り裂き線5と直交する仮想線(一点鎖線X)を引いた場合に、切り裂き線5を形成した側とは反対の仮想線を越えた側に受片部7Aを設けてある。
【0037】
このようにすることにより、摘み部4及び受片部7Aをそれぞれ摘まんで蓋体2を開封する際に終端点付近に力が加わりやすくなるので、蓋体2と容器本体3の嵌合を外して開封しやすくなる。特に、一度開封して再度閉蓋し、再開封する際に、摘み部4は切り裂き線5により切り裂かれて切片状になっているため、終端点付近に力が加わるようにすると再開封しやすくなる。
【0038】
第三実施形態の受片部7Bは、
図8に示すように、開放部34bの範囲内から延長し、切り裂き線5Bの終端点付近に設けてある。なお、
図8(C)において、容器本体3は破線で示してある。
より詳しく説明すると、切り裂き線5Bを短い直線状に形成し、受片部7Bを、切り裂き線5Bの終端点を通り、切り裂き線5Bと直交する仮想線(一点鎖線Y)を引いた場合に、切り裂き線5Bを形成した側とは反対の仮想線を越えた側に受片部7Bを設けてある。
【0039】
このようにすることにより、摘み部4及び受片部7Bをそれぞれ摘まんで蓋体2を開封する際に終端点付近に力が加わりやすくなるので、蓋体2と容器本体3の嵌合を外して開封しやすくなるとともに、切り裂き線5Bを短くできるので、開封する際に力を加え続ける必要がなく、力のない子供や老人などでも開封しやすくなる。
【0040】
第四実施形態の受片部7Cは、
図9に示すように、立壁部34a及び開放部34bの両範囲内から延長して形成したものである。なお、
図9(B)において、容器本体3は破線で示してある。
【0041】
このようにすることにより、摘み部4及び受片部7Aをそれぞれ摘まんで蓋体2を開封する際に、受片部7Cの摘まむ位置を適宜変えることができるので、力加減を適宜調整しながら開封することができるようになる。
【0042】
第五実施形態の受片部7Dは、
図10に示すように、摘み部4の全面が、蓋体2を容器本体3に嵌合した状態で、面上に重なるようにしたものである。なお、
図10(B)において、容器本体3は破線で示してある。
【0043】
このようにすることにより、受片部7Dの外縁が摘み部4の外縁よりも外側に位置するので、摘み部4が捲れ上がれにくくなり、切り裂き線5が不意に切り裂かれることを防ぐことができる。
【0044】
以下、蓋体2及び容器本体3の製造方法の一例を説明する。
蓋体2及び容器本体3は、特に限定するものではないが、合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートは、薄肉の非発泡樹脂シート、薄肉の発泡樹脂シートのいずれでもよいが、非発泡樹脂シートが好ましい。
非発泡樹脂シートの場合には、具体的には、厚みが0.1mm~2.0mmの範囲内、特に0.2mm~1.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。
発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.5mm~4.0mmの範囲内、特に0.7mm~2.2mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。また、発泡樹脂シートの場合には、発泡倍率を1.05倍~20.0倍、特に1.5倍~15.0倍にするのが好ましい。
【0045】
非発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂シート・ポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シート・耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを用いることができる。また、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートを用いてもよい。
【0046】
発泡樹脂シートとしては、例えば、発泡ポリオレフィン系樹脂シート、発泡ポリスチレン系樹脂シート、発泡ポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
合成樹脂シートを積層した積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、非発泡樹脂シート又は発泡樹脂シートに樹脂フィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0047】
非発泡樹脂シート、発泡樹脂シート及び積層シートとして、バイオマスプラスチックを用いてもよい。
バイオマスプラスチックとは、原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み,化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料をいう。バイオマスプラスチックは、石油由来の樹脂と比して、大気中への二酸化炭素の排出量を抑えることができ、環境への負荷を低減できる。
バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリ乳酸樹脂、バイオマスポリエチレン、バイオマスポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0048】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
【0049】
蓋体2及び容器本体3は、黒色や白色などの有色でもよいが、内部が視認できるように透明乃至半透明であることが好ましく、特に、蓋体2は透明乃至半透明、容器本体3は黒色などの非透明が好ましい。また、蓋体2及び容器本体3の表面に、透明乃至半透明の場合は視認性を妨げない程度に、文字、絵柄などの印刷や刻印を施してもよく、補強のためのリブを適宜位置に設けることや滑り止めのためのシボ加工を施してもよい。
蓋体2及び容器本体3に、直方体状などに膨出させたスタック用突起部を設けることもでき、また、蓋体2及び容器本体3をヒンジ部で一体的に連結した、いわゆるフードパックにしてもよい。
【0050】
以下、包装用容器1の使用方法の一例を説明する。
包装用容器1を密封するには、例えば、容器本体3の収容部を収容し、
図1に示すように、蓋体2の摘み部4を摘み受部6に重なる位置に向け、蓋体2を容器本体3に重ねて上側から押圧し、嵌合部33及び被嵌合部23を嵌合させて行う。
【0051】
包装用容器1を開封するには、摘み部4を引き上げて開封することになる。この際、
図4に示すように、蓋体フランジ部34の外縁部が立壁部34aに囲われているので、蓋体2を開封するために摘まむ箇所は開放部34bからはみ出した摘み部4のみであり、摘み部4を摘まみ開封するしかない構造になっており、他の箇所からは開封できない。
開封する際に、例えば、左手で摘み部4を摘み、右手で受片部7を摘まんで相反する方向に引くことにより、切り裂き線5が切り裂かれ始める。切り裂き線5が終端点まで切り裂かれると力が蓋体2にかかり持ち上げられ、嵌合部33及び被嵌合部23の嵌合状態が解かれることにより、蓋体2が外れ、開封することができる。そして、摘み部4は、蓋体2から完全に切断されることなく切片状に残るため、この蓋体2は一度開封されたことがあることを認識することができる。
【0052】
この蓋体2を用いて容器本体3に再閉蓋することができる。
再閉蓋は、上記と同様に、蓋体2を容器本体3に載せて上側から押圧し、嵌合部33及び被嵌合部23を嵌合させればよい。
この蓋体2には、切り裂き線5が切り裂かれて摘み部4が切片状に蓋体2に残っているため、以前に開封した履歴があることを認識することができる。
【0053】
再閉蓋した包装用容器1を開封するには、例えば、左手で切片状になった摘み部4を摘み、右手で受片部7を摘まんで相反する方向に引くことにより行うことができる。この際、受片部7を設けたことにより切り裂き線5の終端点付近に力をうまく加えることができるため、嵌合部33及び被嵌合部23の嵌合を解除しやすくなり、蓋体2を外して開封することができる。
【0054】
また、包装用容器1は、受片部7の位置を変更することにより、上記第一から第五実施形態で示したように、力の加わり方を変えることができ、受片部7を使用者や使用方法を想定して様々な位置に設けた構成にすることができる。
【0055】
包装用容器1は、蓋体2を容器本体3に内嵌合する構造にしてあるが、これに限定されるものではなく、外嵌合や内外嵌合する構造にしてもよい。
【0056】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にする限り変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【符号の説明】
【0057】
1 包装用容器
2 蓋体
21 天面部
22 側面部
22a 凸条部
23 被嵌合部
24 蓋体フランジ部
3 容器本体
31 底面部
31a 凹溝部
32 周壁面部
32a 筋状溝
33 嵌合部
34 本体フランジ部
34a 立壁部
34b 開放部
4 摘み部
5 切り裂き線
6 摘み受部
7 受片部