(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097057
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】体温調節服及び体温調節システム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A41D13/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210416
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】591240984
【氏名又は名称】株式会社鎌倉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】堀江 威史
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝彦
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC13
3B011AC21
(57)【要約】
【課題】体温調節服の循環通路の一部の伸び、循環通路の一部と継手との間から流体が漏れを抑制する。
【解決手段】体温調節服は、流体が循環する循環通路を有し、上記循環通路に温度が調節された上記流体を循環させることにより温度が調節される体温調節服である。上記体温調節服は、本体部と、支持部材と、服側継手とを具備する。上記本体部には、上記循環通路が配設される。上記循環通路に上記流体を送水したり上記循環通路からの上記流体を吸入したりする配管に設けられた配管側継手に連結可能であり、上記本体部に配設された上記循環通路の一部に接続され、上記支持部材に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が循環する循環通路を有し、前記循環通路に温度が調節された前記流体を循環させることにより温度が調節される体温調節服であって、
前記循環通路が配設された本体部と、
前記本体部の一部に取り付けられた支持部材と、
前記循環通路に前記流体を送水したり前記循環通路からの前記流体を吸入したりする配管に設けられた配管側継手に連結可能であり、前記本体部に配設された前記循環通路の一部に接続され、前記支持部材に取り付けられた服側継手と
を具備する体温調節服。
【請求項2】
請求項1に記載された体温調節服であって、
前記本体部は、
胴部と、
前記胴部の一部から延在された服側継手収容部と
を有し、
前記支持部材は、前記服側継手収容部に取り付けられている
体温調節服。
【請求項3】
請求項1または2に記載された体温調節服であって、
前記支持部材は、厚みがミシンで針が貫通可能または穴あけパンチで貫通可能な板厚に設定された樹脂板である
体温調節服。
【請求項4】
請求項3に記載された体温調節服であって、
前記樹脂板は、軟質樹脂であって、厚みが0.5mm以上1.2mm以下である
体温調節服。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載された体温調節服であって、
前記服側継手は、前記支持部材に対して脱着可能である
体温調節服。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載された体温調節服と、
前記体温調節服に配設された前記循環通路に前記配管を介して前記流体を循環させ、前記流体の温度を調節する流体温度調節装置と
を具備する体温調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節が可能な体温調節服及び体温調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温あるいは低温の作業環境にある屋内、または夏季あるいは冬季における屋外での作業での快適性を高めるため、冷却または加熱された流体を作業者が着用している服の内部に流通させ、作業者の体温調節を行う体温調節服が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、体温調節服に流体を送水・吸入するホースは、数メートルの長さになる場合がある。このため、作業者は、ホースを地面でひきずりながら作業をしたり、あるいはホースを踏みつけて立ち上がったりする場合がある。このような場合、体温調節服に取り付けられたチューブの継手には張力、または、ねじれが生じ、継手に接続された体温調節服内の循環通路(チューブ)が局所的に伸びたり、上記ねじれにより流路を閉塞させたり、あるいは循環通路の一部と継手との間から流体が漏れたりするおそれがある。このため、継手をしっかりと固定する必要がある。
【0005】
しかしながら、継手を固定する対象が服である性質上、固定を行うのが縫製工場であるため、チューブを布で挟み込んで固定するなどで対応していたが、充分な力に耐え得る支持とは言えなかった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、上述した張力、ねじれによる循環通路の局所的な伸び、流路の閉塞、あるいは循環通路の一部と継手との間からの流体の漏れを抑制する体温調節服及び体温調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る体温調節服は、流体が循環する循環通路を有し、上記循環通路に温度が調節された上記流体を循環させることにより温度が調節される体温調節服である。
上記体温調節服は、本体部と、支持部材と、服側継手とを具備する。
上記本体部には、上記循環通路が配設される。
上記支持部材は、上記本体部の一部に取り付けられる。
上記服側継手は、上記循環通路に上記流体を送水したり上記循環通路からの上記流体を吸入したりする配管に設けられた配管側継手に連結可能であり、上記本体部に配設された上記循環通路の一部に接続され、上記支持部材に取り付けられる。
【0008】
このような体温調節服であれば、配管側継手から直接力を受ける服側継手を支持部材で直接的に固定できるので、体温調節服に取り付けられたチューブの継手に張力がかかったとしても、体温調節服内の循環通路の伸び、流路の閉塞、あるいは循環通路と継手との間からの流体の漏れが抑制される。
【0009】
上記の体温調節服においては、上記本体部は、胴部と、上記胴部の一部から延在された服側継手収容部とを有し、上記支持部材は、上記服側継手収容部に取り付けられてもよい。
【0010】
このような体温調節服であれば、服側継手収容部によって体温調節服内に収容しきれなかった剛体構成物(例えば、4分岐継手等)が収容され、また、作業者は、目視で服側継手収容部のねじれに気づく。
【0011】
上記の体温調節服においては、上記支持部材は、厚みがミシンで針が貫通可能または穴あけパンチで貫通可能な板厚に設定された樹脂板であってもよい。
【0012】
このような体温調節服であれば、支持部材が軽量となり、また体温調節服に縫製によって簡便に固定できる。
【0013】
上記の体温調節服においては、上記樹脂板は、軟質樹脂であって、厚みが0.5mm以上1.2mm以下であってもよい。
【0014】
このような体温調節服であれば、支持部材が軽量となり、また体温調節服に縫製によって簡便に固定できる。
【0015】
上記の体温調節服においては、上記服側継手は、上記支持部材に対して脱着可能であってもよい。
【0016】
このような体温調節服であれば、服側継手の支持部材からの交換が容易となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る体温調節システムは、
上記体温調節服と、
上記体温調節服に配設された上記循環通路に上記配管を介して上記流体を循環させ、上記流体の温度を調節する流体温度調節装置と
を具備する。
【0018】
このような体温調節システムであれば、配管側継手から直接力を受ける服側継手を支持部材で直接的に固定できるので、体温調節服に取り付けられたチューブの継手に張力がかかったとしても、体温調節服内の循環通路の伸び、流路の閉塞、あるいは循環通路と継手との間からの流体の漏れが抑制される。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば、上述した張力、ねじれによる循環通路の局所的な伸び、流路の閉塞、あるいは循環通路の一部と継手との間からの流体の漏れを抑制する体温調節服及び体温調節システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る体温調節服を含む体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
【
図3】図(a)は、服側継手収容部の先端及び継手が配置された支持部材の様子を示す概略断面図であり、図(b)は、継手が配置された支持部材の様子を示す概略立体図である。
【
図4】本実施形態の作用の一例を説明する概略図である。
【
図5】本実施形態の変形例を示す概略立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。
【0022】
図1は、本実施形態に係る体温調節服を含む体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
【0023】
[体温調節システム]
【0024】
本実施形態の体温調節システム1は、体温調節服100と、流体温度調節装置200とを備える。
【0025】
体温調節服100は、作業者5が着用可能な適宜の形態の衣服であって、作業者5の体温を調節(冷却又は加温)することが可能な流体(例えば、水)が循環する循環通路15を有する。流体温度調節装置200においては、体温調節服100の内部を循環する流体の温度を調節する冷熱回路が筐体30に内蔵されている。作業者5は、特に限定されず、典型的には、溶接現場や土木現場等の作業従事者が該当する。
【0026】
体温調節システム1においては、例えば、流体温度調節装置200が地面、床面等に置かれる。流体温度調節装置200と、体温調節服100の循環通路15とは、継手(継手17、18)を介して、配管(吸水配管221、送水配管222)によって接続されている。継手17、18は、典型的には、カプラである。配管は、典型的には、樹脂製のフレキシブルなチューブである。作業者5は、配管を体温調節服100から引き下げながら、地面または床面を移動して作業を行う。配管(吸水配管221、送水配管222)は、循環通路15に流体を送水したり循環通路15から流出する流体を吸入したりする。
【0027】
【0028】
[体温調節服]
【0029】
体温調節服100は、本体部10と、本体部10の一部に取り付けられた支持部材40と、本体部10の内部に配設された循環通路15とを有する。流体温度調節装置200によって循環通路15に温度が調節された流体を循環させることにより、体温調節服100の温度が調節される。
【0030】
本体部10は、着用者である作業者5の体型に合わせて作製された胴部11と、袖部12と、襟部13と、胴部11の一部から延在された服側継手収容部14を有する。本体部10は、例えば、柔軟な布地を所定の位置で縫製した積層体である。本体部10には、チューブが蛇行するように配置され、チューブの両側を上記縫製が行われることにより、チューブが固定されている。
【0031】
胴部11には、典型的には、右前身頃と左前身頃との合わせ目に閉止手段としてのスライドファスナ(不図示)が設けられている。また、服側継手収容部14は、
図2の例では、胴部11の裾110付近に設けられ、例えば、本体部10の右前身頃の裾110付近から斜め下方に向けて延在されている。服側継手収容部14は、本体部10に収容できない、例えば、分流器(不図示)等の剛体構成物を収容している。
【0032】
支持部材40は、例えば、服側継手収容部14の先端部に取り付けられている。支持部材40の一部は、服側継手収容部14から表出している。服側継手収容部14から表出した部分の支持部材40には、継手171、181(服側継手)が設けられている。継手171、181は、配管(吸水配管221、送水配管222)に取り付けられた継手172、182(配管側継手)に連結可能になっている。例えば、吸水配管221の先端に取り付けられた継手172と支持部材40に取り付けられた継手171とが連結可能であり、送水配管222の先端に取り付けられた継手182と支持部材40に取り付けられた継手181とが連結可能になっている。なお、支持部材40は、服側継手収容部14に取り付けるほか、服側継手収容部14が収容すべく剛体構成物がない場合には、胴部11の裾110付近に取り付けてもよい。
【0033】
循環通路15は、服側継手収容部14の内部に配設された連結通路部151、152を通じて、胴部11、袖部12、及び襟部13の各部位に流体が循環するように構成される。循環通路15は、胴部11における、入水口と排水口との間を結ぶ。例えば、継手181が入水口、継手171が排水口だとすると、継手181から入水した冷却水(又は加温水)が本体部10の各部位に巡回し、排水口である継手171へ導かれる。循環通路15は、流路パターンであって、典型的には、本体部10を構成する2枚の布生地に挟まれたチューブの両側が縫製されことにより構成され、循環通路15は、布生地に固定されている。循環通路15は、1本の流路で形成される場合に限られず、適宜の位置に形成された分流路や合流路等を含んでいてもよい。また、循環通路15は、継手171に接続される継手172、及び継手181に接続される継手182を介して流体温度調節装置200の流体回路22へ液的に接続される。
【0034】
[流体温度調節装置]
【0035】
流体温度調節装置200は、回路ユニット20と、回路ユニット20を収容する筐体30とを有する。流体温度調節装置200は、体温調節服100に配設された循環通路15に配管(吸水配管221、送水配管222)を介して流体を循環させ、体温調節服100内の流体の温度を調節する。
【0036】
回路ユニット20は、冷熱回路21と、流体回路22と、回路ユニット20を制御する制御部23とを有する。
【0037】
冷熱回路21は、冷媒を作動流体として用いる冷凍サイクル回路で構成され、圧縮機211と、凝縮器212と、キャピラリーチューブ213と、蒸発器214とを有する。以下、蒸発器214を熱交換器として流体回路22内の流体(水)を所定温度に冷却する場合について説明する。なお、蒸発器214を凝縮器として機能させるとともに、凝縮器212を蒸発器として機能させるようにすれば、流体回路22内の流体を所定温度に加熱することができる。
【0038】
圧縮機211は、蒸発器214から供給される気体冷媒を圧縮して凝縮器212に冷媒を吐出する。凝縮器212は、圧縮機211から吐出された高温高圧の冷媒ガスを凝縮して液化させる。凝縮器212には必要に応じて凝縮効率を促進させるファン215が付設される。凝縮器212で凝縮された冷媒は、キャピラリーチューブ213で断熱膨張し、蒸発器214で蒸発(気化)する。キャピラリーチューブ213に代えて、電子膨張弁等が採用されてもよい。
【0039】
流体回路22は、体温調節服100の継手171と着脱可能に接続される吸水配管221と、体温調節服100の継手181と着脱可能に接続される送水配管222とを有する。吸水配管221の先端には、継手171に接続される継手172が設けられ、送水配管222の先端には、継手181に接続される継手182が設けられる。
【0040】
流体回路22はさらに、吸水配管221を介して導入された流体(以下、冷却水ともいう)を貯留するタンク223と、タンク223内の冷却水を蒸発器214へ向けて吐出するポンプ224とを有する。ポンプ224から吐出された冷却水は、蒸発器214において、冷媒の蒸発潜熱に相当する熱量を奪われることで冷却される。蒸発器214において所定温度に冷却された冷却水は、送水配管222を介して体温調節服100の継手181へ送出される。
【0041】
制御部23は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータで構成される。制御部23は、圧縮機211、ファン215、ポンプ224等の駆動を制御する。
【0042】
筐体30は、典型的には金属材料で構成されるが、合成樹脂材料、金属材料と合成樹脂材料との複合体等で構成されてもよい。筐体30は、図示せずとも、入力操作部、表示部等が設けられる。入力操作部は、電源スイッチ、温度設定部等の操作キーを含む。表示部は、入力操作部の入力状態を表示する液晶ディスプレイ等の適宜の表示素子で構成される。表示部の表示制御は、例えば、制御部23において実行される。
【0043】
流体温度調節装置200は、回路ユニット20へ電源を供給する電源ケーブル37をさらに備える。電源ケーブル37は、筐体30の例えば側面部から外部へ延出される。電源ケーブル37は交流を直流に変換するアダプタ38を有する。
【0044】
[服側継手収容部、支持部材、及び継手]
【0045】
図3(a)は、服側継手収容部の先端及び継手が配置された支持部材の様子を示す概略断面図であり、
図3(b)は、継手が配置された支持部材の様子を示す概略立体図である。
【0046】
服側継手収容部14は、例えば、布生地製で筒状となっており、開口141によって先端が開放されている。服側継手収容部14の内部には、循環通路15に接続された連結通路部151、152、及び、例えば、1パスを4パスに分流する分流器が2つ配設されている。換言すれば、連結通路部151、152は、総括的には循環通路15の一部でもある。例えば、連結通路部151は、継手171、172を介して、吸水配管221に接続される。連結通路部152は、継手181、182を介して、送水配管222に接続される。
【0047】
支持部401は、服側継手収容部14の先端部に取り付けられ、継手172、182(配管側継手)と直接的に対向させることができる。支持部材40は、服側継手収容部14の開口141から外に突き出てもよく、開口141と支持部401との面が揃ってもよく、服側継手収容部14内に収まっていてもよい。
【0048】
支持部材40は、支持部401と、支持部401に連設された折曲部402、403とを有する。折曲部402、403のそれぞれは、服側継手収容部14内で対向し、循環通路15に接続された連結通路部151、152を挟んでいる。支持部401と折曲部402、403のそれぞれとが成す角は、例えば、85°以上95°以下である。支持部材40は、ミシンで針が貫通可能または穴あけパンチ機で貫通可能な板厚に設定された厚みの樹脂板であり、その厚みは、0.5mm以上1.2mm以下である。例えば、その厚みは、0.75mmである。樹脂としては、軟質塩化ビニル、軟質ポリエチレン、ポロプロピレン等の軟質樹脂があげられる。
【0049】
支持部材40には、一対の継手171、181(服側継手)が支持されている。一対の継手171、181が並ぶ向きは、折曲部402、支持部401及び折曲部403が平面に展開されたときの折曲部402、支持部401及び折曲部403が並ぶ方向と同じである。
【0050】
一対の継手171、181のそれぞれは、支持部401に設けられた孔部404に篏合されている。一対の継手171、181は、孔部404に差し込み式で嵌め合わされることにより、支持部材40(支持部401)に対して脱着可能であってもよい。また、一対の継手171、181の支持部401の取付手段としては、篏合に限らない。例えば、孔部404にネジ部材を付設し、一対の継手171、181のそれぞれがネジ部材と当接する部分にネジ山を設けて、ねじ止めによって継手171、181が支持部401に固定されてもよい。
【0051】
折曲部402、403のそれぞれの少なくとも一部は、服側継手収容部14の内部に位置する。折曲部402、403のそれぞれは、固定部材50によって服側継手収容部14に固定される。例えば、固定部材50が糸材である場合、折曲部402、403のそれぞれは、固定部材50によって縫製される。ここで、支持部材40の支持部401及び折曲部402、403を平面に展開したときの支持部材40が伸びる方向を支持部材40の長手方向とした場合、糸材である固定部材50が延在する方向は、この長手方向と直交する方向に限らず、長手方向であってもよく、長手方向に対して斜めの方向でもよい。また、固定部材50が折曲部402、403を固定する箇所は、一か所に限らず、複数箇所でもよい。
【0052】
図4(a)、(b)は、本実施形態の作用の一例を説明する概略図である。
【0053】
体温調節服100に流体を送水・吸入する配管221、222は、数メートルの長さに及び場合がある。このため、作業者5は、配管221、222を地面、床面等でひきずりながら作業をしたり、あるいは配管221、222を踏みつけて立ち上がったりする場合がある。このような場合、配管221、222に繋がれた継手17、18、及び継手17、18に繋がれた連結通路部151、152には張力がかかる。これにより、継手17、18に接続された連結通路部151、152が伸びて連結通路部151、152の内径が縮小し、連結通路部151、152の流路抵抗が増加したり、あるいは連結通路部151、152と継手17、18との間から流体が漏れたりするおそれがある。
【0054】
しかしながら、
図4(a)に示す体温調節服100を用いれば、継手17、18が配管221、221によって張力F
0で引っ張られたとしても、張力F
0は、支持部材40、服側継手収容部14にも印加され、連結通路部151、152にかかる負荷が減少する。特に、服側継手収容部14は、布生地で構成され、その長手方向での伸縮が可能であるため、張力F
0は、支持部材40を介して服側継手収容部14にもかかる。
【0055】
あるいは、
図4(b)に示すように、体温調節服100によれば、配管221、221が回転方向Rに回転した場合、服側継手収容部14にねじれ140が形成されて、作業者5が目視でねじれに気づき、作業者5がねじれを解くことができる。
【0056】
従って、作業者5の作業によって、配管221、222と繋がれた継手17、18、及び継手17、18に繋がれた連結通路部151、152に張力がかかったとしても、その負荷は、支持部材40、服側継手収容部14にも加わり、連結通路部151、152自体には直接力が加わらなくなる。このため、連結通路部151、152が伸びたり、連結通路部151、152の内径が縮小し流路が閉塞したり、連結通路部151、152の流路抵抗が増加したり、あるいは連結通路部151、152と継手17、18との間から流体が漏れたりすることが抑制される。
【0057】
また、支持部材40は、厚みが0.5mm以上1.2mm以下の樹脂板であることから、文房具などの市販の穴パンチ機なので打ち抜き加工することができる。また、支持部材40が厚みが0.5mm以上1.2mm以下の樹脂板であれば、縫製現場で体温調節服100を製造する際に、支持部材40を本体部10に縫製することができる。また、支持部材40が金属板でなく樹脂板であれば、支持部材40の重さが軽量となる、また、支持部材40が金属板でなく樹脂板であれば、作業者5の作業によって支持部材40と服側継手収容部14とが擦りあったとしても、服側継手収容部14の摩耗が低減する。また、支持部材40が金属板でなく樹脂板であれば、体温調節服100を洗剤で洗浄したとしても支持部材40が錆びつくこともない。
【0058】
また、支持部材40が樹脂板であれば、支持部材40によってが配管(吸水配管221、送水配管222)から受ける衝撃力が吸収される。また、支持部材40が縫製によって服側継手収容部14に固定されていれば、縫製を解くことによって支持部材40を別の支持板と交換することができる。
【0059】
図5(a)~
図5(c)は、本実施形態の変形例を示す概略立体図である。
【0060】
図5(a)に示すように、一対の継手171、181が並ぶ向きは、折曲部402、支持部401及び折曲部403が平面に展開されたときの折曲部402、支持部401及び折曲部403が並ぶ方向と直交してもよい。また、固定部材50が延在する方向は、
図5(a)のように、例えば、支持部材40の支持部401及び折曲部402、403を平面に展開したときの支持部材40の長手方向に沿ってもよい。
【0061】
また、
図5(b)に示すように、支持部401には、孔部404に連通する複数に切り欠き(スリット)405が形成されてもよい。切り欠き405は、例えば、孔部404の中心から放射状に形成される。切り欠き405が支持部401に形成されることにより、継手171、181を孔部404に差し込むとき、あるいは、継手171、181を孔部404から引き抜くときに、孔部404の内径が一時的に広がりやすくなって、容易に継手171、181を孔部404に付けたり、外したりすることができる。
【0062】
また、
図5(c)に示すように、支持部材40は、本体部10(服側継手収容部14)に対して脱着可能であってもよい。例えば、服側継手収容部14の内部には、リング状のリボン142が複数取り付けられている。折曲部402、403には、複数の孔部406が設けられている。複数の孔部406のそれぞれと、複数の孔部406のそれぞれに近接するリボン142とに結束バンド等の固定部材51を挿通させることによって複数の孔部406のそれぞれと、複数のリボン142のそれぞれとが連結している。
【0063】
固定部材51は、例えば、樹脂で構成され、カッタ、ハサミ等の治具で切断することが可能である。固定部材51の切断によって固定部材51を孔部406及びリボン142から解き解すことにより、複数の孔部406のそれぞれと、複数のリボン142のそれぞれとの連結が解除される。これにより、支持部材40を服側継手収容部14から取り除くことができる。そして、複数の孔部406のそれぞれと、複数の孔部406のそれぞれに近接するリボン142とに固定部材51を挿通させれば、複数の孔部406のそれぞれと、複数のリボン142のそれぞれとを再び連結することができ、支持部材40を服側継手収容部14に取り付けることができる。
【0064】
このような構成であれば、支持部材40の孔部404の位置、数、径の変更が要される場合、新規の支持部材40に事後的に取り換えることが可能になり、支持部材40に取り付けられる継手を選択する使用幅が拡大する。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…体温調節システム
5…作業者
10…本体部
11…胴部
12…袖部
13…襟部
14…服側継手収容部
15…循環通路
17…継手
20…回路ユニット
21…冷熱回路
22…流体回路
23…制御部
30…筐体
37…電源ケーブル
38…アダプタ
40…支持部材
50、51…固定部材
100…体温調節服
110…裾
141…開口
142…リボン
151、152…連結通路部
171、181…継手(服側継手)、
172、182…継手(配管側継手)
200…流体温度調節装置
211…圧縮機
212…凝縮器
213…キャピラリーチューブ
214…蒸発器
215…ファン
221…吸水配管
222…送水配管
223…タンク
224…ポンプ
401…支持部
402、403…折曲部
404、406…孔部
405…切り欠き