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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097059
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】同軸ホース及び体温調節システム
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/20 20060101AFI20220623BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
F16L11/20
A41D13/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210418
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】591240984
【氏名又は名称】株式会社鎌倉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】堀江 威史
(72)【発明者】
【氏名】山坂 昇
【テーマコード(参考)】
3B011
3H111
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3H111AA02
3H111CA12
3H111DB27
(57)【要約】
【課題】ホースの取り回しの悪さを改善できる同軸ホースを提供する。
【解決手段】同軸ホースは、第1継手と、第2継手と、第1ホース部材と、第2ホース部材とを具備する。第1継手は、第1配管が接続される第1接続ポートと、第1接続ポートと同軸の第1連結ポートと、第2配管が接続され第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有する。第2継手は、第3配管が接続される第3接続ポートと、第3接続ポートと同軸の第2連結ポートと、第4配管が接続され第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有する。第1ホース部材は、第1継手および第2継手に支持される2つの端部のうち少なくとも一方がその軸まわりに回転可能に軸支され、第1接続ポートと第3接続ポートとの間を連絡する。第2ホース部材は、第1連結ポートと第2連結ポートとの間に接続され、第1ホース部材を内部に収容し、第2接続ポートと第4接続ポートとの間を連絡する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管が接続される第1接続ポートと前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する第1主管部と、第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有し前記第1主管部から分岐する第1分岐管部とを有する第1継手と、
第3配管が接続される第3接続ポートと前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する第2主管部と、第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有し前記第2主管部から分岐する第2分岐管部とを有する第2継手と、
前記第1継手および前記第2継手に支持される2つの端部を有し、前記2つの端部のうち少なくとも一方の端部がその軸まわりに回転可能に軸支されているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する可撓性の第1ホース部材と、
前記第1連結ポート前記第2連結ポートとの間に接続され、前記第1ホース部材を内部に収容し、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する可撓性の第2ホース部材と
を具備する同軸ホース。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸ホースであって、
前記第1継手は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記2つの端部のうち一方の第1端部に摺動自在に嵌合する第1筒体をさらに有する
同軸ホース。
【請求項3】
前記第2継手は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記2つの端部のうち他方の第2端部に摺動自在に嵌合する第2筒体をさらに有し、
前記第1筒体および前記第2筒体は、前記第1ホース部材よりも硬質の材料で構成される
同軸ホース。
【請求項4】
請求項1に記載の同軸ホースであって、
前記第1継手は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記2つの端部のうち一方の第1端部に着脱可能に接続される第1カプラをさらに有し、
前記第2継手は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記2つの端部のうち他方の第2端部に着脱可能に接続される第2カプラをさらに有する
同軸ホース。
【請求項5】
吸水用の第1配管と送水用の第2配管とを有し、流体の温度を調節する流体温度調節装置と、
第3配管と第4配管とを含む流体の循環通路を有し、着用者の体温を調節することが可能な体温調節服と、
前記第1配管と前記第3配管との間を接続し、前記第2配管と前記第4配管との間を接続する同軸ホースと、を具備し、
前記同軸ホースは、
前記第1配管が接続される第1接続ポートと前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する第1主管部と、前記第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有し前記第1主管部から分岐する第1分岐管部と、を有する第1継手と、
前記第3配管が接続される第3接続ポートと前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する第2主管部と、前記第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有し前記第2主管部から分岐する第2分岐管部と、を有する第2継手と、
前記第1継手および前記第2継手に支持される2つの端部を有し、前記2つの端部のうち少なくとも一方の端部がその軸まわりに回転可能に軸支されているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する可撓性の第1ホース部材と、
前記第1連結ポート前記第2連結ポートとの間に接続され、前記第1ホース部材を内部に収容し、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する可撓性の第2ホース部材と、を有する
体温調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ホース及びこれを備えた体温調節システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温あるいは低温の作業環境にある屋内、または夏季あるいは冬季における屋外での作業での快適性を高めるため、冷却または加熱された流体を作業者が着用している服の内部に流通させ、作業者の体温調節を行う体温調節服が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-520112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体温調節服に流体を送水・吸水する2本のホースは、作業者の移動に伴い地面を這ってゆくため、作業者の歩行や作業の邪魔になりやすい。特に、行き帰りの2本のホースを平行して走らせており、これらをまとめて1本の筒状のカバーで覆っているため、どうしても屈曲しやすい方向に偏りが生じ、作業者の動きに追従してスムーズに屈曲することが難しく、ともすると、意図しない方向に反り返り、ホースが床にある障害物に引っ掛かったり、ねじれたり、折れたりするという取り回しの悪さが露呈する。
また、ホースが過度にねじられたり、折れ曲がったりすると、流路断面が減少して、流量が低下したり、最悪閉塞したりして、十分な体温調節効果が得られないというおそれもある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、上述した取り回しの悪さを改善可能な同軸ホース及びこれを備えた体温調節システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る同軸ホースは、第1継手と、第2継手と、可撓性の第1ホース部材と、可撓性の第2ホース部材とを具備する。
前記第1継手は、第1主管部と、前記第1主管部から分岐する第1分岐管部とを有する。前記第1主管部は、第1配管が接続される第1接続ポートと、前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する。前記第1分岐管部は、第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有する。
前記第2継手は、第2主管部と、前記第2主管部から分岐する第2分岐管部とを有する。前記第2主管部は、第3配管が接続される第3接続ポートと、前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する。前記第2分岐管部は、第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有する。
前記第1ホース部材は、前記第1継手および前記第2継手に支持される2つの端部を有し、前記2つの端部のうち少なくとも一方の端部がその軸まわりに回転可能に軸支されているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する。
前記第2ホース部材は、前記第1連結ポート前記第2連結ポートとの間に接続され、前記第1ホース部材を内部に収容し、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する。
【0007】
上記同軸ホースにおいては、ホースの大部分が概ね軸対称形状であることから、屈曲しやすい方向に偏りがなく、素直な変形が生じやすい。加えて、第1ホース部材の少なくとも一方の端部が第1継手または第2継手に対して回動可能に軸支されているため、ねじれが生じた場合の反力が生じにくい。これにより、ホースが床にある障害物に引っ掛かったり、ねじれたり、折れたりすることが緩和されやすい。
【0008】
前記第1継手は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記前記2つの端部のうち一方の第1端部に摺動自在に嵌合する第1筒体をさらに有してもよい。
【0009】
これにより、第1ホース部材に張力が加わっても、軸方向に滑って張力の発生を抑制するため、作業者の動きに伴いより自然に変形することができる。
【0010】
前記第2継手は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記前記2つの端部のうち他方の第2端部に摺動自在に嵌合する第2筒体をさらに有し、前記第1筒体および前記第2筒体は、前記第1ホース部材よりも硬質の材料で構成されてもよい。
【0011】
前記第1継手は、前記第1接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記前記2つの端部のうち一方の第1端部に着脱可能に接続される第1カプラをさらに有し、前記第2継手は、前記第3接続ポート内に取り付けられ前記第1ホース部材の前記前記2つの端部のうち他方の第2端部に着脱可能に接続される第2カプラをさらに有してもよい。
【0012】
発明の一形態に係る体温調節システムは、流体温度調節装置と、体温調節服と、同軸ホースとを具備する。
前記流体温度調節装置は、吸水用の第1配管と送水用の第2配管とを有し、流体の温度を調節する。
前記体温調節服は、第3配管と第4配管とを含む流体の循環通路を有し、着用者の体温を調節することが可能に構成される。
前記同軸ホースは、前記第1配管と前記第3配管との間を接続し、前記第2配管と前記第4配管との間を接続する。
前記同軸ホースは、第1継手と、第2継手と、可撓性の第1ホース部材と、可撓性の第2ホース部材とを有する。
前記第1継手は、第1主管部と、前記第1主管部から分岐する第1分岐管部とを有する。前記第1主管部は、前記第1配管が接続される第1接続ポートと、前記第1接続ポートと同軸上に形成された第1連結ポートとを有する。前記第1分岐管部は、前記第2配管が接続され前記第1連結ポートと連通する第2接続ポートを有する。
前記第2継手は、第2主管部と、前記第2主管部から分岐する第2分岐管部とを有する。前記第2主管部は、前記第3配管が接続される第3接続ポートと、前記第3接続ポートと同軸上に形成された第2連結ポートとを有する。前記第2分岐管部は、前記第4配管が接続され前記第2連結ポートと連通する第4接続ポートを有する。
前記第1ホース部材は、前記第1継手および前記第2継手に支持される2つの端部を有し、前記2つの端部のうち少なくとも一方の端部がその軸まわりに回転可能に軸支されているとともに、前記第1接続ポートと前記第3接続ポートとの間を連絡する第1流路を形成する。
前記第2ホース部材は、前記第1連結ポート前記第2連結ポートとの間に接続され、前記第1ホース部材を内部に収容し、前記第2接続ポートと前記第4接続ポートとの間を連絡する第2流路を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホースの取り回しが改善されるため、ホースが床にある障害物に引っ掛かったり、ねじれたり、折れたりするということが軽減され、ひいては、ホースのねじれによる体温調節服の循環通路の流量低下および閉塞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る同軸ホースを備えた体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
図2】体温調節システムの概略構成図である。
図3】第1実施形態に係る同軸ホースを示す要部の概略断面図である。
図4】第1実施形態に係る同軸ホースを示す他の要部の概略断面図である。
図5】第1実施形態に係る同軸ホースの作用を説明する要部の概略断面図である。
図6】第2実施形態に係る同軸ホース示す要部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す数値は例示であり、この例に限らない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る同軸ホースを備えた体温調節システムの概要を示す作業者の側面図である。
【0017】
[体温調節システム]
本実施形態の体温調節システム1は、体温調節服100と、流体温度調節装置200と、体温調節服100と流体温度調節装置200とを繋ぐ同軸ホース60とを備える。同軸ホース60は、第1継手40Aと、第2継手40Bと、ホース本体50とを有する。第1継手40Aは、ホース本体50の一方の(流体温度調節装置200側の)端部に接続され、第2継手40Bは、ホース本体50の他方の(体温調節服100側の)端部に接続されている。ホース本体50は、外径の異なる2本のホース部材を有する可撓性の二重管である。
【0018】
体温調節服100は、作業者5が着用可能な適宜の形態の衣服であって、作業者5の体温を調節(冷却又は加温)することが可能な流体(例えば、水)が循環する循環通路15を有する。流体温度調節装置200においては、体温調節服100の内部を循環する流体の温度を調節する冷熱回路が筐体30に内蔵されている。作業者5は、特に限定されず、典型的には、溶接現場や土木現場等の作業従事者が該当する。
【0019】
体温調節システム1においては、例えば、流体温度調節装置200が地面、床面等に置かれる。流体温度調節装置200と、体温調節服100内の循環通路15から体温調節服100外に延在した連結通路部151、152とは、同軸ホース60を介して、配管(吸水配管221、送水配管222)によって接続されている。連結通路部151、152は、総括的には循環通路15の一部である。配管は、典型的には、樹脂製のフレキシブルなチューブである。作業者5は、配管を体温調節服100から引き下げながら、地面または床面を移動して作業を行う。配管(吸水配管221、送水配管222)は、循環通路15に流体を流入させたり循環通路15から流出する流体を吸水したりする際の流路である。
【0020】
図2は、体温調節システムの概略構成図である。
【0021】
[体温調節服]
体温調節服100は、本体部10と、本体部10の内部に配設され流体が循環する循環通路15とを有する。流体温度調節装置200によって循環通路15に温度が調節された流体を循環させることにより、体温調節服100の温度が調節される。
【0022】
本体部10は、着用者である作業者5の体型に合わせて作製された胴部11と、袖部12と、襟部13とを有する。本体部10は、例えば、柔軟な布地を所定の位置で縫製した積層体で構成される。また、胴部11には、典型的には、右前身頃と左前身頃との合わせ目に閉止手段としてのスライドファスナ(不図示)が設けられている。本体部10には、循環通路15を形成するチューブが蛇行するように配置され、その両脇を縫製することにより当該チューブが固定されている。
【0023】
同軸ホース60は、連結通路部151、152と配管(吸水配管221、送水配管222)とを連結可能にする。例えば、同軸ホース60を介して、吸水配管221は、連結通路部151と連通可能であり、送水配管222は、連結通路部152と連通可能になっている。
【0024】
循環通路15は、胴部11、袖部12、及び襟部13の各部位に流体が循環するように構成される。例えば、連結通路部151が入水通路、連結通路部152が排水通路だとすると、連結通路部151から入水した冷却水(又は加温水)が本体部10の各部位に巡回し、連結通路部152へ導かれる。循環通路15は、1本の流路で形成される場合に限られず、適宜の位置に形成された分流路や合流路等を含んでいてもよい。また、循環通路15は、同軸ホース60を介して流体温度調節装置200の流体回路22へ液的に接続される。
【0025】
[流体温度調節装置]
流体温度調節装置200は、回路ユニット20と、回路ユニット20を収容する筐体30とを有する。流体温度調節装置200は、体温調節服100に配設された循環通路15に配管(吸水配管221、送水配管222)を介して流体を循環させ、体温調節服100内の流体の温度を調節する。
【0026】
回路ユニット20は、冷熱回路21と、流体回路22と、回路ユニット20を制御する制御部23とを有する。
【0027】
冷熱回路21は、冷媒を作動流体として用いる冷凍サイクル回路で構成され、圧縮機211と、凝縮器212と、キャピラリーチューブ213と、蒸発器214とを有する。以下、蒸発器214を熱交換器として流体回路22内の流体(水)を所定温度に冷却する場合について説明する。なお、蒸発器214を凝縮器として機能させるとともに、凝縮器212を蒸発器として機能させるようにすれば、流体回路22内の流体を所定温度に加熱することができる。
【0028】
圧縮機211は、蒸発器214から供給される気体冷媒を圧縮して凝縮器212に冷媒を吐出する。凝縮器212は、圧縮機211から吐出された高温高圧の冷媒ガスを凝縮して液化させる。凝縮器212には必要に応じて凝縮効率を促進させるファン215が付設される。凝縮器212で凝縮された冷媒は、キャピラリーチューブ213で断熱膨張し、蒸発器214で蒸発(気化)する。キャピラリーチューブ213に代えて、電子膨張弁等が採用されてもよい。
【0029】
流体回路22は、吸水配管221と、送水配管222とを有する。流体回路22はさらに、吸水配管221を介して導入された流体(以下、冷却水ともいう)を貯留するタンク223と、タンク223内の冷却水を蒸発器214へ向けて吐出するポンプ224とを有する。ポンプ224から吐出された冷却水は、蒸発器214において、冷媒の蒸発潜熱に相当する熱量を奪われることで冷却される。蒸発器214において所定温度に冷却された冷却水は、送水配管222を介して同軸ホース60へ送出される。
【0030】
制御部23は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータで構成される。制御部23は、圧縮機211、ファン215、ポンプ224等の駆動を制御する。
【0031】
筐体30は、典型的には金属材料で構成されるが、合成樹脂材料、金属材料と合成樹脂材料との複合体等で構成されてもよい。筐体30は、図示せずとも、入力操作部、表示部等が設けられる。入力操作部は、電源スイッチ、温度設定部等の操作キーを含む。表示部は、入力操作部の入力状態を表示する液晶ディスプレイ等の適宜の表示素子で構成される。表示部の表示制御は、例えば、制御部23において実行される。あるいは、図示しないリモートコントローラを介して入力操作を行うことができてもよい。
【0032】
流体温度調節装置200は、回路ユニット20へ電源を供給する電源ケーブル37をさらに備える。電源ケーブル37は、筐体30の例えば側面部から外部へ延出される。電源ケーブル37は交流を直流に変換するアダプタ38を有する。
【0033】
[同軸ホース]
続いて、本実施形態の同軸ホース60の詳細について説明する。図3は、同軸ホース60の第1継手40Aを示す概略断面図、図4は、同軸ホース60の第2継手40Bを示す概略断面図である。
なお、図3におけるX1軸、Y1軸およびZ1軸、図4におけるX2軸、Y2軸およびZ2軸は、それぞれ相互に直交する3軸方向を示している。
【0034】
同軸ホース60は、内部に二重構造の流路を有しており、第1継手40Aと、第2継手40Bと、可撓性を有する(フレキシブルな)長尺のホース本体50とを備える。図3および図4に示すように、第1継手40Aおよび第2継手40Bは、ホース本体50を挟んで互いに対称な形状を有する。ホース本体50は、第1ホース部材510と、第2ホース部材520とを有する。さらに、第1継手40Aは、第1ホース部材510の一端を軸支する第1筒体530を有し、第2継手40Bは、第1ホース部材510の他端を軸支する第2筒体540を有する。
【0035】
第1継手40Aは、図3に示すように、X1軸(第1の軸)方向に延びる第1主管部41Aと、第1主管部41Aから分岐する第1分岐管部42Aとを有する。
第1主管部41Aは、流体温度調節装置200の吸水配管221(第1配管)に接続される第1接続ポート410と、この第1接続ポート410とは反対側に設けられた第1連結ポート451とを有する。
第1分岐管部42Aは、流体温度調節装置200の送水配管222(第2配管)が接続される第2接続ポート420を有する。第2接続ポート420は、第1主管部41Aの内部を介して第1連結ポート451と連通している。
【0036】
第1接続ポート410と第1連結ポート451は、同軸上に形成されている。つまり、第1接続ポート410の中心軸410cと、第1連結ポート451の中心軸451cとは、互いに一致する。ここで、中心軸同士の「一致」とは、完全な一致のほか、同軸ホース60の作用効果に影響を及ぼさない程度の微小の真直度のずれ(オフセット)も含む(以下同様)。第1分岐管部42Aは、第2接続ポート420が第1接続ポート410に対してY1軸方向に配列されるように、第1接続ポート410と第1連結ポート451との間から第1主管部41Aに対して例えばL字状に折り返される。第1分岐管部42Aの形状は、上述したL字状に限らず、円弧状、ストレート状等であってもよい。
【0037】
第1接続ポート410は、吸水配管221に接続される先端部411を有する。第2接続ポート420は、送水配管222に接続される先端部421を有する。先端部411、421のそれぞれは、X1軸方向に平行に延在する。先端部411、421のそれぞれの表面には、吸水配管221および送水配管222の抜けを抑制する環状の凹凸が形成されている。第1接続ポート410内には、第1筒体530の挿入位置を規定するストッパS1が設けられている。
【0038】
第2継手40Bは、図4に示すように、X2(第2軸)方向に延びる第2主管部41Bと、第2主管部41Bから分岐する第2分岐管部42Bとを有する。
第2主管部41Bは、体温調節服100の循環通路15の一方の連結通路部151(第3配管)に接続される第3接続ポート430と、この第3接続ポート430とは反対側に設けられた第2連結ポート452とを有する。
第1分岐管部42Bは、循環通路15の他方の連結通路部152(第4配管)が接続される第4接続ポート440を有する。第4接続ポート440は、第2主管部41Bの内部を介して第2連結ポート452と連通している。
【0039】
第3接続ポート430と第2連結ポート452は、同軸上に形成されている。つまり、第3接続ポート430の中心軸430cと第2連結ポート452の中心軸452cとは、互いに一致する。第2分岐管部42Bは、第4接続ポート440が第3接続ポート430に対してY2軸方向に配列されるように、第3接続ポート410と第2連結ポート452との間から第2主管部41Bに対して例えばL字状に折り返される。第2分岐管部42Bの形状は、上述したL字状に限らず、円弧状、ストレート状等であってもよい。
【0040】
第3接続ポート430は、一方の連結通路部151に接続される先端部431を有する。第4接続ポート440は、他方の連結通路部152に接続される先端部441を有する。先端部431、441のそれぞれは、X2軸方向に平行に延在する。先端部431、441のそれぞれの表面には、連結通路部151,152の抜けを抑制する環状の凹凸が形成されている。第3接続ポート430内には、第2筒体540の挿入位置を規定するストッパS2が設けられている。
【0041】
第1ホース部材510は、可撓性を有する円筒状の数m以上の長尺(例えば、4m~10m)のホース部材である。第1ホース部材510は、第1継手40Aと第2継手40Bの双方に亘って配置されており、第1継手40Aに支持される第1端部511と、第2継手40Bに支持される第2端部512とを有する。
【0042】
第1ホース部材510の第1端部511は、第1継手40Aの内部に配置される。第1端部511は、第1筒体530を介して第1接続ポート410に連通するとともに、第1接続ポート410の中心軸410cを中心に回転可能に軸支される。また、第1端部511は、第1筒体530に対してX1軸方向に摺動自在に嵌合している。
【0043】
第1筒体530は、X1軸方向に延びるストレート状の円筒体であり、第1接続ポート410に一方の開口端531が挿通され、第1ホース部材510に他方の開口端532が挿通されている。第1筒体530の中心軸は、第1接続ポート410の中心軸410cに一致している。第1筒体530は、第1継手40Aの内部から第1接続ポート410に挿通され、第1接続ポート410に圧入または接着の手法により固定されている。
【0044】
第1ホース部材510と第1筒体530との間には、微幅のクリアランスがあり、第1ホース部材510が第1筒体530に対して同心状に接触配置される。これにより、第1ホース部材510が第1筒体530の中心軸を中心に回転可能に構成され、第1ホース部材510は、第1接続ポート410の中心軸410cを中心に回転できることになる。
【0045】
なお、本実施形態での「微幅のクリアランス」とは、流体が第1ホース部材510と第1筒体530との間から漏れを許容範囲内に抑えられる程度であって、第1ホース部材510が第1筒体530の中心軸を中心に自在に回転できる幅である。なお、第1ホース部材510と第1筒体530との間に適宜、潤滑剤が設けられてもよい。
【0046】
一方、第1ホース部材510の第2端部512は、第2継手40Bの内部に配置される。第2端部512は、第2筒体540を介して第3接続ポート430に連通するとともに、第3接続ポート430の中心軸430cを中心に回転可能に軸支される。また、第2端部512は、第2筒体540に対してX2軸方向に摺動自在に嵌合している。
【0047】
第2筒体540は、X2軸方向に延びるストレート状の円筒体であり、第3接続ポート430に一方の開口端541が挿通され、第1ホース部材510に他方の開口端542が挿通されている。第2筒体540の中心軸は、第3接続ポート430の中心軸430cに一致している。第2筒体540は、第2継手40Bの内部から第3接続ポート430に挿通され、第3接続ポート430に圧入または接着の手法により固定されている。
【0048】
第1ホース部材510と第2筒体540との間には、微幅のクリアランスがあり、第1ホース部材510が第2筒体540に対して同心状に接触配置される。これにより、第1ホース部材510が第2筒体540の中心軸を中心に回転可能に構成され、第1ホース部材510は、第3接続ポート430の中心軸430cを中心に回転できることになる。また、この微幅のクリアランスによって、第1ホース部材510と第2筒体540との間からの流体の漏れを抑えながら、第1ホース部材510が第2筒体540の中心軸を中心に自在に回転できる。なお、第1ホース部材510と第2筒体540との間に適宜、潤滑剤が設けられてもよい。
【0049】
第2ホース部材520も同様に、可撓性を有する円筒状の数m以上の長尺(例えば、4m~10m)のホース部材である。第2ホース部材520の外径は、第1ホース部材510の外径よりも大きく、第2ホース部材520の全長は、第1ホース部材510の全長よりも短い。第2ホース部材520は、第1ホース部材510を収容することで、第1ホース部材510の外側に配置される。
【0050】
第2ホース部材520は、第1連結ポート451と第2連結ポート452との間に接続されており、第1連結ポート451に着脱可能に接続される第1端部521と、第2連結ポート452に着脱可能に接続される第2端部522とを有する。第1連結ポート451の先端部外周面451aおよび第2連結ポート452の先端部外周面452aには、第2ホース部材520の各端部521,522の抜けを抑制する環状の凹凸が形成されている。第2ホース部材520の各端部521,522は、第1連結ポート451および第2連結ポート452に対して軸まわりに回転不能に固定されてもよいが、少なくとも一方の端部がその軸まわりに回転可能に軸支されてもよい。
【0051】
第1ホース部材510は、第1継手40Aの第1接続ポート410と第2継手40Bの第3接続ポート430との間を連絡する第1流路408を形成する。本実施形態において第1流路408は、第1接続ポート410(先端部411)の内周面、第1ホース部材510の内周面、第1筒体530の内周面、第2筒体540の内周面、および第3接続ポート430(先端部431)の内周面によって囲まれた空間で形成される。
【0052】
一方、第2ホース部材520は、第1継手40Aの第2接続ポート420と第2継手40Bの第4接続ポート440との間を連絡する第2流路409を形成する。本実施形態において第2流路409は、第2接続ポート420(先端部421)の内周面、第1分岐管部42Aの内周面、第1連結ポート451の内周面、第2ホース部材520の内周面、第1ホース部材510の外周面、第2連結ポート452の内周面、第2分岐管部42Bの内周面、および第4接続ポート440(先端部441)の内周面によって囲まれた空間で形成される。
【0053】
ここで、第2流路409は、第1流路408の周りに形成されている。また、第1ホース部材510が第2ホース部材520の内部に配置されている。従って、本実施形態においては、第1ホース部材510と第2ホース部材520とによって、第1ホース部材510および第2ホース部材520により各々の中心軸のまわりに回転可能な二重管が構成される。なお、本実施形態の同軸ホース60においては、第1ホース部材510が第2ホース部材520の内部において第2ホース部材520の径方向に移動可能であるため、ホース本体50の全長に亘って第1ホース部材510および第2ホース部材520が常に同軸上にあるとは限らない。ここでは、第1継手40Aおよび第2継手40Bに対して第1ホース部材510および第2ホース部材520がそれぞれ同軸的に接続されているという意味において、上記二重管を「同軸ホース」と称している。
【0054】
体温調節服100と流体温度調節装置200とが同軸ホース60によって繋がれたとき、例えば、送水配管222から送水された流体は、第2接続ポート420、第2流路409、および第4接続ポート440を経由して体温調節服100の連結通路部152に供給される。一方、体温調節服100の循環通路15を循環した流体は、体温調節服100の連結通路部151、第3接続ポート430、第1流路408、および第1接続ポート410を経由して吸水配管221に吸水される。
【0055】
なお、同軸ホース60の左右を反転させて、第1接続ポート410が連結通路部151に、第2接続ポート420が連結通路部152にそれぞれ接続されてもよい。この場合、第3接続ポート430が吸水配管221に、第4接続ポート440が送水配管222にそれぞれ接続される。
【0056】
このように、体温調節服100は、循環通路15に対して、第1接続ポート410と第2接続ポート420とを有する第1継手40A、および、第3接続ポート430と第4接続ポート440とを有する第2継手40Bのうち一方に接続可能になっている。流体温度調節装置200は、循環通路15に対して、第1接続ポート410と第2接続ポート420を有する第1継手40A、および、第3接続ポート430と第4接続ポート440とを有する第2継手40Bとのうち他方を介して流体を循環させることができる。
【0057】
第1継手40Aおよび第2継手40Bは、例えば、樹脂材料、ステンレス(SUS)、アルミニウム等によって構成される。また、第1ホース部材510および第2ホース部材520は、典型的には、変形可能な合成樹脂材料で構成されるが、金属製のフレキシブルホースが採用されてもよい。第1筒体530および第2筒体540は、例えば合成樹脂材料や金属材料等によって構成される。第1ホース部材510が合成樹脂材料で構成される場合、第1筒体530および第2筒体540は、第1ホース部材510よりも硬質の材料で構成されるのが好ましい。これにより、第1ホース部材510の各端部を第1筒体530および第2筒体540のまわりに安定に回転させることが可能となる。
【0058】
以上のように構成される本実施形態の同軸ホース60によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0059】
例えば、体温調節服100に流体を送水・吸水する2本の配管(吸水配管221、送水配管222)は、作業者5の移動に伴い地面を這ってゆくため、作業者5の歩行や作業の邪魔になりやすい。特に、行き帰りの2本のホースを平行して走らせており、これらをまとめて1本の筒状のカバーで覆っているため、どうしても屈曲しやすい方向に偏りが生じ、作業者の動きに追従してスムーズに屈曲することが難しく、ともすると、意図しない方向に反り返り、ホースが床にある障害物に引っ掛かったり、ねじれたり、折れたりするという取り回しの悪さが露呈する。また、ホースが過度にねじられたり、折れ曲がったりすると、流路断面が減少して、流量が低下したり、最悪閉塞したりして、十分な体温調節効果が得られないというおそれもある。
【0060】
これに対して本実施形態によれば、上述した構成の同軸ホース60を介して体温調節服100と流体温度調節装置200との間が接続されている。同軸ホース60においては、行き帰りのホースが二重管で構成されているため、ホースの大部分が概ね軸対称形状である。このため、同軸ホース60の屈曲しやすい方向に偏りがなく、素直な変形が生じやすい。加えて、第1ホース部材510の両端部511,512が第1継手40Aおよび第2継手40Bに対して回動可能に軸支されているため、ねじれが生じた場合の反力が生じにくい。これにより、ホースが床にある障害物に引っ掛かったり、ねじれたり、折れたりすることが緩和されやすい。また、第1ホース部材510の各端部511,512がそれぞれ第1筒体530および第2筒体540に対して軸方向に摺動自在に支持されているため、第1ホース部材に張力が加わっても、軸方向に滑って張力の発生を抑制するため、作業者の動きに伴いより自然に変形することができる。
【0061】
図3および図5に示すように、例えば、第1継手40A側の配管(吸水配管221、送水配管222)が回転方向R1にねじれた場合、内管である第1ホース部材510は、外管である第2ホース部材520の内部において局所的に移動することで、第1ホース部材510に作用するねじれを緩和する。あるいは、第1ホース部材510の第1端部511が第1筒体530のまわりに回転することで、第1ホース部材510に作用するねじれを消失させる。第2ホース部材520内における第1ホース部材510の移動および第1筒体に対する第1ホース部材510の回転は、同時に行われてもよい。これにより、第1ホース部材510のねじれによる流路面積の低下や流路の閉塞を防止できる。この結果、体温調節服100は、流体温度調節装置200によって所望の温度に維持あるいは調整される。
【0062】
また、第1ホース部材510が第1筒体530に対して回転可能であるため、第1ホース部材510に連通する、第2継手40B側の連結通路部151または吸水配管221はねじれにくくなる。また、第1ホース部材510と筒体530との間には所定のクリアランスがあるため、第1ホース部材510と筒体530とは中心軸420cの方向に相対移動もできる。このため、第1ホース部材510と第2ホース部材520との撓み量の差が緩和される。これにより、第1ホース部材510が連結通路部151を介して連通する体温調節服100内の循環通路15が局部的に引っ張られる現象も回避される。この結果、同軸ホース60と連結通路部151との間から流体が漏れる現象も起きなくなる。
【0063】
なお図5に示すように、同軸ホース60のホース本体50がコイル状に巻回された場合、第1ホース部材510は第2ホース部材520の径外方側の内周面に沿うように螺旋状に変形する。この場合、第1ホース部材510にはねじれと張力が作用するが、第1ホース部材510の第1端部511が第1筒体530に対して軸方向に回転および摺動自在であるため、当該ねじれと張力が緩和される。このように、同軸ホース60の伸縮等により第1ホース部材510に生じるねじれや張力を効果的に緩和することができるため、当該張力による第1ホース部材510の流路断面の減少あるいは第1ホース部材510の破断を防ぐことができる。
【0064】
一方、外側ホースである第2ホース部材520が第1連結ポート451の中心軸451cを中心に回転できない構造であっても、第2ホース部材520は第1ホース部材510に比べて充分に太い。このため、第2ホース部材520がねじれたとしても、第2ホース部材520内の第2流路409は確保される。また、第2ホース部材520は数m以上の長さを有するため、その全長における弾性変形や形状変化によってねじれを吸収しやすくなっている。
【0065】
このように、少なくとも内側ホースに回転機構を持たせることで、細い内側ホースのねじれが回避され、第1流路408及び第2流路409が確実に確保される。さらに、第1ホース部材510は、第1筒体530および第2筒体540に対して着脱可能であり、第2ホース部材520は、第1連結ポート451および第2連結ポート452に対して着脱可能であるため、同軸ホース60のメンテナンスが容易になる。
【0066】
なお、体温調節服100の配管(連絡通路部151,152)側でねじれが生じた場合においても同様に、第1ホース部材510のねじれを防ぐことができる。この場合、第1ホース部材510の第2端部512が第2筒体540に対して回転することで、第1ホース部材510に作用するねじれを消失させることができる。
【0067】
また本実施形態のように、第2接続ポート420を有する第1分岐管部42AがL字状に形成されることで第1接続ポート410及び第2接続ポート420がそれらの軸心方向(X1軸方向)に直交する方向(Y1軸方向)に並設された場合には、作業中に第1接続ポート410及び第2接続ポート430に回転モーメントが強く働く場合がある。同じく、第4接続ポート440を有する第2分岐管部42BがL字状に形成されることで第3接続ポート430及び第4接続ポート440がそれらの軸心方向(X2軸方向)に直交する方向(Y2軸方向)に並設された場合には、作業中に第3接続ポート430及び第4接続ポート440に回転モーメントが強く働く場合がある。このような場合、本実施形態の同軸ホース60によれば、吸水配管221及び送水配管222、または連結通路部151、152で生じた回転モーメントを効率よく吸収することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、第1ホース部材510が第1筒体530および第2筒体540に対して、いずれも回転可能に軸支されているが、このうちの一方のみに対して回転可能な構成にしても、第1筒体530と第2筒体540との間で生じるねじれは吸収できるため、このような構成を採用してもよい。
その場合、回転しない側の第1筒体530または第2筒体540は、もはや第1ホース部材510と別体とする必要がなくなるため、直接第1ホース部材510の一方の端部を第1接続ポート410または第3接続ポート430に圧入や接着などの方法で固定しても構わない。
【0069】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る同軸ホース61における第1継手40Aを示す概略断面図である。
以下、第1実施形態と異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0070】
本実施形態では、第1筒体530の代わりにカプラ550(第1カプラ)が用いられる。カプラ550としては、典型的には、ワンタッチ継手のようなカップリング部材が用いられる。カプラ550は、第1接続ポート410に連通する内部通路を有する第1部材551と、第1部材551に対して着脱可能な第2部材552とを有する。第2部材552はシール部材を介して第1ホース部材510の第1端部511を保持する。第2部材552は、第1部材551に装着されることで第1接続ポート410と第1ホース部材510との間を連通させる。また、第2部材552は、第1部材551に対して第1接続ポート410の中心軸410cまわりに回転可能である。第2部材552は操作部552aに対する軸方向への押圧操作により、第1部材551から離脱可能に構成される。
【0071】
なお図示せずとも、第2継手40B側についても同様に、第2筒体530の代わりにカプラ540と同様な構成のカプラ(第2カプラ)が採用されてもよい。この場合、第1ホース部材510の第2端部512も同様に、第3接続ポート430に対してその軸周りに回転可能に構成することができる。
【0072】
以上のように構成される本実施形態の同軸ホース61についても、上述の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。特に本実施形態によれば、第1ホース部材510の両端部511,512がカプラ540を介して第1接続ポート410および第3接続ポート430に安定に接続することができるため、第1ホース部材510がこれら接続ポート410,430から不用意に脱落するのを確実に防止できる。
【0073】
なお、本実施の形態では、第1ホース部材510が第1接続ポート410および第3接続ポート430に対して、いずれも回転可能に構成されたが、このうちの一方のみに対して回転可能な構成にしても、第1接続ポート410と第3接続ポート430との間で生じるねじれは吸収できるため、このような構成を採用してもよい。
その場合、第1ホース部材510の回転しない側の端部は、もはやカプラを介して接続する必要がなくなるため、直接第1ホース部材510の回転しない側の端部を第1接続ポート410または第3接続ポート430に圧入や接着などの方法で固定しても構わない。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…体温調節システム
5…作業者
10…本体部
15…循環通路
40A…第1継手
40B…第2継手
50…ホース本体
60、61…同軸ホース
100…体温調節服
151、152…連結通路部
200…流体温度調節装置
408…第1流路
409…第2流路
410…第1接続ポート
420…第2接続ポート
430…第3接続ポート
440…第4接続ポート
451…第1連結ポート
452…第2連結ポート
510…第1ホース部材
520…第2ホース部材
530…第1筒体
540…第2筒体
550…カプラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6