(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097083
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】太陽光発電パネル設置台
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20220623BHJP
H02S 20/24 20140101ALI20220623BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/24
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210457
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】519127292
【氏名又は名称】武蔵 絵美理
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】武蔵 孝昌
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】
(1)前記横支持金具103は廃止しても、前記架台102が容易に動くことがなく、(2)平坦でないビル屋上であっても、ビル屋上に密着でき、(3)厚さの異なるパネルに対しても容易に固定高さが調整可能で、(4)強い風に対しても風を受け流しやすく、その結果、浮き上がりや横ずれに強い太陽光発電パネル設置台を提供する。
【解決手段】
ビル屋上に複数の最下部架台、その上に太陽方向に向けて傾斜する同数の傾斜金具を積み重ねて、最上面に一又は二以上の太陽光発電パネルを裁置する太陽光発電パネル設置台において、前記傾斜金具が、上部の所定の高さ位置に両側に所定幅に突出する支持持ち梁部が当該傾斜金具の延長方向に形成された断面形状からなる傾斜金具である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル屋上に複数の最下部架台、その上に太陽方向に向けて傾斜する同数の傾斜金具を積み重ねて、最上面に一又は二以上の太陽光発電パネルを裁置する太陽光発電パネル設置台において、前記傾斜金具が、上部の所定の高さ位置に両側に所定幅に突出する支持持ち梁部が当該傾斜金具の延長方向に形成された断面形状からなる傾斜金具であることを特徴とする太陽光発電パネル設置台。
【請求項2】
前記支持持ち梁部の双方または片方に裁置する太陽光発電パネルの端部がフラットな短辺部又は長辺部が裁置されることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項3】
隣接する前記最下部架台間又は複数の最下部架台間に連続してクロス材が掛け渡されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項4】
前記最下部架台と前記傾斜金具の間に角度を可変できる一又は二以上の角度可変柱材を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項5】
前記太陽光発電パネルを裁置しない前記支持持ち梁部に反対側に裁置される太陽光発電パネルの高さに適合する高さ調整可能な端部固定金具を配置したことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項6】
端部に位置する前記傾斜金具の上端と同じ高さから当該傾斜金具に接して前記支持持ち梁部まで下降し、当該支持持ち梁部から外方向に延設され、その後、前記最下部架台の上端まで下降し、当該最下部架台厚さで垂直に屋上面まで延設される断面形状の側面カバー材で設置台側面が覆われたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【請求項7】
前記側面カバー材は、内部に前記傾斜金具の支持持ち梁部上に配置された前記端部固定金具が収容され、当該端部固定金具の太陽光発電パネルの端部位置から当該端部固定金具の外側を通って前記最下部架台の上端まで下降し、当該最下部架台厚さで垂直に屋上面まで延設する断面形状としたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル屋上に設置可能な太陽光発電パネル設置台の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の太陽光発電パネル設置台については、本願出願人は既に実用新案登録第3186568号を提案している。
図6は、実用新案登録第3186568号公報に開示の考案の実施例1に係る太陽光発電パネル設置台の概略を示す斜視図であり、
図7は、同架台2a、2b、2c、2d等の部分概略を示す図である。
図6、
図7において、符号101は、太陽光発電パネル設置台、102、102a、102b、102c、102dは、架台、103、103a、103b、103c、103dは、横支持金具、104は、傾斜支持金具、105、105a~105dは、石板、106は、上部端柱、107は、中間柱、108は、基底具である(なお、符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して説明した。)。
【0003】
このように、本願出願人が既に提案する太陽発電パネル設置台は、「中上層階の7階建て以上のビル屋上にも太陽光発電パネルの設置が可能で、作業性の良い太陽光発電パネル設置台を提供する」ことの考案解決課題において(同公報明細書段落番号)0012参照)、「一又は二以上の太陽光発電パネルを設置する太陽光発電パネル設置台において、同設置台は、その設置台を構成する積み重ね骨組み材の最低高さから上方に向けて傾斜し、かつ、周囲に太陽光発電パネルの下への風の吹き込みを防止するカバー壁を形成した」構成等とすることにより(同公報実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載等参照)、「(1)本発明によれば、ビル屋上に設置する太陽光発電パネル下に風が吹き込むことがないので、揚力が発生することがなく、これまで困難とされてきた7階建て以上等の中上階建てビル屋上にも太陽光発電パネルの設置が可能となる。(2)揚力が発生しないので、設置台に対して軽い重量の重しを用いるだけで充分であり、屋上の損傷やメンテナンスが容易となる。(3)太陽光発電パネルの設置普及が図れることとなる。」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014参照)。
【0004】
このように構成される太陽光発電パネル設置台101において、実際に太陽光発電パネルを台上に裁置する場合には、長方形状のパネルの長辺を前後側(上下側)に、短辺を左右側にして、パネル長辺の突出部を前記横支持金具103の凹部に挿入させて固定するようにしていたが、当該設置架台の設置の作業性等を勘案すると、前記傾斜支持金具104上に太陽光発電パネルの両短辺がしっかりと前記傾斜支持金具102に固定される限りは、前記横支持金具103は必ずしも必要ないことを見いだした。つまり、前記前記横支持金具103は廃止可能であり、屋上等への部材の持ち運びにも軽量化が図れ、作業性が向上する。
【0005】
また、前記上部端柱106及び前記中間柱107は、前記架台102上において前記傾斜支持金具104の傾斜を確保するためのものであるが、いずれも単に角柱状のものが使用されていた。ところが、太陽光発電パネル設置台101を屋上等に設置する場合には、ビル屋上等は必ずしも平坦ではなく、雨水の水はけのためなだらかな傾斜や湾曲であるのが通常であり、平坦を前提とした前記設置台101を実際に設置する際には、ところどころに浮き沈み等が発生し、ビル屋上に密着した構造をとることができなかった。
【0006】
さらに、裁置する太陽光発電パネルは、各メーカーにより前記長辺形状が、(a)フラットな長辺面、(b)上側に寄った鍔形状、(c)下側に寄った鍔形状、(d)メーカー独自の特殊形状等があり、従来、前記横支持金具103の上部に沿わせた固定では、各メーカーのパネルの長辺形状に合わせた手直し作業が必要となり作業性が悪いものであった。また、近年においては、技術の進歩に応じて厚さの極めて薄い太陽光発電パネルが出現するに至って、長辺で固定するだけでは十分でないことも判明した。
そして、
図6、
図7に示す太陽光発電パネル設置台においては、側部のカバー壁を垂直面で構成されるカバー壁で覆うようにしていたが、強い風に対しては、設置台101の浮き上がりや横ずれの発生もまれにはあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本願発明は、上述する従来技術上の問題点に鑑み、(1)前記横支持金具103は廃止しても、前記架台102が容易に動くことがなく、(2)平坦でないビル屋上であっても、ビル屋上に密着でき、(3)厚さの異なるパネルに対しても容易に固定高さが調整可能で、(4)強い風に対しても風を受け流しやすく、その結果、浮き上がりや横ずれに強い太陽光発電パネル設置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、ビル屋上に複数の最下部架台、その上に太陽方向に向けて傾斜する同数の傾斜金具を積み重ねて、最上面に一又は二以上の太陽光発電パネルを裁置する太陽光発電パネル設置台において、前記傾斜金具が、上部の所定の高さ位置に両側に所定幅に突出する支持持ち梁部が当該傾斜金具の延長方向に形成された断面形状からなる傾斜金具であることを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、前記支持持ち梁部の双方または片方に裁置する太陽光発電パネルの端部がフラットな短辺部又は長辺部が裁置されることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、隣接する前記最下部架台間又は複数の最下部架台間に連続してクロス材が掛け渡されたことを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、前記最下部架台と前記傾斜金具の間に角度を可変できる一又は二以上の角度可変柱材を介在させたことを特徴とする。
また、本願請求項5に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、前記太陽光発電パネルを裁置しない前記支持持ち梁部に反対側に裁置される太陽光発電パネルの高さに適合する高さ調整可能な端部固定金具を配置したことを特徴とする。
そして、本願請求項6に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、端部に位置する前記傾斜金具の上端と同じ高さから当該傾斜金具に接して前記支持持ち梁部まで下降し、当該支持持ち梁部から外方向に延設され、その後、前記最下部架台の上端まで下降し、当該最下部架台厚さで垂直に屋上面まで延設される断面形状の側面カバー材で設置台側面が覆われたことを特徴とする。
また、本願請求項7に係る発明は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル設置台において、前記側面カバー材は、内部に前記傾斜金具の支持持ち梁部上に配置された前記端部固定金具が収容され、当該端部固定金具の太陽光発電パネルの端部位置から当該端部固定金具の外側を通って前記最下部架台の上端まで下降し、当該最下部架台厚さで垂直に屋上面まで延設する断面形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成としたので、本発明に係る太陽光発電パネル設置台は、(1)前記横支持金具103は廃止しても、前記架台102が動いたり、変形したりすることがなくなり、また、(2)平坦でないビル屋上であっても、ビル屋上に密着でき、(3)厚さの異なるパネルに対しても容易に固定高さが調整可能で、(4)強い風に対しても風を受け流しやすく、その結果、浮き上がりや横ずれに強い太陽光発電パネル設置台を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は、本実施例1に係る太陽光発電パネル設置台1に使用する前記傾斜金具の概略図であり、
図1(b)はその断面図である。
【
図2】
図2(a)は、前記太陽光発電パネル14を長辺部を上下にして縦に2枚を配置する本実施例2に係る太陽光発電パネル設置台1の最下部概略を示す図であり、
図2(b)は、
図1(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
【
図3】
図3(a)は、本実施例3に使用する角度調整可能な柱材の分解概略図であり、
図3(b)は、中間位置に配置する柱材を前記最下部架台と前記傾斜金具との間に介在例を示す使用概略図である。
【
図4】
図4(a)は、本実施例4に係る太陽光発電パネル設置台1に使用する高さ調整可能な端部固定金具の概略を示す図であり、
図4(b)は、当該高さ調整可能端部固定金具を前記傾斜金具10への取付概略図である。
【
図5】
図5(a)は、本実施例5に係る太陽光発電パネル設置台1において、前記傾斜金具10の上部位置の両側部に支持持ち梁部11a、11bのうち、太陽光発電パネル14が裁置されない端部側面を覆うカバー材の概略を示す簡略断面図、
図5(b)は、前記側面カバー材40の外側から、前記端部固定金具30を配置する概略を示す図、
図5(c)は、前記端部固定金具30が、前記側面カバー材の内部に収容される側面カバー材形状の概略を示す断面概略図である。
【
図6】
図6は、実用新案登録第3186568号公報に開示の考案の実施例1に係る太陽光発電パネル設置台の概略を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す架台2a、2b、2c、2d等の部分概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る太陽光発電パネル設置台を実施するための形態として上記の各問題点を解消する各実施例を図面に基づき詳細に説明する。
なお、以下の各実施例に係る太陽光発電パネル設置台1は、本願出願人が既に提案する「一又は二以上の太陽光発電パネルを設置する太陽光発電パネル設置台を構成する積み重ね骨組み材の最低高さから上方に向けて傾斜し、かつ、周囲に太陽光発電パネルの下への風の吹き込みを防止するカバー壁を形成する」構成を前提としている。すなわち、屋上に接着剤等で複数の最下部架台を密着して固定配置し、その上に傾斜金具を配置し、当該傾斜金具上に複数の太陽光発電パネルを設置する台からなることを前提としている。
その上で、種々の工夫改良箇所について、本実施例1-4に係る太陽光発電パネル設置台1としたものである。
【実施例0013】
(傾斜金具の改良)
本実施例1に係る太陽光発電パネル設置台1においては、これまで,横置きにした太陽光発電パネルの長辺部を前記横支持金具103の凹溝内に挿通配置し、固定することしていた。すなわち、太陽光発電パネルを架台に設置するには、通常は、パネルを長辺を上下側に、短辺を左右側にして複数の長方形状のパネルを並べて架台に設置される。この場合、パネルの長辺側に突出する鍔部を横方向に掛け渡した前記横支持金具103の溝内に滑り込ませて固定する。
【0014】
したがって、前記傾斜金具104とパネルの間は、若干の隙間が空いており、構造上堅固な構造ではなかった。また、一般に太陽光発電パネルの長辺部の形状は、突出する鍔部位置が、表面に近かったり、下面に近かったり、あるいは、全く突起のないフラットな形状の長辺部や、さらには、独自の特殊な形状の長辺部等メーカー毎に異なり一定ではなく、太陽光発電パネルの長辺部で固定支持する構造には、強度上限界があった。これに対し、太陽光発電パネルの短辺部は、多くのメーカーは、突起等を設けることのないフラットな形状であった。
【0015】
そこで、本願出願人は、当該フラットな形状のパネル短辺部で支持固定する太陽光発電パネル設置台1とする方が、強度上も優れているし、多くのメーカー製太陽光発電パネルの支持固定に適うものであることを見いだすに至った。すなわち、太陽光発電パネルのフラットな形状の短辺部を前記傾斜金具で支持固定する構造とし、このため、当該傾斜金具について、その金具の延長方向の上部位置の両側部に太陽光発電パネルの短辺部を裁置する支持持ち梁部を設けた断面形状を有するものである。
【0016】
図1(a)は、本実施例1に係る太陽光発電パネル設置台1に使用する前記傾斜金具の概略図であり、
図1(b)はその断面図である。
図1(a)(b)において、符号10は、傾斜金具であり、11a、11bは、当該傾斜金具10の上端からの所定位置に突出して設けられる支持持ち梁部である。また、符号12は、下部に係合される後述の柱材(図示外)との係合孔、13は、後述の側壁カバー材等の固定孔である。符号14は、裁置される太陽光発電パネルであり、
図1(a)(b)に示した例では、その短辺部が、前記支持持ち梁部11a及び/又は支持持ち梁部11bに裁置される。
【0017】
図1(a)(b)に示すように、本実施例1に係る太陽光発電パネル設置台1は、その使用する前記傾斜金具10は、両側又は片側に上端から所定高さ位置に所定幅で突出する前記支持持ち梁部11a、11bを設け、当該支持持ち梁部11a、11bに前記太陽光発電パネル14の端部ががフラットな短辺部/又は長辺部を支持固定するようにした。したがって、
図1(a)(b)に示す例では、横置きされる前記太陽光発電パネル14は、最上端に配置されるパネル14の長辺部及び最下端に配置されるパネルの長辺部は、そのまま露出して裁置され、当該露出部分を周囲を囲む前記側壁カバー材で屋上面まで覆われる。なお、この場合、隣接するパネル14、14間においては、パネル14、14の長辺部どうしが直接接する構造としている。
【0018】
なお、
図1(a)(b)に示した例では、太陽光発電パネル14の短辺部を前記傾斜金具10の前記支持持ち梁部11a、11bに裁置する例を示したが、これは、必ずしも短辺部だけが裁置されるに限らない。太陽光発電パネルの形状如何によっては、長辺部についても端部がフラットに加工され、前記支持持ち梁部11a、11bに裁置できる場合があり(いわゆる、パネルを縦置きした場合)、そのフラットな端部の長辺部が前記支持持ち梁部11a、11bに裁置されるようにしても良い。