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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097092
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】裏面パネル
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
E01D22/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210474
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591211917
【氏名又は名称】川田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 賢
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智史
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA05
2D059AA13
2D059EE10
2D059GG29
2D059GG39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】橋梁および鉄道や高速道路などの高架の下に取り付ける裏面パネルにおいて、汚れが付いても目立たない裏面パネルを提供する。
【解決手段】裏面パネル1は、上壁14、第1側壁12、第2側壁13および底壁11を有する箱状の長尺体であり、底壁11は、上壁14に向かって湾曲または凹む凹部113があり、底壁11の外底面111の表面には、全面にわたって長手方向に延びる凹凸部1112が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、第1側壁、第2側壁および底壁を有する箱状の長尺体であり、
底壁は、上壁に向かって湾曲または凹む凹部があり、
底壁の外底面の表面には、全面にわたって長手方向に延びる凹凸部が設けられていることを特徴とする高架下を覆う裏面パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁および鉄道や高速道路などの高架の下に取り付ける裏面パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や鉄道や高速道路などの高架(以下、これらを併せて「高架」という。)を点検したり補修したりする作業のために、高架下に一時的な仮設足場が取り付けられることがある。また、高架下足場は、経年劣化した高架を覆うことができ、高架から万が一コンクリート片が落下しても、下を通る車や歩行者に当たることを防ぐことができ、かつ、点検や補修がいつでもできるように恒久足場として設置する需要も高まってきている。
恒久足場であれ、仮設足場であれ、高架が建設された後に取り付けられるため、高架の下から観たときに、武骨な足場が見えないように、足場の下に裏面パネルを付けることが増えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
裏面パネルは、高架下に設置されるため雨に晒されることはないが、排気ガス等の汚れが付き、清掃もされないため、汚れが目立ち意匠性を損ねていた。
本発明は、汚れが付いても目立たない裏面パネルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上壁、第1側壁、第2側壁および底壁を有する箱状の長尺体であり、底壁は、上壁に向かって湾曲または凹む凹部があり、底壁の外底面の表面には、全面にわたって長手方向に延びる凹凸部が設けられていることを特徴とする高架下を覆う裏面パネルとすることで、課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、裏面パネルの汚れが目立たなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1の概略図(A)高架の断面図(B)高架の側面図
図2】横梁間に設置される裏面パネルと床材の前後方向(足場を延設しようとする方向)の断面図
図3】実施例1の裏面パネルの正面方向からの斜視図
図4】実施例2の裏面パネルの正面図
図5】裏面パネルユニットの説明図
【0007】
(実施例1)
図1は、実施例1の概略図である。図1(A)は高架の断面図であり、図1(B)は高架の側面図である。高架5下に設けられた足場7が示されている。路面材52の下には、路面材52を支える鈑桁51や箱桁などの高架主部材と脚部53が設けられている。最初の足場7は、従来の技術のとおり、地上から地上足場4を組み上げて設置される。横梁75は、鈑桁51などの高架主部材に支持材77を介して連結して支持されており、設置済足場の横梁751とそれより先に延設した新たな横梁75の間に床材74や裏面パネル1を取り付けることで新たな足場7が作られる。外光を取り込むと共に雨風が吹き込むことを防ぐルーバー76が設置されることもある。
足場7は、設置済足場71の横梁75を起点にして、新たな横梁75が図1(B)の前方向に向かって設置されて行く。
【0008】
[裏面パネルの構造]
図2は、横梁75間に設置される裏面パネル1と床材74の前後方向(足場7を延設しようとする方向)の断面図であり、図3は裏面パネル1の横方向の断面図である。裏面パネル1は、床材74を支えるとともに、足場7を外底面111で隠し意匠的にすっきりとした外観を与える部材である。
設置済足場の横梁751と前方向に延設した新しい横梁75は、全く同じH形鋼である。裏面パネル1は、裏面パネル1の長手方向の両端部172がそれぞれH形鋼からなる横梁75と設置済み足場の横梁751のフランジに載置される。そして、L字型の金具である裏面パネル押さえ材3の一端と裏面パネル1に設けられた押さえ材締結具15(詳しくは、後述する)が締結され、裏面パネル押さえ材3他端が横梁75のH形鋼のウェブに締結されることで、強固に固定される。この時、裏面パネル1の両端部172は、横梁75のH形鋼のウェブに向いて固定される。
裏面パネル1をそのまま床として用いてもよいが、別途床材74を裏面パネル1の上に載置、固定することもできる。
【0009】
図3は裏面パネル1の一例を示す端部172の開口部173から観た斜視図である。裏面パネル1の構造は図3に示されている通り、底壁11と第1側壁12と第2側壁13と上壁14とで構成され箱状の長尺体であり、内部は中空部18となっている。裏面パネル1とは別にボルトからなる押さえ材締結具15が取り付けられる。
また、裏面パネル1の端部172は、開口部173となっている。裏面パネル1の端部172(開口部173)は、横梁75のH型鋼のウェブと対向するようにフランジに載置されることは前述したとおりである。上壁14には、そのまま床として使えるように凹凸状の滑り止め141が設けられている。また、第2側壁13の上壁14側には、嵌合突起131が設けられており、隣接する裏面パネル1の第1側壁12の上壁14側に設けられた受け部121に嵌合するようになっている。
第1側壁12と第2側壁13の間には、補強壁16が設けられている。補強壁16は無くてもかまわない。
上壁14には、袋部142が形成されており、袋部142内にボルトからなる押さえ材締結具15が収められており、袋部142内で六角のボルトの頭が回らぬようになっている。
【0010】
(排気ガス等による汚れ)
排気ガス等による汚れは、底壁11の外底面111に付着する。底壁11の外底面111に上壁14に向かって凹む複数の凹部113が形成されている。
外底面111は、図3の枠内拡大図から分かるように、裏面パネル1の長手方向に延びる凹凸部1112で全体的に覆われている。
外底面111から内底面112側に凹む部分は光が当たりにくく暗くなるが、外底面111から突出する凸部は前記凹む部分に比べ明るくなる。さらに、底壁11の外底面111自体が、上壁側へ凹む凹部113があるため、光が当たりにくく影になる。そもそも、裏面パネル1は、高架下に設置されるため、直射日光が当たることはほとんどない。
そのため、排気ガスなどによる汚れが外底面111に付着しても、外底面111の上壁側へ凹む凹部113と、さらに、外底面111の表面に多数設けられた凹凸部1112とによって、全体的に暗くなり、汚れが目立たなくなる。凹凸部1112は非常に細かい凹凸とするのが好ましい。非常に細かい凹凸部1112だと、下から見上げても視認しにくいぼやけた明暗が生じる。凹部113と凹凸部1112の相乗効果によるぼやけた明暗が生じるため、黒い汚れ部分のコントラストがはっきりしなくなり目立たなくなる。
以上のように、底壁11の外底面111は、上壁14に向かって凹む凹部113があり、加えて、底壁の外底面111表面には、全面にわたって裏面パネル1の長手方向に延びる凹凸部1112が設けられているため、相乗効果により明暗がぼやけ、汚れが目立たなくなる。
また、凹凸部1112のサイズは、特段限定されるものではないが、下から観て凹凸部が視認しにくい程度のサイズが好ましい。下にから観て凹条1113となる部分と凸条1114となる部分の好ましいサイズを例示すると凹条1113が3mm:凸条1114が2mm、凹条1113が4mm:凸条1114が凸条2mmなど様々でよい。凹条1113と凸条1114共に、1~6mm程度が好ましい。
また、凹条1113は隅部1115が丸くなっており、これもまた、明暗をぼやかせる効果を高める。図示はしていないが、凸条1114の角を丸くしてもよく、明暗をぼやかせる効果を高める。
【0011】
(傾斜部)
図3を参照されたい。底壁11の外底面111に上壁14に向かって凹む複数の凹部1113が形成されている。それに伴い、内底面112には、上壁14へと向かう山部1122(図3枠内拡大図参照)と、外底面111側に向かう谷部1121が形成される。これにより山部1122から谷部1121へと向かう傾斜部1123が形成さる。台風などの暴風雨により裏面パネル1の開口部173から入り込んだ雨水や結露水は、一旦谷部1121へ集まる。
裏面パネル1が設置される際に、精度よく水平に取り付けられるものではないため、内底面112の谷部1121に集まった水は、やがていずれか低い側の端部172の開口部173から自然に排水される。
【0012】
(実施例2)
(凹凸部)
図4は、実施例2の裏面パネルの正面図である。凹部113は、少なくとも1つ設けられていればよく、実施例1のように多数の凹部113を設けてもよい。実施例2は裏面パネル1では、底壁11に設けられた、上壁14に向かって湾曲する凹部113が2ヶ所に設けられている。外底面111の表面には、多数の小さな凹凸部1112が形成されている。実施例1と同様に、大きく湾曲する凹部113と、外底面111の表面の凹凸部1112の相乗効果で全体が暗くなり、明暗(コントラスト)がぼやけ、外底面111に付着した汚れが目立たなくなる。
【0013】
(傾斜部)
また、底壁11に上壁14に向かって湾曲する凹部113を設けることに伴い、内底面112には山部1122が形成される。山部1122から谷部1121に向かう傾斜部1123ができるため、谷部1121に水が溜まり、実施例1と同様に開口部173から排水される。
【0014】
(裏面パネルユニット)
裏面パネル1を一枚一枚高架下の足場7上で設置するのは、作業性が悪い。そこで、多数の裏面パネル1に予め長尺な裏面パネル押さえ材3を締結しておくことで、裏面パネルユニット2とすることができる。地上で裏面パネルユニット2を組み立てておけば、足場7上での作業性を高めることができる。
【0015】
(変形例)
実施例1および実施例2では、裏面パネル1の底壁11に上壁14に向う凹部113を設けていた。凹部を設けることに伴い内底面112に山部1122と谷部1121が形成される。これにより、裏面パネル1の幅方向、すなわち、山部1122から谷部1121へと向かう、傾斜部1123が形成されていた。
変形例として、裏面パネル1は、その底壁11に凹部113を設けず、矩形の長尺な箱体としてもよい。この場合、外底面111は略水平となる。そして、裏面パネル1の底壁11は、内底面112の幅方向に高低差が生じるように厚みが変られる。これにより、内底面112には幅方向に向う傾斜部1123が形成される。
【0016】
以上、本発明に係る実施例について、図面を参照して詳述し、多様な変更可能な態様を説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0017】
また、前述の実施例および多様な態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 裏面パネル
11 底壁
111 外底面
1112 凹凸部
1113 凹条
1114 凸条
1115 隅部
112 内底面
1121 谷部
1122 山部
1123 傾斜部
113 凹部
12 第1側壁
121 受け部
13 第2側壁
131 嵌合突起
14 上壁
141 滑り止め
142 袋部
15 押さえ材締結具
151 袋部
16 補強壁
172 端部
173 開口部
18 中空部
2 裏面パネルユニット
3 裏面パネル押さえ材
4 地上足場
5 高架
51 鈑桁(高架主部材)
52 路面材
53 脚部
7 足場
71 設置済足場
74 床材
75 横梁(H形鋼)
751 設置済足場の横梁(H形鋼)
76 ルーバー
図1
図2
図3
図4
図5