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特開2022-97099視野角輝度制御プリズムシート及びプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097099
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】視野角輝度制御プリズムシート及びプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20220623BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220623BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220623BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20220623BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220623BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220623BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02F1/13357
F21V5/00 530
F21V5/02 100
F21S2/00 431
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210486
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】591018660
【氏名又は名称】サンテックオプト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】春山 明男
(72)【発明者】
【氏名】島村 幸男
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA12
2H042BA14
2H042BA20
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB45
2H391AC13
2H391AC26
2H391AC53
2H391DA07
2H391EA02
3K244AA01
3K244BA14
3K244BA16
3K244BA19
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA03
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA11
3K244GC02
3K244GC07
3K244GC08
3K244GC13
(57)【要約】
【課題】モアレを解消しつつ、垂直又は水平方向の斜め視野角の輝度を向上させる視野角輝度制御プリズムシート及びプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2層のプリズムシートで構成され、上層プリズムシート1は、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向であり、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角の輝度を向上させる。下層プリズムシート2は、プリズム稜線のピッチが連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向であることが好ましい。また、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角は、ディスプレイ面の垂線とのなす角が30~70°、又は、-30~-70°であることが好ましい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層のプリズムシートで構成され、
上層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)で、プリズム軸方向が前記ディスプレイの水平方向であり、前記ディスプレイの垂直方向の斜め視野角の輝度を向上させたことを特徴とする視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項2】
下層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、前記連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)で、プリズム軸方向が前記ディスプレイの垂直方向であることを特徴とする請求項1に記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項3】
前記ディスプレイの垂直方向の斜め視野角は、ディスプレイ面の垂線とのなす角が30~70°、又は、-30~-70°であることを特徴とする請求項1又は2に記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項4】
前記上層プリズムシートのプリズム軸方向と前記ディスプレイの水平方向とのなす角が、0°±8°であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項5】
前記上層プリズムシートのプリズム軸方向と前記下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項6】
少なくとも2層のプリズムシートで構成され、
上層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)で、プリズム軸方向が前記ディスプレイの垂直方向であり、前記ディスプレイの水平方向の斜め視野角の輝度を向上させたことを特徴とする視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項7】
下層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、前記連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)で、プリズム軸方向が前記ディスプレイの水平方向であることを特徴とする請求項6に記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項8】
前記ディスプレイの水平方向の斜め視野角は、ディスプレイ面の垂線とのなす角が30~70°、又は、-30~-70°であることを特徴とする請求項6又は7に記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項9】
前記上層プリズムシートのプリズム軸方向と前記ディスプレイの垂直方向とのなす角が、0°±8°であることを特徴とする請求項6~8の何れかに記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項10】
前記上層プリズムシートのプリズム軸方向と前記下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°であることを特徴とする請求項6~9の何れかに記載の視野角輝度制御プリズムシート。
【請求項11】
請求項1~10の何れかの視野角輝度制御プリズムシートを備えるバックライトユニット。
【請求項12】
請求項11のバックライトユニットを備えるディスプレイ装置。
【請求項13】
少なくとも2層のプリズムシートで構成される積層プリズムシートの垂直方法の斜め視野角の輝度向上方法であって、
使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向が前記ディスプレイの水平方向としたプリズムシートを上層プリズムシートとし、
前記連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向が前記ディスプレイの垂直方向としたプリズムシートを下層プリズムシートとする、ことを特徴とするプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法。
【請求項14】
少なくとも2層のプリズムシートで構成される積層プリズムシートの水平方法の斜め視野角の輝度向上方法であって、
使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向が前記ディスプレイの垂直方向としたプリズムシートを上層プリズムシートとし、
前記連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向が前記ディスプレイの水平方向としたプリズムシートを下層プリズムシートとする、ことを特徴とするプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムにおいて、斜め視野角の輝度を制御するプリズムシートの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートPCなどで、覗き見防止のため、プライバシーフィルターにより視野角を限定する要望がある。その一方で、PCの操作者の垂直方向(特に、上斜め方向)の視野角における輝度を増やし、視野角を拡げる要望がある。
また、一般に、モアレを解消するために斜めにプリズムシートを直交して配置する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1においては、第1プリズムシートと第2プリズムシートは、単位プリズムの稜線方向が直交するように積層されている。また、第1プリズムシートと第2プリズムシートは、LCDパネルの面に対して、45°と135°の角度で交差積層されている。このような配置では効果的にモアレを解消することが可能である。
しかしながら、2層のプリズムシートを45°と135°の角度で交差積層した場合は、垂直方向又は水平方向への輝度が低下してしまうという問題がある。また、製造工程におけるダイカットロスが大きくなり、製造コストが高くなるという問題もある。
【0003】
一方で、プリズムシートを用いたディスプレイ装置において、プリズムシートのプリズムのピッチをRGBドットのトータルピッチの整数倍とすることでモアレを解消する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、特許文献2のディスプレイ装置では、ディスプレイの垂直方向又は水平方向の視野角輝度を制御できる点については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-208287号公報
【特許文献2】特開2006-47775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明は、モアレを解消しつつ、垂直方向又は水平方向の斜め視野角の輝度を制御できる視野角輝度制御プリズムシート及びプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の第1の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、少なくとも2層のプリズムシートで構成され、上層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向であり、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角の輝度を向上させる。
上層プリズムシートにおいて、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍とされることにより、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角が向上し、かつ効果的にモアレを解消することができる。また、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向とされるプリズムシートを上層プリズムシートとすることで、下層プリズムシートとする場合よりも、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角を向上させることができる。
【0007】
本発明の第1の観点の視野角輝度制御プリズムシートにおいて、下層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向であることが好ましい。
下層プリズムシートにおいて、プリズム稜線のピッチが連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍とされることにより、ディスプレイの水平方向の斜め視野角が向上し、かつ効果的にモアレを解消することができる。また、下層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの垂直方向とされることにより、ディスプレイの水平方向の斜め視野角が向上する。
【0008】
本発明の第1の観点の視野角輝度制御プリズムシートにおいて、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角は、ディスプレイ面の垂線とのなす角が30~70°、又は、-30~-70°であることが好ましい。
ディスプレイの垂直方向の斜め視野角が上記範囲とされることにより、ユーザにとって十分な視野角が得られると共に、他者による覗き見を防止することができる。
【0009】
本発明の第1の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、上層プリズムシートのプリズム軸方向とディスプレイの水平方向とのなす角が、0°±8°であることが好ましい。
上層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの水平方向であるとは、厳密な意味での水平である必要はなく、0°±8°の範囲内であれば、モアレを解消しつつ、垂直方向の斜め視野角の輝度を向上させることが可能である。したがって、ここでの水平方向とは0°±8°の範囲内であることを意味する。
【0010】
本発明の第1の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°であることが好ましい。
上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°とされることにより、垂直方向と水平方向の何れについても斜め視野角の輝度を向上させることが可能である。なお、上層プリズムシートと同様に、下層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの垂直方向であるとの意味についても、厳密な意味での垂直である必要はなく、上記の範囲内であれば、モアレを解消しつつ、水平方向の斜め視野角の輝度を向上させることが可能であるため、ここでの垂直方向とは、上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°の範囲内であることを意味する。
【0011】
本発明の第2の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、少なくとも2層のプリズムシートで構成され、上層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向であり、ディスプレイの水平方向の斜め視野角の輝度を向上させる。
上層プリズムシートにおいて、プリズム稜線のピッチが、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍とされることにより、ディスプレイの水平方向の斜め視野角が向上し、かつ効果的にモアレを解消することができる。また、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向とされるプリズムシートを上層プリズムシートとすることで、下層プリズムシートとする場合よりも、ディスプレイの水平方向の斜め視野角を向上させることができる。
【0012】
本発明の第2の観点の視野角輝度制御プリズムシートにおいて、下層プリズムシートは、プリズム稜線のピッチが連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)で、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向であることが好ましい。
下層プリズムシートにおいて、プリズム稜線のピッチが連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍とされることにより、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角が向上し、かつ効果的にモアレを解消することができる。また、下層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの水平方向とされることにより、ディスプレイの垂直方向の斜め視野角が向上する。
【0013】
本発明の第2の観点の視野角輝度制御プリズムシートにおいて、ディスプレイの水平方向の斜め視野角は、ディスプレイ面の垂線とのなす角が30~70°、又は、-30~-70°であることが好ましい。
ディスプレイの水平方向の斜め視野角が上記範囲とされることにより、ユーザにとって十分な視野角が得られると共に、他者による覗き見を防止することができる。
【0014】
本発明の第2の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、上層プリズムシートのプリズム軸方向とディスプレイの垂直方向とのなす角が、0°±8°であることが好ましい。
上層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの垂直方向であるとは、厳密な意味での垂直である必要はなく、0°±8°の範囲内であれば、モアレを解消しつつ、水平方向の斜め視野角の輝度を向上させることが可能である。したがって、ここでの垂直方向とは0°±8°の範囲内であることを意味する。
【0015】
本発明の第2の観点の視野角輝度制御プリズムシートは、上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°であることが好ましい。
上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°とされることにより、水平方向と垂直方向の何れについても斜め視野角の輝度を向上させることが可能である。なお、上層プリズムシートと同様に、下層プリズムシートのプリズム軸方向がディスプレイの水平方向であるとの意味についても、厳密な意味での水平である必要はなく、上記の範囲内であれば、モアレを解消しつつ、垂直方向の斜め視野角の輝度を向上させることが可能であるため、ここでの水平方向とは、上層プリズムシートのプリズム軸方向と下層プリズムシートのプリズム軸方向とのなす角が、90°±8°の範囲内であることを意味する。
【0016】
本発明のバックライトユニットは、上記の何れかの視野角輝度制御プリズムシートを備える。また、本発明のディスプレイ装置は、上記のバックライトユニットを備える。
【0017】
本発明の第1の観点のプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法は、少なくとも2層のプリズムシートで構成される積層プリズムシートの垂直方法の斜め視野角の輝度向上方法であって、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向としたプリズムシートを上層プリズムシートとし、連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向としたプリズムシートを下層プリズムシートとする。
【0018】
本発明の第2の観点のプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法は、少なくとも2層のプリズムシートで構成される積層プリズムシートの水平方法の斜め視野角の輝度向上方法であって、使用するディスプレイにおける連続するRGBの3ドットで構成される画素の水平方向のピッチの1/M倍(Mは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向がディスプレイの垂直方向としたプリズムシートを上層プリズムシートとし、連続するRGBの3ドットで構成される画素の垂直方向のピッチの1/N倍(Nは自然数)になるように、プリズム稜線のピッチを設け、プリズム軸方向がディスプレイの水平方向としたプリズムシートを下層プリズムシートとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の視野角輝度制御プリズムシート及びプリズムシートの斜め視野角輝度制御方法によれば、モアレが解消しつつ、垂直方向又は水平方向の斜め視野角の輝度を制御できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの積層イメージ図
図2】液晶セルの平面イメージ図
図3】実施例1のプリズムシートの平面図
図4】プリズムシートの断面模式図
図5】水平プリズムシートのダイカットイメージ図
図6】垂直プリズムシートのダイカットイメージ図
図7】液晶セルとプリズムシートの積層イメージ図
図8】実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの使用イメージ図
図9】実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの視野角輝度特性を示すグラフ
図10】実施例2の視野角輝度制御プリズムシートの積層イメージ図
図11】実施例2の視野角輝度制御プリズムシートの視野角輝度特性を示すグラフ
図12】実施例3の水平プリズムシートのダイカットイメージ図
図13】LCDパネルの構成説明図
図14】従来技術のプリズムシートのダイカットイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0022】
まず、本発明の視野角輝度制御プリズムシートを用いたLCDパネルの概要について説明する。図13は、LCDパネルの構成説明図である。図13に示すように、LCDパネル100は、液晶パネル18及びバックライトユニット19から成る。液晶パネル18は、偏光板15b、液晶セル3、偏光板15a及び反射防止フィルム16が下から順に積層されている。また、バックライトユニット19は、反射板8、導光板9、拡散シート7b、垂直プリズムシート2、水平プリズムシート1及び拡散シート7aが下から順に積層されている。LCDパネル100は、光源としてLED光源17が導光板9の端面に設置されている。
【0023】
LED光源17から発生した光は、導光板9の端面から入射し、導光板9の正面から出射する。導光板9の正面上に拡散シート7bが配され、出射した光が拡散シート7bを透過し拡散される。拡散シート7bの上面には、プリズム列からなる垂直プリズムシート2が配される。当該垂直プリズムシート2の下面から入射した光は、プリズム列の稜線(山側)を上面とする面から出射する。垂直プリズムシート2の上面にプリズム列からなる水平プリズムシート1が配されて、さらなる輝度向上が図られる。上記水平プリズムシート1から出射した光は、拡散シート7aの下面から入射し光量の均一化が図られた後、液晶セル3の下面に設けられた偏光板15bから液晶パネル18に入射して、照明する。
このように、液晶パネルに用いられるバックライトユニットは、拡散シート、プリズムシート、導光板を物理的に積み重ねる構造となっている。以下では便宜上、水平プリズムシート1、垂直プリズムシート2及び液晶セル3に絞って説明することとする。
【0024】
図1は、実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの積層イメージ図を示している。図1に示すように、視野角輝度制御プリズムシート4は、液晶セル3の背後において、水平プリズムシート1が垂直プリズムシート2よりも上層となるように配置されている。
図2は、液晶セルの平面イメージ図を示している。図2に示すように、液晶セル3には多数のRGBドット31が格子状に配列されている。
図3は、実施例1のプリズムシートの平面図であり、(1)は水平プリズムシート、(2)は垂直プリズムシートを示している。図3(1)に示すように、水平プリズムシート1にはプリズム列12が形成されている。プリズム列12は、プリズム軸方向が水平方向に設けられた多数の単位プリズムから成る。また、図3(2)に示すように、垂直プリズムシート2にはプリズム列22が形成されている。プリズム列22は、プリズム軸方向が垂直方向に設けられた多数の単位プリズムから成る。
【0025】
図4は、プリズムシートの断面模式図であり、図4(1)は図3(2)におけるB-B断面図、図4(2)は図3(2)におけるA-A断面図を示している。図4(1)又は(2)に示すように、垂直プリズムシート2は、基材21上に複数の単位プリズムから成るプリズム列22が形成されている。ここでは垂直プリズムシート2を例に説明しているが、水平プリズムシート1と垂直プリズムシート2の違いは、プリズムシートの原反を切り抜く方向が異なるのみであり、用いられる素材等は同一である。したがって、水平プリズムシート1についても同様に、基材上にプリズム列が形成されている。
【0026】
図5は、水平プリズムシートのダイカットイメージ図であり、(1)は切り抜き前、(2)は切り抜き後を示している。また、図6は、垂直プリズムシートのダイカットイメージ図であり、(1)は切り抜き前、(2)は切り抜き後を示している。図5(1)に示すように、水平プリズムシート1は、プリズムシートの原反10から、シートの長手方向がプリズム軸方向と平行となるように切り抜かれている。これに対して、図6(1)に示すように、垂直プリズムシート2は、プリズムシートの原反10から、シートの長手方向がプリズム軸方向と直交するように切り抜かれている。
【0027】
図14は、従来技術のプリズムシートのダイカットイメージ図であり、(1)は切り抜き前、(2)は切り抜き後を示している。図14に示すプリズムシート13では、プリズムシートの原反10に対して斜めにシートを切り抜くために、水平プリズムシート1とは異なり、角度θの傾斜を設けて切り抜かれている。なお、角度θは30°である。
図14(1)に示すように、プリズムシートを斜めに切り抜くことにより得られるシートは少なくなり、ここでは、4枚のプリズムシート13が切り抜かれている。また、図14(2)に示すように、切り抜き後のプリズムシートの原反10dにおけるダイカットロスも大きくなっている。
これに対して、本実施例の場合は、図5(1)に示すように、同様のサイズのプリズムシートの原反10から5枚の水平プリズムシート1が得られている。また、図6(1)に示すように、4枚の垂直プリズムシート2を切り抜く場合においても、プリズムシート13を切り抜く場合よりも短いサイズのプリズムシートの原反10から切り抜くことが可能となっている。
図5(2)又は図6(2)に示すように、切り抜き後のプリズムシートの原反(10a,10b)におけるダイカットロスも従来技術のプリズムシート3の場合に比べて大幅に低減していることが分かる。
【0028】
図7は、液晶セルとプリズムシートの積層イメージ図を示している。図7に示すように、液晶セル3に設けられたRGBドット31のピッチPは、垂直プリズムシート2の基材21上に設けられた単位プリズム23のピッチPの6倍となっており、モアレが発生し難く、かつ水平方向の斜め視野角の輝度が向上する構造となっている。
なお、ここでは図示しないが、格子状に配列されたRGBドットのピッチは縦横何れもピッチPとなっており、水平プリズムシート1の基材上に設けられた単位プリズムのピッチも、ピッチPとなっている。したがって、水平プリズムシート1と液晶セル3との関係においてもモアレは発生し難く、かつ垂直方向の斜め視野角の輝度が向上する構造となっている。そして、図1に示すように、水平プリズムシート1が垂直プリズムシート2よりも上層となるように配置されていることにより、効果的に垂直方向の斜め視野角の輝度が向上する構造となっている。
【0029】
図8は、実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの使用イメージ図を示している。図8に示すように、ユーザ5が正面方向6aから液晶パネルを見た場合だけでなく、上方向6bや下方向6cから見た場合でも十分な視野角が得られる構造となっている。
【0030】
(実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの性能試験)
実施例1の視野角輝度制御プリズムシートについて性能試験を行った。図9は、実施例1の視野角輝度制御プリズムシートの視野角輝度特性を示すグラフであり、(1)は垂直方向の視野角輝度特性、(2)は水平方向の視野角輝度特性を示している。比較例のプリズムシートとは、モアレ防止のためθ=45°でカットした上下プリズムシートのことである。
図9(1)に示すように、実施例1の視野角輝度制御プリズムシート4では、比較例のプリズムシートと比べて、垂直方向の視野角輝度が最大140%増加している。また、図9(2)に示すように、水平方向の視野角輝度については、実施例1の視野角輝度制御プリズムシート4は、比較例のプリズムシートと比べて、最大40%減少している。したがって、実施例1の視野角輝度制御プリズムシート4では、垂直方向の視野角輝度が向上し、水平方向の視野角輝度が低下するといった視野角輝度の制御がなされていることがわかる。特に、垂直方向では25~70°の範囲で視野角輝度が向上している。
なお、このような例とは異なり、水平方向についても視野角輝度が向上するように制御することも可能である。
【0031】
下記表1は、実施例1の視野角輝度制御プリズムシートと比較例のプリズムシートの視認性について比較したものである。ここで、“オンアクシス”とは、正面から見た視認性のことであり、“オフアクシス”とは、斜め方向から見た視認性(斜め方向はθ=60°、画面法線から60°斜め)のことである。また、“オフアクシス-1”とは、垂直方向の斜め視認性、“オフアクシス-2”とは、水平方向の斜め視認性のことである。
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1からは、バッグライトユニット輝度や正面から見た視認性については、ほとんど差はないが、垂直方向の斜め視認性については、実施例1は、比較例に比べて白輝度が高く、黒輝度はやや高く、コントラスト比が向上していることが分かる。また、水平方向の斜め視認性については、実施例1は、比較例に比べて白輝度が低く、黒輝度はやや低く、コントラスト比がやや低下していることが分かる。したがって、実施例1の視野角輝度制御プリズムシート4は、比較例のプリズムシートと比べて、垂直方向の視野角輝度が向上し、水平方向の視野角輝度が低下するといった視野角輝度の制御がなされていることがわかる。
【実施例0034】
図10は、実施例2の視野角輝度制御プリズムシートの積層イメージ図を示している。図10に示すように、視野角輝度制御プリズムシート40は、視野角輝度制御プリズムシート4とは異なり、垂直プリズムシート2が水平プリズムシート1よりも上層に配置されている。これにより、ユーザ(図示せず)が正面方向6aから液晶パネルを見た場合だけでなく、左方向6dや右方向6eから見た場合でも十分な視野角が得られる構造となっている。
【0035】
(実施例2の視野角輝度制御プリズムシートの性能試験)
実施例2の視野角輝度制御プリズムシートについて性能試験を行った。図11は、実施例2の視野角輝度制御プリズムシートの視野角輝度特性を示すグラフであり、(1)は垂直方向の視野角輝度特性、(2)は水平方向の視野角輝度特性を示している。比較例のプリズムシートは、実施例1に関する試験に用いたものと同様である。
図11(1)に示すように、実施例2の視野角輝度制御プリズムシート40では、比較例のプリズムシートと比べて、垂直方向の視野角輝度が最大40%減少している。また、図11(2)に示すように、水平方向の視野角輝度については、実施例2の視野角輝度制御プリズムシート40は、比較例のプリズムシートと比べて、最大140%増加している。したがって、実施例2の視野角輝度制御プリズムシート40では、水平方向の視野角輝度が向上し、垂直方向の視野角輝度が低下するといった視野角輝度の制御がなされていることがわかる。特に、水平方向では30~70°の範囲で視野角輝度が向上している。
なお、このような例とは異なり、垂直方向についても視野角輝度が向上するように制御することも可能である。
【実施例0036】
図12は、実施例3の水平プリズムシートのダイカットイメージ図であり、(1)は切り抜き前、(2)は切り抜き後を示している。図12(1)に示すように、実施例3の水平プリズムシート1aは、水平プリズムシート1とは異なり、角度θの傾斜を設けて切り抜かれている。なお、角度θは5°である。
水平プリズムシート1aのように、傾斜を設けて切り抜いた場合でも、角度θが±8°の範囲内であり、かつ、水平プリズムシート1aのプリズム軸方向と垂直プリズムシート(図示せず)のプリズム軸方向とのなす角が90°±8°の範囲内で積層されていれば、垂直方向への視野角輝度を向上させる効果は得られることになる。
また、角度θが±8°の範囲内であれば、図12(2)に示すように、切り抜き後のプリズムシートの原反10cにおけるダイカットロスも少なくすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、プライバシーフィルターを用いたディスプレイ装置に有用である。
【符号の説明】
【0038】
1,1a 水平プリズムシート
2 垂直プリズムシート
3 液晶セル
4,40 視野角輝度制御プリズムシート
5 ユーザ
6a~6e 方向
7a,7b 拡散シート
8 反射板
9 導光板
10,10a~10d プリズムシートの原反
12,22 プリズム列
13 プリズムシート
15a,15b 偏光板
16 反射防止フィルム
17 LED光源
18 液晶パネル
19 バックライトユニット
21 基材
23 単位プリズム
31 RGBドット
100 LCDパネル
P ピッチ
θ 角度
図1
図2
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