(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097112
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置
(51)【国際特許分類】
G07D 7/00 20160101AFI20220623BHJP
G07D 11/00 20190101ALI20220623BHJP
【FI】
G07D7/00 H
G07D11/00 351
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210508
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上月 敏充
(72)【発明者】
【氏名】松橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大介
(72)【発明者】
【氏名】鶴間 信夫
【テーマコード(参考)】
3E040
3E041
3E141
【Fターム(参考)】
3E040CA02
3E040CB04
3E041AA01
3E041DA05
3E041DA10
3E141CA02
3E141CB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】システム負荷を抑制しつつ、流通不適格媒体を簡易かつ効率的に検出することが可能な有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置を提供する。
【解決手段】複数の端末装置と、サーバと、を具備する有価媒体監視システムであって、前記各端末装置は、有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報を前記サーバに送信する送信手段と、を有し、前記サーバは、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、端末装置から流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する送信手段と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視システムであって、
複数の端末装置と、
前記複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバと、
を具備し、
前記複数の端末装置は、各々、
有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報を前記サーバに送信する送信手段と、
を有し、
前記サーバは、
複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、
端末装置から流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する送信手段と、
を有する
ことを特徴とする有価媒体監視システム。
【請求項2】
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報は、前記有価媒体の国情報、種類情報、表裏情報、画像データに含まれる特徴量の情報及び記番号情報、並びに前記有価媒体の記番号のフォント情報のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1記載の有価媒体監視システム。
【請求項3】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有価媒体監視システム。
【請求項4】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報、表裏情報及び記番号情報のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項3記載の有価媒体監視システム。
【請求項5】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項6】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項5記載の有価媒体監視システム。
【請求項7】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項5又は6記載の有価媒体監視システム。
【請求項8】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された地域の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項9】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された店舗と提携している店舗の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項10】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された場所から所定距離内の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項11】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出される毎に、又は前記流通不適格媒体が検出されてから所定期間の経過後に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項12】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、危険度に応じてランク付けされている
ことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項13】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎にランク付けされている
ことを特徴とする請求項12記載の有価媒体監視システム。
【請求項14】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信されると、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更する
ことを特徴とする請求項12又は13記載の有価媒体監視システム。
【請求項15】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、前記特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格媒体に係る情報を送信する
ことを特徴とする請求項12~14のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項16】
前記サーバは、クラウドサーバである
ことを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の有価媒体監視システム。
【請求項17】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視方法であって、
端末装置が、
有価媒体の情報を抽出し、
抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定し、
流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報をサーバに送信し、
前記サーバが、
複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶し、
前記端末装置から送信された前記流通不適格媒体に係る情報が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する
ことを特徴とする有価媒体監視方法。
【請求項18】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するために、複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバであって、
複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、
端末装置から流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する送信手段と、
を具備する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項19】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するために、サーバとの間で情報の送受信を行う端末装置であって、
有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報を前記サーバに送信する送信手段と、
を具備する
ことを特徴とする端末装置。
【請求項20】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視システムであって、
複数の端末装置と、
前記複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバと、
を具備し、
前記複数の端末装置は、各々、
有価媒体の画像データを前記サーバに送信する送信手段、
を有し、
前記サーバは、
前記複数の端末装置から送信された前記画像データから前記有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、
複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、
前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす端末装置に送信する送信手段と、
を有する
ことを特徴とする有価媒体監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体(例えば紙幣)である流通不適格媒体(例えば偽券)が用いられると、その受け手に大きな損失となる可能性がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、紙幣取り扱い装置が入金された紙幣番号をコンピュータサーバに送信し、コンピュータサーバは送信された紙幣番号とデータベースの紙幣番号とを照合し、紙幣の問題の有無を送信先の紙幣取り扱い装置に通知する紙幣管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の紙幣管理システムでは、コンピュータサーバが紙幣取り扱い装置から送信された膨大な量の紙幣番号を照合することを考慮すると、時間がかかってしまい、紙幣の使用者を待たせてしまうという点で改善の余地があった。
【0006】
また、限られたメモリ容量しか有さない端末装置に全ての流通不適格媒体の情報を記憶させるのは現実的ではない。
【0007】
本開示は、上記現状に鑑みてなされたものであり、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格媒体を簡易かつ効率的に検出することが可能な有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る有価媒体監視システムは、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視システムであって、複数の端末装置と、前記複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバと、を具備し、前記複数の端末装置は、各々、有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報を前記サーバに送信する送信手段と、を有し、前記サーバは、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、端末装置から流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する送信手段と、を有する。
【0009】
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報は、前記有価媒体の国情報、種類情報、表裏情報、画像データに含まれる特徴量の情報及び記番号情報、並びに前記有価媒体の記番号のフォント情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含んでもよい。
【0011】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報、表裏情報及び記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含んでもよい。
【0013】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0014】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0015】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された地域の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0016】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された店舗と提携している店舗の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0017】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された場所から所定距離内の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0018】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出される毎に、又は前記流通不適格媒体が検出されてから所定期間の経過後に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0019】
前記記憶部に記憶された前記複数の流通不適格媒体に係る情報は、事件別にグループ化されていてもよい。
【0020】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、危険度に応じてランク付けされていてもよい。
【0021】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎にランク付けされていてもよい。
【0022】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、流通不適格媒体の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0023】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎に金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0024】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信されると、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。
【0025】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、前記特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0026】
前記サーバは、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより低いランクに変更してもよい。
【0027】
前記サーバは、ランクに応じて、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する地域を変更してもよい。
【0028】
前記サーバは、クラウドサーバであってもよい。
【0029】
本開示に係る有価媒体監視方法は、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視方法であって、端末装置が、有価媒体の情報を抽出し、抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定し、流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報をサーバに送信し、前記サーバが、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶し、前記端末装置から送信された前記流通不適格媒体に係る情報が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する。
【0030】
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報は、前記有価媒体の国情報、種類情報、表裏情報、画像データに含まれる特徴量の情報及び記番号情報、並びに前記有価媒体の記番号のフォント情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0031】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含んでもよい。
【0032】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報、表裏情報及び記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0033】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含んでもよい。
【0034】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0035】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0036】
前記サーバは、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された地域の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0037】
前記サーバは、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された店舗と提携している店舗の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0038】
前記サーバは、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された場所から所定距離内の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0039】
前記サーバは、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出される毎に、又は前記流通不適格媒体が検出されてから所定期間の経過後に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0040】
前記サーバに記憶された前記複数の流通不適格媒体に係る情報は、事件別にグループ化されていてもよい。
【0041】
前記サーバに記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、危険度に応じてランク付けされていてもよい。
【0042】
前記サーバに記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎にランク付けされていてもよい。
【0043】
前記サーバに記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、流通不適格媒体の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0044】
前記サーバに記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎に金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0045】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信されると、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。
【0046】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、前記特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0047】
前記サーバは、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより低いランクに変更してもよい。
【0048】
前記サーバは、ランクに応じて、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する地域を変更してもよい。
【0049】
前記サーバは、クラウドサーバであってもよい。
【0050】
本開示に係るサーバは、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するために、複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバであって、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、端末装置から流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置に送信する送信手段と、を具備する。
【0051】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含んでもよい。
【0052】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報、表裏情報及び記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0053】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含んでもよい。
【0054】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0055】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0056】
前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された地域の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0057】
前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された店舗と提携している店舗の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0058】
前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された場所から所定距離内の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0059】
前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出される毎に、又は前記流通不適格媒体が検出されてから所定期間の経過後に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0060】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、危険度に応じてランク付けされていてもよい。
【0061】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎にランク付けされていてもよい。
【0062】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、流通不適格媒体の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0063】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎に金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0064】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信されると、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。
【0065】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、前記特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0066】
前記サーバは、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより低いランクに変更してもよい。
【0067】
前記サーバは、ランクに応じて、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する地域を変更してもよい。
【0068】
前記サーバは、クラウドサーバであってもよい。
【0069】
本開示に係る端末装置は、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するために、サーバとの間で情報の送受信を行う端末装置であって、有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体に係る情報を前記サーバに送信する送信手段と、を具備する。
【0070】
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報は、前記有価媒体の国情報、種類情報、表裏情報、画像データに含まれる特徴量の情報及び記番号情報、並びに前記有価媒体の記番号のフォント情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0071】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含んでもよい。
【0072】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報及び、表裏情報記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0073】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含んでもよい。
【0074】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0075】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0076】
本開示に係る有価媒体監視システムは、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体である流通不適格媒体を検出するための有価媒体監視システムであって、複数の端末装置と、前記複数の端末装置との間で情報の送受信を行うサーバと、を具備し、前記複数の端末装置は、各々、有価媒体の画像データを前記サーバに送信する送信手段、を有し、前記サーバは、前記複数の端末装置から送信された前記画像データから前記有価媒体の情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報に基づいて、前記有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定する判定手段と、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報を記憶する記憶部と、前記判定手段によって流通不適格媒体であると判定された場合に、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす端末装置に送信する送信手段と、を有する。
【0077】
前記抽出手段によって抽出された前記有価媒体の情報は、前記有価媒体の国情報、種類情報、表裏情報、画像データに含まれる特徴量の情報及び記番号情報、並びに前記有価媒体の記番号のフォント情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0078】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体そのものの情報を含んでもよい。
【0079】
前記流通不適格媒体そのものの情報は、前記流通不適格媒体の国情報、種類情報、表裏情報及び記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0080】
前記流通不適格媒体に係る情報は、前記流通不適格媒体に付随する情報を含んでもよい。
【0081】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された日時情報、位置情報及び要因情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0082】
前記流通不適格媒体に付随する情報は、前記流通不適格媒体の使用者の年代情報及び外観特徴情報のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0083】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された地域の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0084】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された店舗と提携している店舗の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0085】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出された場所から所定距離内の端末装置に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0086】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置によって前記流通不適格媒体が検出される毎に、又は前記流通不適格媒体が検出されてから所定期間の経過後に、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0087】
前記記憶部に記憶された前記複数の流通不適格媒体に係る情報は、事件別にグループ化されていてもよい。
【0088】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、危険度に応じてランク付けされていてもよい。
【0089】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎にランク付けされていてもよい。
【0090】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、流通不適格媒体の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0091】
前記記憶部に記憶された前記グループ化された複数の流通不適格媒体に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格媒体毎に金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0092】
前記サーバは、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信されると、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。
【0093】
前記サーバの前記送信手段は、前記端末装置から前記流通不適格媒体に係る情報が送信された場合に、前記特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格媒体に係る情報を送信してもよい。
【0094】
前記サーバは、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格媒体に係る情報のランクを危険度がより低いランクに変更してもよい。
【0095】
前記サーバは、ランクに応じて、前記特定グループの流通不適格媒体に係る情報を送信する地域を変更してもよい。
【0096】
前記サーバは、クラウドサーバであってもよい。
【発明の効果】
【0097】
本開示によれば、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格媒体を簡易かつ効率的に検出することが可能な有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】第1実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明するブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する別のブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作を説明するブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図6】第1実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【
図7】第1実施形態に係るサーバの記憶部に記憶される複数の流通不適格紙幣に係るリストを模式的に示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作の他の例を説明するフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図10】第2実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【
図11】第2実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図12】第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図である。
【
図13】第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図であり、複数の流通不適格紙幣に係る情報を入手する場合を説明する。
【
図14】第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図であり、流通不適格紙幣に係る情報を配信する場合を説明する。
【
図15】第4実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明するブロック図である。
【
図16】第4実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する別のブロック図である。
【
図17】第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作を説明するブロック図である。
【
図18】第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図19】第4実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図20】第4実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【
図21】第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作の他の例を説明するフローチャートである。
【
図22】第5実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図23】第5実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【
図24】第5実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、本開示に係る有価媒体監視システム、有価媒体監視方法、サーバ及び端末装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。本開示の対象となる有価媒体としては、紙幣(銀行券)、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な有価媒体が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする紙幣監視システム、紙幣監視方法、サーバ及び端末装置を例として、本開示を説明する。なお、以下の説明は、紙幣監視システム、紙幣監視方法、サーバ及び端末装置の一例である。
【0100】
本明細書において、「流通不適格媒体(紙幣)」とは、犯罪に関わるため流通させるのに不適格な有価媒体(紙幣)である。すなわち、刑法等の法により禁じられた行為に関係するため、市場に流通させるのが不適当な有価媒体(紙幣)を意味する。したがって、真券かつ損券と判定された紙幣は、流通不適格紙幣に該当しない。
【0101】
ここで、「犯罪」としては、例えば、有価媒体の偽造や盗難(強盗を含む)、身代金を要求する誘拐等が挙げられる。また、「流通不適格紙幣」としては、例えば、偽券、疑券、盗難紙幣(ベイトマネー)、盗難紙幣(盗難マーク付き紙幣)等が挙げられる。
【0102】
偽券とは、所謂、通常の偽札であり、例えば、ブラックリスト等に登録されている記番号を有する紙幣と、紙幣識別機でセキュリティ要素(例えば、赤外特徴や磁気特徴)が明らかに異常であるため偽札と判定された紙幣との両方を包含する。
【0103】
疑券とは、紙幣識別機でセキュリティ要素が偽券よりも異常の程度が低いレベルであるため偽札の疑いがあると判定された紙幣のことである。
【0104】
盗難紙幣(ベイトマネー)とは、銀行等に強盗等が押し入った時に、追跡可能にされた紙幣であって、強盗等に渡される紙幣のことである。
【0105】
盗難紙幣(盗難マーク付き紙幣)とは、ATM等が破壊されることによって盗難された紙幣であって、盗難マークが付されることによって盗まれたことが分かる紙幣のことである。盗難マークの例としては、例えば、ダイインクと呼ばれる特殊インクを紙幣に付着させたものが挙げられる。
【0106】
なお、以下の説明において、同一又は同様の機能を有する構成には同一の符号を異なる実施形態及び図面間で共通して適宜用い、その構成についての繰り返しの説明は適宜省略する。
【0107】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明するブロック図である。本実施形態に係る紙幣監視システム1は、流通不適格紙幣を検出するためのシステムであり、
図1に示すように、複数の端末装置100と、複数の端末装置100との間で情報の送受信を行うサーバ200と、を具備している。各端末装置100と、サーバ200とは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等の通信網を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0108】
図2は、第1実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する別のブロック図である。各端末装置100は、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣を検出可能なように構成されており、
図2に示すように、抽出手段101と、判定手段102と、送信手段103と、を有している。
【0109】
抽出手段101は、紙幣の情報を抽出(取得)する。具体的には、例えば、紙幣の画像データに基づき当該紙幣の国、金種、表裏及び記番号を認識し、それらの結果を示す情報を取得する。
【0110】
判定手段102は、抽出手段101によって抽出された紙幣の情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。これにより、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣が検出される。判定手段102は、例えば、抽出手段101によって抽出された紙幣の国情報、金種情報、表裏情報及び記番号情報に基づいて、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。判定手段102は、端末装置100の機種や世代、使用に応じて、端末装置100毎に異なる判定処理を行うものであってもよい。
【0111】
送信手段103は、判定手段102によって流通不適格紙幣であると判定された場合に、当該流通不適格紙幣に係る情報(例えば、国、金種、表裏、記番号、要因、検出日時、検出場所等)をサーバ200に送信する。送信手段103は、通信網に接続して有線通信又は無線通信により情報を送信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されてもよいし、送信機、アンテナ等から構成されてもよい。送信手段103は、流通不適格紙幣に係る情報とともに、当該端末装置100の情報(例えば、機種、号機番号、識別部の機種(号機番号から認識可能な場合は不要)等)をサーバ200に送信してもよい。なお、流通不適格紙幣に係る情報を含む各種の情報(データ)は、後述する制御部106によって送信手段103に出力され、送信手段103によって送信される。また、送信手段103による送信のタイミング、内容(例えば流通不適格紙幣に係る情報の内容)、範囲(送信先)等の判定ないし決定処理は、制御部106により実行される。例えば、判定手段102によって流通不適格紙幣であると判定された場合、制御部106が、当該流通不適格紙幣に係る情報を、送信手段103を介して、サーバ200に送信する送信処理を実行する。
【0112】
サーバ200は、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置100に送信可能なように構成されており、
図2に示すように、記憶部201と、送信手段202と、を有している。
【0113】
記憶部201は、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を記憶するデータベースである。グループ単位としては、例えば、事件であってもよい。すなわち、サーバ200は、記憶部201にて、複数の流通不適格紙幣に係る情報を事件別にグループ化して管理してもよい。
【0114】
記憶部201は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置から構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能に構成されている。
【0115】
図3は、第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作を説明するブロック図である。
図3に示すように、サーバ200の送信手段202(
図3では図示省略)は、端末装置100(
図3中の端末装置100A)から流通不適格紙幣Xに係る情報が送信された場合に、当該流通不適格紙幣Xが該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報(例えば、記番号情報)を、所定の条件を満たす他の端末装置100(
図3中の端末装置100B)に送信する。したがって、他の端末装置100Bに流通不適格紙幣Xに係る情報と、流通不適格紙幣Xと同じグループの流通不適格紙幣に係る情報とを送信できるため、他の端末装置100Bによって、流通不適格紙幣X及びそれと関連する流通不適格紙幣、例えば記番号が同じ流通不適格紙幣を正確に(高精度に)検出することができる。
【0116】
送信手段202は、通信網に接続して有線通信により情報を送信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されている。なお、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を含む各種の情報(データ)は、後述する制御部203によって送信手段202に出力され、送信手段202によって送信される。また、送信手段202による送信のタイミング、内容(例えば特定グループの流通不適格紙幣に係る情報の内容)、範囲(送信先、例えば所定の条件を満たす他の携帯端末装置100B)等の判定ないし決定処理は、制御部203により実行される。例えば、端末装置100Aから流通不適格紙幣Xに係る情報が送信された場合、制御部203が、流通不適格紙幣Xが該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の携帯端末装置100Bに、送信手段202を介して、送信する送信処理を実行する。
【0117】
次に、
図4を用いて、本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図4は、第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0118】
図4に示すように、まず、端末装置100の抽出手段101が、紙幣の情報を抽出する(ステップS11)。
【0119】
次に、端末装置100の判定手段102が、抽出手段101によって抽出された紙幣の情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0120】
紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合は(ステップS12:Yes)、端末装置100の送信手段103が、当該流通不適格紙幣に係る情報をサーバ200に送信する(ステップS13)。この場合、端末装置100が、紙幣が流通不適格紙幣である旨を使用者に報知してもよい。
【0121】
また、ステップS12にて紙幣が流通不適格紙幣でないと判定された場合は、端末装置100がその旨を使用者に報知してもよい。
【0122】
流通不適格紙幣に係る情報がサーバ200に送信されると、サーバ200の送信手段202が、端末装置100から送信された流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置100に送信し(ステップS14)、システム1の動作が終了する。
【0123】
本実施形態では、サーバ200ではなく、各端末装置100の判定手段102が、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定することから、サーバ200にて当該判定処理を行う場合に比べて、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣を短時間で簡易に検出することができる。
【0124】
また、ある携帯端末100Aで検出された流通不適格紙幣Xが該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報が、所定の条件を満たす他の端末装置100Bに送信されることから、流通不適格紙幣Xに係る情報、及びそれと関連する流通不適格紙幣に係る情報、すなわち危険度が高く、優先順位の高い流通不適格紙幣に係る情報を、危険度が高く、優先順位の高い端末装置100のみに送信することができる。例えば、流通不適格紙幣Xと同一の犯人又は犯罪組織が使用する流通不適格紙幣に係る情報を、流通不適格紙幣Xを検出した端末装置100Aから距離が近い他の端末装置100Bに送信することができる。したがって、他の端末装置100Bの使用者が、流通不適格紙幣X及びそれと関連する流通不適格紙幣(例えば記番号が同じ流通不適格紙幣)を受け取るリスクを効果的に低減することができる。
【0125】
他方、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報は、所定の条件を満たさない更に他の端末装置100(
図3中の端末装置100C)には送信されないことから、危険度が低く、優先順位の低い端末装置100のメモリ容量を過度に消費することを防止することができる。また、携帯端末100Aで検出された流通不適格紙幣Xが該当しないグループの流通不適格紙幣に係る情報は、他の端末装置100B及び100Cには送信されないことから、この点からも、他の端末装置100B及び100Cのメモリ容量の消費を抑制することが可能である。したがって、システム全体の負荷を抑制することが可能である。
【0126】
以上より、本実施形態の紙幣監視システム1によれば、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格紙幣を簡易かつ効率的に検出することが可能である。
【0127】
次に、本実施形態に係る端末装置100及びサーバ200のより具体的な実施形態について説明する。
【0128】
各端末装置100は、据え置き型の端末装置であってもよいし、携帯端末装置であってもよい。
【0129】
据え置き型の端末装置としては、例えば、レジ釣銭機、ATM(現金自動預払機)、両替機、出納機、窓口キャッシャ、紙幣計数機、紙幣整理機、自動精算機、KIOSK、自動販売機、券売機等の紙幣処理装置が挙げられる。なお、出納機は、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行するものであり、通常、銀行等の金融機関の営業店舗に設置される。また、窓口キャッシャは、店舗の窓口にて入金処理及び出金処理を行うものであり、通常、金融機関の営業店舗の窓口に設置され、出納機と通信可能に接続される。
【0130】
携帯端末装置としては、例えば、カメラ、外部通信、表示、位置情報等の機能を有した、モバイル端末(例えば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等)やウェアラブル端末(スマートウォッチ、スマートグラス等)が挙げられる。
【0131】
図5は、第1実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。各端末装置100は、上述の抽出手段101、判定手段102及び送信手段103に加えて、
図5に示すように、画像取得手段104、記憶部105、制御部(演算処理部)106、受信手段107及び報知手段108を更に有していてもよい。
【0132】
また、各端末装置100は、紙幣の磁気データ(磁性)を取得する磁気検出手段(例えば磁気ラインセンサ)や、紙幣の厚みデータ(厚みの特徴)を取得する厚み検知手段(例えば厚み検知ラインセンサ)、紫外線等の励起光を照射して紙幣の蛍光データ(蛍光特性)を取得する蛍光検出手段(例えば、励起光を照射する光源と、蛍光を受光する光学センサ)、紫外線等の励起光を照射して紙幣の燐光データ(燐光特性)を取得する燐光検出手段(例えば、励起光を照射する光源と、燐光を受光する光学センサ)、等を有していてもよい。
【0133】
また、各端末装置100は、当該端末装置100の位置(例えば、緯度及び経度)を検出する位置検出手段を有していてもよい。位置検出手段は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて位置を検出するものであり、例えば、GPS(Global Positioning System)センサ(GPSモジュール)から構成されている。
【0134】
更に、各端末装置100は、カウントした時刻を示す時刻信号を出力するRTC(リアルタイムクロック)手段を有していてもよい。RTC手段は、当該端末装置100の電源がオフ状態である間も、電源からの電力供給又は補助電源(一次電池等)からの電力供給によって、継続して時刻をカウントするものであり、水晶振動子等の発振素子を備えている。
【0135】
その他、各端末装置100は、LCDパネルや有機ELパネルといった表示手段、タッチパネルや入力ボタンといった入力手段、プリンター等の出力手段、スピーカ等の音声出力手段、マイク等の音声入力手段、バイブレーションモータ(振動モータ)といった振動発生手段を有していてもよい。
【0136】
画像取得手段104は、紙幣の画像を取り込むものである。詳細には、紙幣の画像データを生成するものであり、生成された画像データからは、当該紙幣の静止画像及び/又は動画像が生成され得る。画像取得手段104によって取得される画像は、可視光に基づく可視画像であってもよいし、赤外光等の不可視光に基づく不可視画像であってもよい。画像取得手段104としては、例えば、光学ラインセンサやカメラモジュールを使用することが可能である。画像取得手段104は、光源として、可視光、赤外光等の複数種類(複数波長)の光を照射可能な複数の光源を備えていてもよい。
【0137】
記憶部105は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD等の記憶装置から構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能に構成されている。
【0138】
制御部106は、端末装置100の各部を制御するものであり、例えば、各種の処理を実現するためのプログラムと、該プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等によって構成されている。
【0139】
制御部106は、対応するプログラムを実行することによって、上述の抽出手段101及び判定手段102として機能し得る。
【0140】
抽出手段101は、画像取得手段104によって生成された紙幣の画像データに基づき、当該紙幣に係る情報を抽出(取得)してもよい。
【0141】
抽出手段101によって抽出された紙幣の情報は、紙幣の国情報と、紙幣の金種情報と、紙幣の表裏情報と、紙幣の画像データに含まれる特徴量の情報と、紙幣の記番号情報と、紙幣の記番号のフォント情報とのうち、少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0142】
抽出手段101によって抽出される紙幣の画像データに含まれる特徴量の情報としては、例えば、紙幣の可視画像及び/又は不可視画像の特徴量の情報等が挙げられる。
【0143】
上述の情報はいずれも、例えば、紙幣の画像データ(画像取得手段104によって生成されたものでもよい)から、一般的な手法により取得可能である。
【0144】
なお、国情報とは、紙幣の発行国(領域であってもよい)が何であるかを示す情報であり、金種情報とは、紙幣の種類(すなわち金種)が何であるかを示す情報であり、表裏情報とは、紙幣が表面と裏面のどちらであるかを示す情報であり、記番号情報とは、記番号が何であるかを示す情報であり、記番号の文字列(番号)を表す。
【0145】
更に、抽出手段101は、磁気検出手段や厚み検知手段、蛍光検出手段、燐光検出手段等によって取得されたデータに基づき、当該紙幣に係る情報(各特性の特徴)を抽出(取得)してもよい。
【0146】
判定手段102は、抽出手段101によって抽出された紙幣の記番号情報を記憶部105に記憶されている複数の流通不適格紙幣の記番号情報と照合し、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定してもよい。すなわち、判定手段102は、記憶部105に記憶されている複数の流通不適格紙幣のいずれかの記番号に一致する場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、記憶部105に記憶されている複数の流通不適格紙幣のいずれの記番号にも一致しない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。
【0147】
また、判定手段102は、抽出手段101によって抽出された紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報を記憶部105に記憶されている複数の流通不適格紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報と照合し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がある場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。このとき、照合される情報として、画像の特徴量の情報を更に用いてもよい。
【0148】
更に、判定手段102は、紙幣の磁性や厚みの特徴、蛍光特性、燐光特性に基づいて、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する判定処理を行ってもよい。
【0149】
なお、記憶部105に記憶されている判定手段102による照合処理に使用される情報量は、後述する第4実施形態においてサーバ500の記憶部503に記憶されているサーバ500の判定手段502による照合処理に使用される情報量に比べて少なくてもよい。
【0150】
また、判定手段102による判定処理のアルゴリズムは、後述する第4実施形態におけるサーバ500の判定手段502による判定処理のアルゴリズムと実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、判定手段502による判定処理のアルゴリズムは、各端末装置100の判定手段102による判定処理のアルゴリズムを網羅したアルゴリズムであってもよいし、各端末装置100の判定手段102による判定処理のアルゴリズムよりも更に詳細に判定処理を行うアルゴリズムであってもよい。
【0151】
判定手段102は、サーバ200から送信された特定グループの流通不適格紙幣に係る情報に基づいて流通不適格紙幣を検出してもよい。すなわち、他の端末装置100Bは、サーバ200から送信された特定グループの流通不適格紙幣に係る情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定してもよい。この場合、判定手段102は、サーバ200から送信された特定グループの流通不適格紙幣に係る情報と、抽出手段101によって抽出された紙幣の情報とに基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。例えば、抽出手段101によって抽出された紙幣の記番号情報をサーバ200から送信された特定グループの流通不適格紙幣の記番号情報と照合し、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。すなわち、判定手段102は、特定グループの流通不適格紙幣のいずれかの記番号に一致する場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、特定グループの流通不適格紙幣のいずれの記番号にも一致しない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。
【0152】
また、判定手段102は、抽出手段101によって抽出された紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報を、サーバ200から送信された特定グループの流通不適格紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報と照合し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がある場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。このとき、照合される情報として、画像の特徴量の情報を更に用いてもよい。
【0153】
受信手段107は、通信網に接続して有線通信又は無線通信により情報を受信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されてもよいし、受信機、アンテナ等から構成されてもよい。なお、受信手段107によって受信された各種の情報(データ)は、例えば、制御部106による制御の下、記憶部105に記憶される。送信手段103及び受信手段107は、例えば、ネットワークカード又は通信モジュールにより、通信部として一体的に構成されていてもよい。
【0154】
送信手段103は、判定手段102によって判定された流通不適格紙幣に係る情報をサーバ200に送信するものであるが、サーバ200に送信される流通不適格紙幣に係る情報は、(1)流通不適格紙幣そのものの情報を含んでもよいし、(2)流通不適格紙幣に付随する情報を含んでもよい。
【0155】
(1)流通不適格紙幣そのものの情報は、当該紙幣そのものから取得可能な情報であり、(1-1)流通不適格紙幣の国情報、(1-2)流通不適格紙幣の金種情報、(1-3)流通不適格紙幣の表裏情報、及び(1-4)流通不適格紙幣の記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよく、これらの情報全てを含んでもよい。これらの情報は、抽出手段101によって取得可能である。
【0156】
(2)流通不適格紙幣に付随する情報は、当該紙幣そのものから取得される情報ではなく、当該紙幣に関連する情報であり、(2-1)端末装置100によって当該流通不適格紙幣が検出された日時情報(日時を示す情報)と、(2-2)端末装置100によって当該流通不適格紙幣が検出された位置情報(位置を示す情報)と、(2-3)端末装置100によって当該流通不適格紙幣が検出された要因情報(要因を示す情報)とのうち、少なくとも1つを含んでもよい。日時情報は、RTC部から取得可能であり、位置情報は、位置検出手段から取得可能である。要因情報は、流通不適格紙幣に判定された理由を示す情報、すなわち、流通不適格紙幣の種別に相当する情報であり、具体的には、例えば、偽札、疑券、盗難紙幣等が挙げられる。
【0157】
また、(2)流通不適格紙幣に付随する情報は、(2-4)当該流通不適格紙幣の使用者の年代情報(使用者の年代を示す情報)と、(2-5)当該流通不適格紙幣の使用者の外観特徴情報(使用者の外観を示す情報)とのうち、少なくとも1つを含んでもよい。使用者の外観特徴としては、例えば、性別、身長、体形、肌の色、髪の色等が挙げられる。これらの情報は、例えば、防犯カメラから取得した当該使用者の映像から取得したり、POSレジで入力された情報から取得したりすることが可能である。
【0158】
送信手段103は、判定手段102によって紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合、当該流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置100にも送信してもよい。これにより、例えば、ある端末装置100が検出した流通不適格紙幣に係る情報を同一グループ(例えば同一企業や同一系列内の企業)内にて共有できるため、距離が離れている等により所定の条件を満たさない同一グループの端末装置100によっても効果的に流通不適格紙幣を検出することができる。
【0159】
報知手段108は、サーバ200から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合に当該情報を受信したことを当該端末装置100の使用者に報知する。これにより、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣をより効果的に検出することができる。報知手段108としては、例えば、上述の表示手段、音声出力手段、振動発生手段等を利用することができる。
【0160】
図6は、第1実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。サーバ200は、上述の記憶部201及び送信手段202に加えて、
図6に示すように、制御部(演算処理部)203及び受信手段204を更に有していてもよい。
【0161】
サーバ200は、各所から流通不適格紙幣に係る情報(例えば、流通不適格紙幣の記番号及び金種、流通不適格紙幣を検知した日時、位置及び要因)をリストや散発的な情報として入手し、統合管理する。具体的には、例えば、サーバ200は、中央銀行から偽券のリストを取得し、警察からベイトマネー(強盗に出金した紙幣)のリストや盗難紙幣のリストを取得し、小売り店舗や銀行に設置された端末や携帯端末(スマートフォン等)から疑券の情報やダイインク付き紙幣の情報を取得する。そして、サーバ200は、入手した情報をグループ化してグループ単位で管理する。ここで、グループ単位は、例えば事件であってもよい。
【0162】
サーバ200の記憶部201は、グループ化のルールを含む情報であるグループ化設定を記憶していてもよく、サーバ200(制御部203)は、グループ化設定に基づいて、記憶部201に記憶された、又は各所から入手した複数の流通不適格紙幣に係る情報を複数のグループにグループ化してもよい。グループ化設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよい。
【0163】
サーバ200は、クラウド型であってもよいし、オンプレミス型であってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。
【0164】
制御部203は、サーバ200の各部を制御するものであり、例えば、各種の処理を実現するためのプログラムと、該プログラムを実行するCPUと、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。
【0165】
受信手段204は、通信網に接続して有線通信により情報を受信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されている。なお、受信手段204によって受信された各種の情報(データ)は、例えば、制御部203による制御の下、記憶部201に記憶される。送信手段202及び受信手段204は、例えば、ネットワークカードにより、通信部として一体的に構成されていてもよい。
【0166】
流通不適格紙幣Xを検出した端末装置100Aから流通不適格紙幣Xに係る情報がサーバ200に送信されると、当該情報は、受信手段204で受信され、制御部203による制御の下、記憶部201に登録される。
【0167】
記憶部201は、上述のようにして取得した、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を、例えばリスト(テーブル)として記憶している。サーバ200(制御部203)は、端末装置100Aから流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格紙幣に係る情報に基づいてリストを更新してもよく、サーバ200の送信手段202は、更新されたリストに基づいて、所定の条件を満たす他の端末装置100Bに特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0168】
記憶部201に記憶される複数の流通不適格紙幣に係る情報としては、例えば、各端末装置100の送信手段103から送信され得る上述の流通不適格紙幣に係る情報が挙げられる。
【0169】
図7は、第1実施形態に係るサーバの記憶部に記憶される複数の流通不適格紙幣に係るリストを模式的に示す図である。記憶部201にて記憶(管理)される複数の流通不適格紙幣に係るリストは、
図7の左側に示すように、例えば、各行ごとに、当該流通不適格紙幣の記番号、金種、グループ及びダイインクの有無を示す項目を有していてもよい。ここでは、ダイインク付き紙幣であるか否かは、当該項目のチェック記号の有無(ダイインク付き紙幣であればチェック有り、ダイインク付き紙幣でなければチェック無し)で示されている。
【0170】
また、記番号、金種、グループ及びダイインクの有無が同じ流通不適格紙幣が複数存在する場合は、
図7の右側に示すように、それらの流通不適格紙幣に係るサブリストが記憶部201にて記憶(管理)されてもよい。サブリストは、例えば、当該流通不適格紙幣の記番号、当該流通不適格紙幣が検出された日時及び位置(緯度と経度)、並びに当該流通不適格紙幣が検出された要因を示す項目を有していてもよい。ここでは、要因として、例えば、偽券が示されている。各サブリストは、
図7の左側に示したメインリストの対応する流通不適格紙幣に係る情報に紐づけられた状態で記憶部201に記憶されている。
【0171】
特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するか否かの基準となる上記所定の条件(配信する範囲)としては、例えば、他の端末装置100の(1)地域、(2)設置店舗、(3)距離等が挙げられる。これにより、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した端末装置100Bにより流通不適格紙幣をより効果的に検出することができる。
【0172】
すなわち、(1)サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出された地域(同一地域)の端末装置100Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。ここで、地域としては、例えば、地方、群、州、県、市、町、村等が挙げられる。
【0173】
他方、サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出された場所に関係無く、所定の範囲内(所定の地域内)の端末装置100Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。ここで、所定の地域としては、例えば、地方、群、州、県、市、町、村等が挙げられる。
【0174】
また、(2)サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出された店舗と提携している店舗の端末装置100Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0175】
(2)において、提携している店舗は、同一グループ(例えば同一企業や同一系列内の企業)に所属する店舗であってもよい。
【0176】
また、(3)サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出された場所から所定距離内の端末装置100Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0177】
(3)において、所定距離以内であるか否かは、例えば、端末装置100A及び100Bの位置検出手段が取得した位置情報に基づき判定可能である。
【0178】
また、これらの条件をAND条件又はOR条件で適宜組み合わせて用いてもよい。
【0179】
特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するタイミング(配信のタイミング)としては、例えば、(1)検出直後、(2)検出してから所定期間経過後等が挙げられる。
【0180】
すなわち、(1)サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出される毎に、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。これにより、所定の条件を満たす端末装置100Bが特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を迅速に受信できるため、流通不適格紙幣をより効果的に検出することができる。
【0181】
(1)において、流通不適格紙幣が検出される毎に送信されるとは、端末装置100Aが当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定してから、サーバ200が特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するまでの各処理が、予め意図的に設定された所定期間の間中断することなく、実行されることをいう。したがって、例えば、通信網のトラフィックの混雑等に起因する意図しない処理遅延が発生する場合を包含し得る。
【0182】
また、(2)サーバ200の送信手段202は、端末装置100Aによって流通不適格紙幣が検出されてから所定期間の経過後に、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。これにより、所定期間内に同一グループに属する複数の流通不適格紙幣が検出された場合に、当該グループの流通不適格紙幣に係る情報をまとめて端末装置100Bに送信できるため、システム全体における情報の配信及び更新に係る処理負担を軽減することが可能である。例えば、ある流通不適格紙幣が検出された場所(例えば店舗)と同一市内及び隣接市内で所定期間内に検出された同一グループの複数の流通不適格紙幣に係る情報をまとめて端末装置100Bに配信することができる。
【0183】
(2)において、所定期間における始期は、例えば、端末装置100Aによって検出された日時(判定手段102が流通不適格紙幣であると判定した日時や送信手段103が当該流通不適格紙幣に係る情報をサーバ200に送信した日時)であってもよいし、サーバ200(制御部203)が端末装置100Aから送信された当該流通不適格紙幣に係る情報を記憶部201に記憶(登録)した日時であってもよい。また、所定期間における終期は現在の日時であってもよい。
【0184】
また、(2)において、所定期間は、広域エリア(例えば、ヨーロッパ、アメリカ、ロシア等)では、時差を考慮して設定されてもよい。
【0185】
サーバ200から送信される特定グループの流通不適格紙幣に係る情報(配信する内容)としては、例えば、各端末装置100の送信手段103から送信され得る上述の流通不適格紙幣に係る情報が挙げられる。
【0186】
サーバ200の記憶部201は、配信設定を記憶していてもよく、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合、サーバ200の送信手段202は、この配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置100に送信(配信)してもよい。すなわち、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合、制御部203が、配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、他の端末装置100に、送信手段202を介して、送信する送信処理を実行してもよい。
【0187】
ここで、配信設定とは、配信のタイミング、配信する内容、配信する範囲等(いつ何をどこに配信するか等)を含む情報である。配信設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよし、端末装置100の機種毎に設定されてもよい。
【0188】
次に、
図8を用いて、
図5及び6にそれぞれ示した端末装置及びサーバを備える本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図8は、第1実施形態に係る紙幣監視システムの動作の他の例を説明するフローチャートである。
【0189】
図8に示すように、まず、端末装置100の画像取得手段104が、紙幣の画像を取り込む(ステップS10)。
【0190】
次に、端末装置100が、
図4に示した場合と同様に、ステップS11~S13の処理を実行する。また、サーバ200が、
図4に示した場合と同様に、ステップS14の処理を実行する。
【0191】
次に、所定の条件を満たし、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した端末装置100の判定手段102が、送信された特定グループの流通不適格紙幣に係る情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定し(ステップS15)、システム1の動作が終了する。
【0192】
ステップS15にて紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合は、当該端末装置100の報知手段108がその旨を、ステップS15にて紙幣が流通不適格紙幣でないと判定された場合は、当該端末装置100の報知手段108がその旨を、それぞれ、使用者に報知してもよい。
【0193】
また、他の端末装置100がサーバ200から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合、その報知手段108が当該情報を受信したことを当該端末装置100の使用者に報知してもよい。
【0194】
(第2実施形態)
本実施形態は、流通不適格紙幣に係る情報にランクの概念が導入されていることを除いて、実質的に第1実施形態と同じである。ランクは更新可能であり、最新のランクに基づいてサーバが動作する。
図9は、第2実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
図10は、第2実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【0195】
図9に示すように、本実施形態において、各端末装置100は、第1実施形態と同様に、抽出手段101、判定手段102及び送信手段103に加えて、画像取得手段104、記憶部105、制御部(演算処理部)106、受信手段107及び報知手段108を更に有していてもよい。
【0196】
図10に示すように、本実施形態において、サーバ200は、第1実施形態と同様に、記憶部201及び送信手段202に加えて、制御部(演算処理部)203及び受信手段204を更に有していてもよい。
【0197】
他方、本実施形態では、サーバ200(制御部203)が、管理している流通不適格紙幣に係る情報にランク付けを行う点で第1実施形態と異なっている。より詳細には、記憶部201に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を、危険度に応じてランク付けする。この結果、記憶部201には、グループ化され、かつ危険度に応じてランク付けされた複数の流通不適格紙幣に係る情報が記憶される。これにより、ランクが高い、すなわち危険度が高い流通不適格紙幣に係る情報を選択的に他の端末装置100に送信することができる。したがって、他の端末装置100のメモリ容量の消費を更に抑制しつつ、流通不適格紙幣を受け取るリスクを効果的に低減することができる。
【0198】
このように、サーバ200の送信手段202は、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合に、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置100に送信してもよい。すなわち、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信された場合、制御部203が、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を、他の端末装置100に、送信手段202を介して、送信する送信処理を実行してもよい。所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報は、他の端末装置100に加えて、流通不適格紙幣を検出した端末装置100にも送信されてもよい。
【0199】
なお、ランクとは、危険度が高いものほど高く、危険度が低いものほど低い。また、サーバ200の送信手段202は、所定ランクと同じランクの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置100に送信してもよいし、しなくてもよい。所定ランクの値に応じて適宜設定可能である。
【0200】
サーバ200の記憶部201は、ランク付けのルールを含む情報であるランク付与設定を記憶していてもよく、サーバ200(制御部203)は、ランク付与設定に基づいて、記憶部201に記憶された、又は各所から入手した複数の流通不適格紙幣に係る情報(例えば中央銀行から取得した偽券のリスト)を危険度に応じてランク付けしてもよい。ランク付与設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよい。
【0201】
サーバ200(制御部203)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に危険度に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部201に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に危険度に応じてランク付けされていてもよい。サーバ200(制御部203)は、例えば、事件の被害金額及び/又は被害枚数が多いほどランクをより高く設定してもよい。また、発生場所及び/又は発生日時がより近い事件ほどランクをより高く設定してもよい。また、事件を起こした犯罪組織が大きい(又は、凶悪若しくは悪質な)ほどランクをより高く設定してもよい。
【0202】
また、サーバ200(制御部203)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、金額及び/枚数に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部201に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、流通不適格紙幣の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0203】
更に、サーバ200(制御部203)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に金額及び/枚数に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部201に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に、流通不適格紙幣の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0204】
サーバ200(制御部203)は、例えば、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、グループ毎に、流通不適格紙幣の金額及び/又は枚数が多ければランクを高く、中程度であればランクを中程度に、少なければランクを低く、それぞれ設定してもよい。金額及び/又は枚数が多いほど、流通する可能性が高い上、大きな組織による犯罪の可能性が高いためである。
【0205】
サーバ200(制御部203)は、ある端末装置100から流通不適格紙幣に係る情報が送信されると、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。これにより、流通不適格紙幣を受け取るリスクをより効果的に低減することができる。例えば、ある偽券が検出されると、同じ特定グループに属する偽券が他の店や地域でその後使用される可能性が高いと考えられるため、そのグループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを高くする。
【0206】
端末装置100のうちの携帯端末装置から疑券に係る情報が送信され、その後、当該紙幣が偽券であると判定された場合、サーバ200(制御部203)は、当該偽券の金額及び/又は枚数をカウントし、当該偽券に係る情報をランク付けし、その累積金額及び/又は累積枚数が増えるとランクをより高くしてもよい。
【0207】
サーバ200(制御部203)は、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクをより低くしてもよい。例えば、最初に偽券が検出された日から1年経過すると、その後も使用される可能性は低いため、該当するグループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを1つ下げてもよい。
【0208】
本実施形態において、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を配信する範囲(所定の条件)、タイミング及び内容は、第1実施形態の場合と同様である。
【0209】
例えば、サーバ200の記憶部201がユーザ毎或いは地域毎に配信設定を記憶しておき、サーバ200の送信手段202(制御部203)は、この配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置100に送信(配信)してもよい。
【0210】
また、例えば、新たに偽券が検出され、当該偽券が該当する特定グループの偽券に係る情報のランクがより高くなることにより、所定ランクを超えた場合、その偽券が検出された市と同一市内のユーザに当該グループの偽券に係る情報を送信(配信)してもよい。
【0211】
更に、記憶部201が予めランク付けされているリストを記憶している場合は、所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣が検出されると、その流通不適格紙幣が検出された市と同一市内及び隣接市内の全ユーザに上記リストを送信(配信)してもよい。
【0212】
また、本実施形態では、サーバ200(制御部203)は、ランクに応じて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を配信する範囲(所定の条件)、特に配信(送信)する地域、を変更してもよい。すなわち、サーバ200の送信手段202は、流通不適格紙幣に係る情報のランクがより高いほど、より広い地域の他の端末装置100に送信(配信)してもよい。
【0213】
例えば、端末装置100から疑券に係る情報が送信され、その後、当該紙幣が偽券であると判定された場合、サーバ200(制御部203)は、当該偽券が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクに応じて、当該情報を送信(配信)する地域を決定してもよい。具体的には、例えば、ランクが高ければ、広域(広いエリア、例えば全国)に送信し、ランクが中程度であれば、中域(中程度のエリア、例えば地方や群)に送信し、ランクが低ければ、狭域(狭いエリア、例えば、州、県、市、町、村)に送信してもよい。
【0214】
次に、
図11を用いて、本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図11は、第2実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0215】
図11に示すように、まず、端末装置100が、第1実施形態の場合と同様に、ステップS10~S13の処理を実行する。
【0216】
次に、サーバ200(制御部203)が、端末装置100から送信された流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更する(ステップS21)。
【0217】
次に、サーバ200の送信手段202が、特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を、流通不適格紙幣を検出した端末装置100及び他の端末装置100に送信する(ステップS22)。
【0218】
その後、
図8に示した場合と同様に、他の携帯端末装置100が、ステップS15の処理を実行し、本実施形態に係るシステムの動作が終了する。
【0219】
ステップS15にて紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合は、当該端末装置100の報知手段108がその旨を、ステップS15にて紙幣が流通不適格紙幣でないと判定された場合は、当該端末装置100の報知手段108がその旨を、それぞれ、使用者に報知してもよい。
【0220】
また、他の端末装置100がサーバ200から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合、その報知手段108が当該情報を受信したことを当該端末装置100の使用者に報知してもよい。
【0221】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図である。本実施形態に係る紙幣監視システム3は、流通不適格紙幣の情報を入手、登録、管理、配信及び判定するためのシステムであり、第1及び第2実施形態のより具体的な実施形態に相当する。紙幣監視システム3は、
図12に示すように、複数の携帯端末装置100Xと、通信網を介して各携帯端末装置100Xとの間で情報のやり取りを行うサーバ200Xとを具備している。
【0222】
各端末装置100Xは、据え置き型の端末装置や携帯端末装置である。据え置き型の端末装置としては、例えば、レジ釣銭機、ATM(現金自動預払機)、両替機、出納機、窓口キャッシャ、紙幣計数機、紙幣整理機、自動精算機、KIOSK、自動販売機、券売機等の紙幣処理装置が使用される。携帯端末装置としては、例えば、カメラ、外部通信、表示、位置情報等の機能を有した、モバイル端末(例えば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等)やウェアラブル端末(スマートウォッチ、スマートグラス等)が使用される。
【0223】
サーバ200Xとしては、例えば、クラウドサーバやオンプレミス型のサーバが使用される。
【0224】
図13は、第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図であり、複数の流通不適格紙幣に係る情報を入手する場合を説明する。
図13に示すように、各所(各端末装置100Xや中央銀行、銀行、警察等)から流通不適格紙幣に係る情報を入手し、サーバ200Xに登録する。このとき、複数の流通不適格紙幣に係る情報を関連するもの同士でグループ化してサーバ200Xに登録し、その情報を更新する。例えば、予め記番号で管理された紙幣が複数枚で盗難の被害にあった場合に、それらの複数の流通不適格紙幣に係る情報を同一グループに登録する。また、例えば、同一記番号の複数の流通不適格紙幣や、異なる記番号であるが類似した特徴を有する複数の流通不適格紙幣に係る情報を同一グループに登録する。これら同一グループに該当する複数の流通不適格紙幣は、同一時期のものでも、異なる時期のものであってもよい。
【0225】
また、流通不適格紙幣に係る情報は、被害にあった金額、枚数、要因、地域、日時等の詳細な項目毎に重みづけを行い、流通不適格紙幣1枚毎とグループ毎に、危険度(重要度や緊急度でもよい)に応じてランク付けを行う。
【0226】
図14は、第3実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する模式図であり、流通不適格紙幣に係る情報を配信する場合を説明する。
図14に示すように、ある端末装置100XAで、流通不適格紙幣が新たに例えば1枚発見された場合、サーバ200Xが、その流通不適格紙幣が該当するグループのランクをより高くし、そのグループに属する流通不適格紙幣全てに係る記番号情報及び他の情報を、所定の条件を満たす他の端末装置100XBに配信し、所定の条件を満たさない更に他の端末装置100XCには配信しない。他の端末装置100XBは、配信された情報を記憶部に記憶し、記憶した当該情報に基づいて、処理する紙幣の記番号のモニタリングを行い、流通不適格紙幣の検出及び排除を行う。これにより、同一の犯人又は犯罪組織が連続して同じグループの流通不適格紙幣を使用するのを予測して予防することが可能となる。なお、ランクが変更された上記グループに属する流通不適格紙幣に係る情報は、端末装置100XAにも配信される。
【0227】
他の端末装置100XBは、配信された情報をそのまま使用してもよいし、配信された情報を各々の条件を加味してランク付けを行ってから使用してもよい。また、他の端末装置100XBは、配信された情報を全て記憶部に記憶してもよいし、ランクの高いものから順に一部の情報に絞って記憶してもよい。
【0228】
紙幣の記番号のモニタリングに時間が掛かってもいい場合や、端末装置100の処理時間やメモリ等のハードウェアスペックに制約がある場合は、配信すべき流通不適格紙幣に係る情報の全て又は一部をサーバ200Xや他のサーバ(クラウドサーバ等)に保管しておき、必要に応じてその情報も用いて紙幣の記番号のモニタリングを行ってもよい。
【0229】
以上、本実施形態によれば、価格、サイズ、運用等の制約で高度な機械を導入できていない小規模小売店等において、現状の目視や簡易真偽チェッカー(例えばUVランプ)での確認ではなく、最新の情報や高度なセキュリティ検知を活用した真偽識別を実施できるため、流通不適格紙幣を受け取るリスクを低減することができる。
【0230】
また、一般消費者や渡航者に関しても、釣銭等で流通不適格紙幣を受け取るリスクを低減することができる。
【0231】
(第4実施形態)
図15は、第4実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明するブロック図である。本実施形態に係る紙幣監視システム4は、流通不適格紙幣を検出するためのシステムであり、
図15に示すように、複数の端末装置400と、複数の端末装置400との間で情報の送受信を行うサーバ500と、を具備している。各端末装置400と、サーバ500とは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等の通信網を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0232】
図16は、第4実施形態に係る紙幣監視システムの構成を説明する別のブロック図である。各端末装置400は、
図16に示すように、送信手段401を有している。
【0233】
送信手段401は、紙幣の画像データをサーバ500に送信する。送信手段401は、通信網に接続して有線通信又は無線通信により情報を送信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されてもよいし、送信機、アンテナ等から構成されている。なお、画像データを含む各種の情報(データ)は、後述する制御部404によって送信手段401に出力され、送信手段401によって送信される。また、送信手段401による送信のタイミング、内容、範囲(送信先)等の判定ないし決定処理は、制御部404により実行される。
【0234】
サーバ500は、ある端末装置400から紙幣の画像データが送信された場合に、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定し、流通不適格紙幣である場合、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置400に送信可能なように構成されており、
図16に示すように、抽出手段501と、判定手段502と、記憶部503と、送信手段504と、を有している。
【0235】
抽出手段501は、複数の端末装置400から送信された画像データから当該紙幣の情報を抽出する。具体的には、例えば、紙幣の画像データに基づき当該紙幣の国、金種、表裏及び記番号を認識し、それらの結果を示す情報を取得する。
【0236】
判定手段502は、抽出手段501によって抽出された紙幣の情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。これにより、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣が検出される。判定手段502は、例えば、抽出手段501によって抽出された紙幣の国情報、金種情報、表裏情報及び記番号情報に基づいて、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する。
【0237】
記憶部503は、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を記憶するデータベースである。グループ単位としては、例えば、事件であってもよい。すなわち、サーバ500は、記憶部503にて、複数の流通不適格紙幣に係る情報を事件別にグループ化して管理してもよい。
【0238】
記憶部503は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、SSD等の記憶装置から構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能に構成されている。
【0239】
図17は、第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作を説明するブロック図である。
図17に示すように、端末装置400Aから送信された紙幣の画像データに基づいてサーバ500の判定手段502(
図17では図示省略)によって当該紙幣が流通不適格紙幣Xであると判定された場合に、サーバ500の送信手段504(
図17では図示省略)は、当該流通不適格媒体Xが該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報(例えば、記番号情報)を、所定の条件を満たす他の端末装置400(
図17中の端末装置400B)に送信する。したがって、他の端末装置400Bに流通不適格紙幣Xに係る情報と、流通不適格紙幣Xと同じグループの流通不適格紙幣に係る情報とを送信できるため、他の端末装置400Bによって、流通不適格紙幣X及びそれと関連する流通不適格紙幣、例えば記番号が同じ流通不適格紙幣を正確に(高精度に)検出することができる。
【0240】
また、送信手段504は、判定手段503による判定結果、すなわち紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを示す情報を端末装置400Aに送信する。
【0241】
送信手段504は、通信網に接続して有線通信により情報を送信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されている。なお、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を含む各種の情報(データ)は、後述する制御部505によって送信手段504に出力され、送信手段504によって送信される。また、送信手段504による送信のタイミング、内容(例えば特定グループの流通不適格媒体に係る情報の内容)、範囲(送信先、例えば所定の条件を満たす他の携帯端末装置400B)等の判定ないし決定処理は、制御部505により実行される。例えば、判定手段503によって当該紙幣が流通不適格紙幣Xであると判定された場合、制御部505が、流通不適格媒体Xが該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置400Bに、送信手段504を介して、送信する送信処理を実行する。
【0242】
次に、
図18を用いて、本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図18は、第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0243】
図18に示すように、まず、端末装置400の送信手段401が、紙幣の画像データをサーバ500に送信する(ステップS31)。
【0244】
画像データがサーバ500に送信されると、サーバ500の抽出手段501が、送信された画像データから紙幣の情報を抽出する(ステップS32)。
【0245】
次に、サーバ500の判定手段502が、抽出手段501によって抽出された紙幣の情報に基づいて、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する(ステップS33)。
【0246】
紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合は(ステップS33:Yes)、サーバ500の送信手段504が、その判定結果を、画像データを送信した端末装置400に送信し(ステップS34)、サーバ500の送信手段504が、当流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置400に送信し(ステップS35)、システム4の動作が終了する。
【0247】
また、ステップS33にて紙幣が流通不適格紙幣でないと判定された場合は(ステップS33:No)、サーバ500の送信手段504が、その判定結果を、画像データを送信した端末装置400に送信し(ステップS36)、システム4の動作が終了する。
【0248】
本実施形態では、各端末装置400ではなく、サーバ500の判定手段502が、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定することから、各端末装置400の処理負担を低減しつつ、各端末装置400にて当該判定処理を行う場合に比べて、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣をより正確に検出することができる。サーバ500により高度(高精度)な判定処理を実行することができるためである。例えば。サーバ500の記憶部503に大量の流通不適格紙幣に係る情報を記憶し、その情報と照合することにより流通不適格紙幣を検出することができる。
【0249】
また、ある携帯端末400Aで検出された流通不適格紙幣Xが該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報が、所定の条件を満たす他の端末装置400Bに送信されることから、流通不適格紙幣Xに係る情報、及びそれと関連する流通不適格紙幣に係る情報、すなわち危険度が高く、優先順位の高い流通不適格紙幣に係る情報(例えば、金種情報、記番号情報、要因情報)を、危険度が高く、優先順位の高い端末装置400のみに送信することができる。例えば、流通不適格紙幣Xと同一の犯人又は犯罪組織が使用する流通不適格紙幣に係る情報(例えば、金種情報、記番号情報、要因情報)を、流通不適格紙幣Xを検出した端末装置400Aから距離が近い他の端末装置400Bに送信することができる。したがって、他の端末装置400Bの使用者が目視で紙幣の国や金種、記番号を簡便に照合でき、流通不適格紙幣X及びそれと関連する流通不適格紙幣(例えば記番号が同じ流通不適格紙幣)を受け取るリスクを簡易かつ効果的に低減することができる。
【0250】
他方、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報は、所定の条件を満たさない更に他の端末装置400(
図17中の端末装置400C)には送信されないことから、危険度が低く、優先順位の低い端末装置400のメモリ容量を過度に消費することを防止することができる。また、携帯端末400Aで検出された流通不適格紙幣Xが該当しないグループの流通不適格紙幣に係る情報は、他の端末装置400B及び400Cには送信されないことから、この点からも、他の端末装置400B及び400Cのメモリ容量の消費を抑制することが可能である。したがって、システム全体の負荷を抑制することが可能である。
【0251】
以上より、本実施形態の紙幣監視システム4によれば、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格紙幣を簡易かつ効率的に検出することが可能である。
【0252】
次に、本実施形態に係る端末装置400及びサーバ500のより具体的な実施形態について説明する。
【0253】
各端末装置400は、据え置き型の端末装置であってもよいし、携帯端末装置であってもよい。
【0254】
据え置き型の端末装置としては、例えば、レジ釣銭機、ATM(現金自動預払機)、両替機、出納機、窓口キャッシャ、紙幣計数機、紙幣整理機、自動精算機、KIOSK、自動販売機、券売機等の紙幣処理装置が挙げられる。なお、出納機は、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行するものであり、通常、銀行等の金融機関の営業店舗に設置される。また、窓口キャッシャは、店舗の窓口にて入金処理及び出金処理を行うものであり、通常、金融機関の営業店舗の窓口に設置され、出納機と通信可能に接続される。
【0255】
携帯端末装置としては、例えば、カメラ、外部通信、表示、位置情報等の機能を有した、モバイル端末(例えば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等)やウェアラブル端末(スマートウォッチ、スマートグラス等)が挙げられる。
【0256】
図19は、第4実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。各端末装置400は、上述の送信手段401に加えて、
図19に示すように、画像取得手段402、記憶部403、制御部(演算処理部)404、受信手段405及び報知手段406を更に有していてもよい。
【0257】
また、各端末装置400は、紙幣の磁気データ(磁性)を取得する磁気検出手段(例えば磁気ラインセンサ)や、紙幣の厚みデータ(厚みの特徴)を取得する厚み検知手段(例えば厚み検知ラインセンサ)、紫外線等の励起光を照射して紙幣の蛍光データ(蛍光特性)を取得する蛍光検出手段(例えば、励起光を照射する光源と、蛍光を受光する光学センサ)、紫外線等の励起光を照射して紙幣の燐光データ(燐光特性)を取得する燐光検出手段(例えば、励起光を照射する光源と、燐光を受光する光学センサ)、等を有していてもよい。
【0258】
また、各端末装置400は、当該端末装置400の位置(例えば、緯度及び経度)を検出する位置検出手段を有していてもよい。位置検出手段は、GNSSを用いて位置を検出するものであり、例えば、GPSセンサ(GPSモジュール)から構成されている。
【0259】
更に、各端末装置400は、カウントした時刻を示す時刻信号を出力するRTC(リアルタイムクロック)手段を有していてもよい。RTC手段は、当該端末装置400の電源がオフ状態である間も、電源からの電力供給又は補助電源(一次電池等)からの電力供給によって、継続して時刻をカウントするものであり、水晶振動子等の発振素子を備えている。
【0260】
その他、各端末装置400は、LCDパネルや有機ELパネルといった表示手段、タッチパネルや入力ボタンといった入力手段、プリンター等の出力手段、スピーカ等の音声出力手段、マイク等の音声入力手段、バイブレーションモータ(振動モータ)といった振動発生手段を有していてもよい。
【0261】
画像取得手段402は、紙幣を撮像するものである。詳細には、紙幣の画像データを生成するものであり、生成された画像データからは、当該紙幣の静止画像及び/又は動画像が生成され得る。画像取得手段402によって取得される画像は、可視光に基づく可視画像であってもよいし、赤外光等の不可視光に基づく不可視画像であってもよい。画像取得手段402としては、例えば、光学ラインセンサやカメラモジュールを使用することが可能である。画像取得手段402は、光源として、可視光、赤外光等の複数種類(複数波長)の光を照射可能な複数の光源を備えていてもよい。
【0262】
記憶部403は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD等の記憶装置から構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能に構成されている。
【0263】
制御部404は、端末装置400の各部を制御するものであり、例えば、各種の処理を実現するためのプログラムと、該プログラムを実行するCPUと、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。
【0264】
受信手段405は、通信網に接続して有線通信又は無線通信により情報を受信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されてもよいし、受信機、アンテナ等から構成されてもよい。なお、受信手段405によって受信された各種の情報(データ)は、例えば、制御部404による制御の下、記憶部403に記憶される。送信手段401及び受信手段405は、例えば、ネットワークカード又は通信モジュールにより、通信部として一体的に構成されていてもよい。
【0265】
報知手段406は、サーバ500から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合に当該情報を受信したことを当該端末装置400の使用者に報知する。これにより、例えば、使用者が目視で紙幣の金種や記番号を簡便に照合でき、流通している紙幣の中から流通不適格紙幣を検出することができる。また、報知手段406は、サーバ400から判定結果を受信した場合に当該結果を当該端末装置400の使用者に報知する。報知手段406としては、例えば、上述の表示手段、音声出力手段、振動発生手段等を利用することができる。
【0266】
送信手段401は、サーバ500の判定手段502によって紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合、当該流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置400にも送信してもよい。これにより、例えば、ある端末装置400が検出した流通不適格紙幣に係る情報を同一グループ(例えば同一企業や同一系列内の企業)内にて共有できるため、距離が離れている等により所定の条件を満たさない同一グループの端末装置400によっても効果的に流通不適格紙幣を検出することができる。
【0267】
また、送信手段401は、磁気検出手段や厚み検知手段、蛍光検出手段、燐光検出手段等によって紙幣から取得されたデータをサーバ500に送信してもよい。
【0268】
図20は、第4実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。サーバ500は、上述の抽出手段501、判定手段502、記憶部503及び送信手段504に加えて、
図20に示すように、制御部(演算処理部)505及び受信手段506を更に有していてもよい。
【0269】
サーバ500は、各所から流通不適格紙幣に係る情報(例えば、流通不適格紙幣の記番号及び金種、流通不適格紙幣を検知した日時、位置及び要因)をリストや散発的な情報として入手し、統合管理する。具体的には、例えば、サーバ500は、中央銀行から偽券のリストを取得し、警察からベイトマネー(強盗に出金した紙幣)のリストや盗難紙幣のリストを取得し、小売り店舗や銀行に設置された端末や携帯端末(スマートフォン等)から疑券の情報やダイインク付き紙幣の情報を取得する。そして、サーバ500は、入手した情報をグループ化してグループ単位で管理する。ここで、グループ単位は、例えば事件であってもよい。
【0270】
サーバ500の記憶部503は、グループ化のルールを含む情報であるグループ化設定を記憶していてもよく、サーバ500(制御部505)は、グループ化設定に基づいて、記憶部503に記憶された、又は各所から入手した複数の流通不適格紙幣に係る情報を複数のグループにグループ化してもよい。グループ化設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよい。
【0271】
サーバ500は、クラウド型であってもよいし、オンプレミス型であってもよいし、両者のハイブリッド型であってもよい。
【0272】
制御部505は、サーバ500の各部を制御するものであり、例えば、各種の処理を実現するためのプログラムと、該プログラムを実行するCPUと、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。
【0273】
制御部505は、対応するプログラムを実行することによって、上述の抽出手段501及び判定手段502として機能し得る。
【0274】
抽出手段501は、画像取得手段402によって生成された紙幣の画像データに基づき、当該紙幣に係る情報を抽出(取得)してもよい。
【0275】
抽出手段501によって抽出された紙幣の情報は、紙幣の国(地域であってもよい)情報と、紙幣の金種情報と、紙幣の表裏情報と、紙幣の画像データに含まれる特徴量の情報と、紙幣の記番号情報と、紙幣の記番号のフォント情報とのうち、少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0276】
抽出手段501によって抽出される紙幣の画像データに含まれる特徴量の情報としては、例えば、紙幣の可視画像及び/又は不可視画像の特徴量の情報等が挙げられる。
【0277】
上述の情報はいずれも、例えば、紙幣の画像データ(画像取得手段402によって生成されたものでもよい)から、一般的な手法により取得可能である。
【0278】
更に、抽出手段501は、端末装置400の磁気検出手段や厚み検知手段、蛍光検出手段、燐光検出手段等によって取得されたデータに基づき、当該紙幣に係る情報(各特性の特徴)を抽出(取得)してもよい。
【0279】
判定手段502は、抽出手段501によって抽出された紙幣の記番号情報を記憶部503に記憶されている複数の流通不適格紙幣の記番号情報と照合し、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定してもよい。すなわち、判定手段502は、記憶部503に記憶されている複数の流通不適格紙幣のいずれかの記番号に一致する場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、記憶部503に記憶されている複数の流通不適格紙幣のいずれの記番号にも一致しない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。
【0280】
また、判定手段502は、抽出手段501によって抽出された紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報を記憶部503に記憶されている複数の流通不適格紙幣の国情報、金種情報、表裏情報、記番号情報及び記番号のフォント情報と照合し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がある場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣であると判定し、全ての情報が一致する流通不適格紙幣がない場合は、当該紙幣を流通不適格紙幣でないと判定してもよい。このとき、照合される情報として、画像の特徴量の情報を更に用いてもよい。
【0281】
更に、判定手段502は、紙幣の磁性や厚みの特徴、蛍光特性、燐光特性に基づいて、当該紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する判定処理を行ってもよい。
【0282】
画像データに基づいて判定手段502によって当該紙幣が流通不適格紙幣Xであると判定されると、当該流通不適格紙幣Xに係る情報は、制御部505による制御の下、記憶部503に登録される。
【0283】
記憶部503は、上述のようにして取得した、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を記憶するものであるが、記憶部503に記憶される流通不適格紙幣に係る情報は、(1)流通不適格紙幣そのものの情報を含んでもよいし、(2)流通不適格紙幣に付随する情報を含んでもよい。
【0284】
(1)流通不適格紙幣そのものの情報は、当該紙幣そのものから取得可能な情報であり、(1-1)流通不適格紙幣の国情報、(1-2)流通不適格紙幣の金種情報、(1-3)流通不適格紙幣の表裏情報、及び(1-4)流通不適格紙幣の記番号情報のうち、少なくとも1つを含んでもよく、これらの情報全てを含んでもよい。これらの情報は、抽出手段501によって取得可能である。
【0285】
(2)流通不適格紙幣に付随する情報は、当該紙幣そのものから取得される情報ではなく、当該紙幣に関連する情報であり、(2-1)端末装置400によって当該流通不適格紙幣が検出(撮像)された日時情報(日時を示す情報)と、(2-2)端末装置400によって当該流通不適格紙幣が検出(撮像)された位置情報(位置を示す情報)と、(2-3)サーバ500によって当該流通不適格紙幣が検出された要因情報(要因を示す情報)とのうち、少なくとも1つを含んでもよい。日時情報は、RTC手段から取得可能であり、位置情報は、位置検出手段から取得可能である。要因情報は、流通不適格紙幣に判定された理由を示す情報、すなわち、流通不適格紙幣の種別に相当する情報であり、具体的には、例えば、偽札、疑券、盗難紙幣等が挙げられる。
【0286】
また、(2)流通不適格紙幣に付随する情報は、(2-4)当該流通不適格紙幣の使用者の年代情報(使用者の年代を示す情報)と、(2-5)当該流通不適格紙幣の使用者の外観特徴情報(使用者の外観を示す情報)とのうち、少なくとも1つを含んでもよい。使用者の外観特徴としては、例えば、性別、身長、体形、肌の色、髪の色等が挙げられる。これらの情報は、例えば、防犯カメラから取得した当該使用者の映像から取得したり、POSレジで入力された情報から取得したりすることが可能である。
【0287】
受信手段506は、通信網に接続して有線通信により情報を受信するものであり、例えば、ネットワークカード等から構成されている。なお、受信手段506によって受信された各種の情報(データ)は、例えば、制御部505による制御の下、記憶部503に記憶される。送信手段504及び受信手段506は、例えば、ネットワークカードにより、通信部として一体的に構成されていてもよい。
【0288】
記憶部503は、上述のようにして取得した、複数のグループにグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を、例えばリスト(テーブル)として記憶している。サーバ500(制御部505)は、判定手段502によって紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合に、当該流通不適格紙幣に係る情報に基づいてリストを更新してもよく、サーバ500の送信手段504は、更新されたリストに基づいて、所定の条件を満たす他の端末装置400Bに特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0289】
記憶部503に記憶され得るリストは、第1実施形態と同様に、
図7で示したようなものであってもよい。すなわち、記憶部503にて記憶(管理)される複数の流通不適格紙幣に係るリスト(メインリスト)は、例えば、各行ごとに、当該流通不適格紙幣の記番号、金種、グループ及びダイインクの有無を示す項目を有していてもよい(
図7の左側参照)。
【0290】
また、記番号、金種、グループ及びダイインクの有無が同じ流通不適格紙幣が複数存在する場合は、それらの流通不適格紙幣に係るサブリストが記憶部503にて記憶(管理)されてもよい(
図7の右側参照)。サブリストは、例えば、当該流通不適格紙幣の記番号、当該流通不適格紙幣が検出された日時及び位置(緯度と経度)、並びに当該流通不適格紙幣が検出された要因を示す項目を有していてもよい。各サブリストは、メインリストの対応する流通不適格紙幣に係る情報に紐づけられた状態で記憶部503に記憶されている。
【0291】
特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するか否かの基準となる上記所定の条件(配信する範囲)としては、例えば、他の端末装置400の(1)地域、(2)設置店舗、(3)距離等が挙げられる。これにより、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した端末装置400Bの使用者が流通不適格紙幣を受け取るリスクをより効果的に低減することができる。
【0292】
すなわち、(1)サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)された地域(同一地域)の端末装置400Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。ここで、地域としては、例えば、地方、群、州、県、市、町、村等が挙げられる。
【0293】
他方、サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)された場所に関係無く、所定の範囲内(所定の地域内)の端末装置400Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。ここで、所定の地域としては、例えば、地方、群、州、県、市、町、村等が挙げられる。
【0294】
また、(2)サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)された店舗と提携している店舗の端末装置400Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0295】
(2)において、提携している店舗は、同一グループ(例えば同一企業や同一系列内の企業)に所属する店舗であってもよい。
【0296】
また、(3)サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)された場所から所定距離内の端末装置400Bに、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。
【0297】
(3)において、所定距離以内であるか否かは、例えば、端末装置400A及び400Bの位置検出手段が取得した位置情報に基づき判定可能である。
【0298】
また、これらの条件をAND条件又はOR条件で適宜組み合わせて用いてもよい。
【0299】
特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するタイミング(配信のタイミング)としては、例えば、(1)検出直後、(2)検出してから所定期間経過後等が挙げられる。
【0300】
すなわち、(1)サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)される毎に、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。これにより、所定の条件を満たす端末装置400Bが特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を迅速に受信できるため、端末装置400Bの使用者が流通不適格紙幣を受け取るリスクをより効果的に低減することができる。
【0301】
(1)において、流通不適格紙幣が検出される毎に送信されるとは、端末装置400Aが当該紙幣の画像データをサーバ500に送信してから、サーバ500が特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信するまでの各処理が、予め意図的に設定された所定期間の間中断することなく、実行されることをいう。したがって、例えば、通信網のトラフィックの混雑等に起因する意図しない処理遅延が発生する場合を包含し得る。
【0302】
また、(2)サーバ500の送信手段504は、端末装置400Aによって流通不適格紙幣が検出(撮像)されてから所定期間の経過後に、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を送信してもよい。これにより、所定期間内に同一グループに属する複数の流通不適格紙幣が検出された場合に、当該グループの流通不適格紙幣に係る情報をまとめて端末装置400Bに送信できるため、システム全体における情報の配信及び更新に係る処理負担を軽減することが可能である。例えば、ある流通不適格紙幣が検出(撮像)された場所(例えば店舗)と同一市内及び隣接市内で所定期間内に検出された同一グループの複数の流通不適格紙幣に係る情報をまとめて端末装置400Bに配信することができる。
【0303】
ここで、(2)において、所定期間における始期は、例えば、端末装置400Aによって検出された日時(画像取得手段402が撮像した日時や送信手段401が当該紙幣の画像データをサーバ500に送信した日時)であってもよいし、サーバ500によって検出された日時(判定手段502が流通不適格紙幣であると判定した日時や当該流通不適格紙幣に係る情報を記憶部503に記憶(登録)した日時)であってもよい。また、所定期間における終期は現在の日時であってもよい。
【0304】
また、(2)において、所定期間は、広域エリア(例えば、ヨーロッパ、アメリカ、ロシア等)では、時差を考慮して設定されてもよい。
【0305】
サーバ500から送信される特定グループの流通不適格紙幣に係る情報(配信する内容)としては、例えば、記憶部503に記憶され得る上述の流通不適格紙幣に係る情報が挙げられる。
【0306】
サーバ500の記憶部503は、配信設定を記憶していてもよく、端末装置400Aから送信された画像データに基づいて判定手段502によって当該紙幣が流通不適格紙幣Xであると判定された場合、サーバ500の送信手段504は、この配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置400Bに送信(配信)してもよい。すなわち、判定手段502によって当該紙幣が流通不適格紙幣Xであると判定された場合、制御部505が、配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、他の端末装置400Bに、送信手段504を介して、送信する送信処理を実行してもよい。
【0307】
ここで、配信設定とは、配信のタイミング、配信する内容、配信する範囲等(いつ何をどこに配信するか等)を含む情報である。配信設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよいし、端末装置400の機種毎に設定されてもよい。
【0308】
次に、
図21を用いて、
図19及び20にそれぞれ示した端末装置及びサーバを備える本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図21は、第4実施形態に係る紙幣監視システムの動作の他の例を説明するフローチャートである。
【0309】
図21に示すように、まず、端末装置400の画像取得手段402が、紙幣を撮像する(ステップS30)。
【0310】
次に、端末装置400が、
図18に示した場合と同様に、ステップS31の処理を実行する。また、サーバ500が、
図18に示した場合と同様に、ステップS32~S36の処理を実行する。ただし、ステップS35では、サーバ500の送信手段504が、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を、所定の条件を満たす他の端末装置400とともに、画像データを送信した端末装置400に送信してもよい。
【0311】
次に、所定の条件を満たし、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した他の端末装置400の使用者が、送信された特定グループの流通不適格紙幣に係る情報に基づいて、例えば目視により、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する(ステップS37)。
【0312】
他の端末装置400がサーバ500から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合、その報知手段406が当該情報を受信したことを当該端末装置400の使用者に報知してもよい。
【0313】
また、ステップS34又はS36によってサーバ500から画像データを送信した端末装置400に判定手段502の判定結果が送信されると、その端末装置400の報知手段406が、その結果、すなわち紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを使用者に報知し(ステップS38)、システム4の動作が終了する。
【0314】
(第5実施形態)
本実施形態は、流通不適格紙幣に係る情報にランクの概念が導入されていることを除いて、実質的に第4実施形態と同じである。ランクは更新可能であり、最新のランクに基づいてサーバが動作する。
図22は、第5実施形態に係る端末装置の構成を説明するブロック図である。
図23は、第5実施形態に係るサーバの構成を説明するブロック図である。
【0315】
図22に示すように、本実施形態において、各端末装置400は、第4実施形態と同様に、送信手段401に加えて、画像取得手段402、記憶部103、制御部(演算処理部)404、受信手段405及び報知手段406を更に有していてもよい。
【0316】
図23に示すように、本実施形態において、サーバ500は、第4実施形態と同様に、抽出手段501、判定手段502、記憶部503及び送信手段504に加えて、制御部(演算処理部)505及び受信手段506を更に有していてもよい。
【0317】
他方、本実施形態では、サーバ500(制御部505)が、管理している流通不適格紙幣に係る情報にランク付けを行う点で第4実施形態と異なっている。より詳細には、記憶部503に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報を、危険度に応じてランク付けする。この結果、記憶部503には、グループ化され、かつ危険度に応じてランク付けされた複数の流通不適格紙幣に係る情報が記憶される。これにより、ランクが高い、すなわち危険度が高い流通不適格紙幣に係る情報を選択的に他の端末装置400に送信することができる。したがって、他の端末装置400のメモリ容量の消費を更に抑制しつつ、流通不適格紙幣を受け取るリスクを効果的に低減することができる。
【0318】
このように、サーバ500の送信手段504は、ある端末装置400から送信された画像データに基づいて判定手段502によって当該紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合に、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置400に送信してもよい。すなわち、判定手段502によって紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合、制御部505が、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を、他の端末装置400に、送信手段504を介して、送信する送信処理を実行してもよい。所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報は、他の端末装置400に加えて、画像データを送信した端末装置400にも送信されてもよい。
【0319】
なお、ランクとは、危険度が高いものほど高く、危険度が低いものほど低い。また、サーバ500の送信手段504は、所定ランクと同じランクの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置400に送信してもよいし、しなくてもよい。所定ランクの値に応じて適宜設定可能である。
【0320】
サーバ500の記憶部503は、ランク付けのルールを含む情報であるランク付与設定を記憶していてもよく、サーバ500(制御部505)は、ランク付与設定に基づいて、記憶部503に記憶された、又は各所から入手した複数の流通不適格紙幣に係る情報(例えば中央銀行から取得した偽券のリスト)を危険度に応じてランク付けしてもよい。ランク付与設定は、ユーザ毎に設定されてもよいし、地域毎に設定されてもよい。
【0321】
サーバ500(制御部505)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に危険度に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部503に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に危険度に応じてランク付けされていてもよい。サーバ500(制御部505)は、例えば、事件の被害金額及び/又は被害枚数が多いほどランクをより高く設定してもよい。また、発生場所及び/又は発生日時がより近い事件ほどランクをより高く設定してもよい。また、事件を起こした犯罪組織が大きい(又は、凶悪若しくは悪質な)ほどランクをより高く設定してもよい。
【0322】
また、サーバ500(制御部505)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、金額及び/枚数に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部503に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、流通不適格紙幣の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0323】
更に、サーバ500(制御部505)は、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に金額及び/枚数に応じてランク付けしてもよい。すなわち、記憶部503に記憶されたグループ化された複数の流通不適格紙幣に係る情報は、同一の事件に関わる流通不適格紙幣毎に、流通不適格紙幣の金額及び枚数の少なくとも一方に応じてランク付けされていてもよい。
【0324】
サーバ500(制御部505)は、例えば、複数の流通不適格紙幣に係る情報を、グループ毎に、流通不適格紙幣の金額及び/又は枚数が多ければランクを高く、中程度であればランクを中程度に、少なければランクを低く、それぞれ設定してもよい。金額及び/又は枚数が多いほど、流通する可能性が高い上、大きな組織による犯罪の可能性が高いためである。
【0325】
サーバ500(制御部505)は、ある端末装置400から送信された画像データに基づいて判定手段502によって当該紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合、当該流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更してもよい。これにより、流通不適格紙幣を受け取るリスクをより効果的に低減することができる。例えば、ある偽券が検出されると、同じ特定グループに属する偽券が他の店や地域でその後使用される可能性が高いと考えられるため、そのグループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを高くする。
【0326】
端末装置400のうちの携帯端末装置から疑券に係る画像データが送信され、その後、当該紙幣が偽券であると判定された場合、サーバ500(制御部505)は、当該偽券の金額及び/又は枚数をカウントし、当該偽券に係る情報をランク付けし、その累積金額及び/又は累積枚数が増えるとランクをより高くしてもよい。
【0327】
サーバ500(制御部505)は、事件が古くなるにつれて当該グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクをより低くしてもよい。例えば、最初に偽券が検出された日から1年経過すると、その後も使用される可能性は低いため、該当するグループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを1つ下げてもよい。
【0328】
本実施形態において、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を配信する範囲(所定の条件)、タイミング及び内容は、第4実施形態の場合と同様である。
【0329】
例えば、サーバ500の記憶部503がユーザ毎或いは地域毎に配信設定を記憶しておき、サーバ500の送信手段504(制御部505)は、この配信設定に基づいて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を他の端末装置400に送信(配信)してもよい。
【0330】
また、例えば、新たに偽券が検出され、当該偽券が該当する特定グループの偽券に係る情報のランクがより高くなることにより、所定ランクを超えた場合、その偽券が検出された市と同一市内のユーザに当該グループの偽券に係る情報を送信(配信)してもよい。
【0331】
更に、記憶部503が予めランク付けされているリストを記憶している場合は、所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣が検出されると、その流通不適格紙幣が検出された市と同一市内及び隣接市内の全ユーザに上記リストを送信(配信)してもよい。
【0332】
また、本実施形態では、ランクに応じて、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を配信する範囲(所定の条件)、特に配信する地域、を変更してもよい。すなわち、サーバ500の送信手段504は、流通不適格紙幣に係る情報のランクがより高いほど、より広い地域の他の端末装置400に送信(配信)してもよい。
【0333】
例えば、端末装置400から疑券に係る情報が送信され、その後、当該紙幣が偽券であると判定された場合、サーバ500(制御部505)は、当該偽券が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクに応じて、当該情報を送信(配信)する地域を決定してもよい。具体的には、例えば、ランクが高ければ、広域(広いエリア、例えば全国)に送信し、ランクが中程度であれば、中域(中程度のエリア、例えば地方や群)に送信し、ランクが低ければ、狭域(狭いエリア、例えば、州、県、市、町、村)に送信してもよい。
【0334】
次に、
図24を用いて、本実施形態に係る紙幣監視システムの動作について説明する。
図24は、第5実施形態に係る紙幣監視システムの動作の一例を説明するフローチャートである。
【0335】
図24に示すように、まず、端末装置400が、第4実施形態の場合と同様に、ステップS30~S31の処理を実行する。また、サーバ500が、第4実施形態の場合と同様に、ステップS32~S33の処理を実行する。
【0336】
ステップS33おいてサーバ500の判定手段502によって紙幣が流通不適格紙幣であると判定された場合は(ステップS33:Yes)、サーバ500(制御部505)が、端末装置400から送信された流通不適格紙幣が該当する特定グループの流通不適格紙幣に係る情報のランクを危険度がより高いランクに変更する(ステップS41)。
【0337】
次に、サーバ500の送信手段504が、ステップS33の判定結果を、画像データを送信した端末装置400に送信し(ステップS34)、特定グループであって、かつ所定ランクを超えるランクの流通不適格紙幣に係る情報を、画像データを送信した端末装置400及び他の端末装置400に送信する(ステップS42)。
【0338】
また、ステップS33にて紙幣が流通不適格紙幣でないと判定された場合は(ステップS33:No)、サーバ500の送信手段504が、その判定結果を、画像データを送信した端末装置400に送信する(ステップS36)。
【0339】
次に、
図21に示した場合と同様に、所定の条件を満たし、特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した他の携帯端末装置400の使用者が、例えば目視により、紙幣が流通不適格紙幣であるか否かを判定する(ステップS37)。
【0340】
他の端末装置400がサーバ500から特定グループの流通不適格紙幣に係る情報を受信した場合、その報知手段406が当該情報を受信したことを当該端末装置400の使用者に報知してもよい。
【0341】
また、
図21に示した場合と同様に、ステップS34又はS36によってサーバ500から画像データを送信した端末装置400に判定手段502の判定結果が送信されると、その端末装置400が、ステップS38の処理を実行し、本実施形態に係るシステムの動作が終了する。
【0342】
以上説明したように、上記実施形態では、端末装置又はサーバにて画像データに基づき有価媒体が流通不適格媒体であるか否かを判定し、流通不適格媒体であると判定された場合は、当該流通不適格媒体が該当する特定グループの流通不適格媒体に係る情報を、所定の条件を満たす他の携帯端末装置に送信することから、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格媒体を簡易かつ効率的に検出することが可能である。
【0343】
以下、各実施形態における変形例について説明する。
【0344】
上記実施形態において、流通不適格紙幣の情報提供者(当該紙幣の画像データを初めに取得した端末装置の使用者であって、当該紙幣が流通不適格紙幣であった場合の使用者)にインセンティブを付与してもよい。これにより、当該システム(サービス)を導入する動機付けとすることができる。また、この情報提供者から提供された流通不適格紙幣に係る情報により流通不適格紙幣が検出(排除)された場合、その者にインセンティブを付与してもよい。これによっても、当該システム(サービス)を導入する動機付けとすることができる。
【0345】
上記実施形態において、制御部による処理は、AI(人工知能)により学習したモデルを使用するものであってもよい。
【0346】
以上、図面を参照しながら実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0347】
以上のように、本開示は、システム負荷を抑制しつつ、流通不適格媒体を簡易かつ効率的に検出するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0348】
1、3、4:紙幣監視システム
100、100X、400:端末装置
101、501:抽出手段
102、502:判定手段
103、202、401、504:送信手段
104、402:画像取得手段
105、201、403、503:記憶部
106、203、404、505:制御部
107、204、405、506:受信手段
108、406:報知手段
200、200X、500:サーバ