(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097223
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】3Dプリンタ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/264 20170101AFI20220623BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220623BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220623BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20220623BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220623BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20220623BHJP
【FI】
B29C64/264
B33Y30/00
B29C64/209
B29C64/106
B33Y10/00
B29C64/25
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210683
(22)【出願日】2020-12-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】594034005
【氏名又は名称】ホッティーポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100091580
【氏名又は名称】宮尾 雅文
(72)【発明者】
【氏名】堀田 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】田鍋 史生
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC05
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減しつつ、良好な硬化品質を実現することにより高品質な造形物を製造することができる3Dプリンタを提供する。
【解決手段】
紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、
前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備えていることを特徴とする3Dプリンタ。
【請求項2】
前記紫外線照射部は点光源を有することを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
前記射出部は、前記紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部と、ディスペンサー部の先端部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部とを有し、
前記射出部は、前記射出部を左右方向に移動させる左右方向移動部に装着されると共に、前記左右方向移動部は前後方向に移動可能に前後方向移動部に装着されており、
前記紫外線照射部は前記ディスペンサー部に固定されていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項4】
前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項5】
前記紫外線照射部は、前記ディスペンサー部の側部に、前記ステージ上へ射出された造形物に対して斜め下方に紫外線を照射するように固定されていることを特徴とする請求項3記載の3Dプリンタ。
【請求項6】
前記紫外線照射部の下端部は、前記ディスペンサー部の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載の3Dプリンタ。
【請求項7】
前記紫外線照射部は、前記造形物の形状および大きさに対応した形状および大きさに形成された複数種類の照射部本体を有していることを特徴とする請求項3又は4記載の3Dプリンタ。
【請求項8】
前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することを特徴とする請求項3記載の3Dプリンタ。
【請求項9】
前記紫外線硬化材料は紫外線硬化シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1乃至7記載の3Dプリンタ。
【請求項10】
前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の3Dプリンタ。
【請求項11】
熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することを特徴とする請求項1乃至10記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタに係り、特に、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱硬化シリコーンゴムを材料として使用した3Dプリンタにあっては、ハロゲンランプにより熱硬化するように構成されている。
このハロゲンランプは造形物を形成するステージの幅方向全域に亘って熱を供給できる長さ寸法の、一般の蛍光管と同様の細長円筒状ランプにより構成されており、このハロゲンランプはディスペンサー部を前後方向に移動させる前後方向移動部に固定され、ディスペンサーにより射出される造形材料によりステージ上に造形物の形状が形成された後に、前後方向に移動しながら造形材料に対してハロゲン光を照射して硬化させるように構成されている。このように構成された従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタには以下のように問題点があった。
【0003】
第一に、ハロゲンランプが大型であることから使用電力も大きく、造形物の製造にあたり消費電力が大きいことから製造コストが嵩むと共に、硬化時には3Dプリンタを構成する筐体内部の温度が上昇するため、作業者の製造作業の妨げになる場合があると共に、安全性も低下する、という問題点を有していた。
【0004】
第二に、上記のように、従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタにあっては、ハロゲンランプは前後方向移動部材に固定されており、ディスペンサーにより射出される造形材料によりステージ上に造形物の形状が形成された後に、前後方向に移動しながら造形材料に対してハロゲン光を照射して硬化させるように構成されていることから、ステージ上の造形材料に対してハロゲン光の照射が開始される時点とハロゲン光の照射が完了する時点との間にタイムラグが発生し、その間に造形材料に硬化の程度に差ができてしまい、造形物の硬化品質が良好とならない場合がある、という問題があった。
【0005】
第三に、ハロゲンランプは一般の蛍光管と同様の形状に形成されており、ステージ幅方向に平均的にハロゲン光が照射されることから、種々の形状、構造を有する各種造形物の各部に対して充分に加熱することができず、造形物に硬化不足な部分が残存する、という不具合もあった。
【0006】
第四に、小規模、小型の造形物を製造する場合にも、上記のハロゲンランプにより熱硬化作業をせざるをえないことから、小規模、小型の造形物を製造する場合には、造形物製作に要する熱量以上の熱量が供給されることとなり、大幅に製造コストが嵩む、という問題点があった。
【0007】
第五に、3Dプリンタにより、小規模で細密な構造の造形物を製造するような場合には、製造過程で微妙な熱硬化作業や成形操作が要求されることもある。
しかしながら、従来の熱硬化シリコーンゴムを用いた3Dプリンタにあっては、上記のようにステージの幅方向全域に亘る大きさ、長さ寸法のハロゲンランプを熱源として使用するものであることから、従来のハロゲンランプを熱源とする3Dプリンタの場合には微妙な熱硬化作業を行うにあたっての操作性が適切ではなく、小規模で細密な構造の造形物を製造する場合には有効に対応することができない、という不具合をも有していた。
【0008】
一方、特許文献1は、紫外線の照射により硬化する材料を用いて造形物を造形する造形装置を開示している。
しかしながら、特許文献1の技術では、筐体外部から内方へ侵入する外光の遮蔽に関し何ら言及がない。従って、外部からの紫外線の影響を排除することができず、高品質な造形物を製造することができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、紫外線硬化材料を用い、製造コストを低減しつつ、良好な硬化品質を実現することにより高品質な造形物を製造することができる3Dプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備えていることを特徴とする。
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線遮蔽部により外部から筐体の内部に紫外線が侵入することを防ぐことができる。
【0012】
請求項2記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は点光源を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明にあっては、前記射出部は、前記紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部と、ディスペンサー部の先端部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部とを有し、前記射出部は、前記射出部を左右方向に移動させる左右方向移動部に装着されると共に、前記左右方向移動部は前後方向に移動可能に前後方向移動部に装着されており、前記紫外線照射部は前記ディスペンサー部に固定されていることを特徴とする。
【0014】
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線照射部はディスペンサー部に固定されていることから、ディスペンサー部及びヘッド部の前後方向及び左右方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して位置的に対応して紫外線を照射する。
【0015】
請求項4記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ディスペンサー部から前記ステージ上へ射出された造形物に対して斜め上方から紫外線を照射するように配設されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明にあっては、前記紫外線照射部の下端部は、前記射出部の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とする。
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線照射部が射出部よりも造形物に近接した状態で紫外線を照射する。
【0018】
請求項7記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記造形物の形状および大きさに対応した形状および大きさに形成された複数種類の照射部本体を有していることを特徴 とする。
従って、造形物の種類、大きさ、規模により、適切な照射部を形成することができる。
【0019】
請求項8記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することを特徴とする。
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、複数の点光源が円環状に配置され、全体としてリング状に形成されていることから、造形物に対して周囲から造形物全体に均一に紫外線を照射することができる。
【0020】
請求項9記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料は、紫外線硬化シリコーンゴムであることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明にあっては、前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明にあっては、熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備えていることから、紫外線遮蔽部により外部から筐体の内部に紫外線が進入することを防ぐことができるため、外部からの紫外線の影響を排除した状態で、紫外線硬化材料に対して紫外線を照射しつつ造形物を硬化させて所望の形態、構造の造形物を製造することができる。
その結果、良好な硬化品質を実現することにより高品質な造形物を製造することができる3Dプリンタを提供することができる。
【0024】
請求項2記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は点光源を有することから、従来のような熱硬化シリコーンゴムを材料として使用した3Dプリンタにおける細長ランプとして形成されていた大型のハロゲンランプの場合よりも小型に形成することが可能となり、作動に消費電力を要しない。
即ち、従来のハロゲンランプにあっては、2KWの定格電力が必要であり、この電力を調整することは不可能であった。
【0025】
しかしながら、本願発明にあっては、点光源からなる紫外線照射部により紫外光を照射するように構成されていることから、使用電力も小規模で済み、造形物の製造にあたり消費電力を低減することが可能となり、造形物製造に関する製造コストを低減することが可能となると共に、収納する筐体を小型化できるため、3Dプリンタ装置全体を小型化することが可能となる。
【0026】
また、従来のハロゲンランプは大型であったことから、操作性が良好ではなかった。即ち、ハロゲンランプ本体を作動させた場合には2000℃の一定温度のみで造形物に対して熱照射を行うように構成されており、温度調整が不可能であったことから、熱硬化の程度を調整するためには、ステージを上下方向に移動させてハロゲンランプから造形物を離間させつつ硬化させる必要があり、硬化における調整作業が煩雑であった。
【0027】
また、ハロゲンランプ作動時には、筐体内部が非常に高温になるために、作業者による作業性も良好ではなく、造形作業時の安全性を確保することも必要となっていた。
しかしながら、本発明にあっては紫外線照射部により造形物を硬化するように構成されていることから、従来の構成によるハロゲンランプによる硬化時におけるほどの高温度にはならないことから、筐体温度も従来よりも高温に至らず、その結果、作業者も硬化作業時における硬化作業を容易に行うことが可能となる。
【0028】
また、本願発明にあっては、紫外線照射部が点光源により構成され、紫外線照射部を小型化できることから、造形物の必要な箇所のみに照射することができるため、従来よりも造形作業を効率的に行うことができる。
【0029】
さらに、従来の大型に形成された管状のハロゲンランプにより硬化する場合には、造形物の加熱部位を特定して加熱することは不可能であり、常に造形物全体を加熱する他はなかったが、本願発明にあっては紫外線照射部が点光源により構成されていることから、照射範囲を小さく形成することができるため、硬化が必要な部位に絞って照射させて硬化させることができ、造形物全体として造形速度を上げ、造形時間を短縮することができる。
【0030】
また、紫外線は指向性があり照射方向を制御しやすいことから、製造過程で微妙な熱硬化作業や成形操作を行うことが可能になる。また、小規模、小型の造形物を製造する場合には、小規模造形物に要する熱量に対応した使用電力で済み、従来に比して大幅に製造コストを低減することが可能となる。
【0031】
請求項3記載の発明にあっては、紫外線照射部はディスペンサー部に固定されていることから、ディスペンサー部の左右方向及び前後方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して時間的、位置的に対応して紫外線を照射することができる。
また、請求項4記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることから、ディスペンサー部の左右方向及び前後方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して時間的、位置的に対応して紫外線を照射することができる。
【0032】
その結果、従来のような、ステージ上の造形材料に対してハロゲン光の照射が開始される時点とハロゲン光の照射が完了する時点とでタイムラグが発生し、その間に造形材料に硬化の程度に差ができてしまう、という不具合を解消することが可能となる。
また、造形物の形状、構造に応じて必要な部位に紫外線を照射して硬化させることが可能になることから、造形物の形状および構造にかかわらず、高品質な造形物を製造することが可能となる。
【0033】
さらに、紫外線を収斂させて照射することもできるため、小規模、小型であって、細密な構造を有する造形物の場合に、微妙な硬貨作業が要求される場合にも対応することが可能となる。
【0034】
請求項5記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料の斜め上方から紫外線を照射することから、造形物に対して斜めに紫外線を照射することができるため、造形物の大きさ、形状、構造に対応した紫外線供給ができる。
【0035】
請求項6記載の発明にあっては、前記紫外線照射部の下端部は、前記射出部の下端部よりも下方に配置されていることから、紫外線照射部が射出部よりも造形物に接近するため、造形物の大きさ、形状、構造に応じた紫外線供給ができる。
【0036】
請求項7記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記造形物の形状および大きさに対応した形状および大きさに形成された複数種類の照射部本体を有していることから、造形物の種類、大きさ、形状又は構造により、適切な照射部を形成することができる。
従って、造形物の種類、大きさ、形状又は構造を問わず、造形物に応じた適切な硬化を行うことができる。
【0037】
請求項8記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することから、紫外線硬化材料に対して全周囲から均等に、かつ適切に造形物に紫外線を照射することができるため、造形物に対してより一層な紫外線供給ができる。
【0038】
請求項9記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料は、紫外線硬化シリコーンゴムであることから、熱により硬化させる熱硬化シリコーンゴムを使用しないようにすることができるため、熱硬化シリコーンゴムと比較して、エネルギーの無駄がなくなるだけでなく、筐体内部が低温になるため、作業性が良く、安全性も高い。
【0039】
請求項10記載の発明にあっては、前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることから、筐体の、外部に対して透明な部位からの紫外線の侵入を防ぎ、筐体外部からの紫外線の影響を排除した状態で、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料に対して紫外線を照射しつつ造形物を硬化させて造形物を製造することができる。
請求項11記載の発明にあっては、熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することから、熱エネルギー照射部と紫外線照射部とを併用することにより、造形物に応じてより効率的な硬化作業を行うことができ、造形物の硬化スピードを上げて、造形物の硬化時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る3Dプリンタの一実施の形態を示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る3Dプリンタの構成をより具体的に示す正面概念図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る3Dプリンタの構成をより具体的に示す斜視概念図である。
【
図4】本発明に係る3Dプリンタに使用される紫外線照射部の他の実施の形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る3Dプリンタ10は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンク13と、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部15と、射出部15により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージ14と、左右方向及び前後方向に移動可能であり、ステージ14に射出された紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部16と、材料タンク13、ステージ14及び射出部15及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体17とを備えている。
【0042】
本実施の形態に係る3Dプリンタ10は制御部19を備えている。制御部19は、予め格納された造形物12の形状、構造データ、材料11の材料データ等に基づいて、3Dプリンタ10の各部(各モータ)を制御し、造形物12を製造するように構成されている。
【0043】
より具体的には、本実施の形態に係る
図1及び
図2に示すように、筐体17の内方上端部には、紫外線硬化材料11が収納された材料タンク13が配設されている。材料タンク13は、固定ホルダ21により筐体17の上端部に固定されている。
材料タンク13の下方には、材料供給チューブ30を介して材料タンク13に連設されて射出部15が配置されている。射出部15は、紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部22と、ディスペンサー部22の下部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部27と、ディスペンサー部22の上部に設けられたモータ部23とを備えている。
本実施の形態にあっては、材料タンク13、材料供給チューブ30、ディスペンサー部22及びヘッド部27は同一垂直軸X上に配設されている。
【0044】
射出部15は、移動レールからなる左右方向移動部24に装着され、適宜の駆動部により左右方向移動部24に沿って、筐体17内においてステージ14上を左右方向に移動できるように構成されていると共に、左右方向移動部24は前後方向に移動できる移動レールからなり、筐体17の両側壁部内方に固定された前後方向移動部25に装着され、適宜の駆動部により前後方向に移動可能に形成されている。
【0045】
また、射出部15の下方には、射出部15のヘッド部27から射出された材料により形成される造形物12を載置するステージ14が配置されている。ステージ14の下方には、ステージ14を上下方向に移動可能とさせる上下動軸部37が配置されている。ステージ14は、適宜に配置されたモータの駆動により上下動軸部37により上下方向に移動する。
【0046】
その結果、射出部15は、筐体17内において左右及び前後方向に移動することが可能であると共に、ステージ14が上下方向に移動することから、射出部15によりステージ上に射出された紫外線硬化材料11に関しては、射出部15が、前後方向、左右方向、相対的に上下方向の3次元方向に移動して造形できるように構成されている。
【0047】
そして、本実施の形態にあっては、紫外線照射部16がディスペンサー部22に固定されている。
【0048】
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16は、点光源からなる紫外線照射器28を備えている。
図1に示すように、紫外線照射部16は筒状に形成され、先端部には点光源からなる紫外線照射器28が設けられている。
本実施の形態にあっては、紫外線照射器28はUVランプにより形成されているが、LED式の紫外線照射器であってもよく、本実施の形態には限定されない。
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16は全体筒状に形成され、適宜のアーム部材29により、上記のようにディスペンサー部22等が筐体17内において垂直軸Xに対して所定角度分、斜めに傾斜して、上端部側が外方へ突出して配設され、ディスペンサー部22の側部において、ディスペンサー部か15らステージ14上へ射出された造形物12に対して斜め上方から紫外線を照射するように配設固定されている。また、紫外線照射器28の下端部は、ヘッド部27の下端部よりも下方に配置されている。
【0049】
また、紫外線照射部16は、点光源からなる紫外線照射器28から照射される紫外光を適宜の構成により、光束を所望の大きさ、幅に収斂することが可能な光束収斂機構(図示せず)を備えている。その結果、本実施の形態にあっては、光束収斂機構を適宜操作することにより、造形物12の全体に紫外線を照射できると共に、必要に応じて造形物12に対してピンポイントで紫外線を照射できるように形状されている。
【0050】
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16の下端部である紫外線照射器28の先端31は、ディスペンサー部22の下端部であるヘッド部27の先端部27aよりも下方に配置されている。従って、本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、紫外線照射部16がディスペンサー部22よりも造形物12(
図1参照)に近づいて配置されるように構成されている。
【0051】
そして、本実施の形態にあっては、筐体17のドアのガラス等の透明素材により形成された窓開口部等の、全ての光透過部位に設けられた、紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽部18を備えている。
即ち、
図2及び
図3に示すように、全体縦長直方体状に形成された筐体17の前面側には、フロントドア32が開閉可能に設けられていると共に、両側部には窓開口部33が設けられている。
そして、フロントドア32の開口部34及び窓開口部33のガラス部の内側面部全域に紫外線遮蔽シート35が貼設され、紫外線遮蔽部18を形成し、筐体外部から内方へ紫外線が入らないように構成されている。
【0052】
紫外線硬化材料11は紫外線硬化シリコーンゴムである。紫外線硬化材料11に対して紫外線照射部16から紫外線が照射された場合には「紫外線硬化(UV硬化)」の事態が起きる。この「紫外線硬化(UV硬化)」は、紫外線を利用した化学反応(重合反応)による硬化であり、従来における熱硬化シリコーンゴムに対してハロゲン光が照射された場合における「熱硬化」とは異なる。
【0053】
以下、本実施の形態に係る3Dプリンタの作用を説明する。
本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、造形材料として紫外線硬化材料11が材料タンク13内に貯留されている。
紫外線硬化材料11が制御部19に格納された造形情報に基づき、ディスペンサー部22からヘッド部27を介してステージ14上に、適宜の形状および構造となるように射出される場合には、制御部19の駆動制御により、ヘッド部27からの材料の射出に追随して点光源からなる紫外線照射器28から紫外線がステージ14上の紫外線硬化材料11に対して照射される。
【0054】
従って、点光源からなる紫外線照射器28により紫外光を照射するように構成されていることから、硬化時における使用電力も小規模で済み、造形物の製造にあたり消費電力を低減することが可能となり、造形物製造に関する製造コストを低減することが可能となる。
【0055】
また、その結果、収納する筐体17を小型化できるため、3Dプリンタ装置全体を小型化することが可能となる。その結果、本実施の形態に係る3Dプリンタ10の高さ寸法は1m程度であり、重さは50~100kg程度に形成される。従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタは、例えば、重さは350kg、高さ寸法は3m程度であり、大幅な小型化が可能となる。
【0056】
本実施の形態にあっては紫外線照射器28を有する紫外線照射部16により紫外線硬化材料11を硬化させて造形物を形成するように構成されていることから、従来のハロゲンランプによる硬化時におけるほどの高温度にはならないことから、筐体17の温度も従来よりも高温に至らず、その結果、作業者も硬化作業時における硬化作業を容易に行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態にあっては、紫外線照射器28が点光源により構成されており、紫外線照射部16が全体として小型化されていることから、必要に応じて造形物の必要な箇所のみに照射することができるため、従来よりも造形作業を効率的に行うことができる。
【0058】
さらに、紫外線は指向性があり照射方向を制御しやすいことから、本実施の形態にあっては、紫外線照射器28には適宜の構成の紫外線収斂部が設けられており、必要に応じて紫外線を収斂させて細いビームにすることにより、造形物の微妙な熱硬化作業や成形操作を行うことが可能になる。また、このように小規模、小型の造形物を製造する場合には、小規模造形物に要する熱量に対応した使用電力で済み、従来に比して大幅に製造コストを低減することが可能となる。
【0059】
なお、本実施の形態にあっては、ディスペンサー部22を形成する垂直軸Xに対して所定角度分、斜めに傾斜して、上端部側が外方へ突出して配設され、ディスペンサー部22の側部において、ディスペンサー部か15らステージ14上へ射出された造形物11に対して斜め上方から紫外線を照射するように配設固定されていると共に、紫外線照射器28の下端部は、ヘッド部27の下端部よりも下方に配置されていることから、ステージ14上の紫外線硬化材料11に対して、より近接した状態で紫外線を照射することができる。
【0060】
その結果、本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、造形物の大きさ、形状、構造、各部位に応じた、効率の良い、かつ場合によっては微妙な硬化を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態にあっては、筐体17のフロントドア32の開口部34及び窓開口部33のガラス部の内側面部全域に紫外線遮蔽シート35が貼設され、紫外線遮蔽部18を形成し、筐体外部から内方へ紫外線が入らないように構成されていることから、筐体外部からの紫外線の筐体17内への侵入を遮蔽することができるため、外部からの紫外線が侵入することより、ステージ14上での紫外線硬化材料11の紫外線による硬化が開始し、紫外線硬化材料11の硬化過程が不均一となるという事態を、有効に防止することが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態にあっては、紫外線照射部16が全体筒状に形成され、先端部に紫外線照射器28が設けられている場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、造形物の形状および大きさに対応した形状および大きさに形成された複数種類の照射部本体を、ディスペンサー部22等に着脱可能に設けるように構成してもよい。
【0063】
即ち、例えば、
図4に示すように、ステージ14上に配置された紫外線硬化材料11の周囲を包囲することができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有するように構成してもよい。このように構成した場合には、リング状に形成された紫外線照射部36により、紫外線硬化材料11に対して、より近接した状態で、かつ全方位から均等に造形物12に紫外線を照射することができる。
【0064】
なお、上記実施の形態に記載した構成に関しては、本願発明の範囲内において適宜の変更が可能であり、上記実施の形態の構成には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は3Dプリンタに係ることから、広く産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0066】
10 3Dプリンタ
11 紫外線硬化材料
12 造形物
13 材料タンク
14 ステージ
15 射出部
16 紫外線照射部
17 筐体
18 紫外線遮蔽シート部
19 制御部
20 リング状部
21 固定ホルダ
22 ディスペンサー部
23 モータ
24 左右方向移動部
25 前後方向移動部
26 上下方向軸部
27 ヘッド部
28 紫外線照射器(UVランプ)
29 アーム部材
30 材料供給チューブ
31 紫外線照射器先端
32 フロントドア
33 窓開口部
34 開口部
35 紫外線遮断シート
36 紫外線照射部
37 上下動軸部
38 ヘッド部先端部
【手続補正書】
【提出日】2021-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタに係り、特に、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱硬化シリコーンゴムを材料として使用した3Dプリンタにあっては、ハロゲンランプにより熱硬化するように構成されている。
このハロゲンランプは造形物を形成するステージの幅方向全域に亘って熱を供給できる長さ寸法の、一般の蛍光管と同様の細長円筒状ランプにより構成されており、このハロゲンランプはディスペンサー部を前後方向に移動させる前後方向移動部に固定され、ディスペンサーにより射出される造形材料によりステージ上に造形物の形状が形成された後に、前後方向に移動しながら造形材料に対してハロゲン光を照射して硬化させるように構成されている。このように構成された従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタには以下のように問題点があった。
【0003】
第一に、ハロゲンランプが大型であることから使用電力も大きく、造形物の製造にあたり消費電力が大きいことから製造コストが嵩むと共に、硬化時には3Dプリンタを構成する筐体内部の温度が上昇するため、作業者の製造作業の妨げになる場合があると共に、安全性も低下する、という問題点を有していた。
【0004】
第二に、上記のように、従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタにあっては、ハロゲンランプは前後方向移動部材に固定されており、ディスペンサーにより射出される造形材料によりステージ上に造形物の形状が形成された後に、前後方向に移動しながら造形材料に対してハロゲン光を照射して硬化させるように構成されていることから、ステージ上の造形材料に対してハロゲン光の照射が開始される時点とハロゲン光の照射が完了する時点との間にタイムラグが発生し、その間に造形材料に硬化の程度に差ができてしまい、造形物の硬化品質が良好とならない場合がある、という問題があった。
【0005】
第三に、ハロゲンランプは一般の蛍光管と同様の形状に形成されており、ステージ幅方向に平均的にハロゲン光が照射されることから、種々の形状、構造を有する各種造形物の各部に対して充分に加熱することができず、造形物に硬化不足な部分が残存する、という不具合もあった。
【0006】
第四に、小規模、小型の造形物を製造する場合にも、上記のハロゲンランプにより熱硬化作業をせざるをえないことから、小規模、小型の造形物を製造する場合には、造形物製作に要する熱量以上の熱量が供給されることとなり、大幅に製造コストが嵩む、という問題点があった。
【0007】
第五に、3Dプリンタにより、小規模で細密な構造の造形物を製造するような場合には、製造過程で微妙な熱硬化作業や成形操作が要求されることもある。
しかしながら、従来の熱硬化シリコーンゴムを用いた3Dプリンタにあっては、上記のようにステージの幅方向全域に亘る大きさ、長さ寸法のハロゲンランプを熱源として使用するものであることから、従来のハロゲンランプを熱源とする3Dプリンタの場合には微妙な熱硬化作業を行うにあたっての操作性が適切ではなく、小規模で細密な構造の造形物を製造する場合には有効に対応することができない、という不具合をも有していた。
【0008】
一方、特許文献1は、紫外線の照射により硬化する材料を用いて造形物を造形する造形装置を開示している。
しかしながら、特許文献1の技術では、筐体外部から内方へ侵入する外光の遮蔽に関し何ら言及がない。従って、外部からの紫外線の影響を排除することができず、高品質な造形物を製造することができない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、紫外線硬化材料を用い、製造コストを低減しつつ、良好な硬化品質を実現することにより高品質な造形物を製造することができる3Dプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題達成のため、請求項1記載の発明にあっては、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備え、前記射出部は、前記紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部と、ディスペンサー部の先端部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部とを有し、前記射出部は、前記射出部を左右方向に移動させる左右方向移動部に装着されると共に、前記左右方向移動部は前後方向に移動可能に前後方向移動部に装着されており、前記紫外線照射部は前記ディスペンサー部に固定され、前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することを特徴とする。
【0012】
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線遮蔽部により外部から筐体の内部に紫外線が侵入することを防ぐことができる。また、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線照射部はディスペンサー部に固定されていることから、ディスペンサー部及びヘッド部の前後方向及び左右方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して位置的に対応して紫外線を照射する。
【0013】
また、本発明に係る3Dプリンタにあっては、複数の点光源が円環状に配置され、全体としてリング状に形成されていることから、造形物に対して周囲から造形物全体に均一に紫外線を照射することができる。
【0014】
請求項2記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は点光源を有することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ディスペンサー部の側部に、前記ステージ上へ射出された造形物に対して斜め上方から紫外線を照射するように固定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明にあっては、前記紫外線照射部の下端部は、前記ディスペンサー部の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とする。
【0018】
従って、本発明に係る3Dプリンタにあっては、紫外線照射部が前記ディスペンサー部よりも造形物に近接した状態で紫外線を照射する。
【0019】
請求項6記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料は、紫外線硬化シリコーンゴムであることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明にあっては、前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明にあっては、熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備えていることから、紫外線遮蔽部により外部から筐体の内部に紫外線が進入することを防ぐことができるため、外部からの紫外線の影響を排除した状態で、紫外線硬化材料に対して紫外線を照射しつつ造形物を硬化させて所望の形態、構造の造形物を製造することができる。
【0023】
その結果、良好な硬化品質を実現することにより高品質な造形物を製造することができる3Dプリンタを提供することができる。
また、紫外線照射部はディスペンサー部に固定されていることから、ディスペンサー部の左右方向及び前後方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して時間的、位置的に対応して紫外線を照射することができる。
さらに、前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することから、紫外線硬化材料に対して全周囲から均等に、かつ適切に造形物に紫外線を照射することができるため、造形物に対してより一層な紫外線供給ができる。
【0024】
請求項2記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は点光源を有することから、従来のような熱硬化シリコーンゴムを材料として使用した3Dプリンタにおける細長ランプとして形成されていた大型のハロゲンランプの場合よりも小型に形成することが可能となり、作動に消費電力を要しない。
即ち、従来のハロゲンランプにあっては、2KWの定格電力が必要であり、この電力を調整することは不可能であった。
【0025】
しかしながら、本願発明にあっては、点光源からなる紫外線照射部により紫外光を照射するように構成されていることから、使用電力も小規模で済み、造形物の製造にあたり消費電力を低減することが可能となり、造形物製造に関する製造コストを低減することが可能となると共に、収納する筐体を小型化できるため、3Dプリンタ装置全体を小型化することが可能となる。
【0026】
また、従来のハロゲンランプは大型であったことから、操作性が良好ではなかった。即ち、ハロゲンランプ本体を作動させた場合には2000℃の一定温度のみで造形物に対して熱照射を行うように構成されており、温度調整が不可能であったことから、熱硬化の程度を調整するためには、ステージを上下方向に移動させてハロゲンランプから造形物を離間させつつ硬化させる必要があり、硬化における調整作業が煩雑であった。
【0027】
また、ハロゲンランプ作動時には、筐体内部が非常に高温になるために、作業者による作業性も良好ではなく、造形作業時の安全性を確保することも必要となっていた。
しかしながら、本発明にあっては紫外線照射部により造形物を硬化するように構成されていることから、従来の構成によるハロゲンランプによる硬化時におけるほどの高温度にはならないことから、筐体温度も従来よりも高温に至らず、その結果、作業者も硬化作業時における硬化作業を容易に行うことが可能となる。
【0028】
また、本願発明にあっては、紫外線照射部が点光源により構成され、紫外線照射部を小型化できることから、造形物の必要な箇所のみに照射することができるため、従来よりも造形作業を効率的に行うことができる。
【0029】
さらに、従来の大型に形成された管状のハロゲンランプにより硬化する場合には、造形物の加熱部位を特定して加熱することは不可能であり、常に造形物全体を加熱する他はなかったが、本願発明にあっては紫外線照射部が点光源により構成されていることから、照射範囲を小さく形成することができるため、硬化が必要な部位に絞って照射させて硬化させることができ、造形物全体として造形速度を上げ、造形時間を短縮することができる。
【0030】
また、紫外線は指向性があり照射方向を制御しやすいことから、製造過程で微妙な熱硬化作業や成形操作を行うことが可能になる。
【0031】
また、小規模、小型の造形物を製造する場合には、小規模造形物に要する熱量に対応した使用電力で済み、従来に比して大幅に製造コストを低減することが可能となる。
【0032】
請求項3記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることから、紫外線照射部は、ディスペンサー部の左右方向及び前後方向の動きに追随することができ、かつ、ヘッド部に近接して配置されていることから、ヘッド部から射出された紫外線硬化材料に対して時間的、位置的に対応して紫外線を照射することができる。
その結果、従来のような、ステージ上の造形材料に対してハロゲン光の照射が開始される時点とハロゲン光の照射が完了する時点とでタイムラグが発生し、その間に造形材料に硬化の程度に差ができてしまう、という不具合を解消することが可能となる。
【0033】
また、造形物の形状、構造に応じて必要な部位に紫外線を照射して硬化させることが可能になることから、造形物の形状および構造にかかわらず、高品質な造形物を製造することが可能となる。
【0034】
さらに、紫外線を収斂させて照射することもできるため、小規模、小型であって、細密な構造を有する造形物の場合に、微妙な硬貨作業が要求される場合にも対応することが可能となる。
【0035】
請求項4記載の発明にあっては、前記紫外線照射部は、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料の斜め上方から紫外線を照射することから、造形物に対して斜めに紫外線を照射することができるため、造形物の大きさ、形状、構造に対応した紫外線供給ができる。
【0036】
請求項5記載の発明にあっては、前記紫外線照射部の下端部は、前記射出部の下端部よりも下方に配置されていることから、紫外線照射部が射出部よりも造形物に接近するため、造形物の大きさ、形状、構造に応じた紫外線供給ができる。
【0037】
請求項6記載の発明にあっては、前記紫外線硬化材料は、紫外線硬化シリコーンゴムであることから、熱により硬化させる熱硬化シリコーンゴムを使用しないようにすることができるため、熱硬化シリコーンゴムと比較して、エネルギーの無駄がなくなるだけでなく、筐体内部が低温になるため、作業性が良く、安全性も高い。
【0038】
請求項7記載の発明にあっては、前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることから、筐体の、外部に対して透明な部位からの紫外線の侵入を防ぎ、筐体外部からの紫外線の影響を排除した状態で、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料に対して紫外線を照射しつつ造形物を硬化させて造形物を製造することができる。
【0039】
請求項8記載の発明にあっては、熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することから、熱エネルギー照射部と紫外線照射部とを併用することにより、造形物に応じてより効率的な硬化作業を行うことができ、造形物の硬化スピードを上げて、造形物の硬化時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る3Dプリンタの一実施の形態を示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る3Dプリンタの構成をより具体的に示す正面概念図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る3Dプリンタの構成をより具体的に示す斜視概念図である。
【
図4】本発明に係る3Dプリンタに使用される紫外線照射部の他の実施の形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る3Dプリンタ10は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンク13と、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部15と、射出部15により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージ14と、左右方向及び前後方向に移動可能であり、ステージ14に射出された紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部16と、材料タンク13、ステージ14及び射出部15及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体17とを備えている。
【0042】
本実施の形態に係る3Dプリンタ10は制御部19を備えている。制御部19は、予め格納された造形物12の形状、構造データ、材料11の材料データ等に基づいて、3Dプリンタ10の各部(各モータ)を制御し、造形物12を製造するように構成されている。
【0043】
より具体的には、本実施の形態に係る
図1及び
図2に示すように、筐体17の内方上端部には、紫外線硬化材料11が収納された材料タンク13が配設されている。材料タンク13は、固定ホルダ21により筐体17の上端部に固定されている。
材料タンク13の下方には、材料供給チューブ30を介して材料タンク13に連設されて射出部15が配置されている。射出部15は、紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部22と、ディスペンサー部22の下部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部27と、ディスペンサー部22の上部に設けられたモータ部23とを備えている。
本実施の形態にあっては、材料タンク13、材料供給チューブ30、ディスペンサー部22及びヘッド部27は同一垂直軸X上に配設されている。
【0044】
射出部15は、移動レールからなる左右方向移動部24に装着され、適宜の駆動部により左右方向移動部24に沿って、筐体17内においてステージ14上を左右方向に移動できるように構成されていると共に、左右方向移動部24は前後方向に移動できる移動レールからなり、筐体17の両側壁部内方に固定された前後方向移動部25に装着され、適宜の駆動部により前後方向に移動可能に形成されている。
【0045】
また、射出部15の下方には、射出部15のヘッド部27から射出された材料により形成される造形物12を載置するステージ14が配置されている。ステージ14の下方には、ステージ14を上下方向に移動可能とさせる上下動軸部37が配置されている。ステージ14は、適宜に配置されたモータの駆動により上下動軸部37により上下方向に移動する。
【0046】
その結果、射出部15は、筐体17内において左右及び前後方向に移動することが可能であると共に、ステージ14が上下方向に移動することから、射出部15によりステージ上に射出された紫外線硬化材料11に関しては、射出部15が、前後方向、左右方向、相対的に上下方向の3次元方向に移動して造形できるように構成されている。
【0047】
そして、本実施の形態にあっては、紫外線照射部16がディスペンサー部22に固定されている。
【0048】
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16は、点光源からなる紫外線照射器28を備えている。
図1に示すように、紫外線照射部16は筒状に形成され、先端部には点光源からなる紫外線照射器28が設けられている。
本実施の形態にあっては、紫外線照射器28はUVランプにより形成されているが、LED式の紫外線照射器であってもよく、本実施の形態には限定されない。
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16は全体筒状に形成され、適宜のアーム部材29により、上記のようにディスペンサー部22等が筐体17内において垂直軸Xに対して所定角度分、斜めに傾斜して、上端部側が外方へ突出して配設され、ディスペンサー部22の側部において、ディスペンサー部か15らステージ14上へ射出された造形物12に対して斜め上方から紫外線を照射するように配設固定されている。また、紫外線照射器28の下端部は、ヘッド部27の下端部よりも下方に配置されている。
【0049】
また、紫外線照射部16は、点光源からなる紫外線照射器28から照射される紫外光を適宜の構成により、光束を所望の大きさ、幅に収斂することが可能な光束収斂機構(図示せず)を備えている。その結果、本実施の形態にあっては、光束収斂機構を適宜操作することにより、造形物12の全体に紫外線を照射できると共に、必要に応じて造形物12に対してピンポイントで紫外線を照射できるように形状されている。
【0050】
本実施の形態にあっては、紫外線照射部16の下端部である紫外線照射器28の先端31は、ディスペンサー部22の下端部であるヘッド部27の先端部27aよりも下方に配置されている。従って、本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、紫外線照射部16がディスペンサー部22よりも造形物12(
図1参照)に近づいて配置されるように構成されている。
【0051】
そして、本実施の形態にあっては、筐体17のドアのガラス等の透明素材により形成された窓開口部等の、全ての光透過部位に設けられた、紫外線を遮蔽する紫外線遮蔽部18を備えている。
即ち、
図2及び
図3に示すように、全体縦長直方体状に形成された筐体17の前面側には、フロントドア32が開閉可能に設けられていると共に、両側部には窓開口部33が設けられている。
そして、フロントドア32の開口部34及び窓開口部33のガラス部の内側面部全域に紫外線遮蔽シート35が貼設され、紫外線遮蔽部18を形成し、筐体外部から内方へ紫外線が入らないように構成されている。
【0052】
紫外線硬化材料11は紫外線硬化シリコーンゴムである。紫外線硬化材料11に対して紫外線照射部16から紫外線が照射された場合には「紫外線硬化(UV硬化)」の事態が起きる。この「紫外線硬化(UV硬化)」は、紫外線を利用した化学反応(重合反応)による硬化であり、従来における熱硬化シリコーンゴムに対してハロゲン光が照射された場合における「熱硬化」とは異なる。
【0053】
以下、本実施の形態に係る3Dプリンタの作用を説明する。
本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、造形材料として紫外線硬化材料11が材料タンク13内に貯留されている。
紫外線硬化材料11が制御部19に格納された造形情報に基づき、ディスペンサー部22からヘッド部27を介してステージ14上に、適宜の形状および構造となるように射出される場合には、制御部19の駆動制御により、ヘッド部27からの材料の射出に追随して点光源からなる紫外線照射器28から紫外線がステージ14上の紫外線硬化材料11に対して照射される。
【0054】
従って、点光源からなる紫外線照射器28により紫外光を照射するように構成されていることから、硬化時における使用電力も小規模で済み、造形物の製造にあたり消費電力を低減することが可能となり、造形物製造に関する製造コストを低減することが可能となる。
【0055】
また、その結果、収納する筐体17を小型化できるため、3Dプリンタ装置全体を小型化することが可能となる。その結果、本実施の形態に係る3Dプリンタ10の高さ寸法は1m程度であり、重さは50~100kg程度に形成される。従来のハロゲンランプ式の3Dプリンタは、例えば、重さは350kg、高さ寸法は3m程度であり、大幅な小型化が可能となる。
【0056】
本実施の形態にあっては紫外線照射器28を有する紫外線照射部16により紫外線硬化材料11を硬化させて造形物を形成するように構成されていることから、従来のハロゲンランプによる硬化時におけるほどの高温度にはならないことから、筐体17の温度も従来よりも高温に至らず、その結果、作業者も硬化作業時における硬化作業を容易に行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態にあっては、紫外線照射器28が点光源により構成されており、紫外線照射部16が全体として小型化されていることから、必要に応じて造形物の必要な箇所のみに照射することができるため、従来よりも造形作業を効率的に行うことができる。
【0058】
さらに、紫外線は指向性があり照射方向を制御しやすいことから、本実施の形態にあっては、紫外線照射器28には適宜の構成の紫外線収斂部が設けられており、必要に応じて紫外線を収斂させて細いビームにすることにより、造形物の微妙な熱硬化作業や成形操作を行うことが可能になる。また、このように小規模、小型の造形物を製造する場合には、小規模造形物に要する熱量に対応した使用電力で済み、従来に比して大幅に製造コストを低減することが可能となる。
【0059】
なお、本実施の形態にあっては、ディスペンサー部22を形成する垂直軸Xに対して所定角度分、斜めに傾斜して、上端部側が外方へ突出して配設され、ディスペンサー部22の側部において、ディスペンサー部か15らステージ14上へ射出された造形物11に対して斜め上方から紫外線を照射するように配設固定されていると共に、紫外線照射器28の下端部は、ヘッド部27の下端部よりも下方に配置されていることから、ステージ14上の紫外線硬化材料11に対して、より近接した状態で紫外線を照射することができる。
【0060】
その結果、本実施の形態に係る3Dプリンタ10にあっては、造形物の大きさ、形状、構造、各部位に応じた、効率の良い、かつ場合によっては微妙な硬化を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態にあっては、筐体17のフロントドア32の開口部34及び窓開口部33のガラス部の内側面部全域に紫外線遮蔽シート35が貼設され、紫外線遮蔽部18を形成し、筐体外部から内方へ紫外線が入らないように構成されていることから、筐体外部からの紫外線の筐体17内への侵入を遮蔽することができるため、外部からの紫外線が侵入することより、ステージ14上での紫外線硬化材料11の紫外線による硬化が開始し、紫外線硬化材料11の硬化過程が不均一となるという事態を、有効に防止することが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態にあっては、紫外線照射部16が全体筒状に形成され、先端部に紫外線照射器28が設けられている場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、造形物の形状および大きさに対応した形状および大きさに形成された複数種類の照射部本体を、ディスペンサー部22等に着脱可能に設けるように構成してもよい。
【0063】
即ち、例えば、
図4に示すように、ステージ14上に配置された紫外線硬化材料11の周囲を包囲することができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有するように構成してもよい。このように構成した場合には、リング状に形成された紫外線照射部36により、紫外線硬化材料11に対して、より近接した状態で、かつ全方位から均等に造形物12に紫外線を照射することができる。
【0064】
なお、上記実施の形態に記載した構成に関しては、本願発明の範囲内において適宜の変更が可能であり、上記実施の形態の構成には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は3Dプリンタに係ることから、広く産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0066】
10 3Dプリンタ
11 紫外線硬化材料
12 造形物
13 材料タンク
14 ステージ
15 射出部
16 紫外線照射部
17 筐体
18 紫外線遮蔽シート部
19 制御部
20 リング状部
21 固定ホルダ
22 ディスペンサー部
23 モータ
24 左右方向移動部
25 前後方向移動部
26 上下方向軸部
27 ヘッド部
28 紫外線照射器(UVランプ)
29 アーム部材
30 材料供給チューブ
31 紫外線照射器先端
32 フロントドア
33 窓開口部
34 開口部
35 紫外線遮断シート
36 紫外線照射部
37 上下動軸部
38 ヘッド部先端部
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線の照射により硬化する紫外線硬化材料を用いて造形物を製造する3Dプリンタであって、
前記紫外線硬化材料を貯留する材料タンクと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記材料タンクに貯留された前記紫外線硬化材料を射出可能な射出部と、前記射出部により射出された紫外線硬化材料が載置され、上下方向に移動可能なステージと、左右方向及び前後方向に移動可能であり、前記ステージに射出された前記紫外線硬化材料に対して紫外線を照射する紫外線照射部と、前記材料タンク、前記ステージ及び前記射出部及び前記紫外線照射部を内部に収納する筐体と、前記筐体外部から筐体内部への紫外線の侵入を防止する紫外線遮蔽部とを備え、
前記射出部は、前記紫外線硬化材料が注入されるディスペンサー部と、前記ディスペンサー部の先端部に設けられ、前記紫外線硬化材料を射出するヘッド部とを有し、
前記射出部は、前記射出部を左右方向に移動させる左右方向移動部に装着されると共に、前記左右方向移動部は前後方向に移動可能に前後方向移動部に装着されており、
前記紫外線照射部は前記ディスペンサー部に固定され、
前記紫外線照射部は、前記ステージ上に配置された前記紫外線硬化材料の周囲を囲むことができるように全体リング状に形成され、複数の点光源を有することを特徴とする3Dプリンタ。
【請求項2】
前記紫外線照射部は点光源を有することを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項3】
前記紫外線照射部は、前記前後左右方向移動部に、前記ディスペンサー部と協働して移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項4】
前記紫外線照射部は、前記ディスペンサー部の側部に、前記ステージ上へ射出された造形物に対して斜め下方に紫外線を照射するように固定されていることを特徴とする請求項1記載の3Dプリンタ。
【請求項5】
前記紫外線照射部の下端部は、前記ディスペンサー部の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載の3Dプリンタ。
【請求項6】
前記紫外線硬化材料は紫外線硬化シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1乃至5記載の3Dプリンタ。
【請求項7】
前記紫外線遮蔽部は、前記筐体に設けられた窓開口部の透明ガラスの内方に貼設された紫外線遮蔽シートからなることを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンタ。
【請求項8】
熱エネルギー照射部を加熱部としてさらに有することを特徴とする請求項1乃至7記載の3Dプリンタ。