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特開2022-97231段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構
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  • 特開-段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構 図9(a)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097231
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210691
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】秋本 委
(72)【発明者】
【氏名】尾堂 貴大
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA04
3F030AB04
3F030BA02
3F030BA06
3F030BC01
(57)【要約】
【課題】従来の段ばらし装置は、専有面積を大きく取る必要があった。また、荷の形状によっては移載の途中で落下する恐れがあった。このような課題を解決する段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構を提供する。
【解決手段】この発明にかかる段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構は、荷のピックアップ流通方向における前後位置に積荷供給コンベヤとピックアップされた一平面単位の荷を下流に供給する一平面荷搬送コンベヤとを配設した段ばらし装置において、段ばらし装置は、下部リフトと、下部リフトの上方に配設し、左右チェーンの流通方向の一定長さ部分にスラットを架設して構成したスラットコンベヤユニットと、スラットコンベヤユニットの上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構とより構成してなることとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷のピックアップ流通方向における前後位置に積荷供給コンベヤとピックアップされた一平面単位の荷を下流に供給する一平面荷搬送コンベヤとを配設した段ばらし装置において、
段ばらし装置は、積荷を昇降するために機枠下部に設けた下部リフトと、下部リフトの上方に配設し、左右チェーンの流通方向の一定長さ部分にスラットを架設して構成したスラットコンベヤユニットと、
スラットコンベヤユニットの上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構とより構成したことを特徴とする段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構。
【請求項2】
スラットコンベヤユニットはコンベヤ本体を懸架角部で屈曲して水平コンベヤ部と垂直コンベヤ部とより構成し、水平コンベヤ部は上方の把持機構の略直下に位置しコンベヤ本体の回動に伴いスラットの前後長さが把持機構で把持された一平面単位の荷の前後長さと略相対するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パレットに段積みされた荷を一平面単位で横移動して下流の所定設備に搬送する段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットに段積みされた荷を一平面単位(以下、一平面荷とも言う。)で横移動して下流の所定設備に搬送する段ばらし装置が使用されている。これは通常3区画の移動構成部材よりなり、まず第1区画ではパレットケースに段積された複数段の荷の内、最上段の荷を次工程となる把持搬送する第2区画へ供給するための第1区画リフトユニットからなり、次いで第2区画では把持搬送されてきた荷を一平面単位で下流の第3区画に搬送する第2区画横移動リフトユニットからなり、第3区画では一平面単位の荷を第2区画から取り出して横移動して下流のコンベヤに移載する第3区画リフトユニットからなる。
【0003】
このような3区画の移動構成部材よりなる段ばらし装置は、例えば特許文献1に開示されているものが知られている。
【0004】
特許文献1に開示の段ばらし装置は、パレットに積み付けられた物品群を搬送する複数の搬送コンベヤと、物品群を乗せた搬送コンベヤを昇降させる昇降台(第1区画)と、上昇した物品群から最上段の集合体を四側面から把持して移載する移載装置(第2区画)と、移載先に把持した集合体を降ろして送り出す荷下ろしコンベヤ(第3区画)とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-215026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に開示の従来の段ばらし装置は、搬送コンベヤおよび昇降台、移載装置並びに荷下ろしコンベヤよりなる3区画から構成されているので装置全体が大掛かりとなり、それぞれの専有面積を大きく取る必要があり、更には一平面荷を移載装置が把持搬送する際の横移動に伴う振動や慣性力によって荷を落下させて破損する虞があった。つまり、従来の段ばらし装置では、荷の形状や搬送時の振動等によって確実な把持携機能を果たすことができず移送の途中で荷の姿勢が不安定となり正順した移送ができず移載の途中で落下する虞れがあった。特に、3区画から構成するために移送箇所や移送距離が多い分だけ移送時の振動により荷が落下し破損する可能性が高くなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、荷のピックアップ流通方向における前後位置に積荷供給コンベヤとピックアップされた一平面単位の荷を下流に供給する一平面荷搬送コンベヤとを配設した段ばらし装置において、段ばらし装置は、積荷を昇降するために機枠下部に設けた下部リフトと、下部リフトの上方に配設し、左右チェーンの流通方向の一定長さ部分にスラットを架設して構成したスラットコンベヤユニットと、スラットコンベヤユニットの上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構とより構成したことを特徴とする段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構を提供せんとするものである。
【0008】
また、スラットコンベヤユニットはコンベヤ本体を懸架角部で折曲して水平コンベヤ部と垂直コンベヤ部とより構成し、水平コンベヤ部は上方の把持機構の略直下に位置しコンベヤ本体の回動に伴いスラットの前後長さが把持機構で把持された一平面単位の荷の前後長さと略相対するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構は、段ばらし装置において、段ばらし装置は、積荷を昇降するために機枠下部に設けた下部リフトと、下部リフトの上方に配設し、左右チェーンの流通方向の一定長さ部分にスラットを架設して構成したスラットコンベヤユニットと、スラットコンベヤユニットの上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構とより構成し、しかも、スラットコンベヤユニットはコンベヤの流通過程の一部にスラットを架設したことにより下部リフトから上昇してきた最上層の積荷である一平面荷は積載面の架設されていない左右チェーンの間から上昇して把持機構の直下に至る。
【0010】
最上層の積荷は直上の把持機構によって側面を把持され把持機構によって把持された状態となる。かかる状態において最上層の平面荷から下方の積荷は分離して下部リフトに載置されたまま下方に下降する。次いでスラットコンベヤユニットを可動し最上層の荷がスラットで受け止められる位置にまでコンベヤを移動してスラットを把持機構の下方位置まで変位させる。次いで、更にコンベヤを回転作動すればスラット上の最上層荷はその先方の一平面荷搬送コンベヤに移し替えられる。
【0011】
このように当初パレットに積載された積荷のうちの最上層の一平面荷はスラットコンベヤユニットとその下方の下部リフトの上下の位置関係状態で把持機構で把持されてスラット上に移し替えられてスラットコンベヤユニットにより次工程である下流供給の一平面荷搬送コンベヤへ搬送されるため、一か所の位置で上下に配設した下部リフトとスラットコンベヤユニットと把持機構との協同作業で積荷の最上層荷をピックアップして所定の位置に移送することができることになり、効率的な装置の場所占有で積荷のピックアップと搬送が行える効果があり更には平面的なスラットで最上層荷を受け止め搬送するため確実な把持搬送機能を果たすことができる効果がある。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、スラットコンベヤユニットはコンベヤ本体を懸架角部で折曲して水平コンベヤ部と垂直コンベヤ部とより構成し、水平コンベヤ部は上方の把持機構の略直下に位置しコンベヤ本体の回動に伴いスラットの前後長さが把持機構で把持された一平面単位の荷の前後長さと略相対するように構成したことにより、コンベヤの作動タイミングと上昇する最上層荷のスラット積載のタイミングとを調時することにより最小の作動機構で装置の占有面積を可及的に小さくして積層荷の移送作業の効率化を行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構の構成を説明するための正面図である。
図2】本実施形態に係るコンベヤ本体が垂直コンベヤ部を形成した状態を説明する図である。
図3】本実施形態に係るコンベヤ本体が平行コンベヤ部分を形成した状態を説明する図である。
図4】本実施形態に係るコンベヤ本体の構成を説明する斜視図である。
図5】本実施形態に係る段ばらし装置の供給形態を説明する正面図である。
図6】本実施形態に係る段ばらし装置の搬出形態を説明する正面図である。
図7】本実施形態に係る段ばらし装置が下流の一平面荷搬送コンベヤに一平面荷を供給する様子を説明する正面図である。
図8】一平面荷搬送コンベヤが上下に複数個設けられた形態を説明する正面図である。
図9(a)】左右チェーンの構造例を説明する斜視図である。
図9(b)】左右チェーンの構造例を説明する斜視図である。
図10】コンベヤ本体の形状例を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の要旨は、荷のピックアップ流通方向における前後位置に積荷供給コンベヤとピックアップされた一平面単位の荷を下流に供給する一平面荷搬送コンベヤとを配設した段ばらし装置において、段ばらし装置は、積荷を昇降するために機枠下部に設けた下部リフトと、下部リフトの上方に配設し、左右チェーンの流通方向の一定長さ部分に積載面を架設して構成したスラットコンベヤユニットと、スラットコンベヤユニットの上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構とより構成したことを特徴とする段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構に係るものである。
【0015】
また、スラットコンベヤユニットはコンベヤ本体を懸架角部で折曲して水平コンベヤ部と垂直コンベヤ部とより構成し、水平コンベヤ部は上方の把持機構の略直下に位置しコンベヤ本体の回動に伴いスラットの前後長さが把持機構で把持された一平面単位の荷の前後長さと略相対するように構成したことを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明は、上流に配設された供給コンベヤと下流に配設された一平面荷搬送コンベヤとの間に配設される段ばらし装置において、段ばらし装置の構成に工夫を施したことにより、専有面積を可及的に小とすると共に荷が落下することによる荷の破損を防ぐことを実現するものである。以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて詳説する。
【0017】
本実施形態は、段ばらし装置12における積み荷の横移動搬送機構Aに関するものである。
【0018】
図1に示すように、荷のピックアップ流通方向における段ばらし装置12の前後位置には、積荷供給コンベヤ10とピックアップされた一平面単位の荷Cを下流に供給する一平面荷搬送コンベヤ11とが配設されている。
【0019】
また、本実施形態の一平面荷搬送コンベヤ11は、段ばらし装置12を挟んで積荷供給コンベヤ10の向かい側に配設されているが、積荷供給コンベヤ10と同じ方向に一平面荷搬送コンベヤ11を配設したり、積荷供給コンベヤ10と一平面荷搬送コンベヤ11とが平面視で略直角の配置関係となるように配設したりすることもできる。
【0020】
段ばらし装置12は、図1に示すように、積荷Bを昇降するために機枠の下部に設けた下部リフト20と、下部リフト20上の積荷を一平面荷搬送コンベヤ11へと移動させるための横移動搬送機構Aとより構成されている。横移動搬送機構Aは、下部リフト20の上方に配設し左右チェーン34の流通方向の一定長さ部分にスラット35を架設して構成したスラットコンベヤユニット30と、スラットコンベヤユニット30の上方に配設し、一平面荷Cを側面から把持する把持機構50とより構成したことを特徴としている。
【0021】
また、段ばらし装置12の横移動搬送機構Aが備えるスラットコンベヤユニット30は、コンベヤ本体を懸架角部で折曲して水平コンベヤ部と垂直コンベヤ部とより構成し、水平コンベヤ部は上方の把持機構の直下に位置しコンベヤ本体の回動に伴いスラットの前後長さが少なくとも把持機構で把持された一平面単位の荷の前後長さより略相対する(好適には前後長さよりも長くする)ように構成したことを特徴とする。
【0022】
換言すれば、本実施形態に係る段ばらし装置12における積み荷の横移動搬送機構Aは、一平面荷搬送コンベヤ11に一平面荷Cを搬出するためのスラットコンベヤユニット30の構成と、スラットコンベヤユニット30に一平面荷Cを載置する把持機構50の構成とに工夫を施した点を最大の特徴とするものである。
【0023】
積荷供給コンベヤ10は、平面視で矩型となるように段積みされた荷(以下、積荷Bという。)を載置したパレットPを動力によって運搬し、次工程の段ばらし装置12に供給する為の装置である。積荷供給コンベヤ10は、積荷BおよびパレットPを運搬移動可能な寸法と動力とを備えていれば特に限定されるものではなく、例えばベルトコンベヤ、ローラーコンベヤ、チェーンコンベヤ等を採用することができる。
【0024】
段ばらし装置12は、積荷供給コンベヤ10より供給された層状の積荷Bの最上面に位置する一平面荷Cを他の積荷Bと分離して下流の一平面荷搬送コンベヤ11へと移載するための装置である。段ばらし装置12は、金属(例えば、鉄等)製のフレームを、垂直・水平に組み合わせて方形状に区画して形成された機枠に、段ばらし装置12を構成する各種装置が設置されて構成されている。
【0025】
段ばらし装置12の具体的な各種装置としては、図1に示すように、積荷供給コンベヤ10より搬送されたパレットP上の積荷Bを垂直に昇降自在に構成した下部リフト20と、段ばらし装置12の最上段に配設されると共に、下部リフト20の上昇移動によって変位した積荷Bの一平面荷Cを四側面から把持可能に構成した把持機構50と、把持機構50の下方に配設され、把持機構50で把持した最上層の一平面荷Cを次工程の一平面荷搬送コンベヤ11へ搬出するスラットコンベヤユニット30と、がある。
【0026】
なお、下部リフト20は、機枠の上部左右端に軸化されている回転体60と一側の昇降モータ22とに連動する伝達ケーブル23によって連動連結されており、伝達ケーブル23の作動によってパレットPを載置した状態で機枠内部を垂直に昇降自在に構成されている。
【0027】
本実施形態の段ばらし装置12は、以下の工程を経てパレットP上の積荷Bの段ばらしを行う。すなわち、
(1)積荷Bを載置するパレットPが積荷供給コンベヤ10から段ばらし装置12の下部リフト20へと移動する。
(2)昇降モータ22が回転体60を上昇方向に回転させることにより伝達ケーブル23を巻き上げる。伝達ケーブル23の巻き上げに伴い、下部リフト20が段ばらし装置12の上方に配設された把持機構50に向かって上昇する。
(3)把持機構50は、下部リフト20と共に上昇したパレットP上の積荷Bの最上面を構成する一平面荷Cを四側面から把持する。
(4)昇降モータ22が回転体60を下降方向に回転させることにより伝達ケーブル23を繰り出す。伝達ケーブルの繰り出しに伴い、下部リフト20が段ばらし装置12の下方に向かって降下する。
(5)下部リフト20が降下したことにより、把持機構50によって把持された一平面荷CとパレットP上に残存する積荷Bとの分離が行われる。
(6)把持機構50が把持する一平面荷Cの底部近傍の荷受位置に向けてスラットコンベヤユニット30が上昇する。また、上昇する動きに伴いスラットコンベヤユニット30のスラット35が一平面荷Cに向き合う位置となるように移動する。
(7)把持機構50は、スラットコンベヤユニット30のスラット35の上に一平面荷Cを載置する。
(8)一平面荷Cを受け取ったスラットコンベヤユニット30は、段ばらし装置12の次工程である一平面荷搬送コンベヤ11の高さと略同じ高さとなるように位置を調整した後に、スラット35を移動させて一平面荷Cを一平面荷搬送コンベヤ11へと搬出する。
【0028】
スラットコンベヤユニット30が備えるコンベヤ本体36は、図1に示すように、一平面荷Cを一平面荷搬送コンベヤ11側へと排出する方向に回転を可能とする駆動軸31と、駆動軸31の動きに追従して回転する従動軸32と、駆動軸31および従動軸32の左右端部に配設したスプロケット33と、スプロケット33にかみ合うように配設された左右チェーン34と、左右チェーン34の一部に架設されたスラット35とを構成要素として備えている。
【0029】
コンベヤ本体36は、具体的には図4に示すように、1つの駆動軸31と、駆動軸31の垂直方向に配置した従動軸32aと、従動軸32a水平方向に配置した従動軸32bとに左右チェーン34(以下、左右それぞれを左チェーン34L、右チェーン34Rとも言う。)を懸架させて全体略逆L字状に構成する。なお、駆動軸31と従動軸32(32a、32b)は、長手方向が積荷B(一平面荷C)の前後幅よりも長く構成されている。また、従動軸32aと従動軸32bとの間の空間の幅員は、積荷B(一平面荷C)の左右幅よりも長く構成されている。また、コンベヤ本体36は、図10に示すように駆動軸31の水平方向にも従動軸32cを備えた略ロ字型またはコ字型など自由に選択可能である。
【0030】
なお、コンベヤ本体36は、左右チェーン34間に架設した物品載置機能を有するスラット35により構成している。左右チェーン34間に架設する物品載置機能を有するスラット35であれば、例えば、断面角パイプ状のスラットや丸パイプ状のスラットや網目状の板状であったりし、各種の形状構造のスラットが考えられる。要するに本明細書で説明するスラット35の構造はこのように回動する左右チェーン34間に架設し、物品載置機能を有するものであれば、その形状構造は問わない。
【0031】
なお本実施形態のスラット35は、断面角パイプ状のスラット35aを左右チェーン34として採用したアタッチ付きチェーン34aに架設して構成されている。
【0032】
アタッチ付きチェ―ン34aは、図9に示すように、コンベヤ本体36を構成するコンベヤメンバーのうちの円筒形状のチェーンローラ70と、チェーンローラ70を軸架する側面プレート71とを備え、左右の側面プレート71の左右長縁部のうち少なくとも一側には、上縁部を折曲して水平に突設形成した連結板72を形成している(図9(a)は左側に、図9(b)は左右両側に連結板72を形成したアタッチ付きチェ―ン34aを示す図である。)。連結板72はネジ穴73を介してスラット35の左右端縁部と連結される。
【0033】
本実施形態におけるスラット35は、ネジ穴73を介してネジ体により断面角パイプ状のスラット35a端縁部を水平状の連結板72に連結固定する。
【0034】
このように、左右チェーン34にアタッチ付きチェーン34aを採用とすることにより、搬送対象とする一平面荷Cの寸法に応じてスラット35の長さを調整した段ばらし装置12の製造を可能とする。なお、図2(a)はスラット35を垂直コンベヤ部38へと変位させた状態のコンベヤ本体36の平面図を示し、図2(b)はスラット35を垂直コンベヤ部38へと変位させた状態のコンベヤ本体36の正面図を示す。また、図3(a)は後述する水平コンベヤ部37を形成した状態のコンベヤ本体36の平面図を示し、図3(b)は水平コンベヤ部37を形成した状態のコンベヤ本体36の正面図を示す。
【0035】
スラット35は、左右チェーン34に追動し、左右チェーン34の懸架形状に沿って、垂直、平面、屈曲のように変形可能な形態となる。また、把持機構50によって一平面荷Cを載置可能な長さと幅(図2(a)および図3(a)の平面視における縦幅)および強度を備えていれば自由に構成することができる。一例として、スラット35は、縦20mm×横30mm×奥行き1200mmの金属製角パイプを左右チェーン34に複数本懸架させ、幅1200cm×長さ1200cmの平面視矩型状とすることができる。
【0036】
また、スラット35は、所望する強度および耐久度を満たすのであれば、樹脂やゴムを素材として採用することもできる。例えば、仮に搬送対象が軽量物であれば、樹脂製素材により構成したスラット35を採用することにより製造コストの削減を図ることができる。また、本実施形態のように金属製のスラット35を採用すれば、搬送対象物が重量物であっても対応することが可能であり、修理等の煩雑なメンテナンスの頻度を可及的に小とすることができる。
【0037】
また、全体略逆L字形状のコンベヤ本体36は、懸架形状として逆L字形状だけではなく、図10に示すような全体略方形状であったり、略コ字状の懸架形態とすることもできるが、懸架形態のうち、スプロケット33との噛合い角部はいずれも逆L字のチェーンを構成する懸架形態とする。なお、図10(a)は略方形状に構成されたコンベヤ本体36において、スラット35が水平コンベヤ部37に位置している状態を示し、図10(b)は略方形状に構成されたコンベヤ本体36において、スラット35が垂直コンベヤ部38に位置している状態を示している。
【0038】
更には、コンベヤ本体36の特性として、コンベア流通方向の一定前後幅にはスラット35が左右チェーン34間に架設されているために、スラット35が架設されていない部分は左右チェーン34の間に荷通過空間39を形成しており、この荷通過空間39の間を通して下部リフト20により上昇する一平面荷Cが通過し、その上方の把持機構50に臨むように構成している。このように、荷通過空間39を形成する左チェーン34Lと右チェーン34Rとの間の幅員は、下部リフト20の上昇時に積荷Bの一平面荷Cの幅員と干渉しない幅とする。
【0039】
かかる荷通過空間39を有するコンベヤ本体36の一部にはコンベヤ流通方向に向かって一定の前後長さを有するスラット35が形成されているため、荷通過空間39を下方から通過し上昇した一平面荷Cは、水平に搬送されてきたスラット35上に載置される。
【0040】
すなわち、荷通過空間39を通過して上昇した最上段の一平面荷Cは、把持機構50で把持された後にパレットP上に残存する積荷Bと十分な距離を確保した状態となる。次いで、分離された一平面荷Cは、スラットコンベヤユニット30の荷受け位置まで上昇する動作とともに底部近傍に移動してきたスラットコンベヤユニット30のスラット35に載置される。
【0041】
なお、把持機構50が把持する一平面荷CとパレットP上に残存する積荷Bと十分な距離を確保した状態とは、把持機構50に把持された一平面荷Cが荷通過空間39よりも上方に位置し、下部リフト20に残存する積荷Bが荷通過空間39よりも下方に位置した状態である。また一平面荷Cおよび積荷Bが、それぞれが左右チェーン34の動作に従動するスラット35と衝突しない位置にある状態をいう。
【0042】
このように、コンベヤ本体36は、左右チェーン34の間の一部のみにスラット35を架設したことにより荷通過空間39を形成した構成となっている。コンベヤ本体36が荷通過空間39を備えてなることにより、スラットコンベヤユニット30の上方に配設された把持機構50が下部リフト20で搬送される一平面荷Cを把持することができる。
【0043】
具体的には、スラットコンベヤユニット30は、図5に示すように、下部リフト20の上昇時にはスラット35を垂直コンベヤ部38へと変位して、水平コンベヤ部37においては左右チェーン34間に下部リフト20の昇降に支障とならない荷通過空間39が形成される。したがって、下部リフト20により上昇する積荷Bは、荷通過空間39を通過するために、スラット35と干渉することなく装置12の内部を上昇する。これにより、把持機構50に一平面荷Cを把持することが可能となる。なお、図5は、コンベヤ本体36が供給形態に変化した状態を説明する正面図である。
【0044】
下部リフト20が荷通過空間39を通過して段ばらし装置12の最上段に配置されている把持機構50の下側近くまで上昇すると、把持機構50が積荷Bの最上層を構成する一平面荷Cの四側方を把持する。
【0045】
把持機構50は、積荷Bと対向するように略ロ字の周縁に配設された板状の把持部材51を備えており、把持部材51が内方に変動することにより一平面荷Cを四側方から把持する。
【0046】
なお、把持機構50の把持力は、一平面荷Cを構成する把持対象物の外装素材や個数に応じて自由に変更することができるが、把持対象物の外装(および内容物)を損傷させない程度の把持力に設定しておくことが好ましい。
【0047】
さらに把持機構50は、一平面荷Cを円滑に次工程の一平面荷搬送コンベヤ11へと搬出できる構成を備えることもできる。すなわち、把持機構50が備える把持部材51の内、少なくとも一平面荷搬送コンベヤ11側に配設された把持部材51aがその上縁部に設けられた軸52を基点にして外方に開いて、把持部材51の下端部がスラット35の上に載置された一平面荷Cの高さよりも上方に位置することにより、一平面荷搬送コンベヤ11へと搬出される一平面荷Cと衝突しない構成を備えることもできる。このような構成によれば、把持部材51aが一平面荷Cを搬出する動きを妨害しない為に、一平面荷Cを構成する複数の荷の並びを崩したり、スラット35の上から落下したりすることを防ぐことができる。しかも、一平面荷搬送コンベヤ11は把持機構50と略同じ高さに配設可能となるために、一平面荷Cを円滑に搬出しながらも、段ばらし装置12と一平面荷搬送コンベヤ11とを配設する位置関係をより自由に選択することができる。
【0048】
ここで、スラットコンベヤユニット30は、コンベヤ本体36を垂直方向へ昇降させて高さの微調整を可能とする昇降装置40を備えている。
【0049】
昇降装置40は、コンベヤ本体36の高さを調整できる構成であればよく、一例としては、図1および図8に示すように、動力源によって回転する駆動軸41と、駆動軸41の下方に配置された従動軸42と、駆動軸41および従動軸42の左右端部に配設したスプロケット43と、スプロケット43にかみ合うように配設された上下懸架チェーン44とを備えており、駆動軸41の回転が上下懸架チェーン44を介して従動軸42を従動するように構成することができる。
【0050】
昇降装置40の上下懸架チェーン44は、コンベヤ本体36の端部と連結しており、駆動軸41の回転による上下懸架チェーン44の動きに従ってコンベヤ本体36の高さを上下方に調整可能としている。
【0051】
このように、スラットコンベヤユニット30が昇降装置40を備えることにより、コンベヤ本体36が把持機構50によって把持された一平面荷Cの底部間近まで接近することができるために、把持機構50から一平面荷Cをスラット35上に載置する際の距離を可及的に小となり、スラット35への落下衝撃を防止し、荷の損壊を防ぐことができる。
【0052】
したがって、下部リフト20が下方に降下して把持機構50で把持された一平面荷CとパレットP上に残存する積荷Bとが十分な距離を確保した状態となれば、コンベヤ本体36は昇降装置40によって一平面荷Cの底部間近まで上昇する。またコンベヤ本体36の上昇に伴って、図6に示すように、スラット35が左右チェーン34の回動によって水平コンベヤ部37へと変動する。なお、図6は、コンベヤ本体36におけるスラット35が把持機構50で把持した一平面荷Cを受け止める寸前の状態を説明する正面図である。
【0053】
これにより、把持機構50によって把持された一平面荷Cはスラット35上に載置されることとなる。具体的には、把持部材51が外側方に開放されることにより一平面荷Cの把持を解除し、水平コンベヤ部37の位置に移動してきたスラット35上に一平面荷Cを載置する。
【0054】
本実施形態における把持機構50は、スラットコンベヤユニット30の上方の所定位置で一平面荷CをパレットPの積荷Bと分離し、或いはスラットコンベヤユニット30のスラット35上に一平面荷Cを載置するのみの動作をする構成としている。これにより、把持機構50が一平面荷Cを把持した状態で上下左右に移動することがないために、移動時の振動又は始動若しくは停止時の慣性力によって把持機構50から一平面荷Cが落下する虞をなくすことができる。
【0055】
以上説明したように、スラットコンベヤユニット30は、流通方向の一部にスラット35を形成し、その他は荷通過空間39を形成しているために、下部リフト20から上昇搬送される一平面荷Cが荷通過空間39と対面する際には、コンベヤ本体36と干渉することなく上昇して、把持機構50の把持作動を待ち、把持機構50の把持が開始されれば、最上段の一平面荷Cのみ取り上げられて、それ以下の層の積荷Bは下部リフト20の降下によって当初の位置まで復元する。
【0056】
一平面荷搬送コンベヤ11は、段ばらし装置12によって移載された一平面荷Cを下流に供給するための装置である。一平面荷搬送コンベヤ11は、積荷供給コンベヤ10と同じ構成のものを採用することもできる。
【0057】
また本実施形態においては、一平面荷搬送コンベヤ11は、図1に示すように1台設けられているが、このような構成に限定されるものではない。つまり、一平面荷搬送コンベヤ11は、図8に示すように、上下の高さを変えて複数台を配設することもできる。
【0058】
ここで、複数台の一平面荷搬送コンベヤ11がそれぞれ異なる搬送先へと繋がるように構成すれば、どの搬送先に一平面荷Cを受渡すかの選択をスラットコンベヤユニット30の昇降操作によって行うことができるため、荷物の種類や積み合わせ方など搬送先の事情に応じて適宜変更が可能な段ばらし作業を自在に行うことができる。
【0059】
以上説明した本実施形態の段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構Aによれば、段ばらし装置12は、積荷Bを昇降するために機枠下部に設けた下部リフト20と、下部リフト20の上方に配設し、左右チェーン34の流通方向の一定長さ部分にスラット35を架設して構成したスラットコンベヤユニット30と、スラットコンベヤユニット30の上方に配設し、一平面荷を側面から把持する把持機構50とより構成したことにより、設置専有面積を可及的に小とすることができる。
【0060】
具体的には、従来の段ばらし装置が一平面荷を供給する為の第1区画、第1区画から把持搬送された一平面荷Cを下流へと搬送する第2区画および一平面荷Cを第2区画から取り出してコンベヤに移載する第3区画より構成されているのに対し、本実施形態の段ばらし装置12は、図1に示すように第1区画(下部リフト20)の上方に第2区画(スラットコンベヤユニット30)を設けて、隣の第3区画(一平面荷搬送コンベヤ11)へと搬出する構成としている。
【0061】
このように、本実施形態の段ばらし装置12は、従来の第1区画と第2区画とで行われていた段ばらし作業と次工程までの受け渡し搬送作業とを1個の区画で行える構成としたため、各区画の作業専有面積を可及的に小とすることができる。
【0062】
また、本実施形態の段ばらし装置における積み荷の横移動搬送機構Aによれば、スラットコンベヤユニット30の上方に把持機構50を配設し、スラットコンベヤユニット30の昇降位置調整を可能とすることにより、一平面荷Cの大きな段差による落下を防ぐことができ、段ばらし1工程あたりの所要時間の短縮も可能とすることができる。
【0063】
具体的には、昇降装置40を備えたスラットコンベヤユニット30が把持機構50の下方まで接近することができるために、把持機構50は一平面荷Cを把持した状態で上下左右に動く必要がなくなる。これにより、把持機構50の移動または停止に伴う慣性力や移動時の振動による一平面荷Cの落下を防ぐことができる。
【0064】
また、従来の把持機構50では、上下左右に変動させても荷の落下を防ぐために緩慢な動きしかできない。本実施形態のように一平面荷Cをスラットコンベヤユニット30によって行うことで、一平面荷Cを落下させることなく機敏な動作による段ばらしを可能とする。すなわち、スラットコンベヤユニット30の上方に把持機構50を配設したことにより、段ばらし工程の1回あたりの所要時間を可及的に小とすることができる。
【符号の説明】
【0065】
A 横移動搬送機構
10 積荷供給コンベヤ
11 一平面荷搬送コンベヤ
12 段ばらし装置
20 下部リフト
21 上面構造
22 昇降モータ
23 伝達ケーブル
30 スラットコンベヤユニット
31 駆動軸
32 従動軸
33 スプロケット
34 左右チェーン
34a アタッチ付きチェーン
35 スラット
36 コンベヤ本体
37 水平コンベヤ部
38 垂直コンベヤ部
39 荷通過空間
40 昇降機構
41 駆動軸
42 従動軸
43 スプロケット
44 上下懸架チェーン
50 把持機構
51 把持部材
52 軸
60 回転体
70 チェーンローラ
71 側面プレート
72 連結板
73 ネジ穴
B 積荷
C 一平面荷
P パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10