(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097245
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A63F5/04 611A
A63F5/04 605D
A63F5/04 605C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210714
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】田村 純一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】山口 功太郎
(72)【発明者】
【氏名】西澤 暢
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CA01
2C182CE02
2C182CE11
2C182DA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異常の報知を適切に行える遊技機を提供する。
【解決手段】複数種類の識別情報の変動表示を行う第1~第3リール15a~15cと、第1~第3リール15a~15cの変動表示を始動させた後、可変表示手段の変動表示を停止させるリール制御手段43と、遊技媒体を貯蔵する貯蔵手段と、貯蔵手段に貯蔵された遊技媒体を検知するオーバーフローセンサ70と、オーバーフローセンサ70が遊技媒体を所定時間以上検知した異常状態になったことを判定するエラー検出手段48と、エラー検出手段48が異常状態であることを判定した場合は、変動表示の停止後に異常であることを報知する報知手段と、を備える遊技機であって、所定時間は、変動表示の始動から変動表示の停止までの最短時間よりも短い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の識別情報の変動表示を行う可変表示手段と、
前記可変表示手段の変動表示を始動させた後、前記可変表示手段の変動表示を停止させる可変表示制御手段と、
遊技媒体を貯蔵する貯蔵手段と、
前記貯蔵手段に貯蔵された遊技媒体を検知する検知手段と、
前記検知手段が遊技媒体を所定時間以上検知した異常状態になったことを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記異常状態であることを判定した場合は、変動表示の停止後に異常であることを報知する報知手段と、を備える遊技機であって、
前記所定時間は、変動表示の始動から変動表示の停止までの最短時間よりも短いことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可変表示制御手段は、変動表示を加速表示させた後に定速表示させるものであり、
前記所定時間は、変動表示の始動から変動表示の定速表示に到達するまでの時間よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、複数種類の識別情報の変動表示を行うリール(可変表示手段)、スタートレバー、およびストップボタン等を備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、メダル(遊技媒体)がベットされた後、スタートレバーに対する遊技開始操作がされるとリールの変動表示が開始される。また、各リールに対応して設けられたストップボタンに対する停止操作がされると、リールの変動表示が停止される。
【0003】
スロットマシンでは、投入されたメダルは、ホッパーユニットやホッパーユニットに貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出される補助収納庫等に貯蔵される。また、補助収納庫等に貯蔵されたメダルの量が一定量を超えると、異常(オーバーエラー)が発生したものとして、異常が報知される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機では、異常の報知を適切に行うことが求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、異常の報知を適切に行える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
複数種類の識別情報の変動表示を行う可変表示手段と、
前記可変表示手段の変動表示を始動させた後、前記可変表示手段の変動表示を停止させる可変表示制御手段と、
遊技媒体を貯蔵する貯蔵手段と、
前記貯蔵手段に貯蔵された遊技媒体を検知する検知手段と、
前記検知手段が遊技媒体を所定時間以上検知した異常状態になったことを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記異常状態であることを判定した場合は、変動表示の停止後に異常であることを報知する報知手段と、を備える遊技機であって、
前記所定時間は、変動表示の始動から変動表示の停止までの最短時間よりも短いことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、検知手段が遊技媒体を所定時間以上検知した場合に異常状態であると判定され異常が報知されるので、ノイズや一時的なメダルの接触等により検知手段が瞬間的(一時的)に遊技媒体を検知した状態となったことに基づいて異常が報知されてしまうことを防止できる。すなわち、誤検知等に基づいて異常が報知されることを防止できる。一方で、異常の検出に要する時間は、変動表示の始動から変動表示の停止までの最短時間よりも短く、1回の遊技にかかる最短時間よりも短いので、遊技が最短時間で終了した場合であっても、1回の遊技内において異常を検出し報知することができる。ある遊技において、貯蔵された遊技媒体が所定量を超えた状態となった場合、基本的にその遊技において異常を報知した方が、異常の発生原因と異常の報知との因果関係が掴みやすく、遊技者に違和感を抱かせることなく報知が行えるところ、本構成によれば最短で遊技が終了した場合であっても、確実に1回の遊技内において異常を検出し報知することができ、遊技者に違和感を抱かせることのない適切な異常の報知が行える。
【0009】
また、本発明の前記構成において、前記可変表示制御手段は、変動表示を加速表示させた後に定速表示させるものであり、
前記所定時間は、変動表示の始動から変動表示の定速表示に到達するまでの時間よりも短いこととしてもよい。
【0010】
スロットマシンにおいては、通常、定速表示に到達するまでは停止操作によって変動表示を停止させることができないようになっている。すなわち、定速表示に到達するまでは遊技を終了させることができないようにされている。一方で、スロットマシンには、全ての停止操作をほぼ同時に行えるスロットマシンや、前の停止操作(例えば、1個目のリールを停止させる操作)がされてから所定期間(インターバル期間)が経過するまで、次の停止操作(例えば、2個目のリールを停止させる操作)が無効となるスロットマシン等が存在する。本構成によれば、異常の検出に要する時間は、変動表示の始動から変動表示の定速表示に到達するまでの時間よりも短いので、どのようなスロットマシンであったとしても、遊技が最短時間で終了した場合であっても、1回の遊技内において異常を検出し報知することを可能にできる。したがって、どのようなスロットマシンでも異常を適切に報知できる。また、機種毎に遊技が終了する最短時間を算出し、異常の検出にかかる時間を決定する必要がなくなるので、遊技機の設計を画一的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異常の報知を適切に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図3】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】同、ステッピングモータの励磁パルスについて説明するための図である。
【
図5】同、加速処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】同、センサ監視処理について説明するためのフローチャートである。
【
図7B】同、
図7Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第1状態にある場合を示す。
【
図7C】同、
図7Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第2状態にある場合を示す。
【
図7D】同、
図7Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第3状態にある場合を示す。
【
図8】同、遊技に用いられる遊技メダルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0014】
図1は、スロットマシンXを示す斜視図である。また、
図2は、スロットマシンXの筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0015】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0016】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能ないわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。上扉は、ヒンジを介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジを介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0017】
前扉20の上部中央には、平板状のパネル21が設けられている。また、パネル21は、その中央部に形成された透明な表示窓(窓部)22と、表示窓22を囲うように形成され、絵柄等が描かれた(絵柄等が印刷された)意匠部23と、を備えている。この意匠部23の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって意匠部23に描かれた絵柄等が背後から照らされるようになっている。
【0018】
表示窓22の奥には、第1リール15a、第2リール15bおよび第3リール15cの3個のリール(
図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシンXでは、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0019】
また、各リール15a~15cは、外周面に20個の図柄が配列された20コマリールとなっており、各リール15a~15cの各図柄には、図柄番号0~19が対応付けられている。なお、リール15a~15cは、外周面に21個の図柄が配列された21コマリールとしてもよい。
【0020】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置24,25、スピーカ27等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0021】
スピーカ27は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカ27は、各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、照明装置24,25やスピーカ27の他に、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する液晶ディスプレイ(表示手段)や、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0022】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、クレジット(貯留)されたメダルを払い出す際に操作される精算ボタン31、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させる際に操作される3個のストップボタン33a,33b,33c、メダル(遊技媒体)を投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン(図示せず)、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、演出の態様を変化させる際等に操作される演出ボタン(図示せず)、等が設けられている。なお、演出ボタンは、操作部30以外の所定の箇所(前扉20)に設けられていてもよい。
【0023】
また、前扉20の下部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口(図示せず)と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿38、等が形成されている。また、操作部30とメダル受け皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0024】
図2に示すように、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット10、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(メダル払出手段)11、ホッパーユニット11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出される補助収納庫(貯蔵手段)12等が設けられている。
【0025】
スロットマシンXの内部には、メイン制御基板(主制御装置)18と、サブ制御基板(副制御装置)19とが設けられている。メイン制御基板18は、スタートレバー32、ストップボタン33a~33c、ベットボタン35、メダルセンサ36等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板19は、メイン制御基板18から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイやスピーカ27等の演出用の装置の制御を行う。
【0026】
また、メイン制御基板18とサブ制御基板19とは電気的に接続されており、メイン制御基板18からサブ制御基板19へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板19からメイン制御基板18へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板18やサブ制御基板19等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0027】
図3に示すように、メイン制御基板18は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、リプレイ制御手段46と、遊技状態制御手段47と、エラー検出手段48と、エラー管理手段(エラー報知制御手段)49と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
【0028】
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー32に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口34にメダルが投入されると、メダルセンサ36がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン35が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー32に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール15a~15cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
【0029】
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口34にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン35に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン35が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0030】
また、投入受付手段40は、前の遊技においてリール15a~15cが全て停止してから所定期間が停止した後にメダルの投入を受け付ける。また、スタートレバー32に対する遊技開始操作がされてから、当該所定期間が経過するまでの間はメダルの投入を受け付けない。具体的には、投入受付手段40は、メダルの投入を防ぐブロッカーのオン/オフを制御することにより、メダルの投入を受け付ける状態と受け付けない状態とを制御する。ブロッカーがオン状態(閉塞状態)のときには、メダル投入口34から投入されたメダルを、ブロッカーがはじいて、メダル受け皿38に向けて排出させる。一方、ブロッカーがオフ状態(開放状態)のときには、メダル投入口34から投入されたメダルがホッパーユニット11に向けて流され、メダルがベットあるいは貯留される。すなわち、メダルセンサ36は、ブロッカーとホッパーユニット11との間に設けられており、ブロッカーがオン状態のときにはメダルセンサ36をメダルが通過せず、ブロッカーがオフ状態のときにはメダルセンサ36をメダルが通過するようにされている。
【0031】
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0032】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー32が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に格納されている。内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。また、内部抽選手段42は、遊技状態に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行うようになっている。そして、これにより、遊技状態に応じて当選し得る役や各役の当選確率が変化するようになっている。
【0033】
また、内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
【0034】
リール制御手段43は、メイン制御基板18による制御のもと有効化されたスタートレバー32が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール15a~15cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン33a~33cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
【0035】
ストップボタン33a~33cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール15a~15cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール15a~15cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール15a~15cを停止させる。すなわち、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール15a~15cを停止させる。
【0036】
入賞判定手段44は、リール15a~15cの回転が停止されると作動され、リール15a~15cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール15a~15cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板18は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞(作動)した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞(作動)した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0037】
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパーユニット11に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット11によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
【0038】
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ制御手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー32に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0039】
また、遊技状態移行制御処理は、ボーナスが当選した場合やボーナスが入賞した場合(遊技状態の移行に係る図柄組合せが有効ライン上に表示された場合)等に、遊技状態を移行させる処理であり、遊技状態制御手段47が行う。
【0040】
筐体1の内部には、リールユニット14等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cと、これらリール15a~15cが取り付けられこれらを一体的に支持するリールフレーム(フレーム部材)13と、を有している。また、リールユニット14は、リール15a,15b,15cのそれぞれに対応して設けられた3個のインデックスセンサ16を有している。各インデックスセンサ16は、各リール15a~15cの内側に取り付けられた半円帯状のインデックスのエッジを検知するようになっている。そして、各インデックスセンサ16による検知情報に基づいて、各リール15a~15cの回転に係る制御等が行われる。
【0041】
各インデックスセンサ16は、フォトセンサとなっている。そして、各リール15a~15cは、インデックスがインデックスセンサ16の光を遮る状態と遮らない状態との間で遷移するようになっている。具体的には、インデックスがインデックスセンサ16の光の遮りを開始するオンエッジと、光の遮りを終了する(光を再び通過させる)オフエッジとが、リール15a~15cの一回転の丁度半周毎に現れるようになっている。より具体的には、リール15a~15cでは、例えば、表示窓22中の中段等に定める基準位置に対し、図柄番号0番の図柄が通過し始めるときに光の遮りが開始され、インデックスセンサ16がオフからオンに切換わるオンエッジが検出される。また、図柄番号0番から180度変位した図柄番号10番の図柄が通過し始めるときに光の遮りが終了され、インデックスセンサ16がオンからオフに切換わるオフエッジが検出される。
【0042】
各リール15a~15cは、4相のステッピングモータを備えている。そして、このステッピングモータを1-2相励磁方式で制御することにより各リール15a~15cが回転するようになっている。具体的には、ステッピングモータは、ロータとA相、B相、C相(Aバー相(Aの反転相))、D相(Bバー相(Bの反転相))の4相の巻線(コイル)を有するステータとを備えている。そして、
図4(a)に示すように、1相の巻線をオンにする1相励磁パルスを供給するステップと、1相の巻線および隣接するもう1相の巻線をオンにする2相励磁パルスを供給するステップとを交互に繰返す1-2相励磁により、励磁パルスの1ステップ更新により半ステップ角(2ステップ更新により1ステップ角)ずつ変位させる。また、励磁パルスのステップ更新方向を変更することにより正転と逆転とを可能にしている。また、各ステッピングモータは、1ステップ角が約1.43度、504ステップで一回転する仕様となっている。
なお、
図4に示す丸印は、対応する巻線を励磁させることを示している。
【0043】
リール制御手段43は、スタートレバー32に対する遊技開始操作に基づいてリール15a~15cの回転を加速させる加速処理と、加速処理により加速されたリール15a~15cを定速で回転させる定常回転処理と、ストップボタン33a~33cに対する停止操作に基づいてリール15a~15cの回転を停止させる停止処理とを実行する。また、リール制御手段43は、タイマ割込み毎にリール15a~15cに係る処理を実行する。また、タイマ割込みの周期t(割込時間t)は1.49msに設定されている。
【0044】
(定常回転処理)
リール制御手段43は、加速処理を実行し、リール15a~15cの回転速度が所定速度に達すると、リール15a~15cを定速で回転させる定常回転処理を実行する。具体的には、リール制御手段43は、タイマ割込み毎に1相励磁と2相励磁とを切り換え(
図4(a)参照)、リール15a~15cを定速で回転させる。定常回転処理の実行中は、リール15a~15cは、定速で回転する定常回転状態(定速状態)となる。定常回転状態においては、各リール15a~15cは、1.49ms×504≒751msで一回転し、1分間に約79.9回転する。また、図柄が1コマ移動するのに要する時間は、平均約37.6msとなる。
【0045】
(停止処理)
リール制御手段43は、各ストップボタン33a~33cに対する停止操作が実行されると、対応する各リール15a~15cを停止させる停止処理を実行する。具体的には、リール制御手段43は、ステッピングモータに停止パルスを供給し、各リール15a~15c(ステッピングモータ)を停止させる。本実施形態では、停止パルスとして、
図4(b)の停止シーケンスに示すように、A相、B相、C相、D相の各巻線を所定時間(例えば135割込に相当する201.15ms)全てオンにする全相励磁パルスを用いている。また、各図柄に対するステップ更新は1相励磁で始まり2相励磁で終わり、原則的に全相励磁パルスを供給する直前の励磁パルスは2相励磁となっている。2相励磁の次に全相励磁パルスを供給すると、ステッピングモータのロータは、もう1/2角以上変位して、ステータとの物理的関係が、2相励磁位置よりも安定な1相励磁位置に対応した位置で停止される。慣性により、最大8ステップ更新分程度滑って停止することがあるが、この場合にも、1相励磁位置に対応した位置で停止する。よって、2相励磁の次に全相励磁パルスを供給すると、全体として滑らかで綺麗な停止が行える。また、リール制御手段43は、所定時間の全相励磁による停止パルスの供給後、A相、B相、C相、D相の各巻線を全てオフにする励磁開放を行う。なお、停止パルスは、全相励磁に代え、所定時間の3相励磁や2相励磁としてもよい。
【0046】
(加速処理)
リール制御手段43は、スタートレバー32に対する遊技開始操作を契機としてリール15a~15cの回転を加速させる加速処理を開始する。加速処理の実行中は、リール15a~15cは、回転が加速する加速状態となる。加速処理は、
図5に示すシーケンステーブルを用いて実行される。ここで、加速処理について、
図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
リール制御手段43は、スタートレバー32に対する遊技開始操作が実行されると、記憶手段60のRAMに設けられたシーケンスカウンタ64に「1」を設定し、記憶手段60のRAMに設けられたフェーズ記憶領域65に「17」を設定する。そして、タイマ割込み毎に、
図5のフローチャートに示す処理を実行する。なお、フェーズ記憶領域65の記憶値は、リールの回転に係る処理の現在のフェーズを表すものとなっている。具体的には、フェーズ「3」以上は加速処理を行うフェーズに該当し、フェーズ「2」は定常回転処理を行うフェーズに該当し、フェーズ「1」は停止処理を行うフェーズに該当する。
【0048】
加速処理においては、リール制御手段43は、タイマ割込み毎にシーケンスカウンタ64の記憶値から「1」を減算する(ステップS1)
【0049】
次いで、リール制御手段43は、シーケンスカウンタ64の記憶値が「0」か否か判定する(ステップS2)
【0050】
シーケンスカウンタ64の記憶値が「0」でない場合(ステップS2でNO)、当該タイマ割込みにおける処理を終了する。
【0051】
シーケンスカウンタ64の記憶値が「0」の場合(ステップS2でYES)、リール制御手段43は、シーケンステーブルから値(取得値)を取得し、シーケンスカウンタ64に格納する(ステップS3)。ここで、リール制御手段43は、シーケンステーブルから、現在のフェーズに対応する値を取得するようになっている。換言すると、リール制御手段43は、ステップS3の処理毎に、
図5に示すシーケンステーブルにおける下側の取得値から順に値を取得していくようになっている。
【0052】
次いで、リール制御手段43は、加速処理を終了し定常回転処理に移行するか否か決定する。具体的には、リール制御手段43は、ステップS3で取得した値が「0」か否か判定する(ステップS4)。
【0053】
ステップS3で取得した値が「0」の場合(ステップS4でYES)、加速処理を終了し、定常回転処理を開始することを決定する(ステップS5)。一方、ステップS3で取得した値が「0」でない場合(ステップS4でNO)、加速処理を続行することを決定する。すなわち、ステップS4でYESの場合、次回のタイマ割込みから、タイマ割込み毎に1相励磁と2相励磁とを切り換える処理が実行される。一方、ステップS4でNOの場合、次回のタイマ割込みでも
図5のフローチャートに示す処理が実行される。また、ステップS4でいずれの判定結果となった場合でも、リール制御手段43は、フェーズ記憶領域65の記憶値から「1」を減算する(ステップS6)。
【0054】
また、リール制御手段43は、加速処理中においてフェーズ記憶領域65の記憶値から「1」を減算した場合、換言するとステップS2でYESの場合、励磁パルスパターンを更新する(1相励磁から2相励磁または2相励磁から1相励磁に切り替える)(ステップS7)。
【0055】
すなわち、加速処理においては、
図4(c)に示す加速シーケンスに従って、リール15a~15cを加速させる。具体的には、リール制御手段43は、前回の全相励磁パルスの印加直前の2相励磁パルスパターンから励磁を始め、最初は40割込時間(40t=59.6ms)の長いオン時間の2相励磁を行い、このオン時間を管理するシーケンスカウンタ64から「1」を減算した結果(1割込毎の減算結果)が「0」となった次のステップ更新から35割込時間の1相励磁、以後、6割込時間の2相励磁、1割込時間の1相励磁、3割込時間の2相励磁等と徐々に励磁パルスパターンの更新間隔を短くしていき、100割込時間(1.49×100=149ms)経過後に加速処理を完了させ、定常回転状態に移行させる。
【0056】
全リール15a~15cについて、定常回転状態となった後、インデックスのエッジ(オンエッジまたはオフエッジ)が検出されると、ストップボタン33a~33cに対する停止操作が有効となる。すなわち、スタートレバー32に対する遊技開始操作が実行され、100割込時間(149ms)にわたる加速処理の終了後(リール15a~15cの回転が加速する加速時間の経過後)、インデックスのエッジが検出されると、ストップボタン33a~33cに対する停止操作が有効化される。
【0057】
また、本実施形態では、加速処理が終了し定常回転状態となった後、所定の停止禁止期間(例えば、数十~数百ms)が経過した後に、インデックスのエッジ検出がされるようになっている。換言すると、スタートレバー32に対する遊技開始操作が実行され、100割込時間(149ms)にわたる加速処理が終了し、さらに停止禁止期間が経過した以降にストップボタン33a~33cに対する停止操作が有効化される。また、本実施形態では、停止禁止期間は、約104msに設定されている。したがって、遊技開始操作がされてから、ストップボタン33a~33cに対する停止操作が有効化されるまでには、約253ms(=149ms+104ms)の時間が必要となっている。加速処理の終了後、定常回転状態となった後も、リール15a~15cの回転速度には厳密にはブレが生じるが、このようなブレが大きい状態において停止操作がされると、リールの停止位置がずれてしまうおそれがある。そこで、このようなブレが大きくなる加速処理の終了直後に停止禁止期間を設けることで、リールの停止位置がずれてしまうことを防止できる。ただし、停止禁止期間を設けないこととしてもよい。なお、停止禁止期間は、記憶手段60のRAMに設けられた停止禁止タイマによって計測される。
【0058】
以上のように、本実施形態では、複数種類の識別情報(図柄)の変動表示を行う可変表示手段としてのリール15a~15cについて、可変表示制御手段としてのリール制御手段43(メイン制御基板18(CPU))は、遊技開始操作に基づいて変動表示を開始させ、停止操作に基づいて変動表示を停止させるようになっている。また、加速処理中においては、変動表示は加速表示となり、定常回転処理中においては、変動表示は定速表示となる。
【0059】
なお、励磁方式やステッピングモータの相の数は本実施形態のものに限られない。例えば、本実施形態の加速シーケンスでは、2相励磁パルスパターンから励磁が開始されることとしたが、1相励磁パルスパターン等から励磁が開始されることとしてもよい。励磁方式やステッピングモータの相の数等に合わせてリール15a~15cに係る各構成を適宜読み換えることで、本発明を適用することが可能である。
【0060】
前述のように、ホッパーユニット11に貯蔵されているメダルが所定量を超えると、所定量を超えてホッパーユニット11に送られたメダルは、補助収納庫12へと送られる。また、筐体1内の、補助収納庫12が配置される部分には、オーバーフローセンサ70が設けられており、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えた場合、所定量を超えたこと(ホッパーユニット11、補助収納庫12が満タンになったこと)がオーバーフローセンサ70により検知される。
【0061】
なお、オーバーフローセンサ70は、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えたことを検知可能なものであればよい。例えば、補助収納庫12の底から所定の高さ上の部分に、2つの端子を有するオーバーフローセンサ70を設け、当該2つの端子がメダルによって導通したことに基づいて、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えたことを検知する構成としてもよい。この場合、オーバーフローセンサ70は、例えば、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えた場合に導通状態(第1状態)となり、補助収納庫12内のメダルが所定量以下の場合に非導通状態(第2状態)となる。また、例えば、補助収納庫12の底から所定の高さ上の部分に、オーバーフローセンサ70としてのフォトセンサを設け、当該フォトセンサの光がメダルによって遮られたことに基づいて、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えたことを検知する構成としてもよい。この場合、オーバーフローセンサ70は、例えば、補助収納庫12内のメダルが所定量を超えた場合にフォトセンサの光が遮られた状態(第1状態)となり、補助収納庫12内のメダルが所定量以下の場合にフォトセンサの光が遮られていない状態(第2状態)となる。すなわち、オーバーフローセンサ70は、補助収納庫12に貯蔵されたメダルを検知する検知手段であり、メダルを検知している場合に第1状態となる。なお、以下では、オーバーフローセンサ70の信号状態(オーバーフローセンサ70からメイン制御基板18に入力される信号の状態)について、オーバーフローセンサ70が第2状態のときの信号状態をオフ状態とし、オーバーフローセンサ70が第1状態のときの信号状態をオン状態とする。
【0062】
エラー検出手段48は、オーバーフローセンサ70の状態を監視して、オーバーエラーの検出条件を満たしているかを判断し、エラー検出条件を満たしていることに基づいてオーバーエラーを検出する。オーバーエラーは、補助収納庫12に貯蔵されている余剰メダルが所定量を超えたことに起因するエラーである。具体的には、オーバーフローセンサ70の状態が第1状態(余剰メダルが所定量を超えたこと示す状態)で一定時間以上継続した場合に検出されるエラーである。エラー検出手段48は、オーバーフローセンサ70の状態が第1状態である状況において、記憶手段60のRAMに設けられたオーバーエラー検出タイマ66で計時を行い、オーバーエラー検出タイマ66の計時情報がオーバーフローセンサ70の状態が第1状態のまま一定時間以上経過したことを示すものとなった場合に、オーバーエラーが発生したとみなしてオーバーエラーフラグをセット(設定)する。換言すると、判定手段としてのエラー検出手段48(メイン制御基板18(CPU))は、検知手段としてのオーバーフローセンサ70がメダルを所定時間以上検知した異常状態になったことを判定し、異常状態であることを判定した場合にオーバーエラーフラグをセット(設定)する。なお、オーバーエラーフラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられたオーバーエラーフラグ記憶領域67に記憶される。
【0063】
また、オーバーエラーフラグがセットされている場合、報知手段は、所定のタイミングでオーバーエラーを報知する。ここで、報知手段は、例えば、液晶ディスプレイ、セグメント表示器またはスピーカ27等である。本実施形態では、エラー管理手段49は、リール15~15cが全て停止した以降の所定のタイミングにおいて、オーバーフラグがセットされているか否かを判定し、オーバーフラグがセットされている場合に、報知手段にエラーを報知させる。換言すると、判定手段としてのエラー検出手段48(メイン制御基板18(CPU))が、前記異常状態であることを判定した場合、報知手段は、可変表示手段としてのリール15a~15cの変動表示の停止後に異常であることを報知する。具体的には、エラー管理手段49は、オーバーエラーに対応したエラーコード(発生したエラーの種類を識別可能な情報)を液晶ディスプレイや7セグメント表示器に表示させたり、エラーが発生したことを報知する音をスピーカ27に出力させたりする。
【0064】
オーバーエラーの検出について、まず、エラー検出手段48は、スタートレバー32に対する遊技開始操作がされたことを契機として、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリア(リセット)する。換言すると、エラー検出手段48は、リール制御手段43がリール15a~15cの回転を開始させる際に、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリア(リセット)する。さらに換言すると、リール制御手段43は、エラー検出手段48がオーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリア(リセット)した後に、加速処理を開始する。なお、本実施形態において、オーバーエラー検出タイマ66をクリア(リセット)するとは、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値を「0」にすることに相当し、換言するとオーバーエラー検出タイマ66の記憶値を初期状態に設定することに相当する。また、オーバーエラーフラグをクリア(リセット)するとは、オーバーエラーフラグ記憶領域67の記憶値を「0」にすることに相当し、換言するとオーバーエラーフラグ記憶領域67の記憶値を初期状態に設定することに相当する。また、オーバーエラーフラグをセット(設定)するとは、オーバーエラーフラグ記憶領域67の記憶値を「1」にすることに相当する。
なお、遊技開始操作を契機とするオーバーエラーフラグまたはオーバーエラー検出タイマ66のクリアは行わないこととしてもよい。
【0065】
次いで、エラー検出手段48は、遊技中において、センサ監視処理を行う。詳しくは後述するが、センサ監視処理では、オーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態である場合(余剰メダルが所定量を超えたことがオーバーフローセンサ70に検知されている間)、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値を増加させる。また、オーバーフローセンサ70の信号状態がオフ状態である場合、オーバーエラー検出タイマ66をクリア(リセット)する。そして、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値に達した場合、エラー検出手段48は、オーバーエラーフラグをセットする。
【0066】
次いで、エラー管理手段49は、遊技が開始されてからストップボタン33a~33cが押下され、全てのリール15a~15cが停止すると、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定(確認)する。そして、オーバーエラーフラグがセットされている場合、エラー管理手段49は、報知手段にオーバーエラーを報知させる。
【0067】
具体的には、エラー管理手段49は、全てのリール15a~15cが停止し、小役が入賞となる図柄組合せが有効ライン上に表示された場合、払い出すメダルの枚数が決定され、当該枚数のメダルが払い出された後に、オーバーエラーフラグがセットされているか否かを判定し、オーバーエラーフラグがセットされている場合にはオーバーエラーを報知する。
なお、メダルが払い出される前に、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーを報知することとしてもよい。
【0068】
また、エラー管理手段49は、全てのリール15a~15cが停止し、リプレイが入賞(作動)となる図柄組合せが有効ライン上に表示された場合、リプレイに係る図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを示すフラグが設定され、次遊技について自動投入するメダルの枚数が決定された後に、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーフラグがセットされている場合にはオーバーエラーを報知する。また、リプレイが入賞し、オーバーエラーが報知された場合、実際の自動投入は、オーバーエラーが解除された後に実行される。すなわち、リプレイ制御手段46は、オーバーエラーの報知前に、自動投入するメダルの枚数を決定し、オーバーエラーの報知後に、決定された枚数のメダルを投入状態に設定する。
なお、リプレイが入賞した場合には、オーバーエラーの報知(オーバーエラーフラグがセットされているか否かの判定)を行わないこととしてもよい。この場合、リプレイが入賞となる図柄組合せが有効ライン上に表示された時点においてオーバーエラーフラグがセットされていた場合であっても、次遊技の遊技開始操作に伴いオーバーエラーフラグがリセットされる。したがって、当該次遊技以降においてオーバーエラーフラグが再びセットされない限りオーバーエラーが報知されないこととなる。
【0069】
また、エラー管理手段49は、全てのリール15a~15cが停止し、ボーナスが入賞(作動)となる図柄組合せ(遊技状態が移行となる図柄組合せ)が有効ライン上に表示された場合、当該図柄組合せの表示に基づく遊技状態の移行がされる前に、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーフラグがセットされている場合にはオーバーエラーを報知する。また、遊技状態が移行となる図柄組合せが有効ライン上に表示され、オーバーエラーが報知された場合、遊技状態の移行は、オーバーエラーが解除された後に実行される。すなわち、遊技状態制御手段47は、オーバーエラーの報知後に、所定の図柄組合せの表示に基づく遊技状態の移行を実行する。なお、小役やリプレイが入賞となる図柄組合せが、遊技状態が移行となる図柄組合せを兼ねている場合があってもよい。
なお、所定の図柄組合せの表示に基づく遊技状態の移行がされてから、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーを報知することとしてもよい。
【0070】
以上から、遊技媒体の払い出しを伴う遊技では、例えば、遊技媒体の払い出しが終了したときを1遊技の終了時とし、遊技媒体の払い出しを伴わない遊技では、例えば、全てのリール15a~15cが停止したときを1遊技の終了時とし、リプレイが入賞した遊技では、例えば、全てのリール15a~15cが停止したときを1遊技の終了時とすると、本実施形態では、1遊技が終了した際(終了後)に、オーバーエラーを報知する。
【0071】
なお、本実施形態では、オーバーエラーの報知中は、ブロッカーがオン状態(閉塞状態)となり、メダル投入口34から投入されたメダルはメダル受け皿38に向けて排出される。また、オーバーエラーの報知中(ブロッカーがオン状態の間)は、メダルセンサ36をメダルが通過しないようになっているが、仮にメダルセンサ36を通過しても(例えばブロッカーが閉塞する直前にすり抜けたメダルがメダルセンサ36を通過してしまったとしても)、当該メダルの通過に基づいてメダルがベットされたりクレジットされたりすることは無いようにされている。また、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーフラグがセットされている場合にオーバーエラーを報知する処理は、全てのリール15a~15cが停止した後、次遊技についてのメダルのベットあるいは遊技開始操作が有効となるまでの間に実行される。換言すると、オーバーエラーフラグがセットされているか否か判定し、オーバーエラーフラグがセットされている場合にオーバーエラーを報知する処理は、ブロッカーがオン状態(閉塞状態)となっている状態(メダルの投入を受け付けていない状態)において行われる。
【0072】
ここで、前述のセンサ監視処理について、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。エラー検出手段48は、遊技中において、4回のタイマ割込みにつき1回、センサ監視処理を実行し、オーバーフローセンサ70の状態を確認する。そして、オーバーフローセンサ70の状態に応じて、オーバーエラー検出タイマ66およびオーバーエラーフラグを更新する。
【0073】
本実施形態では、リール15a~15cの加速中(加速処理の実行中)およびリール15a~15cの定速での回転中(定常回転処理の実行中)は、タイマ割込みが発生し、センサ監視処理が実行される。また、ストップボタン33a~33cが操作され、リール15a~15cが停止するまでの間などの、定常回転処理の実行中からオーバーエラーの報知がされるまでの間(全てのリール15a~15cが停止してオーバーエラーフラグがセットされているかが確認(判定)されるまでの間)も、タイマ割込みが発生し、センサ監視処理が実行される。また、投入受付手段40がメダルの投入を受け付けている期間等においても、タイマ割込みが発生し、センサ監視処理が実行される。
【0074】
センサ監視処理においては、エラー検出手段48は、まず、オーバーフローセンサ70の信号状態がオフ状態であるか否か判定する(ステップS11)。
【0075】
オーバーフローセンサ70の信号状態がオフ状態の場合(ステップS11でYES)、エラー検出手段48は、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値を「0」にし(ステップS12)、センサ監視処理を終了する。
【0076】
一方、オーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態の場合(ステップS11でNO)、エラー検出手段48は、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値に「1」を加算する(ステップS13)。
【0077】
次いで、エラー検出手段48は、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値「18」に達したか否かを判定する(ステップS14)。
【0078】
オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値「18」に達した場合(ステップS14でYES)、エラー検出手段48は、オーバーエラーフラグをセットする(ステップS15)。
【0079】
一方、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値「18」に達していない場合(ステップS14でNO)、換言すると、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値が「17」以下の場合、オーバーエラーフラグをセットせずにセンサ監視処理を終了する。
【0080】
すなわち、本実施形態では、18回のセンサ監視処理において連続してオーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態であると判定されると、オーバーエラーフラグがセットされる。前述のように、センサ監視処理は、4回のタイマ割込みにつき1回実行されるため、101.32ms(=(18-1)×1.49ms×4)以上の期間、オーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態であった場合に、オーバーエラーフラグがセットされる。
【0081】
なお、本実施形態では、スタートレバー32に対する遊技開始操作がされてから、リール15a~15cが回転を開始するまでの間における所定期間等の一部の期間は、タイマ割込みの発生が禁止され、センサ監視処理が実行されないようになっている。ただし、タイマ割込みの発生が禁止されている当該一部の期間はそれぞれ、割込時間t(1.49ms)に比べて短くなっている。したがって、本実施形態では、遊技の実行中および遊技が終了してから次の遊技が開始されるまでのいずれの期間においても、多少のブレはあるもののほぼ5.96ms(=1.49ms×4)毎にセンサ監視処理が実行されるようになっている。
【0082】
以上のように、本実施形態では、遊技開始操作がされると、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66がクリアされる。また、オーバーエラー検出タイマ66がクリアされた後、所定時間(101.32ms以上)オーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態であった場合に、オーバーエラーフラグがセットされる。そして、オーバーエラーフラグがセットされた場合、全てのリール15a~15cが停止され、払出処理等が実行された後に、オーバーエラーが報知される。
【0083】
ここで、本実施形態では、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値に達するまでの時間、すなわちオーバーエラーの検出に要する所定時間(101.32ms)が、1回の遊技に要する最短時間よりも短く設定されている。具体的には、本実施形態では、加速処理(加速表示)を経てリール15a~15cが定常回転状態(定速表示)となり停止操作が有効となった瞬間に停止操作がされ、全てのリール15a~15cが即時に停止した場合に遊技が最短で終了となる。換言すると、各遊技には、加速処理に要する時間(定速表示となるまでの時間)(149ms)以上の時間が必要となる。さらに換言すると、遊技開始操作がされてから全てのリール15a~15cが停止するまでには、加速処理に要する時間(定速表示となるまでの時間)(149ms)以上の時間が必要となる。これに対し、本実施形態では、オーバーエラーの検出に要する所定時間(101.32ms)を、加速処理に要する時間以下としており、これにより、オーバーエラーの検出に要する時間を1回の遊技に要する最短時間よりも短くしている。
【0084】
なお、オーバーエラーの検出に要する所定時間(101.32ms)を、加速処理に要する時間と停止禁止期間との合計時間以下とし、これにより、オーバーエラーの検出に要する時間を1回の遊技に要する最短時間よりも短くしてもよい。また、ストップボタン33a~33cのいずれかが操作されてから、所定期間(インターバル期間)が経過するまで、次のストップボタン33a~33cに対する停止操作を無効とする構成も考えられるが、このような構成の場合、加速処理に要する時間と2つのインターバル期間(最初の停止操作と2回目の停止操作との間のインターバル期間および2回目の停止操作と3回目の停止操作との間のインターバル期間)との合計時間以下(あるいはさらに停止禁止期間を足した合計時間以下)とし、これにより、オーバーエラーの検出に要する時間を1回の遊技に要する最短時間よりも短くしてもよい。ただし、オーバーエラー検出タイマ66のしきい値は、「255」以下に設定することが好ましい。換言すると、オーバーエラーの検出に要する時間は、約1.5s(≒(255-1)×1.49ms×4)以下に設定することが好ましい。このようにすることで、オーバーエラー検出タイマ66を1バイト以下の記憶領域とすることができ、処理を簡易化できる。
【0085】
また、定常回転状態(定速表示)が開始されてから遊技が終了するまでの最短時間(定常回転状態が開始されてから全てのリール15a~15cが停止するまでの最短時間:1回の遊技に要する最短時間から加速処理に要する時間を引いた時間)を「最短定速時間」とし、加速状態(加速表示)が開始されてから終了するまでの時間(加速処理に要する時間:遊技開始操作がされてから定常回転状態(定速表示)となるまでの時間)を「加速時間」とすると、最短定速時間は加速時間よりも長く、加速時間はオーバーエラーの検出に要する所定時間よりも長いこととしてもよい。すなわち、「最短定速時間」>「加速時間」>「オーバーエラーの検出に要する所定時間」としてもよい。また、加速時間は最短定速時間よりも長く、最短定速時間はオーバーエラーの検出に要する所定時間よりも長いこととすることが考えられる。すなわち、「加速時間」>「最短定速時間」>「オーバーエラーの検出に要する所定時間」とすることが考えられる。また、加速時間はオーバーエラーの検出に要する所定時間よりも長く、オーバーエラーの検出に要する所定時間は最短定速時間よりも長いこととすることが考えられる。すなわち、「加速時間」>「オーバーエラーの検出に要する所定時間」>「最短定速時間」とすることが考えられる。
【0086】
なお、オーバーエラー検出タイマ66のしきい値は「2」以上に設定することが好ましい。換言すると、オーバーエラーの検出には、最低でも2回のセンサ監視処理で連続してオーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態であることを必要とすることが好ましい。このようにすることで、一瞬メダルが通過した場合やノイズが発生した場合等に、オーバーエラーが誤検出されてしまうことを防止できる。秒数でいえば、オーバーエラーの検出に要する時間を5ms以上とすることが好ましい。また、さらに好ましくは、その遊技機において使用されるメダルの直径分の自由落下に要する時間以上とするとよい。すなわち、重力加速度をg、落下距離をh、落下時間をTとすると、T=(2h/g)^0.5の式が成り立つが、オーバーエラーの検出に要する時間を、当該式のhにメダルの直径を代入した場合の落下時間T以上とするとよい。具体的には、スロットマシンでは一般にφ25(直径約25mm)またはφ30(直径約30mm)のメダルが使用されるが、φ25のメダルが使用される遊技機については71ms以上、φ30のメダルが使用される遊技機については78ms以上とするとよい。このようにすることで、補助収納庫12に落下してくるメダルが、その直径方向全体にわたりオーバーフローセンサ70に検知されてしまった場合であってもオーバーエラーが誤検出されてしまうことを防止できる。
【0087】
以上のように、本実施形態では、メダルの投入を受け付けている間(ブロッカーがオフ状態のとき)は、オーバーエラーの報知を行わない。また、エラー検出手段48は、リール15a~15cの回転が開始される際に、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリアする。また、エラー検出手段48は、遊技中においてオーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態の場合、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値を徐々に増加させ、オーバーフローセンサ70の信号状態がオフ状態の場合、オーバーエラー検出タイマ66をクリアする。そして、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値に達した場合、エラー検出手段48は、オーバーエラーフラグをセットする。ただし、この時点ではオーバーエラーの報知を行わない。そして、遊技が終了する際にオーバーエラーフラグがセットされていた場合、報知手段はオーバーエラーを報知する。
【0088】
複数種類の識別情報の変動表示を行う可変表示手段(リール15a~15c)と、前記可変表示手段の変動表示を始動させた後、前記可変表示手段の変動表示を停止させる可変表示制御手段(リール制御手段43)と、遊技媒体を貯蔵する貯蔵手段(補助収納庫12)と、前記貯蔵手段(補助収納庫12)に貯蔵された遊技媒体(メダル)を検知する検知手段(オーバーフローセンサ70)と、前記検知手段が遊技媒体を所定時間以上検知した異常状態になったことを判定する判定手段(エラー検出手段48)と、前記判定手段が前記異常状態であることを判定した場合は、変動表示の停止後に異常であることを報知する報知手段と、を備える遊技機であって、前記所定時間は、変動表示の始動から変動表示の停止までの最短時間よりも短い。
このような構成によれば、オーバーフローセンサ70が所定期間以上第1状態となっている場合、すなわち、補助収納庫12に貯蔵された遊技媒体が所定量を超えた状態が所定期間以上続いた場合にオーバーエラーフラグが設定されオーバーエラーが報知されるので、ノイズや一時的なメダルの接触等によりセンサが瞬間的(一時的)に第1状態となったことに基づいてオーバーエラーが報知されてしまうことを防止できる。すなわち、誤検知等に基づいてオーバーエラーが報知されることを防止できる。一方で、オーバーエラーの検出に要する時間は、1回の遊技にかかる最短時間よりも短いので、遊技が最短時間で終了した場合であっても、1回の遊技内においてオーバーエラーを検出し報知することができる。ある遊技において、貯蔵された遊技媒体が所定量を超えた状態となった場合、基本的にその遊技においてオーバーエラーを報知した方が、エラーの発生原因とエラーの報知との因果関係が掴みやすく、遊技者に違和感を抱かせることなく報知が行えるところ、本構成によれば最短で遊技が終了した場合であっても、確実に1回の遊技内においてオーバーエラーを検出し報知することができ、遊技者に違和感を抱かせることのない適切なエラー報知が行える。
また、本実施形態では、スタートレバー32に対する遊技開始操作がされたことを契機として、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリアするので、オーバーエラーの検出に要する時間を、1回の遊技にかかる最短時間よりも長くしてしまうと、オーバーエラーの報知が永遠に(複数の遊技にわたり)行われないおそれがあるが、本構成によれば、これを防止できる。
また、このような構成によれば、複数のリール15a~15c全てが停止した以降、すなわち遊技の終了時にオーバーエラーが報知される。メダルの投入が可能な状態においてオーバーエラーを報知することとすると、メダルが投入されている最中にオーバーエラーを報知する処理が開始されてしまい、ブロッカーの閉塞タイミングによっては投入されたメダルが検知されない(ベットやクレジットがされない)にもかかわらずメダルが飲み込まれてしまう(遊技機内部に取り込まれてしまう)おそれがある。しかし、本構成によれば、複数のリール15a~15c全てが停止した以降のメダルの投入が無効な(ブロッカーが閉塞している)所定のタイミングでオーバーエラーの報知がされるので、メダルが飲み込まれてしまうことを防止できる。
【0089】
前記可変表示制御手段は、変動表示を加速表示させた後に定速表示させるものであり、オーバーエラーの検出に要する所定時間は、変動表示の始動から変動表示の定速表示に到達するまでの時間よりも短い。
スロットマシンにおいては、通常、定速表示に到達するまでは停止操作によって変動表示を停止させることができないようになっている。すなわち、定速表示に到達するまでは遊技を終了させることができないようにされている。一方で、スロットマシンには、全ての停止操作をほぼ同時に行えるスロットマシンや、前の停止操作(例えば、1個目のリールを停止させる操作)がされてから所定期間(インターバル期間)が経過するまで、次の停止操作(例えば、2個目のリールを停止させる操作)が無効となるスロットマシン等が存在する。本構成によれば、オーバーエラーの検出に要する時間は、変動表示の始動から変動表示の定速表示に到達するまでの時間よりも短いので、どのようなスロットマシンであったとしても、遊技が最短時間で終了した場合であっても、1回の遊技内においてオーバーエラーを検出し報知することができる。したがって、どのようなスロットマシンでもオーバーエラーを適切に報知できる。また、機種毎に遊技が終了する最短時間を算出し、オーバーエラーの検出にかかる時間を決定する必要がなくなるので、遊技機の設計を画一的に行うことが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、メダルの投入を受け付けている間はオーバーエラーの報知が行われないようになっているとともに、エラー検出手段48は、スタートレバー32に対する遊技開始操作がされたことを契機として、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66をクリアする。
ここで、遊技が開始される際には、メダルが投入され(ホッパーユニット11内のメダルが増加し)、ホッパーユニット11から補助収納庫12にメダルが落下してくることなどから、オーバーフローセンサ70の信号状態が意図せずオン状態となる可能性が高く、オーバーエラーフラグが誤ってセットされてしまうおそれがある。例えば、複数のメダルが連なって落下してきた場合には、オーバーフローセンサ70が当該複数のメダルを検知し、オーバーエラー検出タイマ66の記憶値がしきい値「18」に達するまでの間、オーバーフローセンサ70の信号状態がオン状態となってしまうことも考えられる。しかし、本実施形態によれば、メダルの投入を受け付けている間はオーバーエラーの報知が行われず、遊技開始操作を契機として、オーバーエラーフラグおよびオーバーエラー検出タイマ66がクリアされるので、このような誤検出に基づくオーバーエラーの報知を防止できる。
【0091】
なお、本実施形態では、貯蔵された遊技媒体が所定量を超えたか否かが検出される貯蔵手段は、補助収納庫12であるものとしたが、当該貯蔵手段は、ホッパーユニット11であってもよく、ホッパーユニット11に対して遊技媒体を供給する貯蔵手段等であってもよい。すなわち、貯蔵手段は、遊技媒体を貯蔵する部分であって、貯蔵された遊技媒体が所定量を超えたか否かがセンサおよびエラー検出手段48等によって監視される部分であればよい。
【0092】
図7Aは、本実施形態の遊技機を正面から見た図である。また、
図7B、
図7C、
図7Dは、
図7Aに示すS-S線における断面図である。S-S線の位置は、遊技機の右端(筐体1の右側面)から、所定の寸法(例えばメダルの直径程度に相当する寸法)だけ左側に移動(オフセット)した位置となっている。
前扉20は、筐体1の左側に設けられたヒンジを介して筐体1に回動可能(開閉可能)に連結されており、筐体1の開口部(前面開口部)を開閉するようになっている。詳細は後述するが、
図7Bは前扉20が「第1状態」である場合を示しており、
図7Cは前扉20が「第2状態」である場合を示し、
図7Dは前扉20が「第3状態」である場合を示している。
【0093】
図7Bに示すように、前扉20の背面における、回転軸側とは反対側となる位置(前扉20の背面に正対した場合における左側)には、後方に向かって突出するように形成された被支持部81(凸部)が設けられている。本実施形態では、被支持部81の先端にローラー部が設けられている。また、筐体1の内部を正面から見た場合における右側であって、前扉20を閉じた際の被支持部81に対応する位置には、支持部82が形成されている。支持部82は、被支持部81を下方から支持可能に形成されている。
【0094】
本実施形態では、支持部82は、板状に形成されており、上下方向と垂直または略垂直となる板面を有するように配置されている。支持部82は、例えば、筐体1の右側板の内面にねじ締め等により固定されている。前扉20を開いた状態(開放状態)から閉じた状態(閉鎖状態)へと移動させる際に、まず、被支持部81のローラー部が支持部82の手前側(前方側)に接触(当接)し、次に、被支持部81のローラー部が支持部82の上に載り(乗り上げ)、次に、ローラー部が支持部82の上を後方側へ進み、所定の位置で停止する。
【0095】
前扉20の状態(位置)には、第1状態と、第2状態と、第3状態とが含まれる。
(第1状態)
図7Bに示すように、第1状態は、前扉20が閉じており(閉鎖状態であり)、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82によって支持されている状態である。本実施形態では、被支持部81が支持部82に荷重を加えている(載荷している)状態である。支持部82が被支持部81を上方に持ち上げているとも言える。
【0096】
(第2状態)
図7Cに示すように、第2状態は、前扉20が開いており(開放状態であり)、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82に当接(接触)していない状態(離間している状態)である。また、
図7Cでは、前扉20の開放角度は、10度以下となっている。前扉20の開放角度とは、例えば、筐体1の前面と前扉20の背面とがなす角度とする。
【0097】
(第3状態)
図7Dに示すように、第3状態は、前扉20が開いており、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82に当接(接触)している状態である。第3状態は、被支持部81が支持部82に当接しているが、被支持部81が支持部82によって支持されておらず、前扉20が完全に閉まらずに開いている状態(半開放状態:少しだけ開放している状態)とも言える。なお、第3状態は、支持部82の先端部(だけ)が被支持部81を支持している状態であってもよい(被支持部81が支持部82の先端部(だけ)によって支持されている状態であってもよい)。また、第3状態は、第2状態よりも前扉20の開放角度が小さい状態とも言える。
【0098】
遊技機(筐体1)の底面4b(底板4の下面)は、相手部材(島設備等)と接触する面(設置面)となる。よって、底面4bを、筐体1の載置面Zとする。筐体1の載置面Zは、設置台(台)の上面と面一となっている。設置台は後方側から手前側へ延びるように形成されており、受皿38の下方にも位置(存在)している。以下、筐体1の載置面Zという場合、載置面Zと面一となっている面全体(設置台の上面を含む)を指すものとしてもよい。なお、受皿38の例えば左側の台の上のスペースに、遊技者は飲料等を置くことができる。
【0099】
前扉20(受皿38)の下端(下面)は、筐体1の底面4b(載置面Z)よりも上方に位置している。
図7Bに示すように、第1状態(閉鎖状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y1から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1となっている(第1寸法L1となるように設計されている)。第1寸法L1は、約3~5mm程度となっている。
【0100】
また、
図7Cに示すように、第2状態(開放状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y2から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1よりも小さい第2寸法L2となっている(第2寸法L2となるように設計されている)。第2寸法L2は、約2~3mm程度となっている。
【0101】
また、
図7Dに示すように、第3状態(半開放状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y3から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1よりも小さい第3寸法L3となっている(第3寸法L3となるように設計されている)。第3寸法L3は、約2~3mm程度となっている。
【0102】
第1寸法L1~第3寸法L3は、前扉20(受皿38)の下端(下面)と筐体1の底面4b(載置面Z)との上下方向の距離(差)とも言える。本実施形態では、受皿38の下面は、前後方向において、後方から前方に向かうほど上方に傾斜する面となっている。よって、第1寸法L1~第3寸法L3は、受皿38の下面の後端(最下端)と、筐体1の底面4b(載置面Z)との上下方向の距離となっている。なお、筐体1の底板4の厚さは、約15mm程度となっている。
【0103】
図8に示すように、遊技メダルMの直径を寸法L4とする。また、メダルMの厚さを寸法L5とする。本実施形態に係る遊技機で遊技に使用されるメダルMは、寸法L4がφ25(直径約25mm)となっており、寸法L5が約1.6mmとなっている。ただし、メダルMは、寸法L4がφ30(直径約30mm)となっており、寸法L5が約1.7mmとなっているものであってもよい。また、遊技球Bの直径を寸法L6とする。寸法L6は約11mmである。
【0104】
図7Bで示した第1寸法L1は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。また、
図7Cで示した第2寸法L2は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。また、
図7Dで示した第3寸法L3は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
【0105】
上述のとおり、前扉20を閉じた状態(第1状態)では被支持部81が下方から支持されるようになっている。一方、前扉20を開いた状態(第2状態および第3状態)では被支持部81の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。したがって、下方からの支持を失った開放状態の前扉20は、自重によって僅かに下(下方)に下がった状態となる。換言すると、下端Y2(第2状態)および下端Y3(第3状態)は、下端Y1(第1状態)よりも下方に位置し、第2寸法L2および第3寸法L3は、第1寸法L1よりも小さくなっている。さらに換言すると、閉鎖状態よりも開放状態の方が、前扉20(受皿38)の下端が、台の上面(筐体1の載置面Z)に接近するようになっている。
【0106】
(メダルMの厚さとの関係)
本実施形態の遊技機を載置面Zに載置した場合において、前扉20をいずれの状態とした場合であっても、前扉20(受皿38)の下端と載置面Zとの間に、メダルMの厚さよりも大きい隙間(第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3)が形成される。換言すると、第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さ(寸法L5)よりも大きくなっている。このため、仮に、前扉20(受皿38)の下側と、受皿38の下方に存在する台との間にメダルMが入り込んでしまった(メダルMが隠れてしまった)状態で、前扉20を開閉した場合であっても、前扉20(受皿38)の下端とメダルMとが接触することはない。換言すると、受皿38と台との隙間に隠れたメダルMが、前扉20の開閉を妨げることがない。このため、台の上面(載置面Z)にメダルMが存在する場合であっても、前扉20をスムーズに開閉できる。また、仮に前扉20を開いた際に前扉20の下端がメダルMに接触する場合、メダルMが押し出されて台の上から落ち、メダルMを探す等の手間が生じるが、本実施形態によれば、そのような手間が生じるのを防止できる。
【0107】
また、本実施形態によれば、筐体1の載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉20が第2状態(開放状態)から第1状態(閉鎖状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない(防止されない、妨げられない)。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するために前扉20を開放することがあるが、開放した前扉20を閉じる際に、筐体1の載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉20に接触することなく前扉20を閉じることができる。これにより、前扉20と筐体1(筐体1の前面)との隙間にメダルMが挟まって前扉20を閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みによる衝撃によって前扉20が破損するという事態を回避できる。
【0108】
また、筐体1の載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉20が第1状態(閉鎖状態)から第2状態(開放状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するため、閉じていた前扉20を開放する際に、筐体1の載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉20に接触することなく前扉20を開放することができる。これにより、前扉20と載置面Z(台の上面)との隙間にメダルMが挟まってしまい前扉20を開放することができないという事態や、メダルMが挟まった状態で強引に前扉20を開放することによって前扉20が破損するという事態を回避することができる。
【0109】
(遊技球Bとの関係)
例えば、スロットマシンとパチンコ遊技機とが近くに設置されている場合等であって、前扉20(受皿38)の付近に遊技球Bが存在している場合を考える。前扉20を閉じた状態(第1状態)において、遊技球Bが前扉20(受皿38)の下に転がり込んだ場合であっても、第1寸法L1が遊技球Bの直径L6よりも小さくなっているため、遊技球Bは受皿38の下の奥側(後方側)まで入り込まない。受皿38の下面は、手前ほど上方に向かうように傾斜しているが、遊技球Bは前扉20(受皿38)の下端に到達する前に、その傾斜面に当接(接触)して停止する。そして、その状態で前扉20が開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて台の上から落下する。また、このように遊技球Bは落下するため、開いた前扉20を閉じる際の妨げとならない。なお、前扉20が第2状態や第3状態となっている場合に、遊技球Bが前扉20(受皿38)の下に転がり込んだ場合にも同様のことが言える。すなわち、遊技球Bは前扉20(受皿38)の下端に到達する前に傾斜面に接触して停止し、その状態で前扉20が開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて落下する。そして、遊技球Bは落下するため、開いた前扉20を閉じる際の妨げとならない。
【0110】
なお、前扉20(受皿38)の下端と、載置面Zとの隙間(第1寸法L1~第3寸法L3)は、遊技球Bの直径L6(約11mm)よりも小さいものとしたが、メダルMの2枚分の厚さ(メダルMを2枚重ねた状態の厚さ)以下となっていることがより好ましい。メダルMの2枚分の厚さは、約3.2mm程度である。その場合、受皿38の下に遊技球Bが入り込むのをより確実に防ぐことができる。
【0111】
また、本実施形態では、第1寸法L1は、第3寸法L3よりも大きく、第3寸法L3は、第2寸法L2よりも大きく、第2寸法L2は、寸法L5(メダルMの厚さ)よりも大きくなっている。換言すると、以下の関係となっている。
L1>L3>L2>L5
なお、第3寸法L3は第2寸法L2以上であってもよい(L3≧L2)。また、第3寸法L3は、第2寸法L2と略同一であってもよい(L3≒L2)。略同一とは、例えば両者の差が1mm以内であることをいう。
【0112】
図7Dに示す状態(第3状態)において、前扉20の右辺(右端)から筐体1の右辺(右端)までの隙間(前扉20の右辺と筐体1の右辺との間の距離(最小距離)の寸法)を第4寸法L7とする。第4寸法L7は、第3状態での前扉20の右端部の開放寸法としてもよい。なお、
図7Dにおいて第4寸法L7を示したが、
図7Dは
図7Aに示すS-S線の断面図であり、厳密には前扉20の右端と筐体1の右端との間の距離(寸法)を指しているものではない。第4寸法L7は、約33mmとなっている。この第4寸法L7は、メダルMの直径寸法L4よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)(L7>L4)。
【0113】
なお、本実施形態では、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さL5よりも大きくなるように設計されているものとしたが、部品寸法の精度(バラつき)、ヒンジ29(
図2参照)の品質(耐久力)低下、組み付け誤差等に起因し、第2寸法L2や第3寸法L3がメダルMの厚さL5以下(未満)となる場合があってもよい。その場合であっても、前扉20が第3状態(
図7D)から第1状態(
図7B)に移動する過程で、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82の上に載る(乗り上げる)ようにして支持され(被支持部81が支持部82に載荷するように支持され)、前扉20の下端と載置面Z(底面4b)との間にメダルMの厚さ分の寸法が確保される。したがって、前扉20を閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みにより前扉20が破損するという事態を回避できる。
【0114】
本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉と、を備え、
前記前扉の状態には、第1状態と第2状態とが含まれ、
前記第1状態は、前記前扉が閉鎖された状態であり、
前記第2状態は、前記前扉が開放された状態であり、
前記第1状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第1寸法とし、
前記第2状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第2寸法とすると、
前記第2寸法は、前記第1寸法よりも小さく、遊技メダルの厚さよりも大きい。
【0115】
このような構成によれば、前扉が前記第2状態(開放状態)の場合における前記第2寸法が、前扉が前記第1状態(閉鎖状態)の場合における前記第1寸法よりも小さいが、その場合であっても、前記第2寸法は、遊技メダルの厚さよりは大きくなっている。このため、筐体の載置面に遊技メダルが存在している状態で、前扉を開閉させた場合であっても、前扉の下端が当該遊技メダルに接触することがない。よって、前扉の開閉をスムーズに行うことができる。また、当該遊技メダルの存在によって、前扉を開閉できないという問題や、当該遊技メダルを挟み込むことにより部品が破損するという問題が生じるのを防ぐことができる。換言すると、前扉を開閉する際に部品が故障する可能性を低減できる。また、第2寸法が第1寸法よりも小さく、前扉を開放した状態における、前扉の下端と前記筐体の載置面との間の隙間が、前扉を閉鎖した状態における当該隙間よりも狭くなっている。このため、前扉が開放している状態では、当該隙間を介して部材等を差し込むことがより困難となる。したがって、不正行為を抑制できる。換言すると、不正対策性能を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態の遊技機において、
前記前扉の状態には、さらに第3状態が含まれ、
前記第3状態は、前記前扉が開放された状態であって、前記前扉の開放角度が前記第2状態よりも小さい状態であり、
前記第3状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第3寸法とすると、
前記第3寸法は、前記第1寸法よりも小さく、遊技メダルの厚さよりも大きい。
【0117】
前扉が前記第3状態(半開放状態)の場合における前記第3寸法が、前扉が前記第1状態(閉鎖状態)の場合における前記第1寸法よりも小さいが、その場合であっても、前記第3寸法は、遊技メダルの厚さよりは大きくなっている。これにより、当該遊技メダルの存在によって、前扉を開閉できないという問題や、当該遊技メダルを挟み込むことにより部品が破損するという問題が生じるのを防ぐことができる。換言すると、前扉の開閉をスムーズに行うことができるとともに、前扉を開閉する際に部品が故障する可能性を低減できる。
【0118】
また、本実施形態の遊技機において、
前記第1寸法、前記第2寸法および前記第3寸法は、遊技球の直径よりも小さくなっている。
【0119】
第1寸法、第2寸法、および第3寸法が遊技球の直径よりも小さくなっているため、前扉の下方において、遊技球が、前扉の下端に到達する位置まで入り込むのを防ぐことができる。また、前扉の下端よりも手前側で遊技球が停止している状態で前扉を開放すると、遊技球は手前側へと押し出されて載置面から落下する。このため、当該遊技球が、次に前扉を閉じる際の妨げとなるのを防止できる。
【符号の説明】
【0120】
12 補助収納庫(貯蔵手段)
15a,15b,15c リール(可変表示手段)
32 スタートレバー
33a,33b,33c ストップボタン
43 リール制御手段(可変表示制御手段)
48 エラー検出手段(判定手段)
49 エラー管理手段
70 オーバーフローセンサ(検知手段)
64 シーケンスカウンタ
65 フェーズ記憶領域
66 オーバーエラー検出タイマ
67 オーバーエラーフラグ記憶領域