(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097268
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】複数の作業機械を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220623BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220623BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220623BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/26 B
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210749
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】門野 裕一
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5H301
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AB04
2D003AC02
2D003BA03
2D003BA04
2D003BB09
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
5H301AA03
5H301BB03
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK02
5H301KK08
(57)【要約】
【課題】複数の作業機械による効率的な掘削を実現する。
【解決手段】コントローラは、作業エリアの位置を示すエリアデータを取得する。コントローラは、第1作業機械による掘削のための第1作業パスを決定する。第1作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。コントローラは、第2作業機械による掘削のための第2作業パスを決定する。第2作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。第2作業パスは、作業方向に交差する横方向に第1作業パスから間隔をおいて配置される。コントローラは、上記の間隔が狭まるように、次の第1作業パスと次の第2作業パスとを決定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1作業機械と第2作業機械とを含む複数の作業機械を制御するためのシステムであって、
前記複数の作業機械と無線により通信を行う通信装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
作業エリアの位置を示すエリアデータを取得し、
前記第1作業機械による掘削のための第1作業パスを決定し、前記第1作業パスは、前記作業エリアにおいて所定の作業方向に延びており、
前記第2作業機械による掘削のための第2作業パスを決定し、前記第2作業パスは、前記作業エリアにおいて前記作業方向に延びており、前記作業方向に交差する横方向に前記第1作業パスから間隔をおいて配置され、
前記間隔が狭まるように、次の前記第1作業パスと次の前記第2作業パスとを決定する、
システム。
【請求項2】
前記エリアデータは、前記横方向における前記作業エリアの第1端の位置を含み、
前記コントローラは、前記作業エリアにおいて、前記第1端から前記第1作業パスを決定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エリアデータは、前記作業エリアにおいて前記横方向において前記第1端の反対に位置する第2端の位置を含み、
前記コントローラは、前記作業エリアにおいて、前記第2端から前記第2作業パスを決定する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記間隔が所定の閾値以下であるかを判定し、
前記間隔が所定の閾値以下であると判定したときには、前記第1作業機械を前記第2作業機械から離れる方向に移動させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1作業機械は、ブレードを含み、
前記コントローラは、
前回の前記第1作業パスと次の前記第1作業パスとの間に掘削壁が形成されるように、前記第1作業パスを決定し、
前記間隔が所定の閾値以下であると判定したときには、前記掘削壁を掘削するように、前記第1作業機械を移動させる、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1作業機械と前記第2作業機械との間の前記横方向における距離が所定の閾値以下であるかを判定し、
前記距離が所定の閾値以下であると判定したときには、前記第1作業機械を前記第2作業機械から離れる方向に移動させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1作業機械は、ブレードを含み、
前記コントローラは、
前回の前記第1作業パスと次の前記第1作業パスとの間に掘削壁が形成されるように、前記第1作業パスを決定し、
前記距離が所定の閾値以下であると判定したときには、前記掘削壁を掘削するように、前記第1作業機械を移動させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第1作業機械と第2作業機械とを含む複数の作業機械を制御するための方法であって、
作業エリアの位置を示すエリアデータを取得し、
前記第1作業機械による掘削のための第1作業パスを決定し、前記第1作業パスは、前記作業エリアにおいて所定の作業方向に延びており、
前記第2作業機械による掘削のための第2作業パスを決定し、前記第2作業パスは、前記作業エリアにおいて前記作業方向に延びており、前記作業方向に交差する横方向に前記第1作業パスから間隔をおいて配置され、
前記間隔が狭まるように、次の前記第1作業パスと次の前記第2作業パスとを決定する、
方法。
【請求項9】
前記エリアデータは、前記横方向における前記作業エリアの第1端の位置を含み、
前記作業エリアにおいて、前記第1端から前記第1作業パスを決定することをさらに備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エリアデータは、前記作業エリアにおいて前記横方向において前記第1端の反対に位置する第2端の位置を含み、
前記作業エリアにおいて、前記第2端から前記第2作業パスを決定する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記間隔が所定の閾値以下であるかを判定し、
前記間隔が所定の閾値以下であると判定したときには、前記第1作業機械を前記第2作業機械から離れる方向に移動させる、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1作業機械は、ブレードを含み、
前回の前記第1作業パスと次の前記第1作業パスとの間に掘削壁が形成されるように、前記第1作業パスを決定し、
前記間隔が所定の閾値以下であると判定したときには、前記掘削壁を掘削するように、前記第1作業機械を移動させる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1作業機械と前記第2作業機械との間の前記横方向における距離が所定の閾値以下であるかを判定し、
前記距離が所定の閾値以下であると判定したときには、前記第1作業機械を前記第2作業機械から離れる方向に移動させる、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1作業機械は、ブレードを含み、
前回の前記第1作業パスと次の前記第1作業パスとの間に掘削壁が形成されるように、前記第1作業パスを決定し、
前記距離が所定の閾値以下であると判定したときには、前記掘削壁を掘削するように、前記第1作業機械を移動させる、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業機械を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械を自動的に制御する技術が、従来、知られている。例えば、特許文献1では、コントローラは、1台の作業機械に、1つの作業エリアを割り当てる。コントローラは、作業エリアにおいて、作業機械の掘削のための複数の作業パスを決定する。複数の作業パスは、それぞれ所定の作業方向に延びており、横方向に並んでいる。作業機械は、割り当てられた作業エリアにおいて、複数の作業パスを往復しながら、掘削を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、1つの作業エリアでは1台の作業機械のみが掘削を行っている。しかし、1つの作業エリアにおいて効率よく掘削を行うために、複数台の作業機械で掘削を行うことが考えられる。その場合、より効率的な掘削を実現するためは、各作業機械に対して適切な作業パスを設定することが好ましい。本開示の目的は、複数の作業機械による効率的な掘削を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るシステムは、複数の作業機械を制御するためのシステムである。複数の作業機械は、第1作業機械と第2作業機械とを含む。本態様に係るシステムは、通信装置とコントローラとを備える。通信装置は、複数の作業機械と無線により通信を行う。コントローラは、以下の処理を実行するようにプラグラムされている。コントローラは、作業エリアの位置を示すエリアデータを取得する。コントローラは、第1作業機械による掘削のための第1作業パスを決定する。第1作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。コントローラは、第2作業機械による掘削のための第2作業パスを決定する。第2作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。第2作業パスは、作業方向に交差する横方向に第1作業パスから間隔をおいて配置される。コントローラは、上記の間隔が狭まるように、次の第1作業パスと次の第2作業パスとを決定する。
【0006】
本開示の他の態様に係る方法は、複数の作業機械を制御するための方法である。複数の作業機械は、第1作業機械と第2作業機械とを含む。本態様に係る方法は、作業エリアの位置を示すエリアデータを取得することと、第1作業機械による掘削のための第1作業パスを決定することと、第2作業機械による掘削のための第2作業パスを決定することを備える。第1作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。第2作業パスは、作業エリアにおいて作業方向に延びている。第2作業パスは、作業方向に交差する横方向に第1作業パスから間隔をおいて配置される。本態様に係る方法は、上記の間隔が狭まるように、次の第1作業パスと次の第2作業パスとを決定することをさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1作業機械の掘削のための第1作業パスが決定され、第2作業機械の掘削のための第2作業パスが、第1作業パスから間隔をおいて決定される。そして、その間隔が狭まるように、次の第1作業パスと第2作業パスとが決定される。従って、第1作業機械による第1作業パスの掘削と第2作業エリアによる第2作業パスの掘削が繰り返されることで、作業エリアにおいて、第1作業機械と第2作業エリアの間に位置する掘削されていない範囲が徐々に狭まる。それにより、作業エリアを掘削するための第1作業機械と第2作業機械の移動距離が低減される。その結果、複数の作業機による効率的な掘削が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る作業機械の制御システムを示す模式図である。
【
図4】自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図6】作業エリアと作業パスとの一例を示すワークサイトの上面図である。
【
図7】第1作業機械と第2作業機械とによる掘削作業を示すワークサイトの上面図である。
【
図8】第1作業機械と第2作業機械とによる掘削作業を示すワークサイトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る作業機械の制御システムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械の制御システム100を示す模式図である。
図1に示すように、制御システム100は、複数の作業機械1a,1bと、リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とを含む。制御システム100は、採掘場などのワークサイトに配置された作業機械1a,1bを制御する。複数の作業機械1a,1bは、第1作業機械1aと、第2作業機械1bとを含む。本実施形態に係る作業機械1a,1bは、ブルドーザである。
【0010】
リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とは、作業機械1a,1bの外部に配置される。リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とは、例えば、作業機械1a,1bの外部の管理センタに配置されてもよい。リモートコントローラ2は、作業機械1a,1bを遠隔操作する。リモートコントローラ2によって遠隔操作される作業機械の数は、2台に限らず、2台より多くてもよい。
【0011】
図2は、第1作業機械1aの側面図である。
図3は、第1作業機械1aの構成を示すブロック図である。以下、第1作業機械1aについて説明するが、第2作業機械1bの構成は、第1作業機械1aと同様である。
図2に示すように、第1作業機械1aは、車体11と、走行装置12と、作業機13とを含む。車体11は、エンジン室15を含む。走行装置12は、車体11に取り付けられている。走行装置12は、左右の履帯16を有している。なお、
図2では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、第1作業機械1aが走行する。
【0012】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトシリンダ19とを含む。リフトフレーム17は、上下に動作可能に車体11に取り付けられている。リフトフレーム17は、ブレード18を支持している。ブレード18は、リフトフレーム17の動作に伴って上下に移動する。リフトフレーム17は、走行装置12に取り付けられてもよい。リフトシリンダ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトシリンダ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、上下に動作する。
【0013】
図3に示すように、第1作業機械1aは、エンジン22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24と、制御弁27とを含む。油圧ポンプ23は、エンジン22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトシリンダ19に供給される。なお、
図3では、1つの油圧ポンプが図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0014】
動力伝達装置24は、エンジン22の駆動力を走行装置12に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。或いは、動力伝達装置24は、他の種類のトランスミッションであってもよい。
【0015】
制御弁27は、リフトシリンダ19などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23から、リフトシリンダ19に供給される作動油の流量を制御する。制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0016】
第1作業機械1aは、機械コントローラ26aと機械通信装置28とを備える。機械コントローラ26aは、走行装置12、或いは動力伝達装置24を制御することで、第1作業機械1aを走行させる。機械コントローラ26aは、制御弁27を制御することで、ブレード18を上下に移動させる。
【0017】
機械コントローラ26aは、取得したデータに基づいて第1作業機械1aを制御するようにプログラムされている。機械コントローラ26aは、プロセッサ31aと記憶装置32aとを含む。プロセッサ31aは、例えばCPU(central processing unit)である。或いは、プロセッサ31aは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ31aは、プログラムに従って、第1作業機械1aを制御するための処理を実行する。
【0018】
記憶装置32aは、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置32aは、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置32aは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置32aは、第1作業機械1aを制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0019】
機械通信装置28は、外部通信装置6と無線により通信する。例えば、機械通信装置28は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、3G、4G、或いは5Gなどの移動体通信、或いは他のタイプの無線通信システムにより、外部通信装置6と通信する。
【0020】
第1作業機械1aは、位置センサ33を含む。位置センサ33は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含んでもよい。或いは、位置センサ33は、他の測位システムのレシーバを含んでもよい。位置センサ33は、LIDAR(Light Detection and Ranging)スキャナなどの測距センサ、或いはステレオカメラなどのイメージセンサを含んでもよい。位置センサ33は、位置データを機械コントローラ26aに出力する。位置データは、第1作業機械1aの位置を示す。
【0021】
図1に示すように、第2作業機械1bは、機械コントローラ26bを備えている。第2作業機械1bは、第1作業機械1aと同様の構成を有している。
【0022】
外部通信装置6は、機械通信装置28と無線により通信する。外部通信装置6は、リモートコントローラ2からの指令信号を、機械通信装置28に送信する。機械コントローラ26aは、機械通信装置28を介して、指令信号を受信する。外部通信装置6は、機械通信装置28を介して、第1作業機械1aの位置データを受信する。同様に、外部通信装置6は、第2作業機械1bの位置データを受信する。
【0023】
入力装置3は、オペレータによって操作可能な装置である。入力装置3は、オペレータからの入力指令を受け、入力指令に対応する操作信号を、リモートコントローラ2に出力する。入力装置3は、オペレータによる操作に応じた操作信号を出力する。入力装置3は、リモートコントローラ2に操作信号を出力する。入力装置3は、マウス、或いはトラックボールなどのポインティングデバイスを含んでもよい。入力装置3は、キーボードを含んでもよい。
【0024】
ディスプレイ4は、例えばCRT,LCD,或いはOELD等のモニタを含む。ディスプレイ4は、リモートコントローラ2からの画像信号を受信する。ディスプレイ4は、画像信号に応じた画像を表示する。ディスプレイ4は、入力装置3と一体であってもよい。例えば、入力装置3とディスプレイ4とは、タッチスクリーンを含んでもよい。
【0025】
操作装置5は、オペレータによって操作可能である。操作装置5は、例えば、ペダル、レバー、或いはスイッチを含む。操作装置5は、複数の作業機械1a,1bを個別に遠隔操作可能である。操作装置5は、複数の作業機械1a,1bのうちの一部を特定して遠隔操作可能であってもよい。作業機械1a,1bは、自動モードと手動モードとに切り替え可能である。
【0026】
自動モードでは、作業機械1a,1bは、オペレータによる操作無しで、自動で動作する。自動モードでは、作業機械1a,1bは、後述するリモートコントローラ2からの指令に従って、動作する。或いは、自動モードでは、作業機械1a,1bは、自立的に自動で動作する。その場合、作業機械1a,1bは、各作業機械1a,1bの機械コントローラの判断に従って、動作する。
【0027】
手動モードでは、作業機械1a,1bは、操作装置5からの操作信号に応じて、動作する。操作装置5は、オペレータによる操作を受け付け、当該操作に応じた操作信号を出力する。操作信号は、外部通信装置6を介して、複数の作業機械1a,1bに送信される。
【0028】
リモートコントローラ2は、遠隔から作業機械1a,1bを制御する。リモートコントローラ2は、入力装置3から操作信号を受信する。リモートコントローラ2は、ディスプレイ4に画像信号を出力する。リモートコントローラ2は、プロセッサ2aと記憶装置2bとを含む。プロセッサ2aは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサ2aは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ2aは、プログラムに従って、作業機械1a,1bを制御するための処理を実行する。なお、以下の説明において、リモートコントローラ2が実行する処理に関する記載は、プロセッサ2aが実行する処理と解釈されてもよい。
【0029】
記憶装置2bは、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置2bは、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置2bは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置2bは、作業機械1a,1bを制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0030】
次に、制御システム100によって実行される作業機械1a,1bの自動制御について説明する。
図4は、リモートコントローラ2によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0031】
図4に示すように、ステップS101では、リモートコントローラ2は、現況地形データを取得する。現況地形データは、ワークサイトの現況地形を示す。
図5は、現況地形80の一例を示す側面図である。現況地形データは、現況地形80上の複数地点の座標及び高度を含む。リモートコントローラ2は、外部のコンピュータ、測量装置、或いは記録媒体から、現況地形データを取得する。作業機械1a,1bは、自動制御により、現況地形80が最終目標地形81に沿う形状となるように、現況地形80の掘削を行う。
【0032】
ステップS102では、リモートコントローラ2は、エリアデータを取得する。エリアデータは、作業エリア40の位置を示す。
図6は、作業エリア40の一例を示すワークサイトの上面図である。エリアデータは、作業エリア40の始端41と終端42とを含む。作業機械1a,1bは、始端41から終端42へ向かって移動しながら掘削を行う。以下の説明では、始端41から終端42へ向かう方向を作業方向X1と呼ぶ。エリアデータは、作業エリア40の第1端43と第2端44とを含む。第2端44は、横方向において第1端43の反対に位置する。横方向は、作業方向X1に交差する方向である。リモートコントローラ2は、オペレータによる入力装置3の操作に応じて、作業エリア40を決定してもよい。或いは、リモートコントローラ2は、作業機機械の台数と性能とから、自動的に複数の作業エリア40を決定し、それらのうちの1つを作業エリア40として決定してもよい。
【0033】
ステップS103では、リモートコントローラ2は、作業エリア40に作業機械を割り当てる。リモートコントローラ2は、1つの作業エリア40に2台1組の作業機械を割り当てる。リモートコントローラ2は、オペレータによる入力装置3の操作に応じて、作業エリア40に割り当てられる2台の作業機械を決定してもよい。或いは、リモートコントローラ2は、作業エリア40に割り当てられる2台の作業機械を自動的に決定してもよい。リモートコントローラ2は、複数の作業エリア40のそれぞれに2台の作業機械が割り当てられるように決定してもよい。以下の説明では、リモートコントローラ2は、1つの作業エリア40に第1作業機械1aと第2作業機械1bとを割り当てる。
【0034】
ステップS104では、リモートコントローラ2は、作業データを取得する。作業データは、スロットの幅と掘削壁の幅とを含む。スロットの幅と掘削壁の幅とは、ブレード18の幅に従って決定される。スロットの幅は、ブレード18の幅と概ね同じである。掘削壁の幅は、ブレード18の幅よりも小さい。リモートコントローラ2は、記憶装置2bから作業データを取得する。或いは、リモートコントローラ2は、オペレータによる入力装置3の操作に応じて、作業データを取得してもよい。
【0035】
ステップS105では、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aによる掘削のための第1作業パスA1を決定する。
図6に示すように、第1作業パスA1は、作業エリア40において作業方向X1に延びている。第1作業パスA1は、始端41から終端42まで延びている。リモートコントローラ2は、第1端43から第1作業パスA1を決定する。また、リモートコントローラ2は、第2作業機械1bによる掘削のための第2作業パスB1を決定する。第2作業パスB1は、作業エリア40において作業方向X1に延びている。第2作業パスB1は、始端41から終端42まで延びている。第2作業パスB1は、横方向に第1作業パスA1から間隔をおいて配置される。リモートコントローラ2は、第2端44から第2作業パスB1を決定する。
【0036】
リモートコントローラ2は、第1作業パスと第2作業パスとの間隔が狭まるように、次の第1作業パスA2と次の第2作業パスB2とを決定する。リモートコントローラ2は、第1端43から第2端44へ向かって、次の第1作業パスA2を決定する。リモートコントローラ2は、前回の第1作業パスA1から横方向に掘削壁の幅W1だけ離して、次の第1作業パスA1の位置を決定する。リモートコントローラ2は、第2端44から第1端43へ向かって、次の第2作業パスB2を決定する。リモートコントローラ2は、前回の第2作業パスB1から横方向に掘削壁の幅W1だけ離して、次の第2作業パスB2の位置を決定する。
【0037】
ステップS106では、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aと第2作業機械1bとによる掘削作業を実行する。リモートコントローラ2は、第1作業機械1aの機械コントローラ26aと、第2作業機械1bの機械コントローラ26bとに掘削の指令信号を送信する。第1作業機械1aの機械コントローラ26aは、指令信号に従い第1作業機械1aを制御する。第2作業機械1bの機械コントローラ26bは、指令信号に従い第2作業機械1bを制御する。それにより、第1作業機械1aは、第1作業パスA1に沿って移動しながら、始端41から終端42まで現況地形を掘削する。例えば、
図5に示すように、第1作業機械1aは、第1作業パスA1に沿って前進しながら、現況地形80よりも下方に位置する目標設計地形82に従ってブレード18を動作させる。それにより、現況地形80が掘削されて、
図7に示すように、第1作業パスA1に沿うスロットSA1が形成される。第2作業機械1bは、第2作業パスB1に沿って移動しながら、始端41から終端42まで現況地形80を掘削する。それにより、現況地形80が掘削されて、第2作業パスB1に沿うスロットSB1が形成される。作業エリア40における最初の工程では、リモートコントローラ2は、第1端43から、第1作業パスA1に沿う第1作業機械1aによる掘削を開始させる。また、リモートコントローラ2は、第2端44から、第2作業パスB1に沿う第1作業機械1aによる掘削を開始させる。
【0038】
初めの第1作業パスA1での掘削が終了すると、第1作業機械1aは、後進して次の第1作業パスA2の始端41まで移動する。そして、第1作業機械1aは、次の第1作業パスA2に沿って前進しながら掘削を行う。それにより、第1作業パスA2に沿うスロットSA2が形成される。また、スロットSA1とスロットSA2との間に掘削壁WA1が形成される。初めの第2作業パスB1での掘削が終了すると、第2作業機械1bは、後進して次の第2作業パスB2の始端41まで移動する。そして、第2作業機械1bは、次の第2作業パスB2に沿って前進しながら掘削を行う。それにより、第2作業パスB2に沿うスロットSB2が形成される。また、スロットSB1とスロットSB2との間に掘削壁WB1が形成される。
【0039】
ステップS107では、リモートコントローラ2は、第1作業パスA1-A3と第2作業パスB1-B3との間隔L1を取得する。間隔L1は、第1作業パスA1-A3と第2作業パスB1-B3との間の横方向における距離を意味する。リモートコントローラ2は、第1作業パスA1-A3のうち現在掘削中の第1作業パスと、第2作業パスB1-B3のうち現在掘削中の第2作業パスとの間の間隔L1を取得する。ステップS108では、リモートコントローラ2は、間隔L1が閾値Th1以下であるかを判定する。所定間隔L1は、例えば1つのスロットの幅と2つの掘削壁の幅の和から決定されてもよい。或いは、所定間隔L1は、2つのスロットの幅と3つの掘削壁の幅の和から決定されてもよい。間隔L1が閾値Th1より大きいときには、リモートコントローラ2は、間隔L1が狭まるように、さらに次の第1作業パスA3と第2作業パスB3とを決定し、第1作業パスA3に沿う掘削と第2作業パスB3に沿う掘削を行う。それにより、スロットSA3,SB3と掘削壁WA2,WB2とが形成される。リモートコントローラ2は、間隔L1が閾値Th1以下になるまで、第1作業パスと第2作業パスとの決定を繰り返す。
【0040】
間隔L1が閾値Th1以下になると、処理はステップS109へ進む。ステップS109では、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aを離脱させる。すなわち、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aを第2作業機械1bから離れる方向に移動させる。
図7に示すように、リモートコントローラ2は、第3作業パスC1を決定する。第3作業パスC1は、第1作業パスA1と同様に、作業エリア40において作業方向X1に延びている。第3作業パスC1は、始端41から終端42まで延びている。第3作業パスC1は、第1作業機械1aによって、掘削壁WA2を掘削するように設けられる。リモートコントローラ2は、第1端43へ向かって順に第3作業パスC1,C2を決定する。第1作業機械1aは、第3作業パスC1,C2に沿って移動しながら、掘削壁WA2と掘削壁WA1とを順に掘削する。
【0041】
なお、リモートコントローラ2は、第2作業機械1bを離脱させてもよい。第1作業機械1aと第2作業機械1bとのどちらを離脱させるかを、リモートコントローラ2が判定してもよい。或いは、オペレータによる入力装置3の操作に応じて、第1作業機械1aと第2作業機械1bとのどちらを離脱させるかが決定されてもよい。
【0042】
ステップS110では、リモートコントローラ2は、最後の作業パスの掘削が完了したかを判定する。リモートコントローラ2は、第2作業機械1bが最後の第2作業パスB4の掘削を完了したかを判定する。最後の第2作業パスB4の掘削が完了したときには、処理はステップS111に進む。
【0043】
ステップS111では、リモートコントローラ2は、第2作業機械1bを離脱させる。すなわち、リモートコントローラ2は、横方向において、第2作業機械1bを第1作業機械1aから離れる方向に移動させる。
図8に示すように、リモートコントローラ2は、第4作業パスD1,D2,D3を決定する。第4作業パスD1,D2,D3は、第2作業パスB1と同様に、作業エリア40において作業方向X1に延びている。第4作業パスD1,D2,D3は、始端41から終端42まで延びている。第4作業パスD1,D2,D3は、第2作業機械1bによって、掘削壁WB1、WB2,WB3を掘削するように設けられる。リモートコントローラ2は、第2端44へ向かって順に第4作業パスD1,D2,D3を決定する。第2作業機械1bは、第4作業パスD1,D2,D3に沿って移動しながら、掘削壁WB1、WB2,WB3を掘削する。
【0044】
第1作業機械1aと第2作業機械1bとは、作業エリア40において、上記のような作業を繰り返すことで、目標設計地形82に沿う形状に、作業エリア40の現況地形80を掘削する。
図5に示すように、第1作業機械1aと第2作業機械1bとは、目標設計地形82の掘削を完了すると、その下方に位置する次の目標設計地形83の掘削を行う。第1作業機械1aと第2作業機械1bとは、最終目標地形81、或いはその近傍に到達するまで、上記の作業を繰り返す。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る作業機械の制御システム100では、第1作業機械1aの掘削のための第1作業パスA1が決定され、第2作業機械1bの掘削のための第2作業パスB1が、第1作業パスA1から間隔L1をおいて決定される。そして、間隔L1が狭まるように、次の第1作業パスA2と次の第2作業パスB2とが決定される。従って、第1作業機械1aによる第1作業パスA1-A3の掘削と第2作業機械1bによる第2作業パスB1-B3の掘削が繰り返されることで、作業エリア40において、第1作業機械1aと第2作業エリア40の間に位置する掘削されていない範囲が徐々に狭まる。それにより、作業エリア40を掘削するための第1作業機械1aと第2作業機械1bの移動距離が低減される。その結果、複数の作業機による効率的な掘削が実現される。
【0046】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。作業機械1a,1bは、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の車両であってもよい。作業機械1a,1bは、電動モータで駆動される車両であってもよい。
【0047】
リモートコントローラ2は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。リモートコントローラ2による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。機械コントローラ26a,26bは、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。機械コントローラ26a,26bによる処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。上述した処理は、複数のプロセッサに分散して実行されてもよい。
【0048】
自動制御の処理は、上述した実施形態のものに限らず、変更、省略、或いは追加されてもよい。自動制御の処理の実行順序は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。機械コントローラ26a,26bによる処理の一部は、リモートコントローラ2によって実行されてもよい。リモートコントローラ2による処理の一部は、機械コントローラによって実行されてもよい。例えば、作業機械1a,1bの移動経路の決定は、作業機械1a,1bの機械コントローラがそれぞれ実行してもよい。
【0049】
作業機械1a,1bの自動制御は、全自動であってもよく、あるいは半自動であってもよい。例えば、作業機械1a,1bの作業機は、目標設計地形82に従って自動で制御され、自動制御中の作業機械1a,1bの前進、後進、或いは旋回などの走行は、操作装置5の操作に応じて、手動で制御されてもよい。手動モードは省略されてもよい。すなわち、作業機械1a,1bは、オペレータによる手動操作無しで、完全自動で制御されてもよい。その場合、操作装置5は省略されてもよい。
【0050】
上記の実施形態では、リモートコントローラ2は、作業パスの間隔L1が所定の閾値Th1以下であるときに、第1作業機械1aを離脱させている。しかし、コントローラは、第1作業機械1aと第2作業機械1bとの間の横方向における距離が閾値Th1以下であるかを判定してもよい。リモートコントローラ2は、第1作業機械1aと第2作業機械1bとの間の横方向における距離が閾値Th1以下であると判定したときに、第1作業機械1aを離脱させてもよい。
【0051】
リモートコントローラ2は、掘削の開始前に作業エリア40の全ての作業パスA1-A3,B1-B4を決定してもよい。リモートコントローラ2は、掘削中に、作業エリア40の作業パスA1-A3,B1-B4を順次、決定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、複数の作業機による効率的な掘削が実現される。
【符号の説明】
【0053】
1a 第1作業機械
1b 第2作業機械
2 リモートコントローラ
6 外部通信装置
18 ブレード
40 作業エリア
43 第1端
44 第2端
A1-A3 第1作業パス
B1-B3 第2作業パス
L1 間隔
WA1 掘削壁
X1 作業方向