IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-撚り導体、電線及びケーブル 図1
  • 特開-撚り導体、電線及びケーブル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097277
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】撚り導体、電線及びケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/08 20060101AFI20220623BHJP
   H01B 7/04 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H01B5/08
H01B7/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210761
(22)【出願日】2020-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄井 康夫
(72)【発明者】
【氏名】原 雄一
(72)【発明者】
【氏名】間宮 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】ポーンサック・ポーケーオ
(72)【発明者】
【氏名】プーチット・スセーワナーノン
(72)【発明者】
【氏名】スラパット・ジャムパートーン
【テーマコード(参考)】
5G307
5G311
【Fターム(参考)】
5G307EA01
5G307EF09
5G307EF10
5G311AA04
5G311AB04
5G311AC06
5G311AD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性がより向上し、曲げやすく、形付けしやすく、軽量な撚り導体並びにこのような撚り導体を有する電線及びケーブルを提供する。
【解決手段】撚り導体1は、JISC3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線2により構成され、かつ、撚り合わせ後に焼きなまされ、複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下である。電線及びケーブルは、このような撚り導体を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線により構成され、かつ、撚り合わせ後に焼きなまされ、前記複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下であることを特徴とする撚り導体。
【請求項2】
前記撚り導体が、円形撚り線、または、円形圧縮撚り線であることを特徴とする請求項1に記載の撚り導体。
【請求項3】
前記撚り導体の最外層がS撚りであることを特徴とする請求項1または2に記載の撚り導体。
【請求項4】
すべての前記導体素線の撚り合わせ終了後に焼鈍処理が行われたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撚り導体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撚り導体を有し、JCS3346 600Vアルミ導体二種ビニル絶縁電線に適合することを特徴とする電線。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撚り導体を有し、
JCS4348アルミ導体ポリエチレンケーブル、JCS4347 600Vアルミ導体ビニル絶縁ビニルシースケーブル、及びJCS4523高圧アルミ導体架橋ポリエチレンケーブルのいずれか一に適合することを特徴とするケーブル。
【請求項7】
所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が38mmのとき、200mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が10Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする請求項6に記載のケーブル。
【請求項8】
所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が100mmのとき、155mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が20Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする請求項6に記載のケーブル。
【請求項9】
所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が150mmのとき、180mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が40Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする請求項6に記載のケーブル。
【請求項10】
所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が250mmのとき、195mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.7mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が80Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする請求項6に記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚り導体、及び、撚り導体を用いる電線、ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
低圧幹線、配電盤等に用いる電線やケーブル(以下、両者を「電線類」とも云う。)の配索は、狭い場所での作業となることが多く、また、配電盤の設計上の制約等から配索作業が非常に困難となる状況がしばしば生じる。これら電線やケーブルには、このような困難な状況であっても、作業者により曲げられた形状を維持し、スムーズな端末処理(接続処理等)を可能とする、良好な取り扱い性が求められる。
【0003】
良好な取り扱い性は、細い電線やケーブルでも重要であるが、例えば外径が20mm以上のケーブルでは特に重要である。端末作業を行う場合、ケーブルの先端を配電盤に設けられたケーブル孔に通した後、1本あたり2~4箇所を曲げながら接続作業を行うなど、配電盤内外での曲げ作業が多く発生する。この種の作業をこのような太さのケーブルで行うことは容易ではなく、通常は手腕の筋肉を使う力仕事、または、専用の工具(ベンダー)を用いて行う仕事となる。このような作業で、ケーブルの曲げが困難であると作業者は短時間で疲労し、作業効率が極端に低下してしまう。さらに、ケーブルラックへの設置作業も高所での作業や上を向いての作業となることが多く、可撓性が高いケーブルが求められる。
【0004】
さらに、曲げ作業後に所定の曲がり具合が保たれること、すなわち、形付けしやすいことも重要である。形付けしやすいケーブルであると、端末処理の途中で作業者の手からケーブルが離れた場合であっても跳ね返りがなく、跳ね返りによる配電盤の端子台等の破壊等が未然に防止される。
【0005】
さらに形付けしやすいケーブルでは、ナット螺着による配電盤端子への接続処理時の螺着作業への反発が小さく、螺着完了が明確に判断できるので確実な接続処理が可能となり、ナット緩みを原因とする発熱や焼損事故の発生が未然に防止される。
【0006】
このような、可撓性に優れ、曲げやすく、かつ、形付けしやすい電線類として、特許文献1で撚り導体及びケーブルが提案されている。特許文献1では、複数の導体素線により構成され、複数の導体素線の導電率の平均値が、100.9%IACS以上101.0%IACS以下である撚り導体、及びこの撚り導体を有するケーブルが提案されている。この技術により、可撓性の良好な銅電線及びケーブルが実現され、施工作業性が改善された。
【0007】
しかしながら、工事を行う作業者の高齢化や人手不足により、上述の銅電線、ケーブルにおいても、銅の重量による延線時の不便さや疲労感への対処が要望されるようになった。この要望に対処するため、比重が8.89g/cmである銅に代えて、比重が2.7g/cmと銅よりも軽いアルミニウム導体(以下、アルミ導体とも云う)が使用されるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6321948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アルミ導体の電線及びケーブルは延線時の引張荷重が銅に比べて低いことから、現状では導体として硬アルミが使用されている。導体が硬アルミである電線及びケーブルは、軽量であるものの、曲げた後の電線の反発(跳ね返り)が大きく、著しく作業性を損なう場合があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可撓性がより向上し、曲げやすく、形付けしやすく、軽量な、撚り導体、及び、このような撚り導体を有する電線及びケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の撚り導体、電線及びケーブルは、下記(1)~(10)を特徴としている。
(1)JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線により構成され、撚り合わせ後に焼きなまされ、前記複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下であることを特徴とする撚り導体。
(2)前記撚り導体が、円形撚り線、または、円形圧縮撚り線であることを特徴とする上記(1)に記載の撚り導体。
(3)前記撚り導体の最外層がS撚りであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の撚り導体。
(4)すべての前記導体素線の撚り合わせ終了後に焼鈍処理が行われたことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか一に記載の撚り導体。
(5)上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撚り導体を有し、JCS3346 600Vアルミ導体二種ビニル絶縁電線に適合することを特徴とする電線。
(6)上記(1)から(4)のいずれか一に記載の撚り導体を有し、
JCS4348アルミ導体ポリエチレンケーブル、JCS4347 600Vアルミ導体ビニル絶縁ビニルシースケーブル、及びJCS4523高圧アルミ導体架橋ポリエチレンケーブルのいずれか一に適合することを特徴とするケーブル。
(7)所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が38mmのとき、200mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が10Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記(6)に記載のケーブル。
(8)所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が100mmのとき、155mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が20Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記(6)に記載のケーブル。
(9)所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が150mmのとき、180mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が40Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記(6)に記載のケーブル。
(10)所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が250mmのとき、195mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.7mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が80Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記(6)に記載のケーブル。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撚り導体は、JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線により構成され、撚り合わせ後に焼きなまされ、前記複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下である。
この撚り導体を有する電線やケーブルは、軽量であり、高い可撓性を有し、曲げやすく、形付けしやすい。このために、配線時の取り回しが極めて容易となる。また、本発明の撚り導体を有する電線やケーブルを使用することで、狭い場所での配索作業性が向上、施工作業者の負荷軽減、施工時間短縮が可能となる。また、形付け(癖付け)が容易で跳ね返りが少ないため、端末作製時の配電盤端子の破損防止や、端子部ナット締め緩みが生じた場合における各種損傷事故の未然防止に貢献し得る。
さらに、本発明の撚り導体を有する電線やケーブルを使用することで、地震対策としての免震工法も施工容易となる。この免震工法は、電線類の末端接続部付近に、その可撓性を利用して弛んだ、冗長部を形成しておく(オフセット寸法設定を行う)工法である。このような冗長部を設けて電線類を施工することにより、地震の揺れ等により電線類が引張られた場合であっても電線末端部の電気接続の切断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は本発明の実施例の撚り導体の撚り構成を、図1(b)はその断面を、それぞれモデル的に示した図である。
図2図2は、撚り導体の可撓性の評価に用いた試験装置21を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の硬アルミニウム撚り導体(以下、「アルミ撚り導体」、「撚り導体」とも云う)は、JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線により構成され、かつ、撚り合わせ後に焼きなまされ、複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下であることを特徴とするアルミ撚り導体である。
【0015】
このアルミ撚り導体を用いた電線、ケーブルは、軽量かつ癖付け性が良好である。よって、施工が簡単で、電線の反発(跳ね返り)によるけがが防止でき、作業者は安全に作業できる。また、電線類が軽量化されたことで、作業者の疲労感が減り、作業時間の短縮につながる。狭い場所での配索作業性が向上する。癖付けが容易で跳ね返りが少ないため、不注意による端子台の破損、ねじ締め付け不足による焼損事故防止にも役立つ。さらに、可撓性がよいため、地震対策としての免震工法(オフセット寸法)の施工も容易になる。
【0016】
複数の導体素線の導電率の平均値は、高いほど跳ね返りが少なくなり施工性が良くなるが、複数の導体素線の導電率の平均値が高すぎると、材料組成にもよるが、導体内に、二次再結晶が発生する可能性が高くなる。導体内に二次再結晶が発生すると、導体素線の引張強度、及び、疲労強度が低下して十分な強度が得られない場合がある。そこで、強度を担保するためには、完成品(硬アルミニウム撚り導体を用いたケーブル)の導体引張荷重の判定値を満足する必要がある。
【0017】
硬アルミニウム撚り導体を用いたケーブルに関する導体引張荷重の判定値は、導体断面積100mm以下については電気用品安全法に規定が有るためこの規定に適合した値とし、150mm以上は電気用品安全法の規定が無いため、ケーブルの延線時引張荷重を満足する値としている。ケーブルの延線時引張荷重を満足する値は、一例として、プーリングアイをケーブルに取り付けた場合における延線工事の際の許容張力(延線許容張力:39.2N/mm×ケーブル線芯数×導体断面積mm)に基づいて定めることができる。なお、ケーブルの延線時引張荷重を満足する値は、ワイヤーネットをケーブルに取り付けた場合における延線許容張力(10N/mm×シース断面積mm)に基づいて定めてもよく、完成品の使用用途に合わせて定めることができる。
【0018】
ケーブルを曲げた後の形付けは、導体素線の導電率の平均値が62.0%未満であるケーブルと、導体素線の導電率の平均値が62.0%以上62.75%以下である本実施形態のケーブルと、では、これらの導体を用いて製作した電線・ケーブルを曲げた際の触感において違いが明瞭に感じられる。すなわち、具体的には、導体素線の導電率の平均値が62.0%未満であるJCS 4348アルミ導体ポリエチレンケーブルの場合、手作業で曲げるのには、かなりの力が必要となり、さらに、所定の曲がり状態に形付けするためには熟練者であっても時間と手間が必要となる。これに対し、本実施形態の撚り導体(導体素線の導電率の平均値が62.0%以上62.75%以下)を用いた同等品の場合、曲げやすく、跳ね返りが少ないため、曲げた後の癖付け(形付け)が容易であり、そのときに特別な熟練を要しない。
【0019】
断面積が38mmである、導体素線を7本撚り合わせた撚り導体を有するケーブルについては、跳ね返り量(後述)が200mm以下の場合に、癖付け性が向上する。この撚り導体において、導体引張荷重の判定値を満足するためには、跳ね返り量の低下率が15%以上が好ましい。
【0020】
断面積が60mm以上である、導体素線を19本以上撚り合わせた撚り導体を有するケーブルについては、導体断面積が100mmの場合には155mm以下、導体断面積が150mmの場合には180mm以下、導体断面積が250mmの場合には210mm以下、の場合に、癖付け性が向上する。各撚り導体において、跳ね返り量の低下量が50%以上の場合、導体引張荷重の判定値を満足できない可能性が高まる。これらの撚り導体において、導体引張荷重の判定値を満足するためには、跳ね返り量の低下率が30%以上が好ましい。
【0021】
本実施形態の導体を使用することで、軽量な硬アルミを使用しながら、曲げ後の反発(跳ね返り)を抑制でき、ケーブル施工時の作業性が向上する。
【0022】
本実施形態の撚り導体は、たとえば、純アルミを原料として、導体素線(硬アルミニウム導体)を作製し、撚り合わせた後、焼鈍処理を行って(焼きなまして)得ることができる。
【0023】
焼鈍処理としては、後焼鈍方式のポッド焼鈍法や連続焼鈍法が挙げられる。これら製造方法のうち、連続焼鈍法であると後焼鈍方式であっても大幅な生産効率の低下を避けることが可能となるので好ましい。なお、焼鈍条件は、処理温度と処理時間(連続焼鈍処理の場合には線速)とを調整して、上記導電率になるようにあらかじめ検討して決める。例えばポッド焼鈍法では、一例として、1.5Mドラム(外径が1.5メートルのドラム)に巻いた硬アルミニウム導体を、導体表面温度(以下、「導体温度」と云う)が200~225℃となる状態を、7~8時間程度維持することが好ましい。但し、本条件は設備の大きさや熱効率によるためこの限りではない。
【0024】
本実施形態の撚り導体は、すべて同じ径の導体素線からなっているものであってもよく、また、2種類以上の径の素線を組み合わせて形成されたものであってよい。
【0025】
本実施形態の撚り導体の形状は、円形撚り線または、円形圧縮撚り線であることが、より高い曲げ易さ、および、より高い形付け性が得られるので好ましい。
【0026】
撚り導体の撚り方向は、円形撚り線、円形圧縮撚り線では各層交互撚りが好ましい。ただし、電線関連各種法規・規格では最外層がS撚りと規定されており、これに従い最外層をS撚りとすることが好ましい(ただし、最外層をZ撚りとした場合であっても、本発明に含まれる)。
【0027】
撚り導体(単芯)中の導体素線としては、導体構成が安定するため、7本、19本、37本、61本、あるいは、127本であることが好ましい。
【0028】
このような撚り導体を用いることで導体の可撓性が向上する。特に、曲げ加工後の跳ね返り量が低減し、ケーブル施工時の作業性が格段に向上する。
【0029】
このような撚り導体は、単独で絶縁被覆やシールドを施して絶縁電線としてもよく、また、複数の撚り導体をさらに束ねた上で絶縁被覆やシース、シールドを施して絶縁電線としてもよい。また、このような絶縁電線をさらに複数束ね、さらに被覆を施したケーブルとすることもできる。
【0030】
本発明では、撚り導体の太さが特に太い場合、例えば、撚り導体の太さが5.5mm(導体断面積:22mm)以上で得られる効果が高く、12mm(導体断面積:100mm)以上で得られる効果が特に高く、さらに、19mm(導体断面積:250mm)以上では格段に高い効果が得られる。
【0031】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の撚り導体、電線、及び、ケーブルは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0032】
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の撚り導体、電線、及び、ケーブルを適宜改変することができる。このような改変によってもなお本発明の撚り導体、電線、及び、ケーブルを具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
【実施例0033】
以下に本発明の実施例について具体的に示す。以下では、JCS 4348に適合するアルミ電力ケーブルについての実施例を示すが、本発明の撚り導体を使用して、JCS 3346に適合する電線を有するアルミ電力ケーブルを構成してもよい。また、本発明の撚り導体を使用して、JCS 4347に適合する600Vアルミ導体ビニル絶縁ビニルシースケーブル、又は、JCS 4523に適合する高圧アルミ導体架橋ポリエチレンケーブルを構成してもよい。いずれの撚り導体も、JIS C3108電気用硬アルミニウム線に準拠する導体素線を使用したものであり、かつ、撚り合わせ後に焼きなまされ、複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下である場合に、癖付け性向上の効果が得られる。複数の導体素線の導電率の平均値は、癖付け性向上及び導体引張荷重の判定値を満たす観点から、62.75%IACSに近ければ近いほど、望ましい。
【0034】
<実施例1、2の撚り導体の作製>
本発明の撚り導体の実施例1及び2を作製した。図1(a)にその撚り構成を、図1(b)に図1(a)のAAにおける断面を、それぞれモデル的に示す。撚り導体には、純アルミにより構成された導体素線2(JIS C3108電気用硬アルミニウム線に準拠する導体素線)61本を用いた。この撚り導体において、中心導体3から構成される中心層の周囲に第2層4、第3層5、第4層6、そして、第5層7からなる4層の導体素線から構成された導体素線層が形成されている。61本の導体素線2を図1(a)、図1(b)に示したように撚り合わせながら圧縮処理を行い、円形圧縮撚り線(断面積:250sq(250mm))を作製した。この円形圧縮撚り線に対して連続焼鈍処理を行った。このとき、焼鈍処理の条件を変更することにより、撚り導体を構成する複数の導体素線の導電率の平均値が62~62.75%IACS(International Annealed Copper Standard)の範囲にある、2種類の撚り導体を得た。これらの撚り導体はいずれも、導体素線2の撚り合わせ(及び圧縮)終了後に焼鈍処理が行われた撚り導体である。
【0035】
その後、これら2つの撚り導体を構成するそれぞれ複数の導体素線2の導電率の平均値を測定した。その結果、それぞれ62.29%IACS、62.45%IACSであった。
【0036】
なお、撚り導体を構成する複数の導体素線の導電率の平均値は次のようにして測定し算出したものである。すなわち、撚り導体を構成する導体素線の各層ごとに、3~5本の導体素線(ただし、中心層では中心素線の1本のみ)を採取し、導電率に影響を及ぼさないように伸直させた後に導電率を測定し、各層の導体素線の平均導電率(ただし、中心層では中心素線の1本での導電率)を算出する。このように算出した各層の導体素線の平均導電率(導電率)に各層に配置された導体素線数を乗した後、それらの値の総和を求める。この総和を、撚り導体に含まれる導体素線数(この場合は61本)で除した値を、その撚り導体を構成する複数の導電率の平均値(以下、「平均の導電率」とも云う。)とした。
【0037】
<比較例1にかかる撚り導体の作製>
比較例1の円形圧縮撚り導体(断面積:250mm)を作製した。すなわち、上記実施例と同様に61本の導体素線2を用い、かつ、焼鈍処理を行わずに、撚り導体Cを得た。この撚り導体Cを構成する複数の導体素線の導電率の平均値は61.84%IACSであった。
【0038】
<ケーブルの可撓性の評価方法>
上記実施例1、2及び比較例1の各撚り導体を用いて、それぞれ同じ条件で、ケーブル(JCS 4348アルミ導体ポリエチレンケーブルに適合する、600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース(CVT)ケーブル単芯、外径:28.0mm)A、B、及び、C(以下、これらの符号を合わせて「A~C」とする)をそれぞれ作製した。これらケーブルA~Cの可撓性(柔らかさ、形付け易さ)の評価では、図2に示す試験装置21を用いた。
【0039】
図2において、試験装置21は、所定の高さを有する台22と、この台22に設けられるケーブル保持部23と、錘24と、図示しない撓み量測定治具とを備えて構成されている。ケーブル保持部23には、試料としてのケーブル25の一端およびその付近が保持されている。ケーブル25は、全長が1000mmに形成されている。このようなケーブル25は、ケーブル保持部23を支点とし他端までの距離Lが0.7mとなる部分において、水平状態で保持されている。ケーブル25の他端に設ける錘24は80Nの荷重のものである。ケーブル25は、巻き癖が除去されて直線状となっており、さらに、試験温度23℃に対して±5℃以内の室温に24時間以上保管されたものを用いる。
【0040】
ケーブルA~Cの可撓性を判定するにあたり、先ず、図2(a)に示すようにケーブル25の他端に錘24を取り付け、30秒後の撓み量(負荷時の撓み量)、すなわち、他端の下降量(単位:mm)を測定する。これは、ケーブル25が容易に曲がるか否かを判断する試験である。ケーブルが小さな力で曲がることは、作業者への負荷を軽減し、作業性及び施工性の向上を図ることができることを示す。
【0041】
他端の下降量測定後に、図2(b)に示すように錘24を取り外し、負荷解放後30秒経過した時点の撓み量(負荷解放後の撓み量(単位:mm))を測定する。この測定値が上記他端の下降量に近いほど、ケーブルの曲げ時の癖つけが容易であることを示す。
【0042】
このように測定された負荷時の撓み量(単位:mm)と負荷解放後の撓み量(単位:mm)との差、すなわち、跳ね返り量(単位:mm)をケーブルの可撓性の指標1とする。跳ね返り量が小さいほど、癖付け性が高く、施工性に優れることを示す。
【0043】
さらに、ケーブルの可撓性の指標2として、跳ね返り量の低下量(単位:%)を用いる。跳ね返り量の低下量は、基準跳ね返り量に対する、基準跳ね返り量と試料跳ね返り量との差の割合(単位:%)である。基準跳ね返り量は、JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線を撚り合わされた撚り導体を(すなわち、比較例1の撚り導体)有する基準ケーブル(すなわち、ケーブルA)の跳ね返り量である。試料跳ね返り量は、焼鈍処理された前記撚り導体(すなわち、実施例1、2の撚り導体)を有する試料ケーブル(すなわち、ケーブルB、C)の跳ね返り量である。跳ね返り量の低下量が大きいほど、撚り導体に対する焼鈍処理がケーブルの癖付け性の向上に寄与したことを示す。
【0044】
ここで、上記のケーブルA~Cの可撓性の指標1(跳ね返り量)が、210mm以下であるときには可撓性が十分であるとして「〇」、210mmより大きいときには可撓性が不十分であるとして「×」と、それぞれ評価した。
【0045】
跳ね返り量が少ないほど、ケーブルの癖つけ性が高く、作業性及び施工性が高いことを意味するが、一方で、強度を考慮する、すなわち、導体引張荷重の判定値を満足する必要がある。
【0046】
硬アルミニウム撚り導体を用いたケーブルに関する引張荷重の判定値(表1において、「導体引張荷重」と略記)は、導体断面積100mm以下については電気用品安全法に規定が有るためこれに適合した値とする。
【0047】
以上のことから、上記のケーブルA~Cにおいて、可撓性の指標1の評価が「〇」であるものであって、導体引張荷重の判定値を満たすものについては、ケーブルの特性が特に優れるとして、評価結果を「◎」とした。
【0048】
<撚り導体の可撓性の評価結果>
上記3種類の撚り導体を用いたケーブルA~Cの、評価結果を表1に示す。表1には、実施例1、2の撚り導体を作成した際の焼鈍処理条件(導体温度、時間)も示す。焼鈍処理条件は、一例として実施例1の場合、導体温度が210℃となる状態を7時間維持したことを示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1より、本発明の撚り導体によれば、導体引張荷重の判定値を満足し、かつ、癖付け性に優れたケーブルが得られることが理解される。
【0051】
<他の太さの撚り導体での実施例>
撚り導体の太さ(断面積)が互いに異なるケーブル(JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線を撚り合わされた撚り導体を有する、JCS 4348に適合するアルミ導体架橋ポリエチレンケーブル3芯(表2~表4では「比較例n」(ただし、nは2以上の整数)と表記))、及び、それらと同じ撚り導体を、焼鈍条件を変更して連続焼鈍処理を行って、平均の導電率を62.0%IACS以上62.75%IACS以下に調整した撚り導体を有する、JCS 4348に適合するアルミ導体架橋ポリエチレンケーブル(600VCVTケーブル単芯)(それぞれ、表2~表4では「実施例n」(ただし、nは3以上の整数)と表記)について、そのケーブルの可撓性の評価を行った。
【0052】
評価は上記と同様に、ただし、撚り導体の断面積(下記表3では「断面積」と略記。単位:mm)に応じて、錘の荷重(表2~4では「荷重」と略記。単位:N)と、錘をつける他端から支点までの距離(表2~4では「距離」と略記。単位:m)と、を変更して行った。
【0053】
また、硬アルミニウム撚り導体を用いたケーブルに関する引張荷重の判定値(表2~4において「導体引張荷重」と略記)は、導体断面積100mm以下については電気用品安全法に規定が有るためこれに適合した値とし、断面積150mm以上は電気用品安全法の規定が無いため、ケーブルの延線時引張荷重を満足する値とした。ケーブルの延線時引張荷重を満足する値は、一例として、プーリングアイをCVTケーブルに取り付けた場合における延線工事の際の許容張力(39.2N/mm)に基づいて、定めた。
【0054】
これらの評価結果を表2~4に示す。表2は、導体断面積が150mm図1(b)に示した撚り構成から第5層7を除いたもの(導体37本構成)、ケーブル外径:22.0mm)の場合、表3は、導体断面積が100mm図1(b)に示した撚り構成から第4層及び第5層7を除いたもの(導体19本構成)、ケーブル外径:19.0mm)の場合、表4は、導体断面積が38mm図1(b)に示した撚り構成から第5層7を除いたもの(導体37本構成)、13.0mm)の場合の評価結果をそれぞれ示す。なお、各表において最も左側の列に記載された比較例のケーブルの跳ね返り量が、基準跳ね返り量に相当する。
【0055】
表2においては、可撓性の指標1(跳ね返り量)が、180mm以下であるときには可撓性が十分であるとして「〇」、180mmより大きいときには可撓性が不十分であるとして「×」と評価した。
【0056】
表3においては、可撓性の指標1(跳ね返り量)が、155mm以下であるときには可撓性が十分であるとして「〇」、155mmより大きいときには可撓性が不十分であるとして「×」と評価した。
【0057】
表4においては、可撓性の指標1(跳ね返り量)が、200mm以下であるときには可撓性が十分であるとして「〇」、200mmより大きいときには可撓性が不十分であるとして「×」と評価した。
【0058】
いずれの表2~4においても、可撓性の指標1の評価が「〇」であるものであって、導体引張荷重の判定値を満たすものについては、ケーブルの特性が特に優れるとして、評価結果を「◎」とした。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表2~4によれば、本発明の撚り導体を用いたケーブルではすべて、同じ太さの撚り導体を用いた従来のケーブルに比べて優れた可撓性(癖付け性)を有することが理解される。
【0063】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る撚り導体、電線及びケーブルの特徴をそれぞれ以下[1]~[10]に簡潔に纏めて列記する。
[1]JIS C3108電気用硬アルミニウム線に適合する複数の導体素線により構成され、撚り合わせ後に焼きなまされ、前記複数の導体素線の導電率の平均値が、62.0%IACS以上62.75%IACS以下であることを特徴とする撚り導体。
[2]前記撚り導体が、円形撚り線、または、円形圧縮撚り線であることを特徴とする上記[1]に記載の撚り導体。
[3]前記撚り導体の最外層がS撚りであることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の撚り導体。
[4]すべての前記導体素線の撚り合わせ終了後に焼鈍処理が行われたことを特徴とする上記[1]から[3]のいずれか一に記載の撚り導体。
[5]上記[1]から[4]のいずれか一に記載の撚り導体を有し、JCS3346 600Vアルミ導体二種ビニル絶縁電線に適合することを特徴とする電線。
[6]上記[1]から[4]のいずれか一に記載の撚り導体を有し、
JCS4348アルミ導体ポリエチレンケーブル、JCS4347 600Vアルミ導体ビニル絶縁ビニルシースケーブル、及びJCS4523高圧アルミ導体架橋ポリエチレンケーブルのいずれか一に適合することを特徴とするケーブル。
[7]所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が38mmのとき、200mmであり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が10Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記[6]に記載のケーブル。
[8]所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が100mmのとき、155mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が20Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記[6]に記載のケーブル。
[9]所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が150mmのとき、180mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.6mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が40Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記[6]に記載のケーブル。
[10]所定試験方法による跳ね返り量が、
前記ケーブルの導体断面積が250mmのとき、195mm以下であり、
前記所定試験方法は、室温において、
直線状とされた全長1000mmの前記ケーブルを、前記ケーブルの一端側であって前記ケーブルの他端からの距離が0.7mとなる部分において、水平状態で保持し、
前記他端に、荷重が80Nである錘を取り付け、
30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷時の撓み量として測定し、
前記負荷時の撓み量の測定後、前記錘を取り外してから30秒後における前記他端の下降量(単位:mm)を、負荷開放後の撓み量として測定し、

前記負荷時の撓み量と前記負荷開放後の撓み量との差を、前記跳ね返り量として算出することを特徴とする上記[6]に記載のケーブル。
【符号の説明】
【0064】
1 撚り導体の一例
2 導体素線
3 中心導体
4 第2層
5 第3層
6 第4層
7 第5層
図1
図2