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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097326
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】吸引装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20220623BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20220623BHJP
   F04D 29/54 20060101ALI20220623BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20220623BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
F24F7/08 Z
F04D25/16
F04D29/54 D
F04D29/54 F
F24F13/08 A
F24F7/06 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210889
(22)【出願日】2020-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】516163578
【氏名又は名称】畠山 昭弘
(74)【代理人】
【識別番号】100190230
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 良吉
(72)【発明者】
【氏名】畠山 昭弘
【テーマコード(参考)】
3H130
3L058
3L081
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AB62
3H130AB66
3H130AB68
3H130AC01
3H130AC11
3H130BA66A
3H130CA06
3H130CA21
3H130DD01Z
3H130DG03Z
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EB00A
3L058BH02
3L058BK03
3L081AA02
3L081AB02
3L081BA03
(57)【要約】
【課題】製造が容易で、広範囲を囲い込むエアカーテンを安定的に形成でき、囲い込んだ範囲を強い竜巻流で効率的に吸引することができる吸引装置を提供する。
【解決手段】 吸引流通路10を同心円状に包囲する円筒状吹出流通路30を設け、その外周円の略接線方向から、第2のファン50を有する吹出流導入通路40を接続して吹出流を導入し、円筒状吹出流通路30に導入された吹出流は、円筒軸30f周りに螺旋状に旋回しながら円環状の吹出口30aから吹き出されるようにした。さらに吹出流径拡大等のためのガイド(60,70,80)を設けてもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部排気を行うための吸引装置であって、
略円形の吸引口を有し、吸引流を流す吸引流通路と、
前記吸引流通路内に配置され、前記吸引流を発生させる第1のファンと、
前記吸引口を包囲する略円環状の吹出口を一端部に有するとともに他端部が閉塞し、前記吸引流通路の前記吸引口近傍部分を同軸で包囲する円筒状吹出流通路と、
前記円筒状吹出流通路の前記他端部側の外周に、当該円筒状吹出流通路の外周円の略接線方向から接続されて連通し、当該円筒状吹出流通路内に吹出流を円筒軸周りに旋回するように導入する吹出流導入通路と、
前記吹出流導入通路に設けられ、前記吹出流を発生させる第2のファンと、
を有する、吸引装置。
【請求項2】
前記略円環状の吹出口の内周に連続して配置され、前記吹出流を拡げる略回転対称形の中間ガイドと、
前記略円環状の吹出口の外周に連続して配置され、前記中間ガイドとの間に前記吹出流の吹出径拡大通路を形成する略回転対称形の外側ガイドと、
前記吸引口の外周に連続して設けられ、内側に前記吸引流の上流側通路を形成する、筒状又は前記中間ガイドより広がりの小さい略回転対称形の内側ガイドと、
をさらに有する、請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記第1のファンは、プロペラファンであって、前記円筒状吹出流通路内の吹出流の旋回方向と同方向に回転する、請求項1に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記円筒状吹出流通路の前記他端部側の外周にそれぞれ接続された複数の前記吹出流導入通路と、各前記吹出流導入通路に設けられた前記第2のファンを有し、各前記吹出流導入通路から前記円筒状吹出流通路内に吹出流を円筒軸周りに同一方向に旋回するように導入する、請求項1に記載の吸引装置。
【請求項5】
前記略円環状の吹出口の内周から下側に延設された内側筒状部分と、
前記内側筒状部分の外周に内周が嵌合されて水平に設けられた下側環状円板と、
前記略円環状の吹出口の外周から外側に延出するように、前記下側環状円板と平行に設けられ、前記下側環状円板より大径の上側環状円板と、
前記上側環状円板の外周から下側に延設され、内周側が前記下側環状円板の外周との間に円環状の隙間を形成するように設けられた外側筒状部分と、
前記下側環状円板と前記上側環状円板との間の円板状の空間に、螺旋状に配置された複数の仕切板と、を含み、
前記吹出流を、前記略円環状の吹出口から導入し、前記円板状の空間の前記複数の仕切板の間を通過させて旋回し、前記円環状の隙間から吹き出すように構成された吹出流旋回円板通路をさらに有する、請求項1に記載の吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、局所排気のための吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、局部排気のための吸引装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1の装置では、外側部分で吹き出し流を発生させ内側部分で吸引流を発生させるように羽が配置された同軸二重構造のプロペラファンを用い、外側部分で吹き出し流を発生させてエアカーテンを形成する一方、内側部分でその内側の空気を吸引している。プロペラファンの回転により、吹出流と吸引流を同方向に回転させ、竜巻流を発生させて、効果的な吸引を行っている。
特許文献2の装置では、2台のシロッコファンを用い、一方のファンで周辺部からの吹出しを行ってエアカーテンを発生させるとともに、他方のファンで中心部からの吸引を行っている。このとき、吹出流の通路の途中に傾斜羽根を設けて吹き出し流を旋回させ、それにより、安定的にエアカーテンを形成するとともに竜巻流を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-60088号公報
【特許文献2】特開平8-75208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の吸引装置では、吹出流の旋回を吹出流を発生させるプロペラファンの回転だけで生じさせているため、吹き出し流の旋回が必ずしも十分でない場合がある。特に、広範囲を囲い込むエアカーテンを形成するために、吹き出し流をガイドによりスカート状に拡げると、旋回が弱まって、エアカーテンが不安定になる懸念がある。また、その結果、エアカーテンが反転して形成される吸引流の竜巻流も弱くなる懸念がある。
【0005】
特許文献2に記載の吸引装置は、吹き出し流はシロッコファンにより生じるため、そもそも旋回の小さい気流であり、それを傾斜羽根だけで十分に旋回できない懸念もある。その結果、特許文献1と同様に、エアカーテンや竜巻流を安定的に形成できない懸念がある。また、傾斜羽根を有する吹出流通路の製造が必ずしも容易でないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、製造が容易で、広範囲を囲い込むエアカーテンを安定的に形成でき、囲い込んだ範囲を強い竜巻流で効率的に吸引することができる吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吸引装置は、局部排気を行うための吸引装置であって、
略円形の吸引口を有し、吸引流を流す吸引流通路と、
前記吸引流通路内に配置され、前記吸引流を発生させる第1のファンと、
前記吸引口を包囲する略円環状の吹出口を一端部に有するとともに他端部が閉塞し、前記吸引流通路の前記吸引口近傍部分を同軸で包囲する円筒状吹出流通路と、
前記円筒状吹出流通路の前記他端部側の外周に、当該円筒状吹出流通路の外周円の略接線方向から接続されて連通し、当該円筒状吹出流通路内に吹出流を円筒軸周りに旋回するように導入する吹出流導入通路と、
前記吹出流導入通路に設けられ、前記吹出流を発生させる第2のファンと、
を有する、ことを特徴とする。
この構成により、円筒状吹出流通路に導入された吹出流は円筒軸周りに螺旋状に旋回しながら吹出口から吹き出されるので、旋回するエアカーテンが実現できる。これにより、製造が容易で、広範囲を囲い込むエアカーテンを安定的に形成でき、囲い込んだ範囲を強い竜巻流で効率的に吸引することができる吸引装置を実現できる。
【0008】
上記吸引装置は、前記略円環状の吹出口の内周に連続して配置され、前記吹出流を拡げる回転対称形の中間ガイドと、
前記略円環状の吹出口の外周に連続して配置され、前記中間ガイドとの間に前記吹出流の吹出径拡大通路を形成する略回転対称形の外側ガイドと、
前記吸引口の外周に連続して設けられ、内側に前記吸引流の上流側通路を形成する、筒状又は前記中間ガイドより広がりの小さい略回転対象形の内側ガイドと、
をさらに有する、ことが好ましい。
上記「略回転対象形」とは、例えば、略スカート状や、筒状部分と円板状部分からなる形状、半球面状、あるいはこれらを組み合わせた形状が挙げられる。
この構成により、吹出流で形成されるエアカーテンをさらに拡げて広い範囲を囲むとともに、吹出口と吸引口を空間的に離れるので、吹出流がすぐに折り返して吸引されてしまうことを防ぐことができる。
【0009】
前記第1のファンは、プロペラファンであって、前記円筒状吹出流通路内の吹出流の旋回方向と同方向に回転する、ものであってもよい。
この構成により、エアカーテンが反転して形成される吸引流の旋回方向と、吸引流を発生させる第1のファンの回転方向が同一になるため、竜巻流の形成を容易にできる。
【0010】
上記吸引装置は、前記円筒状吹出流通路の前記他端部側の外周にそれぞれ接続された複数の前記吹出流導入通路と、各前記吹出流導入通路に設けられた前記第2のファンを有し、各前記吹出流導入通路から前記円筒状吹出流通路内に吹出流を円筒軸周りに同一方向に旋回するように導入する、ようにしてもよい。
この構成により、円筒状吹出流通路における吹出流の旋回をより強化し、均一化することができ、それにより、さらに安定したエアカーテンを形成し広範囲を囲って効率的な吸引を実現できる。
【0011】
上記吸引装置は、前記略円環状の吹出口の内周から下側に延設された内側筒状部分と、
前記内側筒状部分の外周に内周が嵌合されて水平に設けられた下側環状円板と、
前記略円環状の吹出口の外周から外側に延出するように、前記下側環状円板に平行に設けられ、前記下側環状円板より大径の上側環状円板と、
前記上側環状円板の外周から下側に延設され、内周側が前記下側環状円板の外周との間に円環状の隙間を形成するように設けられた外側筒状部分と、
前記下側環状円板と前記上側環状円板との間の円板状の空間に、螺旋状に配置された複数の仕切板と、を含み、
前記吹出流を、前記略円環状の吹出口から導入し、前記円板状の空間の前記複数の仕切板の間を通過させて旋回し、前記円環状の隙間から吹き出すように構成された吹出流旋回円板通路をさらに有する、ものであってもよい。
この構成により、製造しやすい構成で、円筒状吹出流通路で形成された吹出流の旋回を安定的に維持しつつ、エアカーテンの径を拡大することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吸引装置によれば、吸引流通路を同心円状に包囲する円筒状吹出流通路を設け、その外周円の略接線方向から第2のファンを有する吹出流導入通路を接続して吹出流を導入するようにしたので、円筒状吹出流通路に導入された吹出流は、螺旋状に旋回しながら円環状の吹出口から吹き出される。これにより、製造が容易で、広範囲を囲い込むエアカーテンを安定的に形成でき、囲い込んだ範囲を強い竜巻流で効率的に吸引することができる吸引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る吸引装置の第1の実施形態を概念的に示す縦断面図である。
図2図1の吸引装置のA-A断面図である。
図3図1の吸引装置の底面図である。
図4】本発明に係る吸引装置の第2の実施形態を概念的に示す縦断面図である。
図5図4の吸引装置のA-A断面図である。
図6】本発明に係る吸引装置の第2の実施形態を概念的に示す縦断面図である。
図7図6の吸引装置のB-B断面図の一例である。
図8図6の吸引装置のB-B断面図の他の一例である。
図9図1の吸引装置の適用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る吸引装置の第1の実施形態を示す断面図である。この吸引装置1は、いわゆる局部排気を行う吸引装置であり、吸引流通路10と、第1のファン20と、円筒状吹出流通路30と、吹出流導入通路40と、第2のファン50と、さらに、これらの通路に連続して吸引対象側に設けられた、中間ガイド60と、外側ガイド70と、内側ガイド80と、を含む。
【0015】
吸引流通路10は、略円形の吸引口10aを有し、吸引流を流す通路である。本実施形態では、吸引流通路10は、ダクト(内管10bともいう)により形成されている。
【0016】
第1のファン20は、前記吸引流通路10内に配置され、吸引流を発生させるものである。この第1のファン20は、その羽根20aがモータ等の駆動手段20bによって回転されることにより吸引流を発生させる、いわゆる軸流タイプのプロペラファンである。この構成において、第1のファン20の回転方向を、後述する吹出流の旋回方向と同方向にすると、吸引流が若干竜巻流化しやすくなるという効果がある。但し、第1のファン20は、送風できるファンであればいずれでもよく、例えばシロッコファンでもよい。
【0017】
円筒状吹出流通路30は、前記吸引口10aを包囲する略円環状の吹出口30aを一端部に有するとともに他端部(30c)が閉塞し、前記吸引流通路10の前記吸引口10a近傍部分を同軸で包囲する通路である。本実施形態では、円筒状吹出流通路30は、内管10bを包囲するダクトである外管30bとの間に形成され、他端部側が閉塞板30cで閉塞されている。
【0018】
吹出流導入通路40は、前記円筒状吹出流通路30の前記他端部側の外周30dに、外周円30eの略接線方向から接続されて円筒状吹出流通路30に連通している。吹出流導入通路40は、本実施形態では、外管30bの外周に溶接された矩形の断面を有するダクトからなる吹出流導入管40aで形成されている。図2の断面図において、この吹出流導入通路40の上側の側面は、円筒状吹出流通路30(外管30b)の外周円30eの略接線上になるように形成され、吹出流導入通路40の水平方向の幅は、円筒状吹出流通路30の幅(すなわち、内管10bの外周面と外管30bの内周面の間隔)と略同一としている。これにより、吹出流導入通路40から円筒状吹出流通路30内に導入された吹出流は、円筒状吹出流通路30内を円筒軸30f周りに螺旋状に旋回する。
【0019】
なお、本発明では上記構成に限られず、吹出流導入通路40は円形の断面を有するものでもよく、図2において吹出流導入通路40の水平方向の幅は、円筒状吹出流通路30の幅と異なっていてもよい。また、吹出流導入通路40の方向は、効率的に旋回流を生ずることができれば、図1及び図2において水平方向から多少ずれていてもよい。
また、吹出流導入通路40の長さは、第2のファン50の作用の下、吹出流を前記外周円30eの略接線方向に方向付けることができる長さであれば十分である。
【0020】
第2のファン50は、前記吹出流導入通路に設けられ、前記吹出流を発生させるものである。この第2のファン50は、本実施形態では、第1のファン20と同様にいわゆる軸流タイプのプロペラファンであり、吹出流導入通路40内で羽根50aをモータ等の駆動手段50bによって回転させて吹出流を発生させる。但し、第2のファン50は、送風できるファンであればいずれでもよく、例えばシロッコファンでもよい。
【0021】
中間ガイド60は、図1に示すように、前記略円環状の吹出口30aの内周に連続して配置され、前記吹出流を拡げる略回転対象形のガイドである。この中間ガイド60は、本実施形態では、略スカート状に形成されている。
【0022】
外側ガイド70は、前記略円環状の吹出口30aの外周に連続して配置された略回転対象形のガイドであり、前記中間ガイド60との間に前記吹出流の吹出径拡大通路65を形成している。この外側ガイド70も、本実施形態では、略スカート状に形成されている。
【0023】
また、内側ガイド80は、前記吸引口の外周に連続して設けられ、筒状又は前記中間ガイドより広がりの小さい略回転対称形を有し、内側に前記吸引流の上流側通路を形成する。この内側ガイド80は、本実施形態では略筒状に形成されている。
なお、中間ガイド60、内側ガイド80は、必ずしも独立した部材でなくてもよく、内管10bと一体的に形成されていてもよい。また、外側ガイド70も、必ずしも独立した部材でなくてもよく、外管30bと一体的に形成されていてもよい。
また、前記のように、中間ガイド60、内側ガイド80及び外管30bは、略スカート状や筒状に限られず、略回転対称形であればよく、例えば、筒状部分と円板状部分からなる形状、半球面状、あるいはこれらを組み合わせた形状でもよい。
【0024】
次に、前記のように構成された本実施形態の吸引装置1の動作について、図1図3を参照して説明する。
第1のファン20及び第2のファン50が回転駆動されると、第2のファン50によって空気が吹出流導入通路40を通って円筒状吹出流通路30内に導入される。このとき、吹出流導入通路40は、円筒状吹出流通路30の外周円30eの略接線方向から接続されているので、導入された吹出流は、円筒状吹出流通路30内を円筒軸30f周りに螺旋状に旋回する吹出流となる。円筒状吹出流通路30の他端部側は、閉塞板30cで閉塞されているので、この吹出流は、旋回しながら吹出口30aから中間ガイド60と外側ガイド70との間の吹出径拡大通路65に流入し、その吹出口65aからスカート状に吹き出され、旋回するエアカーテンAC(図1参照)を形成する。
【0025】
なお、本実施形態では、内側ガイド80と中間ガイド60によって吹出流と吸引流との間に空間的なギャップGを設けており、このギャップGにより、吹出径拡大通路65の吹出口65aを出た吹出流の一部がすぐに反転して内側ガイド80の吸引口80aに吸引されることが防止される。このため、広範囲を囲むエアカーテンACが形成される。
【0026】
一方、第1ファンの20の回転により吸引流が発生し、エアカーテンACの内側の空気は、内側ガイド80と内管10bを通って吸引される。このため、エアカーテンACを形成した吹出流は、その風速で決まる到達点まで行ったところで折り返し、内側ガイド80の吸引口80a側に向きを変えて、そのまま旋回しながら内側ガイド80の吸引口80aに向かって上昇する。このとき、吹出流は、折り返されることによって、回転運動エネルギーが維持されたまま旋回する半径が小さくなるので、旋回が高速になり、吸引対象90まで達する竜巻状の渦が形成される。この竜巻状の渦により、吸引対象90(例えば、調理用レンジ台91から発生する湯気や煙等)を効率的に吸引することができる。
【0027】
吸引されたガス等の吸引対象90は、図1に示すように、吸引流として吸引流通路4を成す内管10bの内側を通って、排出口10cから外部に排気される。
【0028】
図3は、図1に示した吸引装置1の要部を底面側から見た図であって、吹出流が吸引流に遷移していく様子を示している。同図には、吹出径拡大通路65内で旋回された吹出流が、その吹出口65aから吹出されてその到達点に達したところで内側ガイド80側に折り返して竜巻状の吸引流となり、この吸引流とともに局所的な領域にある吸引対象90が、内側ガイド80の吸引口80a内に吸い込まれる様子が概念的に示されている。なお、本実施形態では、図3に示すように、吹出流および吸引流とも底面側から見て時計方向に回転させているが、本発明はこれに限らず、反時計方向に回転させるようにしてもよい。
【0029】
本実施形態の吸引装置1によれば、吸引流通路10を包囲する円筒状吹出流通路30を設け、その外周円30eの略接線方向から第2のファン50を有する吹出流導入通路40を接続して吹出流を導入するようにしたので、円筒状吹出流通路30に導入された吹出流は、円筒軸30fを中心に螺旋状に旋回しながら円環状の吹出口30aから吹き出される。これにより、製造が容易で、広範囲を囲い込むエアカーテンACを安定的に形成でき、囲い込んだ範囲を強い竜巻流で効率的に吸引できる吸引装置を実現できる。
【0030】
また、本実施形態では、吸引流を発生させる第1のファン20と、吹出流を発生させる第2のファン50を別々に制御する構成としているので、2つのファンの出力バランスを調整することにより、吸引流と吹出流の流量を最適に設定することが可能となり、これにより、使用環境に合わせた最適な吸引を可能とすることができる。
【0031】
なお、中間ガイド60と、外側ガイド70と、内側ガイド80は、本発明の吸引装置に必須の要素ではなく、用途によっては、これらを設けなくてもよい。また、用途によっては、逆に吹出流や吸引流の流路径を縮小するガイド等、様々なガイドを設けてもよい。しかし中間ガイド60と、外側ガイド70と、内側ガイド80を設けることにより、吹出流で形成されるエアカーテンACを拡げてさらに広い範囲を囲むとともに、吹出口65aと吸引口80aが空間的に離れるので、吹出流がすぐに折り返して吸引されてしまうことを防ぐことができるので、好ましい。
【0032】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態の吸引装置101を概念的に示す縦断面図であり、図5は、図4の吸引装置101のA-A断面図である。本実施形態は、第1の実施形態の吸引装置1において、吹出流導入通路40及び第2のファン50を、円筒状吹出流通路30の対向位置2箇所に設けた形態である。
それ以外の構成は第1の実施形態と同一なので、重複する説明は省略する。
このように構成することにより、円筒状吹出流通路30における吹出流の旋回をより強化し、均一化することができ、それにより、さらに安定したエアカーテンACを形成し広範囲を囲って効率的は吸引を実現できる。
なお、本例では、吹出流導入通路40及び第2のファン50を、円筒状吹出流通路30の対向位置2箇所に設けたが、3箇所以上に設けてもよい。
【0033】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態の吸引装置201を概念的に示す縦断面図であり、図7及び図8は、図6の吸引装置201のB-B断面図の例である。本実施形態は、第1の実施形態の吸引装置1において、中間ガイド60と外側ガイド70と内側ガイド80を設ける代わりに、前記略円環状の吹出口30aに、吹出流をさらに旋回させる吹出流旋回円板通路210を設けた形態である。それ以外の構成は第1の実施形態と同一なので、重複する説明は省略する。
【0034】
この吹出流旋回円板通路210は、内側筒状部分211と、下側環状円板212と、上側環状円板213と、外側筒状部分214と、複数の仕切板217と、を結合することにより、形成されている。
内側筒状部分211は、吹出口30aの内周から下側に延設された部材である。この内側筒状部分211の外周に、下側環状円板212の内周が嵌合され、それにより、下側環状円板212が水平に設けられている。一方、吹出口30aの外周から外側に延出するように、下側環状円板212より大径の上側環状円板213が、下側環状円板212に平行に設けられている。この上側環状円板213の外周には、外側筒状部分214が下側に延設されて、その内周側と下側環状円板212の外周との間には円環状の隙間215が形成されている。
さらに、下側環状円板212と上側環状円板213との間に形成された円板状の空間216には、複数の仕切板217が、螺旋状に配置されている。これらの部材は、互いに溶接、螺子止め等により、結合されていてもよく、一体的に形成されていてもよい。
【0035】
このような吹出流旋回円板通路210を有する本実施形態の吸引装置201では、円筒状吹出流通路30で形成された旋回する吹出流は、略円環状の吹出口30aから、吹出流旋回円板通路210に導入され、円板状の空間216を周辺方向に向かって広がる。この際、吹出流は、前記複数の仕切板217の間を通過する際にさらに旋回されるので、広がっても旋回速度があまり低下せず、円環状の隙間215から吹き出すように構成されている。それ以外の動作は、第1の実施形態の吸引装置1と同様である。
この構成により、製造しやすい構成で、円筒状吹出流通路で形成された吹出流の旋回を安定的に維持しつつ、エアカーテンの径を拡大することができる。
なお、仕切板217は、吹出流を旋回できるものであればよく、例えば、断面視で図7に示す一定幅の板状のものや、図8に示す三角形のものでもよい。図8の断面視で三角形の仕切板217は、吹出流が円板状の空間216の周辺部へ広がっても流路断面積の増加を抑制するので、吹出速度の低下を抑制する効果があると考えられる。
【0036】
(適用例)
図9は、本発明の第1の実施形態の吸引装置1の適用例を概念的に示す図である。本例では、屋内に設置した調理用レンジ台91から発生する湯気や煙を吸引対象90とし、吸引装置1によって吸引した後、吸引装置1の本体から離れた地点、例えば屋外へ内管10bに接続された排気用ダクト10dを介して排気する。一方、吹出流は屋内から取り入れている。図1において、92は調理用レンジ台91の載置台、93は建物の外壁をそれぞれ示す。
【0037】
図9に示す吸引装置1は、図1の吸引装置1に比べて、吸引流を発生させる第1のファン20を、吸引流通路10内のより下流位置、すなわち、内管10bに接続された排気用ダクト10dに配置し、また、中間ガイド60と内側ガイド80との間の空間的なギャップGを更に大きくしてエアカーテンACの囲い込める範囲を拡大しているが、基本的構成は同じである。
この吸引装置1の動作は、前記したとおりである。すなわち、第1のファン20及び第2のファン50が回転駆動されると、第2のファン50によって、屋内の空気が吹出流導入通路40を通って導入される。導入された空気は、円筒状吹出流通路30内を螺旋状に旋回する吹出流となり、旋回しながら吹出口30aから中間ガイド60と外側ガイド70との間の吹出径拡大通路65を通り、その吹出口65aからスカート状に吹き出され、旋回するエアカーテンACを形成する。
【0038】
エアカーテンACを形成した吹出流は、吸引対象90(調理用レンジ台91から発生する湯気や煙等)を囲い込んで竜巻流を形成するので、この吸引対象90を、効率的に吸引することができる。
【0039】
吸引されたガス等の吸引対象90は、図1に示すように、吸引流として吸引流通路10を成す内管10b及び排気用ダクト10dの内側を通って、排出口10cから外部に排気される。
【0040】
第2及び第3の実施形態の吸引装置101,201も、本例の用途に同様に適用することが可能である。
尚、吸引装置1,101,201は、吸引流を発生させる第1のファン20と、吹出流を発生させる第2のファン50を別個に設けているので、吸引流と吹出流の流量を最適に設定することが可能で、これにより、使用環境に合わせた最適な吸引を行うことができる。
【0041】
吸引装置1,101,201は、調理用レンジ台以外にも、焼き肉用テーブルコンロ等から発生する煙の排気や、局所的に発生する悪臭や粉塵などを吸引して外部へ排出する用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:吸引装置
10:吸引流通路
10a:吸引口
10b:内管
10c:排出口
10d:排気用ダクト
20:第1のファン
20a:羽根
20b:駆動手段
30:円筒状吹出流通路
30a:吹出口
30b:外管
30c:閉塞板
30d:外周
30e:外周円
30f:円筒軸
40:吹出流導入通路
40a:吹出流導入管
50:第2のファン
50a:羽根
50b:駆動手段
65:吹出径拡大通路
65a:(吹出径拡大通路の)吹出口
60:中間ガイド
70:外側ガイド
80:内側ガイド
80a:(内側ガイドの)吸引口
90:吸引対象
91:調理用レンジ台
92:載置台
93:建物の外壁
101:(第2の実施形態の)吸引装置
201:(第3の実施形態の)吸引装置
210:吹出流旋回円板通路
211:内側筒状部分
212:下側環状円板
213:上側環状円板
214:外側筒状部分
215:円環状の隙間
216:円板状の空間
217:仕切板
AC:エアカーテン
G:ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9