(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097332
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】バリ取り機械
(51)【国際特許分類】
B24B 27/00 20060101AFI20220623BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20220623BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20220623BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B24B27/00 A
B24B41/06 Z
B24B9/00 602L
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210897
(22)【出願日】2020-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】391051474
【氏名又は名称】三立精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 斉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 泰久
【テーマコード(参考)】
3C034
3C049
3C158
3C707
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB72
3C034DD20
3C049AA02
3C049AA12
3C049AA18
3C049AB04
3C049AC05
3C049CB04
3C158AA02
3C158AA12
3C158AA18
3C158AB04
3C158AC05
3C158CB04
3C707AS01
3C707AS12
3C707BS10
(57)【要約】
【課題】ワークを把持する把持部と、ワークを加工する加工工具との両方を、上から逆さ方向に配置することで、汚れにくく掃除を容易にするとともに、切り粉の溜まりによる機械の故障を防止することができるバリ取り機械を提供する。
【解決手段】フレーム10と、前記フレーム10の上部に設けられる天井板20と、前記天井板20の下面から下向きに設けられるロボット21と、前記天井板20の下面から下向きに設けられる支持部23a,23bと、前記ロボット21又は前記支持部23a,23bの一方に設けられる、ワーク40を把持する把持部22と、前記ロボット21又は前記支持部23a,23bの他方に設けられる、前記ワーク40を加工する加工工具24a,24bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームの上部に設けられる天井板と、
前記天井板の下面から下向きに設けられるロボットと、
前記ロボット又は前記天井板の下面の一方に設けられる、ワークを把持する把持部と、
前記ロボット又は前記天井板の下面の他方に設けられる、前記ワークを加工する第1加工工具と、
を備えることを特徴とするバリ取り機械。
【請求項2】
前記第1加工工具が前記天井板の下面に設けられ、かつ下向きに配置されている請求項1に記載のバリ取り機械。
【請求項3】
前記第1加工工具が複数設けられ、それぞれの第1加工工具の高さが同じにされている請求項2に記載のバリ取り機械。
【請求項4】
フレームと、
前記フレームの上部に設けられる天井板と、
前記天井板の下面から下向きに設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられる、ワークを把持する把持部と、
前記天井板の下面に1つ以上設けられる、前記ワークを加工する下向きの第1加工工具と、
前記天井板の下面に1つ以上設けられる、前記ワークを加工する横向きの第2加工工具と、
を備えることを特徴とするバリ取り機械。
【請求項5】
前記第2加工工具が、前記第1加工工具の回転軸と直交する線の高さ以上の位置に設けられている請求項4に記載のバリ取り機械。
【請求項6】
前記第1加工工具が、前記第2加工工具の回転軸と直交する線から外れた位置に設けられている請求項4又は5に記載のバリ取り機械。
【請求項7】
前記フレームの下部に、落下する切り粉を受ける受け皿を備える請求項1ないし6のいずれか1項に記載のバリ取り機械。
【請求項8】
前記受け皿が前記天井板より小さく構成され、前記切り粉を前記受け皿に集める傾斜板を備える請求項7に記載のバリ取り機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対し切削又は研磨等の加工をするバリ取り機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対し切削又は研磨等の加工をするバリ取り機械では、ワークを加工したときに発生する切り粉により、バリ取り機械の各部が汚れやすく掃除が大変であるとともに、切り粉の溜まりによって機械の故障を招くというという課題があった。
【0003】
また、ガイドレールの変形を的確に補正することができる工作機械を提供することを目的として、特開2002-137129号公報(特許文献1)に、テーブルの上に設けられた砥石車と対向するように配置された梁状フレーム部材と、前記梁状フレーム部材と平行をなすとともに、移動体を移動可能に支持するガイドレールと、梁状フレーム部材とガイドレールとの間に介在した伸縮部材とを備える工作機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている工作機械では、移動体等は汚れにくいと考えられるものの、加工する場所から下側に砥石車やテーブル等があり、汚れやすく掃除が大変であるとともに、テーブル上の設備が切り粉によって故障する恐れがあることに変わりはない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、ロボットを天井板から下向きの逆さ方向に設けるとともに、本来のテーブルが設けられる位置に刃物等の構成要素を配置しないことで、汚れにくく掃除を容易にするとともに、切り粉の溜まりによる機械の故障を防止することができるバリ取り機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバリ取り機械は、
フレームと、
前記フレームの上部に設けられる天井板と、
前記天井板の下面から下向きに設けられるロボットと、
前記ロボット又は前記天井板の下面の一方に設けられる、ワークを把持する把持部と、
前記ロボット又は前記天井板の下面の他方に設けられる、前記ワークを加工する第1加工工具と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のバリ取り機械によれば、ロボット、ワークを把持する把持部、及びワークを加工する第1加工工具が、フレームの上部に設けられた天井板の下面に取付けられている。このため、ワークを加工することにより生じる切り粉は、バリ取り機械の中の構成要素に殆ど付着せずに落下し、バリ取り機械の汚れを防止することができる。なお、把持部や第1加工工具が天井板の下面に設けられるとは、把持部や加工工具が天井板の下面に直接設けられることのみならず、何らかの支持物を介して間接的に設けられることも含めることを意図する(後述する第2加工工具においても同様。)。
【0009】
本発明のバリ取り機械の好ましい例は、
前記第1加工工具が前記天井板の下面に設けられ、かつ下向きに配置されている。
【0010】
本発明のバリ取り機械の好ましい例によれば、第1加工工具が下向きに配置されているため、切り粉が上方向に巻き上げられることがない。これにより、切り粉がさらに落下しやすくなり、機械の汚れをより効果的に防止することができる。
【0011】
本発明のバリ取り機械の好ましい例は、
前記第1加工工具が複数設けられ、それぞれの第1加工工具の高さが同じにされている。
【0012】
本発明のバリ取り機械の好ましい例によれば、複数の第1加工工具同士が同じ高さに配置されているため、1つの第1加工工具で生じた切り粉が、他の第1加工工具に付着することがない。
【0013】
本発明のバリ取り機械は、
フレームと、
前記フレームの上部に設けられる天井板と、
前記天井板の下面から下向きに設けられるロボットと、
前記ロボットに設けられる、ワークを把持する把持部と、
前記天井板の下面に1つ以上設けられる、前記ワークを加工する下向きの第1加工工具と、
前記天井板の下面に1つ以上設けられる、前記ワークを加工する横向きの第2加工工具と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のバリ取り機械によれば、横向きの第2加工工具を備えるため、下向きの第1加工工具のみでは対応が難しいバリ取りも行なうことができる。
【0015】
本発明のバリ取り機械の好ましい例は、
前記第1加工工具の回転軸と直交する線より前記第2加工工具が高い位置に設けられている。
【0016】
本発明のバリ取り機械の好ましい例によれば、第1加工工具で生じた切り粉が、第2加工工具及びその構成部品に付着することを防止できる。なお、加工工具の回転軸と直交する線とは、回転軸と直交する線のうち加工工具の刃付がされている箇所から延びる線を意図する。
【0017】
本発明のバリ取り機械は、
前記第2加工工具の回転軸と直交する線から前記第1加工工具が外れた位置に設けられている。
【0018】
本発明のバリ取り機械によれば、第2加工工具で生じた切り粉が、第1加工工具及びその構成部品に付着することを防止できる。
【0019】
本発明のバリ取り機械の好ましい例は、
前記フレームの下部に、落下する切り粉を受ける受け皿を備える。
【0020】
本発明のバリ取り機械の好ましい例によれば、落下する切り粉を受ける受け皿を備えるため、切り粉の排出を容易にすることができる。
【0021】
本発明のバリ取り機械の好ましい例は、
前記受け皿が前記天井板より小さく構成され、前記切り粉を前記受け皿に集める傾斜板を備える。
【0022】
本発明のバリ取り機械の好ましい例によれば、受け皿が天井板より小さく構成されるため、受け皿の取り出し等が容易になり、切り粉の排出をさらに容易にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
上述したように本発明のバリ取り機械によれば、ロボットを天井板から下向きの逆さ方向に設けるとともに、本来のテーブルが設けられる位置に刃物等の構成要素を配置しないことで、汚れにくく掃除を容易にするとともに、切り粉の溜まりによる機械の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバリ取り機械の正面図である。
【
図3】バリ取り機械におけるワークの受け渡しを説明する図である。
【
図6】
図1のB-B線断面図において第1加工工具を複数備える例を説明する図である。
【
図7】
図1のA-A線断面図において第2加工工具を複数備える例を説明する図である。
【
図8】
図1のA-A線断面図において第1加工工具及び第2加工工具を複数備える例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のバリ取り機械1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図3は、バリ取り機械1の構成を説明しやすくするために、バリ取り機械1の正面又は背面のパネル14を取外す等して表わした模式的な図である。また、
図1の奥側に位置する第2加工工具24b等、及び
図2の奥側に位置する第1加工工具24a等は、図を見やすくするために破線で表わしている。また、
図4、
図7及び
図8は、ロボット21の記載を省略しており、ロボット21の基部の位置のみを破線で記載している。また、
図5及び
図6もロボット21の記載を省略している。
【0026】
図1から
図5に示すように、本実施形態のバリ取り機械1は、フレーム10と、天井板20と、ロボット21と、把持部22と、支持部23a,23bと、第1加工工具24aと、第2加工工具24bと、傾斜板25と、受け皿26と、搬入搬出部30とを備える。
【0027】
フレーム10は、下柱11と上柱12と梁13a,13bとを備える。フレーム10の下部である下柱11は、フレーム10の基礎部分をなすものであり、バリ取り機械1の四隅近傍に立設され底板16で連結される。また、下柱11は図示しない梁や筋交い又はその他の構成部品でも必要に応じて適宜連結される。フレーム10の上部である上柱12は、下柱11の上端から上方向に立設されるものである。梁13a,13bは、隣接する上柱12同士を連結して、フレーム10全体の強度を向上させるものである。
【0028】
また、上柱12の周囲には、パネル14が貼設されており、加工時における切り粉の飛散を防止している。このパネル14の一部には、ワーク40の受け渡しのための搬送口15が設けられる。なお、通常の工作機械であれば、上柱12の下端近傍又は下柱11の上端近傍にテーブルが設けられるが、本実施形態のバリ取り機械1ではテーブルは設置されず、下側の梁13bで囲まれた部分及びその付近は空間となっている。
【0029】
天井板20は、フレーム10の上部に設けられるもので、本実施形態では上柱12の上端部分に支持されて配置される。この天井板20の下面に、ロボット21や支持部23a,23b等が設置されるのである。
【0030】
ロボット21は、天井板20の下面から下向き、つまり通常とは逆向きの逆さに設けられるもので、本実施形態では多関節型ロボットを採用している。また、ロボット21の先端には、ワーク40を掴む把持部22が設けられている。
【0031】
支持部23a,23bは、天井板20の下面から下向きに設けられる支柱である。片方の支持部23aの先端には、ワーク40を加工する第1加工工具24aが下向きに設けられている。この第1加工工具24aが下向きとは、第1加工工具24aの回転軸が略垂直であることを意図する。また、もう片方の支持部23bの先端には、ワーク40を加工する第2加工工具24bが横向きに設けられている。この第2加工工具24bが横向きとは、第2加工工具24bの回転軸が略水平であることを意図する。
【0032】
これらの第1加工工具24aと第2加工工具24bの位置関係であるが、下向きに設けられる第1加工工具24aの回転軸から直交する線L1よりも、第2加工工具24b及び第2加工工具24b周囲の構成部品の方を高くすることが好ましい(
図5参照)。
【0033】
さらに、横向きに設けられた第2加工工具24bの回転軸から直交する線L2から、第1加工工具24a及び第1加工工具24a周囲の構成部品を外れた位置に設けることが好ましい(
図4参照)。なお、線L1及び線L2は、図中では簡易的に表示しているが、実際は第1加工工具24a、第2加工工具24bの回転軸から直交する複数の方向に放射状に延びている。
【0034】
また、これらの第1加工工具24a、第2加工工具24bとしては、例えばエンドミル等の回転する切削工具や回転砥石等の研削工具等が採用される。また、第1加工工具24a、第2加工工具24bには、ワーク40が第1加工工具24a、第2加工工具24bに当接されると、所定の力で第1加工工具24a、第2加工工具24bをワーク40に押し付ける押圧装置27a,27b(特開平8-118126号公報、特開2019-188543号公報等参照)が必要に応じて設けられ、さらに第1加工工具24a、第2加工工具24bを回転させるモーター28a,28b等が設けられている。なお、この様に複数本の加工工具を用いる場合、一部の加工工具を比較的粗い加工用にして、他の加工工具を仕上げ用にすることもできる。
【0035】
また、支持部23a,23bの長さは任意であり、ワーク40を第1加工工具24a、第2加工工具24bに当てやすい高さにすることができれば所望の長さにすることができ、場合によっては省略することも可能である。なお、本実施形態のバリ取り機械1とは逆に、ロボット21の先端に加工工具24aを設け、支持部23a,23bの先端に把持部22を設けてワーク40を把持させてもよい。係る場合、図示しない搬送装置で、支持部23a,23bの先端に設けられた把持部22まで、ワーク40を搬送させることになる。
【0036】
さらに、第1加工工具24a、第2加工工具24bともに、本実施形態の1本ずつに限られず、複数本設置することも可能である。例えば、
図6に示すように、支持部23aに設けた第1加工工具24aとは別に、支持部23bにも下向きの第1加工工具24c、押圧装置27c、モーター28cを設けることができる。係る場合、第1加工工具24a,24c同士の高さを略同じにすることが好ましい。
【0037】
また、
図7に示すように、支持部23bに設けた第2加工工具24bとは別に、支持部23aにも横向きの第2加工工具24d、押圧装置27d、モーター28dを設けることができる。係る場合、
図4に示す第2加工工具24bと同じ向きでも隣接する加工工具等に切り粉はあまり付着せず特に問題は無いが、切り粉の付着をさらに防止するために、第2加工工具24bを水平方向に回動させて配置して、第2加工工具24bの回転軸と直交する線L3から、他方の第2加工工具24d、押圧装置27d、モーター28dが外れるようにしてもよい(第2加工工具24dの線L4も同様)。
【0038】
またさらに、
図8に示すように、3本以上の支持部23a,23b,23c,23dとして、第1加工工具24a,24cと第2加工工具24b,24dとを合わせて、加工工具も3本以上配置することも可能である。この様な場合も、第1加工工具24a,24cの高さは略同じにして、第1加工工具24a,24cより第2加工工具24b,24d及び第2加工工具24b,24d周囲の構成部品を高くするとともに、第2加工工具24b,24dの回転軸と直交する線L2,L5から他の加工工具及び加工工具周囲の構成部品が外れるように配置することが好ましい。
【0039】
図1から
図5に戻り、傾斜板25は、切り粉を受け皿26に集めるもので、本実施形態では下柱11の上端近傍からバリ取り機械1の底部の中央に向かって傾斜して設けられている。本実施形態の傾斜板25は、4枚の板を組み合わせて隣接する下柱11同士の隙間を塞ぐとともに、略逆四角錐状をなしている。もっとも、傾斜板25はこれに限られず一部の板のみ傾斜している状態、又は略逆円錐状等の様々な形状を採用することができる。
【0040】
また、傾斜板25の下には、落下する切り粉を受ける受け皿26が設けられる。この受け皿26は、下柱11の下端近傍を連結する底板16の上に配置され、適宜引き出されて中に溜まった切り粉が排出される。この受け皿26は、平面視で天井板20よりも小さく構成されている。
【0041】
搬入搬出部30は、ロボット21にワーク40を受け渡しするもので、サブフレーム31と扉32と中間板33と中間受台34とを備える。サブフレーム31は、搬入搬出部30の各構成要素を支えるもので、正面視で略逆L字形をなしており、一方が上柱12に連結され他方が床面に載置される。扉32は、搬送口15に設けられるもので、ロボット21にワーク40を受け渡すときは開かれ、ワーク40を第1加工工具24a、第2加工工具24bで加工するときは閉じられて切り粉の飛散を防止するものである。中間板33は、搬入搬出部30側の上柱12の下端近傍から延長されるもので、その上に中間受台34が配置される。中間受台34は、図示しない搬送装置から搬送された加工前のワーク40を一旦受け取り、その後ロボット21に受け渡す台であり、必要に応じて適宜昇降動作等をさせることができる。また、中間受台34は、ロボット21から加工後のワーク40を受け取り、図示しない搬送装置に受け渡して次の工程に搬送するときにも使用される。
【0042】
次に、
図1から
図5を参照して、本実施形態のバリ取り機械1の動作時の作用効果について説明する。既に述べたように、新しいワーク40が中間受台34に搬送され、そのワーク40をロボット21に設けられた把持部22が掴み、支持部23a,23bに設けられた第1加工工具24a、第2加工工具24bで加工する。このとき、天井板20の下面に設けられたロボット21が下向きに配置されている。また、加工時に発生する切り粉は重力によって落下する。これにより、バリ取り機械1の内部に切り粉が付着することが殆どなく、機械の汚れを最小限にすることができ、切り粉の溜まりによる故障を防止することができる。
【0043】
また、第1加工工具24aは下向きに設けられて、加工工具の回転軸が略垂直となっている。これにより、加工時に第1加工工具24aの回転によって生じる切り粉Cは、原則として水平方向より下にしか飛ばず、切り粉Cの巻き上げを防止することができる(
図5参照)。ここで、第2加工工具24b及びその周囲の構成部品である押圧装置27b、モーター28bは、第1加工工具24aの回転軸と直交する線L1よりも上に設けられている。これにより、第1加工工具24aによる切り粉が、第2加工工具24b及びその周囲の構成部品に付着することを防止することができる。
【0044】
また、第2加工工具24bは横向きに設けられて、加工工具の回転軸が略水平となっている。このため、第2加工工具24bから生じた切り粉Cは、基本的に回転軸と直交する線L2に添って飛散する(
図4参照)。ここで、第1加工工具24a及びその周囲の構成部品である押圧装置27a、モーター28aは、第2加工工具24bの回転軸と直交する線L2から外れて設けられている。これにより、第2加工工具24bによる切り粉が、第1加工工具24a及びその周囲の構成部品に付着することを防止することができる。なお、第2加工工具の使い方であるが、例えば、穴の中に切り粉が溜まってしまうために、下向きの第1加工工具での加工に適さない、穴の縁のバリ取り等が好適である。
【0045】
また、
図6に示す実施形態においても、切り粉Cは水平より下方向にしか飛散せず、一方の第1加工工具24aで生じた切り粉Cが、他方の第1加工工具24c、押圧装置27c、モーター28cへ付着することを防止することができる。
【0046】
また、
図7に示す実施形態においても、切り粉Cは線L3に沿った方向に飛散するため、一方の第2加工工具24bで生じた切り粉Cが、他方の第2加工工具24d、押圧装置27d、モーター28dへ付着することを防止することができる(線L4においても同様)。さらに
図8に示す実施形態においても、
図6及び
図7同様に、1つの加工工具で生じた切り粉が他の加工工具及び周囲の構成部品に付着することを防止できる。
【0047】
図1から
図5に戻り、ワーク40を加工する際、下側の梁13bに囲われた部分は空間となっているため、そこにはテーブル等がなく、下方に傾斜板25と受け皿26があるだけである。ここで、通常のバリ取り機械1であれば、下柱の上端近傍にテーブルがあり、そこにロボット等が据え付けられているため、テーブルの上やロボットの周囲に切り粉が堆積してしまう。
【0048】
一方、本実施形態のバリ取り機械1であれば、ロボット21、第1加工工具24a、第2加工工具24bの下方には基本的に何もなく、切り粉は傾斜板25と受け皿26とに落ちるだけである。これにより、通常の掃除は、受け皿26を取り出して切り粉を排出するだけで済む。また、通常の加工には主に第1加工工具24aを用い、穴の加工等の必要なときのみ第2加工工具24bを用いるようにすれば、切り粉を殆ど巻き上げさせずに落下させることができ、パネル14や上柱12等に付着する切り粉も最小限に抑えられる。
【0049】
また、特許文献1に開示されているような門形のバリ取り機械1であれば、テーブル、側部フレーム、及び梁状フレーム部材の互いの強度がしっかりしていないと、ワークに対する加工工具(特許文献1では砥石車)の位置が安定せず、精密な加工が困難となる。特許文献1では梁状フレーム部材に伸縮装置を設けることで上下方向のずれを吸収しているものの、水平方向のずれまでは対応することができない。
【0050】
一方、本実施形態のバリ取り機械1では、ロボット21や支持部23a,23b等の構成要素を逆さにしながら、これらを1枚の天井板20に設置している。このため、仮にフレーム10が揺れる等しても、天井板20の下面の平面さえ確保できれば、ワーク40と第1加工工具24a及び第2加工工具24bとの位置関係がずれることがなく、加工の精度を保つことができる。
【0051】
このように、本実施形態のバリ取り機械1によれば、バリ取り機械1の各構成要素への切り粉の付着を大幅に減らすことができ、通常の稼働時においてもメンテナンス時においても、掃除を省力化することができる。また、切り粉の溜まりによる機械の故障も防止することができる。また、1つの天井板20にロボット21と支持部23a,23bを設けることで、加工の精度も保つことができる。
【0052】
なお、上述のバリ取り機械1は本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。例えば、第1加工工具のみを備える構成では、第1加工工具の向きを横向きや斜め方向等、所望の方向に取付けることができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・バリ取り機械、
10・・フレーム、11・・下柱、12・・上柱、13a,13b・・梁、14・・パネル、15・・搬送口、16・・底板、
20・・天井板、21・・ロボット、22・・把持部、23a,23b,23c,23d・・支持部、24a,24c・・第1加工工具、24b,24d・・第2加工工具、25・・傾斜板、26・・受け皿、27a,27b,27c,27d・・押圧装置、28a,28b,28c,28d・・モーター、
30・・搬入搬出部、31・・サブフレーム、32・・扉、33・・中間板、34・・中間受台、
40・・ワーク、