(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097347
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20220623BHJP
A47C 3/18 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B60N2/14
A47C3/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056158
(22)【出願日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】63/199300
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 治希
【テーマコード(参考)】
3B087
3B091
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BA07
3B087BB04
3B087BB12
3B087BB14
3B087BC19
3B087BC22
3B091EA03
3B091EA04
(57)【要約】
【課題】シート本体と一体に回転する回転支持体が、軸受を介してベース体に回転自在に支持される車両用シート装置において、回転支持体及びベース体間に緊密に接触して回転支持体のがたつきを抑制可能なガタ抑制部材の、回転支持体・ベース体への接触作用点を、回転支持体の回転中心から遠ざけるようにし、更に乗員が着座中に前後又は左右に傾く等してシート本体が偏荷重を受けた場合でもシート本体から回転支持体への荷重入力箇所の直下にガタ抑制部材を配置することで、回転支持体のベース体に対するガタつきを効果的に抑制可能とする。
【解決手段】ガタ抑制部材70は、軸受45よりも径方向外方側に配置され、且つ該ガタ抑制部材70の少なくとも一部が、平面視でシート本体S及び回転支持体30相互の結合部31と重なる位置に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロア部(16)に連結、支持されるベース体(40)と、シート本体(S)に一体に回転するよう結合されて該シート本体(S)を支持する回転支持体(30)と、その回転支持体(30)を前記ベース体(40)に鉛直軸線回りに回転可能に支持させる軸受(45)と、前記ベース体(40)及び前記回転支持体(30)間に設けられて該回転支持体(30)を複数の回転位置の1つに選択的にロック可能なロック機構(L)と、そのロック機構(L)により前記回転支持体(30)が回転位置をロックされた状態で、該回転支持体(30)及び該ベース体(40)間に緊密に接触した接触状態となって該回転支持体(30)のがたつきを抑制するガタ抑制部材(70)と、前記ロック機構(L)が前記回転支持体(30)の回転位置をロック解除するのに応じて前記ガタ抑制部材(70)が前記接触状態を解除するように、該ガタ抑制部材(70)を前記ロック機構(L)に連動させる連動部材(60)とを備えた車両用シート装置において、
前記ガタ抑制部材(70)は、前記軸受(45)よりも径方向外方側に配置され、且つ該ガタ抑制部材(70)の少なくとも一部が、平面視で前記シート本体(S)及び前記回転支持体(30)相互の結合部(31)と重なる位置に配置されることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項2】
前記ガタ抑制部材(70)の少なくとも一部は、前記ベース体(40)が前記フロア部(16)に連結される連結部(SL)と平面視で重なる位置に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項3】
前記シート本体(S)の、乗員が座るシート座部(Sc)は、該シート座部(Sc)の左右両側部の骨格となる左右のサイドフレーム(11a)を備え、
前記結合部(31)は、前記左右のサイドフレーム(11a)と前記回転支持体(30)の左右両側部とをそれぞれ結合する、ボルト(31b)を含む結合部であることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記回転支持体(30)及び前記ベース体(40)は、平面視で概略矩形状に形成されており、
前記ガタ抑制部材(70)は、前記回転支持体(30)の四隅部分に径方向摺動可能に支持されて所定のガタ抑制位置と抑制解除位置との間を移動可能な主体部(71)を備えており、
前記主体部(71)は、前記ベース体(40)の四隅部分に固定の第1受け部(81)と前記回転支持体(30)の四隅部分に固定の第2受け部(82)との相互間に楔状に押込み・圧接可能な先細り状の先部(71a)を有することを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記回転支持体(30)の四隅部分には、前記主体部(71)を前記ガタ抑制位置に向けて常時付勢するばね(76)を支持するばね支持部材(77)が固定されていて、そのばね支持部材(77)に、前記主体部(71)が径方向摺動可能に支持されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記連動部材(60)は、円形リング板状に形成されて前記軸受(45)に対しその径方向外方側で同心状に配置され且つ前記ロック機構(L)のロック・ロック解除に応じて前記回転支持体(30)に対し相対回動可能な連動部材本体(61)と、その連動部材本体(61)に連設されて前記ロック解除に応じ前記主体部(71)を前記抑制解除位置に駆動する駆動部(62)とを一体に備えることを特徴とする、請求項4に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記第2受け部(82)を一体に有して前記回転支持体(30)の四隅部分に固定された支持枠(91)が、前記主体部(71)を径方向摺動可能に支持していることを特徴とする、請求項4に記載の車両用シート装置。
【請求項8】
前記回転支持体(30)の四隅部分には、前記主体部(71)を前記ガタ抑制位置に向けて常時付勢するばね(76)を支持するばね支持部材(77)が固定されていて、そのばね支持部材(77)に、前記連動部材本体(61)が回転摺動可能に支持されることを特徴とする、請求項6に記載の車両用シート装置。
【請求項9】
前記第1,第2受け部(81,82)は、上下方向で相対向して配置され、
前記先部(71a)は、前記第1,第2受け部(81,82)間に上下方向に挟まれるように介挿可能であることを特徴とする、請求項4に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート装置、特に車体のフロア部に固定可能に設けられるベース体と、シート本体に一体に回転するよう結合されてシート本体を支持する回転支持体と、その回転支持体をベース体に鉛直軸線回りに回転可能に支持させる軸受と、ベース体及び回転支持体間に設けられて回転支持体を複数の回転位置の1つに選択的にロック可能なロック機構と、そのロック機構により回転支持体が回転位置をロックされた状態で、ベース体と回転支持体とに緊密に接触した接触状態となって回転支持体のがたつきを抑制するガタ抑制部材と、ロック機構が回転支持体の回転位置をロック解除するのに応じてガタ抑制部材が前記接触状態を解除するように、ガタ抑制部材をロック機構に連動させる連動部材とを備えた車両用シート装置に関する。
【0002】
本発明及び本明細書において、「径方向」とは、回転支持体(従ってシート本体)の回転軸線を中心軸線とした仮想円の半径方向をいい、また「周方向」とは、前記仮想円の円周方向をいう。
【背景技術】
【0003】
上記車両用シート装置において、ベース体に回転支持体を支持する軸受に対し、ガタ抑制部材が径方向で略同一位置又は内方位置に配設されるものは、例えば特許文献1,2に記載されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-160556号公報
【特許文献2】国際公開2020-110984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでガタ抑制部材は、回転支持体が回転位置をロックされた状態で、ベース体と回転支持体とに緊密に接触して回転支持体のがたつきを抑制するが、その抑制効果は、ガタ抑制部材の、回転支持体・ベース体への接触作用点が回転支持体の回転中心から遠ければ遠いほどレバー比の関係でより強力に発揮される。しかし特許文献1,2の従来装置のようにガタ抑制部材が軸受に対し径方向で略同一位置又は内方位置(即ち径方向内方寄り)に配置される構造では、ガタ抑制効果が十分には期待できなかった。
【0006】
そこでガタ抑制効果を高めるために、ガタ抑制部材を軸受よりも径方向外方側に配置することが考えられるが、その配置だけではガタつき抑制に十分ではない。即ち、シートに座る乗員の前後・左右への体重移動に伴いシート本体より回転支持体が受ける荷重分布変化にも配慮したガタ抑制対策をとるべきことを本発明者は究明した。
【0007】
例えば、乗員が着座中に前後又は左右に傾く等してシート本体が偏荷重を受ける場合、その荷重分布が高いシート本体部位では、その直下(即ちシート本体から回転支持体への荷重入力箇所の真下)において、軸受より外方側の回転支持体を下方に沈み込ませる力が加わり、一方、その荷重分布が低いシート本体部位では、その直下(即ち上記荷重入力箇所の真下)において、軸受より外方側の回転支持体を上方へ浮き上がらせてベース体から剥離させる方向への力が加わる。そして、このような偏った力の加わり方が回転支持体のガタつき発生要因となる。
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、簡単な構造で従来装置の上記課題を解決可能とした車両用シート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、車体のフロア部に固定可能に設けられるベース体と、シート本体に一体に回転するよう結合されて該シート本体を支持する回転支持体と、その回転支持体を前記ベース体に鉛直軸線回りに回転可能に支持させる軸受と、前記ベース体及び前記回転支持体間に設けられて該回転支持体を複数の回転位置の1つに選択的にロック可能なロック機構と、そのロック機構により前記回転支持体が回転位置をロックされた状態で、前記ベース体と前記回転支持体とに緊密に接触した接触状態となって該回転支持体のがたつきを抑制するガタ抑制部材と、前記ロック機構が前記回転支持体の回転位置をロック解除するのに応じて前記ガタ抑制部材が前記接触状態を解除するように、該ガタ抑制部材を前記ロック機構に連動させる連動部材とを備えた車両用シート装置において、前記ガタ抑制部材は、前記軸受よりも径方向外方側に配置され、且つ該ガタ抑制部材の少なくとも一部が、平面視で前記シート本体及び前記回転支持体相互の結合部と重なる位置に配置されることを第1の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ガタ抑制部材の少なくとも一部は、前記ベース体が前記フロア部に連結される連結部と平面視で重なる位置に配置されることを第2の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記シート本体の、乗員が座るシート座部は、該シート座部の左右両側部の骨格となる左右のサイドフレームを備え、前記結合部は、前記左右のサイドフレームと前記回転支持体の左右両側部とをそれぞれ結合する、ボルトを含む結合部であることを第3の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記回転支持体及び前記ベース体は、平面視で概略矩形状に形成されており、前記ガタ抑制部材は、前記回転支持体の四隅部分に径方向摺動可能に支持されて所定のガタ抑制位置と抑制解除位置との間を移動可能な主体部を備えており、前記主体部は、前記ベース体の四隅部分に固定の第1受け部と前記回転支持体の四隅部分に固定の第2受け部との相互間に楔状に押込み・圧接可能な先細り状の先部を有することを第4の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第4の特徴に加えて、前記回転支持体の四隅部分には、前記主体部を前記ガタ抑制位置に向けて常時付勢するばねを支持するばね支持部材が固定されていて、そのばね支持部材に、前記主体部が径方向摺動可能に支持されることを第5の特徴としている。
【0014】
また本発明は、第4の特徴に加えて、前記連動部材は、円形リング板状に形成されて前記軸受に対しその径方向外方側で同心状に配置され且つ前記ロック機構のロック・ロック解除に応じて前記回転支持体に対し相対回動可能な連動部材本体と、その連動部材本体に連設されて前記ロック解除に応じ前記主体部を前記抑制解除位置に駆動する駆動部とを一体に備えることを第6の特徴とする。
【0015】
また本発明は、第4の特徴に加えて、前記第2受け部を一体に有して前記回転支持体の四隅部分に固定された支持枠が、前記主体部を径方向摺動可能に支持していることを第7の特徴とする。
【0016】
また本発明は、第6の特徴に加えて、前記回転支持体の四隅部分には、前記主体部を前記ガタ抑制位置に向けて常時付勢するばねを支持するばね支持部材が固定されていて、そのばね支持部材に、前記連動部材本体が回転摺動可能に支持されることを第8の特徴とする。
【0017】
また本発明は、第4の特徴に加えて、前記第1,第2受け部は、上下方向で相対向して配置され、前記先部は、前記第1,第2受け部間に上下方向に挟まれるように介挿可能であることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガタ抑制部材は、軸受よりも径方向外方側に配置されるので、ガタ抑制部材の回転支持体・ベース体への接触作用点を、回転支持体の回転中心から遠ざけることができ、これにより、ガタ抑制部材によるガタ抑制効果を、回転中心からのレバー比の関係で従来装置よりも強力に発揮させることができる。また、シートに座る乗員の前後・左右への体重移動に伴いシート本体が受ける荷重分布に偏りが生じて、回転支持体及びベース体間でガタつきの発生が懸念される場合でも、本発明では、特にガタ抑制部材の少なくとも一部が、平面視でシート本体及び回転支持体相互の結合部と重なる位置に配置されるので、この結合部(即ちシート本体から回転支持体への荷重入力箇所)の真下に存するガタ抑制部材が、ガタつき抑制効果をより有効に発揮でき、これにより、ガタつきを効果的に抑えることができる。
【0019】
また第2の特徴によれば、ガタ抑制部材の少なくとも一部は、ベース体が車体フロア部に連結される連結部と平面視で重なる位置に配置されるので、ガタ抑制部材は、これを受け止めるベース体が車体フロア部に連結される部位にも重なる配置となり、これにより、ガタ抑制効果をさらに効果的に発揮でき、ガタつきがより効率よく抑えられる。
【0020】
また第3の特徴によれば、シート本体及び回転支持体相互の結合部(即ち上記荷重入力箇所)は、シート座部の左右のサイドフレームと回転支持体の左右両側部とをそれぞれ結合する、ボルトを含む結合部であるので、そのサイドフレームから回転支持体への強固な荷重入力部の直下にガタ抑制部材を配備でき、ガタつき抑制効果を有効に発揮させることができる。
【0021】
また第4の特徴によれば、回転支持体及びベース体は、平面視で概略矩形状に形成されており、ガタ抑制部材は、回転支持体の四隅部分に径方向摺動可能に支持されてガタ抑制位置と抑制解除位置との間を移動可能な主体部を備え、主体部は、ベース体の四隅部分に固定の第1受け部と回転支持体の四隅部分に固定の第2受け部との相互間に楔状に押込み・圧接可能な先細り状の先部を有するので、ガタ抑制部材やこれを受ける第1,第2受け部を、各々矩形状をなす回転支持体及びベース体の四隅のデッドスペースを活用して、コンパクトに配備可能となる。また、ガタ抑制部材の主体部は、これの摺動方向(径方向)に長めに形成された場合でも、回転支持体の四隅部分に無理なく配置可能であるばかりか、該四隅部分に位置する前記結合部の直下まで無理なく延ばすことができる。
【0022】
また第5の特徴によれば、回転支持体の四隅部分には、主体部をガタ抑制位置に向けて常時付勢するばねを支持するばね支持部材が固定されていて、そのばね支持部材に、主体部が径方向摺動可能に支持されるので、ばね支持部材が、ガタ抑制部材に対する摺動案内手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化に寄与することができる。
【0023】
また第6の特徴によれば、連動部材は、円形リング板状に形成されて軸受に対しその径方向外方側で同心状に配置され且つロック機構のロック・ロック解除に応じて回転支持体に対し相対回動可能な連動部材本体と、その連動部材本体に連設されてロック解除に応じ主体部を抑制解除位置に駆動する駆動部とを一体に備えるので、ロック機構の周方向位置に関係なく、ロック機構とガタ抑制部材との相互間を連動部材により連係させることができ、それだけロック機構の設計自由度を高めることができる。
【0024】
また第7の特徴によれば、第2受け部を一体に有して回転支持体の四隅部分に固定された支持枠が、主体部を径方向摺動可能に支持するので、第2受け部を兼ねる支持枠が、ガタ抑制部材に対する摺動案内手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化に寄与することができる。
【0025】
また第8の特徴によれば、回転支持体の四隅部分には、主体部をガタ抑制位置に向けて常時付勢するばねを支持するばね支持部材が固定されていて、そのばね支持部材に、連動部材本体が回転摺動可能に支持されるので、ばね支持部材が、連動部材に対する摺動支持手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化に寄与することができる。
【0026】
また第9の特徴によれば、第1,第2受け部は、上下方向で相対向して配置され、先部は、第1,第2受け部間に上下方向に挟まれるように介挿可能であるので、第1,第2受け部の相互間にガタ抑制部材の主体部が押込み・圧接される際に主体部を上下方向に確実に挟持可能であり、これにより、ガタ抑制部材が上下にがたつくのをより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る車両用シート装置の一実施形態を示す全体斜視図
【
図2】前記シート装置のシート座部の要部(特に回転支持体以下の要素)を示す斜視図
【
図3】
図2の3矢視図であって、ロック機構がロック作動状態にある場合を示す
【
図4】ロック機構の要部拡大平断面図であって、実線はロック作動状態を、また鎖線はロック解除状態をそれぞれ示す
【
図5】
図3の5-5線拡大断面図(ロック機構がロック作動状態)
【
図6】
図3の5-5線拡大断面図(ロック機構がロック解除状態)
【
図9】連動部材とガタ抑制部材との連係構造を示す平断面図であって、(A)はロック機構がロック作動状態にある場合を示す図(
図5の9A-9A線拡大断面図)であり、また(B)はロック機構がロック解除状態にある場合を示す
図9(A)対応断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、座った乗員が前向きとなる姿勢にシートがある状態で当該乗員から見た方向を言うものとする。
【0029】
先ず、
図1において、車両に搭載される車両用シート装置10のシート本体Sは、乗員の尻部を載せるシート座部Scと、そのシート座部Scの後部上方に起立して乗員の背中や腰を支持するシートバック部Sbとを備える。
【0030】
シート本体Sの骨格となるシートフレームSFは、シート座部Scの骨格となる座部フレームSFcと、シートバック部Sbの骨格となるバックフレームSFbとを備え、座部フレームSFcは、シートクッションパッドPcで覆われ、またバックフレームSFbはシートバックパッドPbで覆われる。バックフレームSFbは、座部フレームSFcの後端部に電動式又は手動式リクライニング機構(何れも従来周知)を介して前後揺動可能に支持される。
【0031】
座部フレームSFcは、左右に間隔をおいて並び且つ前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム11aと、それらのサイドフレーム11aの前端部間を連結するフロントフレーム11bと、一対の前記サイドフレーム11aの後端部間を連結するリヤパイプ11cとを有する。フロントフレーム11bには、両サイドフレーム11a間を結合するパンフレーム11pが固定される。またフロントフレーム11bおよびリヤパイプ11c間には、左右方向に間隔をおいて並び且つ各々がジグザグに折れ曲がりつつ前後方向に延びる複数のシートスプリング12の前後端部が架け渡される。
【0032】
またバックフレームSFbは、左右の間隔をおいて並び且つ上下方向に延びる左右一対のサイドフレーム13aと、左右のサイドフレーム13aの下端部間を連結する下部横フレーム13bと、左右のサイドフレーム13aの上端部間を連結する上部横フレーム13cとを有する。そして、左右のサイドフレーム13a間には、複数のシートスプリング14の左右両端部が架け渡され、また上部横フレーム13cには、ヘッドレストを支持するヘッドレスト支持部13chが固設される。
【0033】
図2~
図8を併せて参照して、車両用シート装置10は、これの土台枠として機能するベース体40を最下部に有しており、そのベース体40は、中心部に大きな円形孔40hを有して平面視矩形状に形成される。ベース体40の左右両側部の下面には、前後方向に延びる左右一対の可動レール15が固着されており、それら可動レール15は、車体のフロア部16に固着されて前後方向に延びる左右一対の固定レール17にそれぞれ前後摺動可能に支持される。
【0034】
而して、可動レール15及び固定レール17は、互いに協働して、フロア部16にベース体40を前後摺動のみ可能に連結、支持する前後スライド機構SLを構成する。そして、この前後スライド機構SLは、フロア部16にベース体40を連結する連結部を構成している。
【0035】
可動レール15と固定レール17間には、可動レール15(即ちベース体40、延いてはシート本体S)の前後位置を任意に調節・固定可能な従来周知の前後位置調節機構(図示せず)が配設され、その前後位置調節機構は、これに連動連結されてシート座部Scの下部前方に張出す操作レバー18により手動操作される。
【0036】
尚、上記前後位置調節機構は、これを省略してもよく、その場合は、車体のフロア部16上にベース体40が前後位置調節不能に固着され、その固着部が連結部を構成する。
【0037】
またベース体40とシート座部Scとの間には、シート座部Sc(従ってシート本体S)を鉛直軸線回りに回転可能に支持するシート回転機構Rが設けられる。即ち、ベース体40の上方には、シート座部Scと共に回転可能な回転支持体30が配置され、その回転支持体30は、これの前後左右の四隅部分が、シート座部Sc(より具体的には座部フレームSFcの左右のサイドフレーム11a)にそれぞれ固着(例えば複数組のボルト31b・ナット31nで締結)される。
【0038】
而して、ボルト31b及びナット31nは、シート本体Sを回転支持体30に結合する結合部31を構成する。尚、ボルト31bの頭部は、回転支持体30に固着(例えば溶接)することで、ボルト31bを回転支持体30の上面より起立するスタッドボルトとしてもよい。
【0039】
回転支持体30は、中心部に大きな円形孔30hを有して平面視矩形状に形成され、その回転支持体30とベース体40の内周部の相互間には、回転支持体30を鉛直軸線回りに回転可能に支持する軸受45(例えばボール軸受)が介装される。
【0040】
ベース体40の内周部上面には、軸受45の下側のボール受け凹部を一体に有する円形リング状のベース板41が重合、固着(例えばボルト止め)され、軸受45は、ベース板41を介してベース体40の内周部に支持される。一方、回転支持体30は、これの内周部下面に軸受45の上側のボール受け凹部を一体に有しており、その回転支持体30の内周部上面は、円環状のスライダ46を介して環状の保持プレート47に回転摺動可能に保持される。
【0041】
その保持プレート47は、円筒状をなす外周起立壁47wと、その外周起立壁47wの下端に連設されるスライダ保持部47sと、スライダ保持部47sの内周端に連設される内向きフランジ部47fとを一体に有しており、フランジ部47fが複数の固定具48(例えばリベット、ボルト等)でベース板41(従ってベース体40)の内周部に重合、固着される。
【0042】
また、回転支持体30とベース体40との間には、回転支持体30(従ってシート本体S)を複数の回転位置の1つに選択的にロック可能なロック機構Lと、ロック機構Lにより回転支持体30が各回転位置をロックされた状態で回転支持体30のがたつきを抑制するガタ抑制機構Gと、そのガタ抑制機構Gのガタ抑制機能を通常は有効に発揮可能とするが、ロック機構Lがロック解除操作されるのに応じて上記ガタ抑制機能を一時的に無効化するようにガタ抑制機構Gをロック機構Lに連動させる連動機構Iとが介装される。次にこれら機構L,G,Iの具体的な一例を順に説明する。
【0043】
ロック機構Lは、回転支持体30の前部に中間部が回動操作可能に軸支51pされたベルクランク状のロックレバー51と、ロックレバー51及び回転支持体30間に張設されてロックレバー51をロック方向(
図3,4で反時計回り)に付勢するロックばね53と、回転支持体30の短円筒状をなす中間起立壁30wに設けたロック孔32と、前記保持プレート47の外周起立壁47wに設けたロック孔42と、ロックレバー51の先部腕51aに突設されてロック孔32,42に係脱可能なロック爪54とを備える。
【0044】
而して、ロック機構Lは、ロックレバー51が
図3~
図5実線に示すロック作動位置にあるときは、ロック爪54が両ロック孔32,42に係合することで回転支持体30(従ってシート本体S)の回転位置がロックされる。またロックレバー51がロック解除操作されて、
図4鎖線や
図6に示すロック解除位置にあるときは、ロック爪54が少なくともロック孔42より離脱することで回転支持体30のベース体40に対する相対回転が許容され、これにより、シート本体Sを任意の回転位置まで回転操作可能となる。
【0045】
ロック孔32は、ロック爪54に対応してロックレバー51の周辺に1つだけ配置されるが、ロック孔42は、ロック機構Lでロックすべきシート本体Sの複数の回転位置に対応して複数配置される。例えば、図示例ではシート本体Sの回転位置を、2つの回転位置、即ちシート本体Sが前方を向く正面回転位置とそこから180度位相をずらして後方を向く背面回転位置との2段階に選択可能としている関係で、
図2,
図3で明らかなように、ロック孔42が保持フレーム47の前部と後部とにおいて、180度位相をずらした位置に設定される。
【0046】
ロックレバー51の基部腕51bは、シート座部Sbの前部下方より前方に張り出していて、乗員が手動操作可能な操作レバーとして機能する。そして、このロックレバー51の基部腕51bは、後述するように連動機構Iに連動連結される。
【0047】
連動機構Iは、前記軸受45に対しその径方向外方側で同心状に配置されて回転支持体30に回転摺動可能に支持される連動部材60と、ロックレバー51の揺動操作を連動部材60に連係させる連係機構59とを備える。
【0048】
連動部材60は、円形リング板状に形成されてロック機構Lのロック・ロック解除に応じて回転支持体30に対し相対回動する連動部材本体61と、その連動部材本体61に一体に連設されてロック機構Lのロック解除操作に応じ後述するガタ抑制部材70の主体部71を被動部72を介して抑制解除位置側に駆動する駆動部62とを一体に備える。
【0049】
連動部材本体61の内周部は、回転支持体30の中間起立壁30w外周に回転可能に且つ同心状に嵌合、支持され、また連動部材本体61の下面は、後述するばね支持部材77の基部77bの上面に摺動可能に支持される。そして、連動部材本体61の外周前部には径方向外側(前方側)に張出すブラケット部61bが一体に突設される。
【0050】
前記連係機構59は、ブラケット部61bの先部に設けた長孔又はスリット61bsと、その長孔又はスリット61bsに摺動可能に係合し且つロックレバー51の基部腕51bの中間部に固設した係合ピン51kとを備える。例えば、ロックレバー51をロック解除方向(
図4で時計方向:白抜き矢印方向)にロック解除操作すると、それに応じて前記長孔又はスリット61bs内を係合ピン51kが摺動しつつロックレバー51の回動力がブラケット部61bに伝達されて、連動部材60を同方向に所定角度回動させる。
【0051】
而して、連動機構Iは、ロックレバー51の動きを連動部材60を介してガタ抑制部材70に伝えるものであり、例えば、ロックレバー51がロックばね53の弾発力に抗してロック解除方向(
図4で白抜き矢視方向)にロック解除操作されると、その操作に応じて連動部材60を、
図6,
図9(B)に示すようにガタ抑制部材70が一時的に無効化(即ち抑制解除位置に保持)する方向に回動させる。
【0052】
次に
図5~
図9を主として参照して、回転支持体30の回転位置がロック機構Lによりロックされた状態で回転支持体30のがたつきを抑制するガタ抑制機構Gの一例を説明する。ガタ抑制機構Gは、ベース体40と回転支持体30とに緊密に接触して上記がたつきを抑制するガタ抑制部材70を主要部品とする。即ち、ガタ抑制部材70は、軸受45よりも径方向外方側に位置しており、しかも平面視で略矩形状をなす回転支持体30の四隅部分に径方向摺動可能に配設される。
【0053】
またガタ抑制部材70の少なくとも一部は平面視で、シート本体S及び回転支持体30相互の、ボルト31bを含む結合部31と重なり、且つまたベース体40がフロア部16に連結される連結部(即ち前後スライド機構SL)にも重なる位置に配置される。
【0054】
そして、ガタ抑制部材70の主体部71は、
図5~
図9でも明らかなように、上下に扁平で径方向に長く形成され且つ回転支持体30に径方向摺動可能に支持される。この主体部71の先細りの先部71aは、ベース体40に固定の第1受け部81と回転支持体30に固定の第2受け部82の相互間に抜差可能であり且つその相互間に楔状に押込み・圧接できるように構成される。
【0055】
即ち、主体部71の先部71aは、これの水平且つ平坦な上面が第1受け部81に圧接可能な第1圧接面71f1となり、またその先部71aの幅方向両側部の下面が、第2受け部82に圧接可能な一対の第2圧接面71f2となる。そして、第2圧接面71f2は、主体部71の先端に向かって上り勾配の傾斜面にそれぞれ形成される。
【0056】
この主体部71の基部71b上面には、ロック機構Lのロック解除操作の際に主体部71を第1,第2受け部81,82への押込方向とは逆方向に駆動してガタ抑制部材70を無効とする駆動力を連動部材60(より具体的には駆動部62)より受ける被動部72が上向きに突設される。
【0057】
第1受け部81は、径方向内方側(即ち主体部71を向く側)を開放したボックス状に形成されてベース体40上に立設固定された枠体90の天井壁90tより構成される。その天井壁90tは、径方向内方側に延長されていて、主体部71の前記第1圧接面71f1との十分な接触面積を確保可能としている。
【0058】
また第2受け部82は、側面視L字状に各々形成されて回転支持体30の下面に下向きに突設される一対の支持枠91の、傾斜した先部上面で構成されていて、ガタ抑制部材70の前記一対の第2圧接面71f2をそれぞれ摺動可能に当接、支持する。その両支持枠91は、各々の基部側において主体部71の中間部を径方向摺動可能に支持する。
【0059】
その一対の支持枠91の基部内側面と主体部71の左右両側面との相対向面(即ち摺動面)間の何れか一方には摺動方向に延びる突条71tが、また何れか他方には突条71tに凹凸係合する凹溝91oがそれぞれ形成される。これにより、主体部71を径方向摺動可能に回転支持体30に支持させる上記支持枠91が、ガタ抑制部材70と協働してガタ抑制機能を果たす第2受け部82に兼用され、それだけ構造簡素化を達成可能となる。
【0060】
そして、主体部71の一部及び第1,第2受け部81,82の一部が、平面視でシート本体Sと回転支持体30との前記結合部31と重なる。この場合、ガタ抑制部材70の主体部71は、これが径方向に長く形成されることで、結合部31の直下位置まで無理なく延ばすことができる。
【0061】
また実施形態では、複数組のガタ抑制部材70や複数のばね支持部材77が、回転支持体30の周方向に間隔をおいて(即ち回転支持体30の四隅に)配設される。これにより、回転支持体30及びベース体40の四隅のスペースを活用して、ガタ抑制部材70や第1,第2受け部81,82等を無理なくコンパクトに配備可能となる。
【0062】
図5~
図9で明らかなように、ガタ抑制部材70の被動部72は、主体部71の基部上面に上向きに突設されたピン状に形成され、且つその被動部72の駆動部62との対向面が半円筒面に形成される。また連動部材60の駆動部62は、連動部材本体61の外周部より径方向外方側に向かって被動部72側に傾斜した平板状のカム体で構成される。その被動部72の上端は、連動部材本体61の外周上部より径方向外方側に一体に延びる扁平な補強板部61tに一体に接続され、これにより被動部72が補強される。
【0063】
かくして、
図9で明らかなように、ロック機構Lのロック解除操作に連動して回動する連動部材60の駆動部62が、被動部72(従って主体部71)を摺動させつつ径方向内方側に駆動でき、これにより、主体部71を第1,第2受け部81,82間から引き出す(即ちガタ抑制部材70のガタ抑制機能を無効化する)ことができ、この引き出しに伴い、回転支持体30の任意の回転位置への回転も許容される。
【0064】
また実施形態では、主体部71を第1,第2受け部81,82の相互間に押込み・圧接可能な径方向外向きの弾発力をガタ抑制部材70に付与するばね76と、ばね76の基端を回転支持体30に支持させるばね支持部材77とが主体部71の径方向内方側に配備される。ばね支持部材77は、径方向内方寄りの基部77bの周方向両端部が回転支持体30のボルト95で固定され、その基部77bに、コイルばねよりなるばね76の基端を嵌合させる支持ピン77pが突設される。またばね支持部材77は、これの先部77cにおいて、主体部77の基部下面を摺動可能に支持する。
【0065】
而して、ロック機構Lが回転支持体30を所望の回転位置にロックする状態では、回転支持体30にばね支持部材77を介して支持される上記ばね76は、これの弾発力に基づき主体部71(ガタ抑制部材70)を第1,第2受け部81,82の相互間に押込むことで楔作用を発揮させることができ、これにより回、転支持体30(従ってシート本体S)のがたつきを抑制可能である。その上、ばね支持部材77は、これの前記基部77bの上面が、連動部材60(連動部材本体61)を1相対回動可能に支持する連動部材受け部77haを有する。
【0066】
かくして、ばね76の基端を支持するばね支持部材77は、連動部材60及びガタ抑制部材70(主体部71)を摺動可能に支持する各支持手段に兼用できるため、構造簡素化に寄与することができる。
【0067】
また第1,第2受け部81,82は、上下方向で相対向して配置されており、その両受け部81,82の相互間に主体部71が押込み・圧接される際に主体部71を上下方向に確実に挟持可能であるため、主体部71(ガタ抑制部材70)が上下にがたつくのをより効果的に抑制できる。
【0068】
次に実施形態の作用を説明する。実施形態のガタ抑制部材70は、軸受45よりも径方向外方側に配置され、この配置により、ガタ抑制部材70の回転支持体30・ベース体40への接触作用点を、回転支持体30の回転中心から遠ざけることができる。これにより、ガタ抑制部材70によるガタ抑制効果を、回転中心からのレバー比の関係で従来装置よりも強力に発揮させることができる。
【0069】
またシート座部Scに座る乗員の前後・左右への体重移動に伴いシート本体Sから回転支持体30が受ける荷重分布に偏りが生じて、回転支持体30及びベース体40間にガタつきが発生する虞れがある。この場合、実施形態では、ガタ抑制部材70の少なくとも一部が、平面視でシート本体S及び回転支持体30相互のボルト31bを含む結合部31と重なる位置に配置されるので、この結合部31(即ちシート本体Sから回転支持体30への荷重入力箇所)の真下に存するガタ抑制部材70が、ガタつき抑制効果をより有効に発揮できる。これにより、回転支持体30のガタつきが効果的に抑えられる。
【0070】
その上、ガタ抑制部材70の少なくとも一部は、ベース体40が車体フロア部13に連結される連結部(前後スライド機構SL)と平面視で重なる位置に配置される。即ち、ガタ抑制部材70は、これを第1受け部81を介して受け止めるベース体40と、車体フロア部13との連結部(前後スライド機構SL)にも平面視で重なる配置となるため、ガタ抑制効果をさらに効果的に発揮可能となり、回転支持体30のガタつきがより効率よく抑えられる。
【0071】
また実施形態の回転支持体30及びベース体40は、平面視で概略矩形状に形成されており、ガタ抑制部材70は、回転支持体30の四隅部分に径方向摺動可能に支持されて所定のガタ抑制位置と抑制解除位置との間を移動可能な主体部71を備え、主体部71は、ベース体40の四隅部分に固定の第1受け部81と回転支持体30の四隅部分に固定の第2受け部82との相互間に楔状に押込み・圧接可能な先細り状の先部71aを有する。
【0072】
これにより、ガタ抑制部材70やこれを受ける第1,第2受け部81,82を、各々が矩形状をなす回転支持体30及びベース体40の四隅のデッドスペースを活用して、コンパクトに配備可能となる。また、ガタ抑制部材70の、径方向摺動可能な主体部71は、これの摺動方向(径方向)に長めに形成された場合でも、回転支持体30の四隅部分に無理なく配置可能であるばかりか、その四隅部分に位置する前記結合部31の直下まで無理なく延ばすことができる。
【0073】
また回転支持体30の四隅部分には、ガタ抑制部材70の主体部71をガタ抑制位置に向けて常時付勢するばね76を支持するばね支持部材77が固定されていて、そのばね支持部材77に、ガタ抑制部材70の主体部71が径方向摺動可能に支持されるので、ばね支持部材77が、ガタ抑制部材70に対する摺動案内手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化が図られる。
【0074】
また連動部材60は、円形リング板状に形成されて軸受45に対しその径方向外方側で同心状に配置され且つロック機構Lのロック・ロック解除に応じて回転支持体30に相対回動可能に支持される連動部材本体61と、その連動部材本体61に連設されてロック機構Lのロック解除操作に応じ主体部71を抑制解除位置に駆動する駆動部62とを一体に備える。これにより、ロック機構Lの周方向位置に関係なく、ロック機構Lとガタ抑制部材70との相互間を、連動部材60を介して連係させることができ、それだけロック機構Lの設計自由度を高められる。
【0075】
また第2受け部82を一体に有して回転支持体30の四隅部分に固定された支持枠91が、主体部71を径方向摺動可能に支持するので、第2受け部82を兼ねる支持枠91が、ガタ抑制部材70に対する摺動案内手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化が図られる。
【0076】
また、回転支持体30の四隅部分には固定したばね支持部材77に、連動部材本体61が回転摺動可能に支持されるので、ばね支持部材77が、連動部材60に対する摺動支持手段に兼用され、それだけ装置の構造簡素化が図られる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0078】
例えば、前記実施形態では、シート本体Sの回転位置を、2つの回転位置、即ちシート本体Sが前方を向く正面回転位置とそこから180度位相をずらして後方を向く背面回転位置との2段階に選択可能としたものを示したが、シート本体Sの任意選定可能な回転位置は、実施形態及び参考実施形態に限定されない。即ち、その回転位置は、変更設定してもよいし、或いは3以上設定してもよく、その場合は、その設定される回転位置に応じてベース体40側のロック孔42の開口位置を変更するか、或いは増設すればよい。
【符号の説明】
【0079】
L・・・・・ロック機構
S・・・・・シート本体
SL・・・・連結部としての前後スライド機構
Sc・・・・シート座部
10・・・・シート装置
11a・・・サイドフレーム
16・・・・フロア部
30・・・・回転支持体
31・・・・結合部
31b・・・ボルト
40・・・・ベース体
45・・・・軸受
60・・・・連動部材
61・・・・連動部材本体
62・・・・駆動部
70・・・・ガタ抑制部材
71・・・・ガタ抑制部材の主体部
71a・・・ガタ抑制部材の先部
76・・・・ばね
77・・・・ばね支持部材
81,82・・第1,第2受け部
91・・・・支持枠