(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097377
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/224 20060101AFI20220623BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H01G4/224 100
H01G4/30 160
H01G4/30 201K
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 511
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169261
(22)【出願日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178556
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、コン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、クァン イェウン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウー キュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、キュ シク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミュン ジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH09
5E001AJ04
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE23
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082LL03
5E082MM24
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】内部への流体浸透経路が遮断された電子部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
電子部品及びその製造方法が提供される。電子部品は、積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体、及び本体の外側面上に配置され、多数の内部電極のうち一部と連結される電極層を含む微小体、及びシーリング薄膜を含み、微小体は誘電体層、内部電極及び電極層のうち少なくとも一部によって定義され、微小体の表面を介して開口する開放型微細孔を含み、シーリング薄膜は開放型微細孔の内部を少なくとも部分的に充填し、開放型微細孔の入口を閉鎖する内部シーリング薄膜を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外側面上に配置され、前記多数の内部電極のうち一部と連結される電極層を含む微小体と、
シーリング薄膜とを備え、
前記微小体は、前記誘電体層、前記内部電極及び前記電極層のうち少なくとも一部によって定義され、前記微小体の表面を介して開口する開放型微細孔を含み、
前記シーリング薄膜は、前記開放型微細孔の内部を少なくとも部分的に充填し、前記開放型微細孔の入口を閉鎖する内部シーリング薄膜を含む、電子部品。
【請求項2】
前記内部シーリング薄膜は、前記開放型微細孔の内部を完全に充填する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記開放型微細孔は、前記内部シーリング薄膜によって充填されない空いた空間を含み、前記空いた空間は、前記内部シーリング薄膜が閉鎖する領域よりも内側に位置する、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記微小体は、前記誘電体層、前記内部電極及び前記電極層のうち少なくとも一部によって定義され、前記微小体の表面を介して開口しない閉鎖型微細孔をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記内部シーリング薄膜は、前記閉鎖型微細孔内に配置されない、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記シーリング薄膜は、前記電極層の端部と前記本体との間の界面上に配置された外部シーリング薄膜をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記外部シーリング薄膜は、前記内部シーリング薄膜と同一の物質からなる、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記内部シーリング薄膜及び前記外部シーリング薄膜は、フッ素を含む、請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記内部シーリング薄膜及び前記外部シーリング薄膜は、少なくとも部分的に結晶化している、請求項7または8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記電極層上に配置されためっき層をさらに含み、前記電極層と前記めっき層との間には、前記シーリング薄膜が配置されない、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記内部シーリング薄膜は、前記開放型微細孔の表面の開口から深さ方向に後退して配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項12】
前記シーリング薄膜は、前記微小体の外側面上に配置されない、請求項11に記載の電子部品。
【請求項13】
積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて対応する前記内部電極と電気的に連結されるように配置された電極層と、
前記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極と、
前記電極層の端部と前記本体との間の界面上に配置された外部シーリング薄膜とを備える電子部品。
【請求項14】
前記外部シーリング薄膜は、フッ素を含む、請求項13に記載の電子部品。
【請求項15】
前記外部シーリング薄膜は、少なくとも部分的に結晶化している、請求項13または14に記載の電子部品。
【請求項16】
前記外部シーリング薄膜の最大厚さは、20nm~200nmである、請求項13から15のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項17】
積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体、及び前記本体の外側面上に配置され、前記多数の内部電極のうち一部と連結される電極層を含む微小体を提供する段階と、
前記微小体上に気相蒸着工程でシーリング薄膜を形成する段階と、
前記シーリング薄膜を少なくとも部分的に除去する段階とを含む、電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記シーリング薄膜を形成する段階は、CxFyをソースガスとして用いるプラズマ蒸着装置内で行われる、請求項17に記載の電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記シーリング薄膜を少なくとも部分的に除去する段階は、乾式研磨工程を含む、請求項17または18に記載の電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記シーリング薄膜を少なくとも部分的に除去する段階の後に、前記電極層上にめっき層を形成する段階をさらに含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品のうち積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層型セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。最近、電子装置の部品が小型化するにつれて、積層型キャパシタの小型化及び高容量化に対する要求が増加しつつある。
【0004】
積層型キャパシタは、多数の誘電体層と、誘電体層を間に挟んで交互に配置された多数の内部電極、及び内部電極と連結された外部電極を含む。誘電体層、内部電極、外部電極は、互いに緻密に結合することが好ましいが、場合によっては、欠陥が発生する可能性がある。このような欠陥は、流体浸透経路になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、内部への流体浸透経路が遮断された電子部品を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、内部への流体浸透経路が遮断された電子部品の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、以下の記載から当業者であれば明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための一実施形態に係る電子部品は、積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体、及び上記本体の外側面上に配置され、上記多数の内部電極のうち一部と連結される電極層を含む微小体、及びシーリング薄膜を含み、上記微小体は、上記誘電体層、上記内部電極及び上記電極層のうち少なくとも一部によって定義され、上記微小体の表面を介して開口する開放型微細孔を含み、上記シーリング薄膜は、上記開放型微細孔の内部を少なくとも部分的に充填し、上記開放型微細孔の入口を閉鎖する内部シーリング薄膜を含む。
【0009】
上記課題を解決するための他の実施形態に係る電子部品は、積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体、上記本体上に配置されて対応する上記内部電極と電気的に連結されるように配置された電極層、及び上記電極層上に配置されためっき層を含む外部電極、及び上記電極層の端部と上記本体との間の界面上に配置された外部シーリング薄膜を含む。
【0010】
上記他の課題を解決するための一実施形態に係る電子部品の製造方法は、積層された多数の誘電体層と対応する誘電体層を間に挟んで配置された多数の内部電極を含む本体、及び上記本体の外側面上に配置され、上記多数の内部電極のうち一部と連結される電極層を含む微小体を提供する段階、上記微小体上に気相蒸着工程でシーリング薄膜を形成する段階、及び上記シーリング薄膜を少なくとも部分的に除去する段階を含む。
【0011】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態に係る電子製品及びその製造方法によると、内部に流体が浸透することを効果的に遮断することができる。したがって、電子製品の内部部材の流体露出による不良を防止することができる。
【0013】
実施形態に係る効果は以上で例示された内容によって制限されず、より様々な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品を説明するための斜視図である。
【
図2】
図1の電子部品を説明するための分解斜視図である。
【
図3】
図1に示された電子部品の本体を説明するための分解斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV'線に沿って切断した断面図である。
【
図5】一実施形態によるシーリング薄膜形成前の微小体の部分断面図である。
【
図6】開放型微細孔を含む微小体が流体に露出した状態を示した概略図である。
【
図7】閉鎖型微細孔を含む微小体が流体に露出した状態を示した概略図である。
【
図8】
図5の微小体にシーリング薄膜が形成された構造を示した部分断面図である。
【
図9】開放型微細孔の内部にシーリング薄膜が形成された微小体が流体に露出した状態を示した概略図である。
【
図10】一実施形態に係る電子部品の製造方法の工程段階を示した断面図である。
【
図11】一実施形態に係る電子部品の製造方法の工程段階を示した断面図である。
【
図12】一実施形態に係る電子部品のシーリング薄膜の形成工程を示した概略図である。
【
図13】一実施形態に係る電子部品の製造方法の工程段階を示した断面図である。
【
図14】シーリング薄膜の成長方向を説明するための部分断面図である。
【
図15】一実施形態に係る電子部品の製造方法の工程段階を示した断面図である。
【
図16】一実施形態に係る電子部品の製造方法の工程段階を示した断面図である。
【
図17】様々な実施形態に係る電子部品の内部シーリング薄膜に対する断面図である。
【
図18】開放型微細孔内に湿式方式でコーティング層を形成する方法を示した断面図である。
【
図19】他の実施形態に係る電子部品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の利点及び特徴、そしてこれらを達成する方法は、添付される図面とともに詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されることができ、単に本実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に説明するために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0016】
素子(elements)、または層が異なる素子、または層の「上(on)」と称されるものは、他の素子または層の直上だけでなく、中間に他の層または他の素子を介在した場合をすべて含む。一方、素子が「直上(directly on)」と称されるものは、中間に他の素子または層を介在していないものを示す。
【0017】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示されているように、一つの素子または構成要素と異なる素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために用いられることができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解すべきである。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は、他の素子の「上(above)」に置かれることがある。したがって、例示的な用語である「下」は、下及び上の方向をすべて含むことができる。素子は、他の方向にも配向されることができ、これにより、空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0018】
たとえ、第1、第2などが様々な素子、構成要素及び/またはセクションを説明するために用いられるが、これらの素子、構成要素及び/またはセクションはこれらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は、ただ一つの素子、構成要素またはセクションを他の素子、構成要素またはセクションと区別するために用いられるものである。したがって、以下で言及される第1素子、第1構成要素または第1セクションは、本発明の技術的思想内で第2素子、第2構成要素または第2セクションであることもできる。
【0019】
以下、添付された図面を参照して、様々な実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る電子部品を説明するための斜視図であり、
図2は、
図1の電子部品を説明するための分解斜視図であり、
図3は、
図1に示された電子部品の本体を説明するための分解斜視図であり、
図4は、
図1のIV-IV'線に沿って切断した断面図である。
【0021】
図1~
図4を参照すると、電子部品100は、互いに分離した第1電極と第2電極、及びその間に介在された誘電体を含む。第1電極及び第2電極は、それぞれ複数個であり、相互交互に積層されることができる。各電極間には誘電体が介在する。複数の第1電極、第2電極及び誘電体は、積層型キャパシタをなす。以下では、電子部品の構成について詳細に説明する。
【0022】
電子部品100は、本体110、第1外部電極161、及び第2外部電極162を含む。
【0023】
本体110は、例えば、六面体形状であることができる。具体的に、本体110は、
図2に示されたように、6つの面M1、M2、F1、F2、C1、C2を含むことができる。第1面M1と第2面M2は、第3方向Tに(または本体110の厚さ方向に)互いに対向する。電子部品100を基板に実装するとき、第1面M1または第2面M2は、基板に実装される面(すなわち、実装面)になることがある。第3面F1と第4面F2は、第2方向Wに(または本体110の幅方向に)互いに対向する。第3面F1及び第4面F2は第1面M1及び第2面M2と連結される。第5面C1と第6面C2は、第1方向Lに(または本体110の長さ方向に)互いに対向する。第5面C1及び第6面C2は第1面M1、第2面M2、第3面F1及び第4面F2と連結される。
【0024】
図3に示したように、本体110は多数の誘電体層111、多数の第1内部電極121、及び多数の第2内部電極122を含む。具体的に、多数の誘電体層111が積層され、多数の第1内部電極121及び多数の第2内部電極122は、誘電体層111を間に挟んで交互に配置される。
【0025】
多数の誘電体層111は、焼結された状態で、隣接する誘電体層同士の境界が確認できないほどに一体化していることがある。
【0026】
誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができる。例えば、誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末を含むことができるが、これに限定されない。すなわち、十分な静電容量を得ることができる物質であれば、どのようなものでも誘電体層111の物質として適用可能である。誘電体層111には、セラミック粉末に併せてセラミック添加剤、有機溶剤、有機バインダー、可塑剤、結合剤、及び分散剤などが選択的にさらに添加されることができる。セラミック添加剤としては、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが挙げられるが、セラミック添加剤の例示は、これに限定されない。
【0027】
多数の第1内部電極121及び多数の第2内部電極122は、第3方向Tに(または本体110の厚さ方向に)重なるが、互いに重なる面積は、キャパシタの容量形成と関連する。
【0028】
第1内部電極121及び第2内部電極122は、ニッケル(Ni)を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122はニッケルを主成分とし、さらに添加剤を含むことができる。例えば、酸化ニッケル(NiO)の形成を減少させて内部電極121、122の導電性を高めるためにLi、Na、Kを含む群から選択された少なくとも一つの物質が上記添加剤として用いられることができる。また、内部電極121、122の信頼性を向上させるために、Sn、Cu、Ag、Pb、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、In、Ga、Zn、Bi、Pbを含む群から選択された少なくとも一つの物質が上記添加剤として用いられることができる。また、内部電極121、122の界面組成を均一にするためにBa、Mg、Dy、Tiを含む群から選択された少なくとも一つの物質が上記添加剤として用いられることができる。
【0029】
図4に示されたように、多数の第1内部電極121は、第5面C1に露出し、第1外部電極161と電気的に連結される。多数の第2内部電極122は、第6面C2に露出して第2外部電極162と電気的に連結される。第1外部電極161及び第2外部電極162に電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121と第2内部電極122との間に電荷が蓄積されることができる。
【0030】
本体110は、さらに、多数の第1内部電極121と多数の第2内部電極122のうち最下にある内部電極の下に位置する下部カバー層111Lをさらに含むことができる。また、本体110は、さらに、多数の第1内部電極121と多数の第2内部電極122のうち最上にある内部電極の上部に位置する上部カバー層111Hをさらに含むことができる。下部カバー層111L及び上部カバー層111Hは、多数の誘電体層111とともに焼結された状態で、隣接する層同士の境界が確認できないほど一体化していることがある。
【0031】
下部カバー層111L及び上部カバー層111Hは、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を第3方向Tに(例えば、本体110の厚さ方向に)積層して形成することができる。下部カバー層111L及び上部カバー層111Hは、物理的/化学的ストレスから第1内部電極121及び第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。また、実装方向性を除去するために、下部カバー層111Lの厚さTLと上部カバー層111Hの厚さTHを同一に形成することができるが、これに限定されない。下部カバー層111Lまたは上部カバー層111Hは、誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができるが、これに限定されない。
【0032】
本体110の形状、寸法、誘電体層111の積層数、第1内部電極121/第2内部電極122の積層数、下部/上部カバー層111L、111Hの厚さTL、THなどは設計によって異なる場合があり、図示されたものに限定されない。
【0033】
第1外部電極161は、第1接続部161a、第1実装部161b、及び第1側面部161cを含むことができる。
【0034】
第1接続部161aは、本体110の第5面C1に配置され、第5面C1に露出した多数の第1内部電極121と接続される。第1接続部161aは、本体110の第5面C1の全部をカバーすることができる。
【0035】
第1実装部161bは、第1接続部161aから本体110の第1面M1と第2面M2に延長されることができる。第1実装部161bは、本体110の第1面M1と第2面M2を部分的にカバーすることができる。
【0036】
第1側面部161cは、第1接続部161aから本体110の第3面F1と第4面F2に延長されることができる。第1側面部161cは、本体110の第3面F1と第4面F2を部分的にカバーすることができる。
【0037】
第1実装部161bは、第1内部電極121がなす平面と平行し、第1側面部161cは、第1内部電極121がなす平面と垂直であることができる。
【0038】
本体110の第1面M1に配置された第1実装部161bと、本体110の第2面M2に配置された第1実装部161bは、本体110を中心に互いに第3方向Tに対称であることができる。例えば、本体110の第1面M1に配置された第1実装部161bの第1方向L(または第2方向W)への長さと、本体110の第2面M2に配置された第1実装部161bの第1方向L(または第2方向W)への長さは互いに同一であることができる。
【0039】
同様に、本体110の第3面F1に配置された第1側面部161cと、本体110の第4面F2に配置された第1側面部161cは、本体110を中心に互いに第2方向Wに対称であることができる。すなわち、本体110の第3面F1に配置された第1側面部161cの第1方向L(または第3方向T)への長さと、本体110の第4面F2に配置された第1側面部161cの第1方向L(または第3方向T)への長さは互いに同一であることができる。
【0040】
第1外部電極161と同様に、第2外部電極162は、第2接続部162a、第2実装部162b及び第2側面部162cを含むことができる。
【0041】
第2接続部162aは、本体110の第6面C2に配置され、第6面C2に露出した多数の第2内部電極122と接続される。第2接続部162aは、本体110の第6面C2の全部をカバーすることができる。
【0042】
第2実装部162bは、第2接続部162aから本体110の第1面M1と第2面M2に延長されることができる。第2実装部162bは、本体110の第1面M1と第2面M2を部分的にカバーすることができる。
【0043】
第2側面部162cは、第2接続部162aから本体110の第3面F1と第4面F2に延長されることができる。第2側面部162cは、本体110の第3面F1と第4面F2を部分的にカバーすることができる。
【0044】
第2実装部162bは、第2内部電極122がなす平面と平行し、第2側面部162cは、第2内部電極122がなす平面と垂直であることができる。
【0045】
本体110の第1面M1に配置された第2実装部162bと、本体110の第2面M2に配置された第2実装部162bは、本体110を中心に互いに第3方向Tに対称であることができる。本体110の第3面F1に配置された第2側面部162cと、本体110の第4面F2に配置された第2側面部162cは、本体110を中心に互いに第2方向Wに対称であることができる。
【0046】
前述したように、本体110の第1面M1に形成された第1実装部161b/第2実装部162bと、本体110の第2面M2に形成された第1実装部161b/第2実装部162bが対称性を有し、下部カバー層111Lの厚さTLと上部カバー層111Hの厚さTHを同一に形成することができる。このようにすることで、電子部品100を基板に実装する際、実装方向性を除去することができる。すなわち、本体110の第1面M1が基板と向き合うように実装することもでき、本体110の第2面M2が基板と向き合うように実装することもできる。
【0047】
本体110の一側は第1内部空間IS1に配置され、本体110の他側は第2内部空間IS2に配置されることができる。
【0048】
第1外部電極161は第1内部空間IS1を定義する。第1内部空間IS1は、第1接続部161aと、第1接続部161aから折り曲げられた第1実装部161b及び第1側面部161cによって決定される。第1接続部161a、第1実装部161b及び第1側面部161cによって囲まれた空間が第1内部空間IS1となる。具体的には、第1接続部161aは長方形状であり、第1実装部161b/第1側面部161cは、長方形状である第1接続部161aの各辺から垂直に折り曲げられて、第2外部電極162に向かって長く延長されることができる。
【0049】
第2外部電極162は第2内部空間IS2を定義する。第2内部空間IS2は、第2接続部162aと、第2接続部162aから折り曲げられた第2実装部162b及び第2側面部162cによって決定される。第2接続部162a、第2実装部162b及び第2側面部162cによって囲まれた空間が第2内部空間IS2となる。具体的には、第2接続部162aは長方形状であり、第2実装部162b/第2側面部162cは、長方形状である第2接続部162aの各辺から垂直に折り曲げられて、第1外部電極161に向かって長く延長されることができる。
【0050】
また、第1外部電極161及び第2外部電極162は、本体110の中央部を中心に対称形状であることができる。
【0051】
例えば、本体110の第1面M1に配置された第1外部電極161の第1実装部161bと、本体110の第1面M1に配置された第2外部電極162の第2実装部162bは、本体110を中心に第1方向Lに対称であることができる。また、本体110の第3面F1に配置された第1外部電極161の第1側面部161cと、本体110の第3面F1に配置された第2外部電極162の第2側面部162cは、本体110を中心に第1方向Lに対称であることができる。また、本体110の第5面C1に配置された第1外部電極161の第1接続部161aと、本体110の第6面C2に配置された第2外部電極162の第2接続部162aは、本体110を中心に第1方向Lに対称であることができる。
【0052】
第1及び第2外部電極161、162によって本体110の第5面C1と第6面C2は全部カバーされるが、本体110の第1面M1、第2面M2、第3面F1、及び第4面F2は、部分的に露出することができる。
【0053】
第1外部電極161及び第2外部電極162は、それぞれ順に積層された電極層及びめっき層を含むことができる。
【0054】
第1外部電極161の電極層131は、本体110の第5面C1の全体、本体110の第1面M1、第2面M2、第3面F1、及び第4面F2の一部の直上に配置されることができる。第2外部電極162の電極層132は、本体110の第6面C2の全体、本体110の第1面M1、第2面M2、第3面F1、及び第4面F2の一部の直上に配置されることができる。第1外部電極161の電極層131及び第2外部電極162の電極層132は、実質的に同一の物質及び構造で形成されることができる。電極層131、132は、導電性金属、例えば、銅(Cu)、ニッケル、金、銀、白金、及びパラジウムのうち少なくとも一つの物質またはこれらの合金を含むことができるが、これに限定されない。また、電極層131、132は、補助材料としてガラスをさらに含むことができる。導電性金属は、チップ密閉性及びチップとの電気的連結性を保障し、ガラスは導電性金属の焼成収縮時に空いた空間を満たすと同時に、第1外部電極161と本体110の結合力を付与することができる。
【0055】
第1外部電極161の電極層131上にめっき層151が配置され、第2外部電極162の電極層132上にはめっき層152が配置される。めっき層151、152は、その下部の電極層131、132に基づいて電解めっきにより形成されることができる。その結果、めっき層151、152は、その下部の電極層131、132と実質的に同一のパターン形状を有することができる。
【0056】
第1外部電極161のめっき層151及び第2外部電極162のめっき層152は、実質的に同一の物質及び構造で形成されることができる。めっき層151、152は、ニッケル(Ni)めっき層及び/またはスズ(Sn)めっき層を含むことができる。めっき層151、152は、ニッケル/スズ合金を含むことができる。いくつかの実施例において、めっき層151、152は、2以上の層を含むことができる。例えば、めっき層151、152は、電極層131、132上に形成され、ニッケルを含む第1めっき層及び第1めっき層上に形成され、スズを含む第2めっき層を含むことができる。
【0057】
電子部品100は、シーリング薄膜ST:ST_I、ST_Oを含むことができる。シーリング薄膜STは、本体110と電極層131からなる構造物の表面またはその内部に配置され、流体が内部に浸透することを防止する役割を果たす。説明の便宜上、本体110上に電極層131、132が形成された構造物、言い換えると、電子部品100でめっき層151、152を除いた残りの構造物を微小体と定義すると、シーリング薄膜STは、微小体の表面及び/または内部に配置される。シーリング薄膜STは、微小体の表面上に配置される外部シーリング薄膜ST_Oと微小体の内部に配置される内部シーリング薄膜ST_Iを含むことができる。
【0058】
外部シーリング薄膜ST_Oは本体110上に配置される電極層131、132の端部及び本体110によって行われる段差部STP上に配置されることができる。外部シーリング薄膜ST_Oは電極層131、132の端部と本体110との間の界面上に配置され、上記界面をカバーすることができる。外部シーリング薄膜ST_Oは電極層131、132の端部が位置する微小体の第1面M1、第3面F1、第2面M2及び第4面F2にそれぞれ配置されることができる。外部シーリング薄膜ST_Oは電極層131、132の端部と本体110との間の界面を完全に囲むように連続的に配置されることができるが、これに制限されるものではなく、断続的に配置されることもある。外部シーリング薄膜ST_Oの厚さ(電極層131または本体110との界面から垂直方向に測定された最大の高さ)は、20nm~200nmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0059】
微小体がその内部に配置される微細孔OP:OP_H、OP_Cを含む場合、内部シーリング薄膜ST_Iが微細孔OPの内部に配置されることができる。以下で、シーリング薄膜ST及び微小体の微細孔OPについてさらに詳細に説明する。
【0060】
図5は、一実施形態によるシーリング薄膜形成前の微小体の部分断面図であり、説明の便宜上、微細孔OPの大きさ及び配置を多少誇張に示した。また、
図5では、第1外部電極161の電極層131が配置された部分を示したが、例示された形状は、第2外部電極162の電極層132が配置された部分や他の部分の例示としても適用できることは自明である。
【0061】
図4及び
図5を参照すると、電子部品100の微小体は、内部に微細孔OPを含むことができる。微細孔OPは、隣接して配置された物質や完全な結合がなされなかったことにより形成された所定空間として定義されることができる。微小体を構成する物質は、微細孔OPを基準として相互分離する。すなわち、微細孔OPは、物質の不連続区間を形成することができる。
【0062】
微細孔OPは、固体物質に占有されずに空いている空間であって、流体が滞在するか、移動できる空間を提供することができる。例えば、いくつかの微細孔OPは、十分な大きさを有してめっき液のような液体が通過することができる空間を提供することができる。他のいくつかの微細孔OPは、比較的非常に小さい大きさを有するため、液体は通過できないものの気体は通過させることができる空間を提供することができる。
【0063】
微細孔OPは、微小体の製造過程で形成されることができる。微細孔OPは、特定目的のために意図的に形成されることもあるが、非意図的に形成されることもある。例えば、焼結、焼成などの製造過程では、層または電極を構成する物質が空間を完全に満たして固結または硬化することを意図したが、工程条件の様々な変数や採用した工程条件の限界により構成物質が一部空間を満たせない欠陥が発生する可能性があり、このような欠陥が微細孔OPの形態で電子部品100の内部に配置されることがある。その他に微小体の製造過程や取り扱い過程で発生する亀裂、外部衝撃によるクラックなどによっても微細孔OPが形成されることがある。
【0064】
微細孔OPは、様々な形状を有することができる。例えば、微細孔OPは、均一または不均一な幅を有する隙間、トンネル、ポア(pore)、澱みなどの形状を有することができ、界面間の浮きの形態を有することもできる。また、球形、楕円形、アモルファスなどのアイランド形状を有することもでき、直線、曲線、または枝や道路のように連結されたライン形状を有することもできる。微細孔OPは、FE-SEM写真などを介して観察されることができる。
【0065】
微細孔OPは、微小体の内部で様々な位置に配置されることができる。
【0066】
例えば、微細孔OPは、本体110の誘電体層111や内部電極121、122の内部、または電極層131の内部のように特定部材の内部に配置されることができる。具体的に、誘電体層111、内部電極121、122、電極層131などの部材はそれぞれペースト状に提供された後、焼結及び/または焼成により固結または硬化して形成されることができる。ペーストは、焼結及び/または焼成を経て、殆どの領域で相互結合して一体化するが、場合によっては、一部領域で結合がなされなかったり、結合後に再分離されたりすることができる。このような未結合した領域が微細孔OPをなすことができる。
【0067】
他の例として、微細孔OPは、誘電体層111と内部電極121、122との間の界面、誘電体層111と電極層131との間の界面、内部電極121と電極層131との間の界面などのような異種部材の界面に配置されることもある。また、微細孔OPは、セラミックシートから由来する各単位誘電体層111との間の界面のような同種部材の界面に配置されることもある。微小体の製造過程において、互いに異なる部材は密着した状態で固化するが、殆どの界面で物質は相互結合し、その間に空いた空間を生成しない。しかし、一部界面において物質が相互結合できない場合、言い換えると、特定層が他の層から浮く場合、該当領域は微細孔OPを形成することができる。
【0068】
電子部品100の微細孔OPは、上記で列挙した様々な位置から選択された一つ以上の位置に配置されることがある。また、空間が連結された一つの微細孔OPが上記で列挙された2以上の位置にわたって配置されることもある。例えば、いくつかの微細孔OPは、誘電体層111と内部電極121、122の界面から誘電体層111を貫通して誘電体層111と電極層131の界面まで延長することができ、さらに電極層131の内部を貫通して電極層131の外表面に開口することができる。
【0069】
微細孔OPは、微小体の表面への開口有無に応じて区分されることができる。ここで、微小体の表面は、電極層131の表面と本体110の表面を含むが、本体110の表面が電極層131によって覆われた領域では、電極層131の表面が微小体の表面となる。
【0070】
微細孔OPは、空間的に連結された一つの微細孔OPが微小体の表面に開口する開放型微細孔OP_Hと空間的に連結された一つの微細孔OPが微小体の表面を介して開口せず、全体空間が閉じている閉鎖型微細孔OP_Cを含むことができる。ここで、閉鎖型と開放型の区分は、微小体によって定義される微細孔OP自体を基準とする。すなわち、微細孔OPは、誘電体層111や内部電極121、122のような本体110の構成物質及び電極層131の構成物質のうち少なくとも一部によって定義される。例えば、誘電体層111、内部電極121、122、電極層131などの部材からなる微細孔OPが本体110または電極層131の表面で開口した場合は、開口の入口が薄膜やコーティング物質などによって塞がっても微細孔OP自体をみると、表面の開口ENに該当するため、開口型微細孔OPと称される。
【0071】
図6は、開放型微細孔を含む微小体が流体に露出した状態を示した概略図であり、
図7は、閉鎖型微細孔を含む微小体が流体に露出した状態を示した概略図である。
【0072】
図6及び
図7を参照すると、製造過程中にある電子部品100の中間構造物(例えば、微小体)や完成された電子部品100の表面は、時々、流体に露出することがある。例えば、電子部品100のめっき層151は、これに制限されるものではないが、本体110に電極層131を形成した後、これをめっき液に担持させる電解めっき方式により形成されることができる。この場合、電子部品100の中間構造物である微小体は、液体状態のめっき液に露出することができる。このように積極的に液体に担持させる場合以外にも、電子部品100やその微小体は、大気中の水分やその他の気体に露出することがある。
【0073】
閉鎖型微細孔OP_Cの場合、
図7に示したように、微小体の表面と空間的に連結されていないため、閉鎖型微細孔OP_Cの内部への流体浸透が基本的に防止されることができる。一方、開放型微細孔OP_Hの場合、
図6に示されたように、表面の開口ENにより開放型微細孔OP_Hの内部に流体が浸透する余地がある。如何なる経緯であれ、微細孔OPの内部に一旦侵入した流体は、微細孔OPの延長方向に沿って内部に進入する可能性がある。浸透した流体は、微細孔OPの周辺の誘電体層111、内部電極121、122、及び/または電極層131と接触することができ、接触した部材に影響を及ぼす可能性がある。例えば、浸透流体がめっき液の場合、内部電極121、122や電極層131と電気化学反応を起こして、電極の特性を変える可能性がある。また、反応により発生する水素ガスなどのような副産物は、体積膨張を起こし、微小体の内部にクラックを誘発することがある。また、浸透した流体が誘電体と反応して誘電率を落としたり、副産物を生成したりする可能性もある。このように、微小体の内部で流体が部材と接触する場合、電子部品100の特性(例えば、Break down voltage)の低下やクラック発生などのような不良が発生する可能性がある。このような不良はめっき液だけでなく、微細孔OPの内部に浸透する水分(例えば、水蒸気や湿気など)やその他のガスなどによっても発生する可能性がある。
【0074】
このような開放型微細孔OP_Hによる流体浸透可能性は、開放型微細孔OP_Hの内部をシーリング薄膜STに満たして流体の移動経路を閉鎖することにより効果的に遮断することができる。
【0075】
図8は、
図5の微小体にシーリング薄膜が形成された構造を示す部分断面図であり、
図9は、開放型微細孔の内部にシーリング薄膜が形成された微小体が流体に露出した状態を示した概略図である。
【0076】
図8を参照すると、電子部品100は、内部シーリング薄膜ST_I及び/または外部シーリング薄膜ST_Oを含むことができる。
図8では、内部シーリング薄膜ST_Iと外部シーリング薄膜ST_Oがすべて形成されている例を示したが、シーリング薄膜STとして内部シーリング薄膜ST_Iだけを含むか、外部シーリング薄膜ST_Oだけを含むこともできる。シーリング薄膜STの形成工程を終えた電子部品100での内部シーリング薄膜ST_Iの形成有無は、微小体が開放型微細孔OP_Hを含むかどうかによって決定されることができる。外部シーリング薄膜ST_Oはシーリング薄膜ST_の蒸着厚さ及び表面除去工程の変数によって残留有無及び厚さが決定されることができる。
【0077】
内部シーリング薄膜ST_Iは微細孔OPのうち開放型微細孔OP_Hの内部に配置される。内部シーリング薄膜ST_Iは、開放型微細孔OP_Hの内部空間を少なくとも部分的に充填する。例えば、内部シーリング薄膜ST_Iは、開放型微細孔OP_Hの内部空間を全部満たすことができる。内部シーリング薄膜ST_Iが開放型微細孔OP_Hの内部空間をすべて満たすと、空いた空間自体がなくなるため、流体の移動通路を基本的に遮断することができる。
【0078】
内部シーリング薄膜ST_Iは、開放型微細孔OP_Hの内部空間のうち一部だけを満たすこともできる。
図9に示されたように、内部シーリング薄膜ST_Iが開放型微細孔OP_Hの内部空間を全部満たさず、空いた空間RMの空隙を定義しても、表面に隣接した開放型微細孔OP_Hの入口を流体移動が不可能なほど閉鎖すると、流体の移動通路の観点から閉鎖型微細孔OP_Cと実質的に同一の状態になるため、表面から流体が開放型微細孔OP_Hの内部に進入することを遮断することができる。
【0079】
外部シーリング薄膜ST_Oは、電極層131の端部と本体110との間の界面上に配置されることができる。外部シーリング薄膜ST_Oは、電極層131の端部と本体110との間の界面をシーリングして流体移動通路を基本的に遮断する機能を行うことができる。開放型微細孔OP_Hが本体110と電極層131の界面にまで延長した場合、シーリング薄膜STは、開放型微細孔OP_Hの内部まで成長することができる。この場合、外部シーリング薄膜ST_O及び内部シーリング薄膜ST_Iが相互連結された構造を有することもできる。
【0080】
シーリング薄膜STは、周辺の部材(誘電体層111、内部電極121、122、電極層131)上に気相蒸着工程によって蒸着され、周辺の部材と少なくとも部分的に結合することができる。上記結合は、化学結合を含むことができる。このような化学結合は、コーティング及び硬化工程を介して形成される有機コーティング層よりも周辺の部材とのより強い結合力を付与することができる。
【0081】
シーリング薄膜STは、結晶性を有することができる。具体的に、シーリング薄膜STは、蒸着工程を経て全部または少なくとも部分的に結晶化することができる。結晶化したシーリング薄膜STは、コーティング及び硬化工程を介して形成される有機コーティング層よりも機械的により強固な膜をなし、より優れた封止機能を有するため、流体浸透を効果的に遮断することができる。
【0082】
シーリング薄膜STは、撥水性物質を含むことができる。シーリング薄膜STの接触角は、例えば、これに制限されるものではないが、90°~110°であることができる。シーリング薄膜STが撥水性を有するようになると、めっき液や水分などの流体が微小体の内部に浸透することをより効果的に防止することができる。
【0083】
一実施形態において、シーリング薄膜STはフッ素を含むことができる。具体的には、シーリング薄膜STはCxFyなどのようなフッ素系有機物を含むことができる。シーリング薄膜STの平均厚さは、その位置により異なる可能性があるが、最大厚さが20nm~200nmの範囲内で調節されることができる。
【0084】
以下、例示的な電子部品100の製造方法を説明しながら、シーリング薄膜STについてより具体的に説明する。
【0085】
【0086】
図10を参照すると、まず、本体110及び電極層131を含む微小体を提供する。微小体は本体110を形成した後、本体110上に電極層131を形成することにより製造されることができる。
【0087】
本体110は、公知の様々な方法で形成されることができる。例えば、多数のセラミックグリーンシートを用意し、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法のような印刷法を利用して、各セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを塗布する。続いて、多数のセラミックグリーンシートを積層し、積層方向に加圧して積層されたセラミックグリーンシートと内部電極121、122用の導電性ペーストを互いに圧着させる。続いて、互いに圧着された積層体を1つの積層型キャパシタの本体110に対応する領域ごとにカットして、未焼結状態の本体を完成する。続いて、本体を熱処理してバインダーを燃焼させ、還元雰囲気で焼成することにより焼結及び/または焼成が完了した本体110を得ることができる。
【0088】
続いて、本体110上に電極層131を形成する。電極層131は、例えば、銅(Cu)、ニッケル、金、銀、白金、及びパラジウムのうち少なくとも一つの物質またはこれらの合金などのような導電性物質粉末及びガラス粉末を含む導電性ペーストまたは導電性エポキシ樹脂を本体110上に塗布し、電気的特性を付与するために高温熱処理して焼成することで形成されることができる。
【0089】
本体110と電極層131の焼結及び/または焼成を終えた微小体は、上述したように、内部に微細孔OPを含むことができる。複数の微小体を製造する場合、一部の微小体は微細孔OPを含み、他の一部の微小体は微細孔OPを含まなくてもよい。微細孔OPを含むいくつかの微小体は、開放型微細孔OP_Hなしに閉鎖型微細孔OP_Cだけを含み、他のいくつかの微小体は閉鎖型微細孔OP_Cなしに開放型微細孔OP_Hだけを含み、残りの微小体は、開放型微細孔OP_Hと閉鎖型微細孔OP_Cのすべてを含むことができる。
【0090】
微細孔OPがないか、開放型微細孔OP_Hなしに閉鎖型微細孔OP_Cだけを含む微小体の場合、後続するめっき工程でめっき液に担持されてもめっき液の浸透及び微小体の内部進入が発生しないため、流体進入防止のためのシーリング薄膜STの形成工程が不要であることがある。一方、開放型微細孔OP_Hを含む微小体の場合には、流体の内部進入を防止するためのシーリング薄膜STの形成工程が採用されることが好ましい。
【0091】
微小体の製造後、検査工程を介して開放型微細孔OP_Hを含むかどうかが分かるのであれば、開放型微細孔OP_Hを含む微小体のみを選別してシーリング薄膜STの形成工程を行うことが効率的である。しかし、微小体は非常に小さい大きさを有するため、開放型微細孔OP_Hの存在有無を検査することが容易でなく、工程の費用も多くかかることがある。また、開放型微細孔OP_Hを含む微小体を区分したとしても、複数の微小体からこれらを選択的に選別することも工程の観点から非効率的である可能性がある。却って、開放型微細孔OP_Hの有無に対する検査及び選別過程なしに製造されたすべての微小体に対してシーリング薄膜STの形成工程を行うことによって全体工程の不良率を減らし、工程の効率を改善することができる。開放型微細孔OP_Hがない微小体にシーリング薄膜STの形成工程を行う場合、内部シーリング薄膜ST_Iなしに、外部シーリング薄膜ST_Oのみが形成されるが、外部シーリング薄膜ST_Oはめっき工程だけでなく、完成された電子部品100で本体110と電極層131との間の流体の流入を防止する機能を行うため、別の副作用なく、電子部品100の信頼性を高める利点が加わることができる。
【0092】
上記のような観点から一実施形態に係る電子部品100の製造方法は、焼成を終えた微小体に対して開放型微細孔OP_Hの存在有無に対する検査工程なしに行われるシーリング薄膜ST_の形成工程を含むことができる。
【0093】
図11を参照すると、シーリング薄膜STの形成工程は、CVD、PECVD(またはプラズマ蒸着装置)、PVD、ALDなどのような気相蒸着工程により行われることができる。シーリング薄膜STの形成工程がPECVDで行われる場合を例に挙げて説明すると、まず、PECVD装置内に微小体を配置する。ソースガスとしては、例えば、C3F6などのようなCxFyガスが利用されることができる。PECVD装置内でプラズマを生成して蒸着工程を行うと微小体の表面にCxFy物質が蒸着されることができる。
【0094】
シーリング薄膜STの成膜厚さは蒸着方向に関係することがある。一般的に、被蒸着面がPECVD装置のシャワーヘッド及びプラズマ生成装置の電界方向に対向する場合、シーリング薄膜STがさらに厚く成膜されることができる。微小体は直方体形状を有するが、例えば、第2面M2がPECVD装置のシャワーヘッドに向かって、その反対面である第1面M1が底に向かう場合、シャワーヘッドに向かう第2面M2は、十分な厚さのシーリング薄膜ST_が成膜されるに対し、第2面M2に垂直である第3~第6面F1、F2、C1、C2は、それより小さな厚さのシーリング薄膜STが形成されることができる。もし、第1面M1がPECVD装置の支持台または安着部などのような部材に当接している場合、第1面M1には、シーリング薄膜STがほぼ形成されないこともある。
【0095】
開放型微細孔OP_Hの安定したシーリングのためには、開放型微細孔OP_Hが微小体のある面に開口するかどうかは分からない状態において、微小体のすべての面上に均一な厚さの成膜が行われることが好ましい。このような均一な成膜のための方法の一つとして、シャワーヘッドなどに対する微小体の対向面を固定せず、各面の位置を変更させながら蒸着工程を行う方法が採択されることができる。
【0096】
例示的な被蒸着面の変更方式が
図12に示されている。
図12は、一実施形態に係る電子部品のシーリング薄膜形成工程を示した概略図である。
図12は、バレル型PECVD装置200内で多数個の微小体を回転させながら蒸着工程を行う回転式蒸着工程を例示する。
図12に示したように、微小体をバレル内部に配置してバレルを回転させながら蒸着工程を行うと、微小体の各面が規則的にまたはランダムに回転するため、微小体のすべての面に対して概ね均一な蒸着が可能となることができる。
【0097】
図13を参照すると、PECVD装置内で蒸着物質CxFyは微小体上に蒸着されて結合した後、厚さ方向に成長しながらシーリング薄膜ST_Wに成膜されることができる。外観上のシーリング薄膜ST_Wは微小体の全体面上に形成される。すなわち、シーリング薄膜ST_Wは電極層131と本体110のうち電極層131によって覆われず、露出した部分上に形成されることができる。シーリング薄膜ST_Wは本体110の露出した誘電体層111の面(外側面)だけでなく、露出した電極層131の面(外側面)の全体を覆うように形成されることができる。電極層131の端部と本体110との間には、電極層131の厚さに該当する段差部STPが定義されるが、シーリング薄膜ST_Wは段差部STPに沿ってコンフォーマルに形成されることができる。
【0098】
シーリング薄膜ST_Wは微小体の全面にわたって均一な厚さを有することができる。蒸着されたシーリング薄膜ST_Wの厚さは、工程時間や条件の制御を介して調節されることができる。微小体上に蒸着されるシーリング薄膜ST_Wの平均厚さは、開放型微細孔OP_Hの入口を十分に閉鎖することができる程度の範囲内で決定されることができる。上記条件を満たすシーリング薄膜ST_Wの厚さは、開放型微細孔OP_Hの大きさに応じて異なることがあるが、一般的な工程条件で形成した多数の微小体に対して実験的に確認した結果によるとシーリング薄膜ST_Wの平均厚さを20nm~200nmの範囲で設定した場合、流体浸透による電子部品100の劣化が有意に減少した。
【0099】
図14は、シーリング薄膜の成長方向を説明するための部分断面図である。
図14を参照すると、微小体はPECVD蒸着装置内で気相状態の蒸着物質に露出する。蒸着物質が微小体の表面と会うと、微小体の表面に結合することができる。気相状態の蒸着物質は外部に露出した微小体の外側面に接触して結合することができる。それだけでなく、気相状態の蒸着物質は、開放型微細孔OP_Hの内部に浸透及び進入することができるため、開放型微細孔OP_Hの内壁にも接触して結合することができる。
【0100】
蒸着工程が続いて行われると、気相蒸着物質は微小体に既に結合された蒸着物質上にも接触し、それに結合することができる。このような過程を経て、シーリング薄膜ST_の成長が行われる。シーリング薄膜ST_の主な成長方向は、
図14に示されたように、概ね被蒸着面に対して垂直方向であることができる。
【0101】
微小体の外側面において、シーリング薄膜ST_Wは外側方向に成長する。微小体の外側面には、成長を障害する構造物がないため、シーリング薄膜ST_Wは概ね予め設定した厚さに相応する厚さに成長することができる。
【0102】
開放型微細孔OP_Hの場合には、内壁から垂直方向にシーリング薄膜ST_Wが成長する。シーリング薄膜ST_Wは、開放型微細孔OP_Hの内壁の内周全体から中心に向かって成長することができる。
【0103】
開放型微細孔OP_Hの内部でシーリング薄膜ST_Wが成長するにつれ、開放型微細孔OP_H内の空いた空間RMは、ますます減るようになる。空いた空間RMの大きさが減っても空いた空間RMが残っている限り、該当空間を介して気相蒸着物質が開放型微細孔OP_Hの内外部に疎通することができる。したがって、成膜が行われた領域の内側空間にも追加成膜は可能である。
【0104】
開放型微細孔OP_Hの内部でシーリング薄膜ST_Wがさらに成長しながら、向き合って成長するシーリング薄膜ST_と当接することができる。蒸着工程中に開放型微細孔OP_Hの内壁から互いに異なる方向に成長するシーリング薄膜ST_Wが相互当接することができる条件は、設定された成膜厚さ(外側面を基準とした厚さ)と開放型微細孔OP_Hの最小内径に関係する。例えば、微小体の外側面と開放型微細孔OP_Hの内部の成膜速度が同一であると仮定すると、開放型微細孔OP_Hの内径が設定された成膜厚さの半分より小さいか、同一である場合に微細孔OPの内壁で互いに異なる方向に成長するシーリング薄膜ST_Wが相互接することができる。もし、外側面より開放型微細孔OP_Hの内部の成膜速度が平均1/2とすると、開放型微細孔OP_Hの内径が設定された成膜厚さ以下であることが開放型微細孔OP_Hの内部でシーリング薄膜ST_Wが中央部で接する必要条件となる。言い換えると、シーリング薄膜ST_Wの成膜厚さは、開放型微細孔OP_Hの大きさ、その内部での成膜速度などを考慮して、最小限の蒸着工程を介して開放型微細孔OP_Hを閉鎖することができる水準に設定することができる。
【0105】
互いに当接したシーリング薄膜ST_Wは、接合部で相互結合することができる。向き合って成長するシーリング薄膜ST_Wが満遍なく完全結合すると、該当領域で空間閉鎖が行われることができる。したがって、その後からは気相蒸着物質であっても閉鎖された領域の内側には進入しないため、その内側での成膜も追加で行われない。閉鎖時点で閉鎖領域よりも内側に空いた空間RMが残留した場合、この後の蒸着工程が続いて行われも内側の空いた空間RMは、そのまま残留することができる。一方、閉鎖時点で閉鎖領域より外部に開放型微細孔OP_Hの開口と連結された空いた空間RMが残留する場合には、さらなる入口閉鎖が行われない限り、続いて成膜が行われることができる。
【0106】
図15を参照すると、シーリング薄膜ST_Wの形成工程に後続してシーリング薄膜ST_Wの除去工程が伴われる。シーリング薄膜ST_Wの除去工程は、シーリング薄膜ST_Wを少なくとも部分的に除去する工程であることができる。シーリング薄膜ST_Wの除去工程は、電極層131上に配置されたシーリング薄膜ST_Wを除去するために行われる。電極層131上にはめっき層151が形成されるが、電極層131をシーリング薄膜ST_Wが覆っていると、めっき工程が円滑に行われ難い。また、電極層131上にシーリング薄膜ST_Wが残留する場合、その上に配置されるめっき層151と電極層131との間の電気的抵抗が増加することができる。したがって、本工程を介して電極層131を覆うシーリング薄膜ST_Wを除去することで、後続するめっき工程を円滑にし、電極層131とめっき層151との間の電気的抵抗の増加を防止することができる。
【0107】
シーリング薄膜ST_Wの除去工程は、開放型微細孔OP_Hの内部に形成されたシーリング薄膜ST_Wを残留させる条件で行われる。開放型微細孔OP_Hの内部に形成されたシーリング薄膜ST_Wもともに除去されると、後続するめっき工程においてめっき液の浸透を防止することができないため、微小体の外側面に形成されたシーリング薄膜ST_Wは除去しながら、同時に開放型微細孔OP_Hの内部に形成されたシーリング薄膜ST_Wを残留させることができる除去工程が選択されることが好ましい。
【0108】
上記のような条件を満たすシーリング薄膜ST_Wの除去工程の例として、乾式研磨が挙げられる。乾式研磨の例としては、機械的(または物理的)研磨が挙げられる。機械的研磨工程は、研磨粒子ABRをシーリング薄膜ST_Wが形成された微小体に衝突させ、物理的にシーリング薄膜ST_Wを分離する方法で行われることができる。
【0109】
機械的研磨工程は、バレル内で行われることができる。すなわち、バレル内部にシーリング薄膜ST_が形成された多数の微小体を配置し、バレルを回転させて微小体を回転させながら微小体に研磨粒子ABR(または研磨材)を打撃する方式で行われることができる。このようなバレル研磨法の場合、微小体のすべての面に対する均一な研磨を可能とするだけでなく、多数の微小体に対する研磨を同時に行うことができるため、工程効率を改善することができる。バレル研磨の以外にもサンドブラスト法など当業界に公知された様々な機械的研磨工程がシーリング薄膜ST_Wの部分的除去工程のために適用されることができる。
【0110】
研磨粒子ABRは、砂、ガラス、金属などの無機物やシリコーンなどのような樹脂からなることができるが、これに制限されるものではなく、機械的研磨に使用される様々な物質の研磨粒子ABRが適用されることができる。
【0111】
研磨粒子ABRの形状は、球形、楕円形などであることができるが、それに制限されるものではなく、アモルファスなどのような様々な形状が研磨粒子ABRの形状として適用可能である。
【0112】
研磨粒子ABRの大きさは、これに制限されるものではないが、1mm以下であることができる。いくつかの実施形態において、研磨粒子ABRの直径0.5mm~0.8mmの範囲にあることができる。例えば、機械的研磨工程に平均直径が0.7mmである研磨粒子ABRが使用されるか、0.6mmの研磨粒子ABRが使用されることができる。
【0113】
研磨時間を含む研磨条件は、金属層上に形成されたシーリング薄膜ST_Wがすべて削除されて電極層131が外部に露出する条件に設定されて行われることができる。
【0114】
図16は、シーリング薄膜の部分的除去工程が完了された微小体の断面図である。
【0115】
図16を参照すると、シーリング薄膜除去工程を介して微小体の外側面に形成されていた殆どのシーリング薄膜が除去され、微小体の外側面が露出する。開放型微細孔OP_Hの内部に形成されたシーリング薄膜は研磨粒子ABRによって直接的に打撃を受けることがないため、削除されず残留することができる。開放型微細孔OP_Hの内部に残留したシーリング薄膜は、上述した内部シーリング薄膜ST_Iとなる。
【0116】
一方、電極層131の端部と本体110との間の段差部STPでは、電極層131の側面が研磨粒子ABRに対するシャドウとして作用することができる。また、研磨粒子ABRは、所定の大きさを有するため、相対的に狭い幅を有する段差部STPの内側の角部位は、研磨粒子ABRによる物理的打撃に露出しないことがある。その結果、電極層131の端部と本体110の界面上に配置されたシーリング薄膜は、機械的研磨にも関わらず、削除されず、少なくとも一部が残留することができる。電極層131の端部と本体110の界面上に残留するシーリング薄膜ST_は、上述した外部シーリング薄膜ST_Oとなる。外部シーリング薄膜ST_Oの最大厚さは、シーリング薄膜ST_Wの形成厚さと実質的に同一であることができる。
【0117】
シーリング薄膜除去工程の後、電極層131上にめっき層151を形成して、
図4に示したような電子部品100を形成する。めっき層151は、微小体をめっき液に担持するめっき工程で行われることができる。シーリング薄膜除去工程を介して電極層131の外側面のシーリング薄膜が除去され、電極層131の外側面が露出するため、めっき層151の形成が円滑に行われることができる。また、微小体の開放型微細孔OP_Hは、内部シーリング薄膜ST_Iによって閉鎖された状態であるため、めっき液が開放型微細孔OP_Hを介して微小体の内部に進入することが遮断されることができる。また、電極層131の端部と本体110の界面上には、外部シーリング薄膜ST_Oが形成されているため、界面を介しためっき液の内部浸透が基本的に防止されることができる。
【0118】
上述した内部シーリング薄膜ST_Iは、開放型微細孔OP_Hの形状、大きさ、シーリング薄膜形成時の工程条件などによって様々な形態で開放型微細孔OP_Hの内部に配置されることができる。いくつかの例示的な形態の内部シーリング薄膜ST_Iが
図17に示されている。
【0119】
図17は、様々な実施形態に係る電子部品の内部シーリング薄膜に対する断面図である。
【0120】
図17(a)は、開放型微細孔OP_Hの内部を内部シーリング薄膜ST_Iが完全に満たした形態を例示する。シーリング薄膜ST_の形成工程時に蒸着物質が開放型微細孔OP_Hの内部に均一に広がり、内側から成長が順に行われる場合、
図17(a)のような形態で形成されることができる。このように、開放型微細孔OP_Hの内部を内部シーリング薄膜ST_Iが完全に満たす場合、内部シーリング薄膜ST_Iは、高い機械的強度を有することができる。
【0121】
図17(b)は、開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから一定区間は、内部シーリング薄膜ST_Iが完全に満たして閉鎖領域を定義するが、閉鎖地点の内側には空いた空間RMの空隙が残留する場合を例示する。蒸着物質が開放型微細孔OP_Hの内部空間を完全に満たす前に入口閉鎖が行われた場合、
図17(b)のような形態の内部シーリング薄膜ST_Iが形成されることができる。
【0122】
図17(c)は、閉鎖領域が2以上形成されて開放型微細孔OP_Hの内部に相互分離した2以上の空いた空間RMの空隙が残留する場合を例示する。相対的深い位置で1次閉鎖が行われ、この後、さらに浅い位置で2次閉鎖及び3次閉鎖が順に行われる場合、
図17(c)のような形態の内部シーリング薄膜ST_Iが形成されることができる。
【0123】
図17(a)のように開放型微細孔OP_Hの内部を、内部シーリング薄膜ST_Iが完全に満たした場合だけでなく、
図17(b)、
図17(c)のように開放型微細孔OP_Hの内部に空いた空間RMの空隙が形成された場合にも、開放型微細孔OP_Hの入口が閉鎖されているため、めっき液のような流体浸透が防止されることができる。また、
図17(b)、
図17(c)に含まれた空隙は、閉鎖型微細孔OP_Cとともに電子部品100の外部衝撃や部材の膨張などにより加わるストレスを緩和させる役割を果たすことができる。
【0124】
上述した実施例は、内部シーリング薄膜ST_Iを形成するために気相蒸着法を利用するため、開放型微細孔OP_Hの入口を効果的に閉鎖して流体浸透を基本的に遮断することができる。このような気相蒸着方式は、開放型微細孔OP_Hの入口遮断の信頼性の側面で湿式方式によってコーティング層を形成する方式と比べて、より良い利点を有する。以下で具体的に説明する。
【0125】
図18は、開放型微細孔内に湿式方法でコーティング層を形成する方法を示した断面図である。湿式方法でコーティング層を形成する方法は、コーティング組成物を開放型微細孔OP_Hの内部に有機組成物ORLを充填する段階(
図18(a)参照)及び有機組成物ORLを乾燥及び/または硬化する段階(
図18(b)参照)を含むことができる。
【0126】
有機組成物ORLは液状で提供される。開放型微細孔OP_Hの内部に有機組成物ORLを充填する段階は、微小体を液状の有機組成物ORLに担持する方式で行われることができる。有機組成物ORLが有機コーティング層ORCに残留するには乾燥及び/または硬化過程が必要である。有機組成物ORLの液状成分は、乾燥及び/または硬化過程を介して蒸発や揮発し、固形分成分が残ってコーティング層ORCをなすようになる。上記過程を経て有機組成物ORLの体積が減るが、
図18(b)に示されたように、液状成分が蒸発する通路となる開放型微細孔OP_Hの入口には、固形分が残留できない可能性がある。この場合、開放型微細孔OP_Hの内側の深部はコーティング層ORCによって充填されていてもよいが、表面の開口ENは依然として開放された状態にある可能性がある。したがって、コーティング層ORCの形成後にも微小体の内部の流体浸透通路を完全に遮断できない可能性がある。
【0127】
一方、
図17に示された内部シーリング薄膜ST_Iの場合、たとえ、開放型微細孔OP_Hの内部に空いた空間RMを形成されていても、少なくとも開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENは、確実に閉鎖することができる。したがって、より高いシーリング信頼性を有することができる。
【0128】
図19は、他の実施形態に係る電子部品の断面図である。
【0129】
図19を参照すると、本実施形態に係る電子部品101は、外部シーリング薄膜ST_Oがなく、内部シーリング薄膜ST_Iが開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから所定距離後退して配置された点で、
図4の実施例との違いがある。内部シーリング薄膜ST_Iの端部は、開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから所定深さに配置されるが、少なくとも配置された領域では、閉鎖区間を形成する。したがって、流体は開放型微細孔OP_Hと内部シーリング薄膜ST_Iによって定義される溝部までは浸透することができるが、その内部への追加進入は防止することができる。内部シーリング薄膜ST_Iが開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから後退する距離は100nm以下であることができるが、これに制限されるものではない。開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENが電極層131に位置する場合、内部シーリング薄膜ST_Iが後退された空間をめっき層151が満たすことができる。
【0130】
図19に示された電子部品101は、シーリング薄膜形成工程は、以前の実施例と同一の方式で行うが、シーリング薄膜除去工程を乾式研磨の代わりに乾式エッチングや湿式エッチングなどの方法で行うことで製造することができる。
【0131】
湿式エッチング工程の例を挙げて説明すると、
図13の結果物についてエッチング液に担持するか、エッチング液を噴射すると微小体のすべての面を介してシーリング薄膜ST_Wのエッチングが行われる。シーリング薄膜ST_Wがエッチングされる厚さは、エッチング液に露出する時間、言い換えると、エッチング時間に概ね比例する。エッチング時間は、電極層131上のシーリング薄膜ST_Wをすべて削除することを目標として設定される。電極層131上のシーリング薄膜ST_Wがすべて削除されるとき、類似した厚さを有する微小体の他面上に配置されたシーリング薄膜ST_Wもともに除去されることができる。また、電極層131の端部と本体110との間の段差部STP上に配置されたシーリング薄膜ST_Wもエッチング液によって除去されることができる。
【0132】
一方、開放型微細孔OP_Hが形成された領域の場合にも、外側面の方向に均一な厚さでシーリング薄膜ST_が積層されているため、電極層131上のシーリング薄膜ST_Wが除去される時点で内部シーリング薄膜ST_Iの端部が露出することができる。この時点で、エッチング工程を停止すると、内部シーリング薄膜ST_Iは、
図16の実施例のように開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから後退せずに残留させることができる。
【0133】
電極層131上のシーリング薄膜ST_Wの完全除去を担保するために所定追加時間の間、過エッチング工程を行う場合があるが、この時には内部シーリング薄膜ST_Iが過エッチングの間、エッチング液に露出して追加エッチングされることがある。したがって、
図19に示されたように、開放型微細孔OP_Hの表面の開口ENから所定深さ後退して配置された形態で、内部シーリング薄膜ST_Iが残留するようになることがある。
【0134】
非常に長い時間、過エッチングが行われると、内部シーリング薄膜ST_Iが過度にエッチングされてすべて削除されるか、
図18(c)に示されたものと類似して開放型微細孔OP_Hの入口が閉鎖できない可能性があるため、過エッチング時間は内部シーリング薄膜ST_Iが適正な範囲内の後退距離(例えば、100nm以下)を有するように調節することができる。
【0135】
以下、製造例及び実験例により実施例についてさらに詳細に説明する。
【0136】
<製造例1>
図10を参照して説明した方法として、本体及び電極層を含む微小体を製造した。集束イオンビーム(FIB)を用いて製造された微小体から試験片を用意した。
【0137】
<製造例2>
図10、
図11、
図13、
図15及び
図16を参照して説明した方法として、電子部品を製造した。シーリング薄膜形成工程は、C3F6をソースガスとして利用するバレル型PECVD装置で行われた。蒸着物質の平均蒸着厚みを100nmになるように工程条件を設定した。シーリング薄膜除去工程は、バレル型機械的研磨装置で行われた。使用された研磨粒子の平均大きさが0.7mmであった。シーリング薄膜除去工程を終えた後、めっき層を形成して電子部品を完成した。
【0138】
集束イオンビーム(FIB)を用いて製造された電子部品から試験片を用意した。
【0139】
<製造例3~5>
蒸着物質の平均蒸着厚さを15nm(製造例3)、60nm(製造例4)、300nm(製造例5)に変更したことを除いては、製造例2と同様の方式で電子部品を製造した。
【0140】
<製造例6>
シーリング薄膜形成工程とシーリング薄膜除去工程なしに微小体にめっき層を直ちに形成して電子部品を製造した。
【0141】
<実験例>
製造例1による多数のサンプルに対してBDV(Break Down Voltage)を照射し、その結果を下記表1に示した。
【0142】
【0143】
上記表1において、「min」は該当製造例で測定されたBDVの最小値を、「avg」は該当製造例のBDVの平均値をそれぞれ示す。上記表1を参照すると、めっき工程に露出しない製造例1は、めっき工程を経た製造例2~6に比べてBDV最小値が相対的高く示された。上記表1の「38V以下の占有率」は、各製造例で製造例1のBDVの最小値である38Vよりも小さいか、同様のBDV特性を示したサンプルの割合を示す。「38V以下の占有率」が小さいほどBDV特性に優れたものと評価される。上記表1を参照すると、めっき工程を経た製造例のうち、シーリング薄膜形成工程を省略した製造例6や、シーリング薄膜の平均蒸着厚みが20nm未満の製造例3は、24,000ppm内外の相対的大きい「38V以下の占有率」を示した。一方、シーリング薄膜の平均蒸着厚さが20nm以上の製造例2、4、5は、相対的小さい「38V以下の占有率」を示し、全般的にさらに良いBDV特性を示した。蒸着物質の平均蒸着厚さが300nmの製造例5は、蒸着物質の平均蒸着厚さが100nmの製造例2に比べて約3倍以上の工程時間がかかるにも関わらず、「38V以下の占有率」は、製造例2と同様に示された。
【0144】
以上、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施されることができるということを理解できる。それ故に、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0145】
100 電子部品
110 本体
111 誘電体層
111H 上部カバー層
111L 下部カバー層
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131、132 電極層
151、152 めっき層
161 第1外部電極
162 第2外部電極
ST シーリング薄膜
OP 微細孔