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特開2022-97384製袋ガイド、縦型製袋充填包装機、内容物入りフィルム包装袋の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097384
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】製袋ガイド、縦型製袋充填包装機、内容物入りフィルム包装袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/22 20060101AFI20220623BHJP
   B65B 9/213 20120101ALI20220623BHJP
【FI】
B65B9/22
B65B9/213
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178504
(22)【出願日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020209819
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596088093
【氏名又は名称】オリヒロエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 正貴
(72)【発明者】
【氏名】今井 成一
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AA03
3E050AA08
3E050AB02
3E050BA01
3E050BA04
3E050BA18
3E050CA01
3E050CA08
3E050CB03
3E050DC02
3E050DC08
3E050DD03
3E050DF01
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB02
(57)【要約】
【課題】機能層に皺やクラックのないフィルム包装袋を製造できる製袋ガイドを提供する。
【解決手段】帯状のフィルムFをチューブ状に折り曲げる製袋ガイド10は、フィルムFを導入するセーラーカラー形の襟部12と、襟部12の内縁に接続して下方に延びる円筒部13とを備え、襟部12は、上流側に配置されて、水平面に対して傾斜する平坦な三角形状の後板部12aを有し、後板部12aの水平面に対する角度αが5°以上、40°以下であり、後板部12aの頂角の角度βが80°以上、140°以下である。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルムをチューブ状に折り曲げる製袋ガイドであって、
前記フィルムを導入するセーラーカラー形の襟部と、
前記襟部の内縁に接続して下方に延びる円筒部と、
を備え、
前記襟部は、上流側に配置されて、水平面に対して傾斜する平坦な三角形状の後板部を有し、
前記後板部の水平面に対する角度αが5°以上、40°以下である、製袋ガイド。
【請求項2】
前記角度αは、10°以上、30°以下である、請求項1に記載の製袋ガイド。
【請求項3】
前記角度α°は、12°以上、20°以下である、請求項2に記載の製袋ガイド。
【請求項4】
前記後板部の頂角の角度βが80°以上、140°以下である、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項5】
前記角度βは、90°以上、120°以下である、請求項4に記載の製袋ガイド。
【請求項6】
前記角度βは、100°以上、110°以下である、請求項5に記載の製袋ガイド。
【請求項7】
前記円筒部の半径Rに対する前記襟部の高さHの比率H/Rは、4以上、16以下である、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項8】
前記比率H/Rは、6以上、13以下である、請求項7に記載の製袋ガイド。
【請求項9】
前記比率H/Rは、8以上、10以下である、請求項8に記載の製袋ガイド。
【請求項10】
前記襟部は、前記後板部と前記円筒部に接続する一対の前板部を有し、
前記前板部は、ベンダー曲げ加工によって形成される、請求項1から9のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項11】
前記後板部の底辺に沿って近接配置または密接配置されて、前記フィルムを前記襟部に導入する従動ローラーを備える、請求項1から10のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項12】
前記円筒部に内側に配置されて、前記円筒部との間に前記フィルムが摺り抜ける隙間を形成する補助パイプを備える、請求項1から11のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項13】
前記フィルムは、機能層を有する、請求項1から12のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項14】
前記機能層は、アルミニウムを含む、請求項13に記載の製袋ガイド。
【請求項15】
前記機能層は、紙を含む、請求項13に記載の製袋ガイド。
【請求項16】
前記機能層は、不織布を含む、請求項13に記載の製袋ガイド。
【請求項17】
前記フィルムは、機能層のみからなる、請求項13に記載の製袋ガイド。
【請求項18】
前記機能層の主材料は、常用軟包装フィルム樹脂よりもヤング率が高い、請求項13から17のうちいずれか一項に記載の製袋ガイド。
【請求項19】
帯状のフィルムを供給するフィルム供給部と、
前記フィルムをチューブ状に折り曲げつつ、搬送方向を下方向に変える製袋ガイドと、
前記フィルムの側縁同士を熱溶着する縦シール部と、
前記フィルムを下方向に搬送するフィルム搬送部と、
前記フィルムの内側に内容物を投入する充填部と、
前記フィルムを幅方向に熱溶着して袋体を形成する横シール部と、
前記袋体を前記フィルムから切り離すカッターと、
を備え、
前記製袋ガイドとして、請求項1から18のうちいずれか一項に記載の製袋ガイドを用いる、縦型製袋充填包装機。
【請求項20】
前記充填部は、前記製袋ガイドに挿通されて、前記内容物として固形物が投入されるホッパーパイプを備える、請求項19に記載の縦型製袋充填包装機。
【請求項21】
前記充填部は、前記製袋ガイドに挿通されて、前記内容物として液体または流動体を吐出するノズルパイプを備える、請求項19または20に記載の縦型製袋充填包装機。
【請求項22】
前記ノズルパイプは、前記製袋ガイドよりも上方から前記横シール部の直上までストレートに延びる形状を有し、下端に開閉弁を内蔵して前記内容物を定量充填する、請求項21に記載の縦型製袋充填包装機。
【請求項23】
前記充填部の直下に配置されて、前記フィルムを横方向に亘って挟持して扱くシゴキ部と、
前記シゴキ部により扱かれて密着した前記フィルム同士を幅方向に部分的に熱溶着するプレシール部と、
を備える、請求項19から22のうちいずれか一項に記載の縦型製袋充填包装機。
【請求項24】
帯状のフィルムを供給するフィルム供給工程と、
前記フィルムをチューブ状に折り曲げつつ、搬送方向を下方向に変えるフィルム折り曲げ工程と、
前記フィルムの側縁同士を熱溶着する縦シール工程と、
前記フィルムを下方向に搬送するフィルム搬送工程と、
前記フィルムの内部に内容物を投入する充填工程と、
前記フィルムを横方向に熱溶着して袋体を形成する横シール工程と、
前記袋体を前記フィルムから切り離す袋体切離工程と、
を有し、
前記フィルム折り曲げ工程において、請求項1から18のうちいずれか一項に記載の製袋ガイドを用いる、内容物入りフィルム包装袋の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のフィルムをチューブ状に折り曲げる製袋ガイドに関する。特に、アルミフィルム等の機能性フィルムをチューブ状に折り曲げる製袋ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟包装材の素材として、アルミニウム箔とポリエチレンやナイロン等のプラスチックフィルムを組み合わせたアルミフィルム(アルミラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム)がある。アルミフィルムは、遮光性、防湿性、保香性、ガスバリア性に優れているので、機能性フィルムと呼ばれる。
アルミフィルムを用いることにより、UVカット、感光防止、酸化防止等の機能を有するアルミフィルム包装袋が得られる。アルミフィルム包装袋は、食品や化粧品、医薬品、化学薬品、電子機器等の分野で用いられている。
紙や不織布を含む機能性フィルムからなる包装袋もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/082920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミフィルム包装袋は、アルミフィルムを二つ折りして熱溶着した三方シール袋または四方シール袋が主流である。しかし、三方シール袋や四方シール袋は、フィルムを熱溶着して袋を閉じるときに、フィルムが縦横方向に拘束されているため、袋に皺が発生しやすい。また、三方シール袋や四方シール袋は、フィルム単位面積当たりの充填量が少なく、固形物等の充填に不向きである。
【0005】
アルミフィルムは熱伝導率の高いので、熱溶着すると、通常の樹脂フィルムに比べて、急激に高温になる。このため、アルミフィルムに横シールを形成する際に、アルミフィルムに液体などが付着(残留)していると、水蒸気爆発(発泡現象)を起こしてシール不良が発生する。このような発泡現象は、先端に開閉弁を内蔵する細長いストレート形状のノズルパイプを用いて内容物を定量充填してフィルムへの液体付着を回避することにより、防止できる。ところが、板状の製袋ガイド(三角セーラー)やローラーを使用してアルミフィルムを二つ折りにする場合には、開閉弁を内蔵するノズルパイプをそのまま用いることができない。製袋ガイドやローラーが内容物投入口の直上に配置されるため、ノズルパイプを曲げて設置する必要があり、開閉弁を内蔵できなくなるからである。
【0006】
一方、いわゆるピロー形包装袋は、袋に皺が発生しづらく、充填量が多い。ピロー形包装袋は、まず帯状のフィルムをチューブ状にし、その合わせ面を熱溶着(縦シール)してチューブ状のフィルムに形成される。そして、このチューブ状のフィルムに内容物を充填(投入)し、さらにフィルムを幅方向に熱溶着(横シール)して袋体に形成される。最後に、この袋体をチューブフィルムから切り離すと、内容物が封入されたピロー形包装袋になる。
ピロー形包装袋を製造する縦型製袋充填包装機は、内容物投入口を大きく開口させることができるので、内容物として、固形物と液体の混合物や固形物のみを充填することが容易である。また、縦型製袋充填包装機は、開閉弁を内蔵する細長いノズルパイプの設置も可能である。
【0007】
しかし、アルミフィルムからピロー形包装袋を形成すると、アルミニウム層にうろこ状の皺やクラックが入ってしまう。アルミフィルムを立体的に折り曲げてチューブ状にするときに、アルミニウム層に不均一な引っ張りや応力集中が発生する。これにより、アルミニウム層に皺やクラックが入ってしまう。
アルミニウム層に皺やクラックが入ると、アルミフィルム包装袋の外観や機能性が低下して、商品価値が失われてしまう。
【0008】
同様に、他の機能性フィルムからピロー形包装袋を形成すると、例えば紙や不織布を含む機能層に皺等が入りやすい。このため、包装袋の外観や機能性が低下して、商品価値が失われてしまう。
【0009】
本発明は、皺やクラックのないフィルム包装袋を製造できる製袋ガイド、縦型製袋充填包装機、内容物入りフィルム包装袋の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る製袋ガイドの実施態様は、帯状のフィルムをチューブ状に折り曲げる製袋ガイドであって、前記フィルムを導入するセーラーカラー形の襟部と、前記襟部の内縁に接続して下方に延びる円筒部と、を備え、前記襟部は、上流側に配置されて、水平面に対して傾斜する平坦な三角形状の後板部を有し、前記後板部の水平面に対する角度αが5°以上40°以下である、ことを特徴とする。
【0011】
前記角度αは、10°以上、30°以下である、ことを特徴とする。前記角度α°は、12°以上、20°以下である、ことを特徴とする。
前記後板部の頂角の角度βが80°以上、140°以下である、ことを特徴とする。前記角度βは、90°以上、120°以下である、ことを特徴とする。前記角度βは、100°以上、110°以下である、ことを特徴とする。
前記円筒部の半径Rに対する前記襟部の高さHの比率H/Rは、4以上、16以下である、ことを特徴とする。前記比率H/Rは、6以上、13以下である、ことを特徴とする。前記比率H/Rは、8以上、10以下である、ことを特徴とする。
【0012】
前記襟部は、前記後板部と前記円筒部に接続する一対の前板部を有し、前記前板部は、ベンダー曲げ加工によって形成される、ことを特徴とする。
前記後板部の底辺に沿って近接配置または密接配置されて、前記フィルムを前記襟部に導入する従動ローラーを備える、ことを特徴とする。
前記円筒部に内側に配置されて、前記円筒部との間に前記フィルムが摺り抜ける隙間を形成する補助パイプを備える、ことを特徴とする。
【0013】
前記フィルムは、機能層を有する、ことを特徴とする。前記機能層は、アルミニウムを含む、ことを特徴とする。前記機能層は、紙を含む、ことを特徴とする。前記機能層は、不織布を含む、ことを特徴とする。前記フィルムは、機能層のみからなる、ことを特徴とする。前記機能層の主材料は、常用軟包装フィルム樹脂よりもヤング率が高い、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る縦型製袋充填包装機の実施態様は、帯状のフィルムを供給するフィルム供給部と、前記フィルムをチューブ状に折り曲げつつ、搬送方向を下方向に変える製袋ガイドと、前記フィルムの側縁同士を熱溶着する縦シール部と、前記フィルムを下方向に搬送するフィルム搬送部と、前記フィルムの内側に内容物を投入する充填部と、前記フィルムを幅方向に熱溶着して袋体を形成する横シール部と、前記袋体を前記フィルムから切り離すカッターと、を備え、前記製袋ガイドとして上記実施態様の製袋ガイドを用いる、ことを特徴とする。
【0015】
前記充填部は、前記製袋ガイドに挿通されて、前記内容物として固形物が投入されるホッパーパイプを備える、ことを特徴とする。
前記充填部は、前記製袋ガイドに挿通されて、前記内容物として液体または流動体を吐出するノズルパイプを備える、ことを特徴とする。前記ノズルパイプは、前記製袋ガイドよりも上方から前記横シール部の直上までストレートに延びる形状を有し、下端に開閉弁を内蔵して前記内容物を定量充填する、ことを特徴とする。
前記充填部の直下に配置されて、前記フィルムを横方向に亘って挟持して扱くシゴキ部と、前記シゴキ部により扱かれて密着した前記フィルム同士を幅方向に部分的に熱溶着するプレシール部と、を備える、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る内容物入りフィルム包装袋の製造方法の実施態様は、帯状のフィルムを供給するフィルム供給工程と、前記フィルムをチューブ状に折り曲げつつ、搬送方向を下方向に変えるフィルム折り曲げ工程と、前記フィルムの側縁同士を熱溶着する縦シール工程と、前記フィルムを下方向に搬送するフィルム搬送工程と、前記フィルムの内部に内容物を投入する充填工程と、前記フィルムを横方向に熱溶着して袋体を形成する横シール工程と、前記袋体を前記フィルムから切り離す袋体切離工程と、を有し、前記フィルム折り曲げ工程において、上記実施態様の製袋ガイドを用いる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製袋ガイド、縦型製袋充填包装機、内容物入りフィルム包装袋の製造方法は、皺やクラックのないフィルム包装袋を製造できる。特に、機能層に皺やクラックを発生させずに、包装袋を良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)内容物入りアルミフィルム包装袋Gを示す斜視図、(b)アルミフィルムFを示す断面図である。
図2】第一実施形態に係る縦型製袋充填包装機1の要部を模式的に示す側面図である。
図3】製袋ガイド10を示す斜視図である。
図4】フォーマー11Aを示す図であって、(a)斜視図、(b)正面図および一部拡大図である。
図5】フォーマー11Aを示す図であって、(a)背面図、(b)平面図、(c)底面図である。
図6】フォーマー11Aを示す図であって、(a)左側面図、(b)右側面図である。
図7】フォーマー11Bを示す図であって、(a)正面図および一部拡大図、(b)背面図、(c)平面図である。
図8】フォーマー11Bを示す図であって、(a)底面図、(b)左側面図、(c)右側面図である。
図9】フォーマー11Cを示す図であって、(a)正面図および一部拡大図、(b)背面図、(c)平面図である。
図10】フォーマー11Cを示す図であって、(a)底面図、(b)左側面図、(c)右側面図である。
図11】第二実施形態に係る縦型製袋充填包装機2の要部を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る縦型製袋充填包装機1,2および内容物入りアルミフィルム包装袋Gの製造方法について説明する。
縦型製袋充填包装機1,2は、アルミフィルムFから袋体を形成し、この袋体の内部に内容物Xを充填したアルミフィルム包装袋Gを製造する。
【0020】
〔アルミフィルム包装袋G〕
図1(a)は、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを示す斜視図である。
縦型製袋充填包装機1,2は、ピロー形のアルミフィルム包装袋Gを製造する。ピロー形包装袋は、袋の上端と下端に横シールYを有し、袋の後面に縦方向に延びる縦シールTを有する袋である。
ピロー形のアルミフィルム包装袋Gは、一枚の帯状のアルミフィルムFを折り曲げてチューブ状にして熱溶着(縦シールTを形成)し、内容物Xを充填した後に、指定の長さで熱溶着(横シールYを形成)して切断して形成される。
一般的に、ピロー形包装袋は、フィルム単位面積当たりの充填量を最大化できることや皺が発生しづらいという利点がある。ピロー形包装袋は、合掌貼り袋、背貼り袋とも呼ばれる。ピロー形包装袋の縦シールは、背貼りシールとも呼ばれる。
【0021】
〔アルミフィルムF〕
図1(b)は、アルミフィルムFを示す断面図である。
アルミフィルムFは、遮光性、防湿性、保香性、ガスバリア性を有する機能性フィルムである。
アルミフィルムFは、アルミラミネートフィルムまたはアルミ蒸着フィルムである。
アルミラミネートフィルムは、アルミニウム箔に他の素材を貼り合わせて積層させたフィルムである。アルミニウム箔に他の素材を積層させるには、ドライラミネート法が使われる場合が多い。
代表的なラミネート構成には、「PET/AL/PE」や「NY/AL/PE」、「PET/AL/NY/CPP」等がある。最初に表記した素材が袋の外面、最後に表記した素材が袋の内面に配置される素材である。
図1(b)に示すように、「PET/AL/PE」と表記されたフィルムは、外面がPET(ポリエチレンテレフタレート)、中間にAL(アルミニウム)、内面にPE(ポリエチレン)の三層構造のラミネートフィルムである。中間のALは、アルミニウム層であり、機能層と呼ばれる。
【0022】
PETは、引張強度や引裂強度、耐熱性、耐水性などに優れている。PEは、耐寒性や防水性、絶縁性、耐薬品性、耐油性に優れている。NY(ナイロン)は、引裂強度や透明度に優れている。CPP(無延伸ポリプロピレン)は、引裂強度、透明度に優れている。
【0023】
アルミ蒸着フィルムは、プラスチックフィルムの表面にアルミニウムを真空蒸着させたフィルムである。このプラスチックフィルムの素材には、一般的にPETが用いられている。このため、アルミ蒸着フィルムは、アルミ蒸着PETやVMPET、または「PET/AL」と表記される。
【0024】
アルミニウム層(AL)は、樹脂層(PET、PE、NY、PE、CPP等)に比べると、ヤング率(弾性率)が高い。このため、従来の製袋や方法を用いてアルミフィルムFからピロー形包装袋を形成すると、アルミニウム層(AL)にうろこ状の皺やクラックが入ってしまう。
【0025】
〔第一実施形態:縦型製袋充填包装機1〕
図2は、第一実施形態に係る縦型製袋充填包装機1の要部を模式的に示す側面図である。
縦型製袋充填包装機1は、制御部(不図示)により制御されて、アルミフィルムFからピロー形の包装袋を形成すると同時に、この包装袋に内容物Xを充填して、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを製造する。
【0026】
内容物Xは、固体、液体、流動体またはこれらの混合物である。具体的には、内容物Xは、飲料や食品の他、シャンプーやリンス等の化粧品類、塗料(インク)や接着剤等の工業製品、医薬品である。
【0027】
縦型製袋充填包装機1は、フィルム供給部5、製袋充填包装部8を備える。
フィルム供給部5は後方に、製袋充填包装部8は前方に配置される。フィルム供給部5、製袋充填包装部8は、装置フレーム(不図示)の内部に配置され、脚部(不図示)を介して床面に設置される。
【0028】
アルミフィルムFの長手方向を搬送方向ともいう。搬送方向のうち、フィルム供給部5(アルミフィルムFの原反)に近づく方向を上流側、製袋充填包装部8(内容物入りアルミフィルム包装袋G)に近づく方向を下流側という。アルミフィルムFの幅方向を横方向ともいう。
製袋充填包装部8におけるアルミフィルムFの長手方向を鉛直方向、上下方向または縦方向という。製袋充填包装部8におけるアルミフィルムFの横方向を左右方向ともいう。製袋充填包装部8におけるアルミフィルムFの厚み方向を前後方向とも呼ぶ。
【0029】
〔フィルム供給部5〕
フィルム供給部5は、アルミフィルムFを製袋充填包装部8に向けて供給する。フィルム供給部5は、複数の従動ローラー等を備える。フィルム供給部5は、ロール状に巻かれたアルミフィルムF(アルミフィルムFの原反)を軸支する。
フィルム供給部5は、原反(ロールフィルム)からアルミフィルムFを繰り出し、複数の従動ローラーを経由させる。フィルム供給部5は、アルミフィルムFに弛みや蛇行がないように、一定のテンションを掛けて送り出す。
アルミフィルムFは、フィルム供給部5から上方向に送り出される。アルミフィルムFは、フィルム供給部5から製袋充填包装部8の上部(後述する製袋ガイド10)に向けて搬送される。
【0030】
〔製袋充填包装部8〕
製袋充填包装部8は、アルミフィルムFをチューブ状に折り曲げ、さらに下方向に送りながら、チューブ状のアルミフィルムFの内側に内容物Xを充填する。さらに、製袋充填包装部8は、チューブ状のアルミフィルムFから内容物Xが充填された袋体を切り離して、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを連続して製造する。
【0031】
製袋充填包装部8は、製袋ガイド10、フィルム搬送部30、縦シール部20、充填部40、横シール部50、カッター部60等を備える。
製袋充填包装部8の下方には、アルミフィルム包装袋Gを搬出する搬送コンベヤ(不図示)が付設される。
【0032】
〈製袋ガイド10〉
図3は、製袋ガイド10を示す斜視図である。
図4図5図6は、フォーマー11Aを示す。図4(a)斜視図、図4(b)正面図および一部拡大図、図5(a)背面図、図5(b)平面図、図5(c)底面図、図6(a)左側面図、図6(b)右側面図である。
図7図8は、フォーマー11Bを示す。図7(a)正面図および一部拡大図、図7(b)背面図、図7(c)平面図、図8(a)底面図、図8(b)左側面図、図8(c)右側面図である。
図9図10は、フォーマー11Cを示す。図9(a)正面図および一部拡大図、図9(b)背面図、(c)平面図、図10(a)底面図、図10(b)左側面図、図10(c)右側面図である。
【0033】
製袋ガイド10は、フィルム供給部5から供給されたアルミフィルムFに密着して、アルミフィルムFをチューブ状に折り曲げる。また、製袋ガイド10は、搬送方向を斜め上方向から下方向に方向転換する。
すなわち、アルミフィルムFは、製袋ガイド10に沿って摺動しながら、チューブ状に折り曲げられる。そして、アルミフィルムFは、製袋ガイド10を経て搬送方向が下方向に変わる。
製袋ガイド10は、フォーマー11、従動ローラー14、上部補助パイプ15、下部補助パイプ16等を備える。
製袋ガイド10またはフォーマー11は、ショルダーやセーラー、バックガイド、フォーミングカラー、フォーミングショルダー、チューブフォーマー等とも呼ばれる。
【0034】
(フォーマー11)
フォーマー11(フォーマー11A,11B,11C)は、アルミフィルムFを平坦な帯状からチューブ状に折り曲げる部材であり、襟部12と円筒部13を備える。
襟部12は、ステンレス製の薄板をセーラーカラー形に折り曲げた板部材であり、アルミフィルムFを案内する。襟部12は、上流側に後板部12a、下流側に一対の前板部12bを有する。
後板部12aは、上流側に配置されて、水平面に対して傾斜する平坦な部位である。後板部12aは、上流側(後下方向)に底辺を有し、下流側(前上方向)に頂角が配置された二等辺三角形状を有する。
一対の前板部12bは、後板部12aの2つの斜辺からそれぞれ前方に向かいながら湾曲して下方に延びる部位である。前板部12bは、下方に向かうに従ってその幅が徐々に狭くなる細長い三角形状を有する。この前板部12bは、ベンダー曲げ加工によって形成される。
【0035】
円筒部13は、襟部12の内縁(稜線)に接続するステンレス製の円筒部材である。円筒部13は、上下方向に沿って延在し、斜め前方を向くように切断された開口を有する。この開口縁(稜線)に沿って襟部12が隙間なく接続される。円筒部13の開口縁の上端に後板部12aの頂角部分が接続され、さらに一対の前板部12bが開口縁に隙間なく接続される。
円筒部13の正面には、縦方向に延びて下端から開口に繋がるスリットが設けられる。このスリットには、アルミフィルムFの両側縁が重ねられた状態で挿通される。
円筒部13の外周面の上下方向中央付近には、円筒部13の変形を防止する補強部材が取り付けられる。円筒部13の下端には、フォーマー11を支持して、装置フレームに連結される支持部材が取り付けられる。
【0036】
フォーマー11の形状等について詳述する。
フォーマー11(襟部12、円筒部13)は、左右対称な形状を有する。
襟部12は、アルミフィルムFを後板部12aの底辺から引き入れる。後板部12aが平坦であり、その底辺が直線であるため、アルミフィルムFに引っ張りや撓み等のストレスが発生することなく、アルミフィルムFが後板部12aに導入される。
そして、襟部12は、アルミフィルムFを円筒部13に向かって摺動させる。アルミフィルムFの幅方向の中央付近は後板部12aの表面を摺動し、アルミフィルムFの幅方向の両端(側縁)付近は前板部12bの表面を摺動する。
アルミフィルムFの幅方向の中央付近は、後板部12aに沿って斜め上方向に搬送される。アルミフィルムFの幅方向の両端付近は、前板部12bに沿って斜め上方向から徐々に下方向に方向転換されながら搬送される。
円筒部13は、まず、アルミフィルムFの中央付近を内周面に引き込んで、搬送方向を斜め上方向から下方に方向転換させる。さらに、円筒部13は、アルミフィルムFを徐々に内周面に引き込んで、下方に方向転換させながらチューブ状に丸め込む。
アルミフィルムFは、襟部12から円筒部13に載り移りながらチューブ状に丸め込まれる。アルミフィルムFは、円筒部13の内周面を下方に向けて摺動しながら、徐々にチューブ状に丸め込まれる。アルミフィルムFの両側縁は、円筒部13に引き込まれることなく、円筒部13の正面に形成されたスリットに、側縁同士が重なった状態で挿入される。
【0037】
フォーマー11は、アルミフィルムFの幅方向の中央付近の搬送距離と両端付近の搬送距離が同一になるように、襟部12や円筒部13の開口形状が設定(形成)される。これにより、アルミフィルムFに不均一な引っ張りや応力集中、撓み等のストレスが殆ど発生しない。したがって、フォーマー11は、アルミフィルムFに皺やクラックが入ることを防止できる。
【0038】
(角度α)
フォーマー11は、襟部12の後板部12aの水平面に対する角度αが45°未満に設定される。言い換えると、襟部12の後板部12aの円筒部13の中心軸に対する角度が45°以上に設定される。角度αを45°未満に設定することにより、アルミフィルムFが襟部12から円筒部13に円滑に載り移ることができる。アルミフィルムFがフォーマー11の頂部付近で余計な摺動抵抗を受けないので、アルミニウム層に皺やクラックが入ることを防止できる。
【0039】
具体的には、フォーマー11Aは、角度αが10°以上、30°以下であり、さらに角度αが12°以上、20°以下である。フォーマー11Bは、角度αが15°以上、40°以下であり、特に角度αが20°以上、35°以下である。フォーマー11Cは、角度αが5°以上、15°以下であり、さらに角度αが8°以上、12°以下である。
すなわち、角度αは5°以上、40°以下である。さらに、角度αは10°以上、30°以下が好ましい。特に、角度α°は、12°以上、20°以下が好ましい。
このように、角度αを上述した範囲に設定したので、アルミフィルムFが襟部12から円筒部13に急激に載り移ることを回避できる。したがって、アルミフィルムFの良好な製袋化を実現できる。
【0040】
(角度β)
フォーマー11は、襟部12の後板部12aの頂角の角度βが90°以上に設定される。角度βを90°以上に設定することにより、前板部12bの湾曲が緩やかになり、アルミフィルムFに不均一な引っ張りや撓みが発生しづらくなり、アルミニウム層に皺やクラックが入ることが防止できる。
【0041】
具体的には、フォーマー11Aは、角度βが90°以上、120°以下であり、さらに角度βが100°以上、110°以下である。フォーマー11Bは、角度βが100°以上、140°以下であり、特に角度βが110°以上、130°以下である。フォーマー11Cは、角度βが80°以上、100°以下であり、さらに角度βが85°以上、95°以下である。
すなわち、角度βは80°以上、140°以下である、さらに、角度βは90°以上、120°以下が好ましい。特に、角度βは、100°以上、110°以下が好ましい。
このように、角度βを上述した範囲に設定したので、後板部12aの搬送方向の長さが短くなり、アルミフィルムFが襟部12から円筒部13に円滑に載り移る。したがって、アルミフィルムFの良好な製袋化を実現できる。
【0042】
(比率H/R)
フォーマー11は、円筒部13の半径R(内寸)に対する襟部12の高さHの比率H/Rが3以上に設定される。襟部12の高さHは、円筒部13の開口縁(稜線)の高さと同一、前板部12bの高さとほぼ同一である。フォーマー11は、円筒部13が細長く、一対の前板部12bが下方に大きく延びてその幅が徐々に狭くなるように形成される。
これにより、アルミフィルムFが襟部12から円筒部13に徐々に載り移る。したがって、アルミフィルムFに不均一な引っ張りや撓みが発生しづらくなり、アルミニウム層に皺やクラックが入ることを防止できる。
【0043】
具体的には、フォーマー11Aは、比率H/Rが6以上、13以下であり、さらに比率H/Rが8以上、10以下である。フォーマー11Bは、比率H/Rが4以上、8以下であり、特に比率H/Rが5以上、7以下である。フォーマー11Cは、比率H/Rが10以上、16以下であり、さらに比率H/Rが12以上、14以下である。
すなわち、比率H/Rは4以上、16以下である。さらに、比率H/Rは6以上、13以下が好ましい。特に、比率H/Rは8以上10以下が好ましい。
このように、比率H/Rを上述した範囲に設定したので、アルミフィルムFがゆっくりとチューブ形状に折り曲げられる。したがって、アルミフィルムFの良好な製袋化を実現できる。
【0044】
(従動ローラー14)
フォーマー11の後端(襟部12の後板部12a)には、従動ローラー14が近接配置またはた密接配置される。従動ローラー14は、その中心軸が襟部12の後端(後板部12aの底辺)に平行配置される。
従動ローラー14にはフィルム供給部5から送り出されたアルミフィルムFが架け渡される。そして、アルミフィルムFは、従動ローラー14を経ることにより、搬送方向が上方向から斜め上方向に方向転換する。
アルミフィルムFは、従動ローラー14からフォーマー11の襟部12に、搬送方向が変わることなく、平坦なまま載り移る。つまり、アルミフィルムFは、フォーマー11の後端(後板部12aの底辺)において方向転換することなく、平坦かつ真っすぐに後板部12aに載り移る。アルミフィルムFは、従動ローラー14を経ることにより、引っ張りや撓み等のストレスが発生することなく、フォーマー11に円滑に導入される。
【0045】
(上部補助パイプ15)
上部補助パイプ15は、円筒部13よりも小径のステンレス製の円筒部材であって、円筒部13の上部に嵌通される。上部補助パイプ15は、上端側が円筒部13よりも上方に突出する。上部補助パイプ15は、円筒部13との間に僅かな隙間を形成し、この隙間にアルミフィルムFが挿通される。アルミフィルムFが上部補助パイプ15と円筒部13の隙間を摺り抜ける。
上部補助パイプ15は、前方向が開口する半筒形状であってもよい。上部補助パイプ15を充填部40として機能させることもできる。
【0046】
フォーマー11は、円筒部13の上部に上部補助パイプ15が嵌通されているので、アルミフィルムFに撓み(皺)を発生させることなく、アルミフィルムFを円滑に下方に搬送できる。
上部補助パイプ15が円筒部13よりも小径であり、上部補助パイプ15と円筒部13との間に僅かな隙間が形成される。アルミフィルムFが襟部12から円筒部13に載り移ると同時に、この隙間に入り込む。このため、アルミフィルムFが下方に搬送されるときに、上部補助パイプ15がアルミフィルムFが円筒部13の内周面から浮き上がることを防止する。したがって、アルミフィルムFのアルミニウム層に皺等が入るこを防止できる。
【0047】
下部補助パイプ16は、上部補助パイプ15とほぼ同径のステンレス製の円筒部材であって、円筒部13の下部に嵌通される。下部補助パイプ16は、下端側が円筒部13よりも下方に突出する。下部補助パイプ16は、円筒部13との間に僅かな隙間を形成し、この隙間にアルミフィルムFが挿通される。
下部補助パイプ16を充填部40として機能させることもできる。
【0048】
〈縦シール部20〉
縦シール部20は、製袋ガイド10の下部補助パイプ16の前方に配置される。縦シール部20は、フォーマー11を経てチューブ状に折り込まれたアルミフィルムFの側縁同士を搬送方向(縦方向)に沿って熱溶着する。
縦シール部20は、一対のヒーターバー22等を備える。一対のヒーターバー22は、それぞれ縦方向に延在し、アルミフィルムFの側縁同士を挟んで左右方向にそれぞれ配置される。一対のヒーターバー22は、その隙間に挿入されたアルミフィルムFの側縁同士を加熱する。一対のヒーターバー22がアルミフィルムFの側縁同士を縦方向に沿って熱溶着することにより、アルミフィルムFに縦シールTが形成される。これにより、アルミフィルムFが完全なチューブ形状になる。
【0049】
〈フィルム搬送部30〉
フィルム搬送部30は、アルミフィルムFを下向きに間欠搬送する。フィルム搬送部30は、縦シール部20の下方に配置される。
フィルム搬送部30は、後述するホッパーパイプ42を挟んで前後左右にそれぞれ配置された四個の搬送ローラー32を備える。フィルム搬送部30は、一対の搬送ローラー32でチューブ状のアルミフィルムFを前後方向において挟持する。そして、フィルム搬送部30は、搬送ローラー32を回転させて、チューブ状のアルミフィルムFを下方向に搬送する。
【0050】
〈充填部40〉
充填部40は、チューブ状のアルミフィルムFの内部に内容物Xを投入(充填)する。充填部40は、ホッパーパイプ42、ノズルパイプ44等を備える。
ホッパーパイプ42は、上部補助パイプ15、下部補助パイプ16よりも小径の細長いステンレス製の円筒部材である。ホッパーパイプ42は、製袋ガイド10の上部補助パイプ15と下部補助パイプ16に挿通される。ホッパーパイプ42には、内容物Xとして、例えば野菜などの固形物が投入される。内容物Xは、ホッパーパイプ42を経てチューブ状のアルミフィルムFに充填される。
ノズルパイプ44は、細長いストレート形状を有し、ホッパーパイプ42の中心軸に沿って、フィルム搬送部30よりも下方側まで挿通される。ノズルパイプ44は、製袋ガイド10、上部補助パイプ15、下部補助パイプ16にも挿通される。ノズルパイプ44は、製袋ガイド10よりも上方から横シール部50の直上までストレートに延びる。
ノズルパイプ44は、下端に開閉弁(不図示)を内蔵する。ノズルパイプ44は、送液ポンプ(不図示)に連結されて、内容物Xとして、例えば飲料などの液体や流動体をチューブ状のアルミフィルムFに向けて吐出する。
充填部40は、この開閉弁と送液ポンプを制御して、内容物Xの定量充填を行う。ノズルパイプ44は、開閉弁(シャッター)を有するので、液ダレが発生しない。このため、フィルムF(横シールYが形成される部位)への内容物Xの付着が回避されて、横シールYのシール不良が未然に防止される。
製袋ガイド10(上部補助パイプ15)の上方には十分な空間があるため、細長いストレート形状のノズルパイプ44を、折り曲げたりすることなく、そのまま垂直の姿勢で設置できる。
【0051】
〈横シール部50〉
横シール部50は、充填部40(ノズルパイプ44)の下方に配置され、チューブ状のアルミフィルムFを横方向にわたって熱溶着する。
横シール部50は、一対のヒーターバー52等を備える。一対のヒーターバー52は、それぞれ横方向に延在し、チューブ状のアルミフィルムFを挟んで前後方向にそれぞれ配置される。一対のヒーターバー52は、その隙間に挿入されたチューブ状のアルミフィルムFを加熱する。
一対のヒーターバー52がチューブ状のアルミフィルムFを横方向にわたって熱溶着することにより、アルミフィルムFに横シールYが形成される。これにより、アルミフィルムFが完全な袋体になる。つまり、チューブ状のアルミフィルムFの下端にアルミフィルム包装袋Gが形成される。
【0052】
〈カッター部60〉
カッター部60は、横シール部50の下方向に配置されて、チューブ状のアルミフィルムF(アルミフィルム包装袋G)に形成された横シールYを切断する。
カッター部60は、横方向に延在する一対のカッターバー62からなり、チューブ状のアルミフィルムFを挟んで前後方向にそれぞれ配置される。一対のカッターバー62は、横シールYから残熱を奪った(冷却した)後に、横シールYを上下半分に切断する。これにより、カッター部60は、チューブ状のアルミフィルムFからアルミフィルム包装袋Gを切り落とす。
【0053】
〔内容物入りアルミフィルム包装袋Gの製造方法〕
次に、縦型製袋充填包装機1を用いて、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを製造する工程について説明する。
内容物入りアルミフィルム包装袋Gを製造する工程は、フィルム供給工程S1、フィルム折り曲げ工程S2、縦シール工程S3、フィルム搬送工程S4、充填工程S5、横シール工程S6および袋体切離工程S7を有する。
【0054】
〈フィルム供給工程S1〉
フィルム供給工程S1は、フィルム供給部5が原反からアルミフィルムFを繰り出す工程である。
フィルム供給部5は、アルミフィルムFを製袋ガイド10に向けて上方向に搬送する。
【0055】
〈フィルム折り曲げ工程S2〉
フィルム折り曲げ工程S2は、製袋ガイド10がアルミフィルムFを平坦な帯状からチューブ状に折り曲げる工程である。
フィルム供給部5から供給されたアルミフィルムFは、まず、従動ローラー14に架け渡される。従動ローラー14は、アルミフィルムFの搬送に伴って円滑に回転し、アルミフィルムFを真っすぐにフォーマー11の襟部12に載り移らせる。フォーマー11は、アルミフィルムFを襟部12から円筒部13に摺動させながら、アルミフィルムFをチューブ状に折り曲げる。
上述したように、フォーマー11の形状は、アルミフィルムFに不均一な引っ張りや応力集中、撓みが発生しないように設定(形成)されている。このため、アルミニウム層に皺やクラックが入らずに、アルミフィルムFは、平坦な帯状からチューブ状に折り曲げられる。
【0056】
〈縦シール工程S3〉
縦シール工程S3は、縦シール部20がチューブ状に折り込まれたアルミフィルムFに縦シールTを形成する工程である。
縦シール部20は、一対のヒーターバー22の間に挿入されたアルミフィルムFの側縁同士を熱溶着する。そして、フィルム搬送部30がアルミフィルムFを下方に搬送することにより、縦シールTが隙間なく連続して形成される。
縦シール工程S3は、アルミフィルムFが停止しているときに行われる。つまり、縦シール工程S3は、フィルム搬送工程S4とは異なるときに行われる。縦シール工程S3は、横シール工程S6と同時に行われる。
【0057】
〈フィルム搬送工程S4〉
フィルム搬送工程S4は、フィルム搬送部30がチューブ状のアルミフィルムFを間欠搬送する工程である。
フィルム搬送部30は、複数対の搬送ローラー32を回転させて、アルミフィルムFを下方に搬送する。
【0058】
〈充填工程S5〉
充填工程S5は、充填部40がチューブ状のアルミフィルムFの内部に内容物Xを投入する工程である。充填部40は、ノズルパイプ44から液体(内容物X)を吐出して、アルミフィルムFの内部に供給する。
また、ホッパーパイプ42には、固形物(内容物X)が投入される。固形物(内容物X)は、ホッパーパイプ42を経てアルミフィルムFの内部に供給される。
アルミフィルムFの内部には、液体と固形物が混合した内容物Xが充填される。
充填工程S5は、アルミフィルムFが搬送されているときに行われる。つまり、充填工程S5は、フィルム搬送工程S4と同時に行われる。充填工程S5は、縦シール工程S3や横シール工程S6とは異なるときに行われる。充填工程S5は、フィルム搬送工程S4と同時に行われる。
【0059】
〈横シール工程S6〉
横シール工程S6は、横シール部50が内容物Xが充填されたチューブ状のアルミフィルムFに横シールYを形成する工程である。
横シール部50は、ヒーターバー52により、チューブ状のアルミフィルムFを横方向にわたって熱溶着して横シールYを形成する。
横シールYが形成されると、チューブ状のアルミフィルムFが密閉されて、その下方側がアルミフィルム包装袋Gになる。アルミフィルム包装袋Gは、アルミフィルムFの下端に吊り下げられる。
【0060】
〈袋体切離工程S7〉
袋体切離工程S7は、カッター部60がアルミフィルムFからアルミフィルム包装袋Gを切り落とす工程である。
カッター部60は、カッターバー62により、アルミフィルム包装袋Gの上方側の横シールYを横方向にわたって切断する。つまり、横シールYを上下方向に二分割するように切断する。これにより、アルミフィルムFの下端から、アルミフィルム包装袋Gが切り離される。
【0061】
以上により、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを製造する工程が完了する。
縦型製袋充填包装機1は、内容物入りアルミフィルム包装袋Gを製造する工程を繰り返す。これにより、縦型製袋充填包装機1は、複数の内容物入りアルミフィルム包装袋Gを連続して製造する。
【0062】
なお、縦シール工程S3は、フィルム搬送工程S4と同時(つまり、アルミフィルムFを下方に搬送しながら)に行われる場合もある。そして、縦シール工程S3およびフィルム搬送工程S4とは異なるときに、横シール工程S6が行われる。
また、充填工程S5は、フィルム搬送工程S4とは異なるとき(つまり、アルミフィルムFを停止させて)に行われる場合もある。
さらに、縦シール工程S3、充填工程S5および横シール工程S6が同時に行われる場合もある。
このように、各工程のタイミングは、内容物Xの種類等や充填形式(満注充填、混合充填等)に応じて、適宜変更・調整される。
【0063】
〔第二実施形態:縦型製袋充填包装機2〕
図11は、第二実施形態に係る縦型製袋充填包装機2の要部を模式的に示す側面図である。
第一実施形態と同一の部材等には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
縦型製袋充填包装機2は、液体や流動体(ペースト)等の内容物Xが充填されたアルミフィルム包装袋Gを製造する。充填部40のノズルパイプ44は、開閉弁を内蔵せず、充填部40は、製造工程において常に内容物Xを充填(投入)し続けてもよい。
縦型製袋充填包装機2(製袋充填包装部8)は、充填部40と横シール部50の間に、シゴキ部70とプレシール部80を備える。
【0065】
シゴキ部70は、ノズルパイプ44の先端(下端)の下方(直下)に配置される。
シゴキ部70は、一対の従動ローラー(シゴキローラー72)等を備える。シゴキローラー72は、左右方向に延在して、チューブ状のアルミフィルムFを前後方向に挟んで配置される。
一対のシゴキローラー72は、内容物Xが投入されたアルミフィルムFを前後方向から挟持して横方向にわたって封緘(扱く)。一対のシゴキローラー72は、アルミフィルムFを搾って内容物Xを上下に分断し、アルミフィルムF同士を密着させる。
一対のシゴキローラー72は、フィルム搬送部30がアルミフィルムFを下方向に搬送するときに、アルミフィルムFを挟持し続ける。つまり、一対のシゴキローラー72は、アルミフィルムFを相対的に上方に向かって扱く。これにより、一対のシゴキローラー72は、アルミフィルムF同士が前後方向において密着した部位を作出する。
【0066】
プレシール部80は、シゴキ部70の下方向に配置される。アルミフィルムF同士が密着した部位にプレシールPを形成する。
プレシールPは、チューブ状のアルミフィルムFを横方向に亘って部分的に熱溶着したものであり、後に横シール部50により横シールYに形成される。
プレシール部80は、一対のプレヒーターバー82を備える。一対のプレヒーターバー82は、それぞれ横方向に延在し、チューブ状のアルミフィルムFを挟んで前後方向にそれぞれ配置される。一対のプレヒーターバー82は、その隙間に挿入されたチューブ状のアルミフィルムFを加熱する。プレヒーターバー82は、ヒーターバー22,52よりも加熱温度が低い。
プレヒーターバー82は、アルミフィルムFに縦縞状のプレシールPを形成する。アルミフィルムF同士を密着させて縦縞状の熱シール(プレシールP)を形成することにより、横シールYとなる部位から残留水分を上下方向に押し出すことができる。
【0067】
プレシール部80がアルミフィルムFにプレシールPを形成すると、シゴキ部70は一対のシゴキローラー72を離間させる。そして、フィルム搬送部30がアルミフィルムFを搬送してプレシールPが下方に移動すると、横シール部50がプレシールPに重ねて横シールYを形成する。横シール部50は、残留水分の影響を受けずに、横シールYを良好に形成できる。
【0068】
上述した通り、縦型製袋充填包装機1,2は、製袋ガイド10を用いたので、アルミニウム層に皺やクラックのない良好なアルミフィルム包装袋Gを製造できる。
製袋ガイド10は、フォーマー11がアルミフィルムFに不均一な引っ張りや応力集中、撓みが発生しないように設定(形成)されている。このため、アルミニウム層に皺やクラックが入らずに、アルミフィルムFを平坦な帯状からチューブ状に折り曲げることができる。
したがって、縦型製袋充填包装機1,2および製袋ガイド10は、外観品質が良好で機能性が高い内容物入りアルミフィルム包装袋の製造できる。
【0069】
フィルムFは、複数のアルミニウム層を有するフィルムであってもよい。フィルムFは、アルミニウム箔のみからなるものであってもよい。
フィルムFは、アルミニウム層やアルミニウム箔等を含むアルミフィルムに限らないフィルムFは、他の金属層や他の金属箔を有するもの、または他の金属箔のみからなるものであってもよい。
フィルムFは、金属層等を含むものに限らず、皺やクラックが入りやすい層を有するものであってもよい。例えば、フィルムFは、硬い樹脂層を含むもの(すなわちプラスチックのみからなるフィルム)であってもよい。
【0070】
皺やクラックが入りやすい層(機能層)とは、食品包装に多用されるフィルム材料よりも硬い材料からなる。つまり、機能層の主材料は、食品包装に多用されるフィルム材料よりもヤング率が高い材料からなる。
食品包装に多用されるフィルム材料とは、PE(ポリエチレン)、ONY(二軸延伸ナイロン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET(二軸延伸ポリエステル)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)である。これらのフィルム材料を「常用軟包装フィルム樹脂」と呼ぶ。
【0071】
〔機能性フィルム〕
アルミニウム層を有するフィルムFに代えて、他の機能性フィルムを用いてもよい。
機能性フィルムとして、紙または不織布に他の素材(樹脂等)を貼り合わせて積層させたフィルムがある。つまり、この機能性フィルムは、紙や不織布を含む機能層を有し、通気性、保湿性等に優れる。
【0072】
機能層は、食品包装に多用されるフィルム材料(常用軟包装フィルム樹脂)を除く材料を含む。すなわち、機能層は、PE、ONY、HDPE、LDPE、LLDPE、PET、OPP、CPP等とは異なる材料を含む。
【0073】
紙は、クラフト紙、上質紙、純白、奉書紙、グラシン紙、化繊紙等がある。不織布(JIS-L0222、ISO9092、ISO/DIS 11224)は、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、複合素材等からなる。
紙や不織布は、包装袋に高級感やコシ(粘り強さ)を持たせる等の目的で使用することが多い。また、樹脂使用料を低減する目的でも使用されることも多くなっている。
不織布層を含む包装袋には、例えば保冷剤が封入される。包装袋の表面に結露が発生しても、この結露を不織布層に吸収させることができる。また、例えば、不織布層のみからなる包装袋には鶏ガラやかつお節等が封入される。包装袋のまま煮て出汁を取り、その後に袋ごと捨てることができる。
紙層を含む包装袋には、例えば、医薬品、砂糖、食塩、小麦粉の粉末、菓子、お茶等が封入される。
【0074】
機能性フィルムは、紙または不織布のみからなるフィルムであってもよい。このフィルムの表面の一部に接着層を配置し、この接着層によりフィルム同士を接着して製袋する。
機能性フィルムは、紙や不織布を含む機能層に加えて、アルミニウム等の金属を含む他の機能層を有してもよい。
【0075】
縦型製袋充填包装機1,2は、製袋ガイド10を用いたので、紙や不織布を含む機能層を有する機能性フィルムから、この機能層に皺やクラックのない良好な包装袋を製造できる。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0077】
例えば、上述した実施形態においては、アルミフィルム包装袋Gがピロー形包装袋の場合について説明したが、これに限らない。アルミフィルム包装袋Gが製袋ガイド10により製袋されていればよく、シールの形式等は任意である。
【0078】
内容物Xは、液体、流動体(ペースト)、固体のいずれでもよい。内容物Xは、液体や流動体に固体が含まれる場合であってもよい。内容物Xは、粉体であってもよい。
【0079】
フォーマー11(襟部12、円筒部13)は、ステンレスに限らず、他の金属やプラスチック等により形成されてもよい。襟部12の表面や円筒部13の内周面に複数の凹凸を有するもの、襟部12や円筒部13に複数の通気孔が形成されたものであってもよい。
【0080】
フォーマー11において、角度α、角度β、比率H/Rの値は、アルミフィルムFの特性等に応じて、適宜変更・調整してもよい。内容物Xの種類や状態(温度)、充填量(重量)、充填形式(満注充填、混合充填等)に応じて、角度α、角度β、比率H/Rの値を適宜変更・調整してもよい。
【0081】
上部補助パイプ15と下部補助パイプ16を接続して、一本のパイプにしてもよい。この一本のパイプをホッパーパイプ42として用いてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,2 縦型製袋充填包装機
10 製袋ガイド
11,11A,11B,11C フォーマー
12 襟部
12a 後板部
12b 前板部
13 円筒部
14 従動ローラー
15 上部補助パイプ(補助パイプ)
16 下部補助パイプ
20 縦シール部
30 フィルム搬送部
40 充填部
42 ホッパーパイプ
44 ノズルパイプ
50 横シール部
60 カッター部
70 シゴキ部
80 プレシール部
F アルミフィルム(フィルム)
G 内容物入りアルミフィルム包装袋(袋体)
T 縦シール
Y 横シール
P プレシール
X 内容物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11