(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097389
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20220623BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183997
(22)【出願日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020209934
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 知規
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 正人
(72)【発明者】
【氏名】吉留 大介
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036AA03
2E036AA04
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB07
2E036HB12
2E239CA02
2E239CA12
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA47
2E239CA54
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】 防火性能を有する建具の提供。
【解決手段】 枠1と戸2を備え、戸2は、回動して開閉するものであり、枠1は、戸2の見込面に当接する第1タイト材3と、戸2の見付面に当接する第2タイト材4と、火災時に第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡する加熱発泡材5とを有し、枠1又は戸2の見込面において、第1タイト材3の近傍であって第1タイト材3に対して第2タイト材4と反対側にも加熱発泡材6が設けてある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材とを有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることを特徴とする建具。
【請求項2】
枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見込面に当接するタイト材を有し、タイト材の近傍の戸の開き側及び戸の閉じ側に、火災時に枠と戸の見込面間の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けてあることを特徴とする建具。
【請求項3】
枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、戸の閉じ側寄りの枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、第1加熱発泡材よりも戸の閉じ側で且つタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることを特徴とする建具。
【請求項4】
枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、断熱ブリッジ材よりも室内側の枠見込面に設けてあり火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材を有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることを特徴とする建具。
【請求項5】
枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の開閉方向の閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、断熱ブリッジ材よりも室外側の枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、断熱ブリッジ材よりも室内側でタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火性能を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関用の建具として、枠に戸を回動自在に取付けた玄関ドアが広く用いられている。通常の玄関ドアは防火性能を有しておらず、防火性能を有するものが求められた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「玄関ドア ファノーバ スタイルセレクト カタログ」(カタログNo.STJ1607A KY.20.05-150)、2020年5月、p.294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、防火性能を有する建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材とを有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見込面に当接するタイト材を有し、タイト材の近傍の戸の開き側及び戸の閉じ側に、火災時に枠と戸の見込面間の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けてあることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、戸の閉じ側寄りの枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、第1加熱発泡材よりも戸の閉じ側で且つタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、断熱ブリッジ材よりも室内側の枠見込面に設けてあり火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材を有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の開閉方向の閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、断熱ブリッジ材よりも室外側の枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、断熱ブリッジ材よりも室内側でタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材とを有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることで、火災時に枠と戸の間の隙間が加熱発泡材で塞がれるため、防火性能を発揮できる。枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることで、火災時に戸が火災の熱で反ったときでも、枠と戸の間に隙間が生じない。
【0011】
請求項2記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見込面に当接するタイト材を有し、タイト材の近傍の戸の開き側及び戸の閉じ側に、火災時に枠と戸の見込面間の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けてあることで、火災時に枠と戸の間の隙間が加熱発泡材で塞がれるため、防火性能を発揮できる。タイト材の近傍の戸の開き側にも加熱発泡材が設けてあることで、火災時に戸が火災の熱で反ったときでも、枠と戸の間に隙間が生じない。
【0012】
請求項3記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、戸の開閉方向閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、戸の閉じ側寄りの枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、第1加熱発泡材よりも戸の閉じ側で且つタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることで、火災時に枠と戸の間の隙間が第1・第2加熱発泡材で塞がれるため、防火性能を発揮できる。戸の閉じ側寄りの枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあることで、火災時に戸が火災の熱で反ったときでも、枠と戸の間に隙間が生じない。
【0013】
請求項4記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の見込面に当接する第1タイト材と、戸の見付面に当接する第2タイト材と、断熱ブリッジ材よりも室内側の枠見込面に設けてあり火災時に第1タイト材と第2タイト材との間の空間内で発泡する加熱発泡材を有し、枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることで、断熱ブリッジ材により断熱性能が得られると共に、火災時に枠と戸の間の隙間が加熱発泡材で塞がれるため、防火性能を発揮できる。枠又は戸の見込面において、第1タイト材の近傍であって第1タイト材に対して第2タイト材と反対側にも加熱発泡材が設けてあることで、火災時に戸が火災の熱で反ったときでも、枠と戸の間に隙間が生じない。
【0014】
請求項5記載の発明による建具は、枠と戸を備え、戸は、回動して開閉するものであり、枠は、室外側形材及び室内側形材と、室外側形材と室内側形材を繋ぐ断熱ブリッジ材と、戸の開閉方向の閉じ側の見付面に当接するタイト材を有し、断熱ブリッジ材よりも室外側の枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあり、断熱ブリッジ材よりも室内側でタイト材の外周側の枠の見込面又は見付面に第2加熱発泡材が設けてあることで、断熱ブリッジ材により断熱性能が得られると共に、火災時に枠と戸の間の隙間が第1・第2加熱発泡材で塞がれるため、防火性能を発揮できる。断熱ブリッジ材よりも室外側の枠又は戸の見込面に第1加熱発泡材が設けてあることで、火災時に戸が火災の熱で反ったときでも、枠と戸の間に隙間が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の建具の第1実施形態を示す横断面図である。
【
図4】第1実施形態の建具の横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図5】第1実施形態の建具の比較例を示す横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図6】本発明の建具の第2実施形態を示す横断面図である。
【
図8】(a)は吊元側縦枠の内周側側面図であり、(b)は戸先側縦枠の内周側側面図である。
【
図9】第2実施形態の建具の横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図10】第2実施形態の建具の比較例を示す横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図11】本発明の建具の第3実施形態を示す横断面図である。
【
図12】子ドアの戸先部に設けられるエッジ材の側面図である。
【
図13】第3実施形態の建具の横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図14】第3実施形態の建具の比較例を示す横断面図であって、火災時の状態を示す。
【
図15】本発明の建具の第4実施形態を示す横断面図である。
【
図16】本発明の建具の第5実施形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明の建具の第1実施形態(請求項1及び請求項2に係る発明の実施形態)を示している。本建具は、住宅の玄関ドアに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番10により室外側に回動して開くように取付けた戸2とを備える。
【0017】
枠1は、アルミニウム合金の押出形材で形成した上枠11と下枠12と戸先側縦枠13と吊元側縦枠14とを枠組みして形成してある。
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14は、
図1に示すように、室外側に略矩形断面の中空部15を有し、内周側の見込面16が中空部15より室内側に延出され、同見込面16の室内側端部に戸当たり部17が内周側に突出して形成してある。戸当たり部17の室内側には樹脂製のカバー材18が取付けてある。
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側の見込面16には第1タイト材3が取付けてあり、第1タイト材3は室内側に湾曲して先端部が戸2の外周側の見込面29の室内側寄りの位置に当接している。また、戸当たり部17の室外側面には第2タイト材4が取付けてあり、第2タイト材4は戸2の室内側の見付面に当接している。第1タイト材3及び第2タイト材4は、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)で形成してある。本建具は、このように縦枠13,14と戸2の間にタイト材3,4を二重に設けてあることで、止水性能・気密性能が向上したものとなっている。
【0018】
図1に示すように、戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側見込面16の第2タイト材4の外周側の位置には、火災時に火災の熱で発泡・膨張する加熱発泡材5が縦枠13,14の長手方向に沿って縦枠13,14の全長に設けてある。かかる加熱発泡材5は、市販品の中から適宜選択して用いることができ、例えば積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」を用いることができる。これは、プラスチック技術を活用した有機系耐火材であり、通常の状態では薄いシート状で、200℃以上に加熱されると厚さ方向に5~40倍に膨張し、断熱層を形成する。火災時に消失することがなく、有害ガスが発生することもない。またフィブロックは、片面に剥離紙付きの接着層を有しているので、剥離紙を剥がして簡便に接着取付けできる。
【0019】
上枠11は、
図2に示すように、縦枠13,14と同様に室外側に略矩形断面の中空部15を有し、内周側の見込面16が中空部15よりも室内側に延出され、同見込面16の室内側端部に戸当たり部17が内周側に突出して形成してある。戸当たり部17の室内側には樹脂製のカバー材18が取付けてある。
上枠11の内周側の見込面16には、戸2の見込面29に当接する第1タイト材3が設けてある。また、戸当たり部17の室外側面には第2タイト材4が取付けてあり、第2タイト材4は戸2の室内側の見付面に当接している。
上枠11の内周側見込面16の第1タイト材3の室内側に隣接する位置には、加熱発泡材19が上枠11の長手方向に沿って上枠11の全長に設けてある。
【0020】
下枠12は、
図2に示すように、室内側に戸当たり部17が内周側に突出して設けてあり、戸当たり部17の室外側面にはタイト材20が取付けてあり、タイト材20は戸2の室内側の見付面に当接している。戸当たり部17の室内側には、樹脂製のくつずり21が取付けてあり、くつずり21でタイト材20の取付部を覆っている。
【0021】
戸2は、
図1,2に示すように、コ字型断面のフレーム22を四周枠組みし、その枠内に発泡スチロール板等の断熱材23を配置し、室外側と室外側に鋼板よりなるパネル24,25を貼り付けたいわゆるフラッシュ構造となっている。パネル24,25は、四周の縁部を見込み方向に折り曲げて、リベット26でフレーム22に固定してある。フレーム22は、樹脂フレーム22aの内側に金属製フレーム22bを配置して補強してある。
戸2は、
図3に示すように、吊元側の上部と下部と中間部の3箇所に配置した蝶番10で吊元側縦枠14に取付けられている。戸2の戸先側の上下方向中間部にはハンドル27が取付けてあり、ハンドル27の上方及び下方に錠28が設けてあり、図示しない錠28のデッドボルトを戸先側縦枠13に設けた受けに係合することで、施錠される。
【0022】
図1に示すように、戸2の戸先側及び吊元側の見込面29には、第1タイト材3の戸2に当接する先端部の室外側に隣接する位置に、加熱発泡材6がフレーム22の長手方向に沿ってフレーム22の全長に設けてある。
戸2の戸先側の見込面29には、アルミ形材よりなるエッジ材30が取付けてある。エッジ材30は、室外側に煙返し31を有しており、煙返し31で戸先側縦枠13と戸2の間の隙間を室外側から隠している。
戸2の下面には、
図2に示すように、タイト材20の室外側に隣接する位置に、加熱発泡材32がフレーム22の長手方向に沿ってフレーム22の全長に設けてある。
【0023】
図4は、第1実施形態の建具の横断面図であって、火災が発生したときの状態を示している。
図5は、第1実施形態の建具の比較例であって、戸2の戸先側及び吊元側の見込面29に加熱発泡材6が無い場合に火災が発生したときの状態を示している。
火災が発生すると、戸2は火災の熱で上下方向に伸びようとするため、熱せられた面側が膨らむように反りが発生する。戸2の吊元側は吊元側縦枠14に蝶番10で拘束され、戸先側は上下方向の中間部が錠28により戸先側縦枠13と係合しているため、戸先側の上部と下部で反りが大きくなる。
本実施形態の建具は、
図4に示すように、火災時に縦枠13,14の見込面16に設けた加熱発泡材5が第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡・膨張して縦枠13,14と戸2の間の隙間を室内側から塞ぎ、尚且つ戸2の戸先側及び吊元側の見込面29の第1タイト材3の近傍位置に設けた加熱発泡材6が発泡・膨張して枠1と戸2の見込面16,29間の隙間を塞ぐため、同図に示すように戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動したとしても、縦枠13,14と戸2の間に隙間が生じない。
一方、戸2の戸先側及び吊元側の見込面29に加熱発泡材6が無い比較例では、
図5に示すように、戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動すると、戸先側縦枠13との間に隙間33が生じてしまう。なお、戸2の吊元側は、吊元側縦枠14に設けた加熱発泡材5だけでも隙間が生じない。
【0024】
また第1実施形態の建具は、火災時には上枠11の内周側見込面16に設けた加熱発泡材19が発泡・膨張することで上枠11と戸2の間の隙間が塞がれる。また、戸2の下面に設けた加熱発泡材32が発泡・膨張することで下枠12と戸2の間の隙間が塞がれる。
このように本実施形態の建具は、枠1と戸2の間の隙間が四周とも加熱発泡材5,6,19,32で塞がれるため、火炎や煙が枠1と戸2の間から室内外を連通するのを防ぎ、防火性能を発揮する。
【0025】
図6~8は、本発明による建具の第2実施形態(請求項3に係る発明の実施形態)を示している。本建具は、第1実施形態と同様、玄関ドアに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番10により室外側に回動して開くように取付けた戸2とを備える。
【0026】
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14は、アルミ形材で形成したものであり、
図6に示すように、室内側に戸当たり部17を内周側に突出して有し、戸当たり部17の室外側面にはタイト材7が取付けてあり、タイト材7は戸2の室内側の見付面に当接している。
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側の見込面16には、戸2の見込面29の室内側の位置に対向して第1加熱発泡材8が長手方向に沿って設けてある。さらに、戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側の見込面16には、第1加熱発泡材8よりも室内側でタイト材7の外周側の位置に、第2加熱発泡材9が長手方向に沿って設けてある。第1加熱発泡材8は、
図8に示すように、戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側の見込面16の上部と下部にだけ設けてある。上部と下部の第1加熱発泡材8の長さは、それぞれ450mmとしてある。一方、第2加熱発泡材9は、縦枠13,14の全長にわたって設けてある。
図6に示すように、戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14の内周側見込面16には突条34が長手方向に沿って設けてあり、第1加熱発泡材8の室内側縁、第2加熱発泡材9の室外側縁をそれぞれ突条34に当てることで位置決めすることができ、これにより第1加熱発泡材8と第2加熱発泡材9を貼り付ける作業を簡単に且つ正確に行うことができる。
【0027】
上枠11は、アルミ形材で形成してあり、
図7に示すように、室内側に戸当たり部17が内周側に突出して設けてあり、戸当たり部17の室外側面にはタイト材7が取付けてあり、タイト材7は戸2の室内側の見付面に当接している。上枠11の内周側見込面16のタイト材7の外周側の位置には、加熱発泡材35が上枠11の長手方向に沿って上枠11の全長に設けてある。
【0028】
下枠12は、アルミ形材で形成してあり、
図7に示すように、室内側に戸当たり部17が内周側に突出して設けてあり、戸当たり部17の室外側面にはタイト材7が取付けてあり、タイト材7は戸2の室内側の見付面に当接している。戸当たり部17の室内側には、樹脂製のくつずり21が取付けてあり、くつずり21でタイト材7の取付部を覆っている。下枠12の内周側見込面16のタイト材7の外周側の位置には、加熱発泡材36が下枠12の長手方向に沿って下枠12の全長に設けてある。
【0029】
図9は、第2実施形態の建具の横断面図であって、火災が発生したときの状態を示している。
図10は、第2実施形態の建具の比較例であって、第1加熱発泡材8が無い場合に火災が発生したときの状態を示している。
本実施形態の建具は、
図9に示すように、火災時に縦枠13,14のタイト材7の外周側の見込面16に設けた第2加熱発泡材9が発泡・膨張して縦枠13,14と戸2の間の隙間を室内側から塞ぎ、尚且つ縦枠13,14の見込面16の第2加熱発泡材9よりも室外側の上部及び下部に設けた第1加熱発泡材8が発泡・膨張して縦枠13,14と戸2の見込面16,29間の隙間を塞ぐため、同図に示すように戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動したとしても、縦枠13,14と戸2の間に隙間が生じない。
一方、第1加熱発泡材8が無い比較例では、
図10に示すように、戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動すると、戸先側縦枠13との間に隙間33が生じてしまう。なお、戸2の吊元側は、蝶番10により拘束されているため、第2加熱発泡材9だけでも隙間が生じない。よって、第2実施形態においては、吊元側の第1加熱発泡材8は省略することができる。
【0030】
第2実施形態においては、第2加熱発泡材9をタイト材7の外周側の縦枠13,14の見付面(例えば、戸当たり部17の室外側面)に設けることもできる。この場合、見込面の第1加熱発泡材8より見付面の第2加熱発泡材9が室内側にあることから、火災時に見付面の第2加熱発泡材9が室外側に向けて発泡・膨張して見込面の第1加熱発泡材8を室外側に押すことになるので、室外側に反った戸2と縦枠13,14との隙間を確実に塞ぐことができる。
【0031】
また第2実施形態の建具は、火災時には上枠11の内周側見込面16に設けた加熱発泡材35が発泡・膨張することで上枠11と戸2の間の隙間が塞がれる。また、下枠12の内周側見込面16に設けた加熱発泡材36が発泡・膨張することで下枠12と戸2の間の隙間が塞がれる。
このように本実施形態の建具は、枠1と戸2の間の隙間が四周とも加熱発泡材8,9,35,36で塞がれるため、火炎や煙が枠1と戸2の間から室内外を連通するのを防ぎ、防火性能を発揮する。
【0032】
図11は、本発明による建具の第3実施形態(請求項3に係る発明の実施形態)を示している。本建具は、第1実施形態と同様、玄関ドアに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番10により室外側に回動して開くように取付けた親扉(戸)37と小扉38とを備える親子ドアとなっている。
【0033】
左右の縦枠39,39の内周側の見込面16には、第2実施形態と同様に第1加熱発泡材8と第2加熱発泡材9が設けてある。
小扉38の戸先面には、アルミ形材で形成したエッジ材(第2実施形態の戸先側縦枠13に相当)40が小扉38の高さ方向の全長にわたって設けてある。エッジ材40は、室内側に戸当たり部41を小扉38の外周側に突出して有し、戸当たり部41の室外側面にタイト材7が取付けてあり、タイト材7は親扉37の室内側の見付面に当接している。
エッジ材40の小扉外周側の見込面42には、親扉37の見込面29の室内側寄りの位置に対向して第1加熱発泡材8が長手方向に沿って設けてある。さらに、エッジ材40の小扉外周側の見込面42には、第1加熱発泡材8よりも室内側でタイト材7の外周側の位置に、第2加熱発泡材9が長手方向に沿って設けてある。第1加熱発泡材8は、
図12に示すように、エッジ材40の小扉外周側の見込面42の上部と下部にだけ設けてある。上部と下部の第1加熱発泡材8の長さは、それぞれ450mmとしてある。一方、第2加熱発泡材9は、エッジ材40の全長にわたって設けてある。
上枠11と下枠12には、
図7に示す第2実施形態と同様に、タイト材7と加熱発泡材35,36が設けてある。
【0034】
図13は、第3実施形態の建具の横断面図であって、火災が発生したときの状態を示している。
図14は、第3実施形態の建具の比較例であって、第1加熱発泡材8が無い場合に火災が発生したときの状態を示している。
本実施形態の建具は、
図13に示すように、火災時に小扉38のエッジ材40のタイト材7の外周側の見込面42に設けた第2加熱発泡材9が発泡・膨張して親扉37と小扉38の間の隙間を室内側から塞ぎ、尚且つ小扉38のエッジ材40の見込面42の第2加熱発泡材9よりも室外側の上部及び下部に設けた第1加熱発泡材8が発泡・膨張して親扉37と小扉38の見込面間の隙間を塞ぐため、同図に示すように親扉37が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動したとしても、親扉37と小扉38の間に隙間が生じない。親扉37及び小扉38の吊元側と縦枠39,39間の隙間は、発泡・膨張した第1加熱発泡材8と第2加熱発泡材9によって塞がれる。
一方、第1加熱発泡材8が無い比較例では、
図14に示すように、親扉37が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動すると、小扉38のエッジ材40との間に隙間33が生じてしまう。なお、親扉37及び小扉38の吊元側は、蝶番10により拘束されているため、第2加熱発泡材9だけでも隙間が生じない。よって、第3実施形態においては、吊元側の第1加熱発泡材8は省略することができる。
【0035】
第3実施形態においては、第2加熱発泡材9をタイト材7の外周側のエッジ材40の見付面(例えば、戸当たり部41の室外側面)に設けることもできる。この場合、見込面の第1加熱発泡材8より見付面の第2加熱発泡材9が室内側にあることから、火災時に見付面の第2加熱発泡材9が室外側に向けて発泡・膨張して見込面の第1加熱発泡材8を室外側に押すことになるので、室外側に反った親扉37と小扉38との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
【0036】
図15は、本発明による建具の第4実施形態(請求項4に係る発明の実施形態)を示している。本建具は、第1実施形態と同様、玄関ドアに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番10により室外側に回動して開くように取付けた戸2とを備える。第1実施形態とは、枠1に断熱ブリッジ材45により断熱性能を持たせている点が異なっている。
【0037】
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14は、
図15に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材となっている。
室外側形材43の内周側見込面16の室内側端部位置には、戸2の見込面29に当接する第1タイト材3が設けてある。室内側形材44は、内周側に向けて突出する戸当たり部17を有し、戸当たり部17の室外側面に戸2の室内側の見付面に当接する第2タイト材4が設けてある。室内側形材44の内周側見込面16の第2タイト材4の外周側の位置には、火災時に火災の熱で発泡・膨張する加熱発泡材5が縦枠13,14の長手方向に沿って縦枠13,14の全長に設けてある。
図示しない上枠も、縦枠13,14と同様に、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材となっている。
【0038】
図15に示すように、戸2の戸先側及び吊元側の見込面29には、第1タイト材3の戸2に当接する先端部の室外側に隣接する位置に、加熱発泡材6がフレーム22の長手方向に沿ってフレーム22の全長に設けてある。
【0039】
本実施形態の建具は、上枠と縦枠13,14がアルミ製の室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44とを繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材であるため、断熱性能を有するものとなっている。
さらに本実施形態の建具は、第1実施形態と同様に、火災時に縦枠13,14の見込面16に設けた加熱発泡材5が第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡・膨張して縦枠13,14と戸2の間の隙間を室内側から塞ぎ、尚且つ戸2の戸先側及び吊元側の見込面29の第1タイト材3の近傍位置に設けた加熱発泡材6が発泡・膨張して枠1と戸2の見込面16,29間の隙間を塞ぐため、戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動したとしても、縦枠13,14と戸2の間に隙間が生じない(
図4参照)。
【0040】
図16は、本発明による建具の第5実施形態(請求項5に係る発明の実施形態)を示している。本建具は、第2実施形態と同様、玄関ドアに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に蝶番10により室外側に回動して開くように取付けた戸2とを備える。第2実施形態とは、枠1に断熱ブリッジ材45により断熱性能を持たせている点が異なっている。
【0041】
戸先側縦枠13及び吊元側縦枠14は、
図16に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材となっている。
戸先側縦枠13の室外側形材43の内周側見込面16の室内側端部位置には、第1加熱発泡材8が縦枠13の長手方向に沿って設けてある。第1加熱発泡材8は、室内側の縁を室外側形材43の内周側見込面16の室内側の縁と一致させて、断熱ブリッジ45に被らないように設けてある。また第1加熱発泡材8は、第2実施形態と同様に、縦枠14の全長のうちの上部と下部にだけ設けてある(
図8参照)。
室内側形材44は、
図16に示すように、内周側に向けて突出する戸当たり部17を有し、戸当たり部17の室外側面に戸2の室内側の見付面に当接するタイト材7が設けてある。室内側形材44の内周側見込面16のタイト材7の外周側の位置には、火災時に火災の熱で発泡・膨張する第2加熱発泡材9が縦枠13の長手方向に沿って縦枠13の全長に設けてある。
吊元側縦枠14は、第2加熱発泡材9のみが設けてあり、第1加熱発泡材8は設けられていない。
図示しない上枠も、縦枠13,14と同様に、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材となっている。
【0042】
本実施形態の建具は、上枠と縦枠13,14がアルミ製の室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44とを繋ぐ樹脂製の断熱ブリッジ材45とからなる断熱形材であるため、断熱性能を有するものとなっている。
さらに本実施形態の建具は、第2実施形態と同様に、火災時に縦枠13,14のタイト材7の外周側の見込面16に設けた第2加熱発泡材9が発泡・膨張して縦枠13,14と戸2の間の隙間を室内側から塞ぎ、尚且つ戸先側縦枠13の断熱ブリッジ材45よりも室外側の内周側見込面16の上部及び下部に設けた第1加熱発泡材8が発泡・膨張して戸先側縦枠13と戸2の見込面16,29間の隙間を塞ぐため、戸2が熱反りして戸先側の上部と下部が室内外方向に移動したとしても、縦枠13,14と戸2の間に隙間が生じない(
図9参照)。第1加熱発泡材8は、室外側形材43の内周側見込面16に断熱ブリッジ材45に被らないように設けたので、第1加熱発泡材8の取付けが容易に行え、しかも第1加熱発泡材8が剥がれにくい。
【0043】
以上に述べたように本建具(第1実施形態)は、枠1と戸2を備え、戸2は、回動して開閉するものであり、枠1は、戸2の見込面29に当接する第1タイト材3と、戸2の見付面に当接する第2タイト材4と、火災時に第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡する加熱発泡材5とを有し、枠1又は戸2の見込面16,29において、第1タイト材3の近傍であって第1タイト材3に対して第2タイト材4と反対側にも加熱発泡材6が設けてあることで、火災時に枠1と戸2の間の隙間が加熱発泡材5,6で塞がれるため、防火性能を発揮できる。枠1又は戸2の見込面16,29において、第1タイト材3の近傍であって第1タイト材3に対して第2タイト材4と反対側にも加熱発泡材6が設けてあることで、火災時に戸2が火災の熱で反ったときでも、枠1と戸2の間に隙間が生じない。
また本建具(第1実施形態)は、枠1がアルミ製であるため、枠1が樹脂製のものや、枠1の室外側がアルミ製で室内側が樹脂製のものと比較して、火災時に枠1が変形したり溶融したりし難く、防火性能を向上できる。しかも、火災時に第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡する加熱発泡材5は、アルミ製の枠1の見込面29に内周側に向けて設けてあるので、火災発生時に同加熱発泡材5が速やかに発泡・膨張して枠1と戸2の間の隙間を塞ぐことができ、防火性能が一層向上する。
【0044】
また本建具(第1実施形態)は、枠1と戸2を備え、戸2は、回動して開閉するものであり、枠1は、戸2の開閉方向閉じ側の見込面29に当接するタイト材(第1タイト材)3を有し、タイト材3の近傍の戸2の開き側及び戸2の閉じ側に、火災時に枠1と戸2の見込面16,29間の隙間を塞ぐ加熱発泡材5,6が設けてあることで、火災時に枠1と戸2の間の隙間が加熱発泡材5,6で塞がれるため、防火性能を発揮できる。タイト材3の近傍の戸2の開き側にも加熱発泡材5が設けてあることで、火災時に戸2が火災の熱で反ったときでも、枠1と戸2の間に隙間が生じない。
また本建具(第1実施形態)は、枠1がアルミ製であるため、枠1が樹脂製のものや、枠1の室外側がアルミ製で室内側が樹脂製のものと比較して、火災時に枠1が変形したり溶融したりし難く、防火性能を向上できる。しかも、タイト材3の近傍の戸2の閉じ側の加熱発泡材5は、アルミ製の枠1の見込面16に内周側に向けて設けてあるので、火災発生時に同加熱発泡材5が速やかに発泡・膨張して枠1と戸2の間の隙間を塞ぐことができ、防火性能が一層向上する。
【0045】
本建具(第2実施形態及び第3実施形態)は、枠1と戸(戸2、親扉37)を備え、戸2,37は、回動して開閉するものであり、枠(枠1、エッジ材40)は、戸2,37の開閉方向閉じ側の見付面に当接するタイト材7を有し、戸2,37の閉じ側寄りの枠1,40又は戸2,37の見込面に第1加熱発泡材8が設けてあり、第1加熱発泡材8よりも戸2,37の閉じ側で且つタイト材7の外周側の枠1,40の見込面又は見付面に第2加熱発泡材9が設けてあることで、火災時に枠1,40と戸2,37の間の隙間が第1・第2加熱発泡材8,9で塞がれるため、防火性能を発揮できる。戸2,37の閉じ側寄りの枠1,40又は戸2,37の見込面に第1加熱発泡材8が設けてあることで、火災時に戸2,37が火災の熱で反ったときでも、枠1,40と戸2,37の間に隙間が生じない。
第1加熱発泡材8は、戸先側の枠1,40又は戸2,37の見込面の上部と下部に設けてあることで、少ない加熱発泡材8で戸2,37の熱反りに起因して生じる隙間を効果的に塞ぐことができる。
第2加熱発泡材9がタイト材7の外周側の枠1,40の見付面に設けてある場合には、火災時に第2加熱発泡材9が見込方向に発泡・膨張して第1加熱発泡材8を押すことで、熱で反った戸2,37と枠1,40との隙間をより確実に塞ぐことができる。
【0046】
本建具(第4実施形態)は、枠1と戸2を備え、戸2は、回動して開閉するものであり、枠1は、室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ断熱ブリッジ材45と、戸2の見込面29に当接する第1タイト材3と、戸2の見付面に当接する第2タイト材4と、断熱ブリッジ材45よりも室内側の枠見込面16に設けてあり火災時に第1タイト材3と第2タイト材4との間の空間内で発泡する加熱発泡材5を有し、枠1又は戸2の見込面16,29において、第1タイト材3の近傍であって第1タイト材3に対して第2タイト材4と反対側にも加熱発泡材6が設けてあることで、断熱ブリッジ材45により断熱性能が得られると共に、火災時に枠1と戸2の間の隙間が加熱発泡材5,6で塞がれるため、防火性能を発揮できる。枠1又は戸2の見込面16,29において、第1タイト材3の近傍であって第1タイト材3に対して第2タイト材4と反対側にも加熱発泡材6が設けてあることで、火災時に戸2が火災の熱で反ったときでも、枠1と戸2の間に隙間が生じない。
【0047】
本建具(第5実施形態)は、枠1と戸2を備え、戸2は、回動して開閉するものであり、枠1は、室外側形材43及び室内側形材44と、室外側形材43と室内側形材44を繋ぐ断熱ブリッジ材45と、戸2の開閉方向の閉じ側の見付面に当接するタイト材7を有し、断熱ブリッジ材45よりも室外側の枠1又は戸2の見込面16,29に第1加熱発泡材8が設けてあり、断熱ブリッジ材45よりも室内側でタイト材7の外周側の枠1の見込面16又は見付面に第2加熱発泡材9が設けてあることで、断熱ブリッジ材45により断熱性能が得られると共に、火災時に枠1と戸2の間の隙間が第1・第2加熱発泡材8,9で塞がれるため、防火性能を発揮できる。断熱ブリッジ材45よりも室外側の枠1又は戸2の見込面16,29に第1加熱発泡材8が設けてあることで、火災時に戸2が火災の熱で反ったときでも、枠1と戸2の間に隙間が生じない。
【0048】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。枠の材質や断面形状は、適宜変更することができる。戸の構造は任意であり、実施形態のようなフラッシュドアに限らず、框ドア等であってもよい。第2・第3実施形態において、吊元側の第1加熱発泡材は省略することができる。第2,3,5実施形態において、第1加熱発泡材は戸の見込面に設けてあってもよく、また、第2加熱発泡材は、タイト材の外周側の枠の見付面(戸当たり部の室外側面等)に設けることができる。本建具は、玄関ドアに限らず、回動して開く戸を備える建具全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 枠
2 戸
3 第1タイト材(タイト材)
4 第2タイト材
5,6 加熱発泡材
7 タイト材
8 第1加熱発泡材
9 第2加熱発泡材
37 親扉(戸)
40 エッジ材(枠)