(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097430
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】オイルモジュール及びオイルモジュールを備えたシステム、並びにオイルモジュールの本体
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20220623BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
F16H57/04 H
H02K9/19 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203086
(22)【出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】10 2020 216 288.3
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リカ トルステン
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063BA11
3J063BA15
3J063BB41
3J063CD41
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD38
3J063XD42
3J063XD47
3J063XE12
3J063XH03
3J063XH12
3J063XH13
3J063XH23
5H609BB16
5H609PP17
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609RR26
5H609RR53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より可変的な取付可能性及び/又は低減された設置スペース要件を特徴とする改善されたオイルモジュールを提供する。
【解決手段】オイルを搬送するための搬送装置8と、オイルを温度制御するための熱交換器11とを備えるオイルモジュール1、特にギアオイルモジュール7に関する。オイルモジュールは、前面15に、入口開口部17及び出口開口部18を有し、前面から離れて対向する背面16に、搬送装置及び熱交換器のための関連する開口部19、22、23を有する本体13を備え、各開口部は、本体内で互いに流体的に接続される。更に、このようなオイルモジュールとモータ4とを有するシステム2に関する。さらに、このようなオイルモジュールのための本体に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルモジュール(1)、特に電気モータ(50)に対するギヤオイルモジュール(7)であって、
動作中に流路(9)に沿ってオイルを搬送する搬送装置(8)と、
前記オイルを温度制御するために前記流路(9)が通る熱交換器(11)と、
前面(15)と、該前面(15)から離れて面する背面(16)とを備える本体(13)と、を備え、
前記前面(15)には、前記本体(13)にオイルを流入させるための入口開出口部(17)と、本体(13)からオイルを流出させるための出口開口部(18)とが形成されており、
前記背面(16)には、少なくとも1つのポンプ開口部(19)が形成され、前記本体(13)の少なくとも1つの前記ポンプ開口部(19)の少なくとも1つは、前記入口開口部(17)と流体接続されており、
前記背面(16)の、少なくとも1つの前記ポンプ開口部(19)から離間した部分には、第1クーラ開口部(22)及び第2クーラ開口部(23)が形成されており、
前記本体(13)の前記第1クーラ開口部(22)は、少なくとも1つの前記ポンプ開口部(19)の少なくとも1つと流体接続されており、
前記本体(13)の第2クーラ開口部(23)は、前記出口開口部(18)と流体接続されており、
前記搬送装置(8)は、前記流路(9)が、前記入口開口部(17)と前記搬送装置(8)との間、及び前記搬送装置(8)と前記第1クーラ開口部(22)との間を通るように、前記背面(16)に配置されかつ前記少なくとも1つのポンプ開口部(19)と流体接続されており、
前記熱交換器(11)は、前記流路(9)が、前記熱交換器(11)を介して前記第1クーラ開口部(22)と第2クーラ開口部(23)との間を通り、かつ前記第2クーラ開口部(23)と前記出口開口部(18)との間を通るように、前記背面(16)に配置されかつ前記クーラ開口部(22,23)と流体接続されている、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルモジュールにおいて、
前記本体(13)は、前記前面(15)から離間されかつ少なくとも1つの前記ポンプ開口部(19)及び前記クーラ開口部(22、23)から離間された少なくとも1つのコンポーネント開口部(28)を含み、
前記本体(13)において前記コンポーネント開口部(28)は、前記クーラ開口部(22、23)のうちの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つのポンプ開口部(19)のうちの少なくとも1つと流体接続され、
前記搬送装置(8)と前記熱交換器(11)から分離された追加コンポーネント(31)は、少なくとも1つの前記コンポーネント開口部(28)のうちの少なくとも1つの関連付けられたものと流体接続されかつ前記前面(15)から離間している、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のオイルモジュールにおいて、
前記本体部(13)は、前記前面(15)と前記背面(16)とを連結する外面(29)を備え、
少なくとも1つの前記コンポーネント開口部(28)のうちの少なくとも1つは、前記外面(29)のうちの1つに形成される、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のオイルモジュールにおいて、
少なくとも1つの前記コンポーネント開口部(28)の少なくとも1つは、前記背面(16)に形成されている、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項5】
請求項2~4のいずれかに記載のオイルモジュールにおいて、
少なくとも1つの前記追加コンポーネント(31)のうちの少なくとも1つは、動作中にオイルの状態変数を決定するセンサ装置(32)である、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のオイルモジュールにおいて、
前記搬送装置(8)は、前記熱交換器(11)の上流側の前記流路(9)に沿って配置されている、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のオイルモジュールにおいて、
前記本体(13)は、前記クーラ開口部(22、23)を備えるベースプレート(33)を備える、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のオイルモジュールにおいて、
前記本体(13)は、前記入口開口部(17)及び少なくとも1つの前記ポンプ開口部(19)を有する補助プレート(34)を備え、
前記補助プレート(34)は、該補助プレート(34)の前記前面(15b)及び前記背面(16b)が、前記ベースプレート(33)の前記前面(15a)及び前記背面(16a)に対してオフセットされて配置されるように、前記背面(16)から前記前面(15)に向かう距離方向(21)において、前記ベースプレート(33)に対して前記前面(15)に向かってオフセットされている、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のオイルモジュールにおいて、
前記本体(13)は、前記ベースプレート(33)から、前面背面(16)から前記前面(15)に向かう距離方向(21)に対して直交する方向又は斜め方向に突出するアーム(35)を備え、該アーム(15)に前記出口開口部(18)が少なくとも部分的に形成されている、ことを特徴とするオイルモジュール。
【請求項10】
ギヤ(6)を備え、前記モータ(4)に取り付けられた請求項1~9のいずれかに記載のオイルモジュール(1)を有するモータ(4)、特に電気モータ(5)を有するシステム(2)であって、
前記本体(13)の前記前面(15)は、前記モータ(4)に対向し、
前記モータ(4)は、 前記モータ(4)にオイルを流入させるオイル入口部(26)と、前記モータ(4)からオイルを流出させるオイル出口部(27)とを有し、前記オイル入口部(26)及び前記オイル出口部(27)は、前記前面(15)と対向しており、
前記流路(9)が前記モータを通るように、前記オイル出口部(27)は前記入口開口部(17)と流体接続され、前記オイル入口部(26)は前記オイルモジュール(1)の前記出口開口部(18)と流体接続される、ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載のオイルモジュール(1)の本体(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオイルモジュールに関し、特に、電気モータに使用されかつ搬送装置と熱交換器とを備えるギヤオイルモジュールに関する。さらに、本発明は、モータ、特に電気モータを有するシステム、及びそのようなオイルモジュールに関する。さらに、本発明は、そのようなオイルモジュールのための本体に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のアプリケーションの運転中、例えば潤滑及び/又は冷却のためのオイル供給が必要である。このようなアプリケーションは、例えば、モータ、特に、ギヤにオイルが供給される電気モータである。オイルを供給するには、搬送装置、例えばオイルポンプを設ける必要があり、この装置は作動中にオイルを流路に沿って搬送する。一般に、搬送装置は、さらに、必要なときにオイルを温度制御、特に冷却するように設計されている。この目的のために、オイルの温度制御、特に冷却のためにオイルが流れる熱交換器が一般に使用される。原則として、搬送装置及び熱交換器は、それぞれ、関連するアプリケーション、特にモータに別々に取り付けることができる。しかしながら、これは、各ケースにおいてモータ上の別個の接続を必要とする。その結果、より複雑な組立体となって、これにより、モータ及び搬送装置並びに熱交換器を有するシステムの製造が必要となる。
【0003】
したがって、オイル供給の構成要素、すなわち、搬送装置と熱交換器とを、関連するアプリケーションに取り付けられかつ該アプリケーションに流体接続されるようなモジュール内で、組み合わせることが考えられる。これは、モジュールの組み立て中により少ない組み立て工程を必要とし、さらに、モジュールを予備的に製作することを可能にする。
【0004】
このようなモジュールは、以下ではオイルモジュールとも呼ばれ、通常、オイルパンとしても知られるオイルのための収集空間を備える。オイルパンは作動中に発生したオイルを収集し、必要な場合には、該オイルを流路に再び供給するために役立つ。これには、オイルパンが取り付け状態で、鉛直方向に対して最下点を形成することが必要である。その結果、必要な設置スペースと、関連するアプリケーション、特にモータへの、オイルモジュールの可能な取り付けオプションとの両方が削減されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上述のタイプのオイルモジュール、モータ、及びそのようなオイルモジュールを有するシステム、並びにそのようなオイルモジュールのための本体について、より可変的な取付可能性及び/又は低減された設置スペース要件を特徴とする改善された実施形態又は少なくとも他の実施形態を述べることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は独立クレームの主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明はオイルモジュール用の本体を提供するという一般的な考えに基づいており、オイルモジュール用の本体は、関連するアプリケーション、特にモータに取り付けるために設けられた前面に、アプリケーションとの流体接続のための開口部を備え、前面とは反対を向いている背面に、オイルモジュールのコンポーネントの流体接続のための開口部を備え、開口部は、アプリケーション及びコンポーネントへの取り付け以外に、アプリケーションとコンポーネントと間での流体接続をするように、本体内で少なくとも部分的に流体的に相互接続されている。このようにして、オイルモジュールのコンパクトで単純な設計が得られ、それに加えて、外部の流体接続が必要とされないか、または少なくともその接続の数が実質的に低減される。いわゆるオイルパンの省略を通して、所定の配向でオイルモジュールを関連するアプリケーションに取り付ける必要性が同時に生じる。結果として、オイルモジュールの製造が単純化され、オイルモジュールの関連するアプリケーションへの取付けが、取付け可能性の変動の増大と共に、より単純化される。
【0008】
本発明の概念によれば、オイルモジュールは、本体に加えて、搬送装置及び熱交換器を含む。例えば、オイルポンプとして設計され得る搬送装置は、作動中にオイルを搬送する目的を果たす。これは、搬送装置が動作中にオイルを流路に沿って搬送するということを意味する。熱交換器は、オイルの温度制御、特に冷却の目的を果たす。このために、流路は、オイルを温度制御するために、熱交換器を通る。本体は、前面と、前面から離れて面する背面とを備える。前面には、本体にオイルを流入させるための入口開口部と、本体からオイルを流出させるための出口開口部が形成されている。したがって、関連するアプリケーション、例えばモータとのオイルモジュールの流体接続を、同じ側で実現することができる。本体の背面には、搬送装置用の少なくとも1つのポンプ開口部が設けられている。ここで、本体の少なくとも1つのポンプ開口部は、入口開口部と流体的に接続されている。また、熱交換器用の2つのクーラ開口部(以下、第1クーラ開口部及び第2クーラ開口部いう)は、少なくとも1つのポンプ開口部から離間する背面に形成されている。本体の第1クーラ開口部は、少なくとも1つのポンプ開口部のうちの少なくとも1つと流体接続され、有利には少なくとも1つのポンプ開口部のうちの1つと流体接続される。これと比較して、本体の第2クーラ開口部は、出口開口部と流体接続されている。搬送装置及び熱交換器は、それぞれ本体の背面に配置されている。搬送装置は、流路が入口開口部と搬送装置との間を通るように、少なくとも1つのポンプ開口部と流体接続されている。熱交換器は、流路が、熱交換器を通ってクーラ開口部同士の間を通りかつ第2クーラ開口部と出口開口部の間を通るように、クーラ開口部と流体接続される。
【0009】
実際には、本体は、オイルモジュールを、関連するアプリケーション、特にモータに接続するためのオイルモジュールの接続基部を形成する。このアプリケーションのために、モータは、以下において一様に言及され、ここで、他のアプリケーションもまた含まれることが理解されるべきである。
【0010】
実際には、本体は、連続的かつ一体的に設計される。これは、本体は好ましくは互いに分離した構成部品を全く含まないということを意味する。
【0011】
好適な実施形態では、本体は、特に階段状に形成することができるように、細長く、特にプレートで設計され得る。これにより、オイルモジュールのモータへの取り付けが簡素化され、取り付けスペースがさらに削減される。また、本体のプレート状デザインは、本体が、背面から前面への距離方向において、該距離方向に対する横方向で、最大で半分の大きさとされるように設けられている。好ましくは、本体は、背面から前面への距離方向において、距離方向に対する横方向で、最大で4分の1であり、特に最大で8分の1の大きさであることが好ましい。
【0012】
実用上、本体のクーラ開口部は、互いに流体的に分離され、熱交換器を介して互いに流体接続されている。これは、クーラ開口部により、流路が熱交換器を通ること、すなわち、熱交換器がクーラ開口部を流体的に相互に接続していることを意味する。
【0013】
好ましい実施形態では、搬送装置及び/又は熱交換器は、本体に取り付けられる。搬送装置と熱交換器とが本体の背面に締結されている場合には、特に好ましい。
【0014】
入口開口部と出口開口部とは、有利には互いに間隔を置いて配置される。これは、特に、オイルモジュール及びモータの両方における有利な流体伝導を可能にする。
【0015】
本発明による解決策の有利な更なる展開では、本体における上述の開口部のうちの少なくとも1つと流体接続される更なる開口部が、搬送装置及び熱交換器に加えて、オイルモジュールのコンポーネントを提供するために提供される。これは、本体が、前面から離間しかつ少なくとも1つのポンプ開口部及びクーラ開口部から離れた少なくとも1つのコンポーネント開口部を備えることを意味する。このコンポーネント開口部は、本体において、クーラ開口部のうちの少なくとも1つ、及び/又は少なくとも1つのポンプ開口部のうちの少なくとも1つと流体接続されている。ここで、搬送装置及び熱交換器から離間した、オイルモジュールの追加コンポーネントは、少なくとも1つの関連付けられた又は少なくとも1つのコンポーネント開口部と流体的に接続され、かつ前面から離間して配置される。特に好ましくは、追加コンポーネントは、本体に取り付けられる。
【0016】
追加コンポーネントは、オイルモジュール又はモータの動作の動作、制御、及び調整の少なくとも1つに役立つ任意の構成要素である。特に、それぞれの追加コンポーネントは、オイルを濾過するためのオイルフィルタ、または状態変数、例えばオイルの温度を決定するためのセンサ装置とすることができる。
【0017】
少なくとも1つのコンポーネント開口部の少なくとも1つは、本体の背面に形成されることが考えられる。
【0018】
少なくとも1つのコンポーネント開口部の少なくとも1つは、前面及び背面に関して、縦方向に配置される実施形態も考えられる。これは、本体が、前面を背面に接続する外面を含み、少なくとも1つのコンポーネント開口部の少なくとも1つが、外面の1つに形成されるということを意味する。
【0019】
原則として、搬送装置と熱交換器との間の流路は、任意の配向に走行可能である。これは、搬送装置が、熱交換器の上流又は下流に配置され得ることを意味する。
【0020】
有利には、搬送装置は、熱交換器の上流に配置される。これは、流路が、少なくとも1つのポンプ開口部を介して、入口開口部から搬送装置へ、少なくとも1つのポンプ開口部から第1クーラ開口部へ、続いて、熱交換器を経由して、第2クーラ開口部から出口開口部へと通っていることを意味する。これにより、熱交換器は、搬送装置の圧力側に配置されることになる。このようにして、効率が増大するような、改善されたオイルの温度制御、特に改善されたオイルの冷却が可能となる。
【0021】
原理的には、本体は、平坦で浅いプレートとして形成することができ、このプレートには、流体的に相互接続された開口部を接続するための対応する流体導管が形成される。
【0022】
同様に、ベースプレートと、ベースプレートに対して異なる配向を有するコンポーネントとを有する本体を形成することも考えられる。有利には、ベースプレートは、熱交換器の流体接続及び取り付けの役割を果たす。これは、ベースプレートがクーラ開口部を備えることを意味する。
【0023】
本体が、補助プレートを備えることが考えられる。補助プレートは、搬送装置と流体接続する役割を果たし、したがって、少なくとも1つのポンプ開口部を備える。好ましくは、補助プレートはまた、入口開口部を備える。これにより、本体の設計が簡素化され、本体の流体接続が短縮される。
【0024】
補助プレートが、背面から前面への距離方向において、ベースプレートに対して前面側にオフセットされていると好ましい。これにより、補助プレートの前面及び背面は、ベースプレートの前面及び背面にオフセットして配置される。言い換えれば、補助プレートの前面及び背面は、関連システム内のモータに向かってオフセットされている。
【0025】
考えられ得る実施形態では、本体は、背面から前面への距離方向に対して横方向又は斜め方向に、ベースプレートから突出するアームを備える。アームは、オイルモジュールとモータとの流体接続の役割を果たす。これにより、出口開口部は、少なくとも部分的にアーム上に形成される。したがって、特に出口開口部をより大きく形成することが可能となって、オイルモジュールとモータとの間の改良された流体接続部を確立することが可能となる。
【0026】
オイルモジュールは、特に、ギヤ、特にモータ、例えば電気モータのオイルとの供給に役立つギヤオイルモジュールとして形成することができる。
【0027】
本体自体も、本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
【0028】
有利には、オイルモジュールがモータをさらに備えるシステムの一部である。ここで、このようなシステムも本発明の範囲の一部であることを理解されたい。
【0029】
オイルモジュールは、有利にはモータに取り付けられ、特に固定される。これは、実際には、本体の前面がモータに面し、背面がモータから離れて面する。有利には、本体の前面はモータに支持される。モータは、実際上、オイルをモータ内に放出するためのオイル入口部と、オイルをモータ外に放出するためのオイル出口部とを備えており、これらは、それぞれ前面と対向している。ここで、オイル出口部はオイルモジュールの入口開口部と流体接続され、オイル入口部はオイルモジュールの出口開口部と流体接続されている。結果として、流路はモータを通る。特に、モータのギヤには、このようにしてオイルが供給される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、モータとオイルモジュールを有するシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、オイルモジュールを、オイルモジュールの背面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、オイルモジュールの本体を背面側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、オイルモジュールを正面側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、オイルモジュールの前面側の正面図であり、本体を透過して示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面による関連する図面の説明から得られる。
【0032】
上述され、以下に説明される特徴は、記載されたそれぞれの組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲を離れることなく、他の組み合わせにおいて、又は単独で使用されることも理解されるべきである。
【0033】
本発明の好ましい例示的な実施形態は図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明され、ここで、同じ参照番号は同じ、又は類似の、又は機能的に同じ構成要素に関連する。
【0034】
例えば、
図1~
図7に示すようなオイルモジュール1は、関連するアプリケーション3にオイルを供給するために、
図1~
図3に示すシステム2に使用される。図示のシステム2では、アプリケーション3が、モータ4、特に電気モータ5である。
図1から明らかなように、モータ4はギヤ6を備える。ここで、
図1に示すように、オイルモジュール1は、ギヤ6にオイルを供給するために採用することができ、したがって、ギヤオイルモジュール7とすることができる。
図1に示すように、モータ4、特に電気モータ5は、モータ4にトルクを引き出すことができる軸14を備えている。
【0035】
オイルモジュール1は、流路9(特に
図1参照)に沿ってオイルを搬送する搬送装置8を備える。搬送装置8は、特にオイルポンプ10として設計されている。温度制御のために、特にオイルの冷却のために、オイルモジュール1は、熱交換器11、特にオイルクーラ12を更に含む。温度制御のために、特にオイルの冷却のために、流路9は熱交換器11を通る。図に示されている熱交換器11は、オイルの流路9とは分離されて、温度制御手段、例えばクーラントが流れる。
図1においてクーラントの流れは破線で示されている。
【0036】
オイルモジュール1は更に、本体13を備えている。本体13は、プレート状に形成され、モータ4と対向する前面15と、前面15とは反対を向き、これによりモータ4とは反対を向いた背面16とを備えている。ここで、
図4は、オイルモジュール1の斜視図を背面16側を向けて示し、
図5は、本体13の斜視図を背面16側を向けて示し、
図6はオイルモジュール1の斜視図を前面15側を向けて示し、
図7は、前面15側を向いた正面図を本体13を透過して示している。本体13は、前面15を背面16に接続する外面29をさらに備える。
【0037】
特に
図1及び
図6から明らかなように、本体13は、入口開口部17と、入口開口部17から離間した出口開口部18とを備え、これらはそれぞれ前面15に形成されている。
図2~
図7に示す例示的な実施形態では、入口開口部17は丸く形成され、出口開口部18は細長い。
【0038】
特に
図1及び
図5から明らかなように、背面16上の本体13は、少なくとも1つのポンプ開口部19を備え、図示の例示的な実施形態では2つのポンプ開口部19が互いに間隔を置いて配置されている。ポンプ開口部19は、背面16に配置されかつ本体13に取り付けられた搬送装置8との流体接続の役割を果たす。ここで、本体13内の少なくとも1つのポンプ開口部19の少なくとも1つは、入口開口部17と流体的に接続されている。図示の例示的な実施形態では、第1ポンプ開口部19aは、本体13を通って流れるチャンネル20によって、入口開口部17と流体接続される。以下、このチャンネル20を、ポンプチャンネル20ということがある。図示の例示的な実施形態のポンプチャンネル20は、背面16の距離方向21に沿って前面15まで延びている。
図1及び
図5から特に明らかなように、本体13は、背面16に、少なくとも1つのポンプ開口部19から離間して配置された2つのクーラ開口部22、23、すなわち第1クーラ開口部22及び第2クーラ開口部23を備える。図示の例示的な実施形態における第1クーラ開口部22は、第2クーラ開口部23よりもポンプ開口部19に近い位置に配置されている。
図1及び
図3から特に明らかなように、本体13内の第2ポンプ開口部19bは、第1クーラ開口部22と流体接続されている。この目的のために、チャンネル24は、第2ポンプ開口部19bと第1クーラ開口部22との間に延びている。以下、このチャンネル24を、クーラチャンネル24ということがある。熱交換器11は、クーラ開口部22、23が熱交換器11を介して互いに流体接続されるように、両方のクーラ開口部22、23と流体接続されている。図示の例示的な実施形態では、クーラ開口部22、23の間の流体接続は、専ら熱交換器11を介して生じる。さらに、本体13における第2クーラ開口部23は、特に
図1で明らかなように、出口開口部18と流体接続されている。この目的のために、チャンネル25は、第2クーラ開口部23と出口開口部18との間に延びている。以下、このチャンネル25を、出口チャンネル25ということがある。
【0039】
したがって、流路9は、ポンプチャンネル20を介して入口開口部17と第1ポンプ開口部19aとの間に延び、クーラチャンネル24を介して第2ポンプ開口部19bと第1クーラ開口部22との間に延び、熱交換器11を介して第1クーラ開口部22と第2クーラ開口部23との間に延び、出口チャンネル25を介して第2クーラ開口部23と出口開口部18との間に延びている。図示の実施形態では、搬送装置8が熱交換器11よりも上流に配置されるように動作される。これにより、流路9は、入口開口部17を介してオイルモジュール1に導かれ、ポンプチャンネル20を介して第1ポンプ開口部19aに導かれ、第1ポンプ開口部19aを介して搬送装置8に導かれる。搬送装置8は、第2ポンプ開口部19bを介してオイルを流出させる。そして、流路9は、第2ポンプ開口部19bからクーラチャンネル24を介して第1クーラ開口部22に導かれ、熱交換器11を介して第2クーラ開口部23に導かれ、出口チャンネル25を介して第2クーラ開口部23から出口開口部18に導かれるようになっている。
【0040】
オイルモジュール1をモータ4と流体接続するために、モータ4は前面15に対向しており、
図1で明らかなように、オイル入口部26と、オイルを排出するためのオイル出口部27とを備えている。システム2では、モータ4に取り付けられたオイルモジュール1の状態で、オイル入口部26は、出口開口部18と合流し、出口開口部18と流体接続されている。これに対して、オイル出口部27は入口開口部17と合同であり、入口開口部17と流体接続されている。したがって、オイルは、出口開口部18及びオイル入口部26を介してモータ4に入るとともに、オイル出口部27及び入口開口部17を介してオイルモジュール1に入る。
【0041】
したがって、設置スペースを節約するように構成されたオイルモジュール1及びシステム2が実現される。さらに、オイルモジュール1は、異なる位置及び方向、例えば垂直方向及び水平方向の両方で、モータ4に取り付けることができる。この理由は特に、オイルモジュール1がオイルを収集するためのオイルパンを備えていないからである。
【0042】
図示の例示的な実施形態では、本体13は、前面15から離間した、少なくとも1つのさらなる開口部28を備える。以下、この開口部28を、コンポーネント開口部28ということがある。したがって、コンポーネント開口部28は、前面15から離間しているため、入口開口部17からも出口開口部18からも離間している。これに加えて、コンポーネント開口部28は、少なくとも1つのポンプ開口部19から離れているとともに、クーラ開口部22、23から離れている。図示の例示的な実施形態では、単に1つのコンポーネント開口部28が単に例示的に設けられており、これは外面29の1つに形成されている。特に
図2~
図7から明らかなように、図示した例示的な実施形態のコンポーネント開口部28は、受容チャンネル30を介して外部に流体接続されている。受容チャンネル30は、距離方向21に対して斜めに延びている。コンポーネント開口部28は、搬送装置8と熱交換器11とは別体のオイルモジュール1の別のコンポーネント31(以下、追加コンポーネント31ということがある)の流体接続を構成する。図示の例示的な実施形態では、追加コンポーネント31は、センサ装置32であり、コンポーネント開口部28を介して、流路9と流体接続され、作動中に、オイルの状態変数、特にオイルの温度を決定する。
【0043】
特に
図3~
図7から明らかなように、図示の実施例の本体13は、クーラ開口部22、23を有するベースプレート33を有している。このように、ベースプレート33は、背面16の一部を含む。以下、この背面16の一部を、ベースプレート33の背面16aということがある。ベースプレート33の背面16aには、クーラ開口部22,23が形成されている。これと同様に、ベースプレート33は、本体13の前面15の一部を含む。以下、この前面15の一部を、ベースプレート33の前面15aということがある。図示された例示的な実施形態の本体13は、ベースプレート33に階段状に接続された補助プレート34をさらに備える。補助プレート34は、入口開口部17及びポンプ開口部19を備える。したがって、補助プレート34は、本体13の背面16の一部を含む。以下、この背面16の一部を、補助プレート34の背面16bということがある。ここで、ポンプ開口部19は、補助プレート34の背面16bに形成されている。さらに、補助プレート34は、入口開口部17を備える。したがって、補助プレート34は、本体13の前面15の一部を含む。以下、この前面15の一部を、補助プレート34の前面15bということがある。ここで、流入口開口部17は、補助プレート34の前面15bに形成されている。図で明らかなように、補助プレート34は、距離方向21にベースプレート33に向かって移動されている。これは、補助プレート34が、ベースプレート33と比較して、モータ4に向かってずれて配置されることを意味する。この結果、ベースプレート33の前面15a及び背面16aは、補助プレート34の前面15b及び背面16bに対して、距離方向21にずれている。
【0044】
特に
図6及び
図7から明らかなように、本体13は、図示の例示的な実施形態ではアーム35をさらに備える。アーム35は、補助プレート34から離間して配置され、ベースプレート33から突出し、少なくとも部分的に出口開口部18を備える。