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特開2022-97440静電粉末コーティングのためのロボット、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097440
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】静電粉末コーティングのためのロボット、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20220623BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20220623BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20220623BHJP
   B05B 14/48 20180101ALI20220623BHJP
   B05B 16/40 20180101ALI20220623BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20220623BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20220623BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220623BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20220623BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B05B5/025 B ZAB
B05B12/00 A
B05B13/04
B05B14/48
B05B16/40
B05D1/02 B
B05D3/04 Z
B05D7/24 301A
B25J11/00 Z
B25J9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204349
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】2013708
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ルタール
【テーマコード(参考)】
3C707
4D073
4D075
4F034
4F035
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS31
3C707BS10
3C707HS17
3C707HS20
3C707MT06
4D073AA01
4D073BB06
4D073DC02
4D073DC11
4D073DD32
4D073DD35
4D073DD37
4D075AA09
4D075AA37
4D075AA39
4D075AA40
4D075AA55
4D075AA72
4D075AA76
4D075BB26Z
4D075BB57Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DB01
4D075DC11
4D075DC12
4D075DC38
4D075EA02
4D075EA19
4F034AA01
4F034BA07
4F034BA32
4F034BB04
4F034BB07
4F034BB12
4F034BB15
4F034BB28
4F035AA04
4F035BC02
4F035CA02
4F035CA05
4F035CB02
4F035CB13
4F035CC02
(57)【要約】
【課題】静電粉末コーティングのためのロボットを提供すること。
【解決手段】粉末ブース(2)のための静電散粉ロボット(4)であって、ロボット(4)は、静電粉末コーティングを行うための射出器(41)を備える。ブースからの粉末除去のために必要とされる時間を削減するために、及び粉末除去の自動化を促進するために、ロボット(4)は、関節式であり、かつ射出器(41)を配置するために射出器(41)を運ぶロボットアーム(43)と、粉末除去流体、好ましくは空気、をブローするためのブロワ(42)とをさらに備え、ブロワ(42)が、静電散粉ブース(2)の内部で、粉末除去流体を粉末落としされる表面にブローして、それによって粉末落としされる表面から残留粉末コーティングを除去するように、ロボットアーム(43)が、ブロワ(42)を、静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置するように運ぶ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電粉末コーティングブース(2)のための静電散粉ロボット(4)であって、
静電散粉を行うように構成された射出器(41)
を備え、
前記射出器(41)が前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で物品(10)の前記静電散粉を行うように、関節式であり、かつ前記射出器(41)を前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置するように前記射出器(41)を運ぶロボットアーム(43)と;
粉末除去流体、好ましくは空気、をブローするように構成されたブロワ(42)と
をさらに備え、前記ブロワ(42)が、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で、前記粉末除去流体を粉末落としされる表面にブローして、それによって前記粉末落としされる表面から残留粉末コーティングを除去するように、前記ロボットアーム(43)が、前記ブロワ(42)を、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置するように運ぶことを特徴とする、静電散粉ロボット(4)。
【請求項2】
前記射出器(41)及び前記ブロワ(42)が前記ロボットアーム(43)によって一体として移動されるように、前記ロボットアーム(43)が、前記射出器(41)及び前記ブロワ(42)を運ぶ支持ヘッド(46)を備える、請求項1に記載の静電散粉ロボット(4)。
【請求項3】
前記ロボットアーム(43)が、前記射出器(41)及び前記ブロワ(42)を少なくとも5の自由度で配置するように構成された多関節式のアームである、請求項1又は2に記載の静電散粉ロボット(4)。
【請求項4】
前記射出器(41)が、静電射出ヘッド(61)の第一の行(71)を備え、かつ
前記ブロワ(42)が、前記静電射出ヘッドの第一の行に平行に配置された、ブローノズル(81)の行(91)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の静電散粉ロボット(4)。
【請求項5】
前記射出器(41)が、前記静電射出ヘッド(61)の第一の行(71)に平行に配置された、静電射出ヘッド(61)の第二の行(72)を備え、前記ブローノズル(81)の行(91)が、静電射出ヘッド(61)の前記第一の行(71)と前記第二の行(72)との間に配置されている、請求項4に記載の静電散粉ロボット(4)。
【請求項6】
前記射出器(41)が、散粉電極(64)を備え、前記静電散粉が、前記散粉電極(64)を散粉電位にすることを含み;かつ
前記静電散粉ロボット(4)が、前記散粉電極(64)とは独立した粉末除去電極(83)をさらに備え、前記ブロワ(42)が、前記粉末除去流体を前記粉末落としされる表面にブローする間に、前記粉末除去電極(83)が、非静電電位にされるように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の静電散粉ロボット(4)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の静電散粉ロボット(4)と;
前記静電粉末コーティングブース(2)と
を備え、前記ロボットアーム(43)が、
前記射出器(41)が、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で、前記物品(10)の前記静電散粉を行うように、前記射出器(41)を、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置することができるように;かつ
前記ブロワ(42)が、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で、前記粉末除去流体を前記粉末落としされる表面にブローするために、前記ブロワ(42)を、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置することができるように
前記静電散粉ロボットが配置されている、静電散粉システム。
【請求項8】
前記静電散粉システムが、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部に配置された別のロボット(6)をさらに備え;かつ
前記ロボットアーム(43)が、前記ブロワ(42)が、前記粉末除去流体を前記別のロボット(6)にブローして、前記別のロボット(6)から粉末を除去することができるように、前記ブロワ(42)を配置するように構成されている、請求項7に記載の静電散粉システム。
【請求項9】
前記散粉システムが、前記静電粉末コーティングブース(2)の内部に配置されていて、かつ粉末除去流体をブローするように構成されている補助ブロワ(29)をさらに備え;かつ
前記ロボットアーム(43)が、前記補助ブロワ(29)が、粉末除去流体を前記射出器(41)にブローして、前記射出器(41)から粉末を除去するように、前記射出器(41)を、前記補助ブロワ(29)の近くに配置するように構成されている、請求項7又は8に記載の静電散粉システム。
【請求項10】
前記ブロワ(42)が、前記ロボットアーム(43)から取り外し可能であり;
前記静電粉末コーティングシステムが、前記ブロワ(42)が前記ロボットアーム(43)から取り外されているときに、前記ロボットアーム(43)が前記ブロワ(42)を取得することができるように適合されたツール変更装置(90)を備え;かつ
前記ブロワ(42)が前記ロボットアーム(43)から取り外されていて、前記ロボットアーム(43)が前記ツール変更装置(90)によって前記ブロワ(42)を取得することができる間に、前記ブロワ(42)を運んで前記粉末落としされる表面の前記粉末除去を行うように、前記ロボットアーム(43)が、前記ツール変更装置(90)において、前記ロボットアーム(43)自体に、前記ブロワ(42)を自動的に取りつけるように適合されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の静電散粉システム。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の静電散粉ロボット(4)又は請求項7~10のいずれか1項に記載の散粉システムによって行われる静電散粉方法であって、
前記射出器(41)が前記ロボットアーム(43)によって前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置されている間に、前記射出器(41)によって前記物品(10)の静電散粉を行うことと;
前記静電散粉が行われた後に、前記ブロワ(42)が前記ロボットアーム(43)によって前記静電粉末コーティングブース(2)の内部で配置されている間に、前記ブロワ(42)が、粉末除去流体を前記粉末落としされる表面にブローすることと
を含む、静電散粉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電粉末コーティングのためのロボット、このようなロボットを備える静電粉末コーティングシステム、このようなロボット又はシステムを使用して行われる静電粉末コーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブース中の物品を静電粉末コーティングすることによる、塗料などのコーティングを物品に適用するための静電粉末ブースは公知である。物品への粉末の適用は、粉末の流を放出する静電射出器を使用して、同時に、射出器及び物品が、粉末が物品に引きつけられて物品をコーティングするように、固有の電位にすることによって達成される。物品が静電的に粉末コーティングされた後、それはオーブンに運ばれる。オーブンは、粉末を、粉末中の熱硬化性材料が網目構造にされ、それによってコーティングを物品に付着させる温度に加熱する。
【0003】
静電効果にも関わらず、物品を散粉するように放出された粉末の幾らかは物品に到達せず、ブースの壁若しくは床に、又は射出器自体にも堆積する傾向がある。一般に、ブースは、この粉末の多くを回収して、回収した粉末をリサイクルし、次の物品に散粉するために新たな粉末と混合するために、ブースの内部を真空にする残留粉末吸引システムを備える。しかしながら、この真空システムにも関わらず、一般には、残留粉末は、壁及び床に付着したままとなり、とりわけ粉末の種類を変更しようとする場合に、例えば色を変更する場合に、粉末を除去することが、すなわちブース及び射出器の内部を洗浄することが必要となる。操作者によって手動で行われるとき、この操作は、安全上の理由のために、ブースの操作が中断されることを必要とする。
【0004】
国際公開第96/12568号は、粉末射出器及び自動洗浄ユニットを有するこのような粉末ブースを記載している。しかし、この自動洗浄ユニットは、非常に大きく、1つのブースの形状についてのみ適している。加えて、その洗浄ユニットは、それぞれの洗浄操作のために、ブースの外部から内部へと運び込まれる必要があり、このことは時間を消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規の静電粉末コーティングロボットを提供することを目指すことによって、先行技術の欠点を改善することを目的としていて、このことによって、ブースからの粉末除去のために必要とされる時間が削減され、粉末除去の自動化が促進される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、静電粉末コーティングブースのための静電粉末コーティングロボットに関するものであり、静電粉末コーティングロボットは、静電散粉を行うように構成された射出器を備える。本発明によれば、静電散粉ロボットは、射出器が静電粉末コーティングブースの内部で物品の静電粉末コーティングを行うように、関節式であり、かつ射出器を運んで静電粉末コーティングブースの内部で射出器を配置するロボットアームと;粉末除去流体、好ましくは空気、をブローするように構成されたブロワとをさらに備え、ロボットアームは、ブロワが、粉末落としされる表面に粉末除去流体をブローして、それによって粉末落としされる表面から残留粉末コーティングを除去するように、ブロワを運んで静電粉末コーティングブースの内部でブロワを配置する。
【0007】
本発明の前にあった1つの発想は、射出器及びブロワを、同じ静電散粉ロボットに取りつけて、その同じロボットを使用して、静電散粉及び粉末除去(すなわち残留粉末の洗浄)を行うことである。ロボットアームが、射出器及びブロワの両方を配置する、すなわち、移動させる、配向させる、及び/又は進行させる。従って、コーティングされる物品が粉末ブース中に存在するとき、ロボットアームは、射出器を物品の近くに配置し、一方で自動的に散粉を行うように射出器を物品に向ける。散粉ロボットが持続的にブロワを備えるため、物品が散粉されたとき、粉末ブースは粉末除去のための準備ができている。次いで、ロボットアームは、ただちに、ブロワを粉末落としされる表面へと配向することによって、粉末落としされる表面から粉末が除去されるようにブロワを配置することができる。粉末除去は、任意の所望の時間で、とりわけ2つの連続する物品の散粉の間に、行うことができる。ロボットアームがブロワを配置するため、粉末落としされる表面は、ブースの内壁、ブースの床、ブースの天井、又はブース中に配置される別の射出器若しくはロボットの表面であってもよい。ロボットアームによってブロワを配置するこの実現性は、ブース内部の任意の所望の表面が、ロボットアームによるブロワの適した配置によって除去された粉末を有するとき、粉末除去を非常に万能なものにする。ロボットアームが、射出器による散粉のためにプログラムされている場合、ロボットアームは、ブロワによる粉末除去のためにプログラムすることができる。従って、粉末除去は、容易に自動化される。
【0008】
好ましくは、ロボットアームは、射出器及びブロワがロボットアームによって一体化して移動されるように、射出器及びブロワを支える支持ヘッドを備える。
【0009】
好ましくは、ロボットアームは、少なくとも5の自由度で射出器及びブロワを配置するように構成された多関節式アームである。
【0010】
好ましくは、射出器は、静電射出ヘッドの第一の行を備え、ブロワは、静電射出ヘッドの第一の行に平行に配置された噴射ノズルの行を備える。
【0011】
好ましくは、射出器は、静電射出ヘッドの第一の行に平行に配置された、静電射出ヘッドの第二の行を備え、ブローノズルの行は、静電射出ヘッドの第一の行と第二の行との間に配置される。
【0012】
好ましくは、射出器は、散粉電極を備え、静電散粉は、散粉電極を散粉電位にすることを含む。好ましくは、静電散粉ロボットは、散粉電極とは独立した粉末除去電極をさらに備え、粉末除去電極は、ブロワが、粉末が除去される表面に粉末除去流体をブローする間に、非静電電位にされるように構成される。
【0013】
本発明はまた、上で規定される静電散粉ロボットと;静電粉末コーティングブースとを備える静電散粉システムに関する。静電散粉ロボットは、射出器が静電粉末コーティングブースの内部で物品の静電散粉を行うために、射出器を静電粉末コーティングブースの内部で、ブロワが、静電粉末コーティングブースの内部で、粉末落としされる表面に粉末除去流体をブローするために、ブロワを静電粉末コーティングブースの内部で配置することができるように、配置される。
【0014】
好ましくは、静電散粉システムは、静電粉末コーティングブースの内部に配置された別のロボットをさらに備える。好ましくは、ロボットアームは、ブロワが、他のロボットに粉末除去流体をブローして、前記他のロボットから粉末を除去することを可能とするように、ブロワを配置するように構成される。
【0015】
好ましくは、散粉システムは、静電粉末コーティングブースの内部に配置され、かつ粉末除去流体をブローするように構成された補助ブロワをさらに備える。好ましくは、ロボットアームは、補助ブロワが射出機に粉末除去流体をブローして射出器からの粉末を除去するように、射出器を補助ブロワの近くに配置するように構成される。
【0016】
好ましくは、ブロワは、ロボットアームから取り外し可能である。好ましくは、静電粉末コーティングシステムは、ブロワがロボットアームから取り外されているときに、ロボットアームがブロワを取得することができるように設計されたツール変更装置を備える。好ましくは、ブロワがツール変更装置から取り外されていて、ロボットアームがツール変更装置によってブロワを取得することができる間に、ロボットアームは、ブロワを運ぶように、ツール変更装置においてブロワを自動的に取りつけられるように適合されて、粉末落としされる表面の粉末除去を行う。
【0017】
本発明は、上で規定される静電散粉ロボット又は上で規定される散粉システムによって行われる静電コーティングシステムを、本発明の対象としてさらに有する。静電散粉方法は、射出器がロボットアームによって静電粉末コーティングブースの内部で配置されている間の、射出器によって物品を静電散粉することと、静電散粉が行われた後の、ブロワがロボットアームによって静電粉末コーティングブースの内部で配置されている間の、ブロワによる粉末落としされる表面に粉末除去流体をブローすることとを含む。
【0018】
添付の図面において例示された、本発明の原理による例の以下の説明から、本発明はより良く理解され、さらに、本発明の利点は明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の1つの実施態様による、静電散粉ロボットを備える静電散粉システムの模式断面図である。
図2図1の静電散粉ロボットの一部の斜視図である。
図3図1及び2の静電散粉ロボットの一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、静電粉末コーティングブース2と、静電散粉ロボット4と、静電散粉ロボット6とを備える静電散粉システムを示している。
【0021】
ブース2は、物品10の静電散粉操作を囲むことが意図されていて、物品10はブース2の内部に配置されていて、散粉はロボット4及び6を使用して行われる。
【0022】
図1に示される例において、ブース2は、床12と、床12の上方に延在している屋根14と、床12を屋根14に、それらのそれぞれの外周に沿って繋げる周囲壁16とを備える。ブース2は、床12と、屋根14と、周囲壁16とによって区切られた、その内部で散粉が行われる、実質的に囲まれた粉末区画を、ブース2の内部で画定する。ブース2は、本質的に、その内部に、散粉プロセスの間に物品10に到達しなかった任意の残留粉末をトラップすることが意図されている。
【0023】
少なくとも床12と、屋根14と、壁16とに関するブース2の内部は、好ましくは、電気的に絶縁の材料、例えばポリマー性プラスチック材料によって作られるか、又は裏打ちされる。
【0024】
有利には、ブース2は、物品10をブース2中に導入するために、周囲壁16を通して設けられたアクセス開口部18を備える。物品10は、この同じアクセス開口部18を通ってか、又は第二の類似のアクセス開口部、例えばブース2の他方の端部に開口部18に対向して設けられたアクセス開口部を通ってのいずれかで、ブース2から取り出すことができる。
【0025】
好ましくは、散粉システムは、開口部18を通してブース2中に物品10を導入するための、及び開口部18又は別の開口部を通してブース2から物品10を取り出すためのコンベヤ19を備える。コンベヤ19は、物品10が吊るされるレール25を備え、例えば、レールは、レールに沿って物品10を動かすための手段、例えばベルトやチェーンを有する。有利には、レール25は、屋根14の上方に配置され、有利には、屋根は、レール25の下で、レール25の軌跡に従う長さ方向のノッチ26を提供する。物品10がブース2の内部を通過するとき、物品10は、ノッチ26を通ってレール25から吊るされている。好ましくは、物品10は、ブース2の内部で停止することなくコンベヤ19によって移動され、コンベヤ19が物品10の進行移動を連続的にもたらす間に、物品10の散粉が行われる。
【0026】
好ましくは、コンベヤ19は、ブース2の内部での複数の物品の連続的な散粉のために、レール25に沿って分配された複数の物品を連続的に運ぶように設計されている。
【0027】
有利には、散粉システムは、ブース2に接続されてブース2の内部に含有された残留粉末を吸い上げる吸引システムを備える。例えば、吸引システムは、床12の下に配置された粉末吸引ダクト21と、ブース2の内部をダクト21に流体的に接続するように床12を通って設けられたベント22とを備え、ブース2中に含有された残留粉末を、ベント22を通ってダクト21中に入れることができる。好ましくは、図示されるように、床12は、ベント22への残留粉末の流出を促進する傾斜した部分の組立によって形成されている。
【0028】
有利には、残留粉末の吸引は、ブース2の内部を、ブース2の外部に対して負圧にし、開口部18及び/又はノッチ26などのブース2の任意の開口部を通して吸気が行われ、このことは、これらの開口部を通じた、ブースからの残留粉末の任意の漏出を回避する。
【0029】
吸引を行うために、吸引システムは、粉末吸引ポンプ20又は任意の他の適したポンピング手段を備える。ここで、ポンプ20は、ブース2の外部に配置されていて、ダクト21に接続されて、ベント22を通して、ダクト21を介して、ブース2から残留粉末を吸い出す。
【0030】
好ましくは、このように吸引された残留粉末の全て又は一部は、次いで、場合によってはこの残留粉末の処理の後及び/又は新たな粉末と混合された後に、静電散粉のためにブース2中に再導入される。
【0031】
物品10は、図1には模式的に示されていて、粉末コーティングは、任意の種類の物品、特には金属物品、例えば自転車のフレーム、家具のボディ部分又は部品、に対して行うことができる。
【0032】
静電散粉によって、ブース2中で、物品10に適用される粉末は、物品10上にコーティングを形成することが意図されている。静電粉末コーティングは、所望の分布で、物品10の所望の部分に対して、散粉が物品10に適用されることを可能とする。次いで、コーティングを固定し、その最終特性を与えるために、粉末は、ブース2の外部で、任意の次の処理に対して害を与えることなく反応させられる。粉末を反応させてコーティングを硬化するために、好ましくは、物品10は、オーブンを使用する熱処理を受ける。好ましくは、得られたコーティングは、物品10をコーティングする塗料又はワニスである。
【0033】
好ましくは、粉末は、熱硬化性ポリマー材料を含む。物品10がブース2中で散粉された後、物品10に適用される熱処理は、熱硬化性材料を硬化させる、すなわち網目構造化させ、それによってコーティングを硬化する。
【0034】
本例において、ロボット4及び6は同一であり、従って、ロボット4の説明はロボット6に適用される。ある変形において、ロボット6は、ロボット4とは異なる。ある変形において、静電散粉システムが、単一の静電散粉ロボット、又は2つ以外の数の静電散粉ロボットを備えることを条件とする場合がある。これらのロボットは、同一であるか、又は互いに異なっていてもよい。特には、ロボット4及び6が互いに異なるが、両方ともに、下で説明される個別のブロワ及び射出器と、ブロワ及び射出器を配置するための、下で説明される個別のロボットアームとを備えることを条件とする場合がある。ある変形において、両方のロボット4及び6が散粉ロボットであるが、ロボット4のみがブロワを備え、一方で他方はブロワを備えないことを条件とする場合がある。
【0035】
ここで、ロボット4は、全体がブース2の内部に配置されている。ロボット4は、射出器41と、ブロワ42と、ロボットアーム43とを実質的に備える。
【0036】
ロボットアーム43は、射出器41及びブロワ42を運んで、それらをブース2の内部で配置する、すなわち、それらをブース2の内部の所望の位置に移動させ、配向させる。言い換えれば、射出器41及びブロワ42を、アーム43によって配置することができ、アーム43は、射出器41及びブロワ42のための可動支持体として働く。このために、アーム43は関節式である。
【0037】
好ましくは、ロボットアーム43は、多関節式アームの形態、すなわち多軸ロボットである。従って、ロボットアーム43は、射出器41及びブロワ42が、ブース2の内部の任意の所望の構成に従って配置されて、特には、ロボットアーム43の単純な制御及び/又はプログラミングによって、ブース2及び物品10の形状に適合することを可能とする。
【0038】
ロボットアーム43は、基部45及び支持ヘッド46、並びに好ましくは基部45をヘッド46に接続する複数の要素、この場合においては要素47、要素48、要素49及び要素50、を備える。
【0039】
好ましくは、ロボットアーム43は、全体がブース2の内部に収容される。ある変形において、アーム43の一部、例えば基部45は、ブース2の外部にあってよい。
【0040】
ロボットアーム43は、基部45によって支持されている。このために、有利には、基部45は、ブース2に、ここではブース2の床に固定されている。基部45は、要素47、48、49及び50と、ヘッドとを介して、射出器41及びブロワ42を支持している。
【0041】
要素47は、基部45によって支持されていて、好ましくはモータ式の関節51によって、基部45に対して、ここではヨーで回転させるモータ式の手法で関節付けされている。要素47は、要素48を介して、他の要素49及び50、ヘッド46、射出器41並びにブロワ42を支持している。従って、基部45に対する要素47の移動は、ブース2に対する、要素48、49及び50、ヘッド46、射出器41並びにブロワ42の一体の移動をもたらす。
【0042】
要素48は、要素47によって支持されていて、好ましくはモータ式の結合部52を介して、要素47に対して、ここではピッチで回転させるモータ式の手法で関節付けされている。要素48は、要素49を介して、要素50、ヘッド46、射出器41及びブロワ42を支持している。従って、要素47に対する要素48の移動は、要素47に対する、要素49及び50、ヘッド46、射出器41並びにブロワ42の一体の移動をもたらす。
【0043】
要素49は、要素48によって支持されていて、好ましくはモータ式の結合部53を介して、要素48に対して、ここではピッチで回転させるモータ式の手法で関節付けされている。要素49は、要素50を介して、ヘッド46、射出器41及びブロワ42を支持している。従って、要素48に対する要素49の移動は、要素48に対する、要素50、ヘッド46、射出器41及びブロワ42の一体の移動をもたらす。
【0044】
要素50は、要素49によって支持されていて、好ましくはモータ式の関節54を介して、要素49に対して、ここではロールで回転させるモータ式の手法で関節付けされている。要素50は、ヘッド46を介して、射出器41及びブロワ42を支持している。従って、要素49に対する要素50の移動は、要素49に対する、ヘッド46、射出器41及びブロワ42の一体の移動をもたらす。
【0045】
ヘッド46は、要素50によって支持されていて、好ましくはモータ式の関節55によって、要素50に対して、ここではピッチで回転させるモータ式の手法で関節付けされている。ヘッド46は、射出器41及びブロワ42を支持している。従って、要素50に対するヘッド46の移動は、要素50に対する、射出器41及びブロワ42の一体の移動をもたらす。
【0046】
この構造のおかげで、本例のロボットアーム43は、射出器41及びブロワ42が、ブース2に対して5の自由度で配置されることを可能とする。ここで、5の自由度は、ブースに対する2の並進の自由度、すなわち高さ及び横の位置の変化、及び2つの回転の自由度、すなわちピッチ、ロール及びヨー、を含む。しかし、ロボットアーム43が、5以外の数の自由度、特には6の自由度を有することが条件とされる場合がある。さらに、ロボットアーム43の要素が、例示された例におけるもののように連続して配置されていて、所与の要素が、関節付けの手法で前の要素によって支持され、かつ関節付けの手法で次の要素を支持していて、第一の要素が関節付けの手法で基部45によって支持され、かつ最後の要素が関節付けの手法でヘッド46を支持していることが好ましい。状況に応じて、4つ以外の数の要素が設けられてよく、好ましくは、第一の要素が関節付けの手法で基部によって支持され、第二の要素が関節付けの手法で第一の要素によって支持され、関節付けの手法でヘッドを支持している、このように配置された少なくとも2つの要素が設けられてよい。
【0047】
好ましくは、ロボット4は、あらかじめプログラムされた手法で、及び/又は手動の制御で、ロボットアーム43を介して射出器41及びブロワ42の配置を制御するための電子ユニット56を備える。この目的のために、電子ユニット56は、具体的には、モータ式の結合部51、52、53、54及び55を制御して、要素の配置を操作することによって、ロボットアーム43を制御し、射出器41及びブロワ42の配置は、その要素の配置に依存する。例えば、ユニット56は、それぞれの接合部を操作するために有線接続によってそれぞれの結合部に接続され、かつ人による電子制御器のプログラミング及び制御のために、有線接続によって人/機械インターフェースに接続された電子制御器を備える。
【0048】
図2及び3は、より詳細に、ヘッド46、射出器41及びブロワ42の好ましい実施態様を示している。ブロワ42が、図3に単独で示されている。
【0049】
射出器41は、ロボットアーム43によってブース2の内部で配置されることによって、物品10の静電散粉を行うように構成されている。ここではロボット4の全体がブース2の内部にあるが、放出される粉末がブース2の内部にトラップされたままとなるように、少なくとも射出器41及びブロワ42がブース2の内部にあることが意図されている。
【0050】
ここでは、射出器41は、8つの射出ヘッド61を備える。しかし、射出器は、単一の射出ヘッド、又は8つ以外の数の射出ヘッドからなってよい。
【0051】
有利には、それぞれの射出ヘッド61は、ロボットアーム43の支持ヘッド46に取りつけられて、支持ヘッド46に対して固定された、自動のガンの形態である。
【0052】
それぞれの射出ヘッド61は、平らな、丸い又は渦状のスプレーノズル62を組み込んでいて、物品10に、所望の形状の粉末のスプレーを放出する。全てのヘッド61は、同一のノズル62を有するように、又はヘッドが備えるノズルが異なっていて、異なる特徴のジェットをもたらすように、選択することができる。
【0053】
好ましくは、それぞれの射出ヘッド61のそれぞれのノズル62は、例えば、それぞれの射出ヘッド61の背部に接続されたそれぞれの供給ライン63によって、個別に粉末を供給される。好ましくは、選択されたヘッド61のみを介して、粉末を選択的にスプレーすることができる。好ましくは、粉末は、粉末ポンプの動作の下で、ライン63を介してノズル62に送られ、粉末ポンプそれ自体は、新たな粉末供給源からの新たな粉末で、及び/又は先述の吸引システムによって回収された残留粉末からのリサイクルされた粉末で、供給される。
【0054】
ノズル62の代替として、それぞれのヘッド61は、回転ボウルを設けられてよい。
【0055】
有利には、それぞれのヘッド61に供給された粉末が、他のヘッドに供給された粉末とは異なること、例えば、異なる色の粉末であること、又はある粉末がワニスを形成することを意図されていて、一方で別の粉末が塗料若しくはプライマーを形成することを意図されていること、が条件とされる場合がある。
【0056】
ある変形において、全ての又は幾つかの射出ヘッド61が、同一の粉末で供給されるか、及び/若しくはともに動作することが条件とされる場合がある。
【0057】
さらに、それぞれの射出ヘッド61は、図2において単一のヘッド61について透明に模式的に示されている、射出ヘッド61の電極に電圧を加える高電圧ユニット66を組み込んでいる。電極64は、高電圧ユニット66によって、「散粉電位」とよばれる電位にされる。散粉電位は、高電位であり、好ましくは連続的である。電極64が散粉電位にされているとき、電極は、この散粉電位を、粉末ジェット中の粉末又は粉末ジェットの近くの粉末に直接的にかけて、コロナ効果を得る。例えば、電極64は、ヘッド61の端部に形成されるか、又はヘッドの周りの複数の電極の形態である。
【0058】
粉末ジェットからの粉末を物品10に付着させる傾向の静電場を生成するために、物品10が接地されていて、散粉電位が負のDC電位、例えば-80kV(キロボルト)であることを条件とすることが好ましい。より一般的には、散粉電位が-70kV~-90kVであることが好ましい。「連続的」は、電極64によってかけられた散粉電位が符号を変化させないことを意味する。ある変形において、用途、粉末の種類及び物品の種類に応じて、散粉電位が正の符号、例えば+70kV、を有することが条件とされる場合がある。好ましくは、物品10は、コンベヤ19を介して接地されていて、コンベヤ19自体も接地されている。より一般的には、高電位差が、電極64と物品10との間に提供され、ここで、電極64がされる散粉電位は、物品10がされる電位から非常に離れていて、具体的には物品10がされる電位より非常に小さい。
【0059】
静電散粉のために、全てのヘッド61を、同時に作動することができる。ある変形において、特にはヘッド61が異なる粉末及び/若しくは異なる特徴のジェットを放出する場合に、又はあるヘッド61についての粉末を、他のヘッド61によって散粉が行われている間に変更することが所望される場合に、特定のヘッド61を選択的に作動させることができる。
【0060】
本例において、図2に示されるように、ヘッド61は、2つの平行な行71及び72に配置される。ここで、両方の行71及び72は、同じ数のヘッド61を有する。例えば、それぞれの行71及び72について、ヘッド61は、規則的な間隔で配置される。好ましくは、行71のそれぞれのヘッド61は、行71のヘッド61のうち1つに対向して配置される。従って、ヘッド61は、ペアで配置されているとみなすこともでき、それぞれのペアは、行71の1つのヘッド61と、行72の1つのヘッドとを含む。例えば、それぞれのペアについて、2つのヘッド61は、行71及び72に対して垂直である列に配置される。
【0061】
好ましくは、ヘッド61は、射出器41の使用の間、及びロボットアーム43による射出器41の配置の間に、支持ヘッド46に対して固定されている。射出器41は、物品10が射出器41の前の所定の領域に配置されている間に、物品10の静電散粉を行うように設計されている。言い換えれば、射出器41は、物品10の方向に向いて、物品10から所定の距離の範囲内に、配置される。この範囲は、そのときに、いずれのヘッド61が静電散粉を行っているかに依存してよい。本例において、全てのヘッド61は、支持ヘッド46に対して固定された同じ方向X41に沿って、又は少なくとも方向X41に近い方向に沿って、配向されている。例えば、ヘッド61のそれぞれのペアについて、2つのヘッドは、方向X41に並列の運搬方向に沿って配向されている。
【0062】
まとめると、物品10の静電散粉を行うことは、射出器41が、物品10を目標とするようにブース2の内部で配置されていて、物品10から所定の距離にある間に、射出器41が、粉末ジェットを放出し、射出器41と物品10との間に高電位差をかけることを意味する。特には、この条件は、高電位差がもたらされ、ヘッド61が物品10に対して正しく配置されている間に、ヘッド61のうち1つが粉末ジェットを放出するときに、満たされる。静電散粉の間に、射出器41は、ロボットアーム43の作動の下で、物品10を粉末でコーティングするように、静止しているか、又は可動であってよい。
【0063】
有利には、物品10の静電散粉は、ロボット4及び6によって、それらのそれぞれの射出器を使用して、結合的に行われ、例えば、それぞれのロボットは、物品10の反対の側の、又は物品10の互いに離れた部分の静電散粉を行う。
【0064】
ブロワ42は、ブース2の内部で、粉末落としされる表面に向かって空気をブローするように構成されていて、このために、ロボットアーム43によって、ブース2中に配置されている。空気を、連続的な又はパルスの手法で、1つ又は複数のジェットで、好ましくは扁平ジェットで、放出することができる。この空気ブローの目的は、粉末落としされる表面をコーティングしている残留粉末を除去する、すなわち引き離すことであり、この残留粉末は、静電散粉の間に偶発的に堆積されたものである。残留粉末を除去することは、残留粉末をブース2の内部で浮遊した状態にして、それによって、先述の吸引システムによるその吸引を促進する。好ましくは、吸引システムは、ブロワ42によって行われる粉末除去の間及び/又は後に、作動される。
【0065】
ブロワ42が、別の流体ではなく空気をブローすることは、同じ圧縮空気発生器が、粉末スプレーのための射出器41と、粉末除去のためのブロワ42との両方を供給することができるため、有利である。空気は残留粉末と混和しないガスであるため、残留粉末は、汚染されず、さらなる静電散粉のために、より容易に再使用することができる。しかし、ブロワ42が、任意の他の適した粉末除去流体、例えば別のガス又はさらには液体、をブローするか、又はスプレーすることが条件とされる場合がある。
【0066】
ロボットアーム43がブロワ42を配置して表面から粉末を除去することができる限り、ブース2の内部の任意の表面は、粉末落としされる表面であってよい。特には、粉末落としされる表面は、床12、壁16及び屋根14の全て又は一部であってよい。粉末落としされる表面は、ブース2の内部に配置されたコンベヤ19の一部であってよい。
【0067】
有利には、ロボット4のブロワ42が、他のロボット6の全て又は一部の粉末除去を行うと予測され、それは、次いで粉末落としされる表面を構成する。特には、ロボット4は、他のロボット6の射出器41又はブロワ42粉末除去を行うことができる。対して、ロボット6がブロワ42を備える場合、ロボット6は、ロボット4の粉末除去を行うことができる。より一般的には、ロボット4は、ブース2中に含有される任意のロボット又は設備(それが散粉ロボットであるか、別の機能を有するロボットであるかに関わらない)の粉末除去を、例えば物品10、又は別の自動装置、例えばブース2中に含有されるジャック又はワイヤ、を扱うことを担うことができる。
【0068】
ある変形において、例えば間違った粉末が物品10に適用された場合、物品10から余剰の粉末を除去する必要がある場合、又は物品10のために特定の表面仕上げを達成するために、物品10を、粉末落としされる表面として提供することができる。
【0069】
ここで、図2及び3において詳細に示されるブロワ42は、6つのブローノズル81を備える。しかし、ブロワ42は、単一のブローノズル81又は6つ以外の異なる数のノズル81からなることができる。
【0070】
それぞれのノズル81は、支持ヘッド46に対して非可動であるように、ロボットアーム43の支持ヘッド46に取りつけられている。従って、好ましくは、ノズル81は、射出ヘッド61に対して静止している。より一般的には、射出器41及びブロワ42が、支持ヘッド46に対して運ばれることは、上で記載されるように、それらがロボットアーム43によって同時に、すなわち一体で、移動されることを意味する。好ましくは射出器41及びブロワ42は、静電散粉の間及び粉末除去の間に、ヘッド46に対して静止しているように設けられる。
【0071】
ノズル81は、粉末除去流体の単一の流を同時に全てのノズル81に分配する供給多岐菅82によって、粉末除去流体を、この場合は空気を供給される。言い換えれば、多岐菅82への流体の供給は、全てのノズル81からの流体の同時の放出をもたらす。好ましくは、ノズル81は、多岐菅82を介して支持ヘッド46に取りつけられていて、多岐菅82自体は、ヘッド46に取りつけられている。
【0072】
ここで、ブローノズル81は、射出ヘッド61の行71及び72に平行である、2つの行71と72との間の行91に配置されている。
【0073】
有利には、それぞれのブローノズル81は、扁平ジェットノズルの形態であり、それは、残留粉末を除去するために特に有効である。有利には、それぞれのノズル81は、扁平ジェットが、方向X41に沿って、行91に平行に、かつ方向X41に向けられるように、配向される。この状況において、ノズル81からの扁平ジェットの組み合わせは、方向X41に沿って、行91に平行に向けられた粉末除去流体の扁平流、すなわち粉末除去流体の平面状のカーテン、を形成する。このことは、粉末除去された表面から残留粉末を取り除くことにおいて、特に有効である。
【0074】
ある変形において、ブローノズルの全て又は幾つかが、異なる形状のジェット、例えば丸いジェット、を放出することが条件とされる場合がある。
【0075】
好ましくは、射出器41及びブロワ42は、同じ方向X41に沿って向けられていて、このことは、ヘッド61及びノズル81の配置のための、ロボット43のプログラミングを容易にし、粉末及び粉末除去流体の流は、同じ方向に放出される。
【0076】
好ましくは、粉末除去は、アクセス開口部18が閉じられている間に行われて、ブース2の外部に残留粉末が分散することを回避している。好ましくは、粉末除去は、ブース2中で静電散粉が行われていないときに行われる。好ましくは、粉末除去は、引き離された残留粉末によって物品の表面が偶発的に汚染されることを回避するために、散粉される又はすでに散粉された物体がブース2中に含有されていないときに行われる。言い換えれば、まず、1つ又は複数の物品10の静電散粉が、射出器41によって行われる。次いで、散粉がされた後、ブロワ42によってブローが行われる。次いで、他の物品のさらなる散粉を行うことができる。
【0077】
有利には、ブロワ42がブース2中に常に配置されているため、ブローは、2つの連続する物品の散粉の間に自動的に行われる。例えば、2つの連続する物品がコンベヤ19に沿って十分に間隔をあけて配置されているとき、又は物品によるブース2の供給が一時的に中断される場合、粉末除去が、整然と、かつ自動的に行われると、予測することができる。粉末除去を、1つのロボットによって同時に、又は複数のロボットによって同時に行うことができる。
【0078】
任意選択で、ブロワ42は、射出器41が運ぶ場合がある任意の散粉電極とは独立である、「粉末除去電極」といわれる電極83を備えてよい。電極83は、単一の電極又は複数の電極の形態であってよい。ここで、電極83は、ときには「イオン化バー」又は「活性帯電防止バー」といわれる脱イオン化バーに属し、例えば、多岐菅82と一体であるか、そうでなければブロワ42と一体である。ある変形において、この電極83は、ロボット4の別の部分によって運ばれるか、又はさらにはブース2中の他の場所に配置されてよい。
【0079】
電極83の目的は、とりわけ粉末落としされる表面が床12、壁16又は屋根14である場合に、粉末落としされる表面の粉末除去の有効性を改善することである。この目的のために、電極83は「粉末除去電位」として知られる電位にされ、それは、粉末除去流体、粉末落としされる表面の近くの空気、粉末落としされる表面及び/又はブローの間に巻き上げられた残留粉末を脱イオン化することが意図されている。このことは、静電効果によって、粉末落としされる表面又は別の表面に再付着させる傾向があることを回避する。この目的のために、好ましくは、粉末除去電位は、交流の高電位、又は少なくとも、その値が符号を変化させる高電位である。例えば、交流の高電位は、10kVであることが望まれる。より一般的には、その電位は少なくとも7kVであることが想定される。有利には、ブロワ42に付帯した高電圧ユニット、ロボットにおける他の場所に支持された高電圧ユニット、又は外部の高電圧ユニットによって、電極83が脱結合電位にされることが想定される。ここで、この高電圧ユニットは、脱イオン化バーに組み込まれている。いずれの場合においても、好ましくは、電極83のための高電圧ユニットは、高電圧ユニット66とは離れている。
【0080】
加えて、又はある変形において、ブロワ42自体は、残留粉末のこの引き離しを促進するために、ブローの間に高電圧にされる1つ又は複数の電極を備えることを想定することができる。
【0081】
まとめると、粉末落としされる表面のブローを行うことは、ブロワ42が、粉末落としされる表面を目標とするようにブース2の内部で配置されている間に、粉末落としされる表面から所定の距離にある間に、ブロワ42が粉末除去流体のジェットを放出することを意味する。ブローの間に、粉末落としされる表面が有効に粉末落としされるように、ロボットアーム43の動作の下で、ブロワ42は、静的であるか、又は可動であってよい。
【0082】
好ましくは、ロボット4は、射出器41及びブロワ42の操作を制御するための、すなわち粉末及び流体の供給及び/又は放出を、あらかじめプログラムされた手法及び/又は手動の制御で制御するための、電子ユニット65を備える。この目的のために、電子ユニット65は、特に射出ヘッド61並びにブローノズル81及び/又は多岐菅82を、例えばソレノイドバルブの組によって、制御する。例えば、ユニット65は、電子制御器を備え、電子制御器は、ヘッド61、ノズル81及び/若しくは多岐菅82、又はそれらを供給する粉末及び流体ネットワークの他の部品に有線接続によって接続されていて、かつ人によって電子制御器をプログラミング及び制御するための人-機械インターフェースに有線接続によって接続されている。
【0083】
図1に示されるように、有利には、散粉システムが、ロボット4及び6に備えられたブロワ42とは別の補助ブロワ29を備えることが条件とされる。好ましくは、補助ブロワ29は、例えば内部で、固定されていて、ブース2の床12、壁16又は屋根14によって支持されている。ブロワ42と同様に、補助ブロワ29は、粉末除去流体、好ましくは空気、をブローするために提供される。例えば、補助ブロワ29は、ブロワ42と同じものである。この補助ブロワ29は、ロボット4のブロワ42によってはほとんど粉末除去することができないロボット4の、とりわけその射出器41の粉末除去のために使用される。ロボット4の粉末除去を行うために、有利には、ロボット4のロボットアーム43が、射出器41、又はロボット4によって粉末落としされる任意の他の表面を、補助ブロワ29の近くに、特に放出される粉末除去流体の流の経路に配置することが条件とされる。従って、ロボット4による粉末除去は、補助ブロワ29、特に射出器41によって操作される。ロボット6による粉末除去を、ブース2に備えられる任意の他のロボット、とりわけロボット6、についてと類似の方法で操作することができる。ブース2が単一のロボット、例えばロボット4、を備える場合、又はブース2が複数のロボットであって、そのうち1つのみがブロワ42を備える複数のロボットを備える場合、ブロワ29の存在は特に有利である。
【0084】
上で、射出器及びブロワが持続的にロボットアームに取りつけられている場合が説明されている。しかし、ある変形において、ブロワの一部若しくはブロワの全体、及び/又は射出器の一部若しくは射出器の全体が、ロボットアームから、好ましくは自動的に、実際に取り外し可能であることが条件とされる場合がある。
【0085】
特に、散粉システムが、例えばブース2中に配置された、図1において非常に模式的に示されるツール変更装置90を備えることを想定することができる。この装置90は、1つ又は複数の予備ツールを、1つ又は複数のロボットに対して利用可能にする。例えば、この装置90は、それぞれの予備ツールのためのそれぞれのスロット、又は複数の予備ツールのために交替して有用であるスロットを有するラックの形態である。
【0086】
特に、ロボットアーム43は、行われる操作に応じて、射出器41及び/又はブロワ42を、自動的に取りつけ及び取り外しするための装置90に対するアクセスを有する。この場合において、射出器41及び/又はブロワ42は、ロボットアーム43に選択的に取りつけることができる予備ツールとして提示される。例えば、静電散粉操作の間に、射出器41のみがロボットアーム43によって支持され、一方で、ブロワ43はロボットアーム43から取り外されて、装置90によって支持されていて、さらなる使用に向けて待機する。粉末除去操作を行うために、ロボットアーム43は、装置90において、ロボットアーム43にブロワ42を自動的に取りつけて、ブロワ42を支持する。ブロワ42を取りつけるために、有利には、ロボットアーム43が、射出器41を装置90に預けることによって、射出器41をあらかじめ取り外していることが条件とされている場合がある。静電散粉を行うために、ロボットアーム43は、装置90において、ロボットアーム43に射出器41を自動的に取りつけて、射出器41を支持する。射出器41を取りつけるために、有利には、ロボットアーム43が、ブロワ42を装置90に預けることによって、ブロワ42をあらかじめ取り外していることが条件とされている場合がある。
【0087】
上で説明される1つの実施態様又は変形からの任意の特徴は、技術的に可能である限り、上で説明される任意の他の実施態様又は変形において行うことができる。
図1
図2
図3
【外国語明細書】