(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097441
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】接着促進フォトレジスト下層組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20220623BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20220623BHJP
C07C 65/10 20060101ALN20220623BHJP
C07C 215/66 20060101ALN20220623BHJP
C07C 39/21 20060101ALN20220623BHJP
C07C 43/215 20060101ALN20220623BHJP
C07C 69/18 20060101ALN20220623BHJP
C07C 39/15 20060101ALN20220623BHJP
C07C 39/17 20060101ALN20220623BHJP
C07C 59/64 20060101ALN20220623BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C08G61/12
C07C65/10
C07C215/66
C07C39/21
C07C43/215
C07C69/18
C07C39/15
C07C39/17
C07C59/64
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204694
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】17/127,434
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・カイツ
(72)【発明者】
【氏名】コー・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コーレン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】リー・ツイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エフ.・キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】ダン・ビー.・ミルウォード
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
【テーマコード(参考)】
2H225
4H006
4J032
【Fターム(参考)】
2H225AF18N
2H225AF71N
2H225AM61N
2H225AM66N
2H225AN02N
2H225AN24N
2H225AN25N
2H225AN26N
2H225AN31N
2H225AN39N
2H225AN51N
2H225BA01N
2H225BA24N
2H225CA12
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB76
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BP30
4H006BS10
4H006BU40
4H006FC52
4H006FC56
4H006FC80
4H006FE13
4H006GP03
4J032CA04
4J032CA14
4J032CB04
4J032CB12
4J032CG00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】接着促進フォトレジスト下層組成物を提供する。
【解決手段】ポリ(アリーレンエーテル)と、式(14):D-(L1-Ar-[X]n)m(14)の添加剤と、溶媒を含み、式(14)において、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基であり、任意選択的に、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基の有機酸塩であり、各L1は、独立して、単結合又は二価連結基であり、L1が単結合である場合、Dは、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキルであって、任意選択的にArと縮合しているものであり得、各Arは、独立して単環式又は多環式C5~60芳香族基であり、各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、mは1~6の整数であり、各nは、独立して、0~5の整数であるが、全てのnの合計は2以上である、フォトレジスト下層組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト下層組成物であって、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
式(14):
D-(L1-Ar-[X]n)m (14)
の添加剤と、
溶媒と
を含み、
式(14)において、
Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基であり、任意選択的に、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基の有機酸塩であり、
各L1は、独立して、単結合又は二価連結基であり、
L1が単結合である場合、Dは、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキルであって、任意選択的にArと縮合しているものであり得、
各Arは、独立して単環式又は多環式C5~60芳香族基であり、
各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、
mは1~6の整数であり、
各nは、独立して、0~5の整数であるが、ただし、全てのnの合計は2以上であることを条件とし、
R30~R33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであって、そのうち、水素以外は、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-NR34-の1つ以上をさらに含み、R34は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールであり、且つ
nが2である場合、第1の基XのR30~R33のいずれか1つは、任意選択的に、二価の基であり、第2の基XのR30~R33のいずれか1つは二価の基であり、そして第1の基Xの二価の基は、第2の基Xの二価基と一緒に環を形成し、環は、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR35-、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-の1つ以上を含む連結基を任意選択的にさらに含み、R35は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである、フォトレジスト下層組成物。
【請求項2】
Dが、多価C1~30アルキル、多価C3~30シクロアルキル、多価C1~20ヘテロシクロアルキル、多価C6~30アリール、多価C6~30ヘテロアリール、-NH2又はその有機塩、或いは-C(O)OR22であり得、R22が、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである、請求項1に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項3】
Dが、多価C1~30アルキル、多価C3~30シクロアルキル、多価C6~30アリール又は多価C6~30ヘテロアリールであり、
各L1が、独立して、単結合、又は置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR23-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-C(O)NR23-の1つ以上を含む二価連結基であり、
R23が、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり、且つ
各Arが、独立して、単環式又は多環式C6~60アリーレン基であり、
各Xが、独立して、-OR30又は-NR32R33であり、
R30、R32及びR33が、請求項1に関して提示されたものと同一であり、
mが2~4の整数であり;
nの合計が3以上である、請求項1又は2に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項4】
前記添加剤が、式(15):
【化1】
(式中、
Dは、多価C
1~30アルキル、多価C
3~30シクロアルキル、多価C
6~30アリール又は多価C
6~30ヘテロアリールであり、
各Ar
5は、単環式若しくは多環式C
6~60アリーレン基又は単環式若しくは多環式C
5~60ヘテロアリーレン基であり、
各Xは、独立して、-OR
30、-SR
31又は-NR
32R
33であり、
R
30~R
33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
2~30アルキニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリールアルキルであって、そのうち、水素以外は、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C
1~30アルキレン、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C
2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C
4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C
2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C
6~30アリーレン、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)
2-又は-NR
34-の1つ以上をさらに含み、R
34は、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C
5~30アルキルヘテロアリールであり、
mは2~4の整数であり;
各nは、独立して、整数1~5であるが、ただし、nの合計が3以上であることを条件とする)のものである、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項5】
式(14)において、
各Xが、独立して-OR30であり、各R30が、独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換-C(O)-C1~6アルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項6】
式(14)において、
Dは、-(C(O)O-)(M+)又は-(NH3
+)(Z-)であり、
M+は有機カチオンであり、
Z-は有機アニオンであり、
各L1は、独立して二価の連結基であり、
mは1であり、
各Arは、独立して単環式又は多環式C5~60芳香族基であり、
各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、
nは2~4の整数であり、且つ
R30~R33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであって、そのうち、水素以外は、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-NR34-の1つ以上をさらに含み、R34は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである、請求項1に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項7】
前記添加剤が、前記フォトレジスト下層組成物の全固形分を基準として0.1~20重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項8】
(a)請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物の層を基板上に塗布すること;(b)前記塗布したフォトレジスト下層組成物を硬化してフォトレジスト下層を形成すること;及び(c)前記フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成すること;
を含む、パターンの形成方法。
【請求項9】
前記フォトレジスト層を形成する前に、前記フォトレジスト下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組み合わせを形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層をパターン化し、前記パターン化されたフォトレジスト層から、前記コーティング層及び前記フォトレジスト下層の下の層にパターンを転写することをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスの分野に関し、より具体的には、半導体製造において使用するための材料及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト下層組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとして半導体産業で使用されている。これらの組成物は、有機物又はケイ素を含む反射防止膜とパターン化可能なフォトレジスト膜の層とが高炭素含有率の最下層の上に配置される3層及び4層フォトレジストの集積化スキームでよく使用されている。
【0003】
理想的なフォトレジスト下層材料は、特定の具体的な特徴を有する必要がある。すなわち、これはスピンコートプロセスによって基板上にキャストできる必要があり、加熱されると少ないガス放出及び昇華で熱硬化する必要があり、スピンボウルとの優れた適合性のために一般的な溶剤に可溶性である必要があり、フォトレジストイメージングに必要な低反射率を付与するための、反射防止コーティング層と共に機能するために適切なn&k値を有することが必要であり、また後続の処理工程中の損傷を回避するために高い熱安定性を有する必要がある。これらの要件に加えて、理想的なフォトレジスト下層材料は、フォトパターンを正確な方法で最終的な基板に転写するために、基板上でのスピンコート及び熱硬化の後に、フォトレジスト下層膜の上下に位置するケイ素含有層に対するトポグラフィと十分なドライエッチング選択性とを平坦な膜に付与しなければならない。
【0004】
有機ポリ(アリーレン)化合物は、3層又は4層プロセスでパターニングするためのスピンオンカーボン(SOC)材料として使用されてきた。そのようなポリ(アリーレン)化合物SOC配合物は、試験条件下で高い熱安定性、高い耐エッチング性、及び良好な平坦化を有し得る。しかしながら、ポリ(アリーレン)含有材料の無機基板への接着性は困難であり、一部の処理工程で問題を引き起こす可能性がある。例えば、湿式化学エッチングによる基板除去中に、ポリ(アリーレン)含有配合物は基板から剥離し、パターンの忠実度の許容できない喪失と基板の損傷を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,965,679号明細書
【特許文献2】米国特許第6,288,188号明細書
【特許文献3】米国特許第6,646,081号明細書
【特許文献4】国際公開第97/10193号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/073824号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2005/030848号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2016/0060393号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2017/0009006号明細書
【特許文献9】米国特許出願第15/790606号明細書
【特許文献10】国際公開第98/11149号パンフレット
【特許文献11】米国特許第5,115,082号明細書
【特許文献12】米国特許第5,155,175号明細書
【特許文献13】米国特許第5,179,188号明細書
【特許文献14】米国特許第5,874,516号明細書
【特許文献15】米国特許第5,965,679号明細書
【特許文献16】国際公開第91/09081号パンフレット
【特許文献17】国際公開第97/01593号パンフレット
【特許文献18】欧州特許第0755957-81号明細書
【特許文献19】米国特許第6,261,743号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents , North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、SOC配合物に関して改善された接着性を達成することのできる新しいフォトレジスト下層材料が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリ(アリーレンエーテル)と、式(14):
D-(L1-Ar-[X]n)m(14)の添加剤と、
溶媒とを含むフォトレジスト下層組成物であって、式(14)において、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基であり、任意選択的に、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基の有機酸塩であり;各L1は、独立して、単結合又は二価連結基であり、L1が単結合である場合、Dは、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキルであって、任意選択的にArと縮合しているものであり得、各Arは、独立して単環式又は多環式C5~60芳香族基であり、各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、mは1~6の整数であり、各nは、独立して、0~5の整数であるが、ただし、全てのnの合計は2以上であることを条件とし、R30~R33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであって、そのうち、水素以外は、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-NR34-の1つ以上をさらに含み、R34は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールであり、且つnが2である場合、第1の基XのR30~R33のいずれか1つは、任意選択的に、二価の基であり、第2の基XのR30~R33のいずれか1つは二価の基であり、そして第1の基Xの二価の基は、第2の基Xの二価基と一緒に環を形成し、環は、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR35-、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-の1つ以上を含む連結基を任意選択的にさらに含み、R35は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである、フォトレジスト下層組成物が提供される。
【0009】
また、(a)フォトレジスト下層組成物の層を基板上に塗布すること;(b)塗布したフォトレジスト下層組成物を硬化してフォトレジスト下層を形成すること;及び(c)フォトレジスト下層の上にフォトレジスト層を形成することを含む、パターンを形成する方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、その例が本明細書で示される例示的な実施形態を詳細に参照する。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して使用される「約」という修飾語句は、状態値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後、記載される事象又は状況が起き得るか又は起き得ないこと並びに事象が起こる場合及び事象が起こらない場合をその記載が含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様において任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0012】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、関連する技術分野及び本開示に関連してそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0013】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」は、示される場合に1つ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有する有機化合物を意味し;「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味し;「アルキレン基」は、2の価数を有するアルキル基を意味し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味し;「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し;「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を意味し;「シクロアルキル基」は、全ての環構成原子が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を意味し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を意味し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を意味し;「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を意味し;「アルケニレン基」は、少なくとも2の価数を有するアルケニル基を意味し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を意味し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を意味し;「芳香族基」という用語は、文献で、特にIUPAC19で定義される芳香族性の従来の概念を意味し、環に炭素原子を含み、任意選択的には環の炭素原子の代わりにN、O、S、Si、P又はBから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式又は多環式芳香環系を意味し;「アリール基」は、芳香環の中に炭素原子のみが含まれる一価の芳香族単環式又は多環式基を意味し、これは少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含んでいてよく;「アリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するアリール基を意味し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されているアルキル基を意味し;「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し;「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を意味する。
【0014】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つのメンバー(例えば、1、2、3又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、ここで、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si、P又はBであり;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換基を意味し;「ヘテロアルキル基」は、炭素の代わりに1~4つのヘテロ原子を有するアルキル基を意味し;「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素の代わりに、環員として1~4つのヘテロ原子を有するシクロアルキル基を意味し;「ヘテロシクロアルキレン基」は、2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を意味し;「ヘテロアリール基」は、炭素の代わりに、環員として1~4つのヘテロ原子を有するアリール基を意味し;「ヘテロアリーレン基」は、2の価数を有するヘテロアリール基を意味する。
【0015】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基のうちの1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)が存在していても或いはフルオロ基のみが存在していてもよい。
【0016】
用語「フッ素化」は、化合物又は基が、化合物又は基中に組み込まれた1つ以上のフッ素原子を有することを意味すると理解される。例えば、C1~18フルオロアルキル基が示されている場合、そのフルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子、例えば単一のフッ素原子、2つのフッ素原子(例えば、1,1-ジフルオロエチル基等)、3つのフッ素原子(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル基等)、又は炭素の各自由原子価におけるフッ素原子(例えば-CF3、-C2F5、-C3F7、又は-C4F9等のパーフルオロ基として)を含み得る。「置換フルオロアルキル基」は、さらに別の置換基によって置換されたフルオロアルキル基を意味すると理解されるものとする。
【0017】
「置換された」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2つの水素が置き換えられている。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基は、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH2)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はこれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又はOC(=O)-アルキル)及びC7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又はOC(=O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート及びラクトンを含む)、アミド(-C(=O)NR2(Rは、水素又はC1~6アルキルである))、カルボキサミド(-CH2C(=O)NR2(Rは水素又はC1~6アルキルである))、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各環は、置換又は無置換芳香族である)を有するC6~12アリール、1~3の分離又は縮合環及び6~18の環炭素原子を有するC7~19アリールアルキル、1~3の分離又は縮合環及び6~18の環炭素原子を有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)又はトシル(CH3C6H4SO2-)を含むが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ基で置換されたC2アルキル基である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「不活性に置換される」は、置換基が、シクロペンタジエノン及びアセチレン重合反応に対して本質的に不活性であり、且つ硬化ポリマーで使用条件下、例えば水中で容易に反応しないことを意味する。そのような置換基としては、例えば、-F、-Cl、-Br、-CF3、-OCH3、-OCF3、-O-Ph、C1~8アルキル又はC3~8シクロアルキルが挙げられる。
【0019】
上記の通り、無機基板に対して改善された接着を有するSOC配合物などの新しいフォトレジスト下層材料に関する必要性が継続して存在する。本発明者は、ポリ(アリーレンエーテル);式(1)の添加剤;及び溶媒を含み、式(1)の本発明の添加剤を含まない相当するSOC配合物と比較して、下層無機基板に対して改善された接着性を達成することができる、本発明のフォトレジスト下層組成物を発見した。
【0020】
ポリ(アリーレンエーテル)は、本明細書で使用される場合、主鎖中の酸素連結単位と一緒になってアリーレン単位を繰り返すことから製造される主鎖を有するマトリックスポリマーである。本明細書で使用される場合、「ポリ(アリーレンエーテル)」という用語は、置換又は無置換アリーレンオキシ(-Ar-O-)構造単位を有する化合物を指し、「Ar」は芳香族炭化水素に由来する二価基である。「ポリ(アリーレンエーテル)」は、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルイミダゾール)、又はポリ(エーテルベンゾオキサゾール)を意味し得る。これらの化合物のそれぞれにおいて、少なくとも1つの置換又は無置換アリーレンオキシ構造単位(-Ar-O-)が存在する。
【0021】
本ポリアリーレンエーテルを調製するための第1のモノマーとして、ディールス・アルダー反応を受けることができる2つ以上のシクロペンタジエノン部位を含む任意の化合物を適切に使用することができる。或いは、それぞれが2つ以上のシクロペンタジエノン部位を有する2種以上の異なる第1のモノマーの混合物が第1のモノマーとして使用されてもよい。好ましくは、1種のみの第1のモノマーが使用される。好ましくは、第1のモノマーは、2~4個のシクロペンタジエノン部位、より好ましくは2個のシクロペンタジエノン部位(本明細書ではビス-シクロペンタジエノンとも呼ばれる)を有する。2つ以上のシクロペンタジエノン部位を有する適切な第1のモノマーは、(特許文献1)、(特許文献2)及び(特許文献3)、並びに(特許文献4)、(特許文献5)及び(特許文献6)(これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものなど、当該技術分野で周知である。
【0022】
第1のモノマーは、式(1)
【化1】
(式中、各R
10は、独立して、H、C
1~6-アルキル、及び任意選択的に置換C
5~20-アリールから選択され;Ar
3は5~60個の炭素を有するアリール部位である)で示される構造を有することが好ましい。式(1)において、「置換C
5~20-アリール」とは、1つ以上のその水素がハロゲン、C
1~10-アルキル、C
5~10-アリール、-C≡C-C
5~10-アリール、又は0~20個の炭素原子とO、S及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子とを有するヘテロ原子含有ラジカルのうちの1つ以上で、好ましくはハロゲン、C
1~10-アルキル、C
6~10-アリール、及び-C≡C-C
6~10-アリールのうちの1つ以上で、より好ましくはフェニル及び-C≡C-フェニルのうちの1つ以上で置換されているC
5~20-アリールを意味する。本明細書で使用される「置換フェニル」は、ハロゲン、C
1~10-アルキル、C
5~10-アリール、-C≡C-C
5~10-アリール、又は0~20個の炭素原子とO、S及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子とを有するヘテロ原子含有ラジカルのうちの1つ以上で、好ましくはハロゲン、C
1~10-アルキル、C
6~10-アリール、及び-C≡C-C
6~10-アリールのうちの1つ以上で、より好ましくはフェニル及び-C≡C-フェニルのうちの1つ以上で置換されているフェニル部位を意味する。0~20個の炭素原子とO、S及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子とを有する例示的なヘテロ原子含有ラジカルとしては、限定するものではないが、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C
1~20-アミド、C
1~10-アルコキシ、C
1~20-ヒドロキシアルキル、C
1~30-ヒドロキシ(アルキレンオキシ)などが挙げられる。好ましくは、各R
10は、独立して、C
1~6-アルキル、フェニル、及び置換フェニルから選択され、より好ましくは、各R
10はフェニル又は置換フェニルであり、さらに好ましくはフェニル又は-C
6H
4-C≡C-フェニルである。(特許文献1)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものなどの、多種多様の芳香族部分がAr
3としての使用に好適である。好ましくは、Ar
3は、5~40個の炭素、より好ましくは6~30個の炭素を有する。Ar
3のために有用な好ましいアリール部位としては、ピリジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、コロネニル、テトラセニル、ペンタセニル、テトラフェニル、ベンゾテトラセニル、トリフェニレニル、ペリレニル、ビフェニル、ビナフチル、ジフェニルエーテル、ジナフチルエーテル、及び式(2)
【化2】
で示される構造を有するものが挙げられ、式中、xは1、2、又は3から選択される整数であり、yは0、1、又は2から選択される整数であり、各Ar
4は、独立して、
【化3】
から選択され、各R
11は、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルコキシ、フェニル及びフェノキシから独立して選択され;c3は、0~4の整数であり;d3及びeのそれぞれは、0~3の整数であり;各Zは、単一共有化学結合、O、S、NR
12、PR
12、P(=O)R
12、C(=O)、C(R
13)(R
14)、及びSi(R
13)(R
14)から独立して選択され;R
12、R
13、及びR
14は、H、C
1~4アルキル、C
1~4ハロアルキル及びフェニルから独立して選択される。xは1又は2、より好ましくは1であることが好ましい。yは0又は1、より好ましくは1であることが好ましい。好ましくは、各R
11は、独立して、ハロゲン、C
1~4-アルキル、C
1~4-ハロアルキル、C
1~4-アルコキシ、C
1~4-ハロアルコキシ、及びフェニルから選択され、より好ましくは、フルオロ、C
1~4-アルキル、C
1~4-フルオロアルキル、C
1~4-アルコキシ、C
1~4-フルオロアルコキシ、及びフェニルから選択される。c3は、0~3、より好ましくは0~2、さらに好ましくは0又は1であることが好ましい。各d3及びeは、独立して、0~2、より好ましくは0又は1であることが好ましい。式(4)において、d3+e=0~4、より好ましくは0~2であることが好ましい。各Zは、好ましくは、O、S、NR
12、C(=O)、C(R
13)(R
14)及びSi(R
13)(R
14)から、より好ましくはO、S、C(=O)、及びC(R
13)(R
14)から、さらにより好ましくはO、C(=O)、及びC(R
13)(R
14)から独立して選択される。各R
12、R
13、及びR
14は、独立して、H、C
1~4-アルキル、C
1~4-フルオロアルキル、及びフェニルから選択され;より好ましくはH、C
1~4-アルキル、C
1~2-フルオロアルキル、及びフェニルから選択されることが好ましい。好ましくは、Ar
3のアリール部位は、少なくとも1つのエーテル結合、より好ましくは少なくとも1つの芳香族エーテル結合、さらに好ましくは1つの芳香族エーテル結合を有する。Ar
3は式(2)の構造を有することが好ましい。好ましくは、各Ar
4は式(3)を有し、より好ましくは各Ar
4は式(3)を有し、ZはOである。
【0023】
本ポリマーを調製するための第2のモノマーとして、アリール部位とディールス・アルダー反応を受けることができる2つ以上のアルキニル基とを有する任意の化合物を適切に使用することができる。好ましくは、第2のモノマーは、2つ以上のアルキニル基で置換されたアリール部位を有する。2~4個、より好ましくは2個又は3個のアルキニル部位で置換されたアリール部位を有する化合物を第2のモノマーとして使用することが好ましい。好ましくは、第2のモノマーは、ディールス・アルダー反応を受けることができる2個又は3個のアルキニル基で置換されたアリール部位を有する。好適な第2のモノマーは、式(5)
【化4】
(式中、各Ar
1及びAr
2は、独立して、C
5~30-アリール部位であり;各Rは、独立して、H、及び任意選択的に置換されていてもよいC
5~30-アリールから選択され;各R
1は、独立して、-OH、-CO
2H、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、C
1~10-ヒドロキシアルキル、C
2~10-カルボキシアルキル、C
1~10-アルコキシ、CN、及びハロから選択され;各Yは、独立して、単結合の共有化学結合であるか、又は-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-(C(R
9)
2)
z-、C
6~30-アリール、及び-(C(R
9)
2)
z1-(C
6~30-アリール)-(C(R
9)
2)
z2-から選択される二価の連結基であり;各R
9は、独立して、H、ヒドロキシ、ハロ、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、及びC
6~30-アリールから選択され;a1=0~4であり;それぞれa2=0~4であり;b1=1~4であり;それぞれb2=0~2であり;a1+各a2=0~6であり;b1+各b2=2~6であり;d=0~2であり;z=1~10であり;z1=0~10であり;z2=0~10であり;z1+z2=1~10である)のものである。各Rは、好ましくは、独立して、H及びC
6~20-アリールから選択され、より好ましくは、H及びC
6~10アリールから選択され、さらに好ましくは、H及びフェニルから選択される。各R
1は、独立して、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、C
1~10-ヒドロキシアルキル、C
1~10-アルコキシ及びハロから、より好ましくはC
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル及びハロから選択されることが好ましい。好ましくは、各Yは、独立して、単結合である共有化学結合であるか、又は-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-(C(R
9)
2)
z-、及びC
6~30-アリールから選択される二価の連結基であり、より好ましくは、単結合である共有化学結合、-O-、-S-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、及び-(C(R
9)
2)
z-から選択される。各R
9は、好ましくは、独立して、H、ハロ、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、又はC
6~30-アリールであり、より好ましくはフルオロ、C
1~6-アルキル、C
1~6-フルオロアルキル、又はC
6~20-アリールである。好ましくは、a1=0~3、より好ましくは0~2である。各a2=0~2であることが好ましい。好ましくは、a1+a2=0~4、より好ましくは0~3、さらに好ましくは0~2である。b1=1~3、より好ましくは1又は2であることが好ましい。それぞれb2=0~2、より好ましくは0又は1であることが好ましい。好ましくは、b1+各b2=2~4、より好ましくは2又は3である。d=0又は1、より好ましくは0であることが好ましい。好ましくは、z=1~6であり、より好ましくは1~3であり、さらに好ましくはz=1である。好ましくは、z1及びz2はそれぞれ0~5である。z1+z2=1~6、より好ましくは2~6であることが好ましい。
【0024】
Ar1及びAr2に適したアリール部位としては、限定するものではないが、ピリジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、コロネニル、テトラセニル、ペンタセニル、テトラフェニル、ベンゾテトラセニル、トリフェニレニル、ペリレニル、ビフェニル、ビナフチル、ジフェニルエーテル、ジナフチルエーテル、カルバゾール、及びフルオレニルが挙げられる。式(5)におけるAr1及び各Ar2は、独立してC6~20アリール部位であることが好ましい。Ar1及び各Ar2のために好ましいアリール部位は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、テトラセニル、ペンタセニル、テトラフェニル、トリフェニレニル、及びペリレニルである。
【0025】
式(5)の好ましい第2のモノマーは、式(6)及び(7):
【化5】
(式中、Ar
1、R、R
1、a1、及びb1は、式(5)について上で定義した通りであり;a3は0又は2であり;a4は0~2であり;n1及びn2のそれぞれは独立して0~4であり;Y
1は単結合の共有化学結合、O、S、S(=O)
2、C(=O)、C(CH
3)
2、CF
2、及びC(CF
3)
2である)のものである。式(7)中の括弧(「[]」)がフェニル環に縮合した芳香環の数を指すことは、当業者によって理解されるであろう。したがって、n1(又はn2)=0である場合には芳香族部位はフェニルであり;n1(又はn2)=1である場合には芳香族部位はナフチルであり;n1(又はn2)=2である場合には芳香族部位はアントラセニル又はフェナントリルであってもよく;n1(又はn2)=3である場合には芳香族部位はテトラセニル、テトラフェニル、トリフェニレニル、又はピレニルであってもよく;n1(又はn2)=4である場合には芳香族部位はペリレニル又はベンゾテトラセニルであってもよい。式(6)において、a1は好ましくは0~2であり、より好ましくは0である。式(6)のb1は1又は2であることが好ましい。Rは好ましくはH又はフェニルである。式(6)及び(7)それぞれの各R
1は、好ましくは、独立して、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、C
1~10-ヒドロキシアルキル、C
1~10-アルコキシ、及びハロから選択され、より好ましくはC
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、及びハロから選択される。式(6)のAr
1は、好ましくはフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニル、及びペリレニルであり、より好ましくはフェニル、ナフチル、及びピレニルであり、さらに好ましくはフェニルである。式(7)において、n1及びn2は、独立して0、1、3、及び4から選択されることが好ましく、0、1、及び3から選択されることがより好ましく、1及び3から選択されることがさらに好ましい。n1=n2であることがさらに好ましい。式(7)において、Y
1は、好ましくは単結合の共有化学結合、O、S(=O)
2、C(=O)、C(CH
3)
2、CF
2、又はC(CF
3)
2であり、より好ましくは単結合の共有化学結合である。
【0026】
特に好ましい式(6)のモノマーは、式(8)~(12):
【化6】
(式中、R及びR
1は式(6)について上述した通りであり;a5=0~2であり;a6、a7、a8、及びa9のそれぞれは独立して0~4であり;b5及びb6はそれぞれ1~3から選択され;b7、b8、及びb9はそれぞれ2~4から選択される)のモノマーである。好ましくは、a5=0又は1であり、より好ましくは0である。a6は0~3、より好ましくは0~2、さらに好ましくは0である。好ましくは、a7~a9のそれぞれは独立して0~3であり、より好ましくは0~2である。b5及びb6はそれぞれ1及び2から選択されることが好ましい。好ましくは、b7、b8、及びb9はそれぞれ2又は3である。化合物(8)が特に好ましい。好ましくは、化合物(8)において、各Rは独立してH又はフェニルであり、より好ましくは各RはH又はフェニルである。より好ましくは、式(8)~(12)における各R
1は、独立して、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、C
1~10-ヒドロキシアルキル、C
1~10-アルコキシ、及びハロから選択され、より好ましくは、C
1~10-アルキル、C
1~10-ハロアルキル、及びハロから選択される。
【0027】
式(5)~(12)のモノマーにおいて、任意の2つのアルキニル部位は、互いに対してオルト、メタ、又はパラの関係、好ましくは互いに対してメタ又はパラの関係を有していてもよい。好ましくは、式(5)~(12)のモノマー中のアルキニル部位は、互いに対してオルトの関係を有さない。式(5)~(12)の適切なモノマーは市販されているか、又は当該技術分野で公知の方法により容易に調製することができる。
【0028】
例示的な第2のモノマーとしては、限定するものではないが、1,3-ジエチニルベンゼン;1,4-ジエチニルベンゼン;4,4’-ジエチニル-1,1’-ビフェニル;3,5-ジエチニル-1,1’-ビフェニル;1,3,5-トリエチニルベンゼン;1,3-ジエチニル-5-(フェニルエチニル)ベンゼン;1,3-ビス(フェニルエチニル)ベンゼン;1,4-ビス(フェニルエチニル)-ベンゼン;1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼン;2,4,6-トリス(フェニルエチニル)アニソール;4,4’-ビス(フェニルエチニル)-1,1’-ビフェニル;4,4’-ジエチニル-ジフェニルエーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、式(5)のモノマーは、1,3-ジエチニルベンゼン;1,4-ジエチニルベンゼン;1,3,5-トリエチニルベンゼン;1,3,5-トリス-(フェニルエチニル)ベンゼン;4,4’-ジエチニル-1,1’-ビフェニル;1,3-ビス(フェニルエチニル)-ベンゼン;1,4-ビス(フェニルエチニル)ベンゼン;4,4’-ビス(フェニルエチニル)-1,1’-ビフェニル;及びこれらの混合物から選択される。さらに好ましくは、第2のモノマーは、1,3-ジエチニルベンゼン;1,4-ジエチニルベンゼン;4,4’-ジエチニル-1,1’-ビフェニル;1,3,5-トリエチニルベンゼン;1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼン;及びこれらの混合物から選択される。
【0029】
本ポリアリーレンエーテルは、任意選択的に、重合単位として1種以上のエンドキャップモノマーをさらに含んでいてもよい。好ましくは、1種のみのエンドキャップモノマーが使用される。本明細書で使用される用語「エンドキャップモノマー」は、単一のジエノフィル部位を有するモノマーを指し、そのようなジエノフィル部位は、ポリマーのキャップされた末端がさらにディールス・アルダー重合することができないように、本ポリマーの1つ以上の末端をキャップするように機能する。好ましくは、ジエノフィル部位はアルキニル部位である。任意選択的には、エンドキャップモノマーは、(特許文献7)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどの1つ以上の溶解性向上極性部位を含んでいてもよい。エンドキャップモノマーは、溶解性向上極性部位を含まないことが好ましい。好ましいエンドキャップモノマーは、式(13)
【化7】
(式中、R
20及びR
21は、それぞれ独立して、H、任意選択的に置換されたC
1~10アルキル、任意選択的に置換されたC
7~10アリールアルキル基、又は任意選択的に置換されたC
6~20アリール基である)のものである。いくつかの態様において、R
21は、極性部位であり得る。適切な極性部位は、1~20個の炭素原子と、-C(O)-R
130、-C(O)OR
130、-OH、-NO
2及び-NR
130R
131(式中、R
130及びR
131は、それぞれ独立して、H、C
1~10アルキル、C
7~16アリールアルキル及びC
6~10アリールから選択される)から選択される1つ以上の官能基とを有する任意のヒドロカルビル部分である。好ましくは、極性部位は、-C(O)-R
130、-C(O)OR
130、-OH及び-NR
130R
131から、より好ましくは-C(O)-R
130、-C(O)OR
130及び-OHから選択される。そのような-C(O)-、-OH及び-NR
130R
131官能性基は、カルボン酸、無水物、アミド、ケトン、エステルなどの場合のように、別の官能性基の部分であってもよい。極性部位が、カルボキシル、C
2~12脂肪族カルボキシレート、C
1~10ヒドロキシアルキル、C
6~10ヒドロキシアリール、C
7~20アリールカルボン酸、C
8~20-アリールカルボン酸無水物、C
7~20アリールカルボキシレート、C
7~20アリールアミド、C
8~20アリールイミド、C
1~10アミノアルキル及びC
6~20アリルアミンから選択されることが好ましい。より好ましくは、極性部位は、カルボキシル、C
2~12脂肪族カルボキシレート、C
1~10ヒドロキシアルキル、C
6~10ヒドロキシアリール、C
7~16アリールカルボン酸及びC
8~16アリールカルボン酸無水物から選択される。他方、エンドキャッピングモノマーは、アルケン化合物を含む。利用される場合、エンド-キャッピングモノマーは、1:0.01~1:1.2の第1のモノマー対エンド-キャッピングモノマーのモル比で典型的に使用される。
【0030】
例示的なエンドキャッピングモノマーとしては、限定されないが、スチレン;α-メチルスチレン;β-メチルスチレン;ノルボルナジエン;エチニルピリジン;エチニルベンゼン;エチニルナフチレン;エチニルピレン;エチニルアントラセン;エチニルフェナントレン;ジフェニルアセチレン;アセチレンジカルボン酸;エチニルフェノール;4-エチニル-1,1’-ビフェニル;1-プロピニルベンゼン;プロピオール酸;アセチレンジカルボン酸;フェニルプロピオール酸;エチニル安息香酸;エチニルフタル酸;プロパルギルアルコール;プロパルギルアミン;2-ブチン-1,4-ジオール;2-メチル-3-ブチン-2-オール;3-ブチン-1-オール;3-ブチン-2-オール;2-ブチン-1-オール;2-ブチン酸;エチニルフェノール;プロピオール酸キシリチル;エチニルフタル酸無水物;エチニルフタルイミド;エチニルベンズアミド;2-ブチン-1,4-ジオールジアセテート;3-ブチン-2-オン;1-エチニル-1-シクロヘキサノール;1-エチニルシクロヘキシルアミン;1-エチニルシクロペンタノール;エチニルアニリン;N-(エチニルフェニル)アセトアミド;2-カルバモイル-5エチニル安息香酸;エチニルニトロベンゼン;プロピオールアミド;N-ヒドロキシル-プロピオールアミド;2-アミノブト-3-イン酸;及びその混合物が挙げられる。好ましいエンドキャップモノマーは、エチニルベンゼン、ノルボルナジエン、エチニルナフチレン、エチニルピレン、エチニルアントラセン、エチニルフェナントレン、及び4-エチニル-1,1’-ビフェニルである。
【0031】
ポリ(アリーレン)エーテルは、適切な有機溶媒中での1種以上の第1のモノマーと1種以上の第2のモノマーと、いずれかの任意選択的なエンドキャップモノマーとのディールス・アルダー重合によって調製され得る。使用される第2のモノマーの総モル数は、使用される第1のモノマーの総モル数よりも大きい。第1のモノマーの合計対第2のモノマーの合計のモル比は、典型的に1:1.01~1:1.5、好ましくは1:1.05~1:1.4、より好ましくは1:1.1~1:1.3、より好ましくは1:1.15~1:1.3、さらにより好ましくは1:1.2~1:1.3である。第1のモノマーの総モル数対第2のモノマーの総モル数の比率は、典型的にはモノマーの供給比として計算されるものの、イオン化を促進するためにトリフルオロ酢酸銀がサンプルに添加される従来のマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)飛行時間型(TOF)質量分析を使用して決定されてもよい。適切な装置は、窒素レーザー(波長337nm)を備えたBruker Daltonics ULTRAFLEX MALDI-TOF質量分析計である。
【0032】
本ポリマーの調製に有用な適切な有機溶媒は、(C2~C6)アルカンカルボン酸のベンジルエステル、(C2~C6)アルカンジカルボン酸のジベンジルエステル、(C2~C6)アルカンカルボン酸のテトラヒドロフルフリルエステル、(C2~C6)アルカンジカルボン酸のジテトラヒドロフルフリルエステル、(C2~C6)アルカンカルボン酸のフェネチルエステル、(C2~C6)アルカンジカルボン酸のジフェネチルエステル、芳香族エーテル、N-メチルピロリドン(NMP)、及びγ-ブチロラクトン(GBL)である。好ましい芳香族エーテルは、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、(C1~C6)アルコキシ置換ベンゼン、ベンジル(C1~C6)アルキルエーテル、NMP、及びGBLであり、より好ましくは(C1~C4)アルコキシ置換ベンゼン、ベンジル(C1~C4)アルキルエーテル、NMP、及びGBLである。好ましい有機溶媒は、(C2~C4)アルカンカルボン酸のベンジルエステル、(C2~C4)アルカンジカルボン酸のジベンジルエステル、(C2~C4)アルカンカルボン酸のテトラヒドロフルフリルエステル、(C2~C4)アルカンジカルボン酸のジテトラヒドロフルフリルエステル、(C2~C4)アルカンカルボン酸のフェネチルエステル、(C2~C4)アルカンジカルボン酸のジフェネチルエステル、(C1~C6)アルコキシ-置換ベンゼン、ベンジル(C1~C6)アルキルエーテル、NMP、及びGBLであり、より好ましくは(C2~C6)アルカンカルボン酸のベンジルエステル、(C2~C6)アルカンカルボン酸のテトラヒドロフルフリルエステル、(C2~C6)アルカンカルボン酸のフェネチルエステル、(C1~C4)アルコキシ-置換ベンゼン、ベンジル(C1~C4)アルキルエーテル、ジベンジルエーテル、NMP、及びGBLであり、さらに好ましくは(C2~C6)アルカンカルボン酸のベンジルエステル、(C2~C6)アルカンカルボン酸のテトラヒドロフルフリルエステル、(C1~C4)アルコキシ-置換ベンゼン、ベンジル(C1~C4)アルキルエーテル、NMP、及びGBLである。例示的な有機溶媒としては、限定するものではないが、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、酢酸テトラヒドロフルフリル、プロピオン酸テトラヒドロフルフリル、酪酸テトラヒドロフルフリル、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、ジメトキシベンゼン、エチルアニソール、エトキシベンゼン、ベンジルメチルエーテル、及びベンジルエチルエーテルが挙げられ、好ましくは酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、酢酸テトラヒドロフルフリル、プロピオン酸テトラヒドロフルフリル、酪酸テトラヒドロフルフリル、アニソール、メチルアニソール、ジメチルアニソール、ジメトキシベンゼン、エチルアニソール、及びエトキシベンゼンが挙げられる。
【0033】
一実施形態によれば、ポリ(アリーレンエーテル)は、それぞれ上述した、第1のモノマー、第2のモノマー、任意選択的な任意のエンドキャップモノマー、及び有機溶媒を、容器内で任意の順序で混ぜ合わせ、混合物を加熱することによって調製され得る。好ましくは、本ポリマーは、それぞれ上述した、第1のモノマー、第2のモノマー、及び有機溶媒を、容器内で任意の順序で混ぜ合わせ、混合物を加熱することによって調製される。或いは、第1のモノマーを最初に容器内で有機溶媒と混ぜ合わせてから第2のモノマーを混合物に加えてもよい。1つの代替実施形態では、第2のモノマーが添加される前に、第1のモノマーと有機溶媒との混合物が望まれる反応温度まで最初に加熱される。第2のモノマーは一度に添加されてもよく、或いは、発熱を低減するために、0.25~6時間などの時間をかけて添加されてもよい。第1のモノマーと有機溶媒との混合物は、第2のモノマーが添加される前に、望まれる反応温度まで最初に加熱されてもよい。エンドキャップされた本ポリアリーレンエーテルは、第1のモノマー、第2のモノマー、及び有機溶媒を、容器内で任意の順序で混ぜ合わせ、混合物を加熱し、続いてポリアリーレンエーテルを単離し、その後単離されたポリアリーレンエーテルを有機溶媒中でエンドキャップモノマーと混ぜ合わせてから混合物を一定時間加熱することにより最初にポリアリーレンエーテルを調製することによって調製することができる。或いは、エンドキャップされた本ポリアリーレンエーテルは、第1のモノマー、第2のモノマー、及び有機溶媒を容器内で任意の順序で混ぜ合わせ、混合物を一定時間加熱して目的のポリアリーレンエーテル得た後、ポリアリーレンエーテルが入っている反応混合物にエンドキャップモノマーを添加してから反応混合物を一定時間加熱することにより調製することができる。反応混合物は100~250℃の温度で加熱される。好ましくは、混合物は150~225℃の温度まで、より好ましくは175~215℃の温度まで加熱される。典型的には、反応は2~20時間、好ましくは2~8時間、より好ましくは2~6時間進行し、反応時間が短いほど相対的に低分子量のポリアリーレンエーテルが得られる。反応は、酸素含有雰囲気下で行うこともできるものの、窒素などの不活性雰囲気が好ましい。反応の後、得られたポリ(アリーレンエーテル)は反応混合物から単離されてもよく、或いは基板をコーティングするためにそのまま使用されてもよい。
【0034】
理論に拘束されることを意図するものではないが、本ポリ(アリーレンエーテル)は、加熱の際に第1のモノマーのシクロペンタジエノン部位と第2のモノマーのアルキニル部位とのディールス・アルダー反応により形成されると考えられる。そのようなディールス・アルダー反応中に、カルボニル架橋種が形成される。そのようなカルボニル架橋種がポリマー中に存在し得ることは、当業者によって理解されるであろう。さらに加熱すると、カルボニル架橋種は本質的に完全に芳香族環系へと変換される。使用されるモノマーのモル比のため、本ポリマーは、ポリ(アリーレンエーテル)主鎖中にアリーレン環を含有する。
【0035】
例示的なポリ(アリーレンエーテル)化合物としては、以下:
【化8】
(式中、Phはフェニルであり、nは1~100、好ましくは2~50、より好ましくは2~10の整数である)が含まれる。
【0036】
ポリマーの溶解度を高めるために、1種以上の第1のモノマー及び/又は1種以上の第2のモノマーが、(特許文献8)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている溶解性向上部位などの極性部位で置換されていてもよい。好適な溶解性向上部位としては、限定されないが、ヒドロキシル、カルボキシル、チオール、ニトロ、アミノ、アミド、スルホニル、スルホンアミド部位、エステル部位、四級アミノ部位などが挙げられる。1つ以上の溶解性向上極性部位を有する例示的な第1のモノマーは、2017年10月27日に出願された(特許文献9)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。1つ以上の溶解性向上極性部位を有する例示的な第2のモノマーは、(特許文献8)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものである。好ましくは、1種以上の第1のモノマーは、溶解性向上極性部位を含まない。好ましくは、1種以上の第2のモノマーは、溶解性向上極性部位を含まない。より好ましくは、第1のモノマーと第2のモノマーの両方が溶解性向上極性部位を含まない。
【0037】
ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的に、1,000~100,000ダルトン(Da)、好ましくは1,000~50,000Da、より好ましくは2,000~10,000Da、さらにより好ましくは2,500~5,000Da、なおさらにより好ましくは2,700~5,000Da、さらにより好ましくは3,000~5,000Daの重量平均分子量(Mw)を有する。ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的に、1,500~50,000Daの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。ポリ(アリーレンエーテル)は、1~5、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらにより好ましくは1~1.9、なおさらにより好ましくは1.25~1.75の多分散性指数(PDI)を有する。本ポリマーのMn及びMwは、1mL/分の溶離溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)(安定剤なし)及び示差屈折計検出器を使用する、ポリスチレン標準を対照としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の従来技術によって決定される。本ポリ(アリーレンエーテル)は、1~100、好ましくは2~50、より好ましくは2~10、さらにより好ましくは2~5の範囲の重合度(DP)を有する。DPは、存在するエンドキャップモノマーを除いたそれぞれの繰り返し単位の分子量で、ポリマーの分子量を割ることによって計算される。一実施形態によれば、特に好ましいポリ(アリーレンエーテル)は、Mwが3,000~5,000Daであり、PDIが1.25~1.75であり、第1のモノマーの総モル数対第2のモノマーの総モル数の比が1:1.2~1:1.3であるものである。
【0038】
商業的に入手可能なポリ(アリーレンエーテル)の例としては、SILK半導体誘電体(The Dow Chemical Companyから)、FLARE誘電体(Allied Signal,Inc.から)及びVELOX(ポリ(アリーレンエーテル))(AirProducts/Shumacherから)が挙げられる。ポリ(アリーレンエーテル)ポリマーの好ましい分類は、その教示が参照により本明細書に組み込まれる(特許文献10)に記載のものなどの、ポリ(シクロペンタジエノン)とポリ(アセチレン)との熱硬化性混合物又はb-ステージ製品である。本発明のポリ(アリーレンエーテル)を調製するために使用され得る前駆体の例としては、参照により本明細書に組み込まれる(特許文献4)に示されるような、芳香環上で互いに対してオルト位でエチニル基によって置換された芳香族化合物;参照により本明細書に組み込まれる(特許文献10)に示されるような、芳香族アセチレン化合物と組み合わせられたシクロペンタジエノン官能性化合物;並びに参照により本明細書に組み込まれる(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)、(特許文献14)、(特許文献15)、(特許文献16)、(特許文献17)及び(特許文献18)のポリアリーレンエーテルが挙げられる。
【0039】
ポリ(アリーレンエーテル)がポリ(シクロペンタジエノン)とポリ(アセチレン)との熱硬化性混合物又はb-ステージ製品を含む場合、前駆体は、好ましくは硬化プロセスの比較的早期に分枝が起こるように特徴づけられる。硬化プロセス早期での分枝状マトリックスの形成は、マトリックスの弾性率減少を最小化し、硬化プロセスの間の細孔崩壊を最小化するのを助け、且つ/又は低温で分解若しくは劣化するポラゲンの使用を可能にする。これを達成するための1つのアプローチは、約3:4を超え、好ましくは約2:1未満、より好ましくは約1:1の前駆体組成物中のシクロペンタジエノン官能性対アセチレン官能性の比率を使用することである。3部の3,3’-(オキシジ-1,4-フェニレン)ビス(2,4,5-トリフェニルシクロペンタジエノン)(DPO-CPD)及び2部の1,3,5-トリ(フェニルエチニル)ベンゼン(TRIS)(モル比)を含む硬化性混合物から調製されるポリ(アリーレンエーテル)は、そのような系の例である。代わりに、ポリ(シクロペンタジエノン)とポリ(アセチレン)の熱硬化性混合物又はb-ステージ製品の架橋結合が可能な追加的な試薬を、硬化プロセスの間にポリ(アリーレンエーテル)の弾性率損失を最小化するために添加した。適切な試薬の例としては、例えば参照により本明細書に組み込まれる(特許文献4)に開示されるようなビスオルトジアセチレン;モノオルトジアセチレン;ビス-トリアゼン;1,3-ジフェニルテトラジンなどのテトラジン;ビス-スルホニルアジドなどのビスアジド;及びジペルオキシドなどの過酸化物が挙げられる。
【0040】
ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的に、フォトレジスト下層組成物の全固形分に基づいて10~99.9重量%、典型的に25~99重量%、より典型的に50~99重量%の量でフォトレジスト下層組成物に存在する。
【0041】
式(14)の添加剤は、次の構造:
D-(L1-Ar-[X]n)m (14)
(式空、各Arは、独立して、単環式又は多環式C5~60芳香族基であり、mは1~6の整数であり、且つnの合計が2以上であることを条件として、各nは独立して0~5の整数である)の化合物である。
【0042】
一実施形態において、単環式又は多環式のC5~60芳香族基は、単環式若しくは多環式のC6~60アリーレン基又は単環式若しくは多環式のC5~60ヘテロアリーレン基であってもよい。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は縮合(ナフチルなど)、直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)、及び/又はヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)されていてもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。便宜的に、本明細書では単環式又は多環式のC5~60芳香族基を「Ar基」と呼ぶ場合がある。
【0043】
置換基Xに加えて、単環式又は多環式のC5~60芳香族基のそれぞれは、さらに置換されていてもよい。例示的な置換基としては、限定されないが、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル、又はハロゲンが挙げられる。
【0044】
「単環式又は多環式のC6~60アリーレン基」が多環式である場合、炭素原子の数は、その基が化学的に実現可能であるのに十分なものであることが理解されるべきである。例えば、「単環式又は多環式のC6~60アリーレン基」は、「単環式C6~60アリーレン基又は多環式C10~60アリーレン基」を指し得るか;或いは例えば「単環式C6~30アリーレン基又は多環式C12~60アリーレン基」を指し得る。同様に、「単環式又は多環式のC5~60ヘテロアリーレン基」が多環式である場合、炭素原子の数は、その基が化学的に実現可能であるのに十分なものである。例えば、「単環式又は多環式のC5~60ヘテロアリーレン基」は、「単環式C5~60ヘテロアリーレン基又は多環式C10~60ヘテロアリーレン基」を指し得るか;或いは例えば「単環式C5~30ヘテロアリーレン基又は多環式C12~60ヘテロアリーレン基」を指し得る。
【0045】
式(1)において、Dは、置換若しくは無置換C1~60有機基であり、任意選択的に置換若しくは無置換C1~60有機基の有機酸塩であり得る。典型的に、Dは、多価C1~30アルキル、多価C3~30シクロアルキル、多価C1~20ヘテロシクロアルキル、多価C6~30アリール、多価C6~30ヘテロアリール、-NH2又はその有機塩、或いは-C(O)OR22であり得、R22は水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである。より好ましくは、Dは、多価C1~30アルキル、多価C3~30シクロアルキル、多価C6~30アリール又は多価C6~30ヘテロアリールであり得る。
【0046】
式(1)において、各L1は、独立して単結合又は二価の連結基である。一態様において、L1が単結合である場合、Dは、任意選択的にArと縮合して、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキルであり得る。Dが、多価C6~30アリール又は多価C6~30ヘテロアリールである場合、及びL1が単結合である場合、Dは、Arと一緒になって、縮合多価環系を形成することができる。
【0047】
例示的な二価の連結基としては、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR23-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-C(O)NR23-(式中、R23は、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである)の1つ以上が挙げられる。
【0048】
いくつかの態様において、Dは、多価C6~30アリール又は多価C6~30ヘテロアリールであり得、そしてL1が単結合である場合、Dは、Arと一緒に、縮合多環式環系を形成することができる。いくつかの態様において、Dは、融合(fused)、縮合(condensed)又はスピロ環系多価シクロアルキル部分であり得、シクロアルキル基及びArは任意選択的に縮合環を形成することができる。
【0049】
基板に対する接着性を増加させるために、添加剤は少なくとも1つの保護又は遊離極性官能性基Xを含む。本明細書で使用される用語「極性官能基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む官能基を指す。添加剤は、ヒドロキシ、チオール、及びアミノから選択される少なくとも1つの保護されているか若しくはフリーの官能基を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基を含み得る。本明細書で使用される「フリーの官能基」という用語は、保護されていない官能基を指す。したがって、「フリーのヒドロキシ基」という用語は「-OH」を指し、「フリーのチオール基」という用語は「-SH」を指し、「フリーのアミノ基」という用語は「-NH2」を指す。本明細書で使用される「保護された官能基」という用語は、フリーの官能基の反応性を減らすか又はなくす保護基でキャップされた官能基を指す。保護基は、任意選択的に-O-、-NR-(Rは水素又はC1~10アルキル基である)、-C(=O)-、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0050】
保護基としては、ホルミル基、置換若しくは無置換の直鎖若しくは分岐のC1~10アルキル基、置換若しくは無置換のC3~10シクロアルキル基、置換若しくは無置換のC2~10アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~10アルキニル基、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。保護基は、保護基の任意の部分で、-O-、-NR-(Rは水素又はC1~10アルキル基である)、-C(=O)-、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0051】
一実施形態では、官能基はヒドロキシルであってもよく、これはアルキルエーテルとして保護されて構造OR24を形成していてもよく、この中のR24はC1~10の直鎖又は分岐アルキル基である。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチル基が挙げられる。
【0052】
別の実施形態において、保護基は、ホルミル基-C(=O)H又はC2~10アルカノイル基-C(=O)R25(式中、R25はC1~10の直鎖又は分岐アルキル基である)であってもよい。好ましくは、C2~10アルカノイル基は、アセチル基-C(=O)CH3又はプロピオニル基-C(=O)CH2CH3である。官能基は、アセチル基又はプロピオニル基で保護されることでそれぞれエステル-OC(=O)CH3又は-OC(=O)CH2CH3を形成するヒドロキシ基であってもよい。
【0053】
別の実施形態において、ヒドロキシル基はカーボネートとして保護されることで構造-OC(=O)OR26を形成していてもよく、この中のR26はC1~10の直鎖又は分岐アルキル基である。好ましいカーボネート基としては、-OC(=O)OCH3、-OC(=O)OCH2CH3、-OC(=O)OCH2CH2CH3、-OC(=O)OCH(CH3)2、又は-OC(=O)OC(CH3)3が挙げられる。別の実施形態において、ヒドロキシル基は、カルバメートとして保護されることで構造-OC(=O)NR27R28(式中、R27及びR28は、それぞれ独立してC1~10の直鎖又は分岐アルキル基である)を形成していてもよい。好ましいカルバメート基としては、-OC(=O)NHCH3、-OC(=O)NHCH2CH3、-OC(=O)NHCH2CH2CH3、-OC(=O)NHCH(CH3)2、-OC(=O)NHC(CH3)3、又は-OC(=O)N(CH3)2が挙げられる。
【0054】
一実施形態において、保護基は、置換若しくは無置換のC2~10アルケニル基、置換若しくは無置換のC2~10アルキニル基、又はこれらの組み合わせを含む重合性基であってもよい。
【0055】
式(14)において、各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、R30~R33は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり、これらのそれぞれは、水素を除いて、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-NR34-の1つ以上をさらに含み、R34は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。置換基Xが、-O-O-などの不安定な化学部分を含む構造を含まないことは理解されるべきである。
【0056】
一態様において、式(14)中、各Xは、独立して-OR30又は-NR32R33であり、mは2~4の整数であり、且つnの合計は3以上である。別の態様において、式(1)中、各Xは独立して-OR30であり、各R30は、独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換-C(O)-C1~6アルキル(置換若しくは無置換C2~8アルカノイル)、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである。
【0057】
式(14)において、nが2である場合、任意選択的に、第1の基XのR30~R33のいずれか1つは二価の基であり、第2の基XのR30~R33のいずれか1つは二価の基であり、そして第1の基Xの二価の基は、第2の基Xの二価基と一緒に環を形成し、環は、任意選択的に、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR35-、-S-、-S(O)-又は-S(O)2-の1つ以上を含む連結基をさらに含み、R35は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。
【0058】
いくつかの態様において、添加剤は、式(15):
【化9】
の化合物であり得る。
【0059】
式(15)において、Dは、式(14)に関して上記で定義された通りであり、各Ar5は、単環式若しくは多環式C6~60アリーレン基、又は単環式若しくは多環式C5~60ヘテロアリーレンであり、各Xは、独立して-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、mは2~4の整数であり、各nは独立して1~5の整数であるが、ただし、nの合計は3以上である。
【0060】
さらに別の態様において、式(14)において、Dは、-(C(O)O-)(M+)又は-(NH3
+)(Z-)(式中、M+は有機カチオンであり、且つZ-は有機アニオンである)であり得る。この態様において、各L1は、独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR36-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-C(O)NR36-の1つ以上を含む二価連結基であり、mは1であり、各Arは、独立して、単環式若しくは多環式C5~60芳香族基であり、各Xは、独立して、-OR30、-SR31又は-NR32R33であり、nは2~4の整数であり、R36は水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり、且つR30~R33は、本明細書で開示された通りである。
【0061】
例えば、添加剤化合物は、式(16):
【化10】
(式中、Zは有機アニオンであり、L
1は、単結合、或いは置換若しくは無置換C
1~30アルキレン、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C
2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C
4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C
2~30アルキニレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR
23-、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-の1つ以上をさらに含む二価連結基であり、各々のR
bは、独立して置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換であるか無置換C
5~30アルキルヘテロアリール、-OR
30、-SR
31又は-NR
32R
33であり、pは0~3の整数であり、且つR
23及びR
30~R
33は、本明細書で定義される通りである)であることが可能である。
【0062】
例示的な添加剤化合物としては、以下:
【化11】
(式中、Xは、-OR
c、-SR
c又は-NR
dR
eであり;Aは、-O-、-S-又は-NR
d-であり;且つR
c、R
d及びR
eは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
2~30アルキニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
3~30ヘテロアリール又は置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリールアルキルであり、これらのそれぞれは、水素を除いて、任意選択的に、その構造の一部として、置換若しくは無置換C
1~30アルキレン、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C
2~30アルケニレン、置換若しくは無置換C
4~30シクロアルケニレン、置換若しくは無置換C
2~30アルキニレン、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C
6~30アリーレン、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)
2-又は-NR
37-の1つ以上をさらに含み、R
37は、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル又は置換若しくは無置換C
5~30アルキルヘテロアリールである)が挙げられる。
【0063】
他の例示的な添加剤化合物としては、以下:
【化12】
(式中、Xは、本明細書で定義された通りである)が挙げられる。
【0064】
さらに他の例示的な添加剤化合物としては、以下:
【化13】
(式中、A及びXは、本明細書で定義された通りである)が挙げられる。
【0065】
さらに他の例示的な添加剤化合物としては、以下:
【化14】
(式中、A及びXは、本明細書で定義された通りである)が挙げられる。
【0066】
式(14)の添加剤は、典型的に、フォトレジスト下層組成物の全固形分を基準として0.1~20重量%の量でフォトレジスト下層組成物中に存在する。
【0067】
限定するものではないが、アルコール、グリコールエーテル、ラクトン、エステル、エーテル、ケトン、水、及び芳香族炭化水素などの様々な溶媒を、本発明のフォトレジスト下層組成物中で使用することができる。好ましくは、アルコール、グリコールエーテル、ラクトン、エステル、エーテル、ケトン、又は水などの比較的極性の高い溶媒が使用される。溶媒の混合物が使用されてもよい。例示的な溶媒としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、アニソール、N-メチルピロリドン(NMP)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、ガンマ-バレロラクトン、デルタ-バレロラクトン、乳酸エチル、1,4-ジオキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、水、メシチレン、キシレン、アニソール、4-メチルアニソールエトキシベンゼン、ベンジルプロピオネート、安息香酸ベンジル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、炭酸プロピレン、キシレン、メシチレン、クメン、リモネンなど及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ-ブチロラクトン、ガンマ-バレロラクトン、デルタ-バレロラクトン、乳酸エチル、1,4-ジオキサン、シクロヘキサノン、及び水である。溶剤の混合物が使用される場合、溶剤の比率は通常重要ではなく、溶剤混合物が組成物の成分を溶解できる限り、99:1~1:99の重量対重量(w/w)で様々であってもよい。有機溶剤中の成分の濃度は、必要に応じて、有機溶剤の一部を除去することにより、或いは有機溶剤をさらに添加することにより、調整できることを当業者は理解するであろう。
【0068】
フォトレジスト下層組成物は、硬化剤、架橋剤、表面レベリング剤、又はこれらの任意の組み合わせなどの任意選択的な添加剤を含んでいてもよい。このような任意選択的な添加剤及びこれらの量の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。硬化剤は、典型的には、全固形分を基準として0~20重量%、好ましくは0~3重量%の量で存在する。架橋剤は、典型的には、全固形分を基準として0~30重量%、好ましくは0~10重量%の量で使用される。表面レベリング剤は、典型的には、全固形分を基準として0~5重量%、好ましくは0~1重量%の量で使用される。使用されるそのような任意選択の添加剤及びそれらの量の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0069】
任意選択的に、本発明の下層組成物は、堆積されたポリマー膜の硬化を助けるために、1種以上の硬化剤をさらに含み得る。硬化剤は、基板の表面での下層組成物の硬化を引き起こす任意の成分である。好ましい硬化剤は、熱酸発生剤(TAG)である。TAGは、熱にさらされると酸を放出する任意の化合物である。熱酸発生剤は、当該技術分野において周知であり、King Industries,Norwalk,Connecticutなどから市販されている。例示的な熱酸発生剤には、アミンブロック化強酸、例えば、アミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれるが、それらに限定されない。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることもまた当業者によって十分理解されるであろう。本組成物において有用なそのような硬化剤の量は、例えば、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0~10重量%、典型的には0~3重量%であってよい。
【0070】
好ましい硬化剤は、酸、光酸発生剤、及び熱酸発生剤である。適切な酸としては、限定されないが、p-トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、及びプロパンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのパーフルオロアルキルスルホン酸、及びパーフルオロアリールスルホン酸が挙げられる。光酸発生剤は、光への暴露時に酸を遊離する任意の化合物である。熱酸発生剤は、熱への暴露時に酸を遊離する任意の化合物である。熱酸発生剤は当該技術分野で周知であり、市販されている。光酸発生剤の使用に関する検討については、(特許文献19)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。熱酸発生剤は、当該技術分野で周知であり、King Industries,Norwalk,Connなどから一般に市販されている。例示的な熱酸発生剤としては、限定するものでないが、アミンでブロック化されたスルホン酸、例えばアミンでブロック化されたドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンでブロック化された強酸が挙げられる。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることもまた当業者によって十分理解されるであろう。
【0071】
架橋剤の例は、Cytec Industriesによって製造され、CYMEL 300、301、303、350、370、380、1116及び1130の商品名で販売されるなどのメラミン樹脂を含むメラミン材料;Cytec Industriesから入手可能なそれらのグリコールウリルを含むグリコールウリル;並びに名称CYMEL 1123及び1125でCytec Industriesから入手可能なベンゾクアナミン樹脂及びPOWDERLINK 1174及び1196の名称でCytec Industriesから入手可能な尿素樹脂などの樹脂を含むベンゾクアナミン及び尿素系材料などのアミン系架橋剤であってもよい。商業的に入手可能であることに加えて、そのようなアミン系の樹脂は、例えば、アルコール含有溶液中でアクリルアミド若しくはメタクリルアミドコポリマーとホルムアルデヒドとの反応により、或いはN-アルコキシメチルアクリルアミド若しくはメタクリルアミドと他の好適なモノマーとの共重合により調製され得る。架橋剤の例は、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びグリシジルアミンエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂であってもよい。
【0072】
本下層組成物は、任意選択的には、1種以上の表面レベリング剤(又は界面活性剤)及び酸化防止剤を含み得る。典型的な界面活性剤としては、両親媒性性質を示すものが挙げられる。これは、それらが同時に親水性及び疎水性の両方であってもよいことを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する、親水性の頭部基と、親有機性で水をはじく、長い疎水性の尾部とを有する。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であってもよい。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。適切な非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、TRITON X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、並びにTERGITOL TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)及びPF-656(Omnova Solutions,Beachwood,Ohio,USA)などの分岐二級アルコールエトキシレートが挙げられる。さらなる例示的な界面活性剤には、アルコール(一次及び二次)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)又はManufacturers Confectioners Publishing Co.of Glen Rock,N.J.により出版された(非特許文献1)に開示された他の界面活性剤が含まれる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤もまた好適であり得る。そのような界面活性剤は、Allentown,PAのAir Products and Chemicals,Inc.から商業的に入手可能であり、SURFYNOL及びDYNOLの商品名で販売されている。追加の適切な界面活性剤としては、トリブロックEO-PO-EOコポリマーであるPLURONIC 25R2、L121、L123、L31、L81、L101、及びP123(BASF,Inc.)などの他のポリマー化合物が挙げられる。そのような界面活性剤は、使用される場合、少量で、例えば、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0より多く1重量%までで組成物中に存在し得る。
【0073】
組成物中の有機材料の酸化を防止又は最小化するために、酸化防止剤が下層組成物に添加されてもよい。好適な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン-アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤及びアミン-ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2-(1-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジノニルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)2,4-ビスオクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p-クレゾール、及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール;4,4’-ジヒドロキシジフェニル、メチレンビス(ジメチル-4,6-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4’-ブチリデンビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス、トリス及びポリフェノールが挙げられる。適切な酸化防止剤は市販されており、例えばIrganox(商標)酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。使用される場合、酸化防止剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として例えば0より多く1重量%までの量で下層組成物中に存在し得る。
【0074】
本発明の別の態様は、基板上に配置されたフォトレジスト下層組成物の層と、下層組成物の層の上に配置されたフォトレジスト層とを含む、コーティングされた基板を提供する。コーティングされた基板は、下層組成物の上及びフォトレジスト層の下に配置されたケイ素含有層及び/又は有機反射防止コーティング層をさらに含んでいてもよい。
【0075】
上述した組成物は、添加剤と、パターン化された半導体デバイス基板上のコーティング層としてのポリ(アリーレンエーテル)とを含むフォトレジスト下層組成物を堆積するために使用することができ、コーティング層は、10nm~500μm、好ましくは25nm~250μm、より好ましくは50nm~125μmなどの適切な厚さを有するが、そのようなコーティングは、具体的な用途に応じてこれらの範囲よりも厚くても薄くてもよい。本組成物は、パターン化された半導体デバイス基板上の複数のギャップを実質的に充填する、好ましくは充填する、より好ましくは完全に充填する。本ポリ(アリーレンエーテル)の利点は、それらが平坦化し(パターン化された基板上に平坦層を形成)、実質的にボイドが形成されずに、好ましくはボイドを形成せずにギャップを充填することである。
【0076】
好ましくは、パターン化された半導体デバイス基板表面上にコーティングされた後、レジスト下層組成物は、存在する有機溶媒を除去するために加熱(ソフトベーク)される。他の適切な温度を使用することもできるが、典型的なベーク温度は80~240℃である。残留溶媒を除去するためのそのようなベークは、典型的には約30秒から10分間行われるが、より長い時間又はより短い時間が適切に使用されてもよい。溶媒除去後に、基板表面上のレジスト下層の層、膜、又はコーティングが得られる。好ましくは、レジスト下層は次に硬化されて、不溶性の膜を形成する。そのような硬化は、典型的には、300℃以上、好ましくは350℃以上、より好ましくは400℃以上の温度に加熱するなどの加熱によって達成される。そのような硬化工程は、1~180分間、好ましくは1~60分間、より好ましくは1~10分間要する場合があるものの、他の適切な時間が使用されてもよい。そのような硬化工程は、酸素含有雰囲気又は不活性雰囲気で、好ましくは不活性雰囲気で行うことができる。
【0077】
本発明のさらに別の態様は、パターンの形成方法を提供する。本方法は、(a)下層組成物の層を基板上に塗布すること;(b)塗布した下層組成物を硬化して下層を形成すること;及び(c)下層の上にフォトレジスト層を形成することを含む。方法は、フォトレジスト層を形成する前に、下層の上にケイ素含有層及び/又は有機反射防止コーティング層を形成することをさらに含み得る。方法は、フォトレジスト層をパターン化し、パターン化されたフォトレジスト層から、下層及び下層の下の層にパターンを転写することをさらに含み得る。
【0078】
本明細書で使用される「下層」という用語は、基板とフォトレジスト層との間の全ての除去可能な処理層、例えば有機反射防止層、ケイ素含有中間層、スピンオンカーボン層、及びフォトレジスト下層を指す。
【0079】
多種多様の基板がパターン形成方法において使用され得、電子デバイス基板が典型的である。好適な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレー基板;集積回路基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板;半導体ウェハー;多結晶シリコン基板等が挙げられる。好適な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で用いるところでは、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。そのような基板は、任意の好適なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で用いるところでは、用語「半導体基板」としては、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を任意選択的に含み得る1つ以上の半導体層又は構造物を有する任意の基板が挙げられる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上にバッチ製造されたか又は製造されつつある半導体基板を意味する。
【0080】
基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅、及び金の1つ以上から構成される。基板は、1つ以上の層及びパターン化形体を含み得る。層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、そのような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びそれらの組み合わせを含み得る。様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)若しくはエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング若しくは蒸発などの物理蒸着(PVD)、又は電気めっきなどによって層を形成することができる。
【0081】
下層コーティング組成物は、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等などの、任意の好適な手段によって基板上にコートされ得る。半導体ウェハーの場合には、スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、下層組成物は、基板上に下層組成物の所望の層を得るために15~90秒の時間で500~4000rpmの速度で回転している基板に塗布される。コートされる下層組成物の厚さが、スピン速度、並びに組成物の固形分を変えることによって調整され得ることは、当業者によって十分理解するであろう。下層組成物から形成された下層は、典型的には5nm~50μm、典型的には25nm~3μm、より典型的には50~500nmの乾燥層厚を有する。下層組成物は、基板上の複数のギャップを実質的に埋めるために、好ましくは埋めるために、より好ましくは完全に埋めるために塗布することができる。
【0082】
塗布された下層組成物は、あらゆる溶剤及び他の比較的揮発性の成分を組成物から除去するために、比較的低い温度で任意選択的にソフトベークされる。他の適切な温度を使用することもできるが、典型的なベーク温度は60~240℃とすることができる。残留溶剤を除去するためのそのようなベークは10秒~10分間行われるが、より長い時間又はより短い時間が適切に使用されてもよい。基板がウェハーである場合、このようなベーク工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。
【0083】
塗布されたフォトレジスト下層組成物は、その後硬化して、下層、例えばフォトレジスト下層を形成する。フォトレジスト下層組成物は、下層が、フォトレジスト下層上に直接配置されたフォトレジスト又は他の有機層若しくは無機層などの、その後に設けられる層と混ざり合わないか、最小限しか混ざり合わないように十分に硬化される必要がある。フォトレジスト下層組成物は、空気などの酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの不活性雰囲気中で、且つ硬化したコーティング層を得るのに十分な加熱などの条件下で、硬化することができる。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化が、同等の結果を得るために用いられ得る。硬化温度は、層全体が硬化するのに十分である必要があり、例えば、遊離酸などの硬化剤が架橋をもたらすことを可能にするのに十分であるか、硬化剤がTAGである場合に熱酸発生剤が酸を遊離して遊離した酸が架橋をもたらすのを可能にするのに十分でなければならない。典型的には、硬化は、150℃以上、好ましくは150~450℃の温度で行われる。硬化温度は180℃以上、さらにより好ましくは200℃以上、さらに一層好ましくは200~400℃であることがより好ましい。硬化時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~5分、さらにより好ましくは45~90秒である。任意選択的に、傾斜又は多段階硬化プロセスが用いられ得る。傾斜ベークは、典型的には、比較的低い(例えば、周囲)温度で始まり、温度は、より高い標的温度まで一定の又は変化するランプ速度で上げられる。多段階硬化プロセスは、2つ以上の温度平坦域、典型的には、より低いベーク温度での第1段階及びより高い温度での1つ以上の追加の段階での硬化を含む。そのような傾斜又は多段階硬化プロセスのための条件は、当業者に公知であり、先行ソフトベークプロセスの省略を可能にし得る。
【0084】
フォトレジスト下層組成物の硬化後、フォトレジスト層、金属ハードマスク層などのハードマスク層、有機又は無機ボトム反射防止コーティング(bottom anti-reflectant coating)(BARC)層などの1つ以上の加工層を、硬化した下層の上に配置することができる。フォトレジスト層は、下層の表面上に直接形成することができ、或いは1つ以上の介在層上で下層の上に形成することができる。この場合、上述したような1つ以上の介在する加工層は、下層上に順次形成することができ、続いてフォトレジスト層を形成することができる。適切な層、厚さ、及びコーティング方法の決定は、当業者に周知である。
【0085】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジティブトーン材料である。適切なフォトレジストとしては、例えば、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能なフォトレジストのEPICシリーズ内の材料が挙げられる。フォトレジストは、下層組成物に関連して上に記載されたような公知のコーティング技術によって基板に塗布することができ、スピンコーティングが典型的である。フォトレジスト層についての典型的な厚さは、300~10000Åである。フォトレジスト層は、典型的には次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。典型的なソフトベークは、90~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。
【0086】
任意選択的には、1つ以上のバリア層がフォトレジスト層の上に配置されてもよい。適切なバリア層としては、トップコート層、トップ反射防止コーティング層(又はTARC層)などが挙げられる。好ましくは、液浸リソグラフィーを使用してフォトレジストをパターン化する場合にはトップコート層が使用される。そのようなトップコートは、当該技術分野で周知であり、DuPont Electronics&Imagingから入手可能なOC 2000などが市販されている。有機反射防止層がフォトレジスト層の下に使用される場合には、TARC層は不要であることが当業者には理解されるであろう。
【0087】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線に露光される。組成物のために活性化する放射にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線により、それぞれ露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に遮断性領域を有する。露光波長は、典型的には400nm未満、より典型的には300nm未満、例えば248nm(KrF)、193nm(ArF)、又は極端紫外線(EUV)波長(例えば13.5nm)である。好ましい態様では、露光波長は193nmである。露光エネルギーは、例えば露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には10~80mJ/cm2である。
【0088】
フォトレジスト層の露光後に、後露光ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEBは、典型的には、80~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。その後、露光されたフォトレジスト層は、適切な現像液を使用して現像され、パターン化されたフォトレジスト層が得られる。
【0089】
次いで、フォトレジスト層のパターンは、プラズマエッチング又はウェットエッチングなどの適切なエッチング技術によって、下層を含む1つ以上の下層及び基板に転写することができる。プラズマエッチングは、エッチングされる各層に適切なガス種を使用することができる。適切な湿式化学エッチング化学物質としては、例えば、水酸化アンモニウムと過酸化水素と水とを含有する混合物(例えばSC-1クリーン);塩酸と過酸化水素と水とを含有する混合物(例えばSC-2クリーン);硫酸と過酸化水素と水とを含有する混合物(例えばSPMクリーン);リン酸と過酸化水素と水とを含有する混合物;フッ化水素酸と水とを含有する混合物;フッ化水素酸とリン酸と水とを含有する混合物;フッ化水素酸と硝酸と水とを含有する混合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと水とを含有する混合物;などが挙げられる。
【0090】
関与する層の数及び材料に応じて、パターン転写は、異なる技術を使用する複数のエッチング工程を含み得る。リソグラフィースタック中のパターン化フォトレジスト層、下層、及び他の任意選択の層は、従来技術を用いて基板のパターン転写後に除去され得る。任意選択的に、スタックの層の1つ以上は、下にある層へのパターン転写後且つ基板へのパターン転写前に除去することができ、或いは消費される。基板は、次いで、電子デバイスを形成するために公知の方法に従ってさらに処理される。
【0091】
フォトレジスト下層組成物は、自己整合二重パターニングプロセスにおいて使用することもできる。そのようなプロセスにおいて、上述したフォトレジスト下層組成物の層は、スピンコートなどによって基板上にコートされる。あらゆる残りの有機溶剤が除去され、コーティング層が硬化してレジストフォト下層を形成する。ケイ素含有ハードマスク層などの適切な中間層が、フォトレジスト下層の上に任意選択的にコーティングされてもよい。その後、適切なフォトレジストの層がスピンコートなどによって中間層上にコートされる。次いで、フォトレジスト層は画像化(露光)され、その後、露光されたフォトレジスト層は、適切な現像剤を使用して現像されて、パターン化されたフォトレジスト層を与える。パターンは、次に適切なエッチング技術によってフォトレジスト層から中間層及び下層に転写されて基板の複数部分を露出させる。典型的には、フォトレジストは、このようなエッチング工程中にも取り除かれる。次に、コンフォーマルなケイ素含有層が、パターン化された下層及び基板の露出された複数部分に渡り配置される。そのようなケイ素含有層は、典型的には、CVDによって慣例的に堆積されるSiON又はSiO2などの無機ケイ素層である。そのようなコンフォーマルなコーティングは、基板表面の露出部分上に並びに下層パターン上にケイ素含有層をもたらす、すなわち、そのようなケイ素含有層は、下層パターンの側面及び最上部を実質的に覆う。次に、ケイ素含有層は、部分的にエッチ(バリ取り)されてパターン化された下層の最上面及び基板の一部を露出させる。この部分エッチング工程の後に、基板上のパターンは複数のフィーチャを含み、それぞれのフィーチャは、ケイ素含有層がそれぞれの下層フィーチャの面に直接隣接する状態で下層のライン又はポストを含む。次に、下層の露出領域は、エッチングなどによって除去されて下層パターンの下にあった基板表面を露出させ、基板表面上にパターン化されたケイ素含有層を与え、そこではそのようなパターン化されたケイ素含有層は、パターン化された下層と比べて2倍になる(すなわち、ライン及び/又はポストは2倍になる)。
【0092】
本発明のフォトレジスト下層組成物から形成されたフォトレジスト下層は、優れた平坦化、優れた耐溶剤性、調整可能なエッチング速度、及び湿式化学エッチング液に対する良好な耐性を示す。本発明の好ましいフォトレジスト下層組成物は、結果として、様々な半導体製造プロセスにおいて有用な場合がある。
【0093】
本発明の概念は、以下の実施例によってさらに説明される。本明細書で使用される全ての化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて、市販品である。
【実施例0094】
マトリックスポリマーの合成
実施例1:ポリ(アリーレンエーテル)オリゴマー(I)
30.0グラム(g)の3,3’-(オキシジ-1,4-フェニレン)ビス(2,4,5-トリフェニルシクロペンタジエノン)(DPO-CPD)と、18.1gの1,3,5-トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(TRIS)と、102.2gのGBLとの混合物を185℃で14時間加熱した。次いで、反応物を室温まで冷却し、21.5gのGBLで希釈し、粗製生成物混合物を形成した。粗製生成物混合物を、イソプロピルアルコール(IPA)/PGMEの1:1混合物1.7リットル(L)に添加し、30分間撹拌した。固体を真空濾過により収集し、IPA/PGME(1:1 v/v)で洗浄した。固体に0.4Lの脱イオン水を加え、得られたスラリーを50℃まで加熱し、次いで、50℃でさらに30分間撹拌した。次いで、加熱されたスラリーを真空濾過によって濾過し、湿潤固体を得て、これを真空オーブン中70℃で2日間乾燥させて、71%の収率で34.1gのポリ(アリーレンエーテル)オリゴマー1を得た。分析によって、M
wが3487Daであり、PDIが1.42であることが示された。
【化15】
【0095】
添加剤の合成
実施例2:サリチル酸ドーパミン(VIII)
塩酸ドーパミン(2.02g)及びサリチル酸銀(2.69g)を室温でメタノール(50mL)及び水(5mL)の溶液に添加した。次いで、得られた混合物を35℃で18時間、撹拌しながら加熱した。反応の終了後、Celite上で粗製生成物を濾過し、メタノールで洗浄し、次いで、粗製生成物の回収溶液を乾固するまで濃縮し、黄色油状物を得た。粗製生成物をPGMEA中で溶解し、シリカゲルのプラグ上で抽出し、次いで、乾固するまで濃縮し、3gの生成物(VIII)を得た。
【0096】
実施例3:OH-TRIS(IX)
1,3,5-トリブロモベンゼン(2.36g)、ヨウ化第一銅(0.21g)及びトリエチルアミン(3.42g)を、室温で20gの1,4-ジオキサンに添加した。窒素ガスバブリングを使用して、反応混合物を1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.53g)を反応混合物に加え、得られた混合物を70℃に加熱した。4-エチニルフェニルアセテート(4.81g)を、窒素脱気した1,4-ジオキサン(14g)のアリコートに溶解させ、次いでこの溶液を滴下漏斗によって混合物にゆっくり加えた。添加の終了後、反応混合物を窒素下70℃で18時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温に冷却し、得られた粗製生成物を濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製して淡黄色固体を得た。次いで、半精製固体を窒素下でTHF(35g)に溶解した。次いで、それに水酸化リチウム一水和物(0.94g)及び水(8g)を添加し、得られた反応混合物を60℃で1時間攪拌した。この後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで、pH1が得られるまで、塩酸を使用して水層のpHを調整した。次いで、有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を組み合わせ、水で洗浄し、そして溶媒を減圧下で除去し、1,3,5-トリス((4-ヒドロキシフェニル)エチニル)ベンゼンを淡黄色固体、2.6g(81%収率)として得た。
【0097】
実施例4:プロパルギルOH-TRIS(X)
46gの無水ジメチルホルムアミド(DMF)中の1,3,5-トリス((4-ヒドロキシフェニル)エチニル)ベンゼンを室温で15分間撹拌した。混合物を3℃に加熱し、それに10.34gのK2CO3を添加した。次いで、反応物を50℃まで加熱し、8.63gの臭化プロパルギル溶液(トルエン中80重量%)を滴下漏斗により滴下して加えた。反応混合物を50℃で24時間加熱した。次いで、反応物を室温まで冷却し、濾過し、K2CO3を除去した。得られた有機溶液を2Lの脱イオン水中に沈殿させ、次いで室温で30分間撹拌した。次いで、沈殿した物質を真空濾過により回収し、次いで、35℃で1時間、真空下で乾燥させ、17.8gの固体生成物を得た。
【0098】
実施例5:アセトキシOH-TRIS(XI)
1,3,5-トリブロモベンゼン(2.36g)、ヨウ化第一銅(0.21g)及びトリエチルアミン(3.42g)を、室温で20gの1,4-ジオキサンに添加した。窒素ガスバブリングを使用して、反応混合物を1時間パージした。次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.53g)を反応混合物に添加し、得られた反応混合物を70℃まで加熱した。4-エチニルフェニルアセテート(4.81g)を、窒素脱気した1,4-ジオキサン(14g)に溶解させ、次いでこの溶液を、滴下漏斗を使用して反応混合物にゆっくり添加した。添加の終了後、反応混合物を窒素下70℃で18時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を室温まで冷却し、内容物を濾過し、そして溶媒を蒸発させ、粗製生成物を得た。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、1,3,5-トリス((4-アセトキシフェニル)エチニル)ベンゼンを淡黄色固体、3.5g(84%収率)として得た。
【0099】
実施例6:メトキシOH-TRIS(XII)
1,3,5-トリブロモベンゼン(3.12g)、ヨウ化第一銅(0.29g)及びトリエチルアミン(4.55g)を、室温で22gの1,4-ジオキサンに添加した。窒素ガスバブリングを使用して、反応混合物を1時間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.70g)を反応混合物に添加し、反応混合物を70℃に加熱した。1-エチニル-4-メトキシベンゼン(5.28g)を、脱気した1,4-ジオキサン(20g)に溶解させ、次いてこの溶液を、滴下漏斗を使用して反応混合物にゆっくり添加した。添加の終了後、反応混合物を窒素下70℃で18時間撹拌した。反応の終了後、反応内容物を室温まで冷却し、生成物を濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製生成物を得た。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して1,3,5-トリス((4-メトキシフェニル)エチニル)ベンゼンを淡黄色固体、4.0g(85%収率)として得た。
【0100】
式(II)~(VII)の添加剤化合物は商業的に利用可能な供給元から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0101】
式(II)~(XII)の化合物の構造を以下に示す。
【化16】
【0102】
評価実施例
添加物を含む配合物
約4重量%の固形分でPGMEAと安息香酸ベンジルとの混合物(97:3、w/w)中に、ポリマー及び1種以上の接着促進添加剤を溶解させることによって、本発明の配合物を調製した。総固形分に対する添加剤の量を以下の表1に記載した。得られた溶液は0.2μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルターを通して濾過した。
【0103】
添加物を含まない配合物
約4重量%の固形分でPGMEAと安息香酸ベンジルとの混合物(97:3、w/w)中にポリマーを溶解させることによって配合物を調製した。得られた溶液は0.2μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルターを通して濾過した。
【0104】
標準のコーティング及び洗浄
CVDによって堆積させた10nmのTiNコーティングを有する200mmのシリコンウェハー上で上記配合物の標準コーティングプロセスを行った。スピンコート、170℃で60秒間のソフトベーク、次いで、450℃で4分間のハードベークによって、TiNがコーティングされたウェハー上に上記配合物をコーティングした。
【0105】
標準洗浄溶液(SC1)は、30%水酸化アンモニウム、30%過酸化水素、及び脱イオン水を1:5:40(w/w/w)の比率で混合することにより調製した。水酸化アンモニウムと過酸化水素は共にFisher Scientificから購入し、受け取ったままの状態で使用した。フォトレジスト下層膜でコーティングされたウェハー試験片を、70℃で穏やかに撹拌しながら、SC1含有浴中で浸漬した。処理された試験片を脱イオン水で2回すすぎ、次いで、風乾した。著しい膜剥離(目視観察)までの時間を記録して、SC1による剥離に対するSOCコーティングの耐性を評価した。非剥離領域でSC1による処理の前後に膜厚を測定し、変化がないことが示され、フォトレジスト下層膜が湿式エッチング条件下でエッチングされなかったことが確認された。
【0106】
【0107】
表1に開示される実施例は、本発明の配合物1~16が、標準洗浄溶液の湿式化学エッチング条件に対して優れた抵抗を示すことを実証する。特に、比較配合物C1は1分で剥離したが、本発明の配合物1~16は、それぞれ基板から剥離されるまでに1分より長くかかった。
【0108】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。