(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097446
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】動的挙動が改善された制御部材を備えたバヨネット型圧力鍋
(51)【国際特許分類】
A47J 27/08 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A47J27/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204834
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】2013663
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック シャムロイ
(72)【発明者】
【氏名】エリック クリスチャン ジャックス レタト
(72)【発明者】
【氏名】エリック ローラン バライユ
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA08
4B055BA07
4B055BA38
4B055CA39
4B055CA82
(57)【要約】
【課題】シンプルでコンパクトなデザインで、信頼性が高く、工業化が容易な構造を持ち、人間工学的にも優れた使い心地の新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【解決手段】本発明は、食品圧力調理器具(1)であって、バヨネット式ロックシステムと、制御部材(11)の動きを蓋(3)の旋回に変換する変換装置によって蓋(3)に接続されるロック/ロック解除制御部材(11)と、を備え、変換装置は、蓋(3)に取り付けられた被駆動構造(16,17)と、制御部材(11)によって搬送される駆動構造(18,19)とからなり、制御部材(11)の異なる位置で、駆動構造(18,19)は、それぞれ被駆動構造(16,17)と同時に係合し、制御部材(11)の移動に応答して、蓋(3)の駆動トルクを生成するのに寄与する複数のそれぞれの力を被駆動構造(16,17)に作用させるものである。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品圧力調理器具(1)であって、
ボウル(2)と、
前記ボウル(2)に対してロックされ、前記ボウル(2)とともに圧力上昇に適合した調理室を形成する蓋(3)と、
前記ボウル(2)に対して前記蓋(3)を旋回させることにより、前記ボウル(2)に対する前記蓋(3)のロック及びロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、
前記蓋(3)が、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で第1の回転軸(Y-Y’)を中心に、相対的に旋回できるように前記蓋(3)に取り付けられた支持体(10)と、
手動で操作可能なロック/ロック解除制御部材(11)であって、一方では、前記制御部材(11)の前記支持体(10)に対する手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体(10)に取り付けられており、他方では、前記制御部材(11)の手動移動を前記支持体(10)に対する前記蓋(3)の旋回に変換する変換装置によって前記蓋(3)に接続された、制御部材(11)と、
を備え、
前記変換装置が、一方では、前記蓋(3)に取り付けられ、互いに離れて配置された少なくとも複数の被駆動構造(16,17)と、他方では、互いに離れて配置され、前記制御部材(11)の異なる位置に、搬送される少なくとも複数の駆動構造(18,19)とを備え、
前記駆動構造(18,19)は、それぞれ、前記制御部材(11)の移動に応答して、前記蓋を前記支持体に対して回転させるための駆動トルクに寄与する複数のそれぞれの力を前記被駆動構造(16,17)に及ぼすために、同時に、前記被駆動構造(16,17)と係合し、
前記変換装置は、前記蓋(3)に、前記第1の回転軸(Y-Y’)と同軸に取り付けられたハブ(25)を含み、前記ハブ(25)は、前記複数の被駆動構造(16,17)を担っていることを特徴とする、食品圧力調理器具(1)。
【請求項2】
前記被駆動構造(16,17)は、前記第1の回転軸(Y-Y’)から等距離に配置されている、請求項1に記載の器具(1)。
【請求項3】
前記複数の被駆動構造(16,17)は、前記第1の回転軸(Y-Y’)に対して互いに対向して配置された少なくとも第1及び第2の被駆動構造を含む、請求項1又は請求項2に記載の器具(1)。
【請求項4】
前記複数の被駆動構造(16,17)及び前記複数の駆動構造(18,19)のうちの一方は、複数の雌型構造を形成し、前記複数の被駆動構造(16,17)及び前記複数の駆動構造(18,19)のうちの他方は、前記雌型構造の内部にそれぞれ受け入れられる複数の雄型構造を形成し、前記各雄型構造は、それがそれぞれ受け入れられている前記雌型構造内を、前記第1の回転軸(Y-Y’)に実質的に平行なスライド方向に沿ってスライド可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項5】
前記制御部材(11)は、前記第1の回転軸(Y-Y’)に垂直な第2の回転軸(Z-Z’)を中心として、前記支持体(10)に対して旋回可能に取り付けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項6】
前記駆動構造は、前記制御部材(11)が前記第2の回転軸(Z-Z’)を中心に回転する間に、前記第2の回転軸を中心とする円形の軌道に沿ってそれぞれが移動するように、前記第2の回転軸と整列していない少なくとも第1及び第2の駆動構造(18,19)からなる、請求項5に記載の器具(1)。
【請求項7】
前記第2の回転軸(Z-Z’)に垂直で、前記第1の回転軸(Y-Y’)が内接する第1の平面(P1)上の前記第1及び第2の駆動構造(18,19)の直交投影は、前記第1の平面(P1)上の前記第2の回転軸の直交投影の両側にそれぞれ少なくとも一部配置されている、請求項6に記載の器具(1)。
【請求項8】
前記第1の回転軸(Y-Y’)に垂直で、前記第2の回転軸(Z-Z’)が内接する第2の平面(P2)上の前記第1及び第2の駆動構造(18,19)の直交投影は、前記第2の平面(P2)上の前記第1の回転軸(Y-Y’)の直交投影の両側にそれぞれ少なくとも一部配置されている、請求項6又は請求項7に記載の器具(1)。
【請求項9】
前記制御部材(11)は、前記第2の回転軸(Z-Z’)によって通される2つの端部(110,111)の間に延びるハンドル(11A)を備え、前記2つの端部(110,111)はそれぞれ、前記複数の駆動構造(18,19)の駆動構造を担う、請求項5から8のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項10】
前記蓋(3)に取り付けられた、前記調理室内の圧力を調節するための調節バルブ(4)を備え、前記ハブ(25)は、前記調節バルブ(4)を受け入れる収容部を区切るのに役立つキャップ(25)を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項11】
前記蓋(3)上及び前記ハブ(25)の下に、前記ハブ(25)との前記収容部を形成するように配置されたプレート(26)を備え、前記プレート(26)は、前記ハブ(25)及び前記蓋(3)に取り付けられている、請求項10に記載の器具(1)。
【請求項12】
前記蓋(3)及び少なくとも前記支持体(10)の両方を含む蓋サブセット(300)を備え、ロック解除構成の前記蓋サブセット及びボウル(2)は、蓋サブセット(300)がロック解除構成からロック構成に切り替わるように、前記第1の回転軸(Y-Y’)を中心に前記蓋(3)を旋回させることによって前記バヨネット式ロックシステムが前記蓋(3)を前記ボウル(2)にロックできるように、少なくとも一つの所定の相対配置に従って組み合わせられるよう設計されており、前記支持体(10)及び前記ボウル(2)は、前記ロック解除構成の前記蓋サブセット(300)及び前記ボウル(2)が前記所定の相対配置に従って組み合わされたときに、互いに嵌合して協力することを意図した相補的な支持体構造(12,13)及びボウル構造(14,15)をそれぞれ備え、この嵌合により、前記支持体(10)と前記ボウル(2)の水平面内での相対的な角度位置をロックすることが可能であり、前記支持体(10)は、前記プレート(26)と前記ハブ(25)の間に配置されたクロスバー(100)を含み、前記クロスバー(100)は、前記支持体構造(12,13)を形成するために、前記蓋(3)から半径方向に突出する2つの反対端の間で長手方向に延び、これらの前記支持体構造(12,13)は、前記ボウル構造(14,15)を形成するそれぞれの相補的収容部と協働するように構成される、請求項10及び11に記載の器具(1)。
【請求項13】
前記ハブ(25)及び前記プレート(26)が、第1の一体型サブセットを形成し、前記制御部材(11)及び前記クロスバー(100)が、第2の一体型サブセットを形成し、前記第1の一体型サブセットは、前記プレート(26)から突出する組立ロッド(27)を含み、一方では、前記第1の一体型サブセット内に配置され、前記第2の一体型サブセットが前記第1の回転軸(Y-Y’)を中心に、内部部分(27A)の周りを旋回するように、前記クロスバー(100)を貫通して形成された孔(28)を通過する内部部分(27A)と、他方では、前記蓋(3)を貫通して形成された中央締結孔(29)を通過するネジ付き自由部分(27B)と、を備え、前記ネジ付き自由部分(27B)は、ナット(32)と協働して、前記第1の一体型サブセットを蓋(3)に取り付ける、請求項12に記載の器具(1)。
【請求項14】
前記第1及び第2の一体型サブセットは、互いに組み立てられており、前記組立ロッド(27)及び前記ナット(32)によって、前記蓋に取り外し可能に取り付けられた一体型制御モジュール(200)を形成する、請求項13に記載の器具(1)。
【請求項15】
前記調理室内の圧力に敏感で、前記調理室内の圧力が大気圧よりかなり高いときに、前記蓋(3)のロック解除を防ぐ遮断位置を占める責任を負う開放安全手段(5)と、
前記制御部材(11)と前記複数の駆動構造(18,19)との間の切り離し可能な機械的リンクを確保する係合解除可能なリンク装置(42)と、
を備え、
前記制御部材(11)は、前記ボウル(2)に対する前記蓋(3)のロック解除及びロックにそれぞれ対応する第1及び第2の位置の間で前記支持体(10)に対して移動可能に取り付けられており、前記係合解除可能なリンク装置(42)は、前記制御部材(10)が、第2の位置から第1の位置へ自由に移動できるように構成されている一方で、前記開放安全手段(5)が遮断位置にあるときに、前記制御部材(10)と前記複数の駆動構造(18,19)の連結を解除するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の圧力調理器具の一般的な技術分野に関し、特に、圧力が上昇する調理室を形成して、そこに収容された食品を確実に蒸気圧調理することを目的とした圧力調理器タイプの家庭用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、ボウルと、前記ボウルに対してロックされ、前記ボウルとともに圧力上昇に適合した調理室を形成することを意図した蓋と、前記蓋を前記ボウルに対して旋回させることにより、前記ボウルに対する前記蓋のロックおよびロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、前記蓋が、第1の回転軸を中心に、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で相対的に旋回できるように前記蓋に取り付けられた支持体と、一方では前記支持体に対する前記制御部材の手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体に取り付けられ、他方では前記制御部材の手動移動を前記支持体に対する前記蓋の旋回に変換する装置によって前記蓋に接続された、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材と、を備える食品圧力調理器具に関するものである。
【0003】
特に、家庭用の食品圧力調理器具はよく知られている。一般的には、金属製のボウルの上に、柔軟な環状のシールガスケットを使って金属製の蓋をしっかりと取り付け、圧力を上昇させることができる調理室を形成することを目的としている。蓋は、ロック手段を介してボウルに連結されており、蓋をボウルに対してロックした状態では、調理室の圧力が上昇し、ロックを解除した状態では、蓋がボウルから自由に外れるようになっている。従来の技術では、様々なタイプのロック手段が知られている。最も広く普及しているシステムの1つに、バヨネット式ロックシステムがある。これは、ボウルと蓋に勾配を実装することで、蓋の回転後に相互にスライドして接触し、圧力上昇の影響でボウルと蓋が分離するのを防ぐ機械的な保持リンクを確保することを目的としている。蓋の勾配は、従来、蓋の環状の立ち下がり縁を内側に局所的に折り曲げて作られていたが、ボウルの勾配は、ボウルの自由上縁を折り曲げて切断することで得られる。
【0004】
このようなバヨネット式ロックシステムは、特に、比較的軽量で、製造が簡単で、信頼性が高いことから、十分に満足できるものである。
【0005】
しかし、その最も基本的な実施形態では、特に実用性と人間工学の面でいくつかの重大な欠点がある。
【0006】
このような問題を解決するために、バヨネット型圧力鍋は、キャリッジのスライド移動を駆動する回転制御アーチの実装に基づく力の低減制御機構を備え、それに応じて蓋の回転駆動を可能にするロッドシステムを作動させることが提案されている。
【0007】
このようなシステムは、使いやすさや人間工学の観点からも十分に満足できる。ただし、いくつかの欠点もある。
【0008】
確かに、複数の部品(回転アーチ、スライディングキャリッジ、ロッドなど)の連携で実現している低減システムは、比較的複雑な構造になっており、調理器具のコスト価格に悪影響を与えている。また、この設計では、複数の可動部品を使用しているため、長期的な信頼性や堅牢性の面でリスクが生じる可能性がある。そのため、このリスクを最小化するためには、特定の部品を大きくしたり、特に精密な組立品を使用したりする必要があり、製造業の工業化が複雑になる可能性がある。また、この既知の制御機構は比較的かさばるため、他の機能部品(例えば、バルブ、タイマー、センサーなど)の統合を妨げ、複雑にしてしまう可能性がある。最後に、この既知の圧力鍋が提供する力の軽減が特に優れているとしても、使用の快適さは最適ではない。実際、この既知の圧力鍋の回転制御アーチを手動で操作すると、比較的急激でぎこちない蓋の回転が起こり、蓋がボウルに対して不用意に偏心して寄生的な摩擦が発生する傾向がある。これらの好ましくない影響は、器具の人間工学に影響を与え、ユーザにストレスを与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、シンプルでコンパクトなデザインで、信頼性が高く、工業化が容易な構造を持ち、人間工学的にも優れた使い心地の新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、特に便利な新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、特に軽量で堅牢なデザインの新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、不都合な摩擦を最小限に抑えることで、ロック構成とロック解除構成との間で蓋の回転を特に進歩的かつ連続的に行うことができる、新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、特にコンパクトな新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、工業的な製造を最適化し、器具の機能要素を非常に柔軟に組み込むことができるデザインの新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、洗浄が容易で、工場での組み立てや製品の差別化が容易なデザインの新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0016】
本発明の別の目的は、使用上の安全性が高い新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0017】
本発明の別の目的は、片手でも特に使いやすい新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0018】
本発明の別の目的は、特に直感的に使用できる新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0019】
本発明の別の目的は、ユーザがボウルに対する蓋のロックまたはロック解除を制御するために必要な手作業を最小限に抑えることが可能なデザインを持つ、新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0020】
本発明の別の目的は、保管や食器洗い機での洗浄が容易で便利な、新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的を達成させる食品圧力調理器具は、ボウルと、前記ボウルに対してロックされ、前記ボウルとともに圧力上昇に適合した調理室を形成する蓋と、前記蓋を前記ボウルに対して旋回させることにより、前記ボウルに対する前記蓋のロックおよびロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、前記蓋が、第1の回転軸を中心に、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で相対的に旋回できるように前記蓋に取り付けられた支持体と、一方では前記支持体に対する前記制御部材の手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体に取り付けられ、他方では前記制御部材の手動移動を前記支持体に対する前記蓋の旋回に変換する変換装置によって前記蓋に接続された、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材と、を備え、前記変換装置は、一方では、前記蓋に取り付けられ、互いに離れて配置された少なくとも複数の被駆動構造と、他方では、互いに離れて配置され、前記制御部材の異なる位置で全て前記制御部材によって搬送される少なくとも複数の駆動構造とを備えていることを特徴とし、前記駆動構造は、前記制御部材の動きに応じて、前記被駆動構造と同時に係合し、前記被駆動構造に、前記支持体に対して前記蓋を回転させるための駆動トルクを発生させるのに寄与する複数のそれぞれの力を与え、前記変換装置は、前記第1の回転軸と同軸に前記蓋に取り付けられたハブを含み、前記ハブは、前記複数の被駆動構造を担っている。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、純粋に例示的かつ非限定的な例として与えられた添付の図面を参照しながら、以下の説明を読むと、より詳細に現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明による食品圧力調理器具を概略斜視図で示し、この器具は、バヨネット式ロックシステムが蓋の旋回によって蓋をボウルにロックすることを可能にする所定の相対配置で、蓋がボウル上に置かれるロック解除構成にあり、所定の相対配置は、そのロック/ロック解除制御部材がボウルに対する蓋のロック解除に対応して、伸長位置に配置される器具のロック待機構成に対応する。
【
図2】
図2は、
図1の調理器具の分解図であり、ここでは、ボウルサブセット、蓋、及び、好ましくは取り外し可能な方法で蓋に取り付けられることを意図した一体型制御モジュールによってそれぞれ形成された3つの一体型サブセットで構成されており、蓋と共にボウル上に追加されることを意図した蓋サブセットを形成している。
【
図4】
図4は、
図1から
図3の器具の詳細、より正確には蓋サブセットの実現の詳細を、斜視上面図で示す。
【
図6】
図6は、
図1から
図5の調理器具の蓋サブセットを形成する構成要素の一部を見ることができる分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1から
図6の調理器具の蓋に装着される一体型制御モジュールを示す部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図7の一体型制御モジュールを模式的に示す底面図である。
【
図9】
図9は、
図1の調理器具の蓋サブセットを示す断面図である。
【
図10】
図10は、先の図の調理器具を概略的な斜視上面図で示し、これは、ロック構成で、蓋がボウルに対してロックされ、ロック/ロック解除制御部材が折り畳み位置にある状態である。
【
図12】
図12は、ロック/ロック解除制御部材が折り畳まれたロック位置にあり、 制御部材によって搬送される駆動構造が、蓋に固定されることを意図されたハブによって搬送される駆動構造と係合して、蓋を回転駆動する、図の器具の実現の詳細を、概略上面図で示している。
【
図13】
図13は、ロック/ロック解除制御部材の折り畳み位置(ロックに相当)から持ち上げ位置(ロック解除に相当)への切り替えを模式的に示す図であり、折り畳み位置から持ち上げ位置への切り替えは、制御部材が90°の角度ストロークに沿って回転することによって行われる。
【
図14】
図14は、先の図の調理器具を概略斜視図で示し、この調理器具は、蓋のロック解除を防止する遮断位置を占める開放安全手段を備え、制御部材は、ボウルに対する蓋のロック解除およびロックにそれぞれ対応するその第1および第2の極限位置の間の中間位置にあり、制御部材は、制御部材と、制御部材によって搬送される複数の駆動構造との間の機械的リンクを確保する切り離し可能なリンク装置によって作動する切り離しの効果下で、駆動構造から切り離される。
【
図16】
図16は、先の図に示した調理器具のロック/ロック解除制御部材の実現の詳細を部分分解図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図に示すように、本発明は、蒸気、例えば水蒸気の存在下で、大気圧よりも高い圧力レベルでの各種食品の調理を確実に行うことを目的とした、食品圧力調理器具1に関するものである。蒸気は、器具1内で、食品の存在下で、調理用液体、例えば、水性液体を加熱することによって発生する。本発明による器具1は、優先的に家庭での使用を意図しているが、本発明は、専門的又は半専門的な器具にも関連し得ることが理解される。本発明による器具1は、外部圧力を加えることなく、専ら加熱源(内蔵又は外部)の効果によって圧力が上昇するように設計されている。したがって、食品圧力調理器具1は、圧力調理器具を構成し、その内容物を加熱するために独立した調理用プレート上に置かれることを優先的に意図している。本発明による調理器具1は、調理される食品を受けることを意図された、調理容器を形成する少なくともボウル2を含み、ボウル2は、器具1が通常動作しているとき、すなわち、水平面上に置かれているときの、垂直方向に例えられる方向に沿って延びる垂直中心軸X-X’についての回転対称性を実質的に有している。ボウル2は、従前どおり、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料で作られている。ボウル2は、例えば、多層熱伝導体底部である底部2Aからなる。また、ボウル2は、底部2Aと自由上縁2Cとの間に立ち上がる環状側壁2Bを有し、この側壁は、ここでは円形状であり、ボウル2の内部にアクセスするための開口を画定するものである。この自由上縁2Cの形状は、器具1のロック手段との関係で、以下により詳細に説明される。有利には、そして図に示されているように、調理器具1は、ボウル2から外側に突出するような方法で、ボウル2に取り付けられる少なくとも1つのボウルハンドル2Dから構成される。図示の実施形態では、ボウルハンドル2Dは、ボウル2の外側に向かって半径方向に延びるように、かつ、ボウル2を取り扱うために(例えば、持ち上げて動かすために)ユーザが手で取ることを意図したグリップを形成するように、ボウル2の側壁2Bの外側面に取り付けられている。図示の実施形態では、調理器具1は、ボウル2の側壁2Bに、中心軸X-X’に対して径方向に対向するように取り付けられた2つの同一のハンドル2D,2Eからなり、ボウルハンドル2D,2Eは、ボウル2の自由上縁2Cの近くに配置されている。しかし、ボウル2が1つのボウルハンドルだけを備えること、又は、2つ以上のボウルハンドル(例えば、3つ又は4つ)を備えることは、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、完全に考えられることである。
【0025】
本発明による器具1はまた、ボウル2に関連付けられ、ボウル2に対してロックされて、圧力上昇に適合した調理室、すなわち、器具1の圧力上昇を可能にするのに十分に堅い調理室を一緒に形成することを意図した蓋3から構成される。この密閉された堅固な特性を得るために、器具1は、有利には、例えば、エラストマーからなる柔軟な環状ガスケットによって形成され、蓋3とボウル2との間に介在され、調理室の内部と外部との間の蒸気及び/又は空気の制御されていない漏れを防止するように意図された密閉ガスケット(図示せず)を含む。蓋3は、従前どおり、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料で作られている。それは、有利には、ボウル2の形状に共役な形状、例えば、一般に円盤状の形状を有し、有利には、それがボウル2に加えられロックされたときに、ボウル2の底部2Aの延在平面(すなわち、ここでは、実質的に水平面)に実質的に平行に延在している。蓋3は、ボウル2に面することを意図した内面30と、その反対側の外側面31を有する。図示の実施形態では、蓋3は、ボウル2の環状側壁2Bの自由上縁2Cによって区画されるアクセス開口のものと共役な形状及びサイズの円板状被覆要素3Aを含む。この実施形態では、蓋3は、例えば、実質的に円筒形又は切頭形状の環状帯3Bも有利に含む。図示の実施形態では、環状帯3Bは、円板状被覆要素3Aの周縁から下方に延びる立ち下がり縁によって形成されている。この実施形態では、蓋3は、環状帯3Bが環状側壁2Bの上部と自由上縁2Cとを外側から囲むように、ボウル2の上部を実質的に調節して覆うようになっており、一方、円板状被覆要素3Aは、ボウル2と蓋3との間に介在するシールガスケット(図示せず)を介して、自由上縁2Cに対して負担をかけるようになっている。しかし、環状帯3Bが、代替案として、ボウル2内に挿入され、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、ボウル2によって囲まれ、ボウル2内に含まれるように意図されていることは、完全に考え得る。
【0026】
本発明による食品圧力調理器具1は、有利には、調理室内の圧力を調節するためのバルブ4を、例えば、蓋3によって搬送されるような方法で、好ましくは、蓋3に取り付けて構成される。バルブ4は、調理室内の圧力を、例えば、約10~120kPa、好ましくは、100kPaのオーダーで、ある閾値だけ大気圧を超える、作動圧力と呼ばれる実質的に一定の所定値に維持するように構成されている。このような圧力調節手段の一般的な動作原理は、それ自体でよく知られているので、本明細書でより詳細に説明する必要はない。なお、食品圧力調理器具1は、もちろん、他の操作部材(例えば、以下に詳述する開放安全手段5、過圧安全バルブ6等)を含むことができる。
【0027】
本発明による器具1はまた、蓋3とボウル2との関連によって形成される調理室が、室内の圧力の影響下で蓋3が逃げるという危険なしに、少なくとも上記の作動圧力に達することを可能にするような方法で、バヨネット式ロックシステムを含む。言い換えれば、ロックシステムは、ボウル2と蓋3の間に、調理室内の圧力上昇の影響下でボウル2から蓋3が分離するのを防ぐのに十分強固な機械的リンクを確保するように設計されている。より正確には、バヨネット式ロックシステムは、垂直中心軸X-X’を中心とするボウル2に対する蓋3の旋回によるロックおよびロック解除を確実にし、その後、蓋3がボウル2上に配置されて、ボウル2に自由に載っているロック待機構成(
図1)から、ボウル2及び蓋3が互いに作用してその自由分離を防止するロック構成(
図10)、及び、その逆に、器具1を切り替えさせるように設計されたものである。したがって、図に示す実施形態では、器具1は、中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストローク(例えば、10°~30°、好ましくは、10°~20°、例えば、15°)に沿って、ボウル2に対して蓋3が第1の方向に回転することにより、ロック待機構成からロック構成に切り替わる。逆に、器具1は、中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストロークに沿って、ボウル2に対して蓋3が第1の方向とは反対の第2の方向に回転することにより、ロック構成からロック待機構成に切り替わる。調理器具1のバヨネット式ロックシステムは、有利には、蓋3(
図5参照)及びボウル2(
図2参照)とそれぞれ一体であり、ボウル2に対する蓋3のロック及びロック解除を確実にするために、垂直中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストロークに沿って、ボウル2に対する蓋3の回転によって、相互に係合し、それぞれ離間するように設計されている第1及び第2の系列の突起7A~7J、8A~8Jから構成される。このようによく知られているように、第1及び第2の系列の突起7A~7J,8A~8Jは、それぞれ、2対2で協調するように意図されており、すなわち、系列の一方の各突起は、ボウル2に対する蓋3の回転によって、他の系列の対応する突起の下を通って、ボウル2に対する蓋3をロックさせるようにされる。図示の実施形態では、蓋3と一体の第1の系列の突起7A~7Jは、蓋3の内側に向かって半径方向に突出し、一方、ボウル2と一体の第2の系列の突起8A~8Jは、ボウル2の側壁2Bの外側面から、ボウル2の外側に向かって半径方向に突出している。しかし、蓋3のロック突起7A~7Jが蓋3の外側に向かって突出し、次に、ボウル2の突起8A~8Jがボウル2の内側に向かって放射状に突出することは完全に考えられることである。したがって、本発明は、バヨネットシステムのロックランプ(突起7A~7J,8A~8Jにより形成)の特定の構成に限定されるものではなく、本質的に、蓋ランプ及びボウルランプをそれぞれ形成する蓋の突起7A~7J及びボウルの突起8A~8Jである。ボウル2と蓋3が垂直中心軸X-X’を中心に相対的に回転することにより、蓋ランプがボウルランプの下に来るように互いに協力し、ボウル2と蓋3の間に調理室内の内圧に抵抗することができる機械的リンクを形成する。図示の例では、蓋の各突起7A~7Jは、蓋3を包む構成材料、より正確には突起7A~7Jが好ましくは一定間隔で配置されている環状帯3Bの局所的な体積変形によって得られた体積要素によって構成されている。したがって、各突起は、環状帯3Bと一体の隆起を形成し、一側で凸状の内側面を、他側で反対の凹状の外側面を定義することによって、環状帯から突出させ、例えば、成形工具、好ましくは、絞り工具の適用痕に対応する。しかしながら、本発明は、特定の突起7A~7Jの実施に絶対的に限定されるものではなく、特に、図に示される例のように、描画によって得られるものである。例えば、蓋の突起7A~7Jが、蓋3の環状帯3Bの自由端の内側への局所的な折り返しによって得られる平坦なタブによって形成されることは、完全に考えられることである。図示の例では、ボウルの突起8A~8Jは、自由上縁2Cから外側に突出する環状縁によって形成され、窪み9A~9Jが、蓋の突起7A~7Jの通過を可能にするように、環状縁を通して形成され、各窪み9A~9J間に延びる環状縁の部分が、蓋ランプをなす蓋の突起7A~7Jと協力するように意図したそれぞれのボウルランプを形成するようにされる。したがって、蓋3がボウル2を覆うとき、蓋の突起7A~7Jは、窪み9A~9Jを通過して環状縁部よりも低い位置に到達することができる。次に、器具1は、プレロック構成(ロック待機構成とも呼ばれる)にあり、そこから、垂直軸X-X’を中心にボウル2に対して蓋5を回転させるだけでロック構成に到達することができ、それは、蓋3の突起7A~7J及び環状縁部の窪み9A~9Jを角度的にオフセットする効果であり、「バヨネット」タイプのロックを提供する。
【0028】
本発明によれば、器具1はまた、好ましくは取り外し可能な方法で蓋3に取り付けられた支持体10を備え、蓋3が、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で、第1の回転軸Y-Y’(蓋3がボウル2上に置かれたときに垂直中心軸X-X’と合流する)を中心に支持体10に対して旋回できるように構成されている。蓋3と支持体10との間の旋回リンクは、任意の公知の手段で作ることができる。蓋3が支持体10に対して旋回することができる2つの位置は、器具1が
図1に図示されたプレロック構成(ロック待機構成)から、例えば、
図10に図示されたロック構成に切り替わるために必要なものに相当する所定の角度ストロークによって分離されている。
【0029】
好ましくは、器具1は、蓋3及び少なくとも支持体10の両方を含む蓋サブセット300を備え、ロック解除構成(すなわち、蓋3が支持体10に対して、ロック解除構成に対応する位置にある状態)の蓋サブセット200、及び、ボウル2が、器具1のプレロック構成に対応する少なくとも1つの所定の相対配置に従って組み合わせられるように設計されており、バヨネット式ロックシステムが、蓋サブセット300をロック解除構成からロック構成に切り替えるように、蓋3を第1の回転軸Y-Y’を中心に旋回させてボウルにロックさせることができるようになっている。言い換えれば、
図1に図示された所定の相対配置(プレロック配置)に従って、ロック解除構成の蓋サブセット300と、ボウル2とを組み合わせることにより、支持体10とボウル2との間に連動が生じ、これにより、支持体10がボウル2上に載った状態で垂直中心軸X-X’を中心に回転することを防止している。この支持体10とボウル2の相対的な角度位置のロックにより、支持体10はボウル2に対して動かない固定フレームの役割を果たし、それに関して、蓋3は垂直中心軸X-X’を中心に、所定の角度ストロークに沿って旋回でき、ロック解除状態(
図1に図示)からロック状態(
図10に図示)に切り換えることができる。
【0030】
有利には、支持体10及びボウル2は、ロック解除構成の蓋サブセット300及びボウル2が、所定の相対配置(
図1)に従って組み合わされるとき、互いに協力するように、好ましくは、互いに嵌合するように意図された相補的な支持体構造12,13及びボウル構造14,15をそれぞれ備えている。相補的な支持体構造12,13及びボウル構造14,15の嵌合は、水平面、すなわち、垂直中心軸X-X’に垂直な平面において、支持体10及びボウル2の相対角度位置をロックすることを可能とする。
【0031】
図示の実施形態では、ボウル2は、垂直中心軸X-X’に対して径方向に対向するように配置された2つのボウル構造14,15を備えている。これらの2つのボウル構造14,15は、有利には、図に見られるように、例えば、実質的にC字型のプロファイルを有する部品によって形成される。C字型部品は、例えば、それぞれボウルハンドル2D,2Eによって搬送され、及び/又はこれらのボウルハンドル2D,2Eに属する。有利には、支持体10は、ボウル構造14,15の形状と相補的なそれぞれの形状の2つの支持体構造12,13を含む。2つの支持体構造12,13は、有利には、第1の回転軸Y-Y’に対して蓋3上に径方向に対向して配置されており、支持体構造12,13は、有利には、蓋3から径方向に突出して、相補的なボウル構造14,15と協働して行く。しかしながら、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、支持体10及びボウル2がそれぞれ単一の支持体構造及び単一のボウル構造を備えること、あるいは、支持体10及びボウル2が、互いに嵌合することによって協力することを意図したそれぞれの支持体構造及びボウル構造に代えて、別のタイプの協力(摩擦、クリップ、磁気引力など)の実施に基づいて、別の性質の連動要素で支持体10とボウル2の相対角度位置がロックされることさえ完全に考えられる。有利には、各ボウル構造14,15は雌型要素を形成し、一方、各支持体構造12,13は、雌型要素と相補的な雄型要素を形成し、雄型要素は、有利には、支持体10とボウル2との間の垂直中心軸X-X’の回りの回転をブロックするリンクを確立すべく、雌型要素に挿入されるように意図されている。
【0032】
有利には、支持体10は、好ましくは、蓋3上に(旋回リンクによって蓋3に接続されている)、好ましくは、自由端である2つの対向端の間で長手方向に延びるクロスバー100からなる。クロスバー100は、有利には、蓋3上で径方向に延びる実質的に細長い部分によって形成されている。支持体10を形成するクロスバー100の対向する端部は、図に示すように、蓋3から半径方向に突出して、ボウル構造14,15を形成する相補的収容部とそれぞれ協働するように構成された支持体構造12,13を形成している。例えば、クロスバー100は、その自由端に、ボウル2と一体のC字型部品によって区画された収容部14,15を補完する支持体構造12,13を構成するフィンを形成する一体型剛性金属帯の形態である。
【0033】
したがって、蓋サブセット300は、ボウルサブセット400(ボウル2自体及び少なくともボウルハンドル2D,2E、ならびにこれらの後者によって有利に搬送されるボウル構造14,15によって形成)と関連して調理室を形成することを意図した独立した単一要素を形成する。言い換えれば、蓋サブセット300がロック解除構成にあるとき、所定の相対配置に対応する所定の位置でボウル2に対する支持体10のドッキングにより、蓋ランプ7A~7Jを、ボウルランプを隔てる窪み9A,9Jを介してボウルランプ8A~8Jの下に通過させることができるように蓋3及び支持体10が互いに相対配置し、その後、蓋サブセット300は待機位置でボウル2を覆うことになる。そして、この待機位置から蓋3をボウル2に対して相対的に旋回させ、蓋3をボウル2に対して相対的にロックすればよいことになる。言い換えれば、
図1に図示された所定の相対的なプレロック配置に従って組み合わされたロック解除構成のボウル2及び蓋サブセット300が、一旦、ボウル2に対する位置に支持体10を維持し、蓋ランプ7A~7Jをボウルランプ8A~8Jと対応させて、これらのボウルランプ8A~8Jの下に、蓋3を支持体10に対して旋回させ、蓋3をボウル2に対してロックすればよい。
【0034】
本発明によれば、調理器具1は、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材11を備えており、すなわち、制御部材11の手動操作によって、ロック解除構成からロック構成に、及び、その逆に有利に切り替えることができるように、バヨネット式ロックシステムを制御できるように、ユーザによって直接取り扱われるように構成されている。したがって、制御部材11は、有利には、器具1のプレロック構成(
図1)からロック構成(
図10)への切り替え、及び、その逆を制御することを可能にする。制御部材11は、ボウル2に対する蓋3のロック解除(
図1)及びロック(
図10)にそれぞれ対応する第1及び第2の位置の間で、支持体10に対する制御部材11の手動移動を可能にする機械的リンクによって、恒久的(図に示すように)又は取り外し可能な方法で、支持体10に取り付けられる。言い換えれば、制御部材11は、有利には、ユーザが手動で制御部材11を支持体10に対して第1の位置から第2の位置、及び、その逆に動かすことができるように、支持体10に対する可動性を維持しつつ、取り外し可能又は恒久的に、支持体10に取り付けられる。制御部材11は、さらに、制御部材11の手動移動を支持体10に対する蓋3の旋回に変換するための装置によって蓋3に接続されている。したがって、ユーザは、支持体10に対する制御部材11のその第1の位置と第2の位置との間の相対的な手動移動によって、ロック解除構成からロック構成への切り替え、及び、その逆を制御することが可能である。したがって、変換装置は、支持体10に対する制御部材11の動きを、この同じ支持体10に対する蓋3の回転運動、ここでは第1の軸Y-Y’についての回転運動に変換するように構成されており、蓋3がボウルランプ8A~8Jの下に蓋ランプ7A~7Jを有するボウル2の上に置かれると、ユーザが制御部材11を簡単に扱うことによって支持体10に対する蓋3の旋回によるロック/ロック解除をその方法で制御できるようにするものである。支持体構造12,13とボウル構造14,15との間の協働によって有利になされる支持体10とボウル2との間の相互作用のおかげで、制御部材11がその第1の位置と第2の位置との間(又はその逆)を移動するとき、支持体10がボウル2に対して、ここでは垂直中心軸X-X’について旋回することが防止される。
【0035】
本発明によれば、変換装置は、一方では、蓋3に取り付けられ、互いに離れて配置された少なくとも複数の被駆動構造16,17と、他方では、制御部材11の異なる位置に、互いに離れていて、全て制御部材11によって搬送される少なくとも複数の駆動構造18,19とから構成される。すなわち、被駆動構造16,17は、少なくとも2つ存在し、蓋3に対して、第1の軸Y-Y’を中心とする回転力を伝達できるように、蓋3上の互いに離れた位置にそれぞれ取り付けられる。また、駆動構造18,19は、少なくとも2つであり、また、制御部材11によって支えられつつ、互いに離れた位置に配置されている。つまり、駆動構造18,19は、いずれも制御部材11と同時に、制御部材11とともに移動し、すなわち、制御部材11の手動移動によって付与され、制御部材11自体がたどる軌跡(例えば、所定の角度ストロークに沿った回転)に類似した軌跡をたどることになる。第1の実施形態によれば、複数の駆動構造18,19は、制御部材11と一体であり、制御部材11と各駆動構造18,19との間の相対移動の可能性がなく、制御部材11と単一の同一の一体部品を形成している。図に示されているものに対応する別の実施形態によれば、器具1は、制御部材11と複数の駆動構造18,19との間の離脱可能な機械的リンクを確保する離脱可能なリンク装置42を備え、特定の異常事態において、制御部材11と後者によって搬送される駆動構造18,19との間の相対移動の可能性を提供している。以下、離脱可能なリンク装置42について、より詳細に説明する。
【0036】
本発明によれば、駆動構造18,19は、それぞれ、制御部材11の動きに応答して(ユーザによる手動操作の影響下で)、蓋3を、ここでは第1の軸Y-Y’を中心に、支持体10に対して回転させるための駆動トルクを生成するために寄与する複数のそれぞれの力を、これらの被駆動構造16,17に及ぼすために、同時に被駆動構造16,17を係合させる。この力は、回転駆動トルクを発生させるために、異なるそれぞれの方向及び/又は方法で作用させることが好ましい。言い換えれば、制御部材11は、蓋3の異なる点で、又は蓋3と一体の1つ又はいくつかの部品自体の異なる点で(部品(複数)は、好ましくは蓋3に対して可動性なく取り付けられている)、複数の同時の試みを蓋3に好ましくは直接適用し、複数の試みは、直接又は間接的に蓋3に適用されて第1の軸Y-Y’を中心として支持体10に対して蓋3を回転駆動するトルクを生成するように構成されている。この技術的措置のおかげで、蓋3はボウル2に対して持続的に中心を維持し、又は少なくとも、制御部材11のロック方向又はロック解除方向の手動操作の影響下で蓋3が支持体10に対して回転されるときに不用意に偏心する傾向がない。この偏心防止効果のおかげで、蓋3、シールガスケット(例えばエラストマーOリング)とボウル2の間の不都合な摩擦が減少する。これにより、ロック/ロック解除が容易に行えるようになる。蓋3、又は、蓋3に固定された1つ又は複数の部品の異なる位置に、同時に異なる力を加えることによって、駆動トルクを発生させるこの技術的手段により、支持体10に対する蓋3の、よりソフトで漸進的かつ連続的な回転も生じる。
【0037】
有利には、被駆動構造16,17は、ボウル2に対する蓋3の偏心防止に有利な対称性の効果から利益を得るように、第1の回転軸Y-Y’から等距離で配置されている。好ましくは、複数の被駆動構造16,17は、第1の回転軸Y-Y’に対して互いに反対側に配置された第1の被駆動構造16及びおよび第2の被駆動構造17を少なくとも、好ましくは唯一、含む。言い換えれば、この優先的な実施形態では、複数の被駆動構造は、第1の回転軸Y-Y’に対して径方向に対向して配置された第1及び第2の被駆動構造16,17のみを含む。本実施形態では、対称的に加えられる力のうち、その結果がゼロであるが、その結果の運動量がゼロではなく、蓋3を支持体10に対して回転させるトルクを発生させる数個の力を介して、蓋3の支持体10に対する回転を生成することが可能となる。この実施形態では、蓋3の回転は、2つの正反対の被駆動構造16,17で適用される2つの駆動力によってもたらされる持続的なバランスのおかげで、特に柔らかく、漸進的で、連続的である。
【0038】
有利には、複数の被駆動構造16,17及び複数の駆動構造18,19のうちの一方は、複数の雌型構造を形成し、一方、複数の被駆動構造16,17及び複数の駆動構造18,19のうちの他方は、雌型構造の内部にそれぞれ受け入れられる複数の雄型構造を形成する。図に示す例では、雄型構造は駆動構造18,19によって形成され、一方、雄型構造が受容される内側の相補的な雌型構造は被駆動構造16,17によって形成されている。しかし、この発明の趣旨を逸脱しない限り、逆の構成も十分に考えられる。
【0039】
有利には、各雄型構造は、それがそれぞれ受容される雌型構造内で、第1の回転軸Y-Y’に実質的に平行なスライド方向、すなわち有利には垂直スライド方向に沿ってスライド可能である。この優先的な実施形態では、各雌型構造は、例えば、そこに挿入される雄型構造の長手方向のガイドを可能にする空洞又は長方形の中空の形態であり、一方で、雄型構造がそれ自体の上で旋回するのを可能にする。このような配置は、極めて簡単で信頼性が高く、第1の回転軸Y-Y’とは異なる第2の軸を中心として旋回可能に取り付けられた制御部材11を実装することができる。
【0040】
図に示された優先的な実施形態によれば、制御部材11は、有利には、第2の回転軸Z-Z’を中心として支持体10に対して旋回可能に取り付けられる。好ましくは、制御人間工学を支持するために、図に示されているように、第2の回転軸Z-Z'は、第1の回転軸Y-Y'と交差する方向に平行であり、好ましくは、第1の回転軸Z-Z'に垂直である。蓋3の第1の回転軸Y-Y’に垂直な第2の回転軸Z-Z’を中心に支持体10に対して旋回する制御部材11の実装は、人間工学的観点から確かに有利であるが、ボウル2に対して蓋3を偏心させる傾向のある寄生的試みを引き起こす可能性がある。しかしながら、本発明のおかげで、より詳細には、蓋3に直接伝達されるトルクを作り出すために、制御部材11によって複数の力を同時に加えることで、この好ましくない偏向作用は抑制されるか、少なくとも低減される。有利には、制御部材11は、一方では、ロック解除構成に対応する伸長位置(第1の位置)であって、制御部材11が蓋3の真上で垂直方向に、ここでは外側に突出する位置と、他方では、ロック構成に対応する格納位置(第2の位置)であって、制御部材11が蓋3に向かって下に移動する位置との間で支持体10に対して旋回可能に搭載される。好ましくは、その伸長位置において、制御部材11は、垂直中心軸X-X’に対して(第1の軸Y-Y’に対してと同様に)実質的に平行な平均方向に沿って延び、一方、格納位置において、有利には、図に示されるように、垂直中心軸X-X’に対して実質的に垂直な平均方向に沿って延びている。この優先的な実施形態では、制御部材11は、それゆえ、その格納位置にあるときにそれを脇に追いやることを可能にする格納可能な特性を有している。
【0041】
有利には、駆動構造は、第2の回転軸Z-Z’を中心とする制御部材11の回転中に、それぞれが第2の回転軸Z-Z’を中心とし、第2の回転軸Z-Z’から離れた円軌道に沿って動くように、第2の回転軸Z-Z’と整列していない少なくとも第1の駆動構造18及び第2の駆動構造19から構成される。言い換えれば、図に示されたこの優先的な実施形態では、各駆動構造18,19は、第2の回転軸Z-Z’を中心とする弧状の軌道をたどるように、第2の回転軸Z-Z’に対して中心がずれていて、それ故、水平成分、すなわち第1の回転軸Y-Y’に対して垂直な平面に内接する力を対応する被駆動構造16,17に適用できるようになっている。
【0042】
有利には、第2の回転軸Z-Z’に垂直で、第1の回転軸Y-Y’が内接する第1の平面P1上への第1及び第2の駆動構造18,19の直交投影は、この同じ第1の平面P1上への第2の回転軸Z-Z’の直交投影の両側にそれぞれ配置されている。有利には、第1の回転軸Y-Y’に垂直で、第2の回転軸Z-Z’が内接する第2の平面P2上の第1及び第2の駆動構造18,19の直交投影はそれぞれ、有利には第1の平面P1に垂直であるこの同じ第2の平面P2上の第1の回転軸Y-Y’の直交投影の両側に少なくとも一部で配置されている。図示の実施形態に対応するこの具体的な構成では、2つの駆動構造18,19は、有利には、垂直中央面P1に関しても水平中央面P2に関しても対向して配置されている。この二重の垂直及び水平の対立と、第2の回転軸Z-Z’に対する駆動構造18,19の偏心のおかげで、第1及び第2の駆動構造18,19は、それらを搬送する制御部材11の手動運動の間、同一の角度振幅だが反対の方向のそれぞれの運動にさらされる。例えば、制御部材11がそのロック格納位置からそのロック解除拡張位置まで、例えば、90°の角度ストロークに沿って移動すると、平面P2の下で、第1の円弧に沿って第1の駆動構造18が第1の方向に移動し、同時に、平面P2に関して第1の円弧に対称な第2の円弧に沿って、かつ、平面P2の上で、第1の方向とは逆の第2の方向に第2の駆動構造19が移動することになる。制御部材11の移動の影響を受けた第1及び第2の各駆動構造18,19の移動は、各駆動構造18,19が第1及び第2の被駆動構造を形成する対応する収容部16,17にそれぞれ捕捉されつつ行われる。これにより、直接的又は間接的に、長方形の収容物の各々が被駆動構造16,17を有利に形成する、それらが取り付けられている蓋に駆動トルクを生成するような方法で、結果がゼロであるが、その総運動量がゼロではない、同じ強度の力を当該収容物の壁に適用することが可能になる。
【0043】
有利には、そして図に示されているように、制御部材11は、ハンドル11Aからなり、ハンドル11Aは、したがって、ループ又はアーチ形状を有する弓形部分の形態であり、ユーザがしっかりと握ることができるように、好ましくは、フルハンド又は少なくとも親指といくつかの指との間で構成される。もちろん、本発明は、制御部材11を形成するためのハンドルの実施に限定されるものではなく、制御部材11は、例えば、代替案として、実質的に直線的であるレバーによって構成することも、T字形、L字形のプロファイル、柄付き又はフレアノブ形状等を有することも可能である。ハンドル11Aは、第2の回転軸Z-Z’によって通される2つの端部110,111の間に延在する。言い換えれば、ハンドル11Aは、有利には、実質的にU字形又はC字形を有し、端部110,111において支持体10に対して関節でつながれている。
【0044】
好ましくは、両端部110,111はそれぞれ、複数の駆動構造のうちの1つの駆動構造18,19を担っている。例えば、図に示されるように、ハンドル11Aの各端部110,111は、有利には、第2の回転軸Z-Z’を中心としたハンドル11Aの回転取り付けのためにそれぞれのベアリング21A,21Bと協働する例えばそれぞれのピン110B,111Bを担うそれぞれの耳部110A,111Aを形成している。ベアリング21A,21Bは、それ自体、有利には、任意の適切な手段(ねじ止め等)により支持体10に取り付けられる。図に示されるように、各耳部110A,111Aは、有利には、ハンドルの内側に向かって配置され、他の耳部の内部面に面する内部面と、そこから対応するピン110B,111Bが第2の回転軸Z-Z’と同軸上に外側に延びる反対側の外部面を有している。
【0045】
図示しない実施形態によれば、駆動構造18,19は、各耳部110A,111Aの下面の内側に向かって突出することにより、それらを担う各耳部110A,111Aと一体のものとなっている。
【0046】
図に示される優先的な実施形態では、各駆動構造18,19は、対応する耳部110A,111A上に、第2の軸Z-Z’を中心として回転可能に取り付けられたそれぞれの中間部品18A,19Aによって担われている。各中間部品18A,19Aを支える、それぞれの耳部110A,111Aに対する回転可能性は、有利にはロックによって抑制される。後者は、例えば、各中間部品18A,19Aの表面に形成されてストライカーを形成する空洞22と、ハンドル11Aの各アームに、それぞれの耳部110A,111Aで開口する空洞によって形成されたそれぞれの収容部23A,24A内に弾性摺動可能に取り付けられた対応するボルト23,24とによって形成されている。この可逆的なロックは、有利には、上述の切り離し可能なリンク装置42に属する。以下、より詳細に公開する切り離し機能を可能にする。
【0047】
有利には、制御部材11の手動移動を蓋3の旋回に変換するための装置は、蓋3に、第1の回転軸Y-Y’と同軸に取り付けられたハブ25からなる。図示の実施形態によれば、ハブ25は、複数の被駆動構造16,17を支えている。図示されているように、ハブ25は、好ましくはその周縁部に、複数の被駆動構造16,17を形成している。したがって、被駆動構造16,17は、有利には、ハブ25によって支えられ、ハブ25と単一の同じ一体化した部分を形成する。ハブ25は、ハブ25を第1の軸Y-Y’を中心に回転させるための駆動力が直接、蓋3に伝達されるように、蓋3とハブ25との間に回転自在に直接又は間接的に取り付けられていることが好ましい。有利には、ハブ25は、調節バルブ4を受け入れる調節を区切るのを助けるキャップを形成する。そのために、ハブ25は、例えば、上壁25Aと環状の側壁25Bとを有するベル形状を有し、その表面には、垂直方向に延び、被駆動構造16,17を形成する2つの細長いキャビティが形成されている。チャンバ内の圧力を調節するためのバルブ4は、有利には少なくとも一部がキャップ25の下に配置されており、これにより、蓋3の中心のすぐ近くに、すなわち支持体10に対する回転ストロークが最小となる位置に配置されながら隠すことができ、これは、例えば、バルブ4と協力しやすい相補的機能要素の移植に有利で、そのために例えば上壁25Aに配置される。有利には、器具1はまた、蓋3上及びハブ25の下に配置されたプレート26を備え、好ましくは、ハブ25と共に調節バルブ4を受け入れる収容部を形成するような方法で構成されている。プレート26は、有利には、ハブ25と蓋3の両方に取り付けられており、駆動構造18,19とハブ25によって担われる被駆動構造16,17との間の協働を通じてハブ25に付与される第1の軸Y-Y’についての回転力を蓋3へ伝達するためのものである。したがって、調節バルブ4は、有利には、ハブ25によって少なくとも一部が覆われながら、プレート26によって搬送される。
【0048】
有利には、好ましくは、支持体10を形成するクロスバー100は、一方ではクロスバー100が、他方ではプレート26とハブ25とによって形成されるサブセットが、第1の回転軸Y-Y’を中心に相対回転可能であるように、プレート26とハブ25との間に配置されている。ハブ25は、プレート26に、例えば、ねじ止め、弾性嵌合などの手段で取り付けられ、クロスバー100がハブ25とプレート26との間に介在して挟まれることが好ましい。ハブ25及びプレート26は、このように第1の一体型サブセットを形成し、一方、制御部材11及びクロスバー100は、第2の一体型サブセットを形成し、第1及び第2の一体型サブセットは、第1の軸Y-Y’を中心として相対的に旋回可能に互いに組み立てられている。
【0049】
有利には、調節バルブ4は、好ましくは、プレート26によって支えられるため、第1の一体型サブセットに属する。例えば、プレート26は、好ましくは、プラスチック材料からなるカップの形態であり、蓋3を貫通して形成された中央孔29と同軸の孔26Aを備えている。カップ26は、有利には、蓋3の外側面31に面するように意図された下部面260と、反対側の、上部面261とを有する。後者の下部面260と上部面261の間には、カップを貫通するバルブ孔が配置されている。この孔は、下部面260において、シールガスケット33によって囲まれ、上部面261の側で、それ自体が、一方では縦穴35と、他方では排気管36と連通するチャンバ34に開口している。縦穴35は、例えば、第1の回転軸Y-Y’に平行な方向に沿って摺動可能に取り付けられた可動フラップ37を備えた、重り又はばねを備えたバルブ装置を受け取り、フラップ37は(重力又はばねなどの弾性体によって及ぼされる力の効果で)低い位置に戻される。フラップ37は、プレート26を形成するカップに配置された孔を通過して、蓋3を貫通して形成され、シールガスケット33のおかげでチャンバ34と密に連通するリーク孔38を閉鎖する。したがって、フラップ37は調理室内の圧力に敏感であり、交互にリーク孔38を開閉して、調理室内の圧力レベルを調節する。チャンバ内の圧力レベルが所定の作動圧力を超えると、フラップ37が持ち上がり、これにより調理室内に含まれる蒸気がまずチャンバ内34に到達し、次に、排気管36を通って外部に向かって放出される。有利には、器具1は、圧力調節バルブ4を較正するための装置をさらに備え、これにより、バルブ4がトリガーされる作動圧力のレベル、すなわち、フラップ37がその戻り位置から押し出されてリーク孔38を解放する圧力閾値を調節することができる。較正装置は、任意の既知のタイプ(例えば、フラップ37のリターンスプリングの圧縮に作用する)でよく、有利には手動制御装置39に連結されている。手動制御装置39は、例えば、第1の回転軸Y-Y’を中心に旋回可能に取り付けられ、2つの端部の間に延びるタブの形態であり、その一方は、バルブ4に接続されてバルブ4の較正に作用し、他方は、手動操作可能なスライド、ノブ又はレバーに接続されている。タブは、側壁25Bを貫通して配置されたスロット250を通過することにより、例えば、ハブ25の側壁25Bを通過する。もちろん、較正が調節可能なバルブ4の使用は完全に任意であり、較正がユーザによって変更できない調節バルブ4を使用することは完全に考えられる。
【0050】
有利には、第1の一体型サブセットは、プレートから、好ましくは下方に、第1の回転軸Y-Y’と同軸に突出する組立ロッド27も含んでいる。組立ロッド27は、第1の一体型サブセット内に配置され、第2の一体型サブセットが第1の回転軸Y-Y’を中心に、内部部分27Aの周りを旋回するように、クロスバー100を貫通して形成された孔28を通過する内部部分27Aを有している。ロッド27はまた、蓋3を貫通して形成された中央締結孔29、好ましくは、蓋3の中央を通過するネジ付き自由部分27Bを有し、ネジ付き自由部分27Bはナット32と協働して第1の一体型サブセットを蓋3に取付ける。有利には、組立ロッド27はフレアヘッドを含み、一方、ハブ25は、第1の回転軸Y-Y’に実質的に同軸に延在し、支持体10を介して形成された孔28及びプレート26を介して形成された孔26Aを通って、蓋3の外側面31に対して、蓋3を介して形成された孔29と同軸に支える管25Cからなる。ロッド27は、有利には、管25Cにねじ込まれ、この管には、ロッド27の頭部を支持することが意図される肩部を形成するくびれを有する。したがって、内部部分27Aは、蓋3の外側面31の側に配置され、一方、ネジ付き自由部分27Bは、蓋3に貫通形成された中央孔29を通過して、ナット32と協働するように意図されている。Oリング40、又は、他のシールシステムがロッド27にねじ込まれ、第1の一体型サブセットが蓋3に取り付けられる際の気密性を確保する。好ましくは、第1の一体型サブセットを蓋3に対して第1の回転軸Y-Y’を中心に回転させて固定するために、プレート26には、第1の回転軸Y-Y’から離間して配置され、プレート26の下部面260の底部に向かって突出するスタッド43が設けられる。スタッド43は、蓋3を貫通して形成された対応する塞ぎ穴44に挿入されることが意図されており、そのサイズはスタッド43に対するものと共役である。このスタッド43と塞ぎ穴44の協働のおかげで、プレート26に、それが取り付けられているハブ25を介して及ぼされる、第1の軸Y-Y’についての回転力は、蓋3に付与される。Oリング(図示せず)、又は、他の任意のシールシステムがスタッド43について有利に配置され、塞ぎ穴44を通じたチャンバ内部と外部との不用意な連通を防止する。
【0051】
有利には、第2の一体型サブセットはまた、中央孔41Aを有する上部環状キャップを形成するクラウン41を含んでいる。クラウン41は、プレート26、クロスバー100、ベアリング21A,21B及びピン110B,111Bを覆うとともに、その孔41Aからハブ25を出現させる。
【0052】
第1及び第2の一体型サブセットは、有利には互いに組み立てられており、それゆえ、組立ロッド27及びナット32によって、ここでは蓋3に取り外し可能に取り付けられた一体型制御モジュール200を形成している。
【0053】
有利なことに、開放安全手段5は、調理室内の圧力に敏感である。そのため、調理室内の圧力レベルの影響を受けて、異なる位置間で移動しやすくなっている。特に、開放安全手段5は、調理室内の圧力が大気圧よりも実質的に高い場合、又は、少なくとも大気圧よりも高い所定の圧力レベルよりも高い場合に、蓋3のロック解除を阻止する遮断位置(
図14及び
図15参照)を占めやすい。
【0054】
開放安全手段5は、例えば、蓋3に摺動可能に取り付けられた可動要素5Aからなり、ここでは、垂直中心軸X-X’に平行な摺動方向に沿って、支持体10が担う相補的な遮断構造5B(ここでは孔)と協働可能な上位置(停止位置)の間で垂直方向に摺動するようになっている。蓋3の支持体10に対する旋回を阻止するための位置と、蓋3の支持体10に対する自由な旋回を可能にするために、相補的な遮断構造5Bと干渉しない下の位置(戻り位置および停止位置)とがある。図に示されるように、可動要素5Aは、有利には、蓋3を貫通して形成されたリーク孔5Dに接続された管5C内で垂直にスライドすることを意図した指部によって形成されている。上側の位置では、指部がリーク孔5Dを密閉し、下側の位置では、孔5Dから蒸気を漏らすことができるようにする。可視化窓41Bは、さらに、指部5Aが上位置にあるときにユーザが見ることができるように、クラウン41を貫通して配置され、蓋3の安全なロック解除と両立しないほど高い圧力レベルの器具1内の存在を示す。ロック構成に達しない限り、可動要素5Aは、クロスバー100を貫通して形成された孔5Bと整列されず、したがって、クロスバー100の下及びそれに対して略一致するため、その上部密封位置に達するために上方に移動することが妨げられる(
図4参照)。これは、ロック構成に達しない限り、器具1の圧力上昇を防止し、不完全な閉鎖に対する安全性を構成する。
【0055】
有利には、係合解除可能なリンク装置42は、制御部材10がその第2の位置(ロック構成に対応する格納位置)からその第1の位置(ロック解除構成に対応する伸長位置)に移動したときに、制御部材10と複数の駆動構造18,19とを互いに係合解除するように構成されている。一方、開放安全手段5が遮断位置にあるとき、駆動構造18,19が被駆動構造16,17にいかなる駆動力も及ぼさないように、制御部材10が第2の位置から第1の位置へ自由に移動する。
【0056】
図に示された優先的な実施形態によれば、係合解除可能なリンク装置42は、少なくとも以下のものを含む。
-制御部材11に搬送され、制御部材11を形成するハンドル11Aの一端に回転自在に取り付けられた各中間部品20を有するとともに、
-収容部23A,24Aに摺動自在に案内され、各中間部品20の表面に形成された対応する空洞(ストライカー)22内に受け入れられてその回転を阻止するボルト23,24を備えている。
【0057】
係合解除可能なリンク装置42はまた、例えば、各ボルト23,24を受け入れる各収容部23A,24Aに配置され、各ボルト23,24を、各ボルト23,24がそれぞれ中間部品20(
図7参照)の表面に配置された対応する空洞22と係合するロック位置に弾性的に戻し、ハンドル11Aに対する中間部品20の回転を防止する弾性戻し要素(螺旋ばね又はその他図示せず)を含んでいる。開放安全手段5が遮断位置にあり、それにもかかわらずユーザがハンドル11Aを格納位置(蓋に折り畳まれた状態)から伸長位置に切り替えさせることを目指してロック解除力をハンドル11Aに作用させると、指部5Aがクロスバー100の孔5Bに挿入されてハブ25の回転が不能となる。このとき、ユーザがハンドル11Aに力を加え続けると、ユーザがハンドル11Aに及ぼす駆動力は、戻しバネによって各ボルト23,24に及ぼされる復帰力に打ち勝ち、各ボルト23,24は対応する空洞22から押し出され、結果、ハンドル11Aが動かないまま、各中間部品20に対して旋回することができるようになる。したがって、ハンドル11Aの回転運動は、ハブ25が駆動力を受けないように、各駆動構造18,19に付与されなくなる。これにより、ロック/ロック解除機構に不用意な力が加わり、制御機構の一部が破損することを防いでいる。ハンドル11Aは、その後、各ボルト23,24が対応する空洞22の反対側に位置し、バネによって発揮される復帰力の影響下で、再び、対応する空洞22に挿入され、結果、駆動構造18,19の第2の軸Z-Z’を中心とする回転駆動リンクを作るために、ユーザによって単にその格納位置まで戻すだけで再装着することが可能である。
【0058】
したがって、本発明による器具1は、高い安全性および信頼性レベルを有する。
【外国語明細書】