(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097447
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】制御モジュールを備えたバヨネット型圧力鍋
(51)【国際特許分類】
A47J 27/08 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
A47J27/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204836
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】2013738
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ローラン バライユ
(72)【発明者】
【氏名】エリック シャムロイ
(72)【発明者】
【氏名】エリック クリスチャン ジャックス レタト
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA08
4B055BA07
4B055BA38
4B055CA39
4B055CA82
(57)【要約】
【課題】簡単で安価な設計でありながら、簡単で柔軟な製造を可能にし、器具の洗浄及び保管、ならびにその可能な修理を単純化し、かつそれを容易にアップグレード可能にするデザインを有する新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【解決手段】本発明は、バヨネット型圧力調理器具に関し、ボウル(2)と、蓋(3)と、支持体(10)と、前記支持体(10)に取り付けられた手動ロック/ロック解除制御部材(11)と、前記手動制御部材によって搬送される駆動構造と、前記蓋に連結されて前記駆動構造によって係合することが意図されている被駆動構造と、圧力調節手段とを含み、前記器具は、前記蓋に取り外し可能に取り付けられ、少なくとも前記圧力調節手段及び前記被駆動構造を支持する制御モジュールを備える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品圧力調理器具(1)であって、
-ボウル(2)と、前記ボウル(2)に対してロックされ、前記ボウル(2)とともに圧力上昇に適合した調理室を形成することを意図した蓋(3)と、
-前記ボウル(2)に対して前記蓋(3)を旋回させることにより、前記ボウル(2)に対する前記蓋(3)のロック及びロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、
-前記蓋(3)が、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で第1の回転軸(Y-Y’)を中心に、相対的に旋回できるように前記蓋(3)に取り付けられることを意図した支持体(10)と、
-手動で操作可能なロック/ロック解除制御部材(11)であって、前記制御部材(11)の前記支持体(10)に対する手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体(10)に取り付けられていることを意図した、制御部材(11)と、
-前記制御部材(11)の手動移動を、前記支持体(10)に対する前記蓋(3)の旋回に変換する変換装置であって、前記手動制御部材(11)によって搬送されることを意図した少なくとも1つの駆動構造(18,19)と、前記蓋(3)に連結されて、前記駆動構造(18,19)によって係合することを意図した少なくとも1つの被駆動構造(16,17)とを含む、変換装置と、
-前記調理室内の圧力を設定値に維持するため圧力調節手段(4)と、を備え、
前記器具(1)は、前記蓋(3)に取り外し可能に取り付けられた制御モジュール(200)を備え、前記制御モジュール(200)は、少なくとも前記圧力調節手段(4)及び前記被駆動構造(16,17)を含む少なくとも1つの第1のサブセット(200A)を有することを特徴とする、食品圧力調理器具(1)。
【請求項2】
少なくとも前記制御部材と、前記少なくとも1つの駆動構造(18,19)、及び、前記支持体(10)を含む第2のサブセット(200B)を備え、前記第2のサブセット(200B)は、前記第1の回転軸(Y-Y’)に関して、前記第1のサブセット(200A)に対して旋回可能に取り付けられることを意図している、請求項1に記載の器具(1)。
【請求項3】
前記第1及び第2のサブセット(200A,200B)は、互いに取り外し可能に取り付けられている、請求項2に記載の器具(1)。
【請求項4】
前記制御モジュール(200)は、前記第2のサブセット(200B)を担っている、請求項2又は請求項3に記載の器具(1)。
【請求項5】
前記蓋(3)及び少なくとも前記支持体(10)の両方を含む蓋サブセット(300)を備え、ロック解除構成の前記蓋サブセット及び前記ボウル(2)は、前記蓋サブセット(300)がロック解除構成からロック構成に切り替わるように、前記第1の回転軸(Y-Y’)を中心に前記蓋(3)を旋回させることによって前記バヨネット式ロックシステムが前記蓋(3)を前記ボウル(2)にロックできるように、少なくとも一つの所定の相対配置に従って組み合わせられた設計により構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項6】
前記支持体(10)及び前記ボウル(2)は、前記ロック解除構成の前記蓋サブセット(300)及び前記ボウル(2)が前記所定の相対配置に従って組み合わされたときに、互いに嵌合して協力することを意図した相補的な支持体構造(12,13)及びボウル構造(14,15)をそれぞれ備え、この嵌合により、前記支持体(10)と前記ボウル(2)の水平面内での相対的な角度位置をロックすることが可能であり、前記支持体(10)は、前記支持体構造(12,13)を形成するために、前記蓋(3)から半径方向に突出する両端部間の長手方向に延びるクロスバー(100)を含み、これらの前記支持体構造(12,13)は、前記ボウル構造(14,15)を形成するそれぞれの相補的収容部と協働するように構成される、請求項5に記載の器具(1)。
【請求項7】
前記被駆動構造(16,17)及び前記駆動構造(18,19)のうちの一方は、雌型構造を形成し、前記被駆動構造(16,17)及び前記駆動構造(18,19)のうちの他方は、前記雌型構造の内部にそれぞれ受け入れられる雄型構造を形成し、前記雄型構造は、受け入れられている前記雌型構造内を、前記第1の回転軸(Y-Y’)に実質的に平行なスライド方向に沿ってスライド可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項8】
前記制御部材(11)は、前記第1の回転軸(Y-Y’)に垂直な第2の回転軸(Z-Z’)を中心として、前記支持体(10)に対して旋回可能に取り付けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項9】
前記制御部材(11)は、前記第2の回転軸(Z-Z’)によって通される2つの端部(110,111)の間に延びるハンドル(11A)を備え、前記駆動構造は、前記2つの端部(110,111)の一方によって担われる、請求項8に記載の器具(1)。
【請求項10】
前記第1のサブセット(200A)は、前記蓋(3)に、前記第1の回転軸(Y-Y’)と同軸に取り付けられるように意図されたハブ(25)を含み、前記ハブ(25)は、前記少なくとも1つの被駆動構造(16,17)を担っている、請求項1から9のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項11】
前記ハブ(25)は、前記圧力調節手段(4)を受け入れる収容部を区切るのに役立つキャップ(25)を形成する、請求項10に記載の器具(1)。
【請求項12】
前記ハブ(25)の下に、前記ハブ(25)との前記収容部を形成するように取り付けられたプレート(26)を備え、前記第1のサブセット(200A)は、前記プレート(26)を含み、前記変換装置は、前記第1のサブセット(200A)及び前記蓋(3)によってそれぞれ担われ、前記第1のサブセット(200A)による前記蓋(3)の前記第1の回転軸(Y-Y’)に関する回転駆動を可能にするために互いに協働するように意図されている第1及び第2の相補的伝達部材(43,44)を含む、請求項11に記載の器具(1)。
【請求項13】
前記調理室内の圧力に敏感で、前記調理室内の圧力が大気圧よりかなり高いときに、前記蓋(3)のロック解除を防ぐ遮断位置を占める責任を負う開放安全手段(5)を備え、前記開放安全手段(5)は、前記蓋(3)に恒久的に取り付けられ、前記開放安全手段(5)は、ロック位置において、前記第2のサブセット(200B)と協働して、前記蓋(3)及び前記第2のサブセット(200B)を前記第1の軸(Y-Y’)周りの回転不能とすることが意図されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項14】
前記制御部材(11)と各駆動構造(18,19)との間の切り離し可能な機械的リンクを確保する係合解除可能なリンク装置(42)を備え、前記制御部材(11)は、前記ボウル(2)に対する前記蓋(3)のロック解除及びロックにそれぞれ対応する第1及び第2の位置の間で前記支持体(10)に対して移動可能に取り付けられており、前記係合解除可能なリンク装置(42)は、前記制御部材(10)が、第2の位置から第1の位置へ自由に移動できるように、前記開放安全手段(5)が遮断位置にあるときに、前記制御部材(10)と各駆動構造(18,19)の連結を解除するように構成されており、前記第2のサブセット(200B)は、前記係合解除可能なリンク装置(42)を支持している、請求項13に記載の器具(1)。
【請求項15】
前記制御モジュール(200)によって支持され、前記制御モジュール(200)から突出する組立ロッド(27)を備え、前記器具は、前記蓋(3)を貫通して形成され、前記制御モジュール(200)を前記蓋(3)に取り付けるために前記ロッド(27)が通過することが意図される中央締結孔(29)を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の圧力調理器具の一般的な技術分野に関し、特に、圧力が上昇する調理室を形成して、そこに収容された食品を確実に蒸気圧調理することを目的とした圧力調理器タイプの家庭用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、
ボウルと、前記ボウルに対してロックされ、前記ボウルとともに圧力上昇に適合した調理室を形成することを意図した蓋と、
前記蓋を前記ボウルに対して旋回させることにより、前記ボウルに対する前記蓋のロックおよびロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、
前記蓋が、第1の回転軸を中心に、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で相対的に旋回できるように前記蓋に取り付けられることを意図した支持体と、
前記支持体に対する前記制御部材の手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体に取り付けられるように意図された、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材と、
前記制御部材の手動移動を前記支持体に対する前記蓋の旋回に変換する変換装置であって、前記手動制御部材によって搬送されることを意図した少なくとも1つの駆動構造と、前記蓋に取り付けられ、前記駆動構造によって係合されることを意図した少なくとも1つの被駆動構造とを含む、変換装置と、
前記調理室内の圧力を設定値レベルに維持するための圧力調節手段と、を備える食品圧力調理器具に関するものである。
【0003】
特に、家庭用の食品圧力調理器具はよく知られている。一般的には、金属製のボウルの上に、柔軟な環状のシールガスケットを使って金属製の蓋をしっかりと取り付け、圧力を上昇させることができる調理室を形成することを目的としている。
【0004】
蓋は、ロック手段を介してボウルに連結されており、蓋をボウルに対してロックした状態では、調理室の圧力が上昇し、ロックを解除した状態では、蓋がボウルから自由に外れるようになっている。
【0005】
従来の技術では、様々なタイプのロック手段が知られている。最も広く普及しているシステムの1つに、バヨネット式ロックシステムがある。これは、ボウルと蓋に勾配を実装することで、蓋の回転後に相互にスライドして接触し、圧力上昇の影響でボウルと蓋が分離するのを防ぐ機械的な保持リンクを確保することを目的としている。
【0006】
蓋の勾配は、従来、蓋の環状の立ち下がり縁を内側に局所的に折り曲げて作られていたが、ボウルの勾配は、ボウルの自由上縁を折り曲げて切断することで得られる。
【0007】
このようなバヨネット式ロックシステムは、特に、比較的軽量で、製造が簡単で、信頼性が高いことから、十分に満足できるものである。
【0008】
しかし、その最も基本的な実施形態では、特に実用性と人間工学の面でいくつかの重大な欠点がある。
【0009】
このような問題を解決するために、バヨネット型圧力鍋は、キャリッジのスライド移動を駆動する回転制御アーチの実装に基づく力の低減制御機構を備え、それに応じて蓋の回転駆動を可能にするロッドシステムを作動させることが提案されている。
【0010】
このようなシステムは、使いやすさや人間工学の観点からも十分に満足できる。ただし、いくつかの欠点もある。
【0011】
特に、この公知の圧力調理器のメンテナンスと洗浄は、特に、蓋に取り付けられた非常に多くの部品(特に可動部品)を考慮すると、複雑で面倒であることが判明する可能性がある。そのため、この公知の圧力調理器を食器洗い機で洗うことは不可能ではないにせよ、複雑である。蓋に取り付けられた多くの部品は、直接又は間接的に安全機能を保証する。そのため、熱や機械的なストレスが繰り返しかかると、経年劣化や破損の原因となるため、避けなければならない。このため、上記の部品や機構を維持するために、この既知の機器を食器洗い機で完全に洗浄することは禁止されている。さらに、この公知の圧力調理器の蓋の嵩は、他の考慮事項とは別に、食器洗浄機での洗浄を強く制限し、あるいはそれ自体を禁止する。
【0012】
また、この既知の圧力鍋の蓋の嵩は、ストックや収納を複雑にしている。
【0013】
さらに、この公知の圧力調理器が実施する力軽減システムを形成する複数の可動部品(回転アーチ、スライドキャリッジ、ロッドなど)の1つが破損又は損傷した場合、その修理は専門家であっても手間と時間がかかることがある。
【0014】
最後に、上記の公知の圧力調理器の商業的範囲に属する特徴的な兆候のほとんどは、一般に蓋に取り付けられた部品に位置している。実際、これらの部品は、カバーそのものよりも簡単かつ低コストで、圧力調理器を視覚的に明確に識別できるよう、形状や色、あるいは表面の形状を工夫することが可能である。そのため、同じサイズの圧力調理器であれば、蓋とボウルを別々に作り、蓋に取り付けられた制御機構の部品で差別化することが、工業標準化の観点からも望ましいとされている。
【0015】
したがって、製品の差別化という工業的な作業をできるだけ遅く行うことは、在庫の柔軟性を最大限に生かし、市場の要求に応じてそのようなモデルの生産を最適に調整するために、特に興味深いことである。
【0016】
しかしながら、本明細書に記載された公知の圧力調理器によって実装される制御機構の複雑さは、複数の可動部品(回転アーチ、スライドキャリッジ、ロッドなど)の実装から生じ、生産ラインにおいて、蓋によって搬送される機構の異なる部品を比較的早期に実装する必要があるので、公知の設計は、工業プロセスの最後で製品の差別化を防止することが可能である。このように製品の後発的な差別化ができないことに加え、上記のような既知の圧力調理器の設計では、柔軟で分散化された産業組織の恩恵を受けることもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明に割り当てられた目的は、本明細書に列挙した異なる欠点を改善し、特に簡単で安価な設計でありながら、特に簡単で柔軟な製造を可能にし、器具の洗浄及び保管、ならびにその可能な修理を単純化し、かつそれを容易にアップグレード可能にするデザインを有する新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0018】
本発明の別の目的は、工業的な製造を最適化することができる、特に信頼性が高くコンパクトな設計の新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0019】
本発明の別の目的は、特に便利な新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0020】
本発明の別の目的は、特に軽量で堅牢な新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0021】
本発明の別の目的は、工場での組み立てが容易で、製品の差別化が図れる設計の新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0022】
本発明の別の目的は、使用上の安全性が高い新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0023】
本発明の別の目的は、特に人間工学的に優れ、顕著な使い心地を提供する新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0024】
本発明の別の目的は、特に直感的に使用できる新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【0025】
本発明の別の目的は、保管や食器洗い機での洗浄が容易で便利な、新しい食品圧力調理器具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的を達成させる食品圧力調理器は、
-ボウルと、前記ボウルに対してロックされ、前記ボウルとともに圧力上昇に適合した調理室を形成する蓋と、
-前記蓋を前記ボウルに対して旋回させることにより、前記ボウルに対する前記蓋のロックおよびロック解除を確実に行うように構成されたバヨネット式ロックシステムと、
-前記蓋が、第1の回転軸を中心に、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で相対的に旋回できるように前記蓋に取り付けられることが意図された支持体と、
-前記支持体に対する前記制御部材の手動移動を可能にする機械的リンクによって前記支持体に取り付けられるように意図された、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材と、
-前記制御部材の手動移動を前記支持体に対する前記蓋の旋回に変換する変換装置であって、前記変換装置は、前記手動制御部材によって搬送されることを意図した少なくとも1つの駆動構造と、前記蓋に連結され前記駆動構造によって係合されることを意図した少なくとも1つの被駆動構造とを含む、変換装置と、
-前記調理室内の圧力を設定値に維持する圧力調節手段と、を備え、
前記器具は、前記蓋に取り外し可能に取り付けられた制御モジュールを備え、前記制御モジュールは、少なくとも前記圧力調節手段及び前記被駆動構造を含む、少なくとも1つの第1のサブセットを支持する。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、純粋に例示的かつ非限定的な例として与えられた添付の図面を参照しながら、以下の説明を読むと、より詳細に現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による食品圧力調理器具を概略斜視図で示し、この器具は、バヨネット式ロックシステムが蓋の旋回によって蓋をボウルにロックすることを可能にする所定の相対配置で、蓋がボウル上に置かれるロック解除構成にあり、所定の相対配置は、そのロック/ロック解除制御部材がボウルに対する蓋のロック解除に対応して、伸長位置に配置される器具のロック待機構成に対応する。
【
図2】
図2は、
図1の調理器具の分解図であり、ここでは、ボウルサブセット、蓋、及び、好ましくは取り外し可能に蓋に取り付けられることを意図した制御モジュールによってそれぞれ形成された3つのユニットで構成されており、蓋と共にボウル上に追加されることを意図した蓋サブセットを形成している。
【
図4】
図4は、
図1から
図3の器具の詳細、より正確には蓋サブセットの実現の詳細を、斜視上面図で示す。
【
図6】
図6は、
図1から
図5の調理器具の蓋サブセットを形成する構成要素の一部を見ることができる分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1から
図6の調理器具の蓋に装着される制御モジュールを示す部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図7の制御モジュールを模式的に示す底面図である。
【
図9】
図9は、
図1の調理器具の蓋サブセットを示す断面図である。
【
図10】
図10は、先の図の調理器具を概略的な斜視上面図で示し、これは、ロック構成で、蓋がボウルに対してロックされ、ロック/ロック解除制御部材が折り畳み位置にある状態である。
【
図12】
図12は、先の図の調理器具の蓋のサブセットの部分断面図を示し、この調理器具は、蓋のロック解除を防止する遮断位置を占める開放安全手段を備え、制御部材は、ボウルに対する蓋のロック解除およびロックにそれぞれ対応するその第1および第2の極限位置の間の中間位置にあり、制御部材は、制御部材と、後者によって搬送される各駆動構造との間の機械的リンクを確保する切り離し可能なリンク装置によって作動する切り離しの効果下で、各駆動構造から切り離される。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態による食品圧力調理器具を概略的な斜視図で示し、ロック/ロック解除制御部材が折り畳まれた位置にある状態で、蓋がボウルに対してロックされるロック構成であることを示す。
【
図14】
図14は、
図13の調理器具から着脱可能な蓋と制御モジュールを斜視上面図で示したもので、制御モジュールは蓋から着脱される。
【
図16】
図16は、
図14及び
図15の制御モジュールを示し、ここでは互いに切り離された第1及び第2のサブセットによって形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図に示すように、本発明は、蒸気、例えば水蒸気の存在下で、大気圧よりも高い圧力レベルでの各種食品の調理を確実に行うことを目的とした、食品圧力調理器具1に関するものである。蒸気は、器具1内で、食品の存在下で、調理用液体、例えば、水性液体を加熱することによって発生する。本発明による器具1は、優先的に家庭での使用を意図しているが、本発明は、専門的又は半専門的な器具にも関連し得ることが理解される。本発明による器具1は、外部圧力を加えることなく、専ら加熱源(内蔵又は外部)の効果によって圧力が上昇するように設計されている。したがって、食品圧力調理器具1は、圧力調理器具を構成し、その内容物を加熱するために独立した調理用プレート上に置かれることを優先的に意図している。本発明による調理器具1は、調理される食品を受けることを意図された、調理容器を形成する少なくともボウル2を含み、ボウル2は、器具1が通常動作しているとき、すなわち、水平面上に置かれているときの、垂直方向に例えられる方向に沿って延びる垂直中心軸X-X’についての回転対称性を実質的に有している。ボウル2は、従前どおり、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料で作られている。ボウル2は、例えば、多層熱伝導体底部である底部2Aからなる。また、ボウル2は、底部2Aと自由上縁2Cとの間に立ち上がる環状側壁2Bを有し、この側壁は、ここでは円形状であり、ボウル2の内部にアクセスするための開口を画定するものである。この自由上縁2Cの形状は、器具1のロック手段との関係で、以下により詳細に説明される。有利には、そして図に示されているように、調理器具1は、ボウル2から外側に突出するような方法で、ボウル2に取り付けられる少なくとも1つのボウルハンドル2Dから構成される。図示の実施形態では、ボウルハンドル2Dは、ボウル2の外側に向かって半径方向に延びるように、かつ、ボウル2を取り扱うために(例えば、持ち上げて動かすために)ユーザが手で取ることを意図したグリップを形成するように、ボウル2の側壁2Bの外側面に取り付けられている。図示の実施形態では、調理器具1は、ボウル2の側壁2Bに、中心軸X-X’に対して径方向に対向するように取り付けられた2つの同一のハンドル2D,2Eからなり、ボウルハンドル2D,2Eは、ボウル2の自由上縁2Cの近くに配置されている。しかし、ボウル2が1つのボウルハンドルだけを備えること、又は、2つ以上のボウルハンドル(例えば、3つ又は4つ)を備えることは、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、完全に考えられることである。
【0030】
本発明による器具1はまた、ボウル2に関連付けられ、ボウル2に対してロックされて、圧力上昇に適合した調理室、すなわち、器具1の圧力上昇を可能にするのに十分に堅い調理室を一緒に形成することを意図した蓋3から構成される。この密閉された堅固な特性を得るために、器具1は、有利には、例えば、エラストマーからなる柔軟な環状ガスケットによって形成され、蓋3とボウル2との間に介在され、調理室の内部と外部との間の蒸気及び/又は空気の制御されていない漏れを防止するように意図された密閉ガスケット(図示せず)を含む。蓋3は、従前どおり、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料で作られている。それは、有利には、ボウル2の形状に共役な形状、例えば、一般に円盤状の形状を有し、有利には、それがボウル2に加えられロックされたときに、ボウル2の底部2Aの延在平面(すなわち、ここでは、実質的に水平面)に実質的に平行に延在している。蓋3は、ボウル2に面することを意図した内面30と、その反対側の外側面31を有する。図示の実施形態では、蓋3は、ボウル2の環状側壁2Bの自由上縁2Cによって区画されるアクセス開口のものと共役な形状及びサイズの円板状被覆要素3Aを含む。この実施形態では、蓋3は、例えば、実質的に円筒形又は切頭形状の環状帯3Bも有利に含む。図示の実施形態では、環状帯3Bは、円板状被覆要素3Aの周縁から下方に延びる立ち下がり縁によって形成されている。この実施形態では、蓋3は、環状帯3Bが環状側壁2Bの上部と自由上縁2Cとを外側から囲むように、ボウル2の上部を実質的に調節して覆うようになっており、一方、円板状被覆要素3Aは、ボウル2と蓋3との間に介在するシールガスケット(図示せず)を介して、自由上縁2Cに対して負担をかけるようになっている。しかし、環状帯3Bが、代替案として、ボウル2内に挿入され、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、ボウル2によって囲まれ、ボウル2内に含まれるように意図されていることは、完全に考え得る。
【0031】
本発明による食品圧力調理器具1は、好ましくは、調理室内の圧力を設定点レベルに維持するための、例えば、荷重、又は、ばね式の弁を含む圧力調節手段4からなり、これは、ユーザによって調整可能であり得る(調整可能な較正弁)。有利には、圧力調節手段4は、例えば、蓋3によって搬送されるような方法で、好ましくは、蓋3に取り付けて構成される。圧力調節手段4は、調理室内の圧力を、例えば、約10~120kPa、好ましくは、100kPaのオーダーで、ある閾値だけ大気圧を超える、作動圧力と呼ばれる実質的に一定の所定値(設定値レベル)に維持するように構成されている。このような圧力調節手段の一般的な動作原理は、それ自体でよく知られているので、本明細書でより詳細に説明する必要はない。なお、食品圧力調理器具1は、もちろん、他の操作部材(例えば、以下に詳述する開放安全手段5、過圧安全バルブ6等)を含むことができる。
【0032】
本発明による器具1はまた、蓋3とボウル2との関連によって形成される調理室が、室内の圧力の影響下で蓋3が逃げるという危険なしに、少なくとも上記の作動圧力に達することを可能にするような方法で、バヨネット式ロックシステムを含む。言い換えれば、ロックシステムは、ボウル2と蓋3の間に、調理室内の圧力上昇の影響下でボウル2から蓋3が分離するのを防ぐのに十分強固な機械的リンクを確保するように設計されている。より正確には、バヨネット式ロックシステムは、垂直中心軸X-X’を中心とするボウル2に対する蓋3の旋回によるロックおよびロック解除を確実にし、その後、蓋3がボウル2上に配置されて、ボウル2に自由に載っているロック待機構成(
図1)から、ボウル2及び蓋3が互いに作用してその自由分離を防止するロック構成(
図10)、及び、その逆に、器具1を切り替えさせるように設計されたものである。したがって、図に示す実施形態では、器具1は、中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストローク(例えば、10°~30°、好ましくは、10°~20°、例えば、15°)に沿って、ボウル2に対して蓋3が第1の方向に回転することにより、ロック待機構成からロック構成に切り替わる。逆に、器具1は、中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストロークに沿って、ボウル2に対して蓋3が第1の方向とは反対の第2の方向に回転することにより、ロック構成からロック待機構成に切り替わる。調理器具1のバヨネット式ロックシステムは、有利には、蓋3(
図5,15,18参照)及びボウル2(
図2参照)とそれぞれ一体であり、ボウル2に対する蓋3のロック及びロック解除を確実にするために、垂直中心軸X-X’を中心とする所定の角度ストロークに沿って、ボウル2に対する蓋3の回転によって、相互に係合し、それぞれ離間するように設計されている第1及び第2の系列の突起7A~7J、8A~8Jから構成される。このようによく知られているように、第1及び第2の系列の突起7A~7J,8A~8Jは、それぞれ、2対2で協調するように意図されており、すなわち、系列の一方の各突起は、ボウル2に対する蓋3の回転によって、他の系列の対応する突起の下を通って、ボウル2に対する蓋3をロックさせるようにされる。図示の実施形態では、蓋3と一体の第1の系列の突起7A~7Jは、蓋3の内側に向かって半径方向に突出し、一方、ボウル2と一体の第2の系列の突起8A~8Jは、ボウル2の側壁2Bの外側面から、ボウル2の外側に向かって半径方向に突出している。しかし、蓋3のロック突起7A~7Jが蓋3の外側に向かって突出し、次に、ボウル2の突起8A~8Jがボウル2の内側に向かって放射状に突出することは完全に考えられることである。したがって、本発明は、バヨネットシステムのロックランプ(突起7A~7J,8A~8Jにより形成)の特定の構成に限定されるものではなく、本質的に、蓋ランプ及びボウルランプをそれぞれ形成する蓋の突起7A~7J及びボウルの突起8A~8Jである。ボウル2と蓋3が垂直中心軸X-X’を中心に相対的に回転することにより、蓋ランプがボウルランプの下に来るように互いに協力し、ボウル2と蓋3の間に調理室内の内圧に抵抗することができる機械的リンクを形成する。図示の例では、蓋の各突起7A~7Jは、蓋3を包む構成材料、より正確には突起7A~7Jが好ましくは一定間隔で配置されている環状帯3Bの局所的な体積変形によって得られた体積要素によって構成されている。したがって、各突起は、環状帯3Bと一体の隆起を形成し、一側で凸状の内側面を、他側で反対の凹状の外側面を定義することによって、環状帯から突出させ、例えば、成形工具、好ましくは、絞り工具の適用痕に対応する。しかしながら、本発明は、特定の突起7A~7Jの実施に絶対的に限定されるものではなく、特に、図に示される例のように、描画によって得られるものである。例えば、蓋の突起7A~7Jが、蓋3の環状帯3Bの自由端の内側への局所的な折り返しによって得られる平坦なタブによって形成されることは、完全に考えられることである。図示の例では、ボウルの突起8A~8Jは、自由上縁2Cから外側に突出する環状縁によって形成され、窪み9A~9Jが、蓋の突起7A~7Jの通過を可能にするように、環状縁を通して形成され、各窪み9A~9J間に延びる環状縁の部分が、蓋ランプをなす蓋の突起7A~7Jと協力するように意図したそれぞれのボウルランプを形成するようにされる。したがって、蓋3がボウル2を覆うとき、蓋の突起7A~7Jは、窪み9A~9Jを通過して環状縁部よりも低い位置に到達することができる。次に、器具1は、プレロック構成(ロック待機構成とも呼ばれる)にあり、そこから、垂直軸X-X’を中心にボウル2に対して蓋5を回転させるだけでロック構成に到達することができ、それは、蓋3の突起7A~7J及び環状縁部の窪み9A~9Jを角度的にオフセットする効果であり、「バヨネット」タイプのロックを提供する。
【0033】
本発明によれば、器具1はまた、取り外し可能(
図1-12)又は恒久的(
図13-18)な方法で蓋3に取り付けられることを意図した支持体10を備え、蓋3が、ロック解除構成とロック構成にそれぞれ対応する2つの位置の間で、第1の回転軸Y-Y’(蓋3がボウル2上に置かれたときに垂直中心軸X-X’と合流する)を中心に支持体10に対して旋回できるように構成されている。蓋3と支持体10との間の旋回リンクは、任意の公知の手段で作ることができる。蓋3が支持体10に対して旋回することができる2つの位置は、器具1が
図1に図示されたプレロック構成(ロック待機構成)から、例えば、
図10,
図13に図示されたロック構成に切り替わるために必要なものに相当する所定の角度ストロークによって分離されている。
【0034】
好ましくは、器具1は、蓋3及び少なくとも支持体10の両方を含む蓋サブセット300を備え、ロック解除構成(すなわち、蓋3が支持体10に対して、ロック解除構成に対応する位置にある状態)の蓋サブセット200、及び、ボウル2が、器具1のプレロック構成に対応する少なくとも1つの所定の相対配置に従って組み合わせられるように設計されており、バヨネット式ロックシステムが、蓋サブセット300をロック解除構成からロック構成に切り替えるように、蓋3を第1の回転軸Y-Y’を中心に旋回させてボウルにロックさせることができるようになっている。言い換えれば、
図1に図示された所定の相対配置(プレロック配置)に従って、ロック解除構成の蓋サブセット300と、ボウル2とを組み合わせることにより、支持体10とボウル2との間に連動が生じ、これにより、支持体10がボウル2上に載った状態で垂直中心軸X-X’を中心に回転することを防止している。この支持体10とボウル2の相対的な角度位置のロックにより、支持体10はボウル2に対して動かない固定フレームの役割を果たし、それに関して、蓋3は垂直中心軸X-X’を中心に、所定の角度ストロークに沿って旋回でき、ロック解除状態(
図1に図示)からロック状態(
図10,
図13に図示)に切り換えることができる。
【0035】
有利には、支持体10及びボウル2は、ロック解除構成の蓋サブセット300及びボウル2が、所定の相対配置(
図1)に従って組み合わされるとき、互いに協力するように、好ましくは、互いに嵌合するように意図された相補的な支持体構造12,13及びボウル構造14,15をそれぞれ備えている。相補的な支持体構造12,13及びボウル構造14,15の嵌合は、水平面、すなわち、垂直中心軸X-X’に垂直な平面において、支持体10及びボウル2の相対角度位置をロックすることを可能とする。
【0036】
図示の実施形態では、ボウル2は、垂直中心軸X-X’に対して径方向に対向するように配置された2つのボウル構造14,15を備えている。これらの2つのボウル構造14,15は、有利には、図に見られるように、例えば、実質的にC字型のプロファイルを有する部品によって形成される。C字型部品は、例えば、それぞれボウルハンドル2D,2Eによって搬送され、及び/又はこれらのボウルハンドル2D,2Eに属する。有利には、支持体10は、ボウル構造14,15の形状と相補的なそれぞれの形状の2つの支持体構造12,13を含む。2つの支持体構造12,13は、有利には、第1の回転軸Y-Y’に対して蓋3上に径方向に対向して配置されており、支持体構造12,13は、有利には、蓋3から径方向に突出して、相補的なボウル構造14,15と協働して行く。しかしながら、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、支持体10及びボウル2がそれぞれ単一の支持体構造及び単一のボウル構造を備えること、あるいは、支持体10及びボウル2が、互いに嵌合することによって協力することを意図したそれぞれの支持体構造及びボウル構造に代えて、別のタイプの協力(摩擦、クリップ、磁気引力など)の実施に基づいて、別の性質の連動要素で支持体10とボウル2の相対角度位置がロックされることさえ完全に考えられる。有利には、各ボウル構造14,15は雌型要素を形成し、一方、各支持体構造12,13は、雌型要素と相補的な雄型要素を形成し、雄型要素は、有利には、支持体10とボウル2との間の垂直中心軸X-X’の回りの回転をブロックするリンクを確立すべく、雌型要素に挿入されるように意図されている。
【0037】
有利には、支持体10は、好ましくは、蓋3上に(旋回リンクによって蓋3に接続されている)、好ましくは、自由端である2つの対向端の間で長手方向に延びるクロスバー100からなる。クロスバー100は、有利には、蓋3上で径方向に延びる実質的に細長い部分によって形成されている。支持体10を形成するクロスバー100の対向する端部は、図に示すように、蓋3から半径方向に突出して、ボウル構造14,15を形成する相補的収容部とそれぞれ協働するように構成された支持体構造12,13を形成している。例えば、クロスバー100は、その自由端に、ボウル2と一体のC字型部品によって区画された収容部14,15を補完する支持体構造12,13を構成するフィン(
図1から
図12の実施形態)又は立ち下がり縁(
図13から
図18の実施形態)を形成する一体型剛性金属帯の形態である。
【0038】
したがって、蓋サブセット300は、ボウルサブセット400(ボウル2自体及び少なくともボウルハンドル2D,2E、ならびにこれらの後者によって有利に搬送されるボウル構造14,15によって形成)と関連して調理室を形成することを意図した独立した単一要素を形成する。言い換えれば、蓋サブセット300がロック解除構成にあるとき、所定の相対配置に対応する所定の位置でボウル2に対する支持体10のドッキングにより、蓋ランプ7A~7Jを、ボウルランプを隔てる窪み9A,9Jを介してボウルランプ8A~8Jの下に通過させることができるように蓋3及び支持体10が互いに相対配置し、その後、蓋サブセット300は待機位置でボウル2を覆うことになる。そして、この待機位置から蓋3をボウル2に対して相対的に旋回させ、蓋3をボウル2に対して相対的にロックすればよいことになる。言い換えれば、
図1に図示された所定の相対的なプレロック配置に従って組み合わされたロック解除構成のボウル2及び蓋サブセット300が、一旦、ボウル2に対する位置に支持体10を維持し、蓋ランプ7A~7Jをボウルランプ8A~8Jと対応させて、これらのボウルランプ8A~8Jの下に、蓋3を支持体10に対して旋回させ、蓋3をボウル2に対してロックすればよい。
【0039】
本発明によれば、調理器具1は、手動操作可能なロック/ロック解除制御部材11を備えており、すなわち、制御部材11の手動操作によって、ロック解除構成からロック構成に、及び、その逆に有利に切り替えることができるように、バヨネット式ロックシステムを制御できるように、ユーザによって直接取り扱われるように構成されている。したがって、制御部材11は、有利には、器具1のプレロック構成(
図1)からロック構成(
図10及び
図13)への切り替え、及び、その逆を制御することを可能にする。制御部材11は、有利には、ボウル2に対する蓋3のロック解除及びロックにそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置との間で、支持体10に対して移動可能に取り付けられている。より正確には、制御部材11は、ボウル2に対する蓋3のロック解除(
図1)及びロック(
図10及び
図13)にそれぞれ対応する第1の位置と第2の位置との間で、支持体10に対する制御部材11の手動移動を可能にする機械的リンクによって、恒久的(図に示すように)又は取り外し可能に、支持体10に取り付けられることが意図されている。言い換えれば、制御部材11は、有利には、ユーザが手動で制御部材11を支持体10に対して第1の位置から第2の位置、及び、その逆に動かすことができるように、支持体10に対する可動性を維持しつつ、取り外し可能又は恒久的に、支持体10に取り付けられる。
【0040】
本発明による器具1は、制御部材11の手動移動を、支持体10に対する蓋3の旋回に変換するための装置をさらに含む。すなわち、制御部材11は、変換装置によって蓋3に接続されている。したがって、ユーザは、支持体10に対する制御部材11のその第1の位置と第2の位置との間の相対的な手動移動によって、ロック解除構成からロック構成への切り替え、及び、その逆を制御することが可能である。したがって、変換装置は、支持体10に対する制御部材11の動きを、この同じ支持体10に対する蓋3の回転運動、ここでは第1の軸Y-Y’についての回転運動に変換するように構成されており、蓋3がボウルランプ8A~8Jの下に蓋ランプ7A~7Jを有するボウル2の上に置かれると、ユーザが制御部材11を簡単に扱うことによって支持体10に対する蓋3の旋回によるロック/ロック解除をその方法で制御できるようにするものである。支持体構造12,13とボウル構造14,15との間の協働によって有利になされる支持体10とボウル2との間の相互作用のおかげで、制御部材11がその第1の位置と第2の位置との間(又はその逆)を移動するとき、支持体10がボウル2に対して、ここでは垂直中心軸X-X’について旋回することが防止される。
【0041】
図に示すように、変換装置は、手動制御部材11によって搬送されることを意図した少なくとも1つの駆動構造18,19と、蓋3に接続されて駆動構造18,19によって係合されることを意図した少なくとも1つの被駆動構造16,17から構成される。
図1から12の第1の実施形態によれば、変換装置は、一方では、蓋3に取り付けられ、互いに離れて配置された2つの被駆動構造16,17と、他方では、好ましくは、制御部材11の異なる位置に、互いに離れていて、制御部材11によって搬送される2つの駆動構造18,19とから構成される。
図13から
図18の第2の実施形態では、変換装置は、単一の被駆動構造16と係合する単一の駆動構造18から構成される。もちろん、本発明は、駆動構造、被駆動構造の特定の数、及び、駆動構造、被駆動構造の特定の形状に限定されるものではない。
【0042】
図1から
図12に対応する第1の実施形態において、器具1は、制御部材と各駆動構造18,19との間の離脱可能な機械的リンクを確保する離脱可能なリンク装置42を備え、特定の異常事態において、制御部材11と後者によって搬送される各駆動構造18,19との間の相対移動の可能性を提供している。以下、離脱可能なリンク装置42について、より詳細に説明する。
図13から
図18に対応する代替の実施形態によれば、各駆動構造18は、制御部材11と一体であり、制御部材11と駆動構造18との間の相対移動の可能性がなく、制御部材11と単一の同じ一体部分を形成する。
【0043】
有利には、被駆動構造16,17及び駆動構造18,19のうちの一方は、雌型構造を形成し、一方、被駆動構造16,17及び駆動構造18,19のうちの他方は、雌型構造の内部に受け入れられることを意図した雄型構造を形成する。有利には、各雄型構造は、それがそれぞれ受容される雌型構造内で、第1の回転軸Y-Y’に実質的に平行なスライド方向、すなわち有利には垂直スライド方向に沿ってスライド可能である。この優先的な実施形態では、各雌型構造は、例えば、そこに挿入される雄型構造の長手方向のガイドを可能にする空洞又は長方形の中空の形態であり、一方で、雄型構造がそれ自体の上で旋回するのを可能にする。このような配置は、極めて簡単で信頼性が高く、第1の回転軸Y-Y’とは異なる第2の軸を中心として旋回可能に取り付けられた制御部材11を実装することができる。
【0044】
図1から
図12の例のように、変換装置が、複数の共役の駆動構造18,19と協働することを意図した複数の被駆動構造16,17からなる場合、複数の被駆動構造16,17及び複数の被駆動構造16,17のうちの一方は、複数の雌型構造を形成し、複数の被駆動構造16,17及び複数の駆動構造18,19のうちの他方は、雌型構造の内部にそれぞれ受け入れられることを意図した複数の雄型構造を形成する。図に示す例では、各雄型構造は駆動構造18,19によって形成され、一方、雄型構造を内部に受容する各補完的な雌型構造は被駆動構造16,17によって形成される。しかし、この発明の趣旨を逸脱しない限り、逆の構成も十分に考えられる。有利には、各駆動構造18,19と各対応する被駆動構造16,17との間の協働は、可逆的特性を有し、すなわち、被駆動構造16,17及び駆動構造18,19は、有利には相互に結合され、例えば、器具1に対する使用者の作用の下で結合が解除され得る。被駆動構造16,17及び駆動構造18,19は、互いに結合されたとき、すなわち、各被駆動構造16,17が対応する駆動構造18,19によって係合されたとき、ユーザによる手動操作の作用下に、制御部材11の移動に応じて回転力を蓋31に付与できる駆動機構を形成している。図示の例では、各駆動構造18,19は、有利にはスタッドによって形成され、一方、各被駆動構造16,17は、対応するスタッドを受容する共役空洞によって形成されている。しかし、本発明は、この特定の例に完全に限定されるものではなく、代替案として、例えば、駆動構造が、歯車によって形成され、各被駆動構造が、歯車と協働するラックによって形成されることは完全に考えられることである。
【0045】
図に示された優先的な実施形態によれば、制御部材11は、有利には、第2の回転軸Z-Z’を中心として支持体10に対して旋回可能に取り付けられる。好ましくは、制御人間工学を支持するために、図に示されているように、第2の回転軸Z-Z'は、第1の回転軸Y-Y'と交差する方向に平行であり、好ましくは、第1の回転軸Z-Z'に垂直である。有利には、制御部材11は、一方では、ロック解除構成に対応する伸長位置(第1の位置)であって、制御部材11が蓋3の真上で垂直方向に、ここでは外側に突出する位置と、他方では、ロック構成に対応する格納位置(第2の位置)であって、制御部材11が蓋3に向かって下に移動する位置との間で支持体10に対して旋回可能に搭載される。好ましくは、その伸長位置において、制御部材11は、垂直中心軸X-X’に対して(第1の軸Y-Y’に対してと同様に)実質的に平行な平均方向に沿って延び、一方、格納位置において、有利には、図に示されるように、垂直中心軸X-X’に対して実質的に垂直な平均方向に沿って延びている。この優先的な実施形態では、制御部材11は、それゆえ、その格納位置にあるときにそれを脇に追いやることを可能にする格納可能な特性を有している。
【0046】
有利には、そして図に示されているように、制御部材11は、ハンドル11Aからなり、ハンドル11Aは、したがって、ループ又はアーチ形状を有する弓形部分の形態であり、ユーザがしっかりと握ることができるように、好ましくは、フルハンド又は少なくとも親指といくつかの指との間で構成される。もちろん、本発明は、制御部材11を形成するためのハンドルの実施に限定されるものではなく、制御部材11は、例えば、代替案として、実質的に直線的であるレバーによって構成することも、T字形、L字形のプロファイル、柄付き又はフレアノブ形状等を有することも可能である。ハンドル11Aは、第2の回転軸Z-Z’によって通される2つの端部110,111の間に延在する。言い換えれば、ハンドル11Aは、有利には、実質的にU字形又はC字形を有し、端部110,111において支持体10に対して関節でつながれている。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つの駆動構造18,19は、端部110,111の一方によって担われている。
【0048】
したがって、
図1から
図12の実施形態では、両端部110,111は、それぞれ駆動構造18,19を担っている。例えば、ハンドル11Aの各端部110,111は、有利には、第2の回転軸Z-Z’を中心としたハンドル11Aの回転取り付けのためにそれぞれのベアリング21A,21Bと協働する例えばそれぞれのピン110B,111Bを担うそれぞれの耳部110A,111Aを形成している。ベアリング21A,21Bは、それ自体、有利には、任意の適切な手段(ねじ止め等)により支持体10に取り付けられる。図に示されるように、各耳部110A,111Aは、有利には、ハンドルの内側に向かって配置され、他の耳部の内部面に面する内部面と、そこから対応するピン110B,111Bが第2の回転軸Z-Z’と同軸上に外側に延びる反対側の外部面を有している。
図1から
図12の実施形態では、各駆動構造18,19は、対応する耳部110A,111A上に、第2の軸Z-Z’を中心として回転可能に取り付けられたそれぞれの中間部品18A,19Aによって担われている。各中間部品18A,19Aを支える、それぞれの耳部110a,111Aに対する回転可能性は、有利にはロックによって抑制される。後者は、例えば、各中間部品18A,19Aの表面に形成されてストライカーを形成する空洞22と、ハンドル11Aの各アームに、それぞれの耳部110A,111Aで開口する空洞によって形成されたそれぞれの収容部23A,24A内に弾性摺動可能に取り付けられた対応するボルト23,24とによって形成されている。この可逆的なロックは、有利には、上述の切り離し可能なリンク装置42に属する。以下、より詳細に公開する切り離し機能を可能にする。
【0049】
代替案として、
図13から
図18の実施形態によれば、駆動構造18(唯一の)は、端部111によって担われ、内側に突出することによって、それを担ったハンドル11Aの内面と一体化されている。
【0050】
本発明によれば、器具1は、蓋3に着脱可能に装着される制御モジュール200を備える。その名前が示すように、制御モジュール200は、器具1の動作を命令又は制御するための、少なくとも部分的に1つ又はいくつかの手段を支持している。好ましくは、制御モジュール200は、支持体10を支持する。
【0051】
制御モジュール200は、任意の公知の手段により、例えば、弾性嵌合、ねじ止め(図に示す例のように)、又は、他の任意の機械的締結手段により、蓋3に取り外し可能に取り付けることができる。例えば、器具1は、有利には、制御モジュール200によって負担され、制御モジュール200から突出する組立ロッド27を備え、器具1はまた、蓋3を貫通して形成され、ロッド27が少なくともその自由端に向かってねじ込まれている場合には、例えば、ナット32と協働して、制御モジュール200を蓋3に取り付けるために、ロッド27が通過するようにされる中央締結孔29を備えている。
【0052】
より正確には、制御モジュール200は、少なくとも1つの第1のサブセット200Aを担い、このサブセットは、少なくとも圧力調節手段4と、被駆動構造16,17とを含む。言い換えれば、制御モジュール200は、それ自体が圧力調節手段4と少なくとも1つの被駆動構造16,17の両方を担う第1のサブセット200Aを組み込んだ単一セットの形態である。制御モジュール200の着脱可能な性質のおかげで、圧力調節手段4と少なくとも1つの被駆動構造16,17の両方を蓋3から分離することが可能である。これにより、潜在的に壊れやすい技術要素であり、安全性を有する圧力調節手段4を損傷する危険性なしに、水洗い又は食器洗浄機に入れることができる蓋3の洗浄を容易にすることができる。さらに、制御モジュール200が、変換装置の少なくとも1つの部分、すなわち、制御部材11の手動移動を支持体10に対する蓋3の旋回に変換することを可能にする機構の少なくとも1つの部分も担っているおかげで、制御モジュール200が蓋3から取り外されるとき、ユーザはロック/ロック解除を制御することができない。実際、この場合、制御部材11の手動による動きを、駆動トルクとして、蓋3に付与することはできない。これにより、制御モジュール200がない場合、器具1の誤用のリスクを制限することができる。同様に、圧力調節手段4が、制御モジュール200に搭載されているおかげで、その後、制御モジュール200が蓋3から分離されると、リーク孔38が、圧力調節手段4と連通しないので、蓋3はボウル2と密な調理室を形成することができない。これにより、蓋3に制御モジュール200がない場合に、器具1の安全性を確保することもできる。
【0053】
有利には、制御部材11の手動移動を蓋3の旋回に変換するための装置は、第1の回転軸Y-Y’と同軸に、蓋3に取り付けられることを意図したハブ25を備え、ハブ25は、図示の実施形態に従って、少なくとも1つの被駆動構造16,17を担っている。図示されているように、ハブ25は、好ましくはその周縁部に、少なくとも1つの被駆動構造16,17を形成している。したがって、各被駆動構造16,17は、有利には、ハブ25によって支えられ、ハブ25と単一の同じ一体化した部分を形成する。ハブ25は、ハブ25を第1の軸Y-Y’を中心に回転駆動させるための力が直接、蓋3に伝達されるように、蓋3とハブ25との間に回転性を持たせずに、直接又は間接的に取り付けられていることが意図されていると好ましい。有利には、ハブ25は、圧力調節手段4を受け入れる収容部を区切るのに役立つキャップを形成する。そのために、ハブ25は、例えば、上壁25Aと環状の側壁25Bとを有するベル形状を有し、その表面には、垂直方向に延び、被駆動構造16,17を形成する少なくとも1つ(
図13から
図18)又は2つ(
図1から
図12)の細長いキャビティが形成されている。圧力調節手段4は、有利には少なくとも一部がキャップ25の下、すなわち、上壁25Aの下に配置されており、これにより、蓋3の中心のすぐ近く、すなわち、支持体10に対する回転ストロークが最小となる位置に配置しながら隠すことができる。この配置は、例えば、圧力調節手段4と協力しやすい相補的機能要素の移植に有利で、そのために例えば上壁25Aに配置される。有利には、器具1はまた、蓋3上及びハブ25の下に配置されることを意図したプレート26を備え、好ましくは、ハブ25と共に圧力調節手段4を受け入れる収容部を形成するような方法で構成されている。プレート26は、有利には、ハブ25に、好ましくは恒久的な方法で取り付けられ、蓋3に、好ましくは取り外し可能な方法で取り付けられ、駆動構造18,19とハブ25によって担われる被駆動構造16,17との間の協働を通じてハブ25に付与される第1の軸Y-Y’についての回転力を蓋3へ伝達することが意図されている。したがって、圧力調節手段4は、有利には、ハブ25によって少なくとも一部が覆われながら、プレート26によって搬送される。
【0054】
有利には、第1のサブセット200Aは、プレート26を含み、このプレート26は、制御モジュール200によっても支えられる。プレート26とハブ25は、それゆえ有利には、圧力調節手段4が配置される一体型ケーシングを形成し、一体型ケーシングはまた、ハブ25の側壁25Bに、制御モジュール200が蓋3上に置かれ、蓋3に取り付けられたときに、駆動構造18,19によって係合することを意図した1つ又はいくつかの被駆動構造16,17を形成している。
【0055】
有利には、器具1は、少なくとも制御部材11、少なくとも1つの駆動構造18,19だけでなく、支持体10を含む第2のサブセット200Bを含んで構成される。第2のサブセット200Bは、有利には、第1の回転軸Y-Y’を中心として、第1のサブセット200Aに対して、旋回可能に取り付けられることを意図している。図示の実施形態では、第1及び第2のサブセット200A,200Bの相対的な旋回が、制御部材11の手動操作によって制御され、支持体10に対する制御部材11の相対的な移動を引き起こす。
【0056】
図1から
図12の第1の実施形態では、第1及び第2のサブセット200A,200Bは、有利に制御モジュール200を形成するように、互いに恒久的に取り付けられている。
【0057】
図13から
図18に対応する第2の実施形態によれば、第1及び第2のサブセット200A,200Bは、互いに着脱可能に取り付けられている。
【0058】
そして、本発明は、いくつかのシナリオに関するものであり、特に以下のシナリオに関するものである。
-制御モジュール200は、また、第1のサブセット200Aに加え、第2のサブセット200Bを有する。この代替案は、例えば、
図1から
図12の器具1における場合のように、第1及び第2のサブセット200A,200Bが互いに取り外し可能であることを意図するものでなく、第1及び第2のサブセット200A,200Bが互いに恒久的に取り付けられている、第1のサブ代替案とすることが可能である。第2のサブ代替案によれば、第1及び第2のサブセット200A,200Bが互いに着脱可能に取り付けられているので、制御モジュール200を蓋から取り外すことができるだけでなく、制御モジュール200を構成する第1及び第2のサブセット200A,200B自体も互いに分離することが可能である。
-制御モジュール200は、第1のサブセット200Aのみを有し、このサブセット200Aは、第2のサブセット200Bに取り外し可能に取り付けられ、それ自体は、例えば、恒久的な方法で、蓋3に取り付けられる。
図13から
図18に示される代替の実施形態では、第2のサブセット200は、蓋3に恒久的に、しかし、蓋3に対して相対的に移動可能に(例えば図示しない、ダボ及びスライドシステムによって)取り付けられており、一方、制御モジュール200を形成する第1のサブセット200Aは、第2のサブセット200Bに取り外し可能に取り付けられている。
【0059】
この後者の実施形態は、本明細書において制御モジュール200を形成する第1のサブセット200Aが配置された端部の間に、旋回可能なハンドルによって形成された制御部材11を用いて実施される場合に、特に有利であることに留意されたい。実際、この場合、モジュール200は、ハンドル11Aが折り畳まれているとき(ロック位置)よりも伸ばされているとき(ロック解除位置)の方が、第2のサブセット200Bから分離するのがより困難である。したがって、ユーザは、ハンドル11Aを折り畳んで、第1のサブセット200Aを第2のサブセット200Bから切り離すことが推奨される。このようにして、第2のサブセット200Bと蓋3との関連付けによって形成される一体型サブセットをロック構成にし、ユーザがボウル2上の蓋3を機能的な位置に再配置することを防止する。これは付加的な使用上の安全性を構成する。実際、蓋サブセット300をロック解除構成に戻すために、ユーザは、まず制御モジュール200(ここでは、第1のサブセット200Aによって形成されている)を再び取り付け、次に、ハンドル11Aを持ち上げ、これによってハブ25の回転が起こり、それ自体が蓋3をそのロック構成からそのロック解除構成へと回転させて、蓋3をボウル2の適切な位置に位置付けることができるようにしなければならない。
【0060】
図1から
図12の第1の実施形態では、好ましくは、支持体10を形成するクロスバー100は、一方ではクロスバー100が、他方ではプレート26とハブ25とによって形成されるサブセットが、第1の回転軸Y-Y’を中心に相対回転可能であるように、プレート26とハブ25との間に配置されている。ハブ25は、プレート26に、例えば、ねじ止め、弾性嵌合などの手段で取り付けられ、クロスバー100がハブ25とプレート26との間に介在して挟まれることが好ましい。
図13から
図18の第2の実施形態では、逆に、クロスバー100は、蓋3とプレート26との間に介在するように、プレート26の下に配置されている。
【0061】
いずれの場合(
図1から
図12又は
図13から
図18)でも、ハブ25及びプレート26が、それゆえ、第1のサブセット200Aを形成し、一方、制御部材11及びクロスバー100が、第2のサブセット200Bを形成し、第1及び第2のサブセット200A,200Bが、第1の軸Y-Y’を中心に相対的に旋回可能に互いに組み合わされる。圧力調節手段4は、好ましくは、プレート26によって支えられるため、第1のサブセット200Aに属する。例えば、プレート26は、好ましくは、プラスチック材料からなるカップの形態であり、蓋3を貫通して形成された中央孔29と同軸に配置されることを意図した孔26Aを備えている。カップ26は、有利には、蓋3の外側面31に面するように意図された下部面260と、反対側の、上部面261とを有する。後者の下部面260と上部面261の間には、カップを貫通するバルブ孔が配置されている。この孔は、下部面260において、シールガスケット33(
図13から
図18の代替案については図示せず)によって囲まれ、上部面261の側で、それ自体が、一方では縦穴35と、他方では排気管36と連通するチャンバ34に開口している。縦穴35は、例えば、第1の回転軸Y-Y’に平行な方向に沿って摺動可能に取り付けられた可動フラップ37を備えた、重り又はばねを備えたバルブ装置(
図13から
図18の代替案では見えない)を受け取り、フラップ37は(重力又はばねなどの弾性体によって及ぼされる力の効果で)低い位置に戻される。フラップ37は、プレート26を形成するカップに配置された孔を通過して、蓋3を貫通して形成され、シールガスケット33のおかげでチャンバ34と密に連通するリーク孔38を閉鎖する。したがって、フラップ37は調理室内の圧力に敏感であり、交互にリーク孔38を開閉して、調理室内の圧力レベルを調節する。チャンバ内の圧力レベルが所定の作動圧力を超えると、フラップ37が持ち上がり、これにより調理室内に含まれる蒸気がまずチャンバ内34に到達し、次に、排気管36を通って外部に向かって放出される。有利には、器具1は、圧力調節手段4を較正するための装置をさらに備え、これにより、バルブ4がトリガーされる作動圧力のレベル、すなわち、フラップ37がその戻り位置から押し出されてリーク孔38を解放する圧力閾値を調節することができる。較正装置は、任意の既知のタイプ(例えば、フラップ37のリターンスプリングの圧縮に作用する)でよく、有利には手動制御装置39に連結されている。手動制御装置39は、例えば、第1の回転軸Y-Y’を中心に旋回可能に取り付けられ、2つの端部の間に延びるタブの形態であり、その一方は、有利には圧力調節手段4を形成するバルブに接続されてバルブの較正に作用し、他方は、スライド(
図1から
図12の代替)、ノブ(
図13から
図18の代替)、又は、手動操作可能なレバーに接続されている。
図1から
図12の実施形態によれば、タブは、側壁25Bを貫通して配置されたスロット250を通過することにより、例えば、ハブ25の側壁25Bを通過する。
図13から
図18の実施形態では、タブは、ハブ25の上壁25Aの下に留まり、ハブ25には、手動で操作することを意図した制御ノブを通過させるスロット251が設けられている。もちろん、較正が調節可能な圧力調節手段4の使用は完全に任意であり、較正がユーザによって変更できない調節バルブを使用することは完全に考えられる。
【0062】
有利には、変換装置は、第1のサブセット200A及び蓋3によってそれぞれ支持され、第1のサブセット200Aによる蓋3の第1の回転軸Y-Y’を中心とする回転駆動を可能にするために、互いに協働するように意図された第1及び第2の相補的伝達部材43,44を含んでいる。すなわち、相補的伝達部材43,44の協働により、制御モジュール200が、蓋3に載置され、蓋3に取り付けられる際に、蓋3に対する第1の回転軸Y-Y’を中心として第1のサブセット200Aを回転可能に固定することができる。例えば、第1の伝達部材43は、プレート26と一体で(例えば、プレート26と一部材である)、第1の回転軸Y-Y’から離れた位置に配置されたスタッドからなる。スタッド43は、有利には、プレート26の下部面260の底部に向かって突出し、蓋3を貫通して形成され、そのサイズがスタッド43に対するものと共役である対応する塞ぎ穴44に挿入されることを意図している。したがって、塞ぎ穴44は、第2の伝達部材を形成する。このスタッド43と塞ぎ穴44の協働のおかげで、第1のサブセット200A、ひいてはプレート26に、後者が取り付けられているハブ25を介して及ぼされる、第1の軸Y-Y’についての回転力は、蓋3に付与される。Oリング(図示せず)、又は、他の任意のシールシステムがスタッド43について有利に配置され、塞ぎ穴44を通じたチャンバ内部と外部との不用意な連通を防止する。
【0063】
有利には、第1のサブセット200Aは、例えば、プレート26から突出する組立ロッド27を、好ましくは、下方に、かつ、第1の回転軸Y-Y’と同軸に支持する。組立ロッド27は、例えば、第1のサブセット200A内に配置され、第2のサブセット200Bが、第1の回転軸Y-Y’を中心に、内部部分27Aの周りを旋回するように、クロスバー100を貫通して形成された孔28を通過する内部部分27Aを有している。ロッド27はまた、好ましくは、蓋3を貫通して形成された中央の締結孔29を通過するネジ付き自由部分27Bを有し、ネジ付き自由部分27Bは、ナット32(
図13から
図18の代替案については図示せず)と協働して第1のサブセット200Aを蓋3に取り付ける。
【0064】
図1から
図12の第1の実施形態では、この場合有利に制御モジュール200を形成する第1及び第2のサブセット200A,200Bの両方を蓋3に取り付けるために、組立ロッド27が使用される。この第1の実施形態において、組立ロッド27は、有利には、フレアヘッドを含み、一方、ハブ25は、第1の回転軸Y-Y’に実質的に同軸に延在し、支持体10を介して形成された孔28及びプレート26を介して形成された孔26Aを通って、蓋3の外側面31に対して、蓋3を介して形成された孔29と同軸に支持する管25Cからなる。ロッド27は、有利には、管25Cにねじ込まれ、この管には、ロッド27の頭部を支持することが意図される肩部を形成するくびれを有する。したがって、内部部分27Aは、蓋3の外側面31の側に配置され、一方、ネジ付き自由部分27Bは、蓋3に貫通形成された中央孔29を通過して、ナット32と協働するように意図されている。Oリング40、又は、他のシールシステムがロッド27にねじ込まれ、第2のサブセット200Aが蓋3に取り付けられる際の気密性を確保する。
【0065】
図13から
図18の第2の実施形態では、組立ロッド27は、有利には、制御モジュール200を単独で形成する第1のサブセット200Aを、蓋3と、他の手段によって、蓋3に恒久的に取り付けられる第2のサブセット200Bとによって形成される本明細書に可逆的に組み立てるためにのみ使用されている。この場合、ロッド27は、例えば、クロスバー100を貫通して形成された孔28を通過し、ロッド27を中心とした第1のサブセット200Aと第2のサブセット200Bとの間の、第1の軸Y-Y’に関する相対回転を可能にするような方法で、第1のサブセット200Aを通過する。
【0066】
第1及び第2のサブセット200A,200Bは、有利には互いに組み立てられており、したがって、組立ロッド27及びナット32によって、ここでは蓋3に取り外し可能に取り付けられた一体型制御モジュール200を形成している。
【0067】
有利には、第2のサブセット200Bはまた、中央孔41Aを有する上部環状キャップを形成するクラウン41を含んでいる。
図1から
図12の第1の実施形態では、クラウン41は、有利には、プレート26、クロスバー100、ベアリング21A,21B及びピン110B,111Bを覆うとともに、その孔41Aからハブ25を出現させる。
図13から
図18の第2の実施形態では、クラウン41は、ハンドル11Aを支持する環状の上部キャップを再び形成し、このハンドルは、クラウン41に支持され、クラウン41に対して回転可能に取り付けられる。ここでは少なくともハブ25とプレート26とを含む第1のサブセット200Aは、クラウン41と折り畳まれたハンドル11Aとによって形成される中央孔41Aに挿入される。この場合、被駆動構造16は、第1のサブセット200Aが、クラウン41の中央孔41Aに配置されたときに、有利には、駆動構造18を形成するスタッドを溝内に摺動自在に挿入できるように、その下端が開放された溝によって形成されている。
【0068】
有利なことに、開放安全手段5は、調理室内の圧力に敏感である。そのため、調理室内の圧力レベルの影響を受けて、異なる位置間で移動しやすくなっている。特に、開放安全手段5は、調理室内の圧力が大気圧よりも実質的に高い場合、又は、少なくとも大気圧よりも高い所定の圧力レベルよりも高い場合に、蓋3のロック解除を阻止する遮断位置(
図11及び
図12参照)を占めやすい。有利には、開放安全手段5は、少なくとも部分的に蓋3に恒久的に取り付けられている、すなわち、蓋3に支えられており、したがって、蓋サブセット300の恒久的な部分を形成している。しかしながら、代替として、それによって本発明の枠組みから逸脱することなく、開放安全手段5が、第1のサブセット200Aによって、又は、第2のサブセット200Bによって、支えられることは完全に考えられる。
【0069】
開放安全手段5は、遮断位置において、第2のサブセット200Bと協働して、蓋3及び第2のサブセット200Bを、第1の軸Y-Y’を中心に回転可能に固定することを意図している。
【0070】
開放安全手段5は、例えば、蓋3に摺動可能に取り付けられた可動要素5Aからなり、ここでは、垂直中心軸X-X’に平行な摺動方向に沿って、支持体10が担う相補的な遮断構造5B(ここでは孔)と協働可能な上位置(停止位置)の間で垂直方向に摺動するようになっている。蓋3の支持体10に対する旋回を阻止するための位置と、蓋3の支持体10に対する自由な旋回を可能にするために、相補的な遮断構造5Bと干渉しない下の位置(戻り位置および停止位置)とがある。図に示されるように、可動要素5Aは、有利には、蓋3を貫通して形成されたリーク孔5Dに接続された管5C内で垂直にスライドすることを意図した指部によって形成されている。上側の位置では、指部がリーク孔5Dを密閉し、下側の位置では、孔5Dから蒸気を漏らすことができるようにする。可視化窓41Bは、さらに、指部5Aが上位置にあるときにユーザが見ることができるように、クラウン41を貫通して配置され、蓋3の安全なロック解除と両立しないほど高い圧力レベルの器具1内の存在を示す。ロック構成に達しない限り、可動要素5Aは、クロスバー100を貫通して形成された孔5Bと整列されず、したがって、クロスバー100の下及びそれに対して略一致するため、その上部密封位置に達するために上方に移動することが妨げられる(
図4参照)。これは、ロック構成に達しない限り、器具1の圧力上昇を防止し、不完全な閉鎖に対する安全性を構成する。
【0071】
有利には、係合解除可能なリンク装置42(
図1から
図12の代替で実施)は、制御部材10がその第2の位置(ロック構成に対応する格納位置)からその第1の位置(ロック解除構成に対応する伸長位置)に移動したときに、制御部材10と各駆動構造18,19とを互いに係合解除するように構成されている。一方、開放安全手段5が遮断位置にあるとき、駆動構造18,19が被駆動構造16,17にいかなる駆動力も及ぼさないように、制御部材10が第2の位置から第1の位置へ自由に移動する。
【0072】
図1から
図12に示す実施形態によれば、係合解除可能なリンク装置42は、少なくとも以下のものを含む。
-制御部材11に搬送され、制御部材11を形成するハンドル11Aの一端に回転自在に取り付けられた各中間部品20を有するとともに、
-収容部23A,24Aに摺動自在に案内され、各中間部品20の表面に形成された対応する空洞(ストライカー)22内に受け入れられてその回転を阻止するボルト23,24を備えている。
【0073】
係合解除可能なリンク装置42はまた、例えば、各ボルト23,24を受け入れる各収容部23A,24Aに配置され、各ボルト23,24を、各ボルト23,24がそれぞれ中間部品20(
図7参照)の表面に配置された対応する空洞22と係合するロック位置に弾性的に戻し、ハンドル11Aに対する中間部品20の回転を防止する弾性戻し要素(螺旋ばね又はその他図示せず)を含んでいる。開放安全手段5が遮断位置にあり、それにもかかわらずユーザがハンドル11Aを格納位置(蓋に折り畳まれた状態)から伸長位置に切り替えさせることを目指してロック解除力をハンドル11Aに作用させると、指部5Aがクロスバー100の孔5Bに挿入されてハブ25の回転が不能となる。このとき、ユーザがハンドル11Aに力を加え続けると、ユーザがハンドル11Aに及ぼす駆動力は、戻しバネによって各ボルト23,24に及ぼされる復帰力に打ち勝ち、各ボルト23,24は対応する空洞22から押し出され、結果、ハンドル11Aが動かないまま、各中間部品20に対して旋回することができるようになる。したがって、ハンドル11Aの回転運動は、ハブ25が駆動力を受けないように、各駆動構造18,19に付与されなくなる。これにより、ロック/ロック解除機構に不用意な力が加わり、制御機構の一部が破損することを防いでいる。ハンドル11Aは、その後、各ボルト23,24が対応する空洞22の反対側に位置し、バネによって発揮される復帰力の影響下で、再び、対応する空洞22に挿入され、結果、駆動構造18,19の第2の軸Z-Z’を中心とする回転駆動リンクを作るために、ユーザによって単にその格納位置まで戻すだけで再装着することが可能である。
【0074】
有利には、第2のサブセット200Bは、係合解除可能なリンク装置42を有する。これにより、例えば、第2のサブセット200Bが蓋3に恒久的に取り付けられたままである
図13から
図18の実施形態において、蓋3に恒久的に関連する追加の安全機能を維持することが可能となる。
【0075】
したがって、本発明による器具1は、高い安全性および信頼性レベルを有する。
【外国語明細書】