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特開2022-97468クリーニングノズルを備えた紡績ユニットおよび糸形成エレメントをクリーニングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097468
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】クリーニングノズルを備えた紡績ユニットおよび糸形成エレメントをクリーニングする方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/00 20060101AFI20220623BHJP
   D01H 1/115 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
D01H13/00 Z
D01H1/115 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205367
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】20215332
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521553287
【氏名又は名称】ザウラー インテリジェント テクノロジー エイ・ジー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Intelligent Technology AG
【住所又は居所原語表記】Textilstrasse 9, 9320 Arbon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザラ マイスナー
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン ゼスハヤー
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ ギュンター
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA19
4L056BD13
4L056BG02
4L056BG15
4L056BG42
4L056EB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長期にわたる故障のない運転を、製造される糸の一定の品質および強度を維持して可能にする、空気紡績機の紡績ユニットならびに空気紡績ノズルの糸形成エレメントをクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】渦室3内に配置され供給されたスライバから糸を製造するための糸形成エレメント4を備えた空気紡績ノズル2を有しており、空気紡績ノズルが、糸形成のための閉じられた状態から、糸形成エレメントをクリーニングすることができる開放させられた状態へと移行可能で、紡績ユニット1には、空気紡績ノズルの開放させられた状態において糸形成エレメントをクリーニングするための少なくとも1つのクリーニングノズル5が配置されており、クリーニングノズルは、少なくとも空気紡績ノズルの開放させられた状態において、糸形成エレメントにクリーニングノズルによりクリーニング媒体が供給可能であるように設計されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気紡績機の紡績ユニット(1)であって、
-空気紡績ノズル(2)であって、前記空気紡績ノズル(2)に供給されたスライバから糸を製造するための、渦室(3)内に配置された糸形成エレメント(4)を備えた空気紡績ノズル(2)を備えており、
-前記空気紡績ノズル(2)が、糸形成のための閉じられた状態から、前記糸形成エレメント(4)がクリーニング可能となる開放させられた状態へと移行可能であり、
-前記空気紡績ノズル(2)が開放させられた状態において前記糸形成エレメント(4)をクリーニングするためのクリーニングノズル(5;5a;5b)をさらに備えており、
-前記クリーニングノズル(5;5a;5b)は、少なくとも前記空気紡績ノズル(2)の前記開放させられた状態において、前記糸形成エレメント(4)にクリーニング媒体が供給可能であるように配設されている、空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項2】
少なくとも1つのクリーニングノズル(5;5a;5b)が、前記渦室(3)の外側に、かつ/または固定的に配置されている、請求項1記載の空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのクリーニングノズル(5a;5b)が、前記渦室(3)の外側で、かつ/または旋回装置(6)によって少なくとも休止位置と、前記糸形成エレメント(4)をクリーニングするためのクリーニング位置との間で、移動可能である、請求項1または2記載の空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項4】
前記クリーニングノズル(5a;5b)が、前記旋回装置(6)によって、前記クリーニング位置において、前記糸形成エレメント(4)の正面、かつ/または側方の少なくとも一部の面に前記クリーニング媒体を供給できるように位置決め可能かつ配向可能である、請求項3記載の空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項5】
前記クリーニングノズル(5a;5b)が、前記旋回装置(6)によって、前記糸形成エレメント(4)の周囲を少なくとも部分的に取り囲むように旋回可能である、請求項3または4記載の空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項6】
前記クリーニングノズル(5a;5b)が、前記旋回装置(6)により、前記糸形成エレメント(4)に対して相対的に、互い異なる少なくとも2つの方向に移動可能である、請求項3から5までのいずれか1項記載の空気紡績機の紡績ユニット(1)。
【請求項7】
空気紡績ノズルの糸形成エレメント(4)をクリーニングする方法であって、前記空気紡績ノズルが、該空気紡績ノズル(2)に供給されたスライバから糸を製造するための、渦室(3)内に配置された糸形成エレメント(4)を備えており、前記空気紡績ノズル(2)が、糸形成のための閉じられた状態から、前記糸形成エレメント(4)がクリーニング可能となる開放させられた状態へ移行可能である方法において、
-前記渦室(3)内に配置された前記糸形成エレメント(4)にアクセス可能にするために、前記空気紡績ノズル(2)を開放するステップと、
-前記糸形成エレメント(4)および/またはクリーニングノズル(5;5a;5b)をクリーニング位置へと移動させるステップと、
-前記糸形成エレメント(4)に少なくとも1種のクリーニング媒体を供給するステップとを有している、方法。
【請求項8】
前記糸形成エレメント(4)をクリーニングするための前記クリーニングノズル(5;5a;5b)を、旋回装置(6)によって、休止位置から、前記糸形成エレメント(4)をクリーニングするためのクリーニング位置へ移動させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記クリーニング位置への前記糸形成エレメント(4)および/または前記クリーニングノズル(5;5a;5b)の前記移動を、前記空気紡績ノズル(2)の開放工程の開始とともに、前記空気紡績ノズル(2)の開放中に、かつ/または前記空気紡績ノズル(2)の開放後に行う、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記糸形成エレメント(4)の前記移動を、前記クリーニングノズル(5;5a;5b)が前記開放工程の最後に前記クリーニング位置に位置しているように行う、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記糸形成エレメント(4)のクリーニングを、たとえば少なくとも1回の糸破断後、少なくとも1回の糸の切断後、前記空気紡績された糸を巻き付けた巻取りパッケージの取出し中および/または紡績ケンスの交換中の紡績中断中に行う、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
クリーニング媒体として、水性のクリーニング液、エアロゾル、泡、エマルジョンまたは気体を使用する、請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
クリーニング液、エアロゾル、泡またはエマルジョンを用いたクリーニングに次いで、前記糸形成エレメント(4)に、第2のクリーニングステップにおいて気体流を供給するか、または気体流を用いたクリーニングに次いで、前記第2のクリーニングステップにおいて前記糸形成エレメント(4)に前記クリーニングノズル(5)を介してクリーニング液、エアロゾル、泡またはエマルジョンを供給する、請求項7から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記糸形成エレメント(4)のクリーニングを、まず前記糸形成エレメント(4)から剥がれやすい粒子を取り除くために第1の気体流により行い、次いで固着した粒子をはがすために、クリーニング液、エアロゾル、泡またはエマルジョンにより行い、次いで前記糸形成エレメント(4)を最終的にクリーニングし乾燥させるために第2の気体流により行う、請求項7から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記クリーニング液、前記エアロゾル、前記泡または前記エマルジョンによる前記クリーニングおよび前記気体流もしくは前記第1の気体流および/または第2の気体流による前記クリーニングを同一のクリーニングノズル(5;5a;5b)を用いて行う、請求項13または14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気紡績機の紡績ユニットと、空気紡績ノズルの糸形成エレメントをクリーニングする方法とに関する。
【0002】
概して、空気紡績時には、スライバが、達成すべき糸番手に対応して、多重ローラドラフト装置によって定義されてドラフトされ、その後、空気紡績ノズルへと供給される。空気紡績ノズルの渦室内で、スライバの外側の繊維は、空気ノズルにより形成された渦空気流によって、空気紡績ノズルの糸形成エレメントの導入開口の領域において、内側に位置する繊維コアに巻き付けられ、これにより平行な糸コアと、特定の角度で該糸コアに接触する巻付き繊維とから成る空気紡績糸特有の糸構造が生じる。巻付き繊維は、糸の所望の強度にとって重要である。
【0003】
空気紡績法は、基本的に、種々異なる材料から成る繊維を用いて実施することができ、綿および/または獣毛のような天然繊維およびポリエステルのような合成繊維ならびに天然繊維と合成繊維とから成る混合物を使用することができる。実際には、ポリマ繊維、特にポリエステル(PES)の紡績時に、糸形成エレメントの紡績円錐体の表面にポリマ残渣、ポリエステル繊維片および/または仕上げ剤の堆積が生じる。しかし、このような堆積物により、空気紡績プロセスが著しく妨害され、紡績結果、ひいては糸品質を著しく悪化させてしまう。特に、紡績プロセス中に、空気紡績ノズルの表面と繊維との間の高められた摩擦に基づいて糸破断が生じてしまう。さらに、空気紡績ノズルの空気ノズルおよび別の構成部材が堆積物によって詰まってしまい、これにより得られた糸は低い糸強度ならびに糸品質を有している。
【0004】
したがって、本発明の根底にある課題は、長期にわたる故障のない運転を、製造される糸の一定の品質および強度を維持しながら可能にする、空気紡績機の紡績ユニットならびに空気紡績ノズルの糸形成エレメントをクリーニングする方法を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば請求項1に記載の空気紡績機の紡績ユニットと、請求項7に記載の空気紡績ノズルの糸形成エレメントをクリーニングする方法とによって解決される。本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明に係る空気紡績機の紡績ユニットは、空気紡績ノズルであって、空気紡績ノズルに供給されたスライバから糸を製造するための、渦室内に配置された糸形成エレメントを備えた空気紡績ノズルを有しており、空気紡績ノズルは、糸形成のための閉じられた状態から、糸形成エレメントがクリーニング可能となる開放させられた状態へと移行可能である。さらに、紡績ユニットには、空気紡績ノズルの開放させられた状態において糸形成エレメントをクリーニングする少なくとも1つのクリーニングノズルが対応配置されているか、または紡績ユニットに少なくとも1つのクリーニングノズルが配置されており、クリーニングノズルは、少なくとも空気紡績ノズルの開放させられた状態において、糸形成エレメントにクリーニングノズルによってクリーニング媒体が供給可能であるように配設されており、特に位置付けかつ/または配向されており、もしくは位置決め可能かつ/または配向可能である。
【0007】
空気紡績ノズルの糸形成エレメントをクリーニングするための本発明に係る方法では、まず、渦室を有する空気紡績ノズルを、渦室内に配置された糸形成エレメントにアクセス可能にするために開放し、次いでかつ/または同時に、糸形成エレメントおよび/またはクリーニングノズルをクリーニング位置に移動させ、最終的に糸形成エレメントに少なくとも1種のクリーニング媒体を供給する。
【0008】
本発明者らは、糸形成エレメントの定期的なクリーニングが、長期にわたる故障のない運転を、製造される糸の一定の品質および強度を維持しながら可能にするものであって、このようなクリーニングが、たとえば糸破断または糸の予定された切断後の紡糸中断中に、空気紡績ノズルが開放させられた位置にある場合に、特に簡単かつ空気紡績機の他の構成部材への妨害なしに可能であることを認識した。本発明は、紡糸された糸の強度の増大と、より高い清浄度を有利な形式で可能にする。
【0009】
空気紡績ノズルとは、まず、少なくとも1つの空気流によって繊維、特に巻付き繊維を内部に位置する繊維コアの周囲に巻き付けてヤーンもしくは糸を形成するあらゆる紡績ノズルであると理解される。糸形成の工程は、空気紡績ノズルの渦室の領域で行われ、渦室内には少なくとも1つの糸形成エレメントが配置されている。空気紡績ノズルは、紡績ユニットに含まれており、各紡績ユニットは、空気紡績ノズルに供給されたスライバから糸を製造するために働く。空気紡績ノズルは、スライバのための導入部と、内側に位置する渦室と、少なくとも部分的に渦室内に配置された1つ以上の糸形成エレメントまたは紡糸エレメントと、渦室の内部で製造された糸のための導出部とを有している。さらに、空気紡績ノズルは、好適には、渦室内に開口する複数の空気ノズルを有しており、これらの空気ノズルは、特に好適には、少なくとも1つの空気供給管路と流体接続しており、この場合、空気紡績ノズルによって糸が形成される紡績ユニットの紡糸運転中に、空気供給管路から提供される圧縮空気は空気ノズルを介して渦室内に流入し、これにより渦室内で供給されたスライバを空気紡績して糸を形成するための渦空気流が形成される。
【0010】
本発明の文脈において、糸もしくはヤーンは、繊維の少なくとも一部が内側に位置する繊維コアの周囲に巻き付けられている繊維束である。糸は、たとえばリング紡績機によって引き続きの加工するための粗糸もしくは繊維束であってよい。スライバ、ひいてはこのスライバから製造される糸は、好適には、少なくとも部分的に、特に好適には完全に、合成繊維または化学繊維、たとえばポリエステルまたはポリエーテルスルホンから形成されている。
【0011】
スライバは、基本的には空気紡績プロセスに供給される繊維材料であり、この繊維材料は、好適には紡績加工されるべき繊維の纏められた帯もしくは束として提供される。全ての繊維が同一の材料から形成されていてよく、またはスライバが、化学的に互いに異なる繊維を含んでいてもよい。しかし、基本的にはスライバ内の繊維は、まだ一緒に紡がれていない。
【0012】
糸形成エレメントは、独立した構成部材であっても、構造ユニットの1つの区分であっても、あるいは空気紡績プロセスに直接関与する機能的なユニットであってもよい。糸形成エレメントは、一体的に、つまりワンピースに形成されていても、複数のピースから形成されていてもよい。好適には、糸形成エレメントは、紡績円錐体または紡績円錐体の一部を有している。極めて特に好適には、糸形成エレメントが、紡績円錐体を形成する。空気紡績プロセスの枠内で、糸形成エレメントは少なくとも部分的に、糸を形成するために紡績すべき繊維にかつ紡績された糸に直接接触する。
【0013】
本発明によれば、空気紡績ノズルは、渦室が好適には空気紡績ノズルにより形成され、渦室内に配置された糸形成エレメントが渦室により取り囲まれている閉じられた状態から、開放させられた状態では、渦室が好適には空気紡績ノズルの外側環境に対して開放されており、糸形成エレメントがクリーニングのために露出している開放させられた状態に移行させることができる。このためには、好適には空気紡績ノズルの少なくとも1つの第1の構成部材、さらに好適には糸形成エレメントを含む空気紡績ノズルの少なくとも第1の構成部材を、空気紡績ノズルの別の構成部材に対して相対的に移動させることができる。空気紡績ノズルの第1の構成部材および第2の構成部材は、特に、空気紡績ノズルが閉じられた状態において渦室を少なくとも部分的に画定する壁区分を有している。特に好適には、空気紡績ノズルの第1の構成部材、特に好適には糸形成エレメントを含む空気紡績ノズルの第1の構成部材を、好適には紡績ユニットにおいて固定的に配置されている空気紡績ノズルの第2の構成部材に対して移動させ、特に移動および/または旋回させる。空気紡績ノズルの閉じられた状態は、糸形成のために規定されている一方で、空気紡績ノズルの開放させられた状態では、糸形成エレメントは、少なくとも部分的に、特に好適には完全に、クリーニングのためにアクセス可能である。
【0014】
空気紡績ノズルの開放と、糸形成エレメントおよび/または好適にはクリーニングノズルの移動は、完全に相前後して行うことができるだけでなく、少なくとも部分的に同時に行うこともできる。糸形成エレメントを、空気紡績ノズルの開放と同時に、空気紡績ノズルの開放の直後に、クリーニング位置へと移動させることも考えられ、この場合、クリーニングノズルのクリーニング位置への移動は必要ではないが、好適には付加的に可能である。
【0015】
基本的には、クリーニング位置は、糸形成エレメントのクリーニングがクリーニングノズルを用いて少なくとも1種のクリーニング媒体により行われる、糸形成エレメントおよび/またはクリーニングノズルの位置である。クリーニングノズルのクリーニング位置は、好適には渦室の外側であって、かつ/または糸形成エレメントの表面に対峙して位置している。クリーニング位置は、クリーニングノズルの運転のために規定されており、好適にはクリーニングノズルの運転は、専らクリーニング位置において行われる。クリーニング位置では、好適には、空気紡績ノズルの別の構成部材、紡績ユニットおよび/または空気紡績機が、糸形成エレメントの外側の表面と少なくとも1つのクリーニングノズル、特に好適には全てのクリーニングノズルとの間の供給経路内に配置されることはない。
【0016】
基本的には、クリーニングノズルによるクリーニングは、任意の形式で行うことができ、クリーニングする方法は、好適には、特に複数のクリーニングステップから構成される規定されたクリーニングサイクルを含んでいる。クリーニングとは、好適には糸形成エレメントから汚れ、特に繊維、仕上げ剤および/またはポリマ堆積物を取り除くことを意味する。この場合、汚れは、特に好適には糸形成エレメントの外側の表面および/または糸形成エレメントの内部の糸引出し通路の少なくとも一部から取り除かれる。
【0017】
糸形成エレメントのクリーニングを可能にするために、本発明によれば、クリーニング媒体を吐出し、クリーニング媒体を糸形成エレメントに供給するクリーニングノズルが設けられている。このためには、クリーニングノズルは、紡績ユニットに、かつ/または紡績ユニットに向けて配置される。好適には、少なくとも1つのクリーニングノズルが、2つの紡績ユニット、さらに好適には1つの個別の紡績ユニットに対応配置されている。このためには、好適にはクリーニングノズルは、2つの隣り合う紡績ユニットの領域に配置されていてよく、これによりクリーニングノズルがこれら2つの紡績ユニットのそれぞれの糸形成エレメントにクリーニング媒体を供給できるようになっている。さらに好適には、クリーニングノズルは、各紡績ユニットに配置されている。さらに好適には、クリーニングノズルは、液体および/または気体によって糸形成エレメントをクリーニングするノズルである。対応して、クリーニング媒体は、気体または液体であってよい。さらに、気体と液体とから成る任意の混合物、特にエアロゾル、泡および/またはエマルジョンも、クリーニング媒体として考えられる。
【0018】
糸形成エレメントの十分なクリーニングは、唯1つのクリーニングノズルによって達成することができるが、複数のクリーニングノズルが糸形成エレメントの領域に配置されていてもよく、好ましくは、複数のクリーニングノズルがクリーニング位置において糸形成エレメントの互いに異なる表面部分に向けて配向可能であり、かつ/または種々異なる方向から糸形成エレメントに向けて配向可能である。同様に好適には、クリーニングノズルは、噴霧化技術により糸形成エレメントの少なくとも1つの表面区分にクリーニング媒体を施与するように形成されている。特に好適には、クリーニングノズルは、液体噴霧器を有しており、極めて特に好適には、クリーニングノズルは液体噴霧器として形成されている。
【0019】
本発明によれば、クリーニングノズルは、クリーニング位置において糸形成エレメントにクリーニング媒体が供給可能であるように設計されており、特に位置決めかつ/または配向されており、または位置決め可能かつ/または配向可能である。クリーニング媒体の供給とは、クリーニング媒体が糸形成エレメントの表面の少なくとも一部または1つの区分に吐出されることであると理解される。
【0020】
クリーニングノズルへの少なくとも1種のクリーニング媒体の供給は、好適には少なくとも1つのクリーニング媒体管路を介して行われ、このクリーニング媒体管路は、純粋な液体管路として、純粋な気体管路として、または代替的には混合管路として形成されていてよい。さらに、特にクリーニング媒体としての気体および液体の供給は、種々異なる、もしくは互いに分離した管路を介して行うことができる。好適には、少なくとも1種のクリーニング媒体の供給方向で見て、かつ特に各個別のクリーニング媒体のために、クリーニングノズルの上流側に、活性化ユニットおよび/または調量ユニットが配置されており、これらの活性化ユニットおよび/または調量ユニットは、特に好適には、糸形成エレメントに供給されるクリーニング媒体の量または流れを所望に調節することができるように、弁として、かつ/または調節可能な絞りとして形成されている。
【0021】
紡績ユニットの1つの好適な構成では、少なくとも1つのクリーニングノズルが、渦室の外側に、かつ/または紡績ユニットにおいて、または紡績ユニットの領域において固定的に配置されており、これにより、特に簡単な構造を達成することができ、空気紡績プロセスがクリーニングノズルによって妨げられることはない。さらに、渦室の内部のクリーニング媒体によって紡糸成果物が損なわれることがない。
【0022】
さらに好適には、代替的または付加的に、少なくとも1つのクリーニングノズル、特に1つの別のクリーニングノズルが、渦室の外側で、かつ/または旋回装置によって休止位置と糸形成エレメントをクリーニングするクリーニング位置との間で移動可能である。これにより、紡績ユニットの特に妨げのない運転が可能になる。休止位置とクリーニング位置との間の移動は、好適には移動、特に走出および/または回転もしくは旋回である。特に、複数のクリーニングノズルを備えた紡績ユニットの有利な構成が考えられ、この場合、全てのクリーニングノズルは、好適には固定されているか、または可動であり、あるいは好適な形式で糸形成エレメントのクリーニングのために少なくとも1つの固定的なクリーニングノズルと、少なくとも1つの可動のクリーニングノズルが設けられていてよい。
【0023】
紡績ユニットの有利な1つの改良形では、クリーニングノズルは、特に旋回装置によって、糸形成エレメントにクリーニング位置において正面から、かつ/または側方から少なくとも一部の面にクリーニング媒体が供給可能であるように、位置決め可能かつ配向可能であり、これにより特に簡単な形式で糸形成エレメントのクリーニングを達成することができる。正面とは、特に、糸引出し通路に沿った方向および/または糸形成エレメントの先端部に向かう方向を意味している。側方とは、特に、糸形成エレメント内の中心に配置された糸引出し通路に直交して、および/または糸形成エレメントの好適には円錐形に形成された側面の一部に向かって配向されていることを意図している。
【0024】
クリーニングノズルが、特に旋回装置によって、糸形成エレメントの周囲を少なくとも部分的に、好適には完全に取り囲むように回転可能であり、これにより、糸形成エレメントの表面、特に紡績円錐表面に回転中に全面的にクリーニング媒体を供給することができる紡績ユニットの有利な1つの改良形が特に好適である。クリーニングノズルの回転は、糸形成エレメントの中心長手方向軸線または糸引出し通路に対して直角方向に行うことも、一定または可変の角度で行うこともでき、この場合、円形の軌道に沿った回転もしくは円区分に沿った回転が好適である。
【0025】
糸形成エレメントをクリーニングする方法の好適な1つの構成は、糸形成エレメントをクリーニングするクリーニングノズルが、旋回装置によって、休止位置からクリーニング位置へ、かつ/またはクリーニング後にクリーニング位置から休止位置へ移動させられることを規定している。クリーニング位置へのこの移動は、基本的に任意の時点で行うことができる。クリーニング位置への糸形成エレメントの移動は、空気紡績ノズルの開放工程の開始とともに、空気紡績ノズルの開放中に、かつ/または空気紡績ノズルの開放後に行うことが可能である。しかし好適には、クリーニング位置への糸形成エレメントの移動は、クリーニングノズルが開放工程の終了前または終了時にクリーニング位置に位置しているように行われ、これにより、特に時間効率の良いクリーニングが可能になる。
【0026】
基本的には、クリーニングは任意の時点で行うことができ、任意の頻度で繰り返すことができる。糸形成エレメントをクリーニングする方法の好適な1つの構成は、糸形成エレメントのクリーニングは、紡績中断中に、たとえば、少なくとも1回の糸破断後または各糸破断後に、少なくとも1回の糸の切断後または糸の各切断後に、空気紡績された糸を巻き取った巻取りパッケージの取外し中に、かつ/またはスライバを紡績ユニットに供給する紡績ケンスの交換中に行われることを規定している。糸破断後のクリーニングは、特に糸破断の原因となる汚れが空気紡績工程の再開前に取り除かれていることを可能にする。糸の切断後、巻取りパッケージの取外し中、もしくは巻取装置内への新しい空管の挿入中、かつ紡績ケンスの交換時のクリーニングは、糸破断後のクリーニングと同様に、同じ高い糸品質および糸強度を保証する。代替的または付加的には、クリーニングを、特に紡績ユニットの運転時間、糸破断の回数、糸の切断の回数、巻取りパッケージの取出し回数もしくは空管の挿入回数、紡績ケンス交換の回数、概して紡績中断もしくは紡績停止の回数に関して、所定の同一の間隔または互いに異なる間隔で周期的に行うこともでき、これにより定期的クリーニングを保証し、クリーニングされない期間が長期間になることを回避することができる。さらに代替的または付加的には、クリーニングを、所定の停止時間後に紡績ユニットを始動する前に、かつ/または所定の停止時間の準備において紡績ユニットを停止する前に行うことができる。これにより、紡績プロセスの再開時に、空気紡績ノズル内のこれらの邪魔な堆積物が十分に低減にされているか、または除去されていることを確実にすることもできる。
【0027】
糸形成エレメントをクリーニングする方法の好適な構成は、糸形成エレメントのクリーニングを、クリーニング液によって、特に水性のクリーニング媒体、エアロゾル、泡、エマルジョンまたはクリーニング媒体としての気体によって行うことを規定している。クリーニング媒体の適切な選択により、糸形成エレメントの表面に対して、必要に応じたクリーニングおよび特に付加的な処理を行うことができる。たとえば、特にエアロゾル、泡またはエマルジョンを用いて、クリーニング作用に加えて付加的に、所望の作用を有する所定の層を糸形成エレメントの表面に被着させることができ、この層は紡績プロセスに有利に作用することができる。したがって、糸形成エレメントに、たとえば付着防止層を設けることができ、この付着防止層は、所定の期間にわたって糸形成エレメントにおける粒子の付着を少なくとも低減し、最良の場合には阻止する。これにより、糸形成エレメントのクリーニング間隔を延長することができる。
【0028】
クリーニング液およびエアロゾルの使用は、特に根本的な、かつ特に迅速なクリーニングを可能にする。クリーニング液とは、好適には少なくとも90%、特に好適には少なくとも95%、極めて特に好適には少なくとも98%の液体割合を有するあらゆる液体であると理解される。液体は、特に好適には水であってよい。同様に好適には、クリーニング媒体は、少なくとも1種のクリーニングおよび/または表面活性物質、特に少なくとも1種の界面活性剤を含んでいてよい。
【0029】
基本的には、クリーニング媒体によるワンステップのクリーニングが考えられるが、糸形成エレメントをクリーニングする方法の好適な1つの事例では、第1のクリーニングステップにおいて、クリーニング液、エアロゾル、泡またはエマルジョンを、堆積物を取り除くために糸形成エレメントに向けて噴射し、次いで第2のクリーニングステップにおいて気体流を糸形成エレメントに向けて噴射し、これにより糸形成エレメントの表面から湿分を取り除き、かつ/またはこの表面を乾燥させることができる。このような好適なクリーニングは、特に好適には同一のクリーニングノズルにより行うことができる。気体流によるクリーニングは、連続した気体流により、または1つ以上の気体吹付けによって行うことができる。
【0030】
さらに、糸形成エレメントのクリーニングを、まず表面から緩く付着した(つまり剥がれやすい)粒子を取り除くために気体流を用いることにより、次いで強固に付着した粒子をはがすためにクリーニング液、エアロゾル、泡またはエマルジョンを用いることにより、次いで好適にはもう一度、糸形成エレメントの表面を最終的にクリーニングし、かつ/または乾燥させるために気体流を用いることにより行うという、糸形成エレメントをクリーニングする方法の有利な1つの態様も可能である。しかし代替的には、糸形成エレメントの表面を湿らせたままにし、これによりこの糸形成エレメントを用いて製造される糸の強度を、この糸形成エレメントの表面における高められた力作用に基づいて増大させるために、第2の気体流を必要に応じて省くことができる。
【0031】
本発明の別の1つの態様によれば、紡績ユニットは、空気紡績機の作業部に含まれていてよい。作業部とは、紡績ユニットに供給されたスライバから紡績ユニットによって空気紡績された紡績ヤーンまたは糸が製造され、かつ糸走行経路で紡績ユニットに後置された巻取り装置を介して巻取りパッケージ、特に綾巻きパッケージの巻成のために巻き取られるようになっている、空気紡績機のあらゆる位置のことであると理解される。スライバ供給は、空気紡績機に割り当てられた中央のスライバ蓄え部を介して、または個別の紡績ユニットに割り当てられたそれぞれのスライバ蓄え部、たとえば、特に紡績ケンスを介して行うことができる。紡績ケンス内には、所定の量のスライバがこの紡績ケンスから取り出し可能に収容されている。作業部は、スライバもしくは糸の所望の需要に応じた処理のために、別のスライバ処理装置または糸処理装置を有していてよい。したがって、作業部は、スライバ供給および/またはスライバパラメータを監視するセンサ機器および/または代替的に、糸の引出し、巻取り装置への糸供給、糸パラメータを監視し、糸の欠陥を解消し、かつ/またはスライバ破断または糸破断後、または紡績ケンス交換または巻取りパッケージ取出し後に糸継ぎするためのセンサ機器を有していてよい。さらに、作業部には、ドラフト装置の領域においてセンサ機器または別の装置が割り当てられていてよく、このセンサ機器または別の装置によって、スライバは、所望の需要に応じてドラフトされ、かつ/または特に種々異なる繊維材料から成る付加的な繊維、いわゆるコアヤーンを備えることができる。
【0032】
本発明による紡績ユニットの複数の実施例を、以下に図面に関連して詳しく説明する。なお、同一の構成部材には同一の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】空気紡績機の紡績ユニットの第1の構成を、空気紡績ノズルを糸形成のための閉じられた状態で概略的に示す横断面図である。
図2図1に図示した紡績ユニットを、空気紡績ノズルをクリーニングのための開放させられた状態で概略的に示す横断面図である。
図3】空気紡績機の紡績ユニットの第2の構成を、空気紡績ノズルを糸形成のための閉じられた状態で概略的に示す横断面図である。
図4図3に図示した紡績ユニットを、空気紡績ノズルをクリーニングのための開放させられた状態で概略的に示す横断面図である。
【0034】
空気紡績機の紡績ユニット1の、図1および図2に図示した第1の構成は、空気紡績ノズル2を有している。この空気紡績ノズル2内には、渦室3内に紡績円錐体が糸形成エレメント4として配置されている。紡績ユニット1において空気紡績によって糸を製造することができるようにするために、まず、スライバがまず多重ローラドラフト装置によってドラフトされ、これにより得られたドラフトされたスライバは、続いてスライバ入口7を介して空気紡績ノズル2へ供給される。スライバは、この好適な実施例によれば、スライバ入口7を介した導入後に、スライバ搬送方向で既に公知の形式で糸形成エレメント4に向かう方向でほぼ糸形成エレメント4の引出し通路開口に至るまで延びる針8の周囲に案内される。針8に対して代替的に、別の好適な実施例によれば、一般に知られているピンセットが配置されていてよい。空気紡績ノズル2の渦室3内で、スライバの外側の繊維が、空気紡績ノズル2の導入開口の領域において空気紡績ノズル2によって形成された渦空気流によって、内側に位置する繊維コアに巻き付けられるので、平行な糸コアと規定された角度で該糸コアに接触する巻付き繊維とから成る空気紡績糸特有の糸構造が生じる。巻付き繊維は、糸の所望の強度にとって重要である。
【0035】
合成繊維材料を糸の空気紡績のために使用する場合、時間の経過とともに剥離した個々の繊維、繊維残渣および場合によっては補助材料が糸形成エレメント4の表面に堆積して、これにより紡績された糸の品質および強度が低下してしまう。
【0036】
このことを阻止するために、紡績ユニット1の領域において渦室3の外側に、クリーニングノズル5が定位置に配置されており、このクリーニングノズル5はその配置に基づいて、閉じた空気紡績ノズル2における空気紡績プロセスに影響を与えない(図1参照)。しかし、たとえば糸破断または紡績された糸の切断後に空気紡績ノズル2が開放させられた場合、糸形成エレメント4は空気紡績ノズル2が開放させられた状態でクリーニング位置へ移動し、そのクリーニング位置において、固定的なクリーニングノズル5の吐出開口は、糸形成エレメント4の側面に向けて配向されているので、糸形成エレメント4の表面をクリーニングノズル5によってクリーニングすることができる(図2参照)。
【0037】
このためには、この第1の構成によれば、少なくとも1種の水性のクリーニング液がクリーニングノズル5によって噴霧化されて、噴霧として糸形成エレメント4に向けられるので、糸形成エレメント4の表面に付着している堆積物を取り除くことができる。
【0038】
しかし好適には、このようなクリーニングは、1回のクリーニングサイクルによって行うことができ、クリーニングサイクルは、一回実施することも、複数回繰り返すこともできる。第1の可能なクリーニングサイクルは、まず、クリーニングノズル5によって、堆積物を取り除くためのクリーニング液を糸形成エレメント4の表面に吹き付け、次いで同様にクリーニングノズル5によって、圧縮空気パルスを糸形成エレメント4の表面に向け、これにより、クリーニング液と、はがれた付着物の混合物を取り除き、糸形成エレメント4の表面を乾燥させることができる。これに対して代替的には、別の1つの構成によれば、クリーニング液の代わりに、泡がクリーニングノズル5を介して糸形成エレメント4の表面に被着され、この泡には、付着防止作用を有する液体が混合されている。続く圧縮空気パルスにより、付着防止作用を有する液体が被着された糸形成エレメント4は、乾燥させられる。
【0039】
代替的な1つのクリーニングサイクルでは、まず圧縮空気パルスが糸形成エレメント4の表面に向けられ、これにより緩く付着した付着物を取り除くことができる。次いで、クリーニング液のようなクリーニング媒体によるクリーニングが行われ、これにより圧縮空気によってはがすことができなかった固着した付着物を取り除くことができる。最終的に、圧縮空気を新たに供給することにより、好適にはクリーニング液とはがれた付着物との混合物を取り除き、糸形成エレメント4の表面が乾燥させられる。さらに、好適には全てのクリーニングステップのために、同一のクリーニングノズル5が使用される。
【0040】
空気紡績機の紡績ユニット1の、図3および図4に図示された第2の構成は、固定的なクリーニングノズル5の代わりに2つの可動なクリーニングノズル5a,bが設けられていることにより、第1の構成とは決定的に異なっている。
【0041】
この場合、第1のクリーニングノズル5aは糸形成エレメント4の側面に向かう方向に直線的に可動に配置されており、このクリーニングノズル5aは、糸形成エレメント4の表面をクリーニングするために、糸形成エレメント4がクリーニング位置に移動させられる空気紡績ノズル2の開放後に、同様に直線的にクリーニング位置へ移動させられ、したがって、糸形成エレメント4の表面のすぐ近傍でクリーニング媒体、特にクリーニング液、エアロゾル、泡、エマルジョンまたは気体を糸形成エレメント4に向けて施与することができる。
【0042】
さらに、このクリーニングノズル5aは、糸形成エレメント4の周囲で少なくとも部分的に旋回可能に配置されていてよく、これにより糸形成エレメント4の表面の周囲に沿ってクリーニング流体を被着させることができる。
【0043】
第2のクリーニングノズル5bは、直線的に可動であり、かつ旋回装置6(図4において矢印によって単に概略的に示されている)により糸形成エレメント4の表面に向かって旋回可能に配置されている。空気紡績ノズル2の開放中およびこれに伴うクリーニング位置への糸形成エレメント4の位置決め中に既に、第2のクリーニングノズル5bが直線的に移動させられる。糸形成エレメント4がクリーニング位置に到達した後に、クリーニングノズル5bは、次いで旋回装置6により糸形成エレメント4の表面に向かって旋回させられ、これにより、両クリーニングノズル5a,5bによりクリーニングを行うことができる。
【0044】
複数のクリーニングノズル5a,5bによるクリーニング時に、クリーニングを全てのクリーニングノズル5によって同時に行うことができ、またはクリーニングノズル5a,5bを順次クリーニングのために使用することもできる。さらに、両クリーニングノズルが同時にまたは直接に相前後して同一のクリーニング媒体を使用するのではなく、各クリーニングノズル5a,5bによって他方のクリーニングノズル5b,5aとは独立したクリーニングサイクルを行うことができることが考えられる。
【符号の説明】
【0045】
1 紡績ユニット
2 空気紡績ノズル
3 渦室
4 糸形成エレメント
5 クリーニングノズル
6 旋回装置
7 スライバ入口
8 針
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】