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特開2022-97469空気精紡機の作業ユニットならびに糸ガイド部材
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  • 特開-空気精紡機の作業ユニットならびに糸ガイド部材 図1
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  • 特開-空気精紡機の作業ユニットならびに糸ガイド部材 図2a
  • 特開-空気精紡機の作業ユニットならびに糸ガイド部材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097469
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】空気精紡機の作業ユニットならびに糸ガイド部材
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/115 20060101AFI20220623BHJP
   D01H 15/00 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
D01H1/115
D01H15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205371
(22)【出願日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】20215368
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521553287
【氏名又は名称】ザウラー インテリジェント テクノロジー エイ・ジー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Intelligent Technology AG
【住所又は居所原語表記】Textilstrasse 9, 9320 Arbon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トゥルガイ ユクセル
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056BA05
4L056CA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空気精紡機の作業ユニットであって、供給された繊維スライバから糸を紡績する空気紡績装置と、空気紡績装置の出口開口から出る糸を受け入れる入口開口と、少なくとも空気紡績装置から到来する空気紡績された糸をガイドする糸ガイド通路とを備えた、空気紡績装置の下流に設けられた糸ガイドユニットとを備えた空気精紡機の作業ユニットならびに空気紡績装置の出口開口と、糸ガイドユニットの入口開口との間に配置する糸ガイド部材に関する。
【解決手段】糸ガイド部材は、貫通路を有する通路本体を有しており、通路本体は、紡績装置の出口開口の領域に貫通路の第1の開放端部を配置するために紡績装置との結合用に形成された接続部と、入口開口に対向して位置するように配置可能な端部とを有しており、端部は、入口開口から出る糸を受け入れるように、入口開口を包囲する糸ガイドユニットの輪郭に適合させられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績装置(6)の出口開口(24)と、糸ガイドユニットを通して糸(27)をガイドする糸ガイド通路(4)を備えた前記糸ガイドユニットの入口開口(20)との間に配置する糸ガイド部材において、
貫通路(22)を有する通路本体(26)が設けられており、該通路本体(26)は、
-前記紡績装置(6)の前記出口開口(24)の領域に前記貫通路(22)の第1の開放端部を配置するために前記紡績装置(6)との結合用に形成された接続部(23)と、
-前記入口開口(20)に対向して位置するように配置可能な端部(21,21a)とを有しており、該端部(21,21a)は、前記入口開口(20)から出る糸(27)を受け入れるように、前記入口開口を包囲する前記糸ガイドユニットの輪郭に適合させられていることを特徴とする、糸ガイド部材。
【請求項2】
前記糸ガイドユニットは、糸を規定通りに変向する糸変向ユニット(2)を有しており、該糸変向ユニット(2)は、前記入口開口(20)を形成しておりかつ前記入口開口(20)とは反対の側の端部に、中間に位置する糸変向部を介して前記入口開口(20)に結合された出口(3)を有しており、該出口(3)を介して前記糸変向ユニット(2)は、糸(27)を、前記糸ガイドユニットを通して前記入口開口(20)までガイドする前記糸ガイド通路(4)に結合可能である、請求項1記載の糸ガイド部材。
【請求項3】
前記端部(21)は、前記入口開口(20)の領域において前記糸変向ユニット(2)の輪郭に、特に前記糸変向ユニット(2)の変向ローラ(16)の輪郭に適合させられている、請求項2記載の糸ガイド部材。
【請求項4】
前記接続部(23)は、前記紡績装置(6)にバヨネットクロージャ状に結合するように形成されている、請求項1から3までのいずれか1項または複数項記載の糸ガイド部材。
【請求項5】
前記通路本体(26)は、プラスチック材料、特にPVCから形成されている、請求項1から4までのいずれか1項または複数項記載の糸ガイド部材。
【請求項6】
前記端部(21,21a)は、漏斗形に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項または複数項記載の糸ガイド部材。
【請求項7】
前記通路本体(26)は、前記貫通路(22)に沿って、該貫通路(22)内に回転流を生ぜしめる複数の空気通流部を有している、請求項1から6までのいずれか1項または複数項記載の糸ガイド部材。
【請求項8】
空気精紡機の作業ユニットであって、
-供給された繊維スライバから糸(27)を紡績する空気紡績装置(6)と、
-該空気紡績装置(6)の出口開口(24)から出る糸(27)を受け入れる入口開口(20)と、少なくとも前記空気紡績装置(6)から到来する空気紡績された糸(27)をガイドする糸ガイド通路(4)とを備えた、前記空気紡績装置(6)の下流に設けられた糸ガイドユニットと
を備えた空気精紡機の作業ユニットにおいて、
前記空気紡績装置(6)の前記出口開口(24)と、前記糸ガイドユニットの前記入口開口(20)との間の領域に、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載の糸ガイド部材(1,1a)が配置されていることを特徴とする、空気精紡機の作業ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気精紡機の作業ユニットであって、
-供給された繊維スライバから糸を紡績する空気紡績装置と、
-空気紡績装置の出口開口から出る糸を受け入れる入口開口と、少なくとも空気紡績装置から到来する空気紡績された糸をガイドする糸ガイド通路とを備えた、空気紡績装置の下流に設けられた糸ガイドユニットと
を備えた空気精紡機の作業ユニット
ならびに空気紡績装置等の紡績装置の出口開口と、糸変向ユニットの入口開口との間に配置する糸ガイド部材に関する。
【0002】
繊維工業では、繊維糸の製造に関して様々な方法や紡績装置が知られている。以前から広まっており、極めて有利であることが判っているのは、例えばリング精紡機および/またはロータ式オープンエンド精紡機である。さらに、特に合成糸材料の処理に関して、いわゆる空気精紡機も知られている。
【0003】
国際公開第2019/012143号からは、例えば中空の紡績コーンの周りを流れる空気流を介して、繊維スライバから糸を形成する空気紡績装置を備えた空気精紡機が公知である。先に、空気紡績装置の上流に配置されたドラフト装置により引き伸ばされた繊維スライバが、空気紡績装置の繊維スライバ入口を介して空気紡績装置に供給され、中空の紡績コーンを包囲する、ノズル装置により渦空気流を供給可能な渦室内に流入する。この場合、ノズル装置は、紡績コーンの周りを流れる空気流を発生させ、これにより、繊維スライバの自由な繊維端部が、周知の形式で紡績コーンの周りに当て付けられると共に芯繊維の周りにらせん状に巻き付けられ、これにより、適当な強度特性を備えた糸が製造され、この糸は、空気紡績装置の出口開口を介して巻取り装置に送られ、巻取り装置により、紡績された糸は巻取りボビンに規定通りに巻き取られる。この場合、糸は空気紡績装置を出てから、糸をガイドする糸変向ユニットと、糸変向ユニットに隣接する糸ガイド通路とを通走する。
【0004】
空気紡績装置において、例えば供給された繊維スライバの裂断に基づき、または紡績された糸が糸クリアラの管理された切断とは別の方法で切断されたために紡績プロセスの中断が生じると、紡績の中断解消に用いられる後続の糸継ぎ過程において、まず既に紡績された、通常は付属の巻取りボビンに巻き取られる糸の糸端部を回収し、空気紡績装置を通してドラフト装置の領域内にまで、または渦室内の紡績コーンに前置させるように、糸引出し方向に送らねばならない。空気紡績装置の出口開口付近に糸端部をもたらす搬送媒体としては大抵、パルスブローにより生ぜしめられる空気流が用いられる。糸端部が出口開口に前置されると直ちに、糸端部は、紡績過程中の通常の糸引出し方向とは反対の方向に向けられた吸込み空気流を介して空気紡績装置内に吸い込まれ、渦室まで送られる。
【0005】
糸引出し方向において空気紡績装置の下流に配置された、糸ガイド通路を有する糸ガイドユニットを備えた公知の空気精紡機の場合、糸ガイドユニットの入口開口と、これとは反対の側に位置する紡績装置の出口開口との間の糸ガイド無しの領域に基づき、巻取りボビンに巻き取られた糸の不確実な戻しが生じ、その結果、糸継ぎを行うために、糸を空気紡績装置内に確実に導入することができなくなる恐れがある。
【0006】
このことから出発して本発明の根底を成す課題は、確実な糸継ぎを可能にする、空気精紡機の作業ユニットならびに精紡機、特に空気精紡機等に用いる糸ガイド部材を提供することにある。
【0007】
本発明はこの課題を、請求項1記載の特徴を有する糸ガイド部材ならびに請求項8記載の特徴を有する空気精紡機の作業ユニットにより解決する。糸ガイド部材の有利な改良は、従属請求項2~6に記載されている。
【0008】
本発明による糸ガイド部材は、例えば空気紡績装置等の紡績装置の出口開口と、紡績装置と巻取り装置との間に延びる糸をガイドする糸ガイド通路を有する糸ガイドユニットの入口開口との間に配置するように、貫通路を有する通路本体を有している。この場合、通路本体自体は、紡績装置に結合可能な接続部を有しており、接続部を介して通路本体は、その貫通路の第1の開放端部でもって紡績装置の出口開口の領域内に位置決めされ得る。さらに通路本体は、入口開口に対向して位置するように配置可能な端部を有しており、端部は、糸が入口開口から貫通路内に確実に進入することを保証するためもしくは入口開口から出る糸を受け入れるために、入口開口を包囲する糸ガイドユニットの輪郭に適合されている。したがって端部の構成は、入口開口から出る糸の、通路本体の貫通路内への確実な移行が保証され得るように行われる。貫通路の端部もしくはこの端部により画定される貫通路の第2の開放端部と、入口開口との間の距離は、入口開口から出る糸端部に、端部もしくは第2の開放端部と入口開口との間に形成されたギャップに向かう変向が生じ、これにより糸端部がギャップを介して変向されないように選択されている。さらに好適には、端部は、入口開口とは反対の側に位置するように第2の開放端部を配置するために、端部と、入口開口を包囲する輪郭との間に糸端部を通すギャップを形成すること無しに形成されている。このために端部は、例えば残りの通路本体とは異なる形状または大きさを有していてよい。
【0009】
本発明による糸ガイド部材は、糸継ぎのために戻されるべき糸端部の、紡績装置内への確実な移行を保証し、この場合、端部が、糸ガイドユニットの入口開口に適合されたその構成に基づき、糸ガイドユニットの入口開口から出たときの糸端部の確実な受入れを保証する。糸ガイド部材の通路本体の貫通路内に位置する糸は、貫通路に沿って、貫通路の第1の開放端部を介して紡績装置の出口開口内へ確実にガイドされ、そこから糸端部は、繊維スライバとの糸継ぎに必要とされる位置に到達する。
【0010】
つまり本発明による糸ガイド部材は、通常、巻取りボビンにより巻き取られた糸端部を紡績装置内へ確実に戻し、これにより、供給された繊維スライバとの確実な糸継ぎが達成されることを保証する。つまり糸ガイド部材は、一般に糸ガイドが設けられない糸ガイドユニットと紡績装置の出口開口との間の中間部分を架橋することにより、糸の戻り不良に基づく故障を防止する。本発明による糸ガイド部材は、紡績装置内への廉価で簡単な糸戻しを確実に保証しひいては確実な糸継ぎを保証する。
【0011】
紡績装置における糸ガイド部材の配置は、基本的に任意の形式で行われてよい。つまり、このためには例えば糸ガイド部材を紡績装置の出口開口の領域に取外し可能に配置することができる適当な取付けねじまたは緊締手段が設けられてよい。ただし本発明の1つの特に有利な構成では、糸ガイド部材の通路本体の接続部は、紡績装置にバヨネットクロージャ状に結合するように形成されている、ということが想定されている。
【0012】
本発明のこの構成では、第1の開放端部の領域の接続部または出口開口の領域の紡績装置は、長手方向スリットを有しており、長手方向スリットの端部には、短い横方向スリットが直角に続いており、横方向スリットは、他方の紡績装置または接続部に設けられた対応する係合部材と作用結合可能である、ということが想定されている。バヨネットクロージャ状の結合を介した、接続部と紡績装置との間の結合部の構成は、紡績装置における糸ガイド部材の特に簡単で確実な配置ならびに場合により、保守整備作業が行われるべき場合には、紡績装置からの糸ガイド部材の取外しを可能にする。
【0013】
通路本体は、基本的に任意の材料、例えば適当な金属材料から製造されていてよい。ただし本発明の1つの特に有利な構成では、通路本体は、プラスチック材料、特にPVCから形成されている、ということが想定されている。プラスチック材料の使用は、糸ガイド部材の特に簡単で廉価な製造を可能にする。さらにプラスチック材料の使用は、入口開口から出る、紡績装置内に戻されるべき糸を糸ガイド部材内へ受け入れる、入口開口の領域に配置可能な通路本体の端部の簡単な賦形を可能にする。
【0014】
入口開口を包囲する糸ガイドユニットの輪郭に端部を適合させるためには、基本的に多様な可能性がある。1つの好適な実施形態では、糸ガイドユニットは、糸を規定通りに変向させる糸変向ユニットを有しており、この場合は糸変向ユニットが入口開口を形成している。糸変向ユニットは、その入口開口とは反対の側の端部に、中間に位置する糸変向部を介して入口開口に結合された出口を有しており、この出口を介して糸変向ユニットは、糸を、糸ガイドユニットを通して入口開口までガイドする糸ガイド通路に結合可能である。糸変向ユニットを備えたこのような糸ガイドユニットは、紡績装置と巻取り装置との間に配置された糸走行路内での糸の変向を可能にし、これにより、空気精紡機の作業ユニットを、糸走行路に沿ってよりコンパクトに形成することができる。糸変向ユニットは、好適には、入口開口の貫通軸線と出口の貫通軸線との間の90°未満の角度で糸を変向させるように形成されている。特に好適には、糸変向ユニットはこのために糸ガイドノッチを備えた糸変向ローラを有しており、糸ガイドノッチに沿って糸を変向させながらガイドすることができる。糸ガイドノッチは、横断面で見て必要に応じた形状、例えばU字形、V字形、C字形、W字形または類似の形状を有していてよい。
【0015】
1つの有利な構成では、端部は漏斗形に形成されている、ということが想定されている。端部のこの構成は、入口開口とは反対の側に端部を配置した場合に、戻そうとする糸の、糸ガイド部材における特に確実な受入れひいては糸継ぎ過程を実施する紡績装置内への糸端部の確実な供給を保証する。
【0016】
本発明の1つの別の構成では、端部は、入口開口の領域において、糸変向ユニットの輪郭に、特に糸変向ユニットの糸変向ローラの輪郭に適合させられている、ということが想定されている。本発明のこの構成では、糸ガイド部材はその接続部でもって直接、糸変向用に設けられた糸変向ローラまで延びている。糸変向ロータに対する端部の輪郭の適合は、入口開口に対する端部の特に近い配置を可能にし、ひいては戻されるべき糸の特に確実な受入れを保証し、さらに、糸ガイド部材の特に簡単で廉価な製造を可能にし、この場合、端部は例えば糸変向ローラのアールにスコップ形に適合させられた横断面を備えている。
【0017】
さらに1つの好適な実施形態では、通路本体は貫通路に沿って、糸をガイドする際に貫通路内に回転流を生ぜしめる複数の空気通流部を有している。空気通流部は、好適には通路本体の周りに周方向に延びるように、特にらせん状に配置されている。空気通流部は、さらに好適には、貫通路に対して接線方向の開口軸線を有していてよく、開口軸線は、さらに好適には貫通路を通って延びる糸案内軸線および糸走行方向に対して斜めに向けられている。このことは、貫通路内における比較的乱流の少ない回転流の形成を可能にする。貫通路内のこのような回転流は、特に空気紡績過程において糸をガイドする際に、糸の突出した縁部繊維を糸の周りに巻き付けて糸に付着させるもしくは適宜に結び付ける、という点において有利に働く。このことは、案内される糸の毛羽に、この糸パラメータの値が減少され得るように影響を及ぼすことができ、これにより、糸の強度が高まる。特に、案内される糸に毛羽を低下させる回転流を供給することは、長繊維の繊維を得るために有効である。
【0018】
回転流は、受動的または能動的に形成され得る。受動的な形成とは、本発明の意味では、高速で貫通路を通して行われる糸ガイドによってのみ形成される回転流を意味し得る。この高速は、空気の連行ひいては空気通流部から貫通路内への空気の吸込みを生ぜしめ、これらが最終的に回転流になる。
【0019】
糸ガイドは、糸走行方向に、つまり糸継ぎ過程では紡績装置に向かう方向に、または通常の紡績運転中はその反対の方向に、好適には負圧または過剰圧により支援されて行われる。このために糸は、圧縮空気または吸込み空気と共に貫通路を通ってガイドされ得る。圧縮空気または吸込み空気は、好適には糸変向ユニットの外部で、例えば紡績装置において、または糸変向ユニットの内部で、特に圧縮空気を入口開口に向かって糸変向ユニット内に導入する、糸変向ユニットに設けられた圧縮空気接続部を介して形成され得る。さらに択一的または追加的に、圧縮空気は、圧縮空気源に接続されており、空気通流部に圧縮空気を供給する圧縮空気通路を介して生ぜしめられてもよい。圧縮空気通路は、例えば各空気通流部に結合されて、通路本体の周りを包囲するように環状に延びていてよい。
【0020】
本発明は前記課題をさらに、空気精紡機の作業ユニットであって、
-供給された繊維スライバから糸を紡績する空気紡績装置と、
-空気紡績装置の出口開口から出る糸を受け入れる入口開口と、糸変向ユニットの出口に結合された、空気紡績装置と巻取り装置との間に延びる糸をガイドする糸ガイド通路とを備えた、空気紡績装置の下流に設けられた糸変向ユニットと
を備える、空気精紡機の作業ユニットにおいて、空気紡績装置の出口開口と、糸変向ユニットの入口開口との間の領域に、上述した本発明によるまたは改良された糸ガイド部材が配置されている、空気精紡機の作業ユニットにより解決する。
【0021】
空気精紡機の本発明による作業ユニットは、冒頭で述べた本発明によるまたは改良された糸ガイド部材を用いて、糸ガイドユニットから、特に糸変向ユニットから出る、空気紡績装置内に戻されるべき糸端部の、空気紡績装置内への確実な糸ガイドを保証する。糸ガイドユニットから、特に糸変向ユニットから出る糸は、糸ガイド部材の貫通路内に確実に受け入れられ、貫通路を介して空気紡績装置に供給される。糸端部の戻し不良に基づく空気精紡機の作業ユニットの故障は、この糸ガイド部材を使用することにより確実に回避され得、これにより、空気精紡機の作業ユニットの運転確実性が補足的に向上させられる。
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の1つの実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】糸変向ユニットを備えた糸ガイドユニットを、糸ガイド通路に配置された糸準備装置と空気紡績装置と共に示す図である。
図2】空気紡績装置と糸変向ユニットとの間に配置された糸ガイド部材を概略的に示す図である。
図2a図2に示した糸ガイド部材の正面図である。
図3】糸ガイド部材の別の実施形態を示す図である。
【0024】
図1には、糸走行路に沿って空気紡績装置6の下流に設けられた、糸変向ユニット2を備えた糸ガイドユニットが概略図で示されており、糸変向ユニット2は、その出口3に接続された糸ガイド通路4を介して糸準備装置5に結合されている。空気紡績装置6と、糸変向ユニット2を備えた糸ガイドユニットと、糸ガイド通路4と、糸準備装置5とは、空気精紡機の1つの作業ユニット(ここには図示せず)の構成部材であり、空気精紡機では、紡績過程の最中に空気紡績装置6から出る糸27が巻取りボビン(ここには図示せず)に巻き取られる。
【0025】
通常の空気紡績過程の最中に、蓄えられた繊維スライバが、巻取りボビンに通じるその経路においてまず、繊維スライバ走行方向Rにおいて空気紡績装置6の上流に設けられたドラフト装置を通走し、そこで規定通りに引き伸ばされる。次いでドラフト装置(ここには図示せず)の出口ローラ対を介して、引き伸ばされた繊維スライバは空気紡績装置6に供給され、空気紡績装置6内で繊維スライバは、紡績コーン(ここには図示せず)の領域においてノズルブロックから流出する空気流により生ぜしめられる回転流の影響下で糸27に作り変えられ、このとき繊維スライバの縁部繊維が、繊維スライバの芯繊維の周りにらせん状に巻き付けられる。
【0026】
これにより製造された、空気紡績された糸27は、空気紡績装置6から引き出され、糸変向ユニット2を備えた糸ガイドユニットと糸ガイド通路4とを経て糸準備装置5を通って引き出されてから巻取りボビンに巻き取られる。
【0027】
例えば糸(27)の裂断または既に紡績された糸の管理された切断または管理されない切断に基づき空気紡績過程の最中に紡績が中断された場合には、紡績過程の再始動前に、まず糸継ぎ過程を実施する必要がある。糸継ぎ過程の実施には、既に仕上げられた糸(27)の、通常は巻取りボビン上に位置する端部を、空気紡績装置6の繊維スライバの領域内に供給することが必要である。
【0028】
このためには一般に、例えば吸込みノズル等の糸端部連行ユニットを介して、既に製造された糸(27)の糸端部が巻取りボビンまたは所定の糸端部位置から回収され、図1に示すように、保持・解撚管7を備え、繊維スライバ走行方向Rにおいて空気紡績装置6の下流に配置された糸準備装置5内に送られる。保持・解撚管7内で、糸端部から撚りと緩い繊維とが十分に除去される。
【0029】
このために糸準備装置5は、収容ケーシング8内に配置された保持・解撚管7を有している。収容ケーシング8自体は環状室9を有しており、環状室9には空圧導管10を介して圧縮空気源11が接続されている。空圧導管10内には弁12が接続されており、弁12は、制御導管13を介して紡績箇所の制御装置(ここには図示せず)に接続されている。保持・解撚管7は、環状室9に接続された少なくとも1つのブローノズル14を備えている。
【0030】
自体公知のように、糸27は、その糸端部を空気紡績装置6内での糸継ぎ過程用に準備するために、まず保持・解撚管7内に導入されねばならない。このために回収された糸端部は、糸端部を空圧により保持・解撚管7内に通すことができるように、糸準備装置5に供給される。このために糸準備装置5は、図1に示すように、回収された糸27の長さを必要に応じて短くする少なくとも1つの切断装置15と協働し得る。切断過程において弁12が制御され、ブローノズル14を介して保持・解撚管7内に吹き込まれ、これにより、切断された糸端部を保持・解撚管7内に通すもしくは吸い込むことができるようになっている。通された糸端部からは、保持・解撚管7内で糸の撚りと緩い繊維とが除去される。
【0031】
図1からさらに看取され得るように、糸準備装置5は、糸27をガイドする糸ガイド通路4に結合されており、この場合、糸ガイド通路4は、繊維スライバ走行方向Rにおいて糸変向ユニット2と糸準備装置5との間に配置されている。繊維スライバ走行方向Rは、糸27が空気紡績装置6により紡績される空気精紡機の紡績運転中の糸27の走行方向と同じである。
【0032】
糸ガイド通路4は、糸変向ユニット2の出口3に接続されており、糸変向ユニット2は、糸27を管理して変向させるために糸変向ローラ16を有しており、糸変向ローラ16により、糸27は、糸端部の戻しに際して、空気紡績装置6に向かう方向に変向させられる。この場合、糸変向ユニット2はさらに、圧縮空気接続部17用の取付け部を有しており、圧縮空気接続部17を介して、圧縮空気を、開口18を介して空気紡績装置6の方に向いた通路部分19に供給することができ、このとき同時に、糸ガイド通路4内には吸引作用が生じることになる。
【0033】
糸変向ユニット2の入口開口20には、糸ガイド部材1の端部21が隣接しており、この場合、端部21は糸変向ローラ16の輪郭に適合した、スコップ形の輪郭を有している。糸ガイド部材1において端部21から接続部23まで通じる貫通路22が、空気紡績装置6の出口開口24にまで延びている。この場合、糸ガイド部材1を配置するために、通路本体26に結合板25が配置されており、結合板25は、バヨネット結合部(ここには図示せず)を介して空気紡績装置6に結合可能である。戻された糸27は、既存の空気流に基づき貫通路22を介して確実に、漏斗形の出口開口24を経て空気紡績装置6内に導入される。つまり糸ガイド部材1は、糸変向ユニット2の入口開口20と空気紡績装置6との間の領域を架橋し、ここでの確実な糸ガイドを保証する。
【0034】
図1ならびに図2および図2aに示した糸ガイド部材1に対する1つの択一的な実施形態が、図3に示されている。図3に示す糸ガイド部材1aは、図1図2および図2aに示した糸ガイド部材1とは異なり、戻された糸端部の確実な受入れを保証する漏斗形の端部21aを有している。
【符号の説明】
【0035】
1,1a 糸ガイド部材
2 糸変向ユニット
3 出口
4 糸ガイド通路
5 糸準備装置
6 紡績装置/空気紡績装置
7 保持・解撚管
8 収容ケーシング
9 環状室
10 空圧導管
11 圧縮空気源
12 弁
13 制御導管
14 ブローノズル
15 切断装置
16 糸変向ローラ
17 圧縮空気接続部
18 開口
19 通路部分
20 入口開口
21,21a 端部
22 貫通路
23 接続部
24 出口開口
25 結合板
26 通路本体
27 糸
R 繊維スライバ走行方向
図1
図2
図2a
図3
【外国語明細書】