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特開2022-97472クロマティックレンジセンサーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097472
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】クロマティックレンジセンサーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20220623BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220623BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
G01B11/06 Z
G01B11/00 B
G01C3/06 120P
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205784
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】17/126,191
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ラマン
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA30
2F065BB22
2F065FF01
2F065FF10
2F065GG23
2F065GG24
2F065HH13
2F065JJ25
2F065LL02
2F065LL10
2F065LL30
2F065LL67
2F065QQ16
2F065QQ29
2F065QQ42
2F065RR08
2F065SS14
2F112AB07
2F112CA12
2F112DA30
(57)【要約】
【課題】より正確な厚さ測定を実現するクロマティックレンジセンサー(CRS)システムを提供する。
【解決手段】クロマティックレンジセンサー(CRS)システムは、ワーク厚さを決定するように設けられ、光学ペン、光源、波長検出器および信号処理器を含む。光学ペンは軸上色分散を示し、光源は多波長入射光を発生するように設けられ、波長検出器は、その測定軸に沿って配置された複数のピクセルを有する。測定動作において、光学ペンは、光源からのスペクトルプロファイルが入力され、これに応じた照射をワーク(例えば、透光材)の第1及び第2表面に出力し、また、それらの反射光を波長検出器へ出力し、波長検出器は出力スペクトルプロファイルデータを提供する。信号処理器は、出力スペクトルプロファイルデータを処理して、ワーク厚さを決定する。様々な実施形態では、厚さの決定処理は、ワークまでの距離の決定処理に依存せず、変換処理等を利用する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク厚さを決定するクロマティックレンジセンサー(CRS)システムであって、
該CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備え、
該CRSシステムは、
前記光学ペンが前記ワークに対して測定動作を実行可能な位置になっている場合に、
該光学ペンが、
前記入力スペクトルプロファイルが入力され、
これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、
出力スペクトルプロファイルデータを提供する前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力するように構成され、
該CRSシステムは、さらに、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定する信号処理部を備え、前記ワーク厚さの決定処理が変換処理を利用していることを特徴とするCRSシステム。
【請求項2】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記変換処理は、フーリエ変換処理及びフーリエ変換関連処理の内の少なくとも1つを含み、
前記変換処理の利用は、
前記出力スペクトルプロファイルデータの変換を決定すること、及び、
前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換に含まれている第1特性の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定することを含むことを特徴とするCRSシステム。
【請求項3】
請求項2記載のCRSシステムにおいて、
前記第1特性は、前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換の第1ディップに対応することを特徴とするCRSシステム。
【請求項4】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記出力スペクトルプロファイルデータは、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面にそれぞれ対応した第1波長ピーク及び第2波長ピークを有する距離依存プロファイル成分からなり、前記ワーク厚さの決定は、前記第1ワーク表面までの第1測定距離、及び、前記第2ワーク表面までの第2測定距離を決定するための前記出力スペクトルプロファイルデータの処理には依存しないことを特徴とするCRSシステム。
【請求項5】
請求項4記載のCRSシステムにおいて、
前記第1波長ピーク及び前記第2波長ピークは、前記CRS波長検出器によって提供される前記出力スペクトルプロファイルデータの画像中に単一ピークとして視覚的に表れることを特徴とするCRSシステム。
【請求項6】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔が5μmであるワークについて、前記変換処理の利用は、前記信号処理部に10%未満の誤差の精度で前記ワーク厚さを決定することを可能にすることを特徴とするCRSシステム。
【請求項7】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記信号処理部は、更に、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記ワークまでの測定距離を決定するように設けられることを特徴とするCRSシステム。
【請求項8】
請求項7記載のCRSシステムにおいて、
前記ワークまでの前記測定距離の決定処理は、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記ワークまでの前記測定距離を指示する重心を決定することを含むが、前記ワーク厚さを決定する処理は、前記重心の決定には依存しないことを特徴とするCRSシステム。
【請求項9】
請求項7記載のCRSシステムにおいて、
決定された前記測定距離は、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間の前記ワークの内部の一点までの距離であることを特徴とするCRSシステム。
【請求項10】
請求項9記載のCRSシステムにおいて、
前記測定距離は、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面にそれぞれ対応する第1波長ピーク及び第2波長ピークの平均である距離指示座標に従って決定されることを特徴とするCRSシステム。
【請求項11】
請求項7記載のCRSシステムにおいて、
更なる態様によれば、前記信号処理部は、決定された前記測定距離及び決定された前記ワーク厚さを利用して、前記第1ワーク表面までの前記第1測定距離及び前記第2ワーク表面までの前記第2測定距離の内の少なくとも一つを決定するように設けられることを特徴とするCRSシステム。
【請求項12】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記変換処理の利用は、
前記出力スペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を決定すること、
前記出力スペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換を、基準のフーリエ変換で除算して、ターゲットスペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を取得すること、
前記ターゲットスペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換の逆フーリエ変換を計算して、前記第1ワーク表面までの第1測定距離及び前記第2ワーク表面までの第2測定距離にそれぞれ対応する第1波長ピーク及び第2波長ピークを決定すること、および、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面までの各測定距離の差の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定すること、を含むことを特徴とするCRSシステム。
【請求項13】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記CRSシステムは、厚さ測定モードを含む複数モードで動作可能であり、このために前記信号処理部は、前記厚さ測定モードの一部として前記厚さを決定する処理を実行することを特徴とするCRSシステム。
【請求項14】
請求項13記載のCRSシステムにおいて、
前記複数モードは、更に、ワークまでの距離を測定するための距離測定モードを含み、前記CRSシステムは、前記距離測定モード中に、前記光学ペンが前記ワークに対して測定動作を実行可能な位置になっている場合に、前記光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射を前記ワークに出力し、前記ワークからの反射光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能な前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力し、前記出力スペクトルプロファイルが、前記ワークまでの測定距離を指示する波長光を有する距離依存プロファイル成分からなるように、構成されていることを特徴とするCRSシステム。
【請求項15】
請求項13記載のCRSシステムにおいて、
前記厚さ測定モードは、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に応じて厚さを決定する動作だけ可能であり、3つ以上のワーク表面の複数の間隔を決定する動作はできないことを特徴とするCRSシステム。
【請求項16】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記CRSシステムは、クロマティックポイントセンサーシステム及びクロマティックラインセンサーシステムの内の少なくとも1つであることを特徴とするCRSシステム。
【請求項17】
ワーク厚さを決定するためのクロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法であって、
前記CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備え、前記複数のピクセルは、各波長光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能であり、
該動作方法は、
前記ワークに対して動作可能に配置されて測定動作を実行する前記光学ペンを用いて、前記CRSシステムを動作すること、ここで、前記測定動作は、光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルが入力されて、これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、前記出力スペクトルプロファイルデータを提供する前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力することを含み、及び、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、を備え、前記ワーク厚さの決定処理が変換処理を利用することを特徴とする動作方法。
【請求項18】
請求項17記載の動作方法において、
前記変換処理は、フーリエ変換処理及びフーリエ変換関連処理の内の少なくとも1つを含み、
前記変換処理の利用は、
前記出力スペクトルプロファイルデータの変換を決定すること、及び、
前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換に含まれている第1特性の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定することを含むことを特徴とする動作方法。
【請求項19】
請求項18記載の動作方法において、
前記第1特性は、前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換の第1ディップに対応することを特徴とする動作方法。
【請求項20】
請求項17記載の動作方法において、
前記出力スペクトルプロファイルデータは、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面にそれぞれ対応した第1波長ピーク及び第2波長ピークを有する距離依存プロファイル成分からなり、前記ワーク厚さの決定は、前記第1ワーク表面までの第1測定距離、及び、前記第2ワーク表面までの第2測定距離を決定するための前記出力スペクトルプロファイルデータの処理には依存しないことを特徴とする動作方法。
【請求項21】
請求項17記載の動作方法において、
前記変換処理の利用は、
前記出力スペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を決定すること、
前記出力スペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換を、基準のフーリエ変換で除算して、ターゲットスペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を取得すること、
前記ターゲットスペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換の逆フーリエ変換を計算して、前記第1ワーク表面までの第1測定距離及び前記第2ワーク表面までの第2測定距離にそれぞれ対応する第1波長ピーク及び第2波長ピークを決定すること、および、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面までの各測定距離の差の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定すること、を含むことを特徴とする動作方法。
【請求項22】
請求項17記載の動作方法において、
前記CRSシステムは、厚さ測定モード、及び、ワークまでの距離を測定するための距離測定モードを含む複数モードで動作可能であり、
前記信号処理部は、前記厚さ測定モードの一部として前記厚さを決定する処理を実行し、
該動作方法は、更に、
前記距離測定モード中に、前記ワークに対して動作可能に配置されて測定動作を実行する前記光学ペンを用いて、前記CRSシステムを動作すること、ここで、前記測定動作は、前記光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射を前記ワークに出力し、前記ワークからの反射光を受光し、前記ワークまでの測定距離を指示する波長光を有する距離依存プロファイル成分からなる前記出力スペクトルプロファイルデータを提供可能な前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力することを含み、及び、
前記ワークまでの距離を決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、を備えることを特徴とする動作方法。
【請求項23】
請求項22記載の動作方法において、
前記厚さ測定モードは、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に応じて厚さを決定する動作だけ可能であり、3つ以上のワーク表面の複数の間隔を決定する動作はできないことを特徴とする動作方法。
【請求項24】
クロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法であって、
前記CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備え、前記複数のピクセルは、各波長光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能であり、
該動作方法は、
前記ワークに対して動作可能に配置されて測定動作を実行する前記光学ペンを用いて、前記CRSシステムを動作すること、ここで、前記測定動作は、光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルが入力されて、これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、前記出力スペクトルプロファイルデータを提供する前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力することを含み、
前記ワークまでの測定距離を決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、ここで、前記測定距離の決定処理が、前記測定距離を表わす前記CRS波長検出器のピクセル位置に応じた距離指示座標を決定することを含み、及び、
前記第1ワーク表面および前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、を備え、
前記ワーク厚さの決定処理が、前記ワークまでの測定距離の決定値に依存しないことを特徴とする動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精密測定機器に関し、特に、クロマティックレンジセンサー及びこれと同様の光学的測長機器、並びにこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
光学距離センサー(例えば、高さセンサー、距離センサー等)の分野にクロマティック共焦点技術が広く利用されている。米国特許第7,876,456号公報(以下、456号特許と呼ぶ。)に記載されているように、軸上色収差(ここでは、軸上又は長軸方向の色分散とも呼ぶ)を有する光学要素は、広波長域光源を合焦し、軸方向の焦点距離を波長によって変化させることに使われる。すなわち、広波長域光源のうちの一つの波長光だけが表面上で正確に合焦し、合焦要素に対するその表面高さ又は表面までの距離が、どの波長光が最も良く合焦するかを決める。表面の反射光は、ピンホール又は光ファイバー端部といった小さな検出アパーチャーで再び合焦する。表面を反射し、光学系を通って入出力ファイバーへ逆戻りする光のうち、表面で良く合焦した波長光だけが、そのアパーチャーでも良く合焦する。他の波長光は、どれもアパーチャーでの合焦が不完全であって、そのため、ファイバーへパワーをほとんどカップリングしない。従って、ファイバーを通って戻る光の信号レベルは、表面高さ又は表面までの距離に応じた波長で最大になる。分光器型の検出器は、波長毎の信号レベルを測定して表面高さを決定する。
【0003】
数社のメーカが、上述のように動作し、産業用に適した実用的で小型のクロマティックレンジセンサー(CRS)システムを、クロマティックポイントセンサー(CPS)又はクロマティックラインセンサー等として言及している。このようなシステムに使用される小型の色分散光学アセンブリが、「光学ペン」又は「ペン」として言及されている。光学ペンは、光ファイバーによってクロマティックレンジセンサーの電装部に接続される。電装部は光源を含み、この光源は、光をファイバーに伝送して光学ペンから出力させる。電装部は、また、戻り光を検出し解析する分光器を備える。戻り光は、分光器の検出器アレイによって受光されて、波長分散強度プロファイルを形成する。波長分散強度プロファイルに応じたピクセルデータを解析して、強度プロファイルのピーク又は重心によって示される「主波長位置座標」が決定される。また、得られたピーク及び/又は重心のピクセル座標をルックアップテーブルとともに用いて、表面までの距離が決定される。このピクセル座標は、サブピクセル分解能で決定され、ここでは「距離指示座標」または「距離指示ピクセル座標」と呼ぶ。
【0004】
また、米国特許第8,773,757号公報に記載されているように、従来技術として、スリットアパーチャーを使って1点というよりはむしろ1本のラインに沿って光を合焦する「ラインセンサー」CRSが知られており、そのライン上の複数点において、表面までの距離の測定が可能であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,876,456号公報
【特許文献2】米国特許第8,773,757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のCRSシステムには、厚さ測定に関する課題(例えば、測定誤差など)があった。厚さ測定では、通常、ワークの2つの対面までの測定距離の決定、および、2つの測定距離の差の決定を含んでいる。例えば、ガラス(例えば溶融シリカ)のような透明なワークの厚さ測定の際、CRSの照射は、ガラスのトップ面およびボトム面の両方を反射するので、対応する2つの波長ピークが生じる。ワーク厚さが薄いほど、2つのピークが互いに併合し易くなり、各測定距離を示す強度プロファイル中の2つのピークの分離が困難になって、測定誤差が生じる場合がある。例えば、2つのピーク幅は、2つのピークの分離が不十分であるために、ピークどうしが少なくとも部分的にオーバーラップ/併合するようなものになる可能性がある(例えば、以下に詳しく説明するように、図5(A)の点線で示す測定プロファイル信号510a、及び、図10(A),図10(B),図10(D),図10(E)及び図10G)。
【0007】
特に図10(A)~図10Gに示す7通りの強度プロファイルに関して、それぞれが2つの測定ピーク(例えば図10(A)では併合した単一ピークである)を有し、これらの測定ピークが様々な厚さのワークのトップ面及びボトム面からの測定距離を示している。例えば、図10(A)及び(D)は厚さ25μmのワークに対応し、図10(B)及び(E)は厚さ50μmのワークに対応し、図10(C)及び(F)は厚さ100μmのワークに対応する。図10(A)~図10Gの強度プロファイルは、CRS波長検出器のピクセル座標又は「ピクセル位置」が横軸に設けられ、これの関数として表される強度又は「信号レベル」が縦軸に設けられる。ピクセル位置は、CRS波長検出器で測定される波長に対応し、CRSシステムは、その波長ピークをCRS測定距離に変換するように調整されている。同様に、従来知られた方法によって、2つのワーク面からの測定距離の差に応じてワーク厚さを決定することができる。
【0008】
図10(A)~(C)に例示の幾つかの実施例のように、2つのピークの併合は、CRSシステムのZレンジの青色部分(すなわち、青色波長光の部分)において、図10(D)~(F)に例示するようなZレンジの赤色部分(すなわち、赤色波長光の部分)よりも深刻になる場合がある。その青色部分が、距離測定の光軸(Z軸)方向において、CRSシステムの光学ペンの光学系に近いからである。従って、併合の課題に関してある程度の改善を提供可能な1つ手法は、測定対象ワークをCRSシステムのZレンジの赤色部分(すなわち、光学ペンから十分に離れた距離)に配置することである。また、図10Gに分かり易く示すように、波長ピークの併合の課題に関してある程度の改善を提供可能な他の手法は、信号レベルの閾値を高めに設定して(例えば閾値B)、それにより、2つのピークを分離して検出することである。これとは対照的に、信号レベルの閾値が低めであると(例えば閾値A)、2つのピークを分離せず、1つの(併合)ピークだけが検出される。これに関連する概念についても、図5(A)を用いて以降で詳細に説明する。これらの手法には特定の制限がある。(例えば、特定のワークをCRSシステムのZレンジの赤色部分に置くことは必ずしも容易ではないこと、検出閾値の設定を高くし過ぎると多くの信号レベルが検出されなくなること等。)
【0009】
本発明の様々な態様は、このような課題を改善することを目的とする。本発明の一態様では、より正確な厚さ測定を実現することである(例えば、波長ピークの併合が生じるような、より薄いワーク厚さのため、また、光学ペンとワーク間の可能距離の拡張されたレンジにわたる測定のため等)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、ワーク厚さを決定するクロマティックレンジセンサー(CRS)システムが提供される。該CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
出力プロファイルデータを提供するCRS波長検出器であって、該CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備える。該CRSシステムは、前記光学ペンが前記ワークに対して測定動作を実行可能な位置になっている場合に、該光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルが入力されて、これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力するように構成される。
該CRSシステムは、さらに、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定する信号処理部を備え、前記ワーク厚さの決定処理が変換処理を利用していることを特徴とする。
【0011】
一態様によれば、前記変換処理は、フーリエ変換処理及びフーリエ変換関連処理の内の少なくとも1つを含むことが好ましい。この変換処理の利用は、前記出力スペクトルプロファイルデータの変換を決定すること、及び、前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換に含まれる第1特性の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定することを含むことが好ましい。
他の態様によれば、前記第1特性は、前記出力スペクトルプロファイルデータの前記変換の第1ディップに対応することが好ましい。
【0012】
他の態様によれば、前記出力スペクトルプロファイルデータは、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面にそれぞれ対応した第1波長ピーク及び第2波長ピークを有する距離依存プロファイル成分からなり、前記ワーク厚さの決定は、前記第1ワーク表面までの第1測定距離、及び、前記第2ワーク表面までの第2測定距離を決定するための前記出力スペクトルプロファイルデータの処理には依存しないことが好ましい。
更なる態様によれば、前記第1波長ピーク及び前記第2波長ピークは、前記CRS波長検出器によって提供される前記出力スペクトルプロファイルデータの画像中に単一ピークとして視覚的に表れることが好ましい。
【0013】
他の態様によれば、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔が5μmであるワークについて、前記変換処理の利用は、前記信号処理部に10%未満の誤差の精度で前記ワーク厚さを決定することを可能にする。
【0014】
他の態様によれば、前記信号処理部は、更に、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記ワークまでの測定距離を決定するように設けられることが好ましい。
更なる態様によれば、前記ワークまでの前記測定距離の決定処理は、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理して、前記ワークまでの前記測定距離を指示する重心を決定することを含むが、前記ワーク厚さを決定する処理は、前記重心の決定には依存しないことが好ましい。
更なる態様によれば、決定された前記測定距離は、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間の前記ワークの内部の一点までの距離であることが好ましい。
もっと更なる態様によれば、前記測定距離は、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面にそれぞれ対応する第1波長ピーク及び第2波長ピークの平均である距離指示座標に従って決定されることが好ましい。
更なる態様によれば、前記信号処理部は、決定された前記測定距離及び決定された前記ワーク厚さを利用して、前記第1ワーク表面までの前記第1測定距離及び前記第2ワーク表面までの前記第2測定距離の内の少なくとも一つを決定するように設けられることが好ましい。
【0015】
他の態様によれば、前記変換処理の利用は、
前記出力スペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を決定すること、
前記出力スペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換を、基準のフーリエ変換で除算して、ターゲットスペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を取得すること、
前記ターゲットスペクトルプロファイルデータの前記フーリエ変換の逆フーリエ変換を計算して、前記第1ワーク表面までの第1測定距離及び前記第2ワーク表面までの第2測定距離にそれぞれ対応する第1波長ピーク及び第2波長ピークを決定すること、および、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面までの各測定距離の差の少なくとも一部に基づいて、前記ワーク厚さを決定すること、を含むことが好ましい。
【0016】
更に他の態様によれば、前記CRSシステムは、厚さ測定モードを含む複数モードで動作可能であり、このために前記信号処理部は、前記厚さ測定モードの一部として前記厚さを決定する処理を実行することが好ましい。
更なる態様によれば、前記複数モードは、更に、ワークまでの距離を測定するための距離測定モードを含み、前記CRSシステムは、前記距離測定モード中に、前記光学ペンが前記ワークに対して測定動作を実行可能な位置になっている場合に、前記光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射を前記ワークに出力し、前記ワークからの反射光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能な前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力し、前記出力スペクトルプロファイルが、前記ワークまでの測定距離を指示する波長光を有する距離依存プロファイル成分からなるように、構成されていることが好ましい。
更なる態様によれば、前記厚さ測定モードは、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に応じて厚さを決定する動作だけ可能であり、3つ以上のワーク表面の複数の間隔を決定する動作はできない。
【0017】
他の態様によれば、前記CRSシステムは、クロマティックポイントセンサーシステム及びクロマティックラインセンサーシステムの内の少なくとも1つであることが好ましい。
【0018】
他の態様によれば、ワーク厚さを決定するためのクロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法が提供される。
前記CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備え、前記複数のピクセルは、各波長光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能である。
該動作方法は、
前記ワークに対して動作可能に配置されて測定動作を実行する前記光学ペンを用いて、前記CRSシステムを動作すること、ここで、前記測定動作は、光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、前記出力スペクトルプロファイルデータを提供可能な前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力することを含み、及び、
前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、を備え、前記ワーク厚さの決定処理が変換処理を利用することを特徴とする。
【0019】
他の態様によれば、クロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法が提供される。
前記CRSシステムは、
軸上色分散を示し、ワーク近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系を含む共焦点光学経路を有する光学ペンと、
前記光学ペンに入力する入力スペクトルプロファイルを有する多波長入射光を発生する照明光源と、
CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有する前記CRS波長検出器と、を備え、前記複数のピクセルは、各波長光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能である。
該動作方法は、
前記ワークに対して動作可能に配置されて測定動作を実行する前記光学ペンを用いて、前記CRSシステムを動作すること、ここで、前記測定動作は、光学ペンが、前記入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射を前記ワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、前記第1ワーク表面及び前記第2ワーク表面からの反射光を受光し、前記出力スペクトルプロファイルデータを提供可能な前記CRS波長検出器へ前記反射光を出力することを含み、
前記ワークまでの測定距離を決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、ここで、前記測定距離の決定処理が、前記測定距離を表わす前記CRS波長検出器のピクセル位置に応じた距離指示座標を決定することを含み、及び、
前記第1ワーク表面および前記第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定するために、前記出力スペクトルプロファイルデータを処理すること、を備え、
前記ワーク厚さの決定処理が、前記ワークまでの測定距離の決定値に依存しないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、代表的なCRSシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、CRSシステムのシステムノイズ(バイアス)プロファイルを示す線図であり、測定表面が存在しない場合の検出器アレイのピクセルに関する波長依存性の電圧オフセット信号レベルを示している。
図3図3は、CRSシステムからの強度プロファイルの線図であり、ワーク(例えば不透明なワーク)のトップ面からの反射波長光によって生じる有効波長ピークを示し、ピークのピクセル位置は、トップ面までの測定距離と一致している。
図4図4(A)は、CRS距離校正データの線図であり、距離指示ピクセル座標と被測定ワーク表面までの既知の測定距離との相関を示している。図4(B)は、CRS距離校正ルックアップテーブルの一例であり、CRSシステムの距離指示座標(DIC)をCRSシステムの対応した測定距離に参照させる。
図5図5(A)は、CRSシステムからの強度プロファイルの線図であり、透明なワークのトップ面及びボトム面からの反射波長光によって生じる2つの有効波長ピークを示し、そのピークのピクセル位置は、それらの面までの測定距離と一致している。図5(B)は、透明なワークのトップ面及びボトム面までの測定距離を示す線図であり、ボトム面までの実際の測定距離及び見かけ上の測定距離が含まれている。
図6図6は、ワーク厚さを決定するためのCRSシステムの動作方法を示すフロー図である。
図7図7(A)~図7(D)は、変換処理を利用したワーク厚さ測定の処理を示す図である。
図8図8は、デコンボリューション法(逆畳み込み法)の一部としての高速フーリエ変換(FFT)処理を利用するワーク厚さ測定の処理を示す図である。
図9図9(A)~図9(H)は、光学ペンに対して動作できる測定レンジ内でのワーク位置に関係なく、図8のFFT処理方法が、ワーク厚さの決定に利用可能な信号のフーリエ変換に含まれる第1ディップの位置を決定できる例を示す図である。
図10図10(A)~図10Gは、CRSシステムによって測定された様々な厚さ(例えば25μm、50μm、100μm)のワークの強度プロファイルを示すグラフであり、厚さ及び光学ペンからの距離に依存する2つの波長ピークの様々な併合の程度を示す。
図10G図10(A)~図10Gは、CRSシステムによって測定された様々な厚さ(例えば25μm、50μm、100μm)のワークの強度プロファイルを示すグラフであり、厚さ及び光学ペンからの距離に依存する2つの波長ピークの様々な併合の程度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、クロマティックレンジセンサー(CRS)システム100の代表的な一実施形態を示すブロック図であり、このCRSシステム100は、光学要素120(例えば光学ペン)、電装部160、及びユーザーインタフェース171を含む。本実施形態の電装部160は、信号処理器166、記憶部168、及び、光源・検出器サブシステム161を備え、この光源・検出器サブシステム161は、波長検出器162と広帯域光源164を含む。図1に示されるCRSシステム100は、一度に一箇所の測定点を測定するクロマティックポイントセンサー(CPS)システムであるが、他の実施例では他のCRSシステム(例えばクロマティックラインセンサー等)を利用できることが理解されるであろう。様々な実施形態において、波長検出器162は、分光器の検出器アレイ163を含む。検出器アレイ163は、波長検出器162の測定軸上に配置された複数のピクセルによって構成され得る。各ピクセルは各波長信号を受けて、出力スペクトルプロファイルデータを提供する。
【0022】
電装部160は、光ファイバーケーブル112を含む光路を通じて光学要素120に接続される。上記光路について、任意に選択可能な、又は、代替可能な態様を示す。例えば、光路は、光ファイバーの第二セグメント112B側のコネクタ(CONNECT-D)で接続された第一および第二セグメント112A,112Bと、電装部160に接続された第三セグメント112Cに第二セグメント112Bを接続するカプラー(COUPLER-O)とを有する光ファイバーケーブル112を含む。信号処理器166の制御下にある光源164は、入力スペクトルプロファイルを構成する多波長光を入力するため、照明ファイバーセグメント(165I)、2×1カプラー(COUPLER-E,CONNECT-E)、及び、光ファイバーケーブル112からなる経路によって、光学要素120に接続される。光学要素120は、入出力光ファイバー・サブアセンブリ105、筐体130、及び光学系150を含む。入出力光ファイバー・サブアセンブリ105は、光ファイバーケーブル112から延長された入出力光ファイバー113と、光ファイバーコネクタ108とからなる。入出力光ファイバー113は、アパーチャー195を通じて出力ビームを出力し、また、アパーチャー195を通じて反射された測定信号光を受け取る。
【0023】
動作時、アパーチャー195を通ってファイバー端から出射される光は、光学系150によって合焦する。光学系150は、光軸OA上の焦点が光の波長に依存して異なる距離になるような軸上色分散性のレンズを含み、CRSシステム用として知られている。測定動作中、光は、第1ワーク表面190-1及び第2ワーク表面190-2(すなわち、ワークのトップ面及びボトム面)を有するワーク170の近傍に合焦する。様々な実施例において、ワーク170は、透明、あるいはトップ面190-1を通してボトム面190-2が少なくとも部分的に見えるような材料を含んでいてもよい(すなわち、光学要素120からの光の一部がトップ面190-1を通過してボトム面190-2に到達できる)。以下の説明を簡単にするため、ワーク170が、不透明であるか、あるいは、トップ面190-1のみが光をCRSシステム100へ反射するような特性を有する場合をまず初めに説明する。
【0024】
本実施形態では、トップ面190-1だけが光を反射し、測定動作中、光は、光学系150によってトップ面190-1に合焦する(つまり、後述の他の例で示すように、光が、ボトム面190-2でも合焦することとは対照的である)。トップ面190-1を反射した光は、光学系150によってアパーチャー195の上で再び合焦する。この軸上色分散によって、一つの波長光のみが測定距離“Z1”と合致する焦点距離を有する。測定距離“Z1”は、光学要素120に対して固定された基準位置RPからワーク表面190-1の位置までの距離である。ワーク表面190-1で一番焦点が合う波長光は、アパーチャー195で一番焦点が合う波長光でもある。従って、主に、一番焦点が合う波長光が、アパーチャー195を通って、光ファイバーケーブル112の光ファイバー113のコアを進む。光ファイバーケーブル112は、ワーク表面190-1の位置までの測定距離Z1に一致する主強度を示す波長の決定に利用するために、波長検出器162へ信号光を送る。
【0025】
本実施形態において、反射された波長依存性の光強度は、カプラー(COUPLER-E)を含むファイバー光路を通って電装部160に戻り、ある割合(例えば約50%)の光が信号ファイバーセグメント165Sを通って波長検出器162に向けられる。波長検出器162は、波長依存性の光強度を、検出器アレイ163の測定軸上のピクセルアレイ全体に分布された出力スペクトル強度プロファイル(単に出力スペクトルプロファイルとも呼ぶ。)として受光し、また、検出器アレイ163から出力されたピクセルデータに基づいて、これに対応した出力スペクトルプロファイルデータを提供するように動作する。
【0026】
上記のプロファイルデータ(例えば図3参照)におけるサブピクセル分解能の距離指示座標(DIC)が、信号処理器166によって計算され、その(サブピクセル分解能の)DICは、後述の図4(A),(B)に示すように、記憶部168の校正部173に保存されている距離校正ルックアップテーブル等を用いて、ワーク表面190-1の位置までの測定距離Z1を(ミクロン単位で)指示する。従来知られた手法に従って、DICは、ピーク領域に含まれる強度プロファイルデータの重心に基づいて決定され得る。様々な実施例において、後述するように、プロファイルデータをサブピクセル分解能のDICの決定に利用することもできる。
【0027】
ある実施例において、ワーク170が透明であれば、上記と同様の動作原理がワーク表面190-1及び190-2までの測定距離の決定に適用され得ることが理解されるであろう。より具体的には、測定動作中、光は、光学系150によって、ワーク表面190-1及び190-2に合焦する(すなわち、光の一部は、ワーク表面190-1を通過して、ワーク表面190-2に達することができる)。ワーク表面190-1及び190-2からの反射光は、光学系150によって、アパーチャー195で再び合焦する。この軸上色分散によって、一つの波長光のみが測定距離“Z1”と合致する焦点距離を有する。測定距離“Z1”は、光学要素120に対して固定された基準位置RPからワーク表面190-1の位置までの距離である。同様に、一つの波長光のみが、基準位置RPからワーク表面190-1の位置までの測定距離“Z2”と合致する焦点距離を有する。ワーク表面190-1及び190-2の各位置で一番焦点が合う波長光が、アパーチャー195で一番焦点が合う。よって、これらの一番焦点が合う主波長光が、アパーチャー195を通って、光ファイバーケーブル112の光ファイバー113のコアを進む。光ファイバーケーブル112は、ワーク表面190-1及び190-2の各位置までの測定距離に一致する主強度を示す波長の決定に利用するために、波長検出器162へ信号光を送る。図5(B)を用いて詳細を説明するように、様々な実施例において、ワーク表面190-2までの指示される測定距離が、ワーク材料の屈折率に応じた、測定距離Z2に関する見かけの測定距離Z2’になり得る(例えば式(3)~(5)等に示す)。
【0028】
本実施形態では、反射された波長依存性の光強度は、カプラー(COUPLER-E)を含むファイバー光路を通って電装部160に戻り、ある割合(例えば約50%)の光が信号ファイバーセグメント165Sを通って波長検出器162に向けられる。波長検出器162は、波長依存性の光強度を、検出器アレイ163の測定軸上のピクセルアレイ全体に分布された出力スペクトル強度プロファイル(単に出力スペクトルプロファイルとも呼ぶ。)として受光し、また、検出器アレイ163から出力されたピクセルデータに基づいて、これに対応した出力スペクトルプロファイルデータを提供するように動作する。
【0029】
上記のプロファイルデータ(例えば図5(A)参照)における2つの対応するサブピクセル分解能の距離指示座標(DICs)が信号処理器166によって計算される。2つの(サブピクセル分解能の)DICsは、後述の図4(A),(B)に示すように、記憶部168の校正部173に保存されている距離校正ルックアップテーブル等を用いて、それぞれの測定距離を(ミクロン単位で)指し示す。従来知られた手法に従って、2つのDICsは、2つの対応するピーク領域のそれぞれに含まれている強度プロファイルデータの重心に基づいて決定することができる。様々な実施例において、詳細を後述するように、2つのDICsのそれぞれをサブピクセル分解能で決定するために、そのプロファイルデータを利用することができる。様々な実施例において、さらに、実際の測定距離Z3に関連する見かけの測定距離Z3’に対応しているDICも(例えば、併合された2つの波長ピークの重心計算結果によって)決定され得るし、又は、代替的に決定され得る(例えば式(6)~(10)等に示すようにして)。以下に詳細を説明するように、距離Z3は、距離Z1及びZ2の間であってもよく、ワーク表面190-1及び190-2の中央点など、ワーク170の内部位置までの距離に一致させてもよい。
【0030】
更に図1に示すように、ユーザーインタフェース171は、電装部160に接続されており、様々な動作パラメータを選択するユーザーコマンド等といったCRSシステム100の動作用ユーザー入力を、キーボード、タッチセンサ、マウス等いずれかの適切な手段で受け取れるように構成されている。代表的な実施形態において、ユーザーインタフェース171は、CRSシステム100の複数の動作モード(例えば、厚さ測定モード及び/又は距離測定モード等)のうちの1つを選択するために、ユーザーによって操作可能な1つ又は複数の動作モード選択要素(例えば、ユーザが選択可能なボタン)を含み得る。ユーザーインタフェース171は、更に、CRSシステム100によって正常に決定/測定された距離及び/又は厚さなどの情報をスクリーンに表示するように構成されている。以下に詳細を説明するように、様々な実施例において、記憶部168は、厚さ測定部169及び距離測定部172を含んでいて、対応したモードを実行したり、及び/又は、その他の対応動作を提供したりすることができる。そのような対応モード及び/又は対応動作は、(例えば、第1及び第2ワーク表面の間隔に応じた)ワーク厚さ測定及び/又は距離測定などのために設けられている。様々な実施例において、厚さ測定部169及び距離測定部172は、及び/又は、それらの関連動作は、併合され得るし、及び/又は、区別できなくなる場合がある。
【0031】
図1は、X-Y-Z直交座標軸を基本フレームとして表示する。Z方向は、距離測定軸である光学要素120の光軸(OA)に平行である。図1に示すように、動作中、ワーク170は、光軸OAに沿って配置される。ガイドベアリング175Aで拘束されたZ軸方向に沿って移動するのに有利に配列された移動ステージ175上にワーク170を取り付けてもよい。
【0032】
図2は、既知のバックグラウンド信号処理及び/又は校正動作の概要を示す。図2は、CRSシステムのシステムノイズ(バイアス)プロファイルの線図200であり、CRSシステムの公称全測定範囲に測定表面が存在しない場合での、検出器アレイ163のピクセルに関する電圧オフセット信号レベルVoffset(p)を示す。このケースでは、意図的な反射光が存在せず、かつ、結果生じる強度プロファイル中に著しい又は主だった波長ピークは存在しない。電圧オフセット信号Voffset(p)は、「波長」測定軸に沿った1,024個の各ピクセルについて、正規化電圧値でプロットされる。「正規化電圧値」では、1.0の値が検出器アレイ163の飽和電圧値に割り当てられている。電圧オフセット信号Voffset(p)は、検出アレイに渡って比較的一定であるバイアス信号レベルVbiasと、検出アレイに渡って変化を示すバックグラウンド信号成分Vback(p)とを含む。
【0033】
図3図4(A),図4(B),図5(A)及び図5(B)は、CRSシステムからの波長分散強度プロファイル中に生じる有効波長ピークに基づいて、サブピクセル分解能で距離指示座標(DIC)を決定し、また、その決定されたDICに基づいて、ワーク表面までの測定距離を(例えばミクロン単位で)決定するという特定の信号処理動作の概要を示す。ここに説明する一例の動作は、「456号特許」に詳細に記載されている。この説明の目的は、ここに記載のCRS測定動作の網羅的な理解に役立つ技術背景の追加情報を提供することである。
【0034】
図3は、CRSからの波長分散強度プロファイルの線図300であり、(例えば透明でない)ワークの1つの測定表面に合焦して反射する波長光を表わす測定プロファイル信号MS(p)のサブセット(波長帯域)によって生じる有効波長ピーク302を示している。この例において線図300は、不透明ワークの単一の反射面(例えばトップ面)に対応する単一波長ピーク302を含んでいる。各測定プロファイル信号MS(p)は、検出器アレイ(例えば、検出器アレイ163)の各ピクセルpに関連付けられた信号レベル(正規化電圧で示す)を有する。波長ピーク302は、十分な高さを有し(良好なS/N比であり)、比較的対称形であり、及び、ピーク位置の良好な推定又は検出器アレイの測定軸に沿った距離指示座標(DIC)304の測定を可能にする。図3は、(正規化電圧での)バイアス信号レベル(MVbias)、ピークピクセル座標(ppc)、及び、波長ピーク302を形成する測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットの下限を定めるデータ閾値(MVthreshold)を示す。すべての値(例えば「MV」値を含む)は正規化電圧である。
【0035】
簡潔に言えば、一実施形態において、距離指示座標DICを(ピクセル単位で)決定する動作、及び、決定されたDICに基づいて対応する測定距離を(ミクロン単位で)決定する動作は、以下の手順を含めるとよい。
・ターゲットの表面を光軸OA上で位置決めし、線図300に示すような波長分散強度プロファイルの結果を取り込む。
・最高レベル信号を有するピクセルであるピークピクセル座標(ppc)を決定する。
・与えられたサンプリング・レートで測定バイアス信号レベル(MVbias)を決定する。
・データ閾値(MVthreshold)を(例えばピーク高さのパーセンテージで)決定する。
・MVthresholdよりも大きい値を有する波長ピークを形成する測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットに基づいて、サブピクセル分解能の距離指示座標(DIC)を決定する。
・保存された距離校正データ(例えば図4(A)のような距離校正カーブ、又は、図4(B)のようなルックアップテーブル等)におけるDICとこれに対応する距離との相関を用いて、測定距離を決定する。
【0036】
上記動作において、データ閾値(MVthreshold)を超えた測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットに基づいて、サブピクセル分解能でDICを決定し得る。従来知られた手法によれば、DICは、信号MS(p)の距離指示サブセットの重心Xcのサブピクセル分解能座標として決定さえ得る。例えば、1024個のピクセルを有する検出器(すなわち、各ピクセルは、対応する1~1024のピクセル番号(p)を有する。)の場合、重心Xcを、式(1)を用いて決定することができる。
【0037】
【数1】
ここで、
【0038】
【数2】
【0039】
一の具体例として、式(1)でn=2とする。式(2)が、重心計算に用いられる測定プロファイル信号MS(p)を、距離指示サブセットに限定していることが理解されるであろう。
【0040】
図4(A)は、CRS測定距離校正データ410Aの線図400Aであり、サブピクセル分解能を有する距離指示座標DICと、CRSの光軸OAに沿ったミクロン単位の既知の測定距離ZOUTとの相関を示す(例えば、図3の校正部173に保存されている)。図4(A)の具体的な値は説明のみを目的としており、他の例に示される具体的な値とは(例えば、図1図3に関して記載された特定値との関係、及び/又は、以下に詳しく説明する図4(B)の具体的な表の値との関係は、類似する概念ではあるが、)対応していない場合があることが理解されよう。図4(A)に示す例は、300μmの公称全測定範囲MRを有する光学要素(例えば、光学ペン)のデータであり、約150~490ピクセルレンジ内のDICsに対応する。しかし、必要であれば、検出器アレイ163においてもっと広いピクセルレンジにわたって、CRSシステムを校正し得る。CRS測定距離校正データ410Aを決定する一つの代表的な実験室用の校正方法は、光軸OA上を移動するミラーを使用することである(例えば、図1の表面190-1の代わりに使用し、例えば、約0.1ミクロン又は0.2ミクロンのステップで移動させる)。実際のミラーの各位置において、これに対応するCRSシステムの校正DICを、図3に関して上述したように、対応する強度プロファイルデータに基づいて決定する。そして、校正DIC及びこれに対応する実際の位置(光軸OAに沿ったミクロン単位の位置)は、校正データ410Aを提供するために記録される。ワーク測定動作中(例えば、ワーク表面190-1のようなワーク表面までの測定距離を決定するための動作中)、保存されている校正データ410Aを参照して、CRSシステムによって得られた測定DICに応じた測定距離ZOUTを決定する。距離校正データ410Aは、スムーズなカーブを形成するように見えるが、場合によっては、一般のCRSシステム用、特に割安なCRSシステム用の距離校正データ及び/又は出力スペクトルプロファイルデータが、ある短いレンジにおいて変動性/不規則性を示す場合があることが理解されよう(例えば、456号特許に部分的に記載されているように)。
【0041】
図4(B)は、クロマティックポイントセンサー用の距離指示座標の測定距離を参照するためのCRS距離校正ルックアップテーブル410Bの線図400Bである(例えば、図3の校正部173に保存されている)。上述したように、図4(B)は、ルックアップテーブルを図式化した一例に過ぎず、図4(B)で特定されたテーブル値と図4(A)で特定された校正データ410Aの表示値との相違は、ここでの目的においては重要ではなく関連性もない。図4(B)の表の値は説明のみを目的としており、類似する概念ではあるが、図4(A)の値など他の例に示される具体的な値とは対応していない場合があることが理解されよう。図4(B)の左欄の校正DICs入力値は、0.1ピクセルずつ増加する1から1024までのピクセル座標に及び、右欄には対応する測定距離ZOUT(ミクロン単位)が入力される。
動作中、保存された校正ルックアップテーブルを参照して、CRSシステムで算出された測定DICに対応する測定距離が(ミクロン単位で)決定される。測定DICが隣接する校正DIC値の間になる場合は、その測定距離は補間によって決定され得る。図4(B)の例における幾つかの具体的な値は、おおよそ104,604,990のピクセル位置をそれぞれ含むDICs付近の幾つかの狭いレンジを表わしていて、これらに対応する測定距離は、それぞれ37μm,381μm,486μm付近のレンジに入っている。
【0042】
動作中(例えば、図3の1つのワーク表面190-1までの距離を測定するため)、光学ペン120は、電装部160に接続されて、測定動作を実行するために、ワーク表面190-1に対して動作可能に配置される。測定動作には、光学ペン120が照明光源164からの入力スペクトルプロファイルを入力すること、対応する照射をワーク表面190-1へ出力すること、ワーク表面190-1からの反射光を受け取ること、出力スペクトルプロファイルをCRS波長検出器162に提供するために、その反射光を出力することが含まれ、その後、CRS波長検出器162が出力スペクトルプロファイルデータを提供する。出力スペクトルプロファイルは、距離依存プロファイル成分および距離非依存プロファイル成分を含む。距離依存プロファイル成分は、光学ペン120からワーク表面190-1までの測定距離(例えば測定距離Z1)を指し示す波長ピーク(例えば、図3のピーク302)を含んでいる。上述の通り、記憶された校正データ(例えば図4(A)又は図4(B))を参照して、CRSシステムによる重心計算に応じて決定される測定DICに応じた測定距離(例えば測定距離Z1)が決定される。もし、測定DICが隣接する校正DIC値の間になる場合、測定DICに応じた測定距離は補間(例えば、隣接する校正DIC値に応じた測定距離の間)によって決定される。
【0043】
1つのワーク表面までの測定距離の決定に関する図3の例とは対照的に、以下に詳しく説明するように、図5(A)は、第1及び第2ワーク表面(例えば図1のワークのトップ面190-1及びトップ面190-2までのそれぞれの測定距離Z1及びZ2)までの測定距離の決定についての例を説明する。このような技法(ここでは、「重心タイプ技法」と呼ぶ。)は、ワーク厚さの決定に利用することができる(例えば、重心計算から決定されたDICsに応じた測定距離Z1及びZ2’の差の少なくとも一部に基づく)。しかしながら、以下に詳しく説明するように(例えば、特に図6図9(H)に関して)、ここに開示する原理によれば、ワーク厚さの決定に特定の代替技術を利用することで、特定の利点が得られる(例えば、あるワークの厚さをより精度良く決定することを含む)。
【0044】
図5(A)は、CRSシステムからの有効波長ピーク502-1及び502-2を示す波長分散強度プロファイル線図500Aである。波長ピーク502-1は、第1測定表面(例えば、ワーク170の表面190-1)に合焦して反射する第1波長光を示す測定プロファイル信号MS(p)の第1サブセットによって生成される。有効波長ピーク502-2は、第1測定表面(例えば、ワーク170の表面190-2)に合焦して反射する第2波長光を示す測定プロファイル信号MS(p)の第2サブセットによって生成される。この例では、ワーク(例えばワーク170)は透明であり、それによって、第1ワーク表面190-1を透過して、第2ワーク表面190-2を見ることができる(光学ペン120からの光の一部が、第1測定表面190-1を透過して、第2ワーク表面190-2を反射する)。
【0045】
各測定プロファイル信号MS(p)は、検出器アレイ(例えば検出器アレイ163)の各ピクセルpに応じた信号レベル(正規化電圧値で示される)を有する。各々の有効波長ピーク502-1及び502-2は、十分な高さ(良好な信号-ノイズ比率)を有し、比較的対称形であり、各々のピーク位置を良好に可能で、検出器アレイの測定軸に沿った距離指示座標(DIC)504-1及び504-2(すなわち、重心計算を利用している)の決定を可能にする。図5(A)は、(正規化電圧での)バイアス信号レベル(MVbias)、ピークピクセル座標(ppc1及びppc2)、及び、対応する波長ピーク502-1及び502-2を形成する測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットの下限を定めるデータ閾値(MVthreshold)を示す。すべての値(例えば「MV」値を含む)は正規化電圧である。
【0046】
動作中(例えば2つのワーク表面測定のため)、光学ペン120は、CRS電装部160に接続されて、測定動作を実行するためにワーク170(すなわち、ワーク表面190-1及び190-2を含む)に対して動作可能に配置される。測定動作には、光学ペン120が照明光源164からの入力スペクトルプロファイルを入力すること、対応する照射をワーク表面190-1及び190-2へ出力すること、ワーク表面190-1及び190-2からの反射光を受け取ること、及び、出力スペクトルプロファイルをCRS波長検出器162に提供するために、その反射光を出力することが含まれ、その後、CRS波長検出器162が出力スペクトルプロファイルデータを提供する。出力スペクトルプロファイルは、距離依存プロファイル成分および距離非依存プロファイル成分を含む。距離依存プロファイル成分は、光学ペン120からワーク表面190-1及び190-2までのそれぞれの測定距離を指示する波長ピーク(例えば、図5(A)のピーク502-1及び502-2)を含んでいる。上述の通り、記憶された校正データ(例えば図4(A)又は図4(B))を参照して、CRSシステムによって計算(すなわち、重心計算を利用)された測定DICs504-1及び504-2に応じた測定距離(例えば測定距離Z1及びZ2’)が決定される。もし、測定DICsの何れか又は両方が隣接する校正DIC値の間になる場合、測定DICに応じた測定距離は補間によって決定される。様々な実施例において、従来知られた技法によれば、後で図5(B)を用いて詳しく説明するように、決定された測定距離の差に従って、ワーク170の厚さが測定される。
【0047】
図5(B)は、透明なワーク170のトップ面190-1及びボトム面190-2までの測定距離を示す線図500Bであり、ボトム面190-2までの実際の測定距離Z2及び見かけ上の測定距離Z2’を含んでいる。図5(B)に示すように、(例えば、光学系150からの)光線R1A及びR1Bは、ワーク表面190-1に合焦するように(すなわち、ワーク表面190-1で最も良く合焦する波長光に応じて)示されており、図5(A)において測定距離Z1を示す対応DIC504-1を持った波長ピーク502-1をもたらす。
同様に、図5(B)に示すように、(例えば、光学系150からの)光線R2A及びR2Bは、ワーク表面190-2に合焦するように(すなわち、ワーク表面190-2で最も良く合焦する波長光に応じて)示されており、図5(A)において見かけ上の測定距離Z2’を示す対応DIC504-2を持った波長ピーク502-2をもたらす。見かけ上の測定距離Z2’は、対応する波長(すなわち、波長ピーク502-2)におけるワーク材料の屈折率によって、実際の測定距離Z2とは異なっている。
【0048】
より具体的には、図5(B)に示すように、光線R2A及びR2Bが一度ワーク170に入ると、これらの光線は、屈折率に応じた角度変化を伴って、光線R2A’及びR2B’で示すようにしてワーク材料を透過し、実際の測定距離Z2に対応するワーク表面190-2での合焦をもたらす。しかしながら、ワーク中の予想された光線R2A-P及びR2B-P(すなわち、角度変化なし)は、見かけ上の測定距離Z2’に対応した合焦を示し、対応DIC504-2を持った波長ピーク502-2と一致する。様々な距離間の関係を説明する幾つかの数式について、以下で詳しく説明する。
【0049】
実際の測定距離Z1及びZ2と実際のワーク厚さdとの関係は次式(3)で表される。
【0050】
【数3】
同様に、実際の測定距離Z1、見かけ上の測定距離Z2’及び見かけ上のワーク厚さd’の関係は次式(4)で表される。
【0051】
【数4】
実際のワーク厚さ、及び見かけ上のワーク厚さd’の関係は次式(5)で表される。
【0052】
【数5】
ここで、nは、(例えば、波長ピーク502-2に)対応する波長におけるワーク材料の屈折率である。上記の式により、図5(A)のような測定プロファイル信号MS(p)に基づいて、ワーク厚さdを決定することができる。更に詳しくは、図5(A)において決定されたDICs504-1及び504-2は、記憶部168の校正部173に保存されている上記の図4(A)及び図4(B)のような距離校正ルックアップテーブル等により、それぞれの測定距離Z1及びZ2’を指し示す。測定距離Z1及びZ2’は、式(4)に示されるような計算に従って、見かけ上のワーク厚さd’の測定値の決定に利用することができる。見かけ上のワーク厚さd’の測定値は、それから、式(5)に示されるような計算に従って、実際のワーク厚さdの測定値の決定に利用することができる。以下に詳しく説明するように、距離Z3は、距離Z1及びZ2の間とすることができる(例えば、距離Z1及びZ2の平均としてもよく、また、実際の厚さdの中央点まで拡張してもよい)。関連する距離Z3’は、距離Z1及びZ2’の間とすることができる(例えば、距離Z1及びZ2’の平均にしてもよいし、また、見かけ上の厚さd’の中央点まで拡張してもよい)。
【0053】
他の例として、図5(A)は、波長ピーク502-1a及び502-2aを有し、これらに対応するピークピクセル座標ppc1a及びppc2aを有する、CRSシステムからの波長分散強度プロファイルの点線による画像を示している。波長ピーク502-1a及び502-2aは、互いに接近しているため、測定プロファイル信号510aの複数ピーク及び対応する第1及び第2サブセットが部分的に併合しているが、これを除けば、波長ピーク502-1及び502-2と同様である。この例は、比較的薄いワーク170(すなわち、互いに比較的接近しているトップ面及びボトム面の間隔が微小になっているワーク)のバージョンに対応している。従来知られた技法(例えば、DICsの決定のための重心計算の利用)によれば、このことが、各表面までの測定距離を決定する際に、また、決定された測定距離の差に応じてワーク厚さを決定する際に、特定の課題を提起する可能性がある。
例えば、ある実施例では、上記のような処理が、部分的に併合した波長ピーク502-1a及び502-2aの評価をもたらす可能性があり、(例えば、式(1)及び式(2)に関する上述の重心計算に従うと)単一のDIC504aが決定され、これに応じて、ワークまでの単一の測定距離のみの結果になる場合がある。他の実施例では、その処理が2つのDICsの決定をもたらす可能性がある。しかし、それによって、波長ピーク502-1a及び502-2aの部分的な併合が、ある条件において、対応DICsの正確でない決定をもたらす可能性があることが理解されよう。及び/又は、ある条件において、エラーメッセージが(例えば、対応DICの決定に関する問題を示すものとして、)出される可能性がある。上記の状況のいずれにおいても、対応するワーク厚さの決定に課題が生じる可能性(例えば、特定の不正確さが生じる可能性、又は、決定ができない可能性など)がある。
【0054】
本発明の様々な実施形態によれば、CRSシステムには、ワーク厚さを決定するための新規なアプローチが設けられ、(例えば、様々な実施例において、僅か7μm、又は5μm、又は3μmの厚さの)比較的薄いワークであっても、高い測定精度をもたらす。特に、ある実施例において、CRS電装部160(図1)が、厚さ測定部169を含み、CRSシステム100に利用されて、ここに開示される原理に従ったワークの厚さ測定が実行されるようにしてもよい。また、距離測定部172を含み、CRSシステム100に利用されて、ワークの1又は複数の表面までの1又は複数の距離測定が(例えば、従来知られた技法によって)実行されるようにしてもよい。様々な実施例において、(例えば、厚さ測定部169を利用した)厚さ測定モード又はその動作の選択、若しくは、(例えば、距離測定部172を利用した)距離測定動作又はそのモードの選択が、ユーザーインタフェース171を介して受信されるユーザー入力に応答して、或いは自動的に実行されるようにしてもよい。例えば、(透明な)ワークに対する光学ペンの位置決めに応じて、ワーク厚さを決定するために、厚さ測定動作又はそのモードが自動的に又は手動で選択されるようにしてもよい。
【0055】
以下に詳しく説明するように、厚さ測定動作又はそのモードの様々な実施例において、信号処理部166は、記憶部168の厚さ測定部169に保存されているようなアルゴリズム(例えば、変換または他の処理を含む)を実行し得る。(例えば、変換処理を利用する)アルゴリズムが、波長検出器162から出力されるスペクトルプロファイルデータに対して実行され、ワーク厚さが決定される。
動作中、光学ペン120は、CRS電装部160に接続されて、厚さ測定動作を実行するために、ワーク170に対して動作可能に配置される。厚さ測定動作は、光学ペン120が照明光源164からの入力スペクトルプロファイルを入力すること、及び、対応する照射をワーク170の2つの表面190-1及び190-2(すなわち、「表面1」及び「表面2」)へ出力することを含む。また、光学ペン120は、2つの表面からの反射光を受け取り、CRS波長検出器162へその反射光を出力する。その後、CRS波長検出器162は、出力スペクトルプロファイルデータを提供し、この出力スペクトルプロファイルデータの処理に基づき(例えば、フーリエ変換処理又はフーリエ関連変換処理等のような変換処理を利用する。)、ワーク厚さが決定される。
【0056】
図6は、ワーク厚さを決定するためのCRSシステム100の動作の代表的な方法600を示すフロー図である。ブロック610において、軸上色分散を示し、ワーク170近傍の異なる距離で異なる波長光が焦点を結ぶように構成される光学系150を含む共焦点光学経路を有する光学ペン120と、照明光源164と、CRS波長検出器の測定軸に沿った各位置に配置される複数のピクセルを有するCRS波長検出器162と、を備えるCRSシステムが提供され、複数のピクセルはそれぞれの波長光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供する。
ブロック620において、ワークに対して動作可能に配置されて測定動作をする光学ペンを用いて、CRSシステム100を動作する。ここで、測定動作は、光学ペンが、入力スペクトルプロファイルを入力し、これに応じた照射をワークの第1ワーク表面及び第2ワーク表面に出力し、第1ワーク表面及び第2ワーク表面からの反射光を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供可能なCRS波長検出器へ反射光を出力することを含む。
【0057】
決定ブロック630では、1又は複数の測定距離を決定すべきかどうかを判断する。1又は複数の測定距離を決定しない場合、手順は後述のブロック650に進む。1又は複数の測定距離を決定する場合、手順は、出力スペクトルプロファイルデータを処理して、ワークまでの1又は複数の測定距離を決定するブロック640に進む。(例えば、測定距離の決定処理に、測定距離を指示するCRS波長検出器のピクセル位置に一致する距離指示座標の決定を含めてもよい。)
【0058】
ブロック640の後、又は、ブロック630において1又は複数の測定距離を決定しない場合、手順は、出力スペクトルプロファイルデータを処理して、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に応じたワーク厚さを決定するブロック650に進む。(例えば、厚さの決定処理は、ワークまでの測定距離の決定値に依存せず、及び/又は、フーリエ変換処理又はフーリエ変換関連処理等の変換処理を利用可能である。)
様々な実施例において、フーリエ変換関連処理に、フーリエ解析に関連する関数の線形変換を含めてもよい(例えば、その変換によって、ある関数を、基底関数の係数セットに対応づけることができる場合がある。その基底関数は、サイン関数でもよいし、周波数スペクトルに局在するような関数でもよい)。幾つかの例では、コサイン変換、サイン変換、ラプラス変換等を含めることができる。
【0059】
上記のように(例えば、図5(A)の点線の測定プロファイル信号510a等に関して)、幾つかの実施例において、ワーク(例えば、少なくとも一部が併合するような波長ピークをもたらす薄いワークなど)の対面の距離指示座標を正確に決定することは困難である。
場合によっては、複数の波長ピークが、ある程度併合する場合があり、たった1つの距離指示座標しか決定できない。
他の条件で、2つの距離指示座標が決定されるとしても、不正確さ及び/又は処理上の問題が生じる場合がある(例えば、対応する第1距離指示座標を決定するための第1波長ピークの重心計算が、併合された第2波長ピークによって部分的にずれたり、そうでなくても何らかの影響を受けたりする場合があり、その逆もあり得る)。
そのような潜在的な課題により、場合によっては、上述した従来知られた技法に示されるような重心計算を利用した距離の決定を必要としないで、距離ワーク厚さを決定できることが望まれる。以下に詳しく説明するように、ここでは、ワーク厚さを決定する代替技法(例えば、変換処理を利用した方法)を示す。
【0060】
様々な実施例において、従来知られた技法によって決定された1及び/又は複数の距離であっても、役立つ情報を提供する場合がある(例えば、条件によっては、従来の技法を、ここに示す原理に従って決定される厚さと組み合わせて利用することができる)。例えば、(式(6)~式(10)に関して)以降で詳しく説明するように、場合によっては、(例えばブロック640で)決定されたワークまでの測定距離を、ここに示す原理に従って決定されるワーク厚さ(例えばブロック650)と組み合わせて利用することができる。
【0061】
上記のように場合によっては、ワークの対面に応じた波長ピークがある程度併合し、1つの波長指示座標(例えば、図5(A)のDIC504a)のみが決定される。幾つかの実施例において、そのような1つの波長指示座標(例えば、図5(A)のDIC504a)が、図5(B)の距離Z3’のような測定距離を表わす場合がある。距離Z3’は、距離Z1と距離Z2’の間にある(例えば、また、距離Z1と距離Z2’の平均と一致する場合があり、見かけ上の厚さd’の中央点まで拡張される場合がある)。この距離Z3’は、第1ワーク表面190-1及び第2ワーク表面190-2間のワーク17内の点と同様である距離Z3と関係がある。幾つかの実施例において、距離Z3に一致するワーク内の点は、第1ワーク表面190-1及び第2ワーク表面190-2間の中央点にあってもよい。そのため、距離Z3は、第1ワーク表面190-1及び第2ワーク表面190-2までのそれぞれの第1距離Z1及び第2距離Z2の平均値と一致する。(例えば、距離Z3は、実際の厚さdの中央点まで拡張する。)
【0062】
例えば、ワーク170の薄いバージョンに対応している図5(A)の点線の測定プロファイル信号510aにおいて、ワーク表面190-1及び190-2に一致する波長ピーク502-1及び502-2(例えば、ピークピクセル座標ppc1a及びppc2aを持っている)が類似の特徴を有する場合(例えば、大きさが類似する場合)、重心又はこれと同様の計算を実行すると、おおよそ/名目上の2つの波長ピーク間の中央であるに1つの距離指示座標(例えば、DIC504a)が得られる。そのような場合、対応する測定距離(例えば、距離Z3’)は、おおよそ第1距離Z1と第2距離Z2’の平均になる。幾つかの実施例において、そのように決定された測定距離(例えば距離Z3’)を、ワーク厚さdの決定値(例えばブロック650で決定される)と組み合わせて利用し、第1ワーク表面190-1及び第2ワーク表面190-2までの第1距離Z1及び/又は第2距離Z2を決定してもよい。例えば、距離Z3’が距離Z1及び距離Z2’間の中央点であると仮定する場合、見かけ上の厚さd’が距離Z1及び距離Z2’の差と一致する(d’=Z2’-Z1で示される)場合、及び、ワーク170の厚さdがワーク表面190-1及び190-2の間隔に一致する(d=Z2-Z1で示される)と仮定する場合に、以下の式群によって様々な距離どうしの関係が指し示される。
【0063】
【数6】
上記の式群に従って、様々な実施例において、決定されたワーク厚さdを、距離の決定値(例えば、距離Z1及び距離Z2’の平均としての距離Z3’)と組み合わせて利用し、ワーク表面までの距離(例えば、ワーク表面190-1までの距離Z1)を決定してもよい。例えば、以下の式(10)は、式(5)と式(8)の組み合わせから得られる。
【0064】
【数7】
また、これから(例えば、式(3)に従って)、Z2も決定することができる。
【0065】
上記のように、場合によっては、従来知られた技法による処理によって、一部が併合した2つの波長ピークに一致する2つのDICsが生成される。幾つかのケースでは、決定された2つのDICsが、(例えば、ピークの併合に起因して)不正確さを有する場合がある。そのような幾つかの実施例において(例えば、ピークの併合によって、2つのDICsが中央点に向かって同様の量だけずれていると仮定される場合)、それら2つのDICsに一致する2つの測定距離の平均を求めて(例えば、距離Z3’と同様に)、測定距離のおおよその中央値を決定するようにしてもよい。また、それから、(例えばブロック650で決定されるように)ワーク厚さdの決定値と組み合わせて利用し、より正確な距離Z1及び距離Z2の決定値を(例えば、式(10)等のような処理を利用して)提供してもよい。
【0066】
幾つかの実施例において、特定の出力スペクトルプロファイルデータセットに対して、ここに示される原理に従ってワーク厚さを決定すべきか、或いは、代わりの従来知られた方法に従ってワーク厚さを決定すべきかを判断するために、選択がなされ、及び/又は、処理が実行されてもよい(例えば、図5(A)のDICs504-1及び504-2、式(4)及び式(5)について上述したように、複数の距離指示座標及びこれらに対応する測定距離の差を決定するための重心計算を利用してもよい)。
例えば、特定のワーク(例えば、波長ピーク間が僅かに離れていてピークの併合などの課題が生じる比較的薄いワーク)の場合、ユーザーによる選択、及び/又は、(例えば自動的な)処理の実行により、ここに示される技法を利用した厚さの決定がされてもよい。
これに代えて、特定のワーク(例えば、波長ピーク間が比較的十分に分離していて重大なピーク併合の課題などが生じない比較的厚みのあるワーク)の場合、ユーザーによる選択、及び/又は、(例えば自動的な)処理の実行により、従来知られた方法を利用した厚さの決定がされてもよい。
幾つかの実施例では、そのような決定を、従来知られた方法及びここに示された方法の両方を利用した出力スペクトルプロファイルデータの処理、及び、特定の実施例に対してどちらの厚さ決定方法を選択/利用すべきか(例えば、最も正確、実用的であるか等)を決定するためのそれぞれ異なる結果の比較/分析の少なくとも一部に基づいて、実行してもよい。(例えば、利用する特定の光学ペン/CRSシステムの測定レンジ等、追加されたファクターに依存する場合もある。)
【0067】
図7(A)~(D)は、デコンボリューション法(逆畳み込み法)の一部としての変換処理を利用したワーク厚さ測定の処理を示す。デコンボリューションは、不明確な及び/又は互いに十分に分離していない2つのピーク波長位置の決定処理を改良するために使用される。特に、一つの態様では、デコンボリューションは、ピーク幅を減らすために使用され、(例えば、それに対応した計算等によって、)2つのピーク間の距離がより良好に、より正確に決定されるようになる。
【0068】
図7(A)に、波長検出器162から出力された強度プロファイル701(又は、「出力スペクトルプロファイルデータ」)を示す。この強度プロファイル701は、上述の図3図5(A)、図10(A)~図10(F)と同様に、ピクセル座標又は「ピクセル位置」(横軸)の関数で表される信号レベル又は信号強度(縦軸)によって構成される。強度プロファイル701は、第1ワーク表面及び第2ワーク表面(例えば、図1のワーク表面190-1及び190-2)に対応するものとして第1波長ピーク702-1及び第2波長ピーク702-2を含んでいる。
【0069】
様々な実施例において、ワーク(例えばワーク170)の厚さを決定するために実行する変換処理が、図7(B)に示すような出力スペクトルプロファイルデータ701の変換(例えばフーリエ変換)を計算することを含む場合がある。そして、(例えば図7(C)に示すように、)出力スペクトルプロファイルデータのフーリエ変換を、基準のフーリエ変換によって除算してもよく、これによって、ターゲットスペクトルプロファイルデータのフーリエ変換が得られる。
様々な実施例において、基準は、数学的基準関数(例えばローレンツ基準など)でもよい。また、他の実施例において、例えば、「基準」ワーク(例えば、トップ面が、光学ペンからワーク表面190-1と同じ距離に配置されている。)について取得した出力スペクトルプロファイルデータを、基準として取得してもよい。その基準ワークは、厚みのあるガラス製ワークでもよく、それによって、トップ面のみからの反射が出力スペクトルプロファイルデータ中に表われる(例えば、厚みのあるガラス製ワークのボトム面が、光学ペン等の測定レンジから外れていてもよく、それによって、ボトム面からの反射が出力スペクトルプロファイルデータに含まれなくなる)。
最後に、ターゲットスペクトルプロファイルデータのフーリエ変換の逆フーリエ変換を計算する。これにより、図7(D)に示すような第1波長ピーク702-1x及び第2波長ピーク702-2xが回復され、それらのピクセル位置がより容易に/正確に決定され、それによって、図7(A)の出力スペクトルプロファイルデータに含まれている2つのオリジナルのピーク702-1及び702-2の対応ピクセル位置の決定を、強化及び改善することができる。
様々な実施例において、(例えば、図4(A)及び図(B)に関して上述したような)距離校正ルックアップテーブル等を参照して、ピクセル位置によって指し示されるピークの位置から距離Z1及び距離Z2’を決定してもよく、式(4)及び式(5)に示されるような計算に従ってワーク厚さを決定してもよい。
【0070】
図8及び図9(A)~(H)を用いて以降で詳しく説明するが、ここでは追加の技法について示す。幾つかの実施例において、それらの技法には、図7(A)~図7(D)に関して説明したような技法を超える幾つかのメリットがある。例えば、図7(A)~図7(D)を参照して説明したようなデコンボリューション(逆畳み込み)型の技法は、出力スペクトルプロファイルデータ中の2つのピークのピクセル位置の決定を改善及び強化するが、幾つかの実施例では、基準による除算(例えば図7(C))によって、プロファイルデータのフーリエ変換に含まれる高周波ノイズに関連する信号部分が増加する可能性がある。そのような高周波ノイズは、ローパスフィルタの使用で軽減できる場合があるが、ローパスフィルタの微調整によって特定の課題が提示される場合がある(例えば、フィルタの微調整は、狭帯域ピークと信号安定性の間のバランスをとる必要がある等)。様々な実施例において、これらの潜在的な課題の少なくとも一部は、図8及び図9(A)~(H)に関して以下に更に詳しく述べているような代替利用する技法によって対処可能である。
【0071】
図8は、(例えば、高速フーリエ変換(FFT)処理を含む)変換処理を使用した厚さ測定処理の一つの態様を示す図である。図8に示される幾つかのカーブは、以下に詳しく説明するように、図7(A)~図7(D)に示される幾つかのカーブに類似及び/又は関連する。図8は、オリジナルデータのフーリエ変換カーブ801を示す。このカーブ801は、強度プロファイル(又は「出力スペクトルプロファイルデータ」)のフーリエ変換であり、周波数(ピクセル-1)(横軸)の関数で表される信号レベル(絶対値の対数目盛)(縦軸)によって構成されており、また、カーブ801のようなフーリエ変換の決定は、図7(B)のフーリエ変換カーブの決定と同様である。
デコンボリューション出力カーブ802は、上述の図7(C)に関して上述したものと同様の処理の結果を示し、フーリエ変換カーブ801を基準のフーリエ変換によって除算したものであり、また、この例では、高周波ノイズを軽減するローパスフィルタを使用しておらず、その結果、カーブ802中のノイズ成分が、高周波成分によって(例えば、指数関数的又はその他の態様で)増加していることが示される。このような課題を避ける技法についてカーブ803を用いて以下の詳しく述べる。
【0072】
カーブ803に関して、これが2つ基準に応じた(すなわち、2つのワーク表面からの)等しい強度の2つの波長ピークを含むプロファイルであるとすると、図8に示すように、また、以下の式(11)に従って、トップ面に対応する測定距離Z1と、ボトム面に対応する見かけ上の測定距離Z2’とが、これらに対応する中間点(例えば、見かけ上の中央点の測定距離Z3’と一致している)から等しい距離、すなわち+d’/2及び-d’/2の位置に含まれている(例えば、式(8)及び式(9)参照)ことが理解されよう。また、2つの等しい強度の基準を含む強度プロファイルデータの理想的なフーリエ変換が、コサインのフーリエ変換カーブ803であることが理解されよう。
【0073】
【数8】
ここで、d’は、見かけ上のワーク厚さであり、kは、空間周波数である。
【0074】
様々な実施例において、図7(A)~図7(D)の処理は、図8のコサインカーブ803に類似のコサインカーブを回復しようとしていると特徴づけられるが、上述のローパスフィルタが、カーブ802中に示される高周波ノイズの増加を軽減するために必要であり、また、ローパスフィルタを微調整する際に特定の課題が生じる場合がある。
ここに示す原理に従えば、理想的な最終結果はコサインカーブであることが予想されるため、代替アプローチは、フーリエ変換の絶対値(例えば、複素数を出力するFFTの絶対値)に表われる第1ディップを決定することである。この第1ディップは、以下の式(12)によるように、コサイン周期及びこれに対応するワーク厚さを指し示している。
【0075】
【数9】
ここで、dは、ワーク厚さであり、nは、対応する波長における(式(5)のd=(d’)(n)に従って表される)ワーク材料の屈折率であり、fdipの単位は1/λである。項∂z/∂λは、ピクセル位置/波長に関するzの変化率と関係し、図4(A)にCRS測定距離校正データ410Aのカーブによって部分的に示されるように、単位あたりのピクセル変化に対するzの変化は、
短波長/ピクセル位置ほど(例えば、レンジの青色波長部分に近いほど)大きく、
長波長/ピクセル位置ほど(例えば、レンジの赤色波長部分に近いほど)小さい。
このことは、図4(B)の距離校正ルックアップテーブル410Bに例示された値によっても同様に示され、DICsにおける0.1の変化に対するz(すなわち測定距離)の変化は、DICsが低いほど大きく(例えば、104.1及び104.2のDICs間でのzの変化は、37.0303μm-36.9029μm=0.1274μmになる)、一方、DICsが高いほど小さい(例えば、990.1及び990.2のDICs間でのzの変化は、486.6733μm-486.6540μm=0.0193μmになる)。上記のように、利用されるレンジの部分は、光学ペンからのワークの距離に従う(例えば、図1図3に関して上述したように、アパーチャー195で最も良く合焦する波長に従う)。例示された幾つかの具体的な値のように、ある実施例においては、レンジの青色波長部分では∂z/∂λ=8μm/ピクセルであり、レンジの赤色波長部分では∂z/∂λ=2μm/ピクセルである。
【0076】
式(12)及び図8の説明に関して例示される幾つかの具体的な値のように、ワーク材料が屈折率n=1.46の溶融シリカであり、ワークが光学ペンに対して∂z/∂λ=5.49μm/ピクセルであるレンジの部分に配置されている場合、式(12)に従って、厚さdは、d=(1.46(5.49μm/ピクセル))/(2(0.16/ピクセル))のようにして決定される。このように、様々な本発明の代表的な態様によれば、変換処理(例えば、高速フーリエ変換(FFT)処理)を利用して、フーリエ変換カーブ801に含まれる(例えば、コサイン周期を指し示す)第1ディップ804を決定してもよく、これに基づいて(例えば、式(12)の例による計算に従って)、ワーク厚さ「d」を決定することができる。
【0077】
様々な実施例において、fdipは、ディップ検出アルゴリズム(例えば、幾つかの実施例において、ディップ検出アルゴリズムとして再利用されるピーク検出アルゴリズムと同様のもの、又は、これに含まれる)に従って決定されてもよい。様々な実施例において、そのようなアルゴリズムは、(例えば、第1ディップと一致する第1ゼロクロスなどのように)導関数を取得し、ゼロクロス点を見つけ出す等の動作を含んでいるとよい。様々な実施例において、この他に、ノイズ又はこれに類似のファクターに起因して生じるような偽ピーク/偽ディップが、スムージング及び/又は閾値操作などによって、抑制又は対処されるようにしてもよい。
【0078】
上記のように様々な実施例において、ここに示される特定の技法は(例えば式(12)で示されるように)、従来知られた技法を利用して測定できるものよりも薄いワークに対して、正確な厚さ測定/決定を可能にし得る。いくつかの例のように、従来知られた技法により測定可能な最小薄さについての幾つかの計算法が、以下により詳しく説明されるだろう。また、ここに示される技法を用いて測定可能な最小薄さと比較されるだろう。
【0079】
続く数値の例は、計算された重心値に従ってDICsを決定する(例えば、図5(A)の距離指示座標504-1及び504-2に関して上述した)ような従来知られた重心型の技法と関係がある。
ある具体的な実施例において、レンジの青色波長部分が∂z/∂λ=8μm/ピクセルであり、レンジの赤色波長部分が∂z/∂λ=2μm/ピクセルであるようなCRSシステムの光学ペンを提供することができる。ある実施例において、上記の従来知られた重心型の技法を利用する場合に、それらのピークが少なくとも半値全幅(FWHM)値によって分離されていて、レンジの青色波長部分においてFWHM=3ピクセルに相当し、赤色波長部分においてFWHM=6ピクセルに相当するときは、波長ピークを測定することができる(すなわち、ピクセル位置を正確に決定することができる)と判断してもよい。そのような実施例において、ガラス製ワークの屈折率がn=1.5である場合に、正確に測定可能なワークの最小厚さは、dmin=n(∂z/∂λ)(FWHM)で表され、レンジの青色波長部分における上記の値は、dmin=36μmになり、レンジの赤色波長部分における上記の値は、dmin=18μmになる。
【0080】
比較すると、ここに示される特定の技法によれば(例えば、「第1ディップ」型の特定の技法において式(12)に示されるように)、同じ光学ペンを有する同じCRSシステムの利用を想定すると、正確に測定可能なワークの最小厚さは、おおよそナイキスト周波数に一致し、fdipは、おおよそ0.5に等しく、それによって、式(12)はdmin=n(∂z/∂λ)になり、レンジの青色波長部分が、dmin=12μm(すなわち、上述の従来知られた重心型の技法におけるdmin=36μmの約1/3又は33.3%)になり、レンジの赤色波長部分が、dmin=3μm(すなわち、上述の従来知られた重心型の技法におけるdmin=18μmの約1/6又は16.7%)になる場合がある。
【0081】
加えて、ここに示される他の特定の技法によれば(例えば、特定の「デコンボリュ―ション」型の技法について図7(A)~図7(D)を用いて上述したように)、同じ光学ペンを有する同じCRSシステムの利用を想定すると、ある実施例において、正確に測定可能なワークの最小厚さは、おおよそ(0.85)FWHMのピーク分離に相当し、レンジの青色波長部分が、dmin=30.6μm(すなわち、上述の従来知られた重心型の技法におけるdmin=36μmの85%)になり、レンジの赤色波長部分が、dmin=15.3μm(すなわち、上述の従来知られた重心型の技法におけるdmin=18μmの85%)になる場合があることが実験的に判断される。
CRSシステムの複雑さを考えると、測定可能な厚さ範囲のこのような改善は達成するのが困難であり、特に、特定の実施例(例えば、薄いワーク及び/又はワークの薄い部分の正確な測定が要求される場合など)において利点になる場合があることが理解されよう。
【0082】
更に、図8において説明した「第1ディップ」型の技法について、決定される第1ディップの追加例が、図9(A)~9(D)に示されている。図9(A)~9(D)の例は、光学ペンに対して動作可能な測定レンジにおいてワーク(例えば厚さが25μmのワーク)の位置に関わらず、図(8)の処理方法によって、信号のフーリエ変換が第1ディップを有するようになること、及び、この第1ディップの位置をワーク厚さの決定に利用することができる(例えば、式(12)に示されるような計算に従って)ことを説明している。図9(A)~9(D)の例では、ワーク170をCRSシステム100のステージ175上に(図1参照)載置して、そのトップ面190-1を、CRSシステム100の光学ペン120の測定基準位置RPからそれぞれ300μm、400μm、500μm及び800μmの位置にする。(すなわち、対応するX軸位置が示しているように、それぞれの波長ピークが、検出器のピクセル/波長レンジ内において異なる対応関連位置になっていることが示されている。)
【0083】
図9(A)~図9(D)は、波長検出器162から出力されたそれぞれ対応する強度プロファイル902A,905A,908A,911Aを示し、強度プロファイルは、上記の図3図5(A),図7(A)及び図10(A)~図10(F)と同様に、ピクセル座標又は「ピクセル位置」(横軸)の関数として表される信号レベル又は強度(縦軸)から構成されている。CRSシステム100のZレンジの光学ペン120から遠い赤色波長部分においては、図9(C)及び図9(D)のように強度プロファイルの2つの波長ピークが少なくとも幾らかは認識/識別可能であるのに対し、CRSシステム100のZレンジの光学ペン120に近い青色波長部分においては、図9(A)及び図9(B)のように強度プロファイルの2つの波長ピークが完全に併合しているように見えることに注意されたい。図9(A)~図9(D)は、また、「基準」ワークに対応している強度プロファイル903A,906A,909A,912Aを示している。基準ワークは、厚みのあるガラス製ワークでもよく、それによって、図7において上述したように基準ワークのトップ面のみからの反射が強度プロファイル中に表われる。
【0084】
図9(E)は、図9(A)の強度プロファイル902A/903Aのフーリエ変換902B/903Bを示している。図9(F)は、図9(B)の強度プロファイル905A/906Aのフーリエ変換905B/906Bを示している。図9(G)は、図9(C)の強度プロファイル908A/909Aのフーリエ変換908B/909Bを示している。図9(H)は、図9(D)の強度プロファイル911A/912Aのフーリエ変換911B/912Bを示している。
【0085】
図9(E)~図9(H)は、CRSシステム100の光学ペン120に対するワークの位置に関係なく、第1ディップ904,907,910,913を含む被測定ワークの強度プロファイルのフーリエ変換902B,905B,908B,911Bを示しており、これらの第1ディップを使って、上述のようにワーク厚さを決定することができる。
一方、基準ワークの強度プロファイルのフーリエ変換903B,906B,909B,912Bが、顕著なディップを何ら含んでいないことに注意されたい。
様々な実施例において、ここに示される「第1ディップ」型の(例えば、式(12)が示すような計算を含んでいる)技法の利用によって、光学ペンを含むCRSシステムの動作範囲に対応する波長レンジの殆どの範囲(例えば90%又は75%等の範囲)において、ワーク厚さ(例えば25μm厚さ)を、殆ど誤差なく(例えば10%未満又は5%未満等の誤差で)、決定することができることが実験的に判断される。この決定には、図9(A)~図9(D)に示すようなデータ、(特に、2つのピークが視覚的に単一ピークとして表れている図9(A)及び図9(B)のような)波長ピークが併合しているデータを用いる決定が含まれている。
【0086】
ここに示す第1ディップ型の技法を動作させる原理によれば(例えば、正弦波の和であるフーリエ変換のような変換の利用を含む)、上述したように、そのような技法は、特に、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に相当するようなワーク厚さの決定において特に有効となり得る。一方で、幾つかの実施例では、そのような技法は、複数の層を有するワーク(すなわち、トップワーク表面及びボトムワーク表面と、分離した層として追加の中間ワーク表面とを含むようなワーク)における複数の層間の厚さの同時決定においては効果が低い可能性がある。そのため、特定の実施例においては、ここに示す原理に従って実行される対応する厚さ測定動作及び/又はそのモードは、第1ワーク表面及び第2ワーク表面の間隔に相当する厚さの決定のみを実行でき、3以上のワーク表面(例えば多層構造)の間隔の決定については実行できない場合がある。
【0087】
上述した幾つかの実施例において、ここに示す技法に従って決定したワーク厚さを、従来知られた方法に従って決定したワークまでの距離と組み合わせて、利用することができる。例えば、図9(A)~図9(D)における2つの併合した波長ピークの説明(例えば、特に、2つのピークが視覚的に単一ピークとして表れている図9(A)及び図9(B))を考えると、そのような場合に、従来知られた重心型の技法によるDICsの決定では、2つの表面までの2つの距離を正確に決定することができない場合があるが、おおよその中央点までの距離(例えば、距離Z3’)を正確に決定するのに使用できることが理解されよう(例えば、その距離Z3’は、併合したピークの重心の決定によるもので、距離Z1及び距離Z2’の間にある)。この方法で計算された距離(例えば、距離Z3’)を参照し、又は、ここに示す原理に従って実行される厚さ測定と組み合わせて(例えば、式(10)に関して距離Z1の決定について上述したように)使用することができる。
【0088】
幾つかの代表的な実施形態において、CRSシステム100は、マシンシステム(例えば、ビジョン検査システム又は座標測定装置など)に含められ、及び/又は、利用されてもよい。場合によっては、CRSシステム100の光軸OAに沿ったワーク厚さ測定のような対応する機能をマシンシステムで自動的に行ってもよい。そのようなマシンシステムの幾つかの例として、適切なマシンビジョン検査システムが米国特許第8,085,295号公報と米国特許第7,454,053号公報に記載されている。
【0089】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、ここに示した構成および動作手順についての多くの変形例が、この開示内容に基づいて当業者には明らかである。例えば、ここに示されている特定の技法は、特定のタイプのフーリエ変換処理(例えば、図7(A)~図9(H))に関係しているが、同様の結果を得るため、ここに示した原理に従って、他のタイプの変換処理を同様に利用できる(例えば、コサイン変換、サイン変換、ラプラス変換等のフーリエ変換関連処理の利用)ことが理解されよう。その他の例として、ここでは、クロマティックポイントセンサー(光学ペン)を含むCRSシステムが示されているが、クロマティックラインセンサーを含むCRSシステムを、ここに示されるシステム及び方法に従って動作するように構成することもできる。これら及び様々な他の代替品をここに示された原理を実施するために使用することができることが理解されよう。加えて、上述した様々な実施例を組み合わせて、さらなる実施例を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10G
【外国語明細書】