(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097479
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】印刷ギャップの制御のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220623BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022050999
(22)【出願日】2022-03-28
(62)【分割の表示】P 2020114947の分割
【原出願日】2013-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【弁理士】
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ビー. ローランス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ミラー
(72)【発明者】
【氏名】サス ソメク
(72)【発明者】
【氏名】コナー エフ. マディガン
(72)【発明者】
【氏名】イリアフ ブロンスキー
(72)【発明者】
【氏名】マヌーチャー ビラン
(57)【要約】
【課題】薄膜印刷装置および方法を提供すること。
【解決手段】ガス支持システム、印刷ギャップ制御システム、および印刷ギャップ制御の方法が、提供される。ガス支持システムは、1つ以上の印刷モジュールパッケージを収容することができる。本システムおよび方法は、有機発光素子(OLED)の製造等のインクジェットおよび/または熱印刷用途のために使用されることができる。ガス支持システムは、加圧ガスおよび真空のうちの1つ以上を採用することができる。酸素敏感用途のために、窒素ガス等の不活性ガスが、加圧ガスとして採用されることができる。ガス支持システムの流体チャネルおよび開口は、サイズおよび相互に対する相対位置の観点から、変更されることができる。流体チャネルおよび開口は、1つ以上のマニホールドと、最終的には、加圧ガスおよび/または真空の源とのグループおよび対にされることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
筐体と、
複数の加圧ガスチャネルと温度制御機能を備えるガス支持システムと、
前記筐体内に配置され、前記ガス支持システムに対向する印刷モジュールを備える印刷装置と、
を備える印刷システム。
【請求項2】
前記筐体は排気孔を有する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記温度制御機能は、複数の冷却チャネルを備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記ガス支持システムは、複数の真空チャネルをさらに備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記筐体は、前記印刷モジュールが配置される内部空洞を備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記内部空洞は、前記筐体の貫通孔と連通する、請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
印刷ギャップ制御システムをさらに備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
印刷装置であって、前記印刷装置は、
ガス支持システムであって、前記ガス支持システムは、
チャックと、
前記チャックに取り付けられたガス支持体であって、前記ガス支持体は、ガス支持体表面と、複数の加圧ガスチャネルと、温度制御機能とを備え、
前記印刷装置は、さらに、
筐体内に配置され、前記ガス支持システムに対向する印刷モジュール、
を備える印刷装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記印刷モジュールが配置される内部空洞を備える、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記ガス支持体は、さらに複数の真空チャネルを備える、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記温度制御機能は、複数の冷却チャネルを備える、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記温度制御機能は、複数の加熱チャネルをさらに備える、請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記内部空洞は、前記筐体の貫通孔と連通している、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記内部空洞は、長方形状を有する、請求項9に記載の印刷装置。
【請求項15】
印刷装置用のガス支持体であって、前記ガス支持体は、
ガス支持体表面と、
前記ガス支持体表面にある複数の加圧ガスチャネルと、
前記ガス支持体表面にある冷却機能と、
を備えるガス支持体。
【請求項16】
前記ガス支持体表面に設けられた複数の真空チャネルをさらに含む、請求項15に記載のガス支持体。
【請求項17】
前記加圧ガスチャネルと前記真空チャンネルは交互に配置されている、請求項16に記載のガス支持体。
【請求項18】
加熱チャネルをさらに備える、請求項17に記載のガス支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2011年8月9日出願の米国仮特許出願第61/521,604号の利益を主張する米国非仮特許出願第13/570,154号の利益を主張する。本明細書に列挙されるすべての相互参照出願は、その全体が参照によって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本教示は、薄膜印刷装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
種々の状況において、印刷ヘッドが、その転写面または放出ノズルと、印刷ヘッドが材料を印刷する基材表面との間に緊密に制御されたギャップを維持することが有益であり得る。そのような制御は、特に、ドライインクが堆積される表面に接触せずに、ドライインクを堆積させるために考案された熱印刷用印刷ヘッドを用いた印刷において重要である。印刷ヘッドが基材表面から遠く離れすぎている場合、印刷が過剰に拡散し得る。印刷ヘッドが基材表面に近すぎる場合、印刷が過剰に粒状になり得る。近すぎるとき、印刷ヘッドは、基材に接触さえし得、基材および印刷ヘッドの両方に損傷をもたらし得る。インクジェット印刷ヘッドと基材との間のギャップ制御もまた、インクジェット印刷において重要である。したがって、熱およびインクジェット印刷システムの両方において、基材と印刷ヘッドとの間の印刷ギャップを制御することにより、印刷結果および印刷プロセスを最適化することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0308307号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0311307号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0311289号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0115585号明細書
【特許文献5】米国特許第7,908,885号明細書
【特許文献6】米国特許第7,857,121号明細書
【特許文献7】米国特許第7,604,439号明細書
【特許文献8】米国特許第7,603,028号明細書
【特許文献9】米国特許第7,530,778号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2010/0188457号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2011/0008541号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2010/0171780号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2010/0201749号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
種々の実施形態によると、本教示は、印刷ヘッドおよび印刷モジュールパッケージを保持するため、および印刷ヘッドの転写面と材料が印刷される基材との間に緊密に制御されたギャップを維持するために使用されることができるガス支持システムに関する。本システムは、外面および内面を有する側壁を有する筐体を備える。側壁は、印刷モジュールパッケージを受け取るように構成された内部空洞を規定する。内面は、内部空洞への開口部で終端することができる。側壁はまた、その外面とその内面との間に端面を有することができ、端面は、第1の複数の開口と、第2の複数の開口とを備えることができる。第1の複数の流体チャネルは、側壁内に含まれることができ、第1の複数の開口から側壁内に延在し、第1のマニホールドと流体連通することができる。第1のマニホールドは、側壁の内部、外部、または両方にあることができる。第2の複数の流体チャネルは、側壁内に含まれることができ、第2の複数の開口から側壁内に延在し、第2のマニホールドと流体連通することができる。第2のマニホールドは、側壁の内部、外部、または両方にあることができる。第1のマニホールドは、例えば、第1のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。第2のマニホールドは、例えば、第2のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。
【0006】
種々の実施形態によると、本明細書に説明されるようなガス支持システムと、第1の平面表面を備える基材とを備える印刷ギャップ制御システムが、提供される。本システムは、ガス支持の端面が、第1の平面にあり、少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドまたは熱印刷用印刷ヘッドの少なくとも1つの転写面が、第2の平面にあり、基材の第1の平面表面が、第3の平面にあるように構成されることができる。第1、第2、および第3の平面は、実質的に、相互に平行であることができる。ガス支持ギャップは、第1の平面と第3の平面との間の距離によって規定されることができる。印刷ギャップは、第2の平面と第3の平面との間の距離によって規定されることができる。端面、転写面、および基材の第1の平面基材表面のうちの少なくとも1つは、印刷ギャップのサイズ、ガス支持ギャップのサイズ、または両方を制御するように調節可能であり得る。いくつかの実施形態では、印刷ギャップは、ガス支持ギャップを制御することによって制御されることができることを理解されたい。
【0007】
本教示の種々の実施形態によると、方法が、印刷モジュールパッケージを基材に対して位置決めすることと、印刷モジュールパッケージを使用することによって、材料を基材上に印刷することとを含むように提供される。位置決めすることは、本明細書に説明されるようなガス支持システムを用いて達成されることができ、例えば、システムは、筐体を備え、筐体は、内部空洞を規定する側壁を備える。側壁は、外面および内面を有することができ、印刷モジュールパッケージは、内部空洞内に受け取られることができる。内面は、内部空洞への開口部で終端することができる。本方法は、内部空洞内に印刷モジュールパッケージを装着することを含むことができる。側壁はさらに、外面と内面との間に端面を有することができ、端面は、第1の複数の開口と、第2の複数の開口とを備えることができる。側壁はさらに、第1の複数の開口から側壁内に延在して第1のマニホールドと連通する第1の複数の流体チャネルを備えることができ、本方法は、第1のマニホールドに、そして第1のマニホールドから第1の複数の流体チャネルに加圧ガス源を供給することを含むことができる。加えて、側壁は、第2の複数の開口から側壁内に延在して第2のマニホールドと連通する第2の複数の流体チャネルを備えることができ、本方法は、真空源への第2のマニホールドから、そして第2のマニホールドへの複数の流体チャネルから真空を生じさせることを含むことができる。第1のマニホールドは、例えば、第1のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができ、第2のマニホールドは、例えば、第2のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。本方法は、第1および第2の複数の開口へ、および第1および第2の複数の開口から、加圧ガスおよび真空の組み合わせを使用して、印刷ギャップを制御することを含むことができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ガス支持システムであって、前記ガス支持システムは、
筐体を備え、前記筐体は、外面および内面を有する側壁を備え、前記側壁は、印刷モジュールパッケージを受け取るように構成された内部空洞を規定し、前記内面は、前記内部空洞への開口部で終端し、前記側壁はさらに、前記外面と前記内面との間に端面を有し、前記端面は、第1の複数の開口および第2の複数の開口を備え、前記側壁はさらに、前記第1の複数の開口から前記側壁内に延在して第1のマニホールドと連通する第1の複数の流体チャネルと、前記第2の複数の開口から前記側壁内に延在して第2のマニホールドと連通する第2の複数の流体チャネルとを備え、前記第1のマニホールドは、第1のポートを介して前記筐体の外側の環境と流体連通し、前記第2のマニホールドは、第2のポートを介して前記筐体の外側の環境と流体連通し、前記第1の複数の開口および前記第2の複数の開口は、前記内部空洞への前記開口部を囲んでいる、ガス支持システム。
(項目2)
前記端面はさらに、前記側壁内に延在して前記第1のマニホールドおよび第2のマニホールドと異なる第3のマニホールドと連通する第3の複数の流体チャネルを備える、項目1に記載のガス支持システム。
(項目3)
前記第3のマニホールドは、第3のポートを介して前記筐体の外側の環境と流体連通する、項目2に記載のガス支持システム。
(項目4)
前記第1の複数の開口および第2の複数の開口の個々の口径は、約1.0mm~約10mmの平均距離だけ相互から離間されている、項目1に記載のガス支持システム。
(項目5)
前記第1の複数の開口および第2の複数の開口の口径は、約0.001インチ~約0.1インチの平均直径を有する、項目1に記載のガス支持システム。
(項目6)
前記第1の複数の開口は、約0.005インチ~約0.025インチの平均直径を有し、前記第2の複数の開口は、約0.030インチ~約0.090インチの平均直径を有する、項目1に記載のガス支持システム。
(項目7)
前記第1の複数の流体チャネルは、加圧ガス源と流体連通し、前記第2の複数の流体チャネルは、真空源と流体連通する、項目1に記載のガス支持システム。
(項目8)
前記圧力ガス源は、加圧された不活性ガス源を備える、項目7に記載のガス支持システム。
(項目9)
前記加圧された不活性ガス源は、窒素ガス源、希ガス源、またはそれらの組み合わせを備える、項目8に記載のガス支持システム。
(項目10)
前記筐体は、ベースプレートと、前記ベースプレートに装着されたマニホールドコンパートメントと、前記マニホールドに装着されたフェースプレートとを備え、前記フェースプレートが、前記端面を備える、項目1に記載のガス支持システム。
(項目11)
前記ベースプレートが、前記第1のポートおよび第2のポートを備え、前記マニホールドコンパートメントが、前記第1のマニホールドおよび第2のマニホールドを備える、項目10に記載のガス支持システム。
(項目12)
前記筐体は、ベースプレートと、前記ベースプレートに装着されたマニホールドコンパートメントと、前記マニホールドに装着されたフェースプレートとを備え、前記フェースプレートが、前記端面を備える、項目3に記載のガス支持システム。
(項目13)
前記ベースプレートが、前記第1のポート、第2のポート、および第3のポートを備え、前記マニホールドコンパートメントが、前記第1のマニホールド、第2のマニホールド、および第3のマニホールドを備える、項目12に記載のガス支持システム。
(項目14)
前記ベースプレートに接続され、支持体およびアクチュエータのうちの少なくとも1つへの接続のために構成されたコネクタフランジをさらに備える、項目10に記載のガス支持システム。
(項目15)
前記内部空洞への第2の開口部をさらに備え、前記第2の開口部は、前記内部空洞が、前記筐体を通る貫通孔を備えるように、前記第1の開口部と反対に位置する、項目1に記載のガス支持システム。
(項目16)
前記内部空洞内に装着された少なくとも1つの印刷モジュールパッケージをさらに備える、項目1に記載のガス支持システム。
(項目17)
前記少なくとも1つの印刷モジュールパッケージは、少なくとも1つの転写面を有する少なくとも1つの熱印刷用印刷ヘッドと、前記少なくとも1つの転写面と熱連通する少なくとも1つのヒーターとを備える、項目16に記載のガス支持システム。
(項目18)
前記少なくとも1つの印刷モジュールパッケージは、少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドを備える、項目16に記載のガス支持システム。
(項目19)
印刷ギャップ制御システムであって、前記印刷ギャップ制御システムは、項目18に記載のガス支持システムと、
基材と
を備え、前記端面は、第1の平面にあり、前記少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドは、第2の平面にあり、前記基材の第1の平面表面は、第3の平面にあり、前記第1の平面、第2の平面、および第3の平面は、実質的に、相互に平行であり、ガス支持ギャップは、前記第1の平面と前記第3の平面との間の距離によって規定され、印刷ギャップは、前記第2の平面と前記第3の平面との間の距離によって規定され、前記端面、前記インクジェット印刷ヘッド、および前記基材の前記第1の平面表面のうちの少なくとも1つは、前記印刷ギャップのサイズを制御するように調節可能である、印刷ギャップ制御システム。
(項目20)
前記第1のガス支持システムに面した第2のガス支持システムをさらに備え、前記基材は、前記第1のガス支持システムと前記第2のガス支持システムとの間に位置決めされる、項目19に記載の印刷ギャップ制御システム。
(項目21)
前記第2のガス支持は、複数の加圧ガスチャネルと、必要に応じて、複数の真空チャネルとを備える、項目20に記載の印刷ギャップ制御システム。
(項目22)
前記ガス支持システムは、前記基材の上方に位置決めされる、項目19に記載の印刷ギャップ制御システム。
(項目23)
前記ガス支持システムは、前記基材の下方に位置決めされる、項目19に記載の印刷ギャップ制御システム。
(項目24)
ガス支持システムを使用して、印刷モジュールパッケージを第1の平面基材表面に対して位置決めすることであって、前記ガス支持システムは、筐体を備え、前記筐体は、外面および内面を有する側壁を備え、前記側壁は、印刷モジュールパッケージを受け取るように構成された内部空洞を規定し、前記内面は、前記内部空洞への開口部で終端し、前記側壁はさらに、前記外面と前記内面との間に端面を有し、前記端面は、第1の複数の開口および第2の複数の開口を備え、前記側壁はさらに、前記第1の複数の開口から前記側壁内に延在して第1のマニホールドと連通する第1の複数の流体チャネルと、前記第2の複数の開口から前記側壁内に延在して第2のマニホールドと連通する第2の複数の流体チャネルとを備え、前記第1のマニホールドは、第1のポートを介して前記筐体の外側の環境と流体連通し、前記第2のマニホールドは、第2のポートを介して前記筐体の外側の環境と流体連通する、ことと、
前記印刷モジュールパッケージを使用して、材料を前記第1の平面基材表面上に印刷することと
を含む、方法。
(項目25)
前記第1の複数の開口および前記第2の複数の開口は、前記内部空洞への前記開口部を囲んでいる、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記印刷は、固体転写印刷を含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記印刷は、インクジェット印刷を含む、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記位置決めすることは、前記第1のマニホールドから、前記第1の複数の流体チャネルを通して、流体の正の流動を維持することと、前記第2の複数の流体チャネル内へ、前記第2のマニホールドを通して、流体の負の流動を維持することとを含む、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記印刷モジュールパッケージは、印刷ヘッド転写面またはインクジェットノズルオリフィスを備え、前記印刷ヘッド転写面または前記インクジェットノズルオリフィスは、前記第1の平面基材表面に面し、印刷ギャップだけ相互から離間され、前記位置決めすることは、前記第1のマニホールドおよび第2のマニホールドのうちの少なくとも1つを通る流体の流動を制御することによって、前記印刷ギャップのサイズを制御することを含む、項目24に記載の方法。
(項目30)
前記印刷ギャップは、約5μm~約100μmの距離を有する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記印刷ギャップは、約20μm~約30μmの距離を有する、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記印刷ギャップは、約25μmの距離を有する、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記第1の複数の流体チャネルを通して、約30psig~約90psigの圧力で不活性ガスを流動させることをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目34)
前記第2の複数の流体チャネルを通して、約-5.0psig~約-13psigの負圧で真空を引くことをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目35)
第2の平面基材表面に隣接して、かつ前記第1のガス支持システムに対向して第2のガス支持システムを位置決めすることであって、前記第2のガス支持システムは、前記第1の平面基材表面を位置決めし、所望の印刷ギャップを維持するように構成されている、ことをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目36)
前記ガス支持システムは、前記基材の上方に位置決めされる、項目24に記載の方法。
(項目37)
前記ガス支持システムは、前記基材の下方に位置決めされる、項目24に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本教示を限定ではなく例証することを目的としている添付図面を参照して、本開示の特徴および利点のさらなる理解が得られる。
【0009】
【
図1】
図1は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システム、その中に位置決めされる印刷モジュールパッケージ、上に印刷される基材、および基材支持体の断面側面図である。
【0010】
【
図2】
図2は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システム、その中に位置決めされる印刷モジュールパッケージ、基材、および基材位置決めシステムの断面側面図である。
【0011】
【
図3】
図3は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システムの底面側斜視分解図である。
【0012】
【
図4】
図4は、組み立てられた状態における
図3に示されるガス支持システムと、その中に調節可能に装着される印刷モジュールパッケージの左底面側斜視図である。
【0013】
【
図5】
図5は、組み立てられた状態における上下逆の
図3に示されるガス支持システムと、その中に調節可能に装着または固着される印刷モジュールパッケージの斜視図である。
【0014】
【
図6】
図6は、
図5に示されるガス支持システムおよび印刷モジュールパッケージの右底面側斜視図である。
【0015】
【
図7】
図7は、回転アクチュエータに固着され、熱印刷動作を実施するために位置決めされている
図5および
図6に示されるガス支持システムおよび印刷モジュールパッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
本教示の種々の実施形態によると、ガス支持システムは、側壁を有する筐体を備え、側壁は、外面および内面を備える。側壁は、印刷モジュールパッケージを受け取るように構成される内部空洞を規定する。内面は、上部、底部、または両方で終端し、内部空洞への開口部を規定することができる。内部空洞は、筐体を通る貫通孔を形成することができる、または一端に単一開口部のみを有することができる。側壁はまた、その外面とその内面との間に端面を有することができ、端面は、第1の複数の開口および第2の複数の開口を備えることができる。第1の複数の流体チャネルは、側壁内に含まれることができ、第1の複数の開口から側壁内に延在し、第1のマニホールドと流体連通することができる。第2の複数の流体チャネルは、側壁内に含まれることができ、第2の複数の開口から側壁内に延在し、第2のマニホールドと流体連通することができる。第1のマニホールドおよび第2のマニホールドはそれぞれ、独立して、側壁の内部、側壁の外部、または両方にあることができる。第1のマニホールドは、例えば、第1のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。第2のマニホールドは、例えば、第2のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。管類等の導管は、マニホールドのそれぞれと流体連通することができ、さらに、加圧ガスの供給源、真空源、または両方に接続されることができる。第1の複数の開口および第2の複数の開口は、内部空洞への開口部を囲むように配列されることができる。内部空洞は、正方形、長方形、丸形、または任意の他の形状である断面形状を有することができる。開口は、2つの側面、3つの側面、4つの側面、または少なくとも5つの側面において、内部空洞への開口部を囲むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、側壁の端面はさらに、第3の複数の流体チャネルを備えることができ、第3の複数の流体チャネルは、側壁内に延在し、第1および第2のマニホールドと異なる第3のマニホールドと連通する。第3のマニホールドは、例えば、第3のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。第3のマニホールドは、加圧ガス源、真空源、または両方と流体連通することができる。第3のマニホールドは、第1のマニホールドと流体連通する同一の加圧ガス源と流体連通し、または異なる加圧ガス源と流体連通することができる。第1および第2の複数の開口のうちの個々の開口は、の平均距離約0.5mm~約20mmの平均距離、例えば、約1.0mm~約10mmの平均距離、約2.0mm~約8.0mmの平均距離、または約3.0mm~約6.0mmの平均距離だけ、隣接する開口から離間されることができる。第1および第2の複数の開口の口径は、の平均直径約0.001インチ~約0.1インチの平均直径、例えば、約0.003インチ~約0.075インチの平均直径、約0.005インチ~約0.05インチの平均直径、または約0.01インチ~約0.04インチの平均直径を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の複数の開口は、約0.005インチ~約0.025インチの平均直径を有することができ、第2の複数の開口は、約0.030インチ~約0.090インチの平均直径を有することができる。
【0018】
種々の実施形態によると、第1の複数の流体チャネルは、加圧ガス源と流体連通することができ、第2の複数の流体チャネルは、真空源と流体連通することができる。加圧ガス源は、加圧された不活性ガス源、例えば、窒素ガス源、希ガス源、またはそれらの組み合わせを備えることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、筐体は、複数の構成要素、例えば、ベースプレートと、ベースプレート上に装着されたマニホールドコンパートメントと、マニホールド上に装着されたフェースプレートとを備えることができる。例示的構成では、フェースプレートは、端面を備える。ベースプレートは、第1および第2のポートを備えることができ、マニホールドコンパートメントは、第1および第2のマニホールドを備えることができる。いくつかの実施形態では、ベースプレートは、第3のポートを備え、マニホールドコンパートメントは、第3のマニホールドを備える。いくつかの実施形態では、ベースプレートは、第1、第2、および第3のポートを備え、マニホールドコンパートメントは、第1、第2、および第3のマニホールドを備えることができる。いくつかの実施形態では、マニホールドコンパートメント、または、マニホールドのうちの1つ以上は、ポートのうちの1つ以上を備えることができる。コネクタフランジが、ベースプレートに接続されることができ、支持体およびアクチュエータのうちの少なくとも1つに接続するために構成されることができる。構成要素のうちの1つ以上は、側壁を規定するか、または側壁を部分的に規定することができ、例えば、フェースプレートを含む構成要素の積み重ねはともに、側壁、内部空洞、または両方を規定することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、筐体は、内部空洞への第2の開口部を提供することができる。第2の開口部は、内部空洞が、筐体全体を通って延在する貫通孔を備え得るように、第1の開口部と反対に位置することができる。少なくとも1つの印刷モジュールパッケージが、内部空洞内に装着されることができる。いくつかの場合には、少なくとも1つの印刷モジュールパッケージは、少なくとも1つの転写面を有する少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドまたは少なくとも1つの熱印刷用印刷ヘッドと、少なくとも1つの転写面と熱連通する少なくとも1つのヒーターとを備えることができる。いくつかの実施形態では、第2の開口部は、排気が、内部空洞から放出されることを可能にする。第2の開口部は、システムの上部から、システムの底部から、または両方からの印刷モジュールパッケージ装填を可能にすることができる。ガス支持システムの向きは、変更されることができ、上部および底部等の指示は、絶対的な用語ではなく、相対的な用語であることが意図されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、特徴は、第2の開口部が、印刷モジュールパッケージがシステムの底部から装填されることを可能にし得るように反転される。
【0021】
種々の実施形態によると、本明細書に説明されるようなガス支持システムと、第1の平面表面を備える基材とを備える印刷ギャップ制御システムが、提供される。本システムは、端面が第1の平面にあり、少なくとも1つの転写面が第2の平面にあり、第1の平面基材表面が第3の平面にあるように構成されることができる。第1、第2、および第3の平面は、実質的に、相互に平行であり、すなわち、相互に平行であるかあるいは相互に対して10°未満の角度または5°未満の角度だけ傾けられることができる。ガス支持ギャップは、第1の平面と第3の平面との間の距離によって規定されることができる。印刷ギャップは、第2の平面と第3の平面との間の距離によって規定されることができる。端面、インクジェット印刷ヘッドまたは転写面、および第1の平面基材表面のうちの少なくとも1つは、印刷ギャップのサイズ、ガス支持ギャップのサイズ、または両方を制御するように調節可能であることができる。印刷ギャップは、独立して、および/またはガス支持ギャップのサイズを制御することによって、制御されることができる。ガス支持システムは、基材の上方、下方、または上方および下方に位置決めされることができる。ガス支持システムは、1つ以上のアクチュエータを備え、または1つ以上のアクチュエータと動作可能に関連付けられ、基材に対して、および/または1つ以上のインクジェット印刷ヘッドに対して、ガス支持システムの位置を調節することを可能にする。
【0022】
第2のガス支持システムは、基材が第1のガス支持システムと第2のガス支持システムとの間に位置決めされるように、第1のガス支持システムに面して提供されることができる。第2のガス支持システムはまた、複数の加圧ガスチャネルと、随意に、複数の真空チャネルとを備えることができる。加圧ガスチャネルおよび真空チャネルは、任意の所望の構成で配列されることができる。いくつかの実施形態では、1つおきの流体チャネルまたは交互の流体チャネルが、加圧されたチャネルおよび真空チャネルを備える。チャック内に装着され得る第2のガス支持は、基材のための温度制御を提供することができる。すなわち、力を基材に提供することに加え、第2のガス支持は、基材へおよび/または基材から熱を伝達し、基材の加熱および/または冷却を達成することができる。そのような熱制御は、加熱要素、例えば、加熱されたチャックとの直接接触と比較して、有利であり得る。加熱チャネルおよび冷却チャネルは、任意の所望の構成で配列されることができる。いくつかの実施形態では、1つおきの流体チャネルが、加熱チャネルまたは冷却チャネルを備えることができる。いくつかの実施形態では、交互の流体チャネルが、加熱チャネル、冷却チャネル、加熱チャネル、冷却チャネル等を備える。熱制御はまた、熱が基材を膨張させる傾向にあり得、冷却が基材を収縮させる傾向にあり得るため、基材のサイズを制御するために使用されることができる。一定サイズの維持は、有利である。熱サイズ変化は、特に、より大きな基材に有意となり得、例えば、熱サイズ変化は、Generation8サイズガラス(2.2m×2.5m)に対して有意である。基材の非制御熱変化は、基材上のインクの堆積を水平方向および/または垂直方向にシフトさせることによって、製品品質に悪影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、印刷ギャップは、約+/-10μm、+/-7μm、または+/-5μmの公差を有することができる。
【0023】
本教示の種々の実施形態によると、印刷モジュールパッケージを基材に対して位置決めすることと、印刷モジュールパッケージを使用することによって、材料を基材上に印刷することとを含む方法が、提供される。位置決めすることは、本明細書に説明されるようなガス支持システムを用いて達成されることができ、例えば、ガス支持システムは、筐体を備え、筐体が、内部空洞を規定する。側壁は、外面および内面を有することができ、印刷モジュールパッケージは、内部空洞内に受け取られることができる。内面は、内部空洞への開口部で終端することができ、本方法は、印刷モジュールパッケージを内部空洞内に装着することを含むことができる。側壁はさらに、外面と内面との間に端面を有することができ、端面は、第1の複数の開口と、第2の複数の開口とを備えることができる。本方法は、第1の複数の開口に、かつ第1の複数の開口を通して、加圧ガスを供給することと、第2の複数の開口を通して真空を引くこととを含むことができる。側壁はさらに、第1の複数の開口から側壁内に延在して第1のマニホールドと連通する第1の複数の流体チャネルを備えることができる。加えて、側壁は、第2の複数の開口から側壁内に延在して第2のマニホールドと連通する第2の複数の流体チャネルを備えることができる。本方法は、加圧ガスを第1のマニホールドに供給することと、第2のマニホールドに真空を引くこととを含むことができる。第1のマニホールドは、例えば、第1のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができ、第2のマニホールドは、例えば、第2のポートを介して、筐体の外側の環境と流体連通することができる。管類、配管、または他の導管は、第1のマニホールドと加圧ガス源とを接続することができ、第2のマニホールドと真空とを接続することができる。いくつかの実施形態では、第1の複数の開口および第2の複数の開口は、内部空洞への開口部を囲む。
【0024】
いくつかの実施形態では、印刷は、熱印刷(例えば、印刷モジュールパッケージを使用するインクジェット印刷を含む熱印刷であって、インクジェット印刷の後に、固体の昇華または蒸発による固体転写印刷が続く)を備えることができる。本教示に従って使用されることができる、熱印刷および印刷モジュールパッケージの例として、例えば、米国特許出願公開US2008/0308307A1号、US2008/0311307A1号、US2008/0311289A1号、およびUS2006/0115585A1号に説明されるものを含み、これらは、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。印刷モジュールパッケージは、印刷ヘッド転写面および/またはインクジェットノズルオリフィスを備えることができ、基材は、第1の表面を備えることができ、印刷ヘッド転写面および/またはインクジェットノズルオリフィスは、基材の第1の表面に面し、印刷ギャップだけ相互から離間されることができる。印刷ヘッド転写面は、インクジェット印刷によって、例えば、インクジェット印刷サブシステムから、堆積されるインクを受け取ることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の印刷ヘッド転写面は、インクを受け取るように回転させられ、かつ/または印刷される基材に面するように回転させられる。いくつかの実施形態では、1つ以上のインクジェット印刷ヘッドは、インクを1つ以上の印刷ヘッド転写面に転写するように回転させられる。ガス支持システムおよび/または印刷ヘッド転写面は、印刷の間、基材の上方、下方、または上方および下方に位置決めされることができる。いくつかの実施形態では、印刷は、直接、基材にインクジェット印刷することを含むことができる。そのような実施形態では、印刷モジュールパッケージは、インクジェット印刷ヘッドを備えることができる。例えば、印刷モジュールパッケージは、SAMBA印刷ヘッドモジュール(FUJIFILM Dimatix, Inc., Santa Clara, California)を備えることができる。ガス支持システムおよび/またはインクジェット印刷ヘッドは、印刷の間、基材の上方、下方、または上方および下方に位置決めされることができる。
【0025】
基材に対するガス支持システムの位置決めは、第1および第2のマニホールドのうちの少なくとも1つを通る流体の流動を制御することによって、印刷ギャップのサイズを制御することを含むことができる。いくつかの実施形態では、位置決めすることは、第1のマニホールドから、第1の複数の流体チャネルを通して、流体の正の流動を維持することと、第2の複数の流体チャネル内へ、第2のマニホールドを通して、流体の負の流動を維持することとを含むことができる。位置決めすることは、加圧ガス、真空、または両方の流動を調節することにより、印刷ギャップのサイズ、ガス支持ギャップ、または両方を制御することを含むことができる。制御ユニットは、加圧ガス源、真空源、または両方の制御をもたらすために使用されることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、印刷ギャップは、約5μm~約100μmの距離、例えば、約20μm~約30μmの距離、または約25μmの距離として規定されることができる。本方法は、例えば、第1の複数の流体チャネルを通して、不活性ガスを約10psig~約200psigの圧力、約30psig~約90psigの圧力、約50psig~約70psigの圧力、または約60psigの圧力で流動させることによって、印刷ギャップを維持あるいは提供することができる。位置決めすることはさらに、第2の複数の流体チャネルを通して、の負圧約-3.0psig~約-13psigの負圧、約-5.0psig~約-10psigの負圧、または約-7.5psigの負圧で真空を引くことを含むことができる。いくつかの場合には、印刷は、基材の第1の表面上に印刷することを含むことができ、基材は、第1の表面と反対の第2の表面を有し、本方法はさらに、基材の第2の表面に隣接して、かつ第1のガス支持システムに対向して第2のガス支持システムを位置決めすることを含む。第2のガス支持システムは、基材の第1の表面を位置決めし、所望の印刷ギャップを維持するように構成されることができる。第2のガス支持システムは、第1のガス支持システムの代わりに、またはそれに加え、使用されることができる。
【0027】
本教示の種々の実施形態は、印刷ギャップを維持および制御し、インク堆積印刷プロセスを取り巻く環境を制御するために、空気支持を使用するための装置および方法に関する。例えば、インク堆積は、非酸化環境で実施されることができる。いくつかの実施形態では、印刷ヘッドは、セットギャップが可能な限り0mmに近くなり得る特定の距離に固定されるように、ガス支持筐体内に装着される。セットギャップは、印刷ヘッドの転写面とガス支持筐体の端面との間の距離に対応する。ガス支持ギャップは、端面と基材との間の距離である。基材が印刷ヘッドの下方を移動し、かつ/または印刷ヘッドが基材の上方を移動するかにかかわらず、いずれにしても、印刷ヘッドと基材との間には、相対運動が存在する。ガス支持筐体の流体通路を加圧することによって、ガスが、筐体内に開口部から流出し、ガス支持筐体端面と基材との間にガス支持ギャップを維持する。このようにして、印刷ギャップは、ガス支持ギャップとセットギャップとの和となり、それにより、印刷ギャップは、これらの他の2つのギャップによって制御される。例えば、約数ミクロンの微細な変化は、ガス支持筐体内のガス圧力を変化させることによって、印刷ギャップにもたらされることができる。ガス支持筐体から排気孔までのガスの流動は、支持ガスで充填された環境を生成する。インクが酸素ガスに敏感である場合、非酸素ガスおよび/または、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが、非酸化環境を提供するように使用されることができる。印刷ヘッド内または印刷ヘッド上で液体インクを蒸発させるプロセスは、溶媒蒸気を発生させ得る。排気開口部は、ガス支持システムによって注入された窒素ガスの除去と液体インクの蒸発の間に発せられた溶媒蒸発の除去との両方を可能にする。
【0028】
いくつかの実施形態では、圧力源および真空源が両方とも、所望の印刷ギャップを規定する際に採用される。いくつかの実施形態では、真空源および窒素ガス圧力源が、提供される。これらの源は、例えば、印刷ヘッドのまわりに配置されたガス支持筐体内のそれぞれのチャネルと流体連通するために配置され、したがって、ガス支持ギャップが、確立されることができる。印刷ギャップは、支持筐体に対して可変であることができる。ガス支持筐体および印刷ヘッドは、基材、例えば、ガラスに隣接して配置されることができる。印刷ヘッドは、膜材料(例えば、キャリア流体中に溶解または懸濁された膜形成材料を含むインク)を基材上に堆積させることができる。いくつかの実施形態では、基材は、ガスリフトまたはガス支持システムを伴うチャックを介して支持される。いくつかの実施形態では、基材は、基材と接触する真空チャックを介して支持される。
【0029】
前述のように、本教示のガス支持システムは、単独で、または1つ以上の付加的ガス支持システムと組み合わせて、使用されることができる。付加的ガス支持システムは、任意のガスまたはガスの混合物を利用することができる。付加的ガス支持システムは、ガス封入システム(例えば、熱印刷動作を封入するシステム)内に含まれるものと同一または異なるガスまたはガス状混合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、空気支持は、不活性ガス、例えば、窒素ガス、1つ以上の希ガス、またはそれらの組み合わせを使用する。使用され得るガス支持システムならびに関連方法およびシステムは、New Way Machine Components, Inc.(Aston, Pennsylvania)から入手可能なものを含む。それらは、単独で、または本教示で説明されるガス支持システムと組み合わせて使用することができる。本教示に関連して使用することができる、ガス支持システムに関するデバイス、システム、方法、および用途は、例えば、米国特許US7,908,885B2号で説明されるものを含み、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。Coreflow Scientific Solutions LTD.(Yoqneam, Israel)から入手可能なガス支持システムならびに関連方法およびシステムもまた、単独で、または本教示で説明されるガス支持システムと組み合わせて使用することができる。本教示に関連してさらに使用することができる、ガス支持システムに関するデバイス、システム、方法、および用途は、例えば、米国特許US7,857,121B2号、US7,604,439B2号、US7,603,028B2号、およびUS7,530,778B2号に説明されるものを含み、それらは、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0030】
本教示の側面は、例えば、米国特許出願公開US2008/0311307A1号、US2008/0311289A1号、US2006/0115585A1号、US2010/0188457A1号、US2011/0008541A1号、US2010/0171780A1号、およびUS2010/0201749A1号、および米国特許出願第61/521,631号(名称「Face-Down Thermal-Jet Printing Apparatus and Methods」)の教示に関連して実施されることができ、これらは、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
図1は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システム20の断面図である。ガス支持システム20は、側壁24を備える筐体22を備える。側壁24は、外面26と、内面28とを備える。内面28は、印刷モジュールパッケージ32を受け取るように構成される内部空洞30を規定する。内面28は、内部空洞30の空洞開口部34で終端する。端面36は、内面28と外面26との間に配置される。端面36の反対側には、第2の空洞開口部40を備える環状端部分38がある。第2の空洞開口部40は、貫通孔42を備えることができる。第1の開口44および第2の開口46は、端面36上に位置することができる。筐体22の側壁24内に延在する第1の流体チャネル48が、第1の開口44から延在し得る。第2の流体チャネル50は、第2の開口46から筐体22の側壁24内に延在することができる。
【0032】
図1に見られるように、印刷モジュールパッケージ32は、転写面52を備えることができ、その転写面52から、材料が、基材56、より具体的には、基材表面57上に転写され、堆積させられた材料54を形成し得る。印刷ギャップ58は、転写面52と基材表面57との間の距離として規定される。ガス支持ギャップ60は、端面36と基材表面57との間の距離として規定される。セットギャップ62は、転写面52と端面36との間の距離と同一である、ガス支持システムギャップ60と印刷ギャップ58との間の差異として規定される。
【0033】
図2は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システム120の概略断面図である。ガス支持システム120は、筐体122を備え、そして、筐体122は、側壁124を備える。側壁124は、外面126と、内面128とを備え、内部空洞130を規定する。内部空洞130は、空洞開口部134を通して、印刷モジュールパッケージ132を受け取るように構成される。外面126と内面128との間には、端面136がある。第2の空洞開口部138は、空洞開口部134の反対に位置することができる。端面136は、第1の開口140と、第2の開口142とを備えることができる。第1の流体チャネル144は、第1の開口140から筐体122の側壁124内に延在することができる。第2の流体チャネル146は、第2の開口142から筐体122の側壁124内に延在することができる。
【0034】
図2に見られるように、第1の流体チャネル144および第2の流体チャネル146は、第1のマニホールド148と流体連通することができる。端面136はさらに、第3の開口150と、第4の開口152と、第5の開口154と、第6の開口156とを備えることができる。第3の流体チャネル158は、第3の開口150から筐体122の側壁124内に延在することができ、第4の流体チャネル160は、第4の開口152から筐体122の側壁124内に延在することができ、第5の流体チャネル162は、第5の開口154から筐体122の側壁124内に延在することができ、第6の流体チャネル164は、第6の開口156から筐体122の側壁124内に延在することができる。第3の流体チャネル158、第4の流体チャネル160、第5の流体チャネル162、および第6の流体チャネル164は、第2のマニホールド166と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、加圧ガス源168が、第1のマニホールド148と流体連通する。いくつかの実施形態では、真空源170が、第2のマニホールド166と流体連通する。印刷モジュールパッケージ132の転写面172は、材料、例えば、膜形成材料を基材上に堆積させるように構成されることができる。堆積させられた材料174は、基材176、より具体的には、基材表面178上に位置することができる。印刷ギャップ180は、転写面172と基材表面178との間の距離として規定されることができる。ガス支持システムギャップは、端面136と基材表面178との間の距離として規定されることができる。セットギャップは、端面136と転写面172との間の距離として規定されることができる。いくつかの実施形態では、第2のガス支持システム186が、提供される。第2のガス支持システム186は、複数の流体チャネル(図示せず)と流体連通する複数の開口188を備えることができる。開口188は、基材176の第2の基材表面190に面することができる。
【0035】
図3は、本教示の種々の実施形態による、ガス支持システム220の分解図である。ガス支持システム220は、フェースプレート224、マニホールドアセンブリカバー226、マニホールドアセンブリベース228、およびベースプレート230をともに固着するための複数のファスナー222を備えることができる。ファスナー222は、第1のファスナー232と、第2のファスナー234と、第3のファスナー236と、第4のファスナー238とを備えることができる。フェースプレート224は、端面240を備えることができる。端面240は、ファスナー222を受け取ることができる。端面240からフェースプレート224内に延在する第1のファスナー孔部分242と、第2のファスナー孔部分244と、第3のファスナー孔部分246と、第4のファスナー孔部分248とが提供されることができる。フェースプレート224は、外面250と、内面252とを備えることができる。内面252は、内部空洞部分254ならびに第1の内部空洞開口部255を規定することができる。複数の流体チャネル部分256が、内面252と外面250との間でフェースプレート224内に配置されることができる。各流体チャネル部分256は、フェースプレート224の端面上のそれぞれの開口(図示せず)で終端することができる。
【0036】
マニホールドアセンブリカバー226は、第1のファスナー孔部分258と、第2のファスナー孔部分260と、第3のファスナー孔部分262と、第4のファスナー孔部分264とを備えることができる。ファスナー孔部分は、マニホールドアセンブリカバー226の外面266と内面268との間に配置されることができる。内面268は、内部空洞部分270を規定することができる。相補的マニホールド部分274内に含まれる複数の流体チャネル部分は、内面268と外面266との間に配置されることができる。
【0037】
マニホールドアセンブリベース228は、第1のファスナー孔部分276と、第2のファスナー孔部分278と、第3のファスナー孔部分280と、第4のファスナー孔部分282とを備えることができる。マニホールドアセンブリベース228のファスナー孔部分は、マニホールドアセンブリベース228の外面284と内面286との間に位置決めされることができる。内面286は、内部空洞部分288を規定することができる。外面284および内面286はまた、それらの間に相補的マニホールド部分292内の複数の流体チャネル部分を規定することができる。ポート受取開口294は、外面284から延在することができる。
【0038】
ベースプレート230は、第1のポート296と、第2のポート298と、第3のポート300とを備えることができる。第1の流体ライン302は、第1のポート296に接続されることができる。第2の流体ライン304は、第2のポート298に接続されることができる。第3の流体ライン306は、第3のポート300に接続されることができる。フェースプレート230は、主要ベースプレート部分308を備えることができる。主要ベースプレート部分308は、内部空洞部分310と、第2の内部空洞開口部312とを備えることができる。内部ベース表面314は、マニホールドアセンブリベース228に面することができる。ベースプレート230の外部ベース表面316は、フェースプレート224の端面240に類似するが、その反対の態様で、外向きに面することができる。複数の印刷モジュールパッケージ調節ねじ受取孔は、外部ベース表面316内に配置されることができる。これらは、第1の印刷モジュールパッケージ調節ねじ受取孔318と、第2の印刷モジュールパッケージ調節ねじ受取孔320とを含むことができる。他の調節ねじ受取孔も、例えば、印刷モジュールパッケージ上の調節ねじ毎に1つ、提供されることができる。ベースプレート230はさらに、フランジ326を備えることができる。フランジ326は、例えば、アクチュエータ、ロボットアーム、回転アクチュエータ、支持体部品、または同様のものへの取付のために構成されることができる。フランジ326は、第1のフランジファスナー受取孔328と、第2のフランジファスナー受取孔330と、第3のフランジファスナー受取孔332と、第4のフランジファスナー受取孔334とを備えることができる。
【0039】
図4は、組み立てられて印刷モジュールパッケージ336に隣接して示される、ガス支持システム220の左底面側斜視図である。第1のファスナー232、第2のファスナー234、第3のファスナー236、および第4のファスナー238は、端面240を通して配置されて示され、フェースプレート224、マニホールドアセンブリカバー226、マニホールドアセンブリベース228、およびベースプレート230をともに固着する。印刷モジュールパッケージ336は、その頂端として、印刷ヘッド338を備える。印刷ヘッド338は、1つ以上の転写面340を備えることができる。印刷モジュールパッケージ336は、線形調節ねじ等の1つ以上の印刷モジュールパッケージ調節デバイスを備えることができる。
図4は、第1の印刷モジュールパッケージ調節ねじ342、第2の印刷モジュールパッケージ調節ねじ344、および第3の印刷モジュールパッケージ調節ねじ346を示す。任意の数、例えば、3つまたは4つの調節ねじが使用されることができる。線形調節ねじは、印刷ヘッド338のθxおよびy回転を整合させ、かつ/または印刷ヘッド338の転写面340をガス支持システム220の端面240と同一平面にする、それに対してくぼませる、それと平行にする、および/またはそこから若干延在させるために使用されることができる。第1の印刷モジュールパッケージ調節ねじ342および第2の印刷モジュールパッケージ調節ねじ344は、第1の印刷モジュールパッケージベ
ースフランジ350に固着され、それに装着され、かつ/またはそれに調節可能に配置されることができる。第3の印刷モジュールパッケージ調節ねじ346および1つ以上の他の印刷モジュールパッケージ調節ねじは、第2の印刷モジュールベースフランジ352に固着され、それに装着され、かつ/またはそれに調節可能に配置されることができる。
【0040】
印刷モジュールパッケージ336は、種々のファスナーのいずれかを使用して、ガス支持システム220に固定されることができる。
図3では、2つの磁石322および324が、ベースプレート230の下側に装着されて示される。磁石322および324は、印刷モジュールパッケージ336上の対応する磁石(図示せず)と整合され、または印刷モジュールパッケージ336の一部、例えば、
図4に示されるベースフランジ350および352である、磁気的に影響を受けやすい金属材料と整合されることができる。任意の数の磁石が、使用されることができる。
【0041】
内部空洞354は、内部空洞部分254と、内部空洞開口部255と、内部空洞部分288(
図3)と、内部空洞部分310(
図3)とを含むガス支持システム220の組立から生じることができる。複数の開口360は、外面250と内面252との間の端面240上に配置されて示される。複数のマニホールド362は、マニホールドアセンブリカバー226およびマニホールドアセンブリベース228内に含まれる。
【0042】
図5は、印刷モジュールパッケージ336と組み立てられた上下逆のガス支持システム220の斜視図である。印刷モジュールパッケージ336は、内部空洞354内に設置されており、第1の印刷モジュールパッケージ調節ねじ342、第2の印刷モジュールパッケージ調節ねじ344、および第3の印刷モジュールパッケージ調節ねじ346が、印刷モジュールパッケージ336とガス支持システム220との間の相対位置決めを調節するために利用される。本構成は、第1の印刷モジュールパッケージベースフランジ350および第2の印刷モジュールパッケージベースフランジ352をベースプレート230の外部ベース表面316に対して押しつける。
【0043】
図6は、組み立てられた構成における、ガス支持システム220および印刷モジュールパッケージ336の右底面側斜視図である。印刷ヘッド338および転写面340は、第1の内部空洞開口部255を通して可視であり、端面240上に配置される複数の開口360によって囲まれている。
【0044】
図7は、フランジ326を通してアクチュエータ364に接続されるガス支持システム220の斜視図である。アクチュエータ364は、アクチュエータモータ366と、回転可能なアクチュエータフェースプレート368とを備えることができる。フランジ326は、アクチュエータフェースプレート368に固着されることができる。
【0045】
本教示の種々の実施形態に従って利用され得る、ロードロック特徴およびそれらを使用する方法は、例えば、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2010/0201749A1号に説明されるものを含む。
【0046】
本明細書に記載の刊行物、特許、および特許出願は全て、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個々に、参照することによって組み込まれることが示される場合と同様に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0047】
本開示の実施形態が、本明細書で示され、説明されているが、そのような実施形態は一例のみとして提供されることが、当業者に明白となる。本開示から逸脱することなく、多数の変形例、変更、および置換が、当業者に想起される。本明細書で説明される教示の実施形態の種々の代替案が、本開示を実施する際に採用されてもよいことを理解されたい。
以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義し、これらの請求項およびその均等の物の範囲内の方法および構造は、それによって包含されることが意図される。
【外国語明細書】