(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009752
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品の製造方法及び積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177800
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2017003718の分割
【原出願日】2017-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2016-0047754
(32)【優先日】2016-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ボン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドー ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョー
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨ ナ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒェ ヨン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】
本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法及び積層セラミック電子部品に関するものである。
【解決手段】
本発明は、セラミック本体の外側に外部電極を形成する積層セラミック電子部品の製造方法に関し、セラミック本体に外部電極形成用シートを付着することで外部電極を形成する積層セラミック電子部品の製造方法及び積層セラミック電子部品に関するものである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで一端面と他端面に交互に露出するように積層された内部電極を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の外側に配置された外部電極と、を含み、
前記外部電極は、外部電極と、前記外部電極上に配置されためっき層と、を含み、
前記セラミック本体の厚さ方向の中央部領域における前記外部電極の厚さをT1、前記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における前記外部電極の厚さをT2としたときに、0.8≦T2/T1≦1.2を満たす、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記外部電極は、前記セラミック本体の長さ方向における両端面にのみ配置される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記外部電極は、前記セラミック本体の長さ方向における両端面から幅方向における両角部まで配置される、請求項1または請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック本体の厚さ方向の中央部領域における前記外部電極の厚さをT1、前記セラミック本体の角部における前記外部電極の厚さをT3としたときに、0.4≦T3/T1≦1.0を満たす、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記めっき層は、前記セラミック本体の角部に対応する領域まで配置される、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に積層された内部電極を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の長さ方向における端面及び少なくとも一つ以上の隣接する端面に延在するように形成する外部電極と、を含み、
前記セラミック本体の厚さ方向の中央部領域における前記外部電極の厚さをT1、及び前記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における前記外部電極の厚さをT2としたときに、0.8≦T2/T1≦1.2を満たす、積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法及び積層セラミック電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品の小型化の傾向に伴い、積層セラミック電子部品においても小型化及び大容量化が求められている。
【0003】
これにより、誘電体と内部電極を薄膜化及び多層化するための様々な方法が試みられており、近年、誘電体層の厚さを薄くし、且つ積層数を増加させた積層セラミック電子部品が製造されている。
【0004】
これに伴い、外部電極の厚さも薄くなることが求められているが、薄くなった外部電極を介してめっき液がチップの内部に浸透するという問題が発生し得るため、小型化に技術的な困難さがある。
【0005】
特に、外部電極の形状が不均一である場合、外部電極において厚さが薄い部位にめっき液が浸透する危険性がさらに高くなり、信頼性の確保に問題が生じる。
【0006】
一方、外部電極を形成するにあたり、既存のディッピング(dipping)方式などにより外部電極を形成する場合、本体の長さ方向における端面であるヘッド面、及び上記ヘッド面と接する4面(以下、「バンド面」と定義する)の全体に外部電極が形成され、本体のばらつきの発生とペーストの流動性及び粘性によって均一な塗布が困難であるため、ペーストの塗布厚さに差が生じる。
【0007】
また、ペーストが薄く塗布された部分には、緻密度の低下によってめっき液が浸透するため、信頼性が低下する。一方、ペーストが厚く塗布された部分では、ガラスが表面に露出するというガラスビーディング(Glass Beading)またはブリスター(Blister)が生じて、めっき不良や形状不良の問題が発生するため、めっき層の厚さを増加させなければならない。
【0008】
したがって、外部電極の塗布厚さが薄く且つ均一になる場合、内部電極の形成面積を増加させることが可能となり、既存の同一サイズのキャパシターに比べて容量を極大化することができるため、これに関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2011-0122008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、外部電極の厚さが薄く且つ均一な高容量の積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、弾性穿孔材及びその上部に外部電極形成用シートが付着された部材を用意する段階と、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体を上記外部電極形成用シートに加圧密着させることで、上記外部電極形成用シートを上記セラミック本体に付着させる段階と、を含み、上記弾性穿孔材により上記外部電極形成用シートを切断することで、上記セラミック本体の長さ方向における端面に外部電極を形成する積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の他の実施形態は、定盤上に弾性圧着材を付着した後、その上部に外部電極形成用シートを付着した部材を用意する段階と、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体を上記外部電極形成用シートに加圧密着させることで、上記外部電極形成用シートを上記セラミック本体に付着させる段階と、上記定盤を加熱することで、上記外部電極形成用シートが上記セラミック本体のバンド部まで延在するように形成する段階と、定盤上に弾性穿孔材が付着された部材を用意する段階と、上記外部電極形成用シートが付着されたセラミック本体を上記弾性穿孔材上に加圧密着させて外部電極形成用シートを切断することで、セラミック本体の外側に外部電極を形成する段階と、を含む積層セラミック電子部品の製造方法を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで一端面と他端面に交互に露出するように積層された内部電極を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の外側に配置された外部電極と、を含み、上記外部電極は、外部電極と、上記外部電極上に配置されためっき層と、を含み、上記外部電極及びめっき層は、上記セラミック本体の長さ方向における端面に配置され、且つ厚さ方向に両角部まで配置されており、上記セラミック本体の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極の厚さをT1、上記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における上記外部電極の厚さをT2としたときに、0.8≦T2/T1≦1.2を満たす積層セラミック電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、外部電極の厚さが薄く且つ均一であるため、内部電極の形成面積を増加させることが可能となり、内部電極が重なり合う面積を極大化することで、高容量の積層セラミック電子部品を実現することができる。
【0015】
また、外部電極の配置位置による厚さの偏差が減少して、優れた信頼性を有する超小型及び高容量の積層セラミックキャパシターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図1b】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図1c】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図2a】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図2b】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図2c】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3a】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3b】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3c】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3d】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3e】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図3f】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【
図4】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0019】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0020】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されたL、W、及びTはそれぞれ、長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いることができる。
【0021】
積層セラミック電子部品の製造方法
図1a~
図1cは本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【0022】
図1a~
図1cを参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、定盤150上に弾性穿孔材160を付着した後、その上部に外部電極形成用シート130を付着した部材を用意する段階と、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体110を形成する段階と、上記セラミック本体110を上記外部電極形成用シート130に加圧密着させることで、上記外部電極形成用シート130に上記セラミック本体110を付着させる段階と、を含む。
【0023】
先ず、セラミック本体110の外側に外部電極を形成するために、定盤150上に弾性穿孔材160を付着した後、その上部に外部電極形成用シート130を付着した部材を用意する。
【0024】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、上記弾性穿孔材160の上部に離型(Release)フィルム170を付着し、離型フィルム170上に外部電極形成用シート130を付着する段階をさらに含むことができる。
【0025】
上記定盤150は、セラミック本体110の外側に外部電極を形成するために用いられる部材の支持台の役割を担う材料であって、熱変形の少ない材質であれば制限なく使用することができる。上記定盤150としては、例えば、石を原材料とした石定盤が用いられることができる。
【0026】
上記弾性穿孔材160は、セラミック本体110の外側に付着された外部電極形成用シート130を切断する役割を担う。これにより、上記セラミック本体110の長さ方向の両端面に外部電極が形成されることができる。
【0027】
上記弾性穿孔材160は、弾性を有する材料であれば制限なくすることができ、例えば、打ち抜きゴム(rubber)であってもよい。
【0028】
上記離型フィルム170も、セラミック本体110の外側に付着された外部電極形成用シート130を切断する役割を担う。また、上記離型フィルム170を形成する材料は、制限されないが、例えば、PETフィルムであってもよい。
【0029】
上記外部電極形成用シート130は、外部電極形成用ペーストを薄く塗布した後、乾燥段階まで完了した状態であって、グリーンシートと称することができる。
【0030】
具体的に、外部電極形成用ペーストは、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、または鉛(Pb)などを単独で用いたり、またはこれらの合金からなる導電性金属、バインダー、可塑剤、及び分散剤などを混合したりして製造することができる。
【0031】
次に、ドクターブレード型キャスト装置などを用いて、上記外部電極形成用ペーストを必要とする外部電極の厚さに応じて塗布した後、乾燥過程を経ることで、上記外部電極形成用シート130を用意することができる。
【0032】
通常、セラミック本体の外側に外部電極を形成するために、外部電極用ペーストにセラミック本体をディッピング(dipping)する方式が行われてきた。
【0033】
しかし、既存のディッピング(dipping)方式などにより外部電極を形成する場合、セラミック本体の長さ方向における端面であるヘッド面、及び上記ヘッド面と接する4面であるバンド面の全体に外部電極が形成され、セラミック本体のばらつきの発生とペーストの流動性及び粘性によって均一な塗布が困難であるため、ペーストの塗布厚さに差が生じていた。
【0034】
また、ペーストが薄く塗布された部分には、緻密度の低下によってめっき液が浸透するため、信頼性が低下し、ペーストが厚く塗布された部分では、ガラスが表面に露出するガラスビーディング(Glass Beading)またはブリスター(Blister)が生じて、めっき不良や形状不良の問題が発生するため、めっき層の厚さを増加させなければならないという問題があった。
【0035】
これに対し、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の外側に外部電極を形成する過程で、従来のディッピング(dipping)方式でなく、シート(Sheet)転写あるいはパッド(Pad)転写方式を用いることで、外部電極の塗布厚さが薄く且つ均一になることができる。
【0036】
これにより、内部電極の形成面積を増加させることが可能となり、既存の同一サイズのキャパシターに比べて容量を極大化することができる。
【0037】
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体110を形成する。
【0038】
セラミック本体110を形成するにあたり、先ず、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末を含んでなるスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥することで複数のセラミックシートを製造し、これにより誘電体層を形成することができる。
【0039】
上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造した後、上記スラリーをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することで製造することができる。
【0040】
次に、導電性金属粉末を含む導電性ペーストを用意することができる。上記導電性金属粉末は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)、または白金(Pt)などを単独で用いたり、またはこれらの合金を用いたりすることができる。また、粒子の平均サイズは0.1~0.2μmであることができる。この導電性金属粉末を40~50重量%含む内部電極用導電性ペーストを用意することができる。
【0041】
上記セラミックシート上に上記内部電極用導電性ペーストを印刷工法などにより塗布することで、内部電極パターンを形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。上記内部電極パターンが印刷されたセラミックシートを200~300層積層し、圧着、焼成することで、セラミック本体110を製作することができる。
【0042】
図1bを参照すると、上記セラミック本体110を上記外部電極形成用シート130に加圧密着させることで、上記外部電極形成用シート130に上記セラミック本体110を付着させる。
【0043】
図1cを参照すると、上記弾性穿孔材160により上記外部電極形成用シート130が切断されることで、上記セラミック本体110の長さ方向の両端面に外部電極131が形成される。
【0044】
また、上記弾性穿孔材160の上部に離型フィルム170が付着される場合には、離型フィルム170により上記外部電極形成用シート130が切断されることで、上記セラミック本体110の長さ方向の両端面に外部電極131が形成されることができる。
【0045】
上記離型フィルム170により、上記外部電極形成用シート130がセラミック本体110の角部分で切断される。これにより、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシターの外部電極は、セラミック本体の長さ方向における両端面にのみ形成され、上面及び下面には形成されない構造を有する。
【0046】
すなわち、上記外部電極131は、上記セラミック本体110の厚さ方向に両角部まで形成されることができる。
【0047】
上記の構造によると、外部電極131がセラミック本体110の長さ方向Lの端面であるヘッド面に形成され、且つ上記ヘッド面と接する4面であるバンド面の全体には形成されないか、または最小限に形成されるため、外部電極の厚さが薄く且つ均一に形成されることができる。
【0048】
これにより、内部電極の形成面積を増加させることが可能となり、内部電極が重なり合う面積を極大化することで、高容量の積層セラミックキャパシターを実現することができる。
【0049】
上記外部電極131を上記セラミック本体110の長さ方向の両端面に形成する方法として、従来のディッピング方式でなく、シート(Sheet)転写あるいはパッド(Pad)転写方式により形成することができる。
【0050】
図1cでは、一つの外部電極131のみを形成する段階を示しているが、セラミック本体110の長さ方向における他端面に他の外部電極を形成する段階が追加してもよい。
【0051】
次に、上記外部電極上にめっき層を形成する段階をさらに含むことができる。上記めっき層は、ニッケルめっき層と、その上部に形成されるスズめっき層と、を含むことができるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。
【0052】
図2a~
図2cは本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【0053】
図2a~
図2cを参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、上記セラミック本体110の長さ方向の両端面に外部電極131を形成する段階の後に、定盤150上に弾性圧着材140を付着した部材を用意する段階と、上記定盤150を加熱して上記セラミック本体110を上記弾性圧着材140に加圧密着させることで、上記外部電極131が上記セラミック本体110のバンド部まで延在するように形成する段階と、をさらに含む。
【0054】
図2cに示したように、長さ方向の両端面に外部電極が形成されたセラミック本体110を、定盤150上に形成され、且つ弾性圧着材140を付着した部材上に加圧することで、上記外部電極131が上記セラミック本体110のバンド部まで延在するように形成する。
【0055】
この際、上記定盤150を加熱することで、セラミック本体110の両端面に形成された外部電極の延性が増加し、外部電極が上記セラミック本体110のバンド部まで延在して形成されることができる。
【0056】
また、上記定盤150を加熱することで、外部電極が上記セラミック本体110のバンド部まで延在するように形成されるとともに、セラミック本体と外部電極との接着力も増加することができる。
【0057】
上記弾性圧着材140は、弾性を有する材料であれば制限なく使用することができ、例えば、圧着ゴム(rubber)であってもよい。
【0058】
上記圧着ゴムは、弾性穿孔材160である穿孔ゴムに比べて弾性がより小さければよい。
【0059】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さをT1、上記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における上記外部電極131の厚さをT2としたときに、0.8≦T2/T1≦1.2を満たす。
【0060】
上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さT1とは、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部の地点から上記セラミック本体110の長さ方向に仮想の線を引いたときに接することになる外部電極の厚さを意味することができる。
【0061】
同様に、上記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における上記外部電極131の厚さT2とは、上記セラミック本体110の厚さ方向の最外側に配置された内部電極の位置から上記セラミック本体110の長さ方向に仮想の線を引いたときに接することになる外部電極の厚さを意味することができる。
【0062】
上記T2/T1の比が0.8≦T2/T1≦1.2を満たすことで、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さT1と、上記内部電極のうち最外側の内部電極が位置する地点における上記外部電極131の厚さT2との偏差を減少させて、信頼性の低下を防止することができる。
【0063】
上記T2/T1の比が0.8未満であるか、または1.2を超える場合には、外部電極の厚さの偏差が大きくなるため、厚さが薄い部分にめっき液が浸透して信頼性が低下するという問題があり得る。
【0064】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の角部における上記外部電極131の厚さをT3としたときに、0.4≦T3/T1≦1.0を満たすことができる。
【0065】
上記セラミック本体110の角部における上記外部電極131の厚さT3とは、上記セラミック本体110の角部領域に形成されている上記外部電極131の厚さを意味することができる。
【0066】
上記T3/T1の比が0.4≦T3/T1≦1.0を満たすことで、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さT1と、上記セラミック本体110の角部における上記外部電極131の厚さT3との偏差を減少させて、信頼性の低下を防止することができる。
【0067】
上記T3/T1の比が0.4未満であるか、または1.0を超える場合には、外部電極の厚さの偏差が大きくなるため、厚さが薄い部分にめっき液が浸透して信頼性が低下するという問題があり得る。
【0068】
図3a~
図3fは本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の外部電極の形成工程図である。
【0069】
図3a~
図3fを参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、定盤150上に弾性圧着材140を付着した後、その上部に外部電極形成用シート130を付着した部材を用意する段階と、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体110を形成する段階と、上記セラミック本体110を上記外部電極形成用シート130に加圧密着させることで、上記外部電極形成用シート130に上記セラミック本体110を付着させる段階と、上記定盤150を加熱することで、上記外部電極形成用シート130が上記セラミック本体110のバンド部まで延在するように形成する段階と、定盤150上に弾性穿孔材160が付着された部材を用意する段階と、上記外部電極形成用シート130が付着されたセラミック本体110を上記弾性穿孔材160上に加圧密着させて外部電極形成用シート130を切断することで、セラミック本体110の外側に外部電極131を形成する段階と、を含む。
【0070】
図3aを参照すると、先ず、定盤150上に弾性圧着材140を付着した後、その上部に外部電極形成用シート130を付着した部材を用意する。
【0071】
上記定盤150、弾性圧着材140、及び外部電極形成用シート130についての説明は上述のとおりであるため、ここでは省略し、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法で説明した内容と重複する内容は以下で省略する。
【0072】
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックシートを積層することで、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含むセラミック本体110を形成する。
【0073】
図3bを参照すると、上記セラミック本体110を上記外部電極形成用シート130に加圧密着させることで、上記外部電極形成用シート130に上記セラミック本体110を付着させる。
【0074】
この過程で、上記定盤150を加熱することで、上記外部電極形成用シート130が上記セラミック本体110のバンド部まで延在して形成されるようにする。
【0075】
そして、セラミック本体110を、定盤を含む部材から再び取り外すと、
図3cに示したように、弾性圧着材140は元の位置に復元し、セラミック本体110の長さ方向の一端面には、外部電極形成用シート130がセラミック本体110のバンド部まで延在して配置される。
【0076】
図3dを参照すると、定盤150上に弾性穿孔材160が付着された部材を用意し、
図3eに示したように、上記外部電極形成用シート130が付着されたセラミック本体110を上記弾性穿孔材160上に加圧密着させることで、外部電極形成用シート130を切断する工程を行う。
【0077】
次に、セラミック本体110を、定盤を含む部材から再び取り外すと、
図3fに示したように、弾性穿孔材160は元の位置に復元し、セラミック本体110の長さ方向の一端面には、外部電極形成用シート130がセラミック本体110のバンド部まで延在して外部電極131が形成される。
【0078】
図3a~
図3fには、一つの外部電極131のみを形成する段階が示されているが、セラミック本体110の長さ方向における他端面に他の外部電極を形成する段階が追加される。
【0079】
次に、上記外部電極上にめっき層を形成する段階をさらに含むことができる。上記めっき層は、ニッケルめっき層と、その上部に形成されるスズめっき層と、を含むことができるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。
【0080】
積層セラミック電子部品
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を説明するにあたり、特に積層セラミックキャパシターを例として説明するが、これに制限されるものではない。
【0081】
図4は本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品を示す斜視図であり、
図5は
図4に示すI-I'の断面図であり、
図6は
図5に示すA領域の拡大図である。
【0082】
図4~
図6を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、セラミック本体110と、内部電極121、122と、外部電極131、132と、を含む。
【0083】
セラミック本体110は、長さ方向Lの両端面、幅方向Wの両端面、及び厚さ方向Tの両端面を有する六面体からなることができる。このようなセラミック本体110は、複数の誘電体層111を厚さ方向Tに積層してから焼成することで形成される。かかるセラミック本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数がこの実施形態に図示されたものに限定されるものではない。
【0084】
また、セラミック本体110を成す複数の誘電体層111は焼結された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認することが困難な程度に一体化された状態とすることができる。
【0085】
誘電体層111の厚さは、積層セラミック電子部品100の容量設計に応じて任意に変更することができる。誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末を含むことができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明の目的に応じて、セラミック粉末に様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0086】
誘電体層111の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は特に制限されず、本発明の目的を達成するために調節されることができるが、例えば、400nm以下に調節されることができる。
【0087】
内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する一対の第1内部電極121と第2内部電極122が複数個で構成されることができ、セラミック本体110の厚さ方向Tに積層される複数の誘電体層111を間に挟んで所定の厚さに形成されることができる。
【0088】
上記第1内部電極121と第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することで、誘電体層111の積層方向においてセラミック本体110の長さ方向Lの一端面と他端面に交互に露出するように形成されることができ、第1内部電極121と第2内部電極122の間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されるようにすることができる。
【0089】
すなわち、第1内部電極121及び第2内部電極122は、セラミック本体110の長さ方向の両端面に交互に露出している部分を介して、セラミック本体110の長さ方向Lの両端面に形成された第1外部電極131及び第2外部電極132とそれぞれ電気的に接続されることができる。
【0090】
したがって、第1外部電極131及び第2外部電極132に電圧が印加されると、互いに対向する第1内部電極121と第2内部電極122との間に電荷が蓄積される。この際、積層セラミックキャパシター100の静電容量は、第1内部電極121と第2内部電極122とが互いに重なり合う重複領域の面積に比例する。
【0091】
すなわち、第1内部電極121と第2内部電極122とが互いに重なり合う重複領域の面積が極大化する場合、同一サイズのキャパシターでも静電容量が極大化することができる。
【0092】
本発明の一実施形態によると、外部電極の厚さが薄く且つ均一であるため、内部電極が重なり合う面積を極大化することができ、高容量の積層セラミックキャパシターの実現が可能となる。
【0093】
このような第1内部電極121及び第2内部電極122の幅は、用途に応じて決定することができ、例えば、セラミック本体110のサイズを考慮して0.2~1.0μmの範囲内となるように決定することができるが、本発明における第1内部電極121及び第2内部電極122の幅は、このような寸法に限定されるものではない。
【0094】
また、第1内部電極121及び第2内部電極122を形成するための導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)、または白金(Pt)などを単独で用いたり、またはこれらの合金を用いたりすることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
外部電極131、132は、上記セラミック本体110の外側に配置された第1外部電極131及び第2外部電極132を含む。
【0096】
上記外部電極131、132は上記セラミック本体110の長さ方向の両端面にのみ配置されることができる。
【0097】
上記外部電極131、132は、上記セラミック本体110の長さ方向の両端面から幅方向において両角部まで配置されることができる。
【0098】
上記外部電極131、132は、
図5に示したように、第1電極層131a、132aと、めっき層131b、131c、132b、132cと、を含む。
【0099】
上記第1外部電極131は、上記セラミック本体110の長さ方向Lの一面に配置された第1電極層131aと、上記第1電極層131a上に配置されためっき層131b、131cと、を含む。
【0100】
また、上記第2外部電極132は、上記セラミック本体110の長さ方向Lの他面に配置された第1電極層132aと、上記第1電極層132a上に配置されためっき層132b、132cと、を含む。
【0101】
従来は、外部電極を形成する方法として、セラミック本体110を金属成分が含まれたペーストにディッピング(dipping)する方法が主に用いられてきた。
【0102】
ディッピング(dipping)方式で外部電極を形成する場合、ペーストの流動性及び粘性によって外部電極が均一に塗布されないため、外部電極の中央部と角部の塗布厚さに差が生じていた。
【0103】
このように外部電極の厚さが不均一に形成される場合、厚く塗布された中央部ではガラスビーディング(Glass Beading)またはブリスター(Blister)が発生して、めっき不良及び形状不良が起こり、薄く塗布された角部にはめっき液が浸透しやすいため、信頼性低下の問題が生じる。
【0104】
また、めっき液に弱い角部を補完しようとする場合、中央部の塗布厚さが増加するしかなく、静電容量の増加のためにセラミックキャパシターのサイズを増加させるには限界がある。
【0105】
そこで、本発明の一実施形態では、上記セラミック本体110の長さ方向Lの両面に第1電極層131a、132aが配置され、その上部にめっき層131b、131c、132b、132cが配置されることができる。
【0106】
上記第1電極層131a、132aは、従来のディッピング方式により形成されず、セラミック本体110の長さ方向Lの端面であるヘッド面に形成され、且つ上記ヘッド面と接する4面であるバンド面の全体には形成されないか、最小限に形成される。したがって、外部電極の厚さが薄く且つ均一に形成されることができる。
【0107】
これにより、内部電極の形成面積を増加させることが可能となり、内部電極が重なり合う面積を極大化することで、高容量の積層セラミックキャパシターを実現することができる。
【0108】
本発明の一実施形態によると、上記第1電極層131a、132aは、従来のディッピング方式でなく、シート(Sheet)転写またはパッド(Pad)転写方式により形成されることができる。
【0109】
図5及び
図6を参照すると、第1電極層131a、132aが上記セラミック本体110の角部まで配置され、上記ヘッド面と接する4面であるバンド面の全体には形成されないことが分かる。
【0110】
上記第1電極層131a、132aは導電性金属を含むシートを転写することで形成されることができる。
【0111】
第1電極層131a、132aは、第1内部電極121及び第2内部電極122と同一の導電性金属で形成されることができるが、これらに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などを単独で用いたり、またはこれらの合金を用いたりして形成することができる。
【0112】
上記めっき層131b、131c、132b、132cは第1電極層131a、132a上に配置されることができる。
【0113】
すなわち、上記めっき層131b、131c、132b、132cは、セラミック本体110の長さ方向Lの端面であるヘッド面に配置される。
【0114】
特に、上記めっき層131b、131c、132b、132cは、セラミック本体110の長さ方向Lの端面であるヘッド面に形成され、幅方向における両端面と上面及び下面には形成されない構造を有する。
【0115】
上記めっき層131b、131c、132b、132cは、これらに制限されるものではないが、ニッケルめっき層131b、132bと、その上部に配置されたスズめっき層131c、132cと、を含むことができる。
【0116】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さをT1、上記内部電極121、122のうち最外側の内部電極121が位置する地点における上記外部電極131の厚さをT2としたときに、0.8≦T2/T1≦1.2を満たす。
【0117】
上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さT1とは、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部地点から上記セラミック本体110の長さ方向に仮想の線を引いたときに接することになる外部電極131の厚さを意味することができる。
【0118】
同様に、上記内部電極121、122のうち最外側の内部電極121が位置する地点における上記外部電極131の厚さT2とは、上記セラミック本体110の厚さ方向の最外側に配置された内部電極の位置から上記セラミック本体110の長さ方向に仮想の線を引いたときに接することになる外部電極131の厚さを意味することができる。
【0119】
上記T2/T1の比が0.8≦T2/T1≦1.2を満たすことで、上記セラミック本体110の厚さ方向の中央部領域における上記外部電極131の厚さT1と、上記内部電極121、122のうち最外側の内部電極121が位置する地点における上記外部電極131の厚さT2との偏差を減少させて、信頼性の低下を防止することができる。
【0120】
上記T2/T1の比が0.8未満であるか、または1.2を超える場合には、外部電極の厚さの偏差が大きくなるため、厚さが薄い部分にめっき液が浸透して信頼性が低下するという問題があり得る。
【0121】
その他、上述の本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法についての説明と同一の説明はここでは省略する。
【0122】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0123】
100 積層セラミックキャパシター
110 セラミック本体
111 誘電体層
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b、131c、132c めっき層