(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097586
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】アミノ酸を含む洗浄組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/26 20060101AFI20220623BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20220623BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20220623BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
C11D3/26
C11D1/22
C11D3/04
C11D3/34
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074124
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019510952の分割
【原出願日】2017-08-25
(31)【優先権主張番号】62/379,518
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】マーク レビット
(72)【発明者】
【氏名】メガン ガドボワ
(72)【発明者】
【氏名】アルトニー ミラーリス
(57)【要約】
【課題】洗浄組成物中でアルカノールアミンの代替物を提供すること。
【解決手段】組成物は、0.1~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、0.1~30重量%の一つ又は複数の界面活性剤、および任意に一つ又は複数のヒドロトロープを含む。アミノ酸は、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、グリシン(「GLY」)、またはそれらの組み合わせから選択され得る。組成物は、硬質表面洗浄剤、床洗浄剤、または脱脂剤などの洗浄組成物として調合され得る。組成物は、表面を処理する方法において使用され得、組成物をこの表面に適用し、表面上に一定時間残るようにし、次いで表面が拭かれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を処理するための組成物であって、前記組成物は、
(a)1~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
(b)0.1~30重量%の一つ又は複数の界面活性剤、および
(c)任意に一つ又は複数のヒドロトロープ、を含み、
前記組成物は、アルカノールアミンを含まない、組成物。
【請求項2】
前記一つ又は複数のアミノ酸が、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、グリシン(「GLY」)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、アニオン性洗剤ビルダーを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
マグネシウムをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジン(「LYS」)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記一つ又は複数のアミノ酸が、少なくとも90重量%のリジン(「LYS」)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約12~30重量%の前記一つ又は複数のアミノ酸を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、0.1~5重量%の前記一つ又は複数の界面活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記一つ又は複数の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記一つ又は複数の界面活性剤が、低発泡性界面活性剤から成る、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アルコキシル化アルコールを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤を含む、請求項1~8および10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アニオン性界面活性剤が、サルフェートまたはスルホネートを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アミンオキシド、双性イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、0.1~12重量%の前記一つ又は複数のヒドロトロープを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記一つ又は複数のヒドロトロープが、芳香族スルホネートを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記一つ又は複数のヒドロトロープが、キシレンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、グリースを表面から除去するのに効果的である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、表面に適用された床仕上げ材を軟化するのに効果的である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、床仕上げ材を表面から除去するのに効果的である、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、汚れを硬質表面から除去するのに効果的である、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、織物から汚れを除去するのに効果的である、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
約50~99重量%の水をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
キレート剤、有機溶媒、消毒剤、抗菌剤、マグネシウム、染料、香料、レオロジー、pH調整剤、防腐剤、加工助剤、腐食防止剤、または他の機能性成分から選択される追加の作用剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、固体の濃縮物として調合され、前記組成物が、ビルダー、充填剤、凝固剤、硬化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、約9~約11のpHを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、第1のアミン基のpKaと第2のアミン基のpKaとの間に設定されたpHを有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、アルキルカルボキシレートを含まない、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、アルキルカルボキシレートを含み、前記アミノ酸およびアルキルカルボキシレートが少なくとも1.2:1のモル比で存在する、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、遊離脂肪酸を含まない、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、リジン、アニオン性スルホネート界面活性剤を含み、アルキルカルボキシレート界面活性剤を含まず、有効量のマグネシウムを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、シリケート、ホスフェート、アミノカルボキシレート、およびポリホスフェートを含まない、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
有機溶媒をさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記有機溶媒が、ベンジルアルコールである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.洗浄組成物を前記表面に適用することであって、前記洗浄組成物が、約0.1~50重量%の請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物と、約50~約99.9重量%の水とを含む、適用することと、
b.前記洗浄組成物を前記表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記洗浄組成物を前記表面から除去することと、を含む、方法。
【請求項36】
硬質表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.前記硬質表面に洗浄組成物を適用することであって、前記洗浄組成物が、
i.約0.1~8重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約0.1~5重量%のアニオン性界面活性剤、
iii.約0.02~0.4重量%のマグネシウム塩、および
iv.水を含み、
前記組成物が、アルカノールアミンを含まない、適用することと、
b.前記洗浄組成物を前記硬質表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記洗浄組成物を前記表面から除去することと、を含む、方法。
【請求項37】
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記洗浄組成物が、注ぐか、スプレーするか、モップをかけるか、または布切れで拭くことにより適用される、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記一定時間の長さが、約1秒~30分である、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記洗浄組成物が、すすぐか、拭くか、または擦ることのうちの1つにより除去される、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
床表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.洗浄濃縮物を水で希釈して使用溶液を形成することであって、前記洗浄濃縮物が、
i.約6~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約2~10重量%の一つ又は複数の非イオン性界面活性剤、および
iii.最大約10重量%の共界面活性剤を含み、
前記洗浄濃縮物が、アルカノールアミンを含まない、希釈することと、
b.前記使用溶液を前記床表面に適用することと、
c.前記使用溶液を前記床表面上に一定時間残るようにすることと、を含む、方法。
【請求項42】
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記床表面が、アクリル系研磨剤で処理される、請求項41または42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記床表面が、切り石タイルまたはコンクリートを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記非イオン性界面活性剤が、非発泡性または低発泡性である、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記床表面をつや出しすることをさらに含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記床表面を再仕上げすることをさらに含む、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
表面を脱脂する方法であって、前記方法は、
a.前記表面に脱脂組成物を適用することであって、前記脱脂組成物が、
i.約6~約24重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約1~約5重量%の一つ又は複数の界面活性剤、
iii.約2~約8重量%の一つ又は複数のヒドロトロープ、
iv.約4~約8重量%の、アルコール官能基を有する一つ又は複数の溶媒、および
v.水を含む、適用することと、
b.前記脱脂組成物を前記表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記表面を拭くか、またはすすぐことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年8月25日にPCT国際特許出願として出願され、2016年8月25日に出願された米国仮特許出願第62/379,518号に対する優先権を主張し、その開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アルカノールアミンに対する原料代替物と、硬質表面を洗浄するための洗浄組成物を含む工業用化学組成物中でのそれらの使用とに関する。特に、開示された組成物は、高い安全性、および炎症、過敏性、または呼吸器への影響の低減のために調合され得る。
【背景技術】
【0003】
アルカノールアミンは、モノエタノールアミン(「MEA」)、ジエタノールアミン(「DEA」)、トリエタノールアミン(「TEA」)、およびアミノメチルプロパノール(例えば、Angus Chemical Company、Buffalo Grove、ILからAMP(商標)として入手可能な2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)を含む原料の種類である。アルカノールアミンは、アルカリ性を提供し、酸性原料を中和し、膨潤剤または浸透剤として役立つために、化学組成物中で使用される。洗浄組成物中に使用される場合、アルカノールアミンは汚れおよびグリースに浸透することができ、それらを除去することを容易にする。したがって、アルカノールアミンは、例えば、一般目的用洗浄剤および脱脂剤組成物中で有用であり得る。アルカノールアミンはまた、合成アニオン性界面活性剤酸(例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)またはドデシルベンゼンスルホン酸(「DDBSA」)を中和するか、脂肪酸を中和してアミノ石鹸を生成するか、金属を復合化するか、もしくはアニオン性界面活性剤を用いない洗浄活動を提供するために使用され得る。アルカノールアミンは、さらに、増粘化した組成物を安定化するのに有用であり得る。アルカノールアミンは、それらが床仕上げ材中の架橋アクリルと反応し、アクリルポリマーの膨潤または軟化を引き起こし、洗浄後の床の研磨をより効果的にするため、床上のコーティングを洗浄するか、研磨するか、または剥離するために組成物中にも使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの理由により洗浄組成物中で非常に有用であるが、一方、アルカノールアミンへの暴露は、過敏症、炎症、および呼吸器の症状を引き起こす可能性がある。また、いくつかの短鎖アミンは、米国環境保護庁(U.S.EPA)のSafer ChoiceやGreen Sealなどの特定の環境認定機関やプログラムには好まれない。したがって、洗浄組成物中でアルカノールアミンの代替物を提供することが有益であろう。
【0005】
この背景技術に対して、本開示が行われる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、1~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、0.1~30重量%の一つ又は複数の界面活性剤、および任意に一つ又は複数のヒドロトロープを含む組成物に関する。アミノ酸は、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、グリシン(「GLY」)、またはそれらの組み合わせから選択され得る。組成物は、硬質表面洗浄剤、床洗浄剤、床洗浄剤コンディショナー、または脱脂剤などの洗浄組成物として調合することができる。本開示はさらに、組成物を表面に適用し、組成物を表面上に一定時間残るようにし、表面を拭くことを含む、組成物を用いて表面を処理する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
「アルカノールアミン」は、アルカン骨格上にヒドロキシル基(-OH)およびアミノ基(-NH2、-NHR、または-NR1R2)の両方を含む化合物である。
【0009】
「アミノ酸」は、アルキル骨格上にカルボン酸基(-COOH)およびアミン(-NH2)を一般に含有する酸である。アミノ酸の例は、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、アスパラギン酸(「ASP」)、グルタミン酸(「GLU」)、セリン(「SER」)、トレオニン(「THR」)、アスパラギン(「ASN」)、グルタミン(「GLN」)、システイン(「CYS」)、グリシン(「GLY」)、プロリン(「PRO」)、アラニン(「ALA」)、バリン(「VAL」)、イソロイシン(「ILE」)、ロイシン(「LEU」)、メチオニン(「MET」)、フェニルアラニン(「PHE」)、チロシン(「TYR」)、およびトリプトファン(「TRP」)を含む。さらに多くのアミノ酸が存在することが知られている。
【0010】
「脱脂剤」は、グリースを除去するために使用される組成物であり、重合グリースまたは重合調理油を表面から除去することが可能であり得る。脱脂剤は、熱分解し、重合した汚れを表面から除去することが可能であることにおいて、通常の洗剤とは異なる。そのような汚れは、重合した脂肪、油、たんぱく質、および砂糖を含む。
【0011】
「剥離剤」および「床研磨剤剥離剤」という用語は、本明細書において、床研磨剤化合物を除去するのに使用される組成物を指すために使用される。
【0012】
「床洗浄剤コンディショナー」という用語は、本明細書において、床研磨剤化合物を軟化させるか、またはそうでなければ床研磨剤化合物を調製して、その後の床のつや出し、光沢化、または再コーティングを強化する組成物を指すために使用される。
【0013】
「表面」という用語は、本明細書において、布表面および布物品、織物、ならびに繊維などの軟質表面、および金属、プラスチック、ガラス、タイル、石、硬質プラスチック、または他の硬質表面材料で覆われている可能性のある床、窓、壁、家具、カウンタートップ、設備、器具などの硬質表面を指すために使用される。「表面」という用語は、人間の皮膚を覆うことを意図しない。
【0014】
用語「使用溶液」は、本明細書では、さらなる希釈をせずにそのまますぐ使用できる活性成分の濃度を有する組成物を指すために使用される。
【0015】
「水溶性」という用語は、水に十分に溶解性または非常に溶解性であり、100mL以上当たり10gの溶解度を有する化合物を指すために使用される。「実質的に水溶性」は、100mL当たり約3~10gの溶解度を有する化合物を指すために使用される。「やや水溶性」とは、水中でやや溶解性またはわずかに溶解性であり、100mL当たり約0.01~3gの溶解度を有する化合物を指すために使用される。「不溶性」は、水中で溶解しないか、または100mL当たり0.01g未満の溶解度を有する化合物を指すために使用される。
【0016】
「混和性」は、均質な溶液を任意の比率で形成することができる液体を指すために使用される。
【0017】
「約」という用語は、本明細書において、当業者によって予期される測定値の通常の変動を含むために使用され、「およそ」と同じ意味を有し、表示値の+5%などの典型的な誤差範囲を網羅することが理解される。
【0018】
特許請求の範囲で使用される「から本質的に成る」という移行句は、特許請求の範囲を、関連技術分野の当業者が通常組成物で連想する、ほんの微量の不純物または不活性な作用剤を含む特定の物質に限定する。
【0019】
本開示は、表面を処理または洗浄するための洗浄組成物および脱脂剤、ならびに床洗浄剤、床洗浄剤コンディショナー、研磨剤、および床仕上げ剤剥離剤を含む化学組成物中のアルカノールアミンの代替物としてのアミノ酸の使用に関する。本開示は、0.1~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、0.1~30重量%の一つ又は複数の界面活性剤、および任意に一つ又は複数のヒドロトロープを含む組成物に関する。アミノ酸は、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、グリシン(「GLY」)、またはそれらの組み合わせから選択され得る。本開示は、さらに、呼吸器炎症、皮膚炎症、過敏性、および他の悪影響の低減のために調合された組成物に関する。組成物は、硬質表面洗浄剤、床洗浄剤、または脱脂剤などの洗浄組成物として調合することができる。開示された組成物は、希釈されて使用溶液を形成することができる濃縮調剤として提供することができる。二者択一的に、組成物はすぐに使用できる溶液としても提供することができる。濃縮物は、表面に適用される前に、希釈されて使用溶液を形成する生成物を指す。使用溶液は、直接または適用器具の使用によって表面に適用される生成物を指す。本開示はさらに、組成物を表面に適用することと、組成物を表面上に一定時間残るようにすることと、任意に表面上の溶液を擦るか、または撹拌することと、拭くこと、吸引すること、すすぐことなどにより溶液および汚れを除去することとを含む、組成物を用いて表面を処理する方法に関する。
【0020】
組成物
本開示の組成物は、アルカノールアミンの代替物として一つ又は複数のアミノ酸を利用する。組成物の発明者達は、特定のアミノ酸が、時折アルカノールアミンと関連する呼吸器炎症のリスクを低減し、一方、アルカノールアミンと同様のまたは改善された特性(例えば、類似または改善されたアルカリ性、中和化、pH、軟化性、洗浄性、および/または除去効果)を提供することが可能であることを発見した。いくつかの実施形態において、組成物はアルカノールアミンを含まない。いくつかの実施形態において、組成物は実質的にアルカノールアミンを含まない。いくつかの実施形態において、組成物は、アルカノールアミンをある量で、例えば約20重量%未満、約5重量%未満、または約1重量%未満で含有し得る。
【0021】
アミノ酸を含む組成物は、洗浄、脱脂、床研磨、床仕上げ除去などを含む様々な使用のために調合され得る。組成物は、特に、床、装置(例えば、食品および飲料処理装置、穀物処理装置など)、食品調理材表面(例えば、カウンタートップ、カッティングボード、および他の表面)、ならびに他の硬質表面などの様々な基材および表面の洗浄に効果的である一般目的用洗浄剤などの、家庭、産業、および施設での用途で有用であり得る。組成物はまた、病院、診療所、および長期介護施設などの医療施設における表面の洗浄にも使用することができる。この組成物はまた、アクリル系研磨剤で処理された床の洗浄にも効果的であり得る。この組成物は、床仕上げ材を軟化および除去するのに効果的であり得る。組成物は、動物性および植物性脂肪、ならびに非トランス脂肪、そして他の汚れを含む重合グリースを床および他の表面から除去するのに効果的な脱脂剤として調合され得る。使用溶液は、小売店および倉庫店、フルサービスおよびクイックサービスレストランの商業用キッチンの床の洗浄に有用であり、切り石タイルおよびコンクリートを含む様々な種類の床材料上で効果的である。溶液は、織物を含む表面および物品から様々な汚れを除去するのにも有用であり、洗浄(例えば、硬質表面洗浄)、食器洗浄、および洗濯での適用に使用することができる。
【0022】
組成物は、液体、泡沫、増粘化した液体、または固体として調合することができる。例えば、濃縮物組成物は、固体、例えば、粉末、ブロック、錠剤、ペレット、顆粒などとして調合することができる。組成物はさらに、濃縮物または使用溶液として調合することができる。
【0023】
一実施形態に従って、組成物は、一つ又は複数の適切なアミノ酸を含む。アミノ酸は、例えば、LYS、ARG、GLY、もしくはHIS、またはそれらの組み合わせから選択され得る。組成物は、アルファアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、タンパク質原性アミノ酸である。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、タンパク質原性、非タンパク質原性、またはそれらの組み合わせである。好ましい実施形態において、アミノ酸は、組成物が効果的な洗浄および/または研磨剤調製品質を提供し、一方で、呼吸器発症の低減(例えば、呼吸器炎症および/または過敏性の低減)を呈するように選択される。例えば、アミノ酸は、浸透剤、膨潤剤として作用するか、あるいは洗浄性を強化するか、またはアルカリ性を中和するために選択されてもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、アミノ酸のpKaが組成物のpHより高くなるように、アミノ酸のpkaに基づいて選択され得る。アミノ酸が2つのアミノ基を有する場合、両方のアミノ基のpKaが組成物のpHより高いことが望ましい場合がある。例えば、リジン中の第2のアミノ基のpKaは約10.7であり、アルギニン中では約12.1である。グリシンは約9.8のpKaを有する。したがって、これらのアミノ酸は、適度なアルカリ性である(例えば、7~約10のpHを有する)組成物中で最も有用であり得る。床剥離剤またはアルカリ性脱脂剤などの他の場合には、組成物のpHが、一方のpKaまたは両方のpKaよりも高くなり得る。組成物(任意の追加の成分を含む)は、選択されたアミノ酸に基づいて最適な効率を提供するために調合され得る。
【0024】
この組成物は、水性溶液か、または水性希釈剤で希釈されて使用溶液を調製することができる濃縮物として提供され得る。組成物はまた、水に加えてまたは水の代わりに他の溶媒を含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、水溶性または実質的に水溶性のアミノ酸を含む。組成物が非水溶性またはわずかに水溶性のアミノ酸を含む場合、組成物はまた、一つ又は複数の可溶化剤を含んでもよい。
【0025】
アミノ酸またはアミノ酸と任意の可溶化剤との混合物に加えて、組成物は、所望の用途のための追加の機能性成分を用いて調合されてもよい。組成物は、所望の特性または機能を提供するための追加の構成成分を含んでもよい。例えば、アミノ酸は、界面活性剤、キレート剤または封鎖剤、pH調整剤(酸または塩基)、ヒドロトロープ、消毒剤または抗菌剤、有機溶媒、染料、香料、酵素、レオロジー調整剤(例えば、ゲル化剤および増粘剤など)、防腐剤、加工助剤、腐食防止剤、あるいは他の機能性成分と一緒に調合され得る。組成物が固体の濃縮物として調合される場合、調剤は、ビルダーまたは充填剤、凝固剤、および硬化剤をさらに含み得る。
【0026】
界面活性剤
一実施形態に従って、組成物は、一つ又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤は、調剤の計画された使用に基づいて選択され得る。例えば、床洗浄などのいくつかの用途では、非発泡性または低発泡性界面活性剤が望ましい場合がある。二者択一的に、組成物は、発泡性界面活性剤および消泡剤を含むことができる。他の例では、組成物は、泡沫、発泡液、または溶解および/ならびに希釈されて発泡液を形成することができる固体として調合される。発泡性組成物は、例えば、一般目的用洗浄剤、手洗い食器洗剤、または脱脂剤として望ましい場合がある。発泡性組成物は、発泡性アニオン性界面活性剤などの発泡性界面活性剤を用いて調合することができる。適切な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、および双性イオン性界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、共界面活性剤もまた、組成物に含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態において、組成物は、アニオン性または両性界面活性剤を用いて調合される。例えば、界面活性剤は、スルホネート、サルフェート、またはアミンオキシドを含み得る。組成物はまた、脂肪酸界面活性剤などの特定の界面活性剤を用いずに調合され得る。
【0028】
アミノ酸は、洗浄剤として、または界面活性剤の洗浄作用を強化するため、および/または酸性界面活性剤などの酸性構成成分を中和するために使用され得る。アミノ酸を用いて中和することができ、一般的に使用される酸性界面活性剤の例は、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)である。アミノ酸はまた、LASの洗浄有効性を改善することができる。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、界面活性剤塩の一部として存在しない。界面活性剤およびアミノ酸は別個の構成成分であるが、それらの組み合わせは、特に非イオン性界面活性剤が使用される場合、相乗効果を提供する。
【0029】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、洗剤界面活性剤および発泡性界面活性剤として有用であるが、ゲル化剤としてか、またはゲル系もしくは増粘系の一部として、可溶化剤として、ならびに屈水性効果および曇り点制御にも有用である。本組成物は、一つ又は複数のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。本組成物に適切なアニオン性界面活性剤は、例えば、アルカン酸およびアルカノエート、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸およびそれらの塩;リン酸エステルおよびそれらの塩;例えば、イセチオネート、スルホネートアルキルアリール、スルホネートアルキル、スルホネートエステル、スルホサクシネートなどのスルホン酸およびそれらの塩;ならびに、例えば、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキルなどの硫酸エステルおよびそれらの塩を含む。
【0030】
アニオン性界面活性剤は、親水性基上に負電荷をもつもの、またはpHが中性以上に上昇しない限り(例えば、カルボン酸)分子が電荷を帯びない界面活性剤を含む。カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、およびホスフェートは、アニオン性界面活性剤中に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と会合するカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、かつカルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。特定の調剤の必要性に応じて、特定の塩が適切に選択されるであろう。場合によっては、リジンが対イオンとして作用する。
【0031】
アニオン性界面活性剤は、優れた洗剤界面活性剤であり、典型的には高発泡性プロファイルを有する。アニオン性界面活性剤は、組成物内の洗浄力以外に、特別な化学的または物理的特性を付与するのに有用であり得る。アニオンは、ゲル化剤としてか、またはゲル化系もしくは増粘系の一部として用いられ得る。アニオンは、優れた可溶化剤であり、屈水効果および曇り点制御のために使用され得る。
【0032】
大規模な商業用のアニオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」、Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)71-86(1989)に記載されている、5つの主要な化学的クラスおよび追加の下位群に細分化され得る。第1のクラスは、アシルアミノ酸(および塩)、例えば、アシルグルアメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)などを含む。第2のクラスは、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、コハク酸アルキル)、エーテルカルボン酸などを含む。第3のクラスは、リン酸エステルおよびそれらの塩を含む。第4のクラスは、スルホン酸(および塩)、例えば、イセチオネート(例えば、アシルイセチオネート)、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート、スルホスクシネート(例えば、スルホサクシネートのモノエステルおよびジエステル)などを含む。第5のクラスは、硫酸エステル(および塩)、例えば、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキルなどを含む。
【0033】
例示的なアニオン性界面活性剤は、以下を含む。
直鎖および分岐鎖の第一級および第二級アルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート、脂肪オレイルグリセロールサルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルサルフェート、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)および-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンサルフェート、ならびにアルキルポリサッカリドのサルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドのサルフェート(本明細書に記載されている非イオン性非硫酸化化合物)。
【0034】
アンモニウムおよび置換アンモニウム(モノ-、ジ-、およびトリエタノールアミンなど)、ならびに、直鎖または分岐鎖でアルキル基中に5~18個の炭素原子を含有するスルホネートアルキルベンゼンなどのスルホネート単核性芳香族アルキルのアルカリ金属(ナトリウム、リチウム、およびカリウムなど)塩、例えば、スルホネートアルキルベンゼンの塩、またはアルキルトルエン、キシレン、クメンおよびスルホネートフェノールの塩、スルホネートアルキルナフタレン、スルホネートジアミルナフタレン、ならびにスルホネートジノニルナフタレンおよびアルコキシル化誘導体。
【0035】
アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシレート)などのアニオン性カルボキシレート界面活性剤。第二級石鹸界面活性剤(例えば、アルキルカルボキシル界面活性剤)は、第二級炭素に結合されるカルボキシル単位を含有するものを含む。第二級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸のように、またはアルキル置換カルボキシレートシクロヘキシルのように、環構造であってもよい。第二級石鹸界面活性剤は、典型的には、エーテル結合部、エステル結合部、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。適切な第二級石鹸界面活性剤は、典型的には、11~13個の全炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在してもよい。
【0036】
他のアニオン性界面活性剤は、スルホネートオレフィン、例えば、長鎖スルホネートアルケン、長鎖スルホネートヒドロキシアルカン、またはスルホネートアルケンおよびヒドロキシアルカン-スルホネートの混合物を含む。また、アルキルサルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルサルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)サルフェート、例えば、エチレンオキシドおよびノニルフェノール(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)のサルフェートまたは濃縮生成物も含まれる。ロジン、水素化ロジン、ならびに獣脂油中に存在するか、またはそれから誘導される樹脂酸および水素化樹脂酸などの樹脂酸および水素化樹脂酸もまた適切である。
【0037】
硬水が希釈水として存在する場合、石鹸などのカルボン酸を有する界面活性剤は避けられる場合がある。
【0038】
非イオン性界面活性剤
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、汚れの除去を改善し、処理される表面上の溶液の接触角を減少し得る。
【0039】
非イオン界面活性剤は、一般的に、有機疎水性基および有機親水性基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、通常はエチレンオキシドまたはそのそれらの多水和生成物、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。具体的には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物を、エチレンオキシド、またはその多水和添加剤、またはそれらと、プロピレンオキシドなどのアルコキシレンとの混合物と縮合させて、非イオン表面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間に所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するために、容易に調節することができる。
【0040】
適切な非イオン性界面活性剤の例は、ニュージャージー州、フローハムパークのBASF Corp.製の市販品PLURONIC(登録商標)およびTETRONIC(登録商標)を含むブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、Solvay S.A.製の市販品IGEPAL(登録商標)およびDow Chemical製のTRITON(登録商標)を含むエチレンオキシドとアルキルフェノールとの縮合生成物、Shell Chemical Co.製の市販品NEODOL(登録商標)およびSasol Limited製のALFONIC(登録商標)を含むエチレンオキシドと6~24個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコールとの縮合生成物、Henkel Corporation製の市販品NOPALCOL(登録商標)およびLipo Chemicals,Inc.製のLIPOPEG(登録商標)を含むエチレンオキシドと直鎖または分枝鎖カルボン酸との縮合生成物、ならびにグリセリド、グリセリン、および多価アルコールとの反応により形成されるアルカン酸エステルを含む。
【0041】
アルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)C6~C18脂肪アルコールは、本発明の組成物中の使用に適切な界面活性剤である。適切なアルコキシル化アルコールの例は、ニュージャージー州、フローハムパークのBASF Corp.からLUTENSOL XP(登録商標)として市販されているエトキシル化C10アルコールである。
【0042】
例示的な非イオン性界面活性剤は、さらに以下を含む。
開始剤反応性水素化合物としてプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンに基づいた、ブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物、例えば、二官能性ブロックコポリマー(BASF Corp.から入手可能なPLURONIC(登録商標)製品)、ならびに四官能性ブロックコポリマー(BASF Corp.から入手可能なTETRONIC(登録商標)製品)
【0043】
直鎖もしくは分岐鎖構造の、または単一もしくは二重アルキル構成成分のアルキル鎖が約8~約18個の炭素原子を含有する1モルのアルキルフェノールと、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、重合プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルで表すことができる。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であり得る。市販品の例としては、Solvay S.A.から入手可能なIGEPAL(登録商標)、およびDOW Chemical Companyから入手可能なTRITON(登録商標)が挙げられる。
【0044】
約6~約24個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アルコールと、約3~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上述された炭素数の範囲内のアルコールの混合物から成り得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールから成り得る。市販品の例としては、Shell Chemical Co.から入手可能なNEODOL(登録商標)およびSasol Noorth America,Inc.から入手可能なALFONIC(登録商標)が挙げられる。
【0045】
約8~約18個の炭素原子を有する1モルの飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖カルボン酸と、約6~約50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸は、上記で定義される炭素原子数の範囲にある酸の混合物であり得るか、またはその範囲内の特定数の炭素原子を有する1つの酸であり得る。市販品の例としては、Lipo Chemicals,Inc.から入手可能なLIPOPEG(登録商標)が挙げられる。
【0046】
グリセリド、グリセリン、および多価(サッカライドまたはソルビタン/ソルビトール)アルコールの反応により形成されるアルカン酸エステル。これらのエステル部分の全ては、それらの分子上に、それらの物質の親水性を制御するためにさらなるアシル化またはエチレンオキシド(アルコキシド)の追加に供され得る一つ又は複数の反応性水素部位を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、組成物は、低発泡性非イオン性界面活性剤を含む。例示的な低発泡性非イオン性界面活性剤は、以下を含む。
エチレンオキシドをエチレングリコールに付加して指定の分子量の親水性物質を提供し、次いでプロピレンオキシドを付加して分子の外側(端部)に疎水性ブロックを得ることによって本質的に反転されたブロックコポリマーである、反転ブロックコポリマー。最終的な分子の10重量%~約80重量%を含む中心の親水性物質を有する、約1,000~約3,100の分子量の疎水性部分。また、二官能性反転ブロックコポリマー(BASF Corp.からPLURONIC(登録商標)Rとして市販されている)および四官能性反転ブロックコポリマー(BASF Corp.からTETRONIC(登録商標)Rとして市販されている)も含まれる。
【0048】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジルなどの疎水性小分子と、1~約5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコールまたはアルキルハロゲン化物と、それらの混合物との反応による発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基を「キャッピング」または「端部ブロッキング」することで改質された、キャップされた非イオン性界面活性剤。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニルなどの反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基へのそのような修飾は、オール-ブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、またはオール-ヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0049】
以下の式により表される、1959年9月8日にBrownらに対して発行された米国特許第2,903,486号のアルキルフェノキシポリエトキシアルカノール。
【化1】
式中、Rは、8~9個の炭素原子のアルキル基であり、Aは、3~4個の炭素原子のアルキレン鎖であり、nは、7~16の整数であり、mは、1~10の整数である。
【0050】
末端疎水性鎖の分子量、中間疎水性単位の分子量、および連結親水性単位の分子量がそれぞれ縮合物の約3分の1を占める、交互親水性オキシエチレン鎖および疎水性オキシプロピレン鎖を有する、1962年8月7日にMartinらに対して発行された米国特許第3,048,548号に記載されるポリアルキレングリコール縮合物。
【0051】
一般式Z[(OR)nOH]zを有する、1968年5月7日にLissantらに対して発行された米国特許第3,382,178号において開示されている消泡性非イオン性界面活性剤(式中、Zが、アルコキシル化可能な材料であり、Rが、エチレンおよびプロピレンであり得るアルキレンオキシドから得られるラジカルであり、nが、10~2,000以上の整数であり、zが、反応性オキシアルキル化可能な基の数によって決定される整数である)。市販の消泡または低発泡性非イオン性界面活性剤の例として、両方ともBASF Corp.から入手可能なLUTENSOL(登録商標)およびPLURAFAC(登録商標)が挙げられる。
【0052】
式Y(C3H6O)n(C2H4O)mHに対応し、式中、Yが、約1~6個の炭素原子および1個の反応性水素原子を有する有機化合物の残基であり、nが、ヒドロキシル価により決定されるような少なくとも約6.4の平均値であり、mが、オキシエチレン部分が分子の約10重量%~約90重量%を構成するような値である、1954年5月4日にJacksonらに対して発行された米国特許第2,677,700号に記載される共役ポリオキシアルキレン化合物。
【0053】
式Y[(C3H6On(C2H4O)mH]xを有し、式中、Yが、約2~6個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、少なくとも約2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nが、ポリオキシプロピレン疎水性塩基の分子量が少なくとも約900であるような値であり、mが、分子のオキシエチレン含量が約10重量%~約90重量%であるような値である、1954年4月6日にLundstedらに対して発行された米国特許第2,674,619号に記載される共役ポリオキシアルキレン化合物。Yの定義の範囲内に該当する化合物は、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンなどを含む。オキシプロピレン鎖は、任意であるが、有利なことに、少量のエチレンオキシドを含有し、オキシエチレン鎖もまた、任意であるが、有利なことに、少量のプロピレンオキシドを含有する。
【0054】
式P[(C3H6O)n(C2H4O)mH]xに対応し、式中、Pが、約8~18個の炭素原子を有し、x個(xは、1または2の値を有する)の反応性水素原子を含有する有機化合物の残基であり、nが、ポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも約44になる値であり、mが、分子のオキシプロピレン含有量が約10%~約90重量%になる値である、追加の共役ポリオキシアルキレン表面活性剤。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択で、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0055】
界面活性剤の延長として時折説明される他の共役ポリオキシアルキレン表面活性剤は、式P(C3H6O)n(C2H4O)mHに対応し、式中、Pが、約8~18個の炭素原子を有し、x個の反応性水素原子(xは、1または2の値を有する)を含有する有機化合物の残基であり、nが、1~20の値を有し、mが、1~20の値を有する。例としては、BASFからのLUTENSOL XLシリーズがある。
【0056】
本組成物における使用に適切なポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、構造式R2CONR1Zを有するものを含み、式中、R1が、H、C1~C4ヒドロカルビル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシ基、またはそれらの混合物であり、R2が、直鎖であり得るC5~C31ヒドロカルビルであり、Zが、少なくとも3つのヒドロキシルが鎖に直接接続されたヒドロカルビル直鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル、またはそのアルコキシル化誘導体(好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化)である。Zは、還元アミン化反応で還元糖、例えばグリシチル部分などから得ることができる。
【0057】
脂肪族アルコールと、約0~約25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖もしくは分岐鎖、第一級もしくは第二級であり得、一般的に6~22個の炭素原子を含有する。
【0058】
エトキシル化C6~C18脂肪アルコール、ならびにC6~C18混合エトキシル化およびプロポキル化脂肪アルコール。適切なエトキシル化脂肪アルコールは、3~50のエトキシル化の度合いを有するC10-C18エトキシル化脂肪アルコールを含む。
【0059】
非イオン性アルキルポリサッカリド界面活性剤は、1986年1月21日に発行された米国特許第4,565,647号、Llenadoに開示されるものを含む。これらの界面活性剤は、約6~約30個の炭素原子と、ポリサッカリド、例えばポリグリコシドとを含有する疎水基、約1.3~約10のサッカリド単位を含有する親水基を含む。5または6個の炭素原子を含有する任意の還元サッカリドが使用され得、例えば、グルコース、ガラクトース、およびガラクトシル部分が、グルコシル部分と置換され得る。(任意に、疎水基が、2-、3-、4-などの位置に結合され、したがって、グルコシドもしくはガラクトシドとは反対に、グルコースもしくはガラクトースを生成する。)サッカリド間の結合は、例えば、追加のサッカリド単位の1つの位置と、その前のサッカリド単位上の2-、3-、4-、および/または6-の位置との間であり得る。同様の官能基は、Clariantから入手可能なGLUCOPURE製品などの、グルカミド界面活性剤によって達成することができる。
【0060】
脂肪酸アミド界面活性剤には、式R6CON(R7)2を有するものが含まれ、式中、R6が、7~21個の炭素原子を含有するアルキル基であり、各R7が、独立して、水素、C1~C4アルキル、C1~C4ヒドロキシアルキル、または-(C2H4O)XH(式中、xは1~3である)である。
【0061】
非イオン性界面活性剤の別のクラスは、アルコキシル化アミン、または最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤として定義されるクラスを含む。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式R20--(PO)SN--(EO)tH、R20--(PO)SN--(EO)tH(EO)tH、およびR20--N(EO)tHで表されてもよく、式中、R20が、アルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOが、オキシエチレンであり、POが、オキシプロピレンであり、sが、1~20、好ましくは2~5であり、tが、1~10、好ましくは2~5であり、uが、1~10、好ましくは2~5である。
【0062】
これらの化合物の範囲上の他の変形は、代替式R20--(PO)v--N[(EO)wH][(EO)zH]によって表されてもよく、式中、R20が、アルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、vが、1~20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzは、独立して、1~10、好ましくは2~5である。
【0063】
これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。このクラスの1つの例示的な化学薬品は、SURFONIC(商標)PEA25アミンアルコキシレートを含む。
【0064】
組成物は、半極性非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。半極性非イオン性界面活性剤の例としては、以下が挙げられる。
アミンオキシドは、一般式、
【化2】
に対応する第三級アミンオキシドであり、式中、矢印が、半極性結合の従来の表現であり、R
1、R
2、およびR
3が、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る。一般に、洗剤関連のアミンオキシドでは、R
1が、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、R
2およびR
3が、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、またはそれらの混合物であり、R
2およびR
3が、例えば酸素または窒素原子を介して互いに結合し、環構造を形成することができ、R
4が、アルカリ、または2~3個の炭素原子を含有するヒドロキシアルキレン基であり、nが、0~約20の範囲である。
【0065】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、ココナツまたは獣脂アルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択することができ、それらの具体的な例は、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコシキ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3-ドデコシキ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0066】
半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性ホスフィンオキシドを含む。
【化3】
式中、矢印が、半極性結合の従来の表現であり、R
1が、鎖長が10~約24個の炭素原子の範囲であるアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル部分であり、R
2およびR
3が、それぞれ、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基から別個に選択されるアルキル部分である。有用なホスフィンオキシドの例としては、ジメチルデシルホスフィンオキシド、ジメチルテトラデシルホスフィンオキシド、メチルエチルテトラデシル-ホスフィンオキシド、ジメチルヘキサデシルホスフィンオキシド、ジエチル-2-ヒドロキシオクチルデシルホスフィンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルホスフィンオキシド、およびビス(ヒドロキシメチル)テトラデシルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0067】
半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性スルホキシド化合物を含む。
【化4】
式中、矢印が、半極性結合の従来の表現であり、R
1が、約8~約28個の炭素原子、0~約5個のエーテル結合部、および0~約2個のヒドロキシル置換基のアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R
2が、1~3個の炭素原子を有するアルキルおよびヒドロキシアルキル基から成るアルキル部分である。これらのスルホキシドの有用な例としては、ドデシルメチルスルホキシド、3-ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシド、3-メトキシトリデシルメチルスルホキシド、および3-ヒドロキシ-4-ドデコキシブチルメチルスルホキシドが挙げられる。
【0068】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤の一般的に使用される基は、アルキルアミンおよびアミドアミンなどのアミンである。組成物は、アミノ基または他のカチオン性界面活性剤のいずれかから選択されるカチオン性界面活性剤を含んでもよい。アミン基は、例えば、アルキルアミンおよびそれらの塩、アルキルイミダゾリン、エトキシル化アミン、ならびに第四級アンモニウム化合物およびそれらの塩を含む。他のカチオン性界面活性剤は、アミン化合物に類似した硫黄(スルホニウム)およびリン(ホスホニウム)系化合物を含む。
【0069】
カチオン性界面活性剤は、一般的に、少なくとも1つの長炭素鎖疎水性基および少なくとも1つの正荷電窒素を含有する化合物を指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されるか、または、いわゆる中断アルキルアミンおよびアミドアミン内の架橋官能基によって間接的に結合され得る。そのような官能基は、分子を、より親水性もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によって水により溶解し易くするか、または水溶性にすることができる。水溶性を増大させるために、追加の第一級、第二級、もしくは第三級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が、低分子量アルキル基を用いて四級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖もしくは直鎖部分の一部、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。加えて、カチオン性界面活性剤は、1個を超えるカチオン性窒素原子を有する複雑な結合部を含有し得る。
【0070】
アミンオキシド、両性、および双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体は、典型的には中性近くから酸性pHまでの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複し得る。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、一般的には、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように、かつ酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0071】
最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第四級アンモニウム化合物は、下記のように概略的に描かれ得る。
【化5】
式中、Rが、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’が、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル、またはアリール基、または水素のいずれかであってもよく、Xが、アニオンを表す。
【0072】
大規模な商業用のカチオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」、Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に記載されている、4つの主要なクラスおよび追加の下位群に細分化され得る。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの第四級物を含む。カチオン性界面活性剤は、中性pH以下の組成物中での洗浄力、抗微生物性有効性、他の薬剤と連携した増粘化またはゲル化などを含む多様な特性を有することが知られている。
【0073】
例示的なカチオン性界面活性剤は、式R
1
mR
2
xY
LZを有するものを含み、式中、各R
1が、最大3個のフェニルまたはヒドロキシ基で任意に置換され、任意に以下の構造のうちの最大4つ、
【化6】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物によって中断される、直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基を含有する有機基であり、8~22個の炭素原子を含有する。R
1基は、追加で最大12個のエトキシ基を含有し得、mは、1~3の数である。好ましくは、分子中の1個以下のR
1基は、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3であるときに12個超の炭素原子を有する。各R
2は、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有する、アルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、その分子中の1個以下のR
2が、ベンジルであり、xが、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって充填される。
【0074】
Yは、以下のもののうちの1つなどの基、
【化7】
またはそれらの混合物であり得る。好ましくは、Lは、1または2であり、Y基は、Lが2である場合、1~22個の炭素原子および2個の遊離炭素単結合を有するR
1およびR
2類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に、カチオン性構成成分の電気的中性を付与する数の硫酸アニオンまたはメチル硫酸アニオンが好ましい。
【0075】
両性(amphoteric)および双性(zwitterionic)界面活性剤
両性および双性界面活性剤としては、第二級および第三級アミンの誘導体、複素環式第二級および第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、もしくは第三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。アンモニウム、ホスホニウム、またはスルホニウム化合物は、脂肪族置換基、例えば、アルキル基、アルケニル基、もしくはヒドロキシアルキル基か、アルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基か、またはカルボキシレート基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート基、もしくはホスフェート基かで置換され得る。ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本組成物中で使用するための例示的な双性イオン性界面活性剤である。
【0076】
双性イオン性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットとして考えることができる。双性イオン性界面活性剤は、広義には、第二級および第三級アミンの誘導体、複素環式の第二級および第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、もしくは第三級スルホニウム化合物の誘導体として説明される場合がある。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正荷電第四級アンモニウムまたは(場合によりスルホニウムもしくはホスホニウムイオン)負荷電カルボキシル基、硫酸基またはスルホネート基、およびアルキル基を含む。双性イオンは、一般的に、分子の等電領域内でほぼ等しい度合いまでイオン化し、かつ正電荷中心-負電荷中心の間に強い「分子内塩」引力を発生し得るカチオンおよびアニオン基を含有する。そのような双性イオン性の合成界面活性剤の例としては、脂肪族ラジカルが直鎖または分岐鎖であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、例示的な双性イオン界面活性剤である。
これらの化合物の一般式は、
【化8】
であり、式中、R
1が、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1個のグリセリル部分を有する8~18個の炭素原子の、アルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yが、窒素、リン、および硫黄原子から成る群から選択され、R
2が、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、xは、Yが硫黄原子であるときは1であり、Yが窒素またはリン原子であるときは2であり、R
3が、1~4個の炭素原子のアルキレン、またはヒドロキシアルキレン、またはヒドロキシアルキレンであり、Zが、カルボキシレート基、スルホネート基、サルフェート基、ホスホネート基、およびホスフェート基から成る群から選択されるラジカルである。
【0077】
上記の構造を有する双性イオン界面活性剤の例としては、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-スルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-スルフェートが挙げられる。アルキル基は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和であり得る。
【0078】
双性界面活性剤は、下記の一般構造のベタインおよびスルタインを含む。
【化9】
例えば、コカミドプロピルベタインは、以下の構造を有する。
【化10】
そしてコカミドプロピルスタインは、以下の構造を有する。
【化11】
【0079】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極度のpHで強いカチオン性またはアニオン性特徴を呈すことも、またはそれらの等電範囲で水溶性の低減を示すこともない。「外部」第四級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは、アニオンに適合する。適切なベタインの例としては、ココナツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12~14アシルアミドプロピルベタイン、C8~14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C14~16アシルメチルアミド-ジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C16~18アシルアミドジメチルベタイン、C12~16アシルアミドペンタン-ジエチルベタイン、およびC12~16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0080】
スルタインには、式(R(R1)2N+R2SO3-を有する化合物が含まれ、式中、Rが、C6~C18ヒドロカルビル基であり、各R1が典型的に独立して、C1~C3アルキル、例えばメチルであり、R2は、C1~C6ヒドロカルビル基、例えば、C1~C3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。
【0081】
両性界面活性剤
両性(Amphoteric)または両性(ampholytic)界面活性剤は、塩基性親水性基および酸性親水性基の両方、ならびに有機疎水性基を含有する。これらのイオン性成分は、他の種類の界面活性剤に対して本明細書に記載されるアニオン基またはカチオン基のうちのいずれであってもよい。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性親水性基および酸性親水性基として用いられる典型的な官能基である。少数の界面活性剤において、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、またはホスフェートは、負電荷を提供する。
【0082】
両性界面活性剤は、広義には、脂肪族ラジカルが、直鎖または分岐状であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つが、アニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスファト、またはホスホノを含有する、脂肪族の第二級アミンおよび第三級アミンの誘導体として説明することができる。両性界面活性剤は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」、Cosmetics&Toiletries、Vol.104(2)69-71(1989)に記載されている、2つの主なクラスに細分化される。第1のクラスは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびこれらの塩を含む。第2のクラスは、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩を含む。いくつかの両性界面活性剤は、両方のクラスに当てはまるように想定され得る。
【0083】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法で合成され得る。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)と、ジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。商業用の両性界面活性剤は、例えば、酢酸エチルでのアルキル化による、イミダゾリン環の後続の加水分解および開環によって誘導体化される。アルキル化中に、1個または2個のカルボキシ-アルキル基が反応して、第三級アミンおよびエーテル結合部を形成し、異なるアルキル化剤は、異なる第三級アミンを生じる。
【0084】
例示的な市販のイミダゾリン由来両性物質は、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸を含む。好ましいアンホカルボン酸は、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基がジ酢酸および/またはジプロピオン酸である脂肪イミダゾリンから生成される。本明細書に記載されるカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。
【0085】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、RNH2(式中、Rは、C8~C18長鎖または分岐鎖アルキルである)脂肪アミンをハロゲン化カルボン酸と反応させることにより容易に調製される。アミノ酸の第一級アミノ基のアルキル化は、第二級アミンおよび第三級アミンをもたらす。アルキル置換基は、2つ以上の反応性窒素中心を提供する追加のアミノ基を有してもよい。最も商業的なN-アルキルアミン酸は、ベータ-アラニンまたはベータ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。商業用N-アルキルアミノ酸両性電解質の例としては、アルキルベータ-アミノジプロピオネート、RN(C2H4COOM)2、およびRNHC2H4COOMが挙げられる。これらの式中、Rが、好ましくは、8~18個の炭素原子を含有する非環式疎水性基であり、Mが、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0086】
好ましい両性界面活性剤は、ココナツ油またはココナツ脂肪酸などのココナツ生成物由来のものを含む。これらのココナツ由来界面活性剤のうち、より好ましいものとしては、その構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、好ましくはグリシン、またはそれらの組み合わせ、および8~18個(好ましくは12個)の炭素原子の脂肪族置換基が挙げられる。かかる界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸とも考慮され得る。ジナトリウムココアンホジプロピオネートは、1つの最も好ましい両性界面活性剤であり、商標名MIRANOL(商標)FBSの下でSolvay S.A.から市販されている。化学名ジナトリウムココアンホジ酢酸を有する、別の最も好ましいココナツ由来両性界面活性剤は、商標名MIRANOL(商標)C2M-SF Conc.の下で同じくSolvay S.A.から販売されている。
【0087】
界面活性剤濃度
組成物は、約0.01~約95重量%、または約0.5~約40重量%、または約1.0~約25重量%の界面活性剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物は、約0.5~約30重量%、または約1~約20重量%、または約2~約15重量%、または約2~約10重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、界面活性剤の組み合わせであってもよい。一実施形態において、界面活性剤のうちの少なくとも1つは、非イオン性である。例示的な実施形態に従って、組成物は、約0.5~10重量%の非発泡性非イオン性界面活性剤を含む。さらなる例示的な実施形態に従って、組成物は、約1~5重量%のアルコールアルコキシレートを含む。別の実施形態において、界面活性剤のうちの少なくとも1つは、アニオン性である。例示的な実施形態に従って、組成物は、約5~15重量%のアニオン性界面活性剤、例えばベンゼンスルホネートを含む。組成物をさらに希釈して使用溶液を調製することができる。例えば、組成物は、約1:5、約1:10、約1:32、約1:64、約1:128、または約1:512の比、またはそれらの間の任意の比で希釈することができる。組成物が全目的用洗浄剤として使用される場合、使用溶液は、約0.1~約5重量%、約0.2~約2重量%、または約0.25~約0.75重量%の界面活性剤を含み得る。
【0088】
追加の構成成分
組成物は、所望の特性または機能を提供するための追加の構成成分を含んでもよい。例えば、組成物は、キレート剤または金属イオン封鎖剤、pH調整剤(酸または塩基)、ヒドロトロープ、ビルダー、消毒剤、有機溶剤、抗菌剤、酵素、染料、香料、レオロジー調整剤(例えばゲル化剤、増粘剤など)、防腐剤、加工助剤、腐食防止剤、マグネシウムイオン、または他の機能性成分を含むことができる。組成物が固体の濃縮物として調合される場合、調剤は、充填剤、凝固剤、および硬化剤をさらに含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10、および14未満、13未満、12未満、または11未満のpHを有する。いくつかの実施形態において、pHは約7~約14、約8~約12、または約9~約11である。特定の実施形態において、組成物は、それが偶発的に皮膚と接触する場合のある使用のために調合され、約5~約10、約7~約9、約8~約9、約9~約10、または約8.5~約10.7のpHを有するように調合され得る。このような組成物の例は、一般目的用洗浄剤、食器洗い洗剤、床洗浄剤、および脱脂剤を含む。いくつかの他の実施形態において、より強力な調剤が所望され、組成物は、約9~約14、約10~約13、または約11~約13のpHを有するように調合される。そのような組成物の例は、脱脂剤および床仕上げ洗浄剤/コンディショナーを含む。
【0090】
アミノ酸が2つのアミノ基を有する場合、両方のアミノ基のpKaが組成物のpHより高いことが望ましい場合がある。1つの好ましい洗浄剤の実施形態において、組成物のpHは、αおよびεアミンのpKa未満である。調剤のpHはまた、2つのアミンのpKaの間に設定することもできる。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、αアミン基のpHより高い。一般的に、組成物のpHは、カルボン酸基のpKaより高くなるであろう。調剤のpHは、アミノ酸の電荷を決定するであろう。言い換えると、アミノ酸の電荷は、式のpHを調整することによって設定することができる。アミノ酸は、そのpKaに基づいて選択され得る。例えば、リジン中のεアミノ基のpKaは約10.7であり、アルギニン中では約12.1である。リジンがアミノ酸であるいくつかの実施形態において、pHは、αアミンより高いが、εアミン基未満であり得るか、または組成物のpHが両方のアミンのpKaより高い場合がある。いくつかの場合において、調剤のpHが、アミノ酸の等電点より高い場合がある。
【0091】
組成物は、一つ又は複数のpH調整剤を含んでもよい。pH調整剤の例は、有機酸(例えば、カルボン酸)または無機酸(例えば、塩酸、リン酸など)などの酸、およびアルカリ金属水酸化物などの塩基を含む。アミノ酸はまた、組成物中でpH調整剤として使用することもできる。一実施形態において、組成物の一つ又は複数のアミノ酸は、正荷電(塩基性)側鎖を有し、酸性成分を中和するために使用することができる。例えば、アミノ酸は、サルフェートまたはスルホネート(例えば、DDBSA)などの合成アニオン性界面活性剤酸を中和するためか、または脂肪酸を中和してアミノ石鹸を生成するために使用することができる。場合によっては、組成物中の脂肪酸またはアルキルカルボキシレート(石鹸)の使用を制限または回避することが好ましい場合がある。例えば、組成物は、脂肪酸およびアルキルカルボキシレートとは不溶性の石鹸残基を形成し得る、水ハーネスイオンであるマグネシウムを含み得る。そのような場合、アミノ酸およびアルキルカルボキシレートは、カルボン酸アルキル1部当たり少なくともアミノ酸1.2部のモル比で存在することができる。アミノ酸は、時折、洗浄性、汚れ浸透性、または床仕上げコンディショニングの強化を提供するために、アニオン性界面活性剤またはカルボキシレート型アニオン性界面活性剤の非存在下で使用され得る。
【0092】
組成物は、一つ又は複数の緩衝剤をさらに含んでもよい。緩衝剤の例は、ホスフェート、カルボネート、アミン、ビカルボネート、およびクエン酸塩を含む。例示的なホスフェートとしては、無水モノ-、ジ-、またはトリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、およびピロリン酸四カリウムが挙げられる。例示的なカルボネートとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸セスキが挙げられる。例示的なクエン酸塩としては、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムが挙げられる。例示的なアミンとしては、尿素およびモルホリンが挙げられる。いくつかの緩衝剤はまた、洗剤ビルダーとして機能する硬水イオンを封鎖または沈殿させる。
【0093】
ヒドロトロープは、組成物の安定性を補助するため、かつ他の成分とカップリングさせることによって水性調剤中の他の成分を可溶化するのを助けるために、組成物中に含まれ得る。一実施形態に従って、組成物は、一つ又は複数のヒドロトロープを含む。任意のヒドロトロープカップリング剤は、組成物の他の構成成分と反応しないか、または組成物の性能特性に悪影響を及ぼさないことを条件として使用され得る。適切なヒドロトロープは、例えば、アルキルスルフェートおよびアルカンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンまたはナフタレンスルホネート、短鎖直鎖アルキルベンゼン、第二級アルカンスルホネート、アルキルエーテルサルフェートまたはスルホネート、アルキルホスフェートまたはホスホネート、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル(例えば、ソルビタンエステル)、アミンオキシド(モノ-、ジ-、またはトリ-アルキル)およびC4~C10アルキルグルコシドなどのアニオン性界面活性剤を含む。
【0094】
好ましいヒドロトロープとしては、ミネソタ州、セントポールのEcolab Inc.からNAS8Dとして入手可能なn-オクタンスルホネート;n-オクチルジメチルアミンオキシド;アルキルベンゼンスルホネート(例えば、キシレンスルホネート)またはナフタレンスルホネートなど一般に入手可能な芳香族スルホネート;および1~約40のエチレン、プロピレン、またはブチレンオキシド単位を有するアリール、またはアルカリールホスフェートエステル、またはそれらのアルコキシル化類似体が挙げられる。他の好ましいヒドロトロープには、C6~C24アルコールアルコキシレート(エトキシレート、プロポキシレート、またはブトキシレート)の非イオン性界面活性剤、C6~C24アルキルフェノールアルコキシレート、C6~C24アルキルポリグリコシド;C6~C24脂肪酸エステルエトキシレート、プロポキシレートまたはグリセリド、およびC4~C12モノまたはジアルカノールアミドが挙げられる。いくつかの実施形態において、ヒドロトロープは、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0095】
組成物は、約0~約15重量%、または約0.1~約12重量%、または約0.5~約10重量%、または約1.0~約8重量%、または約2.0~約5.0重量%のヒドロトロープを含み得る。例示的な実施形態に従って、組成物は約1.5~4.0重量%のヒドロトロープを含む。さらなる例示的な実施形態に従って、組成物は約1.5~3.0重量%のキシレンスルホン酸ナトリウムを含む。
【0096】
組成物は、組成物または溶液を安定化し、洗浄を促進するために使用され得る一つ又は複数のビルダーを含み得る。ビルダーとしては、キレート剤(キレーター)、金属イオン封鎖剤(封鎖剤)、洗剤などが挙げられる。伝統的なビルダーは、ホスフェート、ポリホスフェート、キレート剤を含み、かつシリケート、カルボネート、さらには無機サルフェートを含む場合がある。伝統的なビルダーは、ホスフェート、ポリホスフェート、アミノカルボキシレート、シリケートなどのアニオン性である。伝統的な洗剤ビルダーの1つの主な目的は、多価カチオンを封鎖、複合化、またはキレート化することである。
【0097】
好ましいビルダーは水溶性である。適切なビルダーの例としては、ホスホン酸およびホスホネート、ホスフェート、アミノカルボキシレートおよびこれらの誘導体、ピロホスフェート、ポリホスフェート(例えば、ポリホスフェートトリカリウム「TKPP」)、エチレンジアミンおよびエチレントリアミン誘導体、ヒドロキシ酸、およびモノ、ジ、およびトリカルボキシレートおよびそれらの対応する酸、ポリアクリル酸およびその塩、ホスホノブタンカルボン酸、ならびにグルコン酸ナトリウムが挙げられる。他のビルダーとしては、アルミノシリケート、ニトロロアセテート(nitroloacetate)、およびこれらの誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。さらに他のビルダーとしては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、ネバダ州、AkzoNobelから入手可能なDISSOLVINE(登録商標)GLなどのグルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、およびBASF Corp.から入手可能なTRILON(登録商標)Mなどのメチルグリシン二酢酸(MGDA)の塩を含むアミノカルボキシレートが挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物はビルダーを含まないか実質的に含まない。
【0098】
組成物はまた、有効量の二価マグネシウム塩を含有してもよい。マグネシウム塩はビルダーとしても機能し得るが、伝統的なビルダーではない。適切なマグネシウム化合物の例としては、MgCl2、MgO、およびMg(OH)2が挙げられる。マグネシウムイオンは、特定のアニオン性界面活性剤の官能基を強化し得る。マグネシウムが、酸化物または水酸化物として提供される場合、それはまた、組成物中の酸性構成成分(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸)の中和に寄与し得る。
【0099】
組成物は、約0.05~約20重量%、約0.1~約5重量%、約0.2~約4重量%、約0.3~約3重量%、または約0.5~約2重量%のビルダーを含み得る。組成物がマグネシウムを含む場合、マグネシウムは、モル換算でアニオン性(または両性)界面活性剤1部当たり、マグネシウム1部以下、またはモル換算でアニオン性(または両性)界面活性剤1部当たり、マグネシウム0.5部以下で含まれる。例えば、組成物は、約0.2~約4重量%、または約0.3~約2.0重量%のマグネシウム塩を含むことができる。使用溶液は、約0.02~約0.4重量%、または約0.03~約0.2重量%のマグネシウム塩を含み得る。適切なマグネシウム塩としては、MgCl2、Mg(NO3)2、MgSO4などの十分な水溶性である任意のマグネシウム塩が挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物は、処理水中で付随的に見出されるレベルより高いマグネシウムを含む。組成物がマグネシウムおよびアニオン性界面活性剤を含有する実施形態において、組成物は、好ましくは、アニオン性洗剤ビルダーを含まないが、マグネシウムを沈殿させるか、復合化するか、またはキレート化することができるものは含む。
【0100】
固体として調合される組成物は、充填剤、凝固剤、および硬化剤を含み得る。
【0101】
実施形態に従って、組成物は、一つ又は複数の溶媒を含んでもよい。組成物は、10~99重量%、30~95重量%、または50~90重量%の溶媒を含む。好ましい実施形態において、溶媒は水である。組成物は、少量の水(例えば、約10~70重量%)を含む濃縮物か、または水が組成物の大部分を成す(例えば、約50~99重量%の水)使用溶液のいずれかとして調合され得る。濃縮物は、水または他の適切な溶媒を用いて使用者によって希釈され得る。例えば、濃縮物組成物は、10~50重量%の水を用いて調合され、使用前に、水1ガロン当たり、濃縮物約0.5~10オンスの比で、水を用いて希釈することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、使用溶液(使用溶液または濃縮物から調製される使用溶液のいずれかとして調合された組成物)は、約40~約99重量%、または約70~約95重量%、または約80~約90重量%の水を含む。例示的な実施形態において、使用溶液は、約75~約95重量%の水を含む。
【0103】
この調剤はまた、グリコールエーテル、プロピレングリコール(もしくは、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコール系グリコールエーテルを使用してもよい)、またはトリプロピレングリコールブチルエーテルなどの有機溶媒も含有することができる。有機溶媒が水に加えて組成物にも含まれる実施形態において、有機溶媒は、0.2~40重量%、0.5~20重量%、または1~10重量%の量で含まれる。
【0104】
濃縮物組成物の例示的な調剤を表1Aに示し、使用溶液の例示的な調剤を以下の表1Bに示す。しかしながら、表1Aの濃縮物のいずれも、表1Bに示されていなくても、希釈して使用溶液を生成することができる。得られる濃度範囲は、約1:1、約1:5、約1:10、約1:25、約1:50、約1:100、約1:250、または約1:1000の希釈比を用いて計算することができる。いくつかの実施形態において、約0.1~50重量%の洗浄濃縮物を約50~約99.9重量%の水と合わせて使用溶液を形成する。使用組成物はまた、0.4~20重量%の濃縮物および80~99.6重量%の水、1~10重量%の濃縮物および90~99重量%の水、または2~4重量%の濃縮物および96~98重量%の水を用いて形成することができる。
【0105】
【0106】
いくつかの実施形態において、組成物は、約90~約98重量%の水と、約0.1~約5、約0.1~約3、または約0.2~約1重量%のアミノ酸と、約0.1~約5重量%、約0.2~約4重量%、または約0.2~約3重量%の界面活性剤と、任意に、ヒドロトロープ、ビルダー、pH調整剤、酵素、キレート剤、有機溶媒、消毒剤、抗菌剤、マグネシウム、染料、香料、レオロジー、防腐剤、加工処理剤、腐食防止剤、または他の機能性成分を含む0~約4または約0.2~約3重量%の他の構成成分とを含むすぐに使用できる溶液として提供される。
【0107】
いくつかの好ましい実施形態において、組成物が一般目的用洗浄剤として調合される場合、組成物は、水、アミノ酸(例えば、リジン)、界面活性剤、および任意のマグネシウムを含む。一般目的用洗浄剤の使用溶液中、アミノ酸は、0.1~8重量%、0.5~5重量%、または1~3重量%で存在する。界面活性剤は、0.1~5重量%、0.25~3重量%、または0.5~1.5重量%で存在する。任意のマグネシウムは、0.02~0.4重量%、0.05~0.3重量%、または0.08~2重量%で一般目的用洗浄剤使用溶液中に存在する。使用溶液は、濃縮物を水または他の適切な溶媒と組み合わせることによって形成することができる。組成物は、遊離脂肪酸およびアルキルカルボキシレートを含まなくてもよい。組成物はまた、ビルダーを含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、好ましくはスルホネートなどのアニオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、リジン、アルギニン、もしくはグリシン、またはそれらの組み合わせである。
【0108】
いくつかの実施形態において、組成物は、床洗浄剤として、または床研磨コンディショナーとして使用するために調合される。アクリル床仕上げ剤または研磨剤は、特に、小売店および他の事業、教育機関、レストラン、医療施設、長期介護施設などの公共スペースで特に使用される。市販のアクリル床研磨剤の例としては、ミネソタ州、セントポールのEcolab Inc.によるGEMSTAR(商標)LASER(商標)およびMARKETSTAR、ならびにウィスコンシン州、スターテバントのStaled Air Diversy CareによるSIGNATURE(登録商標)が挙げられる。アクリル床仕上げ剤を用いて仕上げた床の維持は、典型的には床洗浄機で行われ、(1)洗浄組成物を用いて床を擦り、つや出しして研磨することと、(2)洗浄組成物を用いて床を擦り、かつ特に汚れが仕上げ材に浸透しているか、または仕上げ材が通行の多いエリアで不均一に摩耗している場合に、再コーティングすることと、(3)強力な化学薬品を用いて擦り、既存の仕上げ材を除去して、かつ床を再仕上げすることとのいずれかを含み得る。アルカノールアミンを含む洗浄組成物は、典型的には、床仕上げ剤の洗浄および軟化が所望される場合に、(1)および(2)の任意選択で使用される。市販の洗浄組成物の例は、Ecolab Inc.から入手可能なMAXX Dual Actionである。
【0109】
研磨された床材上に使用される特定のタイプの床洗浄剤は、光沢化またはつやだしのための床研磨剤を調製するために使用される。これらの洗浄剤は、時折、研磨剤調製洗浄剤または洗浄剤コンディショナーと呼ばれることがあり、しばしば界面活性剤およびアルカノールアミンを含むアルカリ性組成物(例えば、MEAおよび/またはアンモニア)を含む。研磨剤調製洗浄剤を使用して床仕上げ剤を軟化して、研磨をより効果的にすることができる。このような洗浄剤はまた、床を擦り、再コーティングする前に使用され、後の処理の前に綺麗な表面を確証することができる。本開示の組成物は、研磨剤調製洗浄剤として使用するために調合され得る。
【0110】
いくつかの好ましい実施形態において、組成物が床洗浄剤コンディショナーとして調合される場合、組成物は、水、アミノ酸(例えば、リジン)、および界面活性剤(例えば、低発泡性界面活性剤、または界面活性剤および消泡剤)を含み、7より高い、9より高い、または10より高いpHを有する。濃縮物床洗浄剤コンディショナーにおいて、組成物は、6~30重量%、8~25重量%、または10~20重量%のアミノ酸を含む。界面活性剤は、2~10重量%、3~8重量%、または4~6重量%で存在する。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、床洗浄剤組成物は、共界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、リジン、アルギニン、またはグリシン、またはそれらの組み合わせである。
【0111】
他の実施形態において、組成物は、脱脂剤として調合され、水と、アミノ酸と、アルコール官能基を有する一つ又は複数の溶媒(例えば、ベンジルアルコールおよびグリコールエーテルなどの、0.2重量%以上の濃度の水で溶解性である溶媒)と、界面活性剤と、任意にアルカリとを含む。脱脂剤のpHは、6~14または9~14であり得る。いくつかの実施形態において、脱脂剤は、水、ベンジルアルコール、アミノ酸(例えば、リジン)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、およびスルホネート(例えば、キシレンスルホン酸ナトリウム)を含む。脱脂剤の使用溶液は、6~24重量%、8~20重量%、または10~16重量%のアミノ酸を含む。界面活性剤は、1~5重量%、1.5~4重量%、または2~3重量%で存在する。脱脂剤溶液は、2~8重量%、3~7重量%、または4~6重量%のヒドロトロープを含む。4~8重量%、4.5~7重量%、または5~6重量%の溶媒が、脱脂剤に含まれる。脱脂剤はまた、使用溶液中に水を含むことができる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、ヒドロトロープもまた、アニオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、界面活性剤特性およびヒドロトロピック特性の両方を有するように選択され得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、リジン、アルギニン、もしくはグリシン、またはそれらの組み合わせである。
【0112】
組成物が濃縮物として調合される場合、組成物は、約1~60重量%、約2~30重量%、または約2~10重量%のアミノ酸を含むことができる。例えば、濃縮物組成物は、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約18重量%、または約20重量%のアミノ酸を含み得る。特定の実施形態において、濃縮物組成物は、一般目的用洗浄剤または手洗い食器洗剤としての使用が意図され、約0.5~約12重量%、約1~約10重量%、または約3~約7重量%のアミノ酸を含む。いくつかの他の実施形態において、濃縮物組成物は、床洗浄またはコンディショニングでの使用が意図され、約4~60重量%、約6~30重量%、約8~20重量%、約12~30重量%、約14~25重量%、または約15~20重量%のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、濃縮物組成物は、脱脂剤としての使用が意図され、約5~25重量%、約8~16重量%、または約23~25重量%のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、リジン、アルギニン、もしくはグリシン、またはそれらの組み合わせである。
【0113】
使用方法
実施形態に従って、本開示の組成物は、床、装置(例えば、食品および飲料処理装置、穀物処理装置など)、食品調理材表面(例えば、カウンタートップおよびその他の表面)、ならびに他の硬質表面などの表面を洗浄するために使用することができる。組成物は、一般目的用洗浄剤として、脱脂剤として、または床洗浄剤として使用することができる。組成物は、グリースを床および他の表面から除去するのに効果的であり得る。この組成物は、アクリルベースの研磨剤で処理された床を洗浄するのに効果的であり得る。
【0114】
一実施形態において、この調剤は、アニオン性スルホネート、または硫酸界面活性剤、リジン、およびマグネシウムを含有する。
【0115】
組成物は、濃縮物または使用溶液として提供することができる。濃縮物組成物は、使用する前に、水または他の水性溶液などの適切な希釈剤を用いて希釈され、使用溶液を形成し得る。いくつかの実施形態において、濃縮物組成物は、約1:1、約1:5、約1:10、約1:25、約1:50、約1:100、または約1:1000で希釈され、使用溶液を調製する。特定の実施形態において、0.5ozの濃縮物を1galの水で希釈することによって使用溶液を調製し、結果、約1:250の希釈比が得られる。希釈率は、日常的な使用ではより希釈された使用溶液が調製され得るように、スポット処理またはディープ洗浄ではより濃縮された使用溶液になるように、意図された使用に基づいて調整され得る。例えば、より希釈された使用溶液を使用して、ビニール床を洗浄することができ、濃縮された使用溶液を使用して、床をコンディションし、再研磨することができる。
【0116】
組成物は、注ぎ、スプレー、布切れを用いたモップがけなどの任意の適切な方法によって、または床洗浄機または床処理機を使用することによって表面に適用することができる。組成物は、約1秒~30分、約1分~25分、約5分~20分、または約10分~15分などの一定時間、表面上に残される。一定時間は、除去されている汚れの量および種類、または以前の表面処理剤が軟化もしくは除去されているかどうかなど、様々なパラメータに依存して、より長くもしくはより短く調整され得る。次いで、手を使うか、または床洗浄機の助けを借りて、表面をきれいに拭くか、または擦り得る。表面は、任意に、微量の組成物を除去する処理の後にすすがれ得る。組成物が床仕上げ剤または床研磨剤を用いて床上で使用される場合、組成物を用いた処理の後に、床はつや出し、または再仕上げされ得る。
【0117】
本開示の組成物は、床仕上げ剤を軟化させて床仕上げ剤の研磨をより効果的にするか、または床を擦り、再コーティングする前に使用され、後の表面の処理の前に綺麗な表面を確証することができる研磨剤調製洗浄剤として使用するために、調合され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、床仕上げ剤を軟化させるのを助け、剥離および除去を容易にする。
【実施例0118】
実施例1
実施形態に従う床処理組成物を、市販の洗浄組成物(MAXX Dual Action)と比較するために、従来の方法を用いて試験床タイルに組成物のそれぞれを適用し、試験した。試験床タイルを、GEMSTAR LASER床仕上げ剤を用いて仕上げた。生成物は、モップをかけ、表面を水浸しにすることで床に適用された。接触時間は、10分であった。床タイルを、床手入れ機で擦った。3日後、床タイルを、GEMSTAR STRATUS(商標)を用いて再コーティングした。表面の光沢(反射率)を、BYK GARDNER micro-TRI-gloss gloss meter(ドイツ、ヴェーゼルのAltana AGから入手可能)を使用して、処理する前、擦った後、および再コーティングした後に測定した。光沢を、20°、60°、および85°で記録した。試験床タイルの色は異なり(青、黒、または白)、結果表に記録した。
【表3】
【0119】
試験した調剤および比較組成物(MAXX Dual Action、「MDA」)を、水を用いて1oz/galで希釈した。試験した調剤は表2に示される。希釈前の濃度が示される。
【表4】
【0120】
研究の結果は、表3に示される。様々な処理の評価において、擦った床の60°の光沢度が、最も有効性を示し得る。光沢度が低いほど、組成物がより効果的であった。
【表5】
【0121】
表4は、表3のサブセクションであり、擦った青タイルのみに対する60°の光沢値を示す。このサブセットのデータを、組成物の効果を代表するものと考慮した。
【表6】
【0122】
リジンを含有する組成物は、少なくとも市販の製品と同じくらい効果的であることが観察された。より高いリジン含量がより効果的であることが、さらに観察された。16重量%以上のリジン含量を用いて最適な結果が達成されると結論づけられた。
【0123】
実施例2
ある実施形態に従う全目的用洗浄組成物は、様々な界面活性剤を用いて、リジンを用いて、またリジンを用いずに調製された。組成物の洗浄有効性を試験し、市販の洗浄剤(Ecolabから入手可能なOASIS137ORANGE FORCE(商標))およびビニルタイルから黒い汚れを除去するための水と比較した。OASIS137ORANGE FORCE(商標)は、界面活性剤とアミン(トリエタノールアミン)との混合物を含有する。
【0124】
組成物1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、および5Bを、表5に従って調製した。各組成物に対して、変異体「A」はリジンを用いずに調製し、変異体「B」はリジンを用いて調製した。組成物を、1ガロン当たり8oz、1ガロン当たり16ozで、5グレーンの水を用いて希釈した。希釈した組成物のpHを、NaOHおよび/またはHClを用いて8.8~8.95に調整した。界面活性剤の活性%は、30重量%~100重量%で異なった。各組成物中の界面活性剤の総活性%が10重量%になるように、組成物を調製した。
【表7】
【表8】
【0125】
希釈した組成物を使用して、汚れたタイルサンプルを洗浄した。白いビニルタイル(サイズ3インチの正方形)の裏側(溝付き側)を、3インチフォームブラシを使用し、黒色の汚れ(50gのミネラルスピリット、5gの鉱物油、5gのモーターオイル、2.5gのオイルダグ、37.5gのバンディブラッククレーを用いて調製された)を用いて汚した。タイルを室温で一晩乾燥させた。翌日、タイルを、約200gの洗浄組成物を含む浸漬トレイ中に約2分間入れた。
【0126】
汚れ除去試験を、Gardco Washability and Wear試験機およびセルローススポンジ(ミネソタ州、セントポールの3Mから入手可能なSCOTCH BRITE(登録商標)多目的用スポンジ)を用いて行った。スポンジを水で予め洗浄し、乾燥させ、次いで約80gの試験組成物で飽和させた。タイルをGardcoトレイに入れ、タイルの肌理をスポンジの移動方向と平行にした。湿ったスポンジで約2ポンドの圧力で、40サイクル、タイルを擦り、タイルを完全に360°回転させるために10サイクルごとにタイルを90度回転させた。次いで、タイルを水道水ですすぎ、室温で一晩乾燥させた。
【0127】
Hunter Lab L*反射率を用いて、洗浄前後の汚れたタイルの色を測定した。タイルからの汚れの除去は、以下のように、汚れ除去%として計算した。
【数1】
【0128】
各組成物は、2つの希釈率(1ガロン当たり8oz(6.25%)および1ガロン当たり16oz(12.5%))で2回試験された(表6のT-1およびT-2として示される)。結果は表6および
図1に示される。
【表9】
【0129】
リジンを有さない組成物(「A」組成物)と比較した、リジン(「B」組成物)を有する組成物の洗浄有効性(汚れ除去)の増加を、表7に示す。希釈率それぞれに対して別個に、また平均(平均)差として増加を計算した。
【表10】
【0130】
組成物中にリジンを含むことは、組成物の全ての洗浄有効性を改善することが観察された。さらに、改善は、非イオン性界面活性剤以外の全てに対して、より低い希釈率(8oz/gal)でより大きかった。より高い希釈率(16oz/gal)では、ベタインベースの組成物の洗浄有効性は増加しなかった。しかしながら、リジンが、改善された洗浄有効性を提供しない場合でも、その組成物の緩衝効果のためになお価値があり得ると結論付けられた。
【0131】
また、市販の洗浄剤とよく比較された組成物1A/1B(混合界面活性剤)および3A/3B(アニオン性スルホネート)の性能と、リジン(組成物1Bおよび3B)の添加が組成物の性能を市販の洗浄剤よりも良くすることとが観察された。アミノ酸は、全目的用洗浄剤中のアミン(例えば、トリエタノールアミン)の代替物として使用できると結論付けられた。これは、アミノ酸が業界標準のアルカノールアミン中に存在するアルコールヒドロキシル基を含有しないため、驚くべきことである。また、それらは一般に使用されるアミン中には見られないカルボン酸基を含有する。
【0132】
実施例3
アミノ酸としてリジン、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、およびpH調整のための追加の水酸化ナトリウムを使用して、一般目的用洗浄剤を調製した。組成物の調合は、以下の表8に示される。
【表11】
【0133】
本発明のある特定の実施形態が説明されてきたが、他の実施形態も存在し得る。本明細書は詳細な説明を含むが、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。さらに、本明細書は、構造的特徴および/または方法的作用に特異的な言語で記載されているが、特許請求の範囲は、上述の特徴または作用に限定されない。むしろ、上記の特定の特徴および行為は、本発明の例示的な態様および実施形態として開示される。様々な他の態様、実施形態、修正、およびそれらの等価物は、本明細書の説明の読後、本発明の主旨または特許請求される主題の範囲から逸脱することなく当業者には連想され得る。
本発明のある特定の実施形態が説明されてきたが、他の実施形態も存在し得る。本明細書は詳細な説明を含むが、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。さらに、本明細書は、構造的特徴および/または方法的作用に特異的な言語で記載されているが、特許請求の範囲は、上述の特徴または作用に限定されない。むしろ、上記の特定の特徴および行為は、本発明の例示的な態様および実施形態として開示される。様々な他の態様、実施形態、修正、およびそれらの等価物は、本明細書の説明の読後、本発明の主旨または特許請求される主題の範囲から逸脱することなく当業者には連想され得る。
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
表面を処理するための組成物であって、前記組成物は、
(a)1~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
(b)0.1~30重量%の一つ又は複数の界面活性剤、および
(c)任意に一つ又は複数のヒドロトロープ、を含み、
前記組成物は、アルカノールアミンを含まない、組成物。
[2]
前記一つ又は複数のアミノ酸が、アルギニン(「ARG」)、リジン(「LYS」)、ヒスチジン(「HIS」)、グリシン(「GLY」)、またはそれらの組み合わせから選択される、項目1に記載の組成物。
[3]
前記組成物が、アニオン性洗剤ビルダーを含まない、項目1に記載の組成物。
[4]
マグネシウムをさらに含む、項目1に記載の組成物。
[5]
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジン(「LYS」)を含む、項目1に記載の組成物。
[6]
前記一つ又は複数のアミノ酸が、少なくとも90重量%のリジン(「LYS」)を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、約12~30重量%の前記一つ又は複数のアミノ酸を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記組成物が、0.1~5重量%の前記一つ又は複数の界面活性剤を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記一つ又は複数の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記一つ又は複数の界面活性剤が、低発泡性界面活性剤から成る、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アルコキシル化アルコールを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤を含む、項目1~8および10のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記アニオン性界面活性剤が、サルフェートまたはスルホネートを含む、項目12に記載の組成物。
[14]
前記一つ又は複数の界面活性剤が、アミンオキシド、双性イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
前記組成物が、0.1~12重量%の前記一つ又は複数のヒドロトロープを含む、項目1~14のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記一つ又は複数のヒドロトロープが、芳香族スルホネートを含む、項目1~15のいずれか一項に記載の組成物。
[17]
前記一つ又は複数のヒドロトロープが、キシレンスルホン酸ナトリウムを含む、項目16に記載の組成物。
[18]
前記組成物が、グリースを表面から除去するのに効果的である、項目1~17のいずれか一項に記載の組成物。
[19]
前記組成物が、表面に適用された床仕上げ材を軟化するのに効果的である、項目1~18のいずれか一項に記載の組成物。
[20]
前記組成物が、床仕上げ材を表面から除去するのに効果的である、項目1~19のいずれか一項に記載の組成物。
[21]
前記組成物が、汚れを硬質表面から除去するのに効果的である、項目1~20のいずれか一項に記載の組成物。
[22]
前記組成物が、織物から汚れを除去するのに効果的である、項目1~21のいずれか一項に記載の組成物。
[23]
約50~99重量%の水をさらに含む、項目1~22のいずれか一項に記載の組成物。
[24]
キレート剤、有機溶媒、消毒剤、抗菌剤、マグネシウム、染料、香料、レオロジー、pH調整剤、防腐剤、加工助剤、腐食防止剤、または他の機能性成分から選択される追加の作用剤をさらに含む、項目1~23のいずれか一項に記載の組成物。
[25]
前記組成物が、固体の濃縮物として調合され、前記組成物が、ビルダー、充填剤、凝固剤、硬化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、項目1~24のいずれか一項に記載の組成物。
[26]
前記組成物が、約9~約11のpHを有する、項目1~25のいずれか一項に記載の組成物。
[27]
前記組成物が、第1のアミン基のpKaと第2のアミン基のpKaとの間に設定されたpHを有する、項目1~26のいずれか一項に記載の組成物。
[28]
前記組成物が、アルキルカルボキシレートを含まない、項目1~27のいずれか一項に記載の組成物。
[29]
前記組成物が、アルキルカルボキシレートを含み、前記アミノ酸およびアルキルカルボキシレートが少なくとも1.2:1のモル比で存在する、項目1~28のいずれか一項に記載の組成物。
[30]
前記組成物が、遊離脂肪酸を含まない、項目1~29のいずれか一項に記載の組成物。
[31]
前記組成物が、リジン、アニオン性スルホネート界面活性剤を含み、アルキルカルボキシレート界面活性剤を含まず、有効量のマグネシウムを含有する、項目1に記載の組成物。
[32]
前記組成物が、シリケート、ホスフェート、アミノカルボキシレート、およびポリホスフェートを含まない、項目31に記載の組成物。
[33]
有機溶媒をさらに含む、項目1~32のいずれか一項に記載の組成物。
[34]
前記有機溶媒が、ベンジルアルコールである、項目33に記載の組成物。
[35]
表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.洗浄組成物を前記表面に適用することであって、前記洗浄組成物が、約0.1~50重量%の項目1~34のいずれか一項に記載の組成物と、約50~約99.9重量%の水とを含む、適用することと、
b.前記洗浄組成物を前記表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記洗浄組成物を前記表面から除去することと、を含む、方法。
[36]
硬質表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.前記硬質表面に洗浄組成物を適用することであって、前記洗浄組成物が、
i.約0.1~8重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約0.1~5重量%のアニオン性界面活性剤、
iii.約0.02~0.4重量%のマグネシウム塩、および
iv.水を含み、
前記組成物が、アルカノールアミンを含まない、適用することと、
b.前記洗浄組成物を前記硬質表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記洗浄組成物を前記表面から除去することと、を含む、方法。
[37]
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジンを含む、項目36に記載の方法。
[38]
前記洗浄組成物が、注ぐか、スプレーするか、モップをかけるか、または布切れで拭くことにより適用される、項目36または37に記載の方法。
[39]
前記一定時間の長さが、約1秒~30分である、項目36~38のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記洗浄組成物が、すすぐか、拭くか、または擦ることのうちの1つにより除去される、項目36~39のいずれか一項に記載の方法。
[41]
床表面を洗浄する方法であって、前記方法は、
a.洗浄濃縮物を水で希釈して使用溶液を形成することであって、前記洗浄濃縮物が、
i.約6~30重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約2~10重量%の一つ又は複数の非イオン性界面活性剤、および
iii.最大約10重量%の共界面活性剤を含み、
前記洗浄濃縮物が、アルカノールアミンを含まない、希釈することと、
b.前記使用溶液を前記床表面に適用することと、
c.前記使用溶液を前記床表面上に一定時間残るようにすることと、を含む、方法。
[42]
前記一つ又は複数のアミノ酸が、リジンを含む、項目41に記載の方法。
[43]
前記床表面が、アクリル系研磨剤で処理される、項目41または42のいずれか一項に記載の方法。
[44]
前記床表面が、切り石タイルまたはコンクリートを含む、項目41~43のいずれか一項に記載の方法。
[45]
前記非イオン性界面活性剤が、非発泡性または低発泡性である、項目41~44のいずれか一項に記載の方法。
[46]
前記床表面をつや出しすることをさらに含む、項目41~45のいずれか一項に記載の方法。
[47]
前記床表面を再仕上げすることをさらに含む、項目41~46のいずれか一項に記載の方法。
[48]
表面を脱脂する方法であって、前記方法は、
a.前記表面に脱脂組成物を適用することであって、前記脱脂組成物が、
i.約6~約24重量%の一つ又は複数のアミノ酸、
ii.約1~約5重量%の一つ又は複数の界面活性剤、
iii.約2~約8重量%の一つ又は複数のヒドロトロープ、
iv.約4~約8重量%の、アルコール官能基を有する一つ又は複数の溶媒、および
v.水を含む、適用することと、
b.前記脱脂組成物を前記表面上に一定時間残るようにすることと、
c.前記表面を拭くか、またはすすぐことと、を含む、方法。