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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097692
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】端末、通信方法および集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20220623BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220623BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20220623BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W72/04
H04W88/12
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078820
(22)【出願日】2022-05-12
(62)【分割の表示】P 2019501192の分割
【原出願日】2018-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2017030217
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(57)【要約】
【課題】Trigger frameにおいて適切に変形User Infoを設定すること。
【解決手段】AP100において、Trigger frame生成部104は、上り信号の送信を指示するトリガー信号を生成し、無線送受信部106は、トリガー信号を送信する。Trigger frame生成部104は、トリガー信号が、1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットを指示する第1の端末情報フィールドを有する場合は、第1の端末情報フィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDを設定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と通信する端末であって、
上り信号の送信を指示するトリガーフレームを受信し、前記トリガーフレームは、端末IDサブフィールドとリソースユニット割当情報サブフィールドとを含むユーザ情報フィールドを含み、前記端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDがランダムアクセス用として設定される場合は、前記リソースユニット割当情報サブフィールドは、1つ以上の連続するランダムアクセス(RA)用リソースユニットの開始リソースユニット位置を指示し、前記ユーザ情報フィールドは、前記連続するRA用リソースユニットの数を示すRA用リソースユニット情報サブフィールドをさらに含む、受信部と、
前記受信されたトリガーフレームを復号する復号部と、
を具備し、
前記トリガーフレームにおいて、前記通信装置とアソシエートされた端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第1の未使用IDが設定され、前記通信装置とアソシエートされていない端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第2の未使用IDが設定される、
端末。
【請求項2】
前記トリガーフレームは、前記端末IDサブフィールドに前記第1の未使用IDが設定された第1のユーザ情報フィールドと、前記端末IDサブフィールドに前記第2の未使用IDが設定された第2のユーザ情報フィールドとを含み、前記第1のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第1の連続するRA用リソースユニットと、前記第2のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第2の連続するRA用リソースユニットとは重複しない、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記トリガーフレームが、前記端末IDサブフィールドに前記未使用IDがランダムアクセス用として設定された第1のユーザ情報フィールドと、1つのリソースユニットを指示する第2のユーザ情報フィールドとを有する場合であって、前記第2のユーザ情報フィールドによって指示される前記1つのリソースユニットが、前記連続するRA用リソースユニットに含まれる場合、前記1つのリソースユニットは、前記RA用リソースユニットから除外される、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記トリガーフレームは、前記端末IDサブフィールドに前記第1の未使用IDが設定された第1のユーザ情報フィールドと、前記端末IDサブフィールドに前記第2の未使用IDが設定された第2のユーザ情報フィールドとを含み、前記第1のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第1の連続するRA用リソースユニットと、前記第2のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第2の連続するRA用リソースユニットとでは、符号化タイプ及びMCS(Modulation and Coding Scheme)が個別に設定される、
請求項1に記載の端末。
【請求項5】
前記第1の未使用ID及び前記第2の未使用IDの各々には、ランダムアクセス信号を送信する端末の制約条件がそれぞれ対応付けられる、
請求項1に記載の端末。
【請求項6】
前記トリガーフレームにおいて、前記ユーザ情報フィールドに、前記上り信号の送信時の制約を示す情報が設定される、
請求項1に記載の端末。
【請求項7】
前記ユーザ情報フィールドによって前記連続するRA用リソースユニットが指示される端末に対して、前記上り信号の送信時の制約が適用される、
請求項6に記載の端末。
【請求項8】
前記トリガーフレームにおいて、前記上り信号の送信時の制約を示す情報が、前記ユーザ情報フィールドに設定されずに、端末共通の情報を含める共通情報フィールドに設定される、
請求項1に記載の端末。
【請求項9】
通信装置と通信する端末の通信方法であって、
上り信号の送信を指示するトリガーフレームを受信し、前記トリガーフレームは、端末IDサブフィールドとリソースユニット割当情報サブフィールドとを含むユーザ情報フィールドを含み、前記端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDがランダムアクセス用として設定される場合は、前記リソースユニット割当情報サブフィールドは、1つ以上の連続するランダムアクセス(RA)用リソースユニットの開始リソースユニット位置を指示し、前記ユーザ情報フィールドは、前記連続するRA用リソースユニットの数を示すRA用リソースユニット情報サブフィールドをさらに含み、
前記受信されたトリガーフレームを復号し、
前記トリガーフレームにおいて、前記通信装置とアソシエートされた端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第1の未使用IDが設定され、前記通信装置とアソシエートされていない端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第2の未使用IDが設定される、
通信方法。
【請求項10】
前記トリガーフレームは、前記端末IDサブフィールドに前記第1の未使用IDが設定された第1のユーザ情報フィールドと、前記端末IDサブフィールドに前記第2の未使用IDが設定された第2のユーザ情報フィールドとを含み、前記第1のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第1の連続するRA用リソースユニットと、前記第2のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第2の連続するRA用リソースユニットとは重複しない、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記トリガーフレームは、前記端末IDサブフィールドに前記第1の未使用IDが設定された第1のユーザ情報フィールドと、前記端末IDサブフィールドに前記第2の未使用IDが設定された第2のユーザ情報フィールドとを含み、前記第1のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第1の連続するRA用リソースユニットと、前記第2のユーザ情報フィールドにより割り当てられる第2の連続するRA用リソースユニットとでは、符号化タイプ及びMCS(Modulation and Coding Scheme)が個別に設定される、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項12】
前記第1の未使用ID及び前記第2の未使用IDの各々には、ランダムアクセス信号を送信する端末の制約条件がそれぞれ対応付けられる、
請求項9に記載の通信方法。
【請求項13】
通信装置と通信する端末のための集積回路であって、
上り信号の送信を指示するトリガーフレームを受信し、前記トリガーフレームは、端末IDサブフィールドとリソースユニット割当情報サブフィールドとを含むユーザ情報フィールドを含み、前記端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDがランダムアクセス用として設定される場合は、前記リソースユニット割当情報サブフィールドは、1つ以上の連続するランダムアクセス(RA)用リソースユニットの開始リソースユニット位置を指示し、前記ユーザ情報フィールドは、前記連続するRA用リソースユニットの数を示すRA用リソースユニット情報サブフィールドをさらに含む、処理と、
前記受信されたトリガーフレームを復号する処理と、
を制御し、
前記トリガーフレームにおいて、前記通信装置とアソシエートされた端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第1の未使用IDが設定され、前記通信装置とアソシエートされていない端末に対して前記RA用リソースユニットを割り当てる場合は、前記端末IDサブフィールドに第2の未使用IDが設定される、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末、通信方法および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11 Working GroupのTask Group axにおいて、802.11acの次期規格として、IEEE 802.11ax(以下、「11ax」と呼ぶ)の技術仕様策定が進められている。11axでは、OFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)ベースのランダムアクセス(RA:Random Access)の導入が規定された。
【0003】
アクセスポイント(AP:Access Point。「基地局」とも呼ばれる)は、上りOFDMA信号の送信を指示する制御信号(以下、「Trigger frame」と呼ぶ)を、当該APが収容している複数の端末(「STA(Station)」と呼ばれることもある)へ送信する。
【0004】
Trigger frameでは、OFDMAで多重する複数の端末に共通の情報を含めるCommon Info fieldと、OFDMAで多重する端末毎に固有の情報を含めるUser Info fieldとが定義される(例えば、非特許文献1、非特許文献4を参照)。
【0005】
Common Info fieldに含まれるTrigger Type subfieldでは、Trigger frameの種類(APが端末に送信させる信号種別)であるTrigger Typeを指示する(例えば、非特許文献2、非特許文献3を参照)。
【0006】
User Info fieldに含まれるAID12 subfieldでは、アソシエーション時に端末に割り当てられる一意のIDであるAssociation ID(AID)を通知する。以下では、端末に割り当てられたAIDを通知することにより、特定の端末に対して周波数リソース(RU: Resource Unit)を割り当てる方法を「Scheduled access」と呼ぶ。また、11axでは、未使用AIDの値の一つであるAID=0を設定することにより、User Info fieldのRU Allocation subfieldで指示する周波数リソース(RU)がRA用RUであることを各端末に指示することが合意されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0007】
さらに、11axの会合において、Trigger frame に、RA専用の新たなUser Info field(以下、「変形User Info」と呼ぶ)を導入することが新たに合意された(非特許文献5)。変形User Infoでは、1つのUser Info fieldで、1以上の連続するRA用RUを端末に指示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IEEE 802.11-15/0132r17 “Specification Framework for TGax”
【非特許文献2】IEEE 802.11-16/0024r1 “Proposed TGax draft specification”
【非特許文献3】IEEE 802.11-16/0806r0 “HE Variant HT Control - Buffer Status Report”
【非特許文献4】IEEE 802.11-16/0617r1 “Remaining Topics in Power Control”
【非特許文献5】IEEE 802.11-16/1516r1 “CIDs for: Section 9.3.1.23 Random Access CIDs”
【非特許文献6】IEEE 802.11-16/0725r3 “CIDs for: Trigger Frame Format Comment Resolution - Type Dependent Per user information section 9.3.1.23”
【非特許文献7】IEEE 802.11-16/0938r1 “Resolution for CID 1589, 1590, 2668, and 2669 on Multi-TID Aggregation in Sub-clause 25.10.4”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、Trigger frameにおける変形User Infoの適用方法については十分に検討されていない。
【0010】
本開示の一態様は、Trigger frameにおいて適切に変形User Infoを設定することができる端末、通信方法および集積回路の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様に係る通信装置は、端末と通信する通信装置であって、上り信号の送信を指示するトリガーフレームを生成し、前記トリガーフレームは、端末IDサブフィールドとリソースユニット割当情報サブフィールドとを含むユーザ情報フィールドを含み、前記端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDがランダムアクセス用として設定される場合は、前記リソースユニット割当情報サブフィールドは、1つ以上の連続するランダムアクセス(RA)用リソースユニットの開始リソースユニット位置を指示し、前記ユーザ情報フィールドは、前記連続するRA用リソースユニットの数を示すRA用リソースユニット情報サブフィールドをさらに含む、トリガーフレーム生成部と、前記生成されたトリガーフレームを送信する送信部と、を具備する。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0013】
本開示の一態様によれば、Trigger frameにおいて適切に変形User Infoを設定することができる。
【0014】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Trigger frameのフォーマットを示す図
図2】Trigger frameのCommon Info fieldのフォーマットを示す図
図3】Trigger frameのTrigger Typeを示す図
図4】Trigger frameの通常User Info fieldのフォーマットを示す図
図5】Trigger Dependent User Info fieldのフォーマットを示す図
図6A】Trigger frameの変形User Info fieldのフォーマットを示す図
図6B】変形User Info fieldによって指示されるRA用RUの一例を示す図
図7】実施の形態1に係るAPの一部構成例を示すブロック図
図8】実施の形態1に係るAPの構成例を示すブロック図
図9】実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図
図10】実施の形態1に係る変形User Infoで指定されるRA用RUの一例(具体例1-1)を示す図
図11】実施の形態1に係る変形User Infoで指示するRA用RUの一例(具体例1-2)を示す図
図12】実施の形態1に係る変形User Infoで指示するRA用RUの一例(具体例1-2)を示す図
図13】実施の形態1に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例1-2)を示す図
図14】実施の形態1に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2)を示す図
図15】実施の形態1に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2)を示す図
図16】実施の形態1に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2-1)を示す図
図17】実施の形態1に係る変形User Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2-2)を示す図
図18】実施の形態1に係る変形User Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2-2)を示す図
図19】実施の形態2に係るAPの構成例を示すブロック図
図20】実施の形態2に係る端末の構成例を示すブロック図
図21】実施の形態2に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例1)を示す図
図22】実施の形態2に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例2)を示す図
図23】実施の形態2に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例(具体例3)を示す図
図24】他の実施の形態に係るUser Infoで指示するRA用RUの一例を示す図
図25】他の実施の形態に係るTrigger frameの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0017】
(実施の形態1)
[Trigger frame]
図1は、11axで検討されているTrigger frameのフォーマットの一例を示す図である。Trigger frameでは、OFDMAで多重する複数の端末に共通の情報を含めるCommon Info fieldと、OFDMAで多重する端末毎の固有情報を含めるUser Info fieldが定義される(例えば、非特許文献1を参照)。
【0018】
図2は、Trigger frameのCommon Info fieldのフォーマットの一例を示す図である(例えば、非特許文献1を参照)。Trigger Type subfieldでは、Trigger Typeを指示する。Trigger Typeとして図3に示すものが定義されている(例えば、非特許文献2を参照)。また、図3の定義に加えて、端末の送信バッファ情報の報告を指示するTrigger Type(以下、Buffer Status Report Poll (BSRP)と呼ぶ)を追加することが検討されている(例えば、非特許文献3を参照)。また、Trigger Dependent Common Info subfieldには、Trigger typeに適した(依存した)端末共通情報を含めることができる。
【0019】
図4は、Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットの一例を示す図である(例えば、非特許文献1、非特許文献4を参照)。図4は、非特許文献1では未定であったTarget RSSI subfieldのサイズを、非特許文献4の提案に従って7bitsに反映したフォーマットである。AID12 subfieldではAIDを通知する。AID=0を設定することで、User Info fieldで指示したRUがRA用RUであることを指示する(例えば、非特許文献1を参照)。また、Trigger Dependent User Info subfieldには、Trigger typeに適した(依存した)端末固有情報を含めることができる。
【0020】
以下の説明では、1RU単位で端末の無線リソースを指示するUser Info fieldを、変形User Infoと区別するために「通常User Info」と呼ぶ。また、通常User Infoと変形User Infoとを併せて「User Info」と呼ぶこともある。
【0021】
また、11axでは、Trigger Typeとして、上り信号の形式を限定しないBasic Triggerが規定されている(例えば、図3を参照)。Basic Triggerでは、Scheduled accessによる応答、および、ランダムアクセスによる応答が可能である。Trigger TypeがBasic Triggerである場合、User Info fieldのTrigger Dependent User Info subfieldには図5に示す上り信号の送信時の制約を示す情報(制約情報)が含まれる(例えば、非特許文献6、非特許文献7を参照)。
【0022】
具体的には、図5に示すように、Type dependent Per User Info subfieldには、APが処理可能なMPDU(MAC protocol data unit)の最小間隔を示すパラメータを示す2bitsの「MPDU MU Spacing Factor」、MPDUに含める最大TID数を示すパラメータを示す3bitsの「TID Aggregation Limit」、APが推奨するAccess Category(AC、送信データの種類)を指示するか否かのフラグを示す1bitの「AC Preference Level」、および、APが推奨するACを示すパラメータを示す2bitsの「Preferred AC」が含まれる。これらは、Trigger frameに対する上り信号として、複数のMPDUを連結したA-MPDU(Aggregate MAC protocol data unit)を用いるためのパラメータ、または、送信するACを指示するためのパラメータである。
【0023】
[変形User Info]
図6Aは、変形User Infoのフォーマットの一例を示す図である。
【0024】
通常User Infoを用いたTrigger frameでは、1つのUser Info fieldで任意の1つのRUを指定する。つまり、通常User Infoを用いたTrigger frameでは、複数のRA用RUを指示する際には、複数のUser Info fieldを用いる。
【0025】
これに対して、変形User Info は、指示するRUの配置を一つの連続帯域に限定する。こうすることで、1つの変形User Info fieldを用いて複数のRUを指定することができる。例えば、図6Aに示す変形User InfoのRU Allocation subfieldでは、連続帯域であるRA用RUの開始RUの位置、および、RUサイズを指示する(図6Bを参照)。また、変形User Infoでは、RA用RUの送信時の空間多重ストリーム数を固定値‘1’(つまり、MIMO適用無し)に限定することにより、図6Aに示すSS Allocation subfieldは、空間多重ストリーム数を指示する代わりに、RU Allocation subfieldで通知したRA用RUを開始RUとしたRA用RUの数(連続RU数)を指示する(図6Bを参照)。なお、各RA用RUのRUサイズはRU Allocation subfieldで通知するRUサイズとする。また、図6Aに示す変形User InfoのCoding Type、MCS、DCM、Target RSSI subfieldに設定される情報は、RU Allocation及びSS Allocationによって指示される複数のRA用RUで共通とする。
【0026】
また、変形User Infoでは、図6Aに示すように、Trigger Dependent User Info subfieldが削除される。また、変形User Infoが適用されるTrigger frameでは、Trigger Dependent Common Info subfieldが削除される。これによりTrigger frameサイズを削減する。
【0027】
このように、変形User Infoは、通常User Infoで指示するパラメータの一部を複数のRU間(複数の端末間)で共通化することで、1つのUser info fieldで1つ以上の連続したRA用RUを指示し、Trigger frameサイズを削減することができる。
【0028】
以上、変形User Infoについて説明した。
【0029】
本開示では、上述したTrigger frameにおける変形User Infoの適用方法について説明する。
【0030】
例えば、変形User Infoを適用するために、図3のTrigger Type subfieldのReservedにRA送信を指示する新たなTrigger Type(以下、「RA trigger」と呼ぶ)を追加することが考えられる。Trigger TypeがRA triggerの場合に変形User Infoを適用することで、Trigger frameサイズを削減できる。さらに、Trigger TypeがRA triggerの場合に、Trigger frameにおいてTrigger Dependent Common Info subfieldおよびTrigger Dependent User Info subfieldを削除することでTrigger frameサイズが削減できる。
【0031】
しかしながら、上述したRA Triggerによる変形User Infoの指示は、Trigger typeのReserved領域を使用(消費)するため、将来の規格拡張の余地が減る。
【0032】
また、RA Triggerは、変形User Infoによる指示に限定されるため、同一パラメータで一つの連続RU群しか指示できない。そのため、性能劣化が予想されるRU(例えばDC付近または干渉が観測されたRU等)がシステム帯域内に一部存在する場合には、変形User Infoによって指示された全てのRUに対して誤り耐性が強いロバストなパラメータ(例えば、MCS)を設定する必要があり、スループットが低下してしまう。
【0033】
そこで、本開示では、Trigger Typeの将来拡張性を維持しつつ(つまり、RA Trigger等を新規追加することなく)、変形User Infoを適用して、複数のRA用RUを低サイズのTrigger frameで指示する方法、及び、変形User Infoを適用する場合でも、RU個別のパラメータを指示する方法について説明する。
【0034】
[無線通信システムの構成]
本実施の形態に係る無線通信システムは、AP(無線送信装置)100および端末(無線受信装置)200を備える。AP100が端末200に対して、RA送信を指示するTrigger frameを送信し、端末200がTrigger frameを受信し、Trigger frameで指示されたリソースを用いてRAをAP100へ送信する。
【0035】
図7は、本実施の形態に係るAP100の一部構成を示すブロック図である。図7に示すAP100において、Trigger frame生成部104は、上り信号の送信を指示するTrigger frame(トリガー信号)を生成する。無線送受信部106は、Trigger frameを送信する。また、Trigger frame生成部104は、Trigger frameが、1つ以上の連続するRA用RUを指示する変形User Info field(第1の端末情報フィールド)を有する場合は、変形User Info field中のAID12 subfield(端末IDサブフィールド)に、AID(端末ID)としては使用されない未使用AIDを設定する。
【0036】
[APの構成]
図8は、本実施の形態に係るAP100の構成を示すブロック図である。AP100は、端末200に対して上り信号(例えば、RA信号)の送信を指示するTrigger frame(トリガー信号)を生成し、Trigger frameを端末200へ送信する。
【0037】
図8において、AP100は、RAリソース制御部101と、User Info制御部102と、AID制御部103と、Trigger frame生成部104と、送信信号変調部105と、無線送受信部106と、アンテナ107と、受信信号復調部108と、品質推定部109と、を有する。無線送受信部106は、送信部および受信部を含む。また、RAリソース制御部101、User Info制御部102、AID制御部103、Trigger frame生成部104および品質推定部109は、アクセス制御(MAC:Media Access Control)部を構成する。
【0038】
RAリソース制御部101は、品質推定部109から出力された所定サイズのRU毎の受信品質に基づいて、システム帯域内でRA用RUを割り当てる帯域を決定する。RAリソース制御部101は、RA用RUを割り当てる帯域を示すRA用リソース情報をUser Info制御部102およびTrigger frame生成部104に出力する。
【0039】
RA用リソース情報には、例えば、システム帯域内で割り当てるRA用RU、および、RA信号を生成するための制御情報(User Info fieldに含まれるCoding Type、MCS、DCM、SS Allocation、Target RSSI(目標RSSI))等が含まれる。例えば、RAリソース制御部101は、システム帯域内で他のサービスが利用する帯域と重複するRU、復調時ベースバンドのDC周波数に対応するRUまたは干渉が比較的強いRU等の受信品質が悪いRUに対して、誤り耐性が強いMCS(例えば、BPSK)または比較的高い目標RSSIレベル(例えば、-60dBm)を設定してもよい。また、RAリソース制御部101は、上記以外の干渉が比較的弱いと予想されるRUに対して、伝送効率がより高いMCS(例えば、16QAM)または他の端末への与干渉がより小さい目標RSSIレベル(例えば‐70dBm)を設定してもよい。
【0040】
User Info制御部102は、RAリソース制御部101から出力されるRA用リソース情報に基づいて、Trigger frameを構成するUser Info fieldを制御し、制御結果をTrigger frame生成部104に出力する。
【0041】
具体的には、User Info制御部102は、適用するUser Info fieldフォーマット(変形User Infoまたは通常User Info)と、適用するUser Info fieldで指示するRA用RUを決定する。例えば、User Info制御部102は、変形User Infoを適用する場合、そのUser Info fieldのRU Allocation及びSS Allocationにおいて複数のRA用RUを指示し、当該複数のRA用RUに対して共通のパラメータを指示することを決定する。一方、User Info制御部102は、通常User Infoを適用する場合、そのUser Info fieldにおいて1つのRA用RUを指示し、当該RA用RUに関する個別のパラメータを指示することを決定する。
【0042】
AID制御部103は、User Info fieldのフォーマット(変形User Infoまたは通常User Info)を指示するためのAID(Trigger frameのAID12 subfield情報)を決定する。AID制御部103は、決定したAIDを示すAID情報をTrigger frame生成部104に出力する。
【0043】
例えば、AID制御部103は、RA用RUを指示するためのAIDとして、Scheduled access用の端末固有のAIDに使用されていない未使用のAID(11axの仕様では、AID=0,2008~4094の何れか)を設定してもよい。なお、User Info fieldのフォーマットを指示するAIDの定義の詳細については後述する。
【0044】
Trigger frame生成部(トリガー信号生成部)104は、端末200に対して、RA送信(例えば、OFDMAベースのRA送信)を指示するTrigger frame(例えば、図1図2図4図6Aを参照)を生成する。具体的には、Trigger frame生成部104は、User Info制御部102から出力される情報に基づいて、RAリソース制御部101から出力されるRA用リソース情報に示される各パラメータをUser Info fieldの各subfieldに設定する。
【0045】
例えば、Trigger frame生成部104は、変形User Infoが適用される場合、RAリソース制御部101から出力されるRA用リソース情報(割当RA用RU)に基づいて、RU Allocation subfieldに連続帯域であるRA用RUの開始RUの位置およびRUサイズを設定し、SS allocation subfieldにRA用RUの連続RU数を設定する。一方、Trigger frame生成部104は、通常User Infoが適用される場合、RAリソース制御部101から出力されるRA用リソース情報(割当RA用RU)に基づいて、RU Allocation subfieldに1つのRA用RUの開始位置およびRUサイズを設定する。
【0046】
また、Trigger frame生成部104は、AID制御部103から出力された情報およびUser Info制御部102から出力された情報に基づいて、User Info fieldのフォーマットに対応するAIDをTrigger frameのAID12 subfieldに設定する。
【0047】
そして、Trigger frame生成部104は、生成したTrigger frame(トリガー信号)を送信信号変調部105に出力する。
【0048】
送信信号変調部105は、Trigger frame生成部104から出力されたTrigger frameに対して符号化・変調処理を行う。そして、送信信号変調部105は、変調後の信号に対して、受信側(端末200)での周波数同期、タイミング同期に用いるパイロット信号、チャネル推定用信号等の制御信号(プリアンブルとも呼ばれる)を付加し、無線フレーム(送信信号)を生成し、無線送受信部106に出力する。
【0049】
無線送受信部106は、送信信号変調部105から出力された無線フレーム(送信信号)に対してD/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ107を介して端末200に送信する。また、無線送受信部106は、端末200から送信された信号を、アンテナ107を介して受信し、受信した信号にベースバンドへのダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を受信信号復調部108に出力する。
【0050】
受信信号復調部108は、無線送受信部106から出力された信号に対して自己相関処理等を行うことにより無線フレームを抽出し、品質推定部109に出力する。
【0051】
品質推定部109は、受信信号復調部108から出力された無線フレームに含まれるパイロット信号を用いて所定サイズのRU毎に受信品質を推定し、推定結果をRAリソース制御部101に出力する。
【0052】
[端末の構成]
図9は、本実施の形態に係る端末200の構成を示すブロック図である。端末200は、RA送信を指示するTrigger frameをAP100から受信し、Trigger frameで指示されたRA用RUからランダムに1つのRUを選択し、AP100にRA信号を送信する。
【0053】
図9において、端末200は、アンテナ201と、無線送受信部202と、受信信号復調部203と、Trigger frame復号部204と、AID制御部205と、RAリソース決定部206と、RA生成部207と、送信信号変調部208と、を有する。無線送受信部202は、送信部および受信部を含む。また、AID制御部205、RAリソース決定部206およびRA生成部207は、アクセス制御部(MAC)を構成する。
【0054】
無線送受信部202は、AP100から送信された、RA送信を指示するTrigger frameを、アンテナ201を介して受信し、受信した信号にベースバンドへのダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を受信信号復調部203に出力する。また、無線送受信部202は、後述する送信信号変調部208から出力された信号に対してD/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ201を介してAP100に送信する。
【0055】
受信信号復調部203は、無線送受信部202から出力された信号に対して自己相関処理等を行うことにより無線フレーム(Trigger frame)を抽出し、Trigger frame復号部204に出力する。
【0056】
Trigger frame復号部204は、受信信号復調部203から出力されたTrigger frameに含まれるUser Info fieldのフォーマットを識別し、当該Trigger frameを復号し、復号したTrigger frameをRAリソース決定部206へ出力する。
【0057】
AID制御部205は、AP100のAID制御部103と同様の動作をする。具体的には、AID制御部205は、User Info fieldのフォーマット(変形User Infoまたは通常User Info)を指示するためのAID(Trigger frameのAID12 subfield情報)を決定する。AID制御部205は、決定したAIDを示すAID情報をRAリソース決定部206へ出力する。なお、User Info fieldのフォーマットを指示するAIDの定義の詳細については後述する。
【0058】
RAリソース決定部206は、AID制御部205から出力されるAID情報、および、Trigger frame復号部204から出力されたTrigger frameの情報に基づいて、RA用RUおよびRA信号を生成するための制御情報を決定する。RAリソース決定部206は、決定したRA用RUおよびRA信号を生成するための制御情報をRA生成部207へ出力する。
【0059】
具体的には、RAリソース決定部206は、AID情報に基づいて、Trigger frame復号部204から出力されたTrigger frameのAID12 subfieldに含まれるAIDに対応するUser Info fieldのフォーマット(変形User Infoまたは通常User Info)を特定する。
【0060】
そして、RAリソース決定部206は、User Info fieldのフォーマットが変形User Infoの場合、RU Allocation subfieldからRA用RUの開始位置およびRUサイズを特定し、SS Allocation subfieldからRA用RUの数(連続RU数)を特定し、変形User Info fieldの各subfieldで通知された他のパラメータを、複数のRA用RUに対して共通に適用し、複数のRA用RUの中の1つをランダムに選択し、RA用RUを決定する。
【0061】
また、RAリソース決定部206は、User Info fieldのフォーマットが通常User Infoの場合、RU Allocation subfieldから1つのRA用RUの開始位置およびRUサイズを特定し、通常User Info fieldの各subfield(SS allocation subfieldを含む)で通知された他のパラメータを1つのRA用RUに対して個別に適用する。
【0062】
RA生成部207は、RAリソース決定部206から出力されるRA用RUおよびRA信号を生成するための制御情報に基づいて、端末IDおよび端末200の送信情報(データまたは制御情報等)を含むRA信号を生成し、送信信号変調部208へ出力する。
【0063】
送信信号変調部208は、RA信号に対して符号化・変調を行う。そして、送信信号変調部208は、変調後の信号に対して、AP100での周波数同期、タイミング同期に用いるパイロット信号、チャネル推定用信号等の制御信号(プリアンブル)を付加し、無線フレーム(送信信号)を生成し、無線送受信部202に出力する。なお、RA信号は、RAリソース決定部206で決定した情報に示されるRA用RUに周波数マッピングされる。
【0064】
[AP100および端末200の動作]
次に、本実施の形態のAP100および端末200の動作について詳細に説明する。
【0065】
AP100(Trigger frame生成部104)は、Trigger frameにおいて、1つ以上の連続するRA用RUを指示する変形User InfoのAID12 subfield(端末IDサブフィールド)に未使用AIDを設定することにより、当該未使用AIDを含むUser Info fieldが変形User Infoであることを端末200に指示する。
【0066】
ここで、未使用AIDとは、Scheduled access用の端末固有のAID(つまり、スケジュールされた端末200に対して割り当てられるAID)として使用されていないAID(11axの現仕様では0と2008~4094のいずれか)を示す。
【0067】
このように、未使用AIDを用いて変形User Infoの適用を指示することにより、Trigger Typeの将来拡張性を維持しつつ(つまり、Trigger TypeとしてRA Triggerを新規追加することなく)、当該変形User Infoを用いて複数のRA用RUを低サイズのTrigger frameで指示することができる。
【0068】
以下、未使用AIDを用いてUser Info fieldのフォーマットを指示する方法の具体例1,2について説明する。
【0069】
<具体例1>
具体例1では、RA用RUを指示する場合に設定される未使用AIDは1種類である。
【0070】
すなわち、AID制御部103,205は、変形User Infoを指示するための1つの未使用AIDを決定する。例えば、AID制御部103,205は、変形User IDを指示するための未使用AIDとしてAID = 0を決定する。つまり、Trigger frame生成部104は、AID12 subfieldでAID = 0(未使用AID)を設定することにより、当該AID12 subfieldを含むUser Info fieldが変形User Infoであることを端末200へ指示する。
【0071】
また、具体例1では、通常User InfoによるRA用RUの指示が排除される。つまり、具体例1では、全てのRA用RUは、変形User Infoによって指示される。
【0072】
例えば、Trigger frame生成部104は、変形User Infoを複数設定することで、各変形User Info毎のパラメータ設定が可能となる。つまり、具体例1では、変形User Infoを含む低サイズのTrigger frameを用いることで、通常User InfoによるRA用RUの割当(つまり、RU個別の設定)に近い動作が可能となる。なお、具体例1では、RA送信は、空間多重数=1(MIMO無し)に限定される。
【0073】
以下、具体例1における、1つの未使用AID(AID = 0)を用いて変形User Infoを指示する具体例1-1,1-2について説明する。
【0074】
<具体例1-1>
具体例1-1では、AP100のTrigger frame生成部104は、1つのTrigger frameで1つの変形User Infoを設定する。
【0075】
詳細には、図10の一例に示すように、Trigger frame生成部104は、1つの変形User InfoのAID12 subfieldに未使用AIDであるAID=0を設定することにより、このAID12 subfieldを含むUser Info fieldが変形User Infoであることを端末200へ指示する。
【0076】
つまり、Trigger frame生成部104は、図10に示すRU Allocation subfieldに複数のRA用RUの開始RUの位置およびRUサイズを設定し、SS allocation subfieldに、空間多重ストリーム数ではなく、RA用RUの連続数を設定する。例えば、SS allocation subfieldで採りうる値が0~63(6bit)の場合、SS allocation subfieldで通知可能なRA用RUの連続数はそれぞれ1~64となる。これにより、AP100は、端末200に対して、1つの変形User Infoによって、1個から64個までの連続するRUを指定することが可能になる。図10に示す一例では、1つの変形User Infoによって、7個の連続するRA用RU(連続RU=7)が指定されている。
【0077】
このように、具体例1-1では、1つの変形User Infoによって全てのRA用RUを指示するので、Trigger frameサイズを低減することができる。
【0078】
<具体例1-2>
具体例1-2では、AP100のTrigger frame生成部104は、1つのTrigger frameで複数の変形User Infoを設定する。
【0079】
詳細には、図11の一例に示すように、Trigger frame生成部104は、1つのTrigger frameに2つの変形User Infoを含める。また、Trigger frame生成部104は、具体例1-1と同様、各変形User InfoのAID12 subfieldに未使用AIDであるAID=0を設定することにより、このAID12 subfieldを含む各User Info fieldが変形User Infoであることを端末200へ指示する。
【0080】
図11では、AP100は、1つ目の変形User Infoで7個の連続するRA用RUを指示し、それらのRUに対してMCS#1(例えば16QAM)を指示する。また、AP100は、2つ目の変形User Infoで1つのRA用RUを指示し、そのRUに対してMCS#2(例えばQPSK)を指示する。
【0081】
ここで、図11に示すように、複数の変形User Infoによってそれぞれ指示される連続RA用RUが重複する場合(図11では、7個のRA用RUのうち中央のRU)、端末200のRAリソース決定部206は、重複するRUでは、複数の変形User Infoのうち、連続RU数が小さいRUを通知する変形User Infoの指示を優先する。つまり、図11では、SS Allocationで1つのRA用RU(連続RU=1)を通知する変形User Infoの指示を優先し、中央のRUでは、MCS#2が適用される。
【0082】
これにより、1つのTrigger frameによって指示される複数のRA用RU間で複数の異なるパラメータを使い分けることができる。また、変形User Infoで指示する連続RU数=1とすることで、単独のRU毎のパラメータを指示することも可能となる。例えば、図11では、7個の連続するRA用RUのうち、中央のRUに対して、他のRUと異なるパラメータ(MCS)が設定されている。すなわち、図11では、7個の連続するRA用RUのうち、中央のRU以外の6個の非連続帯域を構成するRUに対して同一パラメータ(MCS)が設定されている。
【0083】
例えば、AP100は、1つのTrigger frameに複数の変形User Infoを設定することにより、図11に示すような複数の連続するRA用RUのうち、性能劣化が予想される一部のRU(例えばDC付近のRU)に対して、ロバストなMCS(例えば、QPSK)を設定することが可能となる。
【0084】
このように、具体例1-2では、全てのRA用RUにおいて空間多重数=1(MIMO無し)に限定される点以外では、RA用RA毎のパラメータ(MCSまたは目標RSSI等)の指示、つまり、通常User Infoと同様な指示が可能となる。
【0085】
よって、具体例1-2によれば、変形User Infoを適用する場合でも、RU個別のパラメータを指示することができるので、各RUで予想される性能に応じたパラメータを適用でき、スループットを向上させることができる。
【0086】
また、具体例1-2によれば、複数の変形User Infoによって指示したRUが重複する場合に優先するRUに関するルールを定義することで、AP100は、予想されるRUの性能に応じたパラメータを、少ないTrigger frameサイズ(つまり、少ないUser Info fieldの数)で指示することができる。
【0087】
なお、1つのTrigger frameに含める複数の変形User InfoによるRA用RUの割当方法は、図11に示す例に限定されない。
【0088】
例えば、図12に示すように、AP100は、1つのTrigger frameに含める2つの変形User Infoで互いに重複しないRUをそれぞれ指示してもよい。図12では、AP100は、1つ目の変形User Infoで4個のRA用RUを指示し、それらのRUに対してMCS#1(例えば16QAM)を指示する。また、AP100は、2つ目の変形User Infoで、1つ目の変形User Infoによって指示される4個のRA用RUに隣接する領域(つまり、重複しない領域)の3個のRA用RUを指示し、それらのRUに対してMCS#2(例えばQPSK)を指示する。
【0089】
また、図13に示すように、AP100は、1つのTrigger frameに含める2つの変形User Infoで互いに離れた領域のRUをそれぞれ指示してもよい。図13では、AP100は、1つ目の変形User Infoで4個のRA用RUを指示し、2つ目の変形User Infoで、1つ目の変形User Infoによって指示される4個のRA用RAから離れた領域(つまり、重複しない)の3個のRA用RUを指示する。
【0090】
なお、図13では、何れの変形User Infoで通知されるRUに対してもMCS#1を適用しているが、変形User Info毎に異なるパラメータが指定されてもよい。つまり、複数の変形User Infoで共通のMCS等のパラメータを設定してもよいし、図12と同様に変形User Info毎に異なるパラメータを設定してもよい。また、図13に示すように、複数の変形User Infoによってそれぞれ指定された、離れた2つの領域の間には、Scheduled access用RU、または未指定の空きRU(非割当RU)等の任意のRUが存在してもよい。なお、複数の変形User Infoで通知される全てのRUに対して共通のCoding Type、MCSおよびDCMパラメータを設定すると、RU毎の伝送特性等に応じた柔軟な設定がしにくくなる。しかし、OFDMAベースのランダムアクセスでは、端末が送信権を得た場合、全てのランダムアクセス用RUから一つのRUをランダムに選択する。そのため、複数の変形User Infoで通知されるRUにおいて伝送可能なデータ量が互いに異なると、端末がRUを選択した後に送信フレームのデータ量を決定する必要があり、送信フレーム生成処理が複雑になる。よって、複数の変形User Infoで共通のパラメータを用いることで、全てのランダムアクセス用RUにおける伝送可能なデータ量が一定になるため、端末における送信フレーム生成処理が簡略化できる。
【0091】
また、図11図13では、1つのTrigger frameに2つの変形User Infoが含まれる場合について説明したが、1つのTrigger frameに含まれる変形User Infoは3個以上でもよい。
【0092】
<具体例2>
具体例2では、RA用RUを指示する場合に設定される未使用AIDは複数種類ある。
【0093】
すなわち、AID制御部103,205は、RA用RUを指示するUser Info(変形User Info又は通常User Info)を指示するための複数の未使用AIDを決定する。
【0094】
AID制御部103,205は、RA用RUを指示するUser Infoの中で、通常User Infoに対応する未使用AIDと、変形User Infoに対応する未使用AIDとを区別して決定する。例えば、AID制御部103,205は、通常User Infoを指示するための未使用AIDとしてAID=0を決定し、変形User Infoを指示するための未使用AIDとしてAID=2048を決定する。
【0095】
つまり、Trigger frame生成部104は、AID12 subfieldにAID = 0を設定することにより、当該AID12 subfieldを含むUser Info fieldが通常User Infoであることを端末200へ指示し、1つのRA用RUを指示する。また、Trigger frame生成部104は、AID12 subfieldにAID=2048(AID=0ではない未使用AID)を設定することにより、当該AID12 subfieldを含むUser Info fieldが変形User Infoであることを端末200へ指示し、複数のRA用RU(連続するRA用RU)を指示する。
【0096】
ここで、AID=2048は12bitsのAID12 subfieldにおいて、MSB(最上位ビット)のみが1となり、他の下位11ビットが0となる値に相当する。よって、上述したように、AID=0または2048を用いることで、端末200は、下位11ビットが全て0の場合にRA用User Infoであると判断し、MSBのみで変形User Infoであるか通常User Infoであるかを判断することができる。これにより、端末200の処理を簡易化できる。
【0097】
図14に示す一例では、AP100のTrigger frame生成部104は、複数の未使用AID(AID=0,2048)のうち、通常User InfoのAID12 subfieldにAID=0を設定し、変形User InfoのAID12 subfieldにAID=2048を設定する。また、図14では、AP100は、2つの変形User Infoによって3個のRA用RU(連続RU=3)をそれぞれ指示し、それらのRUに対してMCS#1(例えば16QAM)を指示する。また、AP100は、1つの通常User Infoによって1つのRA用RUを指示し、そのRUに対してMCS#2(例えばQPSK)を指示する。
【0098】
これにより、1つのTrigger frameによって指示される複数のRA用RU間で複数の異なるパラメータを使い分けることができる。また、変形User Infoで指示する連続RU数=1とすること、または、通常User Infoを設定することで、単独のRU毎のパラメータを指示することも可能となる。例えば、図14では、7個の連続するRA用RUのうち、中央のRUに対して、他のRUと異なるパラメータ(MCS)が設定されている。すなわち、図14では、7個の連続するRA用RUのうち、中央のRU以外の6個の非連続帯域を構成するRUに対して同一パラメータ(MCS)が設定されている。
【0099】
例えば、AP100は、性能劣化が予想される一部のRU(例えば中央のRU)に対して、通常User Infoまたは連続RU数=1が設定された変形User Infoによって誤り耐性が強いロバストなMCSを個別に設定することが可能となる。
【0100】
このように、具体例2によれば、通常User Infoと変形User Infoとを組み合わせることで、各RUで予想される性能に応じたパラメータを適用でき、スループットを向上させることができる。また、具体例2によれば、AP100は、具体例1と同様、変形User Infoを用いて連続するRA用RUを指示することで、Trigger frameサイズを低減することができる。また、具体例2では、通常User Infoを用いることにより、SS allocation subfieldにおいて空間多重ストリーム数の設定(つまり、MIMOの適用)も可能となる。
【0101】
なお、図14では、通常User Infoに対してAID=0が設定され、変形User Infoに対してAID=2048が設定される場合について説明したが、通常User Infoおよび変形User Infoに設定される未使用AIDは、0,2048に限らず、他の値が設定されてもよい。
【0102】
また、具体例2では、1つのTrigger frameによって指示されるRA用RUは、図14に示すような連続するRUに限定されず、例えば、図15に示すように、互いに離れた非連続領域のRUが指示されてもよい。
【0103】
以下、具体例2において未使用IDを用いて、User Info fieldが通常User Infoまたは変形User Infoであることを指示する方法の具体例2-1,2-2について説明する。
【0104】
<具体例2-1>
具体例2-1では、AP100のTrigger frame生成部104は、通常User Info(AID=0)で指示したRA用RUと、変形User Info (AID≠0の未使用AID)で指示した連続RA用RUを端末200へ指示する。
【0105】
詳細には、図16の一例に示すように、Trigger frame生成部104は、変形User Info(AID=2048)によって7個のRA用RU(連続RU=7)を指示し、それらのRUに対してMCS#1(例えば16QAM)を指示する。また、Trigger frame生成部104は、通常User Info(AID=0)によって1つのRA用RUを指示し、そのRUに対してMCS#2(例えばQPSK)を指示する。
【0106】
ここで、図16に示すように、通常User Infoで指示される1つのRA用RUと、変形User Infoで指示される連続RA用RUとが重複する場合(図16では、7個のRA用RUのうち中央のRU)、端末200のRAリソース決定部206は、重複するRUでは、通常User Infoの指示を優先する。つまり、図16では、中央のRUに対して、通常User Infoの指示を優先し、MCS#2が適用される。
【0107】
これにより、具体例2-1では、具体例2(図14)と同様、1つのTrigger frameによって指示されるRA用RU間で複数パラメータを使い分けることができる。例えば、図16に示すように、AP100は、性能劣化が予想される一部のRU(例えば中央のRU)に対して、通常User Infoによって誤り耐性が強いロバストなMCSを個別に設定してもよい。
【0108】
また、具体例2-1によれば、通常User Infoおよび変形User Infoによってそれぞれ指示したRUが重複する場合に優先するRUに関するルールを定義することで、AP100は、予想されるRUの性能に応じたパラメータを、少ないTrigger frameサイズ(つまり、少ないUser Info fieldの数)で指示することができる。例えば、具体例2-1(図16)では、具体例2(図14)と同一のRA用RU設定を、低サイズ(より少ないUser Info fieldの数)のTrigger frameで指示することができる。
【0109】
<具体例2-2>
具体例2-2では、複数種類の未使用AIDの各々に、RA信号を送信する端末200の制約条件(端末制約条件)がそれぞれ対応付けられる。すなわち、AP100は、複数の未使用AIDを用いて、RA信号を送信する端末200の端末制約条件を指示する。
【0110】
図17の一例に示すように、AID制御部103,205は、RA用RUを指示する変形User Infoに対応する未使用AIDとしてAID=2008と2009を決定する。また、AID制御部103,205は、AID=2008および2009に対して異なる端末制約条件を対応付ける。そして、AP100のTrigger frame生成部104は、AID12 subfieldにAID=2008または2009を設定することにより、当該AID12 subfieldを含むUser Info fieldが双方とも変形User Infoであることを端末200へ指示する。
【0111】
また、図17では、AP100は、変形User Infoを示す未使用AID毎の異なる端末制約条件として端末200の接続条件を指示する。具体的には、図17に示すように、AID=2008によって指示されるRA用RUは、AP100と接続済の端末200(Associated STA)に限定したRA用RUとする。また、AID=2009によって指示されるRA用RUは、AP100と未接続の端末200(Unassociated STA)に限定したRA用RUとする。
【0112】
これにより、各RUでRA信号を送信する端末200を、Associated STAとUnassociated STAとに分けることができる。これにより、AP100は、端末200の接続条件毎に適切なパラメータを設定することができる。
【0113】
例えば、AP100は、Associated STAに関する情報(端末200の通信状況)を既に保持しているので、Associated STAに対する上りリンクのパラメータ(電力またはMCS等)を適切に調整することができる。これに対して、AP100は、Unassociated STAに関する情報を保持していないので、Unassociated STAに対する上りリンクのパラメータとして、誤り耐性の強いロバストな値を設定する。よって、図17に示すように、AP100は、Associated STAとUnassociated STAとでRA用RUを分けて、同一パケットでOFDMA多重させないようにスケジューリングすることで、例えば、異なるパラメータ(例えば、送信電力)が設定された端末200間の干渉を低減することができる。また、AP100は、Unassociated STAに対して、より誤り耐性が強いMCSを設定することで性能劣化を防止することができる。
【0114】
また、他の例として、AP100は、変形User Infoを示す未使用AID毎の異なる端末制約条件として、端末200の送信電力条件を指示してもよい(図示せず)。具体的には、AID=2008によって指示されるRA用RUは、要求される上り送信電力が端末200の最小電力以上、つまり、要求通りの上り送信電力で送信可能な端末200に限定したRA用RUとする。また、AID=2009によって指示されるRA用RUは、要求される上り送信電力が端末の最小電力以下、つまり、要求通りの上り送信電力で送信できない端末に限定したRA用RUとする。
【0115】
これにより、AP100は、例えば、要求通りの上り送信電力で送信できない端末200と、要求通りの上り送信電力で送信できる端末200とが同一パケットでOFDMA多重させないようにスケジューリングすることで、端末200間の干渉を低減することができる。また、AP100は、要求通りの上り送信電力で送信できない端末200に対して、より誤り耐性が強いMCSを設定することで性能劣化を防止することができる。
【0116】
また、他の例として、AP100は、変形User Infoを示す未使用AID毎の異なる端末制約条件として、端末200の送信データの制約条件を指示してもよい(図示せず)。具体的には、AID=2008の場合、User Info fieldにTrigger Dependent user Info情報を含めた変形User Infoであることが指示され、AID=2009の場合、User Info fieldにTrigger Dependent user Info情報が無い変形User Infoであることが指示されてもよい。
【0117】
User Info fieldにTrigger Dependent user Info情報が有る場合(つまり、複数のMPDUを連結したA-MPDU(Aggregate MAC protocol data unit)を用いる場合)には、Trigger Dependent user Info情報が無い場合と比較して、AP100における処理時間が長くなることが想定される。よって、AP100は、例えば、Trigger frameによる指示によって送信する上り信号に対する処理時間に応じて端末200が使用するRUを分けるようにスケジューリングすることで、RUの利用効率を向上させることができる。
【0118】
なお、端末制約条件は、上述した端末200の接続条件、送信電力条件および送信データの制約条件に限定されるものではない。
【0119】
このように、具体例2-2によれば、複数の未使用AIDと端末200の制約条件とを関連付けて指示することにより、AP100は、端末200の状態に応じてRA用RUを適切にスケジューリングできる。
【0120】
なお、具体例2-2では、1つのTrigger frameによって指示されるRA用RUは、図17に示すような連続するRUに限定されず、例えば、図18に示すように、互いに離れた非連続領域のRUが指示されてもよい。
【0121】
以上、未使用AIDを用いて、User Info fieldのフォーマットを指示する方法の具体例1,2について説明した。
【0122】
なお、ここでは、変形User Infoによって指示されるパラメータの一例として、MCSについて説明したが、他のパラメータ(Coding Type、DCM、Target RSSI)についてもMCSと同様に指示される。
【0123】
[効果]
以上のように、本実施の形態によれば、AP100のTrigger frame生成部104は、Trigger frameにおいて、1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットを指示する変形User Infoに、Scheduled accessで使用されない未使用AIDを設定する。これにより、端末200は、Trigger frameの各User Info fieldのAID12 subfieldに示されるAIDの値に基づいて、当該User Info fieldが変形User Infoであるか否かを判定することができる。
【0124】
よって、本実施の形態によれば、変形User Infoの指示のために、Trigger typeのReserved領域を使用(消費)する必要がない。つまり、将来の規格拡張の余地を残しつつ、変形User Infoを指示することができる。よって、本実施の形態によれば、Trigger frameにおいて適切に変形User Infoを設定することができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、1つのTrigger frameにおいて複数の変形User Info(または通常User Infoおよび少なくとも1つの変形User Info)を設定することにより、連続するRUに限らず、非連続なRUの割当が可能となり、かつ、User Info毎に異なるパラメータの指示が可能となる。これにより、例えば、Trigger frameで指示する複数のRA用RU毎に想定される性能に応じたパラメータを適用することで、スループットの向上を図ることができる。
【0126】
(実施の形態2)
例えば、図6A等を用いて説明したように、変形User Infoが設定される場合、Trigger Dependent Common Info subfieldおよびTrigger Dependent User Info subfieldを削除することでTrigger frameサイズを削減することが検討されている。
【0127】
しかしながら、Trigger TypeがBasic Trigger(図3を参照)の場合(上り信号の形式を限定せず、通常データの送信を指示するTrigger frameの場合)、User Info fieldにTrigger Dependent User Info subfieldを含め、図5に示す上り送信データの制約情報(MPDUの連結数の制限または推奨するAC等)を通知することは、Scheduled access送信と同様にRA送信においても有用である。
【0128】
そこで、本実施の形態では、変形User Infoを送信する場合に上り送信データの制約情報を効率良く送信する方法について説明する。
【0129】
本実施の形態に係る無線通信システムは、AP(無線送信装置)300および端末(無線受信装置)400を備える。AP300が端末400に対して、RA送信を指示するTrigger frameを送信し、端末400がTrigger frameを受信し、Trigger frameで指示されたリソースを用いてRAをAP300へ送信する。
【0130】
[APの構成]
図19は、本実施の形態に係るAP300の構成を示すブロック図である。なお、図19において、実施の形態1(図8)と同様の動作を行う構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、AP300は、実施の形態1に係るAP100(図8)に対して、Trigger依存情報制御部301が追加された点と、Trigger frame生成部302の動作が異なる。
【0131】
Trigger依存情報制御部301は、Trigger Typeに応じたTrigger依存情報(Trigger Dependent Common InfoまたはTrigger Dependent User Info)を決定し、Trigger依存情報(上り送信データの制約情報)、および、Trigger依存情報を配置するfield、subfieldを示す情報を、Trigger frame生成部302へ出力する。
【0132】
なお、Trigger frameにおけるTrigger依存情報の配置は、例えば、仕様等で規定され、送受信装置間(AP300と端末400との間)で認識が合っている。例えば、Trigger TypeがBasic Triggerであり、User Info fieldのフォーマットが変形User Infoの場合に、Trigger依存情報として上り送信データの制約情報がTrigger frameに含まれる。なお、Trigger依存情報を端末400に適用する方法については後述する。
【0133】
Trigger frame生成部302は、実施の形態1のTrigger frame生成部104の動作に加え、Trigger依存情報制御部301の指示に従い、Trigger依存情報を、Trigger frameの所定のfield、subfieldに設定する。
【0134】
[端末の構成]
図20は、本実施の形態に係る端末400の構成を示すブロック図である。なお、図20において、実施の形態1(図9)と同様の動作を行う構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。具体的には、端末400は、実施の形態1に係る端末200(図9)に対して、Trigger依存情報取得部401が追加された点と、RA生成部402の動作が異なる。
【0135】
Trigger依存情報取得部401は、Trigger frame復号部204から出力されるTrigger frameから、Trigger依存情報(Trigger Dependent Common Info又はTrigger Dependent User Info)を取得し、取得したTrigger依存情報をRA生成部402へ出力する。
【0136】
RA生成部402は、RAリソース決定部206で決定したRA用RUおよびRA信号を生成するための制御情報、および、Trigger依存情報取得部401から出力されるTrigger依存情報に基づいて、端末IDおよび端末400の送信情報(データまたは制御情報等)を含むRA信号を生成する。
【0137】
[AP300および端末400の動作]
次に、本実施の形態のAP300および端末400の動作について詳細に説明する。
【0138】
AP300は、Trigger TypeがBasic Triggerの場合には、User Info fieldのフォーマットが変形User Infoの場合でも、Trigger依存情報として上り送信データの制約情報を指示する。
【0139】
以下、変形User Infoを含むTrigger frameにおける上り送信データの制約情報を指示する方法の具体例1~3について詳細に説明する。
【0140】
<具体例1>
図6Aに示すように変形User InfoにTrigger Dependent User Info subfieldを含まないTrigger frameにおいて、Trigger TypeがBasic Triggerである場合、端末400がTrigger frameの各User Info fieldのサイズを識別するためには(各User Info fieldの境界を把握するためには)、各User Info fieldのAID12 subfieldを復号する必要があり、端末400の受信処理が複雑化する。
【0141】
そこで、具体例1は、Trigger TypeがBasic Triggerの場合、変形User InfoにもTrigger Dependent User Info subfieldを含めて、Trigger依存情報として上りデータの制約情報が設定される。
【0142】
つまり、AP300のTrigger frame生成部302は、Trigger frameのTrigger TypeがBasic Triggerである場合、変形User Infoに、上り信号の送信時の制約情報を設定する。
【0143】
具体的には、図21の一例では、Trigger frameにおいて、Scheduled access用のRUを指示する通常User Info(AID=1および2)と、複数のRA用RUを指示する変形User Info(AID=0)とが混在している。また、図21では、Common Info fieldのTrigger Type subfieldに、Basic Triggerが設定されている。
【0144】
この場合、通常User Infoでは、Trigger Dependent User Infoとして端末個別に上り送信データの制約情報が設定される。一方、変形User Infoでは、Trigger TypeとしてBasic Triggerが設定されている場合に限定して、Trigger Dependent User InfoとしてRA用RUに適用すべき上り送信データの制約情報が設定される。
【0145】
これにより、端末400は、Trigger frameのCommon Infoに含まれるTrigger TypeがBasic Triggerである場合、全てのUser Info fieldがTrigger Dependent User Infoを含むサイズ(例えば、5 bytes)、つまり、同一サイズであると判断することができる。すなわち、端末400は、User Info fieldのサイズを識別するために各User Info fieldのAID12 subfieldを復号する必要が無い。
【0146】
このように、具体例1によれば、Trigger TypeからUser Info fieldのフォーマットに依らず全てのUser Info fieldのサイズが一意に定まるので、端末400の受信処理を簡易化できる。
【0147】
また、AP300は、変形User InfoにおいてもTrigger Dependent user Info情報を通知することができるので、端末400のRA送信においても、Scheduled access送信と同様に、データ送信時の制約情報を有効活用することができる。
【0148】
<具体例2>
具体例2では、Trigger frameのTrigger TypeがBasic Triggerである場合、当該Trigger frameの変形User Infoによって1つ以上の連続するRA用RUが指示される端末400に対して、上り信号の送信時の制約が適用される。
【0149】
すなわち、具体例2では、図22の一例に示すように、Trigger TypeがBasic Triggerの場合、具体例1(図21)と異なり、変形User InfoにTrigger Dependent User Info subfieldを含めない。
【0150】
なお、端末400が送信する上りデータに対する固定的な制約としては、例えば、図5に示すようなMPDU MU Spacing Factor及びTID Aggregation Limitを、MPDU数=1を想定した固定値(小さいサイズの単一のMPDU)に限定してもよい。これにより、AP300の応答時間の遅延を防止することができる。なお、端末400が送信する上りデータに固定的な制約は、MPDU数=1を想定した固定値に限定されず、他の値でもよい。
【0151】
これにより、具体例2では、Trigger TypeがBasic Triggerの場合に、実施の形態1と同様にして、変形User Infoで複数のRA用RUを指示することで、Trigger Frameのサイズを低減しつつ、変形User Infoで指示したRA用RUを使用したRA送信において制約を適用することができる。
【0152】
<具体例3>
具体例3では、Trigger TypeがBasic Triggerの場合、図23に示すように、Common InfoにTrigger Dependent Common Info subfieldを含めて、OFDM多重される全ての端末400で共通のパラメータとしてデータ送信時の制約情報が設定される。
【0153】
つまり、AP300のTrigger frame生成部302は、Trigger frameのTrigger TypeがBasic Triggerである場合、Common Infoに、上り信号の送信時の制約情報を設定する。
【0154】
すなわち、具体例3では、User Info fieldのフォーマット(変形User Infoおよび通常User Info)に依らず、User Info fieldに上り信号の送信時の制約情報が設定されない。このため、図23に示すように、Trigger TypeがBasic Triggerの場合でも、変形User Infoおよび通常User Infoの双方にTrigger Dependent User Info subfieldが含まれない。
【0155】
Common Infoに制約情報が設定されるため、OFDM多重する全ての端末400でデータ送信の制約条件が共通になるものの、User InfoにTrigger Dependent User Info subfieldが含まれないので、Trigger Frameのサイズを低減することができる。
【0156】
また、具体例3では、User Info fieldのフォーマットに依らず、User InfoにTrigger Dependent user Info fieldが含まれないので、具体例1と同様に、Trigger Typeから全てのUser Info fieldのサイズが一意に定まる。よって、端末400は、User Info fieldのサイズを識別するために各User Info fieldのAID12 subfieldを復号する必要が無くなるので、端末400の受信処理を簡易化できる。
【0157】
以上、変形User Infoを含むTrigger frameにおいて上り送信データの制約情報を指示する方法の具体例1~3について詳細に説明した。
【0158】
なお、図21図23では、1つのTrigger frameによって指示されるRA用RUが連続するRUである場合について示しているが、これに限定されず、実施の形態1(例えば、図13図15図18)と同様、1つのTrigger frameによって互いに離れた非連続領域のRUが指示されてもよい(図示せず)。
【0159】
また、本実施の形態で説明した動作は、Trigger TypeがBasic Triggerである場合の動作に限定されない。例えば、RA送信が可能であって、Trigger Dependent User Infoを含めるTrigger Typeであれば、本実施の形態の動作を同様に適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0160】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0161】
(他の実施の形態)
(1)図24に示すように、1つのTrigger frameにおいて、上記実施の形態で示した変形User Info又は通常User InfoによるRA用RUの指示と、Scheduled access用RUの指示とを混在させてもよい。
【0162】
(2)上記実施の形態では、未使用AIDによって変形User Infoを指示する方法について説明したが、未使用AIDの代わりに、User Info fieldのReserved領域(1bit)を用いて変形User Infoを指示してもよい。例えば、Reserved領域の1bitによって、変形User Infoであるか、通常User Infoであるかを示すUser Info fieldのフォーマット指定に使用されてもよい。または、User Info fieldの他subfieldを用いて変形User Infoを指示してもよい。例えば、AID=0でRA用RUを指示し、RA用RUではDCMを禁止とする代わりに、DCMの1bitによって変形User Infoであるか、通常User Infoであるかを示すフォーマット指定に使されてもよい。
【0163】
(3)また、RA用RUの指示において、通常User Info (AID=0で指示)と、変形User Info (AID≠0の未使用AIDで指示)とのTrigger frame内の通知順序を予め定めてもよい。これにより、端末の受信処理を簡易化することができる。
【0164】
仕様では、端末の受信処理を簡易化する目的で、Trigger frame内のUser Infoについて、Scheduled access用RUが先に通知され、その後にRA用RUが通知されるという通知順が規定されている。本実施の形態のように、RA用RUを通常User Infoと変形User Infoとで混在させて通知する場合、これらのUser Infoについての通知順も規定することで、端末の受信処理を簡易化することができる。
【0165】
例えば、図25に示すように、「Scheduled access用RUの通知(図25ではAID=1, 2の端末を個別に指示するUser Info)」、「変形User InfoによるRA用RUの通知(図25ではAID=2048で指示)」、「通常User InfoによるRA用RUの通知(図25ではAID=0で指示)」の順に通知することを規定してもよい。このように通知順を規定することで、上記実施の形態(例えば、図16を参照)のように指示したRA用RUが重複した場合に、変形User Infoの指示を通常User Infoの指示で上書きする場合等において端末の受信処理が簡易化できる。
【0166】
更に、1つのTrigger frameに含まれる複数の変形User Infoについての通知順として、指示する連続RU数が多い変形User Infoの順に通知することを規定してもよい。このように通知順を規定することで、上記実施の形態(例えば、図11を参照)のように、指示したRUが重複した場合に、連続RU数が多い変形User Infoの指示を連続RU数が少ない変形User Infoの指示で上書きする場合等において端末の受信処理が簡易化できる。
【0167】
(4)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0168】
本開示の通信装置は、上り信号の送信を指示するトリガー信号を生成し、トリガー信号が、1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットを指示する第1の端末情報フィールドを有する場合は、第1の端末情報フィールド中の端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDを設定するトリガー信号生成部と、生成されたトリガー信号を送信する送信部と、を具備する。
【0169】
本開示の通信装置において、ランダムアクセス用のリソースユニットを指示する場合に、端末IDサブフィールドに設定される未使用IDは1種類である。
【0170】
本開示の通信装置において、トリガー信号が、複数の第1の端末情報フィールドを含む場合、複数の第1の端末情報フィールドの各々によって指示される1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットが重複する場合、当該重複するリソースユニットでは、複数の第1の端末情報フィールドのうち、指示されるリソースユニットの数が少ない端末情報フィールドの指示が優先される。
【0171】
本開示の通信装置において、ランダムアクセス用のリソースユニットを指示する場合に、端末IDサブフィールドに設定される未使用IDは複数種類ある。
【0172】
本開示の通信装置において、トリガー信号生成部は、複数種類の未使用IDのうち、第1の端末情報フィールド中の端末IDサブフィールドに第1の未使用IDを設定し、1つのランダムアクセス用のリソースユニットが指示される第2の端末情報フィールド中の端末IDサブフィールドに第2の未使用IDを設定し、第1の端末情報フィールドで指示されるリソースユニットと、第2の端末情報フィールドで指示されるリソースユニットとが重複する場合、当該重複するリソースユニットでは、第2の端末情報フィールドの指示が優先される。
【0173】
本開示の通信装置において、複数種類の未使用IDの各々には、ランダムアクセス信号を送信する端末の制約条件がそれぞれ対応付けられる。
【0174】
本開示の通信装置において、トリガー信号が上り信号の形式を限定しない種類である場合、トリガー信号生成部は、第1の端末情報フィールドに、上り信号の送信時の制約を示す情報を設定する。
【0175】
本開示の通信装置において、トリガー信号が上り信号の形式を限定しない種類である場合、当該トリガー信号の第1の端末情報フィールドによって1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットが指示される端末に対して、上り信号の送信時の制約が適用される。
【0176】
本開示の通信装置において、トリガー信号が上り信号の形式を限定しない種類である場合、トリガー信号生成部は、上り信号の送信時の制約を示す情報を、第1の端末情報フィールドに設定せずに、端末共通の情報を含める共通情報フィールドに設定する。
【0177】
本開示の通信方法は、上り信号の送信を指示するトリガー信号を生成し、トリガー信号が、1つ以上の連続するランダムアクセス用のリソースユニットを指示する第1の端末情報フィールドを有する場合は、第1の端末情報フィールド中の端末IDサブフィールドに、端末IDとしては使用されない未使用IDを設定し、生成されたトリガー信号を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本開示の一態様は、冗長なフィールドの有効利用あるいは削減を図ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0179】
100,300 AP
101 RAリソース制御部
102 User Info制御部
103,205 AID制御部
104,302 Trigger frame生成部
105,208 送信信号変調部
106,202 無線送受信部
107,201 アンテナ
108,203 受信信号復調部
109 品質推定部
200,400 端末
204 Trigger frame復号部
206 RAリソース決定部
207,402 RA生成部
301 Trigger依存情報制御部
401 Trigger依存情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25