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特開2022-97728パワーコンディショナおよび蓄電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097728
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】パワーコンディショナおよび蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220623BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220623BHJP
【FI】
H02J1/00 306B
H02J9/06 120
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079615
(22)【出願日】2022-05-13
(62)【分割の表示】P 2018120072の分割
【原出願日】2018-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽山 廣美
(72)【発明者】
【氏名】西 宏規
(72)【発明者】
【氏名】大柄 貴志
(57)【要約】
【課題】出力優先順位が高い供給源からの電力供給が不能となった場合においても、電力バスに所望の電力を供給し、中間電圧を適正な値に維持する。
【解決手段】本発明に係るパワーコンディショナは、予め決定された出力優先順位に基づいて、複数の供給源のうち出力優先順位が高い供給源の出力電圧を出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、出力優先順位が高い供給源に電力バスへの電力供給を行わせる制御部を備える。この制御部は、電力バスの電圧を監視して、負荷の消費電力が出力優先順位が高い供給源からの供給電力よりも大きくなったことに伴って電力バスの電圧が出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、出力優先順位が高い供給源に電力バスへの電力供給を行わせながら、出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給する複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータと、
予め決定された出力優先順位に基づいて、前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、ことを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
複数の供給源として、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、電動車に搭載された車載蓄電池に対して充放電制御を行うV2Hスタンドと、定置型の蓄電池ユニットとを備えた蓄電システムにおいて、
前記複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータを含むパワーコンディショナと、
予め決定された出力優先順位に基づいて、前記発電装置を除く前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記発電装置から前記電力バスへの電力供給が実質的に行われていない場合、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
複数の供給源として、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、電動車に搭載された車載蓄電池に対して充放電制御を行うV2Hスタンドと、定置型の蓄電池ユニットとを備えた蓄電システムにおいて、
前記複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータを含むパワーコンディショナと、
予め決定された出力優先順位に基づいて、前記発電装置を除く前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記発電装置から前記電力バスへの電力供給が行われている場合、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記発電装置からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧まで低下すると、前記発電装置に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が高い供給源からの電力供給を開始させる、ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷の消費電力が前記発電装置からの供給電力と前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力との和電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記和電力の供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、ことを特徴とする請求項3に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンディショナおよび蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムと、電気自動車、蓄電池等を組み合わせて、昼間、太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めて、夜間に、電気自動車へ電気を移動するエレムーブ(登録商標)や、電気自動車に貯めた電気も利用することにより、長期間の停電にも対応可能なトライブリッド蓄電システム(出願商標)の開発が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、このような分散電源システムにおいて、系統電源、太陽光パネルおよび蓄電池等の複数の入力源と、これら複数の入力源からの入力を受けて出力する電力バスと、電力バスから出力される入力源からの電力を集中させて受ける蓄電池、EV(電気自動車)用電池および系統電源(回生)の複数の出力源とを備えて電力融通システムを構成し、複数の入力源間の入力制御に、設定電圧の高い順に優先順位を与えて電力バスに入力制御し、複数の出力源への出力は、設定電圧の低い順に優先順位を与えて出力制御することにより、複数の電力装置間で制御の優先順位をつけ、優先順位の高い方から、それぞれ一定の設定値により入出力制御を実施し、電力余剰分は、優先順位の低い電力装置が過不足分を小さくするようなシステムも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-38126号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】トライブリッド蓄電システム、[online]、ニチコン株式会社、[平成30年6月1日検索]、インターネット<URL:http://www.nichicon.co.jp/products/tribrid/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、優先順位と出力電圧とが出力優先順位が高いほど出力電圧が高くなるよう対応付けられている上に、出力優先順位が常に固定されている。
そのため、電力バスの電圧(以下「中間電圧」という)を出力優先順位が高い供給源の出力電圧に設定したまま、出力優先順位が高い供給源からの電力供給が何らかの要因で不能となった場合に、電力バス(さらには電力バスに繋がる負荷)に所望の電力を供給することができなくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、負荷の消費電力が出力優先順位の高い供給源から供給される供給電力よりも大きいと、中間電圧が低下してしまうが、この場合には、中間電圧が優先順位の高い供給源の出力電圧を下回って優先順位が高い供給源からの電力供給が不能となり、システム上の問題を招く虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、出力優先順位の高い供給源からの電力供給が不能となった場合においても、電力バスに所望の電力を供給し、中間電圧を適正な値に維持することができるパワーコンディショナおよび蓄電システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るパワーコンディショナは、直流電力を供給する複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータと、予め決定された出力優先順位に基づいて、前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、との構成を有している。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る第1の蓄電システムは、複数の供給源として、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、電動車に搭載された車載蓄電池に対して充放電制御を行うV2Hスタンドと、定置型の蓄電池ユニットとを備えたシステムにおいて、前記複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータを含むパワーコンディショナと、予め決定された出力優先順位に基づいて、前記発電装置を除く前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記発電装置から前記電力バスへの電力供給が実質的に行われていない場合、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、との構成を有している。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る第2の蓄電システムは、複数の供給源として、再生可能エネルギーを利用して発電する発電装置と、電動車に搭載された車載蓄電池に対して充放電制御を行うV2Hスタンドと、定置型の蓄電池ユニットとを備えたシステムにおいて、前記複数の供給源から電力バスを介して供給された直流電力を交流電力に変換し、当該交流電力を負荷に供給するインバータを含むパワーコンディショナと、予め決定された出力優先順位に基づいて、前記発電装置を除く前記複数の供給源のうち前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧を前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定することにより、前記出力優先順位が高い供給源に前記電力バスへの電力供給を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記発電装置から前記電力バスへの電力供給が行われている場合、前記電力バスの電圧を監視して、前記負荷の消費電力が前記発電装置からの供給電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が高い供給源の出力電圧まで低下すると、前記発電装置に前記電力バスへの電力供給を行わせながら、前記出力優先順位が高い供給源からの電力供給を開始させる、との構成を有している。
【0012】
上記第2の蓄電システムは、前記制御部が、前記負荷の消費電力が前記発電装置からの供給電力と前記出力優先順位が高い供給源からの供給電力との和電力よりも大きくなったことに伴って前記電力バスの電圧が前記出力優先順位が低い供給源の出力電圧まで低下すると、前記和電力の供給を行わせながら、前記出力優先順位が低い供給源からの電力供給を開始させる、との構成を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優先順位の最上位の電源の電圧出力が供給不能となった場合においても、中間電圧を適正な値に維持することが可能なパワーコンディショナおよび蓄電システムを提供することができる。
また、本発明によれば、システム上の問題を未然に防止することができる。
さらに、本発明によれば、システム上の問題を未然に防止しつつ、ユーザの意思を反映したシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る蓄電システムの構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るパワーコンディショナの構成図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る各電源の優先順位と中間電圧を示した図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る制御部の処理フローである。
図5】本発明の第1の実施形態に係る制御部の処理フローである。
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御部の処理フローである。
図7】本発明の第1の実施形態に係る優先順位が最上位の電源の電圧出力が供給不能となった場合の各電源の優先順位と中間電圧を示した図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る制御部の処理フローである。
図9】本発明の第2の実施形態に係る複数の供給源における中間電圧の遷移を示した図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る複数の供給源における中間電圧の遷移を示した図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る複数の供給源における中間電圧の遷移を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1から図7を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0016】
<蓄電システムの構成>
以下、図1を用いて、本実施形態に係る蓄電システム10の構成について説明する。
なお、本実施形態においては、後述する制御部をパワーコンディショナ内に有する構成を例示して説明するが、当該制御部をパワーコンディショナ以外に有する構成であってもよい。
【0017】
なお、本実施形態にかかる蓄電システム10は、単機能型蓄電システム(太陽光パワーコンディショナが分離された蓄電システム)および多機能型蓄電システム(太陽電池に接続される太陽光パワーコンディショナと蓄電池ユニットに接続される蓄電パワーコンディショナと、電動車両に接続される充放電回路とを一体化した蓄電システム)のいずれにも対応可能な蓄電システムであり、特に、直流電力を供給する供給源として、太陽電池以外に電気自動車(EV)、燃料電池自動車等の電動車に搭載された車載蓄電池や定置型の蓄電池ユニットの複数の供給源が接続される蓄電システムに好適である。
ここで、太陽電池を供給源として接続することは任意であり、複数の直流電力供給源が接続されていればよい。また、直流電力供給源は、水力発電や風力発電など交流発電した電力をコンバータで直流電力に変換して供給するものであってもよい。
【0018】
本実施形態に係る蓄電システム10は、図1に示すように、蓄電池システム用ブレーカ110と、パワーコンディショナ200と、定置型の蓄電池ユニット240と、電動車260に接続されるV2H(Vehicle to Home)スタンド250と、太陽電池モジュール(発電装置)300と、主幹ブレーカ410と、分岐ブレーカ420と、切替スイッチ430と、重要負荷用分岐ブレーカ440とを含んで構成されている。
なお、図1に示すように主幹ブレーカ410の商用電力系統側にエネファーム(登録商標)等の商用系統連系機器500が接続される場合がある。
【0019】
蓄電池システム用ブレーカ110には、商用電力から常時、電力が供給されており、例えば、パワーコンディショナ200や蓄電池ユニット240に異常が発生した場合等に蓄電池システム用ブレーカ110が作動して、電路を開放する。
【0020】
パワーコンディショナ200は、蓄電池システム用ブレーカ110を介して商用電力系統と接続されるとともに、例えば、太陽光により発電する太陽電池モジュール300等の再生可能エネルギーを利用した発電モジュール、定置型の蓄電池ユニット240(以下、単に「定置型蓄電池」という)やV2Hスタンド250を介して外部への給電機能を有する電動車260と接続可能とされている。
【0021】
パワーコンディショナ200は、例えば、太陽光等の再生可能エネルギーにより発電された直流電力(発電電力)および定置型蓄電池240からの直流電力(放電電力)をコンバータにより所定の電圧に変換した後、交流電力に変換するとともに、V2Hスタンド250からの直流電力(放電電力)を交流電力に変換する。変換された交流電力は、蓄電池システム用ブレーカ110を介して重要負荷および一般負荷に繋がる系統出力に供給可能となっている。
また、太陽電池モジュール300からの発電電力および/または直流電力に変換された商用電力を充電電力として、コンバータを介して定置型蓄電池240および/またはV2Hスタンド250を介して電動車260に搭載された車載蓄電池261(図2)に充電することが可能となっている。
【0022】
<パワーコンディショナの構成>
パワーコンディショナ200は、図2に示すように、コンバータ211、212と、インバータ221と、制御部230と、出力優先順位設定部231と、を含んで構成されている。なお、以下の構成は例示であり、同様の機能を果たすことができるものであれば、他の構成であってもよい。
【0023】
コンバータ211は、太陽電池モジュール300からの直流電力に基づいて所定の直流電圧に昇圧した直流電力に変換する。
【0024】
コンバータ212は、定置型蓄電池240からの直流電力(放電電力)を昇圧した直流電力に変換する。なお、コンバータ212は、インバータ221により直流電力に変換された商用電力を所定の直流電圧に変換した直流電力や太陽電池モジュール300等の他の供給源からの直流電力を充電電力として定置型蓄電池240に供給する双方向コンバータである。
【0025】
インバータ221は、太陽電池モジュール300の発電電力を含む太陽光等の再生可能エネルギーにより発電された直流電力を交流電力に変換するとともに、定置型蓄電池240あるいは、V2Hスタンド250からの直流電力(放電電力)を交流電力に変換する。
また、定置型蓄電池240および/または車載蓄電池261を充電するため、商用電力を直流電力に変換する。
【0026】
制御装置222は、インバータ221および各種コンバータを制御する。
【0027】
制御部230は、車載蓄電池261および定置型蓄電池240に対して、決められた出力優先順位と該出力優先順位に紐づいた電圧を出力するようコンバータ212あるいはV2Hスタンド250に対して、出力電圧の制御を行う。
なお、出力優先順位と該出力優先順位に紐づいた電圧値とは、図示しない内部のRAM(Random Access Memory)等に記憶されている。さらに、後述する出力優先順位設定部231を介して、ユーザが設定した出力優先順位に基づいて、車載蓄電池261および定置型蓄電池240の出力優先順位を決定する。
【0028】
また、制御部230は、通信ラインを介して、定置型蓄電池240と通信を行って、例えば、定置型蓄電池240の残留蓄電容量および温度に関する情報等を取得する。
また、制御部230は、例えば、CAN通信を用いて、V2Hスタンド250を介して電動車260と通信を行って、車載蓄電池261の残留蓄電容量に関する情報等を取得する。
また、電動車260側で車載蓄電池261の温度情報を検出していれば、制御部230は併せて車載蓄電池261の温度情報も取得する。
【0029】
そして、制御部230は、上記取得した定置型蓄電池240の残留蓄電容量または車載蓄電池261の残留蓄電容量と予め定められた規定値あるいはユーザが設定した規定値とを比較する。
また、制御部230は、定置型蓄電池240の温度情報または車載蓄電池261の温度情報と運転停止範囲の温度とを比較する。
また、制御部230は、中間電圧をモニタする。ここで、中間電圧とは、インバータ221(直流側)と、コンバータ211、212および双方向コンバータ251とを接続する電力バスPB上の電圧をいう。
なお、上記残留蓄電容量の規格値は、例えば、RAM等に記憶され、温度による運転停止範囲等の情報は、例えば、図示しない制御部230の内部のROM(Read Only Memory)等に記憶されている。
【0030】
出力優先順位設定部231は、パワーコンディショナ200の筐体や蓄電システム10をコントロールするためのリモコン等に設けられ、例えば、ユーザ操作によって、出力優先順位を設定する。
なお、出力優先順位設定部231における出力優先順位の設定は、スイッチ等のキー入力でもよいし、タッチパネルに表示されるボタンをタッチ操作すること等によって実行してもよい。
例えば、図3に示されるように、初期設定の優先順位が上図であったときに、ユーザによって、出力優先順位設定部231を介して、定置型蓄電池240の優先順位を最上位とする設定がなされたときには、制御部230は、当該設定に従って、上記のRAMの記憶情報を図3下図のように書き換える。
【0031】
<V2Hスタンドの構成>
V2Hスタンド250は、双方向コンバータ251を内蔵し、当該双方向コンバータ251は、車載蓄電池261からの直流電力(放電電力)を昇圧した直流電力に変換する一方、インバータ221により直流電力に変換された商用電力を所定の直流電圧に変換した直流電力や太陽電池モジュール300等の他の供給源からの直流電力を充電電力として車載蓄電池261に供給する。
なお、これらのコンバータとしては、例えば、昇圧または昇降圧チョッパ型コンバータを例示することができる。
【0032】
また、V2Hスタンド250は、パワーコンディショナ200と通信ケーブルで接続されており、パワーコンディショナ200からの制御指令に基づき充放電制御されるとともに、当該通信ケーブルを用いて、パワーコンディショナ200に、車載蓄電池261の状態等を出力可能となっている。
【0033】
<その他の構成について>
太陽電池モジュール300は、太陽電池セルが複数配列され、これをガラスや樹脂、フレームで保護したものであり、一般的には、太陽光パネルあるいは太陽電池パネルと呼ばれるものである。
【0034】
主幹ブレーカ410には、商用電力からの出力電力が常時、供給されており、例えば、漏電や過負荷、短絡等の要因で二次側の回路(負荷、電路等)に異常な過電流が流れたときには、主幹ブレーカ410が作動して、電路を開放する。
なお、主幹ブレーカ410は、トリップ機能を備えたブレーカである。
【0035】
分岐ブレーカ420は、一端が主幹ブレーカ410と接続されるとともに、他端が、それぞれの一般負荷と接続されている。
【0036】
切替スイッチ430は、商用電力系統出力側と自立出力側とに切替え可能となっている。通常時(商用電力連系時)には、切替スイッチ430は自立出力側に接続され、重要負荷には蓄電池システム用ブレーカ110およびパワーコンディショナ200を介して商用電力が供給される。
また、一般負荷には主幹ブレーカ410を介して商用電力が供給される。一方、停電時には、商用電力系統とパワーコンディショナ200とが解列され蓄電池ユニット240、V2Hスタンド250(車載蓄電池)および太陽電池モジュール300の少なくとも1つに基づく電力がパワーコンディショナ200から重要負荷に供給可能となっている。
また、パワーコンディショナ200が故障した場合等、蓄電池システム用ブレーカ110がオフ状態のときには、切替スイッチ430を手動で系統出力側に切り替えることにより、重要負荷には主幹ブレーカ410を介して商用電力が供給される。
【0037】
重要負荷用分岐ブレーカ440は、一端が切替スイッチ430と接続されるとともに、他端が、それぞれの重要負荷と接続されている。ここで、重要負荷としては、照明、冷蔵庫、空調機器等を例示することができる。
【0038】
なお、商用系統連系機器500が系統出力に接続される場合には、当該商用系統連系機器500からの供給電力を重要負荷および一般負荷に給電することが可能となっている。
【0039】
<制御部の処理>
図4を用いて、制御部230の具体的な処理について説明する。
【0040】
制御部230は、図3上図に示すように、ユーザによって出力優先順位設定部231を介して、車載蓄電池261からの放電電力を出力可能なV2Hスタンド250の出力優先順位を最上位とする設定がなされているときには、上図の初期設定に基づいて制御を行う。
なお、ここでは太陽電池モジュール300からの発電電力の供給が実質的にないものとする。
具体的には、V2Hスタンド250を優先順位の最上位とし、V2Hスタンド250内の制御部に対して、例えば、CAN通信を用いて、V2Hスタンド250からの出力電圧(インバータ221側)が390VとなるようV2Hスタンド250内の双方向コンバータ251を制御する制御信号を送信する(ステップS110)。
一方、定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧は370Vに設定される。
このため、中間電圧は、より電圧値の高いV2Hスタンドの出力電圧390Vに昇圧され、出力優先順位の高いV2Hスタンド250から電力バスPBに車載蓄電池261の放電電力が供給される。
【0041】
一方で、ユーザによって出力優先順位設定部231を介して、定置型蓄電池240の出力優先順位を最上位とする設定がなされているときには、図3下図の設定に基づいて制御を行う。
なお、ここでも、太陽電池モジュール300からの発電電力の供給が実質的にないものとする。
具体的には、定置型蓄電池240を優先順位の最上位とし、定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212に対して、コンバータ212からの出力電圧が390Vとなるようコンバータ212を制御する(ステップS110)。
一方、V2Hスタンド250の出力電圧は370Vに設定される。
このため、中間電圧は電圧値の高い定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧390Vに昇圧され、出力優先順位の高い定置型蓄電池240からの放電電力が電力バスPBに供給される。
【0042】
制御部230は、運転中、最上位の蓄電池(定置型蓄電池240または車載蓄電池261)から所定のタイミングで、蓄電池の残留蓄電容量を取得する(ステップS120)。
【0043】
そして、制御部230は、最上位の蓄電池から取得した残留蓄電容量と予め定められた残留蓄電容量の規格値とを比較する(ステップS130)。
ここで、残留蓄電容量の規格値は蓄電池が出力(放電)不可の状態の残留蓄電容量をいう。
【0044】
ステップS130における比較の結果、取得した残留蓄電容量が、予め定められた残留蓄電容量の規格値以上と判断した場合(ステップS130の「NO」)には、制御部230は、処理をステップS120に戻す。
なお、比較判定において閾値(規定値)を含むか否かは適宜に変更可能とする。
【0045】
一方で、ステップS130における比較の結果、取得した残留蓄電容量が、予め定められた残留蓄電容量の規格値よりも小さいと判断した場合(ステップS130の「YES」)には、制御部230は、例えば、図7に示すように、出力優先順位が次に位置し、かつ出力可能状態にある蓄電池からの出力電圧を昇圧する(ステップS140)。
具体的には、図7に示すように、定置型蓄電池240の出力優先順位がV2Hスタンド250よりも高い場合には、出力優先順位を維持したまま、出力可能状態にある車載蓄電池261に接続されたV2Hスタンド250の出力電圧を変更前の370Vから390Vに昇圧するとともに、定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧を390Vから370Vに変更するように、V2Hスタンド250(双方向コンバータ251)およびコンバータ212を制御する。
これにより、定置型蓄電池240に替えてV2Hスタンド250(車載蓄電池261)からの放電電力が電力バスPBに供給される。
なお、V2Hスタンド250が出力可能状態にないときは、出力優先順位がさらに下位に位置し、出力可能状態にある供給源の出力電圧を昇圧する。
【0046】
図5に示す例では、制御部230は、ユーザによって出力優先順位が最上位に設定されている蓄電池の温度が運転停止温度範囲にあるときには、以下のとおり制御を行う(ステップS210)。
【0047】
制御部230は、運転中、所定のタイミングで、最上位の蓄電池の温度情報を取得する(ステップS220)。
【0048】
そして、制御部230は、取得した温度情報と予め定められた運転停止温度とを比較する(ステップS230)。
【0049】
ステップS230における比較の結果、取得した温度が、予め定められた運転停止温度以下と判断した場合(ステップS230の「NO」)には、制御部230は、処理をステップS220に戻す。
なお、比較判定において閾値(運転停止温度)を含むか否かは適宜に変更可能とする。
【0050】
一方で、ステップS230における比較の結果、取得した温度が、予め定められた運転停止温度よりも高いと判断した場合(ステップS230の「YES」)には、制御部230は、例えば、図7に示すように、出力優先順位が次に位置し、かつ出力可能状態にある蓄電池からの出力電圧を昇圧する(ステップS240)。
具体的には、図7に示すように、定置型蓄電池240の出力優先順位がV2Hスタンド250よりも高い場合には、出力優先順位を維持したまま、出力可能状態にある車載蓄電池261に接続されたV2Hスタンド250の出力電圧を変更前の370Vから390Vに昇圧するとともに、定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧を390Vから370Vに変更するように、V2Hスタンド250(双方向コンバータ251)およびコンバータ212を制御する。
これにより、定置型蓄電池240に替えてV2Hスタンド250(車載蓄電池261)からの放電電力が電力バスPBに供給される。
なお、V2Hスタンド250が出力可能状態にないときは、出力優先順位がさらに下位に位置し、出力可能状態にある供給源の出力電圧を昇圧する。
【0051】
図6に示す例では、制御部230は、ユーザによって出力優先順位が最上位に設定されている蓄電池の残留蓄電容量がユーザにより設定されたユーザ設定容量よりも小さいときには、以下のとおり制御を行う(ステップS310)。
【0052】
制御部230は、運転中、最上位の蓄電池(定置型蓄電池240または車載蓄電池261)から所定のタイミングで、蓄電池の残留蓄電容量を取得する(ステップS320)。
【0053】
そして、制御部230は、最上位の蓄電池から取得した残留蓄電容量とユーザ設定容量とを比較する(ステップS330)。
【0054】
ステップS330における比較の結果、取得した残留蓄電容量が、ユーザ設定容量以上と判断した場合(ステップS330の「NO」)には、制御部230は、処理をステップS320に戻す。
なお、比較判定において閾値(ユーザ設定容量)を含むか否かは適宜に変更可能とする。
【0055】
一方で、ステップS330における比較の結果、取得した残留蓄電容量が、ユーザ設定容量よりも小さいと判断した場合(ステップS330の「YES」)には、制御部230は、例えば、出力優先順位が次に位置し、かつ出力可能状態にある蓄電池からの出力電圧を昇圧する(ステップS340)。
具体的には、図7に示すように、定置型蓄電池240の出力優先順位がV2Hスタンド250よりも高い場合には、出力優先順位を維持したまま、出力可能状態にある車載蓄電池261に接続されたV2Hスタンド250の出力電圧を変更前の370Vから390Vに昇圧するとともに、定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧を390Vから370Vに変更するように、V2Hスタンド250(双方向コンバータ251)およびコンバータ212を制御する。
これにより、定置型蓄電池240に替えてV2Hスタンド250(車載蓄電池261)からの放電電力が電力バスPBに供給される。
その後、例えば、ユーザによりユーザ設定容量が下方に変更されると、定置型蓄電池240から放電可能な状態になる。
この場合には、再び定置型蓄電池240に接続されたコンバータ212の出力電圧を変更前の370Vから390Vに昇圧するとともに、車載蓄電池261に接続されたV2Hスタンド250を390Vから370Vに変更するように、コンバータ212およびV2Hスタンド250(双方向コンバータ251)を制御する。
これにより、V2Hスタンド250(車載蓄電池261)に替えて定置型蓄電池240からの放電電力が電力バスPBに供給される。
【0056】
以上、説明したように、本実施形態によれば、直流電力を供給する複数の供給源から電力バスPBを介して供給された直流電力を交流電力に変換するインバータ221と、予め決定された出力優先順位に基づいて、電力バスPBへ電力供給されるように複数の供給源のうち出力優先順位が高い供給源の出力電圧を出力優先順位が低い供給源の出力電圧よりも高くなるように設定するとともに、電力バスPBへ電力供給させる供給源を選択し、制御する制御部230と、を備え、制御部230は、出力優先順位が高い供給源が出力不可状態と判断したときに、出力優先順位を維持したまま、出力優先順位が低く、かつ出力可能状態にある供給源の出力電圧を出力不可状態と判断された出力優先順位が高い供給源の出力電圧にまで昇圧させ、その出力優先順位が低い供給源から電力バスPBに電力供給させるよう制御する。
つまり、制御部230は、出力優先順位が高い供給源(例えば、定置型蓄電池240)が出力不可状態であると判断したときに、出力優先順位を維持したまま、出力不可状態である供給源以外の供給源(例えば、車載蓄電池261に接続されたV2Hスタンド250)の出力電圧を昇圧させ、電力バスPBの電圧、すなわち中間電圧を維持する。
そのため、出力優先順位が高い供給源が出力不可状態となった場合においても、中間電圧値を適正な値に維持できる。また、これにより、システム上の問題を未然に防止できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、制御部230は、供給源からの検出情報に基づいて、出力優先順位が高い供給源が運転停止範囲であるときに、その供給源が出力不可状態であると判断する。
そのため、出力優先順位が高い蓄電池等の供給源の出力不可状態を的確に判断することにより、優先順位が高い供給源が出力不可状態となった場合においても、中間電圧値を適正な値に維持できる。
また、これにより、システム上の問題を未然に防止できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、複数の供給源の少なくとも1つが蓄電池であり、制御部230は、蓄電池からの残留蓄電容量情報に基づいて、出力優先順位が高い蓄電池の残留蓄電容量が規定値またはユーザの設定残留容量値以下のときに、その蓄電池ユニットが出力不可状態であると判断する。
そのため、出力優先順位が高い蓄電池の出力不可状態を的確に判断することにより、出力優先順位が高い蓄電池が出力不可状態となった場合においても、中間電圧値を適正な値に維持できる。
また、これにより、システム上の問題を未然に防止できる。
【0059】
<第2の実施形態>
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、制御部230が第1の実施形態において説明した機能に加え、以下の機能を有することである。以下、本実施形態の制御部を「制御部230A」と記載する。
【0060】
<制御部の処理>
図8から図11を用いて、制御部230Aの具体的な処理について説明する。
【0061】
制御部230Aは、太陽電池モジュール(発電装置)300から電力バスPBに電力の供給があるか否かを判定する(ステップS410)。
このとき、制御部230Aが、太陽電池モジュール(発電装置)300から電力バスPBへの電力の供給が実質的にないと判定する(ステップS410の「No」)と、次に、電力バスPBの電圧(中間電圧)が出力優先順位の高い供給源(図9の定置型蓄電池240)の出力電力よりも低いか否かを判定する(ステップS420)。
【0062】
そして、制御部230Aが、中間電圧が出力優先順位の高い供給源(図9の定置型蓄電池240)の出力電圧よりも低いと判定する(ステップS420の「Yes」)と、制御部230Aは、出力優先順位の高い供給源(図9の定置型蓄電池240)からの電力を電力バスPBに供給するようにコンバータ212を制御する(ステップS430)。
ここで、負荷の消費電力が定置型蓄電池240からの放電電力よりも大きいと、中間電圧が低下していく。
そして、中間電圧が出力優先順位の低い供給源(図9のV2Hスタンド250)の出力電圧370Vにまで低下する(ステップS440の「Yes」)と、V2Hスタンド250からの放電も開始させ、電力バスPBには定置型蓄電池240からの放電電力とともにV2Hスタンド250からの放電電力が供給される(ステップS450)。
これにより、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
また、制御部230Aが、中間電圧が出力優先順位の高い供給源の出力電圧以上と判定(ステップS420の「No」)したとき、および中間電圧が出力優先順位の低い供給源の出力電圧以上と判定(ステップS440の「No」)したときは処理をステップS410に戻す。
【0063】
一方で、ステップS410において、制御部230Aが、太陽電池モジュール(発電装置)300から電力バスPBへの電力の供給があると判定する(ステップS410の「Yes」)と、制御部230Aは、次に、中間電圧が出力優先順位の高い供給源(図10の定置型蓄電池240)の出力電圧よりも低いか否かを判定する(ステップS460)。
【0064】
このとき、制御部230Aが、中間電圧が出力優先順位の高い供給源(図10の定置型蓄電池240)の出力電圧よりも高いと判定したとき(ステップS460の「No」)は、制御部230Aは、処理をステップS410に戻す。
この場合は、負荷の消費電力を太陽電池モジュール300からの発電電力で賄えている(発電電力が負荷の消費電力よりも大きい)ことを意味する。
【0065】
一方で、負荷の消費電力が太陽電池モジュール300からの発電電力よりも大きいと、中間電圧が低下していく。そして、中間電圧が出力優先順位の高い供給源(図10の定置型蓄電池240)の出力電圧390Vにまで低下する(ステップS460の「Yes」)と、定置型蓄電池240からの放電も開始させ、電力バスPBには太陽電池モジュール300からの発電電力とともに定置型蓄電池240からの放電電力が供給される(ステップS470)。
これにより、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
【0066】
次に、制御部230Aは、中間電圧が出力優先順位の低い供給源(例えば、図11のV2Hスタンド250)の出力電圧よりも低いか否かを判定する(ステップS480)。
【0067】
負荷の消費電力が太陽電池モジュール300からの発電電力と出力優先順位の高い供給源(図11の定置型蓄電池240)からの放電電力との和電力よりも大きいと、中間電圧が低下していく。
そして、中間電圧が出力優先順位の低い供給源(図11のV2Hスタンド250)の出力電圧370Vにまで低下する(ステップS480の「Yes」)と、V2Hスタンド250からの放電も開始させ、電力バスPBには上記した和電力とともにV2Hスタンド250からの放電電力が供給される(ステップS490)。
これにより、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
また、制御部230Aが、中間電圧が出力優先順位の高い供給源(定置型蓄電池240)の出力電圧以上と判定(ステップS460の「No」)したとき、および出力優先順位の低い供給源(V2Hスタンド250)の出力電圧以上と判定したとき(ステップS480の「No」)は処理をステップS410に戻す。
【0068】
以上、説明したように、本実施形態によれば、制御部230Aは、第1の実施形態において説明した機能に加え、負荷の消費電力が、出力優先順位が高い供給源からの供給電力より大きく、中間電圧値が出力優先順位が低い供給源の出力電圧にまで低下すると、出力優先順位が高い供給源からの電力供給とともに、出力優先順位が低い供給源からの電力も電力バスPBに供給させる制御を行う。
そのため、負荷の消費電力が大きく、中間電圧値が、出力優先順位が低い供給源の出力電圧にまで低下した場合においても、出力優先順位が低い供給源からの電力も電力バスに供給させる制御を行うことにより、中間電圧を出力優先順位が低い供給源の出力電圧に維持し、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、太陽電池モジュール(発電装置)300からの電力バスPBへの電力供給が実質的になく、定置型蓄電池240とV2Hスタンド250のいずれか一方の供給源が他方の供給源に対して優先させるよう決定されている場合に、制御部230Aは、負荷の消費電力が一方の供給源からの供給電力より大きく、電力バスPBの電圧値(中間電圧値)が低下して他方の供給源の出力電圧まで低下すると、一方の供給源からの電力供給とともに、他方の供給源の電力も電力バスPBに供給させる制御を行う。
そのため、負荷の消費電力が大きく、中間電圧値が、出力優先順位が低い供給源(他方の供給源)の出力電圧にまで低下した場合においても、出力優先順位が低い供給源からの電力も電力バスPBに供給させる制御を行うことにより、中間電圧を出力優先順位が低い供給源の出力電圧に維持し、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、太陽電池モジュール(発電装置)300から電力バスへ電力供給がなされ、定置型蓄電池240とV2Hスタンド250のいずれか一方の供給源が他方の供給源に対して優先させるよう決定されている場合に、制御部230Aは、負荷の消費電力が太陽電池モジュール(発電装置)300からの供給電力より大きく、中間電圧値が低下して一方の供給源の出力電圧にまで低下すると、太陽電池モジュール(発電装置)300からの電力供給とともに、一方の供給源の電力も電力バスPBに供給させる制御を行う。
そのため、負荷の消費電力が大きく、中間電圧値が、出力優先順位が高い供給源の出力電圧(一方の供給源)にまで低下した場合においても、出力優先順位が高い供給源からの電力も電力バスPBに供給させる制御を行うことにより、中間電圧を出力優先順位が高い供給源の出力電圧に維持し、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、太陽電池モジュール(発電装置)300から電力バスPBへ電力供給がなされ、定置型蓄電池240とV2Hスタンド250のいずれか一方の供給源が他方の供給源に対して優先させるよう決定されている場合に、制御部230Aは、負荷の消費電力が太陽電池モジュール(発電装置)300からの供給電力と一方の供給源からの供給電力との和電力より大きく、中間電圧値が他方の供給源の出力電圧にまで低下すると、和電力とともに、他方の供給源の電力も電力バスPBに供給させる制御を行う。
そのため、負荷の消費電力が大きく、中間電圧値が、出力優先順位が低い供給源(他方の供給源)の出力電圧にまで低下した場合においても、出力優先順位が低い供給源からの電力も電力バスに供給させる制御を行うことにより、中間電圧を出力優先順位が低い供給源の出力電圧に維持し、負荷の消費電力の不足分を補うことができる。
【0072】
以上、この発明の実施形態および実施例につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態あるいは実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、上記蓄電システムにかかる実施形態では、複数の供給源として発電装置以外(発電装置の設置は任意)には、定置型蓄電池とV2Hスタンドの2種類を示したが、これに限定されない。
例えば、蓄電システムは、発電装置以外の複数の供給源として同種の直流源を備えてもよく、3種以上の直流源を備えてもよい。
また、上記実施形態では、供給源(蓄電池)からの温度情報に基づいて供給源が運転停止範囲であるか否かを判断しているが、検出情報はこれに限定されず、供給源の異常・故障状態等の運転/運転停止に関する情報をもとに運転停止範囲か否かを判断してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10;蓄電システム
110;蓄電池システム用ブレーカ
130;主幹ブレーカ
200;パワーコンディショナ
211;コンバータ
212;双方向コンバータ
221;インバータ
222;制御装置
223;保護装置
230;制御部
231;出力優先順位設定部
240;定置型蓄電池
250;V2Hスタンド
251;双方向コンバータ
260;電動車
261;車載蓄電池
300;太陽電池モジュール
410;主幹ブレーカ
420;分岐ブレーカ
430;切替スイッチ
440;重要負荷用分岐ブレーカ
500;商用系統連系機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11