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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097743
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20220623BHJP
【FI】
G08B17/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079998
(22)【出願日】2022-05-16
(62)【分割の表示】P 2018026730の分割
【原出願日】2018-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
(57)【要約】
【課題】加煙試験で発報した煙感知器から煙が抜けて復旧するのを待つことなく次の煙感知器の加煙試験を可能として作業効率を高める。
【解決手段】火災報知設備は受信機10から引き出されたループ伝送路12に固有のアドレスが設定された煙感知器18を複数接続して火災を監視する。受信機10の試験制御部34は、保守点検モードの設定状態で煙感知器18の発報による火災信号を受信して表示した場合、発報による点灯中の発報表示灯48の数が最大点灯数に達した場合は、発報表示灯48の点灯が最も古い煙感知器18に消灯指示信号を送信して消灯させた後に発報した煙感知器18に点灯指示信号を送信し、発報させた煙が抜けて復旧するのを待つことなく発報表示灯48を点灯させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に複数の感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、
前記制御部は、
前記感知器から受信した信号に基づいて火災を判定し、
現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、前記火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
現在の点灯中の発報表示灯の数が前記最大点灯数に達した場合、
監視時は、所定の感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
保守点検時は、全ての感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い感知器に前記消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
前記火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信した場合は、当該感知器に前記消灯指示信号を送信して前記発報表示灯を消灯させ、
前記所定の感知器は、少なくとも第1報目の感知器であることを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
受信機に複数の感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、
前記制御部は、
前記感知器から受信した信号に基づいて火災を判定し、
現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、前記火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
現在の点灯中の発報表示灯の数が前記最大点灯数に達した場合、
監視時は、所定の感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
保守点検時は、全ての感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い感知器に前記消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
前記火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信した場合は、当該感知器に前記消灯指示信号を送信して前記発報表示灯を消灯させ、
前記受信機と前記複数の感知器を接続する伝送路に流れる回線電流を測定して所定の定格許容電流との差電流を求め、前記差電流を前記発報表示灯1台当りの点灯電流で除算して発報表示灯の点灯可能数を求め、前記点灯可能数を現在点灯中の発報表示灯の数に加算して前記最大点灯数を求めて設定することを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
受信機に複数の感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、
前記制御部は、
前記感知器から受信した信号に基づいて火災を判定し、
現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、前記火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
現在の点灯中の発報表示灯の数が前記最大点灯数に達した場合、
監視時は、所定の感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
保守点検時は、全ての感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い感知器に前記消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
前記火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信した場合は、当該感知器に前記消灯指示信号を送信して前記発報表示灯を消灯させ、
保守点検時に、火災信号を受信した感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している感知器のうち、火災信号を受信してから所定の時間が経過しても復旧信号を受信しない感知器について、真に火災が発生しているとみなし発報表示灯を点灯させることを特徴とする火災報知設備。
【請求項4】
受信機に複数の感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
前記受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、
前記制御部は、
前記感知器から受信した信号に基づいて火災を判定し、
現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、前記火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
現在の点灯中の発報表示灯の数が前記最大点灯数に達した場合、
監視時は、所定の感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
保守点検時は、全ての感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い感知器に前記消灯指示信号を送信して消灯させると共に、前記火災を判定した信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
前記火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信した場合は、当該感知器に前記消灯指示信号を送信して前記発報表示灯を消灯させ、
監視時に、前記火災を判定した信号を送信した感知器から前記復旧信号を受信せず且つ当該感知器が応答しない場合、当該感知器に前記消灯指示信号を送信すると共に、現在の点灯中の発報表示灯の数を減算し、その後に別の感知器から受信した信号に基づいて火災を判定した場合は、当該信号を送信した感知器に前記点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させることを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機からの伝送路に煙感知器を接続して火災を監視する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された伝送路に、伝送機能を備えた煙感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には、例えば煙感知器からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した煙感知器のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した煙感知器から火災データを収集して監視するようにしている。
【0003】
このように、火災を検出した煙感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0004】
このような火災報知設備にあっては、受信機及び煙感知器が正常に動作することを確認するため定期的に点検を行っている。火災報知設備の点検にあっては、試験治具を用いて煙感知器の検煙部に煙を入れて発報するかを確認する加煙試験を行っている。
【0005】
煙感知器の加煙試験は、受信機に試験モードを設定し、受信機に試験員が一人つき、警戒区域に設置されている煙感知器に対し別の試験員が試験治具を使用して煙を入れる加煙試験を行うと、加煙試験により煙感知器が発報して火災信号を受信機に送信して発報が表示され、受信機側の試験員は加煙試験による受信機の正常動作を確認する。
【0006】
また、発報による火災信号を受信した受信機からは、発報した煙感知器に対し点灯指示信号が送信され、発報した煙感知器の発報表示灯が点灯され、発報表示灯の点灯により現場の試験員は煙感知器の発報により受信機が正常に動作したことを確認し、次の煙感知器の設置場所に移動して加煙試験を行う作業を繰り返す。
【0007】
加煙試験により発報表示灯が点灯した煙感知器は、時間の経過に伴って煙が抜けて復旧すると受信機からの消灯指示信号を受けて発報表示灯が消灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-178936号公報
【特許文献2】特開2016-076064号公報
【特許文献3】特開2017-068523号公報
【特許文献4】国際公開第2016/203807号
【特許文献5】特開2010-146448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、煙感知器の加煙試験を連続して行っていくと、加煙試験により点灯した発報表示灯は、加煙試験による煙が煙感知器の検煙部から抜けて復旧するまで点灯しており、発報表示灯の点灯数に応じて受信機からの伝送路に流れる回線電流が増加し、受信機から引き出された伝送路には電流制限があり、この電流制限に対応して加煙試験により点灯する発報表示灯の数を所定数、例えば5灯に制限する制御を行っている。
【0010】
このため試験員は発報表示灯の点灯数が5灯に達するまでは煙感知器の加煙試験を連続して行うことができるが、5灯が点灯した状態で加煙試験を行っても発報表示灯が点灯しないことから、発報表示灯が点灯している試験済みの煙感知器から煙が抜けて発報表示灯が消灯するまで待って次の加煙試験を行うこととなり、この待ち時間分が影響して全ての煙感知器の加煙試験を終了するまでの時間が長くなってしまう問題がある。
【0011】
また、火災により煙感知器が発報した場合にも、伝送路の電流制限に対応して発報表示灯の点灯数を制限した場合には、煙感知器の発報数が発報表示灯の点灯制限数を超えると新たに発報した煙感知器の発報表示灯が点灯されないという問題がある。
【0012】
本発明は、伝送路の電流制限に対応した発報表示灯の点灯数を維持するように、火災により発報した煙感知器から煙が抜けて復旧するのを待つことなく新たな煙感知器の発報による発報表示灯の点灯を可能とし、また、加煙試験で発報した煙感知器から煙が抜けて復旧するのを待つことなく次の煙感知器の加煙試験を可能として作業時間を短縮する火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(火災報知設備)
本発明は、受信機に複数の感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、
受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、
制御部は、
感知器から受信した信号に基づいて火災を判定し、
現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
現在の点灯中の発報表示灯の数が最大点灯数に達した場合、
監視時は、所定の感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
保守点検時は、全ての感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、火災を判定した信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、
火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信した場合は、当該感知器に消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させることを特徴とする。
【0014】
ここで、所定の感知器は、少なくとも第1報目の感知器である。
【0015】
(回線電流から動的に設定する最大点灯数)
制御部は、受信機と複数の感知器を接続する伝送路に流れる回線電流を測定して所定の定格許容電流との差電流を求め、差電流を発報表示灯1台当りの点灯電流で除算して発報表示灯の点灯可能数を求め、点灯可能数を現在点灯中の発報表示灯の数に加算して最大点灯数を求めて設定する。
【0016】
(所定時間経過後の発報表示灯の消灯)
制御部は、保守点検時に、発報した煙感知器に点灯指示信号を送信してから復旧信号を受信することなく所定時間が経過した場合、煙感知器に消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させる。
【0017】
(発報表示灯消灯中の煙感知器を受信機で表示)
受信機は、
発報中の煙感知器を特定する情報を表示する機能と、
火災信号を受信した煙感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している煙感知器を特定する情報を表示する機能と、
を有する。
【0018】
(一斉消灯命令)
制御部は、保守点検時に、全ての煙感知器に発報表示灯を消灯させる一斉消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させる。
【0019】
(復旧無しで真火災と判断)
制御部は、保守点検時に、火災信号を受信した感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している感知器のうち、火災信号を受信してから所定の時間が経過しても復旧信号を受信しない感知器について、真に火災が発生しているとみなし発報表示灯を点灯させる。
【0020】
(発報表示灯が機能していない場合)
制御部は、監視時に、火災を判定した信号を送信した感知器から復旧信号を受信せず且つ当該感知器が応答しない場合、当該感知器に消灯指示信号を送信すると共に、現在の点灯中の発報表示灯の数を減算し、その後に別の感知器から受信した信号に基づいて火災を判定した場合は、当該信号を送信した感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させる。
【発明の効果】
【0021】
(火災報知設備の基本的な効果)
本発明は、受信機に複数の煙感知器を接続して火災を監視する火災報知設備であって、受信機は、監視時と保守点検時とで一部動作が異なる制御部を備え、制御部は、煙感知器の発報による火災信号を受信して表示し、現在の点灯中の発報表示灯の数が所定の最大点灯数未満の場合は、発報した煙感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、現在の点灯中の発報表示灯の数が最大点灯数に達した場合、監視時は、所定の煙感知器を除く発報表示灯の点灯が最も古い煙感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、発報した煙感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、保守点検時は、全ての煙感知器のうち発報表示灯の点灯が最も古い煙感知器に消灯指示信号を送信して消灯させると共に、発報した煙感知器に点灯指示信号を送信して発報表示灯を点灯させ、発報した煙感知器から復旧信号を受信した場合は、当該煙感知器に消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させるため、火災発報により煙感知器の点灯中の発報表示灯の数が最大点灯数、例えば5灯に達した場合、所定の煙感知器つまり第1報目と第2報目の煙感知器を除いた中で最も古く点灯した第3報目の発報表示灯が消灯され、次に発報する煙感知器の発報表示灯の点灯が可能となり、伝送路の電流制限に対応して火災発報により点灯する発報表示灯の数を所定数、例えば5灯に制限しながら、新たに発報した煙感知器の発報表示灯を点灯させることができる。
【0022】
(発報表示灯の表示形態による効果)
制御部は、保守点検時に、所定の煙感知器とそれ以外の煙感知器とで、発報表示灯の表示形態を異ならせるため、火元の感知器と直近で発報した感知器とを区別することができる。
【0023】
(固定値として設定した最大点灯数の効果)
また、制御部は、発報表示灯の最大点灯数を所定の固定値として設定するようにしたため、加煙試験により発報した煙感知器から煙が抜けるのを待つことなく次の煙感知器の加煙試験を行っても、受信機からの伝送路の電流制限を満たす最大点灯数を例えば5灯とする発報表示灯の点灯が維持できる。
【0024】
(回線電流から動的に設定する最大点灯数の効果)
また、制御部は、受信機と複数の煙感知器を接続する伝送路に流れる回線電流を測定して所定の定格許容電流との差電流を求め、差電流を発報表示灯1台当りの点灯電流で除算して発報表示灯の点灯可能数を求め、点灯可能数を現在点灯中の発報表示灯の数に加算して点灯最大数を求めて設定するようにしたため、煙感知器の加煙試験中に実際に流れる回線電流を測定して定格許容電流以内となる発報表示灯の最大点灯数が動的に設定され、確実に、定格許容電流を超えない電流制限を満たす発報表示灯の点灯数に制御することができる。
【0025】
(所定時間経過後の発報表示灯の消灯による効果)
また、制御部は、保守点検時に、発報した煙感知器に点灯指示信号を送信してから復旧信号を受信することなく所定時間が経過した場合、煙感知器に消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させるようにしたため、煙感知器から加煙試験による煙が抜けて復旧するまでに時間がかかっても、所定時間を超えると発報表示灯が消灯され、不必要に試験済みの煙感知器の発報表示灯が点灯し続けて回線電流が増加した状態が継続することを防止する。
【0026】
(発報表示灯消灯中の煙感知器を受信機で表示する効果)
また、受信機は、発報中の煙感知器を特定する情報を表示する機能と、火災信号を受信した煙感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している煙感知器を特定する情報を表示する機能と、を有するようにしたため、受信機において、試験発報しているが発報表示灯が消灯されて復旧待ちとなっている煙感知器を知ることができる。
【0027】
(一斉消灯命令の効果)
また、制御部は、保守点検時に、全ての煙感知器に発報表示灯を消灯させる一斉消灯指示信号を送信して発報表示灯を消灯させるようにしたため、例えば全ての煙感知器の加煙試験の終了したときに、発報表示灯が点灯して復旧待ちとなっている煙感知器に対し一斉消灯指示信号を送信して消灯させて定常監視状態に戻すことができる。
【0028】
(復旧無しで真火災と判断する効果)
また、制御部は、保守点検時に、火災信号を受信した煙感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している煙感知器のうち、火災信号を受信してから所定の時間が経過しても復旧信号を受信しない煙感知器について、真に火災が発生しているとみなし発報表示灯を点灯させるようにしたため、伝送路の電流制限に対応して発報表示灯の点灯数を制限するために発報表示灯を消灯させていても、火災発報が継続している場合は真に火災が発生しているとみなして消灯させた発報表示灯を点灯させて確実に火災発報を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】火災報知設備の概要を示した説明図
図2】煙感知器の実施形態を示したブロック図
図3】受信機の試験制御部による加煙試験制御を示したフローチャート
図4】受信機の試験制御部による発報表示灯点灯数演算を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
[火災報知設備]
(火災報知設備の概要)
図1は火災報知設備の概要を示した説明図であり、受信機から引き出されたループ伝送路に煙感知器を接続した設備を例にとっている。
【0031】
図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し一対の信号線14a,14bを用いたループ伝送路12が引き出されている。
【0032】
ループ伝送路12には固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の煙感知器18が感知器ベース16を介して着脱自在に接続されている。ループ伝送路12に接続される煙感知器18に設定される最大アドレス数は例えば255としており、ループ伝送路12には最大254台の煙感知器18が接続できる。
【0033】
煙感知器18には発報表示灯48が設けられ、火災発報した場合は受信機10からの指示で点灯され、火災復旧した場合も受信機10からの指示で消灯される。
【0034】
(受信機の機能構成)
受信機10は、受信制御部20、伝送部22、操作部23、表示部24、警報部25、移報部26、断線監視制御部28及び切替回路部30a,30bを備える。
【0035】
受信制御部20はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。伝送部22は、ループ伝送路12に接続した煙感知器18との間で、所定の通信プロトコルに従って信号を送受信する。
【0036】
伝送部22から煙感知器18に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、ループ伝送路12の線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0037】
これに対し煙感知器18から受信機10に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、ループ伝送路12に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0038】
(火災監視制御部)
受信機10の受信制御部20にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、火災監視制御部32の機能が設けられる。
【0039】
火災監視制御部32は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部22に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した煙感知器18は、煙濃度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、火災監視制御部32は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0040】
煙感知器18は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10に送信する。また、煙感知器18は火災を検出すると受信機10に対し火災割込み信号を送信する。
【0041】
火災監視制御部32は伝送部22を介して火災割込み信号を受信するとグループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している煙感知器18を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している煙感知器18のアドレスを特定し、火災警報を出力すると共に火災発生アドレスを表示し、その後、特定した煙感知器から火災データを収集して監視する制御を行う。
【0042】
また、火災監視制御部32は、煙感知器18の火災発報を判別すると、火災発報アドレスを指定した発報表示灯48の点灯指示コマンドを含む点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させる制御を行う。
【0043】
また、火災監視制御部32は、煙感知器18の火災発報後に火災復旧を判別すると、火災復旧アドレスを指定した発報表示灯48の消灯指示コマンドを含む消灯指示信号を送信し、火災発報した煙感知器18の発報表示灯48を消灯させる制御を行う。
【0044】
(断線監視制御部)
受信機10の断線監視制御部28は、ループ伝送路12の終端で得られる信号電圧を検出して監視しており、ループ伝送路12に断線が発生すると信号電圧が断たれて検出できなくなることで断線を検出し、リレー接点やスイッチ素子を用いた切替回路部30a,30bをオン作動することで、ループ伝送路12の終端に伝送部22を接続し、ループ伝送路12の両端から断線位置までの間の伝送路に対し並列的に信号の送受信を行うことで、断線障害をリカバリーする。
【0045】
(試験制御部)
受信機10の受信制御部20にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、試験制御部34の機能が設けられる。試験制御部34は、定期点検の際に、検査員38が試験治具36を使用して煙感知器18の加煙試験を行う場合、受信機10における所定の操作による保守点検モードの設定で動作する。受信機10で保守点検モードが設定されると、主音響停止、地区音響停止、移報信号による連動停止等が行われる。
【0046】
保守点検モードの設定で動作した試験制御部34は、煙感知器18の加煙試験による発報による火災信号を受信すると、発報した煙感知器18のアドレスを表示部24のディスプレイ又は8セグメント表示器に表示し、発報を受信表示する。
【0047】
保守点検モードを設定した場合にも、火災監視制御部32は、一定周期毎に、伝送部22に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した煙感知器18は、煙濃度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、火災監視制御部32は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。煙感知器18は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10に送信する。
【0048】
煙感知器18は加煙試験により検煙部に煙が流入して煙濃度検出信号が所定の火災レベルとなる閾値濃度を超えると発報し、受信機10に対し発報による火災割込み信号を送信する。
【0049】
火災監視制御部32は伝送部22を介して発報による火災割込み信号を受信するとグループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している煙感知器18を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して発報している煙感知器18のアドレスを特定し、発報した煙感知器18のアドレスを表示すると共に試験制御部34に発報アドレスを通知する制御を行う。
【0050】
試験制御部34は、火災監視制御部32から発報アドレスの通知を受けると、この発報アドレスを指定した発報表示灯48の点灯指示コマンドを含む点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させる制御を行う。
【0051】
この発報した煙感知器18の発報表示灯48の点灯制御において、本実施形態の試験制御部34は、現在の点灯中の発報表示灯48の数Nが所定の最大点灯数Nmax、例えばNmax=5灯と比較し、最大点灯数Max未満の場合に、発報アドレスを指定した点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させる制御を行う。
【0052】
これに対し、試験制御部34は、現在の点灯中の発報表示灯48の数Nが所定の最大点灯数Nmaxに達した場合は、発報表示灯48の点灯が最も古い煙感知器のアドレスを指定した消灯指示信号を送信して消灯させた後に、現時点の発報の受信で得られている発報アドレスを指定した点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させる制御を行う。ここで、発報表示灯48の最大点灯数Nmaxは、ループ伝送路12の定格許容電流に対応して定められている。
【0053】
また、火災監視制御部32は、加煙試験により発報した煙感知器18を含むループ伝送路12に接続された全ての煙感知器18に対し一括AD変換信号の送信と、その間でアドレスを順次指定した呼出信号を送信し、呼出信号に対する煙感知器18からの煙濃度検出データを含む応答信号を受信しており、発報した煙感知器18の検煙部から煙が抜けて煙濃度検出信号が閾値濃度を下回ると、呼出信号に対する応答信号に火災復旧情報を含めて送信する。このため火災監視制御部32は、発報した煙感知器18の応答信号の受信により火災復旧情報を判別すると試験制御部34に試験復旧を通知する。
【0054】
試験制御部34は、火災監視制御部32から試験復旧の通知を受けると、この試験復旧に対応した煙感知器18のアドレスを指定した発報表示灯48の点灯消灯コマンドを含む消灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を消灯させる制御を行う。
【0055】
このような試験制御部34による発報表示灯48の制御により、加煙試験により煙感知器18の点灯中の発報表示灯48の数が最大点灯数Nmax、例えば5灯に達した場合、最も古く点灯した発報表示灯48が消灯され、加煙試験した煙感知器18から煙が抜けて復旧することで発報表示灯48が消灯するまで待つことなく、次の煙感知器の加煙試験を行うことができ、待ち時間がなくなることで作業効率が向上し、全ての煙感知器の加煙試験を終了するまでの時間を短くすることができる。
【0056】
また、加煙試験により煙が抜けずに発報状態にある煙感知器18の数が最大点灯数Nmaxに対応した例えば5台を超えても、実際に点灯している発報表示灯48の数は5灯を超えることがなく、ループ伝送路12の定格許容電流を超えないように電流制限を行った発報表示灯48の制御ができる。
【0057】
ここで、試験制御部34により発報表示灯48の点灯数を最大点灯数Nmax以下とする制御は、煙感知器18の発報アドレスをメモリ上の先入れ先出し配列、所謂FIFO配列を使用して行う。
【0058】
例えば、アドレスA1~A5の順に5台の煙感知器18の加煙作業を順次行ったとすると、FIFO配列には
(A5 A4 A3 A2 A1)
が記憶される。
この状態で6台目の煙感知器18の発報を行って発報アドレスA6が得られたとすると、現在の発報表示灯48の点灯数は最大点灯数5灯に達していることから、試験制御部34はFIFO配列の中の発報表示灯48の点灯が最も古い煙感知器のアドレスA1を指定した消灯指示信号を送信して消灯させた後に、現時点で発報したアドレスA6を指定した消灯指示信号を送信して新に発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させ、FIFO配列を
(A6 A5 A4 A3 A2)
に書き替える。
【0059】
[煙感知器の機能構成]
図2は煙感知器の実施形態を示したブロック図である。図2に示すように、煙感知器18は、電源部40、伝送部42、感知器制御部44、検煙部46及び発報表示灯48により構成され、嵌合端子金具50a,50bにより感知器ベース16に電気的且つ機械的に着脱自在に設けられている。
【0060】
煙感知器18の電源部40は信号線14a,14bからなるループ伝送路12により受信機側から供給された電源電圧を入力し、所定の定電圧を感知器電源電圧として出力する。なお、ループ伝送路12には、伝送用の信号線14a,14bに加えて、専用の電源線を設けるようにしても良い。
【0061】
伝送部42は受信機10の伝送部22との間で、上り信号を電圧モードで受信し、下り信号を電流モードで送信する。
【0062】
検煙部46は、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。
【0063】
感知器制御部44は、CPU、メモリ、A/D変換ポートを含む各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により感知器制御部44の機能が実現される。
【0064】
感知器制御部44は、伝送部42を介して一括A/D変換信号を受信すると、検煙部46から出力されている煙濃度検出信号をA/D変換によりサンプリングして煙濃度検出データとして記憶し、続いて自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、煙濃度検出データがセットされた応答信号を生成し、伝送部42に指示して送信する制御を行う。
【0065】
また、感知器制御部44は、煙濃度検出データを火災判定のための所定の煙濃度閾値と比較し、煙濃度閾値以上又は超えた場合に火災と判定し、伝送部42に指示して火災割込み信号を送信させる制御を行う。
【0066】
また、感知器制御部44は、火災割込み信号の送信に続いて受信されるグループ検索信号やグループ内検索信号に対し火災応答信号を送信する制御を行う。
【0067】
また、感知器制御部44は、火災割込み信号を送信した後に、煙濃度検出データが煙濃度閾値未満に低下場合に火災復旧と判定し、自己アドレスに一致する呼出信号を受信すると、火災復旧情報がセットされた応答信号を生成し、伝送部42に指示して送信する制御を行う。
【0068】
また、感知器制御部44は、自己アドレスを指定した点灯指示信号を受信すると発報表示灯48を点灯し、その後に、自己アドレスを指定した消灯指示信号を受信すると発報表示灯48を消灯する制御を行う。
【0069】
煙感知器18を加煙試験により発報した場合の感知器制御部44の制御は、火災発報時と同様に、火災割込信号の送信、グループ検索信号及びグループ内検索信号に対する応答信号の送信、火災復旧情報を含む応答信号の送信、点灯指示信号の受信による発報表示灯48の点灯、消灯指示信号の受信による発報表示灯48の消灯が行われる。
【0070】
[加煙試験制御]
図3は受信機による加煙試験制御を示したフローチャートであり、図1の受信機10に設けられた試験制御部34による制御動作となる。
【0071】
図3に示すように、受信機10における保守点検モードの設定操作で起動した試験制御部34は、ステップS1で煙感知器18の発報の受信を判別するとステップS2に進み、発報した煙感知器18のアドレスを表示部24に表示して受信機10についている試験員に報知する。
【0072】
続いて、試験制御部34は、ステップS3に進み、現在点灯中にある発報表示灯48の点灯数Nを点灯最大化数Nmaxと比較し、最大点灯数Nmax未満の場合はステップS4に進み、ステップS2で表示した発報アドレスを指定した点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させ、ステップS5に進んで発報表示灯48の点灯数Nを1つ増加させる。
【0073】
一方、試験制御部34はステップS3で発報表示灯48の点灯数Nが点灯最大化数Nmaxと比較し、最大点灯数Nmaxに達した場合はステップS6に進み、現在点灯中の発報表示灯48の中の最も古い発報表示灯48の煙感知器18のアドレスを指定した消灯指示信号を送信して消灯させ、ステップS7に進んで発報表示灯48の点灯数Nを1つ減少させてステップS3に戻る。
【0074】
このためステップS3で発報表示灯48の点灯数Nが点灯最大化数Nmax未満となったことが判別されてステップS4に進み、ステップS2で表示した発報アドレスを指定した点灯指示信号を送信し、発報した煙感知器18の発報表示灯48を点灯させ、ステップS5に進んで発報表示灯48の点灯数Nを1つ増加させる。
【0075】
続いて、試験制御部34はステップS8で発報した煙感知器18の復旧を判別するとステップS9に進み、復旧した煙感知器18のアドレスを指定した消灯指示信号を送信し、復旧した煙感知器18の発報表示灯48を消灯させ、ステップS10に進んで発報表示灯48の点灯数Nを1つ減少させ、ステップS11で受信機における保守点検モードのオフが判別されるまで、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0076】
[最大点灯数の動的設定制御]
図1の受信機10に設けられた試験制御部34の他の実施形態として、試験制御部34は、ループ伝送路12に流れる回線電流Isを測定して所定の定格許容電流Ithとの差電流を利用可能電流Iaとして求め、利用可能電流Iaを発報表示灯1台当りの点灯電流ΔIで除算して発報表示灯48の点灯可能数ΔNを求め、点灯可能数ΔNを現在点灯中の発報表示灯48の数Nに加算して最大点灯数Nmaxを求めて設定する制御を行う。
【0077】
図4は受信機の試験制御部による発報表示灯の点灯数演算を示したフローチャートである。図4に示すように、試験制御部34はステップS21で保守点検モードの設定状態でループ伝送路12に流れる回線電流Isを測定しており,続いて、ステップS22に進み、定格許容電流をIthとすると、利用可能電流Iaを、
Ia=Ith-Is
として求め、続いて、ステップS23に進み、発報表示灯1台当りの点灯電流をΔIとすると、発報表示灯48の点灯可能台数ΔNを
ΔN=Ia/ΔI
として求める。
【0078】
続いて、試験制御部34はステップS24に進み、現在の発報表示灯48の点灯数をNとすると、最大点灯数Nmaxを
Nmax=N+ΔN
として求め、図2のステップS3で使用する最大点灯数Nmaxを変更する。
【0079】
このように発報表示灯48の点灯数を制限する最大点灯数Nmaxを回線電流の測定に基づき動的に設定することで、煙感知器18の加煙試験中に実際に流れる回線電流に応じて定格許容電流以内に電流制限するための発報表示灯48の最大点灯数が動的に設定され、確実に、定格許容電流を超えない電流制限を満たす発報表示灯48の点灯数に制御することができる。
【0080】
[時間経過による発報表示灯の消灯制御]
図1の受信機10に設けられた試験制御部34は、図3に示した発報表示灯の制御に加え、発報の受信に基づき、点灯指示信号を発報した煙感知器に送信した場合、点灯指示信号の送信から復旧信号を受信することなく所定時間Tsが経過した場合、煙感知器18に消灯指示信号を送信して発報表示灯48を消灯させる制御を行う。
【0081】
このように発報した煙感知器18の発報表示灯48を受信機10からの制御により所定時間だけ点灯させることにより、煙感知器18から加煙試験による煙が抜けて復旧するまでに時間がかかっても、所定時間を超えると発報表示灯48が消灯され、不必要に試験済みの煙感知器18の発報表示灯48が点灯し続けて回線電流が増加した状態が継続することを防止する。
【0082】
[本発明の変形例]
(伝送路)
上記の実施形態は、受信機から引き出されたループ伝送路に煙感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、受信機に戻ることなく警戒区域に対し一方向に引き出された伝送路に煙感知器を接続した火災報知設備についても同様に適用できる。
【0083】
(試験時以外の点滅数制限)
上記の実施形態は、受信機が保守点検モードのときに感知器の発報表示灯を消灯制御することについて記載しているが、保守点検件モードではなく実運用時において適用しても良い。
【0084】
実運用時においては、第1報目と第2報目については火元を特定するために感知器の発報表示灯の点灯を維持し、第3報目以降の感知器の発報表示灯から消灯するようにしても良い。つまりアドレスA1、A2、A3、A4,A5の順に感知器が発報した場合、さらにアドレスA6の感知器が発報すると、A1、A2、A4、A5、A6が発報表示状態となる。
【0085】
このようにすることで、火元の感知器を発報表示しつつ、直近で発報した感知器を現場で確認することができる。また、この際、第1報目と第2報目の感知器の発報表示形態を例えば点灯状態とし、第3報目以降の表示形態を例えば点滅状態として表示形態を異ならせるようにして、火元の感知器と直近で発報した感知器を区別できるようにしても良い。
【0086】
また、運用時の別の形態として、火災信号を受けたのち、復旧信号を受けていない感知器について、受信機からの信号に応答がない場合、感知器に焼損等の故障が発生して発報表示灯が機能していないとみなし、当該感知器宛に発報表示灯に消灯信号を送信後、持針器が認識する現在の発報表示灯の数を減算して新たに別の感知器が発報した際には発報表示するようにしても良い。
【0087】
(感知器について)
上記の実施形態は、煙感知器の発報表示灯について記載しているが、熱感知器や炎感知器、その他火災を検出する感知器等、他の感知器でも同様に適用できる。煙感知器は感知器内に加煙試験後に煙が残ったままとなり発報を維持するため効果が大きいが、適宜試験実施からの復旧に時間がかかる感知器に適用できる。
【0088】
(発報表示灯消灯中の煙感知器を受信機で表示)
上記の実施形態で、受信機は発報中の煙感知器を特定する情報を表示する機能を有するが、これに加え、火災信号を受信した煙感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している煙感知器を特定する情報を表示するようにしても良い。これにより、受信機において、試験発報しているが発報表示灯が消灯されて復旧待ちとなっている煙感知器を知ることができる。
【0089】
(一斉消灯命令)
上記の実施形態の試験制御部は、必要に応じて、全ての煙感知器に対して発報表示灯を消灯させる一斉消灯指示信号を送信し、一斉消灯指示信号を受信した発報表示灯が点灯している煙感知器は発報表示灯を消灯させるようにしても良い。
【0090】
これにより例えば全ての煙感知器の加煙試験の終了したときに、発報表示灯が点灯して復旧待ちとなっている煙感知器に対し一斉消灯指示信号を送信して消灯させて定常監視状態に戻すことができる。
【0091】
(復旧無しで真火災と判断)
上記実施形態の試験制御部は、火災信号を受信した煙感知器のうち復旧信号を受信していないものであって発報表示灯が消灯している煙感知器のうち、火災信号を受信してから所定の時間が経過しても復旧信号を受信しない煙感知器について、真に火災が発生しているとみなし発報表示灯を点灯させるようにしても良い。
【0092】
これにより伝送路の電流制限に対応して発報表示灯の点灯数を制限するために発報表示灯を消灯させていても、火災発報が継続している場合は真に火災が発生しているとみなして消灯させた発報表示灯を点灯させて確実に火災発報を表示させることができる。
【0093】
(中継器)
上記の実施形態は、受信機から伝送路が引き出されているが、受信機と接続する中継器から引き出される伝送路に対しても同様に適用できる。この場合の中継器は、図1の受信機10から操作部23、表示部24、警報部25、移報部26を除いた構成となり、火災監視制御部32と試験制御部34は受信機10と基本的に同じとなり、火災を検出すると受信機10に火災検出情報を伝送して火災警報を出力させ、また、受信機10の操作による指示を受けて必要な制御を行うことになる。
【0094】
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの伝送路を介してR型の煙感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル煙感知器を接続した火災報知設備についても同様に適用できる。
【0095】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0096】
10:受信機
12:ループ伝送路
14a,14b:信号線
16:感知器ベース
18:煙感知器
20:受信制御部
22,42:伝送部
28:断線監視制御部
30a,30b:切替回路部
32:火災監視制御部
34:試験制御部
36:試験治具
40:電源部
44:感知器制御部
46:検煙部
48:発報表示灯
50a,50b:嵌合端子金具
図1
図2
図3
図4