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  • 特開-情報提供装置及び情報提供プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022097759
(43)【公開日】2022-06-30
(54)【発明の名称】情報提供装置及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220623BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080326
(22)【出願日】2022-05-16
(62)【分割の表示】P 2021086884の分割
【原出願日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020122687
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520266203
【氏名又は名称】グロース・キャピタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶺井 政人
(57)【要約】
【課題】 被資金提供者が資金提供者から資金提供を受けるとともに、資金提供者から支援指標に応じた支援を受けることを可能にする。
【解決手段】 資金提供者が、資金提供とセットで被資金提供者の支援を行なうとともに、資金提供者が提供する支援の内容を、支援指標に応じて決定できるようにするための情報を提供する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置であって、
支援指標に対応付けられる支援の内容の候補に関する情報が記憶されている記憶部と、
上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、
上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値データに基づいて上記支援指標を算出する算出部と、
上記算出部が算出した上記支援指標に対応付けられる支援の内容の候補を、上記記憶部に記憶された上記情報を基に抽出する抽出部と、を有する情報提供装置。
【請求項2】
上記算出部は、2つ以上の上記支援指標を算出する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
上記算出部が算出した2つ以上の上記支援指標のうち、所定の条件を満たす上記支援指標を特定する支援指標特定部を有する、請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
上記支援指標は、上記資金提供者が得る利益である、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
上記資金提供は、上記被資金提供者が発行する株式または新株予約権の取得の代わりに行なうものであるとともに、
上記資金提供者が得る利益は、上記資金提供者が上記株式または新株予約権の行使によって取得した株式を売却したことによって獲得した利益額、または上記資金提供者が上記株式または上記新株予約権の行使によって取得した株式を売却することにより得ると予測される予測利益額である、請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
上記算出部は、上記資金提供者が獲得する利益の利益額を算出するとともに、上記利益額の一部の金額を支援の金額として算出し、
上記抽出部は、算出された上記支援の金額に応じた支援の内容を抽出する、請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項7】
上記支援の内容の候補は、上記資金提供者が獲得する利益の利益額によって異なる内容である、請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項8】
上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を測定するための効果測定部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項9】
上記資金提供者が上記被資金提供者に対して行なった上記資金提供及び/又は上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を測定する効果測定部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項10】
上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を評価する評価部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項11】
上記資金提供者が上記被資金提供者に対して行なった上記資金提供及び/又は上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を評価する評価部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項12】
上記支援の内容を変更する支援内容変更部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項13】
上記被資金提供者に関する予め設定された項目の変化を測定する変化測定部と、
上記変化を通知する通知部と、
上記項目の変化に応じて上記支援の内容を変更する支援内容変更部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項14】
上記資金提供の内容もしくは金額または上記支援の内容に関する情報を通知する通知部を有する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項15】
資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置のコンピュータを、
支援指標に対応付けられる支援の内容の候補が記憶されている記憶部と、
上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、
上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値データに基づいて上記支援指標を算出する算出部と、
算出部が算出した上記支援指標に対応する支援の内容の候補を上記記憶部に記憶された情報を基に抽出する抽出部として機能させる情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、資金を必要としている企業への支援に関する情報提供装置及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、企業が、必要な資金を外部から調達することは行われており、資金調達をサポートするシステムが種々提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6472844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出資者等(資金提供者)が出資先の企業等(被資金提供者)に資金提供を行なうとともに支援を行なう場合において、支援の指標となるものを用いていなかった。
【0005】
この発明の課題は、被資金提供者が資金提供者から資金提供を受けるとともに、資金提供者から適切な支援を受けることを可能にするための情報提供装置及び情報提供プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の情報提供装置は、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置であって、支援指標に対応付けられる支援の内容の候補に関する情報が記憶されている記憶部と、上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値データに基づいて上記支援指標を算出する算出部と、上記算出部が算出した上記支援指標に対応付けられる支援の内容の候補を、上記記憶部に記憶された上記情報を基に抽出する抽出部とを有する。
【0007】
第2の発明は、上記算出部が、2つ以上の上記支援指標を算出する。
【0008】
第3の発明は、上記算出部が算出した2つ以上の上記支援指標のうち、所定の条件を満たす上記支援指標を特定する支援指標特定部を有する。
【0009】
第4の発明は、上記支援指標が、上記資金提供者が得る利益である。
【0010】
第5の発明は、上記資金提供が、上記被資金提供者が発行する株式または新株予約権の取得の代わりに行なうものであるとともに、上記資金提供者が得る利益は、上記資金提供者が上記株式または新株予約権の行使によって取得した株式を売却したことによって獲得した利益額、または上記資金提供者が上記株式または上記新株予約権の行使によって取得した株式を売却することにより得ると予測される予測利益額である。
【0011】
第6の発明は、上記算出部が、上記資金提供者が獲得する利益の利益額を算出するとともに、上記利益額の一部の金額を支援の金額として算出し、上記抽出部は、算出された上記支援の金額に応じた支援の内容を抽出する。
【0012】
第7の発明は、上記支援の内容の候補が、上記資金提供者が獲得する利益の利益額によって異なる内容である。
【0013】
第8の発明は、上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を測定するための効果測定部を有する。
【0014】
第9の発明は、上記資金提供者が上記被資金提供者に対して行なった上記資金提供及び/又は上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を測定する効果測定部を有する。
【0015】
第10の発明は、上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を評価する評価部を有する。
【0016】
第11の発明は、上記資金提供者が上記被資金提供者に対して行なった上記資金提供及び/又は上記被資金提供者が受けた上記支援による効果を評価する評価部を有する。
【0017】
第12の発明は、上記支援の内容を変更する支援内容変更部を有する。
【0018】
第13の発明は、上記被資金提供者に関する予め設定された項目の変化を測定する変化測定部と、上記変化を通知する通知部と、上記項目の変化に応じて上記支援の内容を変更する支援内容変更部とを有する。
【0019】
第14の発明によれば、上記資金提供の内容もしくは金額または上記支援の内容に関する情報を通知する通知部を有する。
【0020】
第15の発明の情報提供プログラムは、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置のコンピュータを、支援指標に対応付けられる支援の内容の候補が記憶されている記憶部と、上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値に基づいて上記支援指標を算出する算出部と、算出部が算出した上記支援指標に対応する支援の内容の候補を上記記憶部に記憶された情報を基に抽出する抽出部として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
第1,15の発明によれば、被資金提供者が資金提供者から資金提供を受けるとともに、資金提供者から支援指標に応じた支援を受けることができる。
【0022】
第2,3の発明によれば、被資金提供者は、複数の支援指標に基づいた支援の提供を受けることができる。
【0023】
第4の発明によれば、被資金提供者は、資金提供者が得る利益に応じた支援を受けることができる。
【0024】
第5の発明によれば、資金提供者は株式の売却によって得ることができる利益を支援指標とすることができる。
【0025】
また、第5の発明によれば、資金提供者は新株予約権の行使によって、発行概要に即した条件で株式の取得ができ、当該株式の売却による利益額に応じた支援を提供できる。
【0026】
第6の発明によれば、被資金提供者に提供される支援の内容が、資金提供者が資金提供によって獲得する利益額の一部の金額に対応したものとなる。つまり、資金提供者は、株式の売却などによって獲得する利益額より少ない金額の範囲で支援を行なうことができる。
【0027】
第7の発明によれば、非資金提供者に提供される支援の内容が、資金提供者が獲得する利益額に応じたものにできる。
【0028】
第8,9の発明によれば、支援や資金提供による効果を測定でき、第10、11の発明によって、それを評価することができる。
これらによって、資金提供者による支援や資金提供の効果を明確にすることができる。
【0029】
第12,13の発明によれば、決定した支援の内容を、資金提供者または被資金提供者の状況に応じて変更することができる。
【0030】
第14の発明によれば、被資金提供者が、どのような支援を受けたのかということや、どのような資金提供を受けたのかについて、外部に認知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、この発明の情報提供装置を用いた一実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態の記憶部が記憶しているデータベースの例である。
図3図3は、実施形態の支援内容データベースの一例を示すテーブルである。
図4図4は、実施形態の処理ステップを示したもので、支援の内容を決定するまでのステップを示したフローチャートである。
図5図5は、実施形態の処理ステップを示したもので、支援の内容が決定した、図4の続きのステップを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、特定の資金提供者が特定の被資金提供者に対して資金提供及び支援を行なう、この発明の一実施形態を説明する。
本実施形態は、特定の資金提供者が特定の被資金提供者に対して資金提供及び支援を行なうことを可能にするシステムである。
【0033】
まず、本実施形態でいう支援指標とは、資金提供者から提供される支援に関係するまたは関係し得る指標を指す。支援指標は、資金提供者が得る利益(資金提供者が得ると予想される利益を含む)またはその他数値で表される指標である。支援指標は具体的には、例えば、資金提供者が新株予約権の行使によって取得した株式の売却により得る利益、株式を取得した資金提供者が得る粗利(資金提供者が得ると予想される粗利を含む)、新株予約権行使総額(想定される新株予約権行使総額を含む)、被資金提供者の時価総額(予想される被資金提供者の時価総額を含む)、被資金提供者の時価総額の変化額がある。
【0034】
また、資金提供者が資金提供に基づいて獲得する利益には、次のものが考えられる。
【0035】
例えば、資金提供者が、資金提供額に応じて被資金提供者の株式を取得すれば、その株式を売却することによって利益を得ることが可能となる。この株式を売却して得る利益が、資金提供者が、資金提供に基づいて獲得する利益である。
【0036】
また、上記資金提供者から提供される支援は、金銭等の資金提供以外の施策で、例えば、企業の業績を向上させるための施策(グロースアクション)と、IR活動を促進する施策とがある。
【0037】
具体的には、Web広告の作成、Web広告による物販や集客、問い合わせの獲得、スマートフォンアプリのインストールの獲得、テレビ広告、展示会出展などのプロモーション、営業代行、システム開発、人材派遣、財務コンサルティング、経営コンサルティング、セキュリティコンサルティング、採用コンサルティング、採用支援、特許調査、個人投資家向け説明会、IRミーティングなど、被資金提供者の成長に必要な様々な施策に対応するものである。
【0038】
このような施策が、本実施形態のシステムによって提供された情報に基づいて資金提供者によって実行される。すなわち、本実施形態では、上記のような施策が、資金提供者によって円滑に実行されることを可能にしている。
【0039】
本実施形態のシステムは、図1に示すように、処理部1、記憶部2及び通信部3を有する管理サーバーSと、この管理サーバーSに、例えばインターネット回線などの通信手段Wを介して接続された資金提供者側端末4と被資金提供者側端末5とで構成されている。資金提供者および被資金提供者は、個人、法人、機関等が該当する。上記管理サーバーSは、例えば、情報提供装置を構成している。
【0040】
上記資金提供者側端末4及び被資金提供者側端末5は、それぞれ資金提供者、被資金提供者が管理するパソコン、タブレット、スマートフォンなどで、上記通信手段Wを介して管理サーバーSにアクセス可能にされている。
【0041】
上記通信部3は、上記端末4,5などの外部装置との間の通信を可能にして、数値データを取得するデータ取得部としての機能と、上記処理部1及び記憶部2への様々なデータの入出力を実行する機能とを備えている。なお数値データとは、後述する提供資金額A、株式の売却額B等の数値で表されるデータである。
【0042】
また、上記処理部1は、後で詳しく説明するが、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合において、入力された数値データを計算する算出部としての機能、支援指標を特定する支援指標特定部としての機能、及び特定された支援指標に応じて資金提供者から提供される支援の内容を決定する機能などを有している。上記支援指標の特定は、記憶部2に記憶されている情報、また、インターネットを介して外部から取得した情報に基づいて行われる。
以下の説明では、支援指標として、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なうことによって獲得する利益の金額を例として用いる。
【0043】
また、上記記憶部2には、図2に示すように、支援内容データベース21、被資金提供者情報データベース22、測定項目データベース23、評価基準データベース24などを備えている。これらのデータベース21,22,23,24は、上記処理部1が利益額算出や支援指標の特定、支援の内容を決定する際に必要な情報を保持したデータベースであるが、記憶部2は、後で説明する資金提供の各プロセスで取得した情報や、資金提供者の情報、全てのデータのやり取りなども記憶するようにしている。
【0044】
上記支援内容データベース21には、図3に示すように、支援の金額と具体的な施策とを対応付けた支援内容リストが記憶されている。上記支援の金額とは、上記した様々な施策に対応した金額で、例えば施策を実行するための費用に相当する。よって、上記支援の金額とは、施策の種類や規模に応じて決められる金額である。例えば、実行する施策が「被資金提供者のWeb広告の作成」の場合、コンテンツの種類、広告掲載範囲、掲載期間などによってその金額は異なる。そして、上記支援の金額と施策とは1対1に対応するとは限らず、1つの金額に複数の施策が対応することもある。
【0045】
また、上記被資金提供者情報データベース22には、被資金提供者の企業規模や、損益計算書、自社の株価など業績に関わる被資金提供者の企業のあらゆる情報が記憶され、これらの情報の変化も追加して記憶できるようにしている。
【0046】
また、この実施形態のシステムによって資金提供や支援が実行された場合には、その実行された事実もこの被資金提供者情報データベース22に記録される。
【0047】
さらに、測定項目データベース23には、資金提供や支援を受けた場合に、その効果を測るための測定項目を記憶させている。
【0048】
効果の測定項目は、株価、売り上げ、利益、損益計算書の数値、ユーザ・顧客数、SNSのフォロワー数などの数値やその変化であり、これらの測定値によって資金提供や支援の効果を測るようにしている。これらの測定項目の数値や変化を定期的に自動でインターネット上のサイト、ページから取得して記憶するようにしてもよい。
【0049】
ただし、支援の内容によって異なる効果が期待される場合には、各効果の測定項目に具体的な施策を対応付けて記憶させておく必要がある。
【0050】
例えば、施策としてWebページ(例えば、自社サイトやランディングページ)の作成を行なった場合には、そのページへのアクセス数、そのページからの問い合わせ数、そのページを経由した成約数などが効果の測定項目となり、展示会への出展の施策に対しては来場者数が測定項目となる。
【0051】
このような施策に対応する効果の測定項目は、上記支援内容リスト内の各施策に対応付けて支援内容データベース21に記憶させるようにしてもよい。
【0052】
また、資金提供や支援とは直接対応しないとしても、被資金提供者に関する情報を把握するための測定項目として、例えば時価総額、売り上げ、純利益、株価、従業員数などを測定項目データベース23に記憶してもよい。
【0053】
また、評価基準データベース24には、資金提供や支援によって得られた効果を評価するための評価基準を記憶している。例えば、評価基準データベース24には、効果の測定項目である株価の変化率の大きさによって、「良い」,「悪い」や、「○」,「△」,「×」というような評価や、数値での段階評価をするための基準値を記憶している。例えば、評価基準データベース24には、ユーザ数が5%増えたら「△」、10%増えたら「○」のような値を記憶している。
【0054】
また、複数の効果の測定項目の数値を総合して、資金提供や支援を受けた被資金提供者の状況を評価する指標を算出する演算式を評価基準データベース24に記憶させておいてもよい。
【0055】
次に、この実施形態のシステムを用いた資金提供及び支援等の手順を、図4,5に示すフローチャートにしたがって説明する。なお、図4,5のフローチャートは、管理サーバーSの処理部1の処理手順を示したものである。処理部1の処理は、記憶部2に予め記憶された情報提供プログラムに従って実行される。
【0056】
また、特にことわらない限り、処理部1へのデータの入力は、上記通信部3を介して資金提供者側端末4または被資金提供者側端末5を操作して行われる。この通信部3と処理部1とが相まって、例えば、取得部及び通知部として機能する。
【0057】
まず、資金提供者と被資金提供者との協議を踏まえて資金提供の方法および想定する提供金額を決定する。この実施形態では、被資金提供者が資金提供者に、想定する提供資金額の調達に必要となる新株予約権を公正な価格で割り当てるものとする。上記新株予約権は、MSワラント(行使価額修正条項付新株予約権)を用いたものにする。そして、被資金提供者への資金提供は、インターネットバンクによる送金等で行なう(資金提供ステップ)。
【0058】
図4のステップS1で、端末4または端末5から処理部1に、想定する提供資金額と新株予約権の発行概要が入力され、処理部1はこれらを記憶部2に記憶させる。新株予約権の発行概要は、例えば、新株予約権数、潜在株式数、希薄化率、新株予約権の発行価額、行使価額修正条件などの情報を含む。
【0059】
その後、所定のタイミングで、資金提供者が上記新株予約権を行使して交付を受けた株式を売却したら、ステップS2で、端末4または端末5から処理部1に行使のために送金した提供資金額Aと株式の売却額Bが入力され、記憶部2にこの提供資金額Aと売却額Bとを記憶させる。
【0060】
続くステップS3で、処理部1は、記憶部2に記憶された2つの数値データである上記提供資金額Aと株式の売却額Bとから、売却による利益額C=B-Aを算出する。この利益額Cが、資金提供者が資金提供によって得た利益額である。例えば、資金提供金額9千万円を支払って、株式10000株を取得し、その10000株を市場(東証一部、JASDAQなど)で、売却額1億円で売却した場合、利益額は1千万円になる。そして、処理部1は、上記利益額Cを支援指標として特定する。
【0061】
以上のステップS1~S3が利益額特定ステップであり、この利益額特定ステップでは、処理部1が、例えば、算出部及び支援指標特定部として機能する。
【0062】
続くステップS4で、処理部1は上記算出した利益額Cに比率rを掛けて支援の金額D=C×rを算出する。上記比率rは、記憶部2に予め記憶された計算式によって算出された数値である。また、この比率rの計算式は、上記売却額Bや利益額Cを変数にした計算式である。すなわち例えば、比率rは、売却額Bや利益額Cに応じて変化する。例えば、上記比率rは0.3である。
【0063】
続くステップS5で、処理部1は、上記算出された支援の金額Dに対応した支援の内容の候補を上記支援内容データベース21から抽出して、上記端末4,5(当該端末4,5の表示部)に表示させる。
【0064】
上記したように、支援の金額Dに対応する具体的な施策は1つとは限らず、ここでは施策と金額Dとそれに対応付けられた施策とのセットが支援の内容候補として1または複数表示されることとする。
【0065】
これにより、支援の金額Dが高くなるほど、支援の候補の数が多くなったり、より効果的な支援が候補になったりする。例えば、上記算出した支援の金額Dが1000万円以上の場合、施策がテレビ広告になり、上記算出した支援の金額Dが1000万円未満の場合、Web広告になったりする。このとき、上記端末4または端末5には、複数の支援の内容候補とともに、これらの候補からいずれかを選択するための選択ボタンと選択を促す内容とが、同時に表示される。
【0066】
続くステップS6で、上記端末4または端末5で選択する操作がされて、いずれかの支援の内容を選択する選択信号が、上記端末4または端末5から処理部1に入力されたら、続くステップS7で、処理部1は選択された支援の内容を被資金提供者情報データベース22に記憶させるとともに、上記支援の内容を端末4,5に表示させる。上記ステップS5~ステップS7では、処理部1が、例えば、支援の内容候補を抽出する抽出部として機能する。
【0067】
さらに、続くステップS8で、処理部1が、例えば、変化測定部として機能し、被資金提供者情報の変化(予め設定された測定項目の変化)を測定する。ここで測定する項目は、上記測定項目データベース23に記憶されている項目で、例えば、時価総額、売り上げ、純利益、株価、従業員数などである。これらの現状の数値が、ステップS7で支援の内容を選択した時点からどれくらい変化しているのかを測定する。そのため、処理部1は、現時点での上記項目の数値の入力を、上記端末4または端末5に対して要求するとともに、過去の数値を上記被資金提供者情報データベース22から抽出し、その間の変化(同一項目についての現時点での数値と過去の数値との差)を測定(計算)する。ここで、現時点での上記項目の数値は、インターネット上で検索可能な情報や管理サーバーSの記憶部2に最新の企業情報が記憶されているデータベースから取得されてもよい。
【0068】
続くステップS9で、処理部1は上記変化の測定結果(計算結果)を、上記通信部3を介して上記端末4,5に表示させ、ステップS10へ進む。上記ステップS9では、上記通信部3が処理部1とともに、例えば、上記変化を通知する通知部として機能する。
【0069】
上記ステップS10で、処理部1は、上記端末4または端末5に被資金提供者情報の変化を表示させるとともに、ステップS6で選択された支援の内容を資金提供者が実行する支援として決定するか、変更するかを問う画面を表示させる。
【0070】
このステップS10で、上記端末4または端末5で決定する操作がされて、上記端末4または端末5から決定信号が処理部1に入力されたら、処理部1は、続くステップS11で支援の内容を確定して、それを被資金提供者情報データベース22に記憶させ、図5のステップS14に進む。
【0071】
一方、処理部1は、ステップS10で決定信号が入力されない場合、すなわち変更要求の入力があった場合には、ステップS12へ進む。
【0072】
そして、このステップS12で、処理部1は支援の内容の変更を受け付ける。例えば、処理部1は、上記ステップS5で表示させた候補のなかから別の支援の内容を再選択させるようにする。このステップS12では、処理部1が、例えば、支援内容変更部として機能する。
【0073】
または、処理部1は、例えば抽出部として機能し、支援の内容候補を再抽出してもよい。例えば、処理部1は、上記ステップS8で株価が10%以上下がる変化を測定した場合、画面表示させる支援内容の候補を、グロースアクションの支援の内容からIR活動を促進する支援の内容に切り替えて、その切り替えた支援の内容から選択させるようにしてもよい。このような支援の内容候補の変更は、記憶部2に予め記憶された条件に基づいて実行される。
【0074】
続くステップS13で、処理部1は、変更された支援の内容を端末4,5に表示させるとともに、被資金提供者情報データベース22に記憶させてから、ステップS10へ戻る。
【0075】
以上、図4に示したステップによって、資金提供者が提供すべき支援の内容が決定する。
つまり、上記ステップS4~S13で、資金提供者が獲得する利益額に応じて支援の内容が決定される。
【0076】
図5は、被資金提供者が、資金提供者から支援を受けることが決まった後に実行されるプロセスを示している。
【0077】
ステップS14で、処理部1は、支援が実行されて実行信号が入力されるまで待機し、端末4または端末5が実行する操作がされて、端末4または端末5から処理部1に実行信号が入力されると、ステップS15へ進む。
【0078】
ステップS15で、処理部1は、被資金提供者が資金提供及び/又は支援を受けたことを被資金提供者のサイト(例えば、被資金提供者の自社サイトのページ)に掲載する。
【0079】
また、このステップS15で、処理部1は、資金提供の内容や、金額、支援の内容に関する情報についても掲載するようにし、資金提供の内容もしくは金額、または支援の内容に関する情報を通知する情報通知を行なってもよい。
【0080】
上記資金提供の内容とは、資金提供者名、仲介者や協力者がいる場合はその名、資金提供の方法などの情報である。
【0081】
また、支援の内容に関する情報は、具体的な施策の種類や規模、対応する金額、期待される効果、施策を被資金提供者に直接提供する資金提供者や資金提供者の協力者の情報などである。
【0082】
したがって、このステップS15が、情報通知ステップと掲載ステップとを兼ねることになる。
【0083】
続くステップS16で、処理部1は、上記測定項目データベース23に基づいて測定項目を特定し、その項目について上記資金提供及び/又は支援の効果を測定する(効果測定部の機能)。
【0084】
続くステップS17で、処理部1は、上記効果の測定結果を上記端末4,5などに表示させる。
【0085】
さらに続くステップS18で、処理部1は、上記ステップS16で測定した結果(全部又は一部の効果)を、上記評価基準データベース24の基準に従って評価し、その評価結果を上記端末4,5などに表示させる(評価部の機能)。
【0086】
そして、資金提供者は、被資金提供者に対し、資金提供とともに管理サーバーSで決定された支援を実行する。
この実施形態では、被資金提供者は、資金提供者が獲得した利益額に応じて決定された支援を、無償ないし費用の一部負担で受けることができる。なお、ここで、資金提供者が獲得した利益は、例えば、現金、電子マネー、仮想通貨などの金銭的な利益である。
【0087】
なお、上記ステップS14~S19のような、効果の測定、効果の評価などは、必須ではないが、資金提供や支援の効果を測定して評価することによって、被資金提供者は、より有効な資金調達や、成長のための施策の実行が可能になる。
【0088】
(変形例等)
上記実施形態では、上記ステップS3の処理を上記提供資金額A、株式の売却額B、利益額Cを次のように定義し行なうこともできる(すなわち2つ以上の数値データに基づいて支援指標を算出する他の例を挙げている)。
提供資金額A(資金調達額)=(新株予約権の行使総額)×X%
又は、
提供資金額A(資金調達額)=(新株予約権の新株予約権料(オプション料)と行使総額との合計額)×X%
利益額C=粗利×Y%
又は、
利益額C=営業利益×Y%
ここで、X,Yは、予め設定されている値である。また、粗利、営業利益は、次のようになる。
粗利=(株式売却代金総額)-(新株予約権の新株予約権料(オプション料)と行使総額との合計額)-売買手数料-弁護士費用
営業利益=粗利-弊社販管費(人件費、オフィス賃料等)
ここで、株式売却代金総額は、株式の売却額Bに相当する。また、売買手数料、弁護士費用、弊社販管費(人件費、オフィス賃料等)は、記憶部2に記憶されている。
【0089】
また、上記実施形態では、上記ステップS3の処理を、上記の例に限らない、足し算、引き算等の四則演算によって行なっても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、上記ステップS8の時価総額、株価の変化測定の処理を次のように行うこともできる。
時価総額の変化=(時価総額の特定期間の増減額)×(Z1)%
株価の変化=(株価の特定期間の増減額)×(Z2)%
ここで、Z1,Z2は、予め設定されている値である。
【0091】
また、上記実施形態では、複数の算出式を用い、それらを基に複数の支援指標が算出してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、2つ以上の上記支援指標のうち、所定の条件を満たす支援指標を特定してもよい。例えば、算出した複数の支援指標のうち、金額の数字が大きい支援指標を使うようにする。例えば、粗利のA%と新株予約権の行使総額のB%とを比較して、大きい方の支援指標を使う。ここで、A,Bは、予め設定されている値である。また、所定の条件は、記憶部2に記憶されている。
【0093】
また、上記実施形態では、管理サーバーSは、資金提供の内容若しくは金額または上記支援の内容若しくは金額に関する情報を、パソコン等を介して通知するようにしてもよい。この場合、通知先は、資金提供者、被資金提供者、第三者、被資金提供者の顧客などである。また、通知手段は、メール、SNS、音声、動画、電話、書面などである。
【0094】
また、上記実施形態では、資金提供によって資金提供者が利益を獲得してから、その獲得利益額に応じて支援の内容を決定するようにしているが、獲得する利益額は、予測額であってもよい。例えば、株式を売却する予定であれば、市場動向から売却時の株価を人工知能等により予測し、図4のステップS3に代えて予測利益額を算出し、その後は予測利益額を基に上記と同様の処理を実行してもよい。
【0095】
また、管理サーバーSは、資金提供が行われる前に、資金提供の予定額に基づいて予測利益額を算出して、支援の内容を決定してもよい。また、支援の実行後に、資金提供を行なってもよい。
【0096】
いずれにしても、資金提供と支援とが、セットで資金提供者によって行われ、上記資金の内容が、資金提供者が獲得する利益額に応じて決定されればよい。
【0097】
なお、上記支援の提供、すなわち各施策の実行は、資金提供者が直接実行するだけでなく、第三者が協力者として実行してもかまわない。その場合、第三者の支援に対する当該第三者への手数料は資金提供者から支払われ、被資金提供者は無償ないし一部負担で支援を受けられることに変わりはない。
【0098】
また、上記では、資金提供者が新株予約権の行使によって利益を獲得する例を説明したが、利益を獲得する資金提供の方法は上記に限らない。
【0099】
例えば、資金提供の代わりに被資金提供者の株式を買い取ってそれを売却するようにしてもよいし、資金を被資金提供者に貸し付けることで被資金提供者からその貸し付け利子を得るようにしてもよい。また、被資金提供者が暗号資産や仮想通貨、トークンを発行して、資金提供者が暗号資産や仮想通貨、トークンを購入、売却し利益を得られるようにしてもよい。その他にも、資金提供の方法として、ワラント、転換社債、社債、貸付、補助金、助成金等によるものであってもよい。
【0100】
このように、資金提供者が利益を得られる資金提供の方法は特に限定されないが、株式の取得などが好ましい。
【0101】
さらに、資金の提供は、資金提供者が第三者からの資金を提供(仲介)してもよい。この場合、上記の資金提供者は被資金提供者への資金提供の仲介者になる。また、この場合、資金提供者は、資金を提供してきた第三者から仲介手数料を受け取るようにしてもよい。この仲介手数料が上記資金提供者の利益となる。
【0102】
また、上記では、掲載ステップで被資金提供者の自社サイトに情報を掲載する例を説明したが、SNS、メディア、他社サイト、TDnetなどに情報を掲載するようにしてもよい。
【0103】
さらに、上記では、情報を記憶部2に記憶させる例を説明したが、メール、印刷、契約書への記載、ブロックチェーン上への記録、記憶としてもよい。
【0104】
さらに、上記では、新株予約権の行使によって取得した株式の売却によって獲得した利益を支援指標として例にしたが、他の支援指標に応じて資金提供者による支援の内容を決定してもよい。想定される新株予約権行使総額を支援指標とする場合は、例えば、算出部により所定の計算式を用いて資金提供者が行使すると想定される新株予約権行使総額を10~20億円と算出し、更にその平均の金額(15億円)の3%(4500万円)を支援に用いる金額として算出し、当該金額に対応する支援内容の候補を記憶部より抽出して表示する。そして、支援内容の候補の中から支援内容(テレビ広告、人材派遣等)を決定する。ここでは数値で表される指標を用いたが、上記のように指標となる金額に幅を持たせたり、複数の数値の平均値を取るようにしたりしてもよい。また、おおよその数値であってもよい。例えば、想定される被資金提供者の時価総額が100億1500万円の場合は約100億円とするような場合である。
【0105】
また、図4,5に示す各処理のうちいずれかを、手作業で行なうようにしてもよい。
【0106】
例えば、資金提供や支援の効果の測定を外部で行なって、その結果を処理部1に入力するようにしてもよい。
また、上記の各ステップのうち一部のステップにおける内容は実行されなくてもよい(処理部1による処理がされなくてもよい)。例えば、ステップS7~S10及びステップS12~S13における内容は実行されずに、S6における内容の次にS11における内容が実行されてもよい。すなわち、支援の内容の選択信号が入力された場合に、ただちに支援の内容が確定され、記憶されるようにしてもよい。
【0107】
また、上記の実施形態では、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう資金提供ステップと、支援指標を特定する特定ステップと、上記特定ステップで特定された支援指標に応じて上記資金提供者から提供される支援の内容を決定する支援決定ステップとを有する資金提供方法を実現している。
【0108】
また、上記の実施形態では、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる資金提供システムであって、支援指標を特定する支援指標特定部と、上記支援指標特定部で特定された支援指標に応じて上記資金提供者から提供される支援の内容を決定する支援決定部とを有する資金提供システムを実現している。
【0109】
また、上記の実施形態では、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置であって、支援指標に対応付けられる支援の内容の候補に関する情報が記憶されている記憶部と、上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値データに基づいて上記支援指標を算出する算出部と、上記算出部が算出した上記支援指標に対応付けられる支援の内容の候補を、上記記憶部に記憶された上記情報を基に抽出する抽出部と、を有する情報提供装置を実現している。
【0110】
また、上記の実施形態では、資金提供者が被資金提供者に対して資金提供を行なう場合に用いられる情報提供装置のコンピュータを、支援指標に対応付けられる支援の内容の候補が記憶されている記憶部と、上記資金提供、上記資金提供者又は上記被資金提供者の少なくともいずれかに関する数値データを取得するデータ取得部と、上記データ取得部が取得した2つ以上の上記数値に基づいて上記支援指標を算出する算出部と、算出部が算出した上記支援指標に対応する支援の内容の候補を上記記憶部に記憶された情報を基に抽出する抽出部として機能させる情報提供プログラムを実現している。
【0111】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0112】
資金調達が必要な企業に対し、有効な支援が可能になる。
【符号の説明】
【0113】
S 管理サーバー
W 通信手段
1 処理部
2 記憶部
3 通信部
4 資金提供者側端末
5 被資金提供者側端末
図1
図2
図3
図4
図5